説明

ファイバーセンサ及びその製造方法

【課題】先端に検出部が形成された保護チューブの先端部の内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの先端部を収容固定するファイバーホルダを確実に固定するようにしたファイバーセンサを提供する。
【解決手段】フッ素系樹脂部材からなり投・受光用光ファイバー7,8を収容する保護チューブ1と、保護チューブの耐熱温度よりも高い耐熱温度を有し各光ファイバーの一側端部を収容して固定し外周面の少なくとも一部に保護チューブの内径よりも大きい外径の圧入部が形成され保護チューブの一側開口端部1aに圧入されるファイバーホルダ12と、フッ素系樹脂部材からなり保護チューブの一側開口端部に液密状態に接合され投光用光ファイバーからの光を受光用光ファイバーに導く検出部材6とを備えた構成としたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを使用して液面レベルを光電的に検出するファイバーセンサ及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば薬液タンク内の薬液の液面レベルを光電的に検出する液面検出センサ(ファイバーセンサ)として、平行配置した投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを、先端部が円錐形状に封鎖・整形されたフッ素樹脂部材からなる保護チューブで被覆し、投光用光ファイバー及び受光用光ファイバーの先端を樹脂ケースに収容保持し、この樹脂ケースを保護チューブの先端部内部に貫通させた状態で熱カシメして固定し、保護チューブの先端部の内面に光学的に連結させた構造のものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この液面検出センサは、円錐形状をなす先端部が円錐形状のプリズム部(以下「円錐プリズム部材」という)をなしており、当該円錐プリズム部材が空気中にあるときには投光用光ファイバーから出射された光が円錐プリズム部材内で反射されて受光用光ファイバーへ入射する。一方、円錐プリズム部材が液中にあるときには投光用光ファイバーから出射された光の大部分が円錐プリズム部材を透過して液中に出射されるために受光用光ファイバーの受光量が大幅に低下する。従って、受光用光ファイバーからの光の量の変化を電気的に検知することにより、検出プローブが空気中に存在するか或いは液中に沈んでいるかを判別して液面のレベルを検出することができる。
【0004】
上記液面検出センサの製造方法として、例えば従来図6(a)〜(e)及び図7(a)〜(d))に示すような方法が採用されている。なお、図6及び図7は、重力の作用方向で見て右側が下方を示し、左側が上方を示している。
【0005】
先ず、図6(a)に示すように耐薬品性に優れた例えばフッ素系樹脂部材からなる保護チューブ1の上端開口部から金属棒2を挿入する。次に、保護チューブ1の先端部1aに検出部材を形成する。図6(b)に示すように検出部材を形成する金型4は、水平に設置されており、上面4aに例えば円錐形状の凹部4bが形成され、開口部4cに保護チューブ1の先端部1aが僅かに挿入可能とされている。
【0006】
金型4の凹部4b内に耐薬品性に優れた透明なフッ素系樹脂部材5を投入し、図6(c)に示すように金型4を加熱して溶融した円錐形状をなしプリズムの機能を有する検出部材(以下「円錐プリズム部材」という)6を形成し、図6(d)に示すように保護チューブ1の先端部1aを金型4の開口部4cに挿入して溶融した円錐プリズム部材6に押し付け、保護チューブ1の先端部1aを円錐プリズム部材6の平面部6aに溶融接合する。そして、所定時間経過した後金型4から取り外し、保護チューブ1から金属棒2を引き抜く。このようにして、図6(e)に示すような先端部1aに検出部材6が液密に接合された保護チューブ1を形成する。
【0007】
次に、図7(a)に示すように投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8の各先端部を収容固定したファイバーホルダ9を保護チューブ1の上端開口部側から挿入し、図7(b)に示すようにその先端面9aを円錐プリズム部材6の平面部6aに当接させる。この状態において投光用光ファイバー7、受光用光ファイバー8の各先端面が円錐プリズム部材6の平面部6aに当接している。
【0008】
次いで、図7(c)に示すように円錐プリズム部材6の先端側からフッ素系樹脂部材で形成された抜け止めリング10を挿入してファイバーホルダ9の後端部を通り抜けた直後の近傍位置で止め、図7(d)に示すように抜け止めリング10を加熱して熱収縮させ、保護チューブ1を縮径させて熱カシメし、ファイバーホルダ9を保護チューブ1内の当該位置に固定する。このようにして液面検出センサ(ファイバーセンサ)11が形成されている。
【特許文献1】特開2002−131115号公報(3頁、図2)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記液面検出センサ(ファイバーセンサ)を製造する場合、保護チューブ1の先端部1aに円錐プリズム部材6を溶融接続する際に保護チューブ1内に金属棒2を着脱する工程と、保護チューブ1内に投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8の先端部を収容固定したファイバーホルダ9を挿入する工程の2つの工程があり、作業に時間が掛かるという問題がある。
【0010】
また、液面検出センサを使用する装置によっては保護チューブ1を挿入する穴径をできるだけ小さくして保護チューブ1と挿入穴との間の隙間をできる限り少なくして装着することが求められる場合がある。このような仕様においては、図7(d)に示すように抜け止めリング10を使用した場合少なくとも抜け止めリング10の外径分だけ穴径を大きくしなければならず、液面検出センサの取付が困難になることがある。
【0011】
更に、フッ素系樹脂部材からなる抜け止めリング10により熱カシメして保護チューブ1を縮径させてファイバーホルダ9を保護チューブ1内に固定するため、経年変化等により熱カシメが緩んでくると、ファイバーホルダ9が保護チューブ1内でガタ付いたり、場合によってはファイバーホルダ9が保護チューブ1から抜け出したりするおそれがある。
【0012】
そして、ファイバーホルダ9が保護チューブ1内でガタ付いた場合には投光用光ファイバー7、受光用光ファイバー8の先端面と円錐プリズム部材6の平面部6aとの光結合が変化して検出誤差や検出不良等の性能劣化の要因となる。また、ファイバーホルダ9が保護チューブ1から抜け出した場合には検出不能となる。
【0013】
なお、前記特許文献1の図2にも保護チューブの樹脂ケースの後端部近傍を熱カシメして保護チューブを収縮させ、当該樹脂ケースを保護チューブ内に固定する方法が記載されているが、この場合も上述と同様の不具合を発生するおそれがある。熱カシメにより保護チューブ内にファイバーホルダを固定する方法については従来から種々提案されているが、何れの場合においても上述したように熱カシメ部の緩みを生じるおそれがある。
【0014】
本発明の目的は、先端に検出部が形成された保護チューブの先端部の内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの先端部を収容固定するファイバーホルダを確実に固定するようにしたファイバーセンサ及びその製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明に係るファイバーセンサは、
フッ素系樹脂部材からなり内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを挿通させて収容する保護チューブと、
前記保護チューブの耐熱温度よりも高い耐熱温度を有する耐熱部材からなり、前記各光ファイバーの一側端部を収容して固定し、かつ外周面の少なくとも一部に前記保護チューブの内径よりも大きい外径の圧入部が形成され、前記保護チューブの一側開口端部に圧入されるファイバーホルダと、
フッ素系樹脂部材からなり前記保護チューブの一側開口端部に液密状態に接合され、前記投光用光ファイバーから投光された光を前記受光用光ファイバーに導く光路を形成する検出部材とを備えたことを特徴としている。
【0016】
投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの各一側端部をファイバーホルダに収容固定し、投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの各他側端部を保護チューブの一側開口端部から挿入し、ファイバーホルダを保護チューブの一側開口端部の内に圧入する。これにより、投光用光ファイバーと受光用光ファイバーが保護チューブ内に挿通され、かつファイバーホルダが保護チューブの一側開口端部の内部に収容固定される。
【0017】
そして、保護チューブの一側開口端部に投光用光ファイバーから投光された光を受光用光ファイバーに導く光路を形成するための検出部材を液密状態に接合する。これにより、保護チューブの一側開口端部の内部に検出部材と密着させた状態でファイバーホルダを確実に固定することができる。保護チューブの一側開口端部内にファイバーホルダを圧入することにより、経年変化等により保護チューブ内でファイバーホルダがガタ付いたり、保護チューブから抜け出すことを防止することができる。
【0018】
この場合、フッ素樹脂系の保護チューブの一側開口端部と検出部材とは溶融接合により液密に接合され、ファイバーホルダの耐熱温度が保護チューブの耐熱温度よりも高いことで、保護チューブと検出部材とを溶融接合する際にファイバーホルダが溶融することが防止される。
【0019】
また、本発明の請求項2に記載のファイバーセンサの製造方法は、
フッ素系樹脂部材からなり内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを挿通させて収容する保護チューブの耐熱温度よりも高い耐熱温度を有し、外周面の少なくとも一部に前記保護チューブの内径よりも大きい外径の圧入部が形成された耐熱部材からなるファイバーホルダに前記各光ファイバーの各一側端部を収容させて固定し、
前記保護チューブの一側開口端部から前記各光ファイバーの他側端部を挿入し、かつ前記ファイバーホルダを前記保護チューブの前記一側開口端部に圧入し、
その後フッ素系樹脂部材からなり前記保護チューブの一側開口端部に前記投光用光ファイバーから投光された光を前記受光用光ファイバーに導く光路を形成する検出部材を液密状態に接合することを特徴としている。
【0020】
投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの各一側端部をファイバーホルダに収容固定し、投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの各他側端部を保護チューブの一側開口端から挿入し、ファイバーホルダを保護チューブの一側開口端部内に圧入する。このようにして、投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを保護チューブ内に挿通し、かつファイバーホルダを保護チューブの一側開口端部内に収容固定する。次いで、保護チューブの一側開口端部に投光用光ファイバーから投光された光を受光用光ファイバーに導く光路を形成するための検出部材を液密状態に接合する。このようにして、保護チューブの一側開口端部内に検出部材と密着させた状態でファイバーホルダを確実に固定する。これにより、ファイバーホルダが保護チューブ内でガタ付いたり、保護チューブから抜け出すことを確実に防止することができる。
【0021】
フッ素樹脂系の保護チューブの一側開口端と検出部材とは溶融接合により液密に接合され、ファイバーホルダの耐熱温度が保護チューブの耐熱温度よりも高いことで、保護チューブと検出部材とを溶融接合する際にファイバーホルダが溶融することを防止することができる。
【0022】
また、保護チューブの一側開口端部と検出部材とを接合する際、少なくとも保護チューブの接合すべき一側端部及びその近傍を溶融している検出部材に垂直に押し付ければ良く、保護チューブの残余の部分が垂れ下がったり曲がったりしても問題はない。従って、製造工程における作業性の向上及び高さ方向の空間部を高くする必要が無くなりスペースの有効利用を図ることが可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によると、保護チューブ内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの一側端部を固定するファイバーホルダを確実に固定することができ、経年変化等に起因する保護チューブ内でのファイバーホルダのガタ付や保護チューブからの抜け出しを防止することができ、ファイバーセンサの性能劣化や検出不能等の不具合を防止することができると共に信頼性の向上が図られる。
【0024】
また、ファイバーホルダを保護チューブの開口端の内部に圧入するだけで良く、構造が簡単であると共に組み付けが容易であり、製造コストの低減が図られる。
【0025】
また、ファイバーホルダの耐熱温度が保護チューブの耐熱温度よりも高いことで、保護チューブの一側開口端部と検出部材とを溶融接合する際にファイバーホルダが溶融することが防止される。
【0026】
また、保護チューブの一側開口端部と検出部とを溶融接合する際に少なくとも保護チューブの接合すべき一側開口端部及びその近傍を溶融している検出部材に垂直に押し付ければ良く、保護チューブの残余の部分が垂れ下がったり曲がったりしても問題ないので作業性の向上が図られると共に、製造工程における高さ方向の空間部を高くする必要が無くなりスペースの有効利用を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
以下、本発明の一実施形態に係るファイバーセンサ及びその製造方法について図面に基づいて説明する。図1は、本発明に係るファイバーセンサの製造方法を示す。なお、図6及び図7に示した部材と同一部材には同一の符号を付してある。なお、図1では、重力の作用方向で見て右側が下方を示し、左側が上方を示している。
【0028】
図1(a)に示すように投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8の各先端部がファイバーホルダ12に収容されて固定されている。このファイバーホルダ12は、その外径が保護チューブ1の内径よりも僅かに大径に形成されており、保護チューブ1の先端部1a内に圧入可能とされている。即ち、ファイバーホルダ12は、その外径を保護チューブ1の内径よりも大きくすることで外周部に圧入部が形成された場合と同一の作用効果を有する形状とされている。
【0029】
ファイバーホルダ12は、図2に示すように後端面12bに軸方向に沿って所定の深さ、例えば全長の略2/3程度の深さに投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8を並べて挿入可能な側方から見て長円形の穴12cが形成されており、先端面12aに軸方向に沿って2つの穴12d,12eが長円形の穴12cの長軸方向に沿って間隔を存して形成され、かつ穴12cに僅かな段差を有して連通されている。このファイバーホルダ12は、耐熱温度がフッ素系樹脂部材からなる保護チューブ1の耐熱温度よりも高い樹脂部材、例えばポリイミド系樹脂部材により形成されている。
【0030】
そして、ファイバーホルダ12の先端面12a側の穴12d,12eにそれぞれ円筒形状のレンズ(セルフフォーカスレンズ)13,14が嵌挿されて固定されている。これらのレンズ13,14は、先端面13a,14aがファイバーホルダ12の先端面12aと面一とされており、後端面13b,14bが穴12cとの段差部(連通部)に位置している。
【0031】
また、ファイバーホルダ12の後端面12b側の長円形の穴12cに投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8の先端部(一端部)が並べて挿入され、コア7A,8Aの先端面7a,8aがそれぞれ対応するレンズ13,14の後端面13b,14bに当接している。そして、投光用光ファイバー7、受光用光ファイバー8の被覆7B,8Bが夫々ファイバーホルダ12の穴12cの内面に接着剤で接着されて逸脱不能に固定されている。
【0032】
これらの投光用光ファイバー7,8は、図1(a)に示すように各後端部(他端部)が保護チューブ1の先端部(一端側)1aの開口端から挿入されて当該保護チューブ1の後端部(他端側)から延出されると共に、ファイバーホルダ12が保護チューブ1の先端部1a内に圧入される。ファイバーホルダ12は、図1(b)に示すようにその先端面12aが保護チューブ1の先端部1aと面一になるまで圧入される。このように、保護チューブ1内に投光用光ファイバー7,8を挿通し、ファイバーホルダ12を保護チューブ1の先端部1aに圧入することで、作業性が良くかつ狭い場所でも容易に作業を行うことが可能である。
【0033】
次に、保護チューブ1の先端部1aに検出部材を形成する。図1(c)に示すように検出部材を形成する金型4は、水平に設置されており、上面4aの所定位置に円錐形状の凹部4bが形成されている。凹部4bの開口部4c’は、ファイバーホルダ12が圧入されて外径が僅かに拡径した保護チューブ1の先端部1aが所定の長さ(数ミリメートル程度)にかつ僅かな隙間を存して入出可能に嵌挿される穴径とされている。
【0034】
そして、金型4の凹部4b内に耐薬品性に優れかつ透明なフッ素系樹脂部材5を投入して金型4を加熱して溶融し、図1(d)に示すように円錐形状をなしプリズムの機能を有する検出部材(以下「円錐プリズム部材」という)6を形成する。
【0035】
次いで、図1(e)に示すように保護チューブ1の先端部1aを金型4の開口部4c’内に垂直に挿入して溶融した円錐プリズム部材6に押し付け、保護チューブ1の先端部1aを円錐プリズム部材6の平面部(後面)6aの周縁部に溶融接合する。
【0036】
前述したようにフッ素系樹脂部材で形成された保護チューブ1の先端部1aと円錐プリズム部材6は通常の接着材では接着することができないため、円錐プリズム部材6を形成するフッ素系樹脂部材5を金型4の円錐形状の凹部4bに投入して溶融させた状態にして保護チューブ1の先端部1aを押し付けて液密に溶融接合する。従って、金型4を水平に設置し、上方から垂直に保護チューブ1の先端部1aを押し付けることが必要である。
【0037】
このとき、少なくとも保護チューブ1の先端部1aとファイバーホルダ12が圧入されている先端部近傍を金型4の上面4aに対して垂直に保持して金型4の凹部4bの開口部4c’に挿入すれば良く、保護チューブ1を全長に亘り垂直に保持する必要はない。従って、保護チューブ1や当該保護チューブ1内に挿通されている投光用光ファイバー7,8の残余の部分が垂れ下がったり或いは曲がったりしても問題はない。これにより、製造工程における作業性の向上及び高さ方向の空間部を高くする必要が無くなりスペースの有効利用を図ることが可能となる。
【0038】
また、ファイバーホルダ12の耐熱温度が保護チューブ1の耐熱温度よりも高いことで、保護チューブ1の先端部1aと円錐プリズム部材6の平面部6aの周縁部とを溶融接合する際にファイバーホルダ12が溶融することを防止することができる。
【0039】
図3に示すように金型4の凹部4b及び開口部4c’内には円錐プリズム部材6が溶融されており、保護チューブ1の先端部1a及びファイバーホルダ12の先端面12aを開口部4c’に挿入して円錐プリズム部材6の平面部6aに押し付けることにより、円錐プリズム部材6の平面部6aがファイバーホルダ9の先端面9a及び各レンズ13,14の先端面13a,14aに良好に密着する。また、溶融した円錐プリズム部材6の残余の分が保護チューブ1の外周面と型4の開口部4c’との間の僅かな隙間から矢印で示すようにオーバーフローして、当該保護チューブ1の外周面に付着するが後に除去される。
【0040】
従って、ファイバーホルダ12にレンズ13,14を組み付ける際にこれらレンズ13,14の先端面13a,14aがファイバーホルダ12の先端面12aから僅かに凹んでいるような場合、或いは保護チューブ1の先端部1aにファイバーホルダ12を圧入して組み付ける際に当該ファイバーホルダ12の先端面12aが保護チューブ1の先端部1aと面一にならずに僅かに凹んでいるような場合でも、円錐プリズム部材6の平面部6aにファイバーホルダ12の先端面12a、レンズ13,14の先端面13a,14aを密着させることができる。これにより、円錐プリズム部材6とレンズ13,14を良好に光結合することができる。
【0041】
次に、図1(e)に示すように金型4を冷却して円錐プリズム部材6及び当該円錐プリズム部材6と保護チューブ1との溶融接続部を冷却した後、図1(f)に示すように金型4から保護チューブ1と円錐プリズム部材6を引き抜く。そして、保護チューブ1の外周面に付着した前記円錐プリズム部材6の残余の樹脂部材が削り取られる。
【0042】
このようにして、保護チューブ1内に投光用光ファイバー7、受光用光ファイバー8が挿通され、先端部1a内に投光用光ファイバー7と受光用光ファイバー8の先端部を収容固定したファイバーホルダ12が圧入収容され、保護チューブ1の先端部1aに円錐プリズム部材6が液密に溶融接続されたファイバーセンサ15が形成される。
【0043】
ファイバーホルダ12は、保護チューブ1の先端部1aに圧入され、かつ先端面12aが円錐プリズム部材6の平面部6aに密着して固定されているために保護チューブ1の経年変化等に起因にして当該保護チューブ1内でガタ付いたり保護チューブ1から抜け出すことが確実に防止される。
【0044】
続いて、上述の工程で製造されたファイバーセンサ15の作用について説明する。
【0045】
図4は、上述したファイバーセンサ15を軸線方向に沿って切断した断面図である。なお、図4においてレンズ13,14及び円錐プリズム部材6は、光路を分かりやすくするためにハッチングを省いて描いてある。ファイバーセンサ15の先端の円錐プリズム部材6が空気中にあるときには投光用光ファイバー7から出射された光がレンズ13により収束されて円錐プリズム部材6に入射され、その光路が当該円錐プリズム部材6内で1点鎖線で示すように反射されてレンズ14に入射され、当該レンズ14により収束されて受光用光ファイバー8に入射する。
【0046】
一方、円錐プリズム部材6が液中にあるときには投光用光ファイバー7からレンズ13を通して出射された光の大部分が実線で示すように円錐プリズム部材6を透過して液中に出射されるために受光用光ファイバー8の受光量が大幅に低下する。従って、受光用光ファイバー8からの光の量の変化を電気的に検知することにより、ファイバーセンサ15の先端部即ち円錐プリズム部材6が空気中に存在するか或いは液中に沈んでいるかを判別して液面のレベルを検出することができる。
【0047】
続いて、本発明に係るファイバーセンサを構成するファイバーホルダの変形例について説明する。この変形例にかかるファイバーホルダ12’は、図5に示すように、その外径が保護チューブ1の内径と略同径とされて嵌挿可能とされており、外周面の所定位置に周方向沿って圧入部としての係止爪12g’が全周に亘り形成されている。係止爪12g’は、ファイバーホルダ12’の先端面12a’側から後端面12b’側に向かって略テーパ状をなして拡径されて立ち上がり、後端面が外周面に対して略垂直に立ち下がる鋸歯状をなし、かつ外径が保護チューブ1の内径よりも僅かに大径とされている。そして、図1(a),(b)の場合と同様にして保護チューブ1の先端部1a内にファイバーホルダ12’を圧入し、図1(c)〜図1(f)に示す製造方法と同様にしてファイバーセンサを製造する。
【0048】
係止爪12g’は、ファイバーホルダ12’の先端面12a’側から後端面12b’側に向かってテーパ状をなして拡径されて立ち上がり、かつ後端面が外周面に対して垂直に立ち下がる略鋸歯状をなし、かつ外径が保護チューブ1の内径よりも僅かに大径に形成されていることで、当該保護チューブ1の先端部1a内に圧入された後係止爪12g’により係止されて当該先端部1aから保護チューブ1内に奥深く入り込むことが防止される。
【0049】
なお、係止爪12g’は、外周面に周方向に沿って全周に亘り形成する必要はなく、少なくとも一部例えば間隔を存して複数形成するようにしても良い。即ち、ファイバーホルダは、図1に示したようにその外径を保護チューブ1の内径よりも僅かに大径としても良く、或いは図5に示したように外周面の少なくとも一部に保護チューブ1の内径よりも大きい外径をなす圧入部(係止爪)を形成し、保護チューブ1の先端部1a内に圧入するように形成すれば良い。
【0050】
なお、上記実施形態においては検出部材の形状を円錐形状としたがこれに限るものではなく、他の形状例えば平板状とすることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係るファイバーセンサの製造方法の説明図である。
【図2】図1に示したファイバーセンサのファイバーホルダと投光用光ファイバー及び受光用光ファイバーの断面図である。
【図3】図1(e)に示した製造工程におけるファイバーホルダと円錐プリズム部材との溶融接続の拡大断面図である。
【図4】図1に示した製造方法により製造した本発明に係るファイバーセンサの作用を説明する断面図である。
【図5】図1(a)及び図2に示したファイバーホルダの変形例を示す断面図である。
【図6】従来の液面検出センサ(ファイバーセンサ)に使用する保護チューブの先端部に円錐プリズム部材を溶融接合する製造方法の説明図である。
【図7】図6に示した製造方法で製造した先端部に円錐プリズム部材を有する保護チューブ内に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーの一端部を収容固定したファイバーホルダ及び投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを収容固定して液面検出センサを製造する方法の説明図である。
【符号の説明】
【0052】
1 保護チューブ
1a 先端部
2 金属棒
2a 先端面
4 金型
4a 上面
4b 円錐形状の凹部
4c,4c’ 凹部4bの開口部
5 フッ素系樹脂部材
6 円錐プリズム部材(検出部材)
6a 平面部
7 投光用光ファイバー
7A コア
7B 被覆
7a コア7Aの先端面
8 受光用光ファイバー
8A コア
8B 被覆
8a コア8Aの先端面
9 ファイバーホルダ
9a 先端面
10 抜け止めリング
11 液面検出センサ(ファイバーセンサ)
12,12’ ファイバーホルダ
12a,12a’ 先端面
12b,12b’ 後端面
12c 長円形の穴
12d,12e 穴
12g’ 係止爪
13,14 レンズ(セルフフォーカスレンズ)
13a,14a 先端面
13b,14b 後端面
15 ファイバーセンサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素系樹脂部材からなり内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを挿通させて収容する保護チューブと、
前記保護チューブの耐熱温度よりも高い耐熱温度を有する耐熱部材からなり、前記各光ファイバーの一側端部を収容して固定し、かつ外周面の少なくとも一部に前記保護チューブの内径よりも大きい外径の圧入部が形成され、前記保護チューブの一側開口端部に圧入されるファイバーホルダと、
フッ素系樹脂部材からなり前記保護チューブの一側開口端部に液密状態に接合され、前記投光用光ファイバーから投光された光を前記受光用光ファイバーに導く光路を形成する検出部材とを備えたことを特徴とするファイバーセンサ。
【請求項2】
フッ素系樹脂部材からなり内部に投光用光ファイバーと受光用光ファイバーを挿通させて収容する保護チューブの耐熱温度よりも高い耐熱温度を有し、外周面の少なくとも一部に前記保護チューブの内径よりも大きい外径の圧入部が形成された耐熱部材からなるファイバーホルダに前記各光ファイバーの各一側端部を収容させて固定し、
前記保護チューブの一側開口端部から前記各光ファイバーの他側端部を挿入し、かつ前記ファイバーホルダを前記保護チューブの前記一側開口端部に圧入し、
その後フッ素系樹脂部材からなり前記保護チューブの一側開口端部に前記投光用光ファイバーから投光された光を前記受光用光ファイバーに導く光路を形成する検出部材を液密状態に接合することを特徴とするファイバーセンサの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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