説明

フィッシャー−トロプッシュ・ワックス組成物と輸送方法

本発明は、パラフィンワックスを輸送するための可搬形生成物と、この可搬形生成物を用いる輸送方法に関する。該可搬形生成物は、≧50重量%の水を含み、>5のpHと、20℃で測定した時に≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含み、この場合、該ワックス粒子は0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含む。本発明による可搬形生成物と輸送方法は、該ワックス粒子が小さ過ぎないこと及び小ワックス粒子の量が過剰でないことを保証することによって粒子間粘着と塊形成を回避しながら、可搬形生成物中に比較的高重量%のワックス粒子を収容することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(発明の分野)
本発明は、パラフィンワックスを遠隔地から、ワックスを完成製品にアップグレードすることができる第2地まで商業的に輸送するために有用な、方法及び物質に関する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
油田は、典型的に、遠隔場所に見出される。原油は、地中から出てくるときに、炭化水素化合物の混合物である。慣習的なタンカーの典型的な最高温度は、140°F(60℃)である。含ワックス原油は、特別装備のタンカーで約160°F(71℃)までの温度において輸送されなければならない。石油の脱油及び脱ワックス操作からのスラックスワックスも、特殊化学タンカー内で高温において溶融状態で輸送されなければならない。これらの特別装備タンカー又は特殊タンカーで輸送することができる、含ワックス原油及びスラックスワックスは、輸送温度よりも少なくとも10°F低い引火点を有することを通常必要とする。特別装備タンカー又は特殊タンカーでの輸送の温度よりも少なくとも10°F低い引火点を有する原油及びワックスの輸送は、航海中の過剰量の固体ワックス形成に対する保護手段を与えることになる。若干の固体ワックスは荷降ろし中に許容されうるが、過剰量の固体ワックス形成は、該固体ワックスを溶融するために長時間の、費用のかかる操作を必要とする。慣習的なタンカー、140°F以下の温度において物質を輸送するタンカーの使用は、これらのタンカーが有意に低い輸送費用を有するので、可能ならば何時でも、好ましい。
【0003】
同様に、原油をパイプラインで輸送する場合には、周囲条件近くでポンプ汲み出し可能である物質は、これらの物質が高温のパイプラインの必要性を回避するので、好ましい。同様な輸送についての考慮は、鉄道車両及びトラックでの含ワックス原油の輸送に関しても存在する。周囲条件又は周囲条件近くでポンプ汲み出し可能である物質は、有意に低い輸送費用のために、好ましい。
【0004】
原油と同様に、天然ガス及び石炭資源も、しばしば、遠隔地に存在する。天然ガス及び石炭資源を転化のために他の場所に輸送しようと試みるのではなく、遠隔地においてこれらの資源を合成ガスに転化してから、さらに高分子量の炭化水素に転化することが、しばしば、商業的により実現可能である。メタン又は石炭からの合成ガスをより高分子量の炭化水素に転化するために、フィッシャー−トロプッシュ合成を含めた、多くの方法が使用可能である。フィッシャー−トロプッシュ合成の生成物は、主に線状炭化水素であり、これらの生成物は、しばしば、高融点パラフィンワックスを包含する。フィッシャー−トロプッシュ生成物から、室温において固体であるC5+含有生成物流を単離することができる。この生成物流は、商業的に、「合成原油(syncrude)」と呼ばれる。
【0005】
天然ガス及び石炭資源が存在する遠隔地で資本費用が高い場合には、遠隔場所における処理設備の総額(amount)を制限することが望ましい。したがって、合成原油をアップグレーディングのために既存の商業的精油所に輸送して、完成した販売可能な製品を得ることが望ましい。
【0006】
含ワックス原油と、フィッシャー−トロプッシュ合成原油を含めたフィッシャー−トロプッシュ生成物とを、遠隔地から遠く離れた商業的精油所に輸送することが望ましいので、この輸送のための容認できるアプローチを開発する試みがなされている。
【0007】
米国特許第5,968,991号;第5,945,459号;第5,863,856号;第5,856,261号;及び第5,856,260号は、フィッシャー−トロプッシュ反応に有用な触媒と、これらの反応によって製造される生成物を開示している。これらの特許はさらに、フィッシャー−トロプッシュ反応装置の液体生成物を製造して、遠隔地から製油所地まで、多様な生成物へのさらなる化学反応とアップグレーディングのために輸送することができるか、又は精油所地で製造して、アップグレードすることができることを開示している。
【0008】
含ワックス・フィッシャー−トロプッシュ生成物を輸送するために、幾つかのアプローチが開発されている。米国特許第5,866,751号に開示されている、含ワックス・フィッシャー−トロプッシュ生成物を輸送するための1つのアプローチは、フィッシャー−トロプッシュ生成物からC20−C36ワックス炭化水素を単離することである。米国特許第5,866,751号は、C20−C36範囲内の長鎖非揮発性固体パラフィンワックス炭化水素を固体形で、遠隔地からローカル・サイトまで輸送することを開示している。しかし、固体の輸送は、費用のかかる成形、荷積み、及び荷降ろし施設を必要とするので、困難であり、費用がかかる。
【0009】
他のアプローチは、米国特許第5,292,989号に開示されているように、線状炭化水素の一部をイソ−パラフィンに転化するように部分的にアップグレードされているフィッシャー−トロプッシュ合成原油の輸送に重点を置いている。米国特許第5,292,989号は、ポンプ汲み出し可能な生成物を得るために、フィッシャー−トロプッシュ・ワックスを異性化して、直鎖パラフィンの一部を分枝鎖パラフィンに転化することを開示している。異性化は、周囲温度においてほぼ液体であり、そのため、より容易に輸送可能である合成原油を生じる。しかし、このアップグレーディングは、費用がかかり、遠隔地での操業が困難である施設の建設を必要とする可能性がある。
【0010】
米国特許第6,313,361号と第6,294,076号は、軽炭化水素液体中のフィッシャー−トロプッシュ・ワックスの混合物の輸送を開示している。米国特許第6,294,076号では、フィッシャー−トロプッシュ・ワックスを、微細なフレークに造粒して、次に、コロイドミルでナフサと混合する。開示によると、周囲温度でポンプ汲み出し可能な混合物を生じるために、該混合物は約1〜22重量%のフィッシャー−トロプッシュ・ワックス、好ましくは約8〜10重量%のフィッシャー−トロプッシュ・ワックスを含有することができる。しかし、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスから製造される、ワックスの軽炭化水素に対する比率は25重量%より大きいので、このアプローチは、遠隔場所からフィッシャー−トロプッシュ・ワックスの全てを輸送することができるとは限らない。米国特許第6,313,361号では、非合併固体ワックス粒子と軽液体パラフィン化合物とから、スラリーを形成する。開示によると、安定なスラリーを生じるために、該固体ワックス粒子が該スラリーの約5〜30容量%を構成する。
【0011】
したがって、ポンプ汲み出し可能な形でワックス炭化水素(waxy hydrocarbons)を輸送する効果的な方法が望ましい。これらの方法が、費用のかかるアップグレーディング施設を必要とせずに、輸送装置を侵食せずに、高温の輸送装置の使用を必要とせず、安全な蒸気圧による、ポンプ汲み出し可能な形でのワックス炭化水素の輸送を可能にすることが望ましい。さらに、これらの方法が、30重量%を超えるワックス炭化水素を含有する生成物の輸送を可能にすることが望ましい。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0012】
(発明の概要)
パラフィンワックスをワックス粒子に成形することによって、パラフィンワックスを効果的に輸送することができることが、発見されている。ワックス粒子に成形されたパラフィンワックスは、ワックス粒子と液体を含有する可搬形生成物(transportable product)として、輸送することができる。該ワックス粒子の総量が少なすぎず、小ワックス粒子の量が過剰でないことを保証することによって、可搬形生成物の安定性が維持される。
【0013】
1実施態様では、本発明は、可搬形(輸送可能な)生成物に関する。該可搬形生成物は、≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む。該ワックス粒子は、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含む。
【0014】
他の実施態様では、本発明は、ワックスの輸送方法に関する。該方法は、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子を形成することを含む。該ワックス粒子を、≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する。該可搬形生成物を輸送する。該ワックス粒子を該液体から分離する。
【0015】
さらに他の実施態様では、本発明は、可搬形フィッシャー−トロプッシュ由来生成物の製造方法に関する。該方法は、フィッシャー−トロプッシュ合成を行なって、実質的パラフィンワックス生成物を含む生成物流を得ることを含む。該実質的パラフィンワックスを該生成物流から単離する。実質的パラフィンワックスから、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子を形成する。該ワックス粒子を、≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する。
【0016】
他の実施態様では、本発明は、遠隔地における炭化水素資源を、販売可能な完成製品に転化するために先進地(developed site)に供給する生成物に転化する方法に関する。該方法は、該炭化水素資源を合成ガスに転化することを含む。該合成ガスの少なくとも一部を、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスによって転化して、パラフィンワックス生成物と水性流を得る。該ワックスを、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子に成形する。該水性流の少なくとも一部を処理して、その酸性含量を減じて、>5のpHを有する処理済み水性流を得る。該ワックス粒子を該処理済み水性流の少なくとも一部に加えて、液体90〜20重量%とワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する。該可搬形生成物を≦65℃の温度に維持する。該可搬形生成物を先進地に輸送する。該可搬形生成物を該先進地で荷降ろしする。ワックス粒子を該処理済み水性流から分離する。該ワックス粒子の少なくとも一部を、販売可能な完成製品に転化する。
【0017】
さらに他の実施態様では、本発明は、少なくとも1つの第1遠隔地と少なくとも1つの第2先進地を含めて、可搬形生成物を輸送する方法であって、可搬形生成物を先進地において受け取ることを含む方法に関する。可搬形生成物は、1つ又は複数の遠隔地で、パラフィンワックスから0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子に成形することを含む方法によって、製造される。該ワックス粒子を、≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に加えて、90〜20重量%の液体と、10〜80重量%のワックス粒子を含む可搬形生成物を形成する。該可搬形生成物を荷降ろしする。
【0018】
(発明の詳細な説明)
パラフィンワックスが、液体と、固体粒子に成形された該パラフィンワックスとを含む可搬形生成物として、効果的に輸送されうることが、発見されている。本発明の可搬形生成物と、パラフィンワックスの輸送方法においては、固体ワックス粒子が輸送液体中で非合併固体ワックス粒子として留まることが重要である。好ましくは、輸送液体は均質な液体である。本発明によると、可搬形生成物は、有利には、ワックス粒子10〜80重量%と液体90〜20重量%を含む。
【0019】
本発明による可搬形生成物とパラフィンワックスの輸送方法は、ワックス粒子が小さすぎず、小ワックス粒子の総量が過剰でないことを保証することによって、粒子間粘着と塊形成(clumping)を回避しながら、可搬形生成物中に比較的高重量%のワックス粒子を受け入れることができる。ワックス粒子が小さすぎず、小ワックス粒子の総量が過剰でないことを保証することによって、該可搬形生成物が比較的高重量%のワックス粒子を含有する場合さえも、粒子間粘着と塊形成が回避される。したがって、現在特許請求する発明は、比較的多量のパラフィンワックスの効果的かつ経済的な輸送を可能にする。
【0020】
パラフィンワックスは、如何なるパラフィンワックスでもよく、例えば、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックス、石油由来ワックス、スラックワックス、脱油スラックワックス、及びこれらの混合物を包含する。本発明によると、該パラフィンワックスはフィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来であることが好ましい。該ワックス粒子は、スフェア、セミスフェア、フラットディスク、ドーナッツ、円筒状押出物、多葉性押出物(multilobe extrudates)、及びこれらの組み合わせの形状であることができる。好ましくは、該ワックス粒子はスフェア又はセミスフェアである。
【0021】
該可搬形生成物の液体は、炭化水素液体、アルコール、水、又はこれらの混合物であることができる。該液体が混合物である場合に、好ましくは、該液体は均質な混合物である。該液体が炭化水素液体である場合に、該液体は、ナフサ、重油、留出物(distillate)、潤滑基油、及びこれらの混合物から成る群から選択された液体≧75重量%を含む。可搬形生成物に用いるために適した液体は、>50重量%の水を含む液体であることができる。可搬形生成物に用いるために適した液体は、>50重量%のアルコールを含む液体でもあることができる。ワックス粒子の限界サイズは、該可搬形生成物に用いる液体にある程度依存する。さらに、受容できる可搬形生成物を得るためには、用いる液体に依存して、蒸気圧、引火点、酸価及びpHをも制御する必要がありうる。
【0022】
好ましくは、本発明による可搬形生成物は、20℃において5週間本明細書に記載するように測定するときに合格安定性評価(passing stability rating)を有する。
【0023】
(定義)
次の用語とフレーズは、本明細書を通して用いられ、特に指定しない限り、下記意味を有する。
「先進地(developed site)」は、輸送された生成物を精錬して、販売可能な完成製品にする精油所地を意味する。
【0024】
「フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来(derived from a Fischer−Tropsch process)」又は「フィッシャー−トロプッシュ由来(Fischer−Tropsch derived)」なる用語は、該生成物、画分若しくはフィード(feed)がフィッシャー−トロプッシュ・プロセスから生じるか、又はある段階でフィッシャー−トロプッシュ・プロセスによって製造されることを意味する。
「石油由来(derived from petroleum)」又は「石油由来(petroleum derived)」なる用語は、該生成物、画分若しくはフィードが石油原油から生じることを意味する。スラックワックスは、本発明の可搬形生成物及び方法に用いることができる石油由来ワックスである。
「スラックワックス(slack wax)」は、石油脱油又は脱ワックス操作由来のパラフィンワックスを意味する。
【0025】
「高級アルコール」は、直鎖及び分枝鎖アルコールを含めて、炭素原子3〜8個を有するアルコールを包含する。高級アルコールの例は、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール等を包含する。
「炭化水素資源(hydrocarbonaceous asset)」なる用語は、天然ガス、メタン、石炭、石油、オイル・サンド(tar sands)、オイル・シェール、シェール油、及びこれらの誘導体と混合物を意味する。
【0026】
「炭化水素物質」は、水素及び炭素を含み、任意に硫黄、窒素、酸素及び他の元素を含有する、純粋な化合物又は化合物の混合物を意味する。例は、原油、合成原油、例えばガソリン、ジェット燃料、ジーゼル燃料、潤滑基油のような石油製品、並びに例えばメタノール及びエタノールのようなアルコールを包含する。
【0027】
「炭化水素液体」は、ナフサ、重油、留出物、潤滑基油、及びこれらの混合物から成る群から選択された液体≧75重量%を含む液体を意味する。
【0028】
「本質的アルコール」は、≧95重量%のアルコールを含む液体を意味する。
「本質的水」は、≧95重量%の水を含む液体を意味する。
マリン・タンカーは、炭化水素、典型的には、非限定的に、原油及び精製生成物(refined products)を輸送するために用いる船舶を意味する。
「遠隔地(remote site)」は、炭化水素資源を含有するか又は炭化水素資源の近くであり、先進地から100km以上離れた場所を意味する。本発明によると、液体とワックス粒子を含む可搬形生成物は、1つ以上の遠隔地から先進地に輸送される。
【0029】
スクリーンとメッシュサイズ:本出願では、スクリーンとメッシュサイズ等価量(equivalent)は、ASTM E11から引用する。40メッシュより大きいサイズを測定するためには、物質を乾燥したステンレス鋼スクリーン上に置き、手で垂直方向と水平方向の両方に、4インチ距離にわったって約1振動/秒で、少なくとも5分間振り動かし、必要な場合には、スクリーン上の物質量が可視的に変化しなくなるような、充分な時間振り動かす。篩分けが完了し、微細物の正確な測定値が得られることを保証するために、該粒子を顕微鏡下で、該顕微鏡の目盛付きアイピースを用いて検査する。40メッシュより小さいサイズに関しては、他の適当な手法(好ましくは、光散乱法)を用いて、特定のサイズより小さい割合を測定して、等価のメッシュサイズを通過する物質量をASTM E11におけるサイズを用いて算出する。
【0030】
「より小さい(smaller)」は、ASTM E11によって指定されたサイズを有するシーブ・クロスを通って落下する粒子を意味する。例えば、2.4mm(8メッシュ)より小さい粒子は、2.4mmの平均開口を有するシーブ・クロスを落下する、平均開口は、水平方向と垂直方向で別々に測定された、開口の中心で測定された並行ワイヤー間の距離である。ASTM E11によると、2.4mmの平均開口を有するシーブ・クロスは、代替え的に、8メッシュと表示することができる。
【0031】
逆に、「より大きい(larger)」は、ASTM E11によって指定されたサイズを有するシーブ・クロスを通って落下しない粒子を意味する。例えば、2.4mm(8メッシュ)より大きい粒子は、2.4mmの平均開口を有するシーブ・クロスを落下しない、平均開口は、水平方向と垂直方向で別々に測定された、開口の中心で測定された並行ワイヤー間の距離である。ASTM E11によると、2.4mmの平均開口を有するシーブ・クロスは、代替え的に、8メッシュと表示することができる。
【0032】
「販売可能な製品(salable products)」は、地域の市場で販売するための仕様を満たす、原油又は合成原油からの精製された製品を意味する。例は、ガソリン、ジェット燃料、ジーゼル燃料、潤滑基油、及びこれらを構成要素とするブレンドを包含する。
【0033】
合成ガス(syngas or synthesis gas)は、一酸化炭素(CO)と水素を含み、任意に、例えば水及び二酸化炭素のような、他の構成要素を含有するガス混合物を意味する。硫黄と窒素及び他のヘテロ原子不純物は、下流のフィッシャー−トロプッシュ・プロセスを害する可能性があるので、好ましくない。これらの不純物は、慣習的な手法によって除去することができる。
【0034】
リード(Reid)蒸気圧測定: リード蒸気圧を測定するために、D323、D4953、D5190、D5191、D6377及びD6378を含めた、種々なASTM方法が長年にわたって開発されている。D323がオリジナル方法である;しかし、この方法は、現在では、用いられることは稀である。本出願のために、リード蒸気圧は、物質が700°F未満でD2887 95%ポイントを有し、20℃で流体であるならば、D5191によって測定すべきであり;さもなければ、D323を用いる。
【0035】
総蒸気圧測定: 炭化水素を含有する混合物に関して、総蒸気圧は、リード蒸気圧と、API Publication 2517,2nd Edition,February 1980,“Evaporative Loss from External Floating−Roof Tanks”の図4に与えられたノモグラフを用いて、算出するべきである。このノモグラフにおけるストック温度を20℃(68°F)と見なす。殆ど排他的に単一化合物である液体に関しては、文献基準値を総蒸気圧として用いることができる。水に関しては、真蒸気圧は、蒸気表から決定した。20℃(68°F)において飽和蒸気の圧力は、Handbook of Chemistry and Physics,49thEdition,pageE−17から0.33889psiaである。メタノールの真蒸気圧は、Handbook of Chemistry and Physics,49thEdition,pageD−121に存在する。21.2℃において、メタノールの真蒸気圧は100mmHg(1.93psia)であり、20℃では、メタノールの真蒸気圧はClausius Clapeyron式を用いて補間されて、95.5mmHg(1.85psia)である。水とアルコールとの混合物の総蒸気圧は、当業者に周知の、適当な実験方法によって測定することができる。
【0036】
輸送温度: 熱なしに作動する、船舶、鉄道車両、タンカー等に関しては、輸送温度は、典型的な環境を表す20℃である。
【0037】
本発明は、液体とワックス粒子を含む可搬形生成物と、この可搬形生成物を用いる、ワックスの輸送方法に関する。本発明によると、該可搬形生成物は、有利には、90〜20重量%の液体と、10〜80重量%のワックス粒子、好ましくは25〜80重量%のワックス粒子、より好ましくは28〜80重量%のワックス粒子、そしてさらにより好ましくは30〜80重量%のワックス粒子とを含む。本発明による可搬形生成物は、20℃において5週間本明細書に記載するように測定した場合に合格安定性評価を有する。
【0038】
(液体)
該可搬形生成物の液体は、炭化水素液体、アルコール、水、又はこれらの液体の混合物であることができる。該液体が混合物である場合に、好ましくは、該液体は均質な混合物である。該液体が炭化水素液体である実施態様では、該液体は、ナフサ、重油、留出物、潤滑基油、及びこれらの混合物から成る群から選択された液体≧75重量%を含み、これらの実施態様のあるものでは、好ましくは、該炭化水素液体はナフサである。該炭化水素液体がナフサである場合には、該ナフサは、石油由来ナフサ、フィッシャー−トロプッシュ由来ナフサ、及びこれらの混合物から成る群から選択することができる。
【0039】
他の実施態様では、該液体は、>50重量%のアルコールを含み、そしてこれらの実施態様のあるものでは、該液体は、本質的アルコール(即ち、≧95重量%アルコール)であることができる。該液体がアルコールを含む場合に、該アルコールは、メタノール、エタノール、より高級なアルコール及びこれらの混合物でもあることができる。アルコールを該可搬形生成物の液体中に用いる場合には、好ましくは、該アルコールはメタノールであり、該液体は、≧90重量%メタノール又は本質的メタノール(即ち、≧95重量%メタノール)であることができる。代替え実施態様では、該液体は≧50重量%水を含み、そしてこれらの実施態様のあるものでは、該液体は本質的水(即ち、≧95重量%水)であることができる。
【0040】
上述したように、該液体は、これらの異なる液体の混合物、好ましくは均質な混合物であることができる。したがって、該液体が炭化水素液体である場合には、該炭化水素液体は、アルコール、水及びこれらの混合物をさらに含むことができる。該液体が炭化水素液体を含む混合物である場合には、該液体は、好ましくはさらに、アルコールを含む。該液体が>50重量%アルコールを含む場合には、該液体は、水、炭化水素液体又はこれらの混合物をさらに含むことができる。好ましくは、該液体が>50重量%アルコールを含む場合には、該液体はさらに水を含み、さらにより好ましくは、該液体は、アルコールと水との均質な混合物である。これらの実施態様のあるものでは、該液体は≧90重量%のアルコールと、≦10重量%の水を含む。該液体が≧50重量%水を含む場合に、該液体はさらに炭化水素液体、アルコール又はこれらの混合物を含むことができる。これらの実施態様のあるものでは、該液体が≧50重量%水を含む場合に、該液体はさらにアルコールを含み、そしてさらにより好ましくは、該液体は、アルコールと水との均質な混合物である。これらの実施態様のあるものでは、該液体が≧90重量%の水と、≦10重量%のアルコールを含む。好ましい均質混合物は、メタノール−水及びメタノール−ナフサを包含する。
【0041】
ワックス粒子の限界サイズは、該可搬形生成物に用いる液体にある程度依存する。さらに、受容できる可搬形生成物を得るためには、用いる液体に依存して、蒸気圧、引火点、酸価及びpHをも制御する必要がありうる。
【0042】
該液体に基づいて重要である要素を、以下の表Iに要約する。表Iでは、適当な場合には、好ましい値を第2値として記載し、より好ましい値を第3値として記載し、さらにより好ましい値を第4値として記載する。
【0043】
【表1】

【0044】
本発明による可搬形生成物を輸送する場合の懸念は、蒸気圧である。国際海事条約(international maritime regulations)は、慣習的なタンカーで海上輸送される原油の最大リード蒸気圧を「大気圧未満」(即ち、14.7psia未満)に制限している。これらの同じ条約は、密閉式引火点を60℃以上に制限している(Safety of Life at Sea(SOLAS)Chapter22,Regulation55.1)。したがって、実際の運転制限値は、≧60℃の引火点である。慣習的タンカーに関して、実際の運転制限値は、約9〜10psiaの真蒸気圧(リード蒸気圧ではない)である。ポンプ汲み出し(pumping)中の約10若しくは11psiaより高い真蒸気圧は、実際のポンプ汲み出し性能は特定の船舶に恐らく依存するとしても、タンカーのカルゴ・タンクの完全な排出を困難にする可能性がある。受け入れ陸側ターミナルは、通常、フローティング・ルーフ貯蔵タンクの最大容量に基づいて、11psiaの最大真蒸気圧限界値を有する。本発明による可搬形生成物を周囲温度近くで輸送されるように設計するならば、該液体の真蒸気圧は、20℃での測定時に14.7psia以下、好ましくは20℃での測定時に11psia以下、より好ましくは20℃での測定時に9psia以下であるべきである。
【0045】
輸送時の他の懸念は、腐食である。腐食は、運送船に付随する重大な問題を提示する可能性がある。フィッシャー−トロプッシュ・プロセスからの軽炭化水素生成物と水は、有意な量の酸を含有する可能性があり、したがって、これらは高度に腐食性になる可能性がある。船舶の腐食は、幾つかの重大な災害に関連付けられている。腐食を防止するための1つの方法は、船舶の金属表面をペンキで塗装する又は該金属表面を耐食性物質で被覆することである。しかし、全表面の塗装を維持することは非常に困難であり、塗装されない表面が幾らかでもあるならば、問題が生じる可能性がある。フィッシャー−トロプッシュ生成物中に存在する酸は、特に第1鉄金属(鉄及び鋼)に対して腐食性である可能性がある。第1鉄腐食は、船舶、ポンプ、タンク、貯蔵容器、鉄道車両、トラック、及び例えばパイプラインのような輸送システムに付随する重大な問題を提示する可能性がある。
【0046】
慣習的な石油精製では、腐食問題を回避するために、原油が0.5mgKOH/g未満の総酸価を有するべきであることは、基準である。留出物留分が1.5mgKOH/g未満の酸価を有することが、さらに述べられている。“Materials Selection for Petroleum Refineries and Gathering Facilities”,Richard A.White,NACE International,1998 Houston Texas page6−9を参照のこと。第1鉄腐食に関する適当な基準は、「コロニアルパイプラインで輸送される全ての生成物は、エビエーション・ケロセンの全てのグレードを例外として、最低レベルの防食を満たすことを必要とする。抑制剤用量の濃度は、NACE Standard TM0172−2001,Test Method Antirust Properties Petroleum Products Pipeline Cargoesによって測定した時にB+(試験表面の5%未満が錆びる)の最低等級を満たすように制御される」ことを必要とするColonial Pipeline Company’s Section 3 Quality Assurance,Section 3.2.2(Page 3B−3−February 2003)に記載されている。
【0047】
それ故、本発明によると、輸送液体の酸性度を制御することが重要である。該液体が炭化水素液体であるか又は>50重量%のアルコールを含む場合に、該液体は、そのようなものとして、1.5mgKOH/g未満、好ましくは0.5mgKOH/g未満の酸価を有するべきである。該液体が≧50重量%の水を含む場合には、該液体はpH>5、好ましくはpH>6.5を有するべきである。
【0048】
該液体が炭化水素液体である場合に、該液体は、比較的低い分子量を有するべきである。該炭化水素液体の分子量が増加するにつれて、ワックス粒子が該液体中に溶解する傾向は大きくなる。したがって、該炭化水素液体が大き過ぎない分子量を有することが重要である。このようなものとして、該炭化水素液体の分子量は、好ましくは500g/mol未満、より好ましくは300g/mol未満、さらにより好ましくは100〜200g/molである。
【0049】
エマルジョンとは異なり、本発明による可搬形生成物の液体には、界面活性剤は必要なく、したがって、任意に加えることができる。必要ないとはいえ、該液体が混合物である場合に、界面活性剤は均質な炭化水素液体の形成に有用であると考えられる。
【0050】
(ワックス粒子)
本発明によってワックス粒子として輸送すべきであるパラフィンワックスは、任意のパラフィンワックスであることができる。好ましくは、本発明への使用に適したパラフィンワックスは、高級パラフィンであり、このようなものとして、多量のn−パラフィン、好ましくは40重量%を超える、より好ましくは50重量%を超える、そしてさらにより好ましくは75重量%を超えるn−パラフィンを含有する。適当なパラフィンワックスの例は、非限定的に、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックス、例えば脱油石油由来ワックスのような石油由来ワックス、スラックワックスと脱油スラックワックス、精製した残余ワックス(foots oil)、含ワックス潤滑油ラフィネート、n−パラフィンワックス、NAOワックス、化学プラント・プロセスで生産されたワックス、微結晶ワックス、及びこれらの混合物を包含する。本発明のパラフィンワックスは、室温において固体であり、好ましくは、60℃より高い流動点を有する。
【0051】
パラフィンワックスが、液体と、固体ワックス粒子の形状のパラフィンワックスとを含む可搬形生成物として、効果的に輸送されうることが、発見されている。本発明の可搬形生成物と、パラフィンワックスの輸送方法において、該固体ワックス粒子が、輸送液体中で非合併固体粒子として留まることが重要である。本発明による可搬形生成物とパラフィンワックスの輸送方法は、ワックス粒子が小さすぎず、小ワックス粒子の総量が過剰でないことを保証することによって、粒子間粘着と塊形成を回避しながら、該可搬形生成物中に比較的高重量%のワックス粒子を受け入れることができる。ワックス粒子が小さすぎず、小ワックス粒子の総量が過剰でないことを保証することによって、該可搬形生成物が比較的高重量%のワックス粒子を含有する場合さえも、粒子間粘着と塊形成が回避される。本発明によると、該可搬形生成物は、有利には、90〜20重量%の液体と、10〜80重量%のワックス粒子、好ましくは25〜80重量%のワックス粒子、より好ましくは28〜80重量%のワックス粒子、そしてさらにより好ましくは30〜80重量%のワックス粒子とを含む。
【0052】
該ワックス粒子は、スフェア、セミスフェア、フラットディスク、ドーナッツ、円筒状押出物、多葉性押出物、及びこれらの混合物の形状であることができる。好ましくは、該ワックス粒子はスフェア又はセミスフェアである。完成粒子が、最小の移動抵抗性を示し、過剰な小粒子を含有しない形態であることが、好ましい。粒子間粘着は、粒子表面間の接触によって促進されるので、表面対容積比率が最小であるときに、粒子の塊形成は最少になる。表面対容積比率を最小にすることは、単位時間当たりに液体中に溶解するワックス量をも最少にする。したがって、最も望ましい形状は、スフェア若しくはセミスフェア固体であり、主軸対短軸の比率が3を超えない、より好ましくは2を超えないスフェア若しくはセミスフェアである。これより好ましくはないが、他の可能な形状は、フラットディスク、ドーナッツの形状、又は先の尖った付属物付きの形状の粒子を包含する。
【0053】
六角形配置(最も密接である可能な配置)の均一なスフェアが占める空間の体積分率が0.7405であるならば、可搬形生成物中のワックスの最大重量%は、約80重量%になるであろう。ワックスの密度が高くなると、ややスフェアでない粒子(slightly non−spherical wax particles)及び種々なサイズの粒子の使用と同様に、該最大体積値(the volume maximum)をやや超えて、該割合は上昇するであろう。等しい大きさのスフェアのランダム充填をコンピュータでシミュレーションすると、充填空間の体積分率は0.64になる。したがって、均一粒子のワックス含量のより実用的な上限は、約70重量%になると思われる。
【0054】
粒子の大部分が0.1mmより大きいならば、ある範囲のサイズが生じることは許容される。粒子の大部分は、好ましくは1mmより大きく、より好ましくは2mmより大きく、さらにより好ましくは4mmより大きい。しかし、ポンプ汲み出しを容易にするために、該粒子はあまり大きくてはならず、50mmより小さいサイズであることが好ましい。
【0055】
粒子間粘着と塊形成を回避しながら用いることができる、ワックス粒子の最小サイズと小粒子の重量%は、該可搬形生成物の形成に用いる液体、ワックスの濃度、及び輸送温度に、ある程度、依存する。
【0056】
可搬形液体が炭化水素液体である場合には、該ワックス粒子は、2.4mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、好ましくは、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む。可搬形液体が>50重量%のアルコールを含む場合には、該ワックス粒子は、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含み、好ましくは0.1mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含み、さらにより好ましくは、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む。可搬形液体が≧50重量%の水を含む場合には、該ワックス粒子は、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含み、好ましくは0.1mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含み、さらにより好ましくは、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む。
【0057】
(可搬形生成物)
本発明による可搬形生成物は、有利には、10〜80重量%のワックス粒子と、90〜20重量%の液体を含む。該可搬形生成物は、好ましくは25〜80重量%のワックス粒子、より好ましくは28〜80重量%のワックス粒子、そしてさらにより好ましくは30〜80重量%のワックス粒子を含む。
【0058】
小ワックス粒子の量が過剰ではなく、限界サイズが該液体に依存することを保証することによって、粒子間粘着と塊形成は回避される。小ワックス粒子は該液体中に徐々に溶解することができる;したがって、該ワックス粒子は小さ過ぎてはならず、小ワックス粒子の量は過剰であってはならない。さらに、ある種の液体中では、該粒子が溶解し易いように見える;それ故、小粒子の限界サイズはこれらの液体に対して比較的大きくなる可能性がある。炭化水素液体を用いる場合には、ワックス粒子は大きい溶解傾向を有する。それ故、ワックス粒子は小さ過ぎてはならず、該液体が>50重量%アルコール又は≧50重量%水を含む場合よりも比較的大きいものである必要がある。このようなものとして、可搬形液体が炭化水素液体、例えばナフサである場合に、該ワックス粒子は2.4mm(8メッシュ)より大きいワックス粒子≧90重量%、好ましくは、2.8mm(7メッシュ)より大きいワックス粒子≧90重量%を含む。水又はアルコールを可搬形液体として用いる場合には、より小さいサイズの粒子を、許容し難い粒子間粘着及び塊形成なしに、用いることができる。このようなものとして、可搬形液体が>50重量%アルコール又は≧50重量%水を含む場合には、該ワックス粒子は0.1mm(140メッシュ)より大きいワックス粒子≧75重量%、好ましくは0.1mm(140メッシュ)より大きいワックス粒子≧90重量%、そしてさらにより好ましくは2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含むことができる。
【0059】
ワックス粒子のサイズを高めることによって、単位質量当たりの表面積の減少が、可搬形生成物を5週間にわたって貯蔵し、輸送することができる点まで、輸送液体中に徐々に溶解するワックス量を減少させる。しかし、ポンプ汲み出しを容易にするために、ワックス粒子は50mmより小さくあるべきである。エマルジョン形成のために界面活性剤の使用は必要ないが、界面活性剤を加えることができる。
【0060】
過剰量の小ワックス粒子若しくは微細物は、不安定な可搬形生成物を生じることになる。したがって、ワックス粒子形成が過剰量の微細物を生じるならば、該微細物を除去すべきである。ワックスをドライアイスで冷却すると、該ワックスは粉砕されて、微細物になる可能性がある。可搬形生成物若しくは微細物に対して慣習的な篩分け操作を行なって、微細物を除去することができるが、微細物を除去する工程の必要なしに、安定な可搬形生成物を製造することができるように、微細物の形成を最少にすることが好ましい。回収された微細物は溶融して、再び加工することができる。
【0061】
該液体中へのワックスの溶解は、可搬形生成物及び該液体の温度の関数である。該液体が炭化水素液体、例えばナフサである場合には、該可搬形生成物の温度が、短時間といえども、50℃を超えないことが重要である。炭化水素液体に関しては、可搬形生成物の温度が40℃を超えないことが好ましく、長時間では、可搬形生成物の温度が30℃を超えないことがより好ましい。該液体が炭化水素液体である場合には、該可搬形生成物を約10〜30℃に維持することが、最も好ましい。
【0062】
ワックス粒子は、アルコール、水又はこれらの混合物中に溶解しないように見えるが、加熱されたアルコール、水又はアルコール/水混合物中に溶解することはできる。したがって、該液体が>50重量%アルコール、≧50重量%水、及びアルコール/水混合物を含む場合には、該可搬形生成物が65℃を超えないこと、好ましくは50℃を超えないことが重要である。
【0063】
効率を高めるために、好ましくは、可搬形生成物のワックス粒子と液体とを共通の場所から入手する、より好ましくは、共通の供給源から入手する。
【0064】
合成ガスを製造するための天然ガス又は石炭資源は、しばしば、遠隔地で発見され、さらに、油田と同じ遠隔地にしばしば存在する。したがって、ワックス粒子として輸送されるパラフィンワックスと、可搬形生成物に用いられる液体との両方が、天然ガス又は石炭資源及び/又は油田から何らかの形で得られることが好ましい。
【0065】
例として、1実施態様において、ワックス粒子がフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する場合には、該可搬形生成物の液体もフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来することが好ましい。炭化水素液体、水及びアルコールは、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来することができる。同様にフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する液体を用いることは、効率の上昇の他に、例えば、窒素含有化合物及び硫黄含有化合物のような、好ましくない汚染物質の、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来ワックス粒子中への如何なる導入をも防止する。
【0066】
他の実施態様では、天然ガス又は石炭資源を用いて、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスのための合成ガスを供給して、ワックス粒子を得ることができる、そして天然ガス又は石炭資源から得られる合成ガスは、メタノール合成プロセスに用いて、メタノールを得ることもできる。このメタノールは、可搬形生成物の液体若しくは該液体の一部として用いることができる。
【0067】
ワックス粒子が石油に由来する場合には、該可搬形生成物の液体も、該石油由来ワックスを供給する油田に由来することができる。このようなものとして、該液体は、石油由来ナフサ、石油由来重油、石油由来留出物、石油由来潤滑基油、及びこれらの混合物であることができる。
【0068】
合成ガスを製造するための天然ガス又は石炭資源と油田とは、しばしば、同じ遠隔地で見出されるので、ワックス粒子はこれらの一方又は両方に由来することができ、可搬形生成物の液体も、ワックス粒子と同じ供給源、他の供給源又は供給源の組み合わせから由来することができる。
【0069】
可搬形液体が炭化水素液体である場合には、該液体の≧75重量%は、ナフサ、重油、留出物、潤滑基油、及びこれらの混合物から成る群から選択される。好ましくは、炭化水素液体は≦100ppmw、特に≦10ppmwの硫黄含量を有する。可搬形液体が炭化水素液体である場合に、好ましくは、該液体はナフサである。該ナフサは、石油由来ナフサ、フィッシャー−トロプッシュ・ナフサ、及びこれらの混合物から成る群から選択することができる。効率上昇のために、ワックス粒子がフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する場合には、該ナフサはフィッシャー−トロプッシュ由来ナフサであることが好ましく、ワックス粒子が石油、例えばスラックワックスに由来する場合には、該ナフサは石油由来ナフサであることが好ましい。フィッシャー−トロプッシュ生成物は、例えば硫黄含有化合物及び窒素含有化合物のような汚染物質の量が極度に低いので、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックス粒子をフィッシャー−トロプッシュ由来液体と共に用いることも有利である。
【0070】
(フィッシャー−トロプッシュ合成プロセス)
好ましくは、本発明によるワックス粒子は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来である。さらにより好ましい実施態様では、輸送液体の少なくとも一部もフィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来である。
【0071】
フィッシャー−トロプッシュ化学では、合成ガスは、反応条件下でのフィッシャー−トロプッシュ触媒との接触によって液体炭化水素に転化される。典型的に、メタンと任意に重炭化水素(エタンとそれ以上の重炭化水素)を慣習的な合成ガス発生器に通して送って、合成ガスを得ることができる。一般に、合成ガスは、水素と一酸化炭素を含有し、少量の二酸化炭素及び/又は水を包含することができる。合成ガス中の硫黄、窒素、ハロゲン、セレン、リン及びヒ素汚染物質の存在は、好ましくない。この理由から、合成ガスの品質に依存して、フィッシャー−トロプッシュ化学を行なう前にフィードから硫黄その他の汚染物質を除去することが好ましい。これらの汚染物質を除去するための手段は、当業者に周知である。例えば、硫黄不純物を除去するためには、ZnOガードベッド(guardbed)が好ましい。他の汚染物質を除去するための手段は、当業者に周知である。合成反応中に発生した二酸化炭素と、それまでに除去されていない付加的な硫黄化合物を除去するために、フィッシャー−トロプッシュ反応器の前に合成ガスを精製することも望ましいと考えられる。これは、例えば、充填カラム中で合成ガスを弱アルカリ性溶液(例えば、炭酸カリウム水溶液)と接触させることによって、達成することができる。
【0072】
フィッシャー−トロプッシュ・プロセスでは、HとCOを含む合成ガスをフィッシャー−トロプッシュ触媒と、適当な温度及び圧力反応条件下で接触させることが、液状及びガス状炭化水素を形成する。フィッシャー−トロプッシュ反応は、典型的に、約300〜700°F(149〜371℃)、好ましくは約400〜550°F(204〜228℃)の温度;約10〜600psia(0.7〜41bar)、好ましくは約30〜300psia(2〜21bar)の圧力;及び約100〜10,000cc/g/hr、好ましくは約300〜3,000cc/g/hrの触媒空間速度で行なわれる。フィッシャー−トロプッシュ型反応を行なうための条件の例は、当業者に周知である。
【0073】
フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの生成物は、C〜C200+の範囲であり、大部分はC〜C100+の範囲内である可能性がある。この反応は、多様な反応器型、例えば、1つ以上の触媒床を含有する固定床反応器、スラリー反応器、流動床反応器、又は異なる型の反応器の組み合わせにおいて行なうことができる。このような反応プロセスと反応器は、周知であり、文献に報告されている。
【0074】
本発明の実施に好ましい、スラリー・フィッシャー−トロプッシュ・プロセスは、強度の発熱合成反応のために優れた熱(及び質量)転移特徴を利用し、コバルト触媒を用いる場合に比較的高分子量のパラフィン系炭化水素を製造することができる。スラリープロセスでは、水素と一酸化炭素との混合物を含む合成ガスを第3相として、反応条件下で液体である合成反応の炭化水素生成物を含むスラリー液体中に分散して、懸濁している粒状フィッシャー−トロプッシュ型炭化水素合成触媒を含むスラリーに通してバブルさせる。水素対一酸化炭素のモル比率は、約0.5〜約4の広い範囲であるが、より典型的には約0.7〜約2.75の範囲内であり、好ましくは約0.7〜約2.5の範囲内である。特に好ましいフィッシャー−トロプッシュ・プロセスは、全ての目的のために、完全に本明細書に援用されるEP0609079に教示されている。
【0075】
一般に、フィッシャー−トロプッシュ触媒は、金属酸化物担体上にVIII族遷移金属を含有する。該触媒は、貴金属プロモーター(単数又は複数)及び/又は結晶モレキュラーシーブをも含有することができる。適当なフィッシャー−トロプッシュ触媒は、Fe、Ni、Co、Ru及びReの1つ以上を含み、コバルトが好ましい。好ましいフィッシャー−トロプッシュ触媒は、適当な無機担体物質、好ましくは、1つ以上の耐熱性金属酸化物を含む無機担体物質上にコバルトと、Re、Ru、Pt、Fe、Ni、Th、Zr、Hf、U、Mg及びLaの1つ以上の有効量を含む。一般に、触媒中に存在するコバルト量は、総触媒組成物の約1〜約50重量%である。該触媒は、例えばThO、La、MgO及びTiOのような塩基性酸化物プロモーター、例えばZrOのようなプロモーター、貴金属(Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Ir)、貨幣用金属(Cu、Ag、Au)及び例えばFe、Mn、Ni及びReのような、他の遷移金属をも含有することができる。適当な担体物質は、アルミナ、シリカ、マグネシア及びチタニア又はこれらの混合物を包含する。コバルト含有触媒のための好ましい担体は、チタニアを含む。有用な触媒とそれらの製造は知られており、米国特許第4,568,663号に例示されている、この特許は、触媒選択に関して、具体的であるが非限定的であるように意図される。
【0076】
ある一定の触媒は、比較的軽度から中等度までである連鎖成長確率を与えることが知られており、反応生成物は、比較的高い割合の低分子量(C−C)オレフィンと、比較的低い割合の高分子量(C30+)ワックスを包含する。ある一定の他の触媒は、比較的高い連鎖成長確率を与えることが知られており、反応生成物は、比較的低い割合の低分子量(C−C)オレフィンと、比較的高い割合の高分子量(C30+)ワックスを包含する。このような触媒は当業者に周知であり、容易に入手されるか及び/又は製造することができる。
【0077】
フィッシャー−トロプッシュ・プロセスからの生成物は、主として、パラフィンを含有する。フィッシャー−トロプッシュ反応からの生成物は、一般に、軽反応生成物とワックス反応生成物を包含する。該軽反応生成物(即ち、凝縮物留分)は、約700°F未満の沸点を有する炭化水素(例えば、テールガスから中間留分燃料まで)を包含する、大部分はC〜C20範囲内であり、量を減じながら約C30までである。ワックス反応生成物(即ち、ワックス留分)は、約600°Fを超える沸点を有する炭化水素(例えば、真空ガスオイル(vacuum gas oil)から重パラフィンまで)を包含する、大部分はC20+範囲内であり、量を減じながら約C10までである。
【0078】
軽反応生成物とワックス生成物の両方は、実質的にパラフィン系である。ワックス生成物は、一般に、70重量%を超える、そしてしばしば80重量%を超える直鎖パラフィンを含む。軽反応生成物は、アルコールとオレフィンの有意な割合を有するパラフィン系生成物を含む。場合によっては、軽反応生成物は、50重量%程度の、これ以上でさえある、アルコールとオレフィンを含む可能性がある。本発明によってワックス粒子として輸送されるのは、ワックス反応生成物(即ち、ワックス留分)であり、該可搬形生成物の液体を供給するために用いることができるのは、軽反応生成物である。
【0079】
軽反応生成物は、炭化水素液体、アルコール又はこれらの混合物を供給するために用いることができる。さらに、可搬形生成物中の液体として用いるために適した水は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来することができる。水は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス中に有意な副産物として得られ、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスには冷却水が用いられる、これらの両方が可搬形生成物中の液体として用いるために適した水の供給源になることができる。本発明による可搬形生成物の液体として用いられるナフサを供給するために、軽反応生成物を用いることが好ましい。可搬形生成物に用いるために適した液体を供給するためには、フィッシャー−トロプッシュ軽生成物を、当業者に周知の方法によってアップグレードすることが必要である可能性がある。可搬形生成物に用いるために適した許容できる液体を供給するためのこれらの方法は、脱水、脱炭酸、吸着、水素化処理、水素化分解、及びこれらの組み合わせを包含する。
【0080】
炭化水素液体は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの軽生成物に由来することができる。例として、ナフサは一般市場で購入することができ、芳香族化合物、ナフテン系化合物、パラフィン系化合物、及びこれらの混合物から成ることができるが、軽炭化水素のフィッシャー−トロプッシュ生成物を用いることが好ましい。経済的な見地から、水、メタノール及びこれらの混合物ではなく、例えば凝縮物及びナフサのような、フィッシャー−トロプッシュ軽生成物中でワックス粒子を輸送することが好ましい。
【0081】
しかし、軽炭化水素のフィッシャー−トロプッシュ生成物は、しばしば、腐食を生ずる可能性のある、アルコール及び酸の形で酸素化物を含有する。したがって、軽炭化水素のフィッシャー−トロプッシュ生成物を、その酸価を1.5mgKOH/g未満に、より好ましくは0.5mgKOH/g未満に低下させるように処理することが重要である。酸価を低下させる方法は、非限定的に、水素化処理、水素化分解、ゼオライトへの吸着及び粘土への吸着を包含する。さらに、酸素化物を脱水及び脱炭酸によって除去し、それによって、酸価をフィッシャー−トロプッシュ軽生成物の酸価を1.5mgKOH/g未満に、より好ましくは0.5mgKOH/g未満に低下させることができる。
【0082】
フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する水も酸性である可能性がある。したがって、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する水に関しては、該水をそのpHを5より大、好ましくは6.5より大まで高めるように処理することが重要である。
【0083】
石油に由来するナフサをフィッシャー−トロプッシュ・ナフサと混合して、1.5mgKOH/g未満に、より好ましくは0.5mgKOH/g未満の酸価を有するブレンド・ナフサ(blended naphthas)を形成することも可能である。さらに、このようなブレンド・ナフサを水素化処理又は水素化分解して、該ブレンド・ナフサの酸価を1.5mgKOH/g未満に、より好ましくは0.5mgKOH/g未満に低下させることも可能である。炭化水素液体は、≦100ppmw、特に≦10ppmwの硫黄含量を有することが好ましい。フィッシャー−トロプッシュ軽生成物は、低い硫黄含量を有する。該炭化水素液体がフィッシャー−トロプッシュ液体と石油由来液体とのブレンドである場合には、水素化処理又は水素化分解を用いて、該ブレンド液体の硫黄含量を減ずることも可能である。
【0084】
可搬形生成物の液体がアルコールである場合には、アルコールは、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの生成物に由来することができる。アルコールは、当業者に周知の手法によって、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの生成物に由来することができる。さらに、可搬形生成物の液体は、全てがフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来するものである、上記液体の混合物であることができる。フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来する1種類以上の液体を用いて、同様にフィッシャー−トロプッシュ・プロセスから製造されるワックスを輸送することは、大きな効率を生じる。ワックスを輸送するために外部供給源の液体を遠隔地に持ち込む必要はなく、1回の船積みでより多くのフィッシャー−トロプッシュ生成物が、販売可能な製品を生成するために先進場所に輸送されることになる。さらに、該ワックスと該液体の両方が、例えば窒素含有化合物及び硫黄含有化合物のような、汚染物質の低い量を有することになる。
【0085】
水が、可搬形生成物の形成に用いる液体である場合には、該水は高腐食性であってはならず、したがって、5より大、好ましくは6.5より大のpHを有するべきである。該液体は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスからの水であることもできる。フィッシャー−トロプッシュ・プロセスでは、水は、Gas−to−Liquids(GTL)施設の関連ガス化及び水素化処理操作で生ずる、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの副産物として生成されうる。さらに、水は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスに必要である冷却水に由来することができる。したがって、可搬形生成物の液体が水である場合には、該水は、水副産物、冷却水又はこれらの混合物に由来することができる。フィッシャー−トロプッシュ生成物に由来する水は、非常に酸性であり、アルコールを含有し、腐食を生じる可能性がある。したがって、該水を処理して、そのpHを5より大、好ましくは6.5より大に高めることが重要である。該水のpHを許容できるレベルに高めるために、当業者に周知の多くの手法によって、及びPCT出願WO03/106354A1、WO03/106346A1、WO03/106353A1、WO03/106351A1及びWO03/106349A1と、これらに引用された参考文献に記載されているように処理することができる。
【0086】
さらに、合成ガスを製造するための天然ガス又は石炭資源は、しばしば、油田と同じ場所に存在することが見出される。これらの場合に、ワックス粒子は、合成ガスを高級炭化水素生成物に転化するプロセス(即ち、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス)に由来する、又は油田に由来する(即ち、スラックワックス)ことができる、又はこれらの混合物であることができる。合成ガスを高級炭化水素生成物に転化するプロセスに由来する液体、油田に由来する液体又はこれらの混合物を、該ワックス粒子と共に用いることは、同様な効率を生じることができる。
【0087】
可搬形生成物に用いる、例えばメタノールのようなアルコールは、一般市場で購入することができるか、又は合成ガスから当業者に周知の方法によって製造することができる。メタノールを合成ガスからメタノール合成プロセスによって製造する場合には、該合成ガスの一部をフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに用いて、ワックスを含めた生成物を同様に製造することが好ましい。しかし、メタノールはその低い引火点のために慣習的な原油タンカーでは輸送することができない、したがって、低引火点物質に適するように装備した大型化学等級タンカー(chemical grade tanker)で輸送しなければならない。蒸気圧を低下させるために、水をメタノールに加えることができる。水をメタノールに加えると、該溶液の密度は上昇するであろう。メタノール−水溶液中の水含量が高い場合には、該メタノール−水溶液の密度がワックス粒子の密度よりも大きくなる可能性があるので、ワックス粒子を浮遊させるゆとりを作らなければならない。それ故、該メタノール−水溶液が90%を超えるメタノールを含有することが好ましい。
【0088】
ナフサが可搬形液体である場合には、アルコールをナフサ中にブレンドすることができ、蒸気圧と引火点の規格が満たされるならば、該ブレンドを慣習的な原油タンカーで輸送することができる。
【0089】
(可搬形生成物の安定性)
本発明による可搬形生成物の重要な特徴には、比較的高重量%のワックスにも拘わらず、該可搬形生成物が示す安定性がある。3.4mm(6メッシュ)以下のワックス粒子に関しては、可搬形生成物の安定性の試験が次のように行われる:
1. 輸送液体中10〜80重量%(50重量%が典型的な濃度である)で輸送される量に等しい量のワックス粒子を、Fisher Scientificから入手した8ドラムPyrexバイアル(25mmCDx95mm高さ、Catalog No.03−338)中の輸送液体中で混合する。
2.該可搬形生成物を、遠洋航海中の典型的な温度を表す20℃において、5週間貯蔵する。
3.該バイアルを逆さにして、ワックス粒子が該バイアルの底まで落下するかどうかを観察することによって、可搬形生成物の安定性を、以下の表IIに従って評価する。
【0090】
ワックス粒子が直ちに底にまで落下するとき又はワックス粒子の大部分が5回未満の軽いタップで底まで落下するときに(この場合、逆さにしたバイアルを3cmの高さから落下させることによって、軽いタップが生じる)、満足できる(合格)安定性が得られる。
【0091】
【表2】

【0092】
3.4〜2.4mm(6〜8メッシュ)のワックス粒子に関しては、バイアル内径:平均ワックス粒子サイズの比率が7であった。これより大きいワックス粒子に関しては、バイアル内径:平均ワックス粒子サイズの比率が7より大きいような、より大きいガラス器を用いるべきである。
本発明による可搬形生成物は、20℃において5週間、本明細書に記載するように測定したときに、合格安定性評価を示す。
【0093】
(ワックス粒子と可搬形生成物の形成)
本発明のワックス粒子は、溶融ワックスから、例えば、エアカラム(a column of air)内での熱ワックス小滴の冷却、液体中での熱ワックス小滴の冷却、又は型での成形を含めた、当該技術分野で知られた任意の方法によって製造することができる。ワックス粒子の形成と乾燥のための装置の例は、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,4th editionに記載されている。
【0094】
溶融ワックスを移動シート上で約0.25〜2”厚さにキャストすることによって、ワックス粒子を形成することができる。該ワックスを部分的に凝固させるために、水を吹き付けることによって、該ワックスを任意に冷却することができる。次に、該シート上のキャストワックスを、ラビオリカッター又はマールタッシェンカッター(maultaschen cutter)と同様なローリング・ピンを用いて、形材(shapes)に切断する。粗面の縁を有するワックス粒子は、該縁が破断して、過度に小さいワックス粒子を形成する可能性があるため、好ましくないので、切断されたワックス粒子を、任意に溝のあるスロープに転がり落して、該ワックス粒子をスフェアに成形することができる。その後、該ワックス粒子をさらに冷却する。或いは、溶融ワックスを押出成形によって長いチューブ状にキャストして、回転カッティングワイヤによって又はカーブ上で単に曲げることによって、小円筒形に切断することができる。この小円筒形をスフェア状ワックス粒子にさらに成形することができる。球状化(spheroidizing)は、ワックス粒子のもう1つの製造方法である。
【0095】
プリリング・タワー(prilling tower)及び噴霧乾燥器を用いて、溶融ワックスを低温ガスに通して落下させることによって、ワックス粒子を形成することができる。プリリング・タワーは、噴霧乾燥器が器壁上にワックス凝集(buildup)を形成する傾向があるため、好ましい。形成されたワックス粒子は落下するときに、これらは少なくとも部分的に凝固して、好ましくは可搬形生成物のための液体として役立つことになる液体中に回収されることができる。可搬形生成物に用いる場合に、適当なサイズで、安定であるワックス粒子を形成するための容器(vessel)の設計も重要である。このような設計と、適当な設計を決定するための方法は、当業者の知識の範囲内であると考えられる。落下時にワックス粒子を冷却するために、充分な低温ガスを用いるべきであるが、ワックス粒子の融合又は崩壊を生じる可能性がある乱気流を生じるほどの低温ガスは用いるべきではない。ノズルの直径と間隔、及びワックスの温度も、所望のサイズと形状を有する小滴を形成するために重要である。
【0096】
ワックス粒子を形成するための他の方法は、溶融ワックスを液体に通すことである。水を用いることができ、その酸含量を減ずるように処理済みである、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスからの水が好ましい。溶融ワックスは液体充填容器の底部にノズルから注入されると、小滴を形成し、これらの小滴は上方に浮動する。該容器の底部帯の温度はワックスの融点の温度よりも高い温度に維持して、ワックスによる閉塞からインジェクターノズルを保護する。該容器の頂部方向に用いる液体は、冷却された液体であるべきである。小滴が上昇し、より低温の液体(例えば、水)に遭遇すると、小滴は冷却されて、ワックス粒子を形成する。空気分離装置からの低温の窒素又は他の生成物を用いて、冷却された液体、例えば、冷却された水を生成することができる。
【0097】
該容器の頂部における可搬性生成物は、適当な水門(sluices)、ポンプ又はスクリーンによって取り出すことができる。重要な設計パラメータは、インジェクターノズルの直径と間隔、及び種々な深さにおけるワックスと液体の温度を包含する。好ましくは、冷水を該容器の頂部に加える、該冷水の一部が下方に移動すると、該冷水はワックス粒子の融合熱を吸収する。熱水は該容器の底部を出て、冷却されて、再循環され、任意に精製される。空気分離装置からの低温の窒素又は他の生成物を用いて、該容器の底部から取り出される熱水を冷却して、該容器の頂部に再循環させるための冷水を生成することができる。該容器の頂部に加えられた水の、下方に移動しない部分は、形成されたワックス粒子を取り出すための水門として作用する。ワックス粒子と余分な水は該容器から溢れ出る。ワックス粒子の輸送に用いられる液体が水を含む場合には、もはや処理は必要ない。水含量を減ずる必要がある場合には、又はワックス粒子を異なる液体中で輸送する予定である場合には、ワックス粒子と水とを簡単なスクリーン上に通すことができ、そこで水を取り出して、該容器に再循環させることができる。ワックス粒子は空気と接触させることによって、乾燥させることができ、その後に、輸送に用いる液体に加えることができる。該ワックス粒子を乾燥させる又は冷却するために、空気ではなく、空気分離装置からの窒素を任意に用いることができる。この供給源からの窒素は、非常に低い湿度を有し、燃焼をサポートしないので、乾燥のために理想的である。
【0098】
ワックス粒子の製造における制限要素は、該粒子をブレンドして、ワックス粒子を一部溶解する液体なしに、可搬形生成物を形成することができる温度にまで、ワックス粒子を冷却するための時間である。ワックスは比較的低い熱伝導率を有し、融合熱はかなりの温度になりうるので、ワックス粒子が冷却するには、かなりの時間を要する可能性がある。したがって、冷却必要条件は、大きい装置サイズと高い資本コストをもたらす可能性がある。冷却を促進し、装置サイズを減ずるために、溶融ワックスと、10及び80重量%の予め形成された小ワックス粒子との混合物から、ワックス粒子を形成することができる。該小ワックス粒子のサイズは、形成して、輸送すべきである、より大きいワックス粒子のサイズの約0.01〜25%であるべきである。これらの直径サイズは平均サイズであり、好ましくは、シーブ・クロスを用いて、本明細書に記載するように測定される。混合物の形成において、溶融ワックスをその融点より高い温度に加熱して、これに該小ワックス粒子を加える。混合時に、該ワックス粒子は加熱され、該溶融ワックスは冷却されることになる。該混合物の温度は、該ワックスの融点から5℃の範囲内、好ましくは2℃の範囲内、より好ましくは1℃の範囲内に維持すべきである。該混合物の温度を、該ワックスの融点の温度近くに維持することによって、該溶融ワックスは凝固せず、該小ワックス粒子は溶融しない。予め形成されたワックス粒子の該混合物は、ひと度大きい粒子に成形されたならば、大きい粒子の表面を通って伝達される、低い融合熱を有する、したがって、これはより迅速に冷却する。該混合物の形成において、予め形成された粒子をワックスの融点近くにまで加熱することは困難である;それ故、溶融ワックスをその融点を丁度超えるまでに加熱しながら、該粒子を低い温度(cooler temperature)に維持することができる。溶融ワックスをその融点を丁度超えるまでに加熱した後に、予め形成されたワックス粒子を該溶融ワックス中に混合する。混合時に、該ワックス粒子は加熱され、該溶融ワックスは冷却されることになり、したがって、該混合物は所望の温度になるであろう。
【0099】
該小ワックス粒子が該溶融ワックスと同じ物質である必要はない。例えば、該小ワックス粒子は「軟質(softer)」ワックス、即ち、より容易に変形する又は可搬形生成物に用いられる液体中に溶解する大きな傾向を有するワックスでありうる。小ワックス粒子が軟質ワックスである場合には、該小ワックス粒子は効果的に溶融ワックス(「硬質(harder)」ワックス)で被覆されて、より大きいワックス粒子を形成する。これらの大きいワックス粒子は可搬形生成物の液体中への溶解に抵抗を示すであろう。軟質ワックスの例は、石油スラックワックス、含ワックス原油、石油スラックワックスと含ワックス原油からの留分、及びこれらの混合物を包含する。硬質ワックスの例は、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックスを包含する。
【0100】
小ワックス粒子は、上述したような、任意の適当な方法によって形成することができる。さらに、可搬形生成物中で輸送されるワックス粒子の形成には許容されない、他の方法を用いて、該小ワックス粒子を形成することができる。これらの付加的方法は、例えば、噴霧乾燥、フラッシュ乾燥、又はワックスの大きいピースの粉砕、摩砕及び篩分けのような方法を包含する。さらに、ワックスが容易に微細粒子に粉砕されるドライアイス温度に、ワックスを冷却することによって、小ワックス粒子を形成することができる。これらの方法は、可搬形生成物のワックス粒子には小さ過ぎる粒子を形成する;しかし、該方法は、その後に、可搬形生成物のワックス粒子の形成に用いられる小ワックス粒子として用いるために許容される粒子を形成する。さらに、該小ワックス粒子の形状は重要ではなく、該小ワックス粒子は被覆されることになるので、該小ワックス粒子が球状又はほぼ球状である必要はない。
【0101】
輸送されるワックス粒子を製造するための形成方法が、可搬形生成物を不安定にする原因となる過剰量の微細物を生成する場合には、該微細物を取り出すべきである。微細物は、可搬形生成物又は乾燥固体ワックス粒子のいずれかに対して行われる慣習的な篩分け操作によって、取り出すことができる。取り出された微細物は、再び溶融して、加工することができる。安定な可搬形生成物が、微細物取り出し工程なしに、製造されうるように、微細物の形成を最少にすることが好ましい。
【0102】
粒子を形成し、乾燥させるための装置の例は、Perry’s Chemical Engineers’ Handbook,4th editionに記載されている。
ワックス粒子を輸送液体に加えて、90〜20重量%の液体と、10〜80重量%のワックス粒子、好ましくは25〜80重量%のワックス粒子、より好ましくは28〜80重量%のワックス粒子、そしてさらにより好ましくは30〜80重量%のワックス粒子とを含む可搬形生成物を生成する。ワックス粒子は、可搬形生成物の液体に、任意の適当な方法によって加えることができ、このような方法は、ワックス粒子が如何にして形成されるかに依存して、変化しうる。これらの方法は当業者に周知である。ワックス粒子は、可搬形生成物の液体中で形成されることができる、したがって、該ワックス粒子を該液体に加えるための別の工程は必要でない可能性がある。
【0103】
(輸送)
可搬形生成物は、例えば、船舶による、パイプライン、鉄道車両又はトラックを含めた、任意の適当な手段によって輸送することができる。安全な操作と荷降ろしの容易さのために、可搬形生成物の液体は、60℃以上の引火点と、14.7psia以下、好ましくは11psia以下、より好ましくは9psia以下の20℃における真蒸気圧を有するべきである。
【0104】
ナフサ又は水中にワックス粒子を含む可搬形生成物は、僅かな改変を加えた慣習的原油タンカーで輸送することができる。しかし、安全な操作と荷降ろしの容易さのために、ナフサは、60℃以上の引火点と、14.7psia以下、好ましくは11psia以下、より好ましくは9psia以下の20℃における真蒸気圧、及び1.5mgKOH/g未満、好ましくは1.5mgKOH/g未満の酸価を有さなければならない。可搬形生成物の液体としてのナフサに、アルコールをブレンドして、上記規格が満たされるならば、慣習的なタンカーで輸送することができる。
【0105】
水を該液体として用いる場合には、水は真蒸気圧規格を満たし、また水は不燃性であるので、引火点規格も満たされることになる。水に関する重要な規格は、水がpH>5、好ましくはpH>6.5を有することである。
水−アルコール混合物を用いることもできる。引火点が>60℃であるならば、慣習的原油タンカーを用いることができる;さもなければ、揮発性液体に適した化学等級タンカーを用いなければならない。
【0106】
該液体中へのワックス粒子の溶解は、可搬形生成物及び該液体の温度の関数であるので、可搬形生成物の温度を、輸送中に許容できる温度に維持することが重要である。液体が炭化水素液体、例えばナフサである場合には、可搬形生成物を短時間といえども、50℃を超えない温度に維持することが重要である。炭化水素液体に関しては、可搬形生成物の温度が40℃を超えないように維持することが好ましく、長時間では、可搬形生成物の温度が30℃を超えないように維持することがより好ましい。該液体が炭化水素液体である場合には、該可搬形生成物の温度を約10〜30℃に維持することが、さらにより好ましい。上述したように温度を50℃以下に維持しながら、該温度が有意に変化しないことも重要である。したがって、好ましくは、温度が20℃未満だけ変化するように、より好ましくは10℃未満だけ変化するように、該温度を維持する。
【0107】
ワックス粒子は、アルコール、水又はこれらの混合物中に溶解しないように見えるが、加熱されたアルコール、水又はアルコール/水混合物中に溶解することはできる。したがって、該液体が>50重量%アルコール、≧50重量%水、及びアルコール/水混合物を含む場合には、該可搬形生成物を、65℃を超えない、好ましくは50℃を超えない温度に維持することが重要である。上述したように温度を65℃以下に維持しながら、該温度が有意に変化しないことも重要である。したがって、好ましくは、温度が20℃未満だけ変化するように、より好ましくは10℃未満だけ変化するように、該温度を維持する。
【0108】
本発明の可搬形生成物の輸送に用いる船舶は、幾つかの軽度な適応を必要とする可能性がある。例えば、該可搬形生成物をいったんポンプ汲み出ししたときに、ワックス粒子が該タンクの底部に残留する可能性がある。このような残留ワックス粒子は、例えば、フィッシャー−トロプッシュ軽液体生成物(即ち、フィッシャー−トロプッシュ凝縮物)、例えばジーゼル燃料のような他の炭化水素液体、又は水を含めた、再循環液体によって取り出すことができる。好ましくは、残留ワックス粒子の取り出しに用いる液体は、硫黄、窒素又は他の好ましくない種で該生成物を汚染してはならない。可搬形生成物から回収されるフィッシャー−トロプッシュ軽液体生成物(即ち、フィッシャー−トロプッシュ凝縮物)を、該タンクの底部からの微量のワックス粒子の取り出しを補助するために用いることができることが、最も好ましい。さらに、ポンプ汲み出し前及び中に、可搬形生成物中のワックス粒子の一様な分布を補助するために、船舶タンクの底部に、特にメイン生成物ポンプの入口(inlet)近くに該液体を若干再循環することが好ましいと考えられる。
【0109】
スラリーの輸送に用いるポンプは、粒子の不当な破壊を生じてはならない、このような破壊は小粒子を形成し、不安定な可搬形生成物を生じるからである。任意の数のポンプを、これらが該不当な破壊を生じない限り、用いることができる。適当なポンプの例は、Marcanaflo(登録商標)Slurry Systems、遠心分離ポンプ、置換ポンプ等を包含する。さらに、本発明による可搬形生成物を含有する貯蔵タンク又は船舶は、該タンクをガスで加圧し、該タンク内に誘導された圧力下で該可搬形生成物を放出させることによって、荷降ろしすることができる。輸送タンクを丘の頂上又は他の高所に配置することも可能であり、該可搬形生成物を重力によって新たな場所へ流動させることが可能である。
【0110】
好ましい方法では、ワックスを遠隔地の炭化水素資源から製造して、このワックスから形成されるワックス粒子を、販売可能な完成製品に転化するために先進地に輸送する。この方法では、炭化水素資源を合成ガスに転化し、合成ガスの少なくとも一部をフィッシャー−トロプッシュ・プロセスによって生成物流に転化する。該生成物流はパラフィンワックスと、一次炭化水素液体を含む。パラフィンワックスはワックス粒子に成形される。該ワックス粒子を液体に加えて、本発明による可搬形生成物を生成する。好ましくは、該液体の少なくとも一部が、やはりフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来するものである。該液体は炭化水素液体又は、該一次炭化水素生成物から、脱水、脱炭酸、吸着、水素化処理、水素化分解及びこれらの組み合わせから成る群から選択される方法によって形成されるアルコールであることができる。該液体は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスからの水副産物、又は冷却水からの水であることができる。ワックス粒子を該液体に加えて、液体90〜20重量%とワックス粒子10〜80重量%を含む、本発明による可搬形生成物を生成する。該可搬形生成物の安定性を保証するための適当な温度と輸送条件を維持しながら、該可搬形生成物を先進地まで輸送することができる。可搬形生成物を先進地で荷降ろしして、該可搬形生成物を販売可能な完成製品に転化する。追加の販売可能な完成製品に転化するために、輸送液体をさらに分離して、回収することができる。
【0111】
これらの方法では、合成ガスの一部をメタノール合成方法によってメタノールに転化することもでき、該メタノールを用いて、可搬形生成物の液体の少なくとも一部を生成することができる。さらに、可搬形炭化水素生成物の該液体は、全てがフィッシャー−トロプッシュ・プロセスに由来するか又はフィッシャー−トロプッシュ・プロセスとメタノール合成プロセスとに由来するものである液体の混合物を含むことができる。このようなものとして、これらの混合物は、メタノール、ナフサ、水又はこれらの混合物を含むことができる。
【0112】
(分離)
可搬形生成物を受け取ったならば、該液体とワックス粒子とを、例えば、簡単なスクリーンを用いる濾過、遠心分離、加熱、溶融及び蒸留を含めた、多くの方法によって分離することができる。好ましい方法は、加熱、溶融及び蒸留を包含する。
【0113】
可搬形生成物を溶融する場合には、注意しなければならない。最初に、その輸送温度(例えば、炭化水素液体を含む可搬形生成物に関しては50℃以下又はアルコール若しくは水を含む可搬形生成物に関しては65℃以下)に維持された可搬形生成物は、ポンプ汲み出し可能であり、該可搬形生成物は、ワックス融点を超えるような高温にひと度なったならば、やはりポンプ汲み出し可能である。しかし、中間温度では、該ワックス粒子は凝固して、ポンプ汲み出し不能で、粘稠な半固体若しくは固体を形成する可能性がある。それ故、該可搬形生成物を輸送するには、加熱されたパイプラインの使用は好ましくない。これに反して、可搬形生成物に対しては、パイプラインを、本明細書に記載するように、該可搬形生成物の温度が過度に変化しないように、即ち、20℃未満だけ、より好ましくは10℃未満だけ変化するように、適当な温度に維持するべきである。半固体若しくは固体の凝固塊形成の問題のために、交換及び炉によって、本明細書に記載するような可搬形生成物を加熱することも困難でありうる。それ故、例えば米国特許第6,294,076号に記載されているような方法によって、本発明による可搬形生成物を直接蒸留することは、問題に直面する可能性があり、好ましくない。
【0114】
本発明による可搬形生成物のワックス粒子と液体とを分離するための好ましい方法を、図1に示す。この方法は、溶融ワックス中に可搬形生成物をその輸送温度において注入することによって、溶融ワックスが回収されるように、ワックス粒子を溶融する。図示するように、溶融ワックス含有容器中に可搬形生成物を注入する。注入時に、可搬形生成物は、その輸送温度(例えば、炭化水素液体に関しては50℃以下、好ましくは10〜30℃、又はアルコールとは水に関しては50℃以下)に維持される。容器内の溶融ワックスは、ワックス粒子の融点以上の温度に維持される。可搬形生成物の液体の一部は、揮発する可能性があり、該揮発した液体は回収することができる。溶融ワックスの少なくとも一部は、該容器から取り出して、販売可能な完成製品に転化するためのワックスを得ることができる。揮発した液体は凝縮させて販売可能な完成製品に転化する又はアップグレードすることもできる。
【0115】
可搬形生成物が水を含む実施態様では、該水をワックス粒子から分離しなければならない。ワックス粒子が取り出されるのを防止する、慣習的な密度の又はAmerican Petroleum Institute(若しくはAPI)セパレータの、水取り出し区間(water takeoff leg)にわたるスクリーンを置くことによって、可搬形生成物から水を分離することができる。水は典型的に、慣習的密度(又はAPI)セパレータによって生成物から分離される。
【0116】
さらに、可搬形生成物中に水が存在する場合は、図1に図示するような、可搬形生成物のワックス粒子と液体とを分離する好ましい方法を用いることができる。水が存在する場合に、容器中の圧力と温度は、ワックスが溶融状態で留まり、水が少なくとも部分的に液体で留まるように維持される。水を沸騰させるのは高熱負荷及び高蒸気トラフィック(high vapor traffic)を惹起しうるので、水を沸騰させるのではなく、水の少なくとも一部を液体として維持することが重要である。若干の水蒸気を含む、気化した液体が回収される。次に、液体状態の水の少なくとも一部を、溶融ワックスから分離して、界面レベル・コントロールを装備した、慣習的な液体−液体セパレータによって回収する。溶融ワックスの少なくとも一部を、販売可能な完成製品への転化又はアップグレーディングのために回収する。
【0117】
回収ワックスは、ジーゼル、ジェット燃料、潤滑基油、これらのブレンディング構成要素、及び完成ワックスを生産するために、既知手法によって用いることができる。回収ナフサは、ガソリン、芳香族類又はオレフィンを生産するために用いることができ、オレフィンはナフサ分解によって生産される。精製が必要である可能性がある回収メタノールは、例えば、Methyl Tertiary Butyl Ether又は溶媒、試薬若しくは燃料のような、慣習的なメタノール市場に用いることができる。回収メタノールは、ゼオライト又はホスフェート含有モレキュラーシーブ上での反応によって、エチレン及びプロピレンを生産するためにも用いることができる。回収ワックス、回収ナフサ及び回収メタノールからのこれらの販売可能な完成製品を製造するための方法は、当業者に周知である。
【0118】
(具体的な実施態様)
図2に例示する、本発明の好ましい実施態様によると、遠隔地において、空気(1)を空気分離装置(100)中で分離して、酸素(2)と低温窒素(3)を形成する。リホーマー(200)中で、酸素(2)にメタン含有流(4)をスチーム(図示せず)及び再循環合成ガス(図示せず)と共に混合して、合成ガス(5)を製造する。合成ガス(5)をスラリー床フィッシャー−トロプッシュ装置(300)中でコバルト触媒を用いて反応させて、液体ワックス生成物(6)と蒸気相(7)を製造する。蒸気相(7)を冷却して、セパレータ(400)に送る、ここでは、酸性水(8)、60°Fを超える引火点を有する酸性凝縮物(9)並びに、未反応合成ガスとブタン、プロパン及び軽炭化水素(lighter hydrocarbons)を含む軽生成物(10)が生成される。ブタンとプロパンは回収されて、このようなものとして販売される(図示せず)。未反応合成ガスは、フィッシャー−トロプッシュ装置(300)とリホーマー(200)(図示せず)に再循環する。酸性凝縮物(9)は凝縮物処理装置(Condensate Treater)(500)中で、5hr−1の液体毎時空間速度、50psigの圧力及び680°Fの温度を含めた条件下でアルミナ上を通すことによって処理して、0.5mgKOH/g未満の酸価と60°Fを超える引火点を有する処理済み凝縮物(11)を生成する。処理済み凝縮物(11)、液体ワックス生成物(6)及び低温窒素(3)は粒子形成装置(Particle Formation Unit)(600)に送られる、そこでは、液体ワックス生成物(6)が装置(600)の頂部に注入されて、低温窒素(3)を通って下方に落下させられる。処理済み凝縮物(11)は装置(300)の底部に加えられ、少なくとも部分的に凝固したワックス粒子が、処理済み凝縮物(11)中に落下して、可搬形生成物(12)を形成する。処理済み凝縮物とワックス粒子との可搬形生成物(12)を取り出して、先進地に輸送する。該可搬形生成物(12)は、20℃において5週間測定した場合に、合格安定性評価を有する。加熱された窒素を容器(図示せず)の頂部から取り出して、排気するか又はフレア(flare)に送る。
【0119】
或いは、酸性水(8)を水処理装置(700)中で処理して、6.5より大きいpHを有する処理済み水(13)を形成することができる。処理済み水(13)を粒子形成装置(600)に、処理済み凝縮物(11)の代わりに送る。ワックス粒子が上述したように形成されて、処理済み水(13)中に落下して、処理済み水とワックス粒子との可搬形生成物(12)を形成する。
【実施例】
【0120】
本発明を、非限定的であるように意図される下記具体的実施例によってさらに説明する。
【0121】
(実施例1)
フィッシャー−トロプッシュ酸性留出物
経済的見地から、液体として、水又はメタノールではなくフィッシャー−トロプッシュ軽生成物(凝縮物とナフサ)を用いて、ワックス粒子を輸送することが好ましい。しかし、フィッシャー−トロプッシュ軽生成物は、しばしば、アルコール及び酸の形で酸素化物を含有する。これらの酸素化物は、0.5mgKOH/gより大きい中和価と、恐らくは弱い腐食を生じる可能性がある。これらのアルコールと酸は、下記実験では、脱水及び脱炭酸によって取り出された。
【0122】
フィッシャー−トロプッシュ・プロセスによって生じる2種類の酸性留出物を得た。第1留出物(フィードストックA)は、鉄触媒の使用によって生成した。第2留出物(フィードストックB)は、コバルト触媒の使用によって生成した。両方のフィードの生成に用いたフィッシャー−トロプッシュ・プロセスは、スラリー相で操作した。2種類のフィードの性質は以下の表IV以降に示す。
【0123】
フィードストックAは、有意な量の溶解鉄を含有し、オレフィン系でもある。これは著しく弱い腐食評価を有する。
本発明のためには、フィードストックBが好ましい。これは、僅かな酸素化物を含有し、低い酸含量を有し、弱腐食性である。したがって、ブレンド燃料に用いるためのオレフィン系留出物を鉄触媒ではなくコバルト触媒から生成することが好ましい。
【0124】
ASTM D6550の修正版(超臨界流体クロマトグラフィー−SFCによってガソリンのオレフィン含量を測定するための標準試験方法)を用いて、フィードストックと生成物のグループ・タイプ(group types)を測定した。修正方法は、3点キャリブレーション基準を設けることによって、飽和物、芳香族類、酸素化物及びオレフィンの総量を定量することである。下記化合物を用いて、キャリブレーション基準溶液を製造した:ウンデカン、トルエン、n−オクタノール及びドデセン。定量のために、外部基準方法を用いた、そして芳香族類と酸素化物の検出限界は0.1重量%であり、オレフィンの検出限界は1.0重量%である。機器条件に関してはASTM D6550を参照のこと。
【0125】
燃料サンプルの小アリコートを、直列に接続した、1組の2クロマトグラフィーカラム上に注入して、移動相として超臨界二酸化炭素を用いて展開させた。第1カラムには、広表面積シリカ粒子を充填した。第2カラムは、銀イオンを負荷した広表面積シリカ粒子を含有した。
【0126】
異なる種類の構成要素をクロマトグラフィー系からデテクターまで導くために、2つの切り替え弁を用いた。前進流モードで、飽和物(直鎖及び分枝鎖アルカン類と、環状アルカン類)は、両方のカラムをデテクターまで通過し、芳香族類と酸素化物は、シリカカラムに保持される。その後に、芳香族類と酸素化物をシリカカラムからデテクターまで、バックフラッシュ・モードで溶出させた。最後に、該オレフィン類を銀負荷カラムからデテクターまでバックフラッシュした。
【0127】
定量のためには、火炎イオン化デテクター(FID)を用いた。キャリブレーションは、飽和物、芳香族類、酸素化物及びオレフィン類のクロマトグラフィーシグナルの面積に基づいて、密度に関して補正した、総飽和物、芳香族類、酸素化物及びオレフィン類の既知質量%を含有する基準比較物質に比較して、行なった。全ての分析物の合計は、100%の3%以内であったが、便宜的に100%に標準化した。
【0128】
オレフィン類の重量%も、臭素価と平均分子量から、次式を用いて算出することができる:
オレフィン重量%=(臭素価)(平均分子量)/159.8
【0129】
平均分子量を適当な方法によって直接測定することが好ましいが、平均分子量を“Prediction of Molecular Weight of Petroleum Fractions”A.G.Goosens,IEC Res.1996,35,p985−988に記載されているように、API重力と中間沸点(mid−boiling point)を用いて、相関関係によって推定することもできる。
【0130】
オレフィン類と他の構成要素は、上述したような修正SFC法によって測定することが好ましい。
該フィードストックのGCMS分析によって、飽和物が殆ど排他的にn−パラフィンであり、酸素化物が主として第1級アルコールであり、オレフィン類が主として第1級線状オレフィン(αオレフィン)であることが判明した。
【0131】
(実施例2)
脱水及び脱炭酸分析
商業的シリカ・アルミナとアルミナ押出成形物を、実施例1からの酸性ナフサの脱水及び脱炭酸に関して評価した。押出成形物の性質を以下の表IIIに示す。
【0132】
【表3】

【0133】
(実施例3)
シリカ・アルミナ上での脱水及び脱炭酸
1インチ下流反応器で、再循環ガス及び液体を加えずに、脱水実験を行なった。触媒量は120ccであった。
Feに基づく凝縮物(フィードA)を商業的シリカ・アルミナで処理した。この触媒を50psigと、480°F、580°F及び680°Fの温度において、1hr−1及び3hr−1のLHSVで試験した。1hr−1のLHSVでは、3種類の温度の全てにおいて総オレフィン含量は69〜70%であり、このことは、該酸素化物の完全な転化を意味した。680°Fにおいては、軽生成物収率によると若干の分解が見られた:総C4−は1.2%であり、C5−290°Fは25%(vs.フィードストック中20%)であった。3hr−1のLHSV及び480°Fと580°Fにおいて、総オレフィンは低くなり、53〜55%であった。680°F及び3hr−1のLHSVにおいて、高脱水活性が得られ、総オレフィン含量は69%であった。GCMSデータは、有意な量の1−オレフィンが内部オレフィン又は分枝鎖オレフィンに転化したことを示した。480°Fにおいて最初に総オレフィンは69%であったが、試験の終了近くでは(〜96時間操業)55%であった。触媒を取り外した後に、触媒上に有意な量の炭素が見られた。触媒は明らかに汚染されていた。
【0134】
【表4】

【0135】
3hr−1のLHSV及び680°Fにおける試験からの生成物(D)の詳細な分析を以下の表VIに示す。酸素の84%が除去され、腐食評価は改良され、鉄は検出レベル未満に減少した。ナフサの酸性度は25%だけ低下した。オレフィン含量の増加と酸素化物含量の減少によって示されるように、酸素化物はオレフィンに転化した。
【0136】
(実施例4)
アルミナ上での脱水及び脱炭酸
Coに基づく低温凝縮物(フィードストックB)も、実施例2におけると同様に、但しアルミナ触媒によって処理した。480°F〜730°Fの温度及び1hr−1〜3hr−1のLHSV値を用いた。高温及び1hr−1のLHSVでは、GCMSデータは、二重結合異性化が顕著である(α−オレフィン含量減少)ことを示した。5hr−1のLHSV及び580°Fでは、脱水転化が有意に低く、オレフィンの大部分は第1級線状オレフィンであった。この試験を2000時間ランしたが、汚染の徴候はなかった。
【0137】
【表5】

【0138】
これらの結果は、サンプルから酸素化物の全てを取り出して、それらをオレフィンに転化することが可能であることを示す。高い酸素化物取り出しレベルでは、αオレフィンの有意な部分が内部オレフィンに異性化されるが、このことは、留出燃料又は留出燃料ブレンド成分としてのそれらの価値を減じない。
【0139】
生成物(C)は、5hr−1のLHSV及び680°Fでの操作から生成された。詳細な性質は、以下の表IVに示す。酸素の87%が除去され、酸性度は55%だけ低下し、サンプル中の痕跡量の鉄は除去された。最終物質の酸性度は、0.5mgKOH/g(原油の典型的な最大値)未満であった。酸素化物は、酸素化物含量の減少にほぼ一致するオレフィン含量の増加によって示されるように、オレフィンに転化した。
【0140】
【表6】

【0141】
(実施例5)
酸素化物の吸着
高温処理によって除去されない、痕跡レベルの酸素化物は、ナトリウムXゼオライト(EM Scienceからの市販13Xシーブ、Type13X、8−12Mesh Beads,Part Number MX1583T−1)を用いる吸着によって除去することができる。
吸着試験を、上昇流固定床装置(up−flow fixed bed unit)中で行なった。吸着試験のためのフィードは、Co凝縮物(フィードB)を5hr−1のLHSV、680°F及び50psigにおいてアルミナ上でプロセシングすることによって生成した。吸着試験のための該フィードは、0.47の酸価と0.6%のSFCによる酸素化物含量を有した。
【0142】
吸着のためのプロセス条件は:周囲圧力、室温及び0.5hr−1のLHSVであった。処理済み生成物の酸素化物含量はSFC法によってモニターした。吸着実験は、0.1%以上の酸素化物含量の出現として定義されるブレイクスルーまで、続けた。該ブレイクスルーは、該シーブがフィードと生成物酸素化物に基づいて14重量%の等量を吸着した時に、発生した。処理後の生成物は、中性子活性化によって0.05重量%酸素、<0.1ppm窒素及び総酸価0.09を示した。
吸着材は、既知方法:酸化燃焼、不活性雰囲気中でのか焼、水洗浄等及びこれらの組み合わせによって再生することができる。
これらの結果は、吸着方法を酸素化物除去に対しても用いることができることを実証した。これらは、このようなものとして、又は脱水と組み合わせて用いることができる。
【0143】
(実施例6)
ワックス粒子の製造
5週間貯蔵後の「ポンプ汲み出し可能性」に対する粒度の影響を試験するために、未処理溶融フィッシャー−トロプッシュ・ワックスを空気に通して落下させ、次に、ASTM E11規格に適合するステンレス鋼スクリーンを用いて、3サイズ範囲:6〜8メッシュ(3.4mm〜2.4mm)、24〜40メッシュ(0.7mm〜0.4mm)、及び40メッシュ未満(<0.4mm)にワックス粒子を篩分けすることによって、種々なフィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子のシリーズを製造した。該粒子が適当に形成された、適当な特定サイズ及び形状のものであることを保証するために、種々なサイズ範囲を顕微鏡下で調べた。顕微鏡の目盛付きアイピースを用いて、粒度を測定した。好ましい実施態様として、球状若しくは半球状であるように見えない粒子の全てを、ピンセットを用いて取り出した。24〜40メッシュ範囲(0.7mm〜0.4mm)及び<40メッシュ範囲(<0.4mm)内の粒子は、まさに球状の形状であった。しかし、6〜8メッシュ(3.4mm〜2.4mm)範囲内の粒子の約1%は、主軸の、短軸に対する比率が3より大であるフラットディスクであった。2つの融合粒子から成る、篩分け6〜8メッシュサイズ範囲内のごく少ない割合の粒子も存在した。好ましい実施態様として、残留する粒子が、主軸の、短軸に対する比率が3未満である、球状若しくは半球状の形状であるように、球状若しくは半球状であるように見えない粒子を除去した。6〜8メッシュ粒子の平均サイズは2.9mmである。
【0144】
球状若しくは半球状であるように見えない粒子を取り出して、可搬形生成物の安定性に対する粒度の影響を調べるために用いる実験サンプルを作製した。市販サンプル中の一定メッシュサイズを通過するワックス粒子の割合を評価する場合には、この取り出し手段を行なう必要はない。
未処理フィッシャー−トロプッシュ・ワックスの性質を表VIIに示す。
【0145】
【表7】

【0146】
(実施例7)
液体中のワックス粒子の安定性に関する試験方法
安定性試験: 6〜8メッシュ以下の粒子に対して、液体中ワックス粒子の溶液の安定性試験を、次の方法によって行なう:
【0147】
1.Fisher Scientificから入手した8ドラムPyrexバイアル(25mmODx95mm高さ、Catalog No.03−338)中の所定量の粒子に、点眼器から所定量の液体を加えた。該バイアルをあまり激しくないように注意して、運動又は振とうさせて、いずれにしろ、該液体が該ワックス・スフェア全体に通して行き渡ることができるようにした。
2.可搬形生成物を含有するバイアルを所定温度において5週間貯蔵した。この時間中に、該バイアルを動かさなかった。
3.該バイアルを逆さにして、該粒子が該バイアルの底部まで落下するかどうかを観察することによって、混合物の安定性を評価する。
【0148】
「所定(prescribed)」とは、本明細書に記載するような範囲内の輸送条件を代表するものを意味する。粒子の所定量は、輸送される量であり、10〜80%の範囲でありうる。次に述べる実験では、典型的な最大濃度を表す50%を用いる。実験のための温度は、変化することができるが、20℃が遠洋航海中の典型的な温度であるので、20℃が所定温度である。
【0149】
該粒子が3秒間以内に底部まで落下する場合に、又は粒子の大部分が5回未満の軽いタップ(この場合軽いタップは逆さにしたバイアルを3cmの高さから落下させることによって生じる)で底部まで落下する場合に、満足すべき安定性が得られる。
【0150】
【表8】

【0151】
6〜8メッシュ粒子に関しては、該バイアルの内径の、平均粒子のサイズに対する比率は7である。より大きいワックス粒子に関しては、より大きいガラス容器を用いるべきであるが、容器の直径の、粒子のサイズに対する比率は常に7を超えるべきである。
【0152】
(実施例8)
弱酸性凝縮物中の6〜8メッシュ粒子の安定性
8ドラムPyrexバイアル中の6〜8メッシュ範囲内のワックス粒子3gに、弱酸性凝縮物(実施例5の生成物)3gを加えた。次に、該バイアルを20℃において5週間放置した。この時点で、バイアルを上下逆にした、軽いタップ後に、該生成物の大部分はバイアルを滑り落ちた。評価は2であった。液体ナフサはごく僅かに濁っており、したがって、ごく少量のワックスが該凝縮物中に溶解していることを示した。このことは、6〜8メッシュサイズのフィッシャー−トロプッシュ・ワックス/凝縮物の可搬形生成物が、20℃で貯蔵した場合に、少なくとも5週間ポンプ汲み出し可能な状態に留まることを実証する。可搬形生成物は、長時間放置した後のポンプ汲み出し直前に、穏やかに撹拌することのみを必要とする可能性がある。これらの結果は、50重量%のワックスを含有する、本発明による可搬形生成物が船輸送可能であることを実証する、これは有意義な改良である。
【0153】
(実施例9)
比較例
弱酸性凝縮物中の24〜40メッシュ粒子の安定性
8ドラム・バイアル中の24〜40メッシュ範囲内のワックス粒子3gに、弱酸性凝縮物(実施例5の生成物)3gを加えて、次に、該バイアルを20℃において5週間放置した。この時点で、バイアルを上下逆にした、5回の軽いタップ後に、該生成物はバイアルを滑り落ちなかった。評価は失敗−6であった。粒子間の液体ナフサは今や白色固体であった。小さい粒度のために、該5週間中に多すぎるワックスが該凝縮物中に溶解していた。これはゲル化していた。この物質は、加熱せずには、容易にポンプ汲み出しすることは不可能であった。この実施例は、ワックス粒子の粒度の重要性を示す。
【0154】
(実施例10)
比較例
弱酸性凝縮物中の<40メッシュ粒子の安定性
8ドラム・バイアル中の<40メッシュサイズのFTワックス粒子3gに、弱酸性凝縮物(実施例5の生成物)3gを加えて、次に、該バイアルを20℃において5週間放置した。この時点で、バイアルを上下逆にした、5回の軽いタップ後に、該生成物はバイアルを滑り落ちなかった。評価は失敗−6であった。粒子間の液体ナフサは今や白色固体であった。小さい粒度のために、該5週間中に多すぎるワックスが該凝縮物中に溶解していた。これはゲル化していた。この物質は、加熱せずには、容易にポンプ汲み出しすることは不可能であった。この実施例は、ワックス粒子の粒度の重要性を示す。
【0155】
(実施例11)
比較例
50℃における弱酸性凝縮物中の6〜8メッシュ粒子の安定性
8ドラム・バイアル中の6〜8メッシュ範囲内の球状ワックス粒子3gに、弱酸性凝縮物(実施例5の生成物)3gを加えた。次に、該バイアルを50℃において5週間放置した。室温に冷却後に、バイアルを上下逆にした、5回の軽いタップ後に、該生成物はバイアルを滑り落ちなかった。評価は失敗−6であった。高温のために、フィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子は、ナフサ中に完全に溶解して、白色固体を形成していた。この物質は、加熱せずには、容易にポンプ汲み出しすることは不可能であった。この実施例は、貯蔵と輸送中に、過度の温度を避けることの重要性を示す。
【0156】
(実施例12)
メタノール中の6〜8メッシュ粒子の安定性
8ドラム・バイアル中の6〜8メッシュサイズのフィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子10gに、メタノール10gを加えて、20℃において7週間放置した。この時点で、時を違えずに、バイアルを上下逆にすると、該可搬形生成物は直ちにバイアルを滑り落ちて、この可搬形生成物がまだポンプ汲み出し可能であることを実証した。評価は1であった。この実施例は、該液体の組成が重要であることを例示する。例示したように、メタノールは、ワックス粒子をあまり溶解しないので、炭化水素液体を含む可搬形生成物に比べて、より安定な可搬形生成物を形成する。メタノール、水及びこれらの混合物は、粒度が非常に小さい場合にも、安定な可搬形生成物を形成する筈である。これらの液体に対して、粒度は140メッシュまで<25%、好ましくは140メッシュまで<10%、より好ましくは8メッシュまで<10%、さらにより好ましくは7メッシュまで<10%であるべきである。
【0157】
(実施例13)
メタノール−水混合物中の6〜8メッシュ粒子の安定性
8ドラム・バイアル中の6〜8メッシュサイズのフィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子10gに、メタノール8gと水2gを加えて、20℃において7週間放置した。この時点で、バイアルを上下逆にすると、可搬形生成物は直ちにバイアルを滑り落ちて、この可搬形生成物がまだポンプ汲み出し可能であることを実証した。評価は1であった。この実施例は、該液体の組成とワックス粒子の粒度の重要性を例示する。メタノール−水混合物によると、より小さいワックス粒子を輸送することができるので、該可搬形生成物を、例えば60℃未満の密閉式引火点を有するメタノールのような液体を扱うように設計された容器で輸送することができるならば、この混合物は、炭化水素液体よりも好ましいと考えられる。
【0158】
(実施例14)
高温メタノール中の6〜8メッシュ粒子の安定性
実施例11のサンプルを、50℃のオーブンに1日間入れ、その後、室温にまで冷却した。該メタノールはもはや透明ではなく、フィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子の一部が高温メタノール中に溶解して、冷却時に溶液から析出していることを示した。バイアルを上下逆さにしたときに、粒子を遊離させるには、軽いタップが必要であった。評価は2であった。この実施例は、可搬形生成物の温度を、メタノール/ワックス可搬形生成物が50℃を超えて加熱されないように、維持することの重要性を実証する。
【0159】
(実施例15)
高温メタノール−水混合物中の6〜8メッシュ粒子の安定性
実施例12からのサンプルを、50℃のオーブンに1日間入れ、その後、室温にまで冷却した。実施例13とは対照的に、該メタノール/水混合物はまだ透明であり、バイアルを上下逆さにしたときに、可搬形生成物は直ちに該バイアルを滑り落ちた。評価は1であった。この実施例は、該可搬形生成物が50℃を超える温度に曝されるような場合には、メタノール−水混合物がメタノールよりも好ましいと考えられることを実証した。
【0160】
(実施例16)
凝縮物・ワックス混合物の安定性に対するワックス粒度の影響
弱酸性凝縮物(実施例5の生成物)3gとFTワックス粒子3gを含有する、一連の可搬形生成物を8ドラム・バイアル中で製造した。該バイアルを20℃において5週間放置し、その後に、実施例7に記載したような安定性試験において評価した。
【0161】
【表9】

【0162】
これらの結果は、微細な粒子の量が過剰でないならば、凝縮物中のワックスの安定な混合物を製造することができることを実証する。最後の実験は重要である。最後の実験では、30〜48メッシュサイズを有する微細なワックス8.3重量%を、6〜7メッシュのワックスに加えた、この混合物は20℃において5週間安定であった。追加の微細物質は安定な混合物を製造するように思えなかった。したがって、液体として凝縮物を含む可搬形生成物のためのワックス・サイズの限界を、8メッシュ(1.2mm)未満の物質10重量%以下、好ましくは7メッシュ(2.8mm)未満の物質10重量%以下として確立することができる。
【0163】
(実施例17)
可搬形生成物の安定性に対する液体分子量の影響
フィッシャー−トロプッシュ・ワックス由来の2種類の潤滑基油を用意した。これらの潤滑基油は、ヘテロ原子含量が非常に低いイソパラフィン系である。性質は以下に示す。
【0164】
【表10】

【0165】
潤滑基油3gと実施例6から製造されたワックス粒子3gから成る可搬形生成物を製造した。これらの可搬形生成物を、20℃での5週間目における可搬形生成物安定性試験で評価した。結果は、表XIに示す。
【0166】
【表11】

【0167】
6〜7メッシュ粒子に関する、これらの結果は、実施例17からの結果よりも著しく不良であり(評価2に対して評価4〜5)、可搬形生成物の形成に低分子量炭化水素液体を用いることの重要性を説明している。したがって、炭化水素液体の分子量は好ましくは<600、より好ましくは<300、さらにより好ましくは100〜200であるべきである。
【0168】
(実施例18)
メタノール中の小メッシュサイズ・ワックス粒子の安定性
30〜40メッシュサイズ・フィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子のサンプルを、実施例6に記載した方法に従って製造した。4ドラム・バイアル中の30〜40メッシュサイズ・フィッシャー−トロプッシュ・ワックス粒子1gに、メタノール1gを加えて、20℃において5週間放置した。この時点において、時を違えずに、該バイアルを上下逆さにした、可搬形生成物は直ちにバイアルを滑り落ち、したがって、該可搬形生成物がポンプ汲み出し可能に留まっていることを実証した。評価は1であった。この実施例は、液体としてメタノールを用いた場合に安定である可搬形生成物の形成に、炭化水素液体を含む可搬形生成物に比べて、著しく小さいメッシュサイズのワックス粒子を用いることができることを実証する。
【0169】
本発明を特定の実施態様に関して説明したが、本出願は、特許請求項の要旨及び範囲から逸脱せずに、当業者によってなされうるような、種々な変化及び置換を包含するように意図される。
【図面の簡単な説明】
【0170】
【図1】図1は、本発明による可搬形生成物のワックス粒子と液体とを分離する方法を例示する。
【図2】図2は、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来のワックス粒子を含有する可搬形生成物を生成するための実施態様を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃において測定した時に≦14.7psiaの蒸気圧を有する液体90〜20重量%と、
(b)0.1mmより大きいワックス粒子を75重量%以上含むワックス粒子10〜80重量%
を含む可搬形生成物。
【請求項2】
ワックス粒子が、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックス粒子、石油由来ワックス粒子及びこれらの組み合わせから成る群から選択される、請求項1記載の生成物。
【請求項3】
ワックス粒子が、フィッシャー−トロプッシュ由来ワックス粒子である、請求項1記載の生成物。
【請求項4】
可搬形生成物が、20℃において5週間測定したときに、合格安定性評価を有する、請求項1記載の生成物。
【請求項5】
可搬形生成物が、30〜80重量%のワックス粒子を含む、請求項1記載の生成物。
【請求項6】
該液体の少なくとも一部が、フィッシャー−トロプッシュ由来液体である、請求項1記載の生成物。
【請求項7】
該液体が、>6.5のpHを有する、請求項1記載の生成物。
【請求項8】
該液体がアルコールをさらに含む、請求項1記載の生成物。
【請求項9】
該液体が、アルコールと水との均質な混合物である、請求項8記載の生成物。
【請求項10】
該液体が、90重量%以上の水と、10重量%以上のアルコールを含む、請求項8記載の生成物。
【請求項11】
該液体が、≧60℃の引火点を有する、請求項8記載の生成物。
【請求項12】
該アルコールが、メタノール、エタノール、プロパノール、イソ−プロパノール、ブタノール、t−ブタノール、及びこれらの混合物から成る群から選択される、請求項8記載の生成物。
【請求項13】
該アルコールが、メタノール≧90重量%を含む、請求項8記載の生成物。
【請求項14】
該メタノールが、メタノール合成プロセス由来である、請求項13記載の生成物。
【請求項15】
該液体が、水≧95重量%を含む、請求項1記載の生成物。
【請求項16】
該ワックス粒子が、50mmより小さい、請求項1記載の生成物。
【請求項17】
該ワックス粒子が、0.1mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項16記載の生成物。
【請求項18】
該ワックス粒子が、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項16記載の生成物。
【請求項19】
該ワックス粒子が、スフェア、セミスフェア、フラットディスク、ドーナッツ、円筒状押出物、多葉性押出物、及びこれらの混合物の形状である、請求項1記載の生成物。
【請求項20】
(a)パラフィンワックスからの0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子を形成する工程;
(b)≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に、該ワックス粒子を加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する工程;
(c)該可搬形生成物を輸送する工程;及び
(d)該液体から該ワックス粒子を分離する工程
を含む、ワックスの輸送方法。
【請求項21】
該パラフィンワックスが、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来である、請求項20記載の方法。
【請求項22】
該可搬形生成物が、20℃において5週間測定したときに合格安定性評価を有する、請求項20記載の方法。
【請求項23】
該可搬形生成物が、30〜80重量%のワックス粒子を含む、請求項20記載の方法。
【請求項24】
該液体が、>6.5のpHを有する、請求項20記載の方法。
【請求項25】
該液体の少なくとも一部が、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来である、請求項20記載の方法。
【請求項26】
該液体がアルコールをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項27】
該液体が、水≧90重量%と、アルコール≦10重量%を含む、請求項26記載の方法。
【請求項28】
該液体が、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来の水副産物、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの冷却水からの水、及びこれらの混合物から選択される、請求項25記載の方法。
【請求項29】
該アルコールが、≧90重量%のメタノールを含む、請求項26記載の方法。
【請求項30】
該メタノールが、メタノール合成プロセス由来である、請求項29記載の方法。
【請求項31】
該ワックス粒子が50mmより小さい、請求項20記載の方法。
【請求項32】
該ワックス粒子が、0.1mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項31記載の方法。
【請求項33】
該ワックス粒子が、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項31記載の方法。
【請求項34】
該可搬形生成物を≦65℃の温度に維持することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項35】
該可搬形生成物を≦50℃の温度に維持することをさらに含む、請求項20記載の方法。
【請求項36】
該温度の変化を<20℃にすることをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項37】
該温度の変化を<10℃にすることをさらに含む、請求項34記載の方法。
【請求項38】
該ワックス粒子が、溶融ワックスから、液体中で冷却、ガス中で冷却、鋳造、成形、押出成形、球状化、及びこれらの組み合わせから成る群から選択される方法によって形成される、請求項20記載の方法。
【請求項39】
該ワックス粒子が溶融ワックスと小固体ワックス粒子とからの混合物から形成され、該小固体ワックス粒子が、形成されるワックス粒子よりも小さい、請求項20記載の方法。
【請求項40】
該ワックス粒子が該液体から、
(i)可搬形生成物を容器中の溶融ワックス中に注入する工程であって、該可搬形生成物が注入時に≦65℃の温度であり、該容器内の圧力と温度が、溶融ワックスが溶融状態で留まり、水分が少なくとも部分的に液体状態であるように維持される工程;
(ii)いずれの気化液体をも回収する工程;
(iii)該溶融ワックスから液体状態の水分の少なくとも一部を分離する工程;及び
(iv)該溶融ワックスの少なくとも一部を回収する工程
を含む方法によって分離される、請求項20記載の方法。
【請求項41】
該液体がさらにアルコールを含み、該アルコールが気化液体として回収される、請求項40記載の方法。
【請求項42】
可搬形のフィッシャー−トロプッシュ由来生成物の製造方法であって、
(a)フィッシャー−トロプッシュ合成を行なって、実質的パラフィンワックス生成物を含む生成物流を得る工程;
(b)該生成物流から、該実質的パラフィンワックス生成物を単離する工程;
(c)該実質的パラフィンワックスから、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子を形成する工程;及び
(d)≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に、該ワックス粒子を加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する工程
を含む方法。
【請求項43】
該混合物が20℃において5週間測定したときに合格安定性評価を有する、請求項42記載の方法。
【請求項44】
該可搬形生成物が30〜80重量%ワックス粒子を有する、請求項42記載の方法。
【請求項45】
該液体の少なくとも一部が、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来である、請求項45記載の方法。
【請求項46】
該液体が、フィッシャー−トロプッシュ・プロセス由来の水副産物、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスの冷却水からの水、又はこれらの混合物を含む、請求項45記載の方法。
【請求項47】
該アルコールがさらにアルコールを含む、請求項42記載の方法。
【請求項48】
該アルコールがメタノールであり、メタノール合成プロセス由来である、請求項47記載の方法。
【請求項49】
該ワックス粒子が50mmより小さい、請求項42記載の方法。
【請求項50】
該ワックス粒子が、0.1mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項49記載の方法。
【請求項51】
該ワックス粒子が、2.8mmより大きいワックス粒子≧90重量%を含む、請求項49記載の方法。
【請求項52】
遠隔地で炭化水素資源を生成物に転化して、該生成物を販売可能な完成製品に転化するために先進地に供給する方法であって、
(a)炭化水素資源を合成ガスに転化する工程;
(b)該合成ガスの少なくとも一部を、フィッシャー−トロプッシュ・プロセスによって転化して、パラフィンワックス生成物と水性流を得る工程;
(c)該ワックスを、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子に成形する工程;
(d)該水性流の少なくとも一部を、その酸性含量を減ずるように処理して、>5のpHを有する処理済み水性流を得る工程;
(e)該処理済み水性流の少なくとも一部に、該ワックス粒子を加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する工程;
(f)該可搬形生成物を≦65℃の温度に維持する工程;
(g)該可搬形生成物を先進地に輸送する工程;
(h)該可搬形生成物を先進地で荷降ろしする工程;
(i)該処理済み水性流から該ワックス粒子を分離する工程;及び
(j)該ワックス粒子の少なくとも一部を販売可能な完成製品に転化する工程
を含む方法。
【請求項53】
少なくとも1つの第1遠隔地と少なくとも1つの第2先進地を包含する、可搬形生成物を輸送する方法であって、
(a)1つ又は複数の遠隔地で、下記工程:
(i)パラフィンワックスから、0.1mmより大きいワックス粒子≧75重量%を含むワックス粒子を成形する工程;及び
(ii)≧50重量%の水分を含み、>5のpHと、20℃で測定したときに≦14.7psiaの真蒸気圧を有する液体に、該ワックス粒子を加えて、液体90〜20重量%と、ワックス粒子10〜80重量%を含む可搬形生成物を形成する工程
を含む方法によって、製造される該可搬形生成物を先進地において受け取る工程;及び
(b)該可搬形生成物を荷降ろしする工程
を含む方法。
【請求項54】
該液体から該ワックス粒子を分離する工程をさらに含む、請求項53記載の方法。
【請求項55】
該ワックスの少なくとも一部を販売可能な完成製品に転化する工程をさらに含む、請求項54記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2008−514757(P2008−514757A)
【公表日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−533584(P2007−533584)
【出願日】平成17年9月20日(2005.9.20)
【国際出願番号】PCT/US2005/033647
【国際公開番号】WO2006/036659
【国際公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【出願人】(503148834)シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド (258)
【Fターム(参考)】