説明

フィルム基材の接着方法

【課題】異種または同種の材料からなるフィルムどうしを互いに接着する方法において、ラミネート樹脂を用いることなく強固に接着でき、異物や残留溶剤等が滲出することがなく耐候性にも優れた接着方法を提供する。
【解決手段】異種または同種の材料からなる一対のフィルム基材1,2を準備し、少なくとも一方の前記フィルム基材の接着しようとする部分に真空紫外光4を照射し、前記フィルム基材の真空紫外光4が照射した側の面に、他方のフィルム基材を重ね合わせることを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム基材の接着方法に関し、より詳細には、ラミネート加工等を行わずに、異種または同種の材料からなるフィルムどうしを接着する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フィルム等を袋状に加工した包装体が使用されている。このような包装体は、充填される内容物に応じて所望される機能を発現させるために、使用するフィルムとして種々の材料を積層した多機能フィルム等が使用されている。例えば、内容物の紫外線等による劣化を抑止するために、紫外線吸収機能を有するフィルムを用いたり、また、内容物が酸素により変質してしまうのを防ぐために、ガス非透過性のフィルムや酸素吸収機能を有するフィルム等が用いられている。
【0003】
包装体は、一般的に長尺状のフィルムを加工することより行われているが、袋状に加工するには、フィルムどうしを重ね合わせてその端部を接着することが行われている。フィルムどうしを接着する方法としては、ラミネート樹脂(接着剤)を接着しようとするフィルムの端部に塗布してフィルムどうしを押圧してシールしたり、フィルムどうしを重ね合わせて、その端部に熱を加えて融着させるいわゆるヒートシール加工が行われるのが一般的である。
【0004】
また、上記した包装体以外にも、フィルムの積層体としては、多機能を発現させる機能性シートのような2種以上の異なる機能を有するフィルムどうしを重ね合わせた積層フィルム等も使用されている。例えば、ガラスを代替するような透明バリア性フィルムや、耐熱を有する機能フィルムなど産業用の展開が期待されている。このような積層フィルムも、押出加工により積層フィルムとして形成されるものの他、上記したようなラミネート加工やヒートシール加工等により形成されている。
【0005】
ヒートシール加工は、フィルムどうしを接着する際にラミネート樹脂等を用いないため、簡易かつ簡便にフィルムどうしを接着することができる。しかしながら、ヒートシール加工は、フィルムを部分的に溶融ないし半溶融させて、互いのフィルムを融着させて接着する方法であるため、異種のフィルムどうし、例えば、ポリオレフィン系フィルムとポリエステル系フィルムとをヒートシール加工により接着することができない。また、ヒートシール加工においては、比較的低温で融着可能な樹脂からなるフィルムを用いる必要があるため、最表面層にポリオレフィン系樹脂等のヒートシール性樹脂層を設けた多層フィルムが用いられていた(例えば、特開昭55−107428号公報等)。
【0006】
一方、ラミネート加工によりフィルムどうしを接着する場合には、使用するフィルムの種類(樹脂の種類)に応じてラミネート樹脂の成分を適宜選択することが行われている。例えば、ポリエステル系フィルムとナイロン系フィルムとを接着することにより袋状に加工する際には、ウレタン系接着剤が使用されていた(例えば、特開昭52−82594号公報等)。
【0007】
しかしながら、異種または同種の材料からなるフィルムどうしを、ラミネート樹脂を介して接着して積層体としたものは、例えば包装体等では、ラミネート樹脂成分が徐々に包装体内に溶出または揮発し、内容物を変質させる場合があり、特に、安全性やクリーン性が重視される医療用分野においては、ラミネート樹脂による内容物の汚染が問題となることがあった。また、包装体の長期使用によりラミネート樹脂自体が劣化することもあり、特に屋外等で使用される外装用途においては、ラミネート加工した包装体の耐候性が問題となることもあった。
【0008】
ところで、真空紫外光、特にエキシマ真空紫外光を用いて材料の表面改質や洗浄を行うことが従来から行われている。例えば、特開2001−162240号公報(特許文献3)には、エキシマランプにより照射される紫外光によって基盤あるいは液晶基板をドライ洗浄する基板ドライ洗浄方法に関して記載されている。また、特開平6−220228号公報(特許文献4)には、エキシマレーザー光照射処理によりフッ素樹脂表面の改質を行い、フッ素樹脂と接着剤と接着性を向上させることが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭55−107428号公報
【特許文献2】特開昭52−82594号公報
【特許文献3】特開2001−162240号公報
【特許文献4】特開平6−220228号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明者らは、今般、異種または同種の材料からなるフィルムどうしを接着する場合であっても、フィルムに真空紫外光を照射することにより、ラミネート樹脂を用いることなく、互いを強固に接着することができる、との知見を得た。本発明はかかる知見によるものである。
【0011】
したがって、本発明の目的は、異種または同種の材料からなるフィルムどうしを互いに接着する方法において、ラミネート樹脂を用いることなく強固に接着でき、異物や残留溶剤等が滲出することがなく耐候性にも優れた接着方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による方法は、異種または同種の材料からなるフィルム基材どうしを互いに接着する方法であって、
異種または同種の材料からなる一対のフィルム基材を準備し、
少なくとも一方の前記フィルム基材の接着しようとする部分に真空紫外光を照射し、
前記フィルム基材の真空紫外光が照射した側の面に、他方のフィルム基材を重ね合わせる、ことを含んでなることを特徴とするものである。
【0013】
また、本発明の態様によれば、前記一対のフィルム基材を重ね合わせる前に、両方のフィルム基材に真空紫外光を照射し、前記フィルム基材の真空紫外光を照射した側の面どうしが対向するように、両方のフィルム基材を重ね合わせることが好ましい。
【0014】
また、本発明の態様によれば、前記一対のフィルム基材が、ポリエステル、ポリアミド、鎖状ポリオレフィンもしくは環状ポリオレフィンまたはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択される、異種または同種材料の組み合わせであることが好ましい。
【0015】
また、本発明の態様によれば、前記一対のフィルム基材を重ね合わせた後に、加熱しながら両フィルム基材を押圧することが好ましい。
【0016】
また、本発明の態様によれば、押圧をヒートローラで行うことが好ましい。
【0017】
また、本発明の態様によれば、前記真空紫外光の照度強度が、10〜2000mW/cmであることが好ましい。
【0018】
また、本発明の態様によれば、前記真空紫外光の照射を、酸素濃後が1〜3%の大気圧雰囲気下で行うことが好ましい。
【0019】
また、本発明の態様によれば、前記真空紫外光が、キセノンエキシマ真空紫外光であり、172nmの単一波長を主ピーク波長とするものであることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の別の態様によれば、上記した方法により得られた積層体や包装体も提供される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、異種または同種の材料からなるフィルム基材どうし、とりわけ、極性材料からなる樹脂フィルムと非極性材料からなる樹脂フィルムとを接着する場合、融点やガラス転移温度差が大きい樹脂フィルムどうしを接着する場合、または、延伸樹脂フィルムと未延伸樹脂フィルムとを接着する場合などの、異種または同種の材料からなるフィルムどうしを互いに接着して積層フィルムとする場合に、ラミネート樹脂を用いることなく強固に接着でき、異物や残留溶剤等が滲出することがなく耐候性にも優れた積層フィルムを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明によるフィルム基材の接着方法の一実施形態を示した概略拡大図である。
【図2】本発明によるフィルム基材の接着方法の好ましい実施形態を示した概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明による接着方法を説明する。図1は、本発明によるフィルム基材の接着方法の一実施形態を示した概略拡大図である。まず、異種または同種材料からなる一対のフィルム基材1,2を準備する。これらフィルム基材としては、特に制限さるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレート等のポリエステル、ナイロン等のポリアミド、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン等のポリオレフィンまたは、エチレンとノルボルネンとのコポリマーである環状ポリオレフィンもしくはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリカーボネート、酢酸セルロース、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル、ポリスチレン、フッ素樹脂、アイオノマー、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択される、異種または同種のプラスチックフィルムの組み合わせであってよい。
【0024】
上記したような異種または同種の材料からなるフィルム基材どうしは、ポリオレフィンからなるフィルムどうしをヒートシール加工により積層する場合のようなごく一部の例外を除いて、通常、接着剤を用いなければ互いを接着することができない。異種または同種の材料からなるフィルムどうしを接着する場合に、その間に接着剤を介在させると、接着剤(ラミネート樹脂)を介して水素結合やファンデルワールス力が形成されることにより、異種材料からなるフィルム基材どうしでも接着する。これに対して、本発明においては、ラミネート樹脂等の接着剤を全く使用することなく、上記したような異種または同種の材料からなるフィルムどうしを接着するものである。
【0025】
本発明において、互いを接着するフィルム基材の組み合わせとしては、上記したなかでも、ポリエステル、ポリアミド、鎖状ポリオレフィンもしくは環状ポリオレフィンまたはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択される、異種または同種材料の組み合わせであることが好ましく、例えば、ポリエステル/ポリエステル、ポリエステル/ポリオレフィン、ポリエステル/ポリアミド、ポリオレフィン/ポリオレフィン、ポリアミド/ポリアミド、ポリイミド/ポリイミド等がより好ましい組み合わせである。
【0026】
次に、上記した異種または同種の材料からなる一対のフィルム基材1,2を重ね合わせる前に、少なくとも一方のフィルム基材の接着しようとする部分に真空紫外光を照射する。本発明においては、両方のフィルム基1,2材に真空紫外光を照射し、フィルム基材1,2の真空紫外光を照射した側の面どうしが対向するように、両方のフィルム基材1,2を重ね合わせることが好ましい。このように、両方のフィルム基材に真空紫外線を照射することにより、より積層フィルムの接着強度が向上する。両フィルム基材1,2に真空紫外線を照射する場合、図1に示すように、別個の真空紫外光照射装置3、3’により、それぞれのフィルム基材1、2へ真空紫外光4、4’を照射してもよい。このように、フィルム基材1の真空紫外光を照射した側の面に他方のフィルム基材2を重ね合わせることにより、フィルム基材の厚みによらず、真空紫外光の照射エネルギーをより効率化することができ、その結果、フィルム基材の真空紫外光照射による劣化などを低減することができる。
【0027】
使用する真空紫外線は、数十nm〜200nmの波長範囲の紫外線であり、数eV〜数十eVのエネルギーをもつ電離放射線である。真空紫外線は、分子結合エネルギーと同程度であるため、有機化合物に真空紫外線を照射するとラジカル等が発生する。真空紫外線を発生させる照射装置としては、従来公知の装置を使用できるが、これらのなかでも、エキシマランプを使用することが好ましい。エキシマランプとしては、Arエキシマランプ(126nm)、Krエキシマランプ(146nm)、Xeエキシマランプ(172nm)、KrClエキシマランプ(222nm)、XeClエキシマランプ(308nm)等が挙げられる。これらの中でも、172nmの単一波長を主ピーク波長とするキセノンエキシマランプを使用することが好ましい。このような真空紫外光照射装置としては、市販されているものを使用してもよく、例えば172nmエキシマスキャン式スタンドアローン装置(株式会社エム・ディエキシマ社製)等を好適に使用することができる。
【0028】
真空紫外光の照度は、上記したようにフィルム基材の材質に応じて適宜調整する必要がある。本発明においては、真空紫外光の照度が、10〜2000mW/cmであることが好ましい。
【0029】
次いで、フィルム基材1(2)の真空紫外光が照射した側の面に、他方のフィルム基材2(1)を重ね合わせることにより、接着剤を使用することなく、両フィルム基材を互いに強固に接着することができる。その理由は明らかではないが以下のように考えられる。すなわち、高分子からなる樹脂フィルムに真空紫外光を照射すると、高分子鎖の一部にラジカルが発生し、そのラジカルが再結合する際に、雰囲気中にある酸素や活性酸素と再結合して水酸基、カルボニル基、カルボキシル基等が発生する。異種または同種の材料からなるフィルム基材どうしであっても、両フィルム基材の表面に発生した、上記のような極性基が互いに相互作用して水素結合を形成し、ラミネート樹脂を塗布した場合と同様の効果が得られることで、両フィルム基材が接着されるものと考えられる。また、フィルム基材の表面に真空紫外線を照射すると、フィルム基材の表面の異物(有機物)が除去されて清浄になり、接着界面の面積が大きくなるために接着強度が向上するものと考えられる。
【0030】
真空紫外光の照射は、酸素濃度を1〜3%に制御した大気圧雰囲気下で行うことが好ましい。酸素濃度が3%を超える高酸素存在下で真空紫外光を照射すると、真空紫外光が酸素に吸収されてオゾンが大量に発生してしまうため、環境に悪影響を及ぼすとともにフィルム基材の表面がオゾンと反応してフィルム特性が変化してしまう場合がある。一方、酸素濃度が1%未満では、フィルム基材の表面に極性基が生成されず接着性が低下してしまうとともに、フィルム基材の表面の洗浄効果が不十分となる場合がある。真空紫外線照射の雰囲気の酸素濃度は、窒素やアルゴン等の不活性ガスをフローさせ、その流量を調整することにより制御することができる。
【0031】
フィルム基材の表面により効率的に真空紫外線を照射するには、真空紫外線照射装置とフィルム基材との間隔を短くすればよく、装置や使用するフィルム基材にもよるが、概ね1〜10mm程度の間隔とすることができる。
【0032】
本発明においては、フィルム基材に真空紫外光を照射した直後に、図2に示すようにローラー等を用いて重ね合わせたフィルム基材を押圧することが好ましい。フィルム基材の表面は、図2に示すようにミクロレベルで凹凸があるため、互いのフィルム基材を重ね合わせても完全に密着しておらず、両フィルム基材1,2の接触界面5での接触面積が小さい。本発明においては、真空紫外光を照射した直後にローラー等でフィルム基材1,2を押圧することにより、フィルム基材界面5での接触面積が増加するため、密着性が向上する。
【0033】
フィルム基材を重ね合わせた後、フィルム基材を押圧する際には、加熱しながら両フィルム基材1,2を押圧することが好ましい。加熱しながら押圧することにより、フィルム基材の柔軟性が向上し、フィルム基材界面での接触面積をより増加させることができるため、密着性がより向上する。加熱する温度は、用いるフィルム基材の組み合わせにもよるが、フィルム基材を構成する樹脂のガラス転移温度以上に加熱することが好ましい。例えば、異種または同種の材料からなるフィルム基材の組み合わせとして、ポリエチレンテレフタレートフィルムとポリエチレンフィルムとを接着する場合には、加熱温度は80〜180℃、好ましくは130〜160℃とする。また、ポリエチレンテレフタレートフィルムとナイロンフィルムとを接着する場合には、加熱温度は120〜200℃、好ましくは130〜160℃とする。
【0034】
重ね合わせたフィルム基材1,2を押圧するには、上記したようにヒートローラ6等を好適に使用できる。また、図2に示すように、重ね合わせたフィルム基材1,2がヒートローラ6と支持ローラー7との間で圧接可能となるように、ヒートローラ6と対向する位置に支持ローラー7を載置してもよい。このようにヒートローラ6と対向する位置に支持ローラー7を載置することにより、フィルム基材1,2とヒートローラ6との接触を線接触に近づけて、ヒートローラ6からの熱によりフィルム基材1,2に発生する変形を最小限に抑えることができる。
【0035】
上記した接着方法によって、異種または同種の材料からなるフィルム基材どうしを接着すると、従来のラミネート樹脂を用いた接着と同等またはそれ以上の接着強度を実現できる。また、ラミネート樹脂等を全く用いていないため、積層フィルムを使用する際にも異物や残留溶剤等が滲出することがなく、また耐候性にも優れるものとなる。
【0036】
異種または同種の材料からなるフィルム基材を貼り合わせて積層フィルムを製造する場合に限らず、多層積層フィルムにように表と裏とが異種または同種の材料フィルム基材からなる場合に、多層積層フィルムの表面と裏面とを貼り合わせて袋状とする際にも、本発明による接着方法が好適に適用できる。特に、医療分野で使用されている包装体、例えばシリンジ包装袋や粉末あるいは顆粒状の医薬品を充填包装するための包装体等は、上記のような機能性多層フィルムが使用されており、これら機能性多層フィルムから包装体を製造する際に本発明による接着方法を用いれば、ラミネート樹脂等を全く使用することなく包装体を製造することができるため、充填物である医薬品の品質を保持することができる。
【実施例】
【0037】
実施例1
<フィルム基材の準備>
同種の材料からなるフィルム基材として、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(エスペットT4102、東洋紡績株式会社製)を2枚準備した。
【0038】
<フィルム基材の接着>
一方の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムの未処理面と他方の未処理面とが対向するように互いのフィルム基材を重ね合わせる前に、各フィルムの接着面側の両方に、キセノンタイプエキシマ紫外線照射装置(172nm エキシマスキャン式スタンドアローン装置、株式会社エム・ディエキシマ社製)を用いて、下記の照射条件にて真空紫外光を照射した。その後、互いのフィルム基材を重ね合わせ、重ね合わせたフィルム上からゴム製のヒートロールにより、150℃、0.6Mpaの条件でフィルム基材を押圧することにより、積層フィルムを作製した。
積算照度:150mW/cm
照射距離:ランプ管面からワークまで2mm
装置内フィルム搬送速度:1m/分
装置内酸素濃度:窒素フローにより1%に制御
【0039】
実施例2
異種の材料からなるフィルム基材として、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(エスペットT4102、東洋紡績株式会社製)と、厚み60μmの未延伸直鎖状低密度ポリエチレンフィルム(エボリューSP2020、株式会社プライムポリマー製、Tダイにて製膜)を使用し、真空紫外線の積算照度を200mW/cmとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0040】
実施例3
異種の材料からなるフィルム基材として、厚み25μmの二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(エスペットT4102、東洋紡績株式会社製)と、厚み25μmの二軸延伸ナイロンフィルム(エンブレムON、ユニチカ株式会社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0041】
実施例4
同種の材料からなるフィルム基材として、厚み50μmの無延伸環状ポリオレフィンフィルム(ゼオノア1020R、日本ゼオン株式会社)を2枚使用し、真空紫外線の積算照度を300mW/cmとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0042】
実施例5
同種の材料からなるフィルム基材として、厚み25μmの二軸延伸ナイロンフィルム(エンブレムON、ユニチカ株式会社製)を2枚使用し、真空紫外線の積算照度を200mW/cmとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0043】
実施例6
<フィルム基材の準備>
同種の材料からなるフィルム基材として、厚み50μmのポリイミドフィルム(カプトンH、東レ・デュポン株式会社製)を2枚使用し、真空紫外線の積算照度を400mW/cmとした以外は、実施例1と同様にして積層フィルムを作製した。
【0044】
比較例1〜6
それぞれ真空紫外線を照射しなかった以外は実施例1〜6と同様にして積層フィルムを作製した。
【0045】
<フィルム接着強度の評価>
実施例1〜6及び比較例1〜6において得られた積層フィルムを幅15mmの短冊状になるように切り出し、引張試験機(テンシロン万能材料試験機RTC−1310A、ORIENTEC社製)を用いて、50mm/分の剥離速度にて接着強度試験を行った。なお、比較例1および比較例3〜6の試験片は、剥離試験を行うまでもなく、互いのフィルムが接着していなかった。評価結果は下記の表1に示される通りであった。
【0046】
【表1】

【符号の説明】
【0047】
1,2 フィルム基材
3,3’ 真空紫外光照射装置
4,4’ 真空紫外光
5 フィルム基材接触界面
6 ヒートローラ
7 支持ローラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
異種または同種の材料からなるフィルム基材どうしを互いに接着する方法であって、
異種または同種の材料からなる一対のフィルム基材を準備し、
少なくとも一方の前記フィルム基材の接着しようとする部分に真空紫外光を照射し、
前記フィルム基材の真空紫外光が照射した側の面に、他方のフィルム基材を重ね合わせる、ことを含んでなることを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記一対のフィルム基材を重ね合わせる前に、両方のフィルム基材に真空紫外光を照射し、前記フィルム基材の真空紫外光を照射した側の面どうしが対向するように、両方のフィルム基材を重ね合わせる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記一対のフィルム基材が、ポリエステル、ポリアミド、鎖状ポリオレフィンもしくは環状ポリオレフィンまたはその共重合体、ポリイミド、ポリフェニレンサルファイド、およびポリアクリロニトリルからなる群から選択される、異種または同種材料の組み合わせである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記一対のフィルム基材を重ね合わせた後に、加熱しながら両フィルム基材を押圧する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
押圧をヒートローラで行う、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記真空紫外光の照度強度が、10〜2000mW/cmである、請求項1〜5に記載の方法。
【請求項7】
前記真空紫外光の照射を、酸素濃後が1〜3%の大気圧雰囲気下で行う、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記真空紫外光が、キセノンエキシマ真空紫外光であり、172nmの単一波長を主ピーク波長とするものである、請求項1〜7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法により得られた積層体。
【請求項10】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法を用いて包装体を製造する方法。
【請求項11】
請求項10に記載の方法により得られた包装体。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−166471(P2012−166471A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29920(P2011−29920)
【出願日】平成23年2月15日(2011.2.15)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】