説明

ピリジニウム塩

【課題】 環境の変化、特に湿度に対して比較的安定した導電性を樹脂に付与できる新規なピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート塩を提供すること。
【解決手段】 式(1)で表されるピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート塩に関する。式(1):
【化1】


[式中、Rは炭素数5〜20の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基(但し、炭素数8のアルキル基は除く)を示し、Rは炭素数1〜4の直鎖又は分岐鎖状のアルキル基を示す。]
【図面】 なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性付与剤として有効に用いられる新規なピリジニウム塩に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、樹脂等に導電性を付与するには、樹脂中にハロゲンイオン、サルフェートイオン又はナイトレートイオン等をアニオンとするイオン性の界面活性剤を添加して製造する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかし、イオン性の界面活性剤を添加した樹脂は導電性の環境依存性、特に湿度に対する依存性が大きく、品質的に満足しうるものではないことから、環境依存性の小さい新規な導電性付与剤が求められている。
【特許文献1】特開2002−363246公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、環境の変化に対して比較的安定した導電性を樹脂に付与できる新規なピリジニウム塩を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、式(1)で表されるピリジニウム塩(以下、ピリジニウム塩(1)という)に関する。式(1):
【0005】
【化1】

[式中、Rは炭素数5〜20のアルキル基(但し、炭素数8のアルキル基は除く)を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]
【発明の効果】
【0006】
本発明のピリジニウム塩(1)は、樹脂に導電性付与剤として用いることで従来のイオン性の界面活性剤に比べて、導電性の環境依存性が少ない樹脂を製造できうる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明を具体的に説明する。
式(1)中、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数5〜20のアルキル基(但し、炭素数8のアルキル基は除く)を示し、好ましくは直鎖のアルキル基である。具体的には、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基等が挙げられる。
【0008】
式(1)中、Rは直鎖又は分岐鎖の炭素数1〜4のアルキル基を示し、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、好ましくはメチル基及びエチル基である。
【0009】
ピリジニウム塩(1)の具体例としては、1−ペンチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ウンデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−トリデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−テトラデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンタデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプタデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−2−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、
【0010】
1−ペンチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ウンデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−トリデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−テトラデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンタデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプタデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、
【0011】
1−ペンチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプチル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ノニル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−デシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ウンデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ドデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−トリデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−テトラデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ペンタデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−ヘプタデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート、1−オクタデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート等が挙げられる。
【0012】
本発明のピリジニウム塩(1)は、例えば式(2):
【0013】
【化2】

(式中、Rは前記に同じ。)で表されるピリジン類(以下、ピリジン類(2)という)と式(3):
【0014】
R−X (3)
(式中、Rは前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。)で表されるアルキルハライド類(以下、アルキルハライド類(3)という)とを反応させて式(4):
【0015】
【化3】

(式中、R、R及びXは前記に同じ。)で表されるピリジニウム=ハライド(以下、ピリジニウム=ハライド(4)という)を製造し、次いで得られたピリジニウム=ハライド塩(4)をビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸又はそのアルカリ金属塩[以下、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類という]を用いてイオン交換反応をすることで製造できる。
【0016】
ピリジン類(2)としては、例えば、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、2−エチルピリジン、3−エチルピリジン、4−エチルピリジン等を挙げることができ、好ましくは2−メチルピリジン、3−メチルピリジン及び4−メチルピリジンである。
【0017】
またアルキルハライド類(3)としては、例えば、ペンチルクロリド、ヘキシルクロリド、ヘプチルクロリド、ノニルクロリド、デシルクロリド、ウンデシルクロリド、ドデシルクロリド、トリデシルクロリド、テトラデシルクロリド、ペンタデシルクロリド、ヘキサデシルクロリド、ヘプタデシルクロリド、オクタデシルクロリド、ノナデシルクロリド、イコシルクロリド、ペンチルブロミド、ヘキシルブロミド、ヘプチルブロミド、ノニルブロミド、デシルブロミド、ウンデシルブロミド、ドデシルブロミド、トリデシルブロミド、テトラデシルブロミド、ペンタデシルブロミド、ヘキサデシルブロミド、ヘプタデシルブロミド、オクタデシルブロミド、ノナデシルブロミド、イコシルブロミド、ペンチルヨージド、ヘキシルヨージド、ヘプチルヨージド、ノニルヨージド、デシルヨージド、ウンデシルヨージド、ドデシルヨージド、トリデシルヨージド、テトラデシルヨージド、ペンタデシルヨージド、ヘキサデシルヨージド、ヘプタデシルヨージド、オクタデシルヨージド、ノナデシルヨージド、イコシルヨージド等が挙げられる。アルキルハライド類(3)の使用量は、ピリジン類(2)1モルに対して0.5モル〜3.0モルであればよく、好ましくは0.6〜2.0モルであり、より好ましくは0.8〜1.5モルである。
【0018】
ピリジン類(2)とアルキルハライド類(3)の反応は、溶媒を使用してもしなくともよく、溶媒を使用するときの溶媒としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のアルコール類、アセトニトリル、酢酸エチル、テトラヒドロフラン、ジメチルホルムアミド等が挙げられる。溶媒の使用量は特に制限はないが、ピリジン類(2)1重量部に対して通常10.0重量部以下、好ましくは1.0〜5.0重量部である。
【0019】
ピリジン類(2)とアルキルハライド類(3)との反応を実施するには、例えば、ピリジン類(2)、アルキルハライド類(3)及び溶媒の混合物を、反応に使用する溶媒の種類にもよるが、通常20℃以上、好ましくは60℃〜120℃にて攪拌するだけでよい。
【0020】
上記のようにしてピリジニウム=ハライド(4)を含む反応混合物を得た後、得られた反応混合物を濃縮乾固してピリジニウム=ハライド(4)を主成分とする残渣を得る。この残渣を本発明のピリジニウム塩(1)を製造するための反応にそのまま用いてもかまわない。また必要で有れば、残渣を有機溶媒(例えば、エチルエーテル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等)と混合し、残渣に含まれる未反応原料等を有機溶媒に溶解した後、濾過して得られる、精製されたピリジニウム=ハライド(4)を用いることもできる。
【0021】
次に、ピリジニウム=ハライド(4)とビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類とのイオン交換反応によるピリジニウム塩(1)の製造法について説明する。
【0022】
原料であるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類としては、例えばビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸ナトリウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸カリウム等が挙げられ、好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウムである。かかるビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類の使用量は、ピリジニウム=ハライド(4)1モルに対して、通常0.8モル以上、好ましくは0.9モル〜1.5モルである。
【0023】
イオン交換反応は、通常水溶媒中で行われる。水の使用量は特に制限はないが、通常ピリジニウム=ハライド(4)1重量部に対して通常20.0重量部以下、好ましくは0.5〜10.0重量部であり、特に好ましくは1.0重量部〜5.0重量部である。
【0024】
ピリジニウム=ハライド(4)、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類及び水の混合順序は特に限定されず、ピリジニウム=ハライド(4)と水を混合した後にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類を添加してもよいし、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸類と水を混合した後にピリジニウム=ハライド(4)を添加してもよい。また、着色が問題となる場合には、ピリジニウム=ハライド(4)と水を混合した後に、活性炭等の脱色剤を用いて処理し、濾過して得られた濾液をイオン交換反応に用いることもできる。
【0025】
イオン交換反応は、通常10℃〜80℃、好ましくは15℃〜60℃、特に好ましくは20℃〜40℃で通常15分以上、好ましくは30分〜2時間、特に好ましくは45分〜1時間攪拌すれば、完結する。
【0026】
反応終了後の反応液は、ピリジニウム塩(1)の水溶解性が低いので、水層と有機層とに分液している。この反応液からピリジニウム塩(1)を分離するには、所望により水洗した後、有機層を乾燥することによってピリジニウム塩(1)が得られる。また、必要であれば水不溶の有機溶剤(例えば、酢酸エチル、塩化メチレン等)を反応中又は反応終了後に添加し、ピリジニウム塩(1)を水不溶の有機溶剤に抽出してもよく、得られた有機層を所望により水洗し、次いで有機溶剤を留出除去すれば残渣として、ピリジニウム塩(1)が得られる。
【実施例】
【0027】
つぎに、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はなんらこれらに限定されるものではないことはいうまでもない。
【0028】
実施例1
4−メチルピリジン9.3g(0.10モル)、ヘキシルブロミド16.5g(0.10モル)及びアセトニトリル10.0gを混合し、80℃で24時間反応した。反応終了後、得られた反応混合物を濃縮し、残渣を減圧下に乾燥して1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ブロミド24.8gを得た(収率:96%)。
【0029】
上記で得られた1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ブロミド24.8g(0.096モル)、水49.6g及び活性炭0.74gを混合し、室温で1時間攪拌後、濾過した。得られた濾液にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム28.1g(0.096モル)及び塩化メチレン28.1gを添加し、25℃で1時間攪拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、水49.6gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で乾燥し、液状の1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート41.2gを得た(収率89.9%)。以下に1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートのNMRデータを示す。
【0030】
H−NMR(CDCl) δ:0.87(t,3H)、1.28−1.33(m,6H)、1.96(m,2H)、2.67(s,3H)、4.50(t,2H)、7.81(d,2H)、8.62(d,2H)
【0031】
実施例2
4−メチルピリジン7.8g(0.084モル)、ドデシルヨージド25.0g(0.084モル)及びアセトニトリル10.0gを混合し、80℃で24時間反応した。反応終了後、得られた反応混合物を濃縮し、残渣を減圧下に乾燥して1−ドデシル−4−メチルピリジニウム=ヨージド31.2gを得た(収率:95%)。
【0032】
上記で得られた1−ドデシル−4−メチルピリジニウム=ヨージド31.2g(0.095モル)及び水62.4gを混合し、得られた水溶液にビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド酸リチウム27.8g(0.095モル)及び塩化メチレン27.8gを添加し、25℃で1時間攪拌した。反応終了後、得られた有機層を分液操作により分離し、水62.4gで2回洗浄した。有機層を濃縮して塩化メチレンを除去後、残渣を減圧下で乾燥し、液状の1−ドデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート69.8gを得た(収率86.3%)。以下に1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートのNMRデータを示す。
【0033】
H−NMR(CDCl) δ:0.87(t,3H)、1.24−1.32(m,18H)、1.96(m,2H)、2.67(s,3H)、4.48(t,2H)、7.82(d,2H)、8.62(d,2H)
【0034】
実施例3〜5
実施例2の4−メチルピリジン及びドデシルヨージドを表1に示すピリジン類(2)とアルキルハライド類(3)に代えた以外は実施例2と同様にして行い、対応するピリジニウム塩(1)を得た。以下に対応するピリジニウム塩(1)のNMRデータを示す。
【0035】
【表1】

【0036】
1−ドデシル−3−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート
H−NMR(CDCl) δ:0.87(t,3H)、1.24−1.33(m,18H)、1.95(m,2H)、2.60(s,3H)、4.56(t,2H)、7.91(t,1H)、8.22(d,1H)、8.65(m,2H)
【0037】
1−ヘキサデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート
H−NMR(CDCl) δ:0.88(t,3H)、1.24−1.32(m,26H)、1.96(m,2H)、2.67(s,3H)、4.50(t,2H)、7.81(d,2H)、8.61(d,2H)
【0038】
1−オクタデシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート
H−NMR(CDCl) δ:0.86(t,3H)、1.24−1.32(m,30H)、1.96(m,2H)、2.67(s,3H)、4.50(t,2H)、7.81(d,2H)、8.61(d,2H)
【0039】
実施例6
エポキシ樹脂としてエピコート828(登録商標:ジャパンエポキシレジン株式会社製)100重量部、硬化剤としてイミノビスプロピルアミンを14.1重量部及び実施例1で得られた1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダート10.0重量部を混合し、エポキシ樹脂組成物とした。かかるエポキシ樹脂組成物を50mm×50mm×深さ5mmの金型に流し込み、50℃にて1時間、さらに100℃6時間保持し、熱硬化させて評価用サンプルを作成し、表面抵抗値を測定した。その結果を表2に示す。なお、表2中、表面抵抗値はシシド電気工業株式会社製メガレスタH0709を用い、印加電圧500Vにて測定した。
【0040】
実施例7〜10
実施例6の1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートに代えて表2に示すピリジニウム塩(1)を用いた以外は実施例6と同様にして評価用サンプルを作成し、表面抵抗値を測定した。その結果を表2に示す。
【0041】
比較例1
実施例6の1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートを用いない以外は実施例6と同様にして評価用サンプルを作成し、表面抵抗値を測定した。その結果を表2に示す。
【0042】
【表2】

【0043】
表2の結果から、本発明のピリジニウム塩(1)を導電性付与剤として添加したエポキシ樹脂組成物は、導電性付与物質未添加の場合の1016Ω台の絶縁状態に比べ、10〜1011Ω台の極めて低い表面抵抗値が得られる事が判った。
【0044】
実施例11
二液架橋型アクリル系粘着剤(綜研化学株式会社製SKダイン909A)100重量部、実施例1で得られた1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートを1重量部、アクリル樹脂用硬化剤(綜研化学株式会社製L−45)を0.2重量部、希釈溶剤として酢酸エチル/メチルエチルケトン(50/50)150重量部を添加して粘着剤コート液を調整した。本コート液をポリエステルフィルム上にバーコーダを用いて乾燥厚み約10μmの厚みでコート後、80℃で2分間加熱硬化させて粘着剤評価用サンプルを作成し、表面抵抗値を測定した。その結果、1×1011Ωを示した。なお、1−ヘキシル−4−メチルピリジニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミダートを添加しないときの表面抵抗値は5×1016Ωであった。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)で表されるピリジニウム塩。式(1):
【化1】

[式中、Rは炭素数5〜20のアルキル基(但し、炭素数8のアルキル基は除く)を示し、Rは炭素数1〜4のアルキル基を示す。]

【公開番号】特開2006−182716(P2006−182716A)
【公開日】平成18年7月13日(2006.7.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−379548(P2004−379548)
【出願日】平成16年12月28日(2004.12.28)
【出願人】(000167646)広栄化学工業株式会社 (114)
【Fターム(参考)】