ファイル転送装置およびその制御方法
【課題】 記憶媒体の空き容量が少ない状況にあるときには、そのことをユーザが認識できるようにする。
【解決手段】 実施形態のファイル転送装置は、記憶デバイス、判定ユニットおよび通知ユニット。記憶ユニットは、ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶する。判定ユニットは、領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する。通知ユニットは、判定ユニットにより不足状態であると判定されたことに応じて、その旨をユーザに対して通知する。
【解決手段】 実施形態のファイル転送装置は、記憶デバイス、判定ユニットおよび通知ユニット。記憶ユニットは、ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶する。判定ユニットは、領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する。通知ユニットは、判定ユニットにより不足状態であると判定されたことに応じて、その旨をユーザに対して通知する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ファイル転送装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや複合機(multi function peripheral:MFP)などの情報端末がNGN(next generation network)などの通信ネットワークを利用してファイルの転送を行うことを可能とするファイル転送装置は、ネットワークアダプタや、あるいは単にアダプタと呼ばれて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−107983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アダプタは、記憶媒体を内蔵し、転送対象となるファイルを記憶媒体に記憶する。記憶媒体の記憶容量は有限であるため、ファイルの書き込み途中に記憶媒体の空きが無くなり、ファイルの書き込みを中断することがある。そしてこの場合には、記憶媒体の空き領域を確保した上で、ファイルの取得を最初からやり直す。
【0005】
このような事情から、記憶媒体の空き容量が少ない状況にあるときには、そのことをユーザが認識できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のファイル転送装置は、記憶デバイス、判定ユニットおよび通知ユニット。記憶ユニットは、ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶する。判定ユニットは、領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する。通知ユニットは、判定ユニットにより不足状態であると判定されたことに応じて、その旨をユーザに対して通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係るアダプタの構成とこのアダプタが含まれる通信システムの構成とを示すブロック図。
【図2】図1中のコントローラによる第1の実施形態における処理のフローチャート。
【図3】アラームメールの一例を示す図。
【図4】アラームメールの一例を示す図。
【図5】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図6】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図7】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図8】図1中のコントローラによる第2の実施形態における処理のフローチャート。
【図9】図1中のコントローラによる第2の実施形態における処理のフローチャート。
【図10】履歴データの内容の一例を模式的に示す図。
【図11】図1中のコントローラによる第3の実施形態における処理のフローチャート。
【図12】図1中のコントローラによる第4の実施形態における処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態に係るファイル転送装置について説明する。なお、ファイル転送装置は、以下においては、アダプタと記すこととする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成とを示すブロック図である。
【0010】
図1に示す通信システムは、アダプタ1,2,3,4,5、ゲートウェイ(以下、G/Wと記す)6,7,8,9,10、複合機(以下、MFPと記す)11,12,13、コンピュータ14,15,16,17、プリンタ18,19、LAN20,21,22,23,24およびNGN25を含む。
【0011】
アダプタ1、G/W6、MFP11およびコンピュータ14は、LAN20に接続されている。アダプタ1は、MFP11およびコンピュータ14がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0012】
アダプタ2、G/W7、MFP12およびコンピュータ15は、LAN21に接続されている。アダプタ2は、MFP12およびコンピュータ15がNGN25を介して通信するための処理を行う。プリンタ18はコンピュータ15に接続されている。
【0013】
アダプタ3、G/W8およびコンピュータ16は、LAN22に接続されている。アダプタ3は、コンピュータ16がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0014】
アダプタ4、G/W9、MFP13は、LAN23に接続されている。アダプタ4は、MFP13がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0015】
アダプタ5、G/W10、コンピュータ17およびプリンタ19は、LAN24に接続されている。アダプタ5は、コンピュータ17がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0016】
G/W6,7,8,9,10は、LAN20,21,22,23,24のほかに、NGN25にも接続される。G/W6,7,8,9,10は、LAN20,21,22,23,24とNGN25との間の各種の条件の違いを整合させるための種々の周知の処理を行い、アダプタ1がNGN25を介して通信することを可能とする。
【0017】
MFP11,12,13およびコンピュータ14,15,16,17は、アダプタ1,2,3,4,5によってNGN25を介して転送されるコンピュータファイル(以下、ファイルと記す)を取得したり、あるいは処理したりする端末として機能する。MFP11,12,13はプリントデバイスを内蔵し、アダプタ1,2,3,4,5からの要求に応じて画像をプリントするプリンタとして機能する。
【0018】
プリンタ18は、コンピュータ15からの要求に応じて画像をプリントする。
【0019】
プリンタ19は、コンピュータ17およびアダプタ5からの要求に応じて画像をプリントする。
【0020】
NGN25では、オーディオモード、ビデオモードおよびアプリケーションモードを選択的に使用できる。オーディオモードは、音声通信を行うためのモードである。ビデオモードは、動画通信を行うためのモードである。アプリケーションモードは、任意のディジタルデータを高速に伝送するモードである。
【0021】
アダプタ1は、LANインタフェース(以下、I/Fと記す)1a、プロトコル処理部1b、記憶デバイス1cおよびコントローラ1dを含む。そしてこれらの各部は、バス1eに接続されている。
【0022】
I/F1aは、LAN20を介してG/W2、MFP11およびコンピュータ14などとデータを授受するための各種の周知の処理を行う。
【0023】
プロトコル処理部1bは、NGN25での通信のために規定されたプロトコル(例えばRFC3261)を実行するための処理を行う。
【0024】
記憶デバイス1cは、各種のデータを記憶する。記憶デバイス1cは、半導体メモリまたはハードディスクドライブなどの周知のデバイスを任意に適用できる。
【0025】
コントローラ1dは、後述するようにアダプタ1の各部を制御する。
【0026】
アダプタ2,3,4,5は、アダプタ1と同様な構成であっても良いし、アダプタ1とは異なる構成であっても良い。
【0027】
次にアダプタ1の動作について説明する。
【0028】
コントローラ1dは、記憶デバイス1cの記憶領域の一部を送信バッファとして、また別の一部を受信バッファとしてそれぞれ使用する。
【0029】
送信バッファは、送信ファイルを保存する。送信ファイルは、MFP11で原稿をスキャンして得られたスキャンデータやコンピュータ14が保持しているファイルなどである。コントローラ1dは、MFP11からLAN20を介して送られてきたスキャンデータをI/F1aおよびバス1eを介して記憶デバイス1cへと与え、送信バッファに送信ファイルとして保存する。コントローラ1dは、コンピュータ14からLAN20を介して送られてきたファイルをI/F1aおよびバス1eを介して記憶デバイス1cへと与え、送信バッファに送信ファイルとして保存する。
【0030】
なおコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から送信先アドレスが指定された場合には、その送信先アドレスと関連付けて送信ファイルを管理する。またコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から送信ボックスが指定された場合には、送信バッファ内に物理的または論理的に設けた送信ボックスに送信ファイルを保存する。
【0031】
またコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から階層構造になった複数のファイルが送られてきた場合には、この複数のファイルを階層構造を維持したままで送信バッファに保存する。
【0032】
コントローラ1dは、階層構造になった複数の送信ファイルについては、それら複数の送信ファイルの全てを含むフォルダ全体をzipファイルフォーマット(以下、zipと記す)に変換する。また、パスワード付きでの送信が要求されている送信ファイルについては、その送信ファイルと付加情報とを含んだフォルダ全体をzipに変換する。なお、コントローラ1dは、送信ファイルをzipに変換する場合、適宜の圧縮アルゴリズムを使用して送信ファイルを圧縮することもある。このように送信ファイルを処理した場合にコントローラ1dは、処理後の送信ファイルを処理前の送信ファイルとは別に送信バッファに保存する。かくして、MFP11またはコンピュータ14から送られる送信ファイルのサイズの1〜2.5倍程度のサイズの空き領域が送信バッファに必要となる。
【0033】
コントローラ1dは、未処理の送信ファイルまたは上記のように処理した送信ファイルを含み、かつNGN25の規格に準拠した転送情報を生成し、この転送情報をNGN25へと送出する。具体的には、コントローラ1dは、送信ファイルに関連付けられた送信先アドレスまたは送信ファイルが保存された送信ボックスに予め関連付けられた送信先アドレスへと転送情報を転送するようにプロトコル処理部1bに指示する。この指示を受けてプロトコル処理部1bは、RFC3261などのプロトコルに従って、上記の送信先アドレスへと転送情報を転送する。このとき転送情報は、I/F1a、LAN20およびG/W6を介してNGN25へと送出される。このときにコントローラ1dは、少なくとも転送情報の送信完了が確認できるまでは、送信ファイルを送信バッファに保存しておく。そして転送情報の送信完了が確認でき、かつ送信バッファからの削除が許容されているならば、送信ファイルを送信バッファから削除する。
【0034】
一方、アダプタ2,3,4,5のいずれか、またはその他のアダプタによってアダプタ1を送信先としてNGN25へと送出された転送情報は、G/W6およびLAN20を介してアダプタ1に与えられる。そうするとアダプタ1は、転送情報からファイルを取り出し、これを受信ファイルとして受信バッファに保存する。コントローラ1dは、受信ファイルがzipである場合には、それを解除する。そしてzipを解除した受信ファイルを、zipのままの受信ファイルとは別に受信バッファに保存する。かくして、NGN25から転送される転送情報のサイズの数倍のサイズの空き領域が受信バッファに必要となる。
【0035】
コントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14を予め定められたルールに従って選択し、受信ファイルを送る。このときにコントローラ1dは、少なくとも受信ファイルがMFP11またはコンピュータ14で正しく受け取られたことが確認できるまでは、受信ファイルを受信バッファに保存しておく。そして正しく受け取られたことが確認でき、かつ受信バッファからの削除が許容されているならば、受信ファイルを受信バッファから削除する。
【0036】
以上がアダプタ1の基本的な動作であるが、このような動作の中で送信バッファおよび受信バッファには、それぞれ複数件分のファイルが保存されていることがある。また、1件分のファイルのサイズも様々である。このようなことから、送信バッファおよび受信バッファのそれぞれの空き容量は、様々に変化する。
【0037】
そこでコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図2に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0038】
アクトAa1においてコントローラ1dは、送信バッファの空き容量空き容量RC1と記す)が予め定められた閾値TH1以下であるか否かを確認する。ここでNOと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa1からアクトAa2へ進む。
【0039】
アクトAa2においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、第1のアラームフラグは、送信バッファの空き容量が閾値TH1よりも大きいときにオフ状態である。
【0040】
一方、アクトAa1においてYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa1からアクトAa3へ進む。
【0041】
アクトAa3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。ここでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa3からアクトAa4へと進む。
【0042】
アクトAa4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、第1のアラームフラグは、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下であるときにオフ状態である。
【0043】
アクトAa5においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。エラーログデータは、アダプタ1の動作に関わるエラーの履歴を表すデータであり、記憶デバイス1cに保存される。具体的には、アクトAa5においてコントローラ1dは、現在の時刻および送信バッファの空き容量が少なくなったことを表すエラーコードなどを関連付けたデータレコードをエラーログデータに追加する。
【0044】
アクトAa6においてコントローラ1dは、アラームメールを予め定められた通報先アドレスを送信先として送信する。通報先アドレスは任意に定められれば良いが、典型的にはアダプタ1の管理者に割り当てられたアドレスとされる。
【0045】
ここで送信するアラームメールは、送信バッファの空き容量が少ないことを通報する内容のメッセージを含んだ電子メールである。図3はアクトAa6で送信されるアラームメールの一例を示す。
【0046】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAa7へ進む。アクトAa3でNOと判定したとき、あるいはアクトAa6を終えたときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAa4乃至アクトAa6を行うことなくアクトAa7へ進む。
【0047】
アクトAa7においてコントローラ1dは、受信バッファの空き容量(以下、空き容量RC2と記す)が予め定められた閾値TH2以下であるか否かを確認する。ここでNOと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa7からアクトAa8へ進む。
【0048】
アクトAa8においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、第2のアラームフラグは、受信バッファの空き容量が閾値TH2よりも大きいときにオフ状態である。
【0049】
一方、アクトAa7においてYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa7からアクトAa9へ進む。
【0050】
アクトAa9においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。ここでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa9からアクトAa10へと進む。
【0051】
アクトAa10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、第2のアラームフラグは、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下であるときにオフ状態である。
【0052】
アクトAa11においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。具体的にはコントローラ1dは、現在の時刻および受信バッファの空き容量が少なくなったことを表すエラーコードなどを関連付けたデータレコードをエラーログデータに追加する。
【0053】
アクトAa12においてコントローラ1dは、アラームメールを通報先アドレスを送信先として送信する。
【0054】
ここで送信するアラームメールは、受信バッファの空き容量が少ないことを通報する内容のメッセージを含んだ電子メールである。図4はアクトAa12で送信されるアラームメールの一例を示す。
【0055】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図2に示す管理処理を終了する。アクトAa9でNOと判定したとき、あるいはアクトAa8を終えたときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAa10乃至アクトAa12を行うことなく図2に示す管理処理を終了する。
【0056】
ところで、コンピュータ14からのファイル送信の要求を受けるに当たってコントローラ1dは、そのファイル送信に関する条件をコンピュータ14のオペレータに指定させるためのユーザインタフェース画面(以下、UI画面と記す)を表したデータをコンピュータ14へと与える。そうするとコンピュータ14は、UI画面を表示する。さらにコンピュータ14は、UI画面に従ってオペレータにより指定された条件をアダプタ1に通知する。UI画面を表したデータは、典型的にはhypertext markup language(HTML)ファイルである。そしてコンピュータ14は、汎用のブラウザ機能によりUI画面を表示する。
【0057】
FIGs.5,6はUI画面を表す。
【0058】
図5に示すUI画面50は、第1のアラームフラグがオフであるときのものである。図6に示すUI画面60は、第1のアラームフラグがオンであるときのものである。
【0059】
UI画面60は、UI画面50に対してメッセージ61を追加したものである。メッセージ61は、送信バッファの空き容量が少ないことをコンピュータ14のオペレータに警告する。
【0060】
UI画面50,60は、タブ51を含む。タブ51がクリックされると、そのことがコンピュータ14からアダプタ1に通知される。これに応じてコントローラ1dは、図7に示すUI画面70を表したデータをコンピュータ14へと与える。そうするとコンピュータ14は、UI画面70を表示する。ただし、初期のUI画面70は、領域71,72に表される文字列を含まず、ボタン73を含む。
【0061】
ボタン73がクリックされたことに応じてコントローラ1dは、UI画面70を、領域71に表される文字列を含むように更新する。さらに文字列74がクリックされたことに応じてコントローラ1dは、UI画面70を、領域72に表される文字列を含むように更新する。コントローラ1dは、領域72に表す文字列をエラーログデータに基づいて生成する。従って、アクトAa5またはアクトAa11で追加されたデータレコードがエラーログデータに含まれるならば、そのデータレコードが表すエラーの内容が例えば図7に示すようにUI画面70中に表される。
【0062】
なお、UI画面50,60,70は、タブ52を含む。タブ52がクリックされると、そのことがコンピュータ14からアダプタ1に通知される。これに応じてコントローラ1dは、受信バッファに保存されているファイルについての一覧画像を含んだUI画面を生成する。このUI画面は例えば、第2のアラームフラグがオフであるときには、UI画面50における領域53内の画像を一覧画像に置き換えた画面であり、第2のアラームフラグがオンであるときには、UI画面60における領域62内の画像を一覧画像に置き換えるとともに、メッセージ61を受信バッファの空き容量が少ないことをコンピュータ14のオペレータに警告するものに置き換えた画面である。このメッセージは、例えば「受信データ領域が不足しています。」である。
【0063】
MFP11がブラウザ機能を有するならば、各種のUI画面をMFP11において表示させることもできる。
【0064】
なお、閾値TH1は、記憶デバイス1cにおいて送信バッファに割り当てられた領域のサイズよりも小さい0以外の任意の数値であって良い。閾値TH2は、記憶デバイス1cにおいて受信バッファに割り当てられた領域のサイズよりも小さい0以外の任意の数値であって良い。例えば、閾値TH1を100Mバイトとし、閾値TH2を200Mバイトとすることが想定される。第1および閾値TTH1,TH2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0065】
以上のように第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなるか、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなると、そのことがアラームメールによって予め定められた通報先に通報される。従って、通報先の例えば管理者などは、送信バッファや受信バッファの空き容量が少なくなっていることを速やかに認識できる。そして管理者などが適切な処置を講ずることにより、送信バッファまたは受信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファや受信バッファに保存されている不要なファイルを削除することである。
【0066】
また第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなるか、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなると、そのことがエラーログに記録される。そして、エラーログは、コンピュータ14のオペレータの要求に応じてコンピュータ14にて表示される。従って、コンピュータ14のオペレータは、送信バッファおよび受信バッファの空き容量の減少に関する過去の傾向を把握することが可能である。そしてオペレータが適切な処置を講ずることにより、送信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が少なくなる可能性の高いタイミングに先立って、送信バッファまたは受信バッファに保存された不要なファイルを削除したり、送信バッファの空き容量が少なくなる可能性の高い時間帯での送信を避けたりすることである。
【0067】
また第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなっていることを、ファイル送信に関する条件の指定のためのUI画面において表示し、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなっていることを、受信ファイルの一覧画像を含んだUI画面において表示する。従って、ファイルの送信を行おうとして、あるいは受信ファイルを取り扱おうとしてUI画面を目視したオペレータは、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が第1または閾値TH2以下まで少なくなっているときにはそのことを容易に認識できる。そしてオペレータが適切な処置を講ずることにより、送信バッファまたは受信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファや受信バッファに保存されている不要なファイルを削除することや、新たな送信の実行を延期することである。
【0068】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0069】
第2の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが第1の実施形態と同様な処理に加えて、以下に説明する処理を実行することにある。
【0070】
コントローラ1dは図2中のアクトAa4において第1のアラームフラグをオンしたことに応じて、図2とは別タスクで図8に示す処理を開始する。
【0071】
アクトAb1においてコントローラ1dは、第1のタイマを起動する。第1のタイマは、起動されてからの経過時間を予め定められた待機時間ST1まで計測する。待機時間ST1は任意であって良いが、典型的には数分程度である。待機時間ST1は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。第1のタイマは例えば、その他の処理とは別タスクのコントローラ1dの処理として実現できる。
【0072】
アクトAb2およびアクトAb3においてコントローラ1dは、第1のタイマがタイムアウトするか、あるいは第1のアラームフラグがオフとなるのを待ち受ける。第1のタイマがタイムアウトするのよりも早く第1のアラームフラグがオフとなったならば、コントローラ1dはアクトAb3でYESと判定し、図8に示す処理を終了する。
【0073】
さて、第1のアラームフラグがオンである状態が待機時間ST1に渡り継続すると、第1のタイマがタイムアウトするため、コントローラ1dはアクトAb2においてYESと判定する。そしてこの場合にコントローラ1dは、アクトAb2からアクトAb4へ進む。
【0074】
アクトAb4においてコントローラ1dは、送信バッファに保存されているファイルのうちで図8に示す処理を開始してから今までに未選択の1つを選択する。なお、以下においては、ここで選択したファイルを選択ファイルと記す。
【0075】
アクトAb5においてコントローラ1dは、選択ファイルの送信が完了しているか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAb5にてYESと判定したならばアクトAb6へ進み、NOと判定したならばアクトAb7へ進む。
【0076】
アクトAb6においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファに保存してある期間(以下、保存期間SPと記す)が予め定められた期限TL1以上であるか否かを判断する。またアクトAb7においてコントローラ1dは、保存期間SPが予め定められた期限TL2以上であるか否かを判断する。そして、アクトAb6およびアクトAb7のいずれかでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAb8へ進む。期限TL1および期限TL2はそれぞれ任意に定められて良いが、典型的には期限TL1よりも期限TL2が長く定められる。一例としては、期限TL1は1日であり、期限TL2は30日である。第1および期限TL1,TL2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0077】
アクトAb8においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファから削除する。つまりコントローラ1dは、送信が完了しており、かつ保存期間SPが期限TL1を過ぎているファイルと、送信が完了していないものの保存期間SPが期限TL2を過ぎているファイルとを送信バッファから削除する。
【0078】
選択ファイルの削除を終えたならばコントローラ1dは、アクトAb9へ進む。コントローラ1dは、アクトAb6またはアクトAb7においてNOと判定した場合には、アクトAb8を実行することなくアクトAb9へ進む。つまりコントローラ1dは、上述した条件のいずれにも合致しないファイルは受信バッファに残す。
【0079】
アクトAb9においてコントローラ1dは、送信バッファに記憶された全てのファイルを選択済みであるか否かを確認する。もし、アクトAb9でNOと判定したならば、コントローラ1dはアクトAb4以降の処理を繰り返す。そして、アクトAb9でYESと判定したならばコントローラ1dは、図8の処理を終了する。
【0080】
一方でコントローラ1dは、図2中のアクトAa10において第2のアラームフラグをオンしたことに応じて、図2および図8とは別タスクで図9に示す処理を開始する。
【0081】
アクトAc1においてコントローラ1dは、第2のタイマを起動する。第2のタイマは、起動されてからの経過時間を予め定められた待機時間ST2まで計測する。待機時間ST2は任意であって良いが、典型的には数分程度である。待機時間ST2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。第2のタイマは例えば、その他の処理とは別タスクのコントローラ1dの処理として実現できる。
【0082】
アクトAc2およびアクトAc3においてコントローラ1dは、第2のタイマがタイムアウトするか、あるいは第2のアラームフラグがオフとなるのを待ち受ける。第2のタイマがタイムアウトするのよりも早く第2のアラームフラグがオフとなったならば、コントローラ1dはアクトAc3でYESと判定し、図9に示す処理を終了する。
【0083】
さて、第2のアラームフラグがオンである状態が待機時間ST2に渡り継続すると、第2のタイマがタイムアウトするため、コントローラ1dはアクトAc2においてYESと判定する。そしてこの場合にコントローラ1dは、アクトAc2からアクトAc4へ進む。
【0084】
アクトAc4においてコントローラ1dは、受信バッファに保存されているファイルのうちで図9に示す処理を開始してから今までに未選択の1つを選択する。なお、以下においては、ここで選択したファイルを選択ファイルと記す。
【0085】
アクトAc5においてコントローラ1dは、選択ファイルの印刷が完了しているか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAc5にてYESと判定したならばアクトAc6へ進む。
【0086】
アクトAc6においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファに保存してある期間(以下、保存期間SPと記す)が予め定められた期限TL3以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc6にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL3は任意に定められて良い。一例としては、期限TL3は1日である。期限TL3は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0087】
コントローラ1dは、選択ファイルが未印刷であるためにアクトAc5にてNOと判定したならばアクトAc7へ進む。
【0088】
アクトAc7においてコントローラ1dは、選択ファイルが閲覧済みであるか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAc7にてYESと判定したならばアクトAc8へ進む。
【0089】
アクトAc8においてコントローラ1dは、選択ファイルの保存期間SPが予め定められた期限TL4以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc8にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL4は任意に定められて良いが、典型的には期限TL3よりも期限TL4が長く定められる。一例としては、期限TL4は30日である。期限TL4は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0090】
コントローラ1dは、選択ファイルが未閲覧であるためにアクトAc7にてNOと判定したならばアクトAc9へ進む。
【0091】
アクトAc9においてコントローラ1dは、選択ファイルの保存期間SPが予め定められた期限TL5以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc9にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL5は任意に定められて良いが、典型的には第3および期限TL4よりも期限TL5が長く定められる。一例としては、期限TL5は90日である。期限TL5は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0092】
アクトAc10においてコントローラ1dは、選択ファイルを受信バッファから削除する。つまりコントローラ1dは、印刷済みであり、かつ保存期間SPが期限TL3を過ぎているファイル、未印刷であるが閲覧済みであり、かつ保存期間SPが期限TL4を過ぎているファイル、ならびに印刷および閲覧のいずれもなされていないが、保存期間SPが期限TL5を過ぎているファイルを受信バッファから削除する。
【0093】
選択ファイルの削除を終えたならばコントローラ1dは、アクトAc11へ進む。コントローラ1dは、アクトAc6、アクトAc8またはアクトAc9においてNOと判定した場合には、アクトAc10を実行することなくアクトAc11へ進む。つまりコントローラ1dは、上述した条件のいずれにも合致しないファイルは受信バッファに残す。
【0094】
アクトAc11においてコントローラ1dは、送信バッファに記憶された全てのファイルを選択済みであるか否かを確認する。もし、アクトAc11でNOと判定したならば、コントローラ1dはアクトAc4以降の処理を繰り返す。そして、アクトAc11でYESと判定したならばコントローラ1dは、図9の処理を終了する。
【0095】
以上のように第2の実施形態によれば、第1のアラームフラグがオンになってから一定時間のうちに第1のアラームフラグがオフに戻らなければ、送信バッファに保存されたファイルのうちのある条件に合致するファイルが自動的に削除される。また第2のアラームフラグがオンになってから一定時間のうちに第2のアラームフラグがオフに戻らなければ、受信バッファに保存されたファイルのうちのある条件に合致するファイルが自動的に削除される。従って、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が少なくなった場合には、その空き容量の拡大が自動的に行われる。そして第2の実施形態によれば、第1または第2のアラームフラグがオンとなってから一定時間が経過するまではファイルの自動削除はしないので、その期間中に管理者などが個々のファイルの要否を考慮してファイルの削除を行うことができる。
【0096】
第2の実施形態によれば、ファイルの状態に応じて自動削除を行うまでの期間を異ならせているので、より不要である可能性の高いファイルを自動削除し、必要である可能性のあるファイルをなるべく残すことが可能である。
【0097】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
第3の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが図2に示す処理に代えて、以下に説明する処理を実行することにある。なお、第3の実施形態においても、コントローラ1dが第2の実施形態と同様な処理をさらに実行しても良い。
【0099】
コントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に、記憶デバイス1cに記憶された履歴データを更新する。
【0100】
図10は履歴データの内容の一例を模式的に示す図である。
【0101】
図10に示す履歴データは、本日および30日前までの各日のそれぞれについて、毎正時における送信バッファおよび受信バッファの使用量を記述したものである。各欄の“,”より左側の数値が送信バッファの使用量を表し、右側の数値が受信バッファの使用量を表す。なお図10においては、使用量は各バッファの総容量に対する使用中領域の容量の割合をパーセンテージにより表している。
【0102】
コントローラ1dは、履歴データが上記のようなものである場合には、毎正時に履歴データを更新する。具体的にはコントローラ1dは各日の0時には、本日および29日前までの各値を、おのおのの1日前の値とするとともに、本日の0時の欄の値をその時点における送信バッファおよび受信バッファの使用量とし、本日の0時以外の各値をいずれもnull値(図10では“−”で表す)とする。またコントローラ1dは0時以外の毎正時には、本日についての現時刻に対応した欄の値をその時点における送信バッファおよび受信バッファの使用量とする。
【0103】
以上の処理とは別にコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図11に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの使用量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0104】
アクトAd1においてコントローラ1dは、現時点における送信バッファの使用量(以下、使用量UA1と記す)が平均値AV1よりも大きいか否かを確認する。平均値AV1は、現時点が属する時間区分における送信バッファの使用量の1日前から30日前までの間の平均値である。時間区分とは毎正時から始まる1時間の期間を指す。そして各時間区分に含まれる正時に関して履歴データに記述されている値をその時間区分に関する使用量とする。つまりコントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの1日前から30日前までの各日についての9時の欄に送信バッファに関して記述された各値の平均値を求めて、これを平均値AV1とする。なお、時間区分は、例えば8時31分〜9時30分までを1つの時間区分とし、9時の欄に記述された値をその時間区分の使用量とするなどのように任意に変更が可能である。そしてコントローラ1dは、このアクトAd1にてYESと判定したならば、アクトAd2へ進む。
【0105】
アクトAd2においてコントローラ1dは、差D1が送信バッファの空き容量(以下、空き容量RC1と記す)よりも大きいか否かを確認する。なお、コントローラ1dは、使用量UA1から平均値AV1を減じることによって差D1を求める。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAd4へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAd1およびアクトAd2のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAd3へ進む。
【0106】
以上によりアクトAd1およびアクトAd2においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAd4へ進み、成立しない場合にはアクトAd3へ進む。
【0107】
(1) 現時点における送信バッファの使用量が同時間区分の過去1ヶ月間の使用量の平均値よりも大きい。
【0108】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の送信バッファの空き容量よりも大きい。
【0109】
そして、アクトAd3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0110】
これに対してアクトAd4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAd5へ進む。
【0111】
アクトAd5においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0112】
アクトAd6においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa5と同じである。
【0113】
アクトAd7においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa6と同じである。
【0114】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAd8へ進む。アクトAd3を終えたとき、あるいはアクトAd4でNOと判定したときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAd5乃至アクトAd7を行うことなくアクトAd8へ進む。
【0115】
アクトAd8においてコントローラ1dは、現時点における受信バッファの使用量(以下、使用量UA2と記す)が平均値AV2よりも大きいか否かを確認する。平均値AV2は、現時点が属する時間区分における受信バッファの使用量の1日前から30日前までの間の平均値である。そしてコントローラ1dは、このアクトAd8にてYESと判定したならば、アクトAd9へ進む。
【0116】
アクトAd9においてコントローラ1dは、差D2が受信バッファの空き容量(以下、空き容量RC2と記す)よりも大きいか否かを確認する。なお、コントローラ1dは、使用量UA2から平均値AV2を減じることによって差D2を求める。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAd11へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAd8およびアクトAd9のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAd10へ進む。
【0117】
以上によりアクトAd8およびアクトAd9においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAd11へ進み、成立しない場合にはアクトAd10へ進む。
【0118】
(1) 現時点における受信バッファの使用量が同時間区分の過去1ヶ月間の使用量の平均値よりも大きい。
【0119】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の受信バッファの空き容量よりも大きい。
【0120】
そして、アクトAd10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0121】
これに対してアクトAd11においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAd12へ進む。
【0122】
アクトAd12においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0123】
アクトAd13においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa11と同じである。
【0124】
アクトAd14においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa12と同じである。
【0125】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図11の処理を終了する。アクトAd10を終えたとき、あるいはアクトAd11でNOと判定したときにコントローラ1dは、アクトAd5乃至アクトAd7を行うことなく図11の処理を終了する。
【0126】
以上のように第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が達成される。
【0127】
さらに第3の実施形態によれば、過去における送信バッファおよび受信バッファの使用状況を考慮して送信バッファおよび受信バッファの空き容量が不足しているか否かを判断しているので、実際の利用状況に応じた適切なタイミングでアラームを発することができる。
【0128】
具体的には、現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「70」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立しないので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「50」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、1つの条件のみが成立するので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「10」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立するので、第1のアラームフラグはオンとされる。すなわち、現在の送信バッファの使用量がいずれも同じ「60」でありながら、過去1ヶ月間の使用量の平均値に応じて第1のアラームフラグの状態が変化するのである。
【0129】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0130】
第4の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが図2に示す処理に代えて、以下に説明する処理を実行することにある。なお、第4の実施形態においても、コントローラ1dが第2の実施形態と同様な処理をさらに実行しても良い。
【0131】
コントローラ1dは、第3の実施形態と同様に、記憶デバイス1cに記憶された履歴データを更新する。
【0132】
またコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図12に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの使用量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0133】
アクトAe1においてコントローラ1dは、変化量V1が平均値AV1よりも大きいか否かを確認する。ここで変化量V1は、現時点が属する時間区分の1つ前の時間区分における送信バッファの使用量に対する現時点における送信バッファの使用量の変化量である。平均値AV1は、上記の変化量の1日前から30日前までの間の平均値である。コントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの本日9時の欄に送信バッファに関して記述された値から本日8時の欄に送信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量V1を求める。また、1日前から30日前までの各日について、9時の欄に送信バッファに関して記述された値から8時の欄に送信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量を求めて、さらにこれにより1日前から30日前までの各日について求まる変化量の平均値として平均値AV1を求める。そしてコントローラ1dは、このアクトAe1にてYESと判定したならば、アクトAe2へ進む。
【0134】
アクトAe2においてコントローラ1dは、変化量V1が送信バッファの空き容量空き容量RC1RC1よりも大きいか否かを確認する。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAe4へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAe1およびアクトAe2のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAe3へ進む。
【0135】
以上によりアクトAe1およびアクトAe2においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAe4へ進み、成立しない場合にはアクトAe3へ進む。
【0136】
(1) 本日における直前1〜2時間での送信バッファの使用量の変化量が現時間区分より1つ前の時間区分から現時間区分までの送信バッファの使用量の変化量の過去1ヶ月間の平均値よりも大きい。
【0137】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の送信バッファの空き容量よりも大きい。
【0138】
そして、アクトAe3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0139】
これに対してアクトAe4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAe5へ進む。
【0140】
アクトAe5においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0141】
アクトAe6においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa5と同じである。
【0142】
アクトAe7においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa6と同じである。
【0143】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAe8へ進む。アクトAe3を終えたとき、あるいはアクトAe4でNOと判定したときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAe5乃至アクトAe7を行うことなくアクトAe8へ進む。
【0144】
アクトAe8においてコントローラ1dは、変化量V2が平均値AV2よりも大きいか否かを確認する。ここで変化量V2は、現時点が属する時間区分の1つ前の時間区分における受信バッファの使用量に対する現時点における受信バッファの使用量の変化量である。平均値AV2は、上記の変化量の1日前から30日前までの間の平均値である。コントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの本日9時の欄に受信バッファに関して記述された値から本日8時の欄に受信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量V2を求める。また、1日前から30日前までの各日について、9時の欄に受信バッファに関して記述された値から8時の欄に受信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量を求めて、さらにこれにより1日前から30日前までの各日について求まる変化量の平均値として平均値AV2を求める。そしてコントローラ1dは、このアクトAe8にてYESと判定したならば、アクトAe9へ進む。
【0145】
アクトAe9においてコントローラ1dは、変化量V2が受信バッファの空き容量空き容量RC2RC2よりも大きいか否かを確認する。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAe11へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAe8およびアクトAe9のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAe10へ進む。
【0146】
以上によりアクトAe8およびアクトAe9においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAe11へ進み、成立しない場合にはアクトAe10へ進む。
【0147】
(1) 本日における直前1〜2時間での受信バッファの使用量の変化量が現時間区分より1つ前の時間区分から現時間区分までの受信バッファの使用量の変化量の過去1ヶ月間の平均値よりも大きい。
【0148】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の受信バッファの空き容量よりも大きい。
【0149】
そして、アクトAe10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0150】
これに対してアクトAe11においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAe12へ進む。
【0151】
アクトAe12においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0152】
アクトAe13においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa11と同じである。
【0153】
アクトAe14においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa12と同じである。
【0154】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図11の処理を終了する。アクトAe10を終えたとき、あるいはアクトAe11でNOと判定したときにコントローラ1dは、アクトAe5乃至アクトAe7を行うことなく図12の処理を終了する。
【0155】
以上のように第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が達成される。
【0156】
さらに第4の実施形態によれば、過去における送信バッファおよび受信バッファの使用状況を考慮して送信バッファおよび受信バッファの空き容量が不足しているか否かを判断しているので、実際の利用状況に応じた適切なタイミングでアラームを発することができる。
【0157】
具体的には、現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「10」、平均値AV1が「20」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立しないので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「30」、平均値AV1が「40」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、1つの条件のみが成立するので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「50」、平均値AV1が「30」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立するので、第1のアラームフラグはオンとされる。すなわち、現在の送信バッファの使用量がいずれも同じ「60」でありながら、過去1ヶ月間の使用量の平均値に応じて第1のアラームフラグの状態が変化するのである。
【0158】
以上の各実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0159】
各実施形態において、アダプタ1の機能は、MFPやコンピュータに内蔵されても良い。また、アダプタ1の機能とG/Wの機能とを兼ね備えた装置として実現することも可能である。
【0160】
各実施形態において、送信バッファと受信バッファとを個別に設けずに、送信と受信とに共用のバッファとしても良い。そしてこの場合には、各実施形態における送信バッファに関する処理と同様な処理を共用バッファに対して行ない、受信バッファに関する処理は省略する。
【0161】
各実施形態における送信バッファに関する処理と受信バッファに関する処理とのいずれか一方のみを行っても良い。
【0162】
各実施形態におけるログ記録、アラームメールの送信および操作画面での警告表示のうちの1つまたは2つを行わなくても良い。
【0163】
各実施形態において、コントローラ1dが、第1および第2のアラームフラグをMFP11に通知しても良い。そうすればMFP11において、通知された第1および第2のアラームフラグに基づいて、操作画面などにアラーム表示することが可能となる。
【0164】
第2の実施形態において、削除の対象とするファイルを決定するための条件は任意であって良い。例えば、送信が完了していないファイルや印刷および閲覧のいずれもなされていないファイルは自動では削除しなくても良い。
【0165】
第2の実施形態において、第1および第2のアラームフラグの状態とは無関係に、例えば毎日同時刻毎などのようなタイミング毎に図8,9に示す処理を実行しても良い。
【0166】
第3および第4の実施形態においてファイルを自動削除するか否かを判定するための条件は、どのような条件であっても良い。
【0167】
第3および第4の実施形態において、過去の平均値を算出する対象となる期間の長さは任意に変更が可能である。
【0168】
第3および第4の実施形態においては、ファイルを自動削除するか否かを判定するための条件には、平均値に代えて最大値などの別の統計値を加味しても良い。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0170】
1,2,3,4,5…アダプタ、1a…LANインタフェース(LAN I/F)、1b…プロトコル処理部、1c…記憶デバイス、1d…コントローラ、1e…バス、6,7,8,9,10…ゲートウェイ(G/W)、11,12,13…複合機(MFP)、14,15,16,17…コンピュータ、18,19…プリンタ、20,21,22,23,24…LAN、25…NGN。
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、ファイル転送装置およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータや複合機(multi function peripheral:MFP)などの情報端末がNGN(next generation network)などの通信ネットワークを利用してファイルの転送を行うことを可能とするファイル転送装置は、ネットワークアダプタや、あるいは単にアダプタと呼ばれて知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−107983号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
アダプタは、記憶媒体を内蔵し、転送対象となるファイルを記憶媒体に記憶する。記憶媒体の記憶容量は有限であるため、ファイルの書き込み途中に記憶媒体の空きが無くなり、ファイルの書き込みを中断することがある。そしてこの場合には、記憶媒体の空き領域を確保した上で、ファイルの取得を最初からやり直す。
【0005】
このような事情から、記憶媒体の空き容量が少ない状況にあるときには、そのことをユーザが認識できることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態のファイル転送装置は、記憶デバイス、判定ユニットおよび通知ユニット。記憶ユニットは、ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶する。判定ユニットは、領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する。通知ユニットは、判定ユニットにより不足状態であると判定されたことに応じて、その旨をユーザに対して通知する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態に係るアダプタの構成とこのアダプタが含まれる通信システムの構成とを示すブロック図。
【図2】図1中のコントローラによる第1の実施形態における処理のフローチャート。
【図3】アラームメールの一例を示す図。
【図4】アラームメールの一例を示す図。
【図5】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図6】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図7】図1中のコンピュータが表示するUI画面の一例を示す図。
【図8】図1中のコントローラによる第2の実施形態における処理のフローチャート。
【図9】図1中のコントローラによる第2の実施形態における処理のフローチャート。
【図10】履歴データの内容の一例を模式的に示す図。
【図11】図1中のコントローラによる第3の実施形態における処理のフローチャート。
【図12】図1中のコントローラによる第4の実施形態における処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して実施形態に係るファイル転送装置について説明する。なお、ファイル転送装置は、以下においては、アダプタと記すこととする。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は本実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成とを示すブロック図である。
【0010】
図1に示す通信システムは、アダプタ1,2,3,4,5、ゲートウェイ(以下、G/Wと記す)6,7,8,9,10、複合機(以下、MFPと記す)11,12,13、コンピュータ14,15,16,17、プリンタ18,19、LAN20,21,22,23,24およびNGN25を含む。
【0011】
アダプタ1、G/W6、MFP11およびコンピュータ14は、LAN20に接続されている。アダプタ1は、MFP11およびコンピュータ14がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0012】
アダプタ2、G/W7、MFP12およびコンピュータ15は、LAN21に接続されている。アダプタ2は、MFP12およびコンピュータ15がNGN25を介して通信するための処理を行う。プリンタ18はコンピュータ15に接続されている。
【0013】
アダプタ3、G/W8およびコンピュータ16は、LAN22に接続されている。アダプタ3は、コンピュータ16がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0014】
アダプタ4、G/W9、MFP13は、LAN23に接続されている。アダプタ4は、MFP13がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0015】
アダプタ5、G/W10、コンピュータ17およびプリンタ19は、LAN24に接続されている。アダプタ5は、コンピュータ17がNGN25を介して通信するための処理を行う。
【0016】
G/W6,7,8,9,10は、LAN20,21,22,23,24のほかに、NGN25にも接続される。G/W6,7,8,9,10は、LAN20,21,22,23,24とNGN25との間の各種の条件の違いを整合させるための種々の周知の処理を行い、アダプタ1がNGN25を介して通信することを可能とする。
【0017】
MFP11,12,13およびコンピュータ14,15,16,17は、アダプタ1,2,3,4,5によってNGN25を介して転送されるコンピュータファイル(以下、ファイルと記す)を取得したり、あるいは処理したりする端末として機能する。MFP11,12,13はプリントデバイスを内蔵し、アダプタ1,2,3,4,5からの要求に応じて画像をプリントするプリンタとして機能する。
【0018】
プリンタ18は、コンピュータ15からの要求に応じて画像をプリントする。
【0019】
プリンタ19は、コンピュータ17およびアダプタ5からの要求に応じて画像をプリントする。
【0020】
NGN25では、オーディオモード、ビデオモードおよびアプリケーションモードを選択的に使用できる。オーディオモードは、音声通信を行うためのモードである。ビデオモードは、動画通信を行うためのモードである。アプリケーションモードは、任意のディジタルデータを高速に伝送するモードである。
【0021】
アダプタ1は、LANインタフェース(以下、I/Fと記す)1a、プロトコル処理部1b、記憶デバイス1cおよびコントローラ1dを含む。そしてこれらの各部は、バス1eに接続されている。
【0022】
I/F1aは、LAN20を介してG/W2、MFP11およびコンピュータ14などとデータを授受するための各種の周知の処理を行う。
【0023】
プロトコル処理部1bは、NGN25での通信のために規定されたプロトコル(例えばRFC3261)を実行するための処理を行う。
【0024】
記憶デバイス1cは、各種のデータを記憶する。記憶デバイス1cは、半導体メモリまたはハードディスクドライブなどの周知のデバイスを任意に適用できる。
【0025】
コントローラ1dは、後述するようにアダプタ1の各部を制御する。
【0026】
アダプタ2,3,4,5は、アダプタ1と同様な構成であっても良いし、アダプタ1とは異なる構成であっても良い。
【0027】
次にアダプタ1の動作について説明する。
【0028】
コントローラ1dは、記憶デバイス1cの記憶領域の一部を送信バッファとして、また別の一部を受信バッファとしてそれぞれ使用する。
【0029】
送信バッファは、送信ファイルを保存する。送信ファイルは、MFP11で原稿をスキャンして得られたスキャンデータやコンピュータ14が保持しているファイルなどである。コントローラ1dは、MFP11からLAN20を介して送られてきたスキャンデータをI/F1aおよびバス1eを介して記憶デバイス1cへと与え、送信バッファに送信ファイルとして保存する。コントローラ1dは、コンピュータ14からLAN20を介して送られてきたファイルをI/F1aおよびバス1eを介して記憶デバイス1cへと与え、送信バッファに送信ファイルとして保存する。
【0030】
なおコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から送信先アドレスが指定された場合には、その送信先アドレスと関連付けて送信ファイルを管理する。またコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から送信ボックスが指定された場合には、送信バッファ内に物理的または論理的に設けた送信ボックスに送信ファイルを保存する。
【0031】
またコントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14から階層構造になった複数のファイルが送られてきた場合には、この複数のファイルを階層構造を維持したままで送信バッファに保存する。
【0032】
コントローラ1dは、階層構造になった複数の送信ファイルについては、それら複数の送信ファイルの全てを含むフォルダ全体をzipファイルフォーマット(以下、zipと記す)に変換する。また、パスワード付きでの送信が要求されている送信ファイルについては、その送信ファイルと付加情報とを含んだフォルダ全体をzipに変換する。なお、コントローラ1dは、送信ファイルをzipに変換する場合、適宜の圧縮アルゴリズムを使用して送信ファイルを圧縮することもある。このように送信ファイルを処理した場合にコントローラ1dは、処理後の送信ファイルを処理前の送信ファイルとは別に送信バッファに保存する。かくして、MFP11またはコンピュータ14から送られる送信ファイルのサイズの1〜2.5倍程度のサイズの空き領域が送信バッファに必要となる。
【0033】
コントローラ1dは、未処理の送信ファイルまたは上記のように処理した送信ファイルを含み、かつNGN25の規格に準拠した転送情報を生成し、この転送情報をNGN25へと送出する。具体的には、コントローラ1dは、送信ファイルに関連付けられた送信先アドレスまたは送信ファイルが保存された送信ボックスに予め関連付けられた送信先アドレスへと転送情報を転送するようにプロトコル処理部1bに指示する。この指示を受けてプロトコル処理部1bは、RFC3261などのプロトコルに従って、上記の送信先アドレスへと転送情報を転送する。このとき転送情報は、I/F1a、LAN20およびG/W6を介してNGN25へと送出される。このときにコントローラ1dは、少なくとも転送情報の送信完了が確認できるまでは、送信ファイルを送信バッファに保存しておく。そして転送情報の送信完了が確認でき、かつ送信バッファからの削除が許容されているならば、送信ファイルを送信バッファから削除する。
【0034】
一方、アダプタ2,3,4,5のいずれか、またはその他のアダプタによってアダプタ1を送信先としてNGN25へと送出された転送情報は、G/W6およびLAN20を介してアダプタ1に与えられる。そうするとアダプタ1は、転送情報からファイルを取り出し、これを受信ファイルとして受信バッファに保存する。コントローラ1dは、受信ファイルがzipである場合には、それを解除する。そしてzipを解除した受信ファイルを、zipのままの受信ファイルとは別に受信バッファに保存する。かくして、NGN25から転送される転送情報のサイズの数倍のサイズの空き領域が受信バッファに必要となる。
【0035】
コントローラ1dは、MFP11またはコンピュータ14を予め定められたルールに従って選択し、受信ファイルを送る。このときにコントローラ1dは、少なくとも受信ファイルがMFP11またはコンピュータ14で正しく受け取られたことが確認できるまでは、受信ファイルを受信バッファに保存しておく。そして正しく受け取られたことが確認でき、かつ受信バッファからの削除が許容されているならば、受信ファイルを受信バッファから削除する。
【0036】
以上がアダプタ1の基本的な動作であるが、このような動作の中で送信バッファおよび受信バッファには、それぞれ複数件分のファイルが保存されていることがある。また、1件分のファイルのサイズも様々である。このようなことから、送信バッファおよび受信バッファのそれぞれの空き容量は、様々に変化する。
【0037】
そこでコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図2に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0038】
アクトAa1においてコントローラ1dは、送信バッファの空き容量空き容量RC1と記す)が予め定められた閾値TH1以下であるか否かを確認する。ここでNOと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa1からアクトAa2へ進む。
【0039】
アクトAa2においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、第1のアラームフラグは、送信バッファの空き容量が閾値TH1よりも大きいときにオフ状態である。
【0040】
一方、アクトAa1においてYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa1からアクトAa3へ進む。
【0041】
アクトAa3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。ここでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa3からアクトAa4へと進む。
【0042】
アクトAa4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、第1のアラームフラグは、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下であるときにオフ状態である。
【0043】
アクトAa5においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。エラーログデータは、アダプタ1の動作に関わるエラーの履歴を表すデータであり、記憶デバイス1cに保存される。具体的には、アクトAa5においてコントローラ1dは、現在の時刻および送信バッファの空き容量が少なくなったことを表すエラーコードなどを関連付けたデータレコードをエラーログデータに追加する。
【0044】
アクトAa6においてコントローラ1dは、アラームメールを予め定められた通報先アドレスを送信先として送信する。通報先アドレスは任意に定められれば良いが、典型的にはアダプタ1の管理者に割り当てられたアドレスとされる。
【0045】
ここで送信するアラームメールは、送信バッファの空き容量が少ないことを通報する内容のメッセージを含んだ電子メールである。図3はアクトAa6で送信されるアラームメールの一例を示す。
【0046】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAa7へ進む。アクトAa3でNOと判定したとき、あるいはアクトAa6を終えたときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAa4乃至アクトAa6を行うことなくアクトAa7へ進む。
【0047】
アクトAa7においてコントローラ1dは、受信バッファの空き容量(以下、空き容量RC2と記す)が予め定められた閾値TH2以下であるか否かを確認する。ここでNOと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa7からアクトAa8へ進む。
【0048】
アクトAa8においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、第2のアラームフラグは、受信バッファの空き容量が閾値TH2よりも大きいときにオフ状態である。
【0049】
一方、アクトAa7においてYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa7からアクトAa9へ進む。
【0050】
アクトAa9においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。ここでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAa9からアクトAa10へと進む。
【0051】
アクトAa10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、第2のアラームフラグは、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下であるときにオフ状態である。
【0052】
アクトAa11においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。具体的にはコントローラ1dは、現在の時刻および受信バッファの空き容量が少なくなったことを表すエラーコードなどを関連付けたデータレコードをエラーログデータに追加する。
【0053】
アクトAa12においてコントローラ1dは、アラームメールを通報先アドレスを送信先として送信する。
【0054】
ここで送信するアラームメールは、受信バッファの空き容量が少ないことを通報する内容のメッセージを含んだ電子メールである。図4はアクトAa12で送信されるアラームメールの一例を示す。
【0055】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図2に示す管理処理を終了する。アクトAa9でNOと判定したとき、あるいはアクトAa8を終えたときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAa10乃至アクトAa12を行うことなく図2に示す管理処理を終了する。
【0056】
ところで、コンピュータ14からのファイル送信の要求を受けるに当たってコントローラ1dは、そのファイル送信に関する条件をコンピュータ14のオペレータに指定させるためのユーザインタフェース画面(以下、UI画面と記す)を表したデータをコンピュータ14へと与える。そうするとコンピュータ14は、UI画面を表示する。さらにコンピュータ14は、UI画面に従ってオペレータにより指定された条件をアダプタ1に通知する。UI画面を表したデータは、典型的にはhypertext markup language(HTML)ファイルである。そしてコンピュータ14は、汎用のブラウザ機能によりUI画面を表示する。
【0057】
FIGs.5,6はUI画面を表す。
【0058】
図5に示すUI画面50は、第1のアラームフラグがオフであるときのものである。図6に示すUI画面60は、第1のアラームフラグがオンであるときのものである。
【0059】
UI画面60は、UI画面50に対してメッセージ61を追加したものである。メッセージ61は、送信バッファの空き容量が少ないことをコンピュータ14のオペレータに警告する。
【0060】
UI画面50,60は、タブ51を含む。タブ51がクリックされると、そのことがコンピュータ14からアダプタ1に通知される。これに応じてコントローラ1dは、図7に示すUI画面70を表したデータをコンピュータ14へと与える。そうするとコンピュータ14は、UI画面70を表示する。ただし、初期のUI画面70は、領域71,72に表される文字列を含まず、ボタン73を含む。
【0061】
ボタン73がクリックされたことに応じてコントローラ1dは、UI画面70を、領域71に表される文字列を含むように更新する。さらに文字列74がクリックされたことに応じてコントローラ1dは、UI画面70を、領域72に表される文字列を含むように更新する。コントローラ1dは、領域72に表す文字列をエラーログデータに基づいて生成する。従って、アクトAa5またはアクトAa11で追加されたデータレコードがエラーログデータに含まれるならば、そのデータレコードが表すエラーの内容が例えば図7に示すようにUI画面70中に表される。
【0062】
なお、UI画面50,60,70は、タブ52を含む。タブ52がクリックされると、そのことがコンピュータ14からアダプタ1に通知される。これに応じてコントローラ1dは、受信バッファに保存されているファイルについての一覧画像を含んだUI画面を生成する。このUI画面は例えば、第2のアラームフラグがオフであるときには、UI画面50における領域53内の画像を一覧画像に置き換えた画面であり、第2のアラームフラグがオンであるときには、UI画面60における領域62内の画像を一覧画像に置き換えるとともに、メッセージ61を受信バッファの空き容量が少ないことをコンピュータ14のオペレータに警告するものに置き換えた画面である。このメッセージは、例えば「受信データ領域が不足しています。」である。
【0063】
MFP11がブラウザ機能を有するならば、各種のUI画面をMFP11において表示させることもできる。
【0064】
なお、閾値TH1は、記憶デバイス1cにおいて送信バッファに割り当てられた領域のサイズよりも小さい0以外の任意の数値であって良い。閾値TH2は、記憶デバイス1cにおいて受信バッファに割り当てられた領域のサイズよりも小さい0以外の任意の数値であって良い。例えば、閾値TH1を100Mバイトとし、閾値TH2を200Mバイトとすることが想定される。第1および閾値TTH1,TH2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0065】
以上のように第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなるか、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなると、そのことがアラームメールによって予め定められた通報先に通報される。従って、通報先の例えば管理者などは、送信バッファや受信バッファの空き容量が少なくなっていることを速やかに認識できる。そして管理者などが適切な処置を講ずることにより、送信バッファまたは受信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファや受信バッファに保存されている不要なファイルを削除することである。
【0066】
また第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなるか、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなると、そのことがエラーログに記録される。そして、エラーログは、コンピュータ14のオペレータの要求に応じてコンピュータ14にて表示される。従って、コンピュータ14のオペレータは、送信バッファおよび受信バッファの空き容量の減少に関する過去の傾向を把握することが可能である。そしてオペレータが適切な処置を講ずることにより、送信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が少なくなる可能性の高いタイミングに先立って、送信バッファまたは受信バッファに保存された不要なファイルを削除したり、送信バッファの空き容量が少なくなる可能性の高い時間帯での送信を避けたりすることである。
【0067】
また第1の実施形態によれば、送信バッファの空き容量が閾値TH1以下まで少なくなっていることを、ファイル送信に関する条件の指定のためのUI画面において表示し、受信バッファの空き容量が閾値TH2以下まで少なくなっていることを、受信ファイルの一覧画像を含んだUI画面において表示する。従って、ファイルの送信を行おうとして、あるいは受信ファイルを取り扱おうとしてUI画面を目視したオペレータは、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が第1または閾値TH2以下まで少なくなっているときにはそのことを容易に認識できる。そしてオペレータが適切な処置を講ずることにより、送信バッファまたは受信バッファの容量不足のために新たな送信または受信が行えなくなってしまうことを防止できる。なお上記の処置は例えば、送信バッファや受信バッファに保存されている不要なファイルを削除することや、新たな送信の実行を延期することである。
【0068】
(第2の実施形態)
第2の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0069】
第2の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが第1の実施形態と同様な処理に加えて、以下に説明する処理を実行することにある。
【0070】
コントローラ1dは図2中のアクトAa4において第1のアラームフラグをオンしたことに応じて、図2とは別タスクで図8に示す処理を開始する。
【0071】
アクトAb1においてコントローラ1dは、第1のタイマを起動する。第1のタイマは、起動されてからの経過時間を予め定められた待機時間ST1まで計測する。待機時間ST1は任意であって良いが、典型的には数分程度である。待機時間ST1は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。第1のタイマは例えば、その他の処理とは別タスクのコントローラ1dの処理として実現できる。
【0072】
アクトAb2およびアクトAb3においてコントローラ1dは、第1のタイマがタイムアウトするか、あるいは第1のアラームフラグがオフとなるのを待ち受ける。第1のタイマがタイムアウトするのよりも早く第1のアラームフラグがオフとなったならば、コントローラ1dはアクトAb3でYESと判定し、図8に示す処理を終了する。
【0073】
さて、第1のアラームフラグがオンである状態が待機時間ST1に渡り継続すると、第1のタイマがタイムアウトするため、コントローラ1dはアクトAb2においてYESと判定する。そしてこの場合にコントローラ1dは、アクトAb2からアクトAb4へ進む。
【0074】
アクトAb4においてコントローラ1dは、送信バッファに保存されているファイルのうちで図8に示す処理を開始してから今までに未選択の1つを選択する。なお、以下においては、ここで選択したファイルを選択ファイルと記す。
【0075】
アクトAb5においてコントローラ1dは、選択ファイルの送信が完了しているか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAb5にてYESと判定したならばアクトAb6へ進み、NOと判定したならばアクトAb7へ進む。
【0076】
アクトAb6においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファに保存してある期間(以下、保存期間SPと記す)が予め定められた期限TL1以上であるか否かを判断する。またアクトAb7においてコントローラ1dは、保存期間SPが予め定められた期限TL2以上であるか否かを判断する。そして、アクトAb6およびアクトAb7のいずれかでYESと判定したならばコントローラ1dは、アクトAb8へ進む。期限TL1および期限TL2はそれぞれ任意に定められて良いが、典型的には期限TL1よりも期限TL2が長く定められる。一例としては、期限TL1は1日であり、期限TL2は30日である。第1および期限TL1,TL2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0077】
アクトAb8においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファから削除する。つまりコントローラ1dは、送信が完了しており、かつ保存期間SPが期限TL1を過ぎているファイルと、送信が完了していないものの保存期間SPが期限TL2を過ぎているファイルとを送信バッファから削除する。
【0078】
選択ファイルの削除を終えたならばコントローラ1dは、アクトAb9へ進む。コントローラ1dは、アクトAb6またはアクトAb7においてNOと判定した場合には、アクトAb8を実行することなくアクトAb9へ進む。つまりコントローラ1dは、上述した条件のいずれにも合致しないファイルは受信バッファに残す。
【0079】
アクトAb9においてコントローラ1dは、送信バッファに記憶された全てのファイルを選択済みであるか否かを確認する。もし、アクトAb9でNOと判定したならば、コントローラ1dはアクトAb4以降の処理を繰り返す。そして、アクトAb9でYESと判定したならばコントローラ1dは、図8の処理を終了する。
【0080】
一方でコントローラ1dは、図2中のアクトAa10において第2のアラームフラグをオンしたことに応じて、図2および図8とは別タスクで図9に示す処理を開始する。
【0081】
アクトAc1においてコントローラ1dは、第2のタイマを起動する。第2のタイマは、起動されてからの経過時間を予め定められた待機時間ST2まで計測する。待機時間ST2は任意であって良いが、典型的には数分程度である。待機時間ST2は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。第2のタイマは例えば、その他の処理とは別タスクのコントローラ1dの処理として実現できる。
【0082】
アクトAc2およびアクトAc3においてコントローラ1dは、第2のタイマがタイムアウトするか、あるいは第2のアラームフラグがオフとなるのを待ち受ける。第2のタイマがタイムアウトするのよりも早く第2のアラームフラグがオフとなったならば、コントローラ1dはアクトAc3でYESと判定し、図9に示す処理を終了する。
【0083】
さて、第2のアラームフラグがオンである状態が待機時間ST2に渡り継続すると、第2のタイマがタイムアウトするため、コントローラ1dはアクトAc2においてYESと判定する。そしてこの場合にコントローラ1dは、アクトAc2からアクトAc4へ進む。
【0084】
アクトAc4においてコントローラ1dは、受信バッファに保存されているファイルのうちで図9に示す処理を開始してから今までに未選択の1つを選択する。なお、以下においては、ここで選択したファイルを選択ファイルと記す。
【0085】
アクトAc5においてコントローラ1dは、選択ファイルの印刷が完了しているか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAc5にてYESと判定したならばアクトAc6へ進む。
【0086】
アクトAc6においてコントローラ1dは、選択ファイルを送信バッファに保存してある期間(以下、保存期間SPと記す)が予め定められた期限TL3以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc6にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL3は任意に定められて良い。一例としては、期限TL3は1日である。期限TL3は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0087】
コントローラ1dは、選択ファイルが未印刷であるためにアクトAc5にてNOと判定したならばアクトAc7へ進む。
【0088】
アクトAc7においてコントローラ1dは、選択ファイルが閲覧済みであるか否かを確認する。コントローラ1dは、アクトAc7にてYESと判定したならばアクトAc8へ進む。
【0089】
アクトAc8においてコントローラ1dは、選択ファイルの保存期間SPが予め定められた期限TL4以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc8にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL4は任意に定められて良いが、典型的には期限TL3よりも期限TL4が長く定められる。一例としては、期限TL4は30日である。期限TL4は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0090】
コントローラ1dは、選択ファイルが未閲覧であるためにアクトAc7にてNOと判定したならばアクトAc9へ進む。
【0091】
アクトAc9においてコントローラ1dは、選択ファイルの保存期間SPが予め定められた期限TL5以上であるか否かを判断する。そしてコントローラ1dは、アクトAc9にてYESと判定したならばアクトAc10へ進む。期限TL5は任意に定められて良いが、典型的には第3および期限TL4よりも期限TL5が長く定められる。一例としては、期限TL5は90日である。期限TL5は、アダプタ1の製造者によって定められた値に固定されても良いし、アダプタ1のユーザが指定した値としても良い。
【0092】
アクトAc10においてコントローラ1dは、選択ファイルを受信バッファから削除する。つまりコントローラ1dは、印刷済みであり、かつ保存期間SPが期限TL3を過ぎているファイル、未印刷であるが閲覧済みであり、かつ保存期間SPが期限TL4を過ぎているファイル、ならびに印刷および閲覧のいずれもなされていないが、保存期間SPが期限TL5を過ぎているファイルを受信バッファから削除する。
【0093】
選択ファイルの削除を終えたならばコントローラ1dは、アクトAc11へ進む。コントローラ1dは、アクトAc6、アクトAc8またはアクトAc9においてNOと判定した場合には、アクトAc10を実行することなくアクトAc11へ進む。つまりコントローラ1dは、上述した条件のいずれにも合致しないファイルは受信バッファに残す。
【0094】
アクトAc11においてコントローラ1dは、送信バッファに記憶された全てのファイルを選択済みであるか否かを確認する。もし、アクトAc11でNOと判定したならば、コントローラ1dはアクトAc4以降の処理を繰り返す。そして、アクトAc11でYESと判定したならばコントローラ1dは、図9の処理を終了する。
【0095】
以上のように第2の実施形態によれば、第1のアラームフラグがオンになってから一定時間のうちに第1のアラームフラグがオフに戻らなければ、送信バッファに保存されたファイルのうちのある条件に合致するファイルが自動的に削除される。また第2のアラームフラグがオンになってから一定時間のうちに第2のアラームフラグがオフに戻らなければ、受信バッファに保存されたファイルのうちのある条件に合致するファイルが自動的に削除される。従って、送信バッファまたは受信バッファの空き容量が少なくなった場合には、その空き容量の拡大が自動的に行われる。そして第2の実施形態によれば、第1または第2のアラームフラグがオンとなってから一定時間が経過するまではファイルの自動削除はしないので、その期間中に管理者などが個々のファイルの要否を考慮してファイルの削除を行うことができる。
【0096】
第2の実施形態によれば、ファイルの状態に応じて自動削除を行うまでの期間を異ならせているので、より不要である可能性の高いファイルを自動削除し、必要である可能性のあるファイルをなるべく残すことが可能である。
【0097】
(第3の実施形態)
第3の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0098】
第3の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが図2に示す処理に代えて、以下に説明する処理を実行することにある。なお、第3の実施形態においても、コントローラ1dが第2の実施形態と同様な処理をさらに実行しても良い。
【0099】
コントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に、記憶デバイス1cに記憶された履歴データを更新する。
【0100】
図10は履歴データの内容の一例を模式的に示す図である。
【0101】
図10に示す履歴データは、本日および30日前までの各日のそれぞれについて、毎正時における送信バッファおよび受信バッファの使用量を記述したものである。各欄の“,”より左側の数値が送信バッファの使用量を表し、右側の数値が受信バッファの使用量を表す。なお図10においては、使用量は各バッファの総容量に対する使用中領域の容量の割合をパーセンテージにより表している。
【0102】
コントローラ1dは、履歴データが上記のようなものである場合には、毎正時に履歴データを更新する。具体的にはコントローラ1dは各日の0時には、本日および29日前までの各値を、おのおのの1日前の値とするとともに、本日の0時の欄の値をその時点における送信バッファおよび受信バッファの使用量とし、本日の0時以外の各値をいずれもnull値(図10では“−”で表す)とする。またコントローラ1dは0時以外の毎正時には、本日についての現時刻に対応した欄の値をその時点における送信バッファおよび受信バッファの使用量とする。
【0103】
以上の処理とは別にコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図11に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの使用量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0104】
アクトAd1においてコントローラ1dは、現時点における送信バッファの使用量(以下、使用量UA1と記す)が平均値AV1よりも大きいか否かを確認する。平均値AV1は、現時点が属する時間区分における送信バッファの使用量の1日前から30日前までの間の平均値である。時間区分とは毎正時から始まる1時間の期間を指す。そして各時間区分に含まれる正時に関して履歴データに記述されている値をその時間区分に関する使用量とする。つまりコントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの1日前から30日前までの各日についての9時の欄に送信バッファに関して記述された各値の平均値を求めて、これを平均値AV1とする。なお、時間区分は、例えば8時31分〜9時30分までを1つの時間区分とし、9時の欄に記述された値をその時間区分の使用量とするなどのように任意に変更が可能である。そしてコントローラ1dは、このアクトAd1にてYESと判定したならば、アクトAd2へ進む。
【0105】
アクトAd2においてコントローラ1dは、差D1が送信バッファの空き容量(以下、空き容量RC1と記す)よりも大きいか否かを確認する。なお、コントローラ1dは、使用量UA1から平均値AV1を減じることによって差D1を求める。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAd4へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAd1およびアクトAd2のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAd3へ進む。
【0106】
以上によりアクトAd1およびアクトAd2においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAd4へ進み、成立しない場合にはアクトAd3へ進む。
【0107】
(1) 現時点における送信バッファの使用量が同時間区分の過去1ヶ月間の使用量の平均値よりも大きい。
【0108】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の送信バッファの空き容量よりも大きい。
【0109】
そして、アクトAd3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0110】
これに対してアクトAd4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAd5へ進む。
【0111】
アクトAd5においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0112】
アクトAd6においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa5と同じである。
【0113】
アクトAd7においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa6と同じである。
【0114】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAd8へ進む。アクトAd3を終えたとき、あるいはアクトAd4でNOと判定したときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAd5乃至アクトAd7を行うことなくアクトAd8へ進む。
【0115】
アクトAd8においてコントローラ1dは、現時点における受信バッファの使用量(以下、使用量UA2と記す)が平均値AV2よりも大きいか否かを確認する。平均値AV2は、現時点が属する時間区分における受信バッファの使用量の1日前から30日前までの間の平均値である。そしてコントローラ1dは、このアクトAd8にてYESと判定したならば、アクトAd9へ進む。
【0116】
アクトAd9においてコントローラ1dは、差D2が受信バッファの空き容量(以下、空き容量RC2と記す)よりも大きいか否かを確認する。なお、コントローラ1dは、使用量UA2から平均値AV2を減じることによって差D2を求める。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAd11へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAd8およびアクトAd9のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAd10へ進む。
【0117】
以上によりアクトAd8およびアクトAd9においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAd11へ進み、成立しない場合にはアクトAd10へ進む。
【0118】
(1) 現時点における受信バッファの使用量が同時間区分の過去1ヶ月間の使用量の平均値よりも大きい。
【0119】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の受信バッファの空き容量よりも大きい。
【0120】
そして、アクトAd10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0121】
これに対してアクトAd11においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAd12へ進む。
【0122】
アクトAd12においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0123】
アクトAd13においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa11と同じである。
【0124】
アクトAd14においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa12と同じである。
【0125】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図11の処理を終了する。アクトAd10を終えたとき、あるいはアクトAd11でNOと判定したときにコントローラ1dは、アクトAd5乃至アクトAd7を行うことなく図11の処理を終了する。
【0126】
以上のように第3の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が達成される。
【0127】
さらに第3の実施形態によれば、過去における送信バッファおよび受信バッファの使用状況を考慮して送信バッファおよび受信バッファの空き容量が不足しているか否かを判断しているので、実際の利用状況に応じた適切なタイミングでアラームを発することができる。
【0128】
具体的には、現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「70」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立しないので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「50」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、1つの条件のみが成立するので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、平均値AV1が「10」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立するので、第1のアラームフラグはオンとされる。すなわち、現在の送信バッファの使用量がいずれも同じ「60」でありながら、過去1ヶ月間の使用量の平均値に応じて第1のアラームフラグの状態が変化するのである。
【0129】
(第4の実施形態)
第4の実施形態に係るアダプタ1の構成とこのアダプタ1が含まれる通信システムの構成は第1の実施形態と同様であるので、その詳細な説明は省略する。
【0130】
第4の実施形態において第1の実施形態と異なる点は、コントローラ1dが図2に示す処理に代えて、以下に説明する処理を実行することにある。なお、第4の実施形態においても、コントローラ1dが第2の実施形態と同様な処理をさらに実行しても良い。
【0131】
コントローラ1dは、第3の実施形態と同様に、記憶デバイス1cに記憶された履歴データを更新する。
【0132】
またコントローラ1dは、予め定められたタイミング毎に図12に示す管理処理を開始する。この管理処理を開始するタイミングは任意であって良いが、例えば一定時間が経過する毎としたり、送信バッファまたは受信バッファの使用量が変化する要因となる事象が生じる毎とすることが考えられる。
【0133】
アクトAe1においてコントローラ1dは、変化量V1が平均値AV1よりも大きいか否かを確認する。ここで変化量V1は、現時点が属する時間区分の1つ前の時間区分における送信バッファの使用量に対する現時点における送信バッファの使用量の変化量である。平均値AV1は、上記の変化量の1日前から30日前までの間の平均値である。コントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの本日9時の欄に送信バッファに関して記述された値から本日8時の欄に送信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量V1を求める。また、1日前から30日前までの各日について、9時の欄に送信バッファに関して記述された値から8時の欄に送信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量を求めて、さらにこれにより1日前から30日前までの各日について求まる変化量の平均値として平均値AV1を求める。そしてコントローラ1dは、このアクトAe1にてYESと判定したならば、アクトAe2へ進む。
【0134】
アクトAe2においてコントローラ1dは、変化量V1が送信バッファの空き容量空き容量RC1RC1よりも大きいか否かを確認する。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAe4へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAe1およびアクトAe2のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAe3へ進む。
【0135】
以上によりアクトAe1およびアクトAe2においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAe4へ進み、成立しない場合にはアクトAe3へ進む。
【0136】
(1) 本日における直前1〜2時間での送信バッファの使用量の変化量が現時間区分より1つ前の時間区分から現時間区分までの送信バッファの使用量の変化量の過去1ヶ月間の平均値よりも大きい。
【0137】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の送信バッファの空き容量よりも大きい。
【0138】
そして、アクトAe3においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0139】
これに対してアクトAe4においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAe5へ進む。
【0140】
アクトAe5においてコントローラ1dは、第1のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは送信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0141】
アクトAe6においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa5と同じである。
【0142】
アクトAe7においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa6と同じである。
【0143】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、アクトAe8へ進む。アクトAe3を終えたとき、あるいはアクトAe4でNOと判定したときにコントローラ1dは、各アクトからアクトAe5乃至アクトAe7を行うことなくアクトAe8へ進む。
【0144】
アクトAe8においてコントローラ1dは、変化量V2が平均値AV2よりも大きいか否かを確認する。ここで変化量V2は、現時点が属する時間区分の1つ前の時間区分における受信バッファの使用量に対する現時点における受信バッファの使用量の変化量である。平均値AV2は、上記の変化量の1日前から30日前までの間の平均値である。コントローラ1dは例えば、現時点が9時00分〜9時59分の時間区分に属するならば、履歴データのうちの本日9時の欄に受信バッファに関して記述された値から本日8時の欄に受信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量V2を求める。また、1日前から30日前までの各日について、9時の欄に受信バッファに関して記述された値から8時の欄に受信バッファに関して記述された値を減じることによって変化量を求めて、さらにこれにより1日前から30日前までの各日について求まる変化量の平均値として平均値AV2を求める。そしてコントローラ1dは、このアクトAe8にてYESと判定したならば、アクトAe9へ進む。
【0145】
アクトAe9においてコントローラ1dは、変化量V2が受信バッファの空き容量空き容量RC2RC2よりも大きいか否かを確認する。コントローラ1dはここでYESと判定したならば、アクトAe11へ進む。しかしながらコントローラ1dは、アクトAe8およびアクトAe9のいずれかにてNOと判定したならば、アクトAe10へ進む。
【0146】
以上によりアクトAe8およびアクトAe9においてコントローラ1dは、次の2つの条件がともに成立するか否かを確認し、成立する場合にはアクトAe11へ進み、成立しない場合にはアクトAe10へ進む。
【0147】
(1) 本日における直前1〜2時間での受信バッファの使用量の変化量が現時間区分より1つ前の時間区分から現時間区分までの受信バッファの使用量の変化量の過去1ヶ月間の平均値よりも大きい。
【0148】
(2) 上記の平均値に対する上記の使用量の超過量が現在の受信バッファの空き容量よりも大きい。
【0149】
そして、アクトAe10においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオフとする。すなわち、上記の2つの条件のいずれか一方でも成立していないのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が十分である状態であると判定する。
【0150】
これに対してアクトAe11においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグがオフとなっているか否かを確認する。コントローラ1dは、ここでYESと判定したならばアクトAe12へ進む。
【0151】
アクトAe12においてコントローラ1dは、第2のアラームフラグをオンとする。すなわち、上記の2つの条件がともに成立するのであれば、コントローラ1dは受信バッファの空き容量が不足している状態であると判定する。
【0152】
アクトAe13においてコントローラ1dは、エラーログデータを更新する。これは、アクトAa11と同じである。
【0153】
アクトAe14においてコントローラ1dは、アラームメールを送信する。これは、アクトAa12と同じである。
【0154】
アラームメールを送信し終えたならばコントローラ1dは、図11の処理を終了する。アクトAe10を終えたとき、あるいはアクトAe11でNOと判定したときにコントローラ1dは、アクトAe5乃至アクトAe7を行うことなく図12の処理を終了する。
【0155】
以上のように第4の実施形態によれば、第1の実施形態と同様な効果が達成される。
【0156】
さらに第4の実施形態によれば、過去における送信バッファおよび受信バッファの使用状況を考慮して送信バッファおよび受信バッファの空き容量が不足しているか否かを判断しているので、実際の利用状況に応じた適切なタイミングでアラームを発することができる。
【0157】
具体的には、現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「10」、平均値AV1が「20」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立しないので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「30」、平均値AV1が「40」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、1つの条件のみが成立するので、第1のアラームフラグはオフとされる。現在の送信バッファの使用量が「60」、変化量V1が「50」、平均値AV1が「30」、現在の送信バッファの空き容量が「40」であるならば、2つの条件はいずれも成立するので、第1のアラームフラグはオンとされる。すなわち、現在の送信バッファの使用量がいずれも同じ「60」でありながら、過去1ヶ月間の使用量の平均値に応じて第1のアラームフラグの状態が変化するのである。
【0158】
以上の各実施形態は、次のような種々の変形実施が可能である。
【0159】
各実施形態において、アダプタ1の機能は、MFPやコンピュータに内蔵されても良い。また、アダプタ1の機能とG/Wの機能とを兼ね備えた装置として実現することも可能である。
【0160】
各実施形態において、送信バッファと受信バッファとを個別に設けずに、送信と受信とに共用のバッファとしても良い。そしてこの場合には、各実施形態における送信バッファに関する処理と同様な処理を共用バッファに対して行ない、受信バッファに関する処理は省略する。
【0161】
各実施形態における送信バッファに関する処理と受信バッファに関する処理とのいずれか一方のみを行っても良い。
【0162】
各実施形態におけるログ記録、アラームメールの送信および操作画面での警告表示のうちの1つまたは2つを行わなくても良い。
【0163】
各実施形態において、コントローラ1dが、第1および第2のアラームフラグをMFP11に通知しても良い。そうすればMFP11において、通知された第1および第2のアラームフラグに基づいて、操作画面などにアラーム表示することが可能となる。
【0164】
第2の実施形態において、削除の対象とするファイルを決定するための条件は任意であって良い。例えば、送信が完了していないファイルや印刷および閲覧のいずれもなされていないファイルは自動では削除しなくても良い。
【0165】
第2の実施形態において、第1および第2のアラームフラグの状態とは無関係に、例えば毎日同時刻毎などのようなタイミング毎に図8,9に示す処理を実行しても良い。
【0166】
第3および第4の実施形態においてファイルを自動削除するか否かを判定するための条件は、どのような条件であっても良い。
【0167】
第3および第4の実施形態において、過去の平均値を算出する対象となる期間の長さは任意に変更が可能である。
【0168】
第3および第4の実施形態においては、ファイルを自動削除するか否かを判定するための条件には、平均値に代えて最大値などの別の統計値を加味しても良い。
【0169】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0170】
1,2,3,4,5…アダプタ、1a…LANインタフェース(LAN I/F)、1b…プロトコル処理部、1c…記憶デバイス、1d…コントローラ、1e…バス、6,7,8,9,10…ゲートウェイ(G/W)、11,12,13…複合機(MFP)、14,15,16,17…コンピュータ、18,19…プリンタ、20,21,22,23,24…LAN、25…NGN。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
別の第2のファイル転送装置との間で情報の転送を行うファイル転送装置において、
前記ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶するための領域を含んだ記憶デバイスと、
前記領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する判定ユニットと、
前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたことに応じて、前記不足状態であることをユーザに対して通知する通知ユニットとを具備するファイル転送装置。
【請求項2】
前記転送情報は、前記ファイル転送装置が送信する送信情報または前記ファイル転送装置が受信した受信情報である請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項3】
前記領域は、前記ファイル転送装置が送信する送信情報を前記転送情報として記憶する第1の領域と前記ファイル転送装置が受信した受信情報を前記転送情報として記憶する第2の領域とを含み、
前記判定ユニットは、前記第1の使用状況に応じて変化する第1の数値の最新の値が予め定められた第1の条件に合致する場合に前記第1の領域について前記不足状態であると判定し、さらに前記第2の使用状況に応じて変化する第2の数値の最新の値が予め定められた第2の条件に合致する場合に前記第2の領域について前記不足状態であると判定し、
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたことに応じて、それが前記第1および第2の領域のいずれについてであるかを判別可能に前記ユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項4】
前記判定ユニットは、前記領域の空き容量を前記数値として使用し、かつ前記空き容量が閾値以下である条件を前記条件とする請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項5】
前記判定ユニットは、前記数値の他に、過去の期間における複数の前記数値に関する統計値を加味する条件を前記条件とする請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項6】
前記判定ユニットは、前記数値が前記統計値よりも大きく、かつ前記統計値に対する前記数値の超過量が前記領域の空き容量よりも大きい条件を前記条件とする請求項5に記載のファイル転送装置。
【請求項7】
前記判定ユニットは、予め定められた期間における前記数値の変化量が、現在と同じ時間区分における過去の前記数値の変化量についての統計値よりも大きく、かつ前記変化量が前記領域の空き容量よりも大きいことを前記条件とする請求項5に記載のファイル転送装置。
【請求項8】
前記通知ユニットは、予め定められたアドレスに電子メールを送信することによって、前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項9】
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたか否かに応じてユーザインタフェース画面を変更することによって、前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項10】
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定された履歴を表す履歴情報を生成し、この履歴情報の内容を表す画面を表示することによって前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項11】
前記転送情報のうちで予め定められた条件に合致するものを前記領域から削除する削除ユニットをさらに備える請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項12】
前記削除ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると新たに判定されてから前記不足状態が予め定められた期間に渡って解消されなかった場合に前記削除を行う請求項11に記載のファイル転送装置。
【請求項13】
記憶デバイスを具備したファイル転送装置の制御方法であって、
前記記憶デバイスに含まれ、前記ファイル転送装置と他の第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶するための領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定し、
前記不足状態であると判定したことに応じてこれに応じて、その旨をユーザに対して通知する制御方法。
【請求項1】
別の第2のファイル転送装置との間で情報の転送を行うファイル転送装置において、
前記ファイル転送装置と第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶するための領域を含んだ記憶デバイスと、
前記領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定する判定ユニットと、
前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたことに応じて、前記不足状態であることをユーザに対して通知する通知ユニットとを具備するファイル転送装置。
【請求項2】
前記転送情報は、前記ファイル転送装置が送信する送信情報または前記ファイル転送装置が受信した受信情報である請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項3】
前記領域は、前記ファイル転送装置が送信する送信情報を前記転送情報として記憶する第1の領域と前記ファイル転送装置が受信した受信情報を前記転送情報として記憶する第2の領域とを含み、
前記判定ユニットは、前記第1の使用状況に応じて変化する第1の数値の最新の値が予め定められた第1の条件に合致する場合に前記第1の領域について前記不足状態であると判定し、さらに前記第2の使用状況に応じて変化する第2の数値の最新の値が予め定められた第2の条件に合致する場合に前記第2の領域について前記不足状態であると判定し、
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたことに応じて、それが前記第1および第2の領域のいずれについてであるかを判別可能に前記ユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項4】
前記判定ユニットは、前記領域の空き容量を前記数値として使用し、かつ前記空き容量が閾値以下である条件を前記条件とする請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項5】
前記判定ユニットは、前記数値の他に、過去の期間における複数の前記数値に関する統計値を加味する条件を前記条件とする請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項6】
前記判定ユニットは、前記数値が前記統計値よりも大きく、かつ前記統計値に対する前記数値の超過量が前記領域の空き容量よりも大きい条件を前記条件とする請求項5に記載のファイル転送装置。
【請求項7】
前記判定ユニットは、予め定められた期間における前記数値の変化量が、現在と同じ時間区分における過去の前記数値の変化量についての統計値よりも大きく、かつ前記変化量が前記領域の空き容量よりも大きいことを前記条件とする請求項5に記載のファイル転送装置。
【請求項8】
前記通知ユニットは、予め定められたアドレスに電子メールを送信することによって、前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項9】
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定されたか否かに応じてユーザインタフェース画面を変更することによって、前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項10】
前記通知ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると判定された履歴を表す履歴情報を生成し、この履歴情報の内容を表す画面を表示することによって前記不足状態であることをユーザに対して通知する請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項11】
前記転送情報のうちで予め定められた条件に合致するものを前記領域から削除する削除ユニットをさらに備える請求項1に記載のファイル転送装置。
【請求項12】
前記削除ユニットは、前記判定ユニットにより前記不足状態であると新たに判定されてから前記不足状態が予め定められた期間に渡って解消されなかった場合に前記削除を行う請求項11に記載のファイル転送装置。
【請求項13】
記憶デバイスを具備したファイル転送装置の制御方法であって、
前記記憶デバイスに含まれ、前記ファイル転送装置と他の第2のファイル転送装置との間での転送情報を記憶するための領域の使用状況に応じて変化する数値の最新の値が予め定められた条件に合致する場合に不足状態であると判定し、
前記不足状態であると判定したことに応じてこれに応じて、その旨をユーザに対して通知する制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−254476(P2011−254476A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−123597(P2011−123597)
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月1日(2011.6.1)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】
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