フィルタ要素
本発明に係るフィルタ要素(100)は、平均流れ方向を規定する流入側および流出側を有するフィルタ体積(150)を含む。フィルタ体積(150)は、平均流れ方向と実質的に平行な軸を有し、平均流路の方向においてフィルタ体積の外側境界を区切るケーシング(140)をさらに含む。ケーシング(140)は、径方向において気体不透過性を有する。フィルタ体積(150)は、ファイバを含むフィルタ材料(111)で充填され、ファイバ(102)の大部分は、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、フィルタ要素およびフィルタ要素を提供するための方法に関し、特に、ディーゼル燃焼機関および/または場合によってはDOC触媒担体などのディーゼル燃焼装置のディーゼル排気ガスをフィルタリングするのに好適なフィルタ要素などの、排気ガスから煤煙をフィルタリングするのに好適なフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
金属ファイバを含むフィルタ媒体が当該分野において知られている。一例として、WO03/047720は、ディーゼル燃焼機関の排気ガスからディーゼル煤煙をフィルタリングするための多層焼結金属ファイバフィルタ媒体を開示している。この媒体は、十分に機能するものの、媒体が目詰まりするまでに限定された量の煤煙しか保持できないという欠点を有し得る。これはとりわけ、気孔率がより低いフィルタ媒体を使用することによる。結果として、たとえば電気的再生を用いた再生(すなわち媒体に電流を通し、ジュール効果による媒体の加熱を引起こす)、またはディーゼルもしくは排気ガスへの触媒化合物の注入による再生によって、ごく頻繁かつ多数回の再生作用が行われる必要がある。他の欠点は、この媒体は効率が制限され、媒体に対する圧力低下がより大きく、やや高価な点である。
【0003】
ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置のディーゼル排気ガスをフィルタリングするのに好適な代替的な多層フィルタ媒体が、WO04/104386に記載されている。この媒体は、その厚さが実質的により厚いことから、煤煙保持能力が向上している。当該媒体の欠点は、この煤煙保持機能の向上に達するために、新しいすなわち未使用のフィルタ媒体の場合でも、大きな体積が必要であり、かつフィルタ媒体に対して相対的に大きな圧力低下が生じ得るという点である。
【0004】
フィルタ媒体は金属ファイバの層を含み、これらの層は、当該分野において周知のエアレイ法またはウェットレイ法によって得られる。ファイバ層は、ファイバウェブとしても知られている。ファイバは、実質的にウェブ表面と平行な面において延在する。各面において、ファイバはランダムな方位を有する。任意に、このような複数のファイバウェブは、一体化されてフィルタ要素となる前に、所望の厚さのウェブをもたらすために積層される。
【0005】
たとえば、平均流路すなわち円筒形の巻物の軸に沿って、複数の隣接した連続的なファイバウェブを含む円筒形フィルタ要素を提供する場合は、適切な厚さを有する複数のファイバウェブが用意される。任意に、ウェブを焼結してウェブ中のファイバを結合させ、および/またはウェブの密度すなわち気孔率を増大させる。ファイバウェブの各々から、たとえば打抜きによって、円形のディスクが切出される。ディスクは正しい順序で積層され、円筒形ハウジングに封入される。流入および流出を有するフィルタ要素が得られる。流入および流出は、円筒形ハウジングの2つの外側端部に位置し、円筒形ハウジングの軸と実質的に平行な流路を規定する。ファイバはウェブ表面と平行な面において延在するため、フィルタ要素のファイバは、流路に対して実質的に垂直に方向付けされる。
【0006】
外側のファイバウェブ、すなわちフィルタ要素の流入側または流出側をもたらす2つのウェブが焼結されない場合は、フィルタ要素に与えられる気体とともに、円筒形ハウジングからファイバが流出するのを防ぐための手段が設けられ得る。このような手段は、金属ワイヤメッシュ、または多孔板もしくはシートであり得る。
【0007】
切出しまたは穿孔動作は、ウェブの結合性に影響を与え得る。ウェブが焼結されない限り、穿孔されたまたは切出されたウェブの結合性が緩まり、分解し得る。圧縮率によって、穿孔または切出し中および使用中において、高い気孔率を時間とともに制御しかつ維持することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、フィルタ媒体を含む良好なフィルタ要素、およびそれを作製し使用する方法を提供することである。本発明の実施例の利点は、現在知られているフィルタ媒体を含む現在知られているフィルタ要素と比較して、当該フィルタ媒体の透気性が所与の気孔率について向上する点である。たとえば、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置からの排気ガスをフィルタリングするのにフィルタ要素が使用される場合、フィルタ媒体に対する圧力低下の抑制によって、燃焼装置の排気は背圧が低下する。従ってその結果燃費が低下し、ゆえにディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の運転費用が低下し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一部のフィルタ要素は、ファイバ、任意に金属ファイバを有し、ファイバは互いに焼結されていないが、軸方向に変位しにくい。焼結は非常にエネルギおよび時間を消費する処理工程であるため、本発明に係るフィルタ要素および当該フィルタ要素を提供するための方法は、より費用効率が高い方法でフィルタ要素が提供され得るという利点を有する。
【0010】
上記の目的は、本発明に係る方法および装置によって実現される。
本発明の第1の局面によれば、フィルタ要素が提供される。フィルタ要素は、フィルタ巻物の外側境界を区切るケーシングを含み、ケーシングは平均流れ方向を規定する流入側および流出側を有する。ケーシングおよびフィルタ巻物は、平均流れ方向と実質的に平行な軸を有し、ケーシングは、平均流路の方向においてフィルタ巻物の外側境界を区切る。ケーシングは径方向において気体不透過性を有する。ケーシング内のフィルタ巻物は、ファイバを含むフィルタ材料で充填され、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0011】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物のフィルタ材料中のファイバの少なくとも50%が、少なくとも部分的に軸を取囲む。本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物のフィルタ材料中のファイバの少なくとも85%が、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0012】
「取囲む」という用語は、周囲を通ることと理解される。従って、「少なくとも部分的に軸を取囲むファイバ」とは、ファイバが少なくとも部分的に軸の周囲を通ることを意味する。これは、平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向にファイバを射影することによって、最もよく理解され得る。
【0013】
平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向に射影されたファイバの射影線は、必ずしもこの面AA′上の軸の射影と中心が一致した円形または円弧であるとは限らない。最適合線、すなわち平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向に射影されたファイバの射影線に最も近く適合する線の凹側は、この面AA′上の軸の射影に方向付けされる。
【0014】
任意に金属ファイバであるファイバを含むフィルタ材料は、70%から99%の範囲であり得る気孔率Pを有する。同じ体積であり同じ気孔率を有し、同じファイバから得られるが、流路に垂直な面と平行にファイバが方向付けされているフィルタ材料を含むフィルタ要素と比較すると、本発明の第1の局面に係るフィルタ要素について、著しく向上した透気性が得られる。60%を上回る向上を得ることができる。所与のファイバ特性(マントル面、等価直径、平均断面形状など)と、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物の気孔率および高さなどの所与のフィルタ媒体特性とについて、このような高い透気性は、たとえばディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置からの排気ガスをフィルタリングするのにフィルタ要素が使用される場合に特に有利である。
【0015】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物は円筒形であり得る。
フィルタ巻物は、任意に、たとえば円形または楕円形の断面を有する円錐形であり得る。円筒形のフィルタ巻物については、フィルタ巻物は、任意に、円形または楕円形の断面を有する円筒形であり得る。
【0016】
本発明の一部の実施例によれば、ファイバの大部分は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。フィルタ材料中に存在するファイバの少なくとも50%は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。任意に、フィルタ材料中に存在するファイバの少なくとも85%は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。
【0017】
本発明の一部の実施例によれば、ファイバは、平均流れ方向と実質的に平行なコイル巻き軸を中心としてコイル巻きされた、結合されたファイバ構造の一部であり得る。結合されたファイバ構造は、ファイバウェブであり得る。ファイバウェブは、いずれかの好適なウェブ形成処理によって得られたファイバウェブ、たとえばエアレイドウェブ、ウェットレイドウェブまたはカーディングされたウェブであり得る。ウェブは、好ましくは不織ウェブであり、任意にニードルパンチされたものである。
【0018】
結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含み得る。結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのバンドル、任意に複数の同一のバンドル、またはファイバの種類、ファイバの等価直径もしくはファイバ材料などのファイバ特性、もしくはバンドルの繊度などのバンドルの特性が異なる複数の互いに異なるバンドルを含み得る。
【0019】
ファイババンドルは、いずれかの好適なバンドル形成処理によって得られるファイババンドルであり得る。一例として、ファイババンドルは、カードスライバであり得る。
【0020】
ウェブまたは少なくとも1つのファイババンドルなどの結合されたファイバ構造は、その端縁の一方と平行な軸を中心としてコイル巻きされているか、または巻付けられており、ケーシングが取外された場合、径方向に膨張する傾向を有する。これは特に、ケーシングが径方向内側への力をフィルタ材料の境界に加えている場合である。この内側に方向付けされた力は、気体がフィルタ要素を流れる場合、フィルタ材料がフィルタ巻物内で平均流路に沿った方向に変位する傾向があまりないか、または全くないという効果を有する。フィルタ材料は、ケーシング内にクランプされる。フィルタ材料は変位する傾向があまりないかまたは全くないため、フィルタ巻物の流入側または流出側においてファイバが焼結されない場合でも、ファイバが円筒形ハウジングから外に出るのを阻止するための手段が不要となり得る。
【0021】
任意に、フィルタ媒体のすべての層は、金属ファイバを含むかまたは金属ファイバからなる。
【0022】
いずれかの好適な種類の金属または金属合金を使用して、金属ファイバをもたらし得る。金属ファイバは、たとえばステンレススチールなどのスチールからなる。任意に、ステンレススチール合金は、AISI316LもしくはAISI347などのAISI300もしくはAISI400シリーズの合金であるか、またはFe、AlおよびCrを含む合金、クロミウム、アルミニウムおよび/またはニッケルと、0.05%〜0.3重量%のイットリウム、セリウム、ランタン、ハフニウムもしくはチタンとを含むステンレススチール、たとえばDIN1.4767合金またはFECRalloyなどが使用される。銅もしくは銅合金、またはチタンもしくはチタン合金も使用し得る。金属ファイバは、ニッケルまたはニッケル合金で形成することもできる。
【0023】
金属ファイバは、いずれかの現在知られている金属ファイバ製造方法、たとえばバンドル延伸処理、特許第3083144号に記載されているようなコイル切削処理、ワイヤ切削処理(たとえばスチールウール)、または溶融金属合金槽から金属ファイバを提供する方法によって作製され得る。金属ファイバに平均長を与えるためには、金属ファイバは、WO02/057035に記載されているような方法を用いて、もしくはUS4664971に記載されているような金属ファイバ粒を提供するための方法を用いて切断されるか、または伸張破断(stretch broken)される。
【0024】
好ましくは、金属ファイバの等価直径Dは、65μm未満など100μm未満、より好ましくは35μm、22μmまたは17μmなど36μm未満である。任意に、金属ファイバの等価直径は、14μm、12μmもしくは11μmなど15μm未満、または、たとえば8μmなど9μm未満である。任意に、金属ファイバの等価直径Dは、7μm未満または6μm未満、たとえば1μm、1.5μm、2μm、3μm、3.5μmもしくは4μmなど5μm未満である。
【0025】
金属ファイバは、エンドレス金属ファイバ、フィラメントとしても知られるエンドレスファイバ、または任意にたとえば0.1cm〜5cmの範囲の平均ファイバ長Lfiberを有し得る。
【0026】
従ってバンドルは、コイル切削金属ファイバのバンドルであり得る。代替的に、バンドルは、バンドル延伸によって得られた金属ファイバのバンドルであり得る。バンドル延伸金属ファイバは、任意に、たとえばEP280340に記載されているような方法による捲縮ファイバである。
【0027】
バンドルは、200〜10000本の範囲もしくはさらにそれ以上のファイバまたはフィラメントなどの複数の金属ファイバを含み得る。
【0028】
金属ファイバを含むウェブが使用される場合、ウェブはエアレイド法またはウェットレイド法によって提供され得る。金属ファイバウェブは、たとえば厚さが1mm〜50mm、表面重量が100g/m2〜600g/m2であり得る。
【0029】
フィルタ材料は、金属粉末粒子などの粉末要素をさらに含み得、および/または触媒成分を含み得る。
【0030】
フィルタ巻物の高さ、すなわち平均流路に沿ったフィルタ巻物の長さは、本発明に対する限定事項とは考えられない。たとえば3cm〜20cmの範囲、典型的に5cmなどであり得る。
【0031】
フィルタ巻物を充填するフィルタ材料は、たとえば70%〜99%の気孔率を有し得る。フィルタ材料の気孔率は、フィルタ巻物の高さに沿って均一であり得るか、またはフィルタ巻物の高さに沿って変動し得る。気孔率は、流入側から流出側に徐々にまたは段階的に変動し得、流入側の気孔率は、流出側よりも大きい。
【0032】
平均流路に垂直な面に従うフィルタ巻物の断面の表面積は、フィルタ巻物の高さに沿って均一であり得る(円筒形のフィルタ巻物の場合など)か、または変動し得る(円錐形のフィルタ巻物の場合など)。平均流路に垂直な面に従う断面の表面積は、450mm2〜130000mm2の範囲など、たとえば12500mm2〜96200mm2などのように、たとえば450mm2〜100000mm2の範囲であり得る。
【0033】
金属ファイバが使用される場合、ケーシングは、金属ケーシング、任意に、金属ファイバを提供するのに使用されるものと同様または同一の金属合金で提供され得る。
【0034】
好ましい実施例において、フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む。特に、円錐形の空洞は流入側に位置し、円錐形の延長部分は流出側に位置し得る。円錐形の空洞によって、フィルタ要素の流入側の表面が増大する。流入側におけるフィルタ要素の目詰まりが遅延されるかまたは防止される。特に、円錐形の空洞および円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす。隣接するフィルタ要素は、一方のフィルタ材料の円錐形の延長部分を他方のフィルタ材料の円錐形の空洞に挿入することによって互いに積層され得る。「円錐形」という表現は、錐台のような形状、または断面が三角形または断面が部分的に円形もしくは楕円形であることも意味すると理解される。
【0035】
本発明の第2の局面によれば、フィルタ要素を提供するための方法が提供される。当該方法は、ファイバを含む結合されたファイバ構造を設けるステップを含み、結合されたファイバ構造は少なくとも前縁を有し、さらに、前縁と平行なコイル巻き軸を中心として結合されたファイバ構造をコイル巻きし、それによりフィルタ材料を設けるステップと、コイル巻き軸と実質的に平行な方向においてフィルタ材料の外側境界と接触する気体不透過性ケーシングを設けて、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を設けるステップとを含み、ケーシングは、平均流れ方向を規定する流入側および流出側をフィルタ巻物に与え、フィルタ巻物の軸は平均流れ方向と実質的に平行である。
【0036】
このように、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を規定するケーシングを含むフィルタ要素が提供される。フィルタ材料はファイバを含み、少なくとも50%、または少なくとも85%といったファイバの大部分は、本発明の第1の局面によれば、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0037】
本発明の一部の実施例によれば、軸方向においてフィルタ巻物の外側境界と接触し、かつ径方向において気体不透過性を有するケーシングを設けるために、フィルタ材料を中心としてホイルまたは板をコイル巻きし、ホイルまたは板を封止することで、フィルタ材料の外側境界をコイル巻き軸と実質的に平行な方向にホイルまたは板で覆うことにより、気体不透過性ケーシングを設ける。コイル巻きされたフィルタ材料を中心として、金属ホイルまたは金属板などのホイルまたは板をコイル巻きすることによって得られるケーシングは、径方向内側への(すなわちコイル巻き軸への)力をフィルタ材料に及ぼし得る。
【0038】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物に、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられ、フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割され、少なくとも2つのフィルタ要素がもたらされる。同一のフィルタ材料およびケーシングを含むいくつかのフィルタ要素も効率的に提供され得る。
【0039】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造は、その前縁を中心としてコイル巻きされる。
【0040】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造はファイバウェブであり得る。
【0041】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含み得る。
【0042】
平均流路に沿った所与の位置に存在するファイバの量は、所与の位置においてウェブ中に存在するファイバの量を変動させることによって、またはコイル巻きされているもしくは巻付けられているウェブの層もしくはバンドルの数を局地的に増加させることによって、変動させ得る。特にファイババンドルを使用してコイル巻きする場合、平均流路に沿った所与の高さにおけるファイバの量、従ってこの部分におけるフィルタ要素の気孔率を容易に変動させ得る。
【0043】
任意に、ファイバは金属ファイバであり、ケーシングは、金属ファイバを含むフィルタ材料の周りに、金属ホイルまたは板をコイル巻きすることによって得られる。
【0044】
本発明の第3の局面によれば、フィルタモジュールを提供するための方法が提供される。当該方法は、本発明の第2の局面に従ってかつ上記したようにN個のフィルタ要素を設けるステップを含み、Nは2以上であり、さらに、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結するステップを含み、iは2からNの間で変動する。
【0045】
N個のフィルタ要素のケーシングは、同一の外周を有し得る。ケーシングが金属から得られる場合、フィルタ要素の連結は、ケーシングを互いに溶接またはクランプすることによって行なわれ得る。
【0046】
異なるフィルタ要素は、異なるフィルタ材料を含み得る。フィルタ材料は、同一または異なる結合されたファイバ構造をコイル巻きすることによって得られる。
【0047】
好ましい実施例において、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分がフィルタ要素に設けられる。図2e参照。円錐形状は、対応する形状の工具を用いてフィルタ要素を軸方向に加圧することによって実現することができる。フィルタ要素は、保持手段、たとえばクランプ等によって、ケーシングを介して保持され得る。フィルタ要素が固定された後、円錐形の空洞を得るために、円錐形状の工具をフィルタ材料に圧入し得る。加えられた圧力によって、フィルタ材料は部分的に圧入方向に移動し得、従ってフィルタ材料の軸方向の厚さが一定に維持される。その場合、フィルタ材料の規定された形状の円錐形延長部分を保護するために、反対の位置に対応する形状の工具が設けられ得る。
【0048】
一部の実施例によれば、N個のフィルタ要素のうち少なくとも1つは触媒成分を含み得る。N個のフィルタ要素のうち少なくとも2つが触媒成分を含む場合、N個のフィルタ要素のうち1つの触媒成分は、他のフィルタ要素の触媒成分とは異なり得る。
【0049】
本発明の一部の実施例によれば、当該方法は、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続したフィルタ要素の間に少なくとも1つのヒータを設ける工程を含み得る。任意に、第1のフィルタ要素の前、および連続したフィルタ要素の一部または各対同士の間にヒータが設けられる。ヒータは電気ヒータであり得る。
【0050】
ヒータの制御は、温度、および/または連続したフィルタ要素の前もしくは間に配置された圧力センサに基づいて行なわれ得る。
【0051】
本発明の第4の局面によれば、フィルタモジュールが提供される。フィルタモジュールは、N個のフィルタ要素を含み、Nは2以上であり、フィルタ要素は、上記の本発明の第1の局面に係るフィルタ要素である。N個のフィルタ要素は、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結することによって互いに連結され、iは2からNの間で変動する。
【0052】
本発明の実施例によれば、少なくとも1つのフィルタ要素は触媒成分を含み得る。
本発明の実施例によれば、フィルタモジュールは、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続するフィルタ要素の間に配置された少なくとも1つ、任意に複数、たとえばN個のヒータを含み得る。
【0053】
本発明の特定のおよび好ましい局面は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、適宜に、かつ請求項に明白に記載されている通りだけでなく、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴に組合され得る。
【0054】
この分野の装置は絶え間なく改良され、変化し、進化しているが、本概念は、先行技術からの発展を含む実質的に新しく新規な改良を示し、より効率的で、安定し、信頼性の高いこの種の装置の提供につながるものと考えられる。
【0055】
本発明の教示によって、たとえば、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の排気ガスをフィルタリングするための、改良されたディーゼル排気ガスフィルタシステムの設計が可能となる。透気性の向上によってフィルタ媒体に対する圧力低下が抑制されることで、燃焼装置の背圧がより低下する。従ってこれは燃費の低下につながり、ゆえに本発明に係るフィルタ媒体を含む排気フィルタが設けられる、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の運転費用が低下する。燃費の低下はCO2の排出が減少することも意味し、粒状物質およびNOxについての厳格なディーゼル排出規制と温室効果ガス排出とを調和させる。
【0056】
本発明の上記のおよび他の特徴および利点は、添付の図面を参照すれば以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。図面は、例示として発明の原理を示す。この説明は例示のみを目的とし、発明の範囲を限定するものではない。以下の参照符号は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図1b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図1c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2d】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2e】入口表面積が増大した、本発明に係るフィルタ要素のさらなる実施例を示す図である。
【図3a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図3b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図3c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図4a】本発明の一局面に係るフィルタ要素中に存在するファイバの射影を示す図である。
【図4b】本発明の一局面に係るフィルタ要素中に存在するファイバの射影を示す図である。
【図5】本発明の一局面に係るフィルタモジュールを提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図6】本発明の一局面に係るフィルタモジュールを概略的に示す図である。
【0058】
異なる図において、同じ参照符号は同じまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
例示的な実施例の説明
本発明を特定の実施例について一部の図面を参照して説明するが、発明はそれに限定されず、請求項によってのみ限定される。説明される図面は概略的なものに過ぎず、限定的なものではない。図面において、例示を目的として、一部の要素の寸法が強調されており、同じ縮尺で描かれていない場合がある。寸法および相対的な寸法は、発明の現実の実施化に対応しない。
【0060】
さらに、明細書および請求項における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素同士を区別するのに使用されるものであり、時間的、空間的いずれかの配列を順番にまたは他の方法で説明するものではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施例は、本明細書に記載または例示される以外の順序で動作可能であると理解される。
【0061】
また、説明および請求項における上部、底部、上、下などの用語は、説明のために用いられるものであり、必ずしも相対的な位置を説明するためのものではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施例は、本明細書に記載または例示される以外の方位で動作可能であると理解される。
【0062】
なお、請求項において使用される「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素または工程を排除するものではない。従って、規定された特徴、整数、工程もしくは構成要素の存在を言及したとおりに特定するものと解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程もしくは構成要素またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。従って、「手段AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではない。本発明に関して、関連がある唯一の構成要素がAおよびBであるということを意味する。
【0063】
同様に、同じく請求項において使用される「連結された」という用語は、直接的な接続のみに制限されると解釈されるべきではない。「連結された」および「接続された」という用語は、それらの派生語とともに使用され得る。これらの用語は互いに同義語として意図されていないと解釈されるべきである。従って、「装置Bに連結された装置A」という表現の範囲は、装置Aの出力が装置Bの入力に直接接続された装置またはシステムに限定されるべきではない。Aの出力とBの入力との間に、他の装置または手段を含む経路であり得る経路が存在することを意味する。「連結された」は、2つ以上の要素が物理的もしくは電気的に直接接触しているか、または2つ以上の要素が互いに直接接触していないものの互いに協動もしくは相互作用することを意味し得る。
【0064】
本明細書中の「一実施例」または「ある実施例」という言及は、当該実施例に関連して説明される特定の特徴、構造もしくは特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な箇所の「一実施例」または「ある実施例」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施例を指すとは限らないが、指し得る。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施例において、本開示から当業者には明らかであるように、いずれかの好適な方法で組合せ得る。
【0065】
同様に、発明の例示的な実施例の説明において、開示を簡素化し、様々な発明の局面の1つ以上の理解を助ける目的で、発明のさまざまな特徴が1つの実施例、図、またはその説明に合せて分類される場合があると解釈されるべきである。しかし、本開示の方法は、各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を請求項に記載の発明が必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、上記の開示された1つの実施例のすべての特徴に発明の局面が存在するとはいえない。従って、詳細な説明に従う請求項はこの詳細な説明に明示的に包含され、各請求項は本発明の別個の実施例として自立している。
【0066】
さらに、本明細書に記載される一部の実施例は他の実施例に含まれる特徴の一部を含むが残りの特徴は含まないが、異なる実施例の特徴の組合せは発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように、異なる実施例を構成するものと意図される。たとえば、添付の請求項では、請求項に記載の実施例のいずれかをいかなる組合せで使用することもできる。
【0067】
さらに、実施例の一部は、コンピュータシステムのプロセッサによってもしくは機能を実行する他の手段によって実現することができる方法、または方法の要素の組合せとして本明細書において記載される。従って、このような方法または方法の要素を実行するために必要な指令を伴うプロセッサは、方法または方法の要素を実行するための手段を構成する。さらに、装置実施例の本明細書において記載される要素は、発明を実行するために当該要素によって行なわれる機能を実行するための手段の一例である。
【0068】
本明細書で示される説明において、様々な具体的詳細が記載される。しかし、発明の実施例はこれらの具体的詳細なしに実施され得ると理解される。他の例では、本記載の理解を妨げることのないように、周知の方法、構造および技術については詳細に示していない。
【0069】
以下の用語は、発明の理解を助けるためにのみ示される。
「気孔率」Pという用語は、P=100*(1−d)と理解される。ここで、d=(1m3の焼結金属ファイバ媒体の重量)/(SF)。ここで、SF=焼結金属ファイバ媒体をもたらす合金のm3当たりの比重量。
【0070】
「透気性」(APとも称する)は、ISO4002と同等のNF95−352に記載される装置を用いて測定される。NF95−352、ゆえにISO4002の試験方法は、装置をより直径が大きいフィルタ巻物に対応させるように変更される。これは、フィルタ巻物と装置の流入開口部との間に中間漏斗形要素を設置することによって行なわれる。漏斗形要素は一方側において流入開口部の周囲と一致し、他方側においてフィルタケーシングの周囲と一致する。漏斗形要素は、漏れを防ぐために流入開口部とフィルタケーシングとの両方に封止される。
【0071】
特定のファイバの「等価直径」という用語は、円形の径方向断面を有する仮想ファイバの直径と理解され、当該断面の表面積は、特定のファイバの断面の表面積の平均に等しい。
【0072】
本発明を発明のいくつかの実施例の詳細な説明に従って説明する。発明の真の精神または技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識によって発明の他の実施例を構成することができることは明らかであり、発明は、添付の請求項の言い回しによってのみ限定される。
【0073】
本発明の第2の局面に係るフィルタ要素を提供するための連続的な工程を図1a〜図1cに示す。
【0074】
図1aの第1の工程に示すように、結合されたファイバ構造101が設けられ、構造101はファイバ102を含む。ファイバウェブである結合されたファイバ構造は、前縁103、後縁104、ならびに2つの側縁105および106を有する。結合されたファイバ構造101は、実質的に長方形のファイバウェブである。
【0075】
好適な結合されたファイバ構造の一部の例は、たとえば、等価直径が35μmのコイル切削金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約300g/m2である。代替例は、等価直径が22μmのコイル切削金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約450g/m2である。さらなる代替例は、等価直径が17μmのバンドル延伸金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約300g/m2である。さらなる代替例は、等価直径が12μmのバンドル延伸金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約200g/m2である。
【0076】
結合されたファイバ構造101のファイバ102は、実質的に、ウェブ表面107と平行な面において方向付けされている。当該面において、ファイバの方位はランダムである。一部のファイバは後縁または前縁と実質的に位置合わせされ、他の一部は側縁と平行な方向に延在し、さらに他の一部はその間の方位を有する。
【0077】
後縁104に沿って、たとえば、溶接部112によって後縁に沿ってホイル110を結合されたファイバ構造101に溶接することによって、結合されたファイバ構造101に金属ホイル110が取付けられる。ホイル110は、FECRALLOYホイルなどの鉄−クロミウム−アルミニウム合金ホイルであり、結合されたファイバ構造101の幅と等しい幅Wを有し、巻付けられた結合されたファイバ構造の周囲を一回巻くのに少なくとも十分な長さLfを有する。ホイルは約230μmの厚さを有し得る。ホイルの幅は、約700mm幅のホイルにスリットを入れて幅Wの適切な部分にすることによって、調整することができる。
【0078】
結合されたファイバ構造101は、次にコイル巻き軸130の周りに巻付けられるか、またはコイル巻きされる。コイル巻き軸130は前縁103と平行である。本実施例では、結合されたファイバ構造101は、前縁103自体を中心として巻付けられる。巻付けは、矢印131で示す方向に従って行なわれる。結合されたファイバ構造101は実質的に長方形であるため、巻付け中、側縁105および106はそれぞれ、コイル巻きされると1つの面内に存在するように、位置合わせした状態に保ち得る。
【0079】
結合されたファイバ構造101をコイル巻きすることによって、フィルタ材料111が得られる。さらに詳細に説明するように、ファイバ102の大部分(本実施例ではたとえば85%を上回る)が少なくとも部分的に軸130を取囲む。これは、当該ファイバがウェブ中に存在し、ウェブ表面107と実質的に平行に方向付けされていたためである。ウェブ表面107は、次に軸130を中心とした渦巻き形の渦巻きに変形され、ウェブ表面107と同一平面上にあったファイバは、この渦巻きに従って、少なくとも部分的に軸130を取囲む経路をたどることになる。
【0080】
フィルタ材料111の外側境界113を、コイル巻き軸130と実質的に平行な方向にホイル110で覆うことによって、気体不透過性ケーシングが得られる。これは、図1bに示すように、フィルタ材料を中心としたホイルのコイル巻きを続けることによって行われる。ホイル110および結合されたファイバ構造101は互いに連結されていたため、これは1回の動作で行われ得る。ホイル110は、フィルタ材料111の周りに少なくとも一回完全に巻付けられる。ホイル110の後縁114がホイルと接触する場所において、図1cに示すように、たとえば溶接部141に沿って溶接することによって、ホイルがホイル自身に封止される。このようにケーシング140が得られ、ケーシング140は、コイル巻き軸130と実質的に平行な方向にフィルタ材料111の外側境界113と接触して、フィルタ材料111で充填されたフィルタ巻物150をもたらす。
【0081】
ケーシング140は、径方向、すなわち軸130から外側方向において気体不透過性を有する。
【0082】
巻付け時に十分大きな巻付け張力をホイルに加えることによって、フィルタ材料111は径方向内側に圧迫される。この圧迫によって、フィルタ材料は径方向に予め引張られる。張力によって、フィルタ材料がケーシングにクランプされ、フィルタ材料およびフィルタ材料のファイバ部分が、フィルタ要素を通る気体とともに軸方向に変位する変位が回避される。
【0083】
このように、本発明の第1の局面に係るフィルタ要素100が提供され得る。フィルタ要素100は、気体不透過性ケーシング140を含み、ケーシングは、平均流れ方向153を規定する流入側151および流出側152をフィルタ巻物150に与える。フィルタ巻物150は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸130と同一であり、平均流れ方向153と実質的に平行である。フィルタ要素100のフィルタ巻物150は、幅Wwと等しい高さHを有する。
【0084】
後縁または前縁と平行な成分を有する方向に従ってウェブに存在していたファイバは、少なくとも部分的に軸130を取囲むことになる。側縁と平行な成分を有する方向に従ってウェブに存在していたファイバは、フィルタ要素100の軸方向に少なくとも部分的に延在することになる。
【0085】
ファイバウェブである結合されたファイバ構造101およびホイル110は、フィルタ要素の直径Dが127mmとなるようにコイル巻きされる。フィルタ材料は、たとえば95%または97%以上の気孔率を有する。空気透過性は、流入側151と流出側152との間の200Paの圧力低下を用いて測定することができ、下記の表1に示すように、とりわけファイバの等価直径、フィルタ巻物の高さ、気孔率に依存する。
【0086】
【表1】
【0087】
本発明の第1の局面に係る代替的なフィルタ要素200は、図2a〜図2dに連続的な工程を概略的に示す方法を用いて提供され得る。
【0088】
図2aに示すように、結合されたファイバ構造201が提供され、構造201は、ファイバ202のバンドル208を含む。結合されたファイバ構造201は、前縁203を有する。
【0089】
バンドル208は、いずれかの適切な等価直径、たとえば35μmもしくは22μmを有する、コイル切削金属ファイバまたはバンドル延伸金属ファイバを含む。バンドルの繊度は、典型的に3g/mである。バンドル延伸金属ファイバのバンドルが使用される場合、ファイバ従ってバンドルの嵩を増大させるために、バンドル中のファイバに任意に皺が設けられる。
【0090】
結合されたファイバ構造201のファイバ202は、バンドル208と実質的に平行に方向付けされる。
【0091】
結合されたファイバ構造201は次に、コイル巻き軸230を規定するシャフト232の周りに巻付けられるか、またはコイル巻きされる。巻付けは、矢印231で示される方向に従って行われる。バンドル208は、長さL1にわたってシャフト232の周りに巻付けられる。バンドルは、シャフトの両端(点aおよびbで示す)の間でバンドル208を案内する往復案内手段234によって案内される。シャフトの回転および案内手段の往復動作により、シャフト232の周りに、たとえば螺旋または渦巻き状の経路でバンドルが巻付けられる。
【0092】
シャフトの長さに沿った所与の位置における巻線の数を注意して規定することによって、異なる箇所にあるファイバの量を決定したり変動させたりすることができる。図2bに示すように、円錐の長さに沿って厚さが異なる、円錐形に巻付けられたファイバ層が得られ得る。22において、巻付け動作時に案内手段がたどる経路が示される。第1段階Iにおいて、円錐の全長である領域Z1に沿ってバンドルが設けられる。第2段階IIにおいて、バンドルは領域Z2の長さに沿って巻付けられるが、第3段階IIIではバンドルは領域Z3に沿ってのみ巻付けられる。領域Z3ではより多くのファイバが設けられるが、領域Z1では最少のファイバが設けられる。
【0093】
結合されたファイバ構造201をコイル巻きすることによって、フィルタ材料211が得られる。さらに詳細に説明するように、ファイバ102の大部分(本実施例ではたとえば85%以上)が少なくとも部分的に軸230を取囲む。これは、ファイバが、バンドルと平行な方向にバンドル中に存在していたためである。バンドル208が軸230を有する渦巻きに変形されると、ファイバは、少なくとも部分的に軸230を取囲む経路をたどる。
【0094】
図2cに示すさらなる工程において、FECRALLOYホイルなどの鉄−クロミウム−アルミニウム合金ホイルであるホイル210は、結合されたファイバ構造101の巻付け長さLと等しい幅Wfを有し、巻付けられた結合されたファイバ構造の周囲を一回巻くのに少なくとも十分な長さLfを有する。ホイルは約230μmの厚さを有し得る。ホイルの幅は、約700mm幅のホイルにスリットを入れて幅Wの適切な部分にすることによって、調整することができる。
【0095】
フィルタ材料211の外側境界213を、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にホイル210で覆うことによって、気体不透過性ケーシングが得られる。これは、図2cに示すように、フィルタ材料を中心としたホイルのコイル巻きを続けることによって行われる。ホイル210は、フィルタ材料211の周りに少なくとも一回完全に巻付けられる。ホイル210の後縁214がホイルと接触する場所において、図2dに示すように、たとえば溶接部241に沿って溶接することによって、後縁がホイルに封止される。このようにケーシング240が得られ、ケーシング240は、図2dに示すように、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にフィルタ材料211の外側境界213と接触して、フィルタ材料211で充填されたフィルタ巻物250をもたらす。
【0096】
ケーシング240は、径方向、すなわち軸230から外側方向において気体不透過性を有する。
【0097】
巻付け時に十分大きな巻付け張力をホイルに加えることによって、フィルタ材料211は径方向内側に圧迫され、巻付けまたはコイル巻き時に得られたフィルタ材料211の円錐形状が、円筒形状に変形されることになる。より多くのファイバが存在する領域はより強く圧迫されることになり、これらの領域のファイバ材料はより高密度となる。気孔率が異なる連続した領域P1、P2およびP3を有するフィルタ材料211が得られ得る。
【0098】
ケーシング240を設けた後、フィルタ材料211からシャフトを軸方向に引出すことによってシャフト232を除去してもよい。
【0099】
このように、気体不透過性ケーシング240を含むフィルタ要素200が提供され得る。ケーシングは、平均流れ方向253を規定する流入側251および流出側252をフィルタ巻物250に与える。フィルタ巻物250は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸230と同一であり、平均流れ方向253と実質的に平行である。フィルタ要素200のフィルタ巻物250は、幅Wfと等しい高さHを有する。
【0100】
バンドル208は、円筒形のフィルタ巻物をもたらすように巻付けられ得、ケーシング、たとえば巻付けられたフィルタ巻物の周りに巻付けられたホイルが設けられると理解される。軸方向に実質的に均一な気孔率を有する同様のフィルタ要素が得られ得る。一例として、等価直径が22μmのコイル切削ファイバのファイババンドルである結合されたファイバ構造201とホイル210とが、フィルタ要素の直径Dが127mm、長さが50mmとなるようにコイル巻きされる。気孔率が97%のフィルタ材料の空気透過率は、470l/dm2/minである。気孔率が98%になるように巻付けられた同じバンドルの空気透過率は、635l/dm2/minである。他の例として、等価直径が35μmのコイル切削ファイバのファイババンドルである結合されたファイバ構造201とホイル210とが、フィルタ要素の直径Dが127mm、長さが50mmとなるようにコイル巻きされる。気孔率が97%のフィルタ材料の空気透過率は、722l/dm2/minである。気孔率が98%になるように巻付けられた同じバンドルの空気透過率は、926l/dm2/minである。空気透過率は、流入側251と流出側252との間の200Paの圧力低下を用いて測定される。
【0101】
ファイバの大部分がバンドル208においてバンドルの方向に従って存在していたため、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸230を取囲むことになる。バンドルが螺旋状または渦巻き状に巻付けられているため、ファイバの方向には軸方向成分が与えら得、従って大部分のファイバは、少なくとも部分的にフィルタ要素200の軸方向に延在することになる。
【0102】
任意に、図1a〜図1cおよび図2a〜図2dには示していないが、フィルタ巻物は、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられると、フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割されて、少なくとも2つのフィルタ要素が得られ得る。フィルタ巻物およびケーシングから切出される長さによって、高さが異なるまたは等しいフィルタ要素が得られ得る。
【0103】
図2eは、円錐形のフィルタ媒体211を有する、本発明に係るフィルタ要素のさらなる実施例を示す。本実施例では、フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む。特に、円錐形の空洞は流入側に配置され得、円錐形の延長部分は流出側に配置され得る。円錐形の空洞によって、フィルタ要素の流入側の表面が増大する。円錐形態がなく単に平坦な表面ならば、フィルタの表面積の2倍まで増大し得る。表面積の増大によって、流入側におけるフィルタ要素の目詰まりが抑制されるかまたは遅延される。特に、円錐形の空洞および円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす。
【0104】
本発明の第1の局面に係る代替的なフィルタ要素300は、図3a〜図3cに連続的な工程を概略的に示す方法を用いて提供され得る。
【0105】
フィルタ媒体211は、図2a〜図2bによって説明した方法と同じように得られる。
フィルタ材料211の外側境界213を、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向に2つの円錐形シェル301および302で覆うことによって、気体不透過性ケーシング340が得られる。フィルタ材料211は、互いに接続されている2つのシェル301および302の間にクランプされる。これは、径方向に延在するフランジ310および311を互いにたとえばボルト締めするか、溶接するか、またはリベット締めすることによって行われ得る。任意に、フランジの間にシーリング312を設けてもよい。このようにケーシング340が得られ、ケーシング340は、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にフィルタ材料211の外側境界213と接触して、図3a〜図3cに示すように、フィルタ材料211で充填されたフィルタ巻物350をもたらす。
【0106】
ケーシング340は、径方向、すなわち軸230から外側方向において気体不透過性を有する。
【0107】
円錐形の巻付けによって、大部分のファイバが存在する領域は、軸230と実質的に垂直な面に従った断面に、より大きな表面積を与えることになる。
【0108】
ケーシング340を設けた後、フィルタ材料211からシャフトを軸方向に引出すことによってシャフト232を除去してもよい。
【0109】
このように、気体不透過性ケーシング340を含むフィルタ要素300が提供され得る。ケーシングは、平均流れ方向353を規定する流入側351および流出側352をフィルタ巻物350に与える。フィルタ巻物350は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸230と同一であり、平均流れ方向353と実質的に平行である。フィルタ要素300のフィルタ巻物350は、コイル巻き長さL1と等しい高さHを有する。
【0110】
ファイバの大部分がバンドル208においてバンドルの方向に従って存在していたため、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸230を取囲むことになる。バンドルが螺旋状または渦巻き状に巻付けられているため、ファイバの方向には軸方向成分が与えられ得、従って大部分のファイバは、少なくとも部分的にフィルタ要素200の軸方向に延在することになる。
【0111】
図4aおよび図4bの401および411は、平均流れ経路400に垂直な面AA’上において平均流路の方向に射影された一部のファイバの射影線403、413をそれぞれ概略的に示す。
【0112】
図4aおよび図4bの402および412は、面BB’に垂直な方向に射影された平均流路を含む面BB’上において、一部のファイバの射影線404、414をそれぞれ概略的に示す。
【0113】
図4aは、フィルタ要素100に対応する。405は、軸130の射影を表す。
図4bは、フィルタ要素200に対応する。415は、軸230の射影を表す。
【0114】
401から明らかなように、面AA’上のファイバの射影は、軸の射影405を少なくとも部分的に取囲む経路を示す。従って、面AA’上に射影されたファイバも、3Dに見られるように、軸を少なくとも部分的に取囲む。最適合線の凹側は、射影405に方向付けされる。
【0115】
402から明らかなように、面BB’上のファイバの射影は、軸方向に延在する成分を有する経路を示す。一例として、射影が406で表されるファイバは、長さLaに沿って軸方向に延在する。
【0116】
411から明らかなように、面AA’上のファイバの射影は、軸の射影415を少なくとも部分的に取囲む経路を示す。これは、フィルタ材料を得るのに使用されるバンドル208のファイバが、フィルタ要素100を得るのに使用されるウェブのファイバよりも長い場合があることから、より明白である。従って、面AA’上に射影されるファイバも、3Dに見られるように、少なくとも部分的に軸を取囲む。最適合線の凹側は、射影415に方向付けされる。
【0117】
412から明らかなように、面BB’上のファイバの射影は、軸方向に延在する成分を有する経路を示す。一例として、射影が416で表されるファイバは、長さLaに沿って軸方向に延在する。
【0118】
本発明の第3の局面に関し、フィルタモジュールを提供するための方法を図5に概略的に示す。当該方法は、この第3の実施例において、N個のフィルタ要素501、502および503を設ける工程を含む。フィルタ要素は、たとえば円筒形のフィルタ要素である。フィルタ要素の各々は、本発明の方法のいずれかに従って、まずフィルタ巻物510、520、530に、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシング511、521、531をそれぞれ設けることによって得られる。フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられたフィルタ巻物は、フィルタ巻物の軸に沿っていくつかの部分に分割され、それにより、本発明に係る少なくとも2つのフィルタ要素が各回ごとに得られる。
【0119】
本実施例では、3つの異なるフィルタ要素501、502および503が設けられる。フィルタ要素の各々は、流入側510および流出側511を有する。
【0120】
さらなる工程において、i番目のフィルタ要素の流入側はi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結される。iは、本実施例では2〜3の間で変動する。ケーシングは金属ケーシングであり、ケーシングの外側端部に沿って互いに気密連結される、たとえば溶接部507に沿って溶接される。このように、流入側505および流出側506を有し、かつ本発明に係る複数のフィルタ要素を含むフィルタモジュール500が得られる。多くの組合せを行って、本発明に従って得られるフィルタ要素をフィルタモジュールに組合わせ得るものと理解される。
【0121】
一例として、流入側505および流出側506を有し、かつ直径127mmの3つの円筒形フィルタ要素を含むフィルタモジュール500が得られる。フィルタ要素は以下のものである。
【0122】
・流入側505を与え、30μmのコイル切削ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである300g/m2のウェブによって得られる第1のフィルタ要素501。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。
【0123】
・22μmのコイル切削ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである450g/m2のウェブによって得られる第2の中間フィルタ要素502。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。
【0124】
・17μmのバンドル延伸ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである300g/m2のウェブによって得られる第3のフィルタ要素503。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。第3のフィルタ要素は、流出側506をもたらす。
【0125】
任意に、図5には示していないが、流れ方向において第3の要素503の後に第4のフィルタ要素が設けられる。この第4の要素は、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである200g/m2のウェブによって得られる12μmのバンドル延伸ファイバを含み得る。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。第4のフィルタ要素を含む本実施例では、第3のフィルタ要素の代わりに、第4のフィルタ要素が流出側をもたらす。
【0126】
代替例として、第1のフィルタ要素は、3g/mの繊度を有する30μmのコイル切削ファイバのバンドルを少なくとも1つ、任意に複数巻付けることによって得られる。当該バンドルは、図2に示した実施例に従って巻付けられ、軸方向に実質的に均一な気孔率を有する円筒形のフィルタ巻物をもたらす。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲であり得るが、典型的には50mmである。
【0127】
第2のフィルタ要素は、3g/mの繊度を有する22μmのコイル切削ファイバのバンドルを少なくとも1つ、任意に複数巻付けることによって得られる。当該バンドルは、図2の実施例に従って巻付けられ、軸方向に実質的に均一な気孔率を有する円筒形のフィルタ巻物をもたらす。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲であり得るが、典型的には50mmである。
【0128】
図6に示すように、フィルタモジュール600はヒータ601を含み、たとえば電気ヒータが第1のフィルタ要素610の前、および/または各連続したフィルタ要素620と630との間、および630と640との間に設けられ得る。
【0129】
これらのヒータは、同時にまたは個々に制御され、かつフィルタモジュールを通過する気体を加熱するために帯電され得る。気体の温度上昇によって、フィルタ要素610、620、630および/または640によって保持されている炭素が点火され、フィルタモジュール600が再生され得る。
【0130】
ヒータ601の制御は、温度、および/または連続したフィルタ要素の前もしくは間に配置される圧力センサに基づいて行われ得る。
【0131】
本発明のいずれかの実施例に係るフィルタモジュールにおいて、たとえばフィルタ巻物の金属ファイバの少なくとも一部をコーティングすることによって、フィルタ要素のうち少なくとも1つに触媒が与えられ得る。本発明に係るフィルタ要素は、DOC触媒担体であり得る。DOCはディーゼル酸化触媒を意味し、このような要素はディーゼル粒子フィルタの前に配置することができる。DOC要素は炭化水素をCO2およびH2Oに酸化させ、たとえばNoxからN2Oを発生させる。本発明に係るDOC要素は、50μmを上回る、たとえば100μmといった、ファイバ直径がより大きいファイバに関して特に魅力的である。
【0132】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、たとえばフィルタ巻物の金属ファイバの少なくとも一部をコーティングすることによって、選択触媒還元(SCR)を用いて排気ガス中のNOxを減少させるのに好適な触媒がフィルタ要素のうち少なくとも1つに設けられ得る。
【0133】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、炭素、炭素含有成分またはCOのCO2への燃焼を触媒する触媒が、フィルタ要素のうち少なくとも1つに設けられ得る。
【0134】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、フィルタ要素のうち少なくとも1つに、炭素粒子のかなりの部分を排気ガスからフィルタリングした後にNOxをN2Oに酸化させるための触媒が与えられる。少なくとも第1のフィルタ要素の下流に配置された少なくとも第2のフィルタ要素のファイバの少なくとも一部は、NO2の還元から得られる酸素を用いた、フィルタリングされた炭素粒子の酸化を容易にする触媒でコーティングされ得る。
【0135】
本発明を実現する方法およびフィルタ要素の目的を達成するための他の配置は、当業者には自明であろう。
【0136】
本発明に係る装置に関し、好ましい実施例、具体的な構成および構造、ならびに材料について本明細書で述べたが、添付の請求項に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更または修正が形態および詳細において行われ得ると理解されるべきである。
【技術分野】
【0001】
発明の技術分野
本発明は、フィルタ要素およびフィルタ要素を提供するための方法に関し、特に、ディーゼル燃焼機関および/または場合によってはDOC触媒担体などのディーゼル燃焼装置のディーゼル排気ガスをフィルタリングするのに好適なフィルタ要素などの、排気ガスから煤煙をフィルタリングするのに好適なフィルタ要素に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
金属ファイバを含むフィルタ媒体が当該分野において知られている。一例として、WO03/047720は、ディーゼル燃焼機関の排気ガスからディーゼル煤煙をフィルタリングするための多層焼結金属ファイバフィルタ媒体を開示している。この媒体は、十分に機能するものの、媒体が目詰まりするまでに限定された量の煤煙しか保持できないという欠点を有し得る。これはとりわけ、気孔率がより低いフィルタ媒体を使用することによる。結果として、たとえば電気的再生を用いた再生(すなわち媒体に電流を通し、ジュール効果による媒体の加熱を引起こす)、またはディーゼルもしくは排気ガスへの触媒化合物の注入による再生によって、ごく頻繁かつ多数回の再生作用が行われる必要がある。他の欠点は、この媒体は効率が制限され、媒体に対する圧力低下がより大きく、やや高価な点である。
【0003】
ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置のディーゼル排気ガスをフィルタリングするのに好適な代替的な多層フィルタ媒体が、WO04/104386に記載されている。この媒体は、その厚さが実質的により厚いことから、煤煙保持能力が向上している。当該媒体の欠点は、この煤煙保持機能の向上に達するために、新しいすなわち未使用のフィルタ媒体の場合でも、大きな体積が必要であり、かつフィルタ媒体に対して相対的に大きな圧力低下が生じ得るという点である。
【0004】
フィルタ媒体は金属ファイバの層を含み、これらの層は、当該分野において周知のエアレイ法またはウェットレイ法によって得られる。ファイバ層は、ファイバウェブとしても知られている。ファイバは、実質的にウェブ表面と平行な面において延在する。各面において、ファイバはランダムな方位を有する。任意に、このような複数のファイバウェブは、一体化されてフィルタ要素となる前に、所望の厚さのウェブをもたらすために積層される。
【0005】
たとえば、平均流路すなわち円筒形の巻物の軸に沿って、複数の隣接した連続的なファイバウェブを含む円筒形フィルタ要素を提供する場合は、適切な厚さを有する複数のファイバウェブが用意される。任意に、ウェブを焼結してウェブ中のファイバを結合させ、および/またはウェブの密度すなわち気孔率を増大させる。ファイバウェブの各々から、たとえば打抜きによって、円形のディスクが切出される。ディスクは正しい順序で積層され、円筒形ハウジングに封入される。流入および流出を有するフィルタ要素が得られる。流入および流出は、円筒形ハウジングの2つの外側端部に位置し、円筒形ハウジングの軸と実質的に平行な流路を規定する。ファイバはウェブ表面と平行な面において延在するため、フィルタ要素のファイバは、流路に対して実質的に垂直に方向付けされる。
【0006】
外側のファイバウェブ、すなわちフィルタ要素の流入側または流出側をもたらす2つのウェブが焼結されない場合は、フィルタ要素に与えられる気体とともに、円筒形ハウジングからファイバが流出するのを防ぐための手段が設けられ得る。このような手段は、金属ワイヤメッシュ、または多孔板もしくはシートであり得る。
【0007】
切出しまたは穿孔動作は、ウェブの結合性に影響を与え得る。ウェブが焼結されない限り、穿孔されたまたは切出されたウェブの結合性が緩まり、分解し得る。圧縮率によって、穿孔または切出し中および使用中において、高い気孔率を時間とともに制御しかつ維持することは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、フィルタ媒体を含む良好なフィルタ要素、およびそれを作製し使用する方法を提供することである。本発明の実施例の利点は、現在知られているフィルタ媒体を含む現在知られているフィルタ要素と比較して、当該フィルタ媒体の透気性が所与の気孔率について向上する点である。たとえば、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置からの排気ガスをフィルタリングするのにフィルタ要素が使用される場合、フィルタ媒体に対する圧力低下の抑制によって、燃焼装置の排気は背圧が低下する。従ってその結果燃費が低下し、ゆえにディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の運転費用が低下し得る。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る一部のフィルタ要素は、ファイバ、任意に金属ファイバを有し、ファイバは互いに焼結されていないが、軸方向に変位しにくい。焼結は非常にエネルギおよび時間を消費する処理工程であるため、本発明に係るフィルタ要素および当該フィルタ要素を提供するための方法は、より費用効率が高い方法でフィルタ要素が提供され得るという利点を有する。
【0010】
上記の目的は、本発明に係る方法および装置によって実現される。
本発明の第1の局面によれば、フィルタ要素が提供される。フィルタ要素は、フィルタ巻物の外側境界を区切るケーシングを含み、ケーシングは平均流れ方向を規定する流入側および流出側を有する。ケーシングおよびフィルタ巻物は、平均流れ方向と実質的に平行な軸を有し、ケーシングは、平均流路の方向においてフィルタ巻物の外側境界を区切る。ケーシングは径方向において気体不透過性を有する。ケーシング内のフィルタ巻物は、ファイバを含むフィルタ材料で充填され、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0011】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物のフィルタ材料中のファイバの少なくとも50%が、少なくとも部分的に軸を取囲む。本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物のフィルタ材料中のファイバの少なくとも85%が、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0012】
「取囲む」という用語は、周囲を通ることと理解される。従って、「少なくとも部分的に軸を取囲むファイバ」とは、ファイバが少なくとも部分的に軸の周囲を通ることを意味する。これは、平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向にファイバを射影することによって、最もよく理解され得る。
【0013】
平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向に射影されたファイバの射影線は、必ずしもこの面AA′上の軸の射影と中心が一致した円形または円弧であるとは限らない。最適合線、すなわち平均流路に垂直な面AA′上において平均流路の方向に射影されたファイバの射影線に最も近く適合する線の凹側は、この面AA′上の軸の射影に方向付けされる。
【0014】
任意に金属ファイバであるファイバを含むフィルタ材料は、70%から99%の範囲であり得る気孔率Pを有する。同じ体積であり同じ気孔率を有し、同じファイバから得られるが、流路に垂直な面と平行にファイバが方向付けされているフィルタ材料を含むフィルタ要素と比較すると、本発明の第1の局面に係るフィルタ要素について、著しく向上した透気性が得られる。60%を上回る向上を得ることができる。所与のファイバ特性(マントル面、等価直径、平均断面形状など)と、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物の気孔率および高さなどの所与のフィルタ媒体特性とについて、このような高い透気性は、たとえばディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置からの排気ガスをフィルタリングするのにフィルタ要素が使用される場合に特に有利である。
【0015】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物は円筒形であり得る。
フィルタ巻物は、任意に、たとえば円形または楕円形の断面を有する円錐形であり得る。円筒形のフィルタ巻物については、フィルタ巻物は、任意に、円形または楕円形の断面を有する円筒形であり得る。
【0016】
本発明の一部の実施例によれば、ファイバの大部分は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。フィルタ材料中に存在するファイバの少なくとも50%は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。任意に、フィルタ材料中に存在するファイバの少なくとも85%は、フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在し得る。
【0017】
本発明の一部の実施例によれば、ファイバは、平均流れ方向と実質的に平行なコイル巻き軸を中心としてコイル巻きされた、結合されたファイバ構造の一部であり得る。結合されたファイバ構造は、ファイバウェブであり得る。ファイバウェブは、いずれかの好適なウェブ形成処理によって得られたファイバウェブ、たとえばエアレイドウェブ、ウェットレイドウェブまたはカーディングされたウェブであり得る。ウェブは、好ましくは不織ウェブであり、任意にニードルパンチされたものである。
【0018】
結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含み得る。結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのバンドル、任意に複数の同一のバンドル、またはファイバの種類、ファイバの等価直径もしくはファイバ材料などのファイバ特性、もしくはバンドルの繊度などのバンドルの特性が異なる複数の互いに異なるバンドルを含み得る。
【0019】
ファイババンドルは、いずれかの好適なバンドル形成処理によって得られるファイババンドルであり得る。一例として、ファイババンドルは、カードスライバであり得る。
【0020】
ウェブまたは少なくとも1つのファイババンドルなどの結合されたファイバ構造は、その端縁の一方と平行な軸を中心としてコイル巻きされているか、または巻付けられており、ケーシングが取外された場合、径方向に膨張する傾向を有する。これは特に、ケーシングが径方向内側への力をフィルタ材料の境界に加えている場合である。この内側に方向付けされた力は、気体がフィルタ要素を流れる場合、フィルタ材料がフィルタ巻物内で平均流路に沿った方向に変位する傾向があまりないか、または全くないという効果を有する。フィルタ材料は、ケーシング内にクランプされる。フィルタ材料は変位する傾向があまりないかまたは全くないため、フィルタ巻物の流入側または流出側においてファイバが焼結されない場合でも、ファイバが円筒形ハウジングから外に出るのを阻止するための手段が不要となり得る。
【0021】
任意に、フィルタ媒体のすべての層は、金属ファイバを含むかまたは金属ファイバからなる。
【0022】
いずれかの好適な種類の金属または金属合金を使用して、金属ファイバをもたらし得る。金属ファイバは、たとえばステンレススチールなどのスチールからなる。任意に、ステンレススチール合金は、AISI316LもしくはAISI347などのAISI300もしくはAISI400シリーズの合金であるか、またはFe、AlおよびCrを含む合金、クロミウム、アルミニウムおよび/またはニッケルと、0.05%〜0.3重量%のイットリウム、セリウム、ランタン、ハフニウムもしくはチタンとを含むステンレススチール、たとえばDIN1.4767合金またはFECRalloyなどが使用される。銅もしくは銅合金、またはチタンもしくはチタン合金も使用し得る。金属ファイバは、ニッケルまたはニッケル合金で形成することもできる。
【0023】
金属ファイバは、いずれかの現在知られている金属ファイバ製造方法、たとえばバンドル延伸処理、特許第3083144号に記載されているようなコイル切削処理、ワイヤ切削処理(たとえばスチールウール)、または溶融金属合金槽から金属ファイバを提供する方法によって作製され得る。金属ファイバに平均長を与えるためには、金属ファイバは、WO02/057035に記載されているような方法を用いて、もしくはUS4664971に記載されているような金属ファイバ粒を提供するための方法を用いて切断されるか、または伸張破断(stretch broken)される。
【0024】
好ましくは、金属ファイバの等価直径Dは、65μm未満など100μm未満、より好ましくは35μm、22μmまたは17μmなど36μm未満である。任意に、金属ファイバの等価直径は、14μm、12μmもしくは11μmなど15μm未満、または、たとえば8μmなど9μm未満である。任意に、金属ファイバの等価直径Dは、7μm未満または6μm未満、たとえば1μm、1.5μm、2μm、3μm、3.5μmもしくは4μmなど5μm未満である。
【0025】
金属ファイバは、エンドレス金属ファイバ、フィラメントとしても知られるエンドレスファイバ、または任意にたとえば0.1cm〜5cmの範囲の平均ファイバ長Lfiberを有し得る。
【0026】
従ってバンドルは、コイル切削金属ファイバのバンドルであり得る。代替的に、バンドルは、バンドル延伸によって得られた金属ファイバのバンドルであり得る。バンドル延伸金属ファイバは、任意に、たとえばEP280340に記載されているような方法による捲縮ファイバである。
【0027】
バンドルは、200〜10000本の範囲もしくはさらにそれ以上のファイバまたはフィラメントなどの複数の金属ファイバを含み得る。
【0028】
金属ファイバを含むウェブが使用される場合、ウェブはエアレイド法またはウェットレイド法によって提供され得る。金属ファイバウェブは、たとえば厚さが1mm〜50mm、表面重量が100g/m2〜600g/m2であり得る。
【0029】
フィルタ材料は、金属粉末粒子などの粉末要素をさらに含み得、および/または触媒成分を含み得る。
【0030】
フィルタ巻物の高さ、すなわち平均流路に沿ったフィルタ巻物の長さは、本発明に対する限定事項とは考えられない。たとえば3cm〜20cmの範囲、典型的に5cmなどであり得る。
【0031】
フィルタ巻物を充填するフィルタ材料は、たとえば70%〜99%の気孔率を有し得る。フィルタ材料の気孔率は、フィルタ巻物の高さに沿って均一であり得るか、またはフィルタ巻物の高さに沿って変動し得る。気孔率は、流入側から流出側に徐々にまたは段階的に変動し得、流入側の気孔率は、流出側よりも大きい。
【0032】
平均流路に垂直な面に従うフィルタ巻物の断面の表面積は、フィルタ巻物の高さに沿って均一であり得る(円筒形のフィルタ巻物の場合など)か、または変動し得る(円錐形のフィルタ巻物の場合など)。平均流路に垂直な面に従う断面の表面積は、450mm2〜130000mm2の範囲など、たとえば12500mm2〜96200mm2などのように、たとえば450mm2〜100000mm2の範囲であり得る。
【0033】
金属ファイバが使用される場合、ケーシングは、金属ケーシング、任意に、金属ファイバを提供するのに使用されるものと同様または同一の金属合金で提供され得る。
【0034】
好ましい実施例において、フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む。特に、円錐形の空洞は流入側に位置し、円錐形の延長部分は流出側に位置し得る。円錐形の空洞によって、フィルタ要素の流入側の表面が増大する。流入側におけるフィルタ要素の目詰まりが遅延されるかまたは防止される。特に、円錐形の空洞および円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす。隣接するフィルタ要素は、一方のフィルタ材料の円錐形の延長部分を他方のフィルタ材料の円錐形の空洞に挿入することによって互いに積層され得る。「円錐形」という表現は、錐台のような形状、または断面が三角形または断面が部分的に円形もしくは楕円形であることも意味すると理解される。
【0035】
本発明の第2の局面によれば、フィルタ要素を提供するための方法が提供される。当該方法は、ファイバを含む結合されたファイバ構造を設けるステップを含み、結合されたファイバ構造は少なくとも前縁を有し、さらに、前縁と平行なコイル巻き軸を中心として結合されたファイバ構造をコイル巻きし、それによりフィルタ材料を設けるステップと、コイル巻き軸と実質的に平行な方向においてフィルタ材料の外側境界と接触する気体不透過性ケーシングを設けて、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を設けるステップとを含み、ケーシングは、平均流れ方向を規定する流入側および流出側をフィルタ巻物に与え、フィルタ巻物の軸は平均流れ方向と実質的に平行である。
【0036】
このように、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を規定するケーシングを含むフィルタ要素が提供される。フィルタ材料はファイバを含み、少なくとも50%、または少なくとも85%といったファイバの大部分は、本発明の第1の局面によれば、少なくとも部分的に軸を取囲む。
【0037】
本発明の一部の実施例によれば、軸方向においてフィルタ巻物の外側境界と接触し、かつ径方向において気体不透過性を有するケーシングを設けるために、フィルタ材料を中心としてホイルまたは板をコイル巻きし、ホイルまたは板を封止することで、フィルタ材料の外側境界をコイル巻き軸と実質的に平行な方向にホイルまたは板で覆うことにより、気体不透過性ケーシングを設ける。コイル巻きされたフィルタ材料を中心として、金属ホイルまたは金属板などのホイルまたは板をコイル巻きすることによって得られるケーシングは、径方向内側への(すなわちコイル巻き軸への)力をフィルタ材料に及ぼし得る。
【0038】
本発明の一部の実施例によれば、フィルタ巻物に、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられ、フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割され、少なくとも2つのフィルタ要素がもたらされる。同一のフィルタ材料およびケーシングを含むいくつかのフィルタ要素も効率的に提供され得る。
【0039】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造は、その前縁を中心としてコイル巻きされる。
【0040】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造はファイバウェブであり得る。
【0041】
本発明の一部の実施例によれば、結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含み得る。
【0042】
平均流路に沿った所与の位置に存在するファイバの量は、所与の位置においてウェブ中に存在するファイバの量を変動させることによって、またはコイル巻きされているもしくは巻付けられているウェブの層もしくはバンドルの数を局地的に増加させることによって、変動させ得る。特にファイババンドルを使用してコイル巻きする場合、平均流路に沿った所与の高さにおけるファイバの量、従ってこの部分におけるフィルタ要素の気孔率を容易に変動させ得る。
【0043】
任意に、ファイバは金属ファイバであり、ケーシングは、金属ファイバを含むフィルタ材料の周りに、金属ホイルまたは板をコイル巻きすることによって得られる。
【0044】
本発明の第3の局面によれば、フィルタモジュールを提供するための方法が提供される。当該方法は、本発明の第2の局面に従ってかつ上記したようにN個のフィルタ要素を設けるステップを含み、Nは2以上であり、さらに、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結するステップを含み、iは2からNの間で変動する。
【0045】
N個のフィルタ要素のケーシングは、同一の外周を有し得る。ケーシングが金属から得られる場合、フィルタ要素の連結は、ケーシングを互いに溶接またはクランプすることによって行なわれ得る。
【0046】
異なるフィルタ要素は、異なるフィルタ材料を含み得る。フィルタ材料は、同一または異なる結合されたファイバ構造をコイル巻きすることによって得られる。
【0047】
好ましい実施例において、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分がフィルタ要素に設けられる。図2e参照。円錐形状は、対応する形状の工具を用いてフィルタ要素を軸方向に加圧することによって実現することができる。フィルタ要素は、保持手段、たとえばクランプ等によって、ケーシングを介して保持され得る。フィルタ要素が固定された後、円錐形の空洞を得るために、円錐形状の工具をフィルタ材料に圧入し得る。加えられた圧力によって、フィルタ材料は部分的に圧入方向に移動し得、従ってフィルタ材料の軸方向の厚さが一定に維持される。その場合、フィルタ材料の規定された形状の円錐形延長部分を保護するために、反対の位置に対応する形状の工具が設けられ得る。
【0048】
一部の実施例によれば、N個のフィルタ要素のうち少なくとも1つは触媒成分を含み得る。N個のフィルタ要素のうち少なくとも2つが触媒成分を含む場合、N個のフィルタ要素のうち1つの触媒成分は、他のフィルタ要素の触媒成分とは異なり得る。
【0049】
本発明の一部の実施例によれば、当該方法は、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続したフィルタ要素の間に少なくとも1つのヒータを設ける工程を含み得る。任意に、第1のフィルタ要素の前、および連続したフィルタ要素の一部または各対同士の間にヒータが設けられる。ヒータは電気ヒータであり得る。
【0050】
ヒータの制御は、温度、および/または連続したフィルタ要素の前もしくは間に配置された圧力センサに基づいて行なわれ得る。
【0051】
本発明の第4の局面によれば、フィルタモジュールが提供される。フィルタモジュールは、N個のフィルタ要素を含み、Nは2以上であり、フィルタ要素は、上記の本発明の第1の局面に係るフィルタ要素である。N個のフィルタ要素は、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結することによって互いに連結され、iは2からNの間で変動する。
【0052】
本発明の実施例によれば、少なくとも1つのフィルタ要素は触媒成分を含み得る。
本発明の実施例によれば、フィルタモジュールは、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続するフィルタ要素の間に配置された少なくとも1つ、任意に複数、たとえばN個のヒータを含み得る。
【0053】
本発明の特定のおよび好ましい局面は、添付の独立請求項および従属請求項に記載される。従属請求項の特徴は、適宜に、かつ請求項に明白に記載されている通りだけでなく、独立請求項の特徴および他の従属請求項の特徴に組合され得る。
【0054】
この分野の装置は絶え間なく改良され、変化し、進化しているが、本概念は、先行技術からの発展を含む実質的に新しく新規な改良を示し、より効率的で、安定し、信頼性の高いこの種の装置の提供につながるものと考えられる。
【0055】
本発明の教示によって、たとえば、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の排気ガスをフィルタリングするための、改良されたディーゼル排気ガスフィルタシステムの設計が可能となる。透気性の向上によってフィルタ媒体に対する圧力低下が抑制されることで、燃焼装置の背圧がより低下する。従ってこれは燃費の低下につながり、ゆえに本発明に係るフィルタ媒体を含む排気フィルタが設けられる、ディーゼル燃焼機関などのディーゼル燃焼装置の運転費用が低下する。燃費の低下はCO2の排出が減少することも意味し、粒状物質およびNOxについての厳格なディーゼル排出規制と温室効果ガス排出とを調和させる。
【0056】
本発明の上記のおよび他の特徴および利点は、添付の図面を参照すれば以下の詳細な説明から明らかとなるであろう。図面は、例示として発明の原理を示す。この説明は例示のみを目的とし、発明の範囲を限定するものではない。以下の参照符号は、添付の図面を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図1b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図1c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2d】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図2e】入口表面積が増大した、本発明に係るフィルタ要素のさらなる実施例を示す図である。
【図3a】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図3b】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図3c】本発明の一局面に係るフィルタ要素を提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図4a】本発明の一局面に係るフィルタ要素中に存在するファイバの射影を示す図である。
【図4b】本発明の一局面に係るフィルタ要素中に存在するファイバの射影を示す図である。
【図5】本発明の一局面に係るフィルタモジュールを提供するための方法の連続的な工程を概略的に示す図である。
【図6】本発明の一局面に係るフィルタモジュールを概略的に示す図である。
【0058】
異なる図において、同じ参照符号は同じまたは類似の要素を指す。
【発明を実施するための形態】
【0059】
例示的な実施例の説明
本発明を特定の実施例について一部の図面を参照して説明するが、発明はそれに限定されず、請求項によってのみ限定される。説明される図面は概略的なものに過ぎず、限定的なものではない。図面において、例示を目的として、一部の要素の寸法が強調されており、同じ縮尺で描かれていない場合がある。寸法および相対的な寸法は、発明の現実の実施化に対応しない。
【0060】
さらに、明細書および請求項における第1、第2、第3などの用語は、同様の要素同士を区別するのに使用されるものであり、時間的、空間的いずれかの配列を順番にまたは他の方法で説明するものではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施例は、本明細書に記載または例示される以外の順序で動作可能であると理解される。
【0061】
また、説明および請求項における上部、底部、上、下などの用語は、説明のために用いられるものであり、必ずしも相対的な位置を説明するためのものではない。このように使用される用語は適切な状況下で交換可能であり、本明細書に記載される発明の実施例は、本明細書に記載または例示される以外の方位で動作可能であると理解される。
【0062】
なお、請求項において使用される「備える」という用語は、その後に列挙される手段に限定されると解釈されるべきではなく、他の要素または工程を排除するものではない。従って、規定された特徴、整数、工程もしくは構成要素の存在を言及したとおりに特定するものと解釈されるが、1つ以上の他の特徴、整数、工程もしくは構成要素またはそれらのグループの存在または追加を排除するものではない。従って、「手段AおよびBを備える装置」という表現の範囲は、構成要素AおよびBのみからなる装置に限定されるべきではない。本発明に関して、関連がある唯一の構成要素がAおよびBであるということを意味する。
【0063】
同様に、同じく請求項において使用される「連結された」という用語は、直接的な接続のみに制限されると解釈されるべきではない。「連結された」および「接続された」という用語は、それらの派生語とともに使用され得る。これらの用語は互いに同義語として意図されていないと解釈されるべきである。従って、「装置Bに連結された装置A」という表現の範囲は、装置Aの出力が装置Bの入力に直接接続された装置またはシステムに限定されるべきではない。Aの出力とBの入力との間に、他の装置または手段を含む経路であり得る経路が存在することを意味する。「連結された」は、2つ以上の要素が物理的もしくは電気的に直接接触しているか、または2つ以上の要素が互いに直接接触していないものの互いに協動もしくは相互作用することを意味し得る。
【0064】
本明細書中の「一実施例」または「ある実施例」という言及は、当該実施例に関連して説明される特定の特徴、構造もしくは特性が本発明の少なくとも1つの実施例に含まれることを意味する。従って、本明細書中の様々な箇所の「一実施例」または「ある実施例」という語句の出現は、必ずしもすべて同じ実施例を指すとは限らないが、指し得る。さらに、特定の特徴、構造または特性は、1つ以上の実施例において、本開示から当業者には明らかであるように、いずれかの好適な方法で組合せ得る。
【0065】
同様に、発明の例示的な実施例の説明において、開示を簡素化し、様々な発明の局面の1つ以上の理解を助ける目的で、発明のさまざまな特徴が1つの実施例、図、またはその説明に合せて分類される場合があると解釈されるべきである。しかし、本開示の方法は、各請求項に明示的に記載されている以上の特徴を請求項に記載の発明が必要とするという意図を反映するものと解釈されるべきではない。むしろ、以下の請求項が反映するように、上記の開示された1つの実施例のすべての特徴に発明の局面が存在するとはいえない。従って、詳細な説明に従う請求項はこの詳細な説明に明示的に包含され、各請求項は本発明の別個の実施例として自立している。
【0066】
さらに、本明細書に記載される一部の実施例は他の実施例に含まれる特徴の一部を含むが残りの特徴は含まないが、異なる実施例の特徴の組合せは発明の範囲内であり、当業者によって理解されるように、異なる実施例を構成するものと意図される。たとえば、添付の請求項では、請求項に記載の実施例のいずれかをいかなる組合せで使用することもできる。
【0067】
さらに、実施例の一部は、コンピュータシステムのプロセッサによってもしくは機能を実行する他の手段によって実現することができる方法、または方法の要素の組合せとして本明細書において記載される。従って、このような方法または方法の要素を実行するために必要な指令を伴うプロセッサは、方法または方法の要素を実行するための手段を構成する。さらに、装置実施例の本明細書において記載される要素は、発明を実行するために当該要素によって行なわれる機能を実行するための手段の一例である。
【0068】
本明細書で示される説明において、様々な具体的詳細が記載される。しかし、発明の実施例はこれらの具体的詳細なしに実施され得ると理解される。他の例では、本記載の理解を妨げることのないように、周知の方法、構造および技術については詳細に示していない。
【0069】
以下の用語は、発明の理解を助けるためにのみ示される。
「気孔率」Pという用語は、P=100*(1−d)と理解される。ここで、d=(1m3の焼結金属ファイバ媒体の重量)/(SF)。ここで、SF=焼結金属ファイバ媒体をもたらす合金のm3当たりの比重量。
【0070】
「透気性」(APとも称する)は、ISO4002と同等のNF95−352に記載される装置を用いて測定される。NF95−352、ゆえにISO4002の試験方法は、装置をより直径が大きいフィルタ巻物に対応させるように変更される。これは、フィルタ巻物と装置の流入開口部との間に中間漏斗形要素を設置することによって行なわれる。漏斗形要素は一方側において流入開口部の周囲と一致し、他方側においてフィルタケーシングの周囲と一致する。漏斗形要素は、漏れを防ぐために流入開口部とフィルタケーシングとの両方に封止される。
【0071】
特定のファイバの「等価直径」という用語は、円形の径方向断面を有する仮想ファイバの直径と理解され、当該断面の表面積は、特定のファイバの断面の表面積の平均に等しい。
【0072】
本発明を発明のいくつかの実施例の詳細な説明に従って説明する。発明の真の精神または技術的教示から逸脱することなく、当業者の知識によって発明の他の実施例を構成することができることは明らかであり、発明は、添付の請求項の言い回しによってのみ限定される。
【0073】
本発明の第2の局面に係るフィルタ要素を提供するための連続的な工程を図1a〜図1cに示す。
【0074】
図1aの第1の工程に示すように、結合されたファイバ構造101が設けられ、構造101はファイバ102を含む。ファイバウェブである結合されたファイバ構造は、前縁103、後縁104、ならびに2つの側縁105および106を有する。結合されたファイバ構造101は、実質的に長方形のファイバウェブである。
【0075】
好適な結合されたファイバ構造の一部の例は、たとえば、等価直径が35μmのコイル切削金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約300g/m2である。代替例は、等価直径が22μmのコイル切削金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約450g/m2である。さらなる代替例は、等価直径が17μmのバンドル延伸金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約300g/m2である。さらなる代替例は、等価直径が12μmのバンドル延伸金属ファイバのランダムエアレイドウェブである。当該ウェブは、幅がたとえば10mm〜150mm、表面重量が約200g/m2である。
【0076】
結合されたファイバ構造101のファイバ102は、実質的に、ウェブ表面107と平行な面において方向付けされている。当該面において、ファイバの方位はランダムである。一部のファイバは後縁または前縁と実質的に位置合わせされ、他の一部は側縁と平行な方向に延在し、さらに他の一部はその間の方位を有する。
【0077】
後縁104に沿って、たとえば、溶接部112によって後縁に沿ってホイル110を結合されたファイバ構造101に溶接することによって、結合されたファイバ構造101に金属ホイル110が取付けられる。ホイル110は、FECRALLOYホイルなどの鉄−クロミウム−アルミニウム合金ホイルであり、結合されたファイバ構造101の幅と等しい幅Wを有し、巻付けられた結合されたファイバ構造の周囲を一回巻くのに少なくとも十分な長さLfを有する。ホイルは約230μmの厚さを有し得る。ホイルの幅は、約700mm幅のホイルにスリットを入れて幅Wの適切な部分にすることによって、調整することができる。
【0078】
結合されたファイバ構造101は、次にコイル巻き軸130の周りに巻付けられるか、またはコイル巻きされる。コイル巻き軸130は前縁103と平行である。本実施例では、結合されたファイバ構造101は、前縁103自体を中心として巻付けられる。巻付けは、矢印131で示す方向に従って行なわれる。結合されたファイバ構造101は実質的に長方形であるため、巻付け中、側縁105および106はそれぞれ、コイル巻きされると1つの面内に存在するように、位置合わせした状態に保ち得る。
【0079】
結合されたファイバ構造101をコイル巻きすることによって、フィルタ材料111が得られる。さらに詳細に説明するように、ファイバ102の大部分(本実施例ではたとえば85%を上回る)が少なくとも部分的に軸130を取囲む。これは、当該ファイバがウェブ中に存在し、ウェブ表面107と実質的に平行に方向付けされていたためである。ウェブ表面107は、次に軸130を中心とした渦巻き形の渦巻きに変形され、ウェブ表面107と同一平面上にあったファイバは、この渦巻きに従って、少なくとも部分的に軸130を取囲む経路をたどることになる。
【0080】
フィルタ材料111の外側境界113を、コイル巻き軸130と実質的に平行な方向にホイル110で覆うことによって、気体不透過性ケーシングが得られる。これは、図1bに示すように、フィルタ材料を中心としたホイルのコイル巻きを続けることによって行われる。ホイル110および結合されたファイバ構造101は互いに連結されていたため、これは1回の動作で行われ得る。ホイル110は、フィルタ材料111の周りに少なくとも一回完全に巻付けられる。ホイル110の後縁114がホイルと接触する場所において、図1cに示すように、たとえば溶接部141に沿って溶接することによって、ホイルがホイル自身に封止される。このようにケーシング140が得られ、ケーシング140は、コイル巻き軸130と実質的に平行な方向にフィルタ材料111の外側境界113と接触して、フィルタ材料111で充填されたフィルタ巻物150をもたらす。
【0081】
ケーシング140は、径方向、すなわち軸130から外側方向において気体不透過性を有する。
【0082】
巻付け時に十分大きな巻付け張力をホイルに加えることによって、フィルタ材料111は径方向内側に圧迫される。この圧迫によって、フィルタ材料は径方向に予め引張られる。張力によって、フィルタ材料がケーシングにクランプされ、フィルタ材料およびフィルタ材料のファイバ部分が、フィルタ要素を通る気体とともに軸方向に変位する変位が回避される。
【0083】
このように、本発明の第1の局面に係るフィルタ要素100が提供され得る。フィルタ要素100は、気体不透過性ケーシング140を含み、ケーシングは、平均流れ方向153を規定する流入側151および流出側152をフィルタ巻物150に与える。フィルタ巻物150は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸130と同一であり、平均流れ方向153と実質的に平行である。フィルタ要素100のフィルタ巻物150は、幅Wwと等しい高さHを有する。
【0084】
後縁または前縁と平行な成分を有する方向に従ってウェブに存在していたファイバは、少なくとも部分的に軸130を取囲むことになる。側縁と平行な成分を有する方向に従ってウェブに存在していたファイバは、フィルタ要素100の軸方向に少なくとも部分的に延在することになる。
【0085】
ファイバウェブである結合されたファイバ構造101およびホイル110は、フィルタ要素の直径Dが127mmとなるようにコイル巻きされる。フィルタ材料は、たとえば95%または97%以上の気孔率を有する。空気透過性は、流入側151と流出側152との間の200Paの圧力低下を用いて測定することができ、下記の表1に示すように、とりわけファイバの等価直径、フィルタ巻物の高さ、気孔率に依存する。
【0086】
【表1】
【0087】
本発明の第1の局面に係る代替的なフィルタ要素200は、図2a〜図2dに連続的な工程を概略的に示す方法を用いて提供され得る。
【0088】
図2aに示すように、結合されたファイバ構造201が提供され、構造201は、ファイバ202のバンドル208を含む。結合されたファイバ構造201は、前縁203を有する。
【0089】
バンドル208は、いずれかの適切な等価直径、たとえば35μmもしくは22μmを有する、コイル切削金属ファイバまたはバンドル延伸金属ファイバを含む。バンドルの繊度は、典型的に3g/mである。バンドル延伸金属ファイバのバンドルが使用される場合、ファイバ従ってバンドルの嵩を増大させるために、バンドル中のファイバに任意に皺が設けられる。
【0090】
結合されたファイバ構造201のファイバ202は、バンドル208と実質的に平行に方向付けされる。
【0091】
結合されたファイバ構造201は次に、コイル巻き軸230を規定するシャフト232の周りに巻付けられるか、またはコイル巻きされる。巻付けは、矢印231で示される方向に従って行われる。バンドル208は、長さL1にわたってシャフト232の周りに巻付けられる。バンドルは、シャフトの両端(点aおよびbで示す)の間でバンドル208を案内する往復案内手段234によって案内される。シャフトの回転および案内手段の往復動作により、シャフト232の周りに、たとえば螺旋または渦巻き状の経路でバンドルが巻付けられる。
【0092】
シャフトの長さに沿った所与の位置における巻線の数を注意して規定することによって、異なる箇所にあるファイバの量を決定したり変動させたりすることができる。図2bに示すように、円錐の長さに沿って厚さが異なる、円錐形に巻付けられたファイバ層が得られ得る。22において、巻付け動作時に案内手段がたどる経路が示される。第1段階Iにおいて、円錐の全長である領域Z1に沿ってバンドルが設けられる。第2段階IIにおいて、バンドルは領域Z2の長さに沿って巻付けられるが、第3段階IIIではバンドルは領域Z3に沿ってのみ巻付けられる。領域Z3ではより多くのファイバが設けられるが、領域Z1では最少のファイバが設けられる。
【0093】
結合されたファイバ構造201をコイル巻きすることによって、フィルタ材料211が得られる。さらに詳細に説明するように、ファイバ102の大部分(本実施例ではたとえば85%以上)が少なくとも部分的に軸230を取囲む。これは、ファイバが、バンドルと平行な方向にバンドル中に存在していたためである。バンドル208が軸230を有する渦巻きに変形されると、ファイバは、少なくとも部分的に軸230を取囲む経路をたどる。
【0094】
図2cに示すさらなる工程において、FECRALLOYホイルなどの鉄−クロミウム−アルミニウム合金ホイルであるホイル210は、結合されたファイバ構造101の巻付け長さLと等しい幅Wfを有し、巻付けられた結合されたファイバ構造の周囲を一回巻くのに少なくとも十分な長さLfを有する。ホイルは約230μmの厚さを有し得る。ホイルの幅は、約700mm幅のホイルにスリットを入れて幅Wの適切な部分にすることによって、調整することができる。
【0095】
フィルタ材料211の外側境界213を、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にホイル210で覆うことによって、気体不透過性ケーシングが得られる。これは、図2cに示すように、フィルタ材料を中心としたホイルのコイル巻きを続けることによって行われる。ホイル210は、フィルタ材料211の周りに少なくとも一回完全に巻付けられる。ホイル210の後縁214がホイルと接触する場所において、図2dに示すように、たとえば溶接部241に沿って溶接することによって、後縁がホイルに封止される。このようにケーシング240が得られ、ケーシング240は、図2dに示すように、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にフィルタ材料211の外側境界213と接触して、フィルタ材料211で充填されたフィルタ巻物250をもたらす。
【0096】
ケーシング240は、径方向、すなわち軸230から外側方向において気体不透過性を有する。
【0097】
巻付け時に十分大きな巻付け張力をホイルに加えることによって、フィルタ材料211は径方向内側に圧迫され、巻付けまたはコイル巻き時に得られたフィルタ材料211の円錐形状が、円筒形状に変形されることになる。より多くのファイバが存在する領域はより強く圧迫されることになり、これらの領域のファイバ材料はより高密度となる。気孔率が異なる連続した領域P1、P2およびP3を有するフィルタ材料211が得られ得る。
【0098】
ケーシング240を設けた後、フィルタ材料211からシャフトを軸方向に引出すことによってシャフト232を除去してもよい。
【0099】
このように、気体不透過性ケーシング240を含むフィルタ要素200が提供され得る。ケーシングは、平均流れ方向253を規定する流入側251および流出側252をフィルタ巻物250に与える。フィルタ巻物250は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸230と同一であり、平均流れ方向253と実質的に平行である。フィルタ要素200のフィルタ巻物250は、幅Wfと等しい高さHを有する。
【0100】
バンドル208は、円筒形のフィルタ巻物をもたらすように巻付けられ得、ケーシング、たとえば巻付けられたフィルタ巻物の周りに巻付けられたホイルが設けられると理解される。軸方向に実質的に均一な気孔率を有する同様のフィルタ要素が得られ得る。一例として、等価直径が22μmのコイル切削ファイバのファイババンドルである結合されたファイバ構造201とホイル210とが、フィルタ要素の直径Dが127mm、長さが50mmとなるようにコイル巻きされる。気孔率が97%のフィルタ材料の空気透過率は、470l/dm2/minである。気孔率が98%になるように巻付けられた同じバンドルの空気透過率は、635l/dm2/minである。他の例として、等価直径が35μmのコイル切削ファイバのファイババンドルである結合されたファイバ構造201とホイル210とが、フィルタ要素の直径Dが127mm、長さが50mmとなるようにコイル巻きされる。気孔率が97%のフィルタ材料の空気透過率は、722l/dm2/minである。気孔率が98%になるように巻付けられた同じバンドルの空気透過率は、926l/dm2/minである。空気透過率は、流入側251と流出側252との間の200Paの圧力低下を用いて測定される。
【0101】
ファイバの大部分がバンドル208においてバンドルの方向に従って存在していたため、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸230を取囲むことになる。バンドルが螺旋状または渦巻き状に巻付けられているため、ファイバの方向には軸方向成分が与えら得、従って大部分のファイバは、少なくとも部分的にフィルタ要素200の軸方向に延在することになる。
【0102】
任意に、図1a〜図1cおよび図2a〜図2dには示していないが、フィルタ巻物は、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられると、フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割されて、少なくとも2つのフィルタ要素が得られ得る。フィルタ巻物およびケーシングから切出される長さによって、高さが異なるまたは等しいフィルタ要素が得られ得る。
【0103】
図2eは、円錐形のフィルタ媒体211を有する、本発明に係るフィルタ要素のさらなる実施例を示す。本実施例では、フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む。特に、円錐形の空洞は流入側に配置され得、円錐形の延長部分は流出側に配置され得る。円錐形の空洞によって、フィルタ要素の流入側の表面が増大する。円錐形態がなく単に平坦な表面ならば、フィルタの表面積の2倍まで増大し得る。表面積の増大によって、流入側におけるフィルタ要素の目詰まりが抑制されるかまたは遅延される。特に、円錐形の空洞および円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす。
【0104】
本発明の第1の局面に係る代替的なフィルタ要素300は、図3a〜図3cに連続的な工程を概略的に示す方法を用いて提供され得る。
【0105】
フィルタ媒体211は、図2a〜図2bによって説明した方法と同じように得られる。
フィルタ材料211の外側境界213を、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向に2つの円錐形シェル301および302で覆うことによって、気体不透過性ケーシング340が得られる。フィルタ材料211は、互いに接続されている2つのシェル301および302の間にクランプされる。これは、径方向に延在するフランジ310および311を互いにたとえばボルト締めするか、溶接するか、またはリベット締めすることによって行われ得る。任意に、フランジの間にシーリング312を設けてもよい。このようにケーシング340が得られ、ケーシング340は、コイル巻き軸230と実質的に平行な方向にフィルタ材料211の外側境界213と接触して、図3a〜図3cに示すように、フィルタ材料211で充填されたフィルタ巻物350をもたらす。
【0106】
ケーシング340は、径方向、すなわち軸230から外側方向において気体不透過性を有する。
【0107】
円錐形の巻付けによって、大部分のファイバが存在する領域は、軸230と実質的に垂直な面に従った断面に、より大きな表面積を与えることになる。
【0108】
ケーシング340を設けた後、フィルタ材料211からシャフトを軸方向に引出すことによってシャフト232を除去してもよい。
【0109】
このように、気体不透過性ケーシング340を含むフィルタ要素300が提供され得る。ケーシングは、平均流れ方向353を規定する流入側351および流出側352をフィルタ巻物350に与える。フィルタ巻物350は円筒形であり、その軸は、コイル巻き軸230と同一であり、平均流れ方向353と実質的に平行である。フィルタ要素300のフィルタ巻物350は、コイル巻き長さL1と等しい高さHを有する。
【0110】
ファイバの大部分がバンドル208においてバンドルの方向に従って存在していたため、ファイバの大部分は、少なくとも部分的に軸230を取囲むことになる。バンドルが螺旋状または渦巻き状に巻付けられているため、ファイバの方向には軸方向成分が与えられ得、従って大部分のファイバは、少なくとも部分的にフィルタ要素200の軸方向に延在することになる。
【0111】
図4aおよび図4bの401および411は、平均流れ経路400に垂直な面AA’上において平均流路の方向に射影された一部のファイバの射影線403、413をそれぞれ概略的に示す。
【0112】
図4aおよび図4bの402および412は、面BB’に垂直な方向に射影された平均流路を含む面BB’上において、一部のファイバの射影線404、414をそれぞれ概略的に示す。
【0113】
図4aは、フィルタ要素100に対応する。405は、軸130の射影を表す。
図4bは、フィルタ要素200に対応する。415は、軸230の射影を表す。
【0114】
401から明らかなように、面AA’上のファイバの射影は、軸の射影405を少なくとも部分的に取囲む経路を示す。従って、面AA’上に射影されたファイバも、3Dに見られるように、軸を少なくとも部分的に取囲む。最適合線の凹側は、射影405に方向付けされる。
【0115】
402から明らかなように、面BB’上のファイバの射影は、軸方向に延在する成分を有する経路を示す。一例として、射影が406で表されるファイバは、長さLaに沿って軸方向に延在する。
【0116】
411から明らかなように、面AA’上のファイバの射影は、軸の射影415を少なくとも部分的に取囲む経路を示す。これは、フィルタ材料を得るのに使用されるバンドル208のファイバが、フィルタ要素100を得るのに使用されるウェブのファイバよりも長い場合があることから、より明白である。従って、面AA’上に射影されるファイバも、3Dに見られるように、少なくとも部分的に軸を取囲む。最適合線の凹側は、射影415に方向付けされる。
【0117】
412から明らかなように、面BB’上のファイバの射影は、軸方向に延在する成分を有する経路を示す。一例として、射影が416で表されるファイバは、長さLaに沿って軸方向に延在する。
【0118】
本発明の第3の局面に関し、フィルタモジュールを提供するための方法を図5に概略的に示す。当該方法は、この第3の実施例において、N個のフィルタ要素501、502および503を設ける工程を含む。フィルタ要素は、たとえば円筒形のフィルタ要素である。フィルタ要素の各々は、本発明の方法のいずれかに従って、まずフィルタ巻物510、520、530に、フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシング511、521、531をそれぞれ設けることによって得られる。フィルタ巻物の外側境界と接触するケーシングが設けられたフィルタ巻物は、フィルタ巻物の軸に沿っていくつかの部分に分割され、それにより、本発明に係る少なくとも2つのフィルタ要素が各回ごとに得られる。
【0119】
本実施例では、3つの異なるフィルタ要素501、502および503が設けられる。フィルタ要素の各々は、流入側510および流出側511を有する。
【0120】
さらなる工程において、i番目のフィルタ要素の流入側はi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結される。iは、本実施例では2〜3の間で変動する。ケーシングは金属ケーシングであり、ケーシングの外側端部に沿って互いに気密連結される、たとえば溶接部507に沿って溶接される。このように、流入側505および流出側506を有し、かつ本発明に係る複数のフィルタ要素を含むフィルタモジュール500が得られる。多くの組合せを行って、本発明に従って得られるフィルタ要素をフィルタモジュールに組合わせ得るものと理解される。
【0121】
一例として、流入側505および流出側506を有し、かつ直径127mmの3つの円筒形フィルタ要素を含むフィルタモジュール500が得られる。フィルタ要素は以下のものである。
【0122】
・流入側505を与え、30μmのコイル切削ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである300g/m2のウェブによって得られる第1のフィルタ要素501。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。
【0123】
・22μmのコイル切削ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである450g/m2のウェブによって得られる第2の中間フィルタ要素502。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。
【0124】
・17μmのバンドル延伸ファイバを含み、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである300g/m2のウェブによって得られる第3のフィルタ要素503。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。第3のフィルタ要素は、流出側506をもたらす。
【0125】
任意に、図5には示していないが、流れ方向において第3の要素503の後に第4のフィルタ要素が設けられる。この第4の要素は、エアレイドされたランダムなウェブ状のファイバウェブである200g/m2のウェブによって得られる12μmのバンドル延伸ファイバを含み得る。当該ウェブは、図1に示した実施例に従って巻付けられる。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲、典型的には50mmである。第4のフィルタ要素を含む本実施例では、第3のフィルタ要素の代わりに、第4のフィルタ要素が流出側をもたらす。
【0126】
代替例として、第1のフィルタ要素は、3g/mの繊度を有する30μmのコイル切削ファイバのバンドルを少なくとも1つ、任意に複数巻付けることによって得られる。当該バンドルは、図2に示した実施例に従って巻付けられ、軸方向に実質的に均一な気孔率を有する円筒形のフィルタ巻物をもたらす。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲であり得るが、典型的には50mmである。
【0127】
第2のフィルタ要素は、3g/mの繊度を有する22μmのコイル切削ファイバのバンドルを少なくとも1つ、任意に複数巻付けることによって得られる。当該バンドルは、図2の実施例に従って巻付けられ、軸方向に実質的に均一な気孔率を有する円筒形のフィルタ巻物をもたらす。フィルタ要素の高さは、たとえば10mm〜150mmの範囲であり得るが、典型的には50mmである。
【0128】
図6に示すように、フィルタモジュール600はヒータ601を含み、たとえば電気ヒータが第1のフィルタ要素610の前、および/または各連続したフィルタ要素620と630との間、および630と640との間に設けられ得る。
【0129】
これらのヒータは、同時にまたは個々に制御され、かつフィルタモジュールを通過する気体を加熱するために帯電され得る。気体の温度上昇によって、フィルタ要素610、620、630および/または640によって保持されている炭素が点火され、フィルタモジュール600が再生され得る。
【0130】
ヒータ601の制御は、温度、および/または連続したフィルタ要素の前もしくは間に配置される圧力センサに基づいて行われ得る。
【0131】
本発明のいずれかの実施例に係るフィルタモジュールにおいて、たとえばフィルタ巻物の金属ファイバの少なくとも一部をコーティングすることによって、フィルタ要素のうち少なくとも1つに触媒が与えられ得る。本発明に係るフィルタ要素は、DOC触媒担体であり得る。DOCはディーゼル酸化触媒を意味し、このような要素はディーゼル粒子フィルタの前に配置することができる。DOC要素は炭化水素をCO2およびH2Oに酸化させ、たとえばNoxからN2Oを発生させる。本発明に係るDOC要素は、50μmを上回る、たとえば100μmといった、ファイバ直径がより大きいファイバに関して特に魅力的である。
【0132】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、たとえばフィルタ巻物の金属ファイバの少なくとも一部をコーティングすることによって、選択触媒還元(SCR)を用いて排気ガス中のNOxを減少させるのに好適な触媒がフィルタ要素のうち少なくとも1つに設けられ得る。
【0133】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、炭素、炭素含有成分またはCOのCO2への燃焼を触媒する触媒が、フィルタ要素のうち少なくとも1つに設けられ得る。
【0134】
本発明に係るフィルタモジュールの他の実施例では、フィルタ要素のうち少なくとも1つに、炭素粒子のかなりの部分を排気ガスからフィルタリングした後にNOxをN2Oに酸化させるための触媒が与えられる。少なくとも第1のフィルタ要素の下流に配置された少なくとも第2のフィルタ要素のファイバの少なくとも一部は、NO2の還元から得られる酸素を用いた、フィルタリングされた炭素粒子の酸化を容易にする触媒でコーティングされ得る。
【0135】
本発明を実現する方法およびフィルタ要素の目的を達成するための他の配置は、当業者には自明であろう。
【0136】
本発明に係る装置に関し、好ましい実施例、具体的な構成および構造、ならびに材料について本明細書で述べたが、添付の請求項に規定されている本発明の範囲から逸脱することなく、さまざまな変更または修正が形態および詳細において行われ得ると理解されるべきである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フィルタ要素であって、フィルタ巻物の外側境界を区切るケーシングを備え、前記ケーシングは平均流れ方向を規定する流入側および流出側を有し、前記ケーシングは前記平均流れ方向と実質的に平行な軸を有し、前記ケーシングは、平均流路の方向において前記フィルタ巻物の外側境界を区切り、前記ケーシングは径方向において気体不透過性を有し、前記フィルタ巻物は、ファイバを含むフィルタ材料で充填され、前記ファイバの大部分は、少なくとも部分的に前記軸を取囲む、フィルタ要素。
【請求項2】
ファイバの大部分は、前記フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在する、請求項1に記載のフィルタ要素。
【請求項3】
前記ファイバは、前記平均流れ方向と実質的に平行なコイル巻き軸を中心としてコイル巻きされた、結合されたファイバ構造の一部である、請求項1または2に記載のフィルタ要素。
【請求項4】
前記結合されたファイバ構造は、ファイバウェブである、請求項3に記載のフィルタ要素。
【請求項5】
前記結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含む、請求項3に記載のフィルタ要素。
【請求項6】
前記フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む、請求項1から5のうちいずれか1項に記載のフィルタ要素。
【請求項7】
前記円錐形の空洞は前記流入側に位置し、前記円錐形の延長部分は前記流出側に位置し、前記円錐形の空洞および前記円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす、請求項6に記載のフィルタ要素。
【請求項8】
フィルタ要素を提供するための方法であって、前記方法は、
ファイバを含む結合されたファイバ構造を設けるステップを含み、前記結合されたファイバ構造は少なくとも前縁を有し、さらに、
前記前縁と平行なコイル巻き軸を中心として前記結合されたファイバ構造をコイル巻きし、それによりフィルタ材料を設けるステップと、
前記コイル巻き軸と実質的に平行な方向において前記フィルタ材料の外側境界と接触する気体不透過性ケーシングを設けて、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を設けるステップとを含み、前記ケーシングは、平均流れ方向を規定する流入側および流出側を前記フィルタ巻物に与え、前記フィルタ巻物の軸は、前記平均流れ方向と実質的に平行である、方法。
【請求項9】
軸方向において前記フィルタ巻物の外側境界と接触し、かつ径方向において気体不透過性を有するケーシングを設けるために、前記フィルタ材料を中心としてホイルまたは板をコイル巻きし、前記ホイルまたは板を封止することで、前記フィルタ材料の外側境界を前記コイル巻き軸と実質的に平行な方向に前記ホイルまたは板で覆うことにより、前記気体不透過性ケーシングを設ける、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ケーシングおよび前記フィルタ巻物は、前記フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割され、少なくとも2つのフィルタ要素がもたらされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記結合されたファイバ構造は、その前縁を中心としてコイル巻きされる、請求項8から10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
フィルタモジュールを提供するための方法であって、前記方法は、
請求項8から11のうちいずれか1項に従ってN個のフィルタ要素を設けるステップを含み、Nは2以上であり、さらに、
i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結するステップを含み、iは2からNの間で変動する、方法。
【請求項13】
対応する形状の工具を用いて前記フィルタ要素を軸方向に加圧することによって、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分が前記フィルタ要素に設けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
N個のフィルタ要素を備えるフィルタモジュールであって、Nは2以上であり、前記フィルタ要素は、請求項1から7のうちいずれか1項に記載のフィルタ要素であり、前記N個のフィルタ要素は、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結することによって互いに連結され、iは2からNの間で変動する、フィルタモジュール。
【請求項15】
前記フィルタモジュールは、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続したフィルタ要素の間に配置された少なくとも1つのヒータを備える、請求項14に記載のフィルタモジュール。
【請求項1】
フィルタ要素であって、フィルタ巻物の外側境界を区切るケーシングを備え、前記ケーシングは平均流れ方向を規定する流入側および流出側を有し、前記ケーシングは前記平均流れ方向と実質的に平行な軸を有し、前記ケーシングは、平均流路の方向において前記フィルタ巻物の外側境界を区切り、前記ケーシングは径方向において気体不透過性を有し、前記フィルタ巻物は、ファイバを含むフィルタ材料で充填され、前記ファイバの大部分は、少なくとも部分的に前記軸を取囲む、フィルタ要素。
【請求項2】
ファイバの大部分は、前記フィルタ要素の少なくとも軸方向に実質的に延在する、請求項1に記載のフィルタ要素。
【請求項3】
前記ファイバは、前記平均流れ方向と実質的に平行なコイル巻き軸を中心としてコイル巻きされた、結合されたファイバ構造の一部である、請求項1または2に記載のフィルタ要素。
【請求項4】
前記結合されたファイバ構造は、ファイバウェブである、請求項3に記載のフィルタ要素。
【請求項5】
前記結合されたファイバ構造は、少なくとも1つのファイババンドルを含む、請求項3に記載のフィルタ要素。
【請求項6】
前記フィルタ材料は、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分を含む、請求項1から5のうちいずれか1項に記載のフィルタ要素。
【請求項7】
前記円錐形の空洞は前記流入側に位置し、前記円錐形の延長部分は前記流出側に位置し、前記円錐形の空洞および前記円錐形の延長部分は概して同一の形状であり、隣接して位置するフィルタ材料の軸方向への表面接触をもたらす、請求項6に記載のフィルタ要素。
【請求項8】
フィルタ要素を提供するための方法であって、前記方法は、
ファイバを含む結合されたファイバ構造を設けるステップを含み、前記結合されたファイバ構造は少なくとも前縁を有し、さらに、
前記前縁と平行なコイル巻き軸を中心として前記結合されたファイバ構造をコイル巻きし、それによりフィルタ材料を設けるステップと、
前記コイル巻き軸と実質的に平行な方向において前記フィルタ材料の外側境界と接触する気体不透過性ケーシングを設けて、フィルタ材料で充填されたフィルタ巻物を設けるステップとを含み、前記ケーシングは、平均流れ方向を規定する流入側および流出側を前記フィルタ巻物に与え、前記フィルタ巻物の軸は、前記平均流れ方向と実質的に平行である、方法。
【請求項9】
軸方向において前記フィルタ巻物の外側境界と接触し、かつ径方向において気体不透過性を有するケーシングを設けるために、前記フィルタ材料を中心としてホイルまたは板をコイル巻きし、前記ホイルまたは板を封止することで、前記フィルタ材料の外側境界を前記コイル巻き軸と実質的に平行な方向に前記ホイルまたは板で覆うことにより、前記気体不透過性ケーシングを設ける、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ケーシングおよび前記フィルタ巻物は、前記フィルタ巻物の軸に沿って少なくとも2つの部分に分割され、少なくとも2つのフィルタ要素がもたらされる、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記結合されたファイバ構造は、その前縁を中心としてコイル巻きされる、請求項8から10のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
フィルタモジュールを提供するための方法であって、前記方法は、
請求項8から11のうちいずれか1項に従ってN個のフィルタ要素を設けるステップを含み、Nは2以上であり、さらに、
i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結するステップを含み、iは2からNの間で変動する、方法。
【請求項13】
対応する形状の工具を用いて前記フィルタ要素を軸方向に加圧することによって、軸方向において概して円錐形の空洞、および/または軸方向において概して円錐形の延長部分が前記フィルタ要素に設けられる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
N個のフィルタ要素を備えるフィルタモジュールであって、Nは2以上であり、前記フィルタ要素は、請求項1から7のうちいずれか1項に記載のフィルタ要素であり、前記N個のフィルタ要素は、i番目のフィルタ要素の流入側をi−1番目のフィルタ要素の流出側に連結することによって互いに連結され、iは2からNの間で変動する、フィルタモジュール。
【請求項15】
前記フィルタモジュールは、第1のフィルタ要素の前、または2つの連続したフィルタ要素の間に配置された少なくとも1つのヒータを備える、請求項14に記載のフィルタモジュール。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図2d】
【図2e】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図5】
【図6】
【公表番号】特表2010−533061(P2010−533061A)
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−515532(P2010−515532)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059198
【国際公開番号】WO2009/010499
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508254738)ナムローゼ・フエンノートシャップ・ベカート・ソシエテ・アノニム (6)
【氏名又は名称原語表記】NV BEKAERT SA
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/059198
【国際公開番号】WO2009/010499
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(508254738)ナムローゼ・フエンノートシャップ・ベカート・ソシエテ・アノニム (6)
【氏名又は名称原語表記】NV BEKAERT SA
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]