説明

ピリダリル乳剤

【課題】製剤安定性(乳化安定性等)に優れた、ピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤を提供すること。
【解決手段】アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩;ピリダリル;並びに芳香族炭化水素溶媒を含有する農薬乳剤であって、好ましくはアルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤を2〜15重量%;アルキルベンゼンスルホン酸塩を2〜15重量%;ピリダリルを5〜60重量%;並びに芳香族炭化水素溶媒を10〜90重量%含有する農薬乳剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤に関する。
【背景技術】
【0002】
ピリダリル<2,6−ジクロロ−4−(3,3−ジクロロアリルオキシ)フェニル 3−[5−(トリフルオロメチル)−2−ピリジルオキシ]プロピル エーテル;下式(1)で示される化合物>

が殺虫、殺ダニ剤の有効成分として知られている。そして、ピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤も知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平9−151172号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の製剤例1には、ピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤が記載されている。しかしながら、ピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤において、水で希釈した際の乳化安定性がより優れる農薬乳剤が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者等は、ピリダリルを有効成分として含有する農薬乳剤に関して鋭意検討した結果、アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩及び芳香族炭化水素溶媒を含有する農薬乳剤が水で希釈した際の乳化安定性に優れることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0005】
即ち、本発明は以下のものである。
[発明1]
ピリダリル;
アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;
アルキルベンゼンスルホン酸塩;並びに
芳香族炭化水素溶媒を含有する農薬乳剤。
[発明2]
5〜60重量%のピリダリル;
2〜15重量%のアルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;
2〜15重量%のアルキルベンゼンスルホン酸塩;並びに
10〜90重量%の芳香族炭化水素溶媒を含有する発明1に記載された農薬乳剤。
[発明3]
ノニオン性界面活性剤がアルコキシル化キャスターオイルである発明1又は2に記載された農薬乳剤。
[発明4]
アルキルベンゼンスルホン酸塩がドデシルベンゼンスルホン酸塩である発明1〜3いずれかに記載される農薬乳剤。
[発明5]
アルキルベンゼンスルホン酸塩がドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムである発明1〜3いずれかに記載される農薬乳剤。
[発明6]
発明1〜5いずれかに記載された農薬乳剤を10〜5000倍に水で希釈してなる乳化液。
【発明の効果】
【0006】
本発明の農薬乳剤は、水で希釈した際の乳化安定性に優れるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明の農薬乳剤は、ピリダリル;アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩;並びに芳香族炭化水素溶媒を含有することを特徴とするものである。
本発明の農薬乳剤においては各成分の割合は通常、ピリダリルが5〜60重量%;アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤が2〜15重量%;アルキルベンゼンスルホン酸塩が2〜15重量%;並びに芳香族炭化水素溶媒が10〜90重量%である。
本発明の農薬乳剤は、実質的にアルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩;ピリダリル;及び芳香族炭化水素溶媒のみからなるものであってもよく、本発明の効果を損なわない範囲で、更に他の製剤用補助剤(例えば、他の有機溶剤、酸化防止剤、防腐剤、染料等)が添加されているものであってもよい。他の溶剤としては、例えば、オレイン酸メチル、アジピン酸ジブチル等のカルボン酸エステル;オクタン、デカン等の脂肪族炭化水素;シクロへキサノン等のケトン;N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等のアミドが挙げられる。
【0008】
本発明に用いられるピリダリルは、例えば特許文献1(特開平9−151172号公報)に記載された方法で製造することができる。本発明の農薬乳剤には、上述の通りピリダリルが通常5〜60重量%含有される。
【0009】
本発明に用いられるアルコキシル化キャスターオイルとは、キャスターオイル(所謂、ヒマシ油。)に炭素数2〜4の酸化アルキレン(例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン)を塩基存在下に付加重合して得られる化合物であり、キャスターオイルに酸化エチレンを付加重合させたエトキシル化キャスターオイル、キャスターオイルに酸化エチレン及び酸化プロピレンをランダム又はブロック重合させたエトキシル化プロポキシル化キャスターオイルが挙げられる。アルコキシル化水素化キャスターオイルとは、キャスターオイルを水素添加して得られる水素化キャスターオイル(所謂、硬化ヒマシ油。)に炭素数2〜4の酸化アルキレン(例えば、酸化エチレン、酸化プロピレン)を塩基存在下に付加重合して得られる化合物であり、水素化キャスターオイルに酸化エチレンを付加重合させたエトキシル化水素化キャスターオイル、水素化キャスターオイルに酸化エチレン及び酸化プロピレンをランダム又はブロック重合させたエトキシル化プロポキシル化水素化キャスターオイルが挙げられる。本発明には、アルコキシル化キャスターオイル、更にはエトキシル化キャスターオイルが好適に用いられる。
市販のエトキシル化キャスターオイルとしては、例えば、アルカムルス R81(ローディア日華社製品名)、アルカムルス BR(ローディア日華社製品名)、アルカムルス OR40(ローディア社製品名)、アルカムルス 14R(ローディア日華社製品名)、ソルポール CA30(東邦化学工業株式会社製品名)、ソルポール CA42(東邦化学工業株式会社製品名)、CO−20TX(酸化エチレン付加モル数:20、日光ケミカルズ株式会社製品名)、CO−40TX(酸化エチレン付加モル数:40、日光ケミカルズ株式会社製品名)、CO−50TX(酸化エチレン付加モル数:50、日光ケミカルズ株式会社製品名)、CO−60TX(酸化エチレン付加モル数:60、日光ケミカルズ株式会社製品名)、Etocas 29(酸化エチレン付加モル数:29、クローダジャパン株式会社製品名)、Etocas 35(酸化エチレン付加モル数:35、クローダジャパン株式会社製品名)、Etocas 40(酸化エチレン付加モル数:40、クローダジャパン株式会社製品名)、Etocas 15(酸化エチレン付加モル数:15、クローダジャパン株式会社製品名)、EMALEX C−20(酸化エチレン付加モル数:20、日本エマルジョン株式会社製品名)、EMALEX C−30(酸化エチレン付加モル数:30、日本エマルジョン株式会社製品名)、EMALEX C−40(酸化エチレン付加モル数:40、日本エマルジョン株式会社製品名)が挙げられる。市販のエトキシル化水素化キャスターオイルとしては、例えばCroduret 7 Special(クローダジャパン株式会社製品名)、Croduret 40LD(クローダジャパン株式会社製品名)、Croduret 50 Special(クローダジャパン株式会社製品名)、Croduret 60(クローダジャパン株式会社製品名)、HCO−20(酸化エチレン付加モル数:20、日光ケミカルズ株式会社製品名)、HCO−30(酸化エチレン付加モル数:30、日光ケミカルズ株式会社製品名)、HCO−40(酸化エチレン付加モル数:40、日光ケミカルズ株式会社製品名)、EMALEX HC−20(酸化エチレン付加モル数:20、日本エマルジョン株式会社製品名)、Toximul8240(酸化エチレン付加モル数:36、ステファン社製品名)、Toximul8241(酸化エチレン付加モル数:30、ステファン社製品名)、Toximul8242(酸化エチレン付加モル数:40、ステファン社製品名)等が挙げられる。
アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤は、本発明の農薬乳剤に通常2〜15重量%含有される。
【0010】
本発明に用いられるアルキルベンゼンスルホン酸塩のアルキル基は通常炭素数が8〜15個のアルキル基である。また、アルキルベンゼンスルホン酸塩の塩としては、例えばナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩等のアルカリ土類金属塩、及びアミン塩が挙げられる。
本発明に用いられるアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えばドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム塩、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム塩等のドデシルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
市販のアルキルベンゼンスルホン酸塩としては、例えば、ローダカル 60/BE(ローディア日華社製品名)、ローダカル 70(ローディア日華社製品名)、ローダカル 70/B(ローディア日華社製品名) 、Witconate P−1220EH(Akzo Nobel社製品名)、NANSA EVM62/H(Huntsman社製品名)等が挙げられる。
アルキルベンゼンスルホン酸塩は、本発明の農薬乳剤に通常2〜15重量%含有される。
【0011】
本発明に用いられる芳香族炭化水素溶媒としては、例えばトルエン等のアルキルベンゼン、キシレン等のジアルキルベンゼン、トリメチルベンゼン等のトリアルキルベンゼン、メチルナフタレン等のアルキルナフタレン、ジメチルナフタレン等のジアルキルナフタレン、ジメチルモノイソプロピルナフタレン等のトリアルキルナフタレン、及びフェニルキシリルエタンが挙げられる。
【0012】
本発明には、芳香族炭化水素溶媒としては、アルキルベンゼン(例えば、トルエン、エチルベンゼン、キシレン、テトラメチルベンゼン等)、アルキルナフタレン(例えば、メチルナフタレン等)、ジフェニルエタン、ジキシリルエタン、フェニルキシリルエタン、及びこれらの混合物が挙げられる。本発明においては芳香族炭化水素溶媒としては、市販の溶剤をそのまま用いることもでき、そのような市販の溶剤としては、例えば、日石ハイゾールSAS−296(1−フェニル−1−キシリルエタンと1−フェニル−1−エチルフェニルエタンの混合物、新日本石油株式会社の商品名)、カクタスソルベントHP−MN(メチルナフタレン80%、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントHP−DMN(ジメチルナフタレン80%、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−100(炭素数9〜10のアルキルベンゼン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−150(アルキルベンゼン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−180(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−200(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントP−220(メチルナフタレンとジメチルナフタレンの混合物、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、カクタスソルベントPAD−1(ジメチルモノイソプロピルナフタレン、株式会社ジャパンエナジーの商品名)、ソルベッソ100(芳香族炭化水素として主にC9-10のジアルキルおよびトリアルキルベンゼン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ソルベッソ150(芳香族炭化水素として主にC10-11のアルキルベンゼン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ソルベッソ200(芳香族炭化水素として主にC10-14のアルキルナフタレン、エクソンモービル有限会社の商品名)、ULTRA LOW NAPHTHALENE AROMATIC 150(芳香族炭化水素として主にC10-11のアルキルベンゼン、ExxonMobil Chemical Company)、ULTRA LOW NAPHTHALENE AROMATIC 200(芳香族炭化水素として主にC10-14のアルキルナフタレン、ExxonMobil Chemical Company)、スワゾール100(トルエン、丸善石油化学株式会社の商品名)、スワゾール200(キシレン、丸善石油化学株式会社の商品名)、Solvesso 150ND(芳香族炭化水素として主にC10-11のアルキルベンゼン、Exxon Mobil Chemical Companyの商品名)、Solvesso 200ND(芳香族炭化水素溶媒として主にC11-14のアルキルナフタレン、及びExxon Mobil Chemical Companyの商品名)が挙げられる。
芳香族炭化水素溶媒は、本発明の農薬乳剤に通常10〜90重量%含有される。
本発明の農薬乳剤にて、本発明の効果を損なわない範囲で、更にその他の製剤用補助剤や溶媒を含有していてもよく、その他の添加物や溶媒としては、例えば、3−/2−t−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ブチレイティド ヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、アセトニトリル、イソブチロニトリル等のニトリル溶媒、ジイソプロピルエーテル、ジオキサン等のエーテル溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド等の酸アミド溶媒、ジクロロメタン、トリクロロエタン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素溶媒、大豆油、綿実油等の植物油が挙げられる。
【0013】
本発明の農薬乳剤は、例えばアルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;アルキルベンゼンスルホン酸塩;ピリダリル;並びに芳香族炭化水素溶媒を必要に応じて加熱(80℃以下)しながら均一になるまで攪拌し、必要に応じて濾過することにより製造することができる。
【0014】
本発明の農薬乳剤は、通常水で希釈して害虫又は害虫が生息する場所に施用される。例えば、本発明の農薬乳剤を10〜5000倍に水で希釈して、ピリダリル含有の乳化液として、害虫が生息する植物及び/又は土壌に散布することにより施用される。また、10〜1000倍程度に水で希釈した、本発明の農薬乳剤の乳化液をヘリコプター等で空中散布してもよい。
水での希釈は通常、施用される現地にて行われるが、希釈水として使用される水は現地で入手し易い水が使用される為、水の種類(例えば、軟水や硬水)が異なる場合がある。本発明の農薬乳剤は、希釈水として軟水を用いても、硬水を用いてもよい。
本発明の農薬乳剤の施用量は、ピリダリルの量として通常0.1〜100g/10aの割合である。
【実施例】
【0015】
以下、製造例、試験例等を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0016】
製造例1
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(アルカムルス R81、ローディア日華社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤1と記す。)を得た。
【0017】
製造例2
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(アルカムルス BR、ローディア日華社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤2と記す。)を得た。
【0018】
製造例3
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(アルカムルス OR40、ローディア日華社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤3と記す。)を得た。
【0019】
製造例4
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイルとドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの混合物(ソルポール4322、東邦化学工業株式会社製)20.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤4と記す。)を得た。
【0020】
製造例5
ピリダリル50.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(トクシマル 8241、ステファン社製)9.3重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)4.0重量部、キシレン18.35重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド18.35重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤5と記す。)を得た。
【0021】
製造例6
ピリダリル50.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(トクシマル 8241、ステファン社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、キシレン15.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド15.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤6と記す。)を得た。
【0022】
製造例7
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(アルカムルス OR40、ローディア日華社製)9.3重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)4.0重量部、キシレン38.35重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド38.35重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤7と記す。)を得た。
【0023】
製造例8
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイルとドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムの混合物(ソルポール4322、東邦化学工業株式会社製)20.0重量部、及びソルベッソ150(芳香族炭化水素溶媒、エクソンモービル有限会社製)70.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤8と記す。)を得た。
【0024】
製造例9
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化キャスターオイル(トクシマル 8241、ステファン社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、及びソルベッソ200(芳香族炭化水素溶媒、エクソンモービル有限会社製)70.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤(以下、本発明乳剤9記す。)を得た。
【0025】
製造例10
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化水素化キャスターオイル(HCO−40、日光ケミカルズ株式会社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤を得る。
【0026】
製造例11
ピリダリル10.0重量部、アルコキシル化水素化キャスターオイル(HCO−40、日光ケミカルズ株式会社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム(ローダカル 60/BE、ローディア日華社製)6.0重量部、ソルベッソ200(芳香族炭化水素溶媒、エクソンモービル有限会社製)70.0重量部を室温で混合して、本発明の農薬乳剤を得る。
【0027】
比較製造例1
ピリダリル10.0重量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェノール(Soprophor TS10、ローディア日華株式会社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、農薬乳剤(以下、比較乳剤1と記す。)を得た。
【0028】
比較製造例2
ピリダリル10.0重量部、ポリオキシエチレントリスチリルフェノール(Soprophor BSU、ローディア日華株式会社製)14.0重量部、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム6.0重量部、キシレン35.0重量部、及びN,N−ジメチルホルムアミド35.0重量部を室温で混合して、農薬乳剤(以下、比較乳剤2と記す。)を得た。
【0029】
次に、本発明の農薬乳剤の乳化安定性につき、試験例にて示す。
試験例
塩化カルシウム3.04g及び塩化マグネシウム6水和物1.39gを水に溶解し、全量を100mlとして硬水原液を調製した。硬水原液1mlを希釈し全量1000mlとして、硬度34.2ppmの試験用硬水を調製した。同様に、硬水原液10.0mlを希釈し全量1000mlとして、硬度342ppmの試験用硬水を調製した。
100mlの栓付きメスシリンダーに硬度34.2ppmの前記試験用硬水95mlを入れ、20℃の恒温水槽にしばらく放置し、水温を20℃に調節した。次いで、上記製造例で得られた本発明の農薬乳剤5mlを該メスシリンダーに加え、2秒間に1回の割合で10回転倒させた後、再び20℃の恒温水槽に1時間放置した。その後、メスシリンダー内の乳化液の状態を観察したところ、本発明乳剤1〜本発明乳剤9については良好な乳化状態を保っており、クリーム状の分離やオイル状の分離が観察されなかった。
上記比較製造例で得られた農薬乳剤を用いて同様に試験を行ったところ、比較乳剤1については少量のクリーム状の分離とオイル状の分離が、比較乳剤2については極微量のクリーム状の分離が観察された。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明の農薬乳剤は、殺虫・殺ダニ用の農薬として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピリダリル;
アルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;
アルキルベンゼンスルホン酸塩;並びに
芳香族炭化水素溶媒を含有する農薬乳剤。
【請求項2】
5〜60重量%のピリダリル;
2〜15重量%のアルコキシル化キャスターオイル及びアルコキシル化水素化キャスターオイルからなる群より選ばれるノニオン性界面活性剤;
2〜15重量%のアルキルベンゼンスルホン酸塩;並びに
10〜90重量%の芳香族炭化水素溶媒を含有する請求項1に記載された農薬乳剤。
【請求項3】
ノニオン性界面活性剤がアルコキシル化キャスターオイルである請求項1又は2に記載された農薬乳剤。
【請求項4】
アルキルベンゼンスルホン酸塩がドデシルベンゼンスルホン酸塩である請求項1〜3いずれかに記載される農薬乳剤。
【請求項5】
アルキルベンゼンスルホン酸塩がドデシルベンゼンスルホン酸カルシウムである請求項1〜3いずれかに記載される農薬乳剤。
【請求項6】
請求項1〜5いずれかに記載された農薬乳剤を10〜5000倍に水で希釈してなる乳化液。

【公開番号】特開2007−145810(P2007−145810A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−278511(P2006−278511)
【出願日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】