フィルム貼着缶体の製造方法
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め印刷を施した合成樹脂のフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるような状態で、金属製缶体の缶胴表面に貼着してから、缶体の開口部側にネックイン加工やフランジ加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板から絞りしごき加工や絞り再絞り加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶では、その缶胴に所望の模様や文字などを印刷する場合、円筒状に成形された金属製の缶胴に対して印刷を施すこととなってグラビア印刷などを直接施すことが困難であることから、通常、ドライオフセット印刷により模様や文字の印刷が行われており、更に、そのような印刷層を保護するために、その上にオーバーコート層が設けられている。
【0003】ところが、ツーピース缶へのドライオフセット印刷では、共通のブランケットにより全ての色のインキを塗布し、また、各色のインクが重ならないように塗布することから、その色数や色調に限界があるため、消費動向やニーズの変化による製品の多様化によって一層美麗な外観が要求された場合についての対応が困難である。
【0004】そこで、そのような要求に対処するために、金属製缶体の缶胴に直接印刷するのではなく、ポリエステルなど熱可塑性樹脂のフィルムシート本体に対して予め印刷を施した装飾用のフィルムシートを缶体の缶胴に貼着することにより、缶体の缶胴に所望の模様や文字などを付与するということが従来から種々提案されている。(例えば、特開平3−230940号公報,特開平4−57747号公報,特開平7−89552号公報等参照)
【0005】すなわち、そのようなフィルム貼着缶体では、熱可塑性樹脂のフィルムシート本体に対して、オフセット印刷以外に、グラビア印刷やその他の印刷方法も適宜選択的に実施することが可能であるため、例えば、模様や文字などをグラビア印刷で印刷することにより、ドライオフセット印刷の場合と比べて、その色数や色調の自由度を増大させることができて、一層美麗な印刷を施すことが可能になると共に、個々の缶体に対してそれぞれ個別に印刷するのではなく、多数の缶体分を長尺の熱可塑性樹脂フィルムに対して連続して印刷するため、印刷の高速化も期待できる。
【0006】そのような従来のフィルム貼着缶体においては、予め印刷されたフィルムシートを缶体の缶胴に貼着する場合、殆ど全ての場合において、先に示した各引用公報中にも開示されているように、フィルムシートの両端部同士を重ね合わせるようにして缶胴に対して貼着している。
【0007】なお、先に示した特開平7−89552号公報中には、フィルムシートの両端部同士を突き合わせるということも開示されているが、突き合わせを常に隙間なく行うということが実際上は精度的に困難であり、また、貼着されたフィルムシートの両端部間に隙間が生じると、その部分の印刷模様が途切れて外観上見栄えの悪いものとなるだけでなく、その部分で金属下地が剥き出しとなって錆が発生したり、あるいは殺菌工程でフィルムシートの突き合わせ端部が浮き上がって剥離の原因となったりするような不都合を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のように印刷済みのフィルムシートをその両端部同士を重ね合わせるように缶胴に対して貼着している従来のフィルム貼着缶体では、フィルム貼着後の缶体に対して更にネックイン加工やフランジ加工が施されることとなるため、該フィルムシート両端部同士の重ね合わせ部の接着が不充分であると、ネックイン加工やフランジ加工のような缶体の変形加工時に、当該部分で貼着されているフィルムに皺や剥離を生じるというような問題が起きる。
【0009】一方、フィルム貼着缶体では、上記の各引用公報中にも記載されているように、印刷層を保護するためにフィルムの表面にオーバーコート層を設けることが好ましいとされているが、むしろ、フィルムシート本体(熱可塑性樹脂フィルム)の内側に印刷層が形成されていて、缶体に貼着された状態では印刷層を保護する必要がないような場合でも、オーバーコート層は必須のものと考えられる。
【0010】すなわち、オーバーコート層を設けない場合には、フィルムの貼着により缶体の外面の滑り性が悪くなるため、その後の製缶工程や缶詰製造工程で缶体の搬送性が低下して、製缶能率や缶詰製造能率の低下を招くことになると共に、搬送中にフィルムの表面が傷付き易くなり、また、缶詰製造工程の加熱殺菌時にフィルムが熱収縮を起こしたり、表面にオリゴマーが析出して印刷効果を減殺するというような問題を生じるからである。
【0011】ところが、缶体外面の滑り性を向上させるためにオーバーコート層を設けた場合、オーバーコート層に含有されるシリコンやワックスなどの滑性剤のために、フィルムシート両端部同士の重ね合わせ部の接着性が阻害されて当該部分が剥離し易くなり、その後の缶体の変形加工時に、上記のようなフィルムの皺や剥離が発生するというような問題が起きることとなる。
【0012】この点に関して、先に引用した特開平4−57747号公報中には、印刷層が耐磨耗性を有する場合や、フィルムシート本体(熱可塑性樹脂フィルム)の内側に印刷層が形成されていて、該フィルムシート本体により印刷層が保護される場合には、オーバーコート層を省略できるという旨の記載と共に、フィルムシート本体の外側に印刷層が形成されていて、該印刷層がオーバーコート層で保護されている場合には、フィルムの重なり部におけるフィルムの接着面に位置する部位には印刷層及びオーバーコート層を設けないことが、フィルム間を接着する上では好ましいという旨の記載が見られる。
【0013】すなわち、該引用公報中には、熱可塑性樹脂フィルムの外側に印刷層を形成して、該印刷層をオーバーコート層で保護する場合に、フィルムシート両端部同士の接着を良好なものとするために、重ね合わせ部の下側となる部分には印刷層とオーバーコート層を設けないようにして、重ね合わせ部の上側となる部分の下面にある接着層を、重ね合わせ部の下側部分に対して、印刷層とオーバーコート層を介することなく接着させるという技術が開示されている。
【0014】しかしながら、印刷済みの樹脂製長尺フィルムを、高速で回転する送りローラー等に挟持させて送り出すことにより高速(100m/分以上)で走行させながら、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合には、長尺フィルムがその走行中に若干伸びたりして、その切断位置がずれることもあることから、重ね合わせ部の下側部分に相当する部分にだけオーバーコート層を設けないようにした長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断するときに、各フィルムシートにおいて、オーバーコート層を設けていない部分を、常に、正確に重ね合わせ部の下側部分に整合させることは実際上は不可能である。
【0015】そして、長尺フィルム3の実際の切断位置が設定位置からずれてしまうと、例えば、図12に示すように、切断されたフィルムシート2を缶体1に貼着したときに、重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22が入り込んでしまい、重ね合わせ部20の接着合面の外端部分にオーバーコート層22が存在することとなって、当該部分の接着状態が不充分なものとなり、そこから重ね合わせ部20が剥がれ易くなるという問題が起きる。
【0016】因みに、重ね合わせ部の下側部分にオーバーコート層を設けないようにすることを開示した上記の引用公報(特開平4−57747号公報)に記載されている金属缶胴体の製造方法については、樹脂製の長尺フィルムにおける重ね合わせ部予定部分を、予め引き延ばしておくことにより、フィルム貼着後の重ね合わせ部の厚さを薄く(他の部分の厚さの1.6倍以下)するということを特徴とするものであって、当該部分の引き延ばしのために長尺フィルムの走行を一旦停止させるものであり、高速且つ連続して印刷フィルムを缶体に貼着することができないものである。
【0017】本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高速で走行させながらオーバーコート層や印刷層などを連続的に形成させた合成樹脂の長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合にも、缶体に貼着されるフィルムシートの重ね合わせ部の接着合面に対しては、オーバーコート層を存在させないようにして、当該部分の接着性を確保することができるようなフィルム貼着缶体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決しかつ目的を達成するために、上記の請求項1に記載したように、一方の面にオーバーコート層が形成され、他方の面に印刷層と接着層が形成された合成樹脂フィルムの長尺フィルムを、有底筒状の金属製缶体に対して、その横幅が缶胴の周長よりもやや長くなるように、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから供給し、加熱された缶体の缶胴表面に対して、供給されたフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるように、接着層を介して熱接着により貼着してから、該有底筒状でフィルム貼着済みの缶体に対して変形加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法において、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅よりも大きな幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくと共に、重ね合わせ部の下側部分となる側のオーバーコート層の端部から、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅だけ離れた位置を、長尺フィルムの切断位置として設定しておくことを特徴とするものである。
【0019】また、上記の請求項1に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項2に記載したように、有底筒状の金属製缶体が、金属板から絞りしごき加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶であることを特徴とするものである。
【0020】また、上記の請求項1又は2に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項3に記載したように、オーバーコート層が、滑性剤を含有させた熱硬化性樹脂からなることを特徴とするものである。
【0021】また、上記の請求項1乃至3に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項4に記載したように、加熱された缶体の缶胴表面に対するフィルムシートの貼着が、まず、フィルムシートを接着層により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層が固化する前に、フィルムシートを貼付した缶胴表面をロールで押圧することにより行われることを特徴とするものである。
【0022】また、上記の請求項1乃至4に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項5に記載したように、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフィルム貼着缶体の製造方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体の変形加工前の状態と変形加工後の状態とを示すもので、円筒状の缶胴11と缶底12とが一体的に形成された金属製缶体1に対して、(A)に示すように、ネックイン加工やフランジ加工の前に、その缶胴11に印刷済みのフィルムシート2を熱接着によって一体的に貼着しておき、このフィルムシート2が貼着された状態の缶体1の開口部側に対して、(B)に示すように、ネックイン加工とフランジ加工が施される。
【0025】缶体1については、本実施形態では、アルミニウムやスチール等の金属円板を材料として、絞りしごき加工により円筒状の缶胴11と缶底12とを一体的に成形したツーピース缶であるが、インパクト加工や絞り再絞り加工(再絞り加工時にストレッチ加工をするものを含む)によるツーピース缶でもよく、更にそのようなものに限らず、ティンフリースチールなどの表面処理鋼板,ブリキ,クロムメッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板,その他の金属板材料を使用して、金属板を曲げて円筒状に成形した缶胴に対して缶底を巻締により一体化したスリーピース缶で実施することも可能である。
【0026】缶体1の缶胴11に貼着されるフィルムシート2は、図2に示すように、熱可塑性樹脂フィルム21を本体とし、該熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面(缶胴11に貼着したときに表側となる面)に、滑剤を含有した熱硬化性樹脂のオーバーコート層22が形成されていると共に、該熱可塑性樹脂フィルム21の他方の面(缶胴11に貼着したときに裏側となる面)に、印刷層23と接着層24が順次形成されているものである。
【0027】フィルムシート2の本体となる熱可塑性樹脂フィルム21は、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体などからなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体などのうちから選ばれた透明な高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルム21の厚さについては、材質の違いなどによって適宜決定される。
【0028】なお、この熱可塑性樹脂フィルム21については、加熱状態の缶体1の缶胴11に対してフィルムシート2を貼着する際に、本実施形態の製造方法では、その本接着工程で、例えば60kgf/cm程度の線圧力で缶胴11の周方向に加圧されることとなるため、ある程度展延し、且つ、耐熱性のあるポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましく、その場合の熱可塑性樹脂フィルム21の厚さは10〜30μm程度がよい。
【0029】熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面(表面)に形成されているオーバーコート層22は、エポキシ−アミノ系樹脂,エポキシ−メラミン系樹脂,ポリエステル−アミノ系樹脂などの熱硬化性樹脂に対して、シリコンやワックスなどの滑性剤を0.1〜3重量%配合させたものであって、厚さ1μm程度となるように塗布されている。
【0030】熱可塑性樹脂フィルム21の他方の面(裏面)に形成される印刷層23は、熱硬化性のウレタン系樹脂からなるインキを使用したものであって、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷したい場合には、グラビア印刷により印刷層23を形成するのがよい。
【0031】印刷層23を覆う接着層24は、加熱と加圧により密着し易く、且つ、印刷層23に使用されるインキとの密着性が良好な熱硬化性樹脂の接着剤によって形成されるもので、特に、本実施形態の製造方法における加圧による本接着工程で、図6に示すような仮接着工程でフィルムシート2の重ね合わせ部20の内側端部にできる段差空隙部26に、接着層24をはみ出させ易くするためには、ガラス転移点(Tg)が−10℃〜+40℃の流動性の良い熱硬化性接着剤、具体的には、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂およびアミノ樹脂とを配合した接着剤を使用するのが好ましい。
【0032】この接着層24は、印刷層23の全面に対して設けることが好ましく、上記のような接着剤を使用する場合、少なくとも、50mg/dm2 で全面塗布することとし、好ましくは、90〜110mg/dm2 で厚盛りする。
【0033】上記のような各材料により構成されているフィルムシート2の一例としては、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム21の一方の面に、エポキシ系樹脂(シリコン0.05重量%,ワックス2.0重量%含有)からなる厚さ1μmの熱硬化性のオーバーコート層22が形成されていると共に、他方の面に、ウレタン系樹脂からなるインキでグラビア印刷した厚さ3μmの印刷層23と、ポリエステル系樹脂とイソシアネート系樹脂とアミノ系樹脂(配合比94:3:3)とからなる厚さ5μmの熱硬化性接着層24とがそれぞれ形成されているようなものがある。
【0034】そのようなフィルムシート2は、図1(A)に示すように、フィルムシート2の両端部同士が重ね合わせ部20で互いに重ね合わされる状態で、接着層24を介して熱接着により、円筒状の缶胴11と缶底12とが一体的に形成された状態の金属製缶体1に対して、その缶胴11に貼着される。
【0035】その場合、通常は、図7に示すように、フィルムシート2の両端部同士の重ね合わせ部20では、その下側となる部分には、オーバーコート層22が全く存在しておらず、その上側となる部分の下面にある接着層24が、下側部分の熱可塑性樹脂フィルム21に直接接着されていると共に、重ね合わせ部20の上側部分にも、その上面に部分的にオーバーコート層22が存在していない。
【0036】缶体1の缶胴11に貼着されるフィルムシート2の両端部同士の重ね合わせ部20が、上記のような状態となるように設定されている本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法について、以下に説明する。
【0037】缶体1に貼着するための印刷済みのフィルムシート2を形成するために、本実施形態では、コイル巻きされた状態で提供される熱可塑性樹脂フィルム21の長尺フィルムを解きながら走行させて、オーバーコート層22を形成するための塗布ローラー(未塗装部を形成するために外周面に溝部を有する)や、印刷層23を形成するための印刷ローラーや、接着層24を形成するための塗布ローラーに順次挟持させて連続的に送り出すことにより、それらのローラーの高速回転に連れて、例えば、100〜150m/分のような高速で走行させている。
【0038】それにより、図3にフローチャートで示すように、まず、その一方の面(表面)に、グラビアコート等により幅広な塗装部を幅狭な直線状の未塗装部が形成されるように、オーバーコート用樹脂を塗布し、加熱乾燥してオーバーコート層22を連続的に形成してから、その他方の面(裏面)にグラビア印刷等により印刷を施して印刷層23を連続的に形成し、更に、該印刷層23の裏側を全面的に覆うように、接着剤を塗布して接着層24を連続的に形成した後、印刷層23と接着層24とを加熱乾燥してからロールに巻き取る。
【0039】ついで、熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面にオーバーコート層22が形成され、他方の面に印刷層23と接着層24とが形成され、ロール巻きされた長尺フィルムを、解きながら走行させ、その横幅(印刷された文字や装飾模様の縦横からみて横となる方向の長さ)が缶体1の缶胴周長よりもやや長くなるように、連続的に一缶分毎のフィルムシート2として切断することによって、缶体1に貼着される大きさの多数のフィルムシート2を連続的にフィルム貼着装置に対して提供する。
【0040】そして、該フィルム貼着装置において、連続的に加熱されながら送られてくる有底円筒状の金属製缶体1に対して、連続的に供給されたそれぞれのフィルムシート2を、加熱されたそれぞれの缶体1の円筒状の缶胴11に、接着層23により貼付して仮接着し、更に、接着層23が固化する前にロールで押圧することにより本接着して、有底円筒状のフィルム貼着缶体としてから、内面塗装やネックイン加工などのその後の加工工程に送り出す。
【0041】図4は、缶体1に貼着される大きさとして供給された各フィルムシート2を、連続的に各缶体1の缶胴11に対して貼着するためのフィルム貼着装置の概略を示すもので、この装置4には、多数のマンドレル41が、互いに一定間隔を維持した状態で、所定半径の円周上を移動するように配列されており、それぞれのマンドレル41は、対象とする缶体1の缶胴11の内径よりも若干小径の円柱状の部材であって、それぞれの中心軸線を中心として自転可能とされている。
【0042】各マンドレル41が移動する円周の所定位置には、円筒状の缶胴11に缶底12が一体的に形成された缶体1を一列に並べて連続的に搬送する搬送手段3が接続された缶体供給ステーション42が設けられており、該供給ステーション42において、搬送手段3により送り込まれてきた金属製の各缶体1は、その缶底12を押込手段(図示せず)により押されることで、それぞれマンドレル41に嵌着されて受け渡される。
【0043】供給ステーション42に続くマンドレル41の移動方向前方には、マンドレル41が移動する円周の外側に、高周波誘導加熱装置のような加熱装置43が、所定の範囲に渡って配置されており、各マンドレル41は、該範囲を移動中には自転するように構成されていて、マンドレル41が該範囲を移動中に、マンドレル41に保持された状態の缶体1は、加熱装置43によって、その缶胴11全体が一様に約150〜160℃程度となるように加熱される。
【0044】加熱装置43に続くマンドレル41の移動方向前方には、加熱装置43に隣接して仮接着ステーション44が設けられており、この仮接着ステーション44には、送られてくる一缶分毎の大きさのフィルムシート2を連続的に受け取りつつ、受け取ったフィルムシート2を連続的に各缶体1に提供しながら、各缶体1の缶胴11表面にフィルムシート2を連続的に貼付するような貼付ロール45が、マンドレル41が移動する円周の外側に配置されている。
【0045】貼付ロール45は、マンドレル41の移動に同期して自転するもので、自転しながら、一缶分毎の大きさに切断された後で連続的に送られてくる各フィルムシート2を、それぞれ接着層24が外側を向くように、該ロール45の外周面に一定間隔をあけて連続的に吸着して保持すると共に、外周面に吸着して保持したフィルムシート2を、送られてくる各缶体1に対して、例えば、100m/分程度の高速で連続的に供給しつつ、30kgf/cm程度の線圧力により、その接着層24を介して連続的に各缶体1のそれぞれの缶胴11の表面に貼付させるものである。
【0046】なお、この貼付ロール45の貼付圧力については、貼付ロール45とマンドレル41の間隔を調整することにより適宜変更可能であり、また、貼付ロール45のフィルムシート吸着保持手段については、例えば真空吸着,静電気吸着など、従来知られている種々の手段が採用可能である。
【0047】仮接着ステーション44に続くマンドレル41の移動方向前方には、仮接着ステーション44で缶胴11に貼付されたフィルムシート2を更に強固に接着させるための本接着ステーション46が設けられており、この本接着ステーション46には、マンドレル41が移動する円周の外側に、フィルムシート2が貼付された状態の缶胴11の表面を押圧するための加圧ロール47が配置されている。
【0048】加圧ロール47は、加熱装置43によって加熱された缶体1が放冷しない程度、すなわち、フィルムシート2の接着層24が固化する程度に温度が低下しない範囲で、仮接着ステーション44に近接して配置されており、この加圧ロール47には、該ロール47をマンドレル41に対して押し付けるような加圧力が与えられていて、その加圧力については、仮接着ステーション44での加圧力の1.5〜2倍であって、例えば、線圧力で60kgf/cm程度、少なくとも線圧力で40kgf/cm以上となるように設定されている。
【0049】それにより、図6に示すように、仮接着ステーション44でフィルムシート2が貼付された缶体1には、フィルムシート2の重ね合わせ部20の内側端部に、フィルムシート2の厚さに応じた段差空隙部26が生じているが、缶体1を自転させながら、上記のような加圧ロール47でその缶胴表面を加圧することにより、接着層24が段差空隙部26にはみ出して、図7に示すように、段差空隙部26が接着層24により埋められて本接着の状態となる。
【0050】本接着ステーション46に続くマンドレル41の移動方向前方で、缶体供給ステーション42に至るまでの所定位置には、缶体1を一列に並べて搬送する搬送手段5が接続された缶体排出ステーション48が設けられており、該排出ステーション48において、フィルム貼着済みの缶体1は、エアーなどの周知の排出手段によりマンドレル41から抜き取られて搬送手段5に送り出され、内面塗装を施すための工程を経て、ネックイン加工やフランジ加工を行う工程に送られることとなる。
【0051】ところで、上記のようなフィルム貼着装置4により、連続的に送られてくる金属製の各缶体1に対して、それぞれにフィルムシート2を連続的に供給して貼着させるような本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法において、フィルム貼着装置4の貼付ロール45に対して連続的に供給されるそれぞれのフィルムシート2は、例えば、図10に示すように、すでにオーバーコート層22を施した印刷済みの長尺フィルム2Aを、連続的に一缶分毎に(図中に一点鎖線の示した位置で)切断したものである。
【0052】そのような長尺フィルム2Aについて、本実施形態の製造方法では、該長尺フィルム2Aに対してオーバーコート層22を形成するに当たり、長尺フィルム2Aの全面にオーバーコート層22を施すのではなく、切断されたフィルムシート2を缶胴11に貼着したときに重ね合わせ部20を構成するフィルムシート両端部となる予定部分に対して、重ね合わせ部20の幅(予定部分の幅の1/2の幅)よりも大きな幅で、図10に示すように、長尺フィルム2Aに対してオーバーコート層22が存在しない部分(すなわち、表面に熱可塑性樹脂フィルム21が露出しているオーバーコート未塗装部28)を設けている。
【0053】なお、図10に示すようなオーバーコート未塗装部28を形成するには、ローラーの外周面に、所定の間隔で未塗装部28の幅をもつ溝部を、ローラーの軸と平行に形成したような塗布ローラーを使用する。
【0054】そして、そのような長尺フィルム2Aのオーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)において、図6および図7に示すような、切断されたフィルムシート2を缶胴表面に貼着したときに、重ね合わせ部20の下側となる部分に全くオーバーコート層22が存在せず、且つ、重ね合わせ部20の上側となる部分にも少なくとも部分的にオーバーコート層22が存在しない状態となるように、一缶分毎の大きさのフィルムシート2に切断するときの長尺フィルム2Aの切断位置を予め設定している。
【0055】すなわち、具体的には、図5に示すように、長尺フィルム2Aのオーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)の幅を、重ね合わせ部20の幅D1に対して、更に、予測される実際の切断位置のバラツキの最大幅D2 を加えた大きさのものにすると共に、重ね合わせ部20の下側部分となる側のオーバーコート層22の端部22aから、重ね合わせ部20の幅D1 と、予測される実際の切断位置のバラツキの幅D2 の1/2の幅とを合計した幅(D1 +D2 /2)だけ離れた位置を、長尺フィルム2Aの切断位置Xとして予め設定しておくものである。
【0056】重ね合わせ部20の幅に対するオーバーコート層22が存在しない部分の幅の大きさや、オーバーコート層22が存在しない部分における切断位置Xの設定については、実際の切断位置のバラツキ程度の相違(長尺フィルムの滑りに起因する送り速度のバラツキ,フィルム樹脂の種類,外気温度の違い等の要因によってバラツキの程度が変わる)によって適宜変更されるもので、実際の切断位置のバラツキが大きい程、オーバーコート層22が存在しない部分の幅をより大きくすることが必要となる。
【0057】なお、本実施形態では、長尺フィルム2Aにおいて、オーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)を、図10に示すように、長尺フィルム2Aの走行方向(長手方向)に対して直交する方向に形成しているが、図11に示すように、該部分28を長尺フィルム2Aの走行方向(長手方向)と平行に連続して形成する(その場合、ローラー外周面の溝部をローラーの軸と直交する方向に形成した塗布ローラーを使用する)ことも可能であり、また、一本の長尺フィルム2Aに対して何列のフィルムシート2を区画するかも適宜変更可能である。
【0058】また、熱可塑性樹脂フィルム21にオーバーコート層22を塗布するためのロールについては、単なる塗布ロールの場合には、図11に示すようなストライプ(未塗装部28を長尺フィルム2Aの走行方向と平行に設けるもの)のみであるが、該ロールがグラビア印刷の場合に使用されるものと同じグラビアコートロールである場合には、図10に示すようなスポット(未塗装部28をを長尺フィルム2Aの走行方向と直交させて設けるもの)と図11に示すようなストライプとの両方が可能である。
【0059】上記のような本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法によれば、高速で走行する印刷済みの長尺フィルム3を、一缶分毎の大きさのフィルムシート2に切断してから各缶体1に連続的に供給するときに、該長尺フィルム2Aがその走行中に若干伸びたりして、その実際の切断位置が設定された切断位置X(図5参照)からずれたとしても、切断されたフィルムシート2を缶体1に貼着したときに、切断位置Xが最も右にずれた(右にD2 /2ずれた)場合、および、切断位置Xが最も左にずれた(左にD2 /2ずれた)場合でも、図8および図9によりそれぞれ示すように、その重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22が確実に存在しないため、当該部分の接着が確実に行われて、その後のネックイン加工やフランジ加工時に、缶体1に貼着されたフィルムシート2が、その重ね合わせ部20から剥離するようなことがない。
【0060】ところで、本実施形態によれば、フィルム貼着済みの缶体の缶胴には、重ね合わせ部20で上側となる部分と重ね合わせ部20の近傍とで、予測される実際の切断位置のバラツキ幅D2 の分だけオーバーコート層22の存在しない隙間が生じることとなるが、このオーバーコート層22の隙間は、重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22を確実に存在させないための必要最小限のものであって、殆ど影響がない程度の僅かなものであることから、缶胴表面の保護や滑り性という点からは全く問題にならない程度のものである。
【0061】一方、本実施形態では、フィルム貼着済みの缶体の缶胴に、上記のようにその周方向でオーバーコート層22に僅かな隙間が生じるものの、印刷層23については全く隙間を生じることはないため、缶胴の途中で印刷模様が僅かでも途切れて外観上見栄えの悪いものとなるというようなことは全くない。
【0062】この点に関して、先に引用した特開平4−57747号公報中に開示されている、重ね合わせ部の下側となる部分に印刷層とオーバーコート層を設けないような場合では、仮に、本発明のように、長尺フィルムの切断位置のずれを考慮に入れて、印刷層およびオーバーコート層を設けない範囲を僅かでも拡大させたとすれば、図13に示すように、缶体1にフィルムシート2を貼着したときに、直ちにその分だけ印刷層に隙間D3 が生じて、缶胴の途中で印刷模様が途切れた外観上見栄えの悪いものとなってしまう。
【0063】このことからも、先に引用した特開平4−57747号公報中に開示されている技術思想では、本発明のように長尺フィルムの切断位置のずれを考慮に入れてオーバーコート層の存在しない部分を設けるというが全く考えられていないことは明白である。
【0064】また、本実施形態では、オーバーコート層22にシリコンやワックスなどの滑性剤が含有されているため、缶体外面の滑り性が向上して、その後の工程での缶体の搬送性が向上すると共に、オーバーコート層22が熱硬化性樹脂であるため、缶詰製造工程の加熱殺菌時にフィルムが熱収縮を起こしたり、表面にオリゴマーが析出して印刷効果を減殺するというようなこともない。
【0065】さらに、本実施形態によれば、加熱された缶体1の缶胴表面に対するフィルムシート2の貼着を、まず、フィルムシート2を接着層24により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層24が固化する前に加圧ロール47で押圧することにより本接着を行っているため、図6に示すような、フィルムシート2の厚さに応じて重ね合わせ部20の内側端部に生じる段差空隙部26が、図7に示すように、接着層24からの接着剤のはみ出しによって埋められることとなって、重ね合わせ部20での段差空隙部26によるフィルムシート2と缶体1との接着の弱化が効果的に防止されている。
【0066】以上、本発明のフィルム貼着缶体の製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、長尺フィルム2Aの切断位置Xを、上記の実施形態と同様に、切断位置のバラツキ幅D2 の1/2に重ね合わせ部20の幅D1 を加えた幅(D1 +D2 /2)だけ、重ね合わせ部20の下側部分となる側のオーバーコート層22の端部22aから離れた位置に設定しておく限りにおいて、例えば、長尺フィルム2Aに設けるオーバーコート層が存在しない部分(未塗装部28)の幅が、予測される実際の切断位置のバラツキ幅D2 に重ね合わせ部の幅D1 を加えた幅(D1 +D2 )より小さくても実施可能な場合がある。
【0067】すなわち、そのような場合でも、切断位置Xが、予定よりも仮にD2 /2だけ右にずれても、左にずれても、重ね合わせ部20の接着合面の外端(上側部分の端部と重なっている下側部分)にオーバーコート層22が入り込むことはは確実に防止できて、重ね合わせ部20の端から剥れてくるということは確実に防止できる。
【0068】一方、そのような場合には、実際の切断位置が右にずれたときには、重ね合わせ部20の接着合面の内端(下側部分の端部)付近にオーバーコート層22が僅かに(D1 +D2 よりも小さくなった分だけ、すなわち、仮に未塗装部28の幅を最小のD1 +D2 /2とすると、最大D2 /2だけ)入り込む可能性があり、その分だけ重ね合わせ部20の接着部の幅が減少することとなるが、該接着部幅が減少しても缶胴表面と広い幅で接触しており、しかも重ね合わせ部20の接着合面の外端部分が良く接着していて、金属面の露出もないので、実質的にあまり問題となることはない。
【0069】
【発明の効果】以上説明したような本発明のフィルム貼着缶体の製造方法によれば、高速で走行させながらオーバーコート層や印刷層などを連続的に形成させた合成樹脂の長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合にも、缶胴の途中で印刷模様が途切れて外観上の見栄えを悪くするようなことなく、しかも、缶体に貼着されるフィルムシートの重ね合わせ部の接着合面に対し、オーバーコート層を存在させないようにして、当該部分の接着性を確保することができるため、その後のネックイン加工やフランジ加工において、缶体に貼着されたフィルムの重ね合わせ部での皺や剥離の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体の(A)ネックイン加工前の状態、および(B)ネックイン加工後の状態をそれぞれ示す側面図。
【図2】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法に使用されるフィルムシートの積層構造を示す断面図。
【図3】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法において要部となる製造工程を示すフローチャート。
【図4】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法に使用されるフィルム貼着装置の一例を示す概略説明図。
【図5】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムのオーバーコート層が存在しない部分と、当該部分における切断設定位置とを示す断面図。
【図6】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部の仮接着状態を示す縦断面図。
【図7】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部の本接着状態を示す断面図。
【図8】図7に示したフィルムシート重ね合わせ部の長尺フィルムの切断位置がずれた場合の一例を示す断面図。
【図9】図7に示したフィルムシート重ね合わせ部の長尺フィルムの切断位置がずれた場合の他の例を示す断面図。
【図10】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムの一例を示す平面図。
【図11】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムの他の例を示す平面図。
【図12】従来の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部を示す断面図。
【図13】図12に示した従来例に基づく比較例により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部を示す断面図。
【符号の説明】
1 金属製缶体
2 フィルムシート
2A 長尺フィルム
11 缶胴
20 重ね合わせ部
21 フィルム本体(熱可塑性樹脂フィルム)
22 オーバーコート層
23 印刷層
24 接着層
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、予め印刷を施した合成樹脂のフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるような状態で、金属製缶体の缶胴表面に貼着してから、缶体の開口部側にネックイン加工やフランジ加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】金属板から絞りしごき加工や絞り再絞り加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶では、その缶胴に所望の模様や文字などを印刷する場合、円筒状に成形された金属製の缶胴に対して印刷を施すこととなってグラビア印刷などを直接施すことが困難であることから、通常、ドライオフセット印刷により模様や文字の印刷が行われており、更に、そのような印刷層を保護するために、その上にオーバーコート層が設けられている。
【0003】ところが、ツーピース缶へのドライオフセット印刷では、共通のブランケットにより全ての色のインキを塗布し、また、各色のインクが重ならないように塗布することから、その色数や色調に限界があるため、消費動向やニーズの変化による製品の多様化によって一層美麗な外観が要求された場合についての対応が困難である。
【0004】そこで、そのような要求に対処するために、金属製缶体の缶胴に直接印刷するのではなく、ポリエステルなど熱可塑性樹脂のフィルムシート本体に対して予め印刷を施した装飾用のフィルムシートを缶体の缶胴に貼着することにより、缶体の缶胴に所望の模様や文字などを付与するということが従来から種々提案されている。(例えば、特開平3−230940号公報,特開平4−57747号公報,特開平7−89552号公報等参照)
【0005】すなわち、そのようなフィルム貼着缶体では、熱可塑性樹脂のフィルムシート本体に対して、オフセット印刷以外に、グラビア印刷やその他の印刷方法も適宜選択的に実施することが可能であるため、例えば、模様や文字などをグラビア印刷で印刷することにより、ドライオフセット印刷の場合と比べて、その色数や色調の自由度を増大させることができて、一層美麗な印刷を施すことが可能になると共に、個々の缶体に対してそれぞれ個別に印刷するのではなく、多数の缶体分を長尺の熱可塑性樹脂フィルムに対して連続して印刷するため、印刷の高速化も期待できる。
【0006】そのような従来のフィルム貼着缶体においては、予め印刷されたフィルムシートを缶体の缶胴に貼着する場合、殆ど全ての場合において、先に示した各引用公報中にも開示されているように、フィルムシートの両端部同士を重ね合わせるようにして缶胴に対して貼着している。
【0007】なお、先に示した特開平7−89552号公報中には、フィルムシートの両端部同士を突き合わせるということも開示されているが、突き合わせを常に隙間なく行うということが実際上は精度的に困難であり、また、貼着されたフィルムシートの両端部間に隙間が生じると、その部分の印刷模様が途切れて外観上見栄えの悪いものとなるだけでなく、その部分で金属下地が剥き出しとなって錆が発生したり、あるいは殺菌工程でフィルムシートの突き合わせ端部が浮き上がって剥離の原因となったりするような不都合を生じる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記のように印刷済みのフィルムシートをその両端部同士を重ね合わせるように缶胴に対して貼着している従来のフィルム貼着缶体では、フィルム貼着後の缶体に対して更にネックイン加工やフランジ加工が施されることとなるため、該フィルムシート両端部同士の重ね合わせ部の接着が不充分であると、ネックイン加工やフランジ加工のような缶体の変形加工時に、当該部分で貼着されているフィルムに皺や剥離を生じるというような問題が起きる。
【0009】一方、フィルム貼着缶体では、上記の各引用公報中にも記載されているように、印刷層を保護するためにフィルムの表面にオーバーコート層を設けることが好ましいとされているが、むしろ、フィルムシート本体(熱可塑性樹脂フィルム)の内側に印刷層が形成されていて、缶体に貼着された状態では印刷層を保護する必要がないような場合でも、オーバーコート層は必須のものと考えられる。
【0010】すなわち、オーバーコート層を設けない場合には、フィルムの貼着により缶体の外面の滑り性が悪くなるため、その後の製缶工程や缶詰製造工程で缶体の搬送性が低下して、製缶能率や缶詰製造能率の低下を招くことになると共に、搬送中にフィルムの表面が傷付き易くなり、また、缶詰製造工程の加熱殺菌時にフィルムが熱収縮を起こしたり、表面にオリゴマーが析出して印刷効果を減殺するというような問題を生じるからである。
【0011】ところが、缶体外面の滑り性を向上させるためにオーバーコート層を設けた場合、オーバーコート層に含有されるシリコンやワックスなどの滑性剤のために、フィルムシート両端部同士の重ね合わせ部の接着性が阻害されて当該部分が剥離し易くなり、その後の缶体の変形加工時に、上記のようなフィルムの皺や剥離が発生するというような問題が起きることとなる。
【0012】この点に関して、先に引用した特開平4−57747号公報中には、印刷層が耐磨耗性を有する場合や、フィルムシート本体(熱可塑性樹脂フィルム)の内側に印刷層が形成されていて、該フィルムシート本体により印刷層が保護される場合には、オーバーコート層を省略できるという旨の記載と共に、フィルムシート本体の外側に印刷層が形成されていて、該印刷層がオーバーコート層で保護されている場合には、フィルムの重なり部におけるフィルムの接着面に位置する部位には印刷層及びオーバーコート層を設けないことが、フィルム間を接着する上では好ましいという旨の記載が見られる。
【0013】すなわち、該引用公報中には、熱可塑性樹脂フィルムの外側に印刷層を形成して、該印刷層をオーバーコート層で保護する場合に、フィルムシート両端部同士の接着を良好なものとするために、重ね合わせ部の下側となる部分には印刷層とオーバーコート層を設けないようにして、重ね合わせ部の上側となる部分の下面にある接着層を、重ね合わせ部の下側部分に対して、印刷層とオーバーコート層を介することなく接着させるという技術が開示されている。
【0014】しかしながら、印刷済みの樹脂製長尺フィルムを、高速で回転する送りローラー等に挟持させて送り出すことにより高速(100m/分以上)で走行させながら、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合には、長尺フィルムがその走行中に若干伸びたりして、その切断位置がずれることもあることから、重ね合わせ部の下側部分に相当する部分にだけオーバーコート層を設けないようにした長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断するときに、各フィルムシートにおいて、オーバーコート層を設けていない部分を、常に、正確に重ね合わせ部の下側部分に整合させることは実際上は不可能である。
【0015】そして、長尺フィルム3の実際の切断位置が設定位置からずれてしまうと、例えば、図12に示すように、切断されたフィルムシート2を缶体1に貼着したときに、重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22が入り込んでしまい、重ね合わせ部20の接着合面の外端部分にオーバーコート層22が存在することとなって、当該部分の接着状態が不充分なものとなり、そこから重ね合わせ部20が剥がれ易くなるという問題が起きる。
【0016】因みに、重ね合わせ部の下側部分にオーバーコート層を設けないようにすることを開示した上記の引用公報(特開平4−57747号公報)に記載されている金属缶胴体の製造方法については、樹脂製の長尺フィルムにおける重ね合わせ部予定部分を、予め引き延ばしておくことにより、フィルム貼着後の重ね合わせ部の厚さを薄く(他の部分の厚さの1.6倍以下)するということを特徴とするものであって、当該部分の引き延ばしのために長尺フィルムの走行を一旦停止させるものであり、高速且つ連続して印刷フィルムを缶体に貼着することができないものである。
【0017】本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、高速で走行させながらオーバーコート層や印刷層などを連続的に形成させた合成樹脂の長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合にも、缶体に貼着されるフィルムシートの重ね合わせ部の接着合面に対しては、オーバーコート層を存在させないようにして、当該部分の接着性を確保することができるようなフィルム貼着缶体の製造方法を提供することを目的とするものである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記の課題を解決しかつ目的を達成するために、上記の請求項1に記載したように、一方の面にオーバーコート層が形成され、他方の面に印刷層と接着層が形成された合成樹脂フィルムの長尺フィルムを、有底筒状の金属製缶体に対して、その横幅が缶胴の周長よりもやや長くなるように、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから供給し、加熱された缶体の缶胴表面に対して、供給されたフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるように、接着層を介して熱接着により貼着してから、該有底筒状でフィルム貼着済みの缶体に対して変形加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法において、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅よりも大きな幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくと共に、重ね合わせ部の下側部分となる側のオーバーコート層の端部から、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅だけ離れた位置を、長尺フィルムの切断位置として設定しておくことを特徴とするものである。
【0019】また、上記の請求項1に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項2に記載したように、有底筒状の金属製缶体が、金属板から絞りしごき加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶であることを特徴とするものである。
【0020】また、上記の請求項1又は2に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項3に記載したように、オーバーコート層が、滑性剤を含有させた熱硬化性樹脂からなることを特徴とするものである。
【0021】また、上記の請求項1乃至3に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項4に記載したように、加熱された缶体の缶胴表面に対するフィルムシートの貼着が、まず、フィルムシートを接着層により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層が固化する前に、フィルムシートを貼付した缶胴表面をロールで押圧することにより行われることを特徴とするものである。
【0022】また、上記の請求項1乃至4に記載したフィルム貼着缶体の製造方法において、上記の請求項5に記載したように、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくことを特徴とするものである。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、本発明のフィルム貼着缶体の製造方法の実施形態について、図面に基づいて詳細に説明する。
【0024】図1は、本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体の変形加工前の状態と変形加工後の状態とを示すもので、円筒状の缶胴11と缶底12とが一体的に形成された金属製缶体1に対して、(A)に示すように、ネックイン加工やフランジ加工の前に、その缶胴11に印刷済みのフィルムシート2を熱接着によって一体的に貼着しておき、このフィルムシート2が貼着された状態の缶体1の開口部側に対して、(B)に示すように、ネックイン加工とフランジ加工が施される。
【0025】缶体1については、本実施形態では、アルミニウムやスチール等の金属円板を材料として、絞りしごき加工により円筒状の缶胴11と缶底12とを一体的に成形したツーピース缶であるが、インパクト加工や絞り再絞り加工(再絞り加工時にストレッチ加工をするものを含む)によるツーピース缶でもよく、更にそのようなものに限らず、ティンフリースチールなどの表面処理鋼板,ブリキ,クロムメッキ鋼板,ニッケルメッキ鋼板,その他の金属板材料を使用して、金属板を曲げて円筒状に成形した缶胴に対して缶底を巻締により一体化したスリーピース缶で実施することも可能である。
【0026】缶体1の缶胴11に貼着されるフィルムシート2は、図2に示すように、熱可塑性樹脂フィルム21を本体とし、該熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面(缶胴11に貼着したときに表側となる面)に、滑剤を含有した熱硬化性樹脂のオーバーコート層22が形成されていると共に、該熱可塑性樹脂フィルム21の他方の面(缶胴11に貼着したときに裏側となる面)に、印刷層23と接着層24が順次形成されているものである。
【0027】フィルムシート2の本体となる熱可塑性樹脂フィルム21は、具体的には、ポリエチレンテレフタレート樹脂,ポリブチレンテレフタレート樹脂などのポリエステル系樹脂、ポリエチレンテレフタレートとイソフタル酸との共重合体などからなる共重合ポリエステル系樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリスチレン樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン共重合体などのうちから選ばれた透明な高分子樹脂単体、あるいは上記樹脂の複合体からなる熱可塑性樹脂フィルムであって、熱可塑性樹脂フィルム21の厚さについては、材質の違いなどによって適宜決定される。
【0028】なお、この熱可塑性樹脂フィルム21については、加熱状態の缶体1の缶胴11に対してフィルムシート2を貼着する際に、本実施形態の製造方法では、その本接着工程で、例えば60kgf/cm程度の線圧力で缶胴11の周方向に加圧されることとなるため、ある程度展延し、且つ、耐熱性のあるポリエチレンテレフタレート樹脂を用いることが好ましく、その場合の熱可塑性樹脂フィルム21の厚さは10〜30μm程度がよい。
【0029】熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面(表面)に形成されているオーバーコート層22は、エポキシ−アミノ系樹脂,エポキシ−メラミン系樹脂,ポリエステル−アミノ系樹脂などの熱硬化性樹脂に対して、シリコンやワックスなどの滑性剤を0.1〜3重量%配合させたものであって、厚さ1μm程度となるように塗布されている。
【0030】熱可塑性樹脂フィルム21の他方の面(裏面)に形成される印刷層23は、熱硬化性のウレタン系樹脂からなるインキを使用したものであって、その印刷方法としては、グラビア印刷,フレキソ印刷,オフセット印刷等、各種の印刷方法を適宜選択可能であるが、色数を豊富に使って色調豊かで美麗な文字や模様を印刷したい場合には、グラビア印刷により印刷層23を形成するのがよい。
【0031】印刷層23を覆う接着層24は、加熱と加圧により密着し易く、且つ、印刷層23に使用されるインキとの密着性が良好な熱硬化性樹脂の接着剤によって形成されるもので、特に、本実施形態の製造方法における加圧による本接着工程で、図6に示すような仮接着工程でフィルムシート2の重ね合わせ部20の内側端部にできる段差空隙部26に、接着層24をはみ出させ易くするためには、ガラス転移点(Tg)が−10℃〜+40℃の流動性の良い熱硬化性接着剤、具体的には、ポリエステル樹脂とエポキシ樹脂およびアミノ樹脂とを配合した接着剤を使用するのが好ましい。
【0032】この接着層24は、印刷層23の全面に対して設けることが好ましく、上記のような接着剤を使用する場合、少なくとも、50mg/dm2 で全面塗布することとし、好ましくは、90〜110mg/dm2 で厚盛りする。
【0033】上記のような各材料により構成されているフィルムシート2の一例としては、厚さ12μmのポリエチレンテレフタレート樹脂フィルム21の一方の面に、エポキシ系樹脂(シリコン0.05重量%,ワックス2.0重量%含有)からなる厚さ1μmの熱硬化性のオーバーコート層22が形成されていると共に、他方の面に、ウレタン系樹脂からなるインキでグラビア印刷した厚さ3μmの印刷層23と、ポリエステル系樹脂とイソシアネート系樹脂とアミノ系樹脂(配合比94:3:3)とからなる厚さ5μmの熱硬化性接着層24とがそれぞれ形成されているようなものがある。
【0034】そのようなフィルムシート2は、図1(A)に示すように、フィルムシート2の両端部同士が重ね合わせ部20で互いに重ね合わされる状態で、接着層24を介して熱接着により、円筒状の缶胴11と缶底12とが一体的に形成された状態の金属製缶体1に対して、その缶胴11に貼着される。
【0035】その場合、通常は、図7に示すように、フィルムシート2の両端部同士の重ね合わせ部20では、その下側となる部分には、オーバーコート層22が全く存在しておらず、その上側となる部分の下面にある接着層24が、下側部分の熱可塑性樹脂フィルム21に直接接着されていると共に、重ね合わせ部20の上側部分にも、その上面に部分的にオーバーコート層22が存在していない。
【0036】缶体1の缶胴11に貼着されるフィルムシート2の両端部同士の重ね合わせ部20が、上記のような状態となるように設定されている本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法について、以下に説明する。
【0037】缶体1に貼着するための印刷済みのフィルムシート2を形成するために、本実施形態では、コイル巻きされた状態で提供される熱可塑性樹脂フィルム21の長尺フィルムを解きながら走行させて、オーバーコート層22を形成するための塗布ローラー(未塗装部を形成するために外周面に溝部を有する)や、印刷層23を形成するための印刷ローラーや、接着層24を形成するための塗布ローラーに順次挟持させて連続的に送り出すことにより、それらのローラーの高速回転に連れて、例えば、100〜150m/分のような高速で走行させている。
【0038】それにより、図3にフローチャートで示すように、まず、その一方の面(表面)に、グラビアコート等により幅広な塗装部を幅狭な直線状の未塗装部が形成されるように、オーバーコート用樹脂を塗布し、加熱乾燥してオーバーコート層22を連続的に形成してから、その他方の面(裏面)にグラビア印刷等により印刷を施して印刷層23を連続的に形成し、更に、該印刷層23の裏側を全面的に覆うように、接着剤を塗布して接着層24を連続的に形成した後、印刷層23と接着層24とを加熱乾燥してからロールに巻き取る。
【0039】ついで、熱可塑性樹脂フィルム21の一方の面にオーバーコート層22が形成され、他方の面に印刷層23と接着層24とが形成され、ロール巻きされた長尺フィルムを、解きながら走行させ、その横幅(印刷された文字や装飾模様の縦横からみて横となる方向の長さ)が缶体1の缶胴周長よりもやや長くなるように、連続的に一缶分毎のフィルムシート2として切断することによって、缶体1に貼着される大きさの多数のフィルムシート2を連続的にフィルム貼着装置に対して提供する。
【0040】そして、該フィルム貼着装置において、連続的に加熱されながら送られてくる有底円筒状の金属製缶体1に対して、連続的に供給されたそれぞれのフィルムシート2を、加熱されたそれぞれの缶体1の円筒状の缶胴11に、接着層23により貼付して仮接着し、更に、接着層23が固化する前にロールで押圧することにより本接着して、有底円筒状のフィルム貼着缶体としてから、内面塗装やネックイン加工などのその後の加工工程に送り出す。
【0041】図4は、缶体1に貼着される大きさとして供給された各フィルムシート2を、連続的に各缶体1の缶胴11に対して貼着するためのフィルム貼着装置の概略を示すもので、この装置4には、多数のマンドレル41が、互いに一定間隔を維持した状態で、所定半径の円周上を移動するように配列されており、それぞれのマンドレル41は、対象とする缶体1の缶胴11の内径よりも若干小径の円柱状の部材であって、それぞれの中心軸線を中心として自転可能とされている。
【0042】各マンドレル41が移動する円周の所定位置には、円筒状の缶胴11に缶底12が一体的に形成された缶体1を一列に並べて連続的に搬送する搬送手段3が接続された缶体供給ステーション42が設けられており、該供給ステーション42において、搬送手段3により送り込まれてきた金属製の各缶体1は、その缶底12を押込手段(図示せず)により押されることで、それぞれマンドレル41に嵌着されて受け渡される。
【0043】供給ステーション42に続くマンドレル41の移動方向前方には、マンドレル41が移動する円周の外側に、高周波誘導加熱装置のような加熱装置43が、所定の範囲に渡って配置されており、各マンドレル41は、該範囲を移動中には自転するように構成されていて、マンドレル41が該範囲を移動中に、マンドレル41に保持された状態の缶体1は、加熱装置43によって、その缶胴11全体が一様に約150〜160℃程度となるように加熱される。
【0044】加熱装置43に続くマンドレル41の移動方向前方には、加熱装置43に隣接して仮接着ステーション44が設けられており、この仮接着ステーション44には、送られてくる一缶分毎の大きさのフィルムシート2を連続的に受け取りつつ、受け取ったフィルムシート2を連続的に各缶体1に提供しながら、各缶体1の缶胴11表面にフィルムシート2を連続的に貼付するような貼付ロール45が、マンドレル41が移動する円周の外側に配置されている。
【0045】貼付ロール45は、マンドレル41の移動に同期して自転するもので、自転しながら、一缶分毎の大きさに切断された後で連続的に送られてくる各フィルムシート2を、それぞれ接着層24が外側を向くように、該ロール45の外周面に一定間隔をあけて連続的に吸着して保持すると共に、外周面に吸着して保持したフィルムシート2を、送られてくる各缶体1に対して、例えば、100m/分程度の高速で連続的に供給しつつ、30kgf/cm程度の線圧力により、その接着層24を介して連続的に各缶体1のそれぞれの缶胴11の表面に貼付させるものである。
【0046】なお、この貼付ロール45の貼付圧力については、貼付ロール45とマンドレル41の間隔を調整することにより適宜変更可能であり、また、貼付ロール45のフィルムシート吸着保持手段については、例えば真空吸着,静電気吸着など、従来知られている種々の手段が採用可能である。
【0047】仮接着ステーション44に続くマンドレル41の移動方向前方には、仮接着ステーション44で缶胴11に貼付されたフィルムシート2を更に強固に接着させるための本接着ステーション46が設けられており、この本接着ステーション46には、マンドレル41が移動する円周の外側に、フィルムシート2が貼付された状態の缶胴11の表面を押圧するための加圧ロール47が配置されている。
【0048】加圧ロール47は、加熱装置43によって加熱された缶体1が放冷しない程度、すなわち、フィルムシート2の接着層24が固化する程度に温度が低下しない範囲で、仮接着ステーション44に近接して配置されており、この加圧ロール47には、該ロール47をマンドレル41に対して押し付けるような加圧力が与えられていて、その加圧力については、仮接着ステーション44での加圧力の1.5〜2倍であって、例えば、線圧力で60kgf/cm程度、少なくとも線圧力で40kgf/cm以上となるように設定されている。
【0049】それにより、図6に示すように、仮接着ステーション44でフィルムシート2が貼付された缶体1には、フィルムシート2の重ね合わせ部20の内側端部に、フィルムシート2の厚さに応じた段差空隙部26が生じているが、缶体1を自転させながら、上記のような加圧ロール47でその缶胴表面を加圧することにより、接着層24が段差空隙部26にはみ出して、図7に示すように、段差空隙部26が接着層24により埋められて本接着の状態となる。
【0050】本接着ステーション46に続くマンドレル41の移動方向前方で、缶体供給ステーション42に至るまでの所定位置には、缶体1を一列に並べて搬送する搬送手段5が接続された缶体排出ステーション48が設けられており、該排出ステーション48において、フィルム貼着済みの缶体1は、エアーなどの周知の排出手段によりマンドレル41から抜き取られて搬送手段5に送り出され、内面塗装を施すための工程を経て、ネックイン加工やフランジ加工を行う工程に送られることとなる。
【0051】ところで、上記のようなフィルム貼着装置4により、連続的に送られてくる金属製の各缶体1に対して、それぞれにフィルムシート2を連続的に供給して貼着させるような本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法において、フィルム貼着装置4の貼付ロール45に対して連続的に供給されるそれぞれのフィルムシート2は、例えば、図10に示すように、すでにオーバーコート層22を施した印刷済みの長尺フィルム2Aを、連続的に一缶分毎に(図中に一点鎖線の示した位置で)切断したものである。
【0052】そのような長尺フィルム2Aについて、本実施形態の製造方法では、該長尺フィルム2Aに対してオーバーコート層22を形成するに当たり、長尺フィルム2Aの全面にオーバーコート層22を施すのではなく、切断されたフィルムシート2を缶胴11に貼着したときに重ね合わせ部20を構成するフィルムシート両端部となる予定部分に対して、重ね合わせ部20の幅(予定部分の幅の1/2の幅)よりも大きな幅で、図10に示すように、長尺フィルム2Aに対してオーバーコート層22が存在しない部分(すなわち、表面に熱可塑性樹脂フィルム21が露出しているオーバーコート未塗装部28)を設けている。
【0053】なお、図10に示すようなオーバーコート未塗装部28を形成するには、ローラーの外周面に、所定の間隔で未塗装部28の幅をもつ溝部を、ローラーの軸と平行に形成したような塗布ローラーを使用する。
【0054】そして、そのような長尺フィルム2Aのオーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)において、図6および図7に示すような、切断されたフィルムシート2を缶胴表面に貼着したときに、重ね合わせ部20の下側となる部分に全くオーバーコート層22が存在せず、且つ、重ね合わせ部20の上側となる部分にも少なくとも部分的にオーバーコート層22が存在しない状態となるように、一缶分毎の大きさのフィルムシート2に切断するときの長尺フィルム2Aの切断位置を予め設定している。
【0055】すなわち、具体的には、図5に示すように、長尺フィルム2Aのオーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)の幅を、重ね合わせ部20の幅D1に対して、更に、予測される実際の切断位置のバラツキの最大幅D2 を加えた大きさのものにすると共に、重ね合わせ部20の下側部分となる側のオーバーコート層22の端部22aから、重ね合わせ部20の幅D1 と、予測される実際の切断位置のバラツキの幅D2 の1/2の幅とを合計した幅(D1 +D2 /2)だけ離れた位置を、長尺フィルム2Aの切断位置Xとして予め設定しておくものである。
【0056】重ね合わせ部20の幅に対するオーバーコート層22が存在しない部分の幅の大きさや、オーバーコート層22が存在しない部分における切断位置Xの設定については、実際の切断位置のバラツキ程度の相違(長尺フィルムの滑りに起因する送り速度のバラツキ,フィルム樹脂の種類,外気温度の違い等の要因によってバラツキの程度が変わる)によって適宜変更されるもので、実際の切断位置のバラツキが大きい程、オーバーコート層22が存在しない部分の幅をより大きくすることが必要となる。
【0057】なお、本実施形態では、長尺フィルム2Aにおいて、オーバーコート層22が存在しない部分(未塗装部28)を、図10に示すように、長尺フィルム2Aの走行方向(長手方向)に対して直交する方向に形成しているが、図11に示すように、該部分28を長尺フィルム2Aの走行方向(長手方向)と平行に連続して形成する(その場合、ローラー外周面の溝部をローラーの軸と直交する方向に形成した塗布ローラーを使用する)ことも可能であり、また、一本の長尺フィルム2Aに対して何列のフィルムシート2を区画するかも適宜変更可能である。
【0058】また、熱可塑性樹脂フィルム21にオーバーコート層22を塗布するためのロールについては、単なる塗布ロールの場合には、図11に示すようなストライプ(未塗装部28を長尺フィルム2Aの走行方向と平行に設けるもの)のみであるが、該ロールがグラビア印刷の場合に使用されるものと同じグラビアコートロールである場合には、図10に示すようなスポット(未塗装部28をを長尺フィルム2Aの走行方向と直交させて設けるもの)と図11に示すようなストライプとの両方が可能である。
【0059】上記のような本実施形態のフィルム貼着缶体の製造方法によれば、高速で走行する印刷済みの長尺フィルム3を、一缶分毎の大きさのフィルムシート2に切断してから各缶体1に連続的に供給するときに、該長尺フィルム2Aがその走行中に若干伸びたりして、その実際の切断位置が設定された切断位置X(図5参照)からずれたとしても、切断されたフィルムシート2を缶体1に貼着したときに、切断位置Xが最も右にずれた(右にD2 /2ずれた)場合、および、切断位置Xが最も左にずれた(左にD2 /2ずれた)場合でも、図8および図9によりそれぞれ示すように、その重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22が確実に存在しないため、当該部分の接着が確実に行われて、その後のネックイン加工やフランジ加工時に、缶体1に貼着されたフィルムシート2が、その重ね合わせ部20から剥離するようなことがない。
【0060】ところで、本実施形態によれば、フィルム貼着済みの缶体の缶胴には、重ね合わせ部20で上側となる部分と重ね合わせ部20の近傍とで、予測される実際の切断位置のバラツキ幅D2 の分だけオーバーコート層22の存在しない隙間が生じることとなるが、このオーバーコート層22の隙間は、重ね合わせ部20の下側部分にオーバーコート層22を確実に存在させないための必要最小限のものであって、殆ど影響がない程度の僅かなものであることから、缶胴表面の保護や滑り性という点からは全く問題にならない程度のものである。
【0061】一方、本実施形態では、フィルム貼着済みの缶体の缶胴に、上記のようにその周方向でオーバーコート層22に僅かな隙間が生じるものの、印刷層23については全く隙間を生じることはないため、缶胴の途中で印刷模様が僅かでも途切れて外観上見栄えの悪いものとなるというようなことは全くない。
【0062】この点に関して、先に引用した特開平4−57747号公報中に開示されている、重ね合わせ部の下側となる部分に印刷層とオーバーコート層を設けないような場合では、仮に、本発明のように、長尺フィルムの切断位置のずれを考慮に入れて、印刷層およびオーバーコート層を設けない範囲を僅かでも拡大させたとすれば、図13に示すように、缶体1にフィルムシート2を貼着したときに、直ちにその分だけ印刷層に隙間D3 が生じて、缶胴の途中で印刷模様が途切れた外観上見栄えの悪いものとなってしまう。
【0063】このことからも、先に引用した特開平4−57747号公報中に開示されている技術思想では、本発明のように長尺フィルムの切断位置のずれを考慮に入れてオーバーコート層の存在しない部分を設けるというが全く考えられていないことは明白である。
【0064】また、本実施形態では、オーバーコート層22にシリコンやワックスなどの滑性剤が含有されているため、缶体外面の滑り性が向上して、その後の工程での缶体の搬送性が向上すると共に、オーバーコート層22が熱硬化性樹脂であるため、缶詰製造工程の加熱殺菌時にフィルムが熱収縮を起こしたり、表面にオリゴマーが析出して印刷効果を減殺するというようなこともない。
【0065】さらに、本実施形態によれば、加熱された缶体1の缶胴表面に対するフィルムシート2の貼着を、まず、フィルムシート2を接着層24により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層24が固化する前に加圧ロール47で押圧することにより本接着を行っているため、図6に示すような、フィルムシート2の厚さに応じて重ね合わせ部20の内側端部に生じる段差空隙部26が、図7に示すように、接着層24からの接着剤のはみ出しによって埋められることとなって、重ね合わせ部20での段差空隙部26によるフィルムシート2と缶体1との接着の弱化が効果的に防止されている。
【0066】以上、本発明のフィルム貼着缶体の製造方法の一実施形態について説明したが、本発明は、上記のような実施形態にのみ限定されるものではなく、長尺フィルム2Aの切断位置Xを、上記の実施形態と同様に、切断位置のバラツキ幅D2 の1/2に重ね合わせ部20の幅D1 を加えた幅(D1 +D2 /2)だけ、重ね合わせ部20の下側部分となる側のオーバーコート層22の端部22aから離れた位置に設定しておく限りにおいて、例えば、長尺フィルム2Aに設けるオーバーコート層が存在しない部分(未塗装部28)の幅が、予測される実際の切断位置のバラツキ幅D2 に重ね合わせ部の幅D1 を加えた幅(D1 +D2 )より小さくても実施可能な場合がある。
【0067】すなわち、そのような場合でも、切断位置Xが、予定よりも仮にD2 /2だけ右にずれても、左にずれても、重ね合わせ部20の接着合面の外端(上側部分の端部と重なっている下側部分)にオーバーコート層22が入り込むことはは確実に防止できて、重ね合わせ部20の端から剥れてくるということは確実に防止できる。
【0068】一方、そのような場合には、実際の切断位置が右にずれたときには、重ね合わせ部20の接着合面の内端(下側部分の端部)付近にオーバーコート層22が僅かに(D1 +D2 よりも小さくなった分だけ、すなわち、仮に未塗装部28の幅を最小のD1 +D2 /2とすると、最大D2 /2だけ)入り込む可能性があり、その分だけ重ね合わせ部20の接着部の幅が減少することとなるが、該接着部幅が減少しても缶胴表面と広い幅で接触しており、しかも重ね合わせ部20の接着合面の外端部分が良く接着していて、金属面の露出もないので、実質的にあまり問題となることはない。
【0069】
【発明の効果】以上説明したような本発明のフィルム貼着缶体の製造方法によれば、高速で走行させながらオーバーコート層や印刷層などを連続的に形成させた合成樹脂の長尺フィルムを、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから、各缶体に対して連続的に供給するような場合にも、缶胴の途中で印刷模様が途切れて外観上の見栄えを悪くするようなことなく、しかも、缶体に貼着されるフィルムシートの重ね合わせ部の接着合面に対し、オーバーコート層を存在させないようにして、当該部分の接着性を確保することができるため、その後のネックイン加工やフランジ加工において、缶体に貼着されたフィルムの重ね合わせ部での皺や剥離の発生を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体の(A)ネックイン加工前の状態、および(B)ネックイン加工後の状態をそれぞれ示す側面図。
【図2】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法に使用されるフィルムシートの積層構造を示す断面図。
【図3】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法において要部となる製造工程を示すフローチャート。
【図4】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法に使用されるフィルム貼着装置の一例を示す概略説明図。
【図5】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムのオーバーコート層が存在しない部分と、当該部分における切断設定位置とを示す断面図。
【図6】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部の仮接着状態を示す縦断面図。
【図7】本発明の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部の本接着状態を示す断面図。
【図8】図7に示したフィルムシート重ね合わせ部の長尺フィルムの切断位置がずれた場合の一例を示す断面図。
【図9】図7に示したフィルムシート重ね合わせ部の長尺フィルムの切断位置がずれた場合の他の例を示す断面図。
【図10】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムの一例を示す平面図。
【図11】本発明のフィルム貼着缶体の製造方法における長尺フィルムの他の例を示す平面図。
【図12】従来の製造方法により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部を示す断面図。
【図13】図12に示した従来例に基づく比較例により製造されるフィルム貼着缶体のフィルムシート重ね合わせ部を示す断面図。
【符号の説明】
1 金属製缶体
2 フィルムシート
2A 長尺フィルム
11 缶胴
20 重ね合わせ部
21 フィルム本体(熱可塑性樹脂フィルム)
22 オーバーコート層
23 印刷層
24 接着層
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方の面にオーバーコート層が形成され、他方の面に印刷層と接着層が形成された合成樹脂フィルムの長尺フィルムを、有底筒状の金属製缶体に対して、その横幅が缶胴の周長よりもやや長くなるように、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから供給し、加熱された缶体の缶胴表面に対して、供給されたフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるように、接着層を介して熱接着により貼着してから、該有底筒状でフィルム貼着済みの缶体に対して変形加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法において、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅よりも大きな幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくと共に、重ね合わせ部の下側部分となる側のオーバーコート層の端部から、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅だけ離れた位置を、長尺フィルムの切断位置として設定しておくことを特徴とするフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項2】 有底筒状の金属製缶体が、金属板から絞りしごき加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項3】 オーバーコート層が、滑性剤を含有させた熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項4】 加熱された缶体の缶胴表面に対するフィルムシートの貼着が、まず、フィルムシートを接着層により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層が固化する前に、フィルムシートを貼付した缶胴表面をロールで押圧することにより行われることを特徴とする請求項1乃至3に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項5】 長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくことを特徴とする請求項1乃至4に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項1】 一方の面にオーバーコート層が形成され、他方の面に印刷層と接着層が形成された合成樹脂フィルムの長尺フィルムを、有底筒状の金属製缶体に対して、その横幅が缶胴の周長よりもやや長くなるように、一缶分毎の大きさのフィルムシートに切断してから供給し、加熱された缶体の缶胴表面に対して、供給されたフィルムシートを、その両端部同士を重ね合わせるように、接着層を介して熱接着により貼着してから、該有底筒状でフィルム貼着済みの缶体に対して変形加工を施すようにしたフィルム貼着缶体の製造方法において、長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅よりも大きな幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくと共に、重ね合わせ部の下側部分となる側のオーバーコート層の端部から、予測される実際の切断位置のバラツキの幅の1/2の幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅だけ離れた位置を、長尺フィルムの切断位置として設定しておくことを特徴とするフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項2】 有底筒状の金属製缶体が、金属板から絞りしごき加工により缶胴と缶底が一体的に成形されるツーピース缶であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項3】 オーバーコート層が、滑性剤を含有させた熱硬化性樹脂からなることを特徴とする請求項1又は2に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項4】 加熱された缶体の缶胴表面に対するフィルムシートの貼着が、まず、フィルムシートを接着層により缶胴表面に貼付してから、更に、接着層が固化する前に、フィルムシートを貼付した缶胴表面をロールで押圧することにより行われることを特徴とする請求項1乃至3に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【請求項5】 長尺フィルムの重ね合わせ部予定部分に対して、予測される実際の切断位置のバラツキの幅に重ね合わせ部の幅を加えた幅で、オーバーコート層の存在しない部分を設けておくことを特徴とする請求項1乃至4に記載のフィルム貼着缶体の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図12】
【図11】
【図13】
【特許番号】特許第3349038号(P3349038)
【登録日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【発行日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願平8−130916
【出願日】平成8年4月26日(1996.4.26)
【公開番号】特開平9−295639
【公開日】平成9年11月18日(1997.11.18)
【審査請求日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【参考文献】
【文献】特開 平8−85582(JP,A)
【文献】特開 平9−11329(JP,A)
【登録日】平成14年9月13日(2002.9.13)
【発行日】平成14年11月20日(2002.11.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成8年4月26日(1996.4.26)
【公開番号】特開平9−295639
【公開日】平成9年11月18日(1997.11.18)
【審査請求日】平成13年2月27日(2001.2.27)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【参考文献】
【文献】特開 平8−85582(JP,A)
【文献】特開 平9−11329(JP,A)
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