説明

フィルムエレメント

本発明は、複製層(43)を有し、前記複製層の第一の表面に光学的活性表面構造(27)が形成されるフィルムエレメントに関する。前記表面構造は、第一の包絡線(47)をたどる連続するエレメントから成る第一の回折表面レリーフ(46)により、前記フィルムエレメントの少なくとも第一の領域(35)に形成され、前記エレメントは、それぞれ、ベース表面に平行なエレメント表面(48)と、隣り合う前記エレメント表面に隣接する少なくとも一つの側面とを含み、隣り合うエレメントの前記エレメント表面(48)は、前記ベース表面に垂直な方向に、第一の光学的間隔または該第一の光学的間隔複数の間隔で間隔を置き、該第一の光学的間隔は、150nmから800nm、好ましくは150nmから400nmである。前記第一の包絡線(47)は、100L/mmから2000L/mmの空間周波数と、450nm以上の光学的深度とを有し、前記レリーフ形状および前記包絡線(47)の前記空間周波数は、入射光が一つ以上の第一の方向に回折されて、色値が前記第一の光学的間隔によりさらに決定される第一の情報のアイテムを提示するように選択される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学的活性表面構造が形成された複製層を有するフィルムエレメントに関する。
【背景技術】
【0002】
このようなフィルムエレメントは、セキュリティドキュメントのコピー、偽造、または不正な取り扱い、およびそのようなドキュメントの誤用を困難にし、または可能な限り防止するために、しばしば用いられる。このようなフィルムエレメントは、例えば、紙幣、クレジットカード、デビットカード、IDドキュメント、チケット、ソフトウェア認可証等を保護するために、しばしば用いられる。また、このようなフィルムエレメントは、それらのフィルムエレメントを、例えば、品物、ラベル、または製品のパッケージに適用または統合することにより、例えば製品の素性を保証するために、商標およびブランド保護の分野でも利用可能である。
【0003】
セキュリティドキュメントのコピー、偽造、または不正な取り扱いを困難にするために、回折により光学的な可変情報を提供する回折表面レリーフと、干渉により光学的な可変カラーインプレッションを生じる薄膜層システムとを、重畳することが知られている。例えば、特許文献1は、透明な基質を有し、その一側に薄膜層システムが配置される、セキュリティ製品を開示している。この薄膜層システムは、透明な基質に適用される吸収層と、誘電材料を含むスペーサー層とを含んでいる。スペーサー層の厚みを適切に選択することで、干渉により、観察角度依存性カラーシフト効果が生じる。透明な基質の薄膜層システムの反対側または同側には、回折表面レリーフが形成され、この回折表面レリーフは、例えば、観察者に対し、3次元イメージの錯覚を生じる。干渉によって薄膜層システムにより生じる光学的カラー効果と、表面レリーフでの回折により生じる光学的効果とが重畳され、これにより、模倣およびコピーが困難な光学的効果を生じる。同様の光学的なセキュリティエレメントが、特許文献2にも開示されている。
【0004】
また、特許文献3は、表面にエンボス加工されたレリーフ形状による体積ホログラムにより得ることが可能な、光学的効果を実現する方法を開示している。この目的のために、体積ホログラムが、感光層にコピーされ、体積ホログラムのブラッグ平面が、好ましくは規則正しいパターンの開放ホログラムにより開放され、開放表面での反射および干渉により、体積ホログラムが可視化される。開放ホログラムによる体積ホログラムの表現の偽造をできる限り避けるため、後者は、その回折効率がゼロオーダー範囲で最大となるように選択される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、光学的可変カラーインプレッションを提供し、生産が安価なフィルムエレメントを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的は、複製層を有するフィルムエレメントであって、複製層に光学的活性表面構造が形成され、該表面構造が、第一の包絡線をたどる多数の連続するエレメントを含む第一の回折表面レリーフにより、前記フィルムエレメントの少なくとも第一の領域に形成され、前記エレメントは、それぞれ、ベース表面に実質的に平行に配置されるエレメント表面と、隣り合う前記エレメント表面に隣接する少なくとも一つの側面とを含み、隣り合うエレメントの前記エレメント表面は、前記ベース表面に垂直な方向に、第一の光学的間隔または該第一の光学的間隔複数の間隔で間隔を置き、該第一の光学的間隔は、150nmから800nm、好ましくは150nmから400nmであり、前記第一の包絡線は、100L/mmから2000L/mm、好ましくは200L/mmから1000L/mmの空間周波数と、450nm以上の光学的深度とを有し、前記レリーフ形状および前記包絡線の前記空間周波数が、入射光が一つ以上の第一の方向に回折されて、色値が前記第一の光学的間隔によりさらに決定される第一の情報のアイテムを提示するように選択されるフィルムエレメントにより達成される。
【0007】
本発明は、ホログラム手法、例えば、体積ホログラムによっても模倣できないセキュリティ特性を提供可能である。本発明によるフィルムエレメントにより提供されるセキュリティ特性は、後述するように、例えば、フルカラーの、光学的可変インプレッションまたはカラー変化を示す光学的可変インプレッションを提供する。そのような効果は、薄膜層システムと回折構造との組み合わせによっても模倣が困難である。さらに、本発明によるフィルムエレメントは、より少ないプロセスステップで、および、高価な材料を使うことなく、生産可能である。従って、例えば、薄膜層システムを含むフィルムエレメントの生産に比べて、必要なプロセスステップは非常に少ない。本発明は、模倣が困難であり、さらに非常に安価に生産される、光学的可変インプレッションを有するフィルムエレメントを提供する。
【0008】
第一の情報のアイテムが1次またはマイナス1次の回折オーダーでの光の回折により実質的に生じる、包絡線の基礎構造化は、回折光の色値が、干渉によりさらに影響を受け、その結果、通常のレインボーインプレッションとは大きく異なるカラーの光学的可変インプレッションを生じることを意味する。
【0009】
光学的間隔および光学的深度という表現は、それぞれ光学的屈折率で補正された、すなわち、屈折率を掛け合わされた、幾何学的間隔または幾何学的深度を表すために用いられ、この場合、屈折率は、フィルムエレメントが入射光方向において反射モードで作用する場合、表面レリーフが形成される複製層の表面上、またはその表面に適用される反射層上に提供される材料に関係する。光が、その表面、または複製層の側から反射層に入射する場合、複製層の屈折率は、光学的間隔から幾何学的間隔を決定するにあたって決め手となる。フィルムエレメントが透過モードで作用する場合、光学的間隔および光学的深度は、それぞれ表面レリーフに隣接する層の屈折率の差が掛け合わされた、幾何学的間隔または幾何学的深度に起因する。
【0010】
本発明の有利な構成が、従属項に列挙される。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、包絡線は、非対称レリーフ形状を有する。これにより、多数の、たいへん魅力的な光学的効果を生じることが可能となり、事前には無色に(反射性に)見える領域またはホログラム表現が、フィルムエレメントの回転により、既定の色値で見えるように、フィルムエレメントの回転により、カラー/傾き効果またはカラーインプレッションの変化が生じる。また、このようにして、(3次元に見える)対象のカラーが動作過程で変化する、動的効果を生じることが可能である。
【0012】
非対称レリーフ形状は、非対称、すなわち対称でないレリーフ形状を有する。ここで、対称の程度は、レリーフ形状の極大からある方向における最も近い極小までの間隔が、他の方向における最も近い極小までの間隔と異なる量により決定されることが好ましい。レリーフ形状の2つの隣り合う極小の間隔を、例えばdとする。ある極小から2つの極小の間のレリーフ形状の極大までの間隔を、例えばd1とし、他の極小から極大までの間隔を、例えばd2とすると、d = d1 + d2である。2つの間隔d1およびd2の大きい方の間隔dに対する比率が、対称性因子Sを決定し、d1≦d2ではS = d1 : dであり、他の場合は、S = d2 : dである。レリーフ形状が周期的なレリーフ形状である場合、dは周期の長さ、すなわち、レリーフ形状が構成される(類似した)構造エレメントが反復される間隔に相当する。そのような非対称レリーフ形状は、三角形状の構造エレメント、または、略三角形の構造エレメントで構成され、幾何学的因子d、Sおよびレリーフ構造の光学的深度により決定されるのが好ましい。このようにして、これらのパラメータにより、包絡線を規定することができる。
【0013】
ここで、対称性因子Sは、70%から100%の範囲、さらに好ましくは、85%から95%の範囲であることが好ましい。これらの条件が当てはまる場合、フィルムエレメントが回転されると、鮮明で容易に記憶に残るカラー変化効果が、非常に高いカラー純度で提示される。
【0014】
また、包絡線は、観察角度に依存して異なる表現を提示する、コンピュータ処理の回折構造、例えばキネグラム(登録商標)により形成されてもよい。包絡線は、第一の空間方向において、第一の一定空間周波数を有することが好ましい。従って、包絡線は、1次元格子を含んでもよい。フィルムエレメントが回転されると、このような構造は、薄膜層システムにより得られるカラー効果および通常のレインボーカラーインプレッションとは大きく異なるカラー変化効果を提示する。本発明の好ましい実施形態では、包絡線は、前記第一の空間方向とは異なる第二の空間方向において、前記第一の一定空間周波数とは異なる第二の一定空間周波数を有する。このようにして、本発明により、回転角度に依存して異なるカラーインプレッションを与えるセキュリティエレメントを生産することが可能となる。
【0015】
第一の領域は、少なくとも一方向において、50μm以上、特に100μm以上の第一の寸法を有することが好ましい。エレメント表面は、100nmより大きいことが好ましく、各エレメントの10%から50%、特に10%から33%を占めることが好ましい。包絡線は、第一の光学的間隔の3倍から10倍の光学的深度を有することが好ましく、フィルムエレメントが反射モードで作用する場合、第一の光学的間隔が、所与の観察方向の色値の半波長に略一致し、透過モードで作用する場合、その色値の波長に略一致する。さらに、包絡線は、光学的間隔の4倍以下の光学的深度であることが好ましい。このようなパラメータの選択により、第一の情報のアイテムの提示を改善し、第一の情報のアイテムの提示に不利に影響する基礎構造化を回避することができる。
【0016】
エレメント表面をベース表面に実質的に平行に配置することは、一方では、エレメント表面が実質的に互いに平行な関係で配置されることを意味する。第一の実施形態では、ベース表面は、さらに、複製層の第一の表面とは反対側の、複製層の第二の表面(複製層の底面)により規定される面に平行である。これは、エレメント表面が、複製層の底面に実質的に平行に配置されることを意味する。しかしながら、複製層の底面に平行に配置されず、複製層の底面に傾斜角、好ましくは5°以上、より好ましくは10°以上の傾斜角を含むベース面により、さらなる有利な効果を得ることが可能である。さらに、傾斜角の向きを変えることにより、以降に記述する光学的外観を変更可能である。また、底面に対するエレメント表面のこのような傾斜により、着色率を増加することが可能であり、一つ以上の低強度の補正的なカラーを伴う主要な第一カラーを含む個別カラーを得ることが可能であることが分かっている。体積ホログラムのものよりも高い、特に高い照度を達成することが可能である。このようなエレメント表面の傾斜は、例えば、プリズムカプラーおよび(表面レリーフ)マスターの製品の中間コピーとして二色ゼラチンに記録されたホログラムにより、実現可能である。また、このようなエレメント表面の傾斜は、好ましくはプリズムカプラーと組み合わせて、中間コピーの生産において互いに重畳されるレーザービームの一つにより照射される対象の対応する傾斜によっても実現可能である。
【0017】
ベース面は、ベース表面に対応し、すなわち、実質的に互いに平行なエレメント表面の間隔が、通常、ベース表面に垂直な線に沿う間隔により、決定されることが好ましい。
【0018】
しかしながら、さらなる実施形態により、特に、ベース表面が底面に傾斜角を有する場合、ベース面は、第一の表面とは反対側の複製層の第二の表面、すなわち、複製層の底面により決定されてもよい。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、前記第一の領域は、パターン形態、特に、シンボルまたはポートレイトの形態で形成される。
【0020】
また、一つ以上の第一の領域において、光学的間隔および光学的深度を決定し、入射光に対して表面構造上または複製層上(上記参照)に備えられる材料を、第一の領域でパターン形態でのみ用い、または、屈折率が相違する異なる材料を、部分的に用いてもよい。従って、少なくとも一つの第一の領域に部分的に異なる屈折率を備えた材料を部分的に印刷することにより、少なくとも一つの第一の領域において、異なる光学的間隔または異なる光学的深度を実現することができ、このようにして、少なくとも第一の領域において、部分的に異なるカラーインプレッションの提示を行うことが可能である。ここで、この領域は、パターン形態、特に、シンボルまたはポートレイトの形態で形成されることが好ましい。
【0021】
少なくとも一つの第二の領域において、前記表面構造が、前記第一の表面レリーフと異なり、第二の情報のアイテムを提示する、第二の表面レリーフにより形成されることが特に好ましい。この原理の適用により、他の技術による模倣が不可能または模倣がたいへん困難で、光学的に驚くべきおよび容易に記憶に残る効果を提示する、多数のセキュリティ特性を生じることができる。さらに、少なくとも一つの前記第二の領域が、少なくとも一つの前記第一の領域に隣接することが好ましい。さらに、前記第一の領域が、前記第二の領域を完全に囲み、または前記第二の領域が、前記第一の領域を完全に囲むことが好ましい。前記第一および/または前記第二の領域が、特にそれぞれ第三および第四の情報のアイテムの形態のパターン形態で形成され、および/または、前記第一および前記第二の情報のアイテムおよび/または前記第三および前記第四の情報のアイテムが、互いに補足的な情報のアイテムを提示する場合、模倣から特に高いレベルで保護することが可能である。不正な取り扱いからの特に高いレベルの保護が、互いに関与する様々な効果により生じるこれらの情報のアイテムにより、達成される。
【0022】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、少なくとも一つの第二の領域において、第一の表面構造とは異なるカラー効果を提示する、第二の表面レリーフおよび/または層または層構造が備えられる。少なくとも一つの第二の領域における層または層構造は、ここでは、例えば、薄膜層システム、架橋コレステリック液晶層、0次回折構造、またはレインボー効果を提示する回折構造、例えば100L/mmから2000L/mmの空間周波数を備えた回折格子、であってもよい。従って、例えば、自己参照カラー表面を備えてもよい。第一の観察位置において、第一の領域におけるカラーおよび第二の領域におけるカラーが同じであり、第二の観察位置では、それらが異なる。このようにして、本発明による、容易に記憶されるセキュリティ特性が、利用可能となる。
【0023】
前記第二の表面レリーフが、回折表面レリーフ、特に、回折格子、キネグラム(登録商標)またはホログラムであることが好ましい。さらに、前記第二の表面レリーフは、無彩色表面レリーフ、特に、マット構造、マクロ構造またはブレーズ格子であってもよい。従って、第一の領域により生じる光学的効果は、たいへん容易に記憶され、ホログラム手法、例えば体積ホログラムによる模倣が不可能であり、または模倣が大変困難である。様々な領域におけるフィルムエレメントの単一層は、それ自体新しく、または、異なる生産技術および多数の異なる層の重畳によってのみ発生が可能な、大きく異なる光学的効果を有する。
【0024】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、前記第二の表面レリーフが、第二の包絡線をたどる多数の連続するエレメントを含み、前記エレメントは、それぞれ、ベース表面に実質的に平行に配置されるエレメント表面と、隣り合う前記エレメント表面に隣接する少なくとも一つの側面とを含み、隣り合うエレメントの前記エレメント表面は、前記ベース表面に垂直な方向に、第二の光学的間隔または該第二の光学的間隔複数の間隔で間隔を置き、該第二の光学的間隔は、150nmから800nm、好ましくは150nmから400nmの光学活性深度を有し、前記第二の包絡線は、100L/mmから2000L/mmの空間周波数と、450nm以上の光学的深度とを有し、前記レリーフ形状および前記第二の包絡線の空間周波数が、入射光が一つ以上の第二の方向に回折されて、色値が前記第二の光学的間隔によりさらに決定される第二の情報のアイテムを提示するように選択される。
【0025】
ここで、一方では、第一の光学的間隔が第二の光学的間隔と15nm以上、好ましくは25nm以上異なるという点で、興味深く、魅力的な効果を実現することができ、この場合、第一および第二の包絡線それ自体が一致してもよい。このようにして、互いに並列関係で、異なるカラー効果を生じることが可能であり、後述するように、ホログラム技術、例えば体積ホログラムではほとんど不可能な、マルチカラーホログラムを生じることもできる。
【0026】
さらなる好ましい実施形態では、前記第一の包絡線および前記第二の包絡線が、異なる包絡線であり、異なる方向に入射光を回折する。この場合、第一の間隔および第二の間隔は、同じであってもよく、第一の間隔および第二の間隔は、異なってもよい。この場合、前記第一および前記第二の包絡線の前記空間周波数および/または前記アジマス角が、互いに異なることが好ましく、特に、前記第一および第二の包絡線の前記アジマス角が、互いに直交するように配向されることが好ましい。このようにして、以降に詳述する、興味深い光学的効果を生じることができる。
【0027】
前記第一および第二の包絡線の前記レリーフ形状が異なり、特に、前記第一の包絡線が対称で前記第二の包絡線が非対称であり、またはその逆であること、または、前記第一および第二の包絡線が、互いに鏡面反転関係の非対称形状であること、が特に好ましい。このようにして、回転により、領域が、異なるカラー変化効果を提示し、これにより、特に容易に記憶されるセキュリティ特性が、提供可能である。
【0028】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、第一の領域および/または第二の領域は、それぞれ2つ以上の帯形状形態の第一および第二のサブ領域をそれぞれ含む。ここで、帯形状形態は、サブ領域の長さが幅よりも非常に大きい(少なくとも2倍、好ましくは10倍)構造であることを意味するために用いられる。この場合、このような帯形状形態のサブ領域の重心線は、直線形態であってもよいが、他の形態、例えば、波状線、ジグザグ線、または環状リングの形態であってもよい。前記第一および第二のサブ領域は、300μm以下の幅であり、第一および第二のラスターにそれぞれ従って配置されることが好ましい。第一および第二のラスターのラスター幅は、200μm以下であることが好ましく、帯形状形態のサブ領域は、互いに平行な関係で配向されることが好ましい。
【0029】
本発明のさらなる実施形態では、第一および第二の領域双方は、互いに織り合わされ、または互いに入れ子化された、帯形状のサブ領域を含み、第一および第二の表面レリーフそれぞれにより提供される異なる情報のアイテムが、観察者に対して、一つおよび同一の表面領域において、可視化可能である。
【0030】
本発明のさらなる実施形態では、帯形状のサブ領域の幅は、グレースケールイメージを提供するように調整される。
【0031】
本発明のさらなる実施形態では、前記表面構造の領域が、多数の互いに接するドメイン領域にさらに分割され、少なくとも一方向において300μm以下の寸法であり(通常の観察距離で人間の眼の解像度以下)、ドメイン領域の第一のグループの前記ドメイン領域に、第一の領域、すなわち第一の表面レリーフを有する領域、および第二の領域、すなわち第二の表面レリーフを有する領域、が備えられる。ここで、各ドメイン領域は、第一の領域および第二の領域を有してもよい。また、第二の領域ではなく第一の領域が、ドメイン領域の第二のグループの前記ドメイン領域にそれぞれ備えられ、第一の領域ではなく第二の領域が、ドメイン領域の第三のグループの前記ドメイン領域にそれぞれ備えられてもよい。従って、領域は、各観察位置に依存して異なるカラーインプレッションで異なる情報のアイテムを示す、光学的可変セキュリティ特性を提示する。ここで、第一および第二の間隔が互いに異なり、第一および第二の包絡線が同じまたは異なり、観察者に対して、マルチカラーの光学的可変表現が、領域において示されてもよい。このようにして、観察者に対して、例えば、マルチカラーの光学的可変表現のインプレッションが、領域において提供可能となる。
【0032】
また、ドメイン領域は、第一および第二の領域の表面構造と一致し、第一および第二の包絡線と包絡線が一致し、第一および第二の光学的間隔と光学的間隔が異なる表面構造を有する、さらなる領域を有してもよい。これにより、さらなる(主要な)色値の提示が可能となる。
【0033】
この場合、ドメイン領域における第一および/または第二の領域および/または一つ以上のさらなる領域の表面コンポーネントが多様であり、領域において提示可能な色値の数値を増加可能であることが好ましい。さらに、前記第一および第二の包絡線が互いに異なり、入射光を互いに異なる第一および第二の方向に回折することが好ましい。これにより、回転または傾斜により、対象の位置、形状または寸法が変化するだけでなく、色値も動的に変化する、興味深い動的効果の実現が可能となる。
【0034】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、ドメイン領域が、前記第一の表面形状または前記第二の表面形状に相当する表面形状がそれぞれ前記表面構造を形成する、第三および第四の領域をさらに有する。前記第三および第四の表面形状は、それらの各光学的間隔が前記第一の間隔および前記第二の間隔とそれぞれ異なる点でのみ、それぞれ前記第一の表面形状および前記第二の表面形状と異なる。また、ドメイン領域は、表面形状が、第三および第四の領域のように、各間隔において、それぞれ第一および第二の表面形状と異なり、または、第一および第二の包絡線と異なる包絡線を有し、そうでなければ、第一および第二の表面形状のように基礎構造化される、さらなる領域を有してもよい。これらの方策により、領域において、観察者に対し、フルカラーのホログラムのインプレッションを生じることができる。このインプレッションは、ホログラム手法、例えば、体積ホログラムによる模倣が不可能である。
【0035】
本発明のさらなる好ましい実施形態では、反射層、特に金属反射層が、前記複製層の前記第一の表面に適用される。しかしながら、さらに、光学的分離層、特にHRI層が、前記複製層の前記第一の表面に適用されてもよく、表面構造により生じる光学的効果が、反射でのみではなく、透過でも可視化される。ここで、光学的分離層の厚みは、第一または第二の光学的間隔より小さくても大きくてもよい。また、複製層は、複製ラッカーへのナノ粒子の導入により、または高い屈折率を備えた対応する複製ラッカーの使用により、高い屈折率を有してもよい。また、上述した変形例は、組み合わされ、従って、例えば、HRI層および金属層が複製層の表面に提供されてもよい。さらに、前記反射層または前記光学的分離層が、前記複製層の前記第一の表面に、パターン形態で部分的にのみそれぞれ適用されてもよい。ここで、上述したコーティングを一つ以上適切なパターンで適用することにより、または、複製層を適切なパターンで適用またはドーピングすることにより、第一および第二の光学的間隔についてそれぞれ部分的に決定する屈折率を特に変更し、従って、前述した効果を実現することができる。
【0036】
前記フィルムエレメントは、積層フィルムまたは転写フィルムであり、さらに、前記複製層の前記第一の表面から離れた前記第二の表面の側に配置されたキャリアフィルムを有することが好ましい。また、前記フィルムエレメントは、セキュリティドキュメントのキャリア基質に、該キャリア基質の窓形状開口を少なくとも部分的に覆うように配置されてもよい。既に上述したように、適切な構造を備えたフィルムエレメントにより生じる光学的効果は、観察者により、反射モードだけでなく、透過モードでも観察可能であり、高いレベルで模倣を防ぐセキュリティ特性を提供する。
【0037】
本発明は、多数の実施形態による以降の例により、添付図面を参照して説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明によるフィルムエレメントを有するセキュリティエレメントの平面図を示す。
【図2】図1のフィルムエレメントの横断面図を示す。
【図3】図2のフィルムエレメントのある領域の実スケールではない断面図を示す。
【図4】図2のフィルムエレメントのある領域の平面図を示す。
【図5】本発明のさらなる実施形態によるフィルムエレメントのある領域の実スケールではない断面図を示す。
【図6a】本発明によるフィルムエレメントのある領域の第一の光入射方向での平面図を示す。
【図6b】図6aのフィルムエレメントの第二の光入射方向での平面図を示す。
【図7a】本発明によるフィルムエレメントのある領域の第一の光入射方向での平面図を示す。
【図7b】図7aの領域の第二の光入射方向での平面図を示す。
【図8a】本発明によるフィルムエレメントのある領域の第一の光入射方向での平面図を示す。
【図8b】図8aの領域の第二の光入射方向での平面図を示す。
【図9a】本発明によるフィルムエレメントのある領域の第一の光入射方向での平面図を示す。
【図9b】図9aの領域の第二の光入射方向での平面図を示す。
【図10a】本発明によるフィルムエレメントのある領域の第一の光入射方向での平面図を示す。
【図10b】図10aの領域の第二の光入射方向での平面図を示す。
【図11】本発明のさらなる実施形態によるフィルムエレメントのある領域の平面図を示す。
【図12】本発明のさらなる実施形態によるフィルムエレメントのある領域の平面図を示す。
【図13】本発明のさらなる実施形態によるフィルムエレメントのある領域の平面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、キャリア基質10およびそれに適用されたフィルムエレメント2を含むセキュリティドキュメント1を示す。セキュリティドキュメント1は、例えば、紙幣、代替通貨、身分確認資料または証明書、例えば製品保護用ラベルまたはチケットである。また、セキュリティドキュメント1は、クレジットカード、銀行カード等であってもよい。また、フィルムエレメントは、パッケージ材料または製品包装紙または製品自体に適用されてもよい。
【0040】
キャリア基質10は、例えば、50から100μmの厚みの、紙の基質を含むのが好ましい。しかしながら、キャリア基質10は、プラスティック材料または一つ以上の紙および/またはプラスティック層を含む複合材料を含んでもよい。さらに、キャリア基質10は、プリントにより適用された一つ以上のカラー層を有し、一つ以上のさらなるセキュリティエレメントを備えるのが好ましい。図1に示すように、フィルムエレメント2は、帯形態で形成され、キャリア基質10の全幅に渡り延びる。しかしながら、フィルムエレメント2は、パッチ形態で形成され、または、キャリア基質10の全幅に渡り延びなくてもよい。フィルムエレメント2は、光学的活性表面構造がフィルムエレメント2の複製層に形成される、領域3を有する。この場合、領域3は、キャリア基質10に導入された窓形状の開口内に配置され、または、そのような開口を少なくとも部分的にカバーするのが好ましい。
【0041】
また、フィルムエレメント2は、領域3に加えて、観察者に対してさらなる光学的セキュリティ特性が生じ、例えばフィルムエレメント2の複製層に形成された光学的活性表面構造、薄膜層システム、架橋液晶層、および/または、光学的可変色素を含む層を有する、一つ以上のさらなる領域を有してもよい。前述したように、以降、このようにして、異なるカラー効果が協働してセキュリティ特性を生じる、例えば自己参照カラー表面の形態の領域を提供することができる。また、フィルムエレメント2は、さらに、例えばロゴまたはイメージまたは絵の形態であり、領域3の隣にまたは重なって備えられ、好ましくは一般的なセキュリティ特性を提供する、一つ以上のカラー層を有してもよい。
【0042】
図2から4を参照して、フィルムエレメント2の構造を以下に述べる。
【0043】
フィルムエレメント2は、キャリア基質10に適用された積層フィルムの一部、または、キャリア基質10にエンボス加工された転写フィルムの重畳層の一部であってもよい。
【0044】
フィルムエレメント2は、キャリアフィルム21、任意のボンディングプライマー層22、複製層23、反射層24、および保護ラッカー層25、接着層26を有する。ボンディングプライマー層22および保護ラッカー層25は、省略も可能である。また、フィルムエレメント2は、これらの層に加えて、領域3におけるフィルムエレメント2の光学的な外観を変化させ、または、層間の密着性を改善する、一つ以上のさらなる層を有してもよい。
【0045】
フィルムエレメント2が転写フィルムの転写層を含む場合、キャリアフィルム21は省略も可能である。この場合、ボンディングプライマー層22の代わりに、保護ラッカー層を備えるのが好ましい。この場合、転写フィルムのキャリアフィルムと、層23〜26から成る層スタックとの間に、剥離層が備えられるのが好ましく、剥離層は、キャリアフィルムからの転写層の剥離を可能とする。
【0046】
キャリアフィルム21は、例えばPETまたはBOPP等の、8から24μmの厚みの、プラスティックフィルムである。複製層は、2から5μmの層厚の、熱可塑性複製ラッカーまたはUV硬化複製ラッカーの層である。また、複製層23は、例えばキャリアフィルム21として用いられるプラスティックフィルムのような、プラスティックフィルムであってもよい。
【0047】
接着層26は、熱的に活性化可能な、熱溶解接着剤を含む層である。しかしながら、接着層26は、低温接着剤またはUV活性化接着剤であってもよい。
【0048】
領域3の複製層23には、光学的活性化表面構造27が形成されている。この場合、表面構造27の形成ステップが、熱的複製と、接着層26の方向に配置される例えばエンボス加工ローラー等の過熱エンボス加工ツールが複製層23の表面に押し付けられ、これにより、熱と圧とによって表面構造27が領域3における(熱可塑性)複製層23の表面に形成される工程と、により達成されるのが好ましい。また、表面構造27は、UV複製により、複製層の表面に形成されてもよい。この場合、表面構造は、ツールによる複製層23の適用後に直接複製層23に形成され、複製層は、それらと平行関係で、UV照射により硬化されるのが好ましい。また、表面構造27は、切除により複製層23に形成されてもよい。
【0049】
また、印刷法により、HRI材料が、複製層に対して部分的に、例えばパターン構造でさらに適用されてもよい。また、表面構造27は、透照モードで観察されるようにデザインされてもよく、従って、窓形状開口が少なくとも領域3の基質10に備えられてもよく、または、基質10が、その領域で透明であってもよい。
【0050】
領域3は、表面構造27が、それぞれ異なる表面レリーフで形成される、多数の領域31、32、33および34に分割される。これにより、領域3を観察する場合、例えば図4に示す光学的外観が観察者に対して与えられる。こうして、領域31は、例えば樹木31の形態で形成され、緑色の樹木のホログラム表現を可能とする第一の表面レリーフでカバーされる。領域32は、領域31に対する背景の形態で形成され、領域31を完全に取り囲む。領域32において、表面構造27は、領域31により提供されるホログラム表現に対する、より具体的には、領域31と対比する色、例えば青色の、ホログラム作用背景を生じる、第二の表面レリーフにより形成される。領域33は、シンボルの形態で、ここでは、数字“100”の形態で形成される。領域33において、表面構造27は、領域33を中央観察位置から無彩色の白色に見せる、第三の表面レリーフにより形成される。領域34は、領域33をそれぞれ囲み、領域33に対してエッジ領域をそれぞれ形成する。領域34において、表面構造27は、中央観察位置から虹色に見え、セキュリティエレメント2の回転で実質的に無彩色の動的効果を示す、第四の表面レリーフにより形成され、これにより、回転で数字“100”が拡大し、再度縮小して見える。
【0051】
領域31に形成される第一の表面レリーフの構造が、以降、図3を参照して、例により説明される。
【0052】
図3は、領域31のサブ領域におけるフィルムエレメントの実スケールではない断面図を示す。図3は、キャリアフィルム21、ボンディングプライマー層22、複製層23、反射層24、保護ラッカー層25、および接着層26を備えたフィルムエレメント2を示している。この場合、保護ラッカー層25は省略も可能であり、あるいは、保護ラッカー層25および接着層26は同一素材から成ってもよい。表面構造27は、領域31において、図3に示すように、包絡線28をたどり、実質的にベース表面にそれぞれ平行に配置されるエレメント表面29と、隣り合うエレメント表面29に隣接する少なくとも一つの側面とをそれぞれ含む、多数の連続するエレメントから成る、回折表面レリーフにより形成されている。その結果、エレメント表面29は、実質的に、互いに平行な関係で配置される。図3における実施形態では、図3に示すように、ベース表面は複製層23の下面に平行であり、従って、フィルムエレメント2の下面に平行であり、キャリアフィルム21に平行である。しかしながら、ベース表面およびエレメント表面29は、複製層25に対して傾斜角を含んでもよく、それにより、後述するように、さらなる光学的効果を生じることができる。
【0053】
この場合、包絡線の光学的深度は、エレメント表面間の光学的間隔の3〜4倍であるのが好ましい。実質的に、互いに平行なエレメント表面間の光学的間隔は、この場合、通常の方法で、すなわちエレメント表面に垂直な表面法線に沿う間隔により、決定される。図3において点線で示す包絡線28は、本実施形態では、100L/mmから1000L/mmの空間周波数を有し、これにより、光を、主に1次またはマイナス1次回折オーダーで回折する。上記空間周波数レンジでの包絡線28の構造エレメントまたはその局所配置および局所空間周波数は、この場合、上述したように、樹木のホログラム表現を生じるように選択される。包絡線28は、例えば、レインボーホログラム、二つ以上の光ビームの干渉により生じるホログラム格子、参照光と物体による反射光との干渉により生じるホログラム格子、または、マスターホログラムの光学的コピーにより生じるホログラム等の、レリーフ形状である。また、そのレリーフ形状は、そのようなホログラムレリ−フ形状を表し、最終的に電子ビームリソグラフィにより実行される表面構造を算出するために用いられる、数学的機能をも含んでいる。このように、図3の実施形態における包絡線28は、例えば、レインボーホログラムに対応するレリーフ形状であり、例えば、コンピュータ処理の樹木のホログラム(例えばドット配列ホログラム)である。包絡線に用いられるレリーフ形状は、ベース表面に垂直な方向において3から10倍に伸張される場合、包絡線が通常のレインボーホログラムの場合のように0.1から0.3μmの形状深度ではなく、1から2μmのより高い形状郭深度を含むように、レインボーホログラムの通常のレリーフ形状に対してさらに修正される。図3に示すように、包絡線28は、エレメント表面29によりさらに基礎構造化され、回折光の色値が干渉によりさらに影響を受ける。この場合、エレメント表面29は、互いに第一の光学的間隔または第一の光学的間隔の数倍の間隔を置き、屈折率による除算により与えられる第一の幾何学的間隔は、50nmから400nm、好ましくは80nmから200nmであり、本実施形態では、ZnS層の提供で、青い色合いに対して80nm、通常のプラスティック材料における赤い色合いに対して220nm、大気に関する実施形態における赤い色合いに対して325nmである。
【0054】
領域32に形成される第二の表面レリーフは、図3に示された第一の表面レリーフと同様に形成され、包絡線28が、±1次回折オーダーの回折により上述したホログラム背景情報を生じるレリーフ形状によって形成される点が異なる。さらに、包絡線の基礎構造化が、第一の表面レリーフのそれとは異なり、エレメント表面が異なる光学的間隔、ここでは、例えば325nmの光学的間隔で互いに間隔を置き、このため、回折光の色値が、異なった干渉により影響を受け、これにより、領域31および32の異なるカラーインプレッションが生じる。
【0055】
領域33に形成される第三の表面レリーフは、例えば1000L/mmの空間周波数および実質的に三角形の輪郭形状を備えた、マット構造、または、ブレーズ格子を含む。
【0056】
領域34に形成される第四の表面レリーフは、上述した動的効果を提供するキネグラム(登録商標)を含む。
【0057】
このように、表面構造27は、それらが、領域31〜34において、特に形状深度に関して互いに大きく相違する、完全に異なる表面レリーフにより形成される点で、特に区別される。従って、領域31または32において、表面構造27は、1から2μmの光学的活性レリーフ深度を有する表面レリーフを有し、領域33および34における表面構造27は、0.1から0.3μmの光学的活性レリーフ深度を有する。
【0058】
複製層23における表面構造27の形成には、単純な複製ツールが用いられる。複製ツールを作るために、表面レリーフ27が上述した原理に従って算出され、電子ビームリソグラフィにより、例えば薄いガラス層のキャリア層に形成される。
【0059】
図5を参照して、本発明のさらなる実施形態を説明する。
【0060】
図5は、フィルムエレメント4のサブ領域の実スケールではない断面図を示す。図5の実施形態において、フィルムエレメント4は、転写フィルム、特に熱エンボス加工フィルムで形成される。しかしながら、フィルムエレメント4は、積層フィルム、またはキャリア基質に適用される積層あるいは転写フィルムの一部であってもよい。フィルムエレメント4は、キャリア層41、剥離および/または保護ラッカー層42、複製層43、反射層44、および接着層45を有する。キャリアフィルム41は、例えば12から56μmの厚みのPETフィルム等の、プラスティックフィルムである。複製層23を参照して前述したように、複製層43は、熱可塑性ラッカーまたはUV硬化ラッカーを含む複製ラッカー層から成る。反射層44は、例えば、アルミニウム、銀、金、銅、またはこれらの金属の合金等の、薄い金属層である。反射層44の代わりに、例えばHRI層、特に無機HRI層(HRI−high refraction index)等の光学的分離層を複製層43に適用することも可能であり、第一の実施形態では第一および/または第二の光学的間隔よりも小さい厚みであり、第二の実施形態では第一および/または第二の光学的間隔よりも厚くあるいは等しい厚みである。また、反射層44は、HRI層および金属層から成ってもよく、まずHRI層により複製層43がコーティングされ、次に金属層がHRI層に適用されるのが好ましい。
【0061】
この場合、反射層44および光学的分離層が、部分的およびパターン形態で複製層43に対して適用されてもよい。これは、例えば、光が、異なる領域における異なる屈折率の媒体を通過し、屈折率に依存する光学的間隔が部分的に異なることを意味する。
【0062】
図5は、さらに、2つの互いに隣接する領域35および36の各サブ領域を示す。領域35および36において、2つの異なる表面レリーフ、すなわち表面レリーフ46および表面レリーフ49が、複製層43に形成されている。図5に示すように、表面レリーフ46は、包絡線47をたどり、実質的にベース表面に平行に配置されるエレメント表面48と、隣り合うエレメント表面48に隣接する少なくとも一つの側面とをそれぞれ含む、多数の連続するエレメントにより形成されている。包絡線47は、非対称の包絡線であり、すなわち、包絡線47を構成する構造エレメントは、非対称の断面である。最も単純な場合、包絡線47は、100L/mmから2000L/mm、好ましくは、100L/mmから1000L/mmの空間周波数、および70%から100%、好ましくは85%から95%の対称性因子を備えた、三角形の構造エレメントで構成される規則的な格子である。図5に示すように、包絡線47は、エレメント表面48により、より詳細には、隣接するエレメント表面48が、ベース表面に対して垂直方向に、150nmから400nmの光学的活性化深度のある間隔またはある間隔の数倍で間隔を置くように、基本構造化される。従って、この場合、表面レリーフ46で回折される光は、基礎構造化により生じる干渉効果に重なり、表面レリーフにより回折される光の色値に影響する。このような種類の表面レリーフは、ベース表面内での観察または照明角度に依存し、ある状況下で傾斜角度、すなわち、ベース表面に垂直な角度に依存する、多くの興味深く魅力的な特性を有し、この表面レリーフは、異なる色を提示する。例えば、包絡線が1次元格子である場合、カラーインプレッションは、格子のアジマス角に対する角度位置により決定される。また、このような種類の表面レリーフは、特に強い光強度と、様々な角度位置により生じる色値での分離精度で優れており、単色の体積ホログラムにより得られる色値よりもずっと高い。
【0063】
従って、表面レリーフ46は、例えば、回折光学的な対象のホログラム表現、例えばポートレイトを有することができ、この場合、表面レリーフ46で回折された光は、1次およびマイナス1次回折オーダーにおける上述した効果により、異なる色値を有し、従って、対象は180°の回転で色値を変える。このような効果は、体積ホログラムでは得ることができない。
【0064】
領域36の複製層43に形成された表面レリーフ49は、表面レリーフ46に隣接している。表面レリーフ49は、エレメント表面で基礎構造化されない光学的活性化表面レリーフである。従って、表面レリーフ49は、回折格子、ホログラムまたは例えばマット構造等の無彩色表面レリーフ、マクロ構造またはブレーズ格子である。この場合、図5に示すように、レリーフ形状49およびレリーフ形状46のレリーフ深度は、互いに大きく異なる。
【0065】
特に、類似構造またはレリーフ構造49と一致するレリーフ構造との組み合わせに対して、単純なレリーフ形状を包絡線47に対して選択した場合、興味深い光学的効果を具体化することができる。
【0066】
図6aおよび6bは、第一の表面レリーフが領域51の複製層に形成され、第二の表面レリーフが領域52の複製層に形成された、フィルムエレメントの一部の平面図を示す。第一および第二の表面レリーフは、図5の表面レリーフ46と同様に形成されている。包絡線47として、1次元格子が用いられている。領域51および52の表面レリーフは、包絡線のアジマス角が互いに180°回転状態であるという点でのみ互いに異なる。このように、包絡線は、例えば以下の幾何学的因子によって特徴付けされている。4μm(250L/mm)の周期の非対称回折格子(対称性因子:100%)である。エレメント表面間の間隔は、190nm(光学的間隔285nm;複製層の屈折率:1.5)である。表面レリーフの幾何学的形状深度は、1.14μm、すなわち、幾何学的間隔の6倍である。標準的な観察位置から観察する場合(図6a)、領域52は赤色に、領域51は緑色に見える。フィルムエレメントが180°回転された場合(図6b)、領域52は観察者には緑色に見え、領域51は赤色に見える。
【0067】
図7aおよび7bの実施形態では、フィルムエレメントの領域53および54で、表面形状46と同様にそれぞれ形成された、異なる表面形状が形成されている。領域54において形成された表面形状の包絡線は、例えば三角形構造エレメント等の非対称構造エレメントから成る、単純な線形格子である。領域53において形成された表面形状の包絡線は、異方性で、好ましくはホログラム的に作られた、マット構造のものであり、その構造エレメントも非対称構造であり、入射光を直接散乱する。包絡線は、0°のアジマス角を含む。領域54におけるエレメント表面間の光学的間隔は、285nm(幾何学的間隔190nm)である。領域53におけるエレメント表面間の光学的間隔は、約315nm(幾何学的間隔210nm)である。
【0068】
標準的な観察位置から観察する場合(図7a)、領域54は赤色に見え、領域53は緑色に見える。フィルムエレメントが180°回転された場合、領域54は緑色に見え、領域53は無色に見える。
【0069】
図8aおよび8bは、本発明によるフィルムエレメントのさらなる実施形態を示し、この場合、対称な包絡線を備えた図3に示すレリーフ形状が、領域55において形成され、非対称な包絡線を備えた図5に示すレリーフ形状が、領域56において形成されている。領域55におけるレリーフ形状の包絡線は、例えば、以下の幾何学的パラメータによって規定される。
【0070】
例えば、交差格子、円形または六角形の格子線を備えた格子等の、2次元光学的回折格子(4μm(250L/mm)の周期の対称回折格子)である。
【0071】
領域55におけるエレメント表面の幾何学的間隔は、195nm(光学的間隔290nm)であり、幾何学的構造深度は780nm、すなわち幾何学的間隔の4倍である。
【0072】
領域56におけるレリーフ形状の包絡線は、4μm(250L/mm)の周期の対称回折格子である。領域56におけるエレメント表面の幾何学的間隔は、81nm(光学的間隔270nm)であり、幾何学的構造深度は720nm、すなわち幾何学的間隔の4倍である。
【0073】
標準的な観察位置から観察する場合(図8a)、領域56は赤色に、領域55は緑色に見える。フィルムエレメントが180°回転された場合、領域56は青色に見え、領域55はそのまま緑色に見える。
【0074】
図9aおよび9bは、本発明によるさらなるフィルムエレメントの領域60を示す。標準的な観察位置から観察する場合(図9a)、領域62は観察者には赤色に、領域61は緑色に見える。フィルムエレメントが90°回転された場合、領域64は赤色に、領域63は緑色に見える。この場合、図9aおよび9bに示すように、領域61、63および62、64の構造は、それぞれ異なる。
【0075】
これは、それぞれが領域60の全長に渡って伸び、それぞれが幅100μmである、多数のドメイン領域にさらに分割された領域60によって実行される。また、そのドメイン領域は、領域60の全長に渡ってそれぞれ延びる、第一のサブ領域および第二のサブ領域にさらに分割される。この場合、4つの異なるレリーフ形状が、領域60におけるフィルムエレメントの複製層に形成される。一つは、図3のレリーフ形状に相当し、対称な包絡線を有する第一のレリーフ形状である。この第一のレリーフ形状の包絡線は、ここでは、200L/mmの空間周波数(5μm周期)を有し、733nmの(幾何学的)形状深度(幾何学的間隔の4倍)の、線形格子により形成される。エレメント表面間の光学的間隔は、275nm(1.5の屈折率を備えた182nmの幾何学的間隔)である。第二のレリーフ形状は、第一のレリーフ形状に対して、第二のレリーフ形状のアジマス角が、第一のレリーフ形状のものに対して90°回転されている点のみが異なる。第三のレリーフ形状は、第一のレリーフ形状に対して、エレメント表面間の幾何学的間隔が220nmである点のみが異なる。第四のレリーフ形状は、第三のレリーフ形状に対して、第三のレリーフ形状のアジマス角が、第四のレリーフ形状のアジマス角に対して90°回転されている点のみが異なる。
【0076】
領域61に重なる、ドメイン領域の第一のサブ領域の領域部分において、第一のレリーフ形状が複製層に形成される。領域62に重なる、ドメイン領域の第一のサブ領域の領域部分において、第三のレリーフ形状が複製層に形成される。領域63に重なる、ドメイン領域の第二のサブ領域の領域部分において、第四のレリーフ形状が複製層に形成される。領域64に重なる、ドメイン領域の第二のサブ領域の領域部分において、第二のレリーフ形状が複製層に形成される。
【0077】
また、ドメイン領域は、全長に渡って延びず、しかしながら領域60の全幅に渡って広がり、および/または、ドメイン領域の幅が、異なるように選択されてもよく、この場合、ドメイン領域の幅は、300μmから10μmに選択される。
【0078】
図10aおよび10bは、本発明によるさらなるフィルムエレメントの領域65を示す。領域65は、図9aおよび9bの領域60と同様であり、第一のレリーフ形状が、領域67に重なる、ドメイン領域の第一のサブ領域の領域部分でのみ複製層に形成され、第四のレリーフ形状が、領域69に重なる、ドメイン領域の(第二のサブ領域の)領域部分で複製層に形成される点が異なる。標準的な観察位置から観察する場合(図10a)、領域67は観察者には緑色に見え、領域66は無色に見える。フィルムエレメントが90°回転された場合(図10b)、領域69は観察者には赤色に見え、領域68は無色に見える。
【0079】
図11は、本発明のさらなる実施形態を示し、これにより、マルチカラーホログラムが実行できる。
【0080】
図11は、フィルムエレメント7の領域71を示す。領域71は、多数のドメイン領域72にさらに分割される。ドメイン領域72は、それぞれ同じ寸法であるのが好ましい。少なくとも一方向において、ドメイン領域72の寸法は300μm以下である。図11に示す実施形態では、ドメイン領域72は、縦方向および横方向の双方で、300μm以下の寸法であり、図11の実施形態では、それらは、100×100μmの寸法である。
【0081】
ドメイン領域は、それぞれ、一つ以上の領域73、74、75および76を有し、領域73から76のそれぞれにおけるフィルムエレメント7の複製層に、異なる表面形状が形成される。この場合、レリーフ形状は、図3に示す構造であり、レリーフ形状の包絡線は、一方では領域73と75で一致し、他方では領域74と76とで一致する。しかしながら、また、表面形状のエレメント表面の光学的間隔は、一方では領域73および75で、他方では領域74および76で異なる。
【0082】
一方では領域73および75、他方では領域74および76における表面レリーフの包絡線の空間周波数およびアジマス角は、この場合、それらの領域に入射する光が、1次(およびマイナス1次)回折オーダーで異なる方向に回折するように選択され、領域73および75により生じる表現が、第一の空間角度で可視化され、領域74および76により生じる表現が、それとは異なる第二の空間角度で可視化される。また、第一の空間角度で見える表現における、個々の画素の色値および輝度は、各ドメイン領域における領域73および75の面積成分により決定される。同様のことが、第二の空間角度で見える表現に対する、領域73および75の表面面積成分にあてはまる。
【0083】
また、ドメイン領域72には、領域73から76に加えて、さらなる空間角度に関連する、あるいはエレメント表面の間隔が異なる、さらなる領域が存在してもよい。
【0084】
本発明のさらなる好ましい実施形態を、図12および13を参照して以下に説明する。
【0085】
これらの実施形態では、第一および/または第二の領域は、それぞれ、帯形状形態の2つ以上のサブ領域を含んでいる。そのような帯の重心線は、この場合、直線を形成するだけでなく、重心線は、他の形態、例えば、波状線の形態、ジグザグ線の形態、または環状リングの形態であってもよい。この場合、帯形状のサブ領域の幅は、300μm以下であり、帯形状のサブ領域の長さは、幅の少なくとも5倍よりも長いことが好ましい。また、帯形状のサブ領域の重心は、実質的に互いに平行に配置され、周期的なラスター格子に関連して、互いに間隔を置くのが好ましい。この場合、そのラスターのラスター幅は、300μm以下であることが好ましい。
【0086】
図12は、セキュリティエレメント8の形態のフィルムエレメントを示している。セキュリティエレメント8は、第一の領域81および第二の領域82を有する。第一の領域81は、図12に示すように、帯形状形態のサブ領域83を多数含んでいる。この場合、帯形状のサブ領域83は、互いに平行に配置され、それらの重心線は、300μm以下のラスター幅の周期的ラスターに関連して、間隔が置かれている。サブ領域83の幅は、例えば、100μmであり、それらの長さは、1mm以上の範囲である。
【0087】
また、第二の領域82も、300μm以下の範囲のラスター幅の周期的ラスターに関連して互いに平行に配置される、帯形状のサブ領域84を多数含んでいる。サブ領域84の幅も、例えば、100μmであり、それらの長さも、1mm以上の範囲である。
【0088】
図12に示すように、領域81および82を形成するサブ領域83および84は、それぞれ、領域81および82の輪郭がそれぞれ情報のアイテム、ここでは、例えば文字“T”または文字“F”、をコード化するような長さで、互いに配置される。また、サブ領域83および84は、互いに少なくとも部分的にラスター化され、サブ領域84の部分的な(サブ)部位が、サブ領域83の部分的な(サブ)部位の間、またはその逆、に配置される。この場合、文字“T”および“F”は、例えば10mm×10mmの範囲をカバーする。
【0089】
サブ領域83および84には、例えば、前述したように、包絡線、エレメント表面の間隔、および/または複製層の下面に対するベース表面の傾斜角が異なる、異なる回折表面レリーフが形成される。サブ領域83および84において備えられる表面構造の形態に対しては、図3および5に示す表面構造27、46および49の形態に対して注意が向けられる。
【0090】
領域81および82の特徴的な形態と、サブ領域83および84の相互ラスター化により、多数の新しい効果を生じることができる。このため、例えば、領域81において、非対称の包絡線を備えた表面レリーフを用いてもよい。この場合、包絡線は、例えば、4μmの周期および0°のアジマス角を有し、すなわち、包絡線の傾斜面が、−x軸に沿って配向される。エレメント表面が実質的に平行に配置されるベース表面は、複製層の下面、すなわち、複製層の下方表面で既定される面に、約10°の角度を成す。エレメント表面間の間隔は、約100nmから250nmで、約1.5の屈折率を備え、領域81は緑色に見える。領域82には、同一の非対称の包絡線を備えた表面レリーフが形成され、しかしながら、この場合、非対称の包絡線の傾斜側面は、+x軸に沿って配向され、すなわち、180°のアジマス角を有する。また、表面レリーフのエレメント表面が実質的に平行に配置されるベース表面も、複製層の下面に、小さい角度、すなわち約10°の角度を含む。この場合、ベース表面の傾斜は、+x軸に沿う方向に向かい、領域81において形成されるレリーフ構造にも適用される。エレメント表面間の間隔は、ここでは、0°のアジマス角方向に沿って観察される場合に、領域82が赤色に見えるように選択される。従って、セキュリティエレメント8が、0°のアジマス角方向から観察される場合、観察者は、緑色に見える“T”を視認する。セキュリティエレメント8が180°回転された場合、観察者は、赤色の文字“F”を視認する。セキュリティエレメント8が前方および後方に傾く場合、同様の効果が提示される。セキュリティエレメント8が、観察者に向かって傾く場合、緑色に見える文字“T”が可視化され、セキュリティエレメント8が、観察者から離れて傾く場合、赤い文字“T”が可視化される。
【0091】
上述したように、領域82における表面レリーフの包絡線が90°のアジマス角を有する(+y軸に沿って配向)一方、0°のアジマス角度を含む領域81における表面レリーフの包絡線により、さらなる光学的効果を得ることができる。セキュリティエレメント8が標準的な位置から観察される場合(0°のアジマス方向に沿う観察方向)、緑色の“T”が可視化され、セキュリティエレメント8が側方から観察される場合(90°のアジマス方向)、赤色の“F”が可視化される。
【0092】
また、図13に示すように、帯形状のサブ領域83および84は、一定幅の線状形態で形成されなくてもよく、サブ領域は、幅が変化してもよい。図13は、幅が変化する多数のサブ領域91を有するセキュリティエレメントの領域90を示している。この場合、サブ領域91の重心線は、互いに平行に配置され、波状線の形状の形態である。この場合、サブ領域91の幅は、グレースケールイメージを構成するように変化する。表面レリーフは、サブ領域91におけるセキュリティエレメントの複製層に形成され、図3、5および12を参照して前述した表面レリーフに相当する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0093】
【特許文献1】WO 01/03945 A1
【特許文献2】WO 02/00445 A1
【特許文献3】US 4 874 213

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複製層(23、43)を有するフィルムエレメント(1、4、7)であって、前記複製層の第一の表面に光学的活性表面構造(27)が形成され、
前記表面構造(27)が、第一の包絡線(28、47)をたどる多数の連続するエレメントを含む第一の回折表面レリーフ(46)により、前記フィルムエレメントの少なくとも第一の領域(31、35、73)に形成され、前記エレメントは、それぞれ、ベース表面に実質的に平行に配置されるエレメント表面(29、48)と、隣り合う前記エレメント表面に隣接する少なくとも一つの側面とを含み、隣り合うエレメントの前記エレメント表面(29、48)は、前記ベース表面に垂直な方向に、第一の光学的間隔または該第一の光学的間隔複数の間隔で間隔を置き、該第一の光学的間隔は、150nmから800nm、好ましくは150nmから400nmであり、前記第一の包絡線(28、47)は、100L/mmから2000L/mmの空間周波数と、450nm以上の光学的深度とを有し、前記レリーフ形状および前記包絡線(28、47)の前記空間周波数が、入射光が一つ以上の第一の方向に回折されて、色値が前記第一の光学的間隔によりさらに決定される第一の情報のアイテムを提示するように選択されること、
を特徴とするフィルムエレメント。
【請求項2】
前記第一の領域(31、34、73)が、50μm以上、好ましくは100μm以上の最小寸法を有すること、
を特徴とする請求項1に記載のフィルムエレメント(2、4、7)。
【請求項3】
前記第一の領域(31)が、パターン形態、特に、一つ以上のシンボルまたはポートレイトの形態で形成されること、
を特徴とする請求項1または2に記載のフィルムエレメント(2)。
【請求項4】
前記第一の包絡線(47)が、非対称レリ−フ形状を有すること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(4)。
【請求項5】
前記第一の包絡線が、キネグラム(登録商標)であること、
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項6】
前記第一の包絡線が、第一の空間方向において、第一の一定空間周波数を有すること、
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項7】
前記第一の包絡線が、前記第一の空間方向とは異なる第二の空間方向において、前記第一の一定空間周波数とは異なる第二の一定空間周波数を有すること、
を特徴とする請求項6に記載のフィルムエレメント。
【請求項8】
前記第一の包絡線が、1次元格子であること、
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項9】
前記第一の領域(81、90)が、300μm以下の幅の帯形状形態の第一のサブ領域(83、91)2つ以上により形成されること、
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項10】
前記第一のサブ領域(83、91)の重心線が、300μm以下のラスター幅の周期的な第一のラスターに従って、互いに間隔を置くこと、
を特徴とする請求項8に記載のフィルムエレメント。
【請求項11】
前記第一のサブ領域(91)の前記幅が、グレースケールイメージを形成するために変化すること、
を特徴とする請求項8または9に記載のフィルムエレメント。
【請求項12】
少なくとも一つの第二の領域(32、33、34、36、74)において、前記表面構造が、前記第一の表面レリーフと異なり、第二の情報のアイテムを提示する、第二の表面レリーフ(49)により形成されること、
を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2、4、7)。
【請求項13】
少なくとも一つの前記第二の領域(32、33、36)が、前記第一の領域(31、35)に隣接すること、
を特徴とする請求項12に記載のフィルムエレメント(2、4)。
【請求項14】
前記第一の領域が、前記第二の領域を完全に囲み、または前記第二の領域(32)が、前記第一の領域を完全に囲むこと、
を特徴とする請求項12または13に記載のフィルムエレメント(2)。
【請求項15】
前記第二の領域(82)が、300μm以下の幅の帯形状形態の第二のサブ領域(84)2つ以上により形成され、前記第二のサブ領域(84)が、300μm以下のラスター幅の周期的な第二のラスターに従って互いに間隔を置き、1つの第二のサブ領域が、少なくとも部分的に、2つの第一のサブ領域の間に配置されること、
を特徴とする請求項8および12に記載のフィルムエレメント。
【請求項16】
前記第一および/または前記第二の領域(31、34)が、それぞれ第三および第四の情報のアイテムの形態のパターン形態で形成されること、
を特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2)。
【請求項17】
前記第一および前記第二の情報のアイテムおよび/または前記第三および前記第四の情報のアイテムが、互いに補足的な情報のアイテムを提示すること、
を特徴とする請求項12〜15のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項18】
前記第二の表面レリーフが、回折表面レリーフ、特に、回折格子、キネグラム(登録商標)またはホログラムであること、
を特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2、4)。
【請求項19】
前記第二の表面エレメントが、無彩色の表面レリーフ、特に、マット構造、マクロ構造またはブレーズ格子であること、
を特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2)。
【請求項20】
前記第二の表面レリーフ(32、74)が、第二の包絡線をたどる多数の連続するエレメントを含み、前記エレメントは、それぞれ、ベース表面に実質的に平行に配置されるエレメント表面と、隣り合う前記エレメント表面に隣接する少なくとも一つの側面とを含み、隣り合うエレメントの前記エレメント表面は、前記ベース表面に垂直な方向に、第二の光学的間隔または該第二の光学的間隔複数の間隔で間隔を置き、該第二の光学的間隔は、150nmから800nm、好ましくは150nmから400nmであり、前記第二の包絡線は、100L/mmから2000L/mmの空間周波数と、450nm以上の光学的深度とを有し、前記レリーフ形状および前記第二の包絡線の空間周波数が、入射光が一つ以上の第二の方向に回折されて、色値が前記第二の光学的間隔によりさらに決定される前記第二の情報のアイテムを提示するように選択されること、
を特徴とする請求項12〜17のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2、4、7)。
【請求項21】
前記第一の包絡線および前記第二の包絡線が、異なる包絡線であり、異なる方向に入射光を回折すること、
を特徴とする請求項20に記載のフィルムエレメント(2、7)。
【請求項22】
前記第一および第二の包絡線の前記空間周波数および/または前記アジマス角が、異なること、
を特徴とする請求項21に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項23】
前記第一および第二の包絡線の前記アジマス角が、互いに直交するように配向されること、
を特徴とする請求項22に記載のフィルムエレメント。
【請求項24】
前記第一および第二の包絡線の前記レリーフ形状が異なり、特に、前記第一の包絡線の前記レリーフ形状が対称で前記第二の包絡線が非対称であり、またはその逆であること、
を特徴とする請求項21〜23のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項25】
前記第一および第二の包絡線が、互いに鏡面反転非対称形状を有すること、
を特徴とする請求項24に記載のフィルムエレメント。
【請求項26】
前記第一および前記第二の包絡線が、同じであること、
を特徴とする請求項20に記載のフィルムエレメント。
【請求項27】
前記第一の光学的間隔が、前記第二の光学的間隔と25nm以上異なること、
を特徴とする請求項20〜26のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項28】
前記第一の領域において前記エレメント表面が平行に配置される前記ベース表面と、前記第二の領域において前記エレメント表面が平行に配置されるベース表面とが、互いに関連して、0°以上、好ましくは10°以上の傾斜角を含むこと、
を特徴とする請求項20〜27のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項29】
前記表面構造の領域(60、65、71)が、互いに接する多数のドメイン領域(72)にさらに分割され、少なくとも一方向において300μm以下の寸法であり、ドメイン領域の第一のグループの前記ドメイン領域(72)にそれぞれ第一の領域(73)および第二の領域(74)が備えられること、
を特徴とする請求項20〜28のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項30】
第二の領域ではなく第一の領域が、ドメイン領域の第二のグループの前記ドメイン領域にそれぞれ備えられ、第一の領域ではなく第二の領域が、ドメイン領域の第三のグループの前記ドメイン領域にそれぞれ備えられること、
を特徴とする請求項29に記載のフィルムエレメント。
【請求項31】
前記ドメイン領域(72)それぞれが、第一の領域(73)および第二の領域(74)を有すること、
を特徴とする請求項29に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項32】
前記ドメイン領域(72)における前記第一および/または前記第二の領域(73、74)の面積成分が多様であること、
を特徴とする請求項29〜31のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項33】
前記第一および第二の包絡線が同一であり、前記第一および第二の光学的間隔が互いに異なり、観察者に対してマルチカラーの光学的可変表現が前記領域において生じること、
を特徴とする請求項29〜32のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項34】
前記第一および第二の包絡線が互いに異なり、入射光を互いに異なる第一および第二の方向に回折すること、
を特徴とする請求項29〜32のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項35】
ドメイン領域(72)が、前記第一の表面形状および前記第二の表面形状に相当する表面形状がそれぞれ前記表面構造を形成する第三および第四の領域(75、76)をさらに有し、該第三および第四の表面形状が、それらの光学的間隔が前記第一の光学的間隔および前記第二の光学的間隔とそれぞれ異なる点でのみ、それぞれ前記第一の表面形状および前記第二の表面形状と異なること、
を特徴とする請求項34に記載のフィルムエレメント(7)。
【請求項36】
前記エレメント表面が、それぞれ100nmより大きいこと、
を特徴とする請求項1〜35のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項37】
前記エレメント表面が、各エレメントの面積の10%から50%を占めること、
を特徴とする請求項1〜36のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項38】
前記エレメント表面が実質的に平行に配置される前記ベース表面が、前記複製層の前記第一の表面の反対側の第二の表面に対して傾き、好ましくは5°以上の角度を成すこと、
を特徴とする請求項1〜37のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項39】
反射層(24、44)、特に金属反射層が、前記複製層(23、43)の前記第一の表面に適用されること、
を特徴とする請求項1〜38のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2、4)。
【請求項40】
光学的分離層、特にHRI層が、前記複製層の前記第一の表面に適用されること、
を特徴とする請求項1〜38のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。
【請求項41】
前記反射層または前記光学的分離層が、前記複製層の前記第一の表面に対し、パターン形態で部分的に適用されること、
を特徴とする請求項39または40に記載のフィルムエレメント。
【請求項42】
前記フィルムエレメントが、積層フィルムまたは転写フィルムであり、前記複製層(23、43)の前記第一の表面から離れた前記第二の表面の側に配置されたキャリアフィルム(21、41)を有すること、
を特徴とする請求項1〜41のいずれか1項に記載のフィルムエレメント(2、4)。
【請求項43】
前記フィルムエレメントが、セキュリティドキュメントのキャリア基質に、該キャリア基質の窓形状開口を少なくとも部分的に覆うように配置されること、
を特徴とする請求項1〜42のいずれか1項に記載のフィルムエレメント。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【図8a】
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【図8b】
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【図9a】
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【図9b】
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【図10a】
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【図10b】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2011−510339(P2011−510339A)
【公表日】平成23年3月31日(2011.3.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−542587(P2010−542587)
【出願日】平成21年1月16日(2009.1.16)
【国際出願番号】PCT/EP2009/000268
【国際公開番号】WO2009/090091
【国際公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(506151626)オーファウデー キネグラム アーゲー (30)
【Fターム(参考)】