説明

フィルム製造物の密着性能を改善するための方法

線状低密度ポリエチレンを、約0.05マイクロメートル未満の平均粒子サイズを有する超微細な酸化亜鉛と配合し、その後、フィルムを形成することによってストレッチフィルムの密着力を改善するための方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般にはストレッチラップ熱可塑性フィルムに関連し、具体的には、そのようなフィルムの性能を改善するための方法に関連する。
【背景技術】
【0002】
密着力はストレッチラップ熱可塑性フィルムの成功における重要な要因である。上包み用途で使用されるとき、延伸フィルムのテール部は次のストレッチフィルム層に密着しなければならないか、または、2つのストレッチフィルム層は、ストレッチフィルムが取り扱い時および輸送時において解れないために十分なレベルの密着力で一緒に密着しなければならない。一般に、ストレッチラップフィルムについての密着はASTM D5458に従って測定される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
数多くの要因が線状低密度ポリエチレン樹脂(LLDPE)の密着力に影響することが知られている。一般に、より低い密度、より大きいメルトインデック、および/または、より大きいヘキサン抽出分を有するLLDPEは、より大きい密着性能を有する。LLDPE樹脂の密着力は、密着剤(例えば、ポリイソブチレン(PIB)、超低密度ポリエチレン樹脂(VLDPE)または他の粘着性物質など)をフィルム押し出し時に加えることによって増大させることができる。PIBが、通常、ブロンストレッチラップフィルムのために使用される。同時押し出しされたスロットキャストストレッチラップフィルムについては、そのような密着剤を、フィルムの密着力を増大させる必要があるときにはスキン(skin)層に加えることができる。しかしながら、それらの大きいコストおよび取り扱いの困難さは言うまでもなく、そのような密着剤によって引き起こされる様々な問題のために、自然の(すなわち、固有的な)大きい密着力をLLDPEから得ることが極めて望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0004】
本発明は、ストレッチラップフィルムの密着力を改善するための方法である。1つの好ましい実施形態において、本発明の方法は、少なくとも1つの線状低密度ポリエチレン樹脂と、大きくても0.05μmの平均粒子サイズを有する、総組成の重量比で500ppmまでの超微細な酸化亜鉛とを含む第1の組成物からストレッチラップフィルムを形成することを含む。
【0005】
酸化亜鉛は、酸性の触媒残渣を中和し、かつ消去するためにチーグラー・ナッタ触媒ポリマーに頻繁に添加される。今回、酸化亜鉛の規格を適切に選ぶことにより、線状低密度ポリエチレン(LLDPE)を含むストレッチラップフィルムの密着力および他の特性が改善されることが見出された。
【0006】
様々なLLDPE樹脂が広く知られている。配位触媒(例えば、チーグラー・ナッタ触媒またはフィリップス触媒など)の使用によって調製されるエチレンポリマーおよびエチレン共重合体は、骨格から分岐している重合したモノマーユニットの分岐鎖が実質的に存在しないために、一般には線状ポリマーとして知られている。エチレンと、3個〜12個の炭素原子(好ましくは、4個〜8個の炭素原子)の少なくとも1つのα−オレフィンとの線状共重合体もまた広く知られており、市販されている。この分野では広く知られているように、エチレン/α−オレフィンの線状共重合体の密度は、α−オレフィンの長さと、エチレンの量に対する共重合体におけるそのようなモノマーの量との両方の関数であり、α−オレフィンの長さが長くなるほど、また、存在するα−オレフィンの量が大きくなるほど、共重合体の密度は低くなる。LLDPEは、典型的には、密度(例えば、約0.91g/cm3〜約0.94g/cm3)を低下させるために十分なα−オレフィン含有量を有する、エチレンと、3個〜12個の炭素原子のα−オレフィン、好ましくは、4個〜8個の炭素原子のα−オレフィン(例えば、1−ブテン、1−オクテンなど)との共重合体である。ポリマー密度は、本明細書中では、別途記されない限り、ASTM D−792の手順に従って測定される。LLDPEを作製するための1つの方法が米国特許第4,076,698号(Anderson)(その開示は参考として本明細書中に組み込まれる)に開示されている。
【0007】
LLDPE樹脂は超微細な酸化亜鉛と配合される。そのような超微細な酸化亜鉛は平均粒子サイズが約0.05μm(ミクロン)未満である。そのような超微細な酸化亜鉛は、例えば、Elementis, PLC(英国)からNanoX(商標)またはDecelox(商標)の商品名で市販されている。超微細な酸化亜鉛は全組成の重量比で約500ppmまでを構成し、好ましくは100ppm以下、より好ましくは約10ppm〜約100ppmを構成する。
【0008】
LLDPE樹脂全体に酸化亜鉛の十分に混合された実質的に均一な混合物を提供する配合方法はどれも使用することができる。好ましくは、LLDPEおよび酸化亜鉛はLCM連続配合機などにおいて溶融配合される。
【0009】
ストレッチラップフィルムは任意の従来のフィルム形成プロセスによって作製することができる。そのようなプロセスには、典型的には、キャストフィルム製造またはブロンフィルム製造のいずれかが含まれる。ストレッチラップフィルムは単層構造または同時押し出しされた多層構造であり得る。
【0010】
ブロンフィルムを押し出し成形する技術は、薄いプラスチックフィルムを製造するために広く知られている。好都合なプロセスにおいて、プラスチックが、フィルムを形成するために円形のダイから押し出される。空気が、フィルムの直径を2倍〜6倍に増大させる気泡の形態でフィルムを維持するためにダイの中心から導入され、その後、気泡がローラー上に破裂させられる。ダイの直径に対する気泡の直径の比率はブローアップ比(BUR)として知られている。そのようなプロセスの様々な変法が、例えば、米国特許第3,959,425号および同第4,820,471号のような参考文献に記載されるように、この技術分野における技術に含まれ、高スターク(high stalk)フィルム(これは前記米国特許では「長スターク」フィルムと呼ばれる)のブロー成形と低スタークフィルムのブロー成形との違いが、米国特許第5,284,613号の第1欄、ならびに、W.D.Harris他、”Effects of Bubble Cooling on Performance and Properties of HMW-HDPE Film Resins”、Polymers、Laminations & Coatings Conference、Book 1、1990、pages 306〜317、および、Moore, E.P.、Polypropylene Handbook、Hanser、New York、1996、pages 330〜332において議論されている。この段落で引用されるすべての米国特許は本明細書により参考として組み込まれる。
【0011】
用語「同時押し出し」は、好ましくは冷却前または急冷前に、押し出し物が薄層状の構造に合体するように配置された2つ以上のオリフィスを有する1つのダイから2つ以上の材料を押し出すプロセスを示す。多層フィルムを作製するための同時押し出しシステムでは、共通するダイアセンブリーを備える少なくとも2つの押し出し機が用いられる。押し出し機の数は、同時押し出しされたフィルムを構成する異なる材料の数に依存する。それぞれの異なる材料について、異なる押し出し機が好都合には使用される。従って、5層同時押し出しでは、5台までの押し出し機が必要となり得る。だが、層の2つ以上が同じ材料から作製されるならば、それよりも少ない押し出し機を使用することができる。
【0012】
様々な同時押し出しダイが、同時押し出しされたブロンフィルムを形成するために使用される。同時押し出しダイは、異なる溶融物の流れを円形ダイリップに供給する多数のマンドレルを有する。フィードブロック(feedblock)が、2つ以上の押し出し機からの溶融物の層を積み重ねるために用いられるとき、得られる多層化された溶融物の流れが、その後、フィルムダイに供給される。
【0013】
キャストフィルムが、ポリマー溶融物を角形ダイに通し、その後、1又はそれ以上の冷却ロールによって冷却し、巻き取ることによって得られる。ポリエチレンをキャストフィルムに加工する場合、0.2mm〜1.5mmのダイすき間が通例的であり、これはまた、本発明によるプロセスにも適用することができる。ダイ幾何形状における様々な変化もまた可能であるので、より大きいダイすき間(例えば、2mmまたは5mmのダイすき間)もまた適用することができる。少なくとも2mmであり、最大でも10mm(特に、最大でも5mm)であるダイすき間が使用されるならば、フィルムの機械的性質が改善されることが見出されている。
【実施例】
【0014】
実施例1〜2および比較サンプルA〜D:
酸化亜鉛の主要な機能は、樹脂における酸を中和することであるので、Q-Panel腐食試験を超微細な酸化亜鉛(NanoX)および市販規格の酸化亜鉛(すなわち、Kadox−930およびKadox−911)の種々のレベルで行った。Q−Panel評価付けは、下記に記載されるように1〜10のスケールで変化する。この評価付けが、樹脂サンプルに残留する酸によってパネルにもたらされる腐食の程度に基づいて決定される。値がより低いことは、より少ない量の酸が配合ポリマーに残留していたことを意味し、一方、値がより大きいことは、より大きい量の酸が配合物に残留していたことを意味する。
【0015】
Q−Panel腐食試験は、米国および欧州におけるポリプロピレン製造者によって使用される腐食試験と非常に類似しており、また、ポリマー中の残留物が特定のポリマーの長期間の使用の後でスチール製の鋳型に対して有するその相対的な影響を示すために設計されている。試験は、型穴に5層の積み重ね体を負荷することによって開始される。積み重ね層は下記の通りである:(1)5ミル厚のアルミニウム箔支持プレート;(2)30グラムの樹脂;(3)滑らかな仕上がったスチール(8ミクロン〜12ミクロンの表面)により冷間圧延された1枚のQ−Panel(#QD−36);(4)30グラムの試験樹脂;および(5)第2の5ミル厚のアルミニウム箔支持プレート。満たされた型穴を、予熱された圧縮成形プレス機に、低圧スチーム(500psi)下、280℃で10分間置く。10分後、高圧スチーム(5,000psi)を加え、アセンブリーを、高圧下で保ちながら、冷却用の循環型圧縮成形プレス機を使用して室温に冷却する。アセンブリーをプレス機から取り出し、Q−Panelプレートを樹脂から剥がす。その後、Q−Panelを沸騰水浴からのスチームの中に10分間置き、その後、風乾する。その後、パネルをさび状の染みおよび汚れ形成について調べる。評価付けを下記に示される体系に従って割り当てる。
【0016】
汚れ評価システム:
1 − 完全、汚れなし。
+ − 1と2−との中間。
2− − 1+と2との中間。
2 − わずかな染み形成、散在的、明るい黄褐色。
3 − 散在的な汚れ形成、より暗い褐色。
4 − 約50%の汚れ形成、表面における黄褐色および茶色の色。
5 − よりひどい汚れ、表面においてより濃いようであり、完全に黄褐色。
6 − 80%以上が汚れ、さび状染みで覆われる。数カ所のかなりひどい茶色の斑点。
7 − 100%の汚れ形成、かなりひどい茶色。
8 − 100%の汚れ形成、よりひどい茶色、数カ所の茶色の液だれ。
9 − 100%の汚れ形成、約50%のひどい茶色、多くの液だれ。
10 − 100%のひどい茶色の汚れ形成。
【0017】
腐食試験の結果を下記の表1に示す。すべてのサンプルが、同じ配合条件のもと、同じベース樹脂DJM−1732Hおよび酸化防止剤添加剤(タイプおよび量の両方)と配合された。DJM−1732Hは、0.917g/cm3の密度および3.2dg/分のメルトインデックス(MI)を有するチーグラー・ナッタ触媒による線状低密度ポリエチレンである。すべての配合物について、1,430ppm(目標)のIrganox−1076を主酸化防止剤として使用し、1,550ppm(目標)のWeston−399を副酸化防止剤として使用した。CS A(比較サンプルA)樹脂サンプルのためのベース樹脂および添加剤配合は市販のHS−7001 NT7樹脂(CS D)の場合と同じである。HS−7001 NT7はUnion Carbideから入手可能である。超微細な酸化亜鉛が、樹脂中において20ppmもの低いレベル(実施例1(Ex 1))で、対照(CS A)(840ppmのKadox−911)および市販の樹脂(CS D)とほぼ同じレベルに樹脂を中和したことが表1から認められる。
【0018】
【表1】

【0019】
主酸化防止剤(Irganox-1076)および副酸化防止剤(Weston 399)の性能に対する超微細な酸化亜鉛の何らかの有害な影響が存在するかどうかを理解するために、リサイクル試験を、表1に示される配合物を用いて行った。試験結果を表2に示す。5回までの押し出し回数による樹脂のメルトインデックスおよび酸化誘導時間(OIT)の変化を求めた。このリサイクル試験は、ポリマーサンプルが多数回の押し出しによる特定の熱履歴および剪断履歴を経験する際に、ポリマーサンプルがメルトインデックスおよびOITにおいてどのように変化するかを明らかにすることであった。それぞれの樹脂サンプルを、同じ押し出し条件の組合せ(すなわち、101rpmのスクリュー速度、ならびに、約550oFの溶融物温度を与える、450oF、550oF、560oFおよび560oFのバレル温度プロフィル)で、1”単スクリューのKillion配合押し出しラインで5回(5回の通過)まで押し出した。1回目、3回目および5回目の通過の後、樹脂サンプルを採取し、そのメルトインデックスおよびOITを求めた。現在の酸化防止剤との樹脂配合に対する超微細な酸化亜鉛の有害な影響はリサイクル試験の期間中に認められなかった。
【0020】
【表2】

【0021】
実施例3ならびに比較サンプルEおよびF:
キャストストレッチフィルムの性能に対する超微細規格の酸化亜鉛に対する影響を明らかにするために、一連の研究を、3つの異なる配合物(表3参照)を調製し、それらを80ゲージ(0.8ミル)の3層キャストトレッチフィルムサンプルに変換することによって行った。すべての樹脂サンプルは、LCM配合ラインにおいて同じ配合条件で、同じベース樹脂DJM−1732Hおよび同じ酸化防止剤添加剤を用い、しかし、異なる酸化亜鉛規格品を用いて調製された。すべての配合物について、1,430ppm(目標)のIrganox 1076を主酸化防止剤として使用し、1,550ppm(目標)のWeston−399を副酸化防止剤として使用した。これらの配合物をGloucester同時押し出しスロットキャストフィルムラインでA(12%)/B(76%)/C(12%)構造の3層フィルムサンプル(0.8ミルの総厚)に変換した。各フィルムを、3層すべてにおいて同じ樹脂を用いて製造した。これらのフィルムサンプルを、ヘキサン抽出分(HEX)、密着力(ASTM D−5458)、ならびに、最終的な伸びおよび破裂について、Highlightストレッチフィルム試験機で調べた。密着力は、通常、ASTM D−5458において提案される試験方法を使用して測定される。しかしながら、本実施例で報告される密着力は、D−5458に対するわずかな改変を用いて測定された。改変は、下部フィルムを150%伸長させ、保持し(これはD−5458と同じである)、しかし、(伸長がASTM D−5458では提案されないことに対して)上部フィルムを150%伸長させ、直ちに弛緩させたことであった。試験結果を下記の表3に示す。これらのフィルムサンプルにおけるヘキサン抽出分は(実験誤差内で)すべてがほぼ同じであったが、実施例3のフィルムは密着に関して比較サンプルEおよび比較サンプルFよりも優れていたことが明瞭に認められる。
【0022】
【表3】

【0023】
実施例4〜7および比較サンプルG〜J:
別の一連の研究を、同時押し出しされたスロットキャストストレッチフィルムの性能に対する酸化亜鉛規格品およびその量の影響を明らかにするために行った。下記の表4.1に示されるように、2つの異なるベース樹脂(それぞれ、3dg/分のMIおよび2dg/分のMI)を使用して、2組の異なる配合物を作製した。すなわち、実施例4〜5ならびに比較サンプルGおよびHは、MIが3dg/分の樹脂についての1組であり、一方、実施例6〜7ならびに比較サンプルIおよびJは、MIが2dg/分の樹脂についての別の1組である。今回は、各配合物における酸化亜鉛の実際の量を、密度、メルトインデックスおよびメルトフロー比に加えて決定した。組内において、同じベース顆粒樹脂および同じ酸化防止剤添加剤、但し、異なる酸化亜鉛規格品および酸化亜鉛量を指定されるように配合した。これらの樹脂サンプルを、同じ配合条件のもと、LCM配合ラインで調製した。すべての配合物について、1,430ppm(目標)のIrganox−1076を主酸化防止剤として使用し、1,550ppm(目標)のWeston−399を副酸化防止剤として使用した。これらの配合物を、同じ押し出し条件のもと、Gloucester同時押し出しスロットキャストフィルムラインを使用して、見かけが0.8ミルの3層同時押し出しスロットキャストフィルムサンプルに変換した。フィルム構造はA(12%)/B(76%)/C(12%)であり、同じ樹脂が3層すべてに存在した。これらのフィルムサンプルの性能を測定し、表4.2に示す。この表から、超微細な酸化亜鉛はより大きい密着性能を両方のベース樹脂について可能にしたことが明瞭に認められる。その上、より少ない量の超微細な酸化亜鉛(50ppm対100ppm)は両方のベース樹脂の密着性能をさらに一層改善した。
表4.スロットキャストストレッチフィルムの性質に対するZnO規格品の影響
【0024】
【表4】

【0025】
実施例8〜9および比較サンプルK〜L:
下記の表5に示される別の一連の研究を、ブロンフィルムの性能に対する超微細な酸化亜鉛の影響を理解するために行った。ブロンフィルム製造物は、Weston−399、Irganox−1076、Armostat−1800およびステアリン酸亜鉛と配合することができる。Armostat−1800はジエタノールステアリルアミン(DESA)である。DESAは、静電防止剤であることが知られているが、酸を中和し、かつ樹脂の色を改善することに対してステアリン酸亜鉛とのある程度の相乗効果をもたらすので、ブロンフィルム製造物のために使用されている。表5に示される比較サンプルK(対照)はこのブロンフィルム配合により配合した。表における他の配合物は、Armostat−1800およびステアリン酸亜鉛だけを各サンプルについて示される酸化亜鉛規格品およびその量で置き換えることによって作製した。表におけるすべての配合物は、同じベース樹脂DJM−1810Hを用いて作製された。測定された樹脂性質が表に示される。
【0026】
すべての配合物を、同じ条件(すなわち、350oF、370oF、390oFおよび400oFの押し出し機バレル温度、410oFのゲート温度、420oFのアダプター温度、410oFのダイ温度、2,110psiの頭部圧力、ならびに80rpmのスクリュー速度)のもと、1.5”単スクリューのKillion押し出し配合ラインで作製した。すべてのフィルムサンプルを、4”のFLMおよび約430oFの溶融物温度を用いて2.01:1のBUR比で、1.5”単スクリューのOld Sterlingブロンフィルムラインで作製した。
【0027】
表から、20ppmの超微細な酸化亜鉛(実施例9)が、樹脂中の酸を中和するために十分であったことが認められる。フィルムの性質に関して、超微細な酸化亜鉛(実施例9)は、耐破裂性(対照に対して)、落錘衝撃(dart drop)(対照(CS K)および300ppmのKadox 911(CS L)の両方に対して)、および、1%割線モジュラスの剛さ(対照(CS K)に対して)を改善および/または増大させたが、光沢度および曇りなどの光学的性質を(対照(CS K)に対して)わずかに低下させている。しかしながら、超微細な酸化亜鉛を用いて配合された樹脂(実施例8および実施例9の両方)では、フィルムが、300ppmのKadox−911を用いて配合された樹脂(CS L)よりも著しく良好な光学的性質を示すことを可能にした。他の機械的性質(例えば、落錘衝撃など)が、表5における実施例8および実施例9によって示されるように著しく改善され得る。
【0028】
【表5】

【0029】
法令に従って、本発明は、構造的特徴および系統的特徴に関して、程度の差はあるが、具体的な言葉で記載されている。しかしながら、本明細書中に開示された手段は、本発明を実行に移すことの好ましい形態を含むので、本発明は、示され、また、記載された具体的な特徴に限定されないことを理解しなければならない。従って、本発明は、均等論に従って適切に解釈される添付された請求項の適正な範囲に含まれるその形態または改変のいずれかで主張される。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの線状低密度ポリエチレン樹脂と、大きくても約0.05μmの平均粒子サイズを有する、総組成の重量比で500ppmまでの超微細な酸化亜鉛とを含む第1の組成物からストレッチラップフィルムを形成することを含む、ストレッチラップフィルムの密着力を改善するための方法。
【請求項2】
酸化亜鉛が総組成の重量に基づいて約100ppm以下の量で組成物に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
酸化亜鉛が総組成の重量に基づいて約10ppm〜約100ppmの間の量で組成物に存在する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ストレッチフィルムが、酸化亜鉛が0.05μmよりも大きい平均粒子サイズを有するという点でのみ、第1の組成物とは異なる第2の組成物から作製されたストレッチフィルムよりも大きい密着力を有するとして特徴づけられる、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
少なくとも1つの線状低密度ポリエチレン樹脂を、大きくても0.05マイクロメートルの平均粒子サイズを有する、総組成の重量比で100万部あたり500部までの超微細な酸化亜鉛と混合する工程、および
前記混合物をストレッチラップフィルムに形成する工程
を含む、ストレッチラップフィルムの密着力を改善するための方法。
【請求項6】
混合が、溶融状態にある線状低密度ポリエチレン樹脂を用いて行われる、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
ストレッチラップフィルムがブロンフィルム法によって形成される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
ストレッチラップフィルムがキャストフィルム法によって形成される、請求項5に記載の方法。


【公表番号】特表2007−510016(P2007−510016A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−536654(P2006−536654)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032908
【国際公開番号】WO2005/042625
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(591123001)ユニオン・カーバイド・ケミカルズ・アンド・プラスティックス・テクノロジー・コーポレイション (85)
【Fターム(参考)】