説明

フィルム巻着装置

【課題】断面形状が多角形の被着物の外周面にフィルムを高速でかつ綺麗に巻着できる、フィルム巻着装置を提供すること。
【解決手段】貼付ドラムの外周面の一部に、被着物の回転を許容する逃げ部を凹設するとともに、逃げ部を形成した貼付ドラムの外周面にフィルムの吸着長さを補完する中間補完部を隆起させて、または窪ませて形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は断面形状が多角形を呈する被着物の胴部全周に帯状のフィルムを巻き付けて巻着するフィルム巻着装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帯状のフィルムを容器等の被着物の胴部に全周に巻き付けて装着することが特許文献1により開示されている。
フィルムの巻着方法について説明すると、帯状のフィルムの始端部を被着物胴部の外周面に貼り付けた後、被着物を一方向に向け回転させて感熱フィルムを被着物胴部に巻き付け、最後に感熱フィルムの後端部を始端部に重ね合わせて貼着することで、帯状のフィルムを被着物胴部に巻き付けている。
またフィルムが感熱接着性フィルムである場合は、フィルムを吸着して移送する貼付ドラムの周囲に熱風ヒータ等の加熱手段を配備していて、加熱手段が移送中のフィルムの裏面を加熱して貼付直前に接着性を付与している。
【特許文献1】特開2003−137235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記したフィルムの巻着技術にあっては、被着物胴部の断面形状が多角形を呈する場合に、以降に列挙するような解決すべき課題があるためにフィルムを巻着することが技術的に難しい。
(1)貼付ドラムの貼付面は回転中心から等しい半径の円弧面として形成されていて、その貼付面の周速度が一定であるのに対して、断面形状が多角形を呈する被着物は、その回転中心から胴部外周面までの距離が一定ではないために、被着物に等速回転を与えても胴部の周速度が一定にならない。
そのため、フィルムを弛みなく巻き付けるためには、貼付ドラムと被着物の周速度を同調させる必要があるが、互いに周速度の異なる貼付ドラムと被着物の回転を同調させることが技術的に難しい。
(2)フィルムを被着物胴部に巻着するためには、上記した周速度の等速条件だけでなく、フィルムの巻き付けを終えるまでの間、被着物胴部の外周面を貼付ドラムの貼付面に接触させ続ける必要がある。
断面形状が多角形を呈する被着物は、その回転中心から胴部外周面までの距離が一定でないため、多角形の被着物胴部の角部が貼付ドラムの貼付面に当たってしまう等の問題がある。
そのため、多角形の被着物の場合、被着物胴部の外周面を貼付ドラムの貼付面に接触させ続けることが技術的に難しい。
【0004】
本発明の出願人は上記した問題を解決するラベリングマシンを特願2006−211041として先に提案した。
このラベリングマシンは、貼付ドラムの貼付面の一部に逃げ部を凹設したもので、多角形の被着物の角部を貼付ドラムの貼付面に衝突させずに回転させて被着物胴部にフィルムを巻き付けできるように構成したものである。
貼付ドラムについて詳しく説明すると、その外周面にはフィルムの前端部と後端部のみを吸着する前端吸着部と後端吸着部とをそれぞれ形成していて、これらの両吸着部の間に逃げ部を形成した構造に成っている。
【0005】
前記したフィルムの巻着技術にはつぎのような解決すべき課題がある。
(1)フィルムの前後端部を貼付ドラムの吸着部に吸着させたときに、フィルムの中間部と逃げ部との間に隙間が生じる。
フィルムの中間部が貼付ドラムの周面から離れて隙間を生じていると、移送中にフィルムがバタつくだけでなく、加熱手段により従来と同じ温度で加熱してもこの隙間が原因でフィルムが熱収縮を起こしたり、フィルムが溶融したりするといった問題がある。
(2)加熱手段よる加熱温度はマシンの運転速度に比例して高くなるが、前記したように、貼付ドラムの周面から離れたフィルムの熱収縮等の問題を解決できないことから、フィルムの巻着速度の高速化に対応することができない。
【0006】
本発明は以上の問題点を解決するために成されたもので、その目的とするところは、被着物の断面形状が多角形を呈する場合であっても、被着物の回転を阻害することなく、且つフィルムの加熱による損傷を回避してフィルムを綺麗に巻着できる、フィルム巻着技術を提供することにある。
さらに本発明の目的は、フィルムの巻着を高速で行なえるフィルム巻着技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願の第1発明は、少なくともフィルム供給手段と、断面形状が多角形を呈する被着物の搬送手段と、前記両手段の間に配設した負圧吸引式の貼付ドラムとを具備し、フィルム供給手段から供給されたフィルムを貼付ドラムの外周面に吸着して移送しつつ、被着物の搬送手段によりフィルムの供給と同期して搬送される被着物を回転させて被着物の外周面にフィルムを巻き付け、該フィルムの前端部に後端部を貼り合わせるフィルムの巻着装置であって、前記貼付ドラムの外周面の一部に、被着物の回転を許容する逃げ部を凹設するとともに、逃げ部を形成した貼付ドラムの外周面にフィルムの吸着長さを補完する中間補完部を隆起させて、または窪ませて形成したことを特徴とする、フィルム巻着装置を提供する。
本願の第2発明は、前記した第1発明において、フィルムが感熱接着性フィルムであることを特徴とする、ラベル貼付装置を提供する。
本願の第3発明は、前記した第1発明において、貼付ドラムの逃げ部を形成した外周面と中間補完部の外周面とに複数の吸引孔を形成してフィルムの全体を吸着可能に構成したことを特徴とする、ラベル貼付装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、貼付ドラムの逃げ部を形成した外周面に中間補完部を設けてフィルムの吸着長さを補完することとしたので、断面形状が多角形を呈する被着物に対して、被着物の回転を阻害することなく、且つフィルムの加熱による損傷を回避して被着物の外周面にフィルムを綺麗に巻着することができる。
【0009】
さらに本発明は、貼付ドラムの逃げ部を形成した外周面に中間補完部を設けることでフィルムの全体を貼付ドラムの外周面に隙間なく吸着できるので、加熱手段の加熱温度を上昇させてもフィルムの熱収縮等の問題を回避できる。
そのため、従来まで実現が困難とされていたフィルムの巻着速度の高速化が可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態について説明する。
【0011】
(1)フィルム巻着装置の概要
図2にフィルム巻着装置を具備したラベリングマシンのモデル図を示す。
図中符号Aは被着物で、その胴部の断面形状が多角形を呈している。
被着物Aは例えば、プラスチック製容器(PETボトル、PPボトル、PEボトル等)、紙製容器、ガラス製容器、金属製容器等を含むものである。
本発明でいうところの「多角形」とは、被着物Aの回転中心に対して胴部外周までの距離が不均一である形状(非円形形状)を意味するもので、具体的には例えば三角形以上の多角形を含むことは当然であるが、これら多角形の一部に円弧形を介在した多辺形状や、楕円形等も含むものである。
【0012】
本発明に係るフィルムの巻着装置は少なくともフィルム供給手段10と、被着物Aの搬送手段20と、前記両手段10,20の間に配設した貼付ドラム30とを具備し、殊に本発明は貼付ドラム30の外周面に改良を加えたものである。
貼付ドラム30の近傍にはフィルムへ向けて熱を与えて接着性を付与する加熱手段40が配設されている。
以降に各部について詳述する。
【0013】
(2)フィルム供給手段
フィルム供給手段10は、被着物Aの胴部外周面に巻き付け可能な長さを有するフィルムFを一枚単位で供給するフィルム供給部と、一枚単位で供給されたフィルムFを周面に吸着して貼付ドラム30まで搬送する負圧吸引式の中継ドラム11と、中継ドラム11の周面に接近して設けたガイド12等を具備している。
フィルム供給手段10で受け取ったフィルムFを吸着して貼付ドラム30へ搬送する中継ドラム11の吸着手段は、周知の負圧吸引構造を適用できる。
【0014】
フィルムFは表面に所定の印刷を施したラベルで、その裏面の前端部と後端部には感熱性の接着剤が予め塗布されている。
フィルムFは、公知のロールラベル、枚葉ラベル、タッグラベルを含み、またその素材は樹脂製フィルムに限定されず、紙製も含むものである。
【0015】
(3)被着物の搬送手段
本例では、貼付ドラム30へ向けて被着物Aを搬送する搬送手段20が、被着物Aの上下部を図外の保持部で保持しつつ連続移動させる公知のロータリー移動方式の回転移動手段である場合について説明する。
【0016】
被着物Aの搬送手段20の供給側(図2の左方)には、回転式の搬入スター21が配設され、搬入路22を経て供給される被着物Aは搬入スター21を通じて被着物Aの搬送手段20へ供給される。
被着物Aの搬送手段20の排出側(図2の右方)には、回転式の搬出スター23が配設され、フィルムの巻着を完了した被着物Aは搬出スター23を介して搬送手段20から搬出路24へ排出される。
【0017】
尚、被着物Aの搬送手段20の排出側の周囲にローラ式の仕上げ装置25を設置しているが、仕上げ装置25は必須ではない。
【0018】
ロータリー移動方式の搬送手段20は、被着物Aの上下部を保持する上下一対の保持部を具備し、回転軸20aを中心として等間隔に配置されたこれら複数組の保持部が反時計回り方向に向けて旋回する。上下一対の保持部に保持された被着物Aは旋回途中で貼付ドラム30と出会うように構成されている。
【0019】
上下一対の保持部のうち、被着物Aの上部を拘束する上保持部は昇降自在で、かつ空転式に構成される。
また少なくとも被着物Aの胴部外周面にフィルムを巻き付ける区間は、被着物Aの底部を支持する下保持部20bが一方向(図2では反時計回り方向)に向けて回転するように構成されている。
被着物Aを回転(自転)させる手段としては、例えば下保持部20bと一体の支軸をサーボモータで以って回転制御したり、板カムとローラを組み合わせた公知の回転カム機構を用いて回転制御したりする方法を適用できる。
すなわち、被着物Aは回転軸20aを中心に公転しつつ、上下一対の保持部の支軸を中心に自転可能に保持されている。
【0020】
(4)貼付ドラム
貼付ドラム30は回転軸31を中心として一方向に回転する負圧吸引式の回転ドラムである。
【0021】
従来の貼付ドラムは一枚のフィルムを吸着する貼付面が、ドラムの回転中心から等距離の円弧面として形成していた。
【0022】
本発明では図1,3に拡大して示すように貼付ドラム30の周面には、所定の距離を隔てながら回転方向に沿って、前端貼付突部32、中間補完部33、後端貼付突部34が順に形成されているとともに、隣り合う各突部32と33の間、および隣り合う突部33と34の間には外周面を回転軸21側に窪ませて逃げ部35が形成されている。
【0023】
逃げ部35はフィルムFの巻き付け時に被着物Aの角部がドラム外周面と接触するのを回避して被着物Aの回転を許容するために機能する空間であるから、その凹設深さは被着物Aの回転径を考慮して適宜選択する。
【0024】
前端貼付突部32と後端貼付突部34の外周面には貼付面32a,34aが形成されている。
これらの貼付面32a,34aは一枚のフィルムFの前後端部F1,F2をそれぞれ吸着して被着物Aの胴部外周面に接触し得る貼付面として機能する面で、ドラムの回転中心から等距離の円弧面、または平面として形成されている。
また前端貼付突部32と後端貼付突部34の貼付面32a,34aを除いた外周面は、被着物Aの回転を阻害しないように中間補完部33へ向けて徐々に窪んだ面として形成されている。
【0025】
フィルムFの全体を貼付ドラム30の外周面に吸着させるため、前端貼付突部32、中間補完部33および後端貼付突部34の外周面には、多数の吸引孔36が露出して形成されている。
すなわち、フィルムFの前後端部F1,F2を貼付ドラム30の貼付面32a,34aに吸着させつつ、フィルムFの前後端部F1,F2以外の範囲を貼付面32a,34aを除いた各突部32〜34の外周面に沿わせて吸着できるように負圧孔36が形成されている。
【0026】
図3,4に示すように、これらの吸引孔36群はその一端を貼付ドラム30の底部に露出させ、貼付ドラム30の底部に接面させて設けた固定式の分配器37の上面に円弧形の負圧溝37aを形成することで、貼付ドラム30の底部に露出した吸引孔36が分配器38の負圧溝37aの真上を通過するときに貼付ドラム30の外周面に露出した吸引孔36に負圧が発生するように構成されている。
【0027】
貼付ドラム30の外周面の吸引孔36に負圧を発生させる区間は、図2に負圧溝37aを破線で示したように、中継ドラム11から受け取ったフィルムFを吸着して搬送手段20で搬送される被着物Aと出会うまでの区間である。
【0028】
(5)中間補完部の設置理由
貼付ドラム30に中間補完部33を設けたのは、被着物Aの回転と公転を許容させつつ、フィルムFの全体を貼付ドラム30の外周面に吸着させるためである。
以下にその設置理由について詳しく説明する。
【0029】
被着物Aの公転半径と貼付ドラム30の半径との関係、さらにはこれらと被着物Aの回転半径との関係等から、貼付ドラム30によるフィルムFの前端部F1と後端部F2の貼付け位置が限定される。
そのため、前端貼付突部32と後端貼付突部34の両貼付面32a,34aの設置間隔が決められてしまい、両貼付面32a,34aの間隔を自由に広げることができない。
【0030】
また貼付ドラム30に逃げ部35を形成したため、貼付ドラム30の外周面にフィルムFを吸着する長さが不足する。
このフィルムFの吸着長さの不足分を補い、フィルムFの全体を弛みなく吸着するために、逃げ部35に中間補完部33を設けたものである。
【0031】
そこで本発明では、フィルムFの吸着長さを補完する手段として、前端貼付突部32と後端貼付突部34の間に中間補完部33を形成することとし、これによりフィルムFの全体を貼付ドラム30の外周面に隙間なく吸着させることを可能とするものである。
したがって、フィルムFの全長に応じて中間補完部33の隆起した面の長さを選択すればよい。
中間補完部33の突出高さと形成位置は、中間補完部33が被着物Aと衝突しないように適宜選択する。
また、中間補完部33の断面形状は図示した台形形状に限定されず、その他に円弧形や角形等でもよく、上記した長さ調整機能を具備していればその断面形状に特別制限はない。
【0032】
(6)加熱手段
貼付ドラム30の外周面に向けて配設した加熱手段40は、被着物Aに巻き付ける直前のフィルムの裏面を加熱して接着性を付与するもので、例えば公知の熱風ヒータや無風ヒータ等を採用できる。
【0033】
(7)巻着方法
つぎにフィルムの巻着方法について説明する。
【0034】
[被着物の供給工程]
【0035】
図2において、搬入路22に位置する起立状態の被着物Aは、を経て搬入スター21を通じて搬入路22からロータリー移動方式の搬送手段20へ供給される。
被着物Aは搬送手段20の上下一対の保持部に保持され、回転軸20aを中心として旋回移動する。
【0036】
[フィルムの供給工程]
図2において、フィルム供給手段10は、中継ドラム11の外周面に向けて一枚単位でフィルムFの供給を開始する。
フィルム供給手段10から供給されたフィルムFは、その裏面を負圧吸引式の中継ドラム11の外周面に吸着されて貼付ドラム30へ向け搬送され、その後、フィルムFはその表面を負圧吸引式の貼付ドラム30の外周面に吸着されて搬送される。
【0037】
図5を基に中継ドラム11から貼付ドラム30の外周面へフィルムFの受け渡しについて説明する。
中継ドラム11の外周面と貼付ドラム30の外周面が最も接近したフィルムFの受け渡し地点では、中継ドラム11の外周面の負圧が切れる一方、貼付ドラム30の外周面では負圧の発生を開始する。
【0038】
そのため、中継ドラム11の外周面に吸着されたフィルムFの前端部F1が、貼付ドラム30に受け渡されて前端貼付突部32の貼付面32aに吸着される。
フィルムFの前端部F1以降も同様に貼付ドラム30の中間補完部33および後端貼付突部34の外周面に順次吸着される。
最後にフィルムFの後端部F2が後端貼付突部34の貼付面34aに吸着される。
図3はフィルムFの全体を貼付ドラム30の外周面に隙間なく吸着させた状態を示す。
【0039】
このように、前端貼付突部32と後端貼付突部34の間に中間補完部33を設けてフィルムFの吸着長さを調整できるので、フィルムFの全長が貼付ドラム30の前後端貼付突部32,34の両貼付面32a,34a間の距離を超えた長さであっても、フィルムFの全体を弛みなく貼付ドラム30の外周面に吸着させることができる。
フィルムFはその全体を貼付ドラム30の外周面に隙間なく吸着されてフィルムFのバタつきを確実に防止できるので、フィルムFの高速搬送が可能となる。
【0040】
[フィルムの加熱工程]
【0041】
図2において、貼付ドラム30の外周面に吸着したフィルムFが加熱手段40を通過するとき、加熱手段40によりフィルムFの裏面が加熱される。
その結果、フィルムFの裏面の前端部F1と後端部F2に予め塗布された感熱性の接着剤に接着性が付与される。
瞬時に感熱性接着剤を溶融させる必要性からフィルムFには数100℃にもおよぶ超高温が加えられる。
そのため、貼付ドラム30の外周面とフィルムFの間に僅かでも隙間があると、フィルムFの収縮や燃焼事故が発生する。
本発明ではフィルムFの全体が貼付ドラム30の外周面に隙間なく吸着されているので、超高温で加熱されてもフィルムFが収縮したり燃焼したりすることがない。
【0042】
[フィルムの巻着工程]
図6は搬送手段20により旋回搬送された被着物Aの胴部外周面に、貼付ドラム30の外周面に吸着させたフィルムを巻付けるモデル図を示す。
フィルムを外周面に吸着させた貼付ドラム30は時計方向に回転し、被着物Aを保持した搬送手段20は反時計方向に回転する。
被着物AとフィルムFが巻着区間Lを通過するとき、被着物Aが反時計方向に回転制御されて被着物Aの胴部にフィルムFが巻着される。
【0043】
図7は貼付ドラム30の前端貼付突部32の貼付面32aに吸着したフィルムFの前端部F1が被着物Aの胴部外周面と出会ってから、貼付ドラム30の後端貼付突部34の貼付面34aに吸着したフィルムFの後端部F2がフィルムFの前端部F1に貼付されるまでの巻着の運行を直線的に表したモデル図を示す。
図7において説明の便宜を図るため、被着物Aの角部を時計回り方向にA1〜A4と表して説明する。
【0044】
まず最初は図7の右方に示すように、貼付ドラム30の前端貼付突部32の貼付面32aに吸着されたフィルムFの前端部F1が被着物Aの第1角部A1と出会って接着される。
被着物Aは反時計方向に回転されるため、被着物Aの胴部外周面にフィルムFがシワのない状態で巻き付けられる。
【0045】
被着物Aが反時計方向に回転するとき、被着物Aの第2角部A2が貼付面32aよりドラムの回転中心側に入り込んでくる。
逃げ部35は被着物Aの第2角部A2がドラムの内側に入り込んでくることを許容する。
そのため、被着物Aの第2角部A2は貼付ドラム30の外周面と衝突することがない。被着物Aは回転を続けることで胴部外周面にフィルムFが順次巻き付けられる。
自転しながら公転を続ける被着物Aは中間補完部33を乗り越える際にも第3角部A3、第4角部A4が貼付ドラム30の外周面と衝突することを回避できる。
以上のように、貼付ドラム30に逃げ部35を形成したことで、貼付ドラム30の外周面に接触せずに被着物Aの回転が可能となるので、被着物Aの胴部外周面に付着させてフィルムFをシワのないきれいな状態で巻き付けることができる。
【0046】
図7の左方に示すように、フィルムFの巻着区間の終端に達すると、貼付ドラム30の後端貼付突部34の貼付面34aに吸着されたフィルムFの後端部F2が先行して接着した前端部F1の表面に接着される。
被着物Aの胴部外周面に巻き付けられたフィルムFはその前端部F1と前端部F2とが重合して筒状に形成される。
【0047】
(8)その他の実施の形態
以上は貼付ドラム30の前端貼付突部31と後端貼付突部33の間に中間補完部33をひとつだけ突設した場合について例示したが、フィルムFの長さ調整量が長い場合はドラムの回転方向に沿って複数の中間補完部33を設けてもよい。
【0048】
また、以上は貼付ドラム30の外周面に中間補完部33を突設させた場合について説明したが、図8に示すように逃げ部35を形成した貼付ドラム30の外周面に、中間補完部33´を窪ませて形成してもよい。
また、逃げ部35を形成した貼付ドラム30の外周面に、突出した中間補完部33と窪ませた中間補完部33´を組み合わせてもよい。
【0049】
また以上は被着物Aの搬送手段20が公知のロータリー移動方式の回転移動手段である場合について説明した。
その他に被着物Aの搬送手段20としては、貼付ドラム30の外周面に沿って円弧状の通路を形成し得るように、貼付ドラム30の外方向に該ドラム外周面と対向して湾曲する壁やベルトを設け、円弧状の通路を経て搬送される被着物Aの搬送軌跡が貼付ドラム30の貼付面の一部の回転軌跡と並行に形成した公知の湾曲通路移動手段であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るフィルム巻着装置の一部を省略した斜視図
【図2】フィルム巻着装置を具備したラベリングマシンのモデル図
【図3】貼付ドラムの部分拡大図
【図4】図4におけるIV−IVの断面図
【図5】中継ドラムと貼付ドラムの一部を省略したフィルムの受け渡し工程の説明図
【図6】被着物にフィルムを巻着する工程の説明図
【図7】被着物にフィルムを巻着する工程のモデル説明図
【図8】他の実施の形態に係る貼付ドラムの部分拡大図
【符号の説明】
【0051】
A・・・・・・被着物
F・・・・・・フィルム
1・・・・・フィルムの前端部
2・・・・・フィルムの後端部
10・・・・・フィルム供給手段
20・・・・・被着物の搬送手段
30・・・・・貼付ドラム
32・・・・・前端貼付突部
33・・・・・中間補完部
34・・・・・後端貼付突部
35・・・・・逃げ部
36・・・・・吸引孔
31・・・・・回転軸
40・・・・・加熱手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともフィルム供給手段と、断面形状が多角形を呈する被着物の搬送手段と、前記両手段の間に配設した負圧吸引式の貼付ドラムとを具備し、フィルム供給手段から供給されたフィルムを貼付ドラムの外周面に吸着して移送しつつ、被着物の搬送手段によりフィルムの供給と同期して搬送される被着物を回転させながら被着物の外周面の全周にフィルムを巻き付け、該フィルムの前端部に後端部を貼り合わせるフィルムの巻着装置であって、
前記貼付ドラムの外周面の一部に、被着物の回転を許容する逃げ部を凹設するとともに、
逃げ部を形成した貼付ドラムの外周面にフィルムの吸着長さを補完する中間補完部を隆起させて、または窪ませて形成したことを特徴とする、
フィルム巻着装置。
【請求項2】
請求項1において、フィルムが感熱接着性フィルムであることを特徴とする、ラベル貼付装置。
【請求項3】
請求項1において、貼付ドラムの逃げ部を形成した外周面と中間補完部の外周面とに複数の吸引孔を形成してフィルムの全体を吸着可能に構成したことを特徴とする、ラベル貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−308198(P2008−308198A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157587(P2007−157587)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(391005949)光洋自動機株式会社 (39)
【Fターム(参考)】