説明

ファフィア・ロドジマによる供給−バッチ発酵プロセスを用いたアスタキサンチン産生

以下の段階を含む、ファフィア・ロドジマ(Phaffia rhodozyma)を用いるアスタキサンチンの発酵法を開示する:全発酵期間を通して発酵ブロスにおけるグルコース濃度をほぼ0 g/Lに維持しながら、(a)増殖期において、ファフィア・ロドジマ細胞の特異的増殖速度(μ)に基づいてグルコースまたは蔗糖を含む栄養培地を供給する段階、および(b)アスタキサンチン産生期において、アスタキサンチン産生速度に基づいて栄養培地を供給する段階。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細胞増殖、炭素源の消費、およびカロチノイド産生に基づく新しい供給法を適用した供給-バッチ発酵システムを利用した、ファフィア・ロドジマ(P. rhodozyma)によるアスタキサンチンの高収量産生プロセスを提供する。
【背景技術】
【0002】
周知のカロチノイドの一つとしてのアスタキサンチンは、海洋環境における赤またはオレンジ色素として一般的に認められるキサントフィルである。この色素は、サケ、甲殻類、およびマスのようなβ-カロチンをデノボ合成することができない特定の海洋動物における特徴的な色であると見なされていることから、したがって、消費者にアピールする適した色をそれらに提供するためにその飼料にこれを添加する必要がある。このカロチノイドは、他の動物の肉および産物に、および他の食品、例えば家禽および鶏卵、様々な酪農製品、スナック食品等に色素を加える場合にも有用である。ごく少数の微生物のみがアスタキサンチンを合成し、その中でも酵母であるP.ロドジマはそのアスタキサンチン含有量が高いことから商業的産生を行うための可能性がある候補である。P.ロドジマは、特異的にアスタキサンチンを産生するカロチン産生酵母株として知られている。他のカロチン形成酵母であるロドトルラ(Rhodotorula)種とは異なり、P.ロドジマは、D-グルコースのようないくつかの糖を発酵させることができる。これは、工業的応用の観点から重要な特徴である。最近の分類学的研究において、P.ロドジマの性的サイクルが明らかになり、そのテレモルフィック(telemorphic)状態には、キサントフィロミセス・デンドロロウス(Xanthophyllomyces dendrorhous)の名称が与えられた。しかし、P.ロドジマの天然の単離体は、アスタキサンチンの産生が非常に少ないため(典型的に100〜300 ppm)、それらは水産養殖にとって現実的または経済的な色素源ではない。ファフィア株が水生動物または任意の他の可能性がある食料(動物またはそれ以外)を着色するための経済的に実現可能な飼料添加剤となるのであれば、アスタキサンチン過剰産生株を開発しなければならない。天然に存在する「野生型」ファフィアの変異体は文献に記述されており、伝えられるところでは野生型酵母より高レベルのアスタキサンチンを産生することができる。これらの株は、特定の条件では野生型単離体より高いレベルのアスタキサンチンを産生すると報告されている。
【0003】
商業的カロチノイド産生のためにP.ロドジマの適した株を開発する必要性の他に、大きい発酵器においてカロチノイド産生を最大限にするP.ロドジマの培養法もまた開発する必要がある。
【発明の開示】
【0004】
本発明は、供給-バッチ様式でファフィア株による細胞増殖、炭素源消費、およびカロチノイド産生に基づいて栄養培地の新規供給法を適用することを含む、アスタキサンチンを高収量で産生するプロセスを提供する。特に、炭素源消費に基づく栄養培地の新規供給法を用いることによって、発酵期間を短縮することができ、アスタキサンチン産生は有意に増強することができるであろう。
【0005】
本発明は、供給-バッチ発酵システムでの細胞増殖、炭素源消費、およびカロチノイド産生に基づいて栄養培地の新規供給法を適用する、P.ロドジマによって高収量でアスタキサンチンを産生するための発酵プロセスに関する。
【0006】
P.ロドジマによるカロチノイド産生が典型的な非増殖関連型発酵であることは周知である。増殖期では消費された炭素源に対してより高い細胞収量(Yx/s)が得られ、産生期ではより低いYx/sが得られると考えられる。本発明は、より高いYx/sを有する増殖期において細胞増殖を極端に増強するため、および細胞増殖を調節して産生期においてグルコースをカロチノイドに効率よく転換するために、炭素源濃度の調節と組み合わせた指数的供給法、および炭素源消費速度に基づく供給法を含む新規供給戦略を提供する。
【0007】
本発明は、供給-バッチ発酵システムを利用したP.ロドジマによるアスタキサンチンの高収量産生プロセスに関する。特に、細胞増殖、炭素源消費、およびカロチノイド産生に基づく新規供給法を作成した。
【0008】
ファフィア株は、栄養培地50 mlを含む500 mlアーレンマイヤーフラスコに斜面から移して、ここで細胞を十分な通気下で20〜22℃で3日間振とうさせながら培養することによって増殖させる。このように、このシード培養物を、栄養培地100 mlを含む500 mlアーレンマイヤーフラスコに移して、十分な通気下で20〜22℃でロータリーシェーカーにおいて2日間インキュベートした。次に、これらの細胞培養物の少量を用いて発酵器に接種する。
【0009】
シード培養物を、栄養培地1.75 Lを含む5 L発酵器に移す。培養物を、酵母乾燥実質含有量1 g/Lが得られるまで20〜22℃でバッチ増殖させた。その後、糖溶液の供給を開始して供給-バッチ発酵を20〜22℃で行った。
【0010】
栄養培地は基本的に、同化可能型の様々なビタミンおよび無機質を添加して炭素源および窒素源としてグルコースまたは蔗糖を含む。これらのビタミンおよび無機質の典型的なものは硫酸アンモニウム、燐酸カリウム、硫酸マグネシウム、硫酸亜鉛、硫酸第二鉄アンモニウム、硫酸銅、イノシトール、塩酸ピリドキシン、チアミン、パントテン酸カルシウム、ビオチン等である。グルコースおよび酵母抽出物を含むこれらの材料の配合および濃度は、都合に合わせて変化しうる。望ましければ消泡剤および/または他の添加剤も同様に培地に組み入れることができ、または用いることができる。供給-バッチ発酵において発酵器に供給される培地は、多糖類、例えばグルコースまたは蔗糖を含んだ。
【0011】
栄養培地は、エネルギー源としてグルコース、蔗糖、および他の多糖類の重合化型、糖蜜およびコーンシロップ、グリセロールおよび他のポリオール、カルボン酸を含みうる。同時に、栄養培地は、栄養源として酵母抽出物、肉抽出物、ペプトン、カゼイン、コーンスティープリカー、尿素、アミノ酸、硝酸塩、アンモニウム塩等を含みうる。
【0012】
栄養培地を含む発酵器はオートクレーヴによって滅菌される。作業容積は厳密ではなく、発酵は、小規模から工業的大規模まで操作することができる。培地のpHは、通常4.5〜7.0に維持され、温度は15〜24℃に維持される。培地は通常、濾過滅菌した空気を分散され、絶えず攪拌される。株は、発酵器においてNH4OH溶液、NaOH溶液、または双方によって調節したpH 4.5〜7.0の範囲で増殖する。温度は15〜24℃の範囲で設定することができ、DOは攪拌および通気によって10〜90%の範囲に調節される。
【0013】
1.典型的な供給法
栄養培地の典型的な供給法は米国特許第6,015,684号に開示されている。増殖期において、酵母細胞の特異的増殖速度μが0.01〜0.10 h-1に達するように、グルコースまたは蔗糖を含む供給培地を主発酵器に供給する。そして、培養ブロスに栄養およびエタノールが蓄積しないように、供給速度を徐々に増加させる。望ましい酵母固体が得られた後で栄養源が蓄積する前に、供給速度を増殖期の最大供給速度の約50%に減少させる。栄養源供給を減少させたこの期間、すなわち産生期において、酵母細胞はアスタキサンチンを産生し続けるが、細胞数の増殖は制限される。発酵は典型的に4〜9日間持続し、細胞増殖およびアスタキサンチン産生を分析するために発酵物を定期的に採取する。
【0014】
特異的グルコース消費速度(q)および特異的増殖速度(μ)を計算することができる。μはqとμに相関してqと共に増加する。μ/qの勾配は、等式(1)のように消費されたグルコースに対する細胞収量(Yx/s)を意味する。
μ/q={(1/X)・(dX/dt)}/{(1/X)・(dS/dt)}=dX/dS=Yx/s (1)
X:細胞濃度(g乾燥細胞/L)
S:炭素源濃度(g/L)
【0015】
2.C/N比に関係する指数的供給法
供給速度が増殖期において直線的に増加している場合、qは実施例1に記述するように臨界点より高く、Yx/sは0.200〜0.500である。一方、供給速度が産生期において直線的に減少している場合、Yx/sは0.200より低い。その上、この期間ではアスタキサンチン産生は増加して最大産生速度が得られる。P.ロドジマによるアスタキサンチン産生は、典型的な非増殖関連型発酵であることは周知である。増殖期においてより高いYx/sが得られれば、産生期においてより低いYx/sが得られる。したがって、より高いYx/sを有する増殖期において細胞増殖を極端に増強するために、増殖期において指数的供給法を適用することができる。
【0016】
さらに、生産期において、細胞増殖を制限してグルコースをアスタキサンチンに有効に変換するために、グルコース濃度を産生期において調節することができる。
【0017】
増殖期において指数的供給を適用する場合、μは、0.01〜0.1 h-1に設定することができる。増殖期における供給速度(F)は、以下の等式によって表現される(2)。
F=(q・Vo・Xo・eμt)/(SF-S) (2)
Vo:初回容積(L)
Xo:初回細胞濃度(g乾燥細胞/L)
SF:供給培地における炭素源濃度(g/L)
S:培養ブロスにおける炭素源濃度
【0018】
その上、典型的な供給-バッチ発酵法(対照法)の結果に基づくNH4OH添加量とグルコース消費との関係は、培養ブロスにおけるグルコース濃度の調節にも当てはまる。これはNH4OHの添加(pHを維持するため)に基づいてグルコース濃度を調節するためのpH-stat法を意味する。産生期において、グルコース濃度は0〜70 g/L、好ましくは0〜10 g/Lのあいだに調節することができる。
【0019】
例えば、0 g/Lのグルコース調節を用いることによって、アスタキサンチンの最終濃度は対照法の場合より高くなりうる。アスタキサンチンの最大産生速度は対照法より30.0%より大きくなりうる。実施例3に記述するように、グルコースの0 g/L調節を用いた場合、グルコース0 g/L調節の場合のNH4OH添加がグルコース2.0 g/L調節の場合より少なかったことから、産生期におけるC/N比はグルコース2.0 g/L調節の場合より1.08倍高かった。産生期における供給培地のC/N比を増加させると、同量のグルコースを用いたバッチ発酵よりアスタキサンチン産生を1.5倍増強することは既知である。したがって、グルコース0 g/L調節を用いたアスタキサンチン産生はグルコース2.0 g/L調節を用いる場合より大きいと考えられる。
【0020】
その上、産生期においてpH調節試薬としてNaOHを用いることは、産生期におけるC/N比を増強することができることから、グルコース0 g/L調節による指数的供給法によってアスタキサンチンを産生するための有効な方法である。産生期におけるC/N比を増加させる目的で、産生期におけるpH調節試薬としてNaOH溶液を用いた場合のアスタキサンチン産生の平均値は、NH4OH溶液を用いる場合より10.0%より高くなりうる。pH調節試薬としてNaOH溶液を用いたグルコース0 g/L調節による指数的供給法は、対照法と比較して総発酵期間を26.0%より大きく短縮することができる。グルコース0 g/L調節によるこの指数的供給法は、アスタキサンチン産生の平均値を対照法より少なくとも13.0%大きく増強することができる。
【0021】
3.改変された指数的供給法
指数的供給法の総アスタキサンチン産生を増強するためおよびより高いアスタキサンチン平均産生を利用するために、グルコースの供給量を増加させて、供給期間を10〜50%長い範囲で延長することによって、指数的供給法を改善することができる。この供給期間を延長させる方法の効果は、アスタキサンチン供給-バッチ発酵でのグルコース供給量の増加による「改変指数的供給法」である。
【0022】
改変指数的供給法では、指数的供給を発酵の中期までに増殖期に適用する。その後、産生期の供給速度を増殖期の最大供給速度の10〜100%の範囲に一定に維持する。実施例5に記載されるこの改変された指数供給法を用いることによって、アスタキサンチンの最終濃度は対照法による濃度より5.8%高く、アスタキサンチンの総産生量は、対照法より少なくとも29.0%高かった。改変された指数的供給法は、乾燥細胞におけるアスタキサンチン含有量を対照法による含有量より5.60%より大きく増強することができる。
【0023】
4.アスタキサンチン産生に及ぼす培養ブロスにおけるグルコース濃度の影響
改変指数的供給法において、グルコースは発酵期間の中期で培養ブロスにおいて蓄積される。培養ブロスにグルコースが蓄積すると、アスタキサンチン産生、特に炭素源(例えば、グルコース、蔗糖等)に対するアスタキサンチンの収量が減少することは既知である。エタノールの製剤はクラブトリー効果によって誘導され、アスタキサンチンの収量は減少すると推定される。最大グルコース蓄積速度と平均特異的アスタキサンチン産生速度(p)との関係から、pは、グルコースが培養ブロスにおいて蓄積され始めると、グルコースが蓄積されない場合での平均特異的アスタキサンチン産生速度の71.0%へと徐々に減少する。
【0024】
培養ブロスにグルコースが蓄積すると、細胞単位あたりのアスタキサンチン産生能が阻害される。したがって、アスタキサンチン収量を増強する目的のために、発酵法においてグルコースが蓄積しない新規供給法を作成する必要がある。さらに、可能な限り大量のグルコース溶液を供給するために、本発明者らは、指数的供給法に由来するグルコース消費速度に基づく新規供給法を発見した。
【0025】
5.グルコース消費速度(GCR)供給法
GCR供給法は、供給-バッチ発酵におけるグルコース消費速度(GCR)に基づいている。実際の総グルコース消費プロフィールは、例えば実施例7に示すように、指数的グルコース供給プロフィールに由来しうる。
【0026】
この供給速度プロフィールに基づいて、GCR供給法の効果を調べることができる。GCR供給法において、培養ブロスにおけるグルコース濃度は、約0 g/L付近に維持することができる。同じ容積の栄養培地にもかかわらず、GCR供給法を用いることによる最終的な総アスタキサンチン産生は、指数的供給法を用いる場合より少なくとも8.0%高いであろう。GCR供給法による平均的なアスタキサンチン産生は、指数的供給法による場合より7.0%より大きくなりうる。
【0027】
これらの結果は、GCR供給法がアスタキサンチン産生を増強するために指数的供給法より有効であることを示している。GCR供給法において、グルコースの供給量を増強することができ、供給期間を延長してもよい。
【0028】
6.最大GCR供給法
さらに、発酵においてグルコースを蓄積することなくグルコースの供給量を増強するために、GCR供給と、産生期におけるGCR供給法の場合の最大供給速度を維持する一定供給とを組み合わせた供給プロフィールの効果を調べることによって、最大グルコース消費速度に基づく新規GCR供給法(最大GCR供給法)を作成することができる。
【0029】
培養ブロスにグルコースが蓄積すると、アスタキサンチン収量に影響を及ぼし、用いたグルコースに対する収量は対照法を用いる場合の収量より低くなる。発酵ブロスにおいてグルコースを蓄積しないようにするために新しいGCR供給法を適用する場合、実施例8に記載した一定供給をGCR供給と組み合わせた供給法に基づくグルコース消費速度およびグルコース消費に基づく供給速度プロフィールを計算した。実施例9において、実施例8に記述した一定供給とGCR供給とを組み合わせた供給法から計算した最大グルコース供給速度プロフィールを示す。
【0030】
最大グルコース供給速度プロフィールは、様々な栄養培地の組成または発酵条件に応じて貴重に設定することができる。第一に、pH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いる最大GCR供給法を、最大グルコース供給速度プロフィールに基づいて適用することができる。最大GCR供給法による総アスタキサンチン産生は、対照法による場合より少なくとも4.0%大きく増強することができる。対照法を用いる場合より20%より高い最大アスタキサンチン産生速度を得ることができる。
【0031】
しかし、この方法は培養ブロスにおいて時にグルコースを蓄積する。したがって、培養ブロスにおいてグルコースを蓄積しないために、pH調節のためにNH4OH溶液のみを用いる最大GCR供給法を適用することができる。この方法を用いることによって、培養ブロスにおけるグルコース濃度は、全発酵期間を通して0 g/Lに維持することができる。この方法による総アスタキサンチン産生は、対照法の場合より12%より大きく増強されうる。
【0032】
この最大GCR供給法によって用いられるグルコースに対するアスタキサンチン産生収量は、対照法による場合より少なくとも4.0%大きく増強されうる。対照法の速度より21%より大きい平均アスタキサンチン産生速度を得ることができる。さらに、pH調節のためにNH4OH溶液のみを用いるこの最大GCR供給法は、発酵期間を短縮することができ(対照法と比較して発酵期間を少なくとも11%短縮することができる)、アスタキサンチンの産生を増強することができる。
【0033】
本発明は以下の実施例によって説明される。
【0034】
実施例1:アスタキサンチン産生のためのP.ロドジマATCC 96594変異体株の典型的な培養
1.シード培養の調製
P.ロドジマATCC 96594変異体株をシード株として用いた。ファフィア株を、勾配からYM培地50 mlを含む500 mlアーレンマイヤーフラスコに移して、そこで十分な通気下で20〜22℃で3日間振とうさせながら培養することによって増殖させた。このシード培養物を、YM培地100 mlを含む500 mlアーレンマイヤーフラスコに移して、20〜22℃で十分な通気下でロータリーシェーカーにおいて2日間インキュベートした。
【0035】
2.アスタキサンチン産生のための供給-バッチ発酵
培養物200 mlを栄養培地1.75 Lを含む5 L発酵器に移した。酵母乾燥実質含有量1 g/Lが得られるまで培養物を20〜22℃でバッチ増殖させた。その後、糖溶液の供給を開始して、供給-バッチ発酵を20〜22℃で行った。
【0036】
栄養培地は以下の組成を有した:20 g/L糖蜜、0.6 g/L硫酸アンモニウム、0.8 g/L燐酸水素アンモニウム、および0.125 g/L硫酸マグネシウム、これらを全て発酵器において適量の水(5 L増殖発酵器において1.75 L)と共に30分間沸騰させた。供給-バッチ発酵において発酵器に供給される培地は、716.0 g/Lのグルコースまたは蔗糖を含んだ。化学物質は全て食品等級であった。糖蜜は、ミッドウェストアグリカルチャー(Midwest agriculture、アメリカ)のビート糖の糖蜜であった。
【0037】
発酵は、トップドライブシステム、ならびに温度、pH、DO(溶存酸素)、および排気ガスのモニターを備えたD-型ガラスジャー発酵器(エイブル(Able)、東京、日本)において、全量5 Lで行った。初回作業容積および供給容積はそれぞれ、1.75 Lおよび2.0 Lであった。株は、12.5 w/v%NH4OH溶液およびNaOH溶液によって調節したpH 5.5で発酵器において増殖させた。温度は20〜22℃で調節して、DOは10%〜90%飽和まで攪拌および通気によって調節した。増殖期において、グルコースまたは蔗糖を含む供給培地を、酵母細胞の特異的増殖速度μが0.04〜0.05 h-1に達するように主発酵器に供給した。供給速度は培養ブロスにおいて栄養およびエタノールが蓄積しないように徐々に増加させた。
【0038】
所望の酵母細胞固体が得られて、栄養源が蓄積する前に、供給速度を増殖期の最大供給速度の約50%に減少させた。この減少した栄養源供給期間のあいだに、すなわち産生期のあいだに、酵母細胞はアスタキサンチンを産生し続けたが、細胞数の増殖は制限された。例えば、増殖期において、供給速度は最大供給速度の約50%まで約100時間直線的に減少させた。
【0039】
実施例2:細胞増殖期およびアスタキサンチン産生期に関係する供給戦略
実施例1に記述した典型的なアスタキサンチン供給-バッチ発酵において、特異的グルコース消費速度(q)および特異的増殖速度(μ)を計算してグラフによって示すことができる。qおよびμがそれぞれ0.085 h-1および0.017 h-1である場合、直線の勾配は劇的に変化して臨界点(q、μ)=(0.085、0.017)となった。勾配μ/qは、上記の等式(1)のように消費されたグルコース(Yx/s)に対する細胞収量を意味する。
【0040】
供給速度が増殖期において直線的に増加する場合、μは0.085 h-1より高く、Yx/sは0.213〜0.405であった。一方、供給速度が産生期において直線的に減少する場合、Yx/sは0.201より小さかった。その上、アスタキサンチン産生は増加して、この期間では最大産生速度が得られた。P.ロドジマによるアスタキサンチン産生が典型的な非増殖関連型の発酵であることは周知である。
【0041】
増殖期においてより高いYx/sが得られると、産生期ではより低いYx/sが得られた。したがって、より高いYx/sを有する増殖期における細胞増殖を極端に増強するため、および細胞増殖を制限して、産生期においてグルコースをアスタキサンチンに効率よく変換するために、増殖期における指数的供給法と産生期におけるグルコース濃度調節を、アスタキサンチン供給-バッチ発酵のための供給戦略に応用した。
【0042】
実施例3:アスタキサンチン供給-バッチ発酵に及ぼすC/N比の影響に関する指数的供給法
増殖期において指数的供給を適用した場合、μは0.04 h-1に設定された。増殖期における供給速度(F)は、上記の等式(2)によって示される。
【0043】
この試験において、q、Vo、Xo、SFおよびSはそれぞれ、0.08262 h-1、1.75 L、9.92 g乾燥細胞/L、716.0 g/Lおよび0 g/Lに設定した。その結果、増殖期におけるFは以下の等式として計算される(3)、
F=(0.08262・1.75・9.92・e0.04t)/(716.0−0)=0.002003・e0.04t (3)
【0044】
その上、実施例1の結果に基づくNH4OH添加量とグルコース消費との関係を調べた。NH4OH添加量とグルコース消費のあいだに二つの直線関係(IおよびII)を得て、臨界点(NH4OH添加、グルコース消費)=(3.95、13.1)を、発酵開始後80時間目に導入した。増殖期において、直線の勾配は急であったが(I)、産生期では勾配は緩やかであった(II)。したがって、産生期においてグルコース0 g/Lを調節するために、勾配IIに由来するNH4OH添加(pHを維持するため)に基づく培地供給法、すなわちグルコース濃度を調節するpH-stat法を適用した。産生期のグルコース濃度調節は、実施例1と同じように5 Lジャーの発酵によって0および2.0 g/Lで行った。その他に、グルコース2.0 g/Lの調節は、供給の開始からのアスタキサンチン産生に及ぼすC/N比の影響を調べるために、オンライングルコース調節器(オンラインバイオケミカルコントローラーBF-410:エイブル、東京、日本)によって操作した。
【0045】
これらの二つの条件を実施例1に記述した典型的な供給法(対照法)と比較した。三つの条件の発酵活性の比較を表1に示す。0 g/Lグルコース調節の場合のアスタキサンチン最終濃度は対照法の場合より6.60%高かった。2.0 g/Lグルコース調節の場合のアスタキサンチンの最終濃度は、対照法の場合より13.5%小さかった。
【0046】
0 g/Lグルコース調節でのアスタキサンチンの最大産生速度は、対照法より32.9%高かった。
【0047】
グルコース0 g/L調節を用いる場合、グルコース0 g/L調節の場合のNH4OH添加がグルコース2.0 g/L調節の場合より少なかったことから、産生期におけるC/N比はグルコース2.0 g/L調節の場合より1.08倍高かった。産生期における供給培地のC/N比を増加させることによって、グルコース0 g/L調節を用いるアスタキサンチン産生はグルコース2.0 g/L調節を用いる場合より大きくなった。
【0048】
(表1)5 L発酵器を用いてアスタキサンチン供給-バッチ発酵における発酵活性

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記する。
【0049】
実施例4:アスタキサンチン供給-バッチ発酵のための指数的供給およびグルコース濃度調節の新規供給法
その上、グルコース0 g/L調節の場合の指数的供給法に及ぼすC/N比の影響を、5 Lジャー発酵器におけるpH調節試薬としてNaOH溶液を用いることによって調べた。発酵は、実施例1と同じように実施した。指数的供給法の場合、産生期におけるグルコース0 g/L調節は、供給速度が22.61から17.63 g供給溶液/時間まで直線的に減少する供給法によって行った。産生期におけるC/N比を増加させるねらいで産生期におけるpH調節としてNaOH溶液を用いた場合の平均アスタキサンチン産生は、NH4OH溶液を用いた場合より13.5%高かった。
【0050】
表2は、実施例1に記述した典型的な供給法(対照法)と、供給-バッチ様式でアスタキサンチン産生における産生期におけるpH調節としてNaOH溶液を用いた場合の指数的供給法との比較を示す。指数的供給法における総発酵期間は対照法より41時間短かった。指数的供給法によるアスタキサンチン濃度は発酵開始から175時間目で対照法より5.7%高かった。指数的供給法におけるアスタキサンチン平均産生率は、対照法の場合より13.9%高かった。
【0051】
(表2)供給-バッチ様式によるアスタキサンチン産生に及ぼす産生期においてpH調節としてNaOH溶液を用いることによる指数的供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記する。
【0052】
実施例5:アスタキサンチン供給-バッチ発酵のための改変指数的供給の供給法
指数的供給法の総アスタキサンチン産生を増強するためおよびより高いアスタキサンチン平均産生率を利用するために、グルコースの供給量を増加させること、および117時間から156時間に供給期間を延長させることによって、指数的供給法を改善した。供給期間を延長させるこの方法の影響は、言い換えればアスタキサンチン供給-バッチ発酵のグルコース供給量の増強による「改変指数的供給法」を調べた。この改変指数的供給法において、産生期の供給速度は発酵の開始から186.5時間(グルコース供給の開始から156時間)まで19.7 g/hに維持した。
【0053】
表3は、実施例1に記載された典型的な供給法(対照法)と改変指数供給法との比較を示す。
【0054】
改変指数供給法によるアスタキサンチンの最終濃度は対照法より5.8%高かった。改変指数供給法による総アスタキサンチン産生は、対照法より29.3%高かった。改変指数的供給法を用いることによってグルコースが98時間から192時間まで培養ブロスにおいて蓄積されたが、供給されたグルコースは発酵終了時には完全に消費された。改変指数的供給法における乾燥細胞におけるアスタキサンチン含有量は、対照法の場合より5.60%高かった。
【0055】
(表3)供給-バッチ様式によるアスタキサンチン産生に及ぼす改変指数的供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記する。
【0056】
実施例6:アスタキサンチン供給-バッチ発酵に及ぼす培養ブロスにおけるグルコース濃度の影響
実施例5に記載したように、指数的供給法を用いることによってグルコースは培養ブロスに蓄積した。総アスタキサンチン産生および収量は、実施例1に記述した対照法による産生より低かった。エタノールの製剤は、クラブトリー効果によって誘導される可能性があることから、アスタキサンチン収量は減少した。したがって、最大グルコース蓄積速度と平均特異的アスタキサンチン産生速度(p)とのあいだの関係を調べた。
【0057】
グルコースが培養ブロスにおいて蓄積され始めると、ρはグルコースが蓄積されない相の平均特異的アスタキサンチン産生速度の71.0%まで徐々に減少した。これらの結果は、培養ブロスにおけるグルコースの蓄積が細胞単位あたりのアスタキサンチン産生能を阻害したことを示している。エタノールの形成は、クラブトリー効果によって誘導され、アスタキサンチン収量が減少したと推定された。
【0058】
実施例7:実際のグルコース消費速度に基づく新規供給法によるアスタキサンチン供給-バッチ発酵(GCR供給法)
アスタキサンチン収量を増強する目的のために、発酵ブロスにおいてグルコースが蓄積しない新規供給法を構築する必要がある。さらに、グルコース溶液を可能な限り多く供給するために、本発明者らは指数的供給法に由来するグルコース消費速度に基づく供給法を研究した。
【0059】
実際の総グルコース消費プロフィールは指数的グルコース供給プロフィールとは異なった。この結果に基づいて、実際のグルコース消費速度プロフィールを計算した。
【0060】
実際のグルコース消費速度プロフィールは、多重回帰分析によって三次方程式として表した。グルコース消費速度プロフィールから、グルコース消費に基づくグルコース供給パターンを示す実際の供給速度プロフィールを確立した。
【0061】
この供給速度プロフィールに基づいて、GCR供給法の影響を調べた。表4は、指数的供給法とGCR供給法との比較を示す。GCR供給法において、培養ブロスにおけるグルコース濃度は、0 g/L付近に維持された。初回容積が1.75 Lで、供給容積が2.00 Lである同じ条件にもかかわらず、GCR供給法を用いることによる総初回アスタキサンチン産生は、指数的供給法を用いる場合より8.99%高かった。さらに、GCR供給法による発酵期間は、168時間に設定することができ、これは指数的供給期間による同じ期間であった。この場合、GCR供給法による平均的なアスタキサンチン産生は、指数的供給法より7.60%高かった。
【0062】
(表4)供給-バッチ様式でのアスタキサンチン産生に及ぼす改変指数的供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記した。
【0063】
実施例8:改変GCR供給法によるアスタキサンチン供給-バッチ発酵におけるグルコースの供給量の増強
GCR供給法において、グルコースの供給量を増強して、供給期間を156時間に延長した。表5は、供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼす改変GCR供給法の影響を示す。
【0064】
改変GCR供給法は、実施例1に記載するように、グルコース供給の開始から111時間までGCR供給法と、111時間後に対照法を直線的に減少させる供給法とを組み合わせる方法を意味する。
【0065】
改変GCR供給法による最終的な総アスタキサンチン産生は、対照法による場合より5.5%高かった。さらに、GCR供給と、グルコース供給の開始から66時間後に達したGCR供給法における最大供給速度を維持する一定供給とを組み合わせた供給プロフィールの影響。すなわち、GCR供給法はグルコース供給開始から66時間まで用いて、GCR供給法の最大供給速度の30.4 g-供給溶液/時間を維持する一定供給は、66時間〜156時間まで用いた。
【0066】
表5は、GCR供給を一定供給と組み合わせた供給法の効果の結果を示す。この供給法による最終的な総アスタキサンチン産生は、対照法より19.8%、および改変GCR供給法より約14%高かった。
【0067】
(表5)供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼす改変GCR供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記した。
【0068】
実施例9:最大GCR供給法によるアスタキサンチン供給-バッチ発酵
実施例8において、培養ブロスにおいてグルコースは120時間から徐々に蓄積し始め、グルコース濃度は発酵開始から192時間目では81.7 g/Lに達した。最終的に、グルコース濃度は発酵終了時で33.6 g/Lであった。培養ブロスにおけるグルコース濃度はアスタキサンチンの収量に影響を及ぼした。したがって、最大グルコース消費速度(最大GCR供給法)に基づく新規GCR供給法を作成した。最大GCR供給法を調べるために、実施例8に記述した一定供給とGCR供給とを組み合わせた供給法に基づくグルコース消費速度およびグルコース消費速度に基づく供給速度プロフィールを計算した。
【0069】
最大グルコース供給速度プロフィールは、実施例8に記述した一定供給とGCR供給とを組み合わせた供給法から計算した。
【0070】
実際のグルコース消費速度から計算した最大グルコース供給速度はグルコース供給の開始から66時間で28.7g/hであった。グルコース消費速度の減少のために66時間後では、グルコース濃度をほぼ0 g/Lに維持するために供給速度を19.0 g/hより小さく設定しなければならなかった。したがって、最大グルコース供給速度プロフィールに基づいて、pH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いる最大GCR供給法を適用した。初回容積および供給容積はそれぞれ、1.50 Lおよび2.25 Lに設定した。
【0071】
表6は、供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼすpH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いる最大GCR供給法の影響を示す。発酵開始から216時間では、最大GCR供給法による総アスタキサンチン産生は、対照法より4.21%高かった。
【0072】
さらに、最大GCR供給法において、95時間から122時間までのあいだに計算した最大アスタキサンチン産生速度は、対照法を用いる場合より20.1%高かった。しかし、pH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いた場合の最大GCR供給法では、グルコースは培養ブロスにおいて発酵開始から175時間目に19.9 g/L蓄積した。
【0073】
最大GCR供給法によって用いられるグルコースに対するアスタキサンチン産生収量は、培養ブロスにおいてグルコースが蓄積されたことから、対照法の場合より低かった。
【0074】
次に、培養ブロスにおいてグルコースを蓄積しないために、pH調節のためにNH4OH溶液のみを用いる最大GCR供給法を確立した。
【0075】
表7は、供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼすpH調節のためにNH4OH溶液のみを用いる最大GCR供給法の影響を示す。表7において、NH4OH溶液のみを用いる最大GCR供給法は、全発酵期間を通して培養ブロスにおけるグルコース濃度を0 g/Lに維持することができた。発酵開始から216時間では、この方法による総アスタキサンチン産生は、対照法より12.1%高かった。
【0076】
この最大GCR供給法によって用いられるグルコースに対するアスタキサンチン産生収量は対照法より4.7%高かった。この最大GCR供給法において、平均アスタキサンチン産生速度は対照法の速度より21.9%高かった。総アスタキサンチン産生プロフィールから、pH調節のためにNH4OH溶液のみを用いるこの最大GCR供給法は、増殖期およびアスタキサンチン産生期の双方において、発酵期間を短縮することができ(対照法と比較して発酵期間の11.2%が短縮された)、アスタキサンチン産生率を増強することができた。
【0077】
(表6)供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼすpH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いる最大GCR供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記した。
【0078】
(表7)供給-バッチ発酵によるアスタキサンチン産生に及ぼすpH調節のためにNH4OHおよびNaOH溶液を用いる最大GCR供給法の影響

ASTA:アスタキサンチン;データは相対値として表記した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の段階を含む、ファフィアロドジマ(Phaffia rhodozyma)を用いるアスタキサンチンの発酵法:
全発酵期間を通して発酵ブロスにおけるグルコース濃度をほぼ0 g/Lに維持しながら、
(a)増殖期において、ファフィア・ロドジマ細胞の特異的増殖速度(μ)に基づいてグルコースまたは蔗糖を含む栄養培地を供給する段階;および
(b)アスタキサンチン産生期において、アスタキサンチン産生速度に基づいて栄養培地を供給する段階。
【請求項2】
発酵が、μが0.01〜0.10 h-1の範囲で行われる、請求項1記載の発酵法。
【請求項3】
pH調節物質がNH4OH溶液、NaOH溶液、またはその双方である、請求項1記載の発酵法。
【請求項4】
発酵がpH 4.5〜7.0で行われる、請求項1記載の発酵法。
【請求項5】
発酵が15〜24℃の温度範囲で行われる、請求項1記載の発酵法。
【請求項6】
発酵が10〜90%のDOで行われる、請求項1記載の方法。
【請求項7】
栄養培地が、エネルギー源としてグルコース、蔗糖、および他の多糖類の重合化型、糖蜜およびコーンシロップ、グリセロールおよび他のポリオール、ならびにカルボン酸を含み、窒素源として酵母抽出物、肉抽出物、ペプトン、カゼイン、コーンスティープリカー、尿素、アミノ酸、硝酸塩、アンモニウム塩等を含む、請求項1記載の発酵法。
【請求項8】
栄養培地におけるD-グルコースまたは蔗糖の濃度が、約10 g/L〜約800 g/Lである、請求項1記載の発酵法。
【請求項9】
発酵が発酵容器において通気速度約0.01〜約2.0 気体容積/培地容積/分で行われる、請求項1記載の発酵法。
【請求項10】
ファフィア・ロドジマがファフィア・ロドジマATCC 96594である、請求項1記載の発酵法。

【公表番号】特表2006−500045(P2006−500045A)
【公表日】平成18年1月5日(2006.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−538913(P2004−538913)
【出願日】平成15年9月16日(2003.9.16)
【国際出願番号】PCT/EP2003/010293
【国際公開番号】WO2004/029260
【国際公開日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】