説明

フィルム搬送装置

【課題】支持面に支持されたフィルムをハンド装置によって容易に吸着把持することができるフィルム搬送装置の提供。
【解決手段】複数の孔部が形成された支持面20aでセパレータSの一方の面を支持する基台2と、支持面20aに支持されたセパレータSの他方の面を吸着して搬送するハンド装置3と、を有するフィルム搬送装置1であって、ハンド装置3の駆動に応じて、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し支持面20aの少なくとも一部に負圧P1を作用させる第1モードと、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し支持面20aの少なくとも一部に正圧P2を作用させる第2モードと、を切り替える空気圧制御配管系30を有するという構成を採用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フィルム搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、フィルム状のワークである正極、負極、セパレータを搬送して積層する電極積層装置が開示されている。この電極積層装置は、セパレータロール機構から供給されたセパレータの先端側を巻き取ると共にセパレータの一方の面を着脱自在に吸着するサンクションドラムと、その吸着面に吸着されたセパレータを切断する切断機構と、切断されたセパレータの他方の面を吸着して搬送するハンド装置とを備え、正極、負極、セパレータを積層部で積層して構造体を形成する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−50583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術においては、セパレータを切断後、サンクションドラムの吸着を解除しただけでは、ハンド装置による吸着把持が容易でないという問題がある。
すなわち、サンクションドラムは吸引を行うために、複数の孔部を備える支持面を有し、その支持面とセパレータの一方の面との間に互いに引き寄せあう力、例えば、静電気力、大気圧力、二面間でそれぞれの原子・分子が引き合う引力等の様々な力が作用するためである。また、セパレータのような多孔質フィルムにおいては、ハンド装置が他方の面を吸着する際に、セパレータを介してサンクションドラムまで引き付けてしまうためである。
【0005】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、支持面に支持されたフィルムをハンド装置によって容易に吸着把持することができるフィルム搬送装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明は、複数の孔部が形成された支持面でフィルムの一方の面を支持する基台と、上記支持面に支持されたフィルムの他方の面を吸着して搬送するハンド装置と、を有するフィルム搬送装置であって、上記ハンド装置の駆動に応じて、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し上記支持面の少なくとも一部に負圧を作用させる第1モードと、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し上記支持面の少なくとも一部に正圧を作用させる第2モードと、を切り替える切替装置を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明は、ハンド装置の駆動に応じて、第1モードと第2モードとを切り替える。第1モードのときは、孔部から空気を吸引し負圧を作用させて支持面にフィルムの一方の面を引き付け、フィルムの平面度を保ち、ハンド装置の吸着を容易にさせる。そして、第2モードのときは、孔部から空気を噴き出し正圧を作用させて支持面とフィルムとが互いに引き寄せあう力を低減若しくは相殺し、フィルムの支持面からの離間を促す。
【0007】
また、本発明においては、上記切替装置は、上記支持面に支持されたフィルムを上記ハンド装置が吸着した後、上記第1モードから上記第2モードへ切り替えるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1モードでフィルムの平面度を保った状態でハンド装置の吸着を行い、その後、第2モードに切り替えて、ハンド装置に吸着されたフィルムを支持面から離間させることができる。
【0008】
また、本発明においては、上記切替装置は、上記支持面に支持されたフィルムを挟んで上記ハンド装置の吸着部に対向する上記支持面の領域を含む領域において上記切り替えを行うという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1モードでハンド装置の吸着部に対向する領域のフィルムの平面度を高精度で保った状態で吸着を行い、また、ハンド装置の吸着部が支持面まで引き付けてしまっても、第2モードで、その吸着部と対向する支持面の領域に空気を噴き出し正圧を作用させることで、ハンド装置に吸着されたフィルムを支持面から離間させることができる。
【0009】
また、本発明においては、上記切替装置は、上記支持面に支持されたフィルムを挟んで上記ハンド装置の吸着部に対向する上記支持面の領域を含む領域において上記切り替えを行う第1の切替部と、上記第1の切替部による領域とは異なる上記支持面の領域において上記第1の切替部と独立して上記切り替えを行う第2の切替部と、を有するという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、第1の切替部と第2の切替部とを設けることで、第1の切替部によってハンド装置の吸着把持を容易にさせつつ、それと独立して第2の切替部によって、フィルムの支持面からの離間を促すことができる。
【0010】
また、本発明においては、上記支持面は、複数の孔部を有する多孔質体から形成されているという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、無数の微細な孔部によって支持面が形成されるので、静電気力等の二面間で引き寄せあう力を低減することができる。
【0011】
また、本発明においては、上記フィルムは、多孔質フィルムであるという構成を採用する。
この構成を採用することによって、本発明では、ハンド装置が多孔質フィルムの他方の面を吸着する際に支持面まで引き付けてしまっても、第2モードに切り替えることで多孔質フィルムを支持面から離間させることができる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、複数の孔部が形成された支持面でフィルムの一方の面を支持する基台と、上記支持面に支持されたフィルムの他方の面を吸着して搬送するハンド装置と、を有するフィルム搬送装置であって、上記ハンド装置の駆動に応じて、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し上記支持面の少なくとも一部に負圧を作用させる第1モードと、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し上記支持面の少なくとも一部に正圧を作用させる第2モードと、を切り替える切替装置を有するという構成を採用することによって、第1モードのときは、孔部から空気を吸引し負圧を作用させて支持面にフィルムの一方の面を引き付け、フィルムの平面度を保ち、ハンド装置の吸着を容易にさせる。そして、第2モードのときは、孔部から空気を噴き出し正圧を作用させて支持面とフィルムとが互いに引き寄せあう力を低減若しくは相殺し、フィルムの支持面からの離間を促すことができる。
したがって、本発明では、支持面に支持されたフィルムをハンド装置によって容易に吸着把持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態におけるフィルム搬送装置の構成を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態におけるフィルム搬送装置の構成を示す図である。
【図3】本発明の第2実施形態における基台を示す平面図である。
【図4】一実施例におけるフィルム切出装置の構成を示す図である。
【図5】一実施例におけるフィルム切出装置の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、以下の説明においては、XYZ直交座標系を設定し、このXYZ直交座標系を参照しつつ各部材の位置関係について説明することがある。水平面内の所定方向をX軸方向、水平面内においてX軸方向と直交する方向をY軸方向、X軸方向及びY軸方向のそれぞれと直交する方向(すなわち鉛直方向)をZ軸方向とする。
【0015】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態におけるフィルム搬送装置1の構成を示す図である。
フィルム搬送装置1は、基台2と、ハンド装置3とを有する。フィルム搬送装置1は、基台2に支持されているセパレータ(多孔質フィルム)Sをハンド装置3で搬送する構成となっている。なお、搬送対象としては、セパレータSの他に、正極、負極、用紙等を用いることができる。
【0016】
ハンド装置3は、ロボットアーム4に接続されるハンドベース5と、ハンドベース5に支持されて複数設けられた吸着部6とを有する。ロボットアーム4は、少なくともハンドベース5をZ軸方向に昇降移動させることが可能な構成を有する。本実施形態では、多軸(例えば6軸)の関節駆動機構を有するロボットアーム4を用いており、ハンドベース5を任意の方向に移動させることが可能な構成となっている。
【0017】
吸着部6は、セパレータSを吸着する吸着面10aを備える吸着ホルダ7と、吸着ホルダ7を吊り下げて支持すると共に吸着面10aに連通する気体流路8を備えるベローズ管9とを有する。
吸着ホルダ7は、吸着面10aを有する多孔質体10を有し、吸着面10aの周囲を気密に閉塞して多孔質体10を保持する構成となっている。
【0018】
多孔質体10は、内部に無数の微細な孔部を備え、端面に平坦な吸着面10aを有する円柱形状を有する。多孔質体10の種類は、多孔質セラミックス、多孔質プラスチック、多孔質金属等の材料から適宜選択されて構成されている。
吸着ホルダ7は、多孔質体10を囲う有底円筒形状を有する。吸着ホルダ7の円筒底中央には、吸着ホルダ7の内側空間に連通する吸引口11が貫通して形成されている。この吸引口11には、ベローズ管9を介して不図示の吸引装置に接続される配管12が接続されている。
【0019】
ベローズ管9は、一端部が配管12の先端部と連通し、他端部が吸着ホルダ7の吸引口11と連通するように設けられている。本実施形態のベローズ管9は、吸着ホルダ7を吊下して支持する構成となっている。ベローズ管9は、その蛇腹機構により任意の方向に自由な曲げが可能な柔軟性を有する。本実施形態のベローズ管9は、柔軟性の高い樹脂材から形成されている。なお、所定の柔軟性を確保できれば、他の材料、例えば薄板金属材等からベローズ管9を形成しても良い。
【0020】
基台2は、複数の孔部が形成された支持面20aを有する多孔質体20と、支持面20aと逆側の面に連通するバッファ部21とを有する。
多孔質体20は、内部に無数の微細な孔部を備える矩形板形状を有する。多孔質体20の種類は、多孔質セラミックス、多孔質プラスチック、多孔質金属等の材料から適宜選択されて構成されている。本実施形態の多孔質体20は、気孔径が直径50μm、望ましくは直径5μm以下のアルミナセラミックスから形成されている。
【0021】
バッファ部21には、ハンド装置3の駆動に応じて、複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し支持面20aの少なくとも一部に負圧を作用させる第1モードと、複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し支持面20aの少なくとも一部に正圧を作用させる第2モードと、を切り替える空気圧制御配管系(切替装置)30が接続されている。
【0022】
空気圧制御配管系30は、配管ライン31a,31b,31c,31dと、配管ライン31a,31bに対する配管ライン31c,31dの接続を切り替える電磁弁32とを有する。
配管ライン31aは、不図示の吸引装置に接続され、負圧P1で空気を吸引する構成となっている。また、配管ライン31bは、不図示の空気圧送装置に接続され、正圧P2で空気を圧送する構成となっている。また、配管ライン31cは、バッファ部21に連通する構成となっている。そして、配管ライン31dは、バッファ部21に連通せずに、端部が閉塞されている。
【0023】
配管ライン31a,31bと、配管ライン31c,31dとは、電磁弁32を介して接続されている。電磁弁32は、配管ライン31aと配管ライン31cとを接続させると共に配管ライン31bと配管ライン31dとを接続させる第1モードと、配管ライン31aと配管ライン31dとを接続させると共に配管ライン31bと配管ライン31cとを接続させる第2モードと、に切り替える構成となっている。したがって、第1モードのときは、多孔質体20を介して空気を吸引し支持面20a全体に負圧P1を作用させることができる。また、第2モードのときは、多孔質体20を介して空気を噴き出し支持面20a全体に正圧P2を作用させることができる。
【0024】
続いて、上記構成のフィルム搬送装置1のセパレータSの搬送動作について説明する。
先ず、空気圧制御配管系30を第1モードに設定し、支持面20aにセパレータSの一方の面を吸着させる。具体的には、電磁弁32によって配管ライン31aと配管ライン31cとが接続すると、バッファ部21、多孔質体20内部の微細孔を介して空気が引かれ、支持面20a全体に負圧P1が作用する。これによって、支持面20aに接触しているセパレータSの一方の面が支持面20aに吸着され、セパレータSの他方の面におけるヨレやシワ等を抑制して所定の平面度を保つことができる。
【0025】
次に、ロボットアーム4でハンドベース5を下方に移動させ、各吸着部6の吸着面10aを、セパレータSの他方の面に対し面一で接触させた状態とする。次に、吸着面10aがセパレータSと接触した状態で、配管12を介して不図示の吸引装置によって減圧し、各吸着部6における吸着を行う。具体的に、配管12が減圧されると、ベローズ管9、吸引口11、多孔質体10内部の微細孔を介して空気が引かれ、吸着面10aに吸着力が作用する。これによって、吸着面10aに接触しているセパレータSは、吸着面10aに吸着される。
【0026】
そして、各吸着部6でセパレータSの各部位を吸着した後、空気圧制御配管系30を第1モードから第2モードに切り替えて、セパレータSの支持面20aからの離間を促す。具体的には、電磁弁32によって配管ライン31bと配管ライン31cとが接続すると、バッファ部21、多孔質体20内部の微細孔を介して空気が噴き出され、支持面20a全体に正圧P2が作用する。これによって、支持面20aとセパレータSとが互いに引き寄せあう力を低減若しくは相殺することができる。
【0027】
より詳しくは、支持面20aとセパレータSの一方の面との間に作用する、静電気力、大気圧力、二面間でそれぞれの原子・分子が引き合う引力等の様々な力を低減若しくは相殺することができる。さらに、セパレータSのような多孔質フィルムの場合、ハンド装置3が他方の面を吸着する際に、セパレータSを介して支持面20aまで引き付けてしまう力を低減若しくは相殺することができる。
また、本実施形態の支持面20aは、無数の微細な孔部を有する多孔質体20から形成されているので、支持面20aとセパレータSとが面接触する領域が少なくなり、結果、静電気力等の二面間で引き寄せあう力を低減することができる。
【0028】
以上のように、第2モードに切り替えてセパレータSの支持面20aからの離間を促し、ハンド装置3のセパレータSの吸着把持を完了させたら、ハンド装置3を上方に移動させ、吸着したセパレータSを所定位置へと搬送させる。
【0029】
したがって、上述の本実施形態によれば、複数の孔部が形成された支持面20aでセパレータSの一方の面を支持する基台2と、支持面20aに支持されたセパレータSの他方の面を吸着して搬送するハンド装置3と、を有するフィルム搬送装置1であって、ハンド装置3の駆動に応じて、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し支持面20aの少なくとも一部に負圧P1を作用させる第1モードと、上記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し支持面20aの少なくとも一部に正圧P2を作用させる第2モードと、を切り替える空気圧制御配管系30を有するという構成を採用することによって、第1モードのときは、孔部から空気を吸引し負圧P1を作用させて支持面20aにセパレータSの一方の面を引き付け、セパレータSの平面度を保ち、ハンド装置3の吸着を容易にさせる。そして、第2モードのときは、孔部から空気を噴き出し正圧P2を作用させて支持面20aとセパレータSとが互いに引き寄せあう力を低減若しくは相殺し、セパレータSの支持面20aからの離間を促すことができる。
したがって、本発明では、支持面20aに支持されたセパレータSをハンド装置3によって容易に吸着把持することができる。
【0030】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について説明する。以下の説明において、上述の実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略若しくは省略する。
図2は、本発明の第2実施形態におけるフィルム搬送装置1の構成を示す図である。図3は、本発明の第2実施形態における基台2を示す平面図である。
【0031】
第2実施形態の基台2は、多孔質体20Aと多孔質体20Bとを有する。多孔質体20Aは、支持面20aに支持されたセパレータSを挟んで吸着部6と対向する支持面20aの領域を含む領域(以下、支持面20a1と称する)に配置される。また、多孔質体20Bは、支持面20a1とは異なる支持面20aの領域(以下、支持面20a2と称する)に配置される。
【0032】
より詳しくは、図3(a)に示すように、多孔質体20Aは、2点鎖線で示す吸着部6が配置される四点の領域を含む矩形環状に配置されている。また、多孔質体20Bは、多孔質体20Aの内側の領域において矩形状に配置されている。
図2に戻り、基台2は、多孔質体20Aの支持面20a1と逆側の面に連通するバッファ部21Aと、多孔質体20Bの支持面20a2と逆側の面に連通するバッファ部21Bとを有する。なお、バッファ部21Aとバッファ部21Bとは、リブ22により、空間的に分離されている。
【0033】
第2実施形態の空気圧制御配管系30は、多孔質体20Aの支持面20a1において第1モードと第2モードとを切り替える第1の切替部30Aと、多孔質体20Bの支持面20a2において第1モードと第2モードとを切り替える第2の切替部30Bとを有する。
【0034】
第1の切替部30Aは、配管ライン31a1,31b1,31c1,31d1と、配管ライン31a1,31b1に対する配管ライン31c1,31d1の接続を切り替える電磁弁32Aとを有する。なお、配管ライン31c1は、バッファ部21Aが1つの空洞であれば一ヶ所で接続すれば良いし、バッファ部21Aが別実施形態の図3(b)のように複数の領域に分割されている時は,分岐してそれぞれに連通すれば良い。
一方、第2の切替部30Bは、配管ライン31a2,31b2,31c2,31d2と、配管ライン31a2,31b2に対する配管ライン31c2,31d2の接続を切り替える電磁弁32Bとを有する。
【0035】
上記構成の第2実施形態によれば、第1の切替部30Aと第2の切替部30Bとを設けることで、第1の切替部30Aによってハンド装置3の吸着把持を容易にさせつつ、それと独立して第2の切替部30Bによって、セパレータSの支持面20aからの離間を促すことができる。具体的には、第1の切替部30Aを第1モードに設定して、ハンド装置3の吸着を行っているときに、第2の切替部30Bを第1モードから第2モードへ切り替えて、予め支持面20a2におけるセパレータSの離間を促すことで、上述した第1実施形態よりも早くセパレータSの搬送を開始することができる。また、例えば、吸着部6と対向する領域(支持面20a1)においては、支持面20a1とセパレータSとが互いに引き寄せあう力に加えて、吸着部6によるセパレータSを介した支持面20a1の引き付け力が作用するので、第1の切替部30Aにおける正圧P2を、第2の切替部30Bにおける正圧P2よりも大きく設定することで、上述した第1実施形態よりもセパレータSの支持面20aからの離間を効率的に促すことができる。
【0036】
(実施例)
上述したフィルム搬送装置1は、以下に説明するフィルム切出装置に組み込むことができる。
【0037】
図4は、一実施例におけるフィルム切出装置100の構成を示す図である。なお、図4(a)は、フィルム切出装置100の平面図である。また、図4(b)は、フィルム切出装置100の正面図である。
フィルム切出装置100は、セパレータSをロールツーロール方式で搬送するセパレータ搬送装置101と、セパレータSを矩形に切り出すカッター装置102とを有する。フィルム搬送装置1の基台2は、スライド装置103に搭載され、切り出し位置の下方と、切り出し位置から退避する位置との間で移動自在な構成となっている。
この構成によれば、切り出し位置の下方で、切り出されたセパレータSを第1モードに設定した基台2で受けた後、切り出し位置から退避させ、第1モードから第2モードに切り替えることで、不図示のハンド装置による吸着把持を容易に行うことができる。
【0038】
また、図5は、一実施例におけるフィルム切出装置200の構成を示す図である。なお、図5(a)は、フィルム切出装置200の平面図である。また、図5(b)は、フィルム切出装置200の正面図である。
フィルム切出装置200は、セパレータロール機構201から供給されたセパレータSの先端側を巻き取ると共にセパレータSの一方の面を支持する不図示の複数の孔部が形成された支持面202a,202b,202c,202cを独立して第1モードと第2モードとに切り替え可能なサンクションドラム(基台)202と、吸着されたセパレータSを切断するヒートカッター203a,203b,203c,204dとを有する。
この構成によれば、図5(b)に示すように、ヒートカッター203bでセパレータSを切断した後、支持面202aを第1モードから第2モードへと切り替えることで、ハンド装置3による吸着把持を容易に行うことができる。
【0039】
以上、図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。上述した実施形態において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
【0040】
例えば、上記実施形態では、ハンド装置の吸着部は多孔質体を用いて吸着を行う説明したが、例えば吸着部は吸盤を用いて吸着を行う構成であってもよい。また、吸着部は、セパレータの一部を吸着把持する構成でなく、セパレータの他方の面の全面を吸着把持する構成であっても良い。
【0041】
また、例えば、基台の多孔質体に空気を送り込むときに、同時にイオナイザー等で静電気を除去するとより効果的である。
【符号の説明】
【0042】
1…フィルム搬送装置、2…基台、3…ハンド装置、6…吸着部、20…多孔質体、20A…多孔質体、20B…多孔質体、20a…支持面、20a1…支持面、20a2…支持面、30…空気圧制御配管系(切替装置)、30A…第1の切替部、30B…第2の切替部、P1…負圧、P2…正圧、S…セパレータ(フィルム,多孔質フィルム)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の孔部が形成された支持面でフィルムの一方の面を支持する基台と、前記支持面に支持されたフィルムの他方の面を吸着して搬送するハンド装置と、を有するフィルム搬送装置であって、
前記ハンド装置の駆動に応じて、前記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を吸引し前記支持面の少なくとも一部に負圧を作用させる第1モードと、前記複数の孔部の少なくとも一部を介して空気を噴き出し前記支持面の少なくとも一部に正圧を作用させる第2モードと、を切り替える切替装置を有することを特徴とするフィルム搬送装置。
【請求項2】
前記切替装置は、前記支持面に支持されたフィルムを前記ハンド装置が吸着した後、前記第1モードから前記第2モードへ切り替えることを特徴とする請求項1に記載のフィルム搬送装置。
【請求項3】
前記切替装置は、前記支持面に支持されたフィルムを挟んで前記ハンド装置の吸着部に対向する前記支持面の領域を含む領域において前記切り替えを行うことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム搬送装置。
【請求項4】
前記切替装置は、
前記支持面に支持されたフィルムを挟んで前記ハンド装置の吸着部に対向する前記支持面の領域を含む領域において前記切り替えを行う第1の切替部と、
前記第1の切替部による領域とは異なる前記支持面の領域において前記第1の切替部と独立して前記切り替えを行う第2の切替部と、を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置。
【請求項5】
前記支持面は、複数の孔部を有する多孔質体から形成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置。
【請求項6】
前記フィルムは、多孔質フィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のフィルム搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−101901(P2012−101901A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−251924(P2010−251924)
【出願日】平成22年11月10日(2010.11.10)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】