説明

ファクシミリ装置

【課題】 ユーザがファクシミリ通信を行う場合、外付け電話機を用いた音声通信中であっても、一方的にその音声通信が切断されるなどの不具合をなくし、外付け電話機との円滑な使用形態が可能なファクシミリ装置を提供する。
【解決手段】 制御部10は、フック判定部730に問い合わせ、常時、外付け電話機8のフック状態を調べている。そして、外付け電話機8がオフフックであると判定されているときに、複合機(ファクシミリ装置)1のユーザがファクシミリ送信を行うためにスタートキー42を押下げると、通知信号送出部720は外付け電話機8に通知信号を送出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外付け電話機と接続可能なファクシミリ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、外付け電話機が備えられ、その外付け電話機と同一の電話回線を使用してファクシミリ通信を行うファクシミリ装置が知られている。このファクシミリ装置を用いて通信を行う場合、ファクシミリ通信が行われているときは、ファクシミリ装置が電話回線に接続されているために、外付け電話機を使用することはできなかった。また、外付け電話機を用いた音声通信が行われているときは、ファクシミリ装置のキー操作が行えず、音声通信が終了するのを待つしかなかった。
【0003】
そこで、特許文献1においては、ファクシミリ装置等の通信装置のフック状態を変更することによって、手動送信または予約送信のいずれかの方式を選択できる技術が開示されている。その技術によれば、ファクシミリ装置の電話機をオフフックしダイヤルしたときは、手動送信のダイヤル入力と判断され、電話機と電話回線との接続が行われる。それに対して、電話機をオンフックのままでダイヤルしたときは、予約送信のダイヤル入力と判断され、相手先の電話番号が一旦メモリに記憶され、スタートキー等が押されると、電話番号が発呼される。
【特許文献1】特許番号2773119号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示される技術では、例えば、外付け電話機がオフフックの状態にあるとき、ファクシミリ装置のテンキーを操作すると、手動送信におけるダイヤル入力と見なされて、選択信号が直接電話回線に送出される。続いて、スタートキーを操作すると、ファクシミリ装置の原稿読み取り部に原稿がセットされていれば手動送信、原稿がセットされていなければ手動受信をそれぞれ開始するため、外付け電話機による音声通信は強制的に終了させられてしまう。
【0005】
このことは、一人で一台のファクシミリ装置を使っている場合には問題にならないが、複数人で装置を共有し、かつ、電話回線をファクシミリ装置と外付け電話機とで共有している場合には大きな問題となる。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ユーザがファクシミリ通信を行う場合、外付け電話機を用いた音声通信中であれば、ファクシミリ通信を行おうとしていることを外付け電話機のユーザに通知することで、一方的にその音声通信が切断されるなどの不具合をなくし、外付け電話機との円滑な使用形態が可能なファクシミリ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1記載の発明は、外付け電話機と接続可能であり、前記外付け電話機と電話回線を共有するファクシミリ装置であって、画像データの送受信開始を指示する通信開始手段と、前記外付け電話機がオフフックであるか否かを判定するフック判定手段と、前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機との少なくとも一方と前記電話回線との電気的な接続を切り替える接続切替手段と、ユーザがファクシミリ送信のための操作を行ったときに、前記接続切替手段が前記外付け電話機と前記電話回線とを電気的に接続しており、かつ前記フック判定手段が前記外付け電話機がオフフックであると判定し、前記通信開始手段が画像データの送受信開始を指示すると、前記外付け電話機に通知信号を送出する通知信号送出手段と、を備えることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、フック判定手段により外付け電話機がオンフックであると判定された場合にはファクシミリ通信中、またはファクシミリ装置及び外付け電話機のいずれも電話回線と電気的に接続されていないことがわかる。それと異なり、接続切替手段が外付け電話機と電話回線とを電気的に接続しており、かつフック判定手段が外付け電話機がオフフックであると判定した場合には、外付け電話機を用いた音声通信中である可能性が高い。この外付け電話機がオフフックであるときに、通信開始手段により画像データの送受信開始が指示されると、通知信号送出手段により外付け電話機に通知信号が送出される。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のファクシミリ装置であって、前記通知信号送出手段による通知信号の送出後に、前記外付け電話機からの返答信号を受信し、当該返答信号に基づき、前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機とのいずれを前記電話回線に電気的に接続させるかを判定する接続判定手段をさらに備え、前記接続切替手段は、前記接続判定手段の判定結果に基づき、前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機との少なくとも一方と前記電話回線との電気的な接続を切り替えることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、通知信号を受信した外付け電話機のユーザは、音声通信を続けるか、あるいは終了するかを、返答信号としてファクシミリ装置に伝える。ファクシミリ装置は、接続判定手段によりその返答信号を解析し、外付け電話機のユーザが音声通信を続けるか、あるいは終了するかを判定する。そして、音声通信を続けると判定した場合には、接続切替手段は外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持する。それに対して、音声通信を終了すると判定した場合には、接続切替手段は外付け電話機と電話回線とを切り離し、ファクシミリ装置と電話回線とを電気的に接続する。
【0011】
請求項3記載の発明は、請求項2記載のファクシミリ装置であって、前記通知信号送出手段により、前記外付け電話機に通知信号が送出されてからの時間を計測するタイマ手段をさらに備え、前記接続判定手段は、前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答信号が受信されないとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持すると判定し、前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号が受信されたとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を切り離し、前記ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続を行うと判定することを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、通知信号が送出されるとタイマ手段はリセットされ、新たにカウントアップを開始する。そして、接続判定手段は、予め設定された制限時間とタイマ手段におけるカウント値とを比較し、カウント値が制限時間を越えても外付け電話機のユーザからの返答信号が受信されないとき、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定する。それに対して、接続判定手段は、予め設定された制限時間とタイマ手段におけるカウント値とを比較し、カウント値が制限時間に至る前に外付け電話機のユーザからの返答信号が受信されたとき、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を切り離し、ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続を行うと判定する。
【0013】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のファクシミリ装置であって、前記制限時間を設定可能な制限時間設定手段をさらに備えることを特徴とする。
【0014】
この構成によれば、ファクシミリ装置のユーザが、制限時間設定手段によりファクシミリ送信毎に制限時間を設定し得る。
【0015】
請求項5記載の発明は、請求項3または4に記載のファクシミリ装置であって、前記返答信号は、前記外付け電話機から送出された、予め指定されたDTMF信号であることを特徴とする。
【0016】
この構成によれば、通知信号を受信した外付け電話機のユーザは、外付け電話機の特定のキーを押下げることにより出力されるDTMF信号(予め指定されたDTMF信号)を返答信号とし、ファクシミリ装置に送出する。
【0017】
請求項6記載の発明は、請求項3または4に記載のファクシミリ装置であって、前記返答信号は、前記外付け電話機から送出され前記フック判定手段により受信された、前記外付け電話機がオンフックであることを示す信号であることを特徴とする。
【0018】
この構成によれば、通知信号を受信した外付け電話機のユーザが、音声通信を終了し外付け電話機のハンドセットをオンフックしたか、あるいは音声通信を続けておりハンドセットはオフフックされたままなのかがフック判定手段により検出される。そして、予め設定された制限時間内にオンフックであることを示す信号が返答信号としてファクシミリ装置に送出された場合には、接続切替手段によりファクシミリ装置と電話回線とが電気的に接続される。それに対して、制限時間を越えてもオフフックである場合には、接続切替手段により外付け電話機と電話回線との接続がそのまま維持される。
【0019】
請求項7記載の発明は、請求項2記載のファクシミリ装置であって、前記通知信号送出手段により、前記外付け電話機に通知信号が送出されてからの時間を計測するタイマ手段をさらに備え、前記接続判定手段は、前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答信号であるDTMF信号が受信されないとき、及び前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号であるDTMF信号が受信され、かつ当該DTMF信号が予め指定されたDTMF信号ではないとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持すると判定し、前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号であるDTMF信号が受信され、かつ当該DTMF信号が予め指定されたDTMF信号であるとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を切り離し、前記ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続を行うと判定することを特徴とする。
【0020】
この構成によれば、通知信号が送出されるとタイマ手段はリセットされ、新たにカウントアップを開始する。そして、接続判定手段は、予め設定された制限時間とタイマ手段におけるカウント値とを比較し、カウント値が制限時間を越えても外付け電話機のユーザからの返答信号であるDTMF信号が受信されないとき、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定する。
【0021】
それに対して、接続判定手段は、予め設定された制限時間とタイマ手段におけるカウント値とを比較し、カウント値が制限時間に至る前に外付け電話機のユーザからの返答信号であるDTMF信号が受信されたとき、そのDTMF信号が予め指定されたDTMF信号(指定DTMF信号)が否かを判定する。その結果、指定DTMF信号であれば、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を切り離し、ファクシミリ装置と電話回線との電気的な接続を行うと判定する。それに対して、返答信号であるDTMF信号が指定DTMF信号でなければ、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定する。
【0022】
請求項8記載の発明は、請求項2乃至7のいずれかに記載のファクシミリ装置であって、ファクシミリ装置に入力された送信先を記憶する送信先記憶手段と、前記画像データを記憶する画像記憶手段とをさらに備え、前記接続判定手段が、前記外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定したとき、ユーザが入力した送信先を前記送信先記憶手段により記憶し、かつ送信すべき画像データを前記画像記憶手段に記憶しておき、前記フック判定手段の判定において前記外付け電話機がオンフックに転じると、前記接続切替手段は前記ファクシミリ装置と前記電話回線とを電気的に接続し、前記画像記憶手段に記憶された前記画像データを前記送信先記憶手段に記憶された送信先に送出することを特徴とする。
【0023】
この構成によれば、ファクシミリ装置が、外付け電話機のユーザから音声通信を続けるとする返答信号を受信したか、または返答信号が予め設定された制限時間を越えても受信されないとき、接続判定手段は、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定する。そして、ファクシミリ装置のユーザが入力した送信先と画像データは、送信先記憶手段と画像記憶手段とにそれぞれ記憶される。その後、フック判定手段により外付け電話機がオンフックになったと判定されると、接続切替手段はファクシミリ装置と電話回線とを電気的に接続し、画像記憶手段に記憶された画像データは送信先記憶手段に記憶された送信先に送出される。
【0024】
請求項9記載の発明は、請求項1乃至8のいずれかに記載のファクシミリ装置であって、前記接続切替手段が前記外付け電話機と前記電話回線とを電気的に接続しており、かつ前記フック判定手段が前記外付け電話機がオフフックであると判定したときに、前記外付け電話機の所定のキーを押下げることにより送出される優先信号を受信する優先信号受信手段と、前記優先信号受信手段により優先信号が受信されたことを記憶する優先権記憶手段と、をさらに備え、前記接続切替手段は、前記優先権記憶手段に前記優先信号を受信したことが記憶されているとき、前記フック判定手段が前記外付け電話機がオンフックであると判定するまで、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持することを特徴とする。
【0025】
この構成によれば、外付け電話機の所定のキーを押下げることにより送出される信号が、優先信号受信手段により優先信号としてファクシミリ装置に認識される。すると、その優先信号を受信したファクシミリ装置の優先権記憶手段は、例えばフラグを設定するなどして、優先信号を受信したことを記憶する。そして、接続切替手段は、優先権記憶手段に優先信号を受信したことが記憶されているとき、フック判定手段により外付け電話機がオンフックであると判定されるまで、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持する。
【0026】
請求項10記載の発明は、請求項1乃至9のいずれかに記載のファクシミリ装置であって、前記通知信号は、それを受信した前記外付け電話機から音信号を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0027】
この構成によれば、フック判定手段により外付け電話機がオフフックであると判定されたとき、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行うべくスタートキー等の通信開始手段により通信開始を指示すると通知信号が送出され、それにより外付け電話機に音信号が出力される。この音信号は、ブザー等でもよいし、音声メッセージ等でもよい。
【0028】
請求項11記載の発明は、請求項1乃至10のいずれかに記載のファクシミリ装置であって、前記外付け電話機は光信号を発生可能に構成されており、前記通知信号は、当該通知信号を受信した前記外付け電話機から光信号を出力するように構成されていることを特徴とする。
【0029】
この構成によれば、フック判定手段により外付け電話機がオフフックであると判定されたとき、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行うべくスタートキー等の通信開始手段により通信開始を指示すると通知信号が送出され、それにより外付け電話機に光信号が出力される。
【発明の効果】
【0030】
請求項1記載の発明によれば、外付け電話機を用いた音声通信を行っているユーザは、ファクシミリ装置から送出された通知信号により、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行おうとしていることがわかる。これにより、外付け電話機のユーザ自身が、そのまま音声通信を続けるか、あるいは終了するかを判断することが可能となる。
【0031】
請求項2記載の発明によれば、音声通信を行っている外付け電話機のユーザが、音声通信を続けるか、あるいは終了するかを返答信号としてファクシミリ装置のユーザに伝えることができる。そのため、外付け電話機を用いた音声通信中に、その音声通信が強制切断されるなどの不具合が無くなり、外付け電話機とファクシミリ装置との円滑な使用形態が可能となる。
【0032】
請求項3記載の発明によれば、ファクシミリ装置に予め設定された制限時間を基準として、その制限時間内に返答信号を受信しなければ、外付け電話機と電話回線との接続を維持すると判断する。そのため、外付け電話機のユーザからの返答信号を受信するまで待つ必要がなくなり、時間が節約できる。
【0033】
請求項4記載の発明によれば、ユーザの好みやファクシミリ送信の緊急度に応じて制限時間を変更できるので、外付け電話機とファクシミリ装置との円滑な使用形態が可能となる。
【0034】
請求項5記載の発明によれば、通知信号を受信した外付け電話機のユーザが、音声通信を終了する場合には、外付け電話機の特定のキーを押下げることにより出力されるDTMF信号(予め指定されたDTMF信号)を返答信号とし、予め設定された制限時間内にファクシミリ装置に送出する。これにより、ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続が行われるので、ファクシミリ装置からの手動送信が可能となる。
【0035】
請求項6記載の発明によれば、外付け電話機のユーザが音声通信を続けるのであればオフフックしたまま、終了するのであればオンフックすればよいので、自分の意思をファクシミリ装置のユーザに伝えることが容易となる。
【0036】
請求項7記載の発明によれば、外付け電話機のキーは複数あるので、押下げられるキーに応じたDTMF信号が送出される。そのため、予めキー毎に意味を持たせておけば、外付け電話機のユーザの意思をファクシミリ装置のユーザに伝えることが可能となる。また、外付け電話機のユーザが音声通信を終了したくないため、外付け電話機の特定のキー以外を押下げた場合は、予め設定された制限時間が経過するまで待つことなく、外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定されるので、時間が節約できる。
【0037】
請求項8記載の発明によれば、ファクシミリ装置に接続された外付け電話機のユーザが音声通信を行っているときに、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行う場合でも、外付け電話機の音声通信が強制切断されるといったことはない。そして、外付け電話機がオンフックされると、ファクシミリ装置のユーザが入力した送信先に画像データが送信される。つまり、これにより、ファクシミリ通信における予約送信が可能となる。
【0038】
請求項9記載の発明によれば、外付け電話機のユーザが音声通信を途中で終了させたくない場合、所定のキーを押下げることで優先権を設定できる。これにより、音声通信中に、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行う場合でも、音声通信が強制切断されることはなくなる。
【0039】
請求項10記載の発明によれば、音声通信中の外付け電話機のユーザは、外付け電話機のハンドセットから送出される音信号により、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行おうとしていることがわかる。
【0040】
請求項11記載の発明によれば、音声通信中の外付け電話機のユーザは、外付け電話機から送出される光信号により、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行おうとしていることがわかる。しかも、光信号であるために、通信相手にそのことを知られることなく、円滑に会話を行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
以下、本発明に係るファクシミリ装置の一例として、ファクシミリ機能を備えた複合機について図面を参照しながら説明する。なお、各図において同一の符号を付した構成または処理は、同一の構成または処理であることを示し、その詳しい説明を省略する。
【0042】
図1は、本発明の一実施形態におけるファクシミリ装置の内部構成を概略的に示す側面図である。このファクシミリ装置は、ファクシミリ機能に加えて、コピー機能、プリンタ機能、及びスキャナ機能等の多機能を兼ね備えた複合機1として構成されている。複合機1は、本体部2と、本体部2の左方に配設されたスタックトレイ3と、本体部2の上部に配設された原稿読取部5と、原稿読取部5の上方に配設された原稿給送部6とを有している。
【0043】
また、複合機1のフロント部には、操作部4が設けられている。この操作部4には、ユーザ(操作者)が印刷実行指示や、画像データの送受信を指示するためのスタートキー(通信開始手段)41と、ファクシミリ送信先の番号や、印刷部数等を入力するためのテンキー42と、各種複写動作の操作ガイド情報等を表示し、これら各種設定入力用にタッチパネル機能を有する液晶ディスプレイ等からなり、複合機1の操作に必要な各種操作メッセージや登録文書の各種情報が表示される表示部43と、表示部43で設定された設定内容等をリセットするリセットキー44と、実行中の印刷(画像形成)動作を停止させるためのストップキー45と、コピー機能、プリンタ機能、スキャナ機能及びファクシミリ機能を切り替えるための機能切替キー47が備えられている。
【0044】
なお、表示部43は、タッチパネル機能を備え、ユーザが当該タッチパネルに接触することによって必要な指示を入力できる構成を有することが好ましい。また、表示部43は、複合機1のユーザが、外付け電話機8のユーザから受け取る返答信号の制限時間を設定可能な制限時間設定手段としての機能も有している。ファクシミリ機能を用いて画像データを送信する場合には、ユーザは、この操作部4を操作することにより、通信先をファクシミリ番号で指定したり、ユーザが予め登録している短縮ファクシミリ番号で指定したりすることができる。
【0045】
さらに、複合機1には、回線を介して外付け電話機8が備えられている。この外付け電話機8は、音声通信(電話)を行う相手先の電話番号等を入力するためのダイヤルキー81を備えている。そして、複合機1は電話回線(図略)に接続されており、ファクシミリ通信が行われていないときは、外付け電話機8を用いて、外部との音声通信が可能な構成となっている。
【0046】
原稿読取部5は、CCD(Charge Coupled Device)センサ及び露光ランプ等からなるスキャナ部51と、ガラス等の透明部材により構成された原稿台52及び原稿読取スリット53とを備える。スキャナ部51は、図略の駆動部によって移動可能に構成され、原稿台52に載置された原稿を読み取るときは、原稿台52に対向する位置で原稿面に沿って移動させられ、原稿画像を走査しつつ画像データを取得する。また、原稿給送部6により給送された原稿を読み取るときは、原稿読取スリット53と対向する位置に移動され、原稿読取スリット53を介して原稿給送部6による原稿の搬送動作と同期して原稿の画像を取得し、その画像データを制御部10へ出力する。
【0047】
原稿給送部6は、原稿を載置するための原稿載置部61と、画像読み取り済みの原稿を排出するための原稿排出部62と、原稿載置部61に載置された原稿を1枚ずつ繰り出して原稿読取スリット53に対向する位置へ搬送し、原稿排出部62へ排出するための給紙ローラ(図略)、搬送ローラ(図略)等からなる原稿搬送機構63を備える。原稿搬送機構63は、さらに原稿を表裏反転させて原稿読取スリット53と対向する位置へ再搬送する用紙反転機構(図略)を備え、原稿の両面の画像を原稿読取スリット53を介してスキャナ部51から読取可能にしている。
【0048】
また、原稿給送部6は、その前面側が上方に移動可能となるように本体部2に対して回動自在に設けられている。原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52の上面を開放することにより、原稿台52の上面に読み取り原稿、例えば見開き状態にされた書籍等をユーザが載置できるようになっている。
【0049】
本体部2は、複数の給紙カセット21と、給紙カセット21から記録紙を1枚ずつ繰り出して記録部7へ搬送する給紙ローラ22と、給紙カセット21から搬送されてきた記録紙に画像を形成する記録部7とを備える。
【0050】
記録部7は、スキャナ部51で取得された画像データに基づきレーザ光等を出力して感光体ドラム73を露光する光学ユニット72と、感光体ドラム73上にトナー像を形成する現像部74と、感光体ドラム73上のトナー像を記録紙に転写する転写部71と、トナー像が転写された記録紙を加熱してトナー像を記録紙に定着させる定着部75と、記録部7内の用紙搬送路中に設けられ、記録紙をスタックトレイ3または排出トレイ31まで搬送する搬送ローラ32、33等とを備える。
【0051】
また、記録紙の両面に画像を形成する場合は、記録部7で記録紙の一方の面に画像を形成した後、この記録紙を排出トレイ31側の搬送ローラ32にニップされた状態とする。この状態で搬送ローラ32を反転させて記録紙をスイッチバックさせ、記録紙を用紙搬送路Lに送って記録部7の上流域に再度搬送し、記録部7により他方の面に画像を形成した後、記録紙をスタックトレイ3または排出トレイ31に排出する。
【0052】
図2は、複合機1の概略構成を示す機能ブロック図である。複合機1は、装置全体の動作制御を司る制御部10を備えている。制御部10には、スキャナ部51及び原稿台52等からなる原稿画像の読み取りが可能な原稿読取部5と、用紙搬送部301、画像形成部302、転写部303及び定着部304等からなる記録部30とが接続されている。また、制御部10には、原稿読取部5で読み取られた画像データ等が一時的に保存される画像メモリ(画像記憶手段)40と、大量の画像データを保存可能な記憶容量を有する大容量のHDD50とが接続されている。
【0053】
画像処理部60は、原稿読取部5による原稿読み取り時には、原稿読取部5から出力されるアナログ画像をデジタル画像に変換し、画質を向上させる画像処理を施した後、圧縮画像に変換する。なお、本明細書では説明を簡潔なものとするために、画像データを適宜、画像と表現する。変換された圧縮画像は画像メモリ40に書き込まれる。制御部10は、画像メモリ40に書き込まれた圧縮画像を、文書管理の対象となるファイルデータとしてHDD50に格納する。
【0054】
また、登録文書の印刷時には、HDD50またはネットワーク上の各コンピュータから、印刷対象のファイルデータ(圧縮画像)が画像メモリ40に書き込まれ、画像処理部60は、当該圧縮されたファイルデータを伸張処理し、出力状態に応じた画像処理を施し、例えばレーザ露光の場合には、アナログの変調信号であるレーザ信号に変換する。記録部30(画像形成部302)は、例えばアナログ変調されたレーザ信号に基づいて印刷を実行する。
【0055】
制御部10は、CPU(Central Processing Unit;中央演算処理部)、このCPUの動作を規定するプログラムを格納するRAM(Random Access Memory)、あるいはROM(Read Only Memory)等の記憶部を有している。すなわち、制御部10はコンピュータを備えている。それにより、制御部10は、スキャナコントローラ101、ファクシミリコントローラ102、プリンタコントローラ103、コピーコントローラ104及びネットワークコントローラ105として機能する。また、制御部10内のCPUは、外付け電話機8と電話回線との接続を維持するか、あるいは切り離すかを判定する接続判定手段としての機能を有する。
【0056】
HDD50、制御部10内のRAMまたはROMは、外付け電話機のユーザから返答信号を受け取る際の制限時間を記憶可能な構成である。また、HDD50、制御部10内のRAMまたはROMは、ファクシミリ送信先の番号を記憶する送信先記憶手段としての機能も有する構成である。さらに、HDD50、制御部10内のRAMまたはROMは、音声通信の優先権設定の有無等を記憶する優先権記憶手段としての機能も有する構成である。
【0057】
スキャナ部コントローラ101は、スキャナ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。
【0058】
ファクシミリコントローラ102は、ファクシミリ動作に必要な各部の動作制御を行うものであり、ファクシミリ通信に必要なデータの調整を行うファクシミリ通信部70を制御する。ファクシミリ通信部70は、符号・復号化部(CODEC;コーデック)701、モデム702及びNCU(Network Control Unit)703を備えている。NCU703は、データを送受信する相手、すなわち通信先であるファクシミリ装置との電話回線を通じた接続を制御するものである。モデム702は、ファクシミリコントローラ102から符号・復号化部701を通じて送られるデジタルの送信信号をアナログの変調信号へ変換する(すなわち、変調する)とともに、NCU703を通じて入力されるアナログの変調信号である受信信号を復調し、デジタル信号へ変換するものである。
【0059】
モデム702は、外付け電話機8からDTMF信号が送出されたか否か、さらには送出されたDTMF信号が示す番号を判定可能である。また、このモデム702は、外付け電話機と電話回線とが電気的に接続されているときに、外付け電話機の所定のキーを押下げることにより送出される優先信号を受信する優先信号受信手段としての機能も有する。
【0060】
符号・復号化部701は、ファクシミリコントローラ102から送られる送信信号を符号化してモデム702を介してNCU703へ送るとともに、NCU703からモデム702を介して送られてくる受信信号を復号化してファクシミリコントローラ102へ伝える。符号・復号化部701は、例えば、画像データを一次元符号化方式(MH)で復号化するものと、二次元符号化方式(MR)で復号化するものとが選択的に使用可能なように構成されている。なお、MR方式に代えて、あるいはMR方式とともに、先頭ラインの前に仮想の白ラインがあると仮定して、その頁のラインをすべてMR方式で符号化するMMR方式によるデータを復号化する方式を採用することもできる。
【0061】
また、制御部10には、フック判定部(フック判定手段)730が接続されている。このフック判定部730は、外付け電話機8がオフフックか、オンフックかを判定するための機能部である。さらに、制御部10は、FAX/TEL切替部(接続切替手段)710を介して公衆の電話回線及び外付け電話機8と接続されている。FAX/TEL切替部710は、例えば、電気的なリレーからなり、制御部10の指示により、電話回線を複合機1であるファクシミリ装置(FAX)側、または外付け電話機(TEL)側に切り替えて、電話回線との電気的な接続を可能とするものである。
【0062】
例えば、FAX/TEL切替部710をファクシミリ装置側に切り替えると、外付け電話機8は電話回線から切り離され、NCU703が電話回線に接続される。また、FAX/TEL切替部710を外付け電話機側に切り替えると、外付け電話機8及びNCU703が共に電話回線に接続される。これにより、FAX/TEL切替部710が外付け電話機側に切り替えられているときでも、モデム702は、NCU703を介して外付け電話機8からのDTMF信号を検出することが可能となる。
【0063】
より詳しくは、外付け電話機8のユーザが、音声通信を行うためにハンドセットをオフフックすると直流電流が発生し、フック判定部730はその直流電流を検出し、制御部10に検出信号を出力する。検出信号を受信した制御部10は、FAX/TEL切替部710を制御し、接点を外付け電話機側に切り替えることで、外付け電話機8と電話回線とを接続させる。
【0064】
また、ファクシミリ通信を行う際には、制御部10は、操作部4のスタートキー42が押し下げられたことを検出すると、FAX/TEL切替部710を制御し、接点をファクシミリ装置側に切り替える。これにより、ファクシミリ通信部70を介して送られてきた画像データを、FAX/TEL切替部710を介して電話回線に出力することが可能となる。
【0065】
さらに、制御部10は、外付け電話機8にファクシミリ通信を行いたい旨の通知信号を送出する通知信号送出部(通知信号送出手段)720と接続されている。制御部10は、操作部4のスタートキー42が押し下げられたことを検出すると、通知信号送出部720を制御し通知信号を送出させる。その通知信号は、外付け電話機8に出力される。これにより、例えば、外付け電話機8のハンドセットから音声メッセージを流すこと等が可能となる。さらに、制御部10は、通知信号送出部720から通知信号が送出されてからの時間を計測するタイマ部(タイマ手段)740と接続されている。
【0066】
複合機1を用いることにより、原稿読取部5で読み取られた画像データを、ファクシミリ通信部170を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することができ、通信先からファクシミリ通信部70を通じて受信した画像データを記録部30によって記録紙に印刷することができる。すなわち、複合機1は通常のファクシミリ装置が有する通信機能を実現する。複合機1は、それに加えて、ネットワーク上のコンピュータからネットワークI/F(インタフェース)部80を通じて受信した画像データを、ファクシミリ通信部70を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することも、逆に通信先からファクシミリ通信部70を通じて受信した画像データを、ネットワークI/F部80を通じてネットワーク上のコンピュータへ配信することも可能にする。複合機1はさらに、HDD50等に蓄積される画像データを、ファクシミリ通信部70を通じて通信先のファクシミリ装置へ送信することも、逆に通信先からファクシミリ通信部70を通じて受信した画像データを、HDD50等に蓄積することも可能にする。
【0067】
コピーコントローラ104は、コピー動作に必要な各部の動作制御を行うものである。そして、プリンタコントローラ103は、プリンタ動作に必要な各部の動作制御を行うものである。このプリンタコントローラ103には、複数の信号線を用いて同時に数ビットまとめてデータを送るパラレル伝送で外部機器と接続するパラレルI/F(インタフェース)部(図略)802と、単一の信号線を用いて1ビットずつ順次データを送るシリアル伝送で外部機器と接続するシリアルI/F(インタフェース)部(図略)803とが接続されている。
【0068】
ネットワークコントローラ105は、本複合機1とネットワーク上のコンピュータ、さらには、インターネット上のサイトとの間で行われるデータ送受信を制御するものである。ネットワークコントローラ105は、ネットワークI/F部80に、外部とデータを送受信させる。
【0069】
操作部4は、複合機1の操作に必要な各種の指示をユーザが入力するためのものである。操作部4は、文書の印刷部数等が入力されるテンキー41と、押下げることで印刷実行指示やファクシミリ送信指示等が行われるスタートキー42、さらには各種情報が表示される表示部43とを有している。
【0070】
制御部10としてのコンピュータが読み取ることによってこれらの機能を実現するための上記プログラムは、HDD(ハードディスクドライブ)50等の不揮発性かつ大容量の外部記憶装置に格納しておき、上記RAM等の主記憶装置に適宜転送することにより、CPUによる実行に供することも可能である。上記プログラムは、ROMあるいはCD−ROM等の記録媒体を通じて供給することも、ネットワークI/F部80に接続されるネットワーク等の伝送媒体を通じて供給することも可能である。プログラムがROMを通じて供給される場合には、当該プログラムが記録されたROMを制御部10に搭載することにより、CPUによる実行に供することができる。プログラムがCD−ROMを通じて供給される場合には、CD−ROM読み取り装置を、例えばパラレルインタフェース部802へ接続し、当該プログラムをRAMあるいはHDD50へ転送することにより、CPUによる実行に供することができる。また、プログラムが伝送媒体を通じて供給される場合には、ネットワークI/F部80等を通じて受信したプログラムをRAMあるいはHDD50へ転送することにより、CPUによる実行に供することができる。
【0071】
[第1の実施形態]
本実施形態においては、外付け電話を用いた音声通信が行われているとき、ファクシミリ送信を行う例について説明する。図3は、本発明の第1の実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
【0072】
まず、複合機(ファクシミリ装置)1のユーザが、原稿給送部6の前面側を上方に移動させて原稿台52の上面を開放する。そして、原稿台52の上面にファクシミリ送信したい原稿を載置する(ステップS101)。続いて、ユーザは、例えばテンキー41等を操作し、送信先のファクシミリ番号を入力する(ステップS102)。このとき、テンキー41が押下げられることで出力されるDTMF信号が、モデム702により検出される。DTMF信号を検出したモデム702は、そのことを制御部10に通知する。
【0073】
その通知を受けた制御部10は、FAX/TEL切替部710の接続状態を調べ、その時点で、電話回線がファクシミリ装置側に接続されているか否かを判定する(ステップS103)。その結果、電話回線がファクシミリ装置側に接続されていると判定される(ステップS103でYes)と、他のユーザによるファクシミリ通信中であることがわかるので、その時点までに入力されたファクシミリ番号に加え、それ以後入力されたファクシミリ番号等が、例えばHDD50等に記憶されて、予約送信が継続される(ステップS104)。
【0074】
それに対して、ファクシミリ装置側に接続されていないと判定された場合(ステップS103でNo)は、電話回線が外付け電話機側に接続されている場合と、外付け電話機、ファクシミリ装置のいずれにも接続されていない場合との2通りがある。そのため、続いて、外付け電話機8を用いた音声通信が行われているか否かの判定が行われる。これは、フック判定部730が外付け電話機8のフック状態を調べ、オフフックか否かを検出することで実行される(ステップS105)。その結果、オンフックであると判定される(ステップS105でNo)と、音声通信が行われていない通常の待機状態であることがわかる。
【0075】
そのため、ファクシミリ送信を行うユーザの判断に応じて(ステップS106)、手動送信(ステップS120)または予約送信(ステップS121)のいずれかを継続することができる。この判断は、例えば、表示部43等を操作し、ユーザが選択できる構成であればよい。また、このとき、手動送信が選択されれば、その時点までに入力されたファクシミリ番号に加え、それ以後入力されたファクシミリ番号等が電話回線に送出される。それに対して、予約送信が選択されれば、その時点までに入力されたファクシミリ番号に加え、それ以後入力されたファクシミリ番号等が、例えばHDD50等に記憶されて、電話回線が使用可能になったときなどに電話回線に送出される。
【0076】
また、外付け電話機8がオフフックであると判定される(ステップS105でYes)と、続いて、スタートキー42が押下げられているか否かが判定される(ステップS107)。その結果、スタートキー42が押下げられていないと判定される(ステップS107でNo)と、まだテンキー41を操作した送信先のファクシミリ番号を入力している途中なので、そのままテンキー41を操作したファクシミリ番号の入力が続けられる(ステップS108)。このテンキー41を用いたファクシミリ番号の入力が終了すると、ユーザはスタートキー42を押下げ、ファクシミリ送信の要求を行う。
【0077】
そして、スタートキー42が押下げられる(ステップS107でYes)と、通知信号送出部720は、外付け電話機8に通知信号としての音声メッセージを送出する(ステップS109)。この音声メッセージは、例えば、「ファクシミリ送信操作が行われました。音声通信を終了しても良いなら“5”キーを押して下さい。」などというものである。この音声メッセージは、例えば、外付け電話機8のハンドセットから発せられるため、外付け電話機8のユーザはファクシミリ送信が行われたことを知ることができる。
【0078】
また、通知信号送出部720から音声メッセージが送出されると、制御部10はタイマ部740のカウンタをリセットし、新たにカウント作業を開始させる(ステップS110)。
【0079】
外付け電話機8のユーザは、音声通信を終了するなら、ダイヤルキー81を操作し “5”キーを押下げる。すると、外付け電話機8から返答信号としての“5”を表すDTMF信号(以下、指定DTMF信号という。)が送出され、そのDTMF信号は、ファクシミリ通信部70内のモデム702に出力される。DTMF信号を受信したモデム702は、そのDTMF信号を解析し、外付け電話機8で押された番号を判定する(ステップS111)。つまり、モデム702において、受信したDTMF信号は“5”を表す指定DTMF信号か、それとも他の番号を表すものかが判定される。
【0080】
その結果、受信したDTMF信号が指定DTMF信号であった場合(ステップS111でYes)、外付け電話機8のユーザは「音声通信を終了する。」という意思表示をしたことになる。そのため、ファクシミリの手動送信を行うことができる(ステップS112)。この手動送信においては、制御部10はFAX/TEL切替部710を制御し、外付け電話機8と電話回線との電気的な接続を切り離し、ファクシミリ装置と電話回線との電気的な接続を行う。
【0081】
それに対して、外付け電話機8のユーザが音声通信を終了せず音声通信を続ける場合、本実施形態においては特別の操作を必要としない。その場合、モデム702において、指定DTMF信号が検出されない(ステップS111でNo)ので、制御部10はタイマ部740を参照し、タイムアウトか否かを判定する(ステップS113)。これは、例えば、ファクシミリ装置のユーザが、外付け電話機8のユーザから返事を受け取る時間を制限するためのもので、その制限時間は事前に設定され、例えばHDD50等に記憶されている。つまり、制御部10は、このHDD50から設定されている制限時間を読み取り、タイマ部740でカウントされた時間がその制限時間より短いか否かを判定する。
【0082】
その結果、タイムアウトではない、つまりタイマ部740でカウントされた時間が設定された制限時間より短い場合(ステップS113でNo)、ステップS111に戻る。それに対して、タイムアウトである、つまりタイマ部740でカウントされた時間が制限時間より長い場合(ステップS113でYes)、外付け電話機8のユーザが音声通信を続けることがわかる。そのため、予約送信が行われる(ステップS114)。この予約送信においては、外付け電話機8と電話回線との電気的な接続が維持される。
【0083】
このように制限時間を設けることで、外付け電話機のユーザからの返答信号を受信するまで待つことなく、ファクシミリ装置のユーザが設定した制限時間を基準として、外付け電話機と電話回線との接続を維持することを判断することができる。
【0084】
また、例えば、ステップS112においては、手動送信が可能となっている。しかしながら、ステップS101において、原稿台52に原稿をセットしなかった場合には、ステップS112において、手動受信が可能である。
【0085】
次に、図4及び図5を用いて、手動送信(図3におけるステップS112)及び予約送信(図3におけるステップS112)における処理の流れを説明する。なお、この手動送信及び予約送信の流れは、以下の他の実施形態にも適用可能である。
【0086】
まず、手動送信について説明する。図4は手動送信の処理の流れを示すフローチャートである。手動送信が開始されると、図3のステップS102及びS108において入力されたファクシミリ番号が電話回線に送出される(ステップS201)。そして、原稿台52に載置された原稿の画像データは、スキャナ部51により読み取られ、当該画像データは画像メモリ40に一時的に記憶される(ステップS202)。続いて、制御部10は、FAX/TEL切替部710を制御し、電話回線をファクシミリ装置側に接続する(ステップS203)。これにより、ファクシミリ送信可能となり、画像メモリ40に記憶された画像データが、ステップS102及びステップS108において入力された宛先へと送信される(ステップS204)。なお、電話回線をファクシミリ装置側に接続する(ステップS203)処理は、画像データの読み取り及び記憶(ステップS202)に先んじていても構わない。
【0087】
次に、予約送信について説明する。図5は予約送信の処理の流れを示すフローチャートである。予約送信が開始されると、図3のステップS102及びS108において入力されたファクシミリ番号が、例えばHDD50等に記憶される(ステップS301)。そして、原稿台52に載置された原稿の画像データは、スキャナ部51により読み取られ、当該画像データは画像メモリ40に一時的に記憶される(ステップS302)。
【0088】
続いて、フック判定部730は、外付け電話機8のフック状態を調べ、オフフックか否かを判定する(ステップS303)。その結果、オフフックであると判定される(ステップS303でYes)と、外付け電話機8のユーザがまだ音声通信中であるので、ファクシミリ送信は行わない。そして、外付け電話機8がオンフックであると判定された(ステップS303でNo)時点で、外付け電話機8のユーザが音声通信を終了したことがわかるので、制御部10は、FAX/TEL切替部710を制御し、電話回線をファクシミリ装置側に接続する(ステップS304)。これにより、ファクシミリ送信可能となり、画像メモリ40に記憶された画像データが、ステップS102及びステップS108において入力された宛先へと送信される(ステップS305)。
【0089】
以上説明した本実施形態においては、外付け電話機を用いた音声通信を行っているユーザは、ファクシミリ装置から送出された通知信号により、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行おうとしていることがわかる。これにより、外付け電話機のユーザ自身が、そのまま音声通信を続けるか、あるいは終了するかを判断することが可能となり、
それを返答信号としてファクシミリ装置のユーザに伝えることができる。そのため、外付け電話機を用いた音声通信中に、その音声通信が強制切断されるなどの不具合が無くなり、外付け電話機とファクシミリ装置との円滑な使用形態が可能となる。
【0090】
また、本実施形態によれば、ファクシミリ装置に予め設定された制限時間を基準として、その制限時間内に返答信号を受信しなければ、外付け電話機と電話回線との接続を維持すると判断する。そのため、外付け電話機のユーザからの返答信号を受信するまで待つ必要がなくなり、時間が節約できる。
【0091】
さらに、本実施形態によれば、外付け電話機のユーザからの返答信号に応じて、電話回線がファクシミリ装置側または外付け電話機側に切り替えられるので、それぞれ手動送信または予約送信が可能となる。
【0092】
[第2の実施形態]
本実施形態においても、前述の第1の実施形態と同様に、外付け電話機を用いた音声通信が行われているとき、ファクシミリ送信を行う例について説明する。ただし、前述の第1の実施形態とは異なり、外付け電話機の操作者が優先信号により優先権を設定し、音声通信中のファクシミリ通信を許可しないことが可能な構成について説明する。
【0093】
図6は、本発明の第2の実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
【0094】
まず、外付け電話機8のユーザが音声通信を行っている場合、このユーザは外付け電話機8のダイヤルキー81を操作し、優先信号を入力することができる(ステップS401)。これは、例えば、ダイヤルキー81を操作し、通信先の電話番号を入力した後で所定のキー(例えば、“♯”等)を押下げると、ファクシミリ装置のモデム702がそのDTMF信号を検出し、ユーザからの優先権設定があったことを、例えばHDD50等に記憶させることで実現できる。このとき、HDD50には、優先権設定の有無を記憶しておくための所定の領域があり、そこに例えばフラグを設定すればよい。これは、例えば、初期フラグは「0」だが、外付け電話機8のユーザが優先権を設定するために“♯”等を押下げると、フラグは「1」に変更されるような構成であればよい。
【0095】
続いて、ファクシミリ装置のユーザが、原稿台52の上面にファクシミリ送信したい原稿を載置する(ステップS101)。続いて、ユーザは、例えばテンキー41等を操作し、送信先のファクシミリ番号を入力する(ステップS102)。
【0096】
次に、制御部10は、FAX/TEL切替部710の接続状態を調べ、その時点で、電話回線がファクシミリ装置側に接続されているか否かを判定する(ステップS103)。その結果、電話回線がファクシミリ装置側に接続されていると判定される(ステップS103でYes)と、その時点までに入力されたファクシミリ番号に加え、それ以後入力されたファクシミリ番号等が、例えばHDD50等に記憶されて、予約送信が継続される(ステップS104)。
【0097】
それに対して、ファクシミリ装置側に接続されていないと判定された場合(ステップS103でNo)は、続いて、フック判定部730が外付け電話機8のフック状態を調べ、オフフックか否かを判定する(ステップS105)。その結果、オンフックであると判定される(ステップS105でNo)と、ファクシミリ送信を行うユーザの判断に応じて(ステップS106)、手動送信(ステップS120)または予約送信(ステップS121)のいずれかを継続することができる。この判断は、例えば、表示部43等を操作し、ユーザが選択できる構成であればよい。
【0098】
また、外付け電話機8がオフフックであると判定される(ステップS105でYes)と、続いて、スタートキー42が押下げられているか否かが判定される(ステップS107)。その結果、スタートキー42が押下げられていないと判定される(ステップS107でNo)と、そのままテンキー41を操作したファクシミリ番号の入力が続けられる(ステップS108)。このテンキー41を用いたファクシミリ番号の入力が終了すると、ユーザはスタートキー42を押下げ、ファクシミリ送信の要求を行う。
【0099】
そして、スタートキー42が押下げられる(ステップS107でYes)と、制御部10はHDD50の所定の領域に記憶されているフラグを参照し、外付け電話機8のユーザによる優先権の設定があるか否かを判定する(ステップS402)。その結果、例えばフラグが「1」であり、優先権の設定があると判定された場合には、手動送信を行うことができないので、予約送信を開始する(ステップS114)。それに対して、例えばフラグが「0」であり、優先権の設定がないと判定された場合には、通知信号送出部720は、外付け電話機8に通知信号としての音声メッセージを送出する(ステップS109)。
【0100】
また、通知信号送出部720から音声メッセージが送出されると、制御部10はタイマ部740のカウンタをリセットし、新たにカウント作業を開始させる(ステップS110)。
【0101】
外付け電話機8のユーザは、音声通信を終了するなら、ダイヤルキー81を操作し “5”キーを押下げる。すると、外付け電話機8から返答信号としての“5”を表す指定DTMF信号が送出され、そのDTMF信号は、ファクシミリ通信部70内のモデム702に出力される。DTMF信号を受信したモデム702は、そのDTMF信号を解析し、外付け電話機8で押された番号を判定する(ステップS111)。
【0102】
その結果、受信したDTMF信号が指定DTMF信号であった場合(ステップS111でYes)、ファクシミリの手動送信が行われる(ステップS112)。この手動送信においては、制御部10はFAX/TEL切替部710を制御し、外付け電話機8と電話回線との電気的な接続を切り離し、ファクシミリ装置と電話回線との電気的な接続を行う。
【0103】
それに対して、モデム702において、指定DTMF信号が検出されない場合(ステップS111でNo)、制御部10はタイマ部740を参照し、タイムアウトか否かを判定する(ステップS113)。その結果、タイムアウトではないと判定された場合(ステップS113でNo)、ステップS111に戻る。それに対して、タイムアウトであると判定された場合(ステップS113でYes)、予約送信が行われる(ステップS114)。この予約送信においては、外付け電話機8と電話回線との電気的な接続が維持される。
【0104】
また、例えば、ステップS112においては、手動送信が可能となっている。しかしながら、ステップS101において、原稿台52に原稿をセットしなかった場合には、ステップS112において、手動受信が可能である。
【0105】
さらに、本実施形態においては、優先権設定の有無を記憶しているHDD50の所定の領域に記憶されているフラグは、外付け電話機8の音声通信が終了しオンフックされると、「0」に初期化される構成であっても構わないし、「1」のまま保持される構成であっても構わない。前者では、優先権はその1回の音声通信でのみ有効であるが、後者では、優先権は以後の音声通信においても引き続き有効である。また、優先権の設定または解除を、ファクシミリ装置の、例えば表示部43等の操作で可能とする構成であっても構わない。
【0106】
以上説明した本実施形態においては、外付け電話機のユーザが音声通信を途中で終了させたくない場合、所定のキーを押下げることで優先権を設定できる。これにより、音声通信中に、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行う場合でも、音声通信が強制切断されることはなくなる。
【0107】
[他の好ましい実施形態]
(A)以上説明した実施形態においては、手動送信(図4のステップS201)及び予約送信(図5のステップS301)の際、原稿の画像データが読み取られるとして説明したが、それに限られることなく、スタートキー42を押下げる(ステップS107)と、原稿の画像データが読み取られ、画像メモリ40に記憶されるように構成してもよい。
【0108】
(B)以上説明した実施形態においては、音声通信中であり、ファクシミリ装置からの音声メッセージを受け取った外付け電話機8のユーザは音声通信を終了したくない場合、特別の操作をする必要がなかった。しかしながら、それ以外にも、例えば、音声通信を終了したくないことを直接に伝える構成とすることもできる。
【0109】
図7は、本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れの変形例を示すフローチャートである。本変形例においては、ファクシミリ装置からの音声メッセージを受け取った外付け電話機8のユーザが音声通信を終了しない場合には、例えば“5”等の所定のダイヤルキー81を押下げ、音声通信を終了する場合には、何も特別な操作をしないか、あるいは、例えば“5”以外のダイヤルキー81を押下げればよい構成としている。また、ステップS109までの処理は、図3及び図6のいずれを適用することも可能であるため説明は省略する。
【0110】
まず、通知信号送出部720から音声メッセージが送出されると、制御部10はタイマ部740のカウンタをリセットし、新たにカウント作業を開始させる(ステップS110)。
【0111】
外付け電話機8のユーザは、音声通信を終了する場合、ダイヤルキー81を操作し “5”キーを押下げる。それに対して、音声通信を終了しない場合、何も特別な操作をしないか、あるいはダイヤルキー81を操作し “5”以外のキーを押下げる。すると、モデム702においてDTMF信号が検出されたか否かが判定される(ステップS501)。その結果、DTMF信号が検出された場合には、モデム702はそのDTMF信号を解析し、外付け電話機8で押された番号を判定する(ステップS502)。そして、受信したDTMF信号が指定DTMF信号であった場合(ステップS502でYes)、ファクシミリの手動送信を開始することができる(ステップS503)。
【0112】
それに対して、モデム702において、指定DTMF信号が検出されない場合(ステップS502でNo)、つまり、外付け電話機8において“5”以外のキーが押下げられた場合、ファクシミリの手動送信または手動受信を行うことができず、予約送信を開始する(ステップS505)。
【0113】
以上とは異なり、DTMF信号が検出されなかった場合(ステップS501でNo)、つまり外付け電話機8のユーザが何も特別な操作をしなかった場合には、制御部10はタイマ部740を参照し、タイムアウトか否かを判定する(ステップS504)。その結果、タイムアウトではないと判定された場合(ステップS504でNo)、ステップS501に戻る。それに対して、タイムアウトであると判定された場合(ステップS504でYes)、ファクシミリの手動送信または手動受信を行うことができず、予約送信を開始する(ステップS505)。以降の、手動送信あるいは予約送信の処理は、図4または図5に示されたものを適用することができる。
【0114】
以上説明した本実施形態によれば、外付け電話機のキーは複数あるので、押下げられるキーに応じたDTMF信号が送出される。そのため、予めキー毎に意味を持たせておけば、外付け電話機のユーザの意思をファクシミリ装置のユーザに伝えることが可能となる。また、外付け電話機のユーザが音声通信を終了したくないため “5”以外のキーを押下げた場合は、制御部10においてタイムアウトと判定されるまで待つことなく、予約送信に設定されるので、時間が節約される。
【0115】
(C)以上説明したいくつかの実施形態においては、例えば図3のステップS111等のように、外付け電話機のユーザは返答信号としてDTMF信号を送出する例について説明した。しかしながら、本発明の実施形態はそれに限られることなく、返答信号は、外付け電話機のユーザがハンドセットをオンフック、またはオフフックすることにより送出されるものであってもよい。
【0116】
これを実現するためには、例えば、図3のステップS111を、外付け電話機8がオンフックか否かの判定を行う(以下、ステップS601とする。)構成とすればよい。つまり、本変形例においては、ファクシミリ装置からの音声メッセージを受け取った外付け電話機8のユーザが、音声通信を終了しない場合にはオフフックのままで、音声通信を終了する場合にはオンフックすればよい構成としている。
【0117】
通知信号送出部720からの音声メッセージを受け取ると、まず、タイマのカウントアップが開始される(ステップS110)。そして、音声通信を終了するならオンフックする。それに対して、音声通信を終了しないならそのオフフックのまま、音声通信を続ける。すると、フック判定部730は、外付け電話機8のフック状態を判定する(ステップS601)。
【0118】
その結果、外付け電話機8がオンフックであった場合(ステップS601でYes)、ファクシミリの手動送信を開始することができる(ステップS112)。それに対して、外付け電話機8がオフフックであった場合(ステップS601でNo)、制御部10はタイマ部740を参照し、タイムアウトか否かを判定する(ステップS113)。
【0119】
その結果、タイムアウトではないと判定された場合(ステップS113でNo)、ステップS111に戻る。それに対して、タイムアウトであると判定された場合(ステップS113でYes)、ファクシミリの手動送信または手動受信を行うことができず、予約送信を開始する(ステップS114)。以降の、手動送信あるいは予約送信の処理は、図4または図5に示されたものを適用することができる。
【0120】
このような構成とすることにより、外付け電話機のユーザが音声通信を続けるのであればオフフックしたまま、終了するのであればオンフックすればよいので、自分の意思をファクシミリ装置のユーザに伝えることが容易となる。
【0121】
(D)以上説明した実施形態においては、通知信号として音声メッセージを送出する例について説明したが、それに限られることなく、ブザー音や光信号を外付け電話機に送出可能な特別の信号線を設ける構成であってもよい。いずれの場合も、音声通信中の外付け電話機のユーザが、外付け電話機のハンドセットから送出される信号により、ファクシミリ装置のユーザがファクシミリ通信を行おうとしていることがわかる。光信号の場合はさらに、通信相手にそのことを知られることなく、円滑に会話を行うことができる。
【0122】
(E)以上説明した実施形態における制限時間は、製品出荷時に予め設定されていてもよいし、ユーザが、例えば、表示部43等を操作しファクシミリ送信毎に入力可能な構成であってもよい。特に、ユーザ設定可能な構成であれば、ユーザの好みやファクシミリ送信の緊急度に応じて変更できるので、外付け電話機とファクシミリ装置との円滑な使用形態が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の概略内部側面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の概略構成を示す機能ブロック図である。
【図3】本発明の第1の実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
【図4】本発明の第1の実施形態に係るファクシミリ装置の手動送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施形態に係るファクシミリ装置の予約送信処理の流れを示すフローチャートである。
【図6】本発明の第2の実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れを示すフローチャートである。
【図7】本発明の一実施形態に係るファクシミリ装置の通信切り替え処理の流れの変形例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0124】
1 ファクシミリ装置(複合機)
10 制御部
102 ファクシミリコントローラ
40 画像メモリ
41 テンキー
42 スタートキー
43 表示部
50 HDD
70 ファクシミリ通信部
702 モデム
703 NCU
710 FAX/TEL切替部
720 通知信号送出部
730 フック判定部
740 タイマ部
8 外付け電話機
81 ダイヤルキー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外付け電話機と接続可能であり、前記外付け電話機と電話回線を共有するファクシミリ装置であって、
画像データの送受信開始を指示する通信開始手段と、
前記外付け電話機がオフフックであるか否かを判定するフック判定手段と、
前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機との少なくとも一方と前記電話回線との電気的な接続を切り替える接続切替手段と、
ユーザがファクシミリ送信のための操作を行ったときに、前記接続切替手段が前記外付け電話機と前記電話回線とを電気的に接続しており、かつ前記フック判定手段が前記外付け電話機がオフフックであると判定し、前記通信開始手段が画像データの送受信開始を指示すると、前記外付け電話機に通知信号を送出する通知信号送出手段と、
を備えることを特徴とするファクシミリ装置。
【請求項2】
前記通知信号送出手段による通知信号の送出後に、前記外付け電話機からの返答信号を受信し、当該返答信号に基づき、前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機とのいずれを前記電話回線に電気的に接続させるかを判定する接続判定手段をさらに備え、
前記接続切替手段は、前記接続判定手段の判定結果に基づき、前記ファクシミリ装置と前記外付け電話機との少なくとも一方と前記電話回線との電気的な接続を切り替えることを特徴とする請求項1記載のファクシミリ装置。
【請求項3】
前記通知信号送出手段により、前記外付け電話機に通知信号が送出されてからの時間を計測するタイマ手段をさらに備え、
前記接続判定手段は、前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答信号が受信されないとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持すると判定し、
前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号が受信されたとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を切り離し、前記ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続を行うと判定することを特徴とする請求項2記載のファクシミリ装置。
【請求項4】
前記制限時間を設定可能な制限時間設定手段をさらに備えることを特徴とする請求項3記載のファクシミリ装置。
【請求項5】
前記返答信号は、前記外付け電話機から送出された、予め指定されたDTMF信号であることを特徴とする請求項3または4に記載のファクシミリ装置。
【請求項6】
前記返答信号は、前記外付け電話機から送出され前記フック判定手段により受信された、前記外付け電話機がオンフックであることを示す信号であることを特徴とする請求項3または4に記載のファクシミリ装置。
【請求項7】
前記通知信号送出手段により、前記外付け電話機に通知信号が送出されてからの時間を計測するタイマ手段をさらに備え、
前記接続判定手段は、前記タイマ手段により計測された時間が予め設定された制限時間を越えても前記返答信号であるDTMF信号が受信されないとき、及び前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号であるDTMF信号が受信され、かつ当該DTMF信号が予め指定されたDTMF信号ではないとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持すると判定し、
前記タイマ手段により計測された時間が前記制限時間に至る前に前記返答信号であるDTMF信号が受信され、かつ当該DTMF信号が予め指定されたDTMF信号であるとき、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を切り離し、前記ファクシミリ装置と前記電話回線との電気的な接続を行うと判定することを特徴とする請求項2記載のファクシミリ装置。
【請求項8】
ファクシミリ装置に入力された送信先を記憶する送信先記憶手段と、
前記画像データを記憶する画像記憶手段とをさらに備え、
前記接続判定手段が、前記外付け電話機と電話回線との電気的な接続を維持すると判定したとき、ユーザが入力した送信先を前記送信先記憶手段により記憶し、かつ送信すべき画像データを前記画像記憶手段に記憶しておき、前記フック判定手段の判定において前記外付け電話機がオンフックに転じると、前記接続切替手段は前記ファクシミリ装置と前記電話回線とを電気的に接続し、前記画像記憶手段に記憶された前記画像データを前記送信先記憶手段に記憶された送信先に送出することを特徴とする請求項2乃至7のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項9】
前記接続切替手段が前記外付け電話機と前記電話回線とを電気的に接続しており、かつ前記フック判定手段が前記外付け電話機がオフフックであると判定したときに、前記外付け電話機の所定のキーを押下げることにより送出される優先信号を受信する優先信号受信手段と、
前記優先信号受信手段により優先信号が受信されたことを記憶する優先権記憶手段と、をさらに備え、
前記接続切替手段は、前記優先権記憶手段に前記優先信号を受信したことが記憶されているとき、前記フック判定手段が前記外付け電話機がオンフックであると判定するまで、前記外付け電話機と前記電話回線との電気的な接続を維持することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項10】
前記通知信号は、それを受信した前記外付け電話機から音信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のファクシミリ装置。
【請求項11】
前記外付け電話機は光信号を発生可能に構成されており、
前記通知信号は、当該通知信号を受信した前記外付け電話機から光信号を出力するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のファクシミリ装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate