説明

ピリジン−置換アミノケタール誘導体の製造法

本発明は式(I)の1−(ピリジニル)−1,1−ジアルコキシ−2−アミノエタンの誘導体を製造するための効率的な方法に関し、式(I)の化合物を、安全性の観点から重要な生成物である式(XI)のアセチルピリジンオキシムを固体として単離することなく、高純度及び高収率で且つ遊離塩基の形態で製造することができる。
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、式(I)のピリジニル−置換ジアルコキシアミノエタン誘導体の製造法、及び本発明の製造法の中間体を提供する。
【化1】

【背景技術】
【0002】
式(I)の化合物は活性な薬剤成分の製造における中間体である。例えば、特許文献1は式(I)の化合物の誘導体の合成を記載し、ここでピリジン基は3−位で置換されそしてR’は(C1−C3)−アルキルである。特許文献1によると、これらの誘導体から出発して、式(II)の化合物が得られる。
【化2】

【0003】
更に、式(I)の化合物は式(III)のピリジノイミダゾール誘導体の製造用の構成単位として使用される(非特許文献1)。
【化3】

式中、R”はH、SHである。
【0004】
式(III)のピリジノイミダゾール誘導体は新規なマクロライド抗生物質、例えばテリスロマイシンの製造に使用された(特許文献2)。
【0005】
式(I)の化合物の公知の製造法は、アルコール溶液中でのケトキシムのp−トルエンスルホン酸エステルへのアルカリ金属アルコキシドの作用に基づき、例えば式(I)のアミノケタール誘導体が環式アミノケトン類の製造中に中間体として生じる(非特許文献2)。
【0006】
式(I)の1−(ピリジニル)−1,1−ジアルコキシ−2−アミノエタン誘導体の製造は特許文献1に記載され、例えば式(IV)の1−(3−ピリジニル)−1,1−ジエトキシ−2−アミノエタンニ塩酸塩を使用して下記の3段階工程で製造する:
【化4】

【0007】
この方法では、式(V)の3−アセチルピリジンをまずメタノール中で塩化ヒドロキシルアンモニウムでオキシム化する。得られた式(VI)の3−アセチルピリジンオキシムを溶媒変更によりピリジンに変換し、そして多くの蒸留操作及び新たなピリジン(水含量<5モル%)の添加により乾燥する。
【化5】

【0008】
或いは、オキシム化をピリジン中で直接実施し、そして乾燥を同じように行う。式(VI)の3−アセチルピリジンオキシムの塩酸塩とピリジンとの得られた混合物を引き続き式(VII)の塩化トシルと反応させて、水との混合物から沈殿した式(VIII)の3−アセチルピリジントシルオキシムを得、分離する。
【化6】

【0009】
得られた式(VIII)のトシルオキシムを引き続きエタノール中でカリウムエトキシドとネーバー転移で反応させて、アミノケタールを得る。得られたp−トルエンスルホン酸カリウム塩をメチルtert−ブチルエーテルで希釈した後、濾過し、濾過した溶液をエーテルに溶かした塩化水素と混合する。これで式(IV)の1−(3−ピリジニル)−1,1−ジエトキシ−2−アミノエタンニ塩酸塩がオレンジ色固体として沈殿する。
【0010】
特許文献1によると、単離した生成物の純度は1H及び13C NMRデータを用いてのみ推定することができ、未知の不純物の結果、95%超である。更なる反応のため、該アミノケタールニ塩酸塩(IV)を水に懸濁させ、水酸化ナトリウム溶液と混合して、アミノケタールを、次のカップリング反応に必要な遊離塩基として製造する。
【0011】
上記の方法は工業規模に拡大するにはいくつかの不利な点がある。第1に、得られた中間体の各々を蒸留操作により乾燥しなければならない。第2に、式(VIII)の3−アセチルピリジントシルオキシム中間体は室温より高い温度で長く保存すると極めて容易に分解して大量のエネルギーを放出する(3−アセチルピリジントシルオキシムの分解エネルギー約1000J/g、非特許文献2中のトルエンスルホン酸ケトオキシムエステルの貯蔵に関する警告参照)。第3に、このようにして製造した1−(3−ピリジニル)−1,1−ジエトキシ−2−アミノエタンニ塩酸塩は副生物が混入しており、強い着色により確認される。第4に、遊離の1−(3−ピリジニル)−1,1−ジエトキシ−2−アミノエタンを得るためには、単離した塩(IV)を追加のステップで補助の塩基を用いて遊離しなければならない。第5に、工程中に頻繁な溶媒交換がある。従って溶媒混合物を非常に費用をかけて再び処理しなければならず、それは環境汚染になる。
【特許文献1】米国特許第5,792,871号
【特許文献2】米国特許第5,635,485号
【非特許文献1】J.Am.Soc.,1938年,753−755頁
【非特許文献2】F.Moeller:Amine durch Umiagerungsreaktionen(Neber−Umiagerung)[Amines by rearrangement reactions (Neber rearrangement)],Houben−Weyl 11/1:Stickstoffverbindungen II[Nitrogen compounds 11](1957年),903−905頁
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明の目的は、式(I)の化合物を合成するためのより効率的且つ安全な方法を見出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
従って、本発明は式(I)の1−ピリジニル−1,1−ジアルコキシ−2−アミノエタン誘導体であって、R1及びR2はそれぞれ独立して(C1−C6)−アルキル(ここで該アルキル基は直鎖又は分岐鎖であることができる)であるか、又はR1及びR2は酸素原子と一緒に環式ケタール(ここでR1及びR2は一緒になって(C2−C4)−アルキリデン基である)を形成し、ピリジン基は2−、3−又は4−位、好ましくは3−位が置換されている上記誘導体の製造法を提供し、該製造法は、
工程(a)で、式(V)のアセチルピリジンを、ヒドロキシルアンモニウム化合物、例えば塩化ヒドロキシルアンモニウム又は硫酸ヒドロキシルアンモニウム、の水溶液、又はヒドロキシルアミンの水溶液を用いて、同時に又は後にMn+を含む無機塩基を添加して、式(IX)のアセチルピリジンオキシム金属塩(ここでnは1又は2、そしてMはn=1の場合はアルカリ金属、又はn=2の場合はアルカリ土類金属であり、好ましくはLi+、Na+、K+又はCa2+である)に変換することを含む。
【化7】

【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
1及びR2は好ましくは(C1−C6)−アルキル基である。R1及びR2が同じでありそしてそれぞれ(C1−C6)−アルキル基であるのが特に好ましい。(C1−C6)−アルキル基は例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル又はn−ヘキシルである。
【0015】
(C2−C4)−アルキリデン基を含む環式ケタールは、例えば[1,3]ジオキソラン又は[1,3]ジオキサン基である。
【0016】
製造はバッチ式又は連続式で単一又は複数成分計量添加法(metering)により行うことができる。式(IX)の化合物は単離するか又は溶液若しくは懸濁液として更に加工することができる。
【0017】
n+は例えばLi+、Na+、K+又はCa2+である。Mn+を含む無機塩基は、例えばアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属炭酸塩、アルカリ金属若しくはアルカリ土類金属炭酸水素塩、又はそれらの混合物であり、好ましくは水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、又は炭酸カリウムである。
【0018】
アセチルピリジン100モルに対しては、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアンモニウム化合物98−120モル、更に好ましくは99−101モル;そしてまたM+を含む無機塩基200−300モル、更に好ましくは200−220モル、又はM2+を含む無機塩基100−150モル、更に好ましくは100−110モルを使用することが好ましい。
【0019】
工程ステップ(b)で、式(IX)のアセチルピリジン金属塩の水溶液、水性懸濁液又は単離された固体を、脱離基Yを含むp−トルエンスルホン酸誘導体(X)
【化8】

(式中、YはF、Cl又はBr、好ましくはCl)の溶液と、水不溶性又はわずかに水可溶性の適当な溶媒中で反応させて、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを得る:
【化9】

【0020】
反応は水と適当な水不溶性溶媒との2相混合物中で進行し、そして反応は場合によっては1種又はそれ以上の相間移動触媒、例えば第4級アンモニウム塩又はホスホニウム塩、好ましくは式(XII)の第4級アンモニウム塩又は式(XIII)のホスホニウム塩、又は式(XII)若しくは式(XIII)の塩の水和物、の使用により進行する。
【化10】

【0021】
ここで、R3ないしR10は同じ又は異なり、そしてそれぞれ独立して
a)直鎖又は分岐鎖の(C1−C20)−アルキル、
b)ベンジル、又は
c)フェニル、そして
-はアニオン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸、硫酸水素、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンである。
【0022】
2相混合物中の反応は1種又はそれ以上の相間移動触媒を使用して実施するのが好ましいが、相間移動触媒なしでも進行する。
【0023】
工程(b)はバッチ式又は連続的に行うことができるが、連続的に行うのが好ましく、その場合、安全性の観点から重要である式(XI)の化合物の濃度は低く維持する。得られた溶媒と水性相との混合物は引き続き相分離の通常の方法により分離する。水性相は溶解した使用金属塩を含む。水性相は生物学的精製に送られる。場合によっては、水性相は引き続き適当な水不溶性溶媒で1回又はそれ以上洗浄し、そして溶媒相を合わせそして一緒に更に加工する。溶媒相は式(XI)の化合物を含む。
【0024】
工程(b)において、式(IX)の3−アセチルピリジンオキシム塩100モルに対しては、相間移動触媒を0.1−50モル、好ましくは0.2−10モル使用するのが好ましい。
【0025】
式(XXII)の第4級アンモニウム塩の例は、臭化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化n−ブチルトリエチルアンモニウム、塩化メチルトリイソプロピルアンモニウム、塩化メチルトリ−n−ブチルアンモニウム(Aliquat(登録商標)175)、臭化メチルトリ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素メチルトリ−n−ブチルアンモニウム、塩化メチルテトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化メチルトリ−n−オクチルアンモニウム(Aliquat(登録商標)336)、水酸化メチルトリ−n−オクチルアンモニウム、塩化メチルトリカプリルアンモニウム、水酸化メチルトリカプリルアンモニウム、塩化ジメチルベンジル(C8−C18)−アルキル、塩化テトラ−n−プロピルアンモニウム、塩化トリエチルヘキシルアンモニウム、塩化トリエチル−n−オクチルアンモニウム、臭化トリエチル−n−オクチルアンモニウム、臭化トリエチル−n−デシルアンモニウム、臭化トリエチル−n−ヘキサデシルアンモニウム、塩化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化エチルトリ−n−オクチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、水酸化テトラメチルアンモニウム5水和物、水酸化テトラメチルアンモニウム、臭化メチルトリエチルアンモニウム、塩化テトラメチルアンモニウム1水和物、臭化テトラメチルアンモニウム、ヨウ化テトラメチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸テトラメチルアンモニウム、臭化(n−ヘキシル)トリメチルアンモニウム、塩化フェニルトリメチルアンモニウム、ヨウ化フェニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリメチルアンモニウム、ヨウ化ベンジルトリメチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリメチルアンモニウム、臭化(n−オクチル)トリメチルアンモニウム、臭化(N−ノニル)トリメチルアンモニウム、臭化テトラ−n−プロピルアンモニウム、ヨウ化フェニルトリエチルアンモニウム、臭化(n−デシル)トリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム、臭化ベンジルトリエチルアンモニウム、テトラフルオロホウ酸ベンジルトリエチルアンモニウム、水酸化ベンジルトリエチルアンモニウム、塩化(n−ドデシル)トリメチルアンモニウム、臭化(n−ドデシル)トリメチルアンモニウム、塩化ベンジルトリ−n−プロピルアンモニウム、臭化テトラ−n−ブチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ブチルアンモニウム、酢酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ブチルアンモニウム、水酸化テトラ−n−ブチルアンモニウム、トリフルオロメタンスルホン酸テトラ−n−ブチルアンモニウム、塩化(n−テトラデシル)トリメチルアンモニウム、臭化(n−テトラデシル)トリメチルアンモニウム、臭化(n−ヘキサデシル)トリメチルアンモニウム、塩化テトラ−n−ペンチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ペンチルアンモニウム、塩化ベンジルトリn−ブチルアンモニウム、臭化ベンジルトリ−n−ブチルアンモニウム、塩化(n−ヘキサデシル)ピリジニウム1水和物、臭化(n−ヘキサデシル)ピリジニウム1水和物、臭化テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、硫酸水素テトラ−n−ヘキシルアンモニウム、臭化テトラ−n−オクチルアンモニウム、ヨウ化テトラ−n−ドデシルアンモニウム又は硝酸テトラ−n−ドデシルアンモニウムである。
【0026】
式(XIII)のホスホニウム塩の例は、塩化テトラ−n−ブチルホスホニウム、臭化テトラフェニルホスホニウム、塩化メチルトリ−n−オクチルホスホニウム、臭化メチルトリフェニルホスホニウム、臭化エチルトリ−n−オクチルホスホニウム、臭化テトラn−ブチルホスホニウム、塩化テトラフェニルホスホニウム、ヨウ化テトラフェニルホスホニウム、ヘキサフルオロアンチモン酸テトラフェニルホスホニウム、テトラフルオロホウ酸テトラフェニルホスホニウム、臭化(n−ヘキサデシル)トリ−n−ブチルホスホニウム又は塩化トリフェニルメチルトリフェニルホスホニウムである。
【0027】
水不混和性又はやや水難溶性又は水不溶性の適当な溶媒は、例えば、脂肪族又は芳香族炭化水素であって、非置換であるか、又は1若しくはそれ以上の(C1−C4)−アルキル基、例えばメチル、又はフッ素、塩素及び臭素から選ばれる1若しくはそれ以上の置換基で置換されたもの、好ましくはトルエン、キシレン(純粋な異性体として又は異性体の混合物として)、エチルベンゼン、ヘプタン又はジクロロエタンである。前述の適当な溶媒の混合物も適当である。
【0028】
p−トルエンスルホン酸誘導体(X)1モルに対しては、適当な溶媒0.6ないし1.1kgを使用するのが好ましい。式(IX)のアセチルピリジンオキシム塩100モルの反応においては、p−トルエンスルホン酸誘導体(X)99−150モル、更に好ましくは100−110モルを使用するのが好ましい。
【0029】
2相混合物の用語は、2つの液体相−アセチルピリジンオキシム塩(IX)を含む水性相及びp−トルエンスルホン酸誘導体(X)を含む溶媒相−の混合物を云う。相間移動触媒を使用する場合、それは水性相若しくは溶媒相中に存在するか、又は2相間に分割されていてもよい。2相混合物をバッチ式又は連続式工程操作の通常の方法で攪拌及び/又は混合して、相の良好な分配を確実にする。
【0030】
工程(b)におけるバッチ式操作の反応の温度は好ましくは0−50℃、更に好ましくは5−30℃であり、連続式操作においては0−60℃、更に好ましくは5−40℃である。
【0031】
工程(c)においては、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを含む溶媒相は、乾燥後又は先立つ乾燥なしで、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド又はアルカリ土類金属水酸化物及びアルコールの混合物中に計量して加え(ここで、“アルコキシド”とはR1-及び/又はR2-を意味し、そしてアルコールとはR1OH及び/又はR2OHを意味し、そしてR1及びR2は式(I)の化合物で定義した通りである)、そして式(I)の1−(ピリジニル)−1,1−ジアルコキシ−2−アミノエタン誘導体に変換する。
【0032】
工程(c)においては、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシム100モルに対して、アルカリ金属アルコキシド99−500モル、更に好ましくは100−200モル;又はアルカリ金属水酸化物99−500モル、更に好ましくは100−300モル;又はアルカリ土類金属アルコキシド50−250モル、更に好ましくは50−100モル;又はアルカリ土類金属水酸化物50−250モル、更に好ましくは50−150モル使用するのが好ましい。
【0033】
工程(c)においては、アルカリ金属水酸化物又はアルコキシド、特に水酸化リチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化セシウム、セシウムメトキシド又はセシウムエトキシドを使用するのが好ましい。
【0034】
アルコキシド及び/又はアルコールの選択は所望のアルコキシ基の導入に依存する。例えば、1−(ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタンの製造には、メタノール中のアルカリ金属若しくはアルカリ土類金属メトキシドの混合物、又はメタノール中のアルカリ金属水酸化物が使用される。R1とR2が酸素原子と一緒に環式ケタールを形成する化合物1−(ピリジニル)−1−([1,3]ジオキソラン)−2−アミノエタンの製造には、例えばグリコール中のアルカリ金属水酸化物が使用される。
【0035】
式(XI)のアセチルピリジンオキシムトシレート1モルに対して、対応するアルコール0.3−3kg、好ましくは0.5−1.5kgを使用するのが好ましい。変換は、例えば0−90℃、更に好ましくは10−60℃の温度範囲内で行われる。
【0036】
反応後、溶媒の一部をまず留去すると、p−トルエンスルホン酸塩副生物が室温で沈殿する。蒸留は通常の方法で行われる。留去した溶媒混合物(蒸留液)は直接工程(c)に再使用できる。
【0037】
p−トルエンスルホン酸アルカリ金属又はアルカリ土類金属塩は通常の濾過方法で除去される。残りの溶媒部分は大気圧下又は好ましくは減圧下での蒸留により通常の方法で除去される。
【0038】
式(I)のアミノケタール誘導体は引き続き、場合によっては、真空蒸留若しくは精留により、又は前の蒸留で得られた蒸留残留物からの結晶により、高純度の形態で単離する。例えば、式(I)の化合物で、R1及びR2がそれぞれメチルである化合物は蒸留により精製することができる。
【0039】
真空蒸留又は精留における収量は、場合によっては蒸留残留物にフラックスを添加することにより改良することができる。フラックスの用語は、粘度が加熱により減少する液体又はワックス状固体であり、従って蒸留しようとする残留物の流動性を改良するが、同時に蒸留しようとする生成物よりもかなり高い沸点を有するものを云う。使用するフラックスは、例えば400よりも大きい分子量を有するポリエチレングリコール(例えばポリエチレングリコール600又はポリエチレングリコール1000)、パラフィン(Cn2n+2、ここでn>15)、多価アルコール類(1以上のOH基を有するアルコール、例えばグリセロール)又はエステル類、例えばセバシン酸ビス−2−エチルである。
【0040】
結晶は有機溶媒を使用して又は使用せずに通常の方法で行うことができる。溶融又は溶媒工程を使用し得る。
【0041】
本発明の方法の利点は、第1に、式(I)の化合物を遊離塩基として高純度且つ非常に良い収率で直接単離できることである。第2に、選択した反応条件により、実施するオキシム化及びトシル化反応が連続操作で可能となることである。連続操作は、安全性の観点から重要であるアセチルピリジントシルオキシムを固体として単離しなくとも、安全性の観点から関連性がある式(XI)の中間体を常に少量しか生成しない。何故なら、短時間の遅れ後、アセチルピリジントシルオキシムは連続装置内で、安全性の観点から重要でない式(I)のアミノケタールに直接変換されるからである。式(I)の化合物を高純度(97%を超える)及び高収率(使用したアセチルピリジンを基準にして75%を超える)で、工業規模に適する方法で遊離塩基の形態で製造することである。第4に、工程で純粋な形態又は混合物の形態で直接再使用することができる溶媒を使用するので、環境への影響が非常に少なく保たれることである。
【0042】
実施例1:1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタンの製造、方法1
1(a)反応器中で40%塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液174g、3−アセチルピリジン121g及び33%水酸化ナトリウム溶液245gを3成分計量添加法(metering)で15−25℃の温度範囲内で反応させる。得られる3−アセチルピリジンオキシムのナトリウム塩溶液を塩化メチルトリブチルアンモニウム2gと反応させる。
【0043】
1(b)引き続き、この溶液を連続工程(部分的に取り出しながらスタテックミキサーを経るリサイクル法)で、塩化p−トルエンスルホニル193gの溶液及びトルエン655gと、内部温度35−38℃までで反応させる。次に得られた2相混合物を分離ゾーンを通過させ、そして溶媒相を水性相から分離する。
【0044】
1(c)溶媒相をメタノール(又は1番目の溶媒蒸留からのメタノール/トルエン混合物、下記参照)940g及び30%ナトリウムメトキシド溶液216gからなる最初に充填した溶液中に直接流し込む。温度を20−40℃の範囲に保つ。反応溶液を更に5−10時間継続して反応させる。70−90℃及び大気圧でメタノールを反応混合物から、トルエンと共に共沸混合物として留去した(第1溶媒蒸留)。共沸溶媒混合物は上記の反応(上記参照)に再使用することができる。蒸留後、蒸留残留物を25℃に冷却し、p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩を引き続き濾取し、そしてトルエン85gで洗う。引き続き濾液を減圧(ほぼ100−200ミリバール)下で内部温度ほぼ120−130℃までで蒸留することにより濃縮する。引き続きポリエチレングリコール600 10−20gを蒸留残留物に加え、1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタンを1−10ミリバールで内部蒸発器温度100−160℃にて短いカラムを経て無色透明な液体として留去する。1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタン157.3gを純度98−99%(滴定、HPLC−MS及びNMRにより参照標準と比較して決定)を有するものとして得る。これは使用した3−アセチルピリジンを基準として理論値の85%の収率に相当する。
【0045】
実施例2:1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタンの製造、方法2
2(a)反応器中で40%塩化ヒドロキシルアンモニウム溶液174g、3−アセチルピリジン121g及び33%水酸化ナトリウム溶液245gを3成分計量法(metering)で15−25℃の温度範囲内で反応させる。得られる3−アセチルピリジンオキシムのナトリウム塩溶液に塩化メチルトリブチルアンモニウム2gを加える。
【0046】
2(b)引き続き、この溶液を連続工程(部分的に取り出しながらスタテックミキサーを経るリサイクル法)で、塩化p−トルエンスルホニル193gの溶液及びトルエン655gと、内部温度35−38℃までで反応させる。次に得られた2相混合物を分離ゾーンを通過させ、そして溶媒相を水性相から分離する。
【0047】
2(c)溶媒相をメタノール(又は最初の溶媒蒸留からのメタノール/トルエン混合物、下記参照)940g及び30%水酸化ナトリウム48gからなる最初に充填した溶液中に直接流し込む。温度を20−40℃の範囲に保つ。反応溶液を更に5−10時間継続して反応させる。メタノールを反応混合物から、トルエンと共に共沸混合物として留去した(第1溶媒蒸留)。共沸溶媒混合物は上記の反応(上記参照)に再使用することができる。蒸留後、蒸留残留物を25℃に冷却し、p−トルエンスルホン酸ナトリウム塩を引き続き濾取し、そしてトルエン85gで洗う。引き続き濾液を減圧(ほぼ100−200ミリバール)下で内部温度ほぼ120−130℃までで蒸留することにより濃縮する。引き続きポリエチレングリコール600 10−20gを蒸留残留物に加え、1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタンを1−10ミリバールで内部蒸発器温度100−160℃にて短いカラムを経て無色透明な液体として留去する。1−(3−ピリジニル)−1,1−ジメトキシ−2−アミノエタン148gを純度98−99%(滴定、HPLC−MS及びNMRにより参照標準と比較して決定)を有するものとして得る。これは使用した3−アセチルピリジンを基準として理論値の80%の収率に相当する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R1及びR2はそれぞれ独立して(C1−C6)−アルキル(ここで該アルキル基は直鎖又は分岐鎖であってよい)であるか、又はR1及びR2は酸素原子と一緒に環式ケタール(ここでR1及びR2は一緒になって(C2−C4)−アルキリデン基である)を形成し、ピリジン基は2−、3−又は4−位、好ましくは3−位が置換されている]の1−(ピリジニル)−1,1−ジアルコキシ−1−アミノエタン誘導体の製造法であって、
工程(a)で、式(V)のアセチルピリジンを、ヒドロキシルアンモニウム化合物の水溶液又はヒドロキシルアミンの水溶液を用いて、Mn+を含む無機塩基を添加して、式(IX)のアセチルピリジンオキシム金属塩(ここでnは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンである)に変換し、
【化2】

工程(b)で、式(IX)のアセチルピリジン金属塩を、脱離基Yを含むp−トルエンスルホン酸誘導体(X)
【化3】

(式中、YはF、Cl又はBrである)の溶液と、水不混和性又はわずかに水可溶性又は水不溶性の適当な溶媒中で反応させて、式(XI)
【化4】

のアセチルピリジントシルオキシムを得、この反応は水と適当な溶媒との2相混合物中で場合によっては1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行させ、そして
工程(c)で、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド又はアルカリ土類金属水酸化物とアルコールとの混合物に加えて式(I)の化合物に変換し、ここで、“アルコキシド”はR1-及び/又はR2-を意味し、そしてアルコールはR1OH及び/又はR2OHを意味し、そしてR1及びR2はそれぞれ式(I)の化合物で定義した通りであり、
そして、この工程(a)ないし(c)のそれぞれを独立して連続的に又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項2】
ピリジン基が3−位で置換されている、請求項1記載の製造法。
【請求項3】
1及びR2がそれぞれ(C1−C6)−アルキルである、請求項1又は2記載の製造法。
【請求項4】
工程(a)で、ヒドロキシルアミン、塩化ヒドロキシルアンモニウム又は硫酸ヒドロキシルアンモニウムを使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
【請求項5】
工程(a)で、Mn+がLi+、Na+、K+又はCa2+を意味する、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造法。
【請求項6】
工程(a)で、Mn+を含む無機塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム又は水酸化カルシウムである、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造法。
【請求項7】
工程(b)で、脱離基YがClである、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造法。
【請求項8】
工程(b)で、相間移動触媒が式(XII)の第4級アンモニウム塩、又は式(XIII)のホスホニウム塩:
【化5】

[式中、R3ないしR10は同じ又は異なり、そしてそれぞれ独立して
a)直鎖又は分岐鎖の(C1−C20)−アルキル、
b)ベンジル、又は
c)フェニル、そして
-はアニオン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸、硫酸水素、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンである]、好ましくは塩化メチルトリブチルアンモニウムである、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造法。
【請求項9】
工程(c)で、水酸化リチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化セシウム、セシウムメトキシド又はセシウムエトキシドを使用する、請求項1〜8のいずれか1項記載の製造法。
【請求項10】
工程(c)で、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを先立って乾燥せずに使用する、請求項1〜9のいずれか1項記載の製造法。
【請求項11】
式(IX):
【化6】

(式中、nは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、そしてピリジン基は2−、3−又は4−位で置換されている)のアセチルピリジンオキシム金属塩の製造法であって、
式(V):
【化7】

のアセチルピリジンを、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアンモニウム化合物の水溶液を使用して、Mn+を含む無機塩基を添加して、式(IX)のアセチルピリジンオキシム金属塩に変換し、工程を連続的に又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項12】
ピリジン基が3−位で置換されている、請求項11記載の製造法。
【請求項13】
n+がLi+、Na+、K+又はCa2+である、請求項11又は12記載の製造法。
【請求項14】
n+を含む無機塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム又は水酸化カルシウムである、請求項11〜13のいずれか1項記載の製造法。
【請求項15】
連続的に行う請求項11〜14のいずれか1項記載の製造法。
【請求項16】
式(XI):
【化8】

(式中、ピリジン基は2−、3−又は4−位で置換されている)
の化合物の製造法であって、
式(IX):
【化9】

(式中、nは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである)のアセチルピリジン金属塩を、脱離基Yを含むp−トルエンスルホン酸誘導体(VII):
【化10】

(式中、YはF、Cl又はBrである)の溶液と、水不溶性又はやや水難溶性の適当な溶媒中で反応させて、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを得ることを含み、
反応は水と適当な水不溶性溶媒との2相混合物中で進行し、そしてこの反応は場合によっては1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行し、
そして工程を連続的又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項17】
1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行し、そして相間移動触媒が式(XII)の第4級アンモニウム塩、又は式(XIII)のホスホニウム塩
【化11】

[式中、R3ないしR10は同じ又は異なり、そしてそれぞれ独立して
a)直鎖又は分岐鎖の(C1−C20)−アルキル、
b)ベンジル、又は
c)フェニル、そして
-はアニオン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸、硫酸水素、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンである]、好ましくは塩化メチルトリブチルアンモニウムである、請求項16記載の製造法。
【請求項18】
ピリジン基が3−位で置換されている請求項16又は17記載の製造法。
【請求項19】
連続的に行う請求項16〜18のいずれか1項記載の製造法。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、R1及びR2はそれぞれ独立して(C1−C6)−アルキル(ここで該アルキル基は直鎖又は分岐鎖であってよい)であるか、又はR1及びR2は酸素原子と一緒に環式ケタール(ここでR1及びR2は一緒になって(C2−C4)−アルキリデン基である)を形成し、ピリジン基は2−、3−又は4−位で置換されている]の1−(ピリジニル)−1,1−ジアルコキシ−1−アミノエタン誘導体の製造法であって、
工程(a)で、式(V)のアセチルピリジンを、ヒドロキシルアンモニウム化合物の水溶液、又はヒドロキシルアミンの水溶液を用いて、Mn+を含む無機塩基を添加して、式(IX)のアセチルピリジンオキシム金属塩(ここでnは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属又はアルカリ土類金属イオンである)に変換し、
【化2】

工程(b)で、式(IX)のアセチルピリジン金属塩を、脱離基Yを含むp−トルエンスルホン酸誘導体(X)
【化3】

(式中、YはF、Cl又はBrである)の溶液と、水不混和性又はわずかに水可溶性又は水不溶性の適当な溶媒中で反応させて、式(XI)
【化4】

のアセチルピリジントシルオキシムを得るもので、この反応は水と適当な溶媒との2相混合物中で、場合によっては1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行させ、そして
工程(c)で、化合物(XI)を、アルカリ金属アルコキシド、アルカリ金属水酸化物、アルカリ土類金属アルコキシド又はアルカリ土類金属水酸化物とアルコールとの混合物に計量して加えることによりこの式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを、式(I)の化合物に変換し(ここで、“アルコキシド”とはR1-及び/又はR2-を意味し、そしてアルコールとはR1OH及び/又はR2OHを意味し、そしてR1及びR2はそれぞれ式(I)の化合物で定義した通りである)、
そしてこの工程(a)ないし(c)のそれぞれを独立して連続的に又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項2】
ピリジン基が3−位で置換されている、請求項1記載の製造法。
【請求項3】
1及びR2がそれぞれ(C1−C6)−アルキルである、請求項1又は2記載の製造法。
【請求項4】
工程(a)で、ヒドロキシルアミン、塩化ヒドロキシルアンモニウム又は硫酸ヒドロキシルアンモニウムを使用する、請求項1〜3のいずれか1項記載の製造法。
【請求項5】
工程(a)で、Mn+がLi+、Na+、K+又はCa2+を意味する、請求項1〜4のいずれか1項記載の製造法。
【請求項6】
工程(a)で、Mn+を含む無機塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム又は水酸化カルシウムである、請求項1〜5のいずれか1項記載の製造法。
【請求項7】
工程(b)で、脱離基YがClである、請求項1〜6のいずれか1項記載の製造法。
【請求項8】
工程(b)で、相間移動触媒が式(XII)の第4級アンモニウム塩、又は式(XIII)のホスホニウム塩:
【化5】

[式中、R3ないしR10は同じ又は異なり、そしてそれぞれ独立して
a)直鎖又は分岐鎖の(C1−C20)−アルキル、
b)ベンジル、又は
c)フェニル、そして
-はアニオン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸、硫酸水素、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンである]、好ましくは塩化メチルトリブチルアンモニウムである、請求項1〜7のいずれか1項記載の製造法。
【請求項9】
工程(c)で、水酸化リチウム、リチウムメトキシド、リチウムエトキシド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、水酸化カリウム、カリウムメトキシド、カリウムエトキシド、水酸化セシウム、セシウムメトキシド又はセシウムエトキシドを使用する、請求項1〜8のいずれか1項記載の製造法。
【請求項10】
工程(c)で、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを先立って乾燥せずに使用する、請求項1〜9のいずれか1項記載の製造法。
【請求項11】
式(IX):
【化6】

(式中、nは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンであり、そしてピリジン基は2−、3−又は4−位で置換されている)のアセチルピリジンオキシム金属塩の製造法であって、
式(V):
【化7】

のアセチルピリジンを、ヒドロキシルアミン又はヒドロキシルアンモニウム化合物の水溶液を使用して、Mn+を含む無機塩基を添加して、式(IX)のアセチルピリジンオキシム金属塩に変換し、工程を連続的に又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項12】
ピリジン基が3−位で置換されている、請求項11記載の製造法。
【請求項13】
n+がLi+、Na+、K+又はCa2+である、請求項11又は12記載の製造法。
【請求項14】
n+を含む無機塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸カリウム又は水酸化カルシウムである、請求項11〜13のいずれか1項記載の製造法。
【請求項15】
連続的に行う請求項11〜14のいずれか1項記載の製造法。
【請求項16】
式(XI):
【化8】

(式中、ピリジン基は2−、3−又は4−位で置換されている)
の化合物の製造法であって、
式(IX):
【化9】

(式中、nは1又は2、そしてMn+はアルカリ金属イオン又はアルカリ土類金属イオンである)のアセチルピリジン金属塩を、脱離基Yを含むp−トルエンスルホン酸誘導体(VII):
【化10】

(式中、YはF、Cl又はBrである)の溶液と、水不溶性又はやや水難溶性の適当な溶媒中で反応させて、式(XI)のアセチルピリジントシルオキシムを得ることを含み、
反応は水と適当な水不溶性溶媒との2相混合物中で進行し、そしてこの反応は場合によっては1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行し、
そして工程を連続的又はバッチ式で行うことを特徴とする上記の製造法。
【請求項17】
1種又はそれ以上の相間移動触媒の使用により進行し、そして相間移動触媒が式(XII)の第4級アンモニウム塩、又は式(XIII)のホスホニウム塩
【化11】

[式中、R3ないしR10は同じ又は異なり、そしてそれぞれ独立して
a)直鎖又は分岐鎖の(C1−C20)−アルキル、
b)ベンジル、又は
c)フェニル、そして
-はアニオン、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素、水酸、硫酸水素、テトラフルオロホウ酸、酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸、硝酸、ヘキサフルオロアンチモン酸イオンである]、好ましくは塩化メチルトリブチルアンモニウムである、請求項16記載の製造法。
【請求項18】
ピリジン基が3−位で置換されている請求項16又は17記載の製造法。
【請求項19】
連続的に行う請求項16〜18のいずれか1項記載の製造法。

【公表番号】特表2006−518716(P2006−518716A)
【公表日】平成18年8月17日(2006.8.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501606(P2006−501606)
【出願日】平成16年1月27日(2004.1.27)
【国際出願番号】PCT/EP2004/000640
【国際公開番号】WO2004/072026
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】