説明

ピラゾロピリミジン類

本発明は、式I(ここで、R、R、R、R、RおよびRは、本説明において列挙した意味を有する)の新規なピラゾロピリミジン類に関する。本発明はまた、前記物質の種々の製造方法、および所望されていない微生物を防除するために利用することに関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所望されていない微生物を防除するため新規なピラゾロピリミジン類、これらを調製するための複数の方法、およびこれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のピラゾロピリミジン類が殺真菌性を有することはすでに知られている(DE−A3130633またはFR−A2794745を比較のこと)。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、現代の殺真菌剤に課せられる環境上および経済的な要求は、例えば、活性スペクトル、毒性、選択性、施用量、残留物の形成および有利な製造に関し、絶えず増大し、しかも例えば抵抗性などを有する問題もあり得るので、少なくともある分野においては、先行技術を超える利点を有する新規な殺真菌剤を開発することが絶えず必要になる。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式
【0005】
【化11】

の新規なピラゾロピリミジン類を提供する。
【0006】
[式中、
は、場合によって置換されたアルキル、場合によって置換されたアルケニル、場合によって置換されたアルキニル、場合によって置換されたシクロアルキル、または場合によって置換されたヘテロシクリルを表し、
は、水素またはアルキルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によって置換された複素環を表し、
は、水素またはアルキルを表し、
は、場合によって置換されたアルケニル、または場合によって置換されたアルキニルを表し、
は、ハロゲン、CN、アルキル、アルコキシまたはアルキルチオを表し、および
は、アルキル、シクロアルキル、または場合によって置換されたアリールを表す。]
【0007】
置換パターンにもよるが、本発明による化合物は、適切であれば、異なる可能な異性体の混合物として存在し得る。かかる異性体としては、特に、EおよびZ、トレオおよびエリトロ、さらに光学異性体などの立体異性体、ならびに適切であれば、互変異性体の形も挙げられる。Rが異なる置換基で置換されており、両原子が結合するくらいに隣接している場合には、問題となっている化合物は、アトロプ異性体としてなど、特定の立体異性の形で存在し得る。
【0008】
さらに、見出されているのは、式(I)のピラゾロピリミジン類が得られるのは、以下の場合であるということである。
【0009】
a)式
【0010】
【化12】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、ならびに
は、水素もしくはアルキルを表す。]

【0011】
【化13】

のホスホニウム塩と、
[式中、
Yは、アルキル、シクロアルキル、アラルキルもしくはフェニルを表し、
Xは、臭化物イオンなどのアニオンを表し、および
は、水素、もしくは場合によって置換されたアルキルを表す。]
塩基および希釈剤存在下で反応させるか、または
b)式
【0012】
【化14】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、
は、水素、もしくは場合によって置換されたアルキルを表し、
Xは、塩素もしくは臭素を表す。]
希釈剤存在下、強塩基と反応させるか、または
c)式
【0013】
【化15】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。]
ジメチルホルムアミド存在下、初めにオキシ塩化リンと、次いでさらに塩基と反応させ、式(V)の化合物を得るか、
【0014】
【化16】

または
d)式
【0015】
【化17】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。]
グリニャール化合物
−CH−MgX
[ここで、Rは、上記定義の通りである。]
と反応させ、次いで酸性にする。
【0016】
最後に、式(I)のピラゾロピリミジン類は、所望されていない微生物を防除するのに非常に適しているということが見出されている。特に、これらは強い殺真菌力を有し、作物保護および材料保護の双方に用いられ得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
式(I)は、本発明によるピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。好ましくは、Rが場合によって置換されたアルケニルを表す、式(I)の化合物である。同様に好ましくは、Rが場合によって置換されたアルキニルを表す、式(I)の化合物である。さらに、好ましくは、以下のような式(I)の化合物である。
【0018】
[式中、
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から五置換されていてもよい1から6個の炭素原子を有するアルキルを表し、または
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい2から6個の炭素原子を有するアルケニルを表し、または
は、ハロゲン、シアノ、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい3から6個の炭素原子を有するアルキニルを表し、または
は、ハロゲン、および1から4個の炭素原子を有するアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表し、または
は、5もしくは6個の環員、および窒素、酸素、および/または硫黄などの、1から3個のヘテロ原子を有する、飽和もしくは不飽和の複素環を表し、(ここで、この複素環は、ハロゲン、および1から4個の炭素原子を有するアルキル、シアノ、ニトロおよび/または3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルで一置換または二置換されていてもよく、)
は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、3から6個の環員を有し、飽和もしくは不飽和の複素環を表し、(ここで、この複素環は、さらに窒素、酸素もしくは硫黄原子を環構成原子として含んでもよく、およびこの複素環は、フッ素、塩素、臭素、1から4個の炭素原子を有するアルキル、および/または1から4個の炭素原子および1から9個のフッ素原子および/または塩素原子を有するハロアルキルで、3回まで置換されてもよく、)
は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、2から6個の炭素原子を有するアルケニル、または2から6個の炭素原子を有するアルキニルを表し、または
は、カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニル、もしくはホルミルもしくはハロゲンで置換されている2から4個の炭素原子を有するアルケニルを表し、または
カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニル、ホルミルもしくはハロゲンで置換されている2から4個の炭素原子を有するアルキニルを表し、
は、フッ素、塩素、臭素、CN、1から4個の炭素原子を有するアルコキシ、もしくは1から4個の炭素原子を有するアルキルチオを表し、および
は、1から6個の炭素原子を有するアルキルを表し、または3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表し、またはフェニルを表す。
【0019】
(ここで、フェニルは、
ハロゲン、シアノ、ニトロ、アミノ、ヒドロキシル、ホルミル、カルボキシル、カルバモイル、チオカルバモイル;
いずれの場合にも、直鎖もしくは分枝の、いずれの場合にも、1から6個の炭素原子を有するアルキル、アルコキシ、アルキルチオ、アルキルスルフィニルまたはアルキルスルホニル;
いずれの場合にも、直鎖もしくは分枝の、いずれの場合にも、2から6個の炭素原子を有するアルケニルまたはアルケニルオキシ;
いずれの場合にも、直鎖もしくは分枝の、いずれの場合にも、1から6個の炭素原子および1から13個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するハロアルキル、ハロアルコキシ、ハロアルキルチオ、ハロアルキルスルフィニルまたはハロアルキルスルホニル;
いずれの場合にも、直鎖もしくは分枝の、いずれの場合にも、2から6個の炭素原子および1から11個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するハロアルケニルまたはハロアルケニルオキシ;
いずれの場合にも、直鎖もしくは分枝の、個々のアルキル部分において、いずれの場合にも、1から6個の炭素原子を有するアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アルキルカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アルコキシカルボニル、アルキルスルホニルオキシ、ヒドロキシイミノアルキルまたはアルコキシイミノアルキル;
3から6個の炭素原子を有するシクロアルキル、
2,3−付加型の、1,3−プロパンジイル、1,4−ブタンジイル、メチレンジオキシ(−O−CH−O−)または1,2−エチレンジオキシ(−O−CH−CH−O−)(ここで、これらの基は、ハロゲン、1から4個の炭素原子を有するアルキル、ならびに1から4個の炭素原子および1から9個の同一もしくは異なるハロゲン原子を有するハロアルキルからなる群からの同一または異なる置換基で一置換または多置換されていてもよい)
からなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から四置換されていてもよい。)]
【0020】
特に好ましくは、以下のような式(I)のピラゾロピリミジン類である。
【0021】
[式中、
は、式
【0022】
【化18】

の基を表し、
(ここで、#は結合位置を意味し、光学活性の形態で存在し得るこれらの基については、各々可能な立体異性体もしくはこの混合物が存在してもよく、)
は、水素、メチル、エチルもしくはプロピルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピペリジニル、もしくはテトラヒドロ−1(2H)−ピリダジニルを表し、(ここで、これらの基は、1から3個のフッ素原子、1から3個のメチル基および/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよく、)
または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、式
【0023】
【化19】

の基を表し、
[式中、
R’は、水素またはメチルを表し、
R’’は、メチル、エチル、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルを表し、
mは、0、1、2または3の数字を表し、mが2または3を表す場合には、R’’は同一または異なる基を表し、
R’’’は、メチル、エチル、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルを表し、および
nは、0、1、2または3の数字を表し、nが2または3を表す場合には、R’’’は同一または異なる基を表し、]
は、水素、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルを表し、
は、直鎖もしくは分枝の、2から5個の炭素原子を有するアルケニルを表し、(ここで、これら基の各々は、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ホルミルもしくはハロゲンで一置換されていてもよく、)または
は、2から5個の炭素原子を有するアルキニルを表し、(ここで、これら基の各々は、カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニルで一置換されていてもよく、)
は、フッ素、塩素、CN、メトキシ、エトキシ、メチルチオもしくはエチルチオを表し、および
は、直鎖もしくは分枝の、1から4個の炭素原子を有するアルキルを表すか、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルを表し、または
は、フェニルを表し、ここで、フェニルは、
フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、ホルミル、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−、s−もしくはt−ブチル、アリル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、n−もしくはi−プロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−もしくはi−プロピルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリクロロエチニルオキシ、トリフルオロエチニルオキシ、クロロアリルオキシ、ヨードプロパルギルオキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−もしくはi−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチル、プロピオニル、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヒドロキシイミノメチル、ヒドロキシイミノエチル、メトキシイミノメチル、エトキシイミノメチル、メトキシイミノエチル、エトキシイミノエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、
2,3−付加型の、1,3−プロパンジイル、メチレンジオキシ(−O−CH−O−)もしくは1,2−エチレンジオキシ(−O−CH−CH−O−)(ここで、これらの基は、フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびトリフルオロメチルからなる群からの同一または異なる置換基で一置換または多置換されていてもよい)
からなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい。]
【0024】
本発明による化合物の、極めて特に好ましい群は、以下のような式(I)のピラゾロピリミジン類である。
【0025】
[式中、
、R、RおよびRは、上記所与の特に好ましい意味を有し、
は、式
【0026】
【化20】

−CH=CH−CO−OCH、−CH=CH−CO−OC、−C≡CH、−C≡C−CH、−C≡C−C、−C≡C−C、−C≡C−COOH、−C≡C−CO−OCH、または−C≡C−CO−OC
の基を表し、および
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルを表し、または
は、2,4−、2,5−もしくは2,6−二置換フェニル、または2−置換フェニルを表し、または2,4,6−三置換フェニルを表す。(ここで、可能性のある置換基は、特に好ましい定義を列挙している文脈において記載した基である。)]
【0027】
上記の基の定義は、所望通り、互いに組み合わせることができる。さらに、個々の定義は適用されなくてもよい。
【0028】
3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]−ピリミジンを出発物質として、およびトリフェニルメチルホスホニウムブロミドを反応成分として用いると、本発明による工程(a)は、以下の反応式によって説明できる。
【0029】
【化21】

【0030】
例えば、3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジンを出発物質として、およびブロモメチルトリフェニルホスホニウムブロミドを出発物質として用いると、相当するアルキンが得られる。
【0031】
【化22】

【0032】
3−(1,2−ジブロモプロピル)−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)−ピラゾロ[1,5a]ピリミジンを出発物質として、およびカリウムtert−ブトキシドを反応成分として用いると、本発明による工程(b)は、以下の反応式によって説明できる。
【0033】
【化23】

【0034】
3−アセチル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジンを出発物質とし、第1段階で、オキシ塩化リンを反応成分として用い、および第2段階で、カリウムtert−ブトキシドを塩基として用いると、本発明による工程(c)は、以下の反応式によって説明できる。
【0035】
【化24】

【0036】
3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−3−ジフルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]−ピリミジンを出発物質として、およびメチルマグネシウムブロミドを反応成分として用いると、本発明による工程(d)は、以下の反応式によって説明できる。
【0037】
【化25】

【0038】
式(II)は、本発明による工程(a)を行うための出発物質として必要な、ピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、R、R、R、RおよびRは、これらの基について好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。Rは、好ましくは水素、メチルまたはエチルを表す。
【0039】
式(II)のピラゾロピリミジン類は、以下の場合に得られる。
【0040】
e)式
【0041】
【化26】

のシアノ化合物を、
[式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。]
α)水素化ジイソブチルアルミニウムと、塩化アンモニウム水溶液の存在下、および有機希釈剤存在下で反応させるか、または、
β)式
10−Mg−X (VII)
のグリニャール化合物と、
[式中、
10は、アルキルを表し、および
は、塩素または臭素を表す。]
希釈剤存在下、および適切であれば触媒存在下で反応させるかのどちらかであるか、
f)式(VIII)
【0042】
【化27】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。]
式(IX)
10−CO−X (IX)
の、酸ハロゲン化物、酸無水物もしくは他の活性カルボン酸誘導体と、
[式中、
10は上記定義の通りであり、および
は、塩素、臭素、式−O−CO−R10の基、もしくは式
【0043】
【化28】

の基である。]
適切であれば触媒存在下、および希釈剤存在下で反応させるか、あるいは
g)式(X)
【0044】
【化29】

のヒドロキシピラゾロピリミジン類を、
[式中、
およびRは、上記定義の通りである。]
ジメチルホルムアミド存在下、オキシ塩化リンと反応させ、および適切であれば、さらに五塩化リンを加えて反応させ、結果として生成する式(XI)のハロピラゾロピリミジン類、
【0045】
【化30】

[式中、
およびRは、上記定義の通りである。]
を、式(XII)
【0046】
【化31】

のアミンと、
[式中、
およびRは、上記定義の通りである。]
適切であれば触媒存在下、適切であれば酸結合剤存在下、および適切であれば希釈剤存在下で反応させる。
【0047】
式(VI)のシアノ化合物は、以下の場合に得られる。
【0048】
h)式
【0049】
【化32】

のハロピラゾロピリミジン類を、
[式中、
およびRは、上記定義の通りであり、
は、ハロゲンを表し、および
は、ハロゲンを表す。]

【0050】
【化33】

のアミンと、
[式中、
およびRは、上記定義の通りである。]
適切であれば希釈剤存在下、適切であれば触媒存在下、および適切であれば酸受容体存在下で反応させ、適切であれば、結果として得られる式
【0051】
【化34】

のシアノ化合物を、
【0052】
[式中、
、R、R、RおよびXは、上記定義の通りである。]
第2段階で、式
11−Z−H (XIV)
のアルコールまたはメルカプタンと、
[式中、
11は、アルキルを表し、および
Zは、酸素または硫黄を表す。]
塩基存在下、および適切であれば希釈剤存在下で反応させる。
【0053】
式(XIII)のハロピラゾロピリミジン類は、知られているか、または知られている方法(DE−A10328996およびPCT/EP03/05159を参照のこと)で調製できる。
【0054】
こうして、式(XIII)のハロピラゾロピリミジン類は、以下の場合に得られる。
【0055】
i)式
【0056】
【化35】

のジヒドロキシピラゾロピリミジン類を、
[式中、
およびRは、上記定義の通りである。]
ハロゲン化剤と、適切であれば希釈剤存在下で反応させる。
【0057】
式(XV)のジヒドロキシピラゾロピリミジン類は、以下の場合に得られる。
【0058】
j)式
【0059】
【化36】

のマロン酸エステルを、
[式中、
は、上記定義の通りであり、および
12は、アルキルを表す。]

【0060】
【化37】

のアミノピラゾールと、
[式中、
は、上記定義の通りである。]
適切であれば希釈剤存在下、および適切であれば強塩基存在下で反応させる。
【0061】
式(XVI)は、工程(j)を行うための出発物質として必要な、マロン酸エステル類の一般的な定義を提供する。この式において、Rは、この基にとって好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。R12は、好ましくは1から4個の炭素原子を有するアルキル、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0062】
式(XVI)のマロン酸エステル類は、知られているか、または知られている方法(US−A6156925を参照のこと)で調製できる。
【0063】
工程(j)を行うのに適した希釈剤は、通例のすべての不活性な有機溶媒である。脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素を用いることが好ましく、この例としては、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、メチルt−アミルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、または1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタンまたはアニソールなどのエーテル類;アセトニトリル、プロピオニトリル、n−もしくはi−ブチロニトリルまたはベンゾニトリルなどのニトリル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルホルムアニリド、N−メチルピロリドンまたはヘキサメチルリン酸トリアミドなどのアミド類;酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類;メタノール、エタノール、n−もしくはi−プロパノール、n−、i−、sec−もしくはtert−ブタノール、エタンジオール、プロパン−1,2−ジオール、エトキシエタノール、メトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテルなどのアルコール類;トリ−n−ブチルアミンなどのアミン類、あるいは酢酸などのカルボン酸類などが挙げられる。
【0064】
工程(j)を行うのに適した強塩基は、好ましくは、アルカリ土類金属またはアルカリ金属の、水素化物またはアルコキシド、およびまたアルカリ金属のアミドである。水素化ナトリウム、ナトリウムアミド、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシドおよびカリウムtert−ブトキシドが例として記載できる。
【0065】
さらに適したものは、第3アミンであり、トリ−n−ブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などが挙げられる。該塩基が液体物質である場合、これらは同時に希釈剤として用いられる。
【0066】
工程(j)および同様に本特許明細書に記載した他の工程は、通常大気圧下で行われる。しかしながら、高圧下または、非常に揮発しやすい反応成分が存在しない限り、減圧下で操作することも可能である。
【0067】
工程(j)を行う場合、反応温度は、いずれの場合にも比較的広い範囲内で変更することができる。塩基が存在しない場合、この工程は、通常100℃〜250℃、好ましくは120℃〜200℃の温度で行う。塩基が存在する場合、この工程は、通常20℃〜120℃、好ましくは20℃〜80℃の温度で行う。
【0068】
工程(j)を行う場合、式(XVI)のマロン酸エステル1モルにつき、通常1〜15モル、好ましくは1〜8モルの、式(XVII)のアミノピラゾールが用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0069】
工程(i)を行うのに適したハロゲン化剤は、炭素に結合している水酸基をハロゲンに交換するのに適した、通例のすべての試薬である。好ましくは、三塩化リン、三臭化リン、五塩化リン、オキシ塩化リン、ホスゲン、塩化チオニル、臭化チオニルまたはこれらの混合物を用いる。相当する式(XIII)のフッ素化合物は、フッ化カリウムと反応させることにより、塩素化合物または臭素化合物から調製できる。
【0070】
工程(i)を行うのに適した希釈剤は、かかるハロゲン化には通例のすべての有機溶媒である。脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素を用いることが好ましく、この例としては、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類などが挙げられる。
【0071】
しかしながら、ハロゲン化剤自体、またはハロゲン化剤と、記載した希釈剤のうちの1つとの混合物が、希釈剤としての役割を果たすことも可能である。
【0072】
工程(i)を行う場合、反応温度は、比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は20℃〜150℃、好ましくは40℃〜120℃の温度で行う。
【0073】
工程(i)を行う場合、いずれの場合にも、式(XV)のジヒドロキシピラゾロピリミジン1モルにつき、過剰のハロゲン化剤が用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0074】
式(XIII)は、工程(h)を行うための出発物質として必要な、ハロピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、RおよびRは、これらの基にとって好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。XおよびYはそれぞれ、好ましくはフッ素、塩素または臭素、特に好ましくはフッ素または塩素を表す。
【0075】
式(XII)は、工程(h)を行うための反応成分として必要な、アミン類の一般的な定義を提供する。この式において、RおよびRは、これらの基にとって好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。
【0076】
式(XIV)は、工程(h)の第2段階における反応成分として必要な、アルコール類またはメルカプタン類の一般的な定義を提供する。この式において、R11は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。また、Zは酸素または硫黄原子を表すのが好ましい。
【0077】
工程(h)の第1段階を行うのに適した希釈剤は、通例のすべての不活性な有機溶媒である。脂肪族、脂環式または芳香族の炭化水素を用いることが好ましく、この例としては、石油エーテル、ヘキサン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレンまたはデカリン;クロロベンゼン、ジクロロベンゼン、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素、ジクロロエタンまたはトリクロロエタンなどのハロゲン化炭化水素類;ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン、1,2−ジメトキシエタンまたは1,2−ジエトキシエタンなどのエーテル類;N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドまたはN−メチルピロリドンなどのアミド類;酢酸メチルまたは酢酸エチルなどのエステル類;ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類;スルホランなどのスルホン類などが挙げられる。
【0078】
工程(h)の第1段階を行うのに適した触媒は、かかる反応には通例のすべての反応促進剤である。好ましくは、フッ化カリウムまたはフッ化セシウムなどの、フッ素化アルカリ金属を用いる。
【0079】
工程(h)の第1段階を行うのに適した酸受容体は、かかる反応には通例のすべての酸結合剤である。アンモニアおよびまた第3アミンを用いることが好ましく、この例としては、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などが挙げられる。
【0080】
工程(h)の第1段階を行う場合、反応温度は、比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は0℃〜150℃の温度で、好ましくは0℃〜80℃の温度で行う。
【0081】
工程(h)の第1段階を行う場合、式(XIII)のハロピラゾロピリミジン1モルにつき、通常0.5〜10モル、好ましくは0.8〜2モルの、式(XII)のアミンが用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0082】
工程(h)の第2段階を行うのに適した塩基は、かかる反応には通例のすべての、無機酸および有機酸結合剤である。用いるのが好ましいものとして、アルカリ金属の水酸化物および炭酸塩、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウムまたは炭酸カリウムなど、さらにはアルカリ金属のアルコキシド、例えばナトリウムメトキシドまたはカリウムtert−ブトキシドなど、さらには第3アミン、例えばトリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、N,N−ジメチルベンジルアミン、ピリジン、N−メチルピペリジン、N−メチルモルホリン、N,N−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロオクタン(DABCO)、ジアザビシクロノネン(DBN)またはジアザビシクロウンデセン(DBU)などが挙げられる。
【0083】
工程(h)の第2段階を行うのに適した希釈剤は、かかる反応には通例のすべての不活性な有機溶媒である。反応成分として用いる、式(XIV)の、過剰のアルコールまたはメルカプタンが、同時に希釈剤としての役割を果たすことが好ましい。
【0084】
工程(h)の第2段階を行う場合、反応温度は、比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は0℃〜150℃、好ましくは20℃〜120℃の温度で行う。
【0085】
工程(h)の第2段階を行う場合、式(VIa)のシアノ化合物1モルにつき、好ましくは2〜3モル、またはより過剰の、式(XIV)のアルコールまたはメルカプタン、および2〜3当量の塩基が用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0086】
式(VII)は、工程(e、変形β)を行うための反応成分として必要な、グリニャール化合物の一般的な定義を提供する。この式において、R10は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、特に好ましくはメチル、エチル、n−プロピルまたはn−ブチルを表す。また、Xは塩素または臭素を表すのが好ましい。
【0087】
式(VII)のグリニャール化合物は、知られているか、または知られている方法で調製できる。
【0088】
工程(e、変形α)を行うのに適した希釈剤は、通例のすべての不活性な有機溶媒である。脂肪族または芳香族の炭化水素、場合によってはハロゲン化炭化水素を用いることが好ましく、例えばトルエン、ジクロロメタン、クロロホルム、または四塩化炭素などが挙げられる。
【0089】
工程(e、変形α)を行う場合、反応温度は、ある範囲内で変更することができる。通常、この工程は−80℃〜+20℃、好ましくは−60℃〜+10℃の温度で行う。
【0090】
工程(e、変形α)を行う場合、式(VI)のシアノ化合物1モルにつき、通常、等量または過剰、好ましくは1.1〜1.2モルの、水素化ジイソブチルアルミニウムが用いられ、次いで、過剰の塩化アンモニウム水溶液が加えられる。後処理は通例の方法で行う。通常、反応混合物を酸性にし、有機層を除去し、水相を水混和性でない有機溶媒で抽出し、合わせた有機相を洗浄し、乾燥させ、減圧下で濃縮させる。
【0091】
工程(e、変形β)を行うのに適した触媒は、かかるグリニャール反応には通例のすべての反応促進剤である。ヨウ化カリウムおよびヨウ素が例として記載できる。
【0092】
工程(e、変形β)を行うのに適した希釈剤は、かかる反応には通例のすべての不活性な有機溶媒である。用いるのが好ましいものとして、例えばジエチルエーテル、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類、さらにはトルエンなどの芳香族炭化水素類、およびまたトルエン/テトラヒドロフランなどの、エーテル類と芳香族炭化水素類との混合物が挙げられる。
【0093】
工程(e、変形β)を行う場合、反応温度は、ある範囲内で変更することができる。通常、この工程は−20℃〜+100℃、好ましくは0℃〜80℃の温度で行う。
【0094】
工程(e、変形β)を行う場合、式(VI)のシアノ化合物1モルにつき、通常2〜3モルの、式(VII)のグリニャール化合物が用いられる。この後、通例の方法に従って、水溶液で後処理を行う。
【0095】
式(VIII)は、工程(f)を行うための出発物質として必要な、ピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、R、R、R、RおよびRは、これらの基にとって好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。
【0096】
式(VIII)のピラゾロピリミジン類は、知られているか、または知られている方法で調製できる。
【0097】
式(IX)は、工程(f)を行うための反応成分として必要な、酸ハロゲン化物および酸無水物の一般的な定義を提供する。この式において、R10は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。また、Xは、好ましくは塩素または臭素を表し、およびまた式−O−CO−R10の基を表す。ここで、R10は、好ましくは1〜4個の炭素原子を有するアルキル、特に好ましくはメチルまたはエチルを表す。
【0098】
式(IX)のカルボン酸誘導体は知られている。
【0099】
工程(f)を行うのに適した触媒は、フリーデル−クラフツ反応に通常用いられるすべての反応促進剤である。好ましくは、三塩化アルミニウム、三臭化アルミニウムおよび塩化鉄(III)などのルイス酸を用いる。
【0100】
工程(f)を行うのに適した希釈剤は、かかるフリーデル−クラフツ反応には通例のすべての不活性な有機溶媒である。好ましくは、ジエチルエーテル、メチルtert−ブチルエーテル、ジオキサンおよびテトラヒドロフランなどのエーテル類、ならびに二硫化炭素を用いる。
【0101】
工程(f)を行う場合、反応温度は、ある範囲内で変更することができる。通常、この工程は−10℃〜+100℃、好ましくは0℃〜60℃の温度で行う。
【0102】
工程(f)を行う場合、式(VIII)のピラゾロピリミジン1モルにつき、通常1〜5モルの、式(IX)の酸ハロゲン化物、および1.1〜5モル、好ましくは1.1〜3モルの触媒が用いられる。酸無水物が反応成分として用いられる場合には、式(VII)のピラゾロピリミジン1モルにつき、通常1〜2モルの、式(IX)の酸無水物、および2.1〜6モル、好ましくは2.1〜4モルの触媒が用いられる。通常、該反応成分は、最初に低温で加え、初めの激しい反応がおさまると、その後この混合物を還流温度まで徐々に加熱する。後処理は通例の方法で行う。
【0103】
式(X)は、工程(g)を行うための出発物質として必要な、ヒドロキシピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、RおよびRは、これらの基にとって好ましいという理由で、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。
【0104】
式(X)のヒドロキシピラゾロピリミジン類は、工程(j)によって調製できるが、これは、用いる式(XVII)のアミノピラゾールが、CN基の代わりに水素原子を有する場合に可能である。
【0105】
工程(g)の第1段階は、ビルスマイヤーのホルミル化の条件下、オキシ塩化リンを用い、ジメチルホルムアミドの存在下で行われる。ここで、塩素化剤として五塩化リンを加えることも可能である。
【0106】
工程(g)の第1段階を行う場合、反応温度は、比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は−10℃〜+150℃、好ましくは0℃〜120℃の温度で行う。
【0107】
工程(g)の第1段階を行う場合、式(X)のヒドロキシピラゾロピリミジン1モルにつき、通常2〜5モルのジメチルホルムアミド、5〜15モルのオキシ塩化リン、および適切であれば0〜2モルの五塩化リンが用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0108】
工程(g)の第2段階を行うのに適したものは、式(XII)のアミン類、ならびに工程(h)の説明に関連してすでに記載した、触媒、酸結合剤および希釈剤である。反応温度および他の反応条件も同様に、工程(h)の場合において用いたものに一致する。
【0109】
式(III)は、本発明による工程(a)を行うための反応成分として必要な、トリフェニルホスホニウムブロミド類の一般的な定義を提供する。この式において、Phはフェニルを表す。Rは、好ましくは、水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルを表し、ここで、該アルキル基は、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニルまたはハロゲンで置換されていてもよい。特に好ましくは、Rは、水素、メチルまたはエチルを表し、ここで、メチル基およびエチル基は、カルボキシル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで置換されていてもよい。
【0110】
式(III)のトリフェニルホスホニウムブロミド類は、知られているか、または知られている方法で調製できる。
【0111】
本発明による工程(a)を行うのに適した塩基は、かかるウィッティヒ反応には通例のすべての脱プロトン化剤である。ブチルリチウムを用いることが好ましい。
【0112】
本発明による工程(a)を行うのに適した希釈剤は、かかるウィッティヒ反応には通例のすべての有機溶媒である。好ましくは、ジオキサンまたはテトラヒドロフランなどのエーテル類を用いる。
【0113】
本発明による工程(a)を行う場合、反応温度は、ある範囲内で変更することができる。通常、この工程は−78℃〜+30℃の温度で行う。
【0114】
本発明による工程(a)を行う場合、式(II)のピラゾロピリミジン1モルにつき、等量または過剰の、式(III)のトリフェニルホスホニウムブロミド、および等量または過剰の塩基が用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0115】
式(IV)は、本発明による工程(b)を行うための出発物質として必要な、ピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、R、R、R、RおよびRは、これらの基にとって好ましいとして、本発明による式(I)の化合物の説明に関連してすでに記載した意味を有するのが好ましい。Rは、好ましくは、水素、または1〜4個の炭素原子を有するアルキルを表し、ここで、該アルキル基はそれぞれ、カルボキシル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで一置換されていてもよい。特に好ましくは、Rは、水素、メチル、エチルまたはプロピルを表し、ここで、メチル基、エチル基およびプロピル基はそれぞれ、カルボニル、メトキシカルボニルまたはエトキシカルボニルで一置換されていてもよい。また、Xは塩素または臭素を表すのが好ましい。
【0116】
式(IV)のピラゾロピリミジン類は、以下の場合に得られる。
【0117】
k)式
【0118】
【化38】

のピラゾロピリミジン類を、
[式中、
、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。]
臭素または塩素と、ジクロロメタン、トリクロロメタンまたは四塩化炭素などの不活性な有機希釈剤存在下、−20℃〜+20℃の温度で反応させる。ここで、該反応成分は、ほぼ等量で用いられることが好ましい。後処理は通例の方法で行う。
【0119】
本発明による工程(b)を行うのに適した強塩基は、好ましくは、アルカリ金属のアルコキシドであり、ここで、ナトリウムメトキシドおよびカリウムtert−ブトキシドが例として記載できる。さらに適したものは、工程(h)の説明に関連してすでに記載したような第3アミンである。
【0120】
本発明による工程(b)を行うのに適した希釈剤は、かかる反応には通例のすべての不活性な有機溶媒である。好ましくは、メタノールまたはエタノールなどのアルコール類、およびまたアセトニトリルなどのニトリル類を用いる。
【0121】
本発明による工程(b)を行う場合、温度は、ある範囲内で変更することができる。通常、この工程は−10℃〜+80℃、好ましくは0℃〜60℃の温度で行う。
【0122】
本発明による工程(b)を行う場合、式(IV)のピラゾロピリミジン1モルにつき、通常、2〜3当量、またはより過剰の強塩基が用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0123】
式(IIa)は、本発明による工程(c)を行うための出発物質として必要な、ピラゾロピリミジン類の一般的な定義を提供する。この式において、R、R、R、R、RおよびRは、これらの基にとって好ましいという理由で、上記にすでに記載した意味を有するのが好ましい。
【0124】
式(IIa)のピラゾロピリミジン類は、すでに記載した工程(e)または(f)によって調製できる。
【0125】
本発明による工程(c)の第1段階を行う場合、温度は比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は−10℃〜+150℃、好ましくは0℃〜120℃の温度で行う。
【0126】
本発明による工程(c)の第1段階を行う場合、式(IIa)のピラゾロピリミジン1モルにつき、通常2〜5モルのジメチルホルムアミドおよび3〜5モルのオキシ塩化リンが用いられる。後処理は通例の方法で行う。
【0127】
本発明による工程(c)を、さらに実施するのに適した塩基および希釈剤は、この目的に適しているとして、工程(h)の説明に関連してすでに記載したすべての成分である。
【0128】
本発明による工程(c)を、さらに実施する場合、反応温度は、比較的広い範囲内で変更することができる。通常、この工程は0℃〜150℃、好ましくは20℃〜120℃の温度で行う。
【0129】
本発明による工程(c)の第2段階を行う場合、式(V)の化合物1モルにつき、通常等量または過剰の塩基が用いられる。後処理は、この場合も同様に通例の方法で行う。
【0130】
上記の工程は、通常大気圧下で行われる。しかしながら、高圧下で操作することも可能である。
【0131】
本発明による化合物は、優れた殺菌力を有し、真菌および細菌などの、所望されていない微生物を防除するために、作物保護および材料保護に用いることができる。
【0132】
殺真菌剤は、ネコブカビ類、卵菌類、ツボカビ類、接合菌類、子嚢菌類、担子菌類および不完全菌類を防除するために、作物保護に用いることができる。
【0133】
殺細菌剤は、シュードモナス科、リゾビウム科、腸内細菌科、コリネバクテリウム科およびストレプトミセス科を防除するために、作物保護に用いることができる。
【0134】
上記掲載の属名下に分類される、菌類病および細菌病の原因となる一部の病原体は、例として記載することができるが、これらに限るものではない。
【0135】
例えばイネ白葉枯病菌(Xanthomonas campestris pv.oryzae)などのキサントモナス属;
例えば斑点細菌病菌(Pseudomonas syringae pv.lachrymans)などのシュードモナス属;
例えば火傷病菌(Erwinia amylovora)などのエルウィニア属;
例えばピシウムウルチマム(Pythium ultimum)などのフハイカビ属;
例えばジャガイモ疫病菌(Phytophthora infestans)などのフィトフトラ属;
例えばシュードペロノスポラフムリ(Pseudoperonospora humuli)またはシュードペロノスポラキュベンシス(Pseudoperonospora cubensis)などのニセツユカビ属;
例えばブドウべと病菌(Plasmopara viticola)などのタンジクツユカビ属;
例えばレタスべと病菌(Bremia lactucae)などのブレミア(Bremia)属;
例えばペロノスポラピシ(Peronospora pisi)または十字科蔬菜露菌(Peronospora brassicae)などのツユカビ属;
例えばうどんこ病菌(Erysiphe graminis)などのエリシフェ属;
例えばキュウリうどんこ病菌(Sphaerotheca fuliginea)などのスフェロテカ(Sphaerotheca)属;
例えばリンゴうどんこ病菌(Podosphaera leucotricha)などのポドスフェラ(Podosphaera)属;
例えば黒星病菌(Venturia inaequalis)などのベンチュリア(Venturia)属;
例えば網斑病菌(Pyrenophora teres)または斑葉病菌(P.graminea)などのピレノフォラ(Pyrenophora)属
(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム);
例えばイネ科斑点病菌(Cochliobolus sativus)などのコクリオボラス(Cochliobolus)属
(分生子型:ドレクスレラ(Drechslera)、同義語:ヘルミントスポリウム);
例えばウロミケスアペンディクラツス(Uromyces appendiculatus)などのウロミケス(Uromyces)属;
例えばコムギ赤さび病菌(Puccinia recondita)などのさび菌(Puccinia)属;
菌核病菌(Sclerotinia sclerotiorum)などのスクレロチニア(Sclerotinia)属;
例えばコムギなまぐさ黒穂病(Tilletia caries)などのチレチア(Tilletia)属;
例えば裸黒穂病菌(Ustilago nuda)またはウスチラゴアベナエ(Ustilago avenae)などの黒穂菌属;
例えば葉腐病菌(Pellicularia sasakii)などのペリクラリア(Pellicularia)属;
例えばイネいもち病菌などのピリクラリア(Pyricularia)属;
例えば麦類赤カビ病菌(Fusarium culmorum)などのフザリウム属;
例えば灰色かび病菌(Botrytis cinerea)などのボトリチス属;
例えばセプトリアノドラム(Septoria nodorum)などのセプトリア(Septoria)属;
例えばレプトスファエリアノドラム(Leptosphaeria nodorum)などのレプトスファエリア属;
例えばセルコスポラカネセンス(Cercospora canescens)などのセルコスポラ属;
例えば黒斑病菌(Alternaria brassicae)などのアルテルナリア属;および
例えばコムギ眼紋病菌(Pseudocercosporella herpotrichoides)などのシュードセルコスポレラ(Pseudocercosporella)属。
【0136】
本発明による活性化合物はまた、植物において強力な活性化作用を示す。従って、これら化合物は、所望されていない微生物による攻撃に対する、植物の体内防御機能を結集するのに適している。
【0137】
本文脈において、植物活性化(抵抗性誘発)化合物とは、植物の防御系を刺激して、処理された植物が後に所望されていない微生物の接種を受けた場合、これらの微生物に対して実質的な抵抗性を示すようにすることができる物質を意味するものと理解されるべきである。
【0138】
この場合、所望されていない微生物とは、植物病原性の真菌、細菌およびウィルスを意味するものと理解されるべきである。従って、本発明による化合物を用いると、処置後のある一定期間内で、上記病原体による攻撃に対して植物を保護することができる。この保護が達成される期間は通常、植物を活性化合物で処理してから、1〜10日、好ましくは1〜7日である。
【0139】
活性化合物が、植物病害を防除するのに必要な濃度で、植物によって良好に耐容されるという事実により、植物の地上部分、成長茎および種子、ならびに土壌の処理が可能となる。
【0140】
本発明による活性化合物を用いると、例えば、エリシフェ(Erysiphe)類に対する穀物病害、ならびにブドウ栽培、果物および野菜の栽培における、例えばボトリチス類、ベンチュリア(Venturia)類、スフェロテカ(Sphaerotheca)類およびポドスフェラ(Podosphaera)類に対する病害を防除する上で、特に好結果を得ることが可能である。
【0141】
本発明による活性化合物は、作物の収獲量を増加させることにも適している。その上、これらは毒性が低く、植物によって良好に耐容される。
【0142】
適切であれば、本発明による活性化合物は、ある濃度および施用量で、植物成長を調節し、有害生物を防除するために、除草剤として用いることもできる。適切であれば、これらは、他の活性化合物の合成における中間体または前駆体として用いることもできる。
【0143】
本発明によれば、植物の全体および植物の部分を処理することが可能である。ここで、植物とは、すべての植物および植物群、例えば所望および非所望の、野生植物または作物植物(天然に存在する作物植物を含む)などを意味するものと理解されるべきである。作物植物とは、従来の育種および最適化手法により、またはバイオテクノロジー法および遺伝子工学的手法により、またはこれらの方法の組合せにより得ることが可能な植物であることができ、形質転換植物を含み、および植物育種家の証明書により保護できるかまたは保護できない植物栽培品種を含む。植物の部分とは、植物の、地上および地下のすべての部分ならびに器官、例えば若枝、葉、花および根を意味するものと理解されるべきであり、記載可能な例として、葉、針状葉、茎、幹、花、子実体、果実および種子、さらには根、塊茎および根茎が挙げられる。植物の部分には、収穫物、ならびに成長性および生殖性の繁殖物、例えば苗、塊茎、根茎、挿し穂および種子も含まれる。
【0144】
本発明による植物および植物の部分を活性化合物で処理する方法は、通例の処理方法に従って、直接行うか、または環境、棲息場所もしくは貯蔵区域に及ぼす作用によって行われる。かかる通例の処理方法には、例えば浸漬、噴霧、蒸発、霧化、散播、塗布による方法、および繁殖物、特に種子の場合には、さらに1層または多層コーティングによる方法が挙げられる。
【0145】
材料保護においては、本発明の化合物は、所望されていない微生物による感染および破壊から、工業材料を保護するのに用いることができる。
【0146】
本文脈における工業材料とは、工業用に製造された非生物材料を意味するものと理解される。例えば、本発明による活性化合物が、微生物による変化または破壊から保護すべき工業材料は、接着剤、のり剤、紙およびボール紙、テキスタイル、皮革、木材、塗料およびプラスチック品、冷却潤滑剤、ならびに微生物によって感染または破壊される可能性のある他の材料などがあり得る。製造プラントの一部、例えば冷却水回路など、微生物の増殖によって障害を受ける恐れのある部分も、保護すべき材料の範囲内にあると言える。本発明の範囲内にあると言える工業材料は、好ましくは、接着剤、のり剤、紙およびボール紙、皮革、木材、塗料、冷却潤滑剤および熱媒液であり、特に好ましくは木材である。
【0147】
記載することができる工業材料を、分解または変化させることが可能な微生物は、例えば、細菌、真菌、酵母、ソウ類および粘液微生物である。本発明による活性化合物は、真菌、特に糸状菌類、木材変色性真菌および木材破壊性真菌(担子菌類)に対して、ならびに粘液微生物およびソウ類に対して作用するのが好ましい。
【0148】
以下の属の微生物を、例として記載することができる。
【0149】
アルテルナリアテナース(Alternaria tenuis)などのアルテルナリア属、
黒色こうじ菌などのアスペルギルス属、
軟腐朽菌(Chaetomium globosum)などのケトミウム属(Chaetomium)、
褐色腐朽菌(Coniophora puetana)などのコニオフォラ属(Coniophora)、
レンチヌスチグリヌス(Lentinus tigrinus)などのレンチヌス属(Lentinus)、
青カビ(Penicillium glaucum)などのペニシリウム属、
木材腐朽菌(Polyporus versicolor)などのチョレイ、
黒酵母(Aureobasidium pullulans)などのオーレオバシジウム属(Aureobasidium)、
スクレロフォーマピティオフィラ(Sclerophoma pityophila)などのスクレロフォーマ属(Sclerophoma)、
トリコデルマビリデ(Trichoderma viride)などのトリコデルマ属、
大腸菌などのエシェリキア属、
緑膿菌などのシュードモナス属、および、
黄色ブドウ球菌などのブドウ球菌属。
【0150】
特定の物理的特性および/または化学的特性に応じて、該活性化合物は、通例の製剤に変換することが可能であり、この例として、液剤、乳剤、懸濁剤、散剤、泡剤、ペースト、粒剤、エアゾール剤、ならびにポリマー物質およびコーティング組成物における、種子用のマイクロカプセル、ならびにULV冷および温煙霧剤などが挙げられる。
【0151】
これらの製剤は、知られている方法で製造される。例えば活性化合物を増量剤、すなわち液体溶媒、加圧液化ガスおよび/または固体担体と混合し、場合によって、界面活性剤、すなわち乳化剤および/または分散剤および/または発泡剤を用いる方法などである。使用される増量剤が水である場合には、補助溶媒として例えば有機溶媒を用いることも可能である。原則的に、適当な液体溶媒としては、例えばキシレン、トルエンもしくはアルキルナフタレン類などの芳香族化合物;クロロベンゼン、クロロエチレンもしくは塩化メチレンなどの、塩素化芳香族化合物または塩素化脂肪族炭化水素;シクロヘキサンもしくはパラフィン類(例えば、石油留分)などの脂肪族炭化水素;ブタノールもしくはグリコールなどのアルコール類、ならびにこれらのエーテル類およびエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンもしくはシクロヘキサノンなどのケトン類;ジメチルホルムアミドもしくはジメチルスルホキシドなどの強極性溶媒、あるいは水がある。液化ガスの増量剤または担体とは、標準的な温度および大気圧下では気体である液体を意味するものと理解されるべきであり、これには例えばハロゲン化炭化水素またはブタン、プロパン、窒素および二酸化炭素などのエアゾール噴射剤などがある。適当な固体担体としては、例えばカオリン、クレー、タルク、チョーク、石英、アタパルガイト、モンモリロナイトまたは珪藻土などの粉砕天然無機物、および微粉砕シリカ、アルミナおよびケイ酸塩などの粉砕合成無機物がある。粒剤用の適当な固体担体としては、例えば方解石、軽石、大理石、海泡石およびドロマイトなどの破砕および分別天然岩石、または無機および有機粗粉の合成顆粒、ならびにおが屑、ココナッツ殻、トウモロコシ穂軸およびタバコ茎などの有機材料の顆粒がある。適当な乳化剤および/または発泡剤としては、例えばポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪族アルコールエーテル(例えば、アルキルアリールポリグリコールエーテル)、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アリールスルホン酸塩などの非イオン系および陰イオン系乳化剤、あるいはタンパク質加水分解物がある。適当な分散剤としては、例えばリグノ亜硫酸塩廃液およびメチルセルロースがある。
【0152】
粘着付与剤としては、例えばカルボキシメチルセルロース;アラビアゴム、ポリビニルアルコールおよびポリ酢酸ビニルなどの、粉末、顆粒もしくはラテックスの形態での、天然ならびに合成ポリマー;またはセファリンおよびレシチンなどの、天然リン脂質ならびに合成リン脂質などが製剤に使用され得る。この他に可能な添加剤は、鉱油および植物油である。
【0153】
使用可能な着色剤には、例えば酸化鉄、酸化チタンおよびプルシアンブルーなどの無機顔料;ならびにアリザリン染料、アゾ染料および金属フタロシアニン染料などの有機染料;ならびに鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデンおよび亜鉛の塩などの微量栄養素などがある。
【0154】
製剤は通常、0.1〜95重量%、好ましくは0.5〜90重量%の活性化合物を含む。
【0155】
本発明による活性化合物は、これ自体で、またはこの製剤の状態で用いることができるが、知られている殺真菌剤、殺細菌剤、殺ダニ剤、殺線虫剤または殺虫剤との混合物の状態でも用いることが可能であり、例えば活性スペクトルを広げたり、あるいは抵抗性の発達を阻止することができる。多くの場合、相乗効果が得られる。すなわち、混合物の活性は、個々の成分の活性に比べて高くなる。
【0156】
適当な混合成分は、例えば以下の化合物である。
【0157】
殺真菌剤:
2−フェニルフェノール;硫酸8−ヒドロキシキノリン;アシベンゾラル−S−メチル;アルジモルフ;アミドフルメト;アンプロピルホス;アンプロピルホス−カリウム;アンドプリム(andoprim);アニラジン;アザコナゾール;アゾキシストロビン;ベナラキシル;ベナラキシル−M;ベノダニル;ベノミル;ベンチアバリカルブ−イソプロピル;ベンザマクリル(benzamacril);ベンザマクリル−イソブチル;ビラナホス;ビナパクリル;ビフェニル;ビテルタノール;ブラストシジン−S;ボスカリド;ブロムコナゾール;ブピリメート;ブチオベート;ブチルアミン;カルシウムポリスルフィド;カプシマイシン(capsimycin);キャプタホル;キャプタン;カルベンダジム;カルボキシン;カルプロパミド;カルボン;キノメチオネート;クロベンチアゾン;クロルフェナゾール(chlorfenazole);クロロネブ;クロロタロニル;クロゾリネート;クロジラコン(clozylacon);シアゾファミド;シフルフェナミド;シモキサニル;シプロコナゾール;シプロジニル;シプロフラム;ダガー(Dagger)G;デバカルブ(debacarb);ジクロフルアニド;ジクロン;ジクロロフェン;ジクロシメット;ジクロメジン;ジクロラン;ジエトフェンカルブ;ジフェノコナゾール;ジフルメトリム;ジメチリモール;ジメトモルフ;ジモキシストロビン;ジニコナゾール;ジニコナゾール−M;ジノカップ;ジフェニルアミン;ジピリチオン;ジタリムホス(ditalimfos);ジチアノン;ドジン;ドラゾキソロン;エジフェンホス;エポキシコナゾール;エタボキサム;エチリモール;エトリジアゾール;ファモキサドン;フェナミドン;フェナパニル(fenapanil);フェナリモル;フェンブコナゾール;フェンフラム;フェンヘキサミド;フェニトロパン(fenitropan);フェノキサニル;フェンピクロニル;フェンプロピジン;フェンプロピモルフ;フェルバム;フルアジナム;フルベンジミン;フルジオキソニル;フルメトバー(flumetover);フルモルフ(flumorph);フルオロミド(fluoromide);フルオキサストロビン;フルキンコナゾール;フルルプリミドール;フルシラゾール;フルスルファミド;フルトラニル;フルトリアフォル;フォルペット;ホセチル−Al;ホセチル−ナトリウム;フベリダゾール;フララキシル;フラメトピル;フルカルバニル;フルメシクロックス;グアザチン;ヘキサクロロベンゼン;ヘキサコナゾール;ヒメキサゾール;イマザリル;イミベンコナゾール;三酢酸イミノクタジン(iminoctadine triacetate);イミノクタジントリス(アルベシレート);ヨードカルブ(iodocarb);イプコナゾール;イプロベンホス;イプロジオン;イプロバリカルブ;イルママイシン;イソプロチオラン;イソバレジオン(isovaledione);カスガマイシン;クレソキシム−メチル;マンコゼブ;マンネブ;メフェリムゾン;メパニピリム;メプロニル;メタラキシル;メタラキシル−M;メトコナゾール;メタスルホカルブ;メトフロキサム;メチラム;メトミノストロビン;メトスルフォバックス;ミルジオマイシン;ミクロブタニル;ミクロゾリン;ナタマイシン;ニコビフェン(nicobifen);ニトロタル−イソプロピル;ノビフルムロン;ヌアリモル;オフラース;オリサストロビン;オキサジキシル;オキソリン酸;オキシポコナゾール;オキシカルボキシン;オキシフェンチイン(oxyfenthiin);パクロブトラゾール;ペフラゾエート;ペンコナゾール;ペンシクロン;ホスジフェン(phosdiphen);フサライド;ピコキシストロビン;ピペラリン(piperalin);ポリオキシン;ポリオキソリム;プロベナゾール;プロクロラズ;プロシミドン;プロパモカルブ;プロパノシン(propanosine)−ナトリウム;プロピコナゾール;プロピネブ;プロキナジド(proquinazid);プロチオコナゾール(prothioconazole);ピラクロストロビン;ピラゾホス;ピリフェノックス;ピリメタニル;ピロキロン;ピロキシフル(pyroxyfur);ピロレニトリン(pyrrolenitrine);キンコナゾール;キノキシフェン;キントゼン;シメコナゾール;スピロキサミン;硫黄;テブコナゾール;テクロフタラム;テクナゼン;テトシクラシス;テトラコナゾール;サイアベンダゾール;チシオフェン(thicyofen);チフルザミド;チオファネート−メチル;チラム;チオキシミド(tioxymid);トルクロホス−メチル;トリルフルアニド;トリアジメホン;トリアジメノール;トリアズブチル(triazbutil);トリアゾキシド(triazoxide);トリシクラミド(tricyclamide);トリシクラゾール;トリデモルフ;トリフロキシストロビン;トリフルミゾール;トリホリン;トリチコナゾール;ウニコナゾール;バリダマイシンA;ビンクロゾリン;ジネブ;ジラム;ゾキサミド;(2S)−N−[2−[4−[[3−(4−クロロフェニル)−2−プロピニル]オキシ]−3−メトキシフェニル]エチル]−3−メチル−2−[(メチルスルホニル)アミノ]ブタンアミド;1−(1−ナフタレニル)−1H−ピロール−2,5−ジオン;2,3,5,6−テトラクロロ−4−(メチルスルホニル)ピリジン;2−アミノ−4−メチル−N−フェニル−5−チアゾールカルボキサミド;2−クロロ−N−(2,3−ジヒドロ−1,1,3−トリメチル−1H−インデン−4−イル)−3−ピリジンカルボキサミド;3,4,5−トリクロロ−2,6−ピリジンジカルボニトリル;アクチノベート(actinovate);シス−1−(4−クロロフェニル)−2−(1H−1,2,4−トリアゾール−1−イル)シクロヘプタノール;1−(2,3−ジヒドロ−2,2−ジメチル−1H−インデン−1−イル)−1H−イミダゾール−5−カルボン酸メチル;炭酸モノカリウム;N−(6−メトキシ−3−ピリジニル)−シクロプロパンカルボキサミド;N−ブチル−8−(1,1−ジメチルエチル)−1−オキサスピロ[4.5]デカン−3−アミン;テトラ炭酸ナトリウム;
ならびにボルドー液などの銅塩および銅製剤;水酸化銅;ナフテン酸銅;オキシ塩化銅;硫酸銅;クフラネブ;酸化銅;マンコッパー;オキシン銅。
【0158】
殺細菌剤:
ブロノポール、ジクロロフェン、ニトラピリン、ジメチルジチオカルバミン酸ニッケル、カスガマイシン、オクチリノン、フランカルボン酸、オキシテトラサイクリン、プロベナゾール、ストレプトマイシン、テクロフタラム、硫酸銅および他の銅製剤。
【0159】
殺虫剤/殺ダニ剤/殺線虫剤:
【0160】
1.アセチルコリンエステラーゼ(AChE)阻害剤
1.1 カルバメート系(例えば、アラニカルブ、アルジカルブ、アルドキシカルブ、アリキシカルブ、アミノカルブ、アザメチホス(azamethiphos)、ベンジオカルブ、ベンフラカルブ、ブフェンカルブ、ブタカルブ(butacarb)、ブトカルボキシム、ブトキシカルボキシム、カルバリル、カルボフラン、カルボスルファン、クロエトカルブ、クマホス、シアノフェンホス、シアノホス、ジメチラン、エチオフェンカルブ、フェノブカルブ、フェノチオカルブ、ホルメタネート、フラチオカルブ、イソプロカルブ、メタム−ナトリウム、メチオカルブ、メトミル、メトルカルブ、オキサミル、ピリミカルブ、プロメカルブ、プロポクスール、チオジカルブ、チオファノックス、トリアザメート、トリメタカルブ、XMC、キシリルカルブ)
1.2 有機リン系(例えば、アセフェート、アザメチホス、アジンホス(−メチル、−エチル)、ブロモホス−エチル、ブロムフェンビンホス(−メチル)、ブタチオホス(butathiofos)、カズサホス、カルボフェノチオン、クロルエトキシホス、クロルフェンビンホス、クロルメホス、クロルピリホス(−メチル/−エチル)、クマホス、シアノフェンホス、シアノホス、クロルフェンビンホス、デメトン−S−メチル、デメトン−S−メチルスルホン、ジアリホス、ジアジノン、ジクロフェンチオン、ジクロルボス/DDVP、ジクロトホス、ジメトエート、ジメチルビンホス、ジオキサベンゾホス、ジスルホトン、EPN、エチオン、エトプロホス、エトリムホス、ファムフール、フェナミホス、フェニトロチオン、フェンスルホチオン、フェンチオン、フルピラゾホス、ホノホス、ホルモチオン、ホスメチラン(fosmethilan)、ホスチアゼート、ヘプテノホス、ヨードフェンホス、イプロベンホス、イサゾホス、イソフェンホス、O−サリチル酸イソプロピル、イソキサチオン、マラチオン、メカルバム、メタクリホス、メタミドホス、メチダチオン、メビンホス、モノクロトホス、ナレド、オメトエート、オキシデメトン−メチル、パラチオン(−メチル/−エチル)、フェントエート、ホレート、ホサロン、ホスメット、ホスファミドン、ホスホカルブ(phosphocarb)、ホキシム、ピリミホス(−メチル/−エチル)、プロフェノホス、プロパホス、プロペタムホス、プロチオホス、プロトエート、ピラクロホス、ピリダフェンチオン、ピリダチオン(pyridathion)、キナルホス、セブホス(sebufos)、スルフォテプ、スルプロホス、テブピリムホス、テメホス、テルブホス、テトラクロルビンホス、チオメトン、トリアゾホス、トリクロルホン、バミドチオン)
【0161】
2.ナトリウムチャンネルモジュレータ/電圧依存性ナトリウムチャンネル遮断薬
2.1 ピレスロイド系(例えば、アクリナトリン、アレスリン(d−シス−トランス、d−トランス)、ベータ−シフルスリン、ビフェントリン、ビオアレスリン、ビオアレスリン−S−シクロペンチル−異性体、ビオエタノメトリン(bioethanomethrin)、ビオペルメトリン(biopermethrin)、ビオレスメトリン、クロバポルスリン(chlovaporthrin)、シス−シペルメトリン、シス−レスメトリン、シスペルメトリン、クロシトリン(clocythrin)、シクロプロトリン、シフルトリン、シハロトリン、シペルメトリン(アルファ−、ベータ−、シータ−、ゼータ−)、シフェノトリン、DDT、デルタメトリン、エンペントリン(1R−異性体)、エスフェンバレレート、エトフェンプロックス、フェンフルスリン、フェンプロパトリン、フェンピリトリン(fenpyrithrin)、フェンバレレート、フルブロシトリネート(flubrocythrinate)、フルシトリネート、フルフェンプロックス、フルメトリン、フルバリネート、フブフェンプロックス(fubfenprox)、ガンマシハロトリン、イミプロトリン、カデトリン(kadethrin)、ラムダ−シハロトリン、メトフルトリン、ペルメトリン(シス−、トランス−)、フェノトリン(1R−トランス異性体)、プラレトリン、プロフルトリン、プロトリフェンブート(protrifenbute)、ピレスメトリン(pyresmethrin)、レスメトリン、RU15525、シラフルオフェン、タウ−フルバリネート、テフルトリン、テラレトリン、テトラメトリン(1R−異性体)、トラロメトリン、トランスフルトリン、ZXI8901、ピレトリン(除虫菊))
2.2 オキサジアジン系(例えば、インドキサカルブ)
【0162】
3.アセチルコリン受容体アゴニスト/アンタゴニスト
3.1 クロロニコチニル系/ネオニコチノイド系(例えば、アセトアミプリド、クロチアニジン、ジノテフラン、イミダクロプリド、ニテンピラム、ニチアジン、チアクロプリド、チアメトキサム)
3.2 ニコチン、ベンスルタップ、カルタップ
【0163】
4.アセチルコリン受容体モジュレータ
4.1 スピノシン系(例えば、スピノサド)
【0164】
5.GABA依存性クロライドチャネルアンタゴニスト
5.1 シクロジエン有機塩素系(例えば、カンフェクロル、クロルデン、エンドスルファン、ガンマ−HCH、HCH、ヘプタクロル、リンデン、メトキシクロル)
5.2 フィプロール系(例えば、アセトプロール、エチプロール、フィプロニル、バニリプロール(vaniliprole))
【0165】
6.クロライドチャネルアクチベータ
6.1 メクチン系(例えば、アバメクチン、アベルメクチン、エマメクチン、エマメクチン−安息香酸塩、イベルメクチン、ミルベメクチン、ミルベマイシン)
【0166】
7.幼若ホルモン模倣体
(例えば、ジオフェノラン、エポフェノナン(epofenonane)、フェノキシカルブ、ヒドロプレン、キノプレン、メトプレン、ピリプロキシフェン、トリプレン(triprene)
【0167】
8.エクジソンアゴニスト/かく乱物質
8.1 ジアシルヒドラジン系(例えば、クロマフェノジド、ハロフェノジド(halofenozide)、メトキシフェノジド、テブフェノジド)
【0168】
9.キチン生合成阻害剤
9.1 ベンゾイル尿素系(例えば、ビストリフルロン、クロフルアズロン、ジフルベンズロン、フルアズロン、フルシクロクスロン、フルフェノクスロン、ヘキサフルムロン、ルフェヌロン、ノバルロン、ノビフルムロン、ペンフルロン(penfluron)、テフルベンズロン、トリフルムロン)
9.2 ブプロフェジン
9.3 シロマジン
【0169】
10.酸化的リン酸化反応阻害剤(ATPディスラプター)
10.1 ジアフェンチウロン
10.2 有機スズ系(例えば、アゾシクロチン、シヘキサチン、フェンブタチン−オキサイド)
【0170】
11.H−プロトン勾配の遮断による酸化的リン酸化反応のデカプラー
11.1 ピロール系(例えば、クロルフェナピル)
11.2 ジニトロフェノール系(例えば、ビナパクリル、ジノブトン、ジノカップ、DNOC)
【0171】
12.サイトI電子伝達阻害剤
12.1 METI系(例えば、フェナザキン、フェンピロキシメート、ピリミジフェン、ピリダベン、テブフェンピラド、トルフェンピラド)
12.2 ヒドラメチルノン
12.3 ジコホール
【0172】
13.サイトII電子伝達阻害剤
13.1 ロテノン
【0173】
14.サイトIII電子伝達阻害剤
14.1 アセキノシル、フルアクリピリム
【0174】
15.昆虫腸粘膜の微生物ディスラプター
バチルスチューリンゲンシス菌株
【0175】
16.脂質合成阻害剤
16.1 テトロン酸系(例えば、スピロジクロフェン、スピロメシフェン)
16.2 テトラミン酸系[例えば、3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デク−3−エン−4−イルエチルカーボネート(別名:炭酸3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デク−3−エン−4−イルエチルエステル、CAS登録番号:382608−10−8)および炭酸シス−3−(2,5−ジメチルフェニル)−8−メトキシ−2−オキソ−1−アザスピロ[4.5]デク−3−エン−4−イルエチルエステル(CAS登録番号:203313−25−1)]
【0176】
17.カルボキサミド系
(例えば、フロニカミド)
【0177】
18.オクトパミン作動性アゴニスト
(例えば、アミトラズ)
【0178】
19.マグネシウムで活性化されたATPアーゼの阻害剤
(例えば、プロパルガイト(propargite))
【0179】
20.フタルアミド
(例えば、N−[1,1−ジメチル−2−(メチルスルホニル)エチル]−3−ヨード−N−[2−メチル−4−[1,2,2,2−テトラフルオロ−l−(トリフルオロメチル)エチル]フェニル]−1,2−ベンゼンジカルボキサミド(CAS登録番号:272451−65−7)、フルベンジアミド)
【0180】
21.ネライストキシン類似体
(例えば、チオシクラムシュウ酸塩、チオスルタップ(thiosultap)−ナトリウム)
【0181】
22.生物学的製剤、ホルモンまたはフェロモン類
(例えば、アザジラクチン、バチルス属、白彊蚕病菌属(Beauvaria)、コドレモン(codlemone)、メタールリジウム属(Metarrhizium)、ペシロミセス属、チューリンゲンシン、バーティシリウム属)
【0182】
23.作用機序が不明または不特定の活性化合物
23.1 燻蒸剤(例えば、リン化アルミニウム、臭化メチル、フッ化スルフリル)
23.2 選択的摂食阻害物質(例えば、氷晶石、フロニカミド、ピメトロジン)
23.3 ダニ成長阻害剤(例えば、クロフェンテジン、エトキサゾール、ヘキシチアゾクス)
23.4 アミドフルメト、ベンクロチアズ(benclothiaz)、ベンゾキシメート、ビフェナゼート、ブロモプロピレート、ブプロフェジン、キノメチオネート、クロルジメホルム、クロロベンジレート、クロロピクリン、クロチアゾベン(clothiazoben)、シクロプレン(cycloprene)、シフルメトフェン、ジシクラニル、フェノキサクリム(fenoxacrim)、フェントリファニル(fentrifanil)、フルベンジミン、フルフェネリム、フルテンジン(flutenzin)、ゴシプルア(gossyplure)、ヒドラメチルノン、ジャポニルア(japonilure)、メトキサジアゾン、石油、ピペロニルブトキシド、オレイン酸カリウム、ピラフルプロル(pyrafluprole)、ピリダリル、ピリプロル(pyriprole)、スルフルラミド、テトラジホン、テトラサル、トリアラテン(triarathene)、ベルブチン(verbutin)、
さらに、化合物3−メチルフェニルプロピルカルバメート(ツマサイドZ)、化合物3−(5−クロロ−3−ピリジニル)−8−(2,2,2−トリフルオロエチル)−8−アザビシクロ[3.2.1]オクタン−3−カルボニトリル(CAS登録番号185982−80−3)および相当する3−エンド−異性体(CAS登録番号185984−60−5)(WO96/37494、WO98/25923参照)、ならびに殺虫活性の植物抽出物、線虫、真菌またはウィルスを含む製剤。
【0183】
除草剤などの知られている他の活性化合物との混合物、あるいは肥料および成長調節剤、毒性緩和剤および/または情報物質との混合物も可能である。
【0184】
さらに、本発明による式(I)の化合物は、非常に良好な抗真菌活性をも有する。これらの化合物は、特に皮膚糸状菌および酵母、カビおよび二相性真菌に対して(例えば、カンジダアルビカンス、カンジダグラブラタなどのカンジダ菌類に対して)、ならびに有毛表皮糸状菌、黒色こうじ菌およびアスペルギルス フミガーツスなどのアスペルギルス類、毛瘡白癬菌などの白癬菌類、イヌ小胞子菌およびオーズアン小胞子菌などの小胞子菌類に対して、非常に広い抗真菌活性スペクトルを有する。これらの真菌のリストは、真菌スペクトルが及び得る範囲を限るものではなく、ただ説明のためだけにすぎない。
【0185】
該活性化合物は、これ自体で、またはこの製剤の形態で、またはこの化合物から製造される使用形態、例えば、即時使用型の液剤、懸濁液、水和剤、ペースト、可溶性散剤、粉剤および粒剤などの形態で用いることができる。施用は通例の方法、例えば潅水、噴霧、霧化、全面散布、散粉、発泡、散布などによって行う。さらに、活性化合物を超微量方式によって施用すること、または活性化合物製剤もしくは活性化合物自体を土壌に注入することも可能である。植物の種子を処理することも可能である。
【0186】
本発明による活性化合物を殺真菌剤として用いる場合、施用量は施用の種類に応じて、比較的広い範囲内で変更することができる。植物の部分の処理については、活性化合物の施用量は、通常0.1〜10000g/ha、好ましくは10〜1000g/haである。種子粉衣については、活性化合物の施用量は、通常0.001〜50g/種子kg、好ましくは0.01〜10g/種子kgである。土壌処理については、活性化合物の施用量は、通常0.1〜10000g/ha、好ましくは1〜5000g/haである。
【0187】
上記のように、本発明に従って、植物の全体および植物の部分を処理することができる。好ましい実施形態では、野生植物種および植物栽培品種、または異種交配もしくは原形質融合などの従来の生物育種によって得られるもの、およびこの部分が処理される。さらに好ましい実施形態では、遺伝子操作によって、適切であれば、従来法と組み合わせて得られる、形質転換植物および植物栽培品種(遺伝子組み換え生物)およびこの部分が処理される。「部分」または「植物の部分」または「植物部分」という用語は、上記で説明されている。
【0188】
特に好ましくは、植物栽培品種の植物は、市販されていても、使用されていても、いずれの場合にも本発明に従って処理される。植物栽培品種とは、新たな性質(「形質」)を有し、および従来の育種により、または突然変異誘発により、または組換えDNA法によって得られた植物を意味するものと理解されるべきである。これらは、栽培品種、変種、生物型または遺伝子型であることができる。
【0189】
植物種または植物栽培品種、これらの場所および栽培条件(土壌、気候、生育期、養分)次第では、本発明による処理が、超相加的(「相乗的」)効果をもたらす可能性もある。従って、例えば、施用量の低減および/または活性スペクトルの拡大および/または本発明に従って使用され得る物質および組成物の活性上昇、より良好な植物の成長、高温または低温に対する耐性の向上、干ばつまたは水中もしくは土壌中の塩分含有量に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易さ向上、成熟の促進、収穫高の増加、収穫物のより良好な品質および/または栄養価の向上、収穫物の貯蔵安定性および/または加工可能性の向上が見込まれ、これは、実際に予想された効果を超えるものである。
【0190】
本発明に従って処理されるのが好ましい、形質転換植物または植物栽培品種(すなわち、遺伝子操作によって得られるもの)は、植物に対して特に有利で有用な性質(「形質」)を付与した遺伝物質を、遺伝子組み換えにおいて得たすべての植物を含む。かかる性質の例には、より良好な植物の成長、高温または低温に対する耐性の向上、干ばつまたは水中もしくは土壌中の塩分含有量に対する耐性の向上、開花能力の向上、収穫の容易さ向上、成熟の促進、収穫高の増加、収穫物のより良好な品質および/または栄養価の向上、収穫物の貯蔵安定性および/または加工可能性の向上などがある。かかる性質の、さらにおよび特に強調される例は、動物および有害微生物、例えば昆虫、ダニ、植物病原性真菌、細菌および/またはウィルスなどに対する植物の防御向上、ならびにある種の除草活性化合物に対する植物の耐性向上である。記載可能な形質転換植物の例としては、穀類(小麦、米)、トウモロコシ、大豆、ジャガイモ、綿花、タバコ、アブラナならびに果物植物(果実を有するものであり、リンゴ、梨、柑橘類およびブドウ)などの重要な作物植物が挙げられ、特に強調すべきはトウモロコシ、大豆、ジャガイモ、綿花、タバコおよびアブラナである。特に強調すべき形質は、昆虫、クモ形類、線虫、ならびにナメクジおよび巻貝に対する、植物に形成される毒物による植物の防御向上である。具体的には、植物に形成される毒物は、バチルス チューリンゲンシスからの遺伝物質(例えば、遺伝子CryIA(a)、CryIA(b)、CryIA(c)、CryIIA、CryIIIA、CryIIIB2、Cry9c、Cry2Ab、Cry3BbおよびCryIFならびにこれらの組合せ)による(以下、「Bt植物」と称する)。また特に強調すべき形質は、真菌、細菌およびウィルスに対する植物の防御向上であり、これは、全身獲得抵抗性(SAR)、システミン、フィトアレキシン、エリシターおよび抵抗性遺伝子、ならびにこれらに付随して発現されるタンパク質および毒物による。さらに特に強調すべき形質は、ある種の除草活性化合物、例えばイミダゾリノン類、スルホニル尿素類、グリホセートまたはホスフィノトリシンなどに対する植物の耐性向上がある(例えば「PAT」遺伝子)。問題となっている、所望の形質を付与する遺伝子は、形質転換植物内で、互いに組み合わせて存在させることもできる。記載可能な「Bt植物」の例としては、トウモロコシ変種、綿花変種、大豆変種およびジャガイモ変種があり、これらは、イールドガード(YIELD GARD(登録商標))(例えば、トウモロコシ、綿花、大豆)、ノックアウト(KnockOut(登録商標))(例えば、トウモロコシ)、スターリンク(StarLink(登録商標))(例えば、トウモロコシ)、ボルガード(Bollgard(登録商標))(綿花)、ヌコトン(Nucoton(登録商標))(綿花)、およびニューリーフ(NewLeaf(登録商標))(ジャガイモ)という商品名で販売されている。記載可能な除草剤耐性植物の例としては、トウモロコシ変種、綿花変種および大豆変種があり、ラウンドアップレディー(Roundup Ready(登録商標))(グリホセートに対する耐性;例えば、トウモロコシ、綿花、大豆)、リバティリンク(Liberty Link(登録商標))(ホスフィノトリシンに対する耐性;例えば、アブラナ)、IMI(登録商標)(イミダゾリノン類に対する耐性)およびSTS(登録商標)(スルホニル尿素類に対する耐性;例えば、トウモロコシ)という商品名で販売されている。記載可能な除草剤抵抗性植物(除草剤耐性用に従来の方法で育種された植物)には、クリアフィールド(Clearfield(登録商標))(例えば、トウモロコシ)という名称で販売されている変種なども含まれる。当然のことながら、これらの記載は、上記遺伝形質または今もなお開発される遺伝形質を有する植物栽培品種、および今後開発および/または上市される植物栽培品種にも適用される。
【0191】
掲載した植物は、本発明による、一般式(I)の化合物または活性化合物の混合物を用いて、特に有利な方法で、本発明に従って処理することができる。活性化合物または混合物について前述した好ましい範囲は、これらの植物の処理にも適用される。特に強調すべきは、本明細書で具体的に記載している化合物または混合物で、植物を処理することである。
【0192】
本発明による式(I)の化合物は、さらに人間および哺乳動物における腫瘍細胞の増殖を抑制するのに適している。このことは、本発明による化合物と、チューブリンおよび微小管との相互作用に基づき、微小管重合を促進することによる。
【0193】
この目的のために、1つもしくは複数の式(I)の化合物、またはこの医薬として許容できる塩の、効果的な量を投与することが可能である。
【実施例】
【0194】
本発明による活性化合物の調製および使用については、下記の実施例で説明する。
【0195】
調製実施例
(実施例1)
【0196】
【化39】

【0197】
工程(a)
−70℃で、n−ブチルリチウム(ヘキサン中2.5M溶液として)0.173g(2.701mmol)を、トリフェニルメチルホスホニウムブロミド0.965g(2.701mmol)のテトラヒドロフラン58ml溶液に、攪拌しながら加える。混合物を−70℃で15分間攪拌し、次いで同温度で、3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジン1.0g(2.455mmol)を、攪拌しながら加える。反応混合物を、続いて室温で16時間攪拌し、次いで減圧下で濃縮する。残渣を水および酢酸エチルと共に粉砕する。生じた混合物を酢酸エチルで3回抽出し、有機層を合わせ、硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮する。残渣を、シクロヘキサン4および酢酸エチル1の割合の混合液を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにかける。これにより、3−ビニル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジン0.24g(理論量の19%)を得る。
【0198】
HPLC:logP=6.07
【0199】
(実施例9)
【0200】
【化40】

【0201】
工程(a)
最初に、ブロモメチルトリフェニルホスホニウムブロミド4.283g(9.821mmol)をジオキサン100ml中に加えておき、カリウムtert−ブトキシド1.102g(9.821mmol)を0〜10℃で加える。混合物をさらに15分間攪拌し、次いで、3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジン2.000g(4.911mmol)を加え、この混合物を室温で一晩攪拌する。混合物を濃縮し、水および酢酸エチルと共に粉砕して抽出し、有機層を乾燥させる。残渣を、シクロヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにかける。
【0202】
HPLC:logP=5.31
【0203】
(実施例10)
【0204】
【化41】

【0205】
工程(d)
最初に、3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジン1.000g(2.455mmol)を、0℃でテトラヒドロフラン50ml中に加えておき、これに、2−メチルプロピルマグネシウムブロミド0.436g(2.701mmol)を少しずつ加え、この混合物を室温で一晩攪拌する。混合物を濃縮し、水/塩化メチレンと共に粉砕し、塩酸を加えて混合物を抽出し、有機層を乾燥させる。濃縮後、残渣を、シクロヘキサン/酢酸エチル(4:1)を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにかける。
【0206】
HPLC:logP=7.21
【0207】
(実施例29)
【0208】
【化42】

【0209】
工程(c)
最初に0℃で、3−メチルカルボニル−5−クロロ−6−(2−クロロフェニル)−7−(3,3−ジメチルブト−2−イルアミノ)ピラゾロ[1,5a]ピリミジン0.400g(0.987mmol)を、ジメチルホルムアミド51.5g中に加える。塩化ホスホリル0.378g(2.467mol)を滴下し、この混合物を室温に暖め、さらに12時間攪拌する。混合物を濃縮し、ジオキサン、次いで10%強度NaOHを加え、この混合物を室温で24時間攪拌する。混合物を濃縮し、残渣を水/酢酸エチルに溶かして抽出し、有機層を乾燥させ濃縮する。酢酸エチルと共に粉砕し、白土で乾燥させて生成物を淡黄色固体として得る。
【0210】
HPLC:logP=5.98
【0211】
以下の表に掲載した化合物は、上記の方法で同様に調製される。
【0212】
【表1】



【0213】
【表2】


【0214】
【表3】


【0215】
【表4】


【0216】
【表5】


【0217】
【表6】


【0218】
【表7】


【0219】
【表8】


【0220】
【表9】


【0221】
【表10】


【0222】
【表11】


【0223】
【表12】


logP値は、EEC通達79/831付録V.A8に準拠して、HPLC(グラジエント法、アセトニトリル/0.1%リン酸水溶液)により測定した。
【0224】
出発物質の調製
(実施例140)
【0225】
【化43】

【0226】
工程(h)
室温で、3−シアノ−5,7−ジクロロ−8−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン5mmolのアセトニトリル10ml溶液を、4−メチルピペリジン5mmolおよび炭酸カリウム5mmolを無水アセトニトリル40mlに溶かした混合物に、攪拌しながら滴下する。滴下終了後、反応混合物を室温でさらに15時間攪拌し、次いで水中に注ぎ込む。形成された混合物を、酢酸エチル各30mlで3回抽出する。合わせた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、次いで減圧下で濃縮する。これにより、3−シアノ−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン1.73gを得る。
【0227】
logP(2.3)=4.88
【0228】
(実施例141)
【0229】
【化44】

上に示した式の化合物は、実施例140に記載の方法に従って調製される。
【0230】
HPLC:logP=3.33
【0231】
(実施例142)
【0232】
【化45】

【0233】
工程(e)
アルゴン雰囲気下、3−シアノ−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン11mmolを、ジクロロメタン150mlに溶かし、これに水素化ジイソブチルアルミニウム(トルエン中1M溶液として)12mmolを、−50℃で攪拌しながら加える。反応混合物を−50℃でさらに30分間攪拌し、次いで0℃に暖め、飽和塩化アンモニウム水溶液を加え、この混合物を0℃でさらに2時間攪拌する。次いで1N塩酸を加え、有機層を除去する。水層をジクロロメタンで3回以上抽出する。合わせた有機層を、炭酸水素ナトリウム水溶液および塩化ナトリウム水溶液で順次洗浄し、次いで硫酸ナトリウムで乾燥させ、続いて減圧下で濃縮する。残渣を、シクロヘキサン:酢酸エチル=9:1を用いてシリカゲルクロマトグラフィーにかける。これにより、3−ホルミル−5−クロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−7−(4−メチルピペリジノ)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン1.73gを得る。
【0234】
logP(2.3)−4.53
【0235】
(実施例143)
【0236】
【化46】

上に示した式の化合物は、実施例142に記載の方法に従って調製される。
【0237】
HPLC:logP=2.94
【0238】
(実施例144)
【0239】
【化47】

【0240】
工程(j)
2−クロロ−4−フルオロフェニルマロン酸ジメチル48g(0.184mol)を、4−シアノ−5−アミノピラゾール19.91g(0.184mol)およびトリ−n−ブチルアミン37.55g(0.203mol)と混合し、この混合物を180℃で6時間攪拌する。反応中に形成されるメタノールは留去する。次いで、反応混合物を室温に冷却する。95℃および1mbarで、揮発性成分を留去する。得られた残渣は、粗生成物の形態の6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5,7−ジヒドロキシピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリルであり、これをさらに精製することなく次の反応に用いる。
【0241】
(実施例145)
【0242】
【化48】

【0243】
工程(i)
実施例10に従って得られる粗6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)−5,7−ジヒドロキシピラゾロ[1,5−a]ピリミジン−3−カルボニトリルを、オキシ塩化リン367.3g(2.395mol)に溶かす。室温で、五塩化リン31.95g(0.153mol)を少しずつ加える。次いで、この混合物を還流下で12時間煮沸させる。揮発性成分を減圧下で留去し、ジクロロメタンを残渣に加え、混合物を水で洗浄する。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、減圧下で濃縮する。移動相としてシクロヘキサン3および酢酸エチル1の割合の混合液を用い、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにかける。これにより、3−シアノ−5,7−ジクロロ−6−(2−クロロ−4−フルオロフェニル)ピラゾロ[1,5−a]ピリミジン21g、純度95.7%を得る。
【0244】
HPLC:log=3.48
H−NMR(DMSO−d6、テトラメチルシラン):δ=7.44−7.52(1H);7.62−7.66(1H);7.71−7.77(1H);9.03(1H)ppm。
【0245】
使用実施例
【0246】
(実施例A)
ベンチュリア(Venturia)試験(リンゴ)/保護
【0247】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.0重量部
活性化合物の適当な製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃縮物を水で希釈して所望の濃度とする。
【0248】
保護活性を調べるため、若い植物に活性化合物製剤を指定の施用量で噴霧する。噴霧コーティングが乾燥した後、植物にリンゴ黒星病菌ベンチュリアイナクアリス(Venturia inaequalis)の分生子水性懸濁液を接種し、次いで、約20℃および相対湿度100%の恒温器中に1日放置する。
【0249】
次いで、この植物を約21℃および相対湿度約90%の温室に置く。
【0250】
評価は接種から10日後に実施する。0%は対照に相当する効力を意味するのに対し、効力100%は感染が認められないことを意味する。
【0251】
この試験において、実施例1、2、3、4、6および7に掲載した、本発明による化合物は、100g/haの施用量で、80%を超える効力を示した。
【0252】
(実施例B)
ボトリチス試験(豆)/保護
【0253】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.0重量部
活性化合物の適当な製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃縮物を水で希釈して所望の濃度とする。
【0254】
保護活性を調べるため、若い植物に活性化合物製剤を指定の施用量で噴霧する。噴霧コーティングが乾燥した後、灰色かび病菌ボトリチスシネレア(Botrytis cinerea)がコロニー化した寒天の小片2つを各葉の上に置く。接種した植物を約20℃および相対湿度100%の暗室中に置く。
【0255】
接種から2日後に、葉上の感染域の大きさを評価する。0%は対照に相当する効力を意味するのに対し、効力100%は感染が認められないことを意味する。
【0256】
この試験において、実施例1、2、3、4、6および7に掲載した、本発明による化合物は、100g/haの施用量で、少なくとも90%の効力を示した。
【0257】
(実施例C)
アルテルナリア試験(トマト)/保護
【0258】
溶媒: N,N−ジメチルホルムアミド49重量部
乳化剤:アルキルアリールグリコールエーテル1重量部
活性化合物の適当な製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃縮物を水で希釈して所望の濃度とする。
【0259】
保護活性を調べるため、若いトマト植物に活性化合物製剤を指定の施用量で噴霧する。処理から1日後、この植物にトマト輪紋病菌アルテルナリアソラニ(Alternaria solani)の胞子懸濁液を接種し、次いで相対湿度100%および20℃で24時間維持する。次いで、この植物を相対湿度96%および温度20℃に維持する。
【0260】
評価は接種から7日後に実施する。0%は対照に相当する効力を意味するのに対し、効力100%は感染が認められないことを意味する。
【0261】
この試験において、実施例1、6および7に掲載した、本発明による化合物は、750g/haの施用量で、少なくとも90%の効力を示した。
【0262】
(実施例D)
ポドスフェラ(Podosphaera)試験(リンゴ)/保護
【0263】
溶媒: アセトン24.5重量部
ジメチルアセトアミド24.5重量部
乳化剤:アルキルアリールポリグリコールエーテル1.0重量部
活性化合物の適当な製剤を製造するため、活性化合物1重量部を指定量の溶媒および乳化剤と混合し、この濃縮物を水で希釈して所望の濃度とする。
【0264】
保護活性を調べるため、若い植物に活性化合物製剤を指定の施用量で噴霧する。噴霧コーティングが乾燥した後、植物にリンゴうどんこ病菌ポドスフェラロイコトリカ(Podosphaera leucotricha)の胞子水性懸濁液を接種する。次いで、この植物を約23℃および相対湿度約70%の温室に置く。
【0265】
評価は接種から10日後に実施する。0%は対照に相当する効力を意味するのに対し、効力100%は感染が認められないことを意味する。
【0266】
この試験において、実施例1、2、3、4、6および7に掲載した、本発明による化合物は、1000g/haの施用量で、少なくとも80%の効力を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次式のピラゾロピリミジン
【化1】

[式中、
は、場合によって置換されたアルキル、場合によって置換されたアルケニル、場合によって置換されたアルキニル、場合によって置換されたシクロアルキル、または場合によって置換されたヘテロシクリルを表し、
は、水素またはアルキルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によって置換された複素環を表し、
は、水素またはアルキルを表し、
は、場合によって置換されたアルケニル、または場合によって置換されたアルキニルを表し、
は、ハロゲン、CN、アルキル、アルコキシまたはアルキルチオを表し、および
は、アルキル、シクロアルキル、または場合によって置換されたアリールを表す。]。
【請求項2】
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から五置換されていてもよい1から6個の炭素原子を有するアルキルを表し、または
は、ハロゲン、シアノ、ヒドロキシル、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい2から6個の炭素原子を有するアルケニルを表し、または
は、ハロゲン、シアノ、1から4個の炭素原子を有するアルコキシおよび3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい3から6個の炭素原子を有するアルキニルを表し、または
は、ハロゲン、および1から4個の炭素原子を有するアルキルからなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表し、または
は、5もしくは6個の環員、および窒素、酸素、および/または硫黄などの、1から3個のヘテロ原子を有する、飽和もしくは不飽和のヘテロシクリルを表し、(ここで、このヘテロシクリルは、ハロゲン、および1から4個の炭素原子を有するアルキル、シアノ、ニトロおよび/または3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルで一置換または二置換されていてもよい)
は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、3から6個の環員を有し、飽和もしくは不飽和の複素環を表し、(ここで、このヘテロシクリルは、さらに窒素、酸素もしくは硫黄原子を環構成員として含んでもよく、およびこのヘテロシクリルは、フッ素、塩素、臭素、1から4個の炭素原子を有するアルキル、および/または1から4個の炭素原子および1から9個のフッ素原子および/または塩素原子を有するハロアルキルで3回まで置換されていてもよい)
は、水素、または1から4個の炭素原子を有するアルキルを表し、
は、2から6個の炭素原子を有するアルケニル、または2から6個の炭素原子を有するアルキニルを表し、または
は、カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニル、ホルミルもしくはハロゲンで置換されている2から4個の炭素原子を有するアルケニルを表し、または
カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニル、ホルミルもしくはハロゲンで置換されている2から4個の炭素原子を有するアルキニルを表し、
は、フッ素、塩素、臭素、CN、1から4個の炭素原子を有するアルコキシ、もしくは1から4個の炭素原子を有するアルキルチオを表し、および
は、1から6個の炭素原子を有するアルキルを表し、または3から6個の炭素原子を有するシクロアルキルを表し、または
同一もしくは異なる置換基で一置換から四置換されていてもよいフェニルを表す、
請求項1に記載の式(I)のピラゾロピリミジン。
【請求項3】
は、式
【化2】

の基を表し、
(ここで、#は結合位置を意味し、光学活性の形態で存在し得るこれらの基については、各々可能な立体異性体もしくはこの混合物が存在してもよい)
は、水素、メチル、エチルもしくはプロピルを表し、または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、ピロリジニル、ピペリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、ピペラジニル、3,6−ジヒドロ−1(2H)−ピペリジニル、もしくはテトラヒドロ−1(2H)−ピリダジニルを表し、(ここで、これらの基は、1から3個のフッ素原子、1から3個のメチル基および/またはトリフルオロメチルにより置換されていてもよく、)
または
およびRは、これらが結合している窒素原子と一緒になって、式
【化3】

の基を表し、
(ここで、
R’は、水素またはメチルを表し、
R’’は、メチル、エチル、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルを表し、
mは、0、1、2または3の数字を表し、mが2または3を表す場合には、R’’は同一または異なる基を表し、
R’’’は、メチル、エチル、フッ素、塩素またはトリフルオロメチルを表し、および
nは、0、1、2または3の数字を表し、nが2または3を表す場合には、R’’’は同一または異なる基を表す)
は、水素、メチル、エチル、プロピルもしくはイソプロピルを表し、
は、直鎖もしくは分枝の、2から5個の炭素原子を有するアルケニルを表し、(ここで、これら基の各々は、カルボキシル、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ホルミルもしくはハロゲンで一置換されていてもよい)または
は、2から5個の炭素原子を有するアルキニルを表し、(ここで、これら基の各々は、カルボキシル、メトキシカルボニルもしくはエトキシカルボニルで一置換されていてもよい)
は、フッ素、塩素、CN、メトキシ、エトキシ、メチルチオもしくはエチルチオを表し、および
は、直鎖もしくは分枝の、1から4個の炭素原子を有するアルキルを表すか、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルを表し、または
は、フェニルを表す(ここで、フェニルは、
フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、ホルミル、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−、s−もしくはt−ブチル、アリル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、n−もしくはi−プロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−もしくはi−プロピルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリクロロエチニルオキシ、トリフルオロエチニルオキシ、クロロアリルオキシ、ヨードプロパルギルオキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−もしくはi−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチル、プロピオニル、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヒドロキシイミノメチル、ヒドロキシイミノエチル、メトキシイミノメチル、エトキシイミノメチル、メトキシイミノエチル、エトキシイミノエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、
2,3−付加型の、1,3−プロパンジイル、メチレンジオキシ(−O−CH−O−)もしくは1,2−エチレンジオキシ(−O−CH−CH−O−)(ここで、これらの基は、フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびトリフルオロメチルからなる群からの同一または異なる置換基で一置換または多置換されていてもよい)
からなる群からの同一もしくは異なる置換基で一置換から三置換されていてもよい)
請求項1または2に記載の式(I)のピラゾロピリミジン。
【請求項4】
、R、RおよびRは、上記所与の特に好ましい意味を有し、
は、式
【化4】

−CH=CH−CO−OCH、−CH=CH−CO−OC、−C≡CH、−C≡C−CH、−C≡C−C、−C≡C−C、−C≡C−COOH、−C≡C−CO−OCH、または−C≡C−CO−OC
の基を表し、および
は、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、tert−ブチル、シクロプロピル、シクロペンチルもしくはシクロヘキシルを表し、または
は、2,4−、2,5−もしくは2,6−二置換フェニル、または2−置換フェニルを表し、または2,4,6−三置換フェニルを表し、この置換基は、
フッ素、塩素、臭素、シアノ、ニトロ、ホルミル、メチル、エチル、n−もしくはi−プロピル、n−、i−、s−もしくはt−ブチル、アリル、プロパルギル、メトキシ、エトキシ、n−もしくはi−プロポキシ、メチルチオ、エチルチオ、n−もしくはi−プロピルチオ、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、メチルスルホニル、エチルスルホニル、アリルオキシ、プロパルギルオキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、ジフルオロクロロメトキシ、トリフルオロエトキシ、ジフルオロメチルチオ、ジフルオロクロロメチルチオ、トリフルオロメチルチオ、トリフルオロメチルスルフィニル、トリフルオロメチルスルホニル、トリクロロエチニルオキシ、トリフルオロエチニルオキシ、クロロアリルオキシ、ヨードプロパルギルオキシ、メチルアミノ、エチルアミノ、n−もしくはi−プロピルアミノ、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、アセチル、プロピオニル、アセチルオキシ、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、ヒドロキシイミノメチル、ヒドロキシイミノエチル、メトキシイミノメチル、エトキシイミノメチル、メトキシイミノエチル、エトキシイミノエチル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシル、
2,3−付加型の、1,3−プロパンジイル、メチレンジオキシ(−O−CH−O−)もしくは1,2−エチレンジオキシ(−O−CH−CH−O−)(ここで、これらの基は、フッ素、塩素、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピルおよびトリフルオロメチルからなる群からの同一または異なる置換基で一置換または多置換されていてもよい)
からなる群から選択される、
請求項1から3の一項または複数項に記載の式(I)のピラゾロピリミジン。
【請求項5】
以下a)、b)、c)またはd)
a)式
【化5】

のピラゾロピリミジン類を、
(式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、ならびに
は、水素もしくはアルキルを表す。)

【化6】

のホスホニウム塩と、
(式中、
Yは、アルキル、シクロアルキル、アラルキルもしくはフェニルを表し、
Xは、臭化物イオンなどのアニオンを表し、および
は、水素もしくは場合によって置換されたアルキルを表す。)
塩基および希釈剤存在下で反応させるか、または
b)式
【化7】

のピラゾロピリミジン類を、
(式中、
、R、R、RおよびRは、上記定義の通りであり、
は、水素もしくは場合によって置換されたアルキルを表し、
Xは、塩素もしくは臭素を表す。)
希釈剤存在下、強塩基と反応させるか、または
c)式
【化8】

のピラゾロピリミジン類を、
(式中、
、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)
ジメチルホルムアミド存在下、初めにオキシ塩化リンと、次いでさらに塩基と反応させ、式(V)の化合物を得るか、
【化9】

または
d)式
【化10】

のピラゾロピリミジン類を、
(式中、
、R、R、R、RおよびRは、上記定義の通りである。)
グリニャール化合物
−CH−MgX
(ここで、Rは、上記定義の通りである。)
と反応させ、次いで酸性にする
ことを特徴とする、請求項1に記載の式(I)のピラゾロピリミジン類を調製する方法。
【請求項6】
増量剤および/または界面活性剤に加えて、請求項1から4の一項または複数項に記載の式(I)のピラゾロピリミジンを少なくとも1つ含むことを特徴とする、所望されていない微生物を防除する組成物。
【請求項7】
さらなる殺真菌活性化合物または殺虫活性化合物を少なくとも1つ含む、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
所望されていない微生物を防除するための請求項1から4の一項または複数項に記載の式(I)のピラゾロピリミジン類の使用。
【請求項9】
請求項1から4の一項または複数項に記載の式(I)のピラゾロピリミジン類が、所望されていない微生物および/またはこの棲息場所に施用されることを特徴とする、所望されていない微生物を防除する方法。
【請求項10】
請求項1から4の一項または複数項に記載の式(I)のピラゾロピリミジン類が、増量剤および/または界面活性剤と混合されることを特徴とする、所望されていない微生物を防除する組成物を調製する方法。

【公表番号】特表2007−513909(P2007−513909A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−543471(P2006−543471)
【出願日】平成16年12月9日(2004.12.9)
【国際出願番号】PCT/EP2004/013989
【国際公開番号】WO2005/056559
【国際公開日】平成17年6月23日(2005.6.23)
【出願人】(302063961)バイエル・クロツプサイエンス・アクチエンゲゼルシヤフト (524)
【Fターム(参考)】