ファンユニット及び画像形成装置
【課題】気体を吸引する吸引効率を向上させたファンユニットを提供する。
【解決手段】ファン108が回転(駆動)している場合、吸気ダクト102の外部の空気が吸引口102aから吸い込まれて吸気ダクト102を矢印D方向に通過して連通部分106に入り込み、続いて、この空気は連通部分106を通過して排気ダクト104に入り込んで排気ダクト104を矢印E方向に通過して排気口104aから(外部に)排出される。この場合、吸気ダクト102では、その内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となるので(負圧となるので)、この圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ。また、排気ダクト104では、その内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となるので(正圧となるので)、この圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ。
【解決手段】ファン108が回転(駆動)している場合、吸気ダクト102の外部の空気が吸引口102aから吸い込まれて吸気ダクト102を矢印D方向に通過して連通部分106に入り込み、続いて、この空気は連通部分106を通過して排気ダクト104に入り込んで排気ダクト104を矢印E方向に通過して排気口104aから(外部に)排出される。この場合、吸気ダクト102では、その内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となるので(負圧となるので)、この圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ。また、排気ダクト104では、その内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となるので(正圧となるので)、この圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を通過させて排出するファンユニット、及びこのファンユニットが組み込まれた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやワークステーションの出力装置として、所定の搬送方向に搬送される記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。このインクジェット方式の画像形成装置は、通常、インクを吐出する複数のインク吐出孔が形成された印字ヘッドや、この印字ヘッドを搭載して所定の主走査方向に走査する(往復動する)キャリッジなどを備えている。また、記録媒体の搬送方向に直交する方向(記録媒体の幅方向)に長く延びた印字ヘッドを備え、この印字ヘッドを印字中は固定しておくタイプのインクジェット方式の画像形成装置も知られている。
【0003】
印字ヘッドを搭載したキャリッジを走査するインクジェット方式の画像形成装置を用いて記録媒体に画像を形成する際は、搬送中の記録媒体を一時的に停止させ、キャリッジを上記の主走査方向に往復動させながら、画像情報を担持した画像信号に基づいてインク吐出孔からインクを吐出し、記録媒体のうちインク吐出孔に向き合う画像形成領域に位置する部分に1バンド分の画像を形成する。その後、記録媒体を1バンド分の幅だけ搬送して停止させ、再び、キャリッジを上記の主走査方向に往復移動させながら、画像信号に基づいてインク吐出孔からインクを吐出し、記録媒体のうち画像形成領域に新たに位置する部分に画像を形成する。このような動作を繰り返すことにより記録媒体の全体に画像を形成する。
【0004】
上記したインクジェット方式の画像形成装置では、液体のインク(インク滴)を記録媒体に吐出することによって画像を形成している。このため、印字ヘッドからインクを吐出する際にインク滴の周りに細かい霧状のインク(インクミスト)が発生する。また、記録媒体にインク滴が着弾したときにインク滴の全てが記録媒体に瞬時に吸着されるわけではなく、インク滴の一部が着弾の衝撃などに起因して記録媒体の表面で跳ね返って霧状に飛散してインクミストが発生することもある。
【0005】
発生したインクミストは、キャリッジが移動するに伴ってキャリッジの移動方向後方に発生する負圧によって画像形成装置の内部で巻き上げられる。この巻き上げられたインクミストは、画像形成装置の内部の部品や部材に付着する。付着したインクミストは、カバーを開けて内部の部品や部材に触れたユーザの手を汚すことがある。また、キャリッジの摺動部やキャリッジの位置決めをするエンコーダやセンサにインクミストが付着した場合などは装置の誤動作を引き起こす可能性もある。
【0006】
上記のようなトラブルを防止するために、装置内部の空気を外部に排出するインクミスト吸引用のファンとダクトを組み合わせたファンユニットが使用されることが多い。このファンユニットによって画像形成装置の内部の空気がファンによって吸引されてダクトを通って排出される。
【0007】
一方、インクミスト吸引用のファン以外にも、インク吐出孔に向き合う画像形成領域の平面(プラテン)に記録媒体を吸着させるプラテンファンなど、画像形成装置の内部の空気を吸引するファンがある。これらのファンユニットにも、インクミスト吸引用ファンと同様に、画像形成装置の内部の空気はファンに吸引されて所定の経路を通って排出される。
【0008】
上記したファンユニットには、画像形成装置の内部で発生したインクミストが装置内部の空気と共に吸い込まれて、このインクミストが液状化した液状化ミストが溜まる。この液状化ミストをインク回収部に集めるためには、液状化ミストが通るインク流路を設置してインク回収部に液状化ミストを案内する構造が必要となる。このような構造にした場合、ファンユニットのダクトに開口を形成し、この開口をインク流路につなぐ必要がある。しかし、この開口はダクトに形成されているので、不必要なエアリーク(空気漏れ)を引き起こしてファンユニットの空気吸引効率を著しく低下させてしまう。この低下を防止するためには、ファンユニットからインク回収部までを流体的に閉じた状態(気密状態)にすればよい。しかし、このような構造にする場合、インク回収部の大型化、ひいては画像形成装置の大型化に至ってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、気体を吸引する吸引効率を向上させたファンユニット及びこのファンユニットが組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のファンユニットは、気体が通過するダクトと、このダクトに気体を通過させるファンとを備え、該ファンを駆動させることにより前記ダクトを気体が通過するファンユニットにおいて、
(1)ダクト内部の圧力とダクト外部の圧力との圧力差によって開閉する、前記ダクトの一部を開閉する開閉部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、
(2)前記開閉部は、前記圧力差が所定の範囲内のときには開き、前記圧力差が前記所定の範囲外のときには閉じるものであってもよい。
【0012】
また、
(3)前記ダクトは、
(3―1)その外部の気体が吸い込まれる吸気ダクトと、
(3―2)その内部の気体が排出される排気ダクトとを有し、
(3―3)前記吸気ダクトと前記排気ダクトは連通したものであり、
(4)前記ファンは、前記連通した部分に配置されたものであってもよい。
【0013】
さらに、
(5)前記吸気ダクトは、前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となって外部の気体が吸い込まれるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
(6)該開閉部は、前記ファンの駆動中は閉じていてもよい。
【0014】
さらにまた、
(7)前記排気ダクトは、前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となってその内部の気体が排出されるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
(8)該開閉部は、前記ファンの駆動中は閉じていてもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
(9)上記したファンユニットを、インクミストを回収するファンユニットとして備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のファンユニットによれば、開閉部は、ダクト内部の圧力(内圧)とダクト外部の圧力(外圧)との圧力差によって開閉するので、開閉部を開閉させる部品・部材は不要である。また、ファンが駆動中では内圧と外圧の圧力差によって開閉部が閉じたままとなるように設定することにより、外部の気体を吸引する吸引効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、印字ヘッドから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するプリンタに実現された。
【実施例1】
【0018】
図1と図2を参照して、本発明の画像形成装置の一例であるカラープリンタ(以下、プリンタという)の概略構成を説明する。
【0019】
図1は、正面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。図2は、背面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【0020】
プリンタ10は、このプリンタ10を操作するための操作部12を備えており、この操作部12に配置された各種のスイッチ等により、オンライン/オフライン、コマンドなどが指示される。ロ−ル紙P(記録媒体の一例である)はその一端から矢印B方向に引き出されて、この引き出された部分(引出部分)Phにプリンタ10の内部でカラ−画像が印字されて、記録紙排紙口14から矢印A方向に排出される。なお、プリンタ10の幅方向一端部には大容量のインクタンクユニット16が配置されている。また、カバー18を開くことによりプリンタ10の内部を見ることができる。
【0021】
ロ−ル紙Pは円筒状になっており、ロ−ル紙Pを所定位置に保持する際には、ロ−ル紙Pの内部空間に棒状のスプール軸82が差し込まれる。スプール軸82の長手方向一端部は受け台90に、長手方向他端部は受け台92に回転自在に固定されている。なお、ロ−ル紙Pの長手方向両端は移動しないようにサイド規制板84で規制されている。
【0022】
プリンタ10の背面側には、ロ−ル紙Pが挿入される記録紙挿入口20が形成されている。記録紙挿入口20には、プリンタ10の内部にロ−ル紙Pなどの記録紙を案内する給紙ガイド22が取り付けられている。
【0023】
図3と図4を参照して、記録紙の搬送経路と印字(画像形成)工程などを説明する。
【0024】
図3は、プリンタの内部を示す斜視図である。図4は、プラテンとその周辺部分を拡大して示す斜視図である。これらの図では、図1と図2に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0025】
プリンタ10では、シ−ト状の記録紙と、ロ−ル状に巻かれた記録紙(ロ−ル紙P)に印字できる。ここでは、本体背面側の記録紙挿入口20(図2参照)から挿入されたロ−ル紙Pの搬送経路を説明する。
【0026】
ロ−ル紙Pを長手方向一端から引き出して、この引き出した引出部分Phを矢印B方向(図2参照)から記録紙挿入口20に挿入する。挿入されたロ−ル紙Pの引出部分Phは給紙ガイド22に案内されて、駆動ローラ24と、ピンチロ−ラア−ム26に回転自在に固定されたピンチロ−ラ28に狭持されながら、プラテン30の印字部30a(画像形成領域)に搬送される。印字部30aには、多数の吸引孔30bが形成されており、引出部分Phが印字部30aを搬送される際は、印字部30aの下方から後述の吸引ファンによって、印字部30aの上方を通過中の引出部分Phを、吸引孔30bを通して吸引し、印字部30aの上面から引出部分Phが浮かないようにする。その後、引出部分Phは駆動ローラ24とピンチロ−ラ28に狭持されながら、さらに搬送されて本体前面側の記録紙排紙口14(図1参照)から排出される。
【0027】
プリンタ10は、矢印C方向(主走査方向)に往復動するキャリッジ40を備えている。キャリッジ40はヘッドホルダ42を備えており、このヘッドホルダ42には、印字ヘッド44が着脱自在に装着される。印字ヘッド44には、インクタンクユニット46(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロ−、淡シアン、淡マゼンタの6色搭載)からインク供給チュ−ブ(インク導管)48を経由してインクが供給される。
【0028】
キャリッジ40は、図3に示すように、キャリッジ駆動モ−タ50の回転軸に掛設されたベルト52に固定されており、このベルト52は、キャリッジ駆動モ−タ50の正逆回転によって矢印C方向に往復する。ベルト52が矢印C方向に往復することによりキャリッジ40も2本の案内レ−ル54に案内されて矢印C方向に往復動する。
【0029】
プリンタ10の本体(装置本体)におけるキャリッジ40の位置を検出するために、キャリッジが走査する(往復動する)範囲の全域にわたって、リニアエンコーダスケール56が配置されている。このリニアエンコーダスケール56は、光学または磁気を利用したセンサによってキャリッジ40の位置を検出するためのものである。キャリッジ40には、リニアエンコーダスケール56を光学的(又は磁気的)に読むスケール読取器(図示せず)が搭載されている。このスケール読取器でリニアエンコーダスケール56を読むことによりキャリッジ40の位置が検出される。なお、リニアエンコーダスケール56とスケール読取器は周知の構造である。
【0030】
ロ−ル紙Pは、矢印C方向に直交する方向(ロ−ル紙Pの搬送方向)に断続的に搬送される。ロ−ル紙Pの引出部分Phに画像を形成するときは、ロ−ル紙Pを一時停止させておき、キャリッジ40を矢印C方向に往復動させながら、引出部分Phのうち画像形成領域(印字部30aに相当する領域)に位置する部分に、印字ヘッド44からインクを吐出する。その後、所定長さだけロ−ル紙Pを搬送して画像形成領域に位置する新たな部分に次のバンド分の画像を形成する。この動作をロ−ル紙Pの全長に亘って繰り返す。これによりロ−ル紙Pにカラ−画像が形成され、画像の形成されたロ−ル紙Pは駆動ローラ24とピンチロ−ラ28とに挟持されて搬送されながら記録紙排紙口14(図1参照)から排出される。
【0031】
プリンタ10では、印字ヘッド44からインクを吐出する際にインク滴の周りに細かい霧状のインク(インクミスト)が発生する。また、記録媒体にインク滴が着弾したときにインク滴の全てが記録媒体に瞬時に吸着されるわけではなく、インク滴の一部が着弾の衝撃などに起因して記録媒体の表面で跳ね返って霧状に飛散してインクミストが発生することもある。このようにして発生したインクミストを除去する(取り除く)ために、プリンタ10には、プリンタ10の内部空間の空気を吸引して外部に排出するファンユニットが組み込まれている。
【0032】
図5と図6を参照して、本発明のファンユニットの原理を説明する。
【0033】
図5は、ファンが停止しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。図6は、ファンが駆動(回転)しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【0034】
後述するファンユニットの原理を示すファンユニット100は、その外部の空気(気体の一例である)がインクミストと共に吸い込まれる吸気ダクト102と、その内部の空気が排出される排気ダクト104と、吸気ダクト102と排気ダクト104を連通させる連通部分106とを有する。連通部分106には、吸気ダクト102と排気ダクト104に空気を通過させるファン108が配置されている。ここでは、吸気ダクト102と排気ダクト104は略円筒形状のものとする。
【0035】
吸気ダクト102の長手方向一端部(図では、上の部分)には、外部の空気が吸引される吸引口102aが形成されており、長手方向他端部(図では、下の部分)には開口102bが形成されている。また、吸気ダクト102には、開口102b(吸気ダクト102の一部)を開閉する開閉部112が取り付けられている。一方、排気ダクト104の長手方向一端部(図では、上の部分)には、この排気ダクト104の内部の空気が排出される排気口104aが形成されており、長手方向他端部(図では、下の部分)には開口104bが形成されている。また、排気ダクト104には、開口104b(排気ダクト104の一部)を開閉する開閉部114が取り付けられている。連通部分106は、吸気ダクト102の上半分と排気ダクト104の上半分を連通するように配置されている。
【0036】
吸気ダクト102の開口102bを開閉する開閉部112は、弁112aとばね112bから構成された簡易な構造のものである。弁112aは、吸気ダクト102の外側(外部)から開口102bを開閉自在に塞ぐように配置されている。ばね112bの一端は、吸気ダクト102の内壁面から突出した突出板102cに付き当てられて固定されている。ばね112bの他端の内側には、弁112aの凸部が差し込まれて固定されている。弁112aに外部から力が作用しないときは、図5に示すように、弁112aはばね112bの付勢力(ばね力)によって開口102bを塞いでおらず開いている。すなわち、ばね112bの付勢力は、弁112aに外部から力が作用しないときは、弁112aが開口102bを開くように設定されている。一方、後述するように、ファン108が回転(駆動)して吸気ダクト102の内部の圧力が外部の圧力よりも低くなったときは、吸気ダクト102の外部の圧力と内部の圧力との圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ(閉じる)。このように、吸気ダクト102の外部と内部の圧力差によって開閉部112は開閉するように構成されている。
【0037】
排気ダクト104の開口104bを開閉する開閉部114は、弁114aとばね114bから構成された簡易な構造のものである。弁114aは、排気ダクト104の内側(内部)から開口104bを開閉自在に塞ぐように配置されている。ばね114bの一端は、吸気ダクト102の外部の壁面から突出した突出板104cに付き当てられて固定されている。ばね114bの他端の内側には、弁114aの凸部が差し込まれて固定されている。弁114aに外部から力が作用しないときは、図5に示すように、弁114aはばね114bの付勢力(ばね力)によって開口104bを塞いでおらず開いている。すなわち、ばね114bの付勢力は、弁114aに外部から力が作用しないときは、弁114aが開口104bを開くように設定されている。一方、後述するように、ファン108が回転(駆動)して排気ダクト104の内部の圧力が外部の圧力よりも高くなったときは、排気ダクト104の外部の圧力と内部の圧力との圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ(閉じる)。このように、排気ダクト104の外部と内部の圧力差によって開閉部114は開閉するように構成されている。
【0038】
吸気ダクト102では、ファン108が停止している場合(すなわち、吸気ダクト102の外部と内部の圧力差が所定範囲内の場合であり、この圧力差がほぼゼロに近い場合)、図5に示すように、ばね112bの付勢力によって弁112aが外側(図5では下)に押されているので、開口102bは塞がれておらずに開いている。このため、吸気ダクト102の内部(主に、内壁面)に存在する液状化インクMは、内壁面を伝って開口102bから排出される。
【0039】
同様に、排気ダクト104では、ファン108が停止している場合(すなわち、排気ダクト104の外部と内部の圧力差が所定範囲内の場合であり、この圧力差がほぼゼロに近い場合)、図5に示すように、ばね114bの付勢力によって弁114aが内側(図5では上)に押されているので、開口104bは塞がれておらずに開いている。このため、排気ダクト104の内部(主に、内壁面)に存在する液状化インクMは、内壁面を伝って開口104bから排出される。
【0040】
一方、ファン108が回転(駆動)している場合、図6に示すように、吸気ダクト102の外部の空気が吸引口102aから吸い込まれて吸気ダクト102を矢印D方向に通過して連通部分106に入り込み、続いて、この空気は連通部分106を通過して排気ダクト104に入り込んで排気ダクト104を矢印E方向に通過して排気口104aから(外部に)排出される。この場合、吸気ダクト102では、その内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となるので(負圧となるので)、図6に示すように、この圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ。また、排気ダクト104では、その内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となるので(正圧となるので)、図6に示すように、この圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ。このように、ファン108が回転している場合は、開口102bが弁112aによって塞がれると共に開口104bが弁114aによって塞がれるので、空気の出入りは吸引口102aと排気口104aからだけとなり、吸気ダクト102及び排気ダクト104の他の部分からは空気の出入りが無いので吸引効率は向上する。
【0041】
上記したプリンタ10にファンユニット100を適用した例について、図7から図18までを参照して説明する。
【0042】
先ず、図7と図8を参照して、プリンタ10の基本的構造体を説明する。
【0043】
図7は、外装カバー等を取り外したプリンタを示す斜視図である。図8は、図7の状態からプラテン等も取り外したプリンタを示す斜視図である。
【0044】
プリンタ10の基本的構造体は、所定間隔離れた左側板120と右側板122、これら左側板120と右側板122に架け渡された2本のビーム124,126、及びプラテン30を支持するプラテン台128から構成される。プラテン台128は、左側板120と右側板122に固定されている。
【0045】
左側板120と右側板122と2本のビーム124,126によって直方体状の空間が形成されており、この空間にファンユニット200が収納されている。ファンユニット200は上記のファンユニット100を適用したものであり、2本のビーム124,126にビス止めされている。このように左側板120と右側板122の間に渡って固定されたファンユニット200は構造体の一部を構成しており、プリンタ10の本体の捩れ防止を強化する役目も果たしている。プラテン台128の下方には、後述する2つのミストファン202,202とプラテンファン204が配置されている。
【0046】
なお、右側板122の外側には、インクタンク16(図1参照)等が搭載されるインクトレイ130が配置されており、このインクトレイ130は2本のビーム124,126にビス止めされている。また、ファンユニット200のしたには、インク回収容器(図示せず)が格納されたフレーム132が配置されており、このフレーム132は2本のビーム124,126にビス止めされている。
【0047】
図9から図14までを参照してファンユニット200について説明する。
【0048】
図9は、ファンユニットの概略構成を示す斜視図である。図10は、ボトムケースを示す上面図である。図11は、ボトムケースを上から示す斜視図である。図12は、ボトムケースを下から示す斜視図である。図13は、ファンベースを下(裏側)から見た底面図である。図14は、インクトレイを拡大して示す斜視図である。
【0049】
ファンユニット200は、上部が開口した直方体状のボトムケース300と、このボトムケース300の開口を塞ぎ、且つ、この開口より一回り小さい直方体状のファンベース400を備えている。ファンベ−ス400はボトムケース300の上に配置されており、ボトムケース300の開口を塞ぐ蓋の機能も有する。ファンベース400はボトムケース300の開口よりも一回り小さいので、ボトムケース300の上方に位置するファンベース400に付着したインク(インクミストが液状化したもの)の全てはボトムケース300に案内される(流される)。ファンベース400の上面には、シロッコファンである2つのミストファン202,202、シロッコファンであるプラテンファン204がファン固定板206によって固定されている。
【0050】
ボトムケース300はプラスチックから作製されている。ボトムケース300の内部は、後述するように幾つかの内壁や仕切りリブ等によって複数の部屋に別けられている。ボトムケース300の内部には、図10や図11等に示すように、この内部の中央部分に形成されて2つの台形をつないだような形状の仕切りリブ302と、長方形状の第1内壁304と、仕切りリブ302を挟んで第1内壁304とは反対側に形成された第2内壁306と、この第2内壁306から僅かに離れて第2内壁306に並行に延びる第3内壁308とが成されている。ボトムケース300の内部には、本体外壁301、仕切りリブ302、長方形状の第1内壁304、及び第2内壁306に囲まれた2ヶ所のミストファン吸気室312が形成されている。また、ボトムケース300の内部には、仕切りリブ302及び第1内壁304に囲まれた1ヶ所のプラテンファン吸気室314が形成されている。さらに、ボトムケース300の内部には、第1内壁304に囲まれた排気室316が形成されている。さらに、ボトムケース300の内部には、第2内壁306と第3内壁308に囲まれた1ヶ所の排インク流路室318が形成されている。このようにボトムケース300の内部は複数の部屋に仕切られている。
【0051】
一方、ファンベース400もプラスチックから作製されている。ファンベース400の内部には、ボトムケース300の内部に形成された複数の部屋を気密にするために、図13に示すように、ボトムケース300の仕切りリブ302、第1,2,3内壁304,306,308が嵌まり込む凹部402が形成されている。ボトムケース300とファンベース400を重ねて結合することにより、ボトムケース300の仕切りリブ302、第1,2,3内壁304,306,308がファンベース400の凹部402に嵌まり込んでミストファン吸気室312、プラテンファン吸気室314、排気室316、及び排インク流路室318の気密性が保持される。ボトムケース300とファンベース400を重ねて結合するに際しては、ボトムケース300のセルフタップビス孔320(8ヶ所)とファンベース400のビス孔404(8ヶ所)でセルフタップビスによって固定される。また、ボトムケース300の10個のビス孔330とファンベース400の10個のビス孔440にビスを貫通させ、このビスでビーム124,126に固定する。これにより、上記のミストファン吸気室312、プラテンファン吸気室314、排気室316、及び排インク流路室318が形成される。
【0052】
図9に示す2つのミストファン202,202それぞれの吸引側と一致する部分にはミストファン吸気孔406,406が形成されており、ミストファン吸気室312の内部の空気が2つのミストファン202,202によって吸引される。また、図9に示すプラテンファン204の吸引側と一致する部分にはプラテンファン吸気孔408が形成されており、プラテンファン吸気室314の内部の空気がプラテンファン204によって吸引される。
【0053】
ミストファン吸気室312には、以下の(1)〜(3)の経路でインクミストが吸引される。(1)ファンユニット200の長手方向両端部(左右の部分)に配置されて、プリンタ10の記録部を含む装置内空間に連通するダクト208(図9に示す)からインクミストを吸引する。(2)プラテンベース128に接続された煙突210(図8参照)を介してプラテン30の長手方向一端部の孔30c(図7参照)からインクミストを吸引する。(3)予備吐受け123(図8参照)の煙突123aを介して孔123bからインクミストを吸引する。特にこの部分はヘッドエージング時に発生するインクミストを効率よく吸引できる。
【0054】
プラテンファン吸気室314は、2個のプラテンベース128それぞれの煙突212,212(図8参照)を介して、プラテンベース128とプラテン30(図3参照)によって閉じられる(気密に形成される)プラテン吸引用の負圧室に連通している。プラテン30では、多数の吸引孔30b(図7参照)を通して空気を吸引することによりプラテン30の印字部30a(上面)から記録媒体が浮くことを防止している。
【0055】
ファンベース400のうち、図9に示す2つのミストファン202,202の排気側と一致する部分には、排気が通るミストファン排気孔410が形成されている。また、ファンベース400のうち、図9に示すプラテンファン204の排気側と一致する部分には、排気が通るプラテンファン排気孔412が形成されている。ミストファン排気孔410及びプラテンファン排気孔412は、ファンユニット200の長手方向のほぼ全域に延びるひとつの排気室316に連通している。ミストファン排気孔410及びプラテンファン排気孔412を通過した排気は、ボトムケース300の底面に形成されたの2ヶ所の排気口322から、メンテナンスカートリッジ(図示せず)に導かれフィルタ(図示せず)を介して装置外へと排出される。なお、ファンベース400の長手方向一端部には、インクミストを吸引するためのミスト吸引孔414と、プラテン30の長手方向一端部の孔30cに連通した吸引孔416とが形成されており、ファンベース400の長手方向他端部には、インクミストを吸引するためのミスト吸引孔418と、予備吐出の際に発生するインクミストを吸引するための予備吐吸引孔420とが形成されている。また、ファンベース400の内部には、インクミストの液状化を促進するリブ422が多数形成されている。さらに、プラテン30の多数の吸引孔30bから空気を吸引するための2つのプラテン吸引孔424が形成されている。
【0056】
インクトレイ130には、図11や図14に示すように、このインクトレイ130が受けたインクを排出するインク排出部132が形成されており、インクトレイの130の底面には、インク排出部132に向かって下がる傾斜が形成されている(勾配が付けられている)。インクトレイ130が受けたインクは、傾斜した底面を流れてインク排出部132から排出される。
【0057】
ボトムケース300とファンベース400で形成された排インク流路室318には、図11に示すように、インクトレイ130のインク排出部132が挿入される。インクトレイ130では、回復系の排インク、インクタンクユニット46(図3参照)のオーバーフローインク、及び予備吐受け123(図8参照)に吐出されてインク案内部123c(図8参照)によって案内される排インクが受けられる。インクトレイ130で受けられたインクは、インク排出部132を経由して排インク流路室318に受け入れられる。なお、インク排出部132が挿入される排インク流路室318の挿入口には、インクが挿入口から外部に漏れることを防止する2つのバッファ凹部324が形成されている。
【0058】
ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314の底面には、ボトムケース300の略中央に形成されたインク抜き孔326に向かって下がる勾配が形成されている。このため、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314に溜まったインクはインク抜き孔326に流れ込む。ボトムケース300の底面のうちインク抜き孔326の裏側の部分には、図12に示すように、ノズル部材350が取り付けられている。ノズル部材350にはインク排出孔352が形成されており、ボトムケース300に集まったインクはこのインク排出孔352から排出されてメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。ボトムケース300の底面とノズル部材350の間には、本発明のファンユニットの開閉部の一例が配置されている。この開閉部の一例を図15から図18までを参照して説明する。
【0059】
図15は、ノズル部材を上から示す斜視図である。図16は、ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の裏側の部分を示す斜視図であり、ノズル部材を取り外している。図17は、ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の周辺部を拡大して示す斜視図である。図18は、排出弁を下から示す斜視図である。これらの図では、図9から図14までに示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0060】
ノズル部材350は直方体状のものであり、その長手方向両端部にはビス孔354,356が形成されている。これらのビス孔354,356はボトムケース300のビス孔344,346に重ねられてビス(図示せず)が通される。これによりノズル部材350がボトムケース300にネジ止めされる。インク抜き孔326の下には、長方形状で平板状の排出弁370が取り付けられている。この排出弁370がインク抜き孔326を開閉する。排出弁370は、図6に示す弁112aに相当する。
【0061】
排出弁370の長手方向一端部には、図16や図18に示すように、一対のヒンジ軸372が形成されている。このヒンジ軸372は、排出弁370の幅方向外側に飛び出たものである。この一対のヒンジ軸372の上半分が嵌め込まれる軸受け溝348aがボトムケース300の底面の枠348に形成されている。なお、枠348はノズル部材350よりも一回り大きいサイズのものであり、ノズル部材350をボトムケース300に固定するためのものである。一対のヒンジ軸372の下半分は、ノズル部材350の軸受け溝358に嵌め込まれる。一対のヒンジ軸372を軸受け溝348aと軸受け溝358に嵌め込んで、ノズル部材350をボトムケース300にネジ止めすることにより、排出弁370がインク抜き孔326を自在に開閉できるように取り付けられることとなる。
【0062】
排出弁370のうちヒンジ軸372が形成された部分とは反対側の長手方向他端部の上面(インク抜き孔326の側の面であり、ボトムケース300の内部に向き合う面である。)には、円柱状のガイド軸374が形成されている。このガイド軸374には弁開放ばね376が差し込まれている。このため、弁開放ばね376の中にガイド軸374が配置されていることとなり、図17では、ガイド軸374が見え難い。弁開放ばね376は、図6に示すばね112bに相当する。弁開放ばね376の一端は排出弁370の上面に接触しており、他端は、ボトムケース300の壁349に接触している。この壁349は、ボトムケース300の内部のうち排出弁370の上方部分に位置している。弁開放ばね376は、インク抜き孔326を開くように排出弁370の他端部を下に付勢している。なお、排出弁370のガイド軸374側の長手方向他端部の下面には、2つの凸部378が形成されている。この凸部378は、排出弁370の長手方向他端部が下方に押されてインク抜き孔326が開放されているときに、排出弁370とノズル部材350とが適度な隙間を保つために設けられている。
【0063】
上記した排出弁370、弁開放ばね376、ミストファン202、プラテンファン204、ミストファン吸気室312(本発明にいうダクトの一例であり、図6に示す吸気ダクト102に相当する)、及びプラテンファン吸気室314(本発明にいうダクトの一例であり、図6に示す吸気ダクト102に相当する)によって本発明のファンユニットの一例が構成されている。
【0064】
排出弁370の動きについて説明する。
【0065】
ミストファン202とプラテンファン204が駆動(回転)していない場合は、プラテンファン吸気室314の内部の圧力と外部(排出弁370よりもノズル部材350の側の部分)の圧力にはほとんど差が無く、この圧力差は所定範囲内であるので、排出弁370の長手方向他端部(ヒンジ軸372とは反対側の部分)は弁開放ばね376によって下方に押されており、インク抜き孔326が開放されている。このため、インク抜き孔326へ流れてきたインクはノズル部材350に集められる。このように集められたインクは、ノズル部材350のインク排出孔352から滴下(落下)してメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。
【0066】
なお、排インク流路室318の底面には、インク抜き孔326の近傍に形成されたインク排出孔に向かって下る勾配が存在する。このため、インクトレイ130から排出されたインクは、この排インク流路室318を伝ってインク排出孔から滴下してメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。インク排出孔の筒状の先端部、及びノズル部材350のインク排出孔352の筒状の先端部は、竹槍状にカットされておりインク切れを向上させている。
【0067】
ミストファン202とプラテンファン204が駆動(回転)している場合は、2ヶ所のミストファン吸気室312の内部及び1ヶ所のプラテンファン吸気室314の内部の圧力(内圧)と、外部(排出弁370よりもノズル部材350の側の部分)の圧力(外圧)との圧力差(内圧は外圧よりも低い)によって、排出弁370の長手方向他端部(ヒンジ軸372とは反対側の部分)は弁開放ばね376の付勢力に打ち勝って下方に押されないので、排出弁370がインク抜き孔326を閉じている。このため、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314は気密に分離されており(流体的に独立しており)それぞれの機能を発揮する空間となっている。
【0068】
以上説明したように、ファンユニット200によれば、インク抜き孔326は、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314の内部の圧力(内圧)と外部の圧力(外圧)との圧力差によって排出弁370が動いてインク抜き孔326を開閉するので、インク抜き孔326を開閉させる部品・部材としては排出弁370や弁開放ばね376等以外は不要である。また、ミストファン202とプラテンファン204ファンが駆動中においては上記の内圧と外圧の圧力差によってインク抜き孔326が閉じたままとなるので、外部の気体を吸引する吸引効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】正面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】背面から見た図1のプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図3】プリンタの内部を示す斜視図である。
【図4】プラテンとその周辺部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】ファンが停止しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【図6】ファンが駆動(回転)しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【図7】外装カバー等を取り外したプリンタを示す斜視図である。
【図8】図7の状態からプラテン等も取り外したプリンタを示す斜視図である。
【図9】ファンユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図10】ボトムケースを示す上面図である。
【図11】ボトムケースを上から示す斜視図である。
【図12】ボトムケースを下から示す斜視図である。
【図13】ファンベースを下(裏側)から見た底面図である。
【図14】インクトレイを拡大して示す斜視図である。
【図15】ノズル部材を上から示す斜視図である。
【図16】ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の裏側の部分を示す斜視図であり、ノズル部材を取り外している。
【図17】ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の周辺部を拡大して示す斜視図である。
【図18】排出弁を下から示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
100,200 ファンユニット
102 吸気ダクト
102a 吸引口
104 排気ダクト
104a 排気口
108 ファン
112a 弁
112b ばね
114 開閉部
202 ミストファン
204 プラテンファン
312 ミストファン吸気室
314 プラテンファン吸気室
316 排気室
318 排インク流路室
326 インク抜き孔
370 排出弁
376 弁開放ばね
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体を通過させて排出するファンユニット、及びこのファンユニットが組み込まれた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コンピュータやワークステーションの出力装置として、所定の搬送方向に搬送される記録紙などの記録媒体にインクを吐出して画像を形成するインクジェット方式の画像形成装置が知られている。このインクジェット方式の画像形成装置は、通常、インクを吐出する複数のインク吐出孔が形成された印字ヘッドや、この印字ヘッドを搭載して所定の主走査方向に走査する(往復動する)キャリッジなどを備えている。また、記録媒体の搬送方向に直交する方向(記録媒体の幅方向)に長く延びた印字ヘッドを備え、この印字ヘッドを印字中は固定しておくタイプのインクジェット方式の画像形成装置も知られている。
【0003】
印字ヘッドを搭載したキャリッジを走査するインクジェット方式の画像形成装置を用いて記録媒体に画像を形成する際は、搬送中の記録媒体を一時的に停止させ、キャリッジを上記の主走査方向に往復動させながら、画像情報を担持した画像信号に基づいてインク吐出孔からインクを吐出し、記録媒体のうちインク吐出孔に向き合う画像形成領域に位置する部分に1バンド分の画像を形成する。その後、記録媒体を1バンド分の幅だけ搬送して停止させ、再び、キャリッジを上記の主走査方向に往復移動させながら、画像信号に基づいてインク吐出孔からインクを吐出し、記録媒体のうち画像形成領域に新たに位置する部分に画像を形成する。このような動作を繰り返すことにより記録媒体の全体に画像を形成する。
【0004】
上記したインクジェット方式の画像形成装置では、液体のインク(インク滴)を記録媒体に吐出することによって画像を形成している。このため、印字ヘッドからインクを吐出する際にインク滴の周りに細かい霧状のインク(インクミスト)が発生する。また、記録媒体にインク滴が着弾したときにインク滴の全てが記録媒体に瞬時に吸着されるわけではなく、インク滴の一部が着弾の衝撃などに起因して記録媒体の表面で跳ね返って霧状に飛散してインクミストが発生することもある。
【0005】
発生したインクミストは、キャリッジが移動するに伴ってキャリッジの移動方向後方に発生する負圧によって画像形成装置の内部で巻き上げられる。この巻き上げられたインクミストは、画像形成装置の内部の部品や部材に付着する。付着したインクミストは、カバーを開けて内部の部品や部材に触れたユーザの手を汚すことがある。また、キャリッジの摺動部やキャリッジの位置決めをするエンコーダやセンサにインクミストが付着した場合などは装置の誤動作を引き起こす可能性もある。
【0006】
上記のようなトラブルを防止するために、装置内部の空気を外部に排出するインクミスト吸引用のファンとダクトを組み合わせたファンユニットが使用されることが多い。このファンユニットによって画像形成装置の内部の空気がファンによって吸引されてダクトを通って排出される。
【0007】
一方、インクミスト吸引用のファン以外にも、インク吐出孔に向き合う画像形成領域の平面(プラテン)に記録媒体を吸着させるプラテンファンなど、画像形成装置の内部の空気を吸引するファンがある。これらのファンユニットにも、インクミスト吸引用ファンと同様に、画像形成装置の内部の空気はファンに吸引されて所定の経路を通って排出される。
【0008】
上記したファンユニットには、画像形成装置の内部で発生したインクミストが装置内部の空気と共に吸い込まれて、このインクミストが液状化した液状化ミストが溜まる。この液状化ミストをインク回収部に集めるためには、液状化ミストが通るインク流路を設置してインク回収部に液状化ミストを案内する構造が必要となる。このような構造にした場合、ファンユニットのダクトに開口を形成し、この開口をインク流路につなぐ必要がある。しかし、この開口はダクトに形成されているので、不必要なエアリーク(空気漏れ)を引き起こしてファンユニットの空気吸引効率を著しく低下させてしまう。この低下を防止するためには、ファンユニットからインク回収部までを流体的に閉じた状態(気密状態)にすればよい。しかし、このような構造にする場合、インク回収部の大型化、ひいては画像形成装置の大型化に至ってしまう。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記事情に鑑み、気体を吸引する吸引効率を向上させたファンユニット及びこのファンユニットが組み込まれた画像形成装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するための本発明のファンユニットは、気体が通過するダクトと、このダクトに気体を通過させるファンとを備え、該ファンを駆動させることにより前記ダクトを気体が通過するファンユニットにおいて、
(1)ダクト内部の圧力とダクト外部の圧力との圧力差によって開閉する、前記ダクトの一部を開閉する開閉部を備えたことを特徴とするものである。
【0011】
ここで、
(2)前記開閉部は、前記圧力差が所定の範囲内のときには開き、前記圧力差が前記所定の範囲外のときには閉じるものであってもよい。
【0012】
また、
(3)前記ダクトは、
(3―1)その外部の気体が吸い込まれる吸気ダクトと、
(3―2)その内部の気体が排出される排気ダクトとを有し、
(3―3)前記吸気ダクトと前記排気ダクトは連通したものであり、
(4)前記ファンは、前記連通した部分に配置されたものであってもよい。
【0013】
さらに、
(5)前記吸気ダクトは、前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となって外部の気体が吸い込まれるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
(6)該開閉部は、前記ファンの駆動中は閉じていてもよい。
【0014】
さらにまた、
(7)前記排気ダクトは、前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となってその内部の気体が排出されるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
(8)該開閉部は、前記ファンの駆動中は閉じていてもよい。
【0015】
また、上記目的を達成するための本発明の画像形成装置は、
(9)上記したファンユニットを、インクミストを回収するファンユニットとして備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0016】
本発明のファンユニットによれば、開閉部は、ダクト内部の圧力(内圧)とダクト外部の圧力(外圧)との圧力差によって開閉するので、開閉部を開閉させる部品・部材は不要である。また、ファンが駆動中では内圧と外圧の圧力差によって開閉部が閉じたままとなるように設定することにより、外部の気体を吸引する吸引効率が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明は、印字ヘッドから記録媒体にインクを吐出して画像を形成するプリンタに実現された。
【実施例1】
【0018】
図1と図2を参照して、本発明の画像形成装置の一例であるカラープリンタ(以下、プリンタという)の概略構成を説明する。
【0019】
図1は、正面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。図2は、背面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【0020】
プリンタ10は、このプリンタ10を操作するための操作部12を備えており、この操作部12に配置された各種のスイッチ等により、オンライン/オフライン、コマンドなどが指示される。ロ−ル紙P(記録媒体の一例である)はその一端から矢印B方向に引き出されて、この引き出された部分(引出部分)Phにプリンタ10の内部でカラ−画像が印字されて、記録紙排紙口14から矢印A方向に排出される。なお、プリンタ10の幅方向一端部には大容量のインクタンクユニット16が配置されている。また、カバー18を開くことによりプリンタ10の内部を見ることができる。
【0021】
ロ−ル紙Pは円筒状になっており、ロ−ル紙Pを所定位置に保持する際には、ロ−ル紙Pの内部空間に棒状のスプール軸82が差し込まれる。スプール軸82の長手方向一端部は受け台90に、長手方向他端部は受け台92に回転自在に固定されている。なお、ロ−ル紙Pの長手方向両端は移動しないようにサイド規制板84で規制されている。
【0022】
プリンタ10の背面側には、ロ−ル紙Pが挿入される記録紙挿入口20が形成されている。記録紙挿入口20には、プリンタ10の内部にロ−ル紙Pなどの記録紙を案内する給紙ガイド22が取り付けられている。
【0023】
図3と図4を参照して、記録紙の搬送経路と印字(画像形成)工程などを説明する。
【0024】
図3は、プリンタの内部を示す斜視図である。図4は、プラテンとその周辺部分を拡大して示す斜視図である。これらの図では、図1と図2に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0025】
プリンタ10では、シ−ト状の記録紙と、ロ−ル状に巻かれた記録紙(ロ−ル紙P)に印字できる。ここでは、本体背面側の記録紙挿入口20(図2参照)から挿入されたロ−ル紙Pの搬送経路を説明する。
【0026】
ロ−ル紙Pを長手方向一端から引き出して、この引き出した引出部分Phを矢印B方向(図2参照)から記録紙挿入口20に挿入する。挿入されたロ−ル紙Pの引出部分Phは給紙ガイド22に案内されて、駆動ローラ24と、ピンチロ−ラア−ム26に回転自在に固定されたピンチロ−ラ28に狭持されながら、プラテン30の印字部30a(画像形成領域)に搬送される。印字部30aには、多数の吸引孔30bが形成されており、引出部分Phが印字部30aを搬送される際は、印字部30aの下方から後述の吸引ファンによって、印字部30aの上方を通過中の引出部分Phを、吸引孔30bを通して吸引し、印字部30aの上面から引出部分Phが浮かないようにする。その後、引出部分Phは駆動ローラ24とピンチロ−ラ28に狭持されながら、さらに搬送されて本体前面側の記録紙排紙口14(図1参照)から排出される。
【0027】
プリンタ10は、矢印C方向(主走査方向)に往復動するキャリッジ40を備えている。キャリッジ40はヘッドホルダ42を備えており、このヘッドホルダ42には、印字ヘッド44が着脱自在に装着される。印字ヘッド44には、インクタンクユニット46(ブラック、シアン、マゼンタ、イエロ−、淡シアン、淡マゼンタの6色搭載)からインク供給チュ−ブ(インク導管)48を経由してインクが供給される。
【0028】
キャリッジ40は、図3に示すように、キャリッジ駆動モ−タ50の回転軸に掛設されたベルト52に固定されており、このベルト52は、キャリッジ駆動モ−タ50の正逆回転によって矢印C方向に往復する。ベルト52が矢印C方向に往復することによりキャリッジ40も2本の案内レ−ル54に案内されて矢印C方向に往復動する。
【0029】
プリンタ10の本体(装置本体)におけるキャリッジ40の位置を検出するために、キャリッジが走査する(往復動する)範囲の全域にわたって、リニアエンコーダスケール56が配置されている。このリニアエンコーダスケール56は、光学または磁気を利用したセンサによってキャリッジ40の位置を検出するためのものである。キャリッジ40には、リニアエンコーダスケール56を光学的(又は磁気的)に読むスケール読取器(図示せず)が搭載されている。このスケール読取器でリニアエンコーダスケール56を読むことによりキャリッジ40の位置が検出される。なお、リニアエンコーダスケール56とスケール読取器は周知の構造である。
【0030】
ロ−ル紙Pは、矢印C方向に直交する方向(ロ−ル紙Pの搬送方向)に断続的に搬送される。ロ−ル紙Pの引出部分Phに画像を形成するときは、ロ−ル紙Pを一時停止させておき、キャリッジ40を矢印C方向に往復動させながら、引出部分Phのうち画像形成領域(印字部30aに相当する領域)に位置する部分に、印字ヘッド44からインクを吐出する。その後、所定長さだけロ−ル紙Pを搬送して画像形成領域に位置する新たな部分に次のバンド分の画像を形成する。この動作をロ−ル紙Pの全長に亘って繰り返す。これによりロ−ル紙Pにカラ−画像が形成され、画像の形成されたロ−ル紙Pは駆動ローラ24とピンチロ−ラ28とに挟持されて搬送されながら記録紙排紙口14(図1参照)から排出される。
【0031】
プリンタ10では、印字ヘッド44からインクを吐出する際にインク滴の周りに細かい霧状のインク(インクミスト)が発生する。また、記録媒体にインク滴が着弾したときにインク滴の全てが記録媒体に瞬時に吸着されるわけではなく、インク滴の一部が着弾の衝撃などに起因して記録媒体の表面で跳ね返って霧状に飛散してインクミストが発生することもある。このようにして発生したインクミストを除去する(取り除く)ために、プリンタ10には、プリンタ10の内部空間の空気を吸引して外部に排出するファンユニットが組み込まれている。
【0032】
図5と図6を参照して、本発明のファンユニットの原理を説明する。
【0033】
図5は、ファンが停止しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。図6は、ファンが駆動(回転)しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【0034】
後述するファンユニットの原理を示すファンユニット100は、その外部の空気(気体の一例である)がインクミストと共に吸い込まれる吸気ダクト102と、その内部の空気が排出される排気ダクト104と、吸気ダクト102と排気ダクト104を連通させる連通部分106とを有する。連通部分106には、吸気ダクト102と排気ダクト104に空気を通過させるファン108が配置されている。ここでは、吸気ダクト102と排気ダクト104は略円筒形状のものとする。
【0035】
吸気ダクト102の長手方向一端部(図では、上の部分)には、外部の空気が吸引される吸引口102aが形成されており、長手方向他端部(図では、下の部分)には開口102bが形成されている。また、吸気ダクト102には、開口102b(吸気ダクト102の一部)を開閉する開閉部112が取り付けられている。一方、排気ダクト104の長手方向一端部(図では、上の部分)には、この排気ダクト104の内部の空気が排出される排気口104aが形成されており、長手方向他端部(図では、下の部分)には開口104bが形成されている。また、排気ダクト104には、開口104b(排気ダクト104の一部)を開閉する開閉部114が取り付けられている。連通部分106は、吸気ダクト102の上半分と排気ダクト104の上半分を連通するように配置されている。
【0036】
吸気ダクト102の開口102bを開閉する開閉部112は、弁112aとばね112bから構成された簡易な構造のものである。弁112aは、吸気ダクト102の外側(外部)から開口102bを開閉自在に塞ぐように配置されている。ばね112bの一端は、吸気ダクト102の内壁面から突出した突出板102cに付き当てられて固定されている。ばね112bの他端の内側には、弁112aの凸部が差し込まれて固定されている。弁112aに外部から力が作用しないときは、図5に示すように、弁112aはばね112bの付勢力(ばね力)によって開口102bを塞いでおらず開いている。すなわち、ばね112bの付勢力は、弁112aに外部から力が作用しないときは、弁112aが開口102bを開くように設定されている。一方、後述するように、ファン108が回転(駆動)して吸気ダクト102の内部の圧力が外部の圧力よりも低くなったときは、吸気ダクト102の外部の圧力と内部の圧力との圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ(閉じる)。このように、吸気ダクト102の外部と内部の圧力差によって開閉部112は開閉するように構成されている。
【0037】
排気ダクト104の開口104bを開閉する開閉部114は、弁114aとばね114bから構成された簡易な構造のものである。弁114aは、排気ダクト104の内側(内部)から開口104bを開閉自在に塞ぐように配置されている。ばね114bの一端は、吸気ダクト102の外部の壁面から突出した突出板104cに付き当てられて固定されている。ばね114bの他端の内側には、弁114aの凸部が差し込まれて固定されている。弁114aに外部から力が作用しないときは、図5に示すように、弁114aはばね114bの付勢力(ばね力)によって開口104bを塞いでおらず開いている。すなわち、ばね114bの付勢力は、弁114aに外部から力が作用しないときは、弁114aが開口104bを開くように設定されている。一方、後述するように、ファン108が回転(駆動)して排気ダクト104の内部の圧力が外部の圧力よりも高くなったときは、排気ダクト104の外部の圧力と内部の圧力との圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ(閉じる)。このように、排気ダクト104の外部と内部の圧力差によって開閉部114は開閉するように構成されている。
【0038】
吸気ダクト102では、ファン108が停止している場合(すなわち、吸気ダクト102の外部と内部の圧力差が所定範囲内の場合であり、この圧力差がほぼゼロに近い場合)、図5に示すように、ばね112bの付勢力によって弁112aが外側(図5では下)に押されているので、開口102bは塞がれておらずに開いている。このため、吸気ダクト102の内部(主に、内壁面)に存在する液状化インクMは、内壁面を伝って開口102bから排出される。
【0039】
同様に、排気ダクト104では、ファン108が停止している場合(すなわち、排気ダクト104の外部と内部の圧力差が所定範囲内の場合であり、この圧力差がほぼゼロに近い場合)、図5に示すように、ばね114bの付勢力によって弁114aが内側(図5では上)に押されているので、開口104bは塞がれておらずに開いている。このため、排気ダクト104の内部(主に、内壁面)に存在する液状化インクMは、内壁面を伝って開口104bから排出される。
【0040】
一方、ファン108が回転(駆動)している場合、図6に示すように、吸気ダクト102の外部の空気が吸引口102aから吸い込まれて吸気ダクト102を矢印D方向に通過して連通部分106に入り込み、続いて、この空気は連通部分106を通過して排気ダクト104に入り込んで排気ダクト104を矢印E方向に通過して排気口104aから(外部に)排出される。この場合、吸気ダクト102では、その内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となるので(負圧となるので)、図6に示すように、この圧力差がばね112bの付勢力に打ち勝って弁112aが開口102bを塞ぐ。また、排気ダクト104では、その内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となるので(正圧となるので)、図6に示すように、この圧力差がばね114bの付勢力に打ち勝って弁114aが開口104bを塞ぐ。このように、ファン108が回転している場合は、開口102bが弁112aによって塞がれると共に開口104bが弁114aによって塞がれるので、空気の出入りは吸引口102aと排気口104aからだけとなり、吸気ダクト102及び排気ダクト104の他の部分からは空気の出入りが無いので吸引効率は向上する。
【0041】
上記したプリンタ10にファンユニット100を適用した例について、図7から図18までを参照して説明する。
【0042】
先ず、図7と図8を参照して、プリンタ10の基本的構造体を説明する。
【0043】
図7は、外装カバー等を取り外したプリンタを示す斜視図である。図8は、図7の状態からプラテン等も取り外したプリンタを示す斜視図である。
【0044】
プリンタ10の基本的構造体は、所定間隔離れた左側板120と右側板122、これら左側板120と右側板122に架け渡された2本のビーム124,126、及びプラテン30を支持するプラテン台128から構成される。プラテン台128は、左側板120と右側板122に固定されている。
【0045】
左側板120と右側板122と2本のビーム124,126によって直方体状の空間が形成されており、この空間にファンユニット200が収納されている。ファンユニット200は上記のファンユニット100を適用したものであり、2本のビーム124,126にビス止めされている。このように左側板120と右側板122の間に渡って固定されたファンユニット200は構造体の一部を構成しており、プリンタ10の本体の捩れ防止を強化する役目も果たしている。プラテン台128の下方には、後述する2つのミストファン202,202とプラテンファン204が配置されている。
【0046】
なお、右側板122の外側には、インクタンク16(図1参照)等が搭載されるインクトレイ130が配置されており、このインクトレイ130は2本のビーム124,126にビス止めされている。また、ファンユニット200のしたには、インク回収容器(図示せず)が格納されたフレーム132が配置されており、このフレーム132は2本のビーム124,126にビス止めされている。
【0047】
図9から図14までを参照してファンユニット200について説明する。
【0048】
図9は、ファンユニットの概略構成を示す斜視図である。図10は、ボトムケースを示す上面図である。図11は、ボトムケースを上から示す斜視図である。図12は、ボトムケースを下から示す斜視図である。図13は、ファンベースを下(裏側)から見た底面図である。図14は、インクトレイを拡大して示す斜視図である。
【0049】
ファンユニット200は、上部が開口した直方体状のボトムケース300と、このボトムケース300の開口を塞ぎ、且つ、この開口より一回り小さい直方体状のファンベース400を備えている。ファンベ−ス400はボトムケース300の上に配置されており、ボトムケース300の開口を塞ぐ蓋の機能も有する。ファンベース400はボトムケース300の開口よりも一回り小さいので、ボトムケース300の上方に位置するファンベース400に付着したインク(インクミストが液状化したもの)の全てはボトムケース300に案内される(流される)。ファンベース400の上面には、シロッコファンである2つのミストファン202,202、シロッコファンであるプラテンファン204がファン固定板206によって固定されている。
【0050】
ボトムケース300はプラスチックから作製されている。ボトムケース300の内部は、後述するように幾つかの内壁や仕切りリブ等によって複数の部屋に別けられている。ボトムケース300の内部には、図10や図11等に示すように、この内部の中央部分に形成されて2つの台形をつないだような形状の仕切りリブ302と、長方形状の第1内壁304と、仕切りリブ302を挟んで第1内壁304とは反対側に形成された第2内壁306と、この第2内壁306から僅かに離れて第2内壁306に並行に延びる第3内壁308とが成されている。ボトムケース300の内部には、本体外壁301、仕切りリブ302、長方形状の第1内壁304、及び第2内壁306に囲まれた2ヶ所のミストファン吸気室312が形成されている。また、ボトムケース300の内部には、仕切りリブ302及び第1内壁304に囲まれた1ヶ所のプラテンファン吸気室314が形成されている。さらに、ボトムケース300の内部には、第1内壁304に囲まれた排気室316が形成されている。さらに、ボトムケース300の内部には、第2内壁306と第3内壁308に囲まれた1ヶ所の排インク流路室318が形成されている。このようにボトムケース300の内部は複数の部屋に仕切られている。
【0051】
一方、ファンベース400もプラスチックから作製されている。ファンベース400の内部には、ボトムケース300の内部に形成された複数の部屋を気密にするために、図13に示すように、ボトムケース300の仕切りリブ302、第1,2,3内壁304,306,308が嵌まり込む凹部402が形成されている。ボトムケース300とファンベース400を重ねて結合することにより、ボトムケース300の仕切りリブ302、第1,2,3内壁304,306,308がファンベース400の凹部402に嵌まり込んでミストファン吸気室312、プラテンファン吸気室314、排気室316、及び排インク流路室318の気密性が保持される。ボトムケース300とファンベース400を重ねて結合するに際しては、ボトムケース300のセルフタップビス孔320(8ヶ所)とファンベース400のビス孔404(8ヶ所)でセルフタップビスによって固定される。また、ボトムケース300の10個のビス孔330とファンベース400の10個のビス孔440にビスを貫通させ、このビスでビーム124,126に固定する。これにより、上記のミストファン吸気室312、プラテンファン吸気室314、排気室316、及び排インク流路室318が形成される。
【0052】
図9に示す2つのミストファン202,202それぞれの吸引側と一致する部分にはミストファン吸気孔406,406が形成されており、ミストファン吸気室312の内部の空気が2つのミストファン202,202によって吸引される。また、図9に示すプラテンファン204の吸引側と一致する部分にはプラテンファン吸気孔408が形成されており、プラテンファン吸気室314の内部の空気がプラテンファン204によって吸引される。
【0053】
ミストファン吸気室312には、以下の(1)〜(3)の経路でインクミストが吸引される。(1)ファンユニット200の長手方向両端部(左右の部分)に配置されて、プリンタ10の記録部を含む装置内空間に連通するダクト208(図9に示す)からインクミストを吸引する。(2)プラテンベース128に接続された煙突210(図8参照)を介してプラテン30の長手方向一端部の孔30c(図7参照)からインクミストを吸引する。(3)予備吐受け123(図8参照)の煙突123aを介して孔123bからインクミストを吸引する。特にこの部分はヘッドエージング時に発生するインクミストを効率よく吸引できる。
【0054】
プラテンファン吸気室314は、2個のプラテンベース128それぞれの煙突212,212(図8参照)を介して、プラテンベース128とプラテン30(図3参照)によって閉じられる(気密に形成される)プラテン吸引用の負圧室に連通している。プラテン30では、多数の吸引孔30b(図7参照)を通して空気を吸引することによりプラテン30の印字部30a(上面)から記録媒体が浮くことを防止している。
【0055】
ファンベース400のうち、図9に示す2つのミストファン202,202の排気側と一致する部分には、排気が通るミストファン排気孔410が形成されている。また、ファンベース400のうち、図9に示すプラテンファン204の排気側と一致する部分には、排気が通るプラテンファン排気孔412が形成されている。ミストファン排気孔410及びプラテンファン排気孔412は、ファンユニット200の長手方向のほぼ全域に延びるひとつの排気室316に連通している。ミストファン排気孔410及びプラテンファン排気孔412を通過した排気は、ボトムケース300の底面に形成されたの2ヶ所の排気口322から、メンテナンスカートリッジ(図示せず)に導かれフィルタ(図示せず)を介して装置外へと排出される。なお、ファンベース400の長手方向一端部には、インクミストを吸引するためのミスト吸引孔414と、プラテン30の長手方向一端部の孔30cに連通した吸引孔416とが形成されており、ファンベース400の長手方向他端部には、インクミストを吸引するためのミスト吸引孔418と、予備吐出の際に発生するインクミストを吸引するための予備吐吸引孔420とが形成されている。また、ファンベース400の内部には、インクミストの液状化を促進するリブ422が多数形成されている。さらに、プラテン30の多数の吸引孔30bから空気を吸引するための2つのプラテン吸引孔424が形成されている。
【0056】
インクトレイ130には、図11や図14に示すように、このインクトレイ130が受けたインクを排出するインク排出部132が形成されており、インクトレイの130の底面には、インク排出部132に向かって下がる傾斜が形成されている(勾配が付けられている)。インクトレイ130が受けたインクは、傾斜した底面を流れてインク排出部132から排出される。
【0057】
ボトムケース300とファンベース400で形成された排インク流路室318には、図11に示すように、インクトレイ130のインク排出部132が挿入される。インクトレイ130では、回復系の排インク、インクタンクユニット46(図3参照)のオーバーフローインク、及び予備吐受け123(図8参照)に吐出されてインク案内部123c(図8参照)によって案内される排インクが受けられる。インクトレイ130で受けられたインクは、インク排出部132を経由して排インク流路室318に受け入れられる。なお、インク排出部132が挿入される排インク流路室318の挿入口には、インクが挿入口から外部に漏れることを防止する2つのバッファ凹部324が形成されている。
【0058】
ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314の底面には、ボトムケース300の略中央に形成されたインク抜き孔326に向かって下がる勾配が形成されている。このため、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314に溜まったインクはインク抜き孔326に流れ込む。ボトムケース300の底面のうちインク抜き孔326の裏側の部分には、図12に示すように、ノズル部材350が取り付けられている。ノズル部材350にはインク排出孔352が形成されており、ボトムケース300に集まったインクはこのインク排出孔352から排出されてメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。ボトムケース300の底面とノズル部材350の間には、本発明のファンユニットの開閉部の一例が配置されている。この開閉部の一例を図15から図18までを参照して説明する。
【0059】
図15は、ノズル部材を上から示す斜視図である。図16は、ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の裏側の部分を示す斜視図であり、ノズル部材を取り外している。図17は、ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の周辺部を拡大して示す斜視図である。図18は、排出弁を下から示す斜視図である。これらの図では、図9から図14までに示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号が付されている。
【0060】
ノズル部材350は直方体状のものであり、その長手方向両端部にはビス孔354,356が形成されている。これらのビス孔354,356はボトムケース300のビス孔344,346に重ねられてビス(図示せず)が通される。これによりノズル部材350がボトムケース300にネジ止めされる。インク抜き孔326の下には、長方形状で平板状の排出弁370が取り付けられている。この排出弁370がインク抜き孔326を開閉する。排出弁370は、図6に示す弁112aに相当する。
【0061】
排出弁370の長手方向一端部には、図16や図18に示すように、一対のヒンジ軸372が形成されている。このヒンジ軸372は、排出弁370の幅方向外側に飛び出たものである。この一対のヒンジ軸372の上半分が嵌め込まれる軸受け溝348aがボトムケース300の底面の枠348に形成されている。なお、枠348はノズル部材350よりも一回り大きいサイズのものであり、ノズル部材350をボトムケース300に固定するためのものである。一対のヒンジ軸372の下半分は、ノズル部材350の軸受け溝358に嵌め込まれる。一対のヒンジ軸372を軸受け溝348aと軸受け溝358に嵌め込んで、ノズル部材350をボトムケース300にネジ止めすることにより、排出弁370がインク抜き孔326を自在に開閉できるように取り付けられることとなる。
【0062】
排出弁370のうちヒンジ軸372が形成された部分とは反対側の長手方向他端部の上面(インク抜き孔326の側の面であり、ボトムケース300の内部に向き合う面である。)には、円柱状のガイド軸374が形成されている。このガイド軸374には弁開放ばね376が差し込まれている。このため、弁開放ばね376の中にガイド軸374が配置されていることとなり、図17では、ガイド軸374が見え難い。弁開放ばね376は、図6に示すばね112bに相当する。弁開放ばね376の一端は排出弁370の上面に接触しており、他端は、ボトムケース300の壁349に接触している。この壁349は、ボトムケース300の内部のうち排出弁370の上方部分に位置している。弁開放ばね376は、インク抜き孔326を開くように排出弁370の他端部を下に付勢している。なお、排出弁370のガイド軸374側の長手方向他端部の下面には、2つの凸部378が形成されている。この凸部378は、排出弁370の長手方向他端部が下方に押されてインク抜き孔326が開放されているときに、排出弁370とノズル部材350とが適度な隙間を保つために設けられている。
【0063】
上記した排出弁370、弁開放ばね376、ミストファン202、プラテンファン204、ミストファン吸気室312(本発明にいうダクトの一例であり、図6に示す吸気ダクト102に相当する)、及びプラテンファン吸気室314(本発明にいうダクトの一例であり、図6に示す吸気ダクト102に相当する)によって本発明のファンユニットの一例が構成されている。
【0064】
排出弁370の動きについて説明する。
【0065】
ミストファン202とプラテンファン204が駆動(回転)していない場合は、プラテンファン吸気室314の内部の圧力と外部(排出弁370よりもノズル部材350の側の部分)の圧力にはほとんど差が無く、この圧力差は所定範囲内であるので、排出弁370の長手方向他端部(ヒンジ軸372とは反対側の部分)は弁開放ばね376によって下方に押されており、インク抜き孔326が開放されている。このため、インク抜き孔326へ流れてきたインクはノズル部材350に集められる。このように集められたインクは、ノズル部材350のインク排出孔352から滴下(落下)してメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。
【0066】
なお、排インク流路室318の底面には、インク抜き孔326の近傍に形成されたインク排出孔に向かって下る勾配が存在する。このため、インクトレイ130から排出されたインクは、この排インク流路室318を伝ってインク排出孔から滴下してメンテナンスカートリッジ(図示せず)に回収される。インク排出孔の筒状の先端部、及びノズル部材350のインク排出孔352の筒状の先端部は、竹槍状にカットされておりインク切れを向上させている。
【0067】
ミストファン202とプラテンファン204が駆動(回転)している場合は、2ヶ所のミストファン吸気室312の内部及び1ヶ所のプラテンファン吸気室314の内部の圧力(内圧)と、外部(排出弁370よりもノズル部材350の側の部分)の圧力(外圧)との圧力差(内圧は外圧よりも低い)によって、排出弁370の長手方向他端部(ヒンジ軸372とは反対側の部分)は弁開放ばね376の付勢力に打ち勝って下方に押されないので、排出弁370がインク抜き孔326を閉じている。このため、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314は気密に分離されており(流体的に独立しており)それぞれの機能を発揮する空間となっている。
【0068】
以上説明したように、ファンユニット200によれば、インク抜き孔326は、ミストファン吸気室312とプラテンファン吸気室314の内部の圧力(内圧)と外部の圧力(外圧)との圧力差によって排出弁370が動いてインク抜き孔326を開閉するので、インク抜き孔326を開閉させる部品・部材としては排出弁370や弁開放ばね376等以外は不要である。また、ミストファン202とプラテンファン204ファンが駆動中においては上記の内圧と外圧の圧力差によってインク抜き孔326が閉じたままとなるので、外部の気体を吸引する吸引効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】正面から見たプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図2】背面から見た図1のプリンタの概略構成を示す斜視図である。
【図3】プリンタの内部を示す斜視図である。
【図4】プラテンとその周辺部分を拡大して示す斜視図である。
【図5】ファンが停止しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【図6】ファンが駆動(回転)しているときのファンユニットを模式的に示す説明図である。
【図7】外装カバー等を取り外したプリンタを示す斜視図である。
【図8】図7の状態からプラテン等も取り外したプリンタを示す斜視図である。
【図9】ファンユニットの概略構成を示す斜視図である。
【図10】ボトムケースを示す上面図である。
【図11】ボトムケースを上から示す斜視図である。
【図12】ボトムケースを下から示す斜視図である。
【図13】ファンベースを下(裏側)から見た底面図である。
【図14】インクトレイを拡大して示す斜視図である。
【図15】ノズル部材を上から示す斜視図である。
【図16】ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の裏側の部分を示す斜視図であり、ノズル部材を取り外している。
【図17】ボトムケースの底面のうちインク抜き孔の周辺部を拡大して示す斜視図である。
【図18】排出弁を下から示す斜視図である。
【符号の説明】
【0070】
100,200 ファンユニット
102 吸気ダクト
102a 吸引口
104 排気ダクト
104a 排気口
108 ファン
112a 弁
112b ばね
114 開閉部
202 ミストファン
204 プラテンファン
312 ミストファン吸気室
314 プラテンファン吸気室
316 排気室
318 排インク流路室
326 インク抜き孔
370 排出弁
376 弁開放ばね
【特許請求の範囲】
【請求項1】
気体が通過するダクトと、このダクトに気体を通過させるファンとを備え、該ファンを駆動させることにより前記ダクトを気体が通過するファンユニットにおいて、
ダクト内部の圧力とダクト外部の圧力との圧力差によって開閉する、前記ダクトの一部を開閉する開閉部を備えたことを特徴とするファンユニット。
【請求項2】
前記開閉部は、
前記圧力差が所定の範囲内のときには開き、前記圧力差が前記所定の範囲外のときには閉じるものであることを特徴とする請求項1に記載のファンユニット。
【請求項3】
前記ダクトは、
その外部の気体が吸い込まれる吸気ダクトと、
その内部の気体が排出される排気ダクトとを有し、
前記吸気ダクトと前記排気ダクトは連通したものであり、
前記ファンは、
前記連通した部分に配置されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記吸気ダクトは、
前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となって外部の気体が吸い込まれるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
該開閉部は、
前記ファンの駆動中は閉じていることを特徴とする請求項3に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記排気ダクトは、
前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となってその内部の気体が排出されるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
該開閉部は、
前記ファンの駆動中は閉じていることを特徴とする請求項3又は4に記載のファンユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載のファンユニットを、インクミストを回収するファンユニットとして備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
気体が通過するダクトと、このダクトに気体を通過させるファンとを備え、該ファンを駆動させることにより前記ダクトを気体が通過するファンユニットにおいて、
ダクト内部の圧力とダクト外部の圧力との圧力差によって開閉する、前記ダクトの一部を開閉する開閉部を備えたことを特徴とするファンユニット。
【請求項2】
前記開閉部は、
前記圧力差が所定の範囲内のときには開き、前記圧力差が前記所定の範囲外のときには閉じるものであることを特徴とする請求項1に記載のファンユニット。
【請求項3】
前記ダクトは、
その外部の気体が吸い込まれる吸気ダクトと、
その内部の気体が排出される排気ダクトとを有し、
前記吸気ダクトと前記排気ダクトは連通したものであり、
前記ファンは、
前記連通した部分に配置されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のファンユニット。
【請求項4】
前記吸気ダクトは、
前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも低い圧力となって外部の気体が吸い込まれるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
該開閉部は、
前記ファンの駆動中は閉じていることを特徴とする請求項3に記載のファンユニット。
【請求項5】
前記排気ダクトは、
前記ファンの駆動によってその内部の圧力が外部の圧力よりも高い圧力となってその内部の気体が排出されるものであり、且つ、前記開閉部が取り付けられたものであり、
該開閉部は、
前記ファンの駆動中は閉じていることを特徴とする請求項3又は4に記載のファンユニット。
【請求項6】
請求項1から5までのうちのいずれか一項に記載のファンユニットを、インクミストを回収するファンユニットとして備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2006−95740(P2006−95740A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−281965(P2004−281965)
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年9月28日(2004.9.28)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】
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