ファンフィルターユニット、半導体製造装置、フラットパネルディスプレイ製造装置および清浄化空気の製造方法
【課題】
内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供する。
【解決手段】
ファンフィルターユニットであって、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなることを特徴とするファンフィルターユニットである。
内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供する。
【解決手段】
ファンフィルターユニットであって、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなることを特徴とするファンフィルターユニットである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニット、該ファンフィルターユニットを外壁面に設けてなる半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、以下、適宜「FPD」と呼ぶ)製造装置および該半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ製造装置を用いた清浄化空気の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置や液晶ディスプレイといった精密電子機器を製造する場合には、半導体素子や液晶素子等を製造し、組み立て、検査等するための種々の工程を必要とする。
【0003】
上記各工程においては、微細な構造を有する各種素子を取り扱うために、雰囲気中の塵芥や化学物質等の濃度を低減しなければならず、このため、上記工程の多くは、一般に、クリーンルーム、すなわちファンフィルターユニットによって清浄化した空気を供給してなる密閉空間内で行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、クリーンルーム内部における雰囲気空気の清浄化度をさらに高めることを目的として、クリーンルーム内にファンフィルターユニットを設けたクリーンベンチを設置し、このクリーンベンチ内で半導体やFPDを製造したり、あるいは、クリーンルーム内に設置した半導体製造装置やFPD製造装置の外壁面にファンフィルターユニットを直接設けて、これらの装置内部で半導体やFPDを製造することが行われている。
【0005】
例えば、図1に概略断面図で示すように、クリーンルーム1の内部に、上部外壁面にファンフィルターユニット2を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置3を配置し、クリーンルーム1の天井に配置されたファンフィルターユニット4で空気を予備清浄化した後、該予備清浄化された空気5をファンフィルターユニット2を構成する電動ファン6によって、空気取入口7を介してファンフィルターユニット2内に吸入し、吸入した予備清浄化空気をフィルター8でさらに清浄化することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置3の内部に、清浄化度を高めた雰囲気空気9を有する作業空間10を提供ならしめている。
【0006】
図2(a)に、図1に示すファンフィルターユニット2を上面からみたときの水平断面図、図2(b)に、図1に示すファンフィルターユニット2の両主表面に対する垂直断面図を示す。
【0007】
図2(a)、図2(b)に示すような、ファンフィルターユニット2を構成する電動ファン6は、シロッコファン等からなるファン部61や、モーター部62とともに、電源基盤、制御基盤等からなる制御部63を有しているが、電動ファン6の駆動に伴って、この制御部63から熱が発生し、制御部63を構成する電子部品が熱劣化等することにより、電動ファン6の動作が不安定になったり、製品寿命が短くなったりする場合がある。
【0008】
特に、図3に示すように、装置内部の清浄度をより高めるために、予備清浄化空気5をファンフィルターユニット2内に吸引する代わりに、半導体製造装置またはFPD製造装置3に設けられたファンフィルターユニット2で一旦清浄化された空気を空気取入口7から吸引し、再度清浄化する態様が考えられるが、この態様においては、電動ファン6により加温された空気が、再度電動ファン6へ循環することになることから、電動ファン6自身への熱的負荷が増大することになる。
【0009】
このような場合、図4に概略図で示すように、通常、電動ファン6を収容するケーシング11の外側(ファンフィルターユニット2の外側)表面の制御部63に隣接する位置にメッシュ等により開放部分12を設け、自然対流による放熱によって冷却する方法が採られているが、そもそもファンフィルターユニット2が、空気取入口7から空気を吸入し、フィルター8により清浄化した空気を半導体製造装置またはFPD製造装置3の内部空間10へ排出する空気流を有するものであることから、ファンフィルターユニット2内で加温された空気を、開放部分12から自然対流により外部に放出することは困難である。
【0010】
そこで、図5に概略図で示すように、開放部分12に隣接する位置に別途冷却ファン13を設け、開放部分12から半導体製造装置またはFPD製造装置3の外部に強制的に放熱する方法が考えられるが、電動ファン6を構成する基盤等の制御部から発生した微粒子や不純物ガスがクリーンルーム1の内部空間14に拡散されやすくなり、クリーンルーム1の内部空間14において別途行われる工程に影響することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平2−17220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況下、本発明は、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供すること、上記ファンフィルターユニットを設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置を提供することおよび上記半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を行ったところ、ファンフィルターユニットとして、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなるものを用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)ファンフィルターユニットであって、
ケーシングと、
該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、
前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、
前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、
前記空気循環放熱経路内に空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること、
を特徴とするファンフィルターユニット、
(2)前記空気循環放熱経路が、前記ケーシングの側部全周に枠状に設けられてなる上記(1)に記載のファンフィルターユニット、
(3)前記空気循環放熱経路が、前記平板状フィルターの空気流入側に位置するケーシング壁の内壁面または外壁面上に設けられてなる上記(1)または(2)に記載のファンフィルターユニット、
(4)前記空気循環放熱経路内に空気循環用電動ファンをさらに有する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット、
(5)全体形状が扉状に形成されてなる上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット、
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とする半導体製造装置、
(7)ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、半導体製造装置内に形成される同一の空間である上記(6)に記載の半導体製造装置、
(8)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするFPD製造装置、
(9)ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、FPD製造装置内に形成される同一の空間である上記(8)に記載のFPD製造装置、
(10)クリーンルーム内に配置した上記(6)〜(9)のいずれかに記載の半導体製造装置またはFPD製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とする清浄化空気の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファンフィルターユニットにおいて、空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、ケーシングの外縁部に空気循環放熱経路を設け、該経路内に空気循環用電動ファンの制御部を配置しつつ、上記循環経路内に沿って内部の空気を循環、冷却することによって、内部温度の上昇を抑制し、かつ電動ファンの制御部から生ずる不純物ガスの放出を防止して、取り込んだ予備清浄化空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、上記ファンフィルターユニットを外壁面に設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置を提供することおよび上記半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な半導体製造装置またはFPD製造装置の構成を示す図である。
【図2】一般的なファンフィルターユニットの構成を示す図である。
【図3】一般的な半導体製造装置またはFPD製造装置の構成を示す図である。
【図4】開放部を有するファンフィルターユニット部を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置を示す図である。
【図5】開放部と冷却ファンを有するファンフィルターユニットを設けた半導体製造装置またはFPD製造装置を示す図である。
【図6】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図7】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図8】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図9】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図10】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図11】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図12】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図13】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図14】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図15】本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置の一例を示す図である。
【図16】本発明の清浄化空気の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、本発明のファンフィルターユニットについて説明する。
【0019】
本発明のファンフィルターユニットは、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること
を特徴とするものである。
【0020】
以下、本発明のファンフィルターユニットの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図6〜図10は、本発明のファンフィルターユニットの第1の態様(以下、本発明のFFUの態様Iという)を示す図であり、図11〜図13は、本発明のファンフィルターユニットの第2の態様(以下、本発明のFFUの態様IIという)を示す図である。
【0022】
図6(a)に、ケーシング11の両主表面に対する垂直断面図で示すように、本発明のFFUの態様Iは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ケーシング11の主表面に対して水平方向に並列するようにケーシング11内に配置されてなるものであり、また、図11(a)にケーシング11の両主表面に対する垂直断面図で示すように、本発明のFFUの態様IIは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ケーシング11の両主表面に対して垂直方向に並列するようにケーシング11内に配置されてなるものである。本発明のFFUの態様IとFFUの態様IIは、ファン部61と平板状フィルター8との配置が異なるだけで、それ以外の主要な構成は共通するため、以下、本発明のファンフィルターユニットについて、主として本発明のFFUの態様Iに基づいて説明するものとする。
【0023】
図6は、本発明のFFUの態様Iを説明する図であって、図6(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図6(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図6(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側水平断面図、図6(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)を示すものである。
【0024】
ケーシング11の形状は、その内部に後述する平板状フィルター8を少なくとも収納し得るものであれば特に限定されず、例えば、直方体形状等を挙げることができる。ケーシングが直方体状の形状を有する場合、その大きさは、縦500mm〜2000mm、横500mm〜2000mm、高さ50mm〜200mm程度であることが好ましい。
【0025】
空気吸入用電動ファン6は、ケーシング11内に空気を吸引して、後述する平板状フィルター8を通過させ、排出させるものであり、図6(c)に示すように、少なくともファン部61、モーター部62とともに制御部63を有するものである。
【0026】
ここで、ファン部61は、空気を吸引して吸引した空気を平板状フィルター8に供給し、通過させ得るものであれば特に制限されないが、例えば、シロッコファンや、プロペラファン等を挙げることができる。
【0027】
また、制御部63は、ファンを駆動させ、停止させる機能を有するものであって、具体的には、電源基盤、制御基板等により構成させるものである。
【0028】
一方、平板状フィルター8は、電動ファン6により吸引した空気を高度に清浄化し得るものであれば特に制限されず、集塵フィルタであるHEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter) 、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter) や、内部に活性炭やイオン交換樹脂等を充填してなるケミカルフィルタ等を挙げることができる。上記各種フィルターを積層させたり、並置して用いてもよく、この場合、平板状フィルター8としては、上記各種フィルターの中から1種または2種以上を選択することができる。
【0029】
図6(a)〜(d)に示すように、ケーシング11の外縁部には、空気循環放熱経路15が設けられる。
【0030】
この空気循環放熱経路15は、その内部雰囲気が、ケーシング11の内部雰囲気やファンフィルターユニット2の外部雰囲気と接触しないように、気密状態を維持し得る構造となっており、図6に示すように、ケーシング11の側部全周に枠状に設けることができる。
【0031】
また、本発明のFFUの態様Iにおいては、図7に示すように、空気循環放熱経路15を、平板状フィルタ8の空気流入側に位置するケーシング壁18の外壁面上に設けてもよい。ここで、図7(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図7(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図7(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側の図、図7(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0032】
さらに、本発明のFFUの態様Iにおいては、図8に示すように、空気循環放熱経路15を、平板状フィルタ8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けてもよい。ここで、図8(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図8(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図8(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側の図、図8(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0033】
図6、図7、図8においては、経路15の各角部が直角となっているが、経路内の空気の循環性(圧力損失)を考慮すると、経路15の各角部が緩いカーブ状になっていることが好ましい。また、経路15の角部の数が少ないほど、経路内の空気の循環性(圧力損失)が向上するため、図6、図7、図8に示すように、角部を4箇所にするか、角部をゼロにする(経路15を円形にする)ことが好ましい。図6に示す態様においては、経路15をケーシング11の側部に設けることから、図6に示す態様において、経路15の角部を緩いカーブ状にしたり経路15を円形にする場合には、ケーシング11の角部も緩いカーブ状にしたり全体を円形にすることが好ましい。
【0034】
空気循環放熱経路15を、図6に示すように、ケーシング11の側部全周に枠状に設けた場合や、図8に示すように、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けた場合には、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向の厚みを増加させないため、半導体製造装置またはFPD製造装置の壁面等に対して、余分な厚み(凸部)を形成せずにファンフィルターユニット2を設置することができ、省スペース化を図ることが可能になる。
【0035】
空気循環放熱経路15内の制御部63近傍における空気の循環速度は、1.0〜1.5m/秒であることが好ましく、1.5〜2.0m/秒であることがより好ましく、2.0〜2.5m/秒であることがさらに好ましい。本発明のファンフィルターユニットにおいては、空気の循環速度が上記範囲内にあることにより、制御部63を空冷して温度上昇を抑制することが可能になる。
【0036】
空気循環放熱経路15内に充填される空気は、特に制限されないが、クリーンルーム等によって予備清浄化された空気であることが好ましい。
【0037】
本発明のFFUの態様Iにおいては、図6(a)、図6(c)に示すように、空気吸入用電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8は、いずれもケーシング11の両主表面に水平になるように、ケーシング内に並列に配置、収容される。このように、ファン部61と平板状フィルター8とを並列に配置することによって、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向の厚みを低減し得ることから、半導体製造装置またはFPD製造装置等の壁面に対して、余分な厚み(凸部)を形成せずに設置することができ、省スペース化を図ることが可能になる。
【0038】
一方、図6(c)に示すように、空気吸入用電動ファン6を構成する制御部63は、空気循環放熱経路15内に収容される。このとき、上記省スペース化の観点から、図6(c)等に示すように、制御部63もファン部61や平板状フィルター8に対して、ケーシング11の両主表面に対して水平方向に並列に配置することが好ましい。
【0039】
本発明のFFUの態様Iにおいては、図6(a)〜(d)に示すように、空気取入口7を介してファン部61によってケーシング11内に吸引された空気は、平板状フィルター8を通過し清浄化処理されることにより、清浄化度を高めた雰囲気空気9をファンフィルターユニット2の外部(半導体製造装置またはFPD製造装置等の内部空間等)に排出する。
【0040】
図6(a)、(b)、(d)等に示すように、空気取入口7を設ける面を、平板状フィルター8の清浄化空気排出面と同一の面とすることにより、ファンフィルターユニット2を半導体製造装置やFPD製造装置等に設けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等の装置内部の空気を循環することが容易になる。一方、図9(a)〜(d)に、図6(a)〜(d)とそれぞれ対比し得るように示すとおり、空気取入口7を、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁の外壁面に設けてもよく、この場合、本発明のファンフィルターユニットを半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁面に取り付けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等外部の空気をファンフィルターユニット内に容易に取り入れることができる。
【0041】
図10(a)〜(d)は、図6(a)〜(d)にそれぞれ対応する図であり、図6に示すファンフィルターユニット2において、循環放熱経路15内の空気の流れを示す図である。
【0042】
図10(a)〜(d)に示すように、電動ファン6の制御部63が配置された空気循環放熱経路15内においては、制御部63から排出される熱によって加温された循環空気17が、自然対流によって経路15内を循環する。このとき、図10(c)に示すように、経路15内にプロペラファンやシロッコファン等からなる空気循環用電動ファン16を設けることにより、経路15内における空気17の循環速度を向上させてもよい。
【0043】
また、図7に示すファンフィルターユニット2を半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁に取り付け、クリーンルーム内に設置した場合、上記ケーシング壁18の外壁面側がクリーンルームの内部雰囲気と接する面となることから、空気循環放熱経路15がクリーンルームの内部雰囲気と接する面積も増加することになる。そして、一般にクリーンルーム内は、空調により温度管理されていることから、空気循環放熱経路15内を循環する空気の冷却効率をさらに向上させることが可能になる。
【0044】
図11〜図13は、本発明のFFUの態様IIを示す図である。
【0045】
上述したように、本発明のFFUの態様IIは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向に並列して、ケーシング11内に配置されてなるものである。
【0046】
図11は、空気循環放熱経路15がケーシング11の側部全周に枠状に設けられてなるファンフィルターユニットを示すものであり、図11(a)は、ファンフィルターユニット2の両主表面に対する垂直断面図であり、図11(b)は、ファンフィルターユニット2の上面側水平断面図であり、図11(c)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0047】
また、図12は、空気循環放熱経路15が、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の外壁面上に設けられてなるファンフィルターユニットを示すものであり、図12(a)〜図12(c)は、空気循環放熱経路15の設置位置を除き、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応する図である。
【0048】
図13は、空気循環放熱経路15が、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けられてなるものを示すものであり、図13(a)〜図13(c)は、空気循環放熱経路15の設置位置を除き、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応する図である。
【0049】
本発明のFFUの態様IIにおいて、ケーシング11の形状は、その内部に平板状フィルター8を少なくとも収納し得るものであれば特に限定されず、例えば、直方体形状等を挙げることができる。ケーシングが直方体状の形状を有する場合、その大きさは、縦500mm〜2000mm、横500mm〜2000mm、高さ50mm〜200mm程度であることが好ましい。
【0050】
ファン部61を構成するファンの種類、制御部63の構成、平板状フィルター8の態様、ケーシング内に空気を吸引し清浄化する態様、空気循環放熱経路15における空気循環の態様、空気循環放熱経路15内の空気の循環速度等については、上記本発明のFFUの態様Iで説明した内容と同様である。
【0051】
上記態様Iや態様IIで例示される本発明のファンフィルターユニットは、図14に示すように、その全体形状を扉状に形成してもよい。この場合、ファンフィルターユニットに把持部19等を設け、扉としての機能も併せ持たせることにより、半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁に設けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等の構成部品数を削減することができ、また、外部への開口数を減らして、装置内部の空気清浄性を高めることができる。特に、本発明のFFUの態様Iに係るファンフィルターユニットの全体形状を扉状にすることにより、より薄型の扉状ファンフィルターユニットを提供することが可能になる。
【0052】
本発明のファンフィルターユニット2においては、図6(a)〜(d)や図11(a)〜(c)に例示するように、空気吸入用電動ファン6によって取り入れた空気を、平板状フィルター8によって清浄化する経路とは独立に、ケーシング11の外縁部に空気循環放熱経路15を設け、該空気循環放熱経路15内に電動ファン6を構成する制御部63を配置することにより、上記清浄化される空気流の影響を受けることなく、制御部63の雰囲気ガスを循環させ、効率的に放熱、冷却することが可能となる。また、電動ファン6を構成する基盤等の制御部63から発生した微粒子や不純物ガスが、ファンフィルターユニット2の外部空間(クリーンルームの内部空間等)に拡散することを防止することができる。
【0053】
このように、本発明のファンフィルターユニットは、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るものであることから、例えば、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適な半導体製造装置やFPD製造装置を提供することができ、また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適なクリーンベンチを提供することもできる。
【0054】
次に、本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置について説明する。
【0055】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするものである。
【0056】
図15は、本発明のファンフィルターユニット2を側面に設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置3を示すものであり、ファンフィルターユニット2の設置位置は、図15に示すように、半導体製造装置またはFPD製造装置3の側面でもよいし、上面であってもよい。
【0057】
また、図15に示すように、ファンフィルターユニット2の全体形状を扉状にして、扉としての機能も併せ持たせることにより、半導体製造装置またはFPD製造装置に設けた際に、半導体製造装置またはFPD製造装置の構成部品数を削減しつつ、外部への開口数を減らして、半導体製造装置またはFPD製造装置内部の空気清浄性を高めることができる。
【0058】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置において、ファンフィルターユニットの運転条件は、上述したものと同様である。
【0059】
図15に示すように、本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、その内部に形成される空間が、ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間であるとともに、清浄化した空気を排出する空間であることによって、半導体製造装置またはFPD製造装置内部の空気を循環して、雰囲気空気をより清浄化することが可能になる。
【0060】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、本発明のファンフィルターユニットを用いていることから、ファンフィルターユニット内部の温度上昇を抑制しつつ、高度に清浄化された空気雰囲気下、半導体やFPD等を安定して製造することができる。
【0061】
また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適なクリーンベンチを提供することもできる。この場合、ファンフィルターユニットの外壁面への設置態様等は、上記本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置と同様である。本発明のファンフィルターを外壁面に設けてなるクリーンベンチをクリーンルーム内に設置しつつ、クリーンベンチ内部に既存の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容したり、本発明の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容することにより、高度に清浄化された空気雰囲気下で半導体やFPD等を安定して製造することができる。
【0062】
図15に示す形態を有するファンフィルターユニット(ケーシングが、縦1630mm、横770mm、奥行160mmの直方体状であって、空気循環放熱経路の空気流れ方向の長さ(空気循環放熱経路内を空気が循環する1周あたりの距離)が4810mm、空気流れ方向に対する垂直断面積(空気循環放熱経路の断面積)が1500mm2であるもの)を外壁面に設けた半導体製造装置において、ファンフィルターユニットを稼動させ、平板状フィルターから排出される清浄化空気の排出速度が0.3m/秒、空気循環放熱経路の制御部近傍における空気の流速が1.6m/秒になるように運転したところ、周囲の雰囲気温度が50℃の環境下、空気循環放熱経路中の制御基板直上空間の温度は56.5℃までしか上昇しなかった。これに対して、上記空気循環放熱経路を有さないファンフィルターユニットを外壁面に設けた同様の半導体製造装置を用いて、同様に運転したところ、周囲の雰囲気温度が50℃の環境下、制御基板直上空間の温度は75.1℃まで上昇した。
【0063】
次に、本発明の清浄化空気の製造方法について説明する。
【0064】
本発明の清浄化空気の製造方法は、クリーンルーム内に配置した本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とするものである。
【0065】
図16に示すように、クリーンルーム1内部に外壁面にファンフィルターユニット2を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置3を設置し、クリーンルーム1の天井に配置されたファンフィルターユニット4で空気を予備清浄化した空間内において、半導体製造装置またはFPD製造装置3に設置されたファンフィルターユニット2を稼動させ、半導体製造装置またはFPD製造装置3内の空気を清浄化処理することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置3内に清浄化空気を供給することができる。
【0066】
また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けてなるクリーンベンチをクリーンルーム内に配置しつつ、クリーンベンチ内部に既存の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容したり、本発明の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容して、これらの装置に設置されたファンフィルターユニットを稼動させ、装置内部の空気を清浄化処理することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置内部に清浄化空気を供給することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供することができ、また、上記ファンフィルターユニットを設けてなるまたはFPD製造装置および該半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 クリーンルーム
2 ファンフィルターユニット
3 半導体製造装置またはFPD製造装置
4 ファンフィルターユニット
5 予備清浄化された空気
6 電動ファン
61 ファン部
62 モーター部
63 制御部
7 空気取入口
8 フィルター
9 清浄化度空気
10 作業空間
11 ケーシング
12 開放部分
13 冷却ファン
14 クリーンルームの内部空間
15 空気循環放熱経路
16 空気循環用電動ファン
17 循環空気
18 ケーシング壁
19 把持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニット、該ファンフィルターユニットを外壁面に設けてなる半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ(Flat Panel Display、以下、適宜「FPD」と呼ぶ)製造装置および該半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ製造装置を用いた清浄化空気の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、半導体装置や液晶ディスプレイといった精密電子機器を製造する場合には、半導体素子や液晶素子等を製造し、組み立て、検査等するための種々の工程を必要とする。
【0003】
上記各工程においては、微細な構造を有する各種素子を取り扱うために、雰囲気中の塵芥や化学物質等の濃度を低減しなければならず、このため、上記工程の多くは、一般に、クリーンルーム、すなわちファンフィルターユニットによって清浄化した空気を供給してなる密閉空間内で行われるようになっている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
また、クリーンルーム内部における雰囲気空気の清浄化度をさらに高めることを目的として、クリーンルーム内にファンフィルターユニットを設けたクリーンベンチを設置し、このクリーンベンチ内で半導体やFPDを製造したり、あるいは、クリーンルーム内に設置した半導体製造装置やFPD製造装置の外壁面にファンフィルターユニットを直接設けて、これらの装置内部で半導体やFPDを製造することが行われている。
【0005】
例えば、図1に概略断面図で示すように、クリーンルーム1の内部に、上部外壁面にファンフィルターユニット2を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置3を配置し、クリーンルーム1の天井に配置されたファンフィルターユニット4で空気を予備清浄化した後、該予備清浄化された空気5をファンフィルターユニット2を構成する電動ファン6によって、空気取入口7を介してファンフィルターユニット2内に吸入し、吸入した予備清浄化空気をフィルター8でさらに清浄化することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置3の内部に、清浄化度を高めた雰囲気空気9を有する作業空間10を提供ならしめている。
【0006】
図2(a)に、図1に示すファンフィルターユニット2を上面からみたときの水平断面図、図2(b)に、図1に示すファンフィルターユニット2の両主表面に対する垂直断面図を示す。
【0007】
図2(a)、図2(b)に示すような、ファンフィルターユニット2を構成する電動ファン6は、シロッコファン等からなるファン部61や、モーター部62とともに、電源基盤、制御基盤等からなる制御部63を有しているが、電動ファン6の駆動に伴って、この制御部63から熱が発生し、制御部63を構成する電子部品が熱劣化等することにより、電動ファン6の動作が不安定になったり、製品寿命が短くなったりする場合がある。
【0008】
特に、図3に示すように、装置内部の清浄度をより高めるために、予備清浄化空気5をファンフィルターユニット2内に吸引する代わりに、半導体製造装置またはFPD製造装置3に設けられたファンフィルターユニット2で一旦清浄化された空気を空気取入口7から吸引し、再度清浄化する態様が考えられるが、この態様においては、電動ファン6により加温された空気が、再度電動ファン6へ循環することになることから、電動ファン6自身への熱的負荷が増大することになる。
【0009】
このような場合、図4に概略図で示すように、通常、電動ファン6を収容するケーシング11の外側(ファンフィルターユニット2の外側)表面の制御部63に隣接する位置にメッシュ等により開放部分12を設け、自然対流による放熱によって冷却する方法が採られているが、そもそもファンフィルターユニット2が、空気取入口7から空気を吸入し、フィルター8により清浄化した空気を半導体製造装置またはFPD製造装置3の内部空間10へ排出する空気流を有するものであることから、ファンフィルターユニット2内で加温された空気を、開放部分12から自然対流により外部に放出することは困難である。
【0010】
そこで、図5に概略図で示すように、開放部分12に隣接する位置に別途冷却ファン13を設け、開放部分12から半導体製造装置またはFPD製造装置3の外部に強制的に放熱する方法が考えられるが、電動ファン6を構成する基盤等の制御部から発生した微粒子や不純物ガスがクリーンルーム1の内部空間14に拡散されやすくなり、クリーンルーム1の内部空間14において別途行われる工程に影響することになる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】実開平2−17220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
このような状況下、本発明は、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供すること、上記ファンフィルターユニットを設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置を提供することおよび上記半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記技術課題を解決すべく、本発明者等が鋭意検討を行ったところ、ファンフィルターユニットとして、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなるものを用いることにより、前記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
すなわち、本発明は、
(1)ファンフィルターユニットであって、
ケーシングと、
該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、
前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、
前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、
前記空気循環放熱経路内に空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること、
を特徴とするファンフィルターユニット、
(2)前記空気循環放熱経路が、前記ケーシングの側部全周に枠状に設けられてなる上記(1)に記載のファンフィルターユニット、
(3)前記空気循環放熱経路が、前記平板状フィルターの空気流入側に位置するケーシング壁の内壁面または外壁面上に設けられてなる上記(1)または(2)に記載のファンフィルターユニット、
(4)前記空気循環放熱経路内に空気循環用電動ファンをさらに有する上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット、
(5)全体形状が扉状に形成されてなる上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット、
(6)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とする半導体製造装置、
(7)ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、半導体製造装置内に形成される同一の空間である上記(6)に記載の半導体製造装置、
(8)上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするFPD製造装置、
(9)ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、FPD製造装置内に形成される同一の空間である上記(8)に記載のFPD製造装置、
(10)クリーンルーム内に配置した上記(6)〜(9)のいずれかに記載の半導体製造装置またはFPD製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とする清浄化空気の製造方法、
を提供するものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ファンフィルターユニットにおいて、空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、ケーシングの外縁部に空気循環放熱経路を設け、該経路内に空気循環用電動ファンの制御部を配置しつつ、上記循環経路内に沿って内部の空気を循環、冷却することによって、内部温度の上昇を抑制し、かつ電動ファンの制御部から生ずる不純物ガスの放出を防止して、取り込んだ予備清浄化空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供することができる。
【0016】
また、本発明によれば、上記ファンフィルターユニットを外壁面に設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置を提供することおよび上記半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】一般的な半導体製造装置またはFPD製造装置の構成を示す図である。
【図2】一般的なファンフィルターユニットの構成を示す図である。
【図3】一般的な半導体製造装置またはFPD製造装置の構成を示す図である。
【図4】開放部を有するファンフィルターユニット部を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置を示す図である。
【図5】開放部と冷却ファンを有するファンフィルターユニットを設けた半導体製造装置またはFPD製造装置を示す図である。
【図6】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図7】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図8】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図9】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図10】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図11】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図12】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図13】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図14】本発明のファンフィルターユニットの一例を示す図である。
【図15】本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置の一例を示す図である。
【図16】本発明の清浄化空気の製造方法を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
先ず、本発明のファンフィルターユニットについて説明する。
【0019】
本発明のファンフィルターユニットは、ケーシングと、該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること
を特徴とするものである。
【0020】
以下、本発明のファンフィルターユニットの実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0021】
図6〜図10は、本発明のファンフィルターユニットの第1の態様(以下、本発明のFFUの態様Iという)を示す図であり、図11〜図13は、本発明のファンフィルターユニットの第2の態様(以下、本発明のFFUの態様IIという)を示す図である。
【0022】
図6(a)に、ケーシング11の両主表面に対する垂直断面図で示すように、本発明のFFUの態様Iは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ケーシング11の主表面に対して水平方向に並列するようにケーシング11内に配置されてなるものであり、また、図11(a)にケーシング11の両主表面に対する垂直断面図で示すように、本発明のFFUの態様IIは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ケーシング11の両主表面に対して垂直方向に並列するようにケーシング11内に配置されてなるものである。本発明のFFUの態様IとFFUの態様IIは、ファン部61と平板状フィルター8との配置が異なるだけで、それ以外の主要な構成は共通するため、以下、本発明のファンフィルターユニットについて、主として本発明のFFUの態様Iに基づいて説明するものとする。
【0023】
図6は、本発明のFFUの態様Iを説明する図であって、図6(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図6(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図6(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側水平断面図、図6(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)を示すものである。
【0024】
ケーシング11の形状は、その内部に後述する平板状フィルター8を少なくとも収納し得るものであれば特に限定されず、例えば、直方体形状等を挙げることができる。ケーシングが直方体状の形状を有する場合、その大きさは、縦500mm〜2000mm、横500mm〜2000mm、高さ50mm〜200mm程度であることが好ましい。
【0025】
空気吸入用電動ファン6は、ケーシング11内に空気を吸引して、後述する平板状フィルター8を通過させ、排出させるものであり、図6(c)に示すように、少なくともファン部61、モーター部62とともに制御部63を有するものである。
【0026】
ここで、ファン部61は、空気を吸引して吸引した空気を平板状フィルター8に供給し、通過させ得るものであれば特に制限されないが、例えば、シロッコファンや、プロペラファン等を挙げることができる。
【0027】
また、制御部63は、ファンを駆動させ、停止させる機能を有するものであって、具体的には、電源基盤、制御基板等により構成させるものである。
【0028】
一方、平板状フィルター8は、電動ファン6により吸引した空気を高度に清浄化し得るものであれば特に制限されず、集塵フィルタであるHEPAフィルタ (High Efficiency Particulate Air Filter) 、ULPAフィルタ(Ultra Low Penetration Air Filter) や、内部に活性炭やイオン交換樹脂等を充填してなるケミカルフィルタ等を挙げることができる。上記各種フィルターを積層させたり、並置して用いてもよく、この場合、平板状フィルター8としては、上記各種フィルターの中から1種または2種以上を選択することができる。
【0029】
図6(a)〜(d)に示すように、ケーシング11の外縁部には、空気循環放熱経路15が設けられる。
【0030】
この空気循環放熱経路15は、その内部雰囲気が、ケーシング11の内部雰囲気やファンフィルターユニット2の外部雰囲気と接触しないように、気密状態を維持し得る構造となっており、図6に示すように、ケーシング11の側部全周に枠状に設けることができる。
【0031】
また、本発明のFFUの態様Iにおいては、図7に示すように、空気循環放熱経路15を、平板状フィルタ8の空気流入側に位置するケーシング壁18の外壁面上に設けてもよい。ここで、図7(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図7(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図7(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側の図、図7(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0032】
さらに、本発明のFFUの態様Iにおいては、図8に示すように、空気循環放熱経路15を、平板状フィルタ8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けてもよい。ここで、図8(a)は、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対する垂直断面図、図8(b)は、ファンフィルターユニット2の下面(清浄化空気の排出面)側の図、図8(c)は、ファンフィルターユニット2の上面側の図、図8(d)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0033】
図6、図7、図8においては、経路15の各角部が直角となっているが、経路内の空気の循環性(圧力損失)を考慮すると、経路15の各角部が緩いカーブ状になっていることが好ましい。また、経路15の角部の数が少ないほど、経路内の空気の循環性(圧力損失)が向上するため、図6、図7、図8に示すように、角部を4箇所にするか、角部をゼロにする(経路15を円形にする)ことが好ましい。図6に示す態様においては、経路15をケーシング11の側部に設けることから、図6に示す態様において、経路15の角部を緩いカーブ状にしたり経路15を円形にする場合には、ケーシング11の角部も緩いカーブ状にしたり全体を円形にすることが好ましい。
【0034】
空気循環放熱経路15を、図6に示すように、ケーシング11の側部全周に枠状に設けた場合や、図8に示すように、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けた場合には、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向の厚みを増加させないため、半導体製造装置またはFPD製造装置の壁面等に対して、余分な厚み(凸部)を形成せずにファンフィルターユニット2を設置することができ、省スペース化を図ることが可能になる。
【0035】
空気循環放熱経路15内の制御部63近傍における空気の循環速度は、1.0〜1.5m/秒であることが好ましく、1.5〜2.0m/秒であることがより好ましく、2.0〜2.5m/秒であることがさらに好ましい。本発明のファンフィルターユニットにおいては、空気の循環速度が上記範囲内にあることにより、制御部63を空冷して温度上昇を抑制することが可能になる。
【0036】
空気循環放熱経路15内に充填される空気は、特に制限されないが、クリーンルーム等によって予備清浄化された空気であることが好ましい。
【0037】
本発明のFFUの態様Iにおいては、図6(a)、図6(c)に示すように、空気吸入用電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8は、いずれもケーシング11の両主表面に水平になるように、ケーシング内に並列に配置、収容される。このように、ファン部61と平板状フィルター8とを並列に配置することによって、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向の厚みを低減し得ることから、半導体製造装置またはFPD製造装置等の壁面に対して、余分な厚み(凸部)を形成せずに設置することができ、省スペース化を図ることが可能になる。
【0038】
一方、図6(c)に示すように、空気吸入用電動ファン6を構成する制御部63は、空気循環放熱経路15内に収容される。このとき、上記省スペース化の観点から、図6(c)等に示すように、制御部63もファン部61や平板状フィルター8に対して、ケーシング11の両主表面に対して水平方向に並列に配置することが好ましい。
【0039】
本発明のFFUの態様Iにおいては、図6(a)〜(d)に示すように、空気取入口7を介してファン部61によってケーシング11内に吸引された空気は、平板状フィルター8を通過し清浄化処理されることにより、清浄化度を高めた雰囲気空気9をファンフィルターユニット2の外部(半導体製造装置またはFPD製造装置等の内部空間等)に排出する。
【0040】
図6(a)、(b)、(d)等に示すように、空気取入口7を設ける面を、平板状フィルター8の清浄化空気排出面と同一の面とすることにより、ファンフィルターユニット2を半導体製造装置やFPD製造装置等に設けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等の装置内部の空気を循環することが容易になる。一方、図9(a)〜(d)に、図6(a)〜(d)とそれぞれ対比し得るように示すとおり、空気取入口7を、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁の外壁面に設けてもよく、この場合、本発明のファンフィルターユニットを半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁面に取り付けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等外部の空気をファンフィルターユニット内に容易に取り入れることができる。
【0041】
図10(a)〜(d)は、図6(a)〜(d)にそれぞれ対応する図であり、図6に示すファンフィルターユニット2において、循環放熱経路15内の空気の流れを示す図である。
【0042】
図10(a)〜(d)に示すように、電動ファン6の制御部63が配置された空気循環放熱経路15内においては、制御部63から排出される熱によって加温された循環空気17が、自然対流によって経路15内を循環する。このとき、図10(c)に示すように、経路15内にプロペラファンやシロッコファン等からなる空気循環用電動ファン16を設けることにより、経路15内における空気17の循環速度を向上させてもよい。
【0043】
また、図7に示すファンフィルターユニット2を半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁に取り付け、クリーンルーム内に設置した場合、上記ケーシング壁18の外壁面側がクリーンルームの内部雰囲気と接する面となることから、空気循環放熱経路15がクリーンルームの内部雰囲気と接する面積も増加することになる。そして、一般にクリーンルーム内は、空調により温度管理されていることから、空気循環放熱経路15内を循環する空気の冷却効率をさらに向上させることが可能になる。
【0044】
図11〜図13は、本発明のFFUの態様IIを示す図である。
【0045】
上述したように、本発明のFFUの態様IIは、電動ファン6を構成するファン部61と平板状フィルター8とが、ファンフィルターユニット2を構成するケーシング11の両主表面に対して垂直方向に並列して、ケーシング11内に配置されてなるものである。
【0046】
図11は、空気循環放熱経路15がケーシング11の側部全周に枠状に設けられてなるファンフィルターユニットを示すものであり、図11(a)は、ファンフィルターユニット2の両主表面に対する垂直断面図であり、図11(b)は、ファンフィルターユニット2の上面側水平断面図であり、図11(c)は、ファンフィルターユニット2の斜視図(透視図)である。
【0047】
また、図12は、空気循環放熱経路15が、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の外壁面上に設けられてなるファンフィルターユニットを示すものであり、図12(a)〜図12(c)は、空気循環放熱経路15の設置位置を除き、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応する図である。
【0048】
図13は、空気循環放熱経路15が、平板状フィルター8の空気流入側に位置するケーシング壁18の内壁面上に設けられてなるものを示すものであり、図13(a)〜図13(c)は、空気循環放熱経路15の設置位置を除き、図11(a)〜図11(c)にそれぞれ対応する図である。
【0049】
本発明のFFUの態様IIにおいて、ケーシング11の形状は、その内部に平板状フィルター8を少なくとも収納し得るものであれば特に限定されず、例えば、直方体形状等を挙げることができる。ケーシングが直方体状の形状を有する場合、その大きさは、縦500mm〜2000mm、横500mm〜2000mm、高さ50mm〜200mm程度であることが好ましい。
【0050】
ファン部61を構成するファンの種類、制御部63の構成、平板状フィルター8の態様、ケーシング内に空気を吸引し清浄化する態様、空気循環放熱経路15における空気循環の態様、空気循環放熱経路15内の空気の循環速度等については、上記本発明のFFUの態様Iで説明した内容と同様である。
【0051】
上記態様Iや態様IIで例示される本発明のファンフィルターユニットは、図14に示すように、その全体形状を扉状に形成してもよい。この場合、ファンフィルターユニットに把持部19等を設け、扉としての機能も併せ持たせることにより、半導体製造装置やFPD製造装置等の外壁に設けた際に、半導体製造装置やFPD製造装置等の構成部品数を削減することができ、また、外部への開口数を減らして、装置内部の空気清浄性を高めることができる。特に、本発明のFFUの態様Iに係るファンフィルターユニットの全体形状を扉状にすることにより、より薄型の扉状ファンフィルターユニットを提供することが可能になる。
【0052】
本発明のファンフィルターユニット2においては、図6(a)〜(d)や図11(a)〜(c)に例示するように、空気吸入用電動ファン6によって取り入れた空気を、平板状フィルター8によって清浄化する経路とは独立に、ケーシング11の外縁部に空気循環放熱経路15を設け、該空気循環放熱経路15内に電動ファン6を構成する制御部63を配置することにより、上記清浄化される空気流の影響を受けることなく、制御部63の雰囲気ガスを循環させ、効率的に放熱、冷却することが可能となる。また、電動ファン6を構成する基盤等の制御部63から発生した微粒子や不純物ガスが、ファンフィルターユニット2の外部空間(クリーンルームの内部空間等)に拡散することを防止することができる。
【0053】
このように、本発明のファンフィルターユニットは、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るものであることから、例えば、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適な半導体製造装置やFPD製造装置を提供することができ、また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適なクリーンベンチを提供することもできる。
【0054】
次に、本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置について説明する。
【0055】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするものである。
【0056】
図15は、本発明のファンフィルターユニット2を側面に設けてなる半導体製造装置またはFPD製造装置3を示すものであり、ファンフィルターユニット2の設置位置は、図15に示すように、半導体製造装置またはFPD製造装置3の側面でもよいし、上面であってもよい。
【0057】
また、図15に示すように、ファンフィルターユニット2の全体形状を扉状にして、扉としての機能も併せ持たせることにより、半導体製造装置またはFPD製造装置に設けた際に、半導体製造装置またはFPD製造装置の構成部品数を削減しつつ、外部への開口数を減らして、半導体製造装置またはFPD製造装置内部の空気清浄性を高めることができる。
【0058】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置において、ファンフィルターユニットの運転条件は、上述したものと同様である。
【0059】
図15に示すように、本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、その内部に形成される空間が、ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間であるとともに、清浄化した空気を排出する空間であることによって、半導体製造装置またはFPD製造装置内部の空気を循環して、雰囲気空気をより清浄化することが可能になる。
【0060】
本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置は、本発明のファンフィルターユニットを用いていることから、ファンフィルターユニット内部の温度上昇を抑制しつつ、高度に清浄化された空気雰囲気下、半導体やFPD等を安定して製造することができる。
【0061】
また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けることにより、好適なクリーンベンチを提供することもできる。この場合、ファンフィルターユニットの外壁面への設置態様等は、上記本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置と同様である。本発明のファンフィルターを外壁面に設けてなるクリーンベンチをクリーンルーム内に設置しつつ、クリーンベンチ内部に既存の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容したり、本発明の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容することにより、高度に清浄化された空気雰囲気下で半導体やFPD等を安定して製造することができる。
【0062】
図15に示す形態を有するファンフィルターユニット(ケーシングが、縦1630mm、横770mm、奥行160mmの直方体状であって、空気循環放熱経路の空気流れ方向の長さ(空気循環放熱経路内を空気が循環する1周あたりの距離)が4810mm、空気流れ方向に対する垂直断面積(空気循環放熱経路の断面積)が1500mm2であるもの)を外壁面に設けた半導体製造装置において、ファンフィルターユニットを稼動させ、平板状フィルターから排出される清浄化空気の排出速度が0.3m/秒、空気循環放熱経路の制御部近傍における空気の流速が1.6m/秒になるように運転したところ、周囲の雰囲気温度が50℃の環境下、空気循環放熱経路中の制御基板直上空間の温度は56.5℃までしか上昇しなかった。これに対して、上記空気循環放熱経路を有さないファンフィルターユニットを外壁面に設けた同様の半導体製造装置を用いて、同様に運転したところ、周囲の雰囲気温度が50℃の環境下、制御基板直上空間の温度は75.1℃まで上昇した。
【0063】
次に、本発明の清浄化空気の製造方法について説明する。
【0064】
本発明の清浄化空気の製造方法は、クリーンルーム内に配置した本発明の半導体製造装置またはFPD製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とするものである。
【0065】
図16に示すように、クリーンルーム1内部に外壁面にファンフィルターユニット2を設けた半導体製造装置またはFPD製造装置3を設置し、クリーンルーム1の天井に配置されたファンフィルターユニット4で空気を予備清浄化した空間内において、半導体製造装置またはFPD製造装置3に設置されたファンフィルターユニット2を稼動させ、半導体製造装置またはFPD製造装置3内の空気を清浄化処理することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置3内に清浄化空気を供給することができる。
【0066】
また、本発明のファンフィルターユニットを外壁面に設けてなるクリーンベンチをクリーンルーム内に配置しつつ、クリーンベンチ内部に既存の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容したり、本発明の半導体製造装置やFPD製造装置等を収容して、これらの装置に設置されたファンフィルターユニットを稼動させ、装置内部の空気を清浄化処理することにより、半導体製造装置またはFPD製造装置内部に清浄化空気を供給することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0067】
本発明によれば、内部温度の上昇を抑制しつつ吸入した空気を高度に清浄化し得るファンフィルターユニットを提供することができ、また、上記ファンフィルターユニットを設けてなるまたはFPD製造装置および該半導体製造装置またはFPD製造装置を用いた清浄化空気の製造方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0068】
1 クリーンルーム
2 ファンフィルターユニット
3 半導体製造装置またはFPD製造装置
4 ファンフィルターユニット
5 予備清浄化された空気
6 電動ファン
61 ファン部
62 モーター部
63 制御部
7 空気取入口
8 フィルター
9 清浄化度空気
10 作業空間
11 ケーシング
12 開放部分
13 冷却ファン
14 クリーンルームの内部空間
15 空気循環放熱経路
16 空気循環用電動ファン
17 循環空気
18 ケーシング壁
19 把持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ファンフィルターユニットであって、
ケーシングと、
該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、
前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、
前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、
前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること
を特徴とするファンフィルターユニット。
【請求項2】
前記空気循環放熱経路が、前記ケーシングの側部全周に枠状に設けられてなる請求項1に記載のファンフィルターユニット。
【請求項3】
前記空気循環放熱経路が、前記平板状フィルターの空気流入側に位置するケーシング壁の内壁面上または外壁面上に設けられてなる請求項1または請求項2に記載のファンフィルターユニット。
【請求項4】
前記空気循環放熱経路内に空気循環用電動ファンをさらに有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット。
【請求項5】
全体形状が扉状に形成されてなる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項7】
ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、半導体製造装置内に形成される同一の空間である請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするフラットパネルディスプレイ製造装置。
【請求項9】
ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、フラットパネルディスプレイ製造装置内に形成される同一の空間である請求項8に記載のフラットパネルディスプレイ製造装置。
【請求項10】
クリーンルーム内に配置した請求項6〜請求項9のいずれかに記載の半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とする清浄化空気の製造方法。
【請求項1】
ファンフィルターユニットであって、
ケーシングと、
該ケーシングの内部に空気を取り入れる空気吸入用電動ファンと、
前記ケーシングの内部に配置されてなり、前記空気吸入用電動ファンによって吸入した空気を一方の主表面から他方の主表面に通過させ清浄化処理する平板状フィルターと、
前記空気を吸入し清浄化処理する経路とは独立に、前記ケーシングの外縁部に設けられてなる空気循環放熱経路とを少なくとも有し、
前記空気循環放熱経路内に前記空気吸入用電動ファンを構成する制御部が配置されてなること
を特徴とするファンフィルターユニット。
【請求項2】
前記空気循環放熱経路が、前記ケーシングの側部全周に枠状に設けられてなる請求項1に記載のファンフィルターユニット。
【請求項3】
前記空気循環放熱経路が、前記平板状フィルターの空気流入側に位置するケーシング壁の内壁面上または外壁面上に設けられてなる請求項1または請求項2に記載のファンフィルターユニット。
【請求項4】
前記空気循環放熱経路内に空気循環用電動ファンをさらに有する請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット。
【請求項5】
全体形状が扉状に形成されてなる請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のファンフィルターユニット。
【請求項6】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とする半導体製造装置。
【請求項7】
ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、半導体製造装置内に形成される同一の空間である請求項6に記載の半導体製造装置。
【請求項8】
請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載されたファンフィルターユニットを外壁面に設けてなることを特徴とするフラットパネルディスプレイ製造装置。
【請求項9】
ファンフィルターユニットにより空気を吸引する空間と、清浄化した空気を排出する空間とが、フラットパネルディスプレイ製造装置内に形成される同一の空間である請求項8に記載のフラットパネルディスプレイ製造装置。
【請求項10】
クリーンルーム内に配置した請求項6〜請求項9のいずれかに記載の半導体製造装置またはフラットパネルディスプレイ製造装置により空気を清浄化処理することを特徴とする清浄化空気の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2010−203725(P2010−203725A)
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−51888(P2009−51888)
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(000110804)ニチアス株式会社 (432)
【Fターム(参考)】
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