説明

フィブリル化繊維を生産する方法

フィブリル化繊維を製造する方法は、繊維の液状懸濁液(suspension)を用意し、低いCSFを有するフィブリル化(fibrillated)繊維を作成するように第1のせん断速度(shear rate)で繊維を低せん断リファイニング(shear refining)し、続いて、繊維のフィブリル化(fibrillation)の程度を増加するように、第1のせん断速度よりも高い第2のせん断速度で前記繊維を高せん断リファイニングすることを含む。第1のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度のロータを使用してもよく、第2のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度よりも高い第2の最大せん断速度のロータを使用し得る。低せん断リファイニングの前に繊維に圧力を加える高せん断リファイニングによって繊維を前処理することをさらに含むこともできる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィブリル化繊維(fibrillated fiber)の生産に関し、特に、オープンチャネルリファイニング(open channel refining)によるフィブリル化繊維の生産に関する。
【背景技術】
【0002】
フィブリル化繊維の生産は、中でも、アメリカ特許第2,810,646号、同第4,495,030号、同第4,565,727号、同第4,904,343号、同第4,929,502号および同第5,180,630号で知られている。このようなフィブリル化繊維を作成するのに使用される方法は、市販の紙製造機械および市販の混合器を使用することを含んでいる。種々の適用形態のためにフィブリル化繊維を低コストで効率よく大量生産する必要があるが、このような従来の方法および設備では、この目的のための効果を立証できなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】アメリカ特許第2,810,646号明細書
【特許文献2】アメリカ特許第4,495,030号明細書
【特許文献3】アメリカ特許第4,565,727号明細書
【特許文献4】アメリカ特許第4,904,343号明細書
【特許文献5】アメリカ特許第4,929,502号明細書
【特許文献6】アメリカ特許第5,180,630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来技術におけるこれらの問題および欠陥を考慮すると、本発明の目的は、フィブリル化繊維を生産するための改良された方法およびシステムを提供することにある。
【0005】
本発明の別の目的は、ナノメートルサイズの繊維を製造する一方、延長された繊維長を保持しそして微粉(fines)の生成を回避する、フィブリル化繊維を生産するための方法およびシステムを提供することにある。
【0006】
本発明のまた別の目的は、エネルギー効率および生産効率が従来のものよりもよく、改善された生産量および収益を生むことのできる、フィブリル化繊維を生産するための方法およびシステムを提供することにある。
【0007】
本発明のさらなる別の目的および利点は、本説明から自明であり、明らかとなるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
当業者に明示される上述およびその他の目的は、本発明において達成され、それは、繊維の液状懸濁液(suspension)を用意し、低いCSFを有するフィブリル化(fibrillated)繊維を作成するように第1のせん断速度(shear rate)で繊維を低せん断リファイニング(shear refining)し、続いて、繊維のフィブリル化(fibrillation)の程度を増加するように、第1のせん断速度よりも高い第2のせん断速度で前記繊維を高せん断リファイニングすることから構成される、フィブリル化繊維を製造する方法を指向している。
【0009】
第1のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度のロータを使用し、第2のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度よりも高い第2の最大せん断速度のロータを使用すしてもよい。低せん断リファイニングの前に繊維に圧力を加える高せん断リファイニングによって繊維を前処理してもよい。この場合、繊維の懸濁液が連続的にそして最初の高せん断リファイニングから直列に次続の低およびより高いせん断リファイニングにおよびそれを通って流れてもよい。
【0010】
繊維のリファイニングが、第1の角速度で作動する第1のロータを使用し、次いで第1の角速度よりも高い第2の角速度で作動する第2のロータを使用するか、或いは、第1の直径を有する第1のロータを使用し、次いで第1の直径よりも大きな第2の直径を有して作動する第2のロータを使用して遂行されてもよい。繊維の懸濁液が、第1のロータから第2のロータへ連続して流れることもできる。
【0011】
繊維の懸濁液の流量を制御することをさらに含むこともでき、そこにおいて、流量を減少することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を延長して繊維の懸濁液の程度を増加し、そして流量を増加することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を短縮して繊維の懸濁液の程度を減少する。オープンチャネルせん断(open channel shearing)中にロータの回転により生じた熱を繊維の懸濁液から取り除くことをさらに含むこともできる。
【0012】
繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように第2のせん断速度よりも高い第3のせん断速度で、或いは、繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように各せん断速度がその前のせん断速度よりも高い3つ以上のせん断速度で繊維をリファイニングすることをさらに含むこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の新規な特徴および本発明が特徴とする構成は、特に、添付の特許請求の範囲に述べられている。図面は例示の目的のみであり、範囲を限定するものではない。しかしながら、本発明自体は、処理の構成および方法の両者に関して、添付の図面と共に述べる以下の詳細な説明を参照することにより最もよく理解されよう。
【図1】図1は、本発明により改良された、せん断中における時間の作用としての繊維のカナディアン・スタンダード・フリーネス(Canadian Standard Freeness; CSF)値の変化を示すグラフである。
【図2】図2は、本発明によりフィブリル化繊維を製造するように用いられるオープンチャネルリファイナ(open channel refiner)の好適なシステムの断面側面図である。
【図3】図3は、図2のオープンチャネルリファイナにおけるロータの部分断面平面図である。
【図4】図4は、本発明により作成されたナノファイバーサイズのフィブリル(nanofiber-sized fibril)を有する繊維の顕微鏡写真である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の好適な実施例の説明において、図面の図1−4を通して、本発明の同様な部分には同様な参照符号が付されている。
【0015】
本発明は、繊維の機械的な働きにより種々の適用に効果的な、ナノファイバーフィブリルを有するフィブリル化繊維コアを大量生産する方法を提供する。「繊維」の用語は、直径に対する高アスペクト比の長さによって特徴付けられる固体を意味する。例えば、約2以上から約1000またはそれ以上までの平均直径に対する比の長さを有するアスペクト比は本発明によるナノファイバーの生成に使用され得る。「フィブリル化繊維」の用語は、繊維の長さに沿って分布される細片状フィブリルを生じ、そして約2から約100の幅に対する比の長さを有し、約1000ナノメートル以下の直径を有する繊維を指す。しばしば「コア繊維」として参照される繊維から延びるフィブリル化繊維は、そこからフィブリル化繊維が延びるコア繊維よりも非常に小さい直径を有する。コア繊維から延びるフィブリルは約1000ナノメートル以下のナノファイバーの領域の直径を有する。本説明で使用されるように、ナノファイバーの用語は、コア繊維から延びていてもコア繊維から分離されていても、約1000ナノメートル以下の直径を有する繊維を意味する。本発明で生成されるナノファイバー混合物は、典型的に、約1000ナノメートル以下までの約50ナノメートルの直径と、約0.1〜6ミリメートルの長さを有する。ナノファイバーは、好ましくは、約50〜500ナノメートルの直径と、約0.1から6ミリメートルの長さを有する。
【0016】
まず、フィブリル化繊維を作成するように第1のせん断速度で繊維をオープンチャネルリファイニングし、次いで、繊維のフィブリル化の程度を増加するように第1のせん断速度よりも高い第2のせん断速度で繊維をオープンチャネルリファイニングすることにより、フィブリル化繊維がより効率よく製造されることが解った。本説明で用いられるように、オープンチャネルリファイニングの用語は、繊維長の極度な減少または微粉の生成を繊維のフィブリル化に引き起こす実質的な破砕、こう解(beating)および切断を除く、主としてせん断による繊維の物理的処理を指す。繊維の実質的な破砕、こう解および切断は、例えば、そのような力は急速に繊維の崩壊を招き、そしてそのような繊維がペーパーフィルタに組み込まれたとき、不十分な濾過構造を与えることになる多くの微粉、短繊維および平たい繊維を有する低品質のフィブリル化を生じるので、濾過構造の製品にとって好ましくない。またせん断として参照されるオープンチャネルリファイニングは、典型的に、1つまたはそれ以上の大きく離間された回転する円錐形または平坦なブレードまたはプレートを用いて水成繊維懸濁液を処理することにより達成される。その他の面から十分に離れた単一の移動面の作用は、主として、独立したせん断領域において繊維へせん断力を加える。せん断速度は、ハブまたは回転軸近傍の低い値から、相対的な最大先端速度が達成されるブレードまたはプレートの外周縁の最大せん断値まで変化する。しかしながら、このようなせん断は、こう解機、コニカル高速ロータリファイナ、ディスクリファイナにおけるように、間近に近接した2つの面が繊維を積極的にせん断させる、慣用の面リファイニング方法によって与えられるものと比較して、非常に低い。後者の例では、ステータ内で高速度で回転する1つ以上の歯列を有するロータが採用される。
【0017】
対照的に、クローズドチャネルリファイニングは、繊維のフィブリル化および繊維サイズおよび長さの減少と、オープンチャネルリファイニングと比較して大量の微粉の発生とを共に引き起こす、せん断、破砕、こう解および切断の組み合わせにより繊維の物理的処理を指す。クローズドチャネルリファイニングは、典型的に、商用のこう解機或いは、相互に関して回転する接近して離間された円錐形または平坦なブレードまたはプレートを用いるコニカルまたはフラットプレートリファイナで水成繊維懸濁液を処理することにより遂行される。このことは、1つのブレードまたはプレートが固定されそしてその他が回転するか、または2つのブレードまたはプレートが異なった角速度でまたは異なった方向に回転することで達成される。ブレードまたはプレートの両面の作用はせん断およびその他の物理的力を繊維に与え、そして各面はその他によって与えられるせん断および切断力を増強する。オープンチャネルリファイニングを用いるとき、相対的に回転するブレードまたはプレート間のせん断速度は、ハブまたは回転軸近傍の低い値から、相対的な最大先端速度が達成されるブレードまたはプレートの外周縁での最大せん断値まで変化する。
【0018】
本発明の好適な実施例において、フィブリル化繊維およびナノファイバーは、セルロース、アクリル、ポリオレフィン、ポリエステル、ナイロン、アラミドおよび液晶ポリマー繊維、特に、ポリプロピレンおよびポリエチレン繊維のような材料から、連続して拡販されるリファイナで製造される。通常、本発明で用いられる繊維は、これに限定されるものではないが、ポリマー、エンジニアリングプラスチック(engineered resin)、セラミック、セルロース、レーヨン、ガラス、金属、活性化アルミナ、カーボンまたは活性化カーボン、シリカ、ゼオライト、或いはそれらの混合物を含む有機または無機材料である。例えば、ガラス、セラミック、または金属繊維とポリマー繊維が共に使用され得るように、有機および無機繊維および/またはひげ結晶(whisker)の組合せは予想されるものであり、本発明の範囲に属するものである。
【0019】
本発明により製造されるフィブリル化繊維の質は、一つの重要な観点において、カナディアン・スタンダード・フリーネス値により計測される。カナディアン・スタンダード・フリーネス(CSF)は、パルプの懸濁液が流出される速度により計測されるようにパルプの濾水度(freeness)または排水速度の値を意味する。この方法論は製紙技術を有する当業者に広く知られている。CSF値が繊維長に対してわずかに反応する一方、ファイバーフィブリル化の程度に対して強く反応する。かくして、水がパルプからいかに容易に取り除かれるかを測定するCSFは、ファイバーフィブリル化の程度を監視するのに好適な手段である。面領域が非常に高い場合、一定時間内にパルプから非常に少ない水が排水され、そしてCSF値は、繊維がより広範にフィブリル化するように、次第により低くなる。
【0020】
本発明で採用されるオープンチャネルリファイナは、最終製品の仕様によってバッチまたは連続モードになることができる。バッチモードでは、繊維は単一容器内でせん断され、そして、ロータ速度は低せん断速度から高せん断速度に増速する。連続モードでは、繊維は複数の容器内でせん断され、そして、そこを介して繊維が処理される各容器のロータ速度は低せん断速度から高せん断速度に増速する。
【0021】
一定速度でのせん断中の繊維に対する時間の作用としてのCSFの低下が図1に示される。最初に、フィブリル化される繊維は高いCSF値を有する。点Aから点Bに示されるような最初のせん断中、ファイバーフィブリル化の速度および協働されるCSFの減少は相対的に低い。物理的には、繊維がフィブリル化を実質的に受けることなしに、応力帯が繊維コアに発達されつつあると言われている。繊維が点Bに到達するような時間の後、ファイバーフィブリル化の速度は、点BおよびC間のCSFに急速な速度の低下で示されるように、増加する。点Cの後、CSFの速度は減少し、フィブリル化が減少しそして曲線は、最終のトウ可能なCSF値、Xを有する漸近線状となる。フィブリル化は、処理が所望のCSF値、点Dで停止されるまで、より低い速度で続く。
【0022】
繊維のオープンチャネルリファイニング中にせん断速度を変えることは、より効果的な繊維のフィブリル化を生むことが判明した。図1に示されるようなCSF速度曲線の点Bに到達するのに要する時間を短縮するために、本発明は、選択的に、繊維コアへの応力帯の形成を促進するように、最初に高せん断速度で繊維をリファイニングさせる。フィブリル化形成が最小限であるので、繊維は、せん断に加え、こう解および/または切断動作により衝撃を与えられる。繊維が十分に圧力を加えられそして曲線の点Bに到達すると、せん断は、オープンチャネルリファイニングにより、実質的な破砕、こう解および切断なしに、より低いせん断速度(およびより低い単位エネルギ消費)でより効果的に遂行される。このようなオープンチャネルリファイニングによるせん断は、CSFにおける減少率が減少を開始する(点C)まで連続する。本発明によれば、このとき、フィブリル化の速度およびCSF値の減少が急速なペースで連続し、そしてCSF値が点C’へとさらに降下するので、せん断速度が点BおよびC間の値以上に増加する。選択的に、所望のCSF値Yが点D’で到達し、そして処理が終了するまで、せん断速度がさらに増加される。
【0023】
オープンチャネルリファイナの好適な連続配列が図2に示されており、そこにおいて、4つのリファイナ40、50、60および70が直列に示されている。すべてのリファイナは、機械的リファイニングにより生じる熱を吸収するように、ジャケット付きの水冷式容器ハウジング42を有する。各々は、その上に1つまたはそれ以上の離間された、水平方向に延びるブレード、プレートまたはロータ52を装着される、中央の、垂直な軸44に作動可能に取り付けられたモータ46を有する。ロータの用語は、特に特定しない限り、ブレードまたはプレートのために交替可能に用いられる。ロータの数は、通常、処理におけるそのリファイナの位置に基づいて、各リファイナで変更できる。図1に示されるように、リファイナ40は、第1の相互に垂直方向に離間した3つのロータを有し、リファイナ50は同様に離間した4つのロータを有する。リファイナ60は、垂直方向により大きく離間された3つのロータを有するように示されており、リファイナ70はほぼ同様に離間した2つのロータを有する。ロータは直径において変化することもでき、そして、好ましくは、少なくとも約7000フィート/分(2100m/分)の先端速度(すなわち、ロータの外直径での速度)を達成する。ロータは歯を含むこともでき、その歯の数は、好ましくは4から12本で、変化する。
【0024】
図3は、ケンタッキー州フローレンスのリトルフォード・デイ・インコーポレーテッド社から販売されているDaymax(商標)混合機のものと同様な、リファイナ70の一つに使用可能なロータ形状を示す。ロータ52は中央で軸44に装着され、そしてそこから複数の歯、この実施例では4つの歯54が放射方向へ延びている。ロータ52は方向55の方向へ回転し、そして鋭利なエッジ56が歯54の先行側の縁部に設けられる。ハウジング42から放射方向内方へ部分的に延びるバッフル58は、オープンチャネルリファイニング中に繊維懸濁液に擾乱攪拌を与えることに助力する。
【0025】
図2のリファイナのような回転処理装置において、回転ブレードまたはプレートの外周縁での最大せん断速度は、ロータ面の物理的な形態を変更することにより、ロータの角速度を増加することにより、或いはロータの直径を増加することにより増加し得る。せん断の速度は、ロータの先端速度が増加するとき、最小から最大まで増加する。第1のリファイナ40は、リファイナのうちの最も低いせん断速度を有し、そして最後のリファイナ70は、リファイナのうちの最も高いせん断速度を有する。リファイナ50および60はそれぞれ適度に高いせん断速度を有する。
【0026】
フィブリル化繊維を作成する工程は、繊維22の水成懸濁液を第1のリファイナ40に供給することにより始まる。出発繊維は繊維長が約2〜6mmから変化する、数ミクロンの直径を有する。水中の繊維濃度は1〜6重量%から変化することができる。第1のリファイナは繊維22を連続して供給され、その中でオープンチャネルリファイニングが所要時間行われた後、処理された繊維懸濁液34は次続のリファイナ50に連続して流れ、そこで、より高いせん断速度でさらにオープンチャネルリファイニングされる。処理された繊維懸濁液36は次いでリファイナ50からリファイナ60へ流れ、次いで、処理された繊維懸濁液38がリファイナ70に流れると、連続モード作業におけるせん断速度を増加してさらにオープンチャネルリファイニングされる。最終のフィブリル化繊維懸濁液80はリファイナ70から出る。
【0027】
繊維が第1のリファイナ40に供給される速度は、最終のフィブリル化繊維80の仕様により管理される。供給速度(乾燥繊維における)は、典型的に、約20〜1000ポンド/時(9〜450kg/時)で変化し、そして各リファイナにおける平均滞留時間は約30分から2時間で変化する。このような生産率に合う系列的なリファイナの数は、各リファイナがその前のリファイナのせん断速度よりも高いせん断速度を有する場合、2から10まで変化することができる。リファイナ内の温度は、通常、約175゜F(80℃)以下に保たれる。
【0028】
処理された繊維80は、繊維混合物のカナディアン・スタンダード・フリーネス評価により、そして工学的測定技術により特徴を表わす。典型的に、開始時の繊維は約750から700のCSF評価を有し、次いでリファイニングの各段階で約50から0のCSF評価に減少する。最後の処理で得られる最終のフィブリル化繊維は製品はすべて、図4に示されるように、コア繊維に依然として付着されたナノファイバーである。
【0029】
連続処理の例
固体を3.5%含む繊維スラリが一連のオープンチャネルリファイナの最初のリファイナに33ガロン/分(125リットル/分)の流速で供給される。繊維長は2から5mmの間で変化する。第1のオープンチャネルリファイナから処理された繊維は、最後のオープンチャネルリファイナで所要のCSF値が達成されるまで、第2のオープンチャネルリファイナおよび、選択的に、1つまたはそれ以上のその他のオープンチャネルリファイナに供給される。第1のオープンチャネルリファイナに関しては、約1750回転/分の速度で回る、各々が17インチ(43cm)の直径の3つのブレードである。中間のオープンチャネルリファイナは、約1750回転/分の速度で回る、直径20インチ(51cm)の4つのブレードを有する。最後のオープンチャネルリファイナは、約1750回転/分の速度で回る、23インチ(58cm)の2つのブレードを有する。各オープンチャネルリファイナにおける繊維はCSF700からCSF0までのCSF曲線の範囲を示す。第1のオープンチャネルリファイナにおける繊維は、CSF700付近の平均CSF分布を有し、最後のオープンチャネルリファイナにおける繊維は、CSF0付近の平均CSF分布を有する。処理中のいずれかの時点で、各々のオープンチャネルリファイナは約600ポンド(275kg)の乾燥繊維と2000ガロン(7570リットル)の水を含む。各オープンチャネルリファイナの濃度は、固体3.5重量パーセント付近を維持される。
【0030】
連続処理の代わりとして、フィブリル化繊維を製造する本方法はバッチ処理と同様にして行うこともできる。バッチモードでは、各々の独立したリファイナは約3〜700ポンド/時(1.5〜320kg/時)製造するように使用できる。各リファイナにおける滞留時間は約30分から8時間まで変化する。ブレード直径は、不相応な試験を行うことなしに決定され得る適切なせん断速度のために最大限に拡大される。バッチおよび連続モードで製造されるものは、CSFおよび光学測定技術を用いて特徴を表わすと同じであり、そしてレオロジー特性は影響されない。
【0031】
リファイニングが必要な場合、繊維懸濁液は、追加のオープンチャネルリファイニングのために、最後のリファイナからその前のいずれかのリファイナ段階24、26、28または30に戻されて再利用32され得る。すべてのオープンチャネルリファイニングが行われた後に得られる繊維懸濁液は、最終的な湿潤ラップ(lap)フィブリル化繊維を供給するように、ベルト脱水を行う。このようなフィブリル化繊維は、製紙、濾過、またはその他のこのような繊維の典型的用途に使用され得る。代替的に、懸濁液は、本出願と同時に同じ発明者により出願されたアメリカ特許出願(代理人整理番号KXIN100008000)、発明の名称「ナノファイバーの製造方法(Process for Producing Nanofibers)」で述べられているように、さらに処理を受けてもよい。
【0032】
かくして、本発明は、より大きなコア繊維に付着される、ナノファイバー寸法の範囲のフィブリルを用いて、フィブリル化繊維を製造するための改良された方法およびシステムを提供するものであり、それは従来の方法よりも時間的にもコスト的にも効率がよい。本方法は、より高いエネルギ効率および生産性で微粉の量を減少され、改善された量および歩留まりを生じると共に、長くなった繊維長を保有する。
【0033】
本発明について特定の好適な実施例と共に詳細に説明したが、当業者にとって明白な多くの置換え、変形および変更を行えることは明らかである。さらに、本発明の真正な範囲および主旨に属するものとして、添付の請求の範囲がいかなるこのような置換え、変形および変更をも含むものである。
【符号の説明】
【0034】
40、50、60、70 リファイナ
42 ハウジング
44 軸
46 モータ
52 ブレード、プレートまたはロータ
54 歯
56 エッジ
58 バッフル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維の液状懸濁液(suspension)を用意し、
低いCSFを有するフィブリル化(fibrillated)繊維を作成するように第1のせん断速度(shear rate)で繊維を低せん断リファイニング(shear refining)し、そして
続いて、繊維のフィブリル化(fibrillation)の程度を増加するように、第1のせん断速度よりも高い第2のせん断速度で前記繊維を高せん断リファイニングする
ことから構成される、フィブリル化繊維を製造する方法。
【請求項2】
第1のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度のロータを使用し、第2のせん断速度でのリファイニングが第1の最大せん断速度よりも高い第2の最大せん断速度のロータを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
低せん断リファイニングの前に繊維に圧力を加える高せん断リファイニングによって繊維を前処理することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
繊維のリファイニングが、第1の角速度で作動する第1のロータを使用し、次いで第1の角速度よりも高い第2の角速度で作動する第2のロータを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
繊維のリファイニングが、第1の直径を有する第1のロータを使用し、次いで第1の直径よりも大きな第2の直径を有して作動する第2のロータを使用する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
繊維の懸濁液が、第1の最大せん断速度で作動する第1のロータから第2の最大せん断速度で作動する第2のロータへ連続して流れる、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
繊維の懸濁液の流量を制御することをさらに含み、そこにおいて、流量を減少することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を延長して繊維の懸濁液の程度を増加し、そして流量を増加することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を短縮して繊維の懸濁液の程度を減少する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
オープンチャネルせん断(open channel shearing)中にロータの回転により生じた熱を繊維の懸濁液から取り除くことをさらに含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように第2のせん断速度よりも高い第3のせん断速度で繊維をリファイニングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように各せん断速度がその前のせん断速度よりも高い3つ以上のせん断速度で繊維をリファイニングすることをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
繊維の懸濁液が連続的にそして最初の高せん断リファイニングから直列に次続の低およびより高いせん断リファイニングにおよびそれを通って流れ、そして繊維のフィブリル化の程度を減少または増加するように工程の少なくとも幾つかの部分を通る繊維の懸濁液の流量を制御することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項12】
繊維の液状懸濁液を用意し、
低いCSFを有するフィブリル化繊維を作成するように第1のせん断速度で繊維を低せん断リファイニングし、そして
続いて、繊維のフィブリル化の程度を増加するように、第1のせん断速度よりも高い第2のせん断速度のロータで繊維を高せん断リファイニングする
ことから構成される、フィブリル化繊維を製造する方法。
【請求項13】
低せん断リファイニングの前に繊維に圧力を加える高せん断リファイニングによって繊維を前処理することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
繊維のリファイニングが、第1の角速度で作動する第1のロータを使用し、次いで第1の角速度よりも高い第2の角速度で作動する第2のロータを使用する、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
繊維の懸濁液が作動する第1のロータから第2のロータへ連続して流れる、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
繊維のリファイニングが、第1の直径を有する第1のロータを使用し、次いで第1の直径よりも大きな第2の直径を有して作動する第2のロータを使用する、請求項12に記載の方法。
【請求項17】
繊維の懸濁液が作動する第1のロータから第2のロータへ連続して流れる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
繊維の懸濁液の流量を制御することをさらに含み、そこにおいて、流量を減少することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を延長して繊維の懸濁液の程度を増加し、そして流量を増加することで懸濁液が各ロータによって処理される時間を短縮して繊維の懸濁液の程度を減少する、請求項12に記載の方法。
【請求項19】
オープンチャネルせん断中にロータの回転により生じた熱を繊維の懸濁液から取り除くことをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項20】
繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように第2のせん断速度よりも高い第3のせん断速度で繊維をリファイニングすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項21】
繊維のフィブリル化の程度をさらに増加するように各せん断速度がその前のせん断速度よりも高い3つ以上のせん断速度で繊維をリファイニングすることをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項22】
繊維の懸濁液が連続的にそして最初の高せん断リファイニングから直列に次続の低およびより高いせん断リファイニングにおよびそれを通って流れ、そして繊維のフィブリル化の程度を減少または増加するように工程の少なくとも幾つかの部分を通る繊維の懸濁液の流量を制御することをさらに含む、請求項13に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−502847(P2010−502847A)
【公表日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−526593(P2009−526593)
【出願日】平成19年5月29日(2007.5.29)
【国際出願番号】PCT/US2007/012550
【国際公開番号】WO2008/027094
【国際公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(507337876)ケイエクス テクノロジーズ エルエルシー (6)
【Fターム(参考)】