説明

フィルタリングシステム、それを有する水熱処理装置及びフィルタリング方法

【課題】 システムの安定した連続的な運転を実現できる、あるいは、実用的な耐久性・寿命を確保した上で充分な信頼性を発揮することができる等の利点を有するフィルタリングシステム等を提供する。
【解決手段】 本発明のフィルタリングシステムにおいて、Aフィルタユニット113を逆洗する際には、A減圧配管119の減圧配管弁120を開き、Aフィルタユニット113内の減圧を行う。このとき、高圧の状態から急に減圧配管弁120を開くと、高圧流体が一気に減圧ライン141に流れ込むこととなり、高圧流体の衝撃が減圧ライン141や三方弁10等にダメージを与えるとともに、大きな騒音が発生するが、減圧ライン141には減圧速度調整弁9が設けられているので、減圧工程を数分程度に延ばして行うことができる。これにより、高圧流体の衝撃による悪影響を回避し、大きな騒音の発生を低減することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無機固形物等の固体微粒子(以下、SSと略称する)を含む処理水を減圧して排出する水熱処理装置等の高圧反応装置に適用されるフィルタリングシステムに関する。さらに、そのようなフィルタリングシステムを有する水熱処理装置と、そのようなシステムを用いるフィルタリング方法に関する。
【背景技術】
【0002】
高圧反応は、反応性が高いこと、媒体となる流体の特異な性質を利用できること等の長所を有しており、現在、様々な分野で応用されている。特に近年は、水や二酸化炭素等の物質の超臨界状態を活用した高圧反応装置が盛んに研究開発されており、実用化も進んでいる。
【0003】
この種の高圧反応装置の一例として、水熱酸化反応処理装置を挙げることができる。この装置は、被処理水を短時間で高レベルにまで分解する水熱酸化処理を行うことで、被処理水中の炭素成分をCOに、窒素成分を窒素ガスに(条件によってはアンモニアや硝酸性窒素も生成する場合がある)分解することができる。そして、被処理水中の無機物質は水溶性あるいは非水溶性の無機物質となり、処理水とともに装置外に排出される。
【0004】
ところで、水熱酸化反応処理装置において処理水を排出する際には、配管系統に組み込まれた減圧弁等の減圧手段により、処理水を常圧まで減圧する。この減圧の際、処理水は、減圧手段の中を高速流で通過する。このとき、処理水中に不溶性の無機固形物が混じっていると、これが減圧手段の流路面に高速で当たることで摩耗が生じるという問題があった。特に、摩耗が短時間で大きく進行する場合は、メンテナンス等のため処理装置を頻繁に停止せざるを得なくなることも想定される。
【0005】
このような問題への対策として、減圧弁の手前にフィルタを取り付け、このフィルタで摩耗の原因となる無機固形物を除去する方法が検討・開発されている。例えば、特許文献1(特許第3036077号公報)には、概略以下(1)〜(4)に述べるような特徴を有するフィルタシステムの運転方式が記載されている。
【0006】
(1)フィルタシステムにはフィルタユニットが並列して2系列設けられており、これらのユニットを切り替えて交互に使用することができる。
(2)使用中のフィルタ(本体)の前後の差圧(フィルタ差圧)を測定し、この値に基づき待機中のフィルタへの切り替えタイミングを決める。より具体的には、フィルタ差圧が約200psiを超えた場合、使用中のフィルタから待機中のフィルタへと切り替える。
(3)切り替えられて非使用状態となったフィルタの逆洗を行う。すなわち、フィルタの圧力を開放(減圧)し、フィルタ内に残存している処理水中の溶存ガスが膨張する勢いによって、フィルタエレメントに付着している無機固形物を剥離する。その後、フィルタ内に加圧空気を流し、剥離された無機固形物をフィルタ内から吹き飛ばす又は押し出す。
(4)フィルタ内を水で満たした後に高圧反応に使用する酸素ガスを供給し、システム圧まで加圧(予備加圧)する。これで、逆洗後のフィルタが使用可能な状態へと復帰する。
【0007】
【特許文献1】特許第3036077号公報(第11図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明者等は、前述のようなフィルタシステムの開発過程において、現状のフィルタシステムに関し以下(A)〜(C)の課題を見出した。
(A)フィルタ逆洗時に行う減圧、及び、逆洗終了後に行う予備加圧を急速に行うと、フィルタシステム中のバルブ類に負担がかかり易い。著しい場合には、短時間のうちにバルブからの洩れが発生する場合もあり得る。
(B)逆洗を行う際、フィルタの底に堆積したSSが詰まって、逆洗水が流れ難くなる場合がある。
(C)処理水に含まれるSSによって、フィルタシステム中のバルブ類の摩耗も進行し易い。
【0009】
本発明は、前記の課題に鑑みてなされたものであって、システムの安定した連続的な運転を実現できる、あるいは、実用的な耐久性・寿命を確保した上で充分な信頼性を発揮することができる等の利点を有するフィルタリングシステム等を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のフィルタリングシステムは、高圧反応装置から排出される処理水中の固体微粒子(SSと略称)をろ過するための、該処理水の減圧手段の手前(高圧側)に設置されるフィルタリングシステムであって、 複数系列のフィルタユニットが並列配置されており、 各フィルタユニットには、 前記高圧反応装置からのSSを含む高圧流体がフィルタ本体に流入する流入配管、 前記フィルタ本体においてSSがろ過された高圧流体が前記減圧手段方向へ流出する流出配管、 前記フィルタ本体から高圧流体を抜いて減圧する減圧配管、 前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗する逆洗液を供給する逆洗配管、 逆洗後の逆洗液を前記フィルタ本体から排出する逆洗液排出配管、 前記フィルタ本体に高圧液を送って該フィルタ本体内を高圧にする加圧配管、が接続されているとともに、 前記各配管を開閉する開閉弁が設けられており、 前記減圧配管及び/又は前記加圧配管に、減圧又は加圧速度を調整する調整手段が設けられていることを特徴とする。
なお、各配管は、相互に兼用(全部又は一部)してもよい。すなわち、1本の配管(機械的な物としての配管)が複数の配管系統(ライン)の構成要素として用いられてもよい。
【0011】
高い差圧がかかっている開閉弁を急に開くと、高圧流体が一気に開閉弁を通過して後段の配管に流れ込むこととなり、高圧流体の衝撃がその開閉弁や後段の配管にダメージを与えるとともに、大きな騒音が発生するので好ましくない。これに対し、本発明によれば、減圧配管及び/又は加圧配管に、減圧又は加圧速度を調整する調整手段が設けられているので、従来は例えば数秒程度で減圧して後段の配管・開閉弁に大きな衝撃を与えていた工程を数分程度に延ばして行うことができる。これにより、高圧流体の衝撃による悪影響を回避し、大きな騒音の発生を低減することができる。
【0012】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記フィルタユニットに、前記フィルタ本体下部に堆積したSSを巻き上げ・拡散させるための流体を供給する配管が設けられていることが好ましい。
SSの蓄積量が多い場合や、沈降性・粘着性が高い場合等には、SSが逆洗液排出配管やその開閉弁に詰まり易く、逆洗が行い難いことがある。これに対し、本発明のこの態様によれば、逆洗液排出配管から液流をフィルタ本体内に向けて流すことで、フィルタ本体内(フィルタエレメントやフィルタ本体底部)に堆積したSSを巻き上げるように拡散させることができるので、固形物の詰まりが起こり難くなる。
【0013】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記フィルタユニットを加圧する際に、前記フィルタ本体から排出された減圧前の処理水を加圧媒体として用いることができる。
この場合、別途高圧ポンプ等を追設して処理水を供給する場合等に比べて、設備費等が嵩むことなく、フィルタユニットの加圧を行うことができる。
【0014】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記高圧反応装置から排出される処理水の減圧手段で減圧された後の処理水を貯留するタンク及び貯留した処理水を前記フィルタ本体に逆洗液として送るポンプを設けることが好ましい。
逆洗液の量は、フィルタエレメントの目詰まり状態やSSの性状等によって異なるが、1回の逆洗につき数十リットルの液を消費するのが通常である。そして、フィルタの逆洗回数(フィルタの切り替え回数)が多いほど逆洗水の消費量が増えるため、場合によっては、高圧反応で排出される処理水よりも逆洗水の方が多くなることもあり、装置全体としての総合排水量も増えてしまう。これに対し、本発明のこの態様によれば、タンクで処理水を貯留し、この貯留した処理水をポンプでフィルタ本体に逆洗液として送ることができるので、装置から排出される処理水を逆洗液として再利用することができ、装置の総合排出量を大きく減らすことができる。
【0015】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記各フィルタユニットに処理水を供給する配管と前記各フィルタユニットから処理水を排出する配管との間の差圧が一定値を超えたとき、又は、タイマーで設定した所定時間が経過したとき、のいずれかのうちの早い時点で、前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗することができる。
フィルタ本体の下部へのSSの堆積具合等は、フィルタ本体の前後の差圧(フィルタ差圧)を測定するだけでは予測することが難く、場合によっては、フィルタ差圧が上昇していなくても、フィルタ本体内に逆洗困難な状態にまで固形物が堆積してしまうことがある。これに対し、本発明のこの態様によれば、通常のフィルタ切り替え時期はタイマーで設定した所定時間(通液時間)に基づき判断し、フィルタ差圧が設定値まで上昇していなくてもフィルタエレメントを逆洗する。この通液時間は、フィルタの逆洗を安定して行うことができ、且つ、できる限り長い時間に設定する(一例で30分程度)。そして、万が一、例えば急に多量の固形物が流れ込んでフィルタ差圧が上昇したとき等には、フィルタ差圧が設定値を超えた時点でフィルタエレメントを逆洗する(フィルタを切り替える)。これにより、フィルタエレメントの破損の可能性が低減し、フィルタシステムの安定的な連続運転が実現できる。
【0016】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記流入配管が、前記フィルタ本体の上部(流入部)の手前側で垂直方向に延びる垂直部を有しており、該垂直部に前記開閉弁が設けられていることが好ましい。
こうすることで、流入配管や開閉弁内部へのSSの沈殿がほとんどなくなるので、開閉弁の寿命を向上することができる。
【0017】
本発明のフィルタリングシステムにおいては、前記逆洗液排出配管がU字状をしており、該U字状の逆洗液排出配管の一端部が前記フィルタ本体の下部(排出部)に接続されているとともに、他端側に前記開閉弁が設けられていることが好ましい。
こうすることで、開閉弁の作動部分に固形物が堆積することがほとんどなくなるので、開閉弁の寿命を向上することができる。
【0018】
本発明の水熱処理装置は、水熱反応器と、 該水熱反応器に被処理水を供給する供給系統と、 前記水熱反応器の反応生成物を冷却・減圧・排出する後処理系統と、を備える水熱処理装置であって、 前記後処理系統に、前記請求項1〜7いずれか1項記載のフィルタリングシステムが備えられていることを特徴とする。
【0019】
本発明のフィルタリング方法は、高圧反応装置から排出される処理水中の固体微粒子(SSと略称)をろ過するための、該処理水の減圧手段の手前(高圧側)に設置される、複数系列のフィルタユニットが並列配置されたフィルタリングシステムを用いるフィルタリング方法であって、 前記各フィルタユニットに、 前記高圧反応装置からのSSを含む高圧流体がフィルタ本体に流入する流入配管、 前記フィルタ本体においてSSがろ過された高圧流体が前記減圧手段方向へ流出する流出配管、 前記フィルタ本体から高圧流体を抜いて減圧する減圧配管、 前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗する逆洗液を供給する逆洗配管、 逆洗後の逆洗液を前記フィルタ本体から排出する逆洗液排出配管、 前記フィルタ本体に高圧液を送って該フィルタ本体内を高圧にする加圧配管、を接続しておき、 前記各配管を開閉する開閉弁を設けておき、 前記減圧配管及び/又は前記加圧配管には、減圧又は加圧速度を調整する調整手段を設けておき、 前記フィルタ本体の逆洗を行う際に、 前記減圧配管、該配管を開閉する開閉弁、前記調整手段を用いて前記フィルタ本体内を減圧し、 前記逆洗液排出配管側からの液流により前記フィルタ本体下部に堆積したSSを巻き上げ・拡散させた後に、前記逆洗配管側から逆洗液を流し、 逆洗終了後に、前記加圧配管、該配管を開閉する開閉弁、前記調整手段を用いて前記フィルタ本体内を加圧する、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、システムの安定した連続的な運転を実現できる、あるいは、実用的な耐久性・寿命を確保した上で充分な信頼性を発揮することができる等の利点を有するフィルタリングシステム等を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明のフィルタリングシステムを装備する水熱反応処理装置の概要を説明する。
図13は、本実施の形態に係る水熱反応処理装置の概略構成を示すブロック図である。
図13に示す水熱反応処理装置は、反応容器321と、この反応容器321に被処理物、補助燃料、水、酸化剤(空気)を供給する供給系統と、反応容器321から出る反応生成物を冷却し、気液分離する冷却気液分離系統とから主に構成されている。
【0022】
反応容器321の入り口には、被処理物である廃液(廃棄物)、補助燃料、水及び空気等の供給管302bが接続している。被処理物貯留槽301に貯留された廃液は、高圧送液ポンプ303によって例えば2.5MPa(25気圧)以上の圧力に加圧され、廃液供給管302a、供給管302bを通って反応容器321へ供給される。補助燃料貯留槽304に貯留された補助燃料は、高圧送液ポンプ306によって例えば2.5MPa以上の圧力に加圧され、補助燃料供給管305、供給管302bを通って反応容器321へ供給される。水槽307に貯留された水は、高圧送液ポンプ309によって例えば2.5MPa以上の圧力に加圧され、水供給管308、供給管302bを通って反応容器321へ供給される。なお、高圧送液ポンプ303、306、309は、往復動ポンプ等の高圧昇圧可能で且つ容量制御性のあるポンプであって、廃液、補助燃料、水の反応容器321への供給量を調節できるようになっている。
【0023】
供給管302bには、エアーコンプレッサー310を備えた空気供給管311が接続している。酸化剤である空気は、エアーコンプレッサー310に取り込まれて圧縮され、例えば2.5MPa以上の高圧で空気供給管311から供給管302bを通って反応容器321に供給される。また、空気供給管311から供給される空気は、予備加熱器312によって所定の温度に予備加熱することができる。
【0024】
この水熱反応処理装置においては、クエンチ水貯留槽313内に貯留されたクエンチ水が、高圧送液ポンプ315によって例えば2.5MPa以上の圧力に加圧され、クエンチ水供給管314を通って反応容器321へ供給される。なお、この高圧送液ポンプ315も往復動ポンプ等の高圧昇圧可能で且つ容量制御性のあるポンプであって、クエンチ水の反応容器321への供給量を調節できるようになっている。
【0025】
反応容器321の排出口には、冷却器1aを備えた排出管1が接続されている。排出管1の先は気液分離器2に接続されている。反応容器321の排出口から排出された反応生成物等は、排出管1を通り冷却器1aでほぼ常温に冷却された後、気液分離器2で気体(排ガス)と固体を含む液体(処理水)とに分離される。気液分離器2の上端には、減圧弁3aを備えた排ガス管3が接続されており、気液分離器2から排出される排ガスは、減圧弁3aで大気圧近くの圧力にまで減圧されて排気される。気液分離器2の底部には、減圧弁8を備えた処理水排出管5が接続されている。気液分離された処理水は、減圧弁8で大気圧近くの圧力にまで減圧されて排出される。
【0026】
以下、本実施の形態に係るフィルタリングシステムについて説明する。
図1は、本実施の形態に係るフィルタリングシステムのAフィルタユニット稼動時を示す配管系統図である。
図2は、同フィルタリングシステムのAフィルタユニット→Bフィルタユニット切り替え後を示す配管系統図である。
図3は、同フィルタリングシステムのAフィルタユニット減圧時を示す配管系統図である。
図4は、同フィルタリングシステムのAフィルタユニット予備逆洗時を示す配管系統図である。
図5は、同フィルタリングシステムのAフィルタユニット逆洗時を示す配管系統図である。
図6は、同フィルタリングシステムのAフィルタユニット加圧時を示す配管系統図である。
図7〜図9は、同フィルタリングシステムの作動フローチャートである。
【0027】
まず、図1〜図6の各図に示すフィルタリングシステムの構成について説明する。
各図の左上には、処理流体供給配管1の接続された気液分離器2が示されている。処理流体供給配管1は、図13の水熱反応処理装置の排出管1に相当し、この配管1から水熱反応処理後の処理流体が気液分離器2へと導入される。気液分離器2は、前述の図13のものと同様であり、処理ガス排出配管3(図13の減圧弁3aを備えた排ガス管3に相当する)と液面レベル計4が設けられている。気液分離器2で分離された気体は処理ガス排出配管3を介してシステム外部に放出される。一方、分離された液体は、気液分離器2から延び出る処理液排出配管5(図13の処理水排出管5に相当する)を介して、後段のシステムへと送られる。この処理液排出配管5には、開閉弁6が組み込まれている。
【0028】
各図のほぼ中央には、並列配置されたAフィルタユニット113とBフィルタユニット213とが示されている。気液分離器2の下部から出る処理液排出配管5の先側(下流側)は、A処理液流入配管112とB処理液流入配管212とに分岐している。そして、A処理液流入配管112はAフィルタ本体113′に、B処理液流入配管212はBフィルタ本体213′に、それぞれ繋がっている。各流入配管112、212には、それぞれ開閉弁(流入配管弁)111、211が組み込まれている。
【0029】
Aフィルタユニット113とBフィルタユニット213とは同一構成である。フィルタユニット113(213)のフィルタ本体113′(213′)の内部には、処理液流入配管112(212)から導入された処理液をろ過するフィルタエレメント114(214)が設けられている。フィルタエレメント114(214)で処理液がろ過されると、フィルタ本体113′(213′)内にはろ過されたSSが蓄積される。
【0030】
Aフィルタ本体113′、Bフィルタ本体213′の上部には、それぞれA処理水流出配管115、B処理水流出配管215が繋がっている。各流出配管115、215には、圧力計123、223と、開閉弁(流出配管弁)116、216とがそれぞれ組み込まれている。両フィルタユニット113、213の前後(A処理水流出配管115とB処理液流入配管212との間)には、差圧計7が設けられている。この差圧計7により、各フィルタユニット113、213の前後の差圧(フィルタ差圧)を計測することができる。一方、Aフィルタ本体113′、Bフィルタ本体213′の下部には、それぞれA逆洗液排出配管117、B逆洗液排出配管217が繋がっている。各逆洗液排出配管117、217には、開閉弁(逆洗水排出配管弁)118、218がそれぞれ組み込まれている。
【0031】
A処理水流出配管115、B処理水流出配管215からは、A減圧配管119、B減圧配管219がそれぞれ分岐している。各減圧配管119、219には、開閉弁(減圧配管弁)120、220がそれぞれ組み込まれている。さらに、各減圧配管119、219よりも後段において、A処理水流出配管115、B処理水流出配管215からは、A逆洗配管121、B逆洗配管221がそれぞれ分岐している。各逆洗配管121、221には、開閉弁(逆洗配管弁)122、222がそれぞれ組み込まれている。
【0032】
両流出配管115、215の先側(下流側)は、排出配管130に繋がっている。流出配管115、215と排出配管130との間には、液面制御弁8が組み込まれている。この液面制御弁8は、気液分離器2の液面レベル計4に接続されており、気液分離器2内の処理流体の蓄積量に応じて開度を調節する。この液面制御弁8は、処理液減圧弁(図13の符号8)を兼ねている。
【0033】
排出配管130の先側(下流側)は、システム外部に延びる排出部130aと、逆洗水タンク16に繋がるタンク導入部130bとに分岐している。タンク導入部130bには、開閉弁15が組み込まれている。逆洗水タンク16は、液面レベル計14を備えている。この液面レベル計14の指示値に基づき開閉弁15の開閉操作を行うことで、逆洗水タンク16内には常に必要量の水が貯留されるようになっている。逆洗水タンク16には、ポンプ17が接続されている。このポンプ17を稼動すると、逆洗水タンク16内の水を逆洗水供給ライン13に供給することができる。
【0034】
本実施例のフィルタリングシステムにおいては、各フィルタユニット113、213の後段に計3個の三方弁(加圧配管三方弁10、逆洗水供給配管三方弁11、逆洗水排出配管三方弁12)が設けられている。
三方弁10のaポートは、排出ライン131を介して、排出配管130に繋がっている。三方弁10のbポートは、減圧速度調整弁(絞り弁)9を有する減圧ライン141を介して、両減圧配管119、219に繋がっている。三方弁10のcポートは、加圧速度調整弁(絞り弁)19を有する高圧水供給ライン18を介して、A流出配管115に繋がっている。
【0035】
三方弁11のaポートは、三方弁12のcポートに繋がっている。これら両者を繋ぐ接続ライン151には、前述の逆洗水供給ライン13が繋がっている。三方弁11のbポートは、逆洗ライン161を介して、両逆洗配管121、221に繋がっている。三方弁11のcポートは、排出ライン133を介して、排出配管130に繋がっている。
【0036】
三方弁12のaポートは、逆洗ライン163を介して、両逆洗液排出配管117、217に繋がっている。三方弁12のbポートは、排出ライン135を介して、排出配管130に繋がっている。三方弁12のcポートは、前述の通り接続ライン151を介して三方弁11のaポートに繋がっている。
【0037】
次に、図7〜図9の作動フローチャートに基づき、図1〜図6のフィルタリングシステムの作用について説明する。
なお、図1〜図6において、配管ラインの大太線は減圧前の流れを示し、中太線は減圧後の流れを示す。また、各弁において開状態を白抜きで、閉状態を黒塗りで示す。
【0038】
処理流体供給配管1から供給された高圧の処理流体は、気液分離器2で気体と液体とに分離された後、処理液が処理液排出配管5・開閉弁6からA処理液流入配管112・流入配管弁111を通過してAフィルタユニット113内に導入される。そして、Aフィルタユニット113のフィルタエレメント114を通過してろ過された処理水は、A処理水流出配管115・流出配管弁116から排出配管130を通過し、その一部は排出部130aから排出されるとともに、他はタンク導入部130bから逆洗水タンク16内に導入される。逆洗水タンク16の液面レベル計14により必要量の水が貯留されたと判断されると、開閉弁15が閉じ、処理水は排出部130aのみから排出される。処理水は、排出配管130に流入する際、液面制御弁8によって減圧される(図1参照)。
【0039】
この図1に示すようなろ過工程を継続して行うと、Aフィルタユニット113のフィルタ本体113′内には、ろ過されたSSが堆積される。そして、このSSによってフィルタエレメント114が閉塞する、あるいは、フィルタ本体113′の前後の差圧(フィルタ差圧)が上がると、フィルタエレメント114が破損してしまう場合がある。そのため、適切なタイミングでAフィルタユニット113のフィルタ本体113′内のSSを排出する必要がある。このSSの排出工程を逆洗工程と呼ぶ。
【0040】
本実施例においては、差圧計7を用いてフィルタ差圧を計測し、この差圧が一定値を超えたとき、又は、タイマーで設定した所定時間が経過したとき、のいずれかのうちの早い時点で、使用中のAフィルタユニット113を待機中のBフィルタユニット213に切り替えるようになっている。フィルタ本体内へのSSの堆積具合等は、フィルタ差圧を測定するだけでは予測することが難く、場合によっては、フィルタ差圧が上昇していなくても、フィルタ本体内に逆洗困難な状態にまでSSが堆積してしまうことがある。そのため、通常のフィルタ切り替え時期はタイマーで設定した所定時間(通液時間)に基づき判断し、フィルタ差圧が設定値まで上昇していなくても切り替えを行う。この通液時間は、逆洗を安定して行うことができ、且つ、できる限り長い時間に設定する(一例で30分程度)。そして、万が一、例えば急に多量の固形物が流れ込んでフィルタ差圧が上昇したとき等には、設定した通液時間が経過していなくても、Aフィルタユニット113をBフィルタユニット213に切り替えてフィルタエレメント114の逆洗を行う。これにより、フィルタエレメント114の破損の可能性が低減し、フィルタシステムの安定的な連続運転が実現できる。
【0041】
逆洗工程は、最初に、使用中のAフィルタユニット113から待機中のBフィルタユニット213へと切り替える(図2参照)。つまり、図7のステップST1でB流入配管弁211を開き、ステップST2でB流出配管弁216を開く。さらに、ステップST3でA流入配管弁111を閉じ、ステップST4でA流出配管弁116を閉じる。
【0042】
そして、ステップST5でAフィルタユニット113のA減圧配管119の減圧配管弁120を開き、Aフィルタユニット113内の減圧を行う(図3参照)。このとき、高圧の状態から急に減圧配管弁120を開くと、高圧流体が一気に減圧ライン141に流れ込むこととなり、高圧流体の衝撃が減圧ライン141や三方弁10等にダメージを与えるとともに、大きな騒音が発生するが、本実施例では、減圧ライン141に減圧速度調整弁(絞り弁)9が設けられているので、減圧工程を数分程度に延ばして行うことができる。これにより、高圧流体の衝撃による悪影響を回避し、大きな騒音の発生を低減することができる。減圧が完了したか否かは、圧力計123で判断する。減圧速度調整弁9を通過した処理液は、三方弁10を経て排出ライン131・排出部130aから排出される。なお、減圧速度調整弁9としては、絞り弁の他に、キャピラリーや固定オリフィス、可変オリフィス等、流路の抵抗となるようなものを採用することができる。この工程が終了した後は、ステップST6でA減圧配管弁120を閉じる。
【0043】
この後、Aフィルタユニット113に接続されているA逆洗配管121の逆洗水供給配管弁122と、A逆洗水排出配管117の逆洗水排出配管弁118を開き、逆洗水をフィルタエレメント114の流出側(ろ液側)から導入側(原液側)に流す。すると、フィルタエレメント114の表面に堆積したSSやフィルタ本体内に沈殿したSSが排出される。通常は、このような操作でフィルタ本体内の固形物の排出を行うことができるが、固形物の蓄積量が多い場合や固形物の沈降性が高い場合、固形物の粘着性が高い場合等には、逆洗の過程でSSが逆洗液排出配管117や逆洗水排出配管弁118に詰まり易く、逆洗が行い難いことがある。
【0044】
そこで、逆洗工程の準備作業として、図8の各ステップに示す手順にしたがって次の操作(予備逆洗)を行う(図4参照)。すなわち、逆洗水供給配管三方弁11は、通常逆洗時はaポート→bポートの方向に流れるようになっているが、これをbポート→cポートの方向に流れるようにする(ステップST7)。一方、逆洗水排出配管三方弁12は、通常逆洗時はaポート→bポートの方向に流れるようになっているが、これをcポート→aポートの方向に流れるようにする(ステップST8)。こうしてから、ポンプ17を運転して(ステップST9)、逆洗時に使用するA逆洗水排出配管弁118、A逆洗水供給配管弁122を開く(ステップST10、ステップST11)と、逆洗水は、逆洗水供給ライン13→三方弁12→弁118→Aフィルタユニット113→A処理水流出配管115→弁122→三方弁11と流れ、排出ライン133・排出部130aから排出される。このように、フィルタ本体113′の底部に堆積したSSを巻き上げるように拡散させる予備逆洗を行うことで、SSの詰まりが起こり難くなる。
【0045】
この予備逆洗が修了した後、ステップST12で逆洗水排出配管三方弁12をaポート→bポートの方向に流れるようにし、ステップST13で逆洗水供給配管三方弁11をaポート→bポートの方向に流れるようにして、Aフィルタユニット113の通常逆洗を行う(図5参照)。
【0046】
ところで、逆洗液の量は、フィルタエレメントの目詰まり状態やSSの性状等によって異なるが、1回の逆洗につき数十リットルの液を消費するのが通常である。そして、フィルタの逆洗回数(フィルタの切り替え回数)が多いほど逆洗水の消費量が増えるため、場合によっては、高圧反応で排出される処理水よりも逆洗水の方が多くなることもあり、フィルタシステム全体としての総合排出量も増えてしまう。本実施例においては、逆洗水タンク16内に処理液を一時貯留し、このタンク16の処理液をポンプ17で逆洗水供給ライン13に供給することができるので、システムから排出される処理水を逆洗液として再利用することができ、システムの総合排出量を大きく低減することができる。なお、タンク16に工業用水等を供給する手段を設け、逆洗水量が処理水量よりも多い場合にはこの手段から工業用水等を供給することもできる。
【0047】
通常逆洗終了後は、Aフィルタユニット113を加圧する。この加圧は、逆洗が終了したAフィルタユニット113に再び通液する際、フィルタ本体内が常圧のままであると、いきなり高圧の流体が流れ込んでフィルタエレメント114やA処理水流出配管115・流出配管弁116に衝撃を与え、最悪の場合は破損するといったおそれを回避するために行うものである。フィルタの加圧は、水を使用して行うことが好ましい。なぜなら、後に再びAフィルタユニット113を使い始めるときに高圧の空気が流れ出すと、後段の液面制御弁8の制御が不安定になるからである。
【0048】
加圧工程は、図9の各ステップに示す手順にしたがって行う(図6参照)。すなわち、まずステップST14でポンプ17を停止し、ステップST15でA逆洗水供給配管弁122を閉じ、ステップST16でA逆洗水排出配管弁118を閉じる。そして、ステップST17で加圧配管三方弁10を動作させ、水がcポート→bポートに流れるようにし、ステップ18でA減圧配管弁120を開く。こうすると、Bフィルタユニット213を通過した高圧の処理水が高圧水供給ライン18→三方弁10→減圧ライン141・減圧速度調整弁9→A減圧配管119・A減圧配管弁120→処理水流出配管115を経てAフィルタユニット113に流入し、加圧が行われる。加圧が完了したかどうかは、圧力計123で判断する。この加圧工程終了後、Aフィルタユニット113は、通液可能な状態で待機する。そして、適切なタイミングでBフィルタユニット213と切り替えることで、SSの除去と排出を連続的に行うことができる。
【0049】
加圧のための高圧水を供給する方法としては、高圧ポンプ等から供給することも可能であるが、使用頻度が少なくない割に設備費が嵩むという欠点がある。本実施例のように、高圧水供給ライン18を介して減圧前の処理水の一部を分岐させて用いると、別途高圧ポンプ等を追設して処理水を供給する場合等に比べて、設備費等が嵩むことなく、フィルタユニットの加圧を行うことができる。
【0050】
なお、通常は、減圧速度と加圧速度は異なる。加圧速度の方が速く、加圧速度だけを別に調整したい場合等は、高圧水供給ライン18に設けた加圧速度調整弁(絞り弁)19を用いるものとする。さらに、本実施例では減圧ライン141・減圧速度調整弁9とA減圧配管119・減圧配管弁120を加圧工程においても用いているが、これらを別々の配管と弁に分けて構成することもできる。
【0051】
次に、図10を参照しつつ、本実施例に係るフィルタユニットの改良例について説明する。
図10(A)、(B)は、本実施例に係るフィルタユニット前後の配管の改良例を示す図である。
前述の流入配管112(212)は、気液分離器2から送られた高圧の処理液が通過する。この処理液は、フィルタユニット113(213)でろ過される前の液(SS懸濁水)であるため、流入配管112(212)が水平方向に配置されていると、配管112(212)底部や開閉弁111(211)内部に比重の大きなSSが沈殿することがある。開閉弁111(211)としては通常ボール弁が用いられるが、SSが沈殿した状態で繰り返し作動させると、ボールとシートとの間にSSが噛み込み易く、開閉弁111(211)の性能劣化が早く進んでしまう。そこで、図10(A)に示すように、フィルタユニット113の手前側において、流入配管112の垂直部に開閉弁111を設けるものとすると、流入配管112底部や開閉弁111内部へのSSの沈殿がほとんどなくなるので、開閉弁111の寿命を向上することができる。
【0052】
さらに、逆洗水排出配管117(217)の開閉弁118(218)は、フィルタユニット113(213)の真下に配置されているため、フィルタ本体113′内に堆積したSSが開閉弁118(218)内部にまで至ることがある。すると、前述と同様に、ボールとシートとの間にSSが噛み込み易くなり、開閉弁の性能劣化が早く進んでしまう。そこで、図10(B)に示すように、逆洗水排出配管117をU字状とし、このU字状の逆洗液排出配管117の一端部がフィルタ本体113′の下部に接続されているとともに、他端側に開閉弁118が設けられているものとすると、開閉弁118の作動部分にSSが堆積することがほとんどなくなるので、開閉弁118の寿命を向上することができる。
【0053】
次に、本実施例に係るフィルタリングシステムに関して、本発明者等が行った性能評価試験の結果について述べる。
・フィルタリングシステム全体の動作評価
図11は、本実施例に係るフィルタリングシステムの運転履歴を表すグラフである。左縦軸はフィルタ圧力(単位MPa)を示し、右縦軸は逆洗水供給流量(単位L/min)を示し、横軸はフィルタリングシステム運転履歴時間を示す。
図11には、Aフィルタユニット113の通液時にBフィルタユニット213の逆洗を行ったときの履歴が示されている。このグラフより、Bフィルタユニット213は約8分かけて減圧され(実線グラフ)、その後、逆洗水による逆洗が行われている(二点鎖線グラフ)。なお、このケースでは、逆洗水を3回に分けて供給している。そして、逆洗終了後に行ったBフィルタユニット213の予備加圧(システム圧力までの加圧:点線グラフで示すAフィルタユニット113の通液時の圧力までの加圧)は、約1分間で完了している。
【0054】
・処理液供給配管の開閉弁(図10(A)の符号111等参照)の摩耗耐久性評価
この評価では、以下の試験装置、模擬液、試験方法を用いた。
試験装置:無機微粒子懸濁水溶液を循環して流す装置を組み、その流路内に制御空気で自動開閉できる開閉弁を設置した。開閉弁は、試験によって水平方向に設置する場合と、垂直方向に設置する場合とを組み替えた。
模擬液:炭酸Ca(0.5%)+酸化鉄(0.5%)水溶液(中心粒径5μm)を用いた。
試験方法:模擬液を5L/minの流速で開閉弁を含む配管に流し、開閉弁の開閉を3秒おきに自動で繰り返し行った。そして、5000回の開閉動作後、開閉弁を取り外し、以下の2つの評価(A)、(B)を行った。
(A)耐圧評価:30MPaの水圧を一方からかけた場合に漏れがないか確認した。
(B)摩耗評価:開閉弁を分解し、ボールやシートの摩耗を観察した。
【0055】
このような評価試験において、開閉弁を水平に設置した場合は、以下の結果が得られた。
(A)耐圧評価:約15MPaで水漏れが発生した。
(B)摩耗評価:触感で容易に判断できる傷がシートに多数発生し、一部の傷は深かった。
一方、開閉弁を垂直に設置した場合は、以下の結果が得られた。
(A)耐圧評価:約30MPaで耐圧性能に問題なし。
(B)摩耗評価:シートとボールが動作する方向には擦れ傷が観察されたが、触感で判断できない程度の非常に細かいものであった。
これらの結果により、開閉弁を垂直に設置した場合(図10(A)参照)は、開閉弁の耐久性が向上していると判断できる。
【0056】
・予備逆洗(図4参照)を行うことによる逆洗性評価
この評価では、以下の試験装置、模擬液、試験方法を用いた。
図12は、本試験に用いた試験装置の模式図である。
試験装置:図12に示すように、模擬液貯留タンク内の模擬液を、模擬液供給ポンプを駆動してフィルタユニットに連続的に供給できる低圧の装置を用いた。なお、フィルタユニットには、ろ液貯留タンクと懸濁水貯留タンクとが接続されている。このような試験装置において、逆洗水を次の(ケースA)、(ケースB)の2通りで流した。
(ケースA)ろ液貯留タンクに繋がる側から逆洗水を流し、フィルタユニットの下流側の逆洗水排出配管弁を介して懸濁水貯留タンク側へと排出する(通常の逆洗のみ)。
(ケースB)最初に5秒間、フィルタユニットの下流側の逆洗水排出配管弁側から逆洗水を流し(予備逆洗)、その後、(ケースA)と同様に逆洗水を流す(通常の逆洗)。
模擬液:カオリン(1%)水溶液を用いた。
試験方法:模擬液を5L/minの流速でフィルタユニットに模擬液を供給する。そして、フィルタ差圧が0.3MPaになった時点で通液を停止し、フィルタユニットの逆洗を行う。なお、逆洗には吐出圧0.5MPaの水を用いた。
【0057】
このような評価試験において、開閉弁を水平に設置した場合は、以下の結果が得られた。
(ケースA)逆洗水排出配管弁を何回も開閉しては逆洗水を供給する等をしたが、流れなかった。
(ケースB)問題なく逆洗を行うことができた。
これらの結果により、予備逆洗を行うことでフィルタ本体内に堆積した固形物が巻き上げられて、確実に逆洗が行えるようになったと判断できる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施の形態に係るフィルタリングシステムのAフィルタユニット稼動時を示す配管系統図である。
【図2】同フィルタリングシステムのAフィルタユニット→Bフィルタユニット切り替え後を示す配管系統図である。
【図3】同フィルタリングシステムのAフィルタユニット減圧時を示す配管系統図である。
【図4】同フィルタリングシステムのAフィルタユニット予備逆洗時を示す配管系統図である。
【図5】同フィルタリングシステムのAフィルタユニット逆洗時を示す配管系統図である。
【図6】同フィルタリングシステムのAフィルタユニット加圧時を示す配管系統図である。
【図7】同フィルタリングシステムの作動フローチャートである。
【図8】同フィルタリングシステムの作動フローチャートである。
【図9】同フィルタリングシステムの作動フローチャートである。
【図10】本実施例に係るフィルタユニット前後の配管の改良例を示す図である。
【図11】本実施例に係るフィルタリングシステムの運転履歴を表すグラフである。
【図12】本試験に用いた試験装置の模式図である。
【図13】本実施の形態に係る水熱反応処理装置の概略構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0059】
1 処理流体供給配管 2 気液分離器
3 処理ガス排出配管 4 液面レベル計
5 処理液排出配管 6 開閉弁
7 差圧計 8 液面制御弁
9 減圧速度調整弁 10、11、12 三方弁
13 逆洗水供給ライン 14 液面レベル計
15 開閉弁 16 逆洗水タンク
17 ポンプ 18 高圧水供給ライン
19 加圧速度調整弁
111、211 開閉弁(流入配管弁) 112、212 処理液流入配管
113、213 フィルタユニット 113′、213′ フィルタ本体
114、214 フィルタエレメント 115、215 処理水流出配管
116、216 開閉弁(流出配管弁) 117、217 逆洗液排出配管
118、218 開閉弁(逆洗水排出配管弁) 119、219 減圧配管
120、220 開閉弁(減圧配管弁) 121、221 逆洗配管
123、223 圧力計 130 排出配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高圧反応装置から排出される処理水中の固体微粒子(SSと略称)をろ過するための、該処理水の減圧手段の手前(高圧側)に設置されるフィルタリングシステムであって、
複数系列のフィルタユニットが並列配置されており、
各フィルタユニットには、
前記高圧反応装置からのSSを含む高圧流体がフィルタ本体に流入する流入配管、
前記フィルタ本体においてSSがろ過された高圧流体が前記減圧手段方向へ流出する流出配管、
前記フィルタ本体から高圧流体を抜いて減圧する減圧配管、
前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗する逆洗液を供給する逆洗配管、
逆洗後の逆洗液を前記フィルタ本体から排出する逆洗液排出配管、
前記フィルタ本体に高圧液を送って該フィルタ本体内を高圧にする加圧配管、
が接続されているとともに、
前記各配管を開閉する開閉弁が設けられており、
前記減圧配管及び/又は前記加圧配管に、減圧又は加圧速度を調整する調整手段が設けられていることを特徴とするフィルタリングシステム。
【請求項2】
前記フィルタユニットに、前記フィルタ本体下部に堆積したSSを巻き上げ・拡散させるための流体を供給する配管が設けられていることを特徴とする請求項1記載のフィルタリングシステム。
【請求項3】
前記フィルタユニットを加圧する際に、前記フィルタ本体から排出された処理水を用いることを特徴とする請求項1又は2記載のフィルタリングシステム。
【請求項4】
前記高圧反応装置から排出される処理水の減圧手段で減圧された後の処理水を貯留するタンク及び貯留した処理水を前記フィルタ本体に逆洗液として送るポンプが設けられていることを特徴とする請求項1、2又は3記載のフィルタリングシステム。
【請求項5】
前記各フィルタユニットに処理水を供給する配管と前記各フィルタユニットから処理水を排出する配管との間の差圧が一定値を超えたとき、又は、タイマーで設定した所定時間が経過したとき、のいずれかのうちの早い時点で、前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗することを特徴とする請求項1〜4いずれか1項記載のフィルタリングシステム。
【請求項6】
前記流入配管が、前記フィルタ本体の上部(流入部)の手前側で垂直方向に延びる垂直部を有しており、該垂直部に前記開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項1〜5いずれか1項記載のフィルタリングシステム。
【請求項7】
前記逆洗液排出配管がU字状をしており、該U字状の逆洗液排出配管の一端部が前記フィルタ本体の下部(排出部)に接続されているとともに、他端側に前記開閉弁が設けられていることを特徴とする請求項1〜6いずれか1項記載のフィルタリングシステム。
【請求項8】
水熱反応器と、
該水熱反応器に被処理水を供給する供給系統と、
前記水熱反応器の反応生成物を冷却・減圧・排出する後処理系統と、
を備える水熱処理装置であって、
前記後処理系統に、前記請求項1〜7いずれか1項記載のフィルタリングシステムが備えられていることを特徴とする水熱処理装置。
【請求項9】
高圧反応装置から排出される処理水中の固体微粒子(SSと略称)をろ過するための、該処理水の減圧手段の手前(高圧側)に設置される、複数系列のフィルタユニットが並列配置されたフィルタリングシステムを用いるフィルタリング方法であって、
前記各フィルタユニットに、
前記高圧反応装置からのSSを含む高圧流体がフィルタ本体に流入する流入配管、
前記フィルタ本体においてSSがろ過された高圧流体が前記減圧手段方向へ流出する流出配管、
前記フィルタ本体から高圧流体を抜いて減圧する減圧配管、
前記フィルタ本体内のフィルタエレメントを逆洗する逆洗液を供給する逆洗配管、
逆洗後の逆洗液を前記フィルタ本体から排出する逆洗液排出配管、
前記フィルタ本体に高圧液を送って該フィルタ本体内を高圧にする加圧配管、
を接続しておき、
前記各配管を開閉する開閉弁を設けておき、
前記減圧配管及び/又は前記加圧配管には、減圧又は加圧速度を調整する調整手段を設けておき、
前記フィルタ本体の逆洗を行う際に、
前記減圧配管、該配管を開閉する開閉弁、前記調整手段を用いて前記フィルタ本体内を減圧し、
前記逆洗液排出配管側からの液流により前記フィルタ本体下部に堆積したSSを巻き上げ・拡散させた後に、前記逆洗配管側から逆洗液を流し、
逆洗終了後に、前記加圧配管、該配管を開閉する開閉弁、前記調整手段を用いて前記フィルタ本体内を加圧する、
ことを特徴とするフィルタリング方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−55729(P2006−55729A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−239291(P2004−239291)
【出願日】平成16年8月19日(2004.8.19)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【出願人】(000001236)株式会社小松製作所 (1,686)
【出願人】(598124375)ジェネラル アトミックス インコーポレイティッド (1)
【Fターム(参考)】