説明

ファイバロービングチョッパ用のアンビル

【解決手段】ファイバロービングチョッパ用のアンビル組立体は、環状ローラー及び環状アンビルホイールを備える。環状ローラーは、複数の蟻継ぎ部を有する内径面及び可撓性の材料からなる外径面を備える。環状アンビルホイールは、ファイバロービングチョッパ内にアンビル組立体を取り付けるための中心空洞を形成する内径面、及び第1端と第2端との間に延在し且つ環状ローラーの複数の蟻継ぎ部を受容する複数の蟻継ぎスロットを有する外径面を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、全般に、スプレーガンから吐出された樹脂材料の流れに繊維材料を供給するチョッパ装置に関連する。特に、本発明は、チョッパ置内で使用されるアンビル組立体に関する。
【背景技術】
【0002】
チョッパガンは、海洋産業、船舶産業、プール施設産業及び温泉施設産業等、複合材料業界において、大型の製品又は成形品を形成するために頻繁に使用されている。チョッパガンは、ファイバチョッパ及び液体スプレーガンの組立体から構成される。スプレーガンにおけるポンピング機構及びファイバチョッパにおける空気圧モータに動力を供給するために、一般的に圧縮空気がチョッパガンに供給される。スプレーガンには、一般的に液状樹脂材料及び液状触媒材料が供給される。スプレーガンにおけるトリガの操作により、これらの材料はスプレーガンのノズルから噴霧される前に、混合チャンバー内に供給される。触媒と樹脂との混合により、凝固プロセスが始まり、最終的には材料の完全な硬化によって形成される硬質な剛体材料となる。ファイバチョッパは、一般的に、スプレーガンの上部に、取り付けられる。ファイバチョッパには、ファイバガラス等の繊維材料のロービングが供給され、この繊維材料のロービングは遊動輪、アンビル、及びカッターブレードヘッドを通過する。ファイバロービングは、空気圧モータによるアンビル及びカッターブレードヘッドの回転により、チョッパの外部に排出される際にアンビルとカッターブレードヘッドとの間において、小さな断片に切断される。ファイバの断片は、樹脂及び触媒の噴霧混合物内に混合され、これにより、硬化した最終生成物は、繊維強化される。
【0003】
ファイバチョッパのブレードヘッド及びアンビルは、摩耗の程度が限界を越えると交換する必要がある消耗部分を含んでいる。例えば、一般的に、ブレードヘッドは、ブレードホイール上のスロット内に嵌め込まれた複数のカミソリの刃を含んでいる。アンビルも、ファイバロービングの細断又は切断の際に、カッターブレードヘッドのブレードが刺さる軟質材料のローラーを含んでいる。従って、ファイバチョッパを頻繁に分解してカッターブレードヘッド及びアンビルに直接触れる必要があり、その後、これらの部品の更なる分解も必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
具体的には、アンビルホイールからアンビルローラーを取り外すとともに、カッターブレードヘッドの各ブレードを取り外す必要がある。従来のアンビルでは、可撓性ローラーが、アンビルホイールを覆うように圧接している。これらのアンビル組立体において、摩耗したアンビルローラーをアンビルホイールから取り外して、及び新しいアンビルローラーを取り付けることは、困難である。従って、ファイバロービングチョッパ用のアンビル組立体におけるアンビルホイールにアンビルローラーを保持するための単純な構造及び方法が必要となる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、ファイバロービングチョッパ用のアンビル組立体に関する。アンビル組立体は、環状ローラー及び環状アンビルホイールを備える。環状ローラーは、複数の蟻継ぎ部を有する内径面、及び可撓性材料からなる外径面を備える。環状アンビルローラーは、ファイバロービングチョッパ内にアンビル組立体を取り付けるための中心空洞を形成する内径面、及び第1端と第2端との間に延在し且つ複数の蟻継ぎ部を受容する蟻継ぎスロットを有する外径面を備える。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】液体スプレーガン及び本発明のアンビル組立体が用いられるファイバロービングチョッパ組立体の分解図である。
【図2A】カッターブレードヘッドを示す図1のファイバロービングチョッパの斜視図である。
【図2B】ファイバロービング導入口を示す図1のファイバロービングチョッパの上面図である。
【図2C】カバーを取り除き、カッターブレードヘッド、アンビル組立体、及び遊動輪を示す図1のファイバロービングチョッパ斜視図である。
【図3】保持キャップ、ローラー本体、及びアンビルホイールを示す図2Cのアンビル組立体の分解図である。
【図4】保持凸部及び付勢バネを示す図3の保持キャップの分解図である。
【図5】図4の保持凸部に係合するキャップ保持フランジを示す図3のアンビルホイールの斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図1は、液体スプレーガン10の組立体及び、本発明のカッターブレードが使用されるファイバロービングチョッパ12の分解図である。図1において、ファイバロービングチョッパ12は、液体スプレーガン10に対してわずかに拡大されて示されている。液体スプレーガン10は、ハンドル14、バルブ本体16、ノズル18、及びトリガ20を有する2成分内部混合ガンからなる。ファイバロービングチョッパ12は、空気圧モータ22、ハウジング24、及びカバー26を含む。液体スプレーガン10のバルブ本体16は、バルブ組立体28、空気注入口30、材料注入口32、触媒注入口34、及び空気排出口36を含む。ファイバロービングチョッパ12のハウジング24は、繊維導入口38、開口39、レバー40、ノブ41、締結部材43A、締結部材43B、ノブ45、及び供給シュート42を含むカバー26を備える。
【0008】
本施形態において、液体スプレーガン10は、吐出時に混合され、硬化して硬質材に変化する混合物を生成する2つ液体成分が供給される2成分混合ガンからなる。第1成分は、ポリエステル樹脂又はビニルエステル樹脂等の樹脂材料からなり、材料注入口32からバルブ本体16に供給される。第2成分は、樹脂材料を硬化させるメチルエチルケトンペルオキシド(MEKP:Methyl Ethyl Ketone Peroxide)等の触媒材料からなり、触媒注入口34からバルブ本体16に供給される。材料注入口32及び触媒注入口34は、バルブ本体16に設けられるとともにバルブ組立体28に接続されたそれぞれのバルブに、それぞれの材料を供給する。液体スプレーガン10には、溶剤等の別の液体用の別の注入口が設けられている。トリガ20の操作によってバルブ組立体28のバルブが開くと同時に、加圧された材料がノズル18に流れ込む。図示するように、液体スプレーガン10は、材料注入口32及び触媒注入口34において2つの成分が外部材料源(図示せず)によって加圧され、ノズル18への供給前にチューブ44において2つの成分が混合される内部ミキサを備える。加圧された空気を供給し、混合流を整えたり、方向付けしたりしてもよい。他の実施形態において、樹脂材料及び触媒材料は、空気注入口30からの空気を用い、バルブ本体16の内部で加圧されて混合ノズルによって霧化された後に、液体スプレーガン10の外部で混合される。
【0009】
空気注入口30からの加圧空気は、バルブ本体16を介し、ファイバロービングチョッパ12の空気圧モータ22にある注入口(図示せず)に連通する空気排出口36に供給される。ファイバガラス等の繊維材料のロービング又はストランドは、繊維導入口38の開口39を介してカバー26内に供給される。トリガ20の操作による空気圧モータ22の作動によって、ハウジング24に取り付けられたアンビル及び遊動輪によって当該ロービングがカッターブレードヘッド内に引き込まれる。なお、当該内容は図2を参照して後述する。カッターブレードに対するアンビル及び遊動輪の位置は、レバー40及びノブ41を用いて調整される。切断されたロービングの断片は、ノズル18からの樹脂材料及び触媒材料の混合流のに向けて供給シュート42から排出され、硬化する材料が、最終生成物の強度を増加するファイバ補強材を含むことになる。
【0010】
液体スプレーガン10及びファイバロービングチョッパ12を作動させた後には、ファイバロービングチョッパ12のハウジング24からカバー26を取り外し、定期的なメンテナンスを施すことが度々必要となる。具体的には、ファイバロービングの切断によって刃が鈍くなったり、切断台の面が刃によって傷ついたりするので、カッターブレードヘッドの刃及びアンビルの切断台の面を交換する必要がある。本発明のアンビル組立体は、一旦カバーを外してしまえば、ファイバロービングチョッパ12から迅速且つ容易に取り外される。更に、本発明のアンビル組立体において、容易且つ安全にローラー本体を交換することができる。
【0011】
図2Aは、カッターブレードヘッド46を示す図1のファイバロービングチョッパ12の斜視図である。図2Bは、ファイバロービング導入用の開口39を示す図1のファイバロービングチョッパ12の上面図である。図2Cは、カバー26を取り外し、カッターブレードヘッド46、アンビル組立体48、及び遊動輪50を示す図1のファイバロービングチョッパ12の斜視図である。図2Cに重点を置き、図2A乃至図2Cを同時に説明する。ファイバロービングチョッパ12は、空気圧モータ22、ハウジング24、繊維導入口38、開口39、レバー40、ノブ41、供給シュート42、締結部材43A、締結部材43B、ノブ45、スライドバー組立体52、及び筒体55を含んでいる。ブレードヘッド46は、刃54、ブレードカートリッジ56、スペーサスプール58、及び保持キャップ60を含む。アンビル組立体48は、ローラー本体62、アンビルホイール63、保持キャップ64、及び締結部材66を含む。遊動輪50は、ローラー68及び締結部材70を含む。
【0012】
カバー26は、開口部を有してハウジング24に組み付けられ、カッターブレードヘッド46、アンビル48、及び遊動輪50を覆う多面体からなる。カバー26は、カッターブレードヘッド46によって切断されたロービングをファイバロービングチョッパ12から排出させる開口を含む。供給シュート42は、当該開口の近傍において、締結部材43A、43Bによってカバー26に取り付けられ、カッターブレードヘッド46から切断されたロービングを受け取る。供給シュート42は、ファイバロービングがチョッパーヘッド組立体46によって切断された後に通る3面板からなる。締結部材43Bによって締結部材43Aにおける供給シュート42の傾斜角度を調整することで、切断されたロービング片の排出経路を変更することができる。ノブ45は、カバー26の内部まで延在し、且つ筒体55(図2C)に係合しており、カバー26をハウジング24に係合した状態に保持する。
【0013】
図2Cを参照すると、カッターブレードヘッド46、アンビル組立体48、及び遊動輪50は、回転可能にハウジング24に取り付けられる。具体的には、カッターブレードヘッド46は、空気圧モータ22の支持部57(図2B)からハウジング24を貫通し、保持キャップ60内まで延在する駆動軸に直接的に取り付けられる。アンビル組立体48及び遊動輪50は、ハウジング24内のスライドバー組立体52から片持ち状態で突出した軸にそれぞれ取り付けられる。締結部材66、70は、当該軸に対して一般的に螺合し、前者はアンビル組立体48を、後者は遊動輪50をそれぞれ保持する。スライドバー組立体52は、ノブ41とエンドストップ53との間でハウジング24内に存在するスロット内に延在する角柱状の棒からなる。ハウジング24に固定されたバネが、エンドストップ53から離間するように滑り棒を付勢しており、カッターブレードヘッド46に接するようにアンビル組立体48を押圧する。レバー40は、バネの付勢力に抗して、アンビル組立体48及び遊動輪50を含むスライドバーのカッターブレードヘッド46に対する位置を調整するために使用される。スライドバー組立体52の滑り棒上のアンビル組立体48に対する遊動輪50の位置は、ノブ41を使用して調整される。ノブ41を調整することより、様々な厚さのロービングをアンビル組立体48と遊動輪50との間に供給することができる。レバー40の調整により、アンビル組立体48に対するカッターブレードヘッド46への当たり具合いを調整することにより、繊維導入口38へのロービングの供給を調整する。
【0014】
空気圧モータ22は、空気圧モータ22の支持部57と実質的に同軸上に延びている駆動軸の回転により、カッターブレードヘッド46を回転させる。刃54とローラー本体62との係合により、アンビル組立体48も回転する。アンビル組立体48は、ローラー68との係合を介して遊動輪50を回転駆動する。繊維導入口38に供給されたロービングは、アンビル組立体48及び遊動輪50によって挟持され、そして、アンビル組立体48とカッターブレードヘッド46との間に押し出される。カッターブレードヘッド46の刃54は、可撓性の材料からなるローラー本体62に押し込まれる。ロービングは、刃54がアンビル組立体48を回転させてローラー62を切り込む際に、刃54とローラー本体62との間で細断される。スペーサスプール58は一定の間隔で刃54を保持し、これにより、繊維は常に同様の長さで細断される。刃54及びローラー本体62は擦り減るので、ファイバロービングチョッパ12の許容しがたい性能の低下を防止するために、最終的には刃54及びローラー本体62の交換が必要となる。ローラー68が、その取り付け軸が抜き取られ、ハウジング24から取り外されて、メンテナンスが行われる。保持キャップ60が取り外された後に、ブレードカートリッジ56を交換することができる。スペーサスプール58から締結部材が取り外されると、カッターブレードヘッド46をその軸から抜き取ることができる。同様に、アンビル組立体48をその取り付け軸から抜き取ることで、ローラー本体62を交換することができる。しかしながら、ローラー本体62は、単に保持キャップ64を取り外すだけで交換することができる。
【0015】
図3は、ローラー本体62、アンビルホイール63、及び保持キャップ64を示す図2Cのアンビル組立体48の分解図である。ローラー本体62は、内径面72、外径面74、蟻継ぎ部76A−76Dを含む。アンビルホイール63は、内径面78、外径面80、蟻継ぎスロット82A−82D、及びローラー保持フランジ84を含む。保持キャップ64は、付勢バネ86、保持リング88、エンドプレート90、中心体92、凸部94、及び保持板96を含む。
【0016】
アンビルホイール63は、ローラー本体62の支持を行い、且つファイバロービングチョッパ12(図2)のハウジング24に取り付け可能な剛性環状構造を備える。例えば、内径面78は、ファイバロービングチョッパ12内の軸又はベアリングに取り付けられることができる。従って、内径面78は、第1端95Aと第2端95Bとの間で軸線に沿って延在する中心空洞を形成する。アンビルホイール63は、一般的に炭素鋼又は硬質プラスチック等の金属材料から形成される。
【0017】
外径面80は、ローラー本体62を取り付けることができるなめらかな円筒面を備える。蟻継ぎスロット82A−82Dは、外径面80から内側に形成される。蟻継ぎスロット82A−82Dは、外径面80の周囲に実質的に等間隔で配置されている。蟻継ぎスロット82A−82Dは、アンビルホイール63の軸線に略平行に延在する底面98、及び底面98から外側に向けて実質的に放射状に延在する側壁100を備える。但し、個々の蟻継ぎスロット内における2つの側壁100は、径方向内方に見て底面98を覆う方向に互いに傾き、蟻継ぎ構造を形成している。
【0018】
アンビルホイール63の外径面80の直径は、ローラー本体62の内径面72の直径と実質的に等しいが又は僅かに小さい。これにより、アンビルローラー(ローラー本体)62を外径面80上で容易に摺動させることができる。他の実施形態において、外径面80は、内径面72よりもわずかに大きく、締まり嵌めが生じない程度のすべり嵌めがなされる。第1端95Aは、アンビルホイール63からアンビルローラー62が外れることを防止するローラー保持フランジ84を含む。
【0019】
ローラー本体62の形状は、内径面72及び外径面74がアンビルホイール63の中心軸線と同軸上に延在する環状である。ローラー本体62の外径面74は、カッターブレードヘッド46(図2)のカミソリの刃54との係合面を形成する。内径面72は、アンビルホイール63との係合面を形成する。ローラー本体62は、弾力性及び可撓性を有する材料から形成される。一実施態様において、ローラー本体62は天然ゴムからなるが、他の材料を使用することもできる。ゴム及び他の材料の可撓性により、ファイバロービングを細断する際に、ローラー本体62の外径面80にカミソリの刃54(図2)を入り込ませることが可能となるが、刃54との係合を終えた後にローラー本体62が元に戻ることも可能となる。また、可撓性により、様々な実施態様において、ローター本体62が変形してアンビルホイール63にぴったり嵌合することが可能となる。本実施態様において、外径面74及び蟻継ぎ部76A−76Dは、均質の同一材料からなる部材であり、容易な製造の一因となる。他の実施態様において、外径面74のみが可撓性材料からなり、蟻継ぎ部76A−76Dは、別の硬質材料として蟻継ぎスロット82A−82Dとのより強固な係合を形成する。
【0020】
内径面72は、アンビルホイール63の外径面80上を摺動し、必要に応じ、変形してアンビルホイール63にすべり嵌めをなす大きさである。内径面72は、アンビルホイール63の蟻継ぎスロット82A−82D内で摺動する蟻継ぎ部76A−76Dを備える。蟻継ぎ部76A−76Dは、内面102及び側壁104を含む。内面102はアンビルホイール63の中心軸線に略平行に延在する、すなわち、内面102は蟻継ぎスロット82A−82Dの底面98に平行である。側壁104は、底面98から内側に向かって実質的に放射状に延在している。但し、個々の蟻継ぎ内における2つの側壁104は、径方向外方に見て、内径面72を覆うように互いに離れる方向に傾斜し、蟻継ぎ構造を形成している。
【0021】
図3の実施形態は、本発明の蟻継ぎ保持スロット機構の構造の1例のみを示す。他の実施態様として、蟻継ぎスロット82A−82D及び蟻継ぎ部76A−76Dは、図示する傾斜した側壁とは異なる保持機構を備える他の構造を有していてもよい。例えば、蟻継ぎスロット82A−82Dは、浅裂状又は楕円状の蟻継ぎを形成する非平面状の表面を有していてもよく、蟻継ぎ部76A−76Dは、これに対応して成形された形状を有する。一般的に、主部の下方に襟部が入り込むように、主部より幅が小さい襟部を有して、相補的な形状の突起と係合するような実施形態であれば、径方向の適切な保持特性が得られる。
【0022】
保持キャップ64は、内径面78の内側において、アンビルホイール63と係合するように構成されている。具体的には、エンドプレート90によって付勢バネ86が押圧され、ローラー本体62の内部に保持板96が押し込められる。このことについては、図4を参照して後述する。凸部94は、アンビルホイール63の内部で嵌合機構に嵌合し、ローラー本体62をフランジ84に係合した組み付け状態に保持する。このことについては、図5を参照して後述する。
【0023】
図4は、付勢バネ86、保持リング88、エンドプレート90、中心体92、保持用の凸部94、保持板96、及びリング取付座106を示す図3の保持キャップ64の分解図である。付勢バネ86は、中心体92の周囲にはめ込まれた際に、エンドプレート90によって支えられる。付勢バネ86は、保持板96に係合する波形状の切れ目のある波形リングバネからなる。保持板96は、中心体92の周囲にはめ込まれ、これにより、付勢バネ86は、エンドプレート90と保持板96との間において保持される。保持リング88は、リング取付座106内に嵌め込まれる割り座金からなる。リング取付座106内に配置された保持リング88を用い、保持板96の中心体92からの脱落が防止される。付勢バネ86は、保持板96を保持リング88と係合した状態に保持するが、例えば、凸部94がアンビルホイール63の嵌合機構と嵌合する場合等のように、力が作用すると、付勢バネ86をエンドプレート90に向かって移動させることができる。
【0024】
図5は、図4の保持用の凸部94に係合するキャップ保持フランジ108を示す図3のアンビルホイール63の第2端の斜視図である。アンビルホイール63は、内径面78、外径面80、蟻継ぎスロット82A−82D、及びフランジ108を含む。キャップ保持フランジ108は、凹部110及び溝112を含む。
【0025】
図3を参照しつつ説明したように、内径面78は、ファイバロービングチョッパ12内へのアンビルホイール63の取り付けを可能にする中心空洞を形成する。外径面80は、ローラー本体62(図2)の蟻継ぎ部76A−76Dと係合する蟻継ぎスロット82A−82Dを含む。アンビルホイール63の第2端95Bは、内径面78と外径面80との間に延在し、且つフランジ108を含む。フランジ108は、内径面78を越えてアンビルホイール63の内孔まで到達するように、径方向内方に延在する。フランジ108は円形の開口を含み、凹部110が当該円形の開口を楕円状の開口にするように配置されている。従って、凹部110においては、フランジ108における他の部分のように、径方向内方にフランジ108が延在していない。凹部110は、フランジ108の対向する2つの位置に設けられる。フランジ108は、溝112も含んでいる。図5においては、溝112の1つのみが示されており、他の溝112は、図示する溝112に対向する側に位置する。溝112は、アンビルホイール63の内側に配置され、保持キャップ64の凸部94を受容する形状を有する。溝112は、フランジ108の厚みを軸線方向に減少させて設けられ、アンビル組立体48が完全に組み立てられる際に、溝112内に一旦配置された凸部94が外れないようにするための段差のある側壁を形成している。
【0026】
図3を参照すると、保持キャップ64、ローラー本体62、及びアンビルホイール63は、中心軸線に沿って一直線に並ぶ中心空洞を含む。これにより、アンビル組立体48を一体的に支持軸上に取り付けることができる。アンビルホイール63の内径面78は、ファイバロービングチョッパの内部の軸の周囲に設けることができる。ローラー本体62は、アンビルホイール63の外径面80上を摺動する。具体的には、蟻継ぎ部76A−76Dは、各内面102が底面98の中心に位置するように、蟻継ぎスロット82A−82Cに対して周方向に配列される。ローラー輪62の側壁104がアンビルホイール63の側壁100に沿って摺動し、ローラー本体62がフランジ84に係合する。凸部94を凹部110に位置合わせした状態で、保持キャップ64が組み付けられると、中心体92がアンビルホイール63の内径面78に挿入される。フランジ108を越えて凸部94を移動させるために、保持キャップ64をアンビルホイール63の内部に押し込んで、付勢バネ86を縮ませる必要がある。具体的には、エンドプレート90が押圧されると、保持板96がローラー本体62に押しつけられ、これにより、付勢バネ86が縮む。凸部94がフランジ108を一旦越えると、保持キャップ64は90度回転され、これにより、凸部94は溝112(図5に1つのみ示す)に嵌合する。溝112内に凸部94を保持することにより、中心体92の回転が防止され、これにより、保持キャップ64は、回転移動を伴う軸方向の移動なしでは、アンビルホイール63から外れることがなくなる。凸部94が溝112内に位置した状態では、付勢バネ86は圧縮された状態を維持し、保持板96はローラー本体62に向けて付勢され、これにより、ローラー本体62がフランジ84に接触した状態に保持される。締結部材66は、アンビルホイール63内にはめ込まれた支持軸に螺合し、アンビル組立体48がファイバロービングチョッパ12に取り付けられる。
【0027】
本発明は、容易に組立及び分解ができ、アンビルホイール上にアンビル回転本体を保持するためのシステムを提供する。例えば、保持キャップ64の単純な押圧及び回転により、ローラー本体62を十分取り扱うことができる。ローラー本体62は、製造が容易であるとともに、ローラー本体62を引き伸ばすことなく、アンビルホイール63から容易に取り外せる使い捨て部材を提供する。このようなことにより、本発明のアンビル組立体48は、ファイバロービングチョッパ12を操作する際の効率を向上する。
【0028】
代表的な実施形態を参照して本発明を説明してきたが、本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更及び均等物に各要素を代替できることは、当業者が容易に理解するであろう。加えて、本質的範囲から逸脱せずに、本発明の教示に特定の状況又は材料を適合させるべく様々な変更を行うことができる。従って、本発明は開示した特定の実施形態に限定されるものではなく、添付の特許請求の範囲内に属する全ての形態を含むものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファイバロービングチョッパ用のアンビル組立体であって、
複数の放射状の保持機構を含む内径面、及び可撓性の材料かなる外径面を備える環状ローラーと、
前記アンビル組立体を前記ファイバロービングチョッパ内に取り付けるための中心空洞を形成する内径面、及び第1端と第2端との間に延在し且つ前記複数の放射状の保持機構を受容する複数のスロットを含む外径面を備える環状アンビルホイールと、
を有することを特徴とするアンビル組立体。
【請求項2】
前記環状ローラーを前記環状アンビルホイールに組み付けられた状態に保持する保持キャップ組立体を更に有することを特徴とする請求項1に記載のアンビル組立体。
【請求項3】
前記環状アンビルホイールは、前記第1端における前記外径面に位置するローラー保持フランジを更に有し、
前記保持キャップ組立体は、前記ローラー保持フランジに向けて前記環状ローラーを付勢する
ことを特徴とする請求項2に記載のアンビル組立体。
【請求項4】
前記保持キャップ組立体は、
エンドプレートと、
前記エンドプレートから前記環状アンビルホイールの前記中心空洞内に延在する中心体と、
前記中心体から延在し、前記中心空洞に係合する保持凸部と、
前記エンドプレートと前記環状アンビルホイールとの間に位置する保持板と、
前記エンドプレートと前記保持板との間に位置するバネと、
前記保持板に隣接して前記中心体に結合された保持リングと、
を更に有することを特徴とする請求項3に記載のアンビル組立体。
【請求項5】
前記環状アンビルホイールの前記内径面は、キャップ保持フランジを更に有し、
前記キャップ保持フランジは、内側に向かって放射状に延在する壁部と、前記保持凸部が前記壁部を通り抜けることを許容する凹部と、前記保持凸部が位置する前記凹部から周方向に偏移した溝と、を有する
ことを特徴とする請求項5に記載のアンビル組立体。
【請求項6】
前記環状アンビルローラーの前記外径面は、ゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のアンビル組立体。
【請求項7】
前記環状アンビルローラーは、ゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のアンビル組立体。
【請求項8】
前記環状アンビルホイールは、金属から形成されていることを特徴とする請求項1に記載のアンビル組立体。
【請求項9】
チョッパハウジングと、
前記チョッパハウジングに回転可能に取り付けられたアンビル組立体と、
前記チョッパハウジングに回転可能に取り付けられたカッターブレードヘッドと、を有し、
前記アンビル組立体は、可撓性ローラー本体、及び前記可撓性ローラー本体が取り付けられたアンビルホイールを備え、
前記可撓性ローラー本体は、蟻継ぎスロット連結を介して前記アンビルホイールに取り付けられ、
前記カッターブレードヘッドは、回転した際に前記アンビル組立体の前記可撓性ローラー本体に係合するために、前記カッターブレードヘッドから延設された複数のカミソリ刃を備える
ことを特徴とするファイバロービングチョッパ。
【請求項10】
前記可撓性ローラー本体を前記アンビルホイールに組み付けられた状態に保持する保持キャップ組立体を更に有することを特徴とする請求項9に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項11】
前記アンビル輪は、前記外径面に位置する保持フランジを更に有し、
前記保持キャップ組立体は、前記保持フランジに向けて前記可撓性ローラー本体を付勢する
ことを特徴とする請求項10に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項12】
前記保持キャップ組立体は、
エンドプレートと、
前記エンドプレートから前記アンビルホイールの中心空洞内に延在する中心体と、
前記アンビルホイールに係合する前記中心体から延設されて前記アンビルホイールに係合する保持凸部と、
前記エンドプレートと前記アンビルホイールとの間に配置された保持板と、
前記エンドプレートと前記保持板との間に配置されたバネと、
前記保持板に隣接して前記中心体に結合された保持リングと、
を有することを特徴とする請求項11に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項13】
前記アンビルホイールの前記内径面は、キャップ保持フランジを更に有し、
前記キャップ保持フランジは、径方向内方に向けて延設された壁部と、前記保持凸部が前記壁部を通り抜けることを許容する凹部と、前記保持凸部が位置する前記凹部から周方向に偏移した溝と、を有する
ことを特徴とする請求項12に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項14】
前記アンビルローラーはゴムからなり、
前記アンビルホイールは金属から形成される、
ことを特徴とする請求項9に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項15】
前記チョッパハウジングに取り付けられ、前記アンビル組立体又は前記カッターブレードヘッドに回転入力を供給する空気圧モータと、
前記チョッパハウジング上に回転可能に取り付けられ、前記可撓性ローラー本体に係合する遊動輪と、
を更に有することを特徴とする請求項9に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項16】
前記チョッパハウジングに取り付けられ、前記可撓性ローラー本体と前記遊動輪との間にロービングを供給する導入口と、
前記チョッパハウジングに取り付けられたカバーと、
前記チョッパハウジングに取り付けられ、前記可撓性ローラー本体と前記カッターブレードヘッドとの間から切断されたロービングを受容し且つ前記チョッパハウジングから切断されたロービングを送出する供給台と、
を更に有することを特徴とする請求項15に記載のファイバロービングチョッパ。
【請求項17】
ファイバロービングチョッパにおいて使用されるアンビル組立体であって、
環状体及び複数のスロットを備えるアンビルホイールと、
環状体及び内側に向かって放射状に延在する複数の突起を備えるローラー本体と、を有し、
前記アンビルホイールの前記環状体は、中心軸線に沿って延在する内径部及び外径部を含み、
前記複数のスロットは、軸線方向に延在する底部、及び周方向で前記底部を覆うように延設された保持機構を含み、
前記ローラー本体の環状体は、前記中心軸線に沿って延びる内径部及び外径部を含み、
前記複数の突起は、それぞれが周方向で延設された部分を含み、
前記部分は、前記保持機構の1つに係合して前記ローラー本体の径方向への偏移を防ぐ
ことを特徴とするアンビル組立体。
【請求項18】
前記アンビルホイールの前記環状体の前記外径部上に位置し、径方向外方に向けて立設されたフランジと、
前記アンビルホイールの前記環状体に取り付けられることにより、前記径方向外方に向けて立設されたフランジに向けて前記ローラー本体の前記環状体を付勢する保持キャップ組立体と、
を更に有することを特徴とする請求項17に記載のアンビル組立体。
【請求項19】
前記保持キャップ組立体は、前記アンビルホイールの前記環状体の内部に延在する凸部を含み、
前記アンビルホイールの前記環状体は、前記凸部が通り抜けることを許容する外形を有する凹部と、前記凹部を通り抜けた後に前記凸部が位置する溝と、を有する径方向内方に向けて延設されたフランジを備える、
ことを特徴とする請求項18に記載のアンビル組立体。
【請求項20】
前記保持機構は、径方向外方に向けて前記底部から傾斜して延設されることにより、前記底部を周方向で覆う第1の側壁を備え、
前記周方向に延設された部分は、前記第1の側壁にかみあうように傾斜する第2の側壁を備える、
ことを特徴とする請求項17に記載のアンビル組立体。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2013−511630(P2013−511630A)
【公表日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−541063(P2012−541063)
【出願日】平成22年11月23日(2010.11.23)
【国際出願番号】PCT/US2010/003030
【国際公開番号】WO2011/062644
【国際公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(308025451)グラコ ミネソタ インコーポレーテッド (32)
【Fターム(参考)】