説明

フィルムまたはコーティングのエフェクト粒子の配向を測定するための方法および装置

フィルムまたはコーティングのエフェクト粒子の配向を測定するための方法および装置が開示される。方法は、好ましくは連続処理にて、対向方向の反射率の測定を用いることを含み、粒子の配向のより厳密な制御を提供するオンライン評価システムを可能にし、それによって様々なパネルまたは部材間のより良い色合わせを可能にする。装置は、反射領域(5)を画成する本体(6)を有する反射ヘッド(1)と、対向方向の照明光をフィルムまたはコーティングの実質的に同じ領域に放射するための少なくとも第1および第2の光源(3)と、反射された照明光を受容するための、前記第1および第2の光源にそれぞれ対応した少なくとも第1および第2の検出器(4)とを含む。さらに、受容された反射照明光値間の差を測定し、前記差を基準値と比較するための手段が提供されてもよい。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルムまたはコーティングなどのエフェクト粒子の配向を測定するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
エフェクト粒子の配向および外観性質へのその影響は、多年にわたり、ペイント工業の研究課題であった。比色計および分光光度計は本技術分野において公知であり、試験パネルの上にコーティングされた様々な塗料フィルムの特定の光学的性質を測定するために用いられる。分光光度計は、入射光源の方向に対して所定の角度に保持されるペイントされたパネルによって可視スペクトルの様々な光の波長で反射された光の量の測定に対応している。塗料の反射率係数は、様々な塗料の色の特性を決定する明度を塗料の化学者が計算することを可能にする。光反射フレークまたは粒子を含有しない塗料については、反射率係数は、光沢(正反射)角の場合を除いて、入射光の方向に対するパネルの角度によって変化しない。
【0003】
代表的なエフェクト粒子、例えば金属または真珠光沢フレーク、マイカまたは他の非球形粒子は、このような粒子が、ペイントされるかまたはコーティングされた表面の視覚的な知覚に影響を及ぼすことがあるので、際立ったまたは魅力的な外観を提供するために塗料およびコーティングにおいてしばしば利用される。これらの粒子は、基材の外観の様相、例えばその曲がり、色の見えおよび色の強度を強調することができ、自動車のパネルなどの基材のための所望の視覚効果を視角によって変えることができる。理想的には、平らな粒子は、視角の変化によって色の最大の変化をもたらすが、球形の形状に近い粒子は、視角の変化によって最小の色変化をもたらす。
【0004】
いくつかの連続的なシートおよびフィルム方法は、エフェクトフレーク粒子の使用を含める。しかしながら、粒子の配向は可変的であり、目視検査および見え方以外にモニタされず、またはモニタされ得ない。このプロセスは、視覚効果を達成することができたが、これらの効果は、制御されずに与えられる成果である。それは、ペイントされた金属パネルおよびシートの色を顔料および金属顔料を用いて(視覚的にも色としても)整合させることを試みる非常に難しい、いくぶん無計画な方法である。
【0005】
通常の技術を用いるペイントコーティング工業において、エフェクト粒子の配向は、一回の測定において(すなわち、1つの方向において)多数の角度での光の反射を測定することである。得られた測定値は、次に計算によって、試験される特定の色について定性的な方法での色の見えの指標を提供する。従って、次に色の見えを比較し、必要ならば変化または調節することができる。しかしながら一回だけの絶対的な測定を用いることは、エフェクト粒子が表面に対して平らであるかまたは平行である時に同定するための直接定量を提供しないので、問題が多い。さらに、単一の「フロップ計算」方法は、インプロセス調節に適した相対的な粒子の配向を提供しない。さらに、この計算値に外部の影響がある場合があり、エフェクト粒子が平らなのではないかと推論する(通常、「フロップ」の計算を最大にする)。
【0006】
通常の技術の別の不便な点は、本技術分野に公知である方法が回分式で機能するということであり、そこにおいて振動のない固定パネルの使用が良好なデータをもたらすために必要とされ、従って、非常に遅いので多くの連続処理において、特にプラスチックシート方法において十分な制御フィードバックを提供することができない。結果として、これらの方法は煩わしく、時間がかかり、費用効果が高く、従って、連続処理に対して使用するのに向いていない。
【0007】
従って、連続処理にてエフェクト粒子の配向の指標として対向方向の反射率の測定を行なうことができる方法または装置を有することが望ましく、それによって、基材の外観の一致性を維持するために必要な、エフェクト粒子の配向のさらに十分な制御を可能にする。このような方法または装置は好ましくは、エフェクト粒子含有材料の表面に対してエフェクト粒子の配向の制御をさらに高めると共に、シートまたはフィルム溶融プロセスのプロセスを制御することができ、それによってシートのポリマー配向の均一性を改良することができる。このような方法または装置は、エフェクト粒子含有材料(例えば塗料か、フィルムか、コーティングか、コーティングされた部材かまたはポリマー)が反対方向の同様な角度において見られる時の、および同じシートまたはフィルムから製造された異なった部材の間の、外観のより大きな一致性、1つの製造期間から別の製造期間までの粒子の配向のより大きな反復性をもたらし、変化する作業条件にわたって固有の配向特性を提供し、対向方向のほぼ同様な反射特性、または対向方向の非常に異なった反射特性を提供することができる。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、エフェクト粒子含有材料が移動および/または振動する連続処理にて、反射率を測定するための、およびそれによってエフェクト粒子の配向を測定するための部材および方法の実施態様を含む。前記方法は、
(a)対向方向の入射光ビームを用い、エフェクト粒子含有材料の表面を実質的に同じ所定領域に亙って照射する(好ましくは前記入射光ビームが、長手方向上流および下流の両方を照射する)工程と、
(b)前記エフェクト粒子含有材料からの対向方向の入射光反射率を測定する測定工程と、
(c)対応する角度での対向方向の入射光反射率の測定値の間の差の第1の絶対値(ダイの流れの方向の粒子の傾きを増加または減少させる手段)を設定する工程と、
(d)工程(c)において得られた前記第1の絶対値を公知の基準から得られる第2の絶対値と比較する工程と、
任意選択的に(e)前記エフェクト粒子の配向を操作して第1および第2の絶対値の間の差を最小化、最大化または他の値に調節する操作工程と
を含む。
【0009】
本発明はまた、対向方向の入射光反射率および従ってエフェクト粒子の配向を測定することができる装置を含む。前記装置は、
(i)反射領域と複数の開口とを画成する本体を有する反射ヘッドと、
(ii)この反射ヘッドの開口に挿入され、対向位置にある任意選択的な少なくとも1つの第1および第2の光源ならびに対応した光源が対向する任意選択的な少なくとも1つの第1および第2の光検出器と、
(iii)これらの光検出器とつながり、光反射率係数を計算するために前記少なくとも第1および第2の光検出器からの光を受けて分析するさらに任意選択的な手段と
を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本明細書に示された範囲に関して、特に記載しない限り、与えられた範囲において示された最小および最大値の範囲内にある値のどんな組合せが用いられてもよい。
【0011】
本発明の実施態様は、エフェクト粒子含有材料(例えば光反射粒子またはフレークを有する塗料か、フィルムか、コーティングされた基材かまたは部材)を併用することができ、さらに、ポリマー流の指標を提供し、従って或る程度、ポリマー溶融体の配向を示すことができる。
【0012】
本明細書中で用いられるとき、用語「エフェクト粒子」は、視角が変化する時に視覚的な色の変化を提供することができる一切の粒子について説明するものとする。「フロップ」は、2つの異なった視角で見られた材料の色および外観の差を指す。「フロップ角」は、正反射から離れた方向から、典型的に70度以上の方向から見られる時の視角を指し、通常、2つの視角においての色および外観の変化に対応している。「外観」は、大きさ、形状、色、テキスチャー、光沢、透明性、不透明性などの視覚的な属性による部材、フィルムまたはコーティングの性質の表出を指す。「色合わせ」は、調合の調節または他の手段によって、特定の条件下での特定の標準色から識別できないか、またはその特定の許容度の範囲内である試色(trial color)を提供することを指す。そして[連続処理」には、連続ポリマー製造技術、例えば外観パネルにおいて利用されるシートまたはフィルムキャスチング、ロールギャップニッピングまたはカレンダリング方法の他、積層方法、コーティング方法および連続プロファイル押出方法(外観パネルのために多層の同時押出においてポリマー溶融体を配合する方法)、ならびに連続コーティング加工技術、例えば、コーティングがエフェクト粒子を含有する、エフェクト粒子含有材料(すなわち紙、金属、ポリマーなど)の塗装、印刷またはコーティングなどがある。
【0013】
外観パネルの製造はしばしば、連続処理にて行われる。これらの方法において、多数の製造変数が粒子の配向の効果に影響を与えることがあり、および現在の方法の高速度は、粒子の配向のより具体的な制御を提供するためのオンライン評価システムの使用を必要とし、それによって様々なパネルまたは部材の間のより良い色合わせを可能にする。
【0014】
典型的に本発明の実施態様は、いずれのエフェクト粒子含有材料(例えば光反射フレークまたは粒子を含有する塗料か、フィルムか、ポリマーか、または他のコーティング)を評価する時に利用されてもよい。外観パネルの製造に関する問題は、ペイント工業に限られず、単一層および異なったポリマー材料の多層パネルを包含し、そこにおいては様々なポリマー層を組合わせて特定の外観性質を部材に与える。これらのタイプのパネルとしては、装飾用パネルとして形成されたイオノマー表面仕上塗料積層体が挙げられ、これらの積層体は、パネル間の外観の高い視覚的な一致性ならびに上流および下流方向からそれらを見た時の外観の一致性を必要とする。
【0015】
フレークを含有する、光反射粒子またはエフェクト粒子の1つの特性決定は、特に、エフェクト粒子含有材料の表面に対して平らなおよび平行なそれらのエフェクト粒子に関して、それらの光反射率によって測定されてもよい。フィルムおよび/またはコーティングおよび/または部材中におよびその上に導入された光反射粒子またはエフェクト粒子は、拡散的にではなく方向性をもって光を反射する。例えば、塗料フィルムまたは他のコーティングに特有の方向反射率は、「フロップ」とも称される、角度彩色(goniochromatism)として公知の現象をもたらす。従って、光反射粒子を含有する塗料またはコーティングの色は、様々な角度において見られる時に外観を変化させる場合がある。この方向または角反射率(すなわち、フロップ)について装飾用パネルの特性を決定するために、反射率係数の測定値は、多数の角度において測定され、外観の特性を決定する「フロップ数」を測定するための式において用いられる。この単一の多角度測定およびフロップ数の計算の前提は、エフェクト粒子が、エフェクト粒子含有材料の表面に対して、平行に配向され、平らであるということである。この前提のもとに、エフェクト粒子含有材料の表面に対して計測器の回転後の第2の反射率の測定もまた、同様な「フロップ数」の特性決定をもたらすことができる。
【0016】
総合的なエフェクト粒子の配向がエフェクト粒子含有材料の表面に対して平らでなくかつ平行でないとき、表面に対する計測器の向きが変化する時に単一の多角度測定の特性決定が変わることがあり、それによって特性決定を有用でなくする。本発明の実施態様は、流れ領域のエフェクト粒子の相対的な配向に関する情報を提供する。対向方向においての光の反射率の検出および比較は、エフェクト粒子の配向に関する相対的な情報を提供する。エフェクト粒子の配向がエフェクト粒子含有材料の表面に平行である場合、対向した、同じ角度の反射からの反射率係数の間の絶対値の差は最小にされる。エフェクト粒子の配向がエフェクト粒子含有材料の表面に対して平行な位置から外れるとき、反射率係数の差は増加する。
【0017】
フィルムまたはコーティングの反射率係数は、試料および完全拡散反射面が同じく光源で照射される時の試料から反射された光束の、完全拡散反射面から反射された光束に対する比として示される。完全白色反射体は1の値を有するが、完全黒色非反射体はゼロの値を有する。
【0018】
本発明の実施態様は、粒子の配向の特性を決定する連続加工システムに使用するために適した技術および計測器を提供し、粒子の配向を調整する時にオンラインフィードバック制御し、金属塗料パネル等を色合わせするために適切な顔料および金属粒子を有する加工条件を用いて色合わせし、エフェクト粒子の平面度を最大化、最小化または中間のいずかの位置にするためにエフェクト粒子の配向の制御を高める。フレーク配向は、エフェクト粒子含有材料の表面に対して平らでない(またはシートまたはフィルム表面に対して平行でない)場合、特に見る向きがかなり変化する時に、ペイントされたパネルが着色シートまたはフィルムに隣接している時の外観の著しい差をもたらすので、エフェクト粒子の平面度のこの最大化はいくつかの業界において望ましい場合がある。本発明の実施態様は、エフェクト粒子の配向が測定可能であるようにいずれの配向を有するエフェクト粒子の定量または測定も可能にする。
【0019】
また、本発明の実施態様は、以下にさらに説明するように、単一の(例えば、実質的に同じ照射角度に配置されている対向した光源)または多数の(例えば、異なる照射角度に配置されている対向した光源)角度の反射率の測定のために、対向方向において、好ましくは長手方向上流および下流において行なわれる反射率の測定に基づいたフィードバック情報を提供する。結果として、定量された差の測定値を使用して、プロセスを制御するパラメータを調節することができ、例えば、平らなフレーク配向(またはフィルム表面に平行なフレーク)が望ましい場合、対向方向の対応する角度での反射率の測定値の間の差は好ましくは最小にされる。
【0020】
また、本発明の実施態様を用いて、エフェクト粒子含有材料の横方向または長手方向から約90度の方向の外観の特性を決定することができる。
【0021】
表面に平行である配向を有するエフェクト粒子は、一致した測定角度での対向した(好ましくは長手方向上流および下流の反射率の測定値)反射率の測定値の間の計算された差の最小絶対値を提供することができる。フィルム表面に平行でない平均エフェクト粒子の配向は、対向した測定方向の間の反射率の絶対値の増加する差を有する場合があり、表面に対して平らなまたは平行な位置から垂直な配向にさらに外れる時に増加する差を示す。
【0022】
概して、対向方向においてのエフェクト粒子含有材料入射光反射率が測定され、上述のように、対応する角度での対向方向の入射光反射率の測定値の間の差の第1の絶対値が設定される。次いで、第1の絶対値を公知の基準の入射光反射率の測定から得られる第2の絶対値と比較することができる(好ましくは、光源の角度、視角などに対して同じパラメータを用いて第1および第2の絶対値が得られた)。公知の基準は、(好ましくは装飾用パネルなどのエフェクト粒子含有材料の間の色の色合わせのために)異なったエフェクト粒子含有材料から行なわれた測定または同じエフェクト粒子含有材料で行なわれた先行の測定から決められたいずれの前もって得られた絶対値であってもよい。
【0023】
本発明は、ポリマー流の指標として反射率測定を利用することができ、従ってある程度、ポリマー溶融体の配向を示す。このデータは、ポリマー配向に影響を与えるシートのパラメータを制御するために適している場合がある。従って、特に、ポリマー溶融体のカレンダリングのために利用される一組のニップローラーを通しての流量の差は、シートの配向の局部的な差を生じ、最終用途の性質について可変的である場合がある。このため、ポリマー溶融体の加工の制御を改良することによって、下流のシート性質および有用性の相応する改良をもたらす場合がある。シート中の粒子の反射率をモニタすることによって、ポリマー配向をモニタするための改良された手段を提供することができ、従って、特にニップまたはカレンダリング方法によって、ダイに入る層温度および/またはニップ間隙調整、隣接した層の相対粘度、回転バンクの大きさまたはニップ圧力、などの作業変数のより良い制御を可能にする。
【0024】
前記装置は、少なくとも第1および第2の光源によって光ビームがエフェクト粒子含有材料(例えばフィルム、ポリマー溶融体、コーティングまたは部材)の表面に投射または放射されることを可能にする。これらの光源は、表面への光の実質的に等しい入射角度が得られるように、評価されるエフェクト粒子含有材料の表面に対して対向方向に同じかまたは実質的に同じ角度に配されてもよい。エフェクト粒子含有材料中のフレークまたは粒子は、(光が投射または放射される角度に応じて)所定の角度において上方に光を反射し、そこにおいて反射光の大きさはフレークまたは粒子の配向の関数である。反射光は、反射ヘッドの反射領域に集められ、光検出器に入る。光検出器は典型的に、反射ビームの縦軸と一致した光軸を有する。入射光反射率を測定するとき、光検出器は、電子処理して公知の参照基準から受容された電子信号と比較することができる電子信号に反射光を変換する、光を受けて分析する手段への情報のリレーを可能にし、そこにおいて次いで、当業者に公知の従来の方法を用いて反射率係数を計算することができる。
【0025】
図1および図2を参照すると、反射ヘッド(1)は、少なくとも第1および第2の光源(3)と少なくとも第1および第2の光検出器(4)との挿入を可能にする複数の開口(2)を有する本体(6)を含み、光源および検出器は、反射領域(5)への入口を有する。反射領域は好ましくは、凹形の形状を有し、それによって反射率係数の測定のために光検出器が一切の反射光を集めることを可能にする。反射領域は、エフェクト粒子含有材料(例えば塗料フィルム、コーティング、ポリマー溶融体または他のコーティングされた部材)の表面に向かって配置される。
【0026】
反射ヘッド(1)は、浮動ヘッドであってもよく、その設計によってそれをエフェクト粒子含有材料の上に配置することができ、また、評価されるフィルムまたはシートの全横幅を移動することができる。シートの幅にわたってフレークまたは粒子の傾きのばらつきが大きいため、横幅のモニタリングは、粒子の配向の多数の測定に対して連続的または断続的のどちらであってもよい。作業変数は、短い時間間隔でおよびシートの狭い領域にわたって粒子の配向を変化させることができるので、連続的にまたはたびたびモニタしてポテンシャル補正のためにフレークまたは粒子のどんな変化も確認することが好ましい。
【0027】
反射ヘッド(1)を、評価されるエフェクト粒子含有材料の上に固定高さに配置することができ、好ましくは距離は約0.040インチ(1.016mm)である。
【0028】
概して、反射ヘッド(1)の本体(6)に使用するための材料は、いずれの材料から作製されてもよい。好ましくは、本体は、テフロン(Teflon)(登録商標)(テトラフルオロエチレンフルオロカーボンポリマー)または他の同様な組成物から製造されるが、その理由は、ヘッドがエフェクト粒子含有材料と接触する場合、これらの材料は塗料フィルムまたはコーティングを損なわないかまたはほんのわずかしか損なわないことがあるからである。
【0029】
少なくとも第1および第2の光源(3)は、適切な波長の必要な光を提供することができる本技術分野に通常に知られている光源であってもよく(例えばテキサス州、キャロルトンのオプテック・テクノロジー(OPTEK Technologies,Carrollton TX)から入手可能なオプテック・OP(OPTEK OP)290ダイオード)、そこにおいて光は、非可視光線、好ましくは近赤外(NIR)スペクトル、より好ましくは約940ナノメートルの光を放射することができる光ファイバーケーブル(すなわち,フロリダ州、ジャクソンビルのクーダ・プロダクツ(Cuda Products of Jacksonville,FL)から入手可能な製品番号S8−120TS−Gのケーブル)によってエフェクト粒子含有材料の表面の上に伝送され、投射される。本発明は、カラーフィルムを評価する時に装置がその感度を維持することを可能にするので、非可視光線を利用することができる。
【0030】
図に示されるように、少なくとも第1および第2の光源(3)および少なくとも第1および第2の光検出器(4)(例えばテキサス州、キャロルトンのオプテック・テクノロジーから入手可能なオプテック・OP(OPTEK OP)5599)は好ましくは、(上流または下流位置のどちらかにおいて)互いに隣接して配置される。第1の光源は、第2の光源に対して対向位置にあってもよい。また、各検出器は、その対応する光源に対して対向位置にあってもよい。あるいは、光源および対向した検出器は、面積の制約条件のために互いに食い違わされてもよい。
【0031】
評価されるエフェクト粒子含有材料の表面から反射された入射光は、エフェクト粒子含有材料、光源および検出器の性質に応じて変化することができる。光源(少なくとも第1および第2の光源(3))は、エフェクト粒子含有材料の表面に対してどんな角度に配されてもよい。好ましくは、光源は、エフェクト粒子含有材料の表面の水平軸から約10度から、垂直な垂直軸の約10度手前までに配置されてもよい。光検出器は好ましくは、入射光の正反射角から外れる視角において配置される。
【0032】
光源は多数の角度に配されてもよく、例えば、第1の光源はエフェクト粒子含有材料の表面に対して約15度の角度に配され、第2の入射光源はエフェクト粒子含有材料の表面に対して約45度の角度に配される。エフェクト粒子含有材料の表面に対して同じ角度に各々配置された少なくとも第1および第2の対向した光源の使用が好ましい。検出器は好ましくは、同じ視角において配置される。
【0033】
光の検出に応答して生成された電子信号を解釈するための手段は、電子処理ボックス(デラウェア州、ニューアークのクリエイティブ・ミクロ・デザインズ(Creative Micro Designs,Newark,DE)から入手可能な例、例えばデュアルチャネルフレーク配向測定機器(Dual Channel Flake Orientation Measurement instrument)、RS232を有するデュアルチャネルアナライザ(Dual Channel Analyser))であってもよい。この電子処理ボックスは、電子信号を処理して、公知の参照基準から受容された電子信号と比較することができ、次いで、反射率係数を計算することができる。前記処理ボックスは、本明細書に記載された必要な処理の要求を実行することができる公知の装置のいずれであってもよい。上に開示されたように、当業者に公知の従来の方法を用いて電子信号を電子的に処理して、公知の参照基準から受容された電子信号と比較し、反射率係数の計算を行なうことができる。
【0034】
以下の実施例は、説明のためのものであるにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。
【実施例】
【0035】
実施例において、表1、2および3は、フロップおよびフロップの差の計算による色読取値に関するデータを記載する。表において以下の名称が用いられる。
+MD、光が長手方向下流に放射され、0°とされる。
−MD、光が長手方向上流に放射され、180°とされ、+MDの光およびMDの光は対向方向において放射される。
+TD、光が長手方向下流に垂直に放射され、90°とされる。
−TD、光が長手方向上流に垂直に放射され、270°とされ、+TDの光および
−TDの光は対向方向において放射される。
【0036】
(実施例1)
第2の層にアミセスト(amythest)顔料の色を有するシート押出方法で作製されたイオノマー塗料フィルム積層体を、X−ライト社(X−Rite,Inc.)から入手可能なクロマビジョン(登録商標)(Chromavision)MA100色計測器で小さな領域について色のフロップの計算のために測定した。小さな四角形をシートから切り取り(4インチの辺)、180度回転させ、それが切り取られた場所の近くに大きい方のシート上に置いた。小さな四角形および隣接した大きい方の領域は、視覚的に異なった色の見えを有した。
【0037】
(実施例2)
イオノマー塗料フィルム同時押出積層体を多層シートラインで作製した。フロップの計算のための色の測定を、上流および下流の両方の方向において多数行なった。フロップの差を各組について計算した。フロップの差を増加および減少させるプロセス調整を行なった。低いフロップの差で作製された試料の色は、上流および下流の両方の視方向においてよく整合した。高フロップ差の条件下で作製された試料の色は、上流および下流の外観において、見られた時に明るさおよび色の両方においてかなり異なった外観を示した。
【0038】
(実施例3)
対向方向の測定を、イオノマー積層体の幅にわたって行なった(実験1および2)。同様な測定をウェブのMD「レーン」において行い、以下のフロップの差の計算値が得られた。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
(実施例4)
ブライトシルバーの外観を有する、押出シート材料方法において製造されたイオノマー多層装飾用シートを、49418ミシガン州、グランドビルの3100 44番ストリート SWのX−ライト・インコーポレーテッド(X−Rite, Incorporated,3100 44th Street SW,Grandville,MI 49418)によって製造された多角度分光光度計、クロマビジョン(ChromaVision)(登録商標)MA100で測定した。シートの構造を以下に示す。シート試料の色の読取値を表3に示す。
【0042】
シートの構造
【0043】
試料ID:FCL020501−2
【0044】
色:ブライトシルバー
【0045】
層1材料は、本願特許出願人からサーリン(登録商標)として入手可能な、金属イオンでエチレンアクリル酸コポリマーを部分中和することで製造されたイオノマーであった。イオノマーの酸中和レベル(酸レベルと中和の程度との組合せ)は、高透明度を有する良好な引掻き/擦傷性能を提供するようなレベルである。添加剤を添加して屋外暴露耐候性を提供する。層1は、0.006インチの厚さを有し、顔料を含有しなかった。
【0046】
層2材料は層1に似ているが、しかしながら、異なった添加剤を含有した。層2は0.012インチの厚さを有し、シルバーリン(Silberline)によって製造されたアルミニウムフレークペースト濃縮物である、シルヴェット(Silvet)790−20−E顔料を含有した。
【0047】
層3材料は、メタロセン触媒を用いて製造された非常に低密度のポリエチレン(mVLDPE)である、イグザクト(Exact)8201であった。より具体的には、それは、エクソンモービル・ケミカル・カンパニー(ExxonMobil Chemical Company)によってメタロセン方法で製造されたエチレンオクタンコポリマーである。層3は、1.1g/10分のメルトインデックス、0.88の比重、および0.002の厚さを有し、インチ顔料を含有しなかった。
【0048】
層4材料は、ビネル(Bynel)50E739であったが、6の溶融流量(ASTM D1238、230C/2.16)、0.89g/cmの密度、142Cの融点および0.007インチの厚さを有し、顔料を含有しない、本願特許出願人によって製造された無水物改質ポリプロピレン樹脂である。
【0049】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明による反射ヘッド、光源および検出器、および反射領域の集成体の実施態様を示す。
【図2】エフェクト粒子含有材料の上に吊るされている実施態様を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射領域と複数の開口とを画成する本体を含む反射ヘッドと、この反射ヘッドの開口に挿入され、対向位置にある任意選択的な少なくとも1つの第1および第2の光源ならびに対応した前記光源が対向する任意選択的な少なくとも1つの第1および第2の光検出器と、これら光検出器とつながり、光反射率係数を計算するために前記少なくとも第1および第2の光検出器からの光を受けて分析するさらに任意選択的な手段とを含むことを特徴とする装置。
【請求項2】
対向方向の入射光反射率を決定することができ、
反射領域と複数の開口とを画成する本体を含む反射ヘッドと、
この反射ヘッドの開口に挿入され、対向位置にある少なくとも1つの第1および第2の光源ならびに対応した前記光源が対向する少なくとも1つの第1および第2の光検出器と、
これら光検出器とつながり、光反射率係数を計算するために前記少なくとも第1および第2の光検出器からの光を受けて分析する手段と
を含むことを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記反射ヘッドがテトラフルオロエチレンフルオロカーボンポリマーを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記少なくとも第1および第2の光源がエフェクト粒子含有材料の表面に対して同じ照射角度に配されていることを特徴とする請求項1,請求項2および請求項4の何れかに記載の装置。
【請求項5】
(a)対向方向の入射光ビームを用い、エフェクト粒子含有材料の表面を実質的に同じ所定領域に亙って照射する(好ましくは前記入射光ビームが長手方向上流および下流の両方を照射する)工程と、
(b)前記エフェクト粒子含有材料からの対向方向の入射光反射率を測定する測定工程と、
(c)第1の絶対値を得るために対応角度での前記対向方向の入射光反射率の測定値の間の差の第1の絶対値(ダイの流れの方向の粒子の傾きを増加または減少させる手段)を設定する工程と、
(d)前記第1の絶対値を公知の基準から得られる第2の絶対値と比較する工程と、
任意選択的に(e)前記エフェクト粒子の配向を操作して前記第1および第2の絶対値の間の差を最小化,最大化または他の値に調節する操作工程と
を含むことを特徴とするエフェクト粒子の配向を連続処理にて測定する方法。
【請求項6】
前記操作工程を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記測定工程が連続または不連続に行われることを特徴とする請求項5または請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記エフェクト粒子が非可視光線、好ましくは近赤外線、より好ましくは約940nmの波長を持つ光で照射される材料を含んだ表面を含むことを特徴とする請求項5から請求項7の何れかに記載の方法。
【請求項9】
入射光ビームを用いた前記エフェクト粒子含有材料の前記表面の照明が対向する長手方向に行われることを特徴とする請求項5から請求項8の何れかに記載の方法。
【請求項10】
前記エフェクト粒子含有材料が塗料か、フィルムか、コーティングか、コーティングされた部材か、またはポリマーを含むことを特徴とする請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−507722(P2007−507722A)
【公表日】平成19年3月29日(2007.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534437(P2006−534437)
【出願日】平成16年10月7日(2004.10.7)
【国際出願番号】PCT/US2004/033426
【国際公開番号】WO2005/036142
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】