説明

フィルム

【課題】吸湿性や透湿性が低く、適度な硬度を有し、光学特性が制御しやすいフィルムの提供。
【解決手段】少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを含むフィルム形成材料を製膜して得られるヘイズ値5%以下のフィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、環状オレフィン系樹脂を用いたフィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
偏光板は、ヨウ素または二色性染料をポリビニルアルコールに配向吸着させた偏光膜の両側に保護フィルムを張り合わせることにより製造される。該保護フィルムとしてセルローストリアセテートを主成分とするものが、強靭性、難燃性、光学的等方性が高い(レターデーション値が低い)などの特徴により広く使用されている。液晶表示装置は、偏光板と液晶セル等から構成され、特許文献1に記載のように、光学補償シート(光学補償フィルムとも言う。)を偏光板と液晶セルの間に挿入することにより、表示品位の高い液晶表示装置が実現されている。
【0003】
しかし、セルローストリアセテートフィルムは水分の吸収が多く、そのため、寸度安定性に劣り、光学補償性能が変化したり、偏光子との間に剥離が生じたりしやすいという問題点があった。また、セルローストリアセテートフィルムは延伸しても光学特性が出にくいという問題点もあった。
【0004】
環状オレフィンフィルムは、セルローストリアセテートフィルムの吸湿性や透湿性を改良できるフィルムとして注目され、熱溶融製膜及び溶液製膜による偏光板保護フィルムの開発が行われている。また、環状オレフィンフィルムは、高い光学特性の発現性を有しており、さらには温湿度変化による光学特性の変化が少なく位相差膜(位相差フィルムとも言う。)としての開発が行われている(特許文献2〜4)。
【0005】
しかし、環状オレフィン系樹脂フィルムは、表面硬度が低く、弾性率が低い、脆いという欠点がある。さらに、環状オレフィン系樹脂フィルムは、延伸によりRe、Rthがよく出るがその制御が難しく、僅かに延伸しただけでも分子の並びが不均一となり、フィルムをクロスニコルにしたときにムラが出るという問題点もあった。
【特許文献1】特開平8−50206号公報
【特許文献2】特開2003−212927号公報
【特許文献3】特開2002−114827号公報
【特許文献4】特開2007−9010号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、吸湿性や透湿性が低く、適度な硬度を有し、光学特性が制御しやすいフィルムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
下記の構成により前記課題は解決される。
1.少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを含むフィルム形成材料を製膜して得られるヘイズ値5%以下のフィルム。
2.前記環状オレフィン系樹脂BのSP値が、19.5以上23.0以下であることを特徴とする前記1に記載のフィルム。
3.前記環状オレフィン系樹脂Bと前記ポリマーAのSP値の差(ΔSP)の絶対値が、0≦|ΔSP|≦4.5の範囲を満たすことを特徴とする前記1または2に記載のフィルム。
4.前記ポリマーAが、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートであることを特徴とする前記1〜3のいずれかに記載のフィルム。
5.少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを溶剤に溶解し、得られた溶液を製膜して得られるフィルムであって、該溶剤の25℃における蒸気圧が250mmHg以上であることを特徴とする前記1〜4のいずれかに記載のフィルム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、吸湿性や透湿性が低く、適度な硬度を有し、光学特性が制御しやすいフィルムが提供される。本発明のフィルムは、とくに偏光板保護に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本明細書において、「(数値1)〜(数値2)」「(数値1)乃至(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。
また、環状オレフィン系樹脂は、環状ポリオレフィン系樹脂または環状ポリオレフィンとも称する。
【0010】
本発明のフィルムは、少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを含むフィルム形成材料を製膜して得ることができる。
【0011】
(ポリマーA)
ポリマーAは、固有複屈折が−0.02〜0.02の範囲である。
なお本明細書でいう固有複屈折(Δn0)とは、KOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)によって測定した面内レターデーションの値をRe、広角X線により測定した配向度をP2、膜厚をdとしたときに、Re=P2*d*Δn0で表すことができる。
固有複屈折が−0.02未満であると、環状オレフィン樹脂の発現する光学特性を打ち消してしまうためあまり好ましくない。逆に固有複屈折が0.02を超えると、延伸時の光学ムラがポリマーA単体延伸フィルムと比較して悪化するため好ましくない。
ポリマーAの固有複屈折は−0.01〜0.02であることが好ましく、0〜0.02であることがさらに好ましく、0.01〜0.02であることがとくに好ましい。
【0012】
配向度P2とはポリマーAの配向性を示すパラメータとしてX線回折測定により算出できる。X線回折測定は、理学電機工業(株)製 RAPID R−AXISを用い、X線源にはCuKα線を用い、40kV−36mAでX線を発生した。コリメーターは0.8mmφ、試料となるポリマーAフィルムは透過試料台を用いて固定した。測定は22℃、60%RHの条件で行った。検出したX線パターンからP2=<3cosβ−1>/2で定義されるポリマーAの配向度P2は、0.05〜0.30であることが好ましく、0.06〜0.30であることがより好ましく、0.08〜0.30であることが好ましい。なお、配向度P2の上限値は1.0である。ただし、上記式中、<cosβ>=∫(0、π)cosβI(β)sinβdβ/∫(0、π)I(β)sinβdβである。
なお、上記式中、βは入射するX線の入射面と、透明支持体(ポリマーAフィルム)面内のある1方向とのなす角度であり、Iは角度βで測定したX線回折チャートにおける2θ=8°での回折強度である。また、高温延伸後のポリマーAフィルムには、結晶化に由来すると考えられるX線回折のピークが現れており、ポリマーAフィルムの結晶化が、所望のRe発現に有効である。
【0013】
とくに好適なポリマーAとしては、セルロースアシレートが挙げられる。このようなセルロースアシレートとしては、アシル基の置換度が2.50〜2.98のものが挙げられ、アシル基がアセチル基、プロピオニル基およびブチリル基から選ばれる少なくとも一つのものである。具体的にはセルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、セルロースプロピオネート、セルロースブチレート、セルロースアセテートプロピオネートブチレート等を挙げることができ、本発明においては、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートおよびセルロースアセテートブチレートが好ましい。アセチル基の置換度が1.40以上であることが好ましい。セルロースアシレートの原料となるセルロースは特に限定はなく、綿花リンター、木材パルプ、ケナフなどを用いることができる。これらを混合して使用してもよい。綿花リンターから合成されたセルロースアシレートの比率が60質量%以上であることが好ましく、85質量%以上がさらに好ましく、100質量%であることが最も好ましい。セルロースアシレートの合成方法は、特に限定はないが、例えば、特開平10−45804号公報に記載の方法で合成することが出来る。アシル基の置換度の測定方法は、ASTM−D817−96により測定することが出来る。セルロースアシレートの数平均分子量は、偏光板用保護フィルムとして好ましい機械的強度を得るためには、70,000〜300,000が好ましく、更に80,000〜200,000が好ましい。
【0014】
(環状オレフィン系樹脂B)
環状オレフィン系樹脂Bとは、環状ポリオレフィン構造を有する重合体樹脂を表す。
本発明に用いる環状オレフィン構造を有する重合体樹脂の例には、(1)ノルボルネン系重合体、(2)単環の環状オレフィンの重合体、(3)環状共役ジエンの重合体、(4)ビニル脂環式炭化水素重合体、及び(1)〜(4)の水素化物などがある。好ましく用いられる重合体樹脂は、下記一般式(7)で表される繰り返し単位を少なくとも1種以上含む付加(共)重合体環状ポリオレフィンおよび必要に応じ、一般式(6)で表される繰り返し単位の少なくとも1種以上を更に含んでなる付加(共)重合体環状ポリオレフィンである。また、一般式(8)で表される環状繰り返し単位を少なくとも1種含む開環(共)重合体も好適に使用することができる。
【0015】
【化1】

【0016】
式中、mは0〜4の整数を表す。R1〜R6は水素原子又は炭素数1〜10の炭化水素基、X1〜X3、Y1〜Y3は水素原子、炭素数1〜10の炭化水素基、ハロゲン原子、ハロゲン原子で置換された炭素数1〜10の炭化水素基、−(CHCOOR11、−(CHOCOR12、−(CHNCO、−(CH2NO2、−(CH2CN、−(CH2CONR1314、−(CHNR1314、−(CH2OZ、−(CHW、またはX1とY1あるいはX2とY2あるいはX3とY3から構成された(−CO)2O、(−CO) 2NR15を示す。なお、R11、R12、R13、R14、R15は水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基、Zは炭化水素基またはハロゲンで置換された炭化水素基、WはSiR163−p(R16は炭素数1〜10の炭化水素基、Dはハロゲン原子、−OCOR15または−OR16、pは0〜3の整数を示す)、nは0〜10の整数を示す。
【0017】
1〜X3、Y1〜Y3の置換基に分極性の大きい官能基を導入することにより、フィルムの厚さ方向レターデーション(Rth)を大きくし、面内レターデーション(Re)の発現性を大きくすることが出来る。Re発現性の大きなフィルムは、製膜過程で延伸することによりRe値を大きくすることができる。
【0018】
ノルボルネン系付加(共)重合体は、特開平10−7732号公報、特表2002−504184号公報、US2004229157A1号明細書あるいは国際公開第2004/070463A1号パンフレット等に開示されているものを用いることができる。ノルボルネン系多環状不飽和化合物同士を付加重合する事によって得られる。また、必要に応じ、ノルボルネン系多環状不飽和化合物と、エチレン、プロピレン、ブテン、ブタジエン、イソプレンのような共役ジエン;エチリデンノルボルネンのような非共役ジエン;アクリロニトリル、アクリル酸、メタアクリル酸、無水マレイン酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、マレイミド、酢酸ビニル、塩化ビニルなどの線状ジエン化合物とを付加重合することもできる。このノルボルネン系付加(共)重合体としては、市販品を用いることもできる。具体的には、三井化学(株)よりアペルの商品名で発売されており、ガラス転移温度(Tg)の異なる例えばAPL8008T(Tg70℃)、APL6013T(Tg125℃)あるいはAPL6015T(Tg145℃)などのグレードがある。ポリプラスチック(株)よりTOPAS8007、同6013、同6015などのペレットが発売されている。更に、Ferrania社よりAppear3000(Appear3K)が発売されている。
【0019】
ノルボルネン系重合体水素化物は、特開平1−240517号公報、特開平7−196736号公報、特開昭60−26024号公報、特開昭62−19801号公報、特開2003−1159767号公報あるいは特開2004−309979号等公報に開示されているように、多環状不飽和化合物を付加重合あるいはメタセシス開環重合したのち水素添加することにより作られるものを用いることができる。本発明に用いるノルボルネン系重合体において、R5〜R6は水素原子又は−CH3が好ましく、X3、及びY3は水素原子、Cl、−COOCH3が好ましく、その他の基は適宜選択される。このノルボルネン系樹脂は、市販品を用いることもでき、具体的にはJSR(株)からアートン(Arton)GあるいはアートンFという商品名で発売されており、また日本ゼオン(株)からゼオノア(Zeonor)ZF14、ZF16、ゼオネックス(Zeonex)250あるいはゼオネックス280という商品名で市販されており、これらを使用することができる。
【0020】
前記環状オレフィン系樹脂Bは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した質量平均分子量(Mw)は、ポリスチレン分子量換算で10万〜50万であることが好ましく、15万〜45万であることがより好ましく、20万〜40万であることがさらに好ましい。また、分子量分布(Mw/Mn;MnはGPCにより測定した数平均分子量)は10以下であることが好ましく、より好ましくは5.0以下、さらに好ましくは3.0以下である。ガラス転移温度(Tg;DSCにより測定)は50〜350℃であることが好ましく、より好ましくは80〜330℃、さらに好ましくは100〜300℃の範囲にある。
【0021】
また、前記環状オレフィン系樹脂BのSP値は、19.5以上23.0以下であることが好ましい。この範囲であれば、混合した際の光学特性の湿度依存性を改良できる。さらに好ましいSP値範囲は、20以上22以下である。
なおSP値(溶解度パラメータ)は、凝集エネルギー密度の平方根で定義される数値であり、分子間力を表している。該SP値はポリマーや溶媒などの低分子化合物の極性を定量化できる一つの表示方法であり、下記に示す計算によっても、あるいは実測によっても得ることができる。
SP値(δ)=(ΔEv/V)1/2
上式において、ΔEvはモル蒸発エネルギーを、Vはモル体積を表す。
また、上記ΔEv及びVとしては、ROBERT F.FEDORS著「POLYMER ENGINEERING AND FEBRUARY」(Vol.14、No.2、151〜153頁、1974年)に記載の原子団のモル蒸発熱(△ei)の合計(ΔEv)とモル体積(vi)の合計(V)を用いることもできる。
本発明でのSP値は全てHoy法により算出した値を用いた。
【0022】
また本発明では、環状オレフィン系樹脂Bと前記ポリマーAのSP値の差(ΔSP)の絶対値が、0≦|ΔSP|≦4.5の範囲を満たすことが好ましい。この範囲であれば、2つのポリマーを混合した時に相分離を起こしにくい。さらに好ましいΔSP値範囲は、0≦ΔSP≦3.5であり、とくに好ましくは0≦ΔSP≦2.5である。
【0023】
本発明におけるフィルム形成材料は、上記のポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを少なくとも含むものであるが、その配合割合は、ポリマーA100質量部に対し、環状オレフィン系樹脂Bを0.1〜40質量部、好ましくは2〜30質量部、さらに好ましくは5〜20質量部使用するのがよい。
【0024】
(添加剤)
本発明のフィルム形成材料には、添加剤を含有することができる。添加剤として、下記一般式(1)〜(5)で表される添加剤のうち、少なくとも1種を含有してもよい。
【0025】
【化2】

【0026】
【化3】

【0027】
先ず、一般式(1)および(2)の添加剤について説明する。
上記一般式(1)において、R1はアルキル基またはアリール基を表し、R2およびR3は、それぞれ独立に、水素原子、アルキル基またはアリール基を表す。また、R1、R2およびR3の炭素原子数の総和が10以上であることが特に好ましい。また、一般式(2)中、R4およびR5は、それぞれ独立に、アルキル基またはアリール基を表す。また、R4およびR5の炭素原子数の総和は10以上であり、各々、アルキル基およびアリール基は置換基を有していてもよい。置換基としてはフッ素原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が好ましく、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、スルホン基およびスルホンアミド基が特に好ましい。また、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素原子数1乃至25のものが好ましく、6乃至25のものがより好ましく、6乃至20のもの(例えば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル、アミル、イソアミル、t−アミル、ヘキシル、シクロヘキシル、ヘプチル、オクチル、ビシクロオクチル、ノニル、アダマンチル、デシル、t−オクチル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、ジデシル)が特に好ましい。アリール基としては炭素原子数が6乃至30のものが好ましく、6乃至24のもの(例えば、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、ナフチル、ビナフチル、トリフェニルフェニル)が特に好ましい。一般式(1)または一般式(2)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0028】
【化4】

【0029】
【化5】

【0030】
【化6】

【0031】
【化7】

【0032】
【化8】

【0033】
次に、一般式(3)、(4)、(5)の添加剤について説明する。
式(3)中、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。また、アルキル基及びアリール基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
式(4)中、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。また、アルキル基はそれぞれ置換基を有していてもよい。
式(5)中、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す。X31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表す)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。a、b、c及びdは0以上の整数であり、a+b+c+dは2以上である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。
【0034】
上記一般式(3)において、R11はアリール基を表す。R12及びR13は、それぞれ独立に、アルキル基又はアリール基を表し、少なくとも一方はアリール基である。R12がアリール基であるとき、R13はアルキル基でもアリール基でもよいが、アルキル基であることがより好ましい。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。アリール基は炭素数が6〜36のものが好ましく、6〜24のものがより好ましい。
【0035】
上記一般式(4)において、R21、R22及びR23は、それぞれ独立にアルキル基を表す。ここで、アルキル基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよい。R21は環状のアルキル基であることが好ましく、R22及びR23の少なくとも一方が環状のアルキル基であることがより好ましい。アルキル基は炭素数が1〜20のものが好ましく、1〜15のものがさらに好ましく、1〜12のものが最も好ましい。環状のアルキル基としては、シクロヘキシル基が特に好ましい。
【0036】
上記一般式(3)及び(4)におけるアルキル基及びアリール基は、それぞれ置換基を有していてもよい。置換基としてはハロゲン原子(例えば、塩素、臭素、フッ素及びヨウ素)、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、スルホニルアミノ基、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びアシルアミノ基が好ましく、より好ましくはハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基であり、特に好ましくはアルキル基、アリール基、スルホニルアミノ基及びアシルアミノ基である。
【0037】
次に、一般式(3)又は(4)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
なお、(A− )と付してある化合物が一般式(3)で表される化合物の具体例であり、(B− )と付してある化合物が一般式(4)で表される化合物の具体例である。
【0038】
【化9】

【0039】
【化10】

【0040】
【化11】

【0041】
【化12】

【0042】
上記の化合物は、いずれも既知の方法により製造することができる。すなわち、一般式(3)及び一般式(4)の化合物は、縮合剤{例えばジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)など}を用いた、カルボン酸類とアミン類との脱水縮合反応、又はカルボン酸クロリド誘導体とアミン誘導体との置換反応などにより得ることができる。
【0043】
次に、前記一般式(5)で表される化合物について詳しく説明する。
上記一般式(5)において、R31、R32、R33及びR34は、それぞれ、水素原子、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。
【0044】
31、X32、X33及びX34は、それぞれ、単結合、−CO−及びNR35−(R35は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい)からなる群から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。X31、X32、X33及びX34の組み合わせは、特に限定されないが、−CO−、−NR35−から選ばれるのがより好ましい。a、b、c及びdは0以上の整数であり、0又は1であることが好ましく、a+b+c+dは2以上であり、2〜8であることが好ましく、より好ましくは2〜6、さらに好ましくは2〜4である。Z31は(a+b+c+d)価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z31の価数は2〜8が好ましく、2〜6がより好ましく、2〜4がさらに好ましく、2又は3が最も好ましい。有機基とは、有機化合物からなる基をいう。
【0045】
また、上記一般式(5)としては、好ましくは下記一般式(5−1)で表される化合物である。
一般式(5−1):R311−X311−Z311−X312−R312
【0046】
上記一般式(5−1)において、R311及びR312は、それぞれ、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。X311及びX312は、それぞれ独立に、−CONR313−又は−NR314CO−を表し、R313及びR314は、置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい。Z311は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR315−(R315は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい)、アルキレン基及びアリーレン基から選ばれる、1種以上の基から形成される2価の有機基(環状のものを除く)を表す。Z311の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR315−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
【0047】
上記一般式(5−1)としては、好ましくは下記一般式(5−2)〜(5−4)で表される化合物である。
一般式(5−2):
【0048】
【化13】

【0049】
一般式(5−3):
【0050】
【化14】

【0051】
一般式(5−4):
【0052】
【化15】

【0053】
上記一般式(5−2)〜(5−4)において、R321、R322、R323及びR324は、それぞれ置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、脂肪族基が好ましい。脂肪族基は、直鎖、分岐、環状のいずれであってもよく、環状であることがより好ましい。脂肪族基及び芳香族基が有していてもよい置換基としては後述の置換基Tが挙げられるが、無置換のものが好ましい。Z321は−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−NR325−(R325は置換もしくは無置換の脂肪族基、又は置換もしくは無置換の芳香族基を表し、無置換のもの及び/又は脂肪族基がより好ましい)、アルキレン基、アリーレン基から選ばれる1種以上の基から形成される2価の連結基を表す。Z321の組み合わせは特に限定されないが、−O−、−S−、−NR325−、及びアルキレン基から選ばれるのが好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのがさらに好ましく、−O−、−S−及びアルキレン基から選ばれるのが最も好ましい。
【0054】
以下に、上記の置換もしくは無置換の脂肪族基について説明する。
脂肪族基は直鎖であっても、分岐であっても、環状であってもよく、炭素数1〜25のものが好ましく、6〜25のものがより好ましく、6〜20のものが特に好ましい。脂肪族基の具体例としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、アミル基、イソアミル基、t−アミル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、ビシクロオクチル基、アダマンチル基、n−デシル基、t−オクチル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、ジデシル基などが挙げられる。
【0055】
以下に、上記の芳香族基について説明する。
芳香族基は芳香族炭化水素基でも芳香族ヘテロ環基でもよく、より好ましくは芳香族炭化水素基である。芳香族炭化水素基としては、炭素数が6〜24のものが好ましく、6〜12のものがさらに好ましい。芳香族炭化水素基の具体例な環としては、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル、ターフェニルなどが挙げられる。芳香族炭化水素基としては、ベンゼン、ナフタレン、ビフェニルが特に好ましい。芳香族ヘテロ環基としては、酸素原子、窒素原子あるいは硫黄原子のうち少なくとも1つを含むものが好ましい。ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環基としては、ピリジン、トリアジン、キノリンが特に好ましい。
【0056】
また、以下に前記の置換基Tに関して詳細に説明する。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0057】
一般式(5)で表される化合物の好ましい例を下記に示すが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。
【0058】
【化16】

【0059】
【化17】

【0060】
【化18】

【0061】
本発明のフィルム形成材料は添加剤として、下記一般式(9)または(10)で表される構造を有する化合物を少なくとも1種含有することも好ましい。
【0062】
【化19】

【0063】
{一般式(9)および(10)中、R41〜R48は、各々独立に、水素原子;ハロゲン原子;酸素原子、硫黄原子、窒素原子もしくはケイ素原子を含む連結基を有していてもよい、置換もしくは非置換の炭素原子数1〜30の炭化水素基;または極性基を表し、R44は全て同一の原子または基であっても、個々異なる原子または基であっても、互いに結合して、炭素環または複素環(これらの炭素環、複素環は単環構造でもよいし、他の環が縮合して多環構造を形成してもよい)を形成してもよい。}
【0064】
上記一般式(9)は、芳香族ビニル系単量体から得られる構造単位である。当該芳香族ビニル系単量体の具体例としては、スチレン;α−メチルスチレン、β−メチルスチレン、p−メチルスチレンなどのアルキル置換スチレン類;4−クロロスチレン、4−ブロモスチレンなどのハロゲン置換スチレン類;p−ヒドロキシスチレン、α−メチル−p−ヒドロキシスチレン、2−メチル−4−ヒドロキシスチレン、3,4−ジヒドロキシスチレンなどのヒドロキシスチレン類;ビニルベンジルアルコール類;p−メトキシスチレン、p−t−ブトキシスチレン、m−t−ブトキシスチレンなどのアルコキシ置換スチレン類;3−ビニル安息香酸、4−ビニル安息香酸などのビニル安息香酸類;メチル−4−ビニルベンゾエート、エチル−4−ビニルベンゾエートなどのビニル安息香酸エステル類;4−ビニルベンジルアセテート;4−アセトキシスチレン;2−ブチルアミドスチレン、4−メチルアミドスチレン、p−スルホンアミドスチレンなどのアミドスチレン類;3−アミノスチレン、4−アミノスチレン、2−イソプロペニルアニリン、ビニルベンジルジメチルアミンなどのアミノスチレン類;3−ニトロスチレン、4−ニトロスチレンなどのニトロスチレン類;3−シアノスチレン、4−シアノスチレンなどのシアノスチレン類;ビニルフェニルアセトニトリル;フェニルスチレンなどのアリールスチレン類、インデン類などが挙げられるが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、スチレン、α−メチルスチレンが好ましい。
【0065】
一般式(10)は、アクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位である。当該アクリル酸エステル系単量体の例としては、例えば、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、アクリル酸ヘプチル(n−、i−)、アクリル酸オクチル(n−、i−)、アクリル酸ノニル(n−、i−)、アクリル酸ミリスチル(n−、i−)、アクリル酸(2−エチルヘキシル)、アクリル酸(ε−カプロラクトン)、アクリル酸(2−ヒドロキシエチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(3−ヒドロキシプロピル)、アクリル酸(4−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−ヒドロキシブチル)、アクリル酸(2−メトキシエチル)、アクリル酸(2−エトキシエチル)アクリル酸フェニル、メタクリル酸フェニル、アクリル酸(2または4−クロロフェニル)、メタクリル酸(2または4−クロロフェニル)、アクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、メタクリル酸(2または3または4−エトキシカルボニルフェニル)、アクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、メタクリル酸(oまたはmまたはp−トリル)、アクリル酸ベンジル、メタクリル酸ベンジル、アクリル酸フェネチル、メタクリル酸フェネチル、アクリル酸(2−ナフチル)、アクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−メチルシクロヘキシル)、アクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)、メタクリル酸(4−エチルシクロヘキシル)等、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものを挙げることが出来るが、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これらの単量体は、二種以上を共重合成分として用いてもよい。これらのうち、工業的に入手が容易で、かつ安価な点で、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸プロピル(i−、n−)、アクリル酸ブチル(n−、i−、s−、t−)、アクリル酸ペンチル(n−、i−、s−)、アクリル酸ヘキシル(n−、i−)、または上記アクリル酸エステルをメタクリル酸エステルに変えたものが好ましい。
【0066】
前記(共)重合体は、一般式(9)で表される芳香族ビニル系単量体および一般式(10)で表されるアクリル酸エステル系単量体から得られる構造単位を少なくとも1種含むものが好ましい。また、共重合組成を構成するそれ以外の構造として、前記単量体と共重合性に優れたものであることが好ましく、例として、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、3−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸、4−メチル−シス−1−シクロヘキセン−1,2−無水ジカルボン酸等の酸無水物、アクリロニトリル、メタクリロニトリルなどのニトリル基含有ラジカル重合性単量体;アクリルアミド、メタクリルアミド、トリフルオロメタンスルホニルアミノエチル(メタ)アクリレートなどのアミド結合含有ラジカル重合性単量体;酢酸ビニルなどの脂肪酸ビニル類;塩化ビニル、塩化ビニリデンなどの塩素含有ラジカル重合性単量体;1,3−ブタジエン、イソプレン、1,4−ジメチルブタジエン等の共役ジオレフィン類をあげることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0067】
上記のような共重合体を使用する場合、共重合体組成中に於ける一般式(9)で示される構成単位を少なくとも30モル%含むことが好ましい。また、一般式(10)で示される構成単位を少なくとも20モル%以上含むことが好ましい。また、その他の共重合成分の割合は、50モル%以下であることが好ましい。
【0068】
一般式(9)または(10)で表される構造を有する化合物の重量平均分子量は500以上300000以下であることが好ましく、相溶性、製膜後のフィルムの透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、500以上15000以下であることがより好ましく、500以上5000以下であることが特に好ましい。
本発明において、フィルム形成材料に含有させる化合物の重量平均分子量は、GPC(展開溶媒:テトラヒドロフラン、ポリスチレン換算法)により測定した値である。
【0069】
(添加剤の合成方法)
上述した添加剤は、合成することもできる。
例えば、一般式(1)の添加剤は、スルホニルクロリド誘導体とアミン誘導体との縮合反応により得ることができる。また、一般式(2)の化合物は、スルフィドの酸化反応もしくは芳香族化合物とスルホン酸クロリドのFriedel−Crafts反応により得ることができる。
【0070】
(添加剤の添加量)
上述した一般式(1)〜(5)で表される添加剤の添加量は、環状ポリオレフィン系樹脂に対して0.1〜40質量%であるのが好ましい。5〜38質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが特に好ましい。
上記添加量の範囲内であれば、本発明のフィルムを偏光板用の保護フィルムとして用いた場合、偏光板貼り合わせ適性に優れ、また偏光板加工後に剥がれる恐れが少なくなる。
また、上記添加剤は1種用いても、2種以上を用いてもよい。2種以上を用いた場合、2種類以上の添加剤の添加量は2種類の合計添加量が環状ポリオレフィン系樹脂の0.1〜40質量%であることが好ましく、5〜38質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが特に好ましい。
【0071】
上述した一般式(9)または(10)で表される構造を有する化合物は、環状ポリオレフィン系樹脂の0.1〜40質量%であることが好ましく、製膜後の透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、5〜38質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが特に好ましい。
【0072】
またこれらの一般式(9)または(10)で表される構造を有する化合物は、単独で用いても、2種以上化合物を任意の比で混合して用いてもよい。
【0073】
2種類以上の一般式(9)または(10)で表される構造を有する化合物の合計含有量が環状ポリオレフィン系樹脂の0.1〜40質量%であることが好ましく、製膜後の透明性に優れ、光学特性の良好な発現性を示すフィルムを得るためには、5〜38質量%であることがより好ましく、10〜35質量%であることが特に好ましい。
【0074】
(添加剤添加の方法)
またこれらの添加剤は、単独で用いても、2種以上の添加剤を任意の比で混合して用いてもよい。
更に、これら化合物を添加する時期はドープ作製工程中の何れであってもよく、ドープ調製工程の最後に行ってもよい。
【0075】
(微粒子)
本発明では、上記フィルム形成材料に微粒子を添加することにより、フィルムの製膜安定性、加工適性を更に向上させ、巻き取りきしみ等に由来するフィルムの光学ムラを低減することができる。本発明で使用できる微粒子としては、有機あるいは無機化合物の微粒子を使用することができる。
【0076】
無機化合物としては、ケイ素を含む化合物、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化ジルコニウム、酸化ストロングチウム、酸化アンチモン、酸化スズ、酸化スズ・アンチモン、炭酸カルシウム、タルク、クレイ、焼成カオリン、焼成ケイ酸カルシウム、水和ケイ酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム及びリン酸カルシウム等が好ましく、更に好ましくはケイ素を含む無機化合物や金属酸化物である。すなわち、本発明においては、前記微粒子として金属酸化物あるいは無機ケイ素化合物が好ましく用いられる。本発明においては、フィルムの濁度を低減できるので、二酸化ケイ素が特に好ましく用いられる。二酸化ケイ素の微粒子としては、例えば、アエロジルR972、R974、R812、200、300、R202、OX50、TT600(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名を有する市販品が使用できる。酸化ジルコニウムの微粒子としては、例えば、アエロジルR976及びR811(以上日本アエロジル(株)製)等の商品名で市販されているものが使用できる。
【0077】
有機化合物としては、ポリテトラフルオロエチレン、セルロースアセテート、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレート、ポリプロピルメタクリレート、ポリメチルアクリレート、ポリエチレンカーボネート、澱粉等があり、またそれらの粉砕分級物もあげられる。あるいは又懸濁重合法で合成した高分子化合物、スプレードライ法あるいは分散法等により球型にした高分子化合物を用いることができる。
【0078】
微粒子の1次平均粒子径としては、ヘイズを低く抑えるという観点から、好ましくは、0.001μm〜20μmであり、より好ましくは0.001μm〜10μmであり更に好ましくは、0.002μm〜1μmであり、特に好ましくは、0.005μm〜0.5μmである。微粒子の1次平均粒子径の測定は、透過型電子顕微鏡で粒子を平均粒径で求められる。購入した微粒子は凝集していることが多く、使用の前に公知の方法で分散することが好ましい。分散により二次粒子径を0.2μm〜1.5μmにすることが好ましく、0.3μm〜1μmが更に好ましい。微粒子の添加量は環状ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して0.01質量部〜0.3質量部が好ましく、0.05質量部〜0.2質量部がさらに好ましく、0.08質量部〜0.12質量部が最も好ましい。
【0079】
粒子分散する場合は、ヘイズが増加し、透明性は低減するため、その平均粒径は、0.001μm〜100μmであることが好ましく、より好ましくは0.01μm〜10μm、さらに好ましくは0.01μm〜5μmである。
また、含有量は例えば、球形、不定形等の粒子状で分散する場合あるいは分子状で分散する場合を問わず、フィルム全体中0.0001質量%〜10質量%であることが好ましく、より好ましくは0.001質量%〜5質量%であり、さらに好ましくは0.01質量%〜3質量%である。
【0080】
本発明におけるフィルムの好ましい光線透過率の範囲は88.0%以上であり、89.0%以上が更に好ましく、90.0%以上が特に好ましい。前記透過率は、試料13mm×40mmを、25℃、60%RHで分光光度計(U−3210、(株)日立製作所)にて、測定波長550nmにおいて測定した。
【0081】
上記化合物のフィルムへの組み込み方法は、特に限定はないが上記化合物が入ったフィルム形成材料の溶液を流延し製膜する方法、流延後のフィルムに上記化合物を含む塗工液を塗工する方法あるいは重層流延する方法等が挙げられる。本発明においては、次の2つの製造方法のいずれかにより、フィルムを製造する。
1.環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーA、並びに、少なくとも1種の化合物を溶剤に溶解または分散する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むフィルムの製造方法。
2.環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーAを溶剤に溶解する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むことを特徴とするフィルムの製造方法であって、流延後のフィルムの少なくとも片方の面上にすくなくとも1種の化合物を含む塗工液を塗工する工程を含むフィルムの製造方法。
上記の2つの方法のいずれかにより製造することにより、平面性、均一性等の優れた、光学フィルムとして好適なフィルムを製造することができより好ましい。
【0082】
上記1の方法においては、環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーAおよび上記化合物とが入った溶液(フィルム形成材料溶液)を流延し製膜する。この方法の場合、フィルム形成材料溶液を調製する際に上記化合物を溶解あるいは分散しても良いし、フィルム形成材料溶液を流延する直前に上記化合物の溶液あるいは分散液を添加しても良い。分散液の調製に当たっては、通常の攪拌機、ホモジナーザー用の軟高速攪拌機、ボールミル、ペイントシェイカー、ダイノミルのようにメディアを使用した分散、超音波分散機等の公知の方法を用いることができる。上記化合物をフィルム形成材料溶液に分散する場合には、分散助剤として通常用いられる界面活性剤あるいはポリマーを少量添加しても良い。
【0083】
上記2の方法において「塗工液」は、上記化合物を主成分としていればよい。単に、上記化合物を適当な溶媒に溶解または分散した溶液または分散液を塗工液として、環状ポリオレフィン系樹脂BおよびポリマーAを主成分としてなる層(すなわち流延後のフィルム)の面上に、該塗工液を塗工してもよい。また、塗工液はバインダーを含んでいてもよく、該塗工液を塗工することによって、上記化合物を含む層を形成してもよい。
上記塗工液は、環状ポリオレフィン系樹脂BおよびポリマーAを主成分としてなる層の片側若しくは両側に塗工できる。
【0084】
上記化合物の層の形成用のバインダーとしては特に限定されず親油性バインダーでもよく又親水性バインダーでもよい。親油性バインダーとしては公知の熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、放射線硬化性樹脂、反応型樹脂およびこれらの混合物を使用することができる。
上記樹脂のTgは80℃〜400℃が好ましく、120℃〜350℃がより好ましい。上記樹脂の質量平均分子量は1万〜100万が好ましく、1万〜50万がより好ましい。上記化合物を塗工液中に分散する場合には、前記1の方法と同様の分散方法を用いることができ、分散助剤として通常用いられる界面活性剤あるいはポリマーを少量添加しても良い。
【0085】
上記熱可塑性樹脂としては、塩化ビニル・酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル、酢酸ビニルとビニルアルコール、マレイン酸および/またはアクリル酸との共重合体、塩化ビニル・塩化ビニリデン共重合体、塩化ビニル・アクリロニトリル共重合体、エチレン・酢酸ビニル共重合体などのビニル系共重合体、ニトロセルロース、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート樹脂などのセルロース誘導体、環状ポリオレフィン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルアセタール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリエステルポリウレタン樹脂、ポリエーテルポリウレタン、ポリカーボネートポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、アミノ樹脂、スチレンブタジエン樹脂、ブタジエンアクリロニトリル樹脂等のゴム系樹脂、シリコーン系樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。
上記化合物を含有する層の層厚は0.0001〜10μmとするのが好ましく、0.001〜5μmとするのが更に好ましく、0.01から1μmとするのが更に好ましい。
本発明のフィルムの製造方法のさらなる詳細については後述する。
【0086】
本発明のフィルムはRth上昇剤を含有してもよい。Rth上昇剤は、下記一般式(II)、(III)、(IV)、(V)で表される化合物から選ばれることが好ましい。
【0087】
一般式(II)で表される化合物について説明する。
一般式(II)
【0088】
【化20】

【0089】
上記一般式(II)中:
12は、各々独立に、オルト位、メタ位およびパラ位の少なくともいずれかに置換基を有する芳香族環または複素環を表す。
11は、各々独立に、単結合または−NR13−を表す。ここで、R13は、各々独立に、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
【0090】
12が表す芳香族環は、フェニルまたはナフチルであることが好ましく、フェニルであることが特に好ましい。R12が表す芳香族環はいずれかの置換位置に少なくとも一つの置換基を有してもよい。前記置換基の例には、ハロゲン原子、ヒドロキシル、シアノ、ニトロ、カルボキシル、アルキル基、アルケニル基、アリール基、アルコキシ基、アルケニルオキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルケニルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、スルファモイル基、アルキル置換スルファモイル基、アルケニル置換スルファモイル基、アリール置換スルファモイル基、スルオンアミド基、カルバモイル、アルキル置換カルバモイル基、アルケニル置換カルバモイル基、アリール置換カルバモイル基、アミド基、アルキルチオ基、アルケニルチオ基、アリールチオ基およびアシル基が含まれる。
【0091】
12が表す複素環基は、芳香族性を有することが好ましい。芳香族性を有する複素環は、一般に不飽和複素環であり、好ましくは最多の二重結合を有する複素環である。複素環は5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、6員環であることが最も好ましい。複素環のヘテロ原子は、窒素原子、硫黄原子または酸素原子であることが好ましく、窒素原子であることが特に好ましい。芳香族性を有する複素環としては、ピリジン環(複素環基としては、2−ピリジルまたは4−ピリジル)が特に好ましい。複素環基は、置換基を有していてもよい。複素環基の置換基の例は、上記アリール部分の置換基の例と同様である。
11が単結合である場合の複素環基は、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基であることが好ましい。窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基は、5員環、6員環または7員環であることが好ましく、5員環または6員環であることがさらに好ましく、5員環であることが最も好ましい。複素環基は、複数の窒素原子を有していてもよい。また、複素環基は、窒素原子以外のヘテロ原子(例、O、S)を有していてもよい。以下に、窒素原子に遊離原子価をもつ複素環基の例を示す。
【0092】
【化21】

【0093】
一般式(II)中、X11は単結合または−NR13−を表す。R13は独立して、水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、アルケニル基、アリール基または複素環基を表す。
13が表すアルキル基は、環状アルキル基であっても鎖状アルキル基であってもよいが、鎖状アルキル基が好ましく、分岐を有する鎖状アルキル基よりも、直鎖状アルキル基がより好ましい。アルキル基の炭素原子数は、1〜30であることが好ましく、1〜20であることがより好ましく、1〜10であることがさらに好ましく、1〜8がさらにまた好ましく、1〜6であることが最も好ましい。アルキル基は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、ハロゲン原子、アルコキシ基(例えばメトキシ基、エトキシ基)およびアシルオキシ基(例、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基)が含まれる。
【0094】
13が表すアルケニル基は、環状アルケニル基であっても鎖状アルケニル基であってもよいが、鎖状アルケニル基を表すのが好ましく、分岐を有する鎖状アルケニル基よりも、直鎖状アルケニル基を表すのがより好ましい。アルケニル基の炭素原子数は、2〜30であることが好ましく、2〜20であることがより好ましく、2〜10であることがさらに好ましく、2〜8であることがさらにまた好ましく、2〜6であることが最も好ましい。アルケニル基は置換基を有していてもよい。置換基の例には、前述のアルキル基の置換基と同様である。
13が表す芳香族環基および複素環基は、R12が表す芳香族環および複素環と同様であり、好ましい範囲も同様である。芳香族環基および複素環基はさらに置換基を有していてもよく、置換基の例にはR12の芳香族環および複素環の置換基と同様である。
【0095】
以下に本発明で使用される一般式(II)で表されるレターデーション上昇剤の具体例を示す。各例示化合物中の同一構造式内に示す複数のRは、同一の基を意味する。Rの定義は具体例番号と共に式の後に示す。
【0096】
【化22】

【0097】
II-(1)フェニル
II-(2)3−エトキシカルボニルフェニル
II-(3)3−ブトキシフェニル
II-(4)m−ビフェニリル
II-(5)3−フェニルチオフェニル
II-(6)3−クロロフェニル
II-(7)3−ベンゾイルフェニル
II-(8)3−アセトキシフェニル
II-(9)3−ベンゾイルオキシフェニル
II-(10)3−フェノキシカルボニルフェニル
II-(11)3−メトキシフェニル
II-(12)3−アニリノフェニル
II-(13)3−イソブチリルアミノフェニル
II-(14)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(15)3−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(16)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(17)3−メチルフェニル
II-(18)3−フェノキシフェニル
II-(19)3−ヒドロキシフェニル
【0098】
II-(20)4−エトキシカルボニルフェニル
II-(21)4−ブトキシフェニル
II-(22)p−ビフェニリル
II-(23)4−フェニルチオフェニル
II-(24)4−クロロフェニル
II-(25)4−ベンゾイルフェニル
II-(26)4−アセトキシフェニル
II-(27)4−ベンゾイルオキシフェニル
II-(28)4−フェノキシカルボニルフェニル
II-(29)4−メトキシフェニル
II-(30)4−アニリノフェニル
II-(31)4−イソブチリルアミノフェニル
II-(32)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(33)4−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(34)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(35)4−メチルフェニル
II-(36)4−フェノキシフェニル
II-(37)4−ヒドロキシフェニル
【0099】
II-(38)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(39)3,4−ジブトキシフェニル
II-(40)3,4−ジフェニルフェニル
II-(41)3,4−ジフェニルチオフェニル
II-(42)3,4−ジクロロフェニル
II-(43)3,4−ジベンゾイルフェニル
II-(44)3,4−ジアセトキシフェニル
II-(45)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
II-(46)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
II-(47)3,4−ジメトキシフェニル
II-(48)3,4−ジアニリノフェニル
II-(49)3,4−ジメチルフェニル
II-(50)3,4−ジフェノキシフェニル
II-(51)3,4−ジヒドロキシフェニル
II-(52)2−ナフチル
【0100】
II-(53)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
II-(54)3,4,5−トリブトキシフェニル
II-(55)3,4,5−トリフェニルフェニル
II-(56)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
II-(57)3,4,5−トリクロロフェニル
II-(58)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
II-(59)3,4,5−トリアセトキシフェニル
II-(60)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
II-(61)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
II-(62)3,4,5−トリメトキシフェニル
II-(63)3,4,5−トリアニリノフェニル
II-(64)3,4,5−トリメチルフェニル
II-(65)3,4,5−トリフェノキシフェニル
II-(66)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0101】
【化23】

【0102】
II-(67)フェニル
II-(68)3−エトキシカルボニルフェニル
II-(69)3−ブトキシフェニル
II-(70)m−ビフェニリル
II-(71)3−フェニルチオフェニル
II-(72)3−クロロフェニル
II-(73)3−ベンゾイルフェニル
II-(74)3−アセトキシフェニル
II-(75)3−ベンゾイルオキシフェニル
II-(76)3−フェノキシカルボニルフェニル
II-(77)3−メトキシフェニル
II-(78)3−アニリノフェニル
II-(79)3−イソブチリルアミノフェニル
II-(80)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(81)3−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(82)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(83)3−メチルフェニル
II-(84)3−フェノキシフェニル
II-(85)3−ヒドロキシフェニル
【0103】
II-(86)4−エトキシカルボニルフェニル
II-(87)4−ブトキシフェニル
II-(88)p−ビフェニリル
II-(89)4−フェニルチオフェニル
II-(90)4−クロロフェニル
II-(91)4−ベンゾイルフェニル
II-(92)4−アセトキシフェニル
II-(93)4−ベンゾイルオキシフェニル
II-(94)4−フェノキシカルボニルフェニル
II-(95)4−メトキシフェニル
II-(96)4−アニリノフェニル
II-(97)4−イソブチリルアミノフェニル
II-(98)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(99)4−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(100)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(101)4−メチルフェニル
II-(102)4−フェノキシフェニル
II-(103)4−ヒドロキシフェニル
【0104】
II-(104)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(105)3,4−ジブトキシフェニル
II-(106)3,4−ジフェニルフェニル
II-(107)3,4−ジフェニルチオフェニル
II-(108)3,4−ジクロロフェニル
II-(109)3,4−ジベンゾイルフェニル
II-(110)3,4−ジアセトキシフェニル
II-(111)3,4−ジベンゾイルオキシフェニル
II-(112)3,4−ジフェノキシカルボニルフェニル
II-(113)3,4−ジメトキシフェニル
II-(114)3,4−ジアニリノフェニル
II-(115)3,4−ジメチルフェニル
II-(116)3,4−ジフェノキシフェニル
II-(117)3,4−ジヒドロキシフェニル
II-(118)2−ナフチル
【0105】
II-(119)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
II-(120)3,4,5−トリブトキシフェニル
II-(121)3,4,5−トリフェニルフェニル
II-(122)3,4,5−トリフェニルチオフェニル
II-(123)3,4,5−トリクロロフェニル
II-(124)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
II-(125)3,4,5−トリアセトキシフェニル
II-(126)3,4,5−トリベンゾイルオキシフェニル
II-(127)3,4,5−トリフェノキシカルボニルフェニル
II-(128)3,4,5−トリメトキシフェニル
II-(129)3,4,5−トリアニリノフェニル
II-(130)3,4,5−トリメチルフェニル
II-(131)3,4,5−トリフェノキシフェニル
II-(132)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0106】
【化24】

【0107】
II-(133)フェニル
II-(134)4−ブチルフェニル
II-(135)4−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(136)4−(5−ノネニル)フェニル
II-(137)p−ビフェニリル
II-(138)4−エトキシカルボニルフェニル
II-(139)4−ブトキシフェニル
II-(140)4−メチルフェニル
II-(141)4−クロロフェニル
II-(142)4−フェニルチオフェニル
II-(143)4−ベンゾイルフェニル
II-(144)4−アセトキシフェニル
II-(145)4−ベンゾイルオキシフェニル
II-(146)4−フェノキシカルボニルフェニル
II-(147)4−メトキシフェニル
II-(148)4−アニリノフェニル
II-(149)4−イソブチリルアミノフェニル
II-(150)4−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(151)4−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(152)4−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(153)4−フェノキシフェニル
II-(154)4−ヒドロキシフェニル
【0108】
II-(155)3−ブチルフェニル
II-(156)3−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(157)3−(5−ノネニル)フェニル
II-(158)m−ビフェニリル
II-(159)3−エトキシカルボニルフェニル
II-(160)3−ブトキシフェニル
II-(161)3−メチルフェニル
II-(162)3−クロロフェニル
II-(163)3−フェニルチオフェニル
II-(164)3−ベンゾイルフェニル
II-(165)3−アセトキシフェニル
II-(166)3−ベンゾイルオキシフェニル
II-(167)3−フェノキシカルボニルフェニル
II-(168)3−メトキシフェニル
II-(169)3−アニリノフェニル
II-(170)3−イソブチリルアミノフェニル
II-(171)3−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(172)3−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(173)3−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(174)3−フェノキシフェニル
II-(175)3−ヒドロキシフェニル
【0109】
II-(176)2−ブチルフェニル
II-(177)2−(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(178)2−(5−ノネニル)フェニル
II-(179)o−ビフェニリル
II-(180)2−エトキシカルボニルフェニル
II-(181)2−ブトキシフェニル
II-(182)2−メチルフェニル
II-(183)2−クロロフェニル
II-(184)2−フェニルチオフェニル
II-(185)2−ベンゾイルフェニル
II-(186)2−アセトキシフェニル
II-(187)2−ベンゾイルオキシフェニル
II-(188)2−フェノキシカルボニルフェニル
II-(189)2−メトキシフェニル
II-(190)2−アニリノフェニル
II-(191)2−イソブチリルアミノフェニル
II-(192)2−フェノキシカルボニルアミノフェニル
II-(193)2−(3−エチルウレイド)フェニル
II-(194)2−(3,3−ジエチルウレイド)フェニル
II-(195)2−フェノキシフェニル
II-(196)2−ヒドロキシフェニル
【0110】
II-(197)3,4−ジブチルフェニル
II-(198)3,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(199)3,4−ジフェニルフェニル
II-(200)3,4−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(201)3,4−ジドデシルオキシフェニル
II-(202)3,4−ジメチルフェニル
II-(203)3,4−ジクロロフェニル
II-(204)3,4−ジベンゾイルフェニル
II-(205)3,4−ジアセトキシフェニル
II-(206)3,4−ジメトキシフェニル
II-(207)3,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
II-(208)3,4−ジイソブチリルアミノフェニル
II-(209)3,4−ジフェノキシフェニル
II-(210)3,4−ジヒドロキシフェニル
【0111】
II-(211)3,5−ジブチルフェニル
II-(212)3,5−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(213)3,5−ジフェニルフェニル
II-(214)3,5−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(215)3,5−ジドデシルオキシフェニル
II-(216)3,5−ジメチルフェニル
II-(217)3,5−ジクロロフェニル
II-(218)3,5−ジベンゾイルフェニル
II-(219)3,5−ジアセトキシフェニル
II-(220)3,5−ジメトキシフェニル
II-(221)3,5−ジ−N−メチルアミノフェニル
II-(222)3,5−ジイソブチリルアミノフェニル
II-(223)3,5−ジフェノキシフェニル
II-(224)3,5−ジヒドロキシフェニル
【0112】
II-(225)2,4−ジブチルフェニル
II-(226)2,4−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(227)2,4−ジフェニルフェニル
II-(228)2,4−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(229)2,4−ジドデシルオキシフェニル
II-(230)2,4−ジメチルフェニル
II-(231)2,4−ジクロロフェニル
II-(232)2,4−ジベンゾイルフェニル
II-(233)2,4−ジアセトキシフェニル
II-(234)2,4−ジメトキシフェニル
II-(235)2,4−ジ−N−メチルアミノフェニル
II-(236)2,4−ジイソブチリルアミノフェニル
II-(237)2,4−ジフェノキシフェニル
II-(238)2,4−ジヒドロキシフェニル
【0113】
II-(239)2,3−ジブチルフェニル
II-(240)2,3−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(241)2,3−ジフェニルフェニル
II-(242)2,3−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(243)2,3−ジドデシルオキシフェニル
II-(244)2,3−ジメチルフェニル
II-(245)2,3−ジクロロフェニル
II-(246)2,3−ジベンゾイルフェニル
II-(247)2,3−ジアセトキシフェニル
II-(248)2,3−ジメトキシフェニル
II-(249)2,3−ジ−N−メチルアミノフェニル
II-(250)2,3−ジイソブチリルアミノフェニル
II-(251)2,3−ジフェノキシフェニル
II-(252)2,3−ジヒドロキシフェニル
【0114】
II-(253)2,6−ジブチルフェニル
II-(254)2,6−ジ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(255)2,6−ジフェニルフェニル
II-(256)2,6−ジエトキシカルボニルフェニル
II-(257)2,6−ジドデシルオキシフェニル
II-(258)2,6−ジメチルフェニル
II-(259)2,6−ジクロロフェニル
II-(260)2,6−ジベンゾイルフェニル
II-(261)2,6−ジアセトキシフェニル
II-(262)2,6−ジメトキシフェニル
II-(263)2,6−ジ−N−メチルアミノフェニル
II-(264)2,6−ジイソブチリルアミノフェニル
II-(265)2,6−ジフェノキシフェニル
II-(266)2,6−ジヒドロキシフェニル
【0115】
II-(267)3,4,5−トリブチルフェニル
II-(268)3,4,5−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(269)3,4,5−トリフェニルフェニル
II-(270)3,4,5−トリエトキシカルボニルフェニル
II-(271)3,4,5−トリドデシルオキシフェニル
II-(272)3,4,5−トリメチルフェニル
II-(273)3,4,5−トリクロロフェニル
II-(274)3,4,5−トリベンゾイルフェニル
II-(275)3,4,5−トリアセトキシフェニル
II-(276)3,4,5−トリメトキシフェニル
II-(277)3,4,5−トリ−N−メチルアミノフェニル
II-(278)3,4,5−トリイソブチリルアミノフェニル
II-(279)3,4,5−トリフェノキシフェニル
II-(280)3,4,5−トリヒドロキシフェニル
【0116】
II-(281)2,4,6−トリブチルフェニル
II-(282)2,4,6−トリ(2−メトキシ−2−エトキシエチル)フェニル
II-(283)2,4,6−トリフェニルフェニル
II-(284)2,4,6−トリエトキシカルボニルフェニル
II-(285)2,4,6−トリドデシルオキシフェニル
II-(286)2,4,6−トリメチルフェニル
II-(287)2,4,6−トリクロロフェニル
II-(288)2,4,6−トリベンゾイルフェニル
II-(289)2,4,6−トリアセトキシフェニル
II-(290)2,4,6−トリメトキシフェニル
II-(291)2,4,6−トリ−N−メチルアミノフェニル
II-(292)2,4,6−トリイソブチリルアミノフェニル
II-(293)2,4,6−トリフェノキシフェニル
II-(294)2,4,6−トリヒドロキシフェニル
【0117】
II-(295)ペンタフルオロフェニル
II-(296)ペンタクロロフェニル
II-(297)ペンタメトキシフェニル
II-(298)6−N−メチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
II-(299)5−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
II-(300)6−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
II-(301)5−エトキシ−7−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
II-(302)3−メトキシ−2−ナフチル
II-(303)1−エトキシ−2−ナフチル
II-(304)6−N−フェニルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
II-(305)5−メトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
II-(306)1−(4−メチルフェニル)−2−ナフチル
II-(307)6,8−ジ−N−メチルスルファモイル−2−ナフチル
II-(308)6−N−2−アセトキシエチルスルファモイル−8−メトキシ−2−ナフチル
II-(309)5−アセトキシ−7−N−フェニルスルファモイル−2−ナフチル
II-(310)3−ベンゾイルオキシ−2−ナフチル
【0118】
II-(311)5−アセチルアミノ−1−ナフチル
II-(312)2−メトキシ−1−ナフチル
II-(313)4−フェノキシ−1−ナフチル
II-(314)5−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
II-(315)3−N−メチルカルバモイル−4−ヒドロキシ−1−ナフチル
II-(316)5−メトキシ−6−N−エチルスルファモイル−1−ナフチル
II-(317)7−テトラデシルオキシ−1−ナフチル
II-(318)4−(4−メチルフェノキシ)−1−ナフチル
II-(319)6−N−メチルスルファモイル−1−ナフチル
II-(320)3−N,N−ジメチルカルバモイル−4−メトキシ−1−ナフチル
II-(321)5−メトキシ−6−N−ベンジルスルファモイル−1−ナフチル
II-(322)3,6−ジ−N−フェニルスルファモイル−1−ナフチル
【0119】
II-(323)メチル
II-(324)エチル
II-(325)ブチル
II-(326)オクチル
II-(327)ドデシル
II-(328)2−ブトキシ−2−エトキシエチル
II-(329)ベンジル
II-(330)4−メトキシベンジル
【0120】
【化25】

【0121】
II-(331)メチル
II-(332)フェニル
II-(333)ブチル
II-(334);下記化学式の化合物
【0122】
【化26】

【0123】
以下に一般式(III)で表される化合物について説明する。
一般式(III)
【0124】
【化27】

【0125】
式中、R4、R5、R6、R7、R8及びR9は各々独立して、水素原子又は置換基を表す。
4、R5、R6、R7、R8及びR9が各々表す置換基としては、アルキル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルキル基であり、例えば、メチル基、エチル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルケニル基であり、例えば、ビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基などが挙げられる)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルキニル基であり、例えば、プロパルギル基、3−ペンチニル基などが挙げられる)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは炭素数6〜20、特に好ましくは炭素数6〜12のアリール基であり、例えば、フェニル基、p−メチルフェニル基、ナフチル基などが挙げられる)、置換もしくは無置換のアミノ基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のアミノ基であり、例えば、無置換アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、アニリノ基などが挙げられる)、
【0126】
アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアルコキシ基であり、例えば、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基などが挙げられる)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜40、より好ましくは炭素数6〜30、特に好ましくは炭素数6〜20のアリールオキシ基であり、例えば、フェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基などが挙げられる)、アシル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のアシル基であり、例えば、アセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基などが挙げられる)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基であり、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基であり、例えば、フェニルオキシカルボニル基などが挙げられる)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルオキシ基であり、例えば、アセトキシ基、ベンゾイルオキシ基などが挙げられる)、
【0127】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアシルアミノ基であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基などが挙げられる)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜40、より好ましくは炭素数2〜30、特に好ましくは炭素数2〜20のアルコキシカルボニルアミノ基であり、例えば、メトキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜40、より好ましくは炭素数7〜30、特に好ましくは炭素数7〜20のアリールオキシカルボニルアミノ基であり、例えば、フェニルオキシカルボニルアミノ基などが挙げられる)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニルアミノ基であり、例えば、メタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基などが挙げられる)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜40、より好ましくは炭素数0〜30、特に好ましくは炭素数0〜20のスルファモイル基であり、例えば、スルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基などが挙げられる)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のカルバモイル基であり、例えば、無置換のカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基などが挙げられる)、
【0128】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20であり、例えば、フェニルチオ基などが挙げられる)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルホニル基であり、例えば、メシル基、トシル基などが挙げられる)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のスルフィニル基であり、例えば、メタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基などが挙げられる)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のウレイド基であり、例えば、無置換のウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基などが挙げられる)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜40、より好ましくは炭素数1〜30、特に好ましくは炭素数1〜20のリン酸アミド基であり、例えば、ジエチルリン酸アミド基、フェニルリン酸アミド基などが挙げられる)、ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12のヘテロ環基であり、例えば、窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を有するヘテロ環基であり、例えば、イミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基、1,3,5−トリアジル基などが挙げられる)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは炭素数3〜30、特に好ましくは、炭素数3〜24のシリル基であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基などが挙げられる)が含まれる。これらの置換基はさらにこれらの置換基によって置換されていてもよい。また、置換基が二つ以上有する場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに結合して環を形成していてもよい。
【0129】
4、R5、R6、R7、R8及びR9各々表される置換基としては、好ましくはアルキル基、アリール基、置換もしくは無置換のアミノ基、アルコキシ基、アルキルチオ基又はハロゲン原子である。
【0130】
以下に一般式(III)で表される化合物の具体例を挙げるが、こられに限定されな
い。
【0131】
【化28】

【0132】
【化29】

【0133】
以下に一般式(IV)で表される化合物について説明する。
一般式(IV):Q71−Q72−OH
(式中、Q71は含窒素芳香族ヘテロ環、Q72は芳香族環を表す。)
一般式(IV)において、Q71は含窒素方向芳香族へテロ環を表し、好ましくは5〜7員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、より好ましくは5〜6員の含窒素芳香族ヘテロ環である。
【0134】
好ましい含窒素芳香族ヘテロ環としては、例えば、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、セレナゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、ベンゾセレナゾール、チアジアゾール、オキサジアゾール、ナフトチアゾール、ナフトオキサゾール、アザベンズイミダゾール、プリン、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、トリアザインデン、テトラザインデン等などの各環があげられ、更に好ましくは、トリアジン及び5員の含窒素芳香族ヘテロ環であり、具体的には、1,3,5−トリアジン、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、テトラゾール、チアゾール、オキサゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾチアゾール、ベンズオキサゾール、チアジアゾール、オキサジアゾールなどの各環が好ましく、特に好ましくは、1,3,5−トリアジン環及びベンゾトリアゾール環である。
【0135】
71で表される含窒素芳香族ヘテロ環は、更に置換基を有してもよく、置換基としては後述する置換基Tが適用できる。また、置換基が複数ある場合にはそれぞれが縮環して更に環を形成してもよい。
【0136】
72は芳香族環を表す。Q72で表される芳香族環は、芳香族炭化水素環でも芳香族ヘテロ環でもよい。また、これらは単環であってもよいし、更に他の環と縮合環を形成してもよい。芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環などが挙げられる)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環である。更に好ましくはベンゼン環である。
【0137】
芳香族ヘテロ環として好ましくは窒素原子あるいは硫黄原子を含む芳香族ヘテロ環である。ヘテロ環の具体例としては、例えば、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどが挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン、トリアジン、キノリンである。
【0138】
72で表される芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくはナフタレン環、ベンゼン環であり、特に好ましくはベンゼン環である。Q72は更に置換基を有してもよく、下記の置換基Tが好ましい。
置換基Tとしては、例えばアルキル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8のものであり、例えばメチル基、エチル基、イソプロピル基、t−ブチル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基など)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばビニル基、アリル基、2−ブテニル基、3−ペンテニル基など)、アルキニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜12、特に好ましくは2〜8であり、例えばプロパルギル基、3−ペンチニル基など)、アリール基(好ましくは炭素数6〜30、より好ましくは6〜20、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニル基、ビフェニル基、ナフチル基など)、アミノ基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜6であり、例えばアミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジベンジルアミノ基など)、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜12、特に好ましくは1〜8であり、例えばメトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基など)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルオキシ基、2−ナフチルオキシ基など)、アシル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばアセチル基、ベンゾイル基、ホルミル基、ピバロイル基など)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基など)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜10であり、例えばフェニルオキシカルボニル基など)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセトキシ基、ベンゾイルオキシ基など)、
【0139】
アシルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜10であり、例えばアセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基など)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜20、より好ましくは2〜16、特に好ましくは2〜12であり、例えばメトキシカルボニルアミノ基など)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜20、より好ましくは7〜16、特に好ましくは7〜12であり、例えばフェニルオキシカルボニルアミノ基など)、スルホニルアミノ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルホニルアミノ基、ベンゼンスルホニルアミノ基など)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0〜20、より好ましくは0〜16、特に好ましくは0〜12であり、例えばスルファモイル基、メチルスルファモイル基、ジメチルスルファモイル基、フェニルスルファモイル基など)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばカルバモイル基、メチルカルバモイル基、ジエチルカルバモイル基、フェニルカルバモイル基など)、アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメチルチオ基、エチルチオ基など)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜20、より好ましくは6〜16、特に好ましくは6〜12であり、例えばフェニルチオ基など)、スルホニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメシル基、トシル基などが挙げられる。)、スルフィニル基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばメタンスルフィニル基、ベンゼンスルフィニル基など)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばウレイド基、メチルウレイド基、フェニルウレイド基など)、リン酸アミド基(好ましくは炭素数1〜20、より好ましくは1〜16、特に好ましくは1〜12であり、例えばジエチルリン酸アミド、フェニルリン酸アミドなど)、
【0140】
ヒドロキシ基、メルカプト基、ハロゲン原子(例えばフッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子など)、シアノ基、スルホ基、カルボキシル基、ニトロ基、ヒドロキサム酸基、スルフィノ基、ヒドラジノ基、イミノ基、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは1〜12であり、ヘテロ原子としては、例えば窒素原子、酸素原子、硫黄原子、具体的には、例えばイミダゾリル基、ピリジル基、キノリル基、フリル基、ピペリジル基、モルホリノ基、ベンゾオキサゾリル基、ベンズイミダゾリル基、ベンズチアゾリル基など)、シリル基(好ましくは、炭素数3〜40、より好ましくは3〜30、特に好ましくは3〜24であり、例えば、トリメチルシリル基、トリフェニルシリル基など)などが挙げられる。
【0141】
これらの置換基は更に置換されてもよい。また、置換基が二つ以上ある場合は、同じでも異なってもよい。また、可能な場合には互いに連結して環を形成してもよい。
【0142】
以下に一般式(IV)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
【0143】
【化30】

【0144】
【化31】

【0145】
【化32】

【0146】
【化33】

【0147】
【表1】

【0148】
以下に一般式(V)で表される化合物について説明する。
一般式(V):
【0149】
【化34】

【0150】
{一般式(V)中、Q81及びQ82はそれぞれ独立に芳香族環を表す。X81はNR81(R81は水素原子又は置換基を表す)、酸素原子又は硫黄原子を表す。}
81及びQ82で表される芳香族炭化水素環として、好ましくは炭素数6〜30の単環又は二環の芳香族炭化水素環(例えばベンゼン環、ナフタレン環など)であり、より好ましくは炭素数6〜20の芳香族炭化水素環、更に好ましくは炭素数6〜12の芳香族炭化水素環であり、特に好ましくはベンゼン環である。
【0151】
81及びQ82で表される芳香族ヘテロ環として、好ましくは酸素原子、窒素原子又は硫黄原子のどれかを少なくとも1つ含む芳香族ヘテロ環である。芳香族ヘテロ環の具体例としては、例えば、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、ピリジン、ピラジン、ピリダジン、トリアゾール、トリアジン、インドール、インダゾール、プリン、チアゾリン、チアゾール、チアジアゾール、オキサゾリン、オキサゾール、オキサジアゾール、キノリン、イソキノリン、フタラジン、ナフチリジン、キノキサリン、キナゾリン、シンノリン、プテリジン、アクリジン、フェナントロリン、フェナジン、テトラゾール、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、ベンゾトリアゾール、テトラザインデンなどの各環が挙げられる。芳香族ヘテロ環として好ましくは、ピリジン環、トリアジン環、キノリン環である。
【0152】
81及びQ82で表される芳香族環として、好ましくは芳香族炭化水素環であり、より好ましくは炭素数6〜10の芳香族炭化水素環であり、更に好ましくは置換又は無置換のベンゼン環である。
【0153】
81及びQ82は更に置換基を有してもよく、置換基としては前記の置換基Tが好ましいが、置換基にカルボン酸やスルホン酸、4級アンモニウム塩を含むことはない。また、可能な場合には置換基同士が連結して環構造を形成してもよい。
【0154】
81はNR81(R81は、水素原子又は置換基を表し、置換基としては前記の置換基Tが適用できる)、酸素原子又は硫黄原子を表す。X81として好ましくは、NR81(R81として好ましくはアシル基、スルホニル基であり、これらの置換基は更に置換してもよい)又は酸素原子であり、特に好ましくは酸素原子である。
以下に一般式(V)で表される化合物の具体例を挙げるが、本発明は下記具体例に何ら限定されるものではない。
【0155】
【化35】

【0156】
【化36】

【0157】
【化37】

【0158】

【化38】

【0159】
本発明に用いるRth上昇剤は、一般式(II)及び(III)で表される化合物であることがより好ましい。また、一般式(II)及び(III)で表される化合物に一般式(IV)で表される化合物を混合することも好ましく用いられる。
【0160】
本発明に用いられるRth上昇剤及びレターデーション発現剤(一般式(II)ないし(IV)で表される化合物)の添加量はフィルムの基材ポリマーに対してそれぞれ0.1〜30質量%が好ましく、さらに好ましくは0.5〜20質量%、特に好ましくは1〜10質量%である。2種類以上を用いる場合には、その合計量が、上記の範囲を満たしていることが好ましい。
【0161】
本発明に用いられるRth上昇剤は液晶性を示すことが好ましい。加熱により液晶性を示す(サーモトロピック液晶性を有する)ことがさらに好ましく、100℃〜300℃の温度範囲で液晶性を示すことが好ましい。液晶相は、カラムナー相、ネマチィク相またはスメクティック相が好ましく、カラムナー相であることがより好ましい。
【0162】
Rth上昇剤はフィルムの基材ポリマーの溶解時に同時に添加してもよいし、溶解後のドープに添加してもよい。特にスタティックミキサ等を用い、流延直前にドープに紫外線吸収剤溶液を添加する形態が、分光吸収特性を容易に調整することができるので好ましい。
【0163】
(その他の添加剤)
本発明のフィルムには、フィルムの各製造工程において用途に応じた種々の添加剤(例えば、劣化防止剤、紫外線防止剤、剥離促進剤、可塑剤、赤外吸収剤、など)を加えることができ、それらは固体でもよく油状物でもよい。すなわち、その融点や沸点において特に限定されるものではない。例えば20℃以下と20℃以上の紫外線吸収材料の混合や、同様に劣化防止剤の混合などである。さらにまた、赤外吸収染料としては例えば特開平2001−194522号公報に記載されている。またその添加する時期はフィルム形成材料溶液(ドープ)作製工程において何れで添加しても良いが、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。更にまた、各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
【0164】
(劣化防止剤)
本発明においてはフィルム形成材料溶液に公知の劣化(酸化)防止剤、例えば、2、6−ジ−t−ブチル、4−メチルフェノール、4、4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、1、1’−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、2、2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、2、5−ジ−t−ブチルヒドロキノン、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3、5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]などのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3、5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、トリス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ホスファイト、ビス(2、6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリストールジホスファイト、ビス(2、4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤を添加することが好ましい。酸化防止剤は、環状ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.05〜5.0質量部添加する。
【0165】
(紫外線吸収剤)
本発明においてはフィルム形成材料溶液に、偏光板または液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤を添加することができる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。ヒンダードフェノール系化合物の例としては、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、トリス−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−イソシアヌレイトなどが挙げられる。ベンゾトリアゾール系化合物の例としては、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2、2−メチレンビス(4−(1、1、3、3−テトラメチルブチル)−6−(2H−ベンゾトリアゾール−2−イル)フェノール)、(2、4−ビス−(n−オクチルチオ)−6−(4−ヒドロキシ−3、5−ジ−tert−ブチルアニリノ)−1、3、5−トリアジン、トリエチレングリコール−ビス〔3−(3−tert−ブチル−5−メチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N、N’−ヘキサメチレンビス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−ヒドロシンナミド)、1、3、5−トリメチル−2、4、6−トリス(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−ブチルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、(2(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−tert−アミルフェニル)−5−クロルベンゾトリアゾール、2、6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、ペンタエリスリチル−テトラキス〔3−(3、5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、フィルム全体中に質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmが更に好ましい。
【0166】
(可塑剤)
環状ポリオレフィン系樹脂は、一般的に、セルロースアセテートに比較して柔軟性に乏しく、フィルムに曲げ応力やせん断応力がかかると、フィルムに割れ等が生じ易い。また、光学フィルムとして加工する際に、切断部にひびが入りやすく、切り屑が発生しやすい。発生した切り屑は、光学フィルムを汚染し、光学的欠陥の原因となっていた。これらの問題点を改良するため、可塑剤を添加することができる。具体的には、フタル酸エステル系、トリメリット酸エステル系、脂肪族二塩基酸エステル系、正リン酸エステル系、酢酸エステル系、ポリエステル・エポキシ化エステル系、リシノール酸エステル系、ポリオレフィン系、ポリエチレングリコール系化合物を挙げることができる。
【0167】
使用できる可塑剤としては、常温、常圧、液状で、かつ沸点が200℃以上の化合物から選択することが好ましい。具体的な化合物名としては、以下を例示することができる。
脂肪族二塩基酸エステル系としては、例えばジオクチルアジペート(230℃/760mmHg)、ジブチルアジペート(145℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアジペート(335℃/760mmHg)、ジブチルジグリコールアジペート(230〜240℃/2mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルアゼレート(220〜245℃/4mmHg)、ジ−2−エチルヘキシルセバケート(377℃/760mmHg)等;フタル酸エステル系としては、例えばジエチルフタレート(298℃/760mmHg)、ジヘプチルフタレート(235〜245℃/10mmHg)、ジ−n−オクチルフタレート(210℃/760mmHg)、ジイソデシルフタレート(420℃/760mmHg)等;ポリオレフィン系としては、ノルマルパラフィン、イソパラフィン、シクロパラフィン等のパラフィンワックス類(平均分子量330〜600、融点45〜80℃)、流動パラフィン類(JIS規格K2231ISOVG8、同VG15、同VG32、同VG68、同VG100等)、パラフィンペレット類(融点56〜58℃、58〜60℃、60〜62℃等)、塩化パラフィン、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリイソブテン、水添ポリブタジエン、水添ポリイソプレン、スクアラン等を挙げることができる。
【0168】
可塑剤の添加量としては、環状ポリオレフィン系樹脂100質量部に対して、0.5から40.0質量部、好ましくは1.0質量部から30.0質量部、より好ましくは3.0から20.0質量部である。可塑剤の添加量がこれより少ないと可塑効果が不十分で、加工適性が向上しない。また、これ以上になると長時間経時した場合に、可塑剤が分離溶出する場合が有り、光学的ムラ、他部品への汚染等が発生し、好ましくない。
【0169】
以下、フィルムの製造方法について詳細に説明する。
本発明のフィルム製造方法は溶液製膜法によって製造される。溶液製膜法は、少なくともフィルム形成材料溶液を支持体上に流延する工程を有する。以下は、本発明に好適である添加剤を含むフィルムを製造する形態について説明する。このようなフィルムは、前記の溶液製膜法のなかでも以下の2つの製造方法のいずれかにより製造されることが好ましい。
1.環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーA、並びに、少なくとも1種の化合物を溶剤に溶解または分散する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むフィルムの製造方法。
2.環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーA、を溶剤に溶解する工程、流延する工程、乾燥する工程、および巻き取る工程を含むことを特徴とするフィルムの製造方法であって、流延後のフィルムの少なくとも片方の面上にすくなくとも1種の化合物を含む塗工液を塗工する工程を含むフィルムの製造方法。
また、前記流延する工程後、延伸するのが好ましい。
【0170】
尚、前記1と前記2の2つの製造方法は、フィルムに対する化合物の組み込み方が異なる。前記1の方法では、環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーA、を主成分とする層に対し、化合物を同一層に溶解または分散するのに対し、前記2の方法では、環状ポリオレフィン系樹脂B、ポリマーA、を主成分とする層に対し化合物を含む塗工液を塗工する点で異なる。以下、(溶解する工程、ドープ調製)〜(乾燥後、巻き取る工程)まで、各工程毎に詳述するが、前記1の製造方法は、(溶解する工程、ドープ調製)において、溶解あるいは分散、添加を行なう以外は、前記2の製造方法と同じである。
【0171】
(溶解する工程、ドープ調製)
まず、各材料成分を後述の溶剤に溶解させてフィルム形成材料溶液(ドープ)を調製する。ドープの調製については、室温攪拌溶解による方法、室温で攪拌して環状ポリオレフィン系樹脂などを膨潤させた後−20から−100℃まで冷却し再度20から100℃に加熱して溶解する冷却溶解法、密閉容器中で主溶剤の沸点以上の温度にして溶解する高温溶解方法、さらには溶剤の臨界点まで高温高圧にして溶解する方法などがある。溶解性のよい環状ポリオレフィン系樹脂などは室温溶解が好ましいが、溶解性の悪い環状ポリオレフィン系樹脂などは密閉容器中で加熱溶解する。溶解性があまり悪くないものはできるだけ低い温度を選ぶほうが、効率的である。
【0172】
本発明においてフィルム形成材料溶液の粘度は25℃で10〜100Pa・sの範囲であることが好ましい。さらに好ましくは20〜80Pa・s、特に好ましくは25〜70Pa・sの範囲である。粘度の測定は次のようにして行った。試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTAInstrumennts社製)を用いて測定した。
試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。
【0173】
ドープを調製する際に用いる溶剤について記述する。本発明においては、環状ポリオレフィン系樹脂等が溶解し流延、製膜できる範囲において、その目的が達成できる限りは、使用できる溶剤は特に限定されない。本発明で用いられる溶剤は、例えばジクロロメタン、クロロホルムの如き塩素系溶剤、炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素、環状炭化水素、芳香族炭化水素、エステル、ケトン、エーテルから選ばれる溶剤が好ましい。エステル、ケトンおよび、エーテルは、環状構造を有していてもよい。炭素原子数が3〜12の鎖状炭化水素類の例としては、ヘキサン、オクタン、イソオクタン、デカンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12の環状炭化水素類としてはシクロペンタン、シクロヘキサン及びその誘導体が挙げられる。炭素原子数が3〜12の芳香族炭化水素としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエステル類の例には、エチルホルメート、プロピルホルメート、ペンチルホルメート、メチルアセテート、エチルアセテートおよびペンチルアセテートが挙げられる。炭素原子数が3〜12のケトン類の例には、アセトン、メチルエチルケトン、ジエチルケトン、ジイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノンおよびメチルシクロヘキサノンが挙げられる。炭素原子数が3〜12のエーテル類の例には、ジイソプロピルエーテル、ジメトキシメタン、ジメトキシエタン、1、4−ジオキサン、1、3−ジオキソラン、テトラヒドロフラン、アニソールおよびフェネトールが挙げられる。2種類以上の官能基を有する有機溶剤の例には、2−エトキシエチルアセテート、2−メトキシエタノールおよび2−ブトキシエタノールが挙げられる。有機溶剤の好ましい沸点は35℃以上且つ150℃以下である。
また、溶剤は25℃における蒸気圧が、250mmHg以上であることが好ましい。この蒸気圧範囲を満たすことにより、溶剤が揮発しやすく、環状ポリオレフィン系樹脂BとポリマーAとが均一に混合した状態のまま硬化するという効果が奏される。さらに好ましい蒸気圧(25℃)は、300mmHg〜600mmHgである。
本発明に使用される溶剤は、乾燥性、粘度等の溶液物性調節のために2種以上の溶剤を混合して用いることができ、更に、混合溶媒で環状ポリオレフィン系樹脂などが溶解する限りは、貧溶媒を添加することも可能である。
【0174】
好ましい貧溶媒は使用するポリマー種により適宜選択することができる。良溶媒として塩素系有機溶剤を使用する場合は、アルコール類を好適に使用することができる。アルコール類としては、好ましくは直鎖であっても分枝を有していても環状であってもよく、その中でも飽和脂肪族炭化水素であることが好ましい。アルコールの水酸基は、第一級〜第三級のいずれであってもよい。アルコールの例には、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、t−ブタノール、1−ペンタノール、2−メチル−2−ブタノールおよびシクロヘキサノールが含まれる。なおアルコールとしては、フッ素系アルコールも用いられる。例えば、2−フルオロエタノール、2、2、2−トリフルオロエタノール、2、2、3、3−テトラフルオロ−1−プロパノールなども挙げられる。貧溶媒のなかでも特に1価のアルコール類は、剥離抵抗低減効果があり、好ましく使用することができる。選択する良溶剤によって特に好ましいアルコール類は変化するが、乾燥負荷を考慮すると、沸点が120℃以下のアルコールが好ましく、炭素数が1〜6の1価アルコールが更に好ましく、炭素数1〜4のアルコール類が特に好ましく使用することができる。環状ポリオレフィン系樹脂などを溶解してなる溶液を調製する上で特に好ましい混合溶剤は、ジクロロメタンを主溶剤とし、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールあるいはブタノールから選ばれる1種以上のアルコール類を貧溶媒にする組み合わせである。
【0175】
フィルム形成材料溶液は、使用する溶剤を適宜選択することにより、高濃度のドープが得られるのが特徴であり、濃縮という手段に頼らずとも高濃度でしかも安定性の優れたフィルム形成材料溶液が得られる。更に溶解し易くするために低い濃度で溶解してから、濃縮手段を用いて濃縮してもよい。濃縮の方法としては、特に限定するものはないが、例えば、低濃度溶液を筒体とその内部の周方向に回転する回転羽根外周の回転軌跡との間に導くとともに、溶液との間に温度差を与えて溶剤を蒸発させながら高濃度溶液を得る方法(例えば、特開平4−259511号公報等)、加熱した低濃度溶液をノズルから容器内に吹き込み、溶液をノズルから容器内壁に当たるまでの間で溶剤をフラッシュ蒸発させるとともに、溶剤蒸気を容器から抜き出し、高濃度溶液を容器底から抜き出す方法(例えば、米国特許第2、541、012号、米国特許第2、858、229号、米国特許第4、414、341号、米国特許第4、504、355号各明細書等などに記載の方法)等で実施できる。
【0176】
溶液は流延に先だって金網やネルなどの適当な濾材を用いて、未溶解物やゴミ、不純物などの異物を濾過除去しておくのが好ましい。フィルム形成材料溶液の濾過には絶対濾過精度が0.1μm〜100μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.5μm〜25μmであるフィルターを用いることが好ましい。フィルターの厚さは、0.1μm〜10mmが好ましく、更には0.2mm〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.6MPa以下、より好ましくは1.3MPa以下、更には1.0MPa以下、特に好ましくは0.6MPa以下で濾過することが好ましい。濾材としては、ガラス繊維、セルロース繊維、濾紙、四フッ化エチレン樹脂などのフッ素樹脂等の従来公知である材料を好ましく用いることができ、またセラミックス、金属等も好ましく用いられる。
【0177】
本発明では、貯蔵タンク内にある流延直前のフィルム形成材料溶液が、下記要件(1)を満たすことが好ましい。
(1)フィルム形成材料溶液の含水率が、相対湿度80%における前記フィルムの含水率の1/2以下である。
前記(1)において、さらに好ましいフィルム形成材料溶液の含水率は、相対湿度80%における前記フィルムの含水率の0.4倍以下である。上記の含水率を達成するためには、添加素材(材料成分)を乾燥する方法、使用する溶剤を脱水する方法等の手段がある。
その乾燥については特に限定されず、常圧でも減圧下でもよく、乾燥温度は30〜250℃が任意に選ばれる。ここで、添加固形物の温度が30〜250℃であれば、その方法は高温度の風を送ることでもよい。さらには、超音波などの電子線照射をあたえることで実施し乾燥してもよい。乾燥時間は生産性を考えると短いほど好ましく、0.1〜1000時間が好ましい。更には1〜100時間が特に好ましい。また減圧で乾燥される場合は100〜5万Paが好ましく、1000〜3万Paがより好ましい。減圧を達成するためには水流ポンプを用いてもよく、また機械的に減圧してもよい。
溶剤の脱水については特に限定されず,使用する溶剤に適した脱水方法を用いるのが良い。
なお、フィルム形成材料溶液の含水率は溶液1cm3を水分測定器、試料乾燥装置(CA−03,VA−05,共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定できる。
フィルムの含水率は試料7mm×35mmを水分測定器、試料乾燥装置(CA−03,VA−05,共に三菱化学(株))にてカールフィッシャー法で測定できる。
【0178】
また、フィルム形成材料溶液の製膜直前の粘度は、製膜の際に流延可能な範囲であればよいが、10〜100Pa・sの複素粘度が好ましい。この範囲内であれば、フィルムの白化の抑制効果が高まる。さらに好ましくは、20〜80Pa・sであり、とくに好ましくは、25〜70Pa・sである。粘度の測定は、試料溶液1mLをレオメーター(CLS 500)に直径4cm/2°のSteel Cone(共にTA Instrumennts社製)を用いて測定できる。
試料溶液は予め測定開始温度にて液温一定となるまで保温した後に測定を開始した。この時の温度はその流延時の温度であれば特に限定されないが、好ましくは−5〜70℃であり、より好ましくは−5〜35℃である。
【0179】
フィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープ(フィルム形成材料溶液)を貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。ドープをドープ排出口から、例えば回転数によって高精度に定量送液できる加圧型定量ギヤポンプを通して加圧型ダイに送り、ドープを加圧型ダイの口金(スリット)からエンドレスに走行している流延部の金属支持体の上に均一に流延され、金属支持体がほぼ一周した剥離点で、生乾きのドープ膜(ウェブとも呼ぶ)を金属支持体から剥離する。得られるウェブの両端をクリップで挟み、テンターで搬送して乾燥し、続いて乾燥装置のロール群で搬送し乾燥を終了して巻き取り機で所定の長さに巻き取る。テンターとロール群の乾燥装置との組み合わせはその目的により変わる。電子ディスプレイ用機能性保護膜に用いる溶液流延製膜方法においては、溶液流延製膜装置の他に、下引層、帯電防止層、ハレーション防止層、保護層等のフィルムへの表面加工のために、塗布装置が付加されることが多い。以下に各製造工程について簡単に述べるが、これらに限定されるものではない。
【0180】
調製したフィルム形成材料溶液(ドープ)は、無端金属支持体上、例えば金属ドラムまたは金属支持体(バンドあるいはベルト)上に流延し、溶剤を蒸発させてフィルムを形成することが好ましい。流延前のドープは、環状ポリオレフィン量が10〜35質量%となるように濃度を調整することが好ましい。ドラムまたはバンドの表面は、鏡面状態に仕上げておくことが好ましい。ドープは、表面温度が30℃以下のドラムまたはバンド上に流延することが好ましく、特には−50〜20℃の金属支持体温度であることが好ましい。
さらに特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、および特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。
【0181】
(流延、重層流延)
フィルム形成材料溶液を、金属支持体としての平滑なバンド上或いはドラム上に単層液として流延してもよいし、2層以上の複数のフィルム形成材料溶液を流延してもよい。
複数のフィルム形成材料溶液を流延する場合、金属支持体の進行方向に間隔を置いて設けた複数の流延口からフィルム形成材料溶液をそれぞれ流延させて積層させながらフィルムを作製してもよく、例えば特開昭61−158414号、特開平1−122419号、および特開平11−198285号の各公報などに記載の方法が適応できる。
また、2つの流延口からフィルム形成材料溶液を流延することによってもフィルム化することでもよく、例えば特公昭60−27562号、特開昭61−94724号、特開昭61−947245号、特開昭61−104813号、特開昭61−158413号、および特開平6−134933号の各公報に記載の方法で実施できる。また、特開昭56−162617号公報に記載の高粘度フィルム形成材料溶液の流れを低粘度のフィルム形成材料溶液で包み込み、その高、低粘度のフィルム形成材料溶液を同時に押出すフィルム流延方法でもよい。更にまた、特開昭61−94724号および特開昭61−94725号の各公報に記載の外側の溶液が内側の溶液よりも貧溶媒であるアルコール成分を多く含有させることも好ましい態様である。或いはまた2個の流延口を用いて、第一の流延口により金属支持体に成型したフィルムを剥離し、金属支持体面に接していた側に第二の流延を行うことにより、フィルムを作製することでもよく、例えば特公昭44−20235号公報に記載されている方法である。流延するフィルム形成材料溶液は同一の溶液でもよいし、異なるフィルム形成材料溶液でもよく特に限定されない。複数の環状ポリオレフィン層に機能を持たせるために、その機能に応じたフィルム形成材料溶液を、それぞれの流延口から押出せばよい。さらにフィルム形成材料溶液は、他の機能層(例えば、接着層、染料層、帯電防止層、アンチハレーション層、マット剤層、UV吸収層、偏光層など)を同時に流延することも実施しうる。
【0182】
単層液では必要なフィルム厚さにするためには高濃度で高粘度のフィルム形成材料溶液を押出すことが必要であり、その場合フィルム形成材料溶液の安定性が悪くて固形物が発生し、ブツ故障となったり、平面性が不良であったりして問題となりやすい。この解決として、複数のフィルム形成材料溶液を流延口から流延することにより、高粘度の溶液を同時に金属支持体上に押出すことができ、平面性も良化し優れた面状のフィルムが作製できるばかりでなく、濃厚なフィルム形成材料溶液を用いることで乾燥負荷の低減化が達成でき、フィルムの生産スピードを高めることができる。
共流延の場合、内側と外側の厚さは特に限定されないが、好ましくは外側が全膜厚の1〜50%であることが好ましく、より好ましくは2〜30%の厚さである。ここで、3層以上の共流延の場合は金属支持体に接した層と空気側に接した層のトータル膜厚を外側の厚さと定義する。共流延の場合、前述の添加物濃度が異なるフィルム形成材料溶液を共流延して、積層構造のフィルムを作製することもできる。例えば、スキン層/コア層/スキン層といった構成のフィルムを作ることができる。劣化防止剤、紫外線吸収剤はスキン層よりもコア層に多くいれることができ、コア層のみにいれてもよい。また、コア層とスキン層で劣化防止剤、紫外線吸収剤の種類を変更することもでき、例えばスキン層に低揮発性の劣化防止剤及び/または紫外線吸収剤を含ませ、コア層に可塑性に優れた可塑剤、或いは紫外線吸収性に優れた紫外線吸収剤を添加することもできる。また、剥離促進剤を金属支持体側のスキン層のみ含有させることも好ましい態様である。また、冷却ドラム法で金属支持体を冷却して溶液をゲル化させるために、スキン層に貧溶媒であるアルコールをコア層より多く添加することも好ましい。スキン層とコア層のTgが異なっていても良く、スキン層のTgよりコア層のTgが低いことが好ましい。また、流延時の環状ポリオレフィンを含む溶液の粘度もスキン層とコア層で異なっていても良く、スキン層の粘度がコア層の粘度よりも小さいことが好ましいが、コア層の粘度がスキン層の粘度より小さくてもよい。
【0183】
(流延)
溶液の流延方法としては、調製されたドープを加圧ダイから金属支持体上に均一に押し出す方法、一旦金属支持体上に流延されたドープをブレードで膜厚を調節するドクターブレードによる方法、或いは逆回転するロールで調節するリバースロールコーターによる方法等があるが、加圧ダイによる方法が好ましい。加圧ダイにはコートハンガータイプやTダイタイプ等があるがいずれも好ましく用いることができる。また、ここで挙げた方法以外にも従来知られているセルローストリアセテート溶液を流延製膜する種々の方法で実施でき、用いる溶剤の沸点等の違いを考慮して各条件を設定することによりそれぞれの公報に記載の内容と同様の効果が得られる。フィルムを製造するのに使用されるエンドレスに走行する金属支持体としては、表面がクロムメッキによって鏡面仕上げされたドラムや表面研磨によって鏡面仕上げされたステンレスベルト(バンドといってもよい)が用いられる。フィルムの製造に用いられる加圧ダイは、金属支持体の上方に1基或いは2基以上の設置でもよい。好ましくは1基または2基である。2基以上設置する場合には流延するドープ量をそれぞれのダイに種々な割合にわけてもよく、複数の精密定量ギヤアポンプからそれぞれの割合でダイにドープを送液してもよい。流延に用いられるフィルム形成材料溶液の温度は、−10〜55℃が好ましくより好ましくは25〜50℃である。その場合、工程のすべてが同一でもよく、あるいは工程の各所で異なっていてもよい。異なる場合は、流延直前で所望の温度であればよい。
【0184】
なお、上記流延工程では、周囲雰囲気の露点が5℃以下であることが好ましく、−20〜3℃がさらに好ましい。この露点の範囲内であれば、フィルムの白化の抑制、疎水物質の表面への析出等が改善され好ましい。
【0185】
(乾燥)
フィルムの製造に係わる金属支持体上におけるドープの乾燥は、一般的には金属支持体(例えばドラム或いはバンド)の表面側、つまり金属支持体上にあるウェブの表面から熱風を当てる方法、ドラム或いはバンドの裏面から熱風を当てる方法、温度コントロールした液体をバンドやドラムのドープ流延面の反対側である裏面から接触させて、伝熱によりドラム或いはバンドを加熱し表面温度をコントロールする液体伝熱方法などがあるが、裏面液体伝熱方式が好ましい。流延される前の金属支持体の表面温度はドープに用いられている溶剤の沸点以下であれば何度でもよい。しかし乾燥を促進するためには、また金属支持体上での流動性を失わせるためには、使用される溶剤の内の最も沸点の低い溶剤の沸点より1〜10度低い温度に設定することが好ましい。尚、流延ドープを冷却して乾燥することなく剥ぎ取る場合はこの限りではない。
【0186】
(剥離)
生乾きのフィルムを金属支持体から剥離するとき、剥離抵抗(剥離荷重)が大きいと、製膜方向にフィルムが不規則に伸ばされて光学的な異方性むらを生じる。特に剥離荷重が大きいときは、製膜方向に段状に伸ばされたところと伸ばされていないところが交互に生じて、レターデーションに分布を生じる。液晶表示装置に装填すると線状あるいは帯状にむらが見えるようになる。このような問題を発生させないためには、フィルムの剥離荷重をフィルム剥離幅1cmあたり0.25N以下にすることが好ましい。剥離荷重はより好ましくは0.2N/cm以下、さらに好ましくは0.15N以下、特に好ましくは0.10N以下である。剥離荷重0.2N/cm以下のときはむらが現れやすい液晶表示装置においても剥離起因のむらは全く認められず、特に好ましい。剥離荷重を小さくする方法としては、前述のように剥離剤を添加する方法と、使用する溶剤組成の選択による方法がある。
剥離荷重の測定は次のようにして行う。製膜装置の金属支持体と同じ材質・表面粗さの金属板上にドープを滴下し、ドクターブレードを用いて均等な厚さに展延し乾燥する。カッターナイフでフィルムに均等幅の切れ込みを入れ、フィルムの先端を手で剥がしてストレンゲージにつながったクリップで挟み、ストレンゲージを斜め45度方向に引き上げながら、荷重変化を測定する。剥離されたフィルム中の揮発分も測定する。乾燥時間を変えて何回か同じ測定を行い、実際の製膜工程における剥離時残留揮発分と同じ時の剥離荷重を定める。剥離速度が速くなると剥離荷重は大きくなる傾向があり、実際に近い剥離速度で測定することが好ましい。
剥離時の好ましい残留揮発分濃度は5質量%〜60質量%である。10質量%〜50質量%が更に好ましく、20質量%〜40質量%が特に好ましい。高揮発分で剥離すると乾燥速度が稼げて、生産性が向上して好ましい。一方、高揮発分ではフィルムの強度や弾性が小さく、剥離力に負けて切断したり、伸びてしまう。また剥離後の自己保持力が乏しく、変形、しわ、クニックを生じやすくなる。またレターデーションに分布を生じる原因になる。
【0187】
(延伸処理)
フィルムを延伸処理する場合は、剥離のすぐ後のフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うことが好ましい。一般的な延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れ、面内方向のレターデーションの均一なフィルムを得るため及び/又は、(2)フィルムの面内レターデーションを大きくするために行う。
【0188】
延伸においては、延伸開始時の生乾きのフィルム中の好ましい残留揮発分濃度は15〜60質量%であり、20〜50質量%が更に好ましく、25〜40質量%が特に好ましい。延伸は0.5〜300%で行うのが好ましく、1〜200%で行うのがより好ましく、1〜100%で行うのがさらに好ましい。ただし環状オレフィン系樹脂フィルムは延伸による光学異方性の発現性が大きいことから実用上の観点からは延伸倍率は1〜30%が好ましく、3〜25%が更に好ましく、5〜20%が特に好ましい。剛直でなく、しなやかであるために、フィルム面内方向に均一な延伸を与えることができるだけでなく、膜中の環状オレフィン分子の配向緩和が進むために面内方向のレターデーションの分布にバラツキが小さくなる点で、残留溶剤量は15質量%以上であることが好ましい。一方、フィルムの強度や弾性が大きく、意図せぬ切断や伸びが生じにくく、面内方向のレターデーションの分布にバラツキを生じにくい点で、残留溶剤量は60質量%以下が好ましい。さらにはこの条件では自己保持力が十分で、変形、しわ、クニックを生じにくく、光学フィルムとして有用である利点がある。
【0189】
フィルムの延伸は、フィルム搬送方向に対して縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次二軸延伸でもよいが、光学特性発現性と均一コントロールの面で、同時あるいは逐次二軸延伸が好ましい。VA液晶セルやOCB液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向(横方向)により多く延伸することが好ましい。
【0190】
延伸後にフィルムを緩和させ、延伸フィルムを収縮させることが好ましい。緩和工程では、例えば横延伸された熱可塑性樹脂フィルムを所定時間、所定温度に保持して、延伸フィルムを収縮させることが好ましい。緩和率は20%以内が好ましく、15%以内がより好ましく、10%以内が特に好ましい。緩和率が高すぎると、搬送中のフィルムが弛むことにより、走行性が悪化しハンドリングが悪くなるだけでなく、搬送テンションのバラツキにより、光学特性バラツキが大きくなる。保持温度が低すぎると延伸過程での分子配向が凍結されてレターデーション値を均一化することが困難になるため、100℃以上で保持することが好ましく、120℃以上であることがさらに好ましい。保持時間は、10〜300秒が好ましく、30秒〜180秒がさらに好ましい。保持時間が短すぎると応力緩和効果が小さくレターデーション値を均一化することができず、長すぎるとフィルム厚み方向のレターデーション値のバラツキが増加する。
【0191】
(後乾燥、巻き取る工程)
フィルムは延伸後更に乾燥し、残留揮発分を2%以下にして巻き取る。
本発明の出来上がり(乾燥後)のフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常20から500μmの範囲であり、30〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40〜110μmであることが好ましい。
フィルム厚さの調製は、所望の厚さになるように、ドープ中に含まれる固形分濃度、ダイの口金のスリット間隙、ダイからの押し出し圧力、金属支持体速度等を調節すればよい。以上のようにして得られたフィルムの幅は0.5m〜3mが好ましく、より好ましくは0.6m〜2.5m、さらに好ましくは0.8m〜2.2mである。フィルムの幅が0.5m以上であれば生産性が低減することなく、3m以下であればウェッブハンドリング性が悪くなったり、フィルムの光学均一性が低減したりすることなく、さらにはフィルムにヨレ、スジ等の好ましくない現象が発生せず好ましい。長さは1ロールあたり100m〜10000mで巻き取るのが好ましく、より好ましくは500m〜7000mであり、さらに好ましくは1000m〜6000mである。フィルム長が100m以上であれば、ロール交換の頻度が多くなることによる生産性の低減がなく、10000m以下であればウェッブハンドリング性が悪くなったり、フィルムの光学均一性が低減することなく、さらにはフィルムにヨレ、スジ等の好ましくない現象が発生せず好ましい。巻き取る際、少なくとも片端にナーリングを付与するのが好ましく、幅は3mm〜50mm、より好ましくは5m〜30mm、高さは0.5〜500μmであり、より好ましくは1〜200μmである。これは片押しであっても両押しであっても良い。全幅のRe値のばらつきが±5nmであることが好ましく、±3nmであることが更に好ましい。また、Rth値のバラツキは±10nmが好ましく、±5nmであることが更に好ましい。また、長さ方向のRe値、及びRth値のバラツキも幅方向のバラツキの範囲内であることが好ましい。
【0192】
(フィルムの光学特性)
本発明のフィルムはヘイズ値が5%以下である。より好ましいヘイズ値は3%以下、さらに好ましくは1%以下である。本発明でいうヘイズ値は、試料40mm×80mmを25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP,スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した値を意味する。
【0193】
フィルムのその他の好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。偏光板用保護フィルム用途の場合および光学補償フィルム用途の場合について、後述する各項目において記載する。
【0194】
フィルムは使用する環状ポリオレフィン系樹脂などの構造、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADH(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHが算出する。尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフイルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。ここで平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx、ny、nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
【0195】
【数1】

【0196】
ここで、上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。dはフィルム厚を表す。
【0197】
Rth=((nx+ny)/2−nz)×d −−− 式(2)
なおこの際、パラメータとして平均屈折率nが必要になるが、これはアッベ屈折計((株)アタゴ社製の『アッベ屈折計2−T』)により測定した値を用いた。
【0198】
次いで、上述のフィルムを有する偏光板用保護フィルム及び光学補償フィルム、並びに該偏光板用保護フィルムを有することを特徴とする偏光板について説明する。
【0199】
(位相差フィルム−光学補償フィルム)
本発明のフィルムを位相差フィルムとして使用する場合は、位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがある。光学補償フィルムとして用いることが好ましい。本発明の光学補償フィルムはフィルムそのものでもまた後述の他の構成層を有してもよい。また、分子内に適度な割合で分極率の大きな置換基を含有していることが望ましい。
【0200】
(偏光板用保護フィルム)
フィルムを偏光板用保護フィルムとして用いる場合は、面内レターデーション(Re)は5nm以下が好ましく、3nm以下が更に好ましい。厚さ方向レターデーション(Rth)も50nm以下が好ましく、35nm以下が更に好ましく、10nm以下が特に好ましい。
本発明の偏光板用保護フィルムはフィルムそのものでもまた後述の他の構成層を有してもよい。
【0201】
(偏光板)
偏光板は、通常、偏光子およびその両側に配置された二枚の透明保護膜を有する。そして、本発明の偏光板は、両方または一方の保護膜として、本発明の偏光板用保護フィルムを用いる。一方のみに本発明の偏光板用保護フィルムを用いた場合には、他方の保護膜は、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光子には、ヨウ素系偏光子、二色性染料を用いる染料系偏光子やポリエン系偏光子がある。ヨウ素系偏光子および染料系偏光子は、一般にポリビニルアルコール(PVA)系フィルムを用いて製造する。PVAは、ポリ酢酸ビニルをケン化したポリマー素材であるが、例えば不飽和カルボン酸、不飽和スルホン酸、オレフィン類、ビニルエーテル類のような酢酸ビニルと共重合可能な成分を含有しても構わない。また、アセトアセチル基、スルホン酸基、カルボキシル基、オキシアルキレン基等を含有する変性PVAも用いることができる。
PVAのケン化度は特に限定されないが、溶解性等の観点から80〜100mol%が好ましく、90〜100mol%が特に好ましい。またPVAの重合度は特に限定されないが、1000〜10000が好ましく、1500〜5000が特に好ましい。
PVAのシンジオタクティシティーは特許第2978219号に記載されているように耐久性を改良するため55%以上が好ましいが、特許第3317494号に記載されている45〜52.5%も好ましく用いることができる。
【0202】
フィルムを偏光板用保護フィルムおよび、位相差フィルムとして使用する場合、フィルムに後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光子を、接着剤を用いて貼り合わせるのが好ましい。偏光板は偏光子及びその両面を保護する保護膜で構成されており、更に該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルム及びセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。
【0203】
本発明の偏光板用保護フィルムの偏光子への貼り合せ方は、偏光子の透過軸と本発明の偏光板用保護フィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。なお、偏光板クロスニコル下で作製した偏光板の評価を行ったところ、本発明の偏光板用保護フィルムの遅相軸と偏光子の吸収軸(透過軸と直交する軸)との直交精度が1°より大きいと、偏光板クロスニコル下での偏光度性能が低減して光抜けが生じることがわかった。この場合、液晶セルと組み合わせた場合に、十分な黒レベルやコントラストが得られないことになる。したがって、本発明の偏光板用保護フィルムの主屈折率nxの方向と偏光板の透過軸の方向とは、そのずれが1°以内、好ましくは0.5°以内であることが好ましい。
偏光板の単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの測定にはUV3100PC(島津製作所社製)を用いることができる。測定では、380nm〜780nmの範囲で測定し、単板、平行、直交透過率ともに、10回測定の平均値を用いることができる。
【0204】
偏光板耐久性試験は(1)偏光板のみと(2)偏光板をガラスに粘着剤を介して貼り付けた、2種類の形態で次のように行うことができる。偏光板のみの測定は、2つの偏光子の間に偏光板用保護フィルムが挟まれるように組み合わせて直交、同じものを2つ用意し測定する。ガラス貼り付け状態のものはガラスの上に偏光板を偏光板用保護フィルムがガラス側にくるように貼り付けたサンプル(約5cm×5cm)を2つ作製する。単板透過率測定ではこのサンプルのフィルムの側を光源に向けてセットして測定する。2つのサンプルをそれぞれ測定し、その平均値を単板の透過率とする。偏光性能の好ましい範囲としては単板透過率TT、平行透過率PT、直交透過率CTの順でそれぞれ、40.5≦TT≦45、32≦PT≦39.5、CT≦1.5であり、より好ましい範囲としては41.0≦TT≦44.5、34≦PT≦39.0、CT≦1.3である。
また偏光板耐久性試験では試験前後の変化量が小さい方が好ましい。例えば、偏光板の偏光度については、2枚の偏光板を60℃、90%RHの下、クロスニコルに設置し、500時間経過後の光透過率を試験前の透過率と比較して耐久性を評価できる。
透過率の変化率、すなわち{(偏光板耐久性試験後のクロスニコル時の光線透過率)−(偏光板耐久性試験前のクロスニコル時の光線透過率)}/(偏光板耐久性試験前のクロスニコル時の光線透過率)×100(%)、の値は小さいほど良く、5%以下であることが好ましい。
【0205】
(フィルムの表面処理)
本発明の偏光板用保護フィルムは、偏光子との接着性を改良するため、フィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理及び火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号及び英国特許第891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃以上180℃以下にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
【0206】
グロー放電処理時の真空度は0.5Pa〜3000Paが好ましく、より好ましくは2Pa〜300Paである。また、電圧は500V〜5000Vの間が好ましく、より好ましくは500V〜3000Vである。使用する放電周波数は、直流から数千MHz、より好ましくは50Hz〜20MHz、さらに好ましくは1KHz〜1MHzである。放電処理強度は、0.01KV・A・分/m2〜5KV・A・分/m2が好ましく、より好ましくは0.15KV・A・分/m2〜1KV・A・分/m2である。
【0207】
本発明では、表面処理として紫外線照射法を行うことも好ましい。例えば、特公昭43−2603号、特公昭43−2604号、特公昭45−3828号の各公報に記載の処理方法によって行うことができる。水銀灯は石英管からなる高圧水銀灯で、紫外線の波長が180〜380nmの間であるものが好ましい。紫外線照射の方法については、光源は保護フィルムの表面温度が150℃前後にまで上昇することが支持体の性能上問題なければ、主波長が365nmの高圧水銀灯ランプを使用することができる。低温処理が必要とされる場合には主波長が254nmの低圧水銀灯が好ましい。またオゾンレスタイプの高圧水銀ランプ、及び低圧水銀ランプを使用する事も可能である。処理光量に関しては処理光量が多いほど熱可塑性飽和脂環式構造含有重合体樹脂フィルムと偏光子との接着力は向上するが、光量の増加に伴い該フイルムが着色し、また脆くなるという問題が発生する。従って、365nmを主波長とする高圧水銀ランプで、照射光量20mJ/cm2〜10000mJ/cm2がよく、より好ましくは50mJ/cm2〜2000mJ/cm2である。254nmを主波長とする低圧水銀ランプの場合には、照射光量100mJ/cm2〜10000mJ/cm2がよく、より好ましくは300mJ/cm2〜1500mJ/cm2である。
【0208】
さらに、本発明では表面処理としてコロナ放電処理を行うことも好ましい。例えば、特公昭39−12838号、特開昭47−19824号、特開昭48−28067号、特開昭52−42114号の各公報に記載等の処理方法によって行うことができる。コロナ放電処理装置は、Pillar社製ソリッドステートコロナ処理機、LEPEL型表面処理機、VETAPHON型処理機等を用いることができる。処理は空気中での常圧にて行うことができる。処理時の放電周波数は、5KV〜40KV、より好ましくは10KV〜30KVであり、波形は交流正弦波が好ましい。電極と誘電体ロールのギャップ透明ランスは0.1mm〜10mm、より好ましくは1.0mm〜2.0mmである。放電は、放電帯域に設けられた誘電サポートローラーの上方で処理し、処理量は、0.34KV・A・分/m2〜0.4KV・A・分/m2、より好ましくは0.344KV・A・分/m2〜0.38KV・A・分/m2である。
【0209】
本発明では、表面処理として火炎処理を行うことも好ましい。用いるガスは天然ガス、液化プロパンガス、都市ガスのいずれでもかまわないが、空気との混合比が重要である。なぜなら、火炎処理による表面処理の効果は活性な酸素を含むプラズマによってもたらされると考えられるからであり、火炎の重要な性質であるプラズマの活性(温度)と酸素がどれだけ多くあるかがポイントである。このポイントの支配因子はガス/酸素比であり、過不足なく反応する場合にエネルギー密度が最も高くなりプラズマの活性が高くなる。具体的には、天然ガス/空気の好ましい混合比は容積比で1/6〜1/10、好ましくは1/7〜1/9である。また、液化プロパンガス/空気の場合は1/14〜1/22、好ましくは1/16〜1/19、都市ガス/空気の場合は1/2〜1/8、好ましくは1/3〜1/7である。また、火炎処理量は1Kcal/m2〜50Kcal/m2、より好ましくは3Kcal/m2〜20Kcal/m2の範囲で行うとよい。またバーナーの内炎の先端とフィルムの距離は3cm〜7cm、より好ましくは4cm〜6cmにするとよい。バーナーのノズル形状は、フリンバーナー社(米国)のリボン式、ワイズ社(米国)の多穴式、エアロジェン(英国)のリボン式、春日電機(日本)の千鳥型多穴式、小池酸素(日本)の千鳥型多穴式が好ましい。火炎処理にフィルムを支えるバックアップロールは中空型ロールであり、冷却水を通して水冷し、常に20℃〜50℃の一定温度で処理するのがよい。
【0210】
表面処理の程度については、表面処理の種類、環状ポリオレフィンの種類によって好ましい範囲も異なるが、表面処理の結果、表面処理を施された保護フィルムの表面の純水との接触角が、50°未満となるのが好ましい。前記接触角は、25°以上45°未満であるのがより好ましい。保護フィルム表面の純水との接触角が上記範囲にあると、保護フィルムと偏光膜との接着強度が良好となる。
【0211】
(接着剤)
ポリビニルアルコール系フィルムからなる偏光子と、偏光板用保護フィルムとしての表面処理されたフィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは共重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ゼラチン、などが挙げられる。本発明では、この中でもPVA及びゼラチンが好ましい。
【0212】
接着剤にPVAを用いる場合の好ましいPVA特性は、前述の偏光子に用いるPVAの好ましい特性と同様である。本発明では、さらに架橋剤を併用することが好ましい。PVAを接着剤に使用する場合に好ましく併用される架橋剤は、ホウ酸、多価アルデヒド、多官能イソシナネート化合物、多官能エポキシ化合物等が挙げられるが、本発明ではホウ酸が特に好ましい。接着剤にゼラチンを用いる場合、いわゆる石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチン、酵素処理ゼラチン、ゼラチン誘導体及び変性ゼラチン等を用いることができる。これらのゼラチンのうち、好ましく用いられるのは石灰処理ゼラチン、酸処理ゼラチンである。接着剤にゼラチンを用いる場合に、好ましく併用される架橋剤としては、活性ハロゲン化合物(2、4−ジクロル−6−ヒドロキシ−1、3、5−トリアジン及びそのナトリウム塩など)及び活性ビニル化合物(1、3−ビスビニルスルホニル−2−プロパノール、1、2−ビスビニルスルホニルアセトアミド)エタン、ビス(ビニルスルホニルメチル)エーテルあるいはビニルスルホニル基を側鎖に有するビニル系ポリマーなど)、N−カルバモイルピリジニウム塩類((1−モルホリノカルボニル−3−ピリジニオ)メタンスルホナートなど)やハロアミジニウム塩類(1−(1−クロロ−1−ピリジノメチレン)ピロリジニウム2−ナフタレンスルホナートなど)等が挙げられる。本発明では、活性ハロゲン化合物及び活性ビニル化合物が特に好ましく使用される。
【0213】
上述の架橋剤を併用する場合の架橋剤の好ましい添加量は、接着剤中の水溶性ポリマー100質量部に対し、0.1質量部以上、40質量部未満であり、さらに好ましくは、0.5質量部以上、30質量部未満である。保護フィルムもしくは偏光子の少なくとも一方の表面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成して、貼合するのが好ましく、保護フィルムの表面処理面に接着剤を塗布して、接着剤層を形成し、偏光子の表面に貼合するのが好ましい。接着剤層厚みは、乾燥後に0.01μm〜5μmが好ましく、0.05μm〜3μmが特に好ましい。
【0214】
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される透明保護膜には反射防止層などの機能性層を設けることが好ましい。特に、本発明では透明保護膜上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または透明保護膜上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。すなわち、反射防止層が積層される透明支持体として、透明保護膜を用いることが好ましい。以下にそれらの好ましい例を記載する。
【0215】
透明保護膜上に光散乱層と低屈折率層を設けた反射防止層の好ましい例について述べる。光散乱層にはマット粒子が分散しているのが好ましい。光散乱層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていてもよく、1層でもよいし、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
【0216】
反射防止層は、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.40μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5度の面が10%以上となるように設計することで、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成され、好ましい。
また、C光源下での反射光の色味がa値−2〜2、b値−3〜3、380nm〜780nmの範囲内での反射率の最小値と最大値の比0.5〜0.99であることで、反射光の色味がニュートラルとなり、好ましい。またC光源下での透過光のb値が0〜3とすることで、表示装置に適用した際の白表示の黄色味が低減され、好ましい。
また、面光源上と反射防止層の間に120μm×40μmの格子を挿入してフィルム上で輝度分布を測定した際の輝度分布の標準偏差が20以下であると、高精細パネルに本発明のフィルムを適用したときのギラツキが低減され、好ましい。
【0217】
反射防止層は、その光学特性として、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上、60度光沢度70%以下とすることで、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため好ましい。特に鏡面反射率は1%以下がより好ましく、0.5%以下であることが最も好ましい。ヘイズ20%〜50%、内部ヘイズ/全ヘイズ値(比)が0.3〜1、光散乱層までのヘイズ値から低屈折率層を形成後のヘイズ値の低減が15%以内、くし幅0.5mmにおける透過像鮮明度20%〜50%、垂直透過光/垂直から2度傾斜方向の透過率比が1.5〜5.0とすることで、高精細LCDパネル上でのギラツキ防止、文字等のボケの低減が達成され、好ましい。
【0218】
(低屈折率層)
反射防止層の低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.49が好ましく、より好ましくは1.30〜1.44の範囲にある。さらに、低屈折率層は下記数式を満たすことが低反射率化の点で好ましい。
(m/4)λ×0.7<n1d1<(m/4)λ×1.3
式中、mは正の奇数であり、n1は低屈折率層の屈折率であり、そして、d1は低屈折率層の膜厚(nm)である。また、λは波長であり、500nm〜550nmの範囲の値である。
【0219】
低屈折率層を形成する素材について以下に説明する。
低屈折率層には、低屈折率バインダーとして、含フッ素ポリマーを含むことが好ましい。フッ素ポリマーとしては動摩擦係数0.03〜0.20、水に対する接触角90°〜120°、純水の滑落角が70°以下の熱または電離放射線により架橋する含フッ素ポリマーが好ましい。反射防止層を画像表示装置に装着した時、市販の接着テープとの剥離力が低いほどシールやメモを貼り付けた後に剥がれ易くなり好ましく、500gf以下が好ましく、300gf以下がより好ましく、100gf以下が最も好ましい。また、微小硬度計で測定した表面硬度が高いほど、傷がつき難く、0.3GPa以上が好ましく、0.5GPa以上がより好ましい。
【0220】
低屈折率層に用いられる含フッ素ポリマーとしてはパーフルオロアルキル基含有シラン化合物(例えば(ヘプタデカフルオロ−1、1、2、2−テトラヒドロデシル)トリエトキシシラン)の加水分解、脱水縮合物の他、含フッ素モノマー単位と架橋反応性付与のための構成単位を構成成分とする含フッ素共重合体が挙げられる。
【0221】
含フッ素モノマーの具体例としては、例えばフルオロオレフィン類(例えばフルオロエチレン、ビニリデンフルオライド、テトラフルオロエチレン、パーフルオロオクチルエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ−2、2−ジメチル−1、3−ジオキソール等)、(メタ)アクリル酸の部分または完全フッ素化アルキルエステル誘導体類(例えばビスコート6FM(大阪有機化学製)やM−2020(ダイキン製)等)、完全または部分フッ素化ビニルエーテル類等が挙げられるが、好ましくはパーフルオロオレフィン類であり、屈折率、溶解性、透明性、入手性等の観点から特に好ましくはヘキサフルオロプロピレンである。
【0222】
架橋反応性付与のための構成単位としてはグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテルのように分子内にあらかじめ自己架橋性官能基を有するモノマーの重合によって得られる構成単位、カルボキシル基やヒドロキシ基、アミノ基、スルホ基等を有するモノマー(例えば(メタ)アクリル酸、メチロール(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、アリルアクリレート、ヒドロキシエチルビニルエーテル、ヒドロキシブチルビニルエーテル、マレイン酸、クロトン酸等)の重合によって得られる構成単位、これらの構成単位に高分子反応によって(メタ)アクリルロイル基等の架橋反応性基を導入した構成単位(例えばヒドロキシ基に対してアクリル酸クロリドを作用させる等の手法で導入できる)が挙げられる。
【0223】
また上記含フッ素モノマー単位、架橋反応性付与のための構成単位以外に溶剤への溶解性、皮膜の透明性等の観点から適宜フッ素原子を含有しないモノマーを共重合することもできる。併用可能なモノマー単位には特に限定はなく、例えばオレフィン類(エチレン、プロピレン、イソプレン、塩化ビニル、塩化ビニリデン等)、アクリル酸エステル類(アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸2−エチルヘキシル)、メタクリル酸エステル類(メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸ブチル、エチレングリコールジメタクリレート等)、スチレン誘導体(スチレン、ジビニルベンゼン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等)、ビニルエーテル類(メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、シクロヘキシルビニルエーテル等)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、桂皮酸ビニル等)、アクリルアミド類(N−tert−ブチルアクリルアミド、N−シクロヘキシルアクリルアミド等)、メタクリルアミド類、アクリロ二トリル誘導体等を挙げることができる。上記のポリマーに対しては特開平10−25388号および特開平10−147739号各公報に記載のごとく適宜硬化剤を併用しても良い。
【0224】
(光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生及び脆性の悪化の抑制の観点から、1μm〜10μmが好ましく、1.2μm〜6μmがより好ましい。
【0225】
散乱層のバインダーとしては、飽和炭化水素鎖またはポリエーテル鎖を主鎖として有するポリマーであることが好ましく、飽和炭化水素鎖を主鎖として有するポリマーであることがさらに好ましい。また、バインダーポリマーは架橋構造を有することが好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有するバインダーポリマーとしては、エチレン性不飽和モノマーの重合体が好ましい。飽和炭化水素鎖を主鎖として有し、かつ架橋構造を有するバインダーポリマーとしては、二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの(共)重合体が好ましい。バインダーポリマーを高屈折率にするには、このモノマーの構造中に芳香族環や、フッ素以外のハロゲン原子、硫黄原子、リン原子、及び窒素原子から選ばれた少なくとも1種の原子を含むものを選択することもできる。
【0226】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーとしては、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル(例、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1、4−シクロヘキサンジアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート)、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1、2、3−シクロヘキサンテトラメタクリレート、ポリウレタンポリアクリレート、ポリエステルポリアクリレート)、上記のエチレンオキサイド変性体、ビニルベンゼンおよびその誘導体(例、1、4−ジビニルベンゼン、4−ビニル安息香酸−2−アクリロイルエチルエステル、1、4−ジビニルシクロヘキサノン)、ビニルスルホン(例、ジビニルスルホン)、アクリルアミド(例、メチレンビスアクリルアミド)およびメタクリルアミドが挙げられる。上記モノマーは2種以上併用してもよい。
【0227】
高屈折率モノマーの具体例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が挙げられる。これらのモノマーも2種以上併用してもよい。
【0228】
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、エチレン性不飽和基を有するモノマー、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止層を形成することができる。これらの光ラジカル開始剤等は公知のものを使用することができる。
【0229】
ポリエーテルを主鎖として有するポリマーは、多官能エポシキシ化合物の開環重合体が好ましい。多官能エポシキ化合物の開環重合は、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
従って、多官能エポシキシ化合物、光酸発生剤あるいは熱酸発生剤、マット粒子および無機フィラーを含有する塗液を調製し、該塗液を透明支持体上に塗布後電離放射線または熱による重合反応により硬化して反射防止層を形成することができる。
【0230】
二個以上のエチレン性不飽和基を有するモノマーの代わりにまたはそれに加えて、架橋性官能基を有するモノマーを用いてポリマー中に架橋性官能基を導入し、この架橋性官能基の反応により、架橋構造をバインダーポリマーに導入してもよい。
架橋性官能基の例には、イソシアナート基、エポキシ基、アジリジン基、オキサゾリン基、アルデヒド基、カルボニル基、ヒドラジン基、カルボキシル基、メチロール基および活性メチレン基が含まれる。ビニルスルホン酸、酸無水物、シアノアクリレート誘導体、メラミン、エーテル化メチロール、エステルおよびウレタン、テトラメトキシシランのような金属アルコキシドも、架橋構造を導入するためのモノマーとして利用できる。ブロックイソシアナート基のように、分解反応の結果として架橋性を示す官能基を用いてもよい。すなわち、本発明において架橋性官能基は、すぐには反応を示すものではなくとも、分解した結果反応性を示すものであってもよい。
これら架橋性官能基を有するバインダーポリマーは塗布後、加熱することによって架橋構造を形成することができる。
【0231】
光散乱層には、防眩性付与の目的で、フィラー粒子より大きく、平均粒径が1μm〜10μm、好ましくは1.5μm〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子が含有されることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO2粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、架橋アクリルスチレン粒子、シリカ粒子が好ましい。マット粒子の形状は、球状あるいは不定形のいずれも使用できる。
【0232】
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。
【0233】
さらに、上記マット粒子の粒子径分布としては単分散であることが最も好ましく、各粒子の粒子径は、それぞれ同一に近ければ近いほど良い。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合には、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒子径分布を持つマット粒子は通常の合成反応後に、分級によって得られ、分級の回数を上げることやその程度を強くすることにより、より好ましい分布の微粒子を得ることができる。
【0234】
上記マット粒子は、形成された光散乱層のマット粒子量が好ましくは10mg/m〜1000mg/m、より好ましくは100mg/m〜700mg/mとなるように光散乱層に含有される。マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
【0235】
光散乱層には、層の屈折率を高めるために、上記のマット粒子に加えて、チタン、ジルコニウム、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも1種の金属の酸化物からなり、平均粒径が0.2μm以下、好ましくは0.1μm以下、より好ましくは0.06μm以下である無機フィラーが含有されることが好ましい。
また逆に、マット粒子との屈折率差を大きくするために、高屈折率マット粒子を用いた光散乱層では層の屈折率を低目に保つためにケイ素の酸化物を用いることも好ましい。好ましい粒径は前述の無機フィラーと同じである。
光散乱層に用いられる無機フィラーの具体例としては、TiO2、ZrO2、Al23、In23、ZnO、SnO2、Sb23、ITOとSiO2等が挙げられる。TiO2およびZrO2が高屈折率化の点で特に好ましい。該無機フィラーは表面をシランカップリング処理またはチタンカップリング処理されることも好ましく、フィラー表面にバインダー種と反応できる官能基を有する表面処理剤が好ましく用いられる。これらの無機フィラーの添加量は、光散乱層の全質量の10%〜90%であることが好ましく、より好ましくは20%〜80%であり、特に好ましくは30%〜75%である。なお、このようなフィラーは、粒径が光の波長よりも十分小さいために散乱が生じず、バインダーポリマーに該フィラーが分散した分散体は光学的に均一な物質として振舞う。
【0236】
光散乱層のバインダーおよび無機フィラーの混合物のバルクの屈折率は、1.48〜2.00であることが好ましく、より好ましくは1.50〜2.00、さらに好ましくは1.50〜1.80である。屈折率を上記範囲とするには、バインダー及び無機フィラーの種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
【0237】
光散乱層は、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を防眩層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、反射防止層の塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いられる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることが目的である。
【0238】
次に透明保護膜上に、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層について述べる。
基体上に、少なくとも中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層(最外層)の順序の層構成から成る反射防止層は、以下の関係を満足する屈折率を有する様に設計されることが好ましい。
高屈折率層の屈折率>中屈折率層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
また、透明支持体と中屈折率層の間に、ハードコート層を設けてもよい。更には、中屈折率ハードコート層、高屈折率層及び低屈折率層からなってもよい(例えば、特開平8−122504号公報、同8−110401号公報、同10−300902号公報、特開2002−243906号公報、特開2000−111706号公報等参照)。また、各層に他の機能を付与させてもよく、例えば、防汚性の低屈折率層、帯電防止性の高屈折率層としたもの(例、特開平10−206603号公報、特開2002−243906号公報等)等が挙げられる。
反射防止層のヘイズは、5%以下あることが好ましく、3%以下がさらに好ましい。また膜の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
【0239】
(高屈折率層および中屈折率層)
反射防止層の高い屈折率を有する層は、平均粒径100nm以下の高屈折率の無機化合物超微粒子及びマトリックスバインダーを少なくとも含有する硬化性膜から成ることが好ましい。
高屈折率の無機化合物微粒子としては、屈折率1.65以上の無機化合物等が挙げられ、好ましくは屈折率1.9以上のものが挙げられる。例えば、Ti、Zn、Sb、Sn、Zr、Ce、Ta、La、In等の酸化物、これらの金属原子を含む複合酸化物等が挙げられる。
このような超微粒子とするには、粒子表面が表面処理剤で処理されること(例えば、シランカップリング剤等:特開平11−295503号公報、同11−153703号公報、特開2000−9908、アニオン性化合物或は有機金属カップリング剤:特開2001−310432号公報等)、高屈折率粒子をコアとしたコアシェル構造とすること(:特開2001−166104、2001−310432号公報等)、特定の分散剤併用(例、特開平11−153703号公報、米国特許第6210858号明細書、特開2002−2776069号公報等)等が挙げられる。
【0240】
マトリックスを形成する材料としては、従来公知の熱可塑性樹脂、硬化性樹脂皮膜等が挙げられる。
更に、ラジカル重合性及び/またはカチオン重合性の重合性基を少なくとも2個有する多官能性化合物含有組成物と、加水分解性基を有する有機金属化合物及びその部分縮合体を含有する組成物とから選ばれる少なくとも1種の組成物が好ましい。例えば、特開2000−47004号公報、同2001−315242号公報、同2001−31871号公報、同2001−296401号公報等に記載の組成物が挙げられる。
また、金属アルコキドの加水分解縮合物から得られるコロイド状金属酸化物と金属アルコキシド組成物から得られる硬化性膜も好ましい。例えば、特開2001−293818号公報等に記載されている。
【0241】
高屈折率層の屈折率は、−般に1.70〜2.20である。高屈折率層の厚さは、5nm〜10μmであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.50〜1.70であることが好ましい。また、厚さは5nm〜10mμであることが好ましく、10nm〜1μmであることがさらに好ましい。
【0242】
(低屈折率層)
低屈折率層は、高屈折率層の上に順次積層して成る。低屈折率層の屈折率は1.20〜1.55であることが好ましく、より好ましくは1.30〜1.50である。
低屈折率層は、耐擦傷性、防汚性を有する最外層として構築することが好ましい。耐擦傷性を大きく向上させる手段として表面への滑り性付与が有効で、従来公知のシリコーンの導入、フッ素の導入等から成る薄膜層の手段を適用できる。
含フッ素化合物の屈折率は1.35〜1.50であることが好ましい。より好ましくは1.36〜1.47である。また、含フッ素化合物はフッ素原子を35〜80質量%の範囲で含む架橋性若しくは重合性の官能基を含む化合物が好ましい。例えば、特開平9−222503号公報明細書段落番号[0018]〜[0026]、同11−38202号公報明細書段落番号[0019]〜[0030]、特開2001−40284号公報明細書段落番号[0027]〜[0028]、特開2000−284102号公報等に記載の化合物が挙げられる。
シリコーン化合物としてはポリシロキサン構造を有する化合物であり、高分子鎖中に硬化性官能基あるいは重合性官能基を含有して、膜中で橋かけ構造を有するものが好ましい。例えば、反応性シリコーン(例、サイラプレーン(チッソ(株)製等)、両末端にシラノール基含有のポリシロキサン(特開平11−258403号公報等)等が挙げられる。
【0243】
架橋または重合性基を有する含フッ素及び/またはシロキサンのポリマーの架橋または重合反応は、重合開始剤、増感剤等を含有する最外層を形成するための塗布組成物を塗布と同時または塗布後に光照射や加熱することにより実施することが好ましい。
また、シランカップリング剤等の有機金属化合物と特定のフッ素含有炭化水素基含有のシランカップリング剤とを触媒共存下に縮合反応で硬化するゾルゲル硬化膜も好ましい。
例えば、ポリフルオロアルキル基含有シラン化合物またはその部分加水分解縮合物(特開昭58−142958号公報、同58−147483号公報、同58−147484号公報、特開平9−157582号公報、同11−106704号公報等記載の化合物)、フッ素含有長鎖基であるポリ「パーフルオロアルキルエーテル」基を含有するシリル化合物(特開2000−117902号公報、同2001−48590号公報、同2002−53804号公報記載の化合物等)等が挙げられる。
【0244】
低屈折率層は、上記以外の添加剤として充填剤(例えば、二酸化珪素(シリカ)、含フッ素粒子(フッ化マグネシウム、フッ化カルシウム、フッ化バリウム)等の一次粒子平均径が1nm〜150nmの低屈折率無機化合物、特開平11−3820号公報の段落番号[0020]〜[0038]に記載の有機微粒子等)、シランカップリング剤、滑り剤、界面活性剤等を含有することができる。
低屈折率層が最外層の下層に位置する場合、低屈折率層は気相法(真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、プラズマCVD法等)により形成されても良い。安価に製造できる点で、塗布法が好ましい。低屈折率層の膜厚は、30nm〜200nmであることが好ましく、50nm〜150nmであることがさらに好ましく、60nm〜120nmであることが最も好ましい。
【0245】
(反射防止層の他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
【0246】
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた透明保護膜に物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光及び/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
これらの化合物の具体例としては、高屈折率層で例示したと同様のものが挙げられる。ハードコート層の具体的な構成組成物としては、例えば、特開2002−144913号公報、同2000−9908号公報、国際公開第00/46617号パンフレット等記載のものが挙げられる。
高屈折率層はハードコート層を兼ねることができる。このような場合、高屈折率層で記載した手法を用いて微粒子を微細に分散してハードコート層に含有させて形成することが好ましい。
【0247】
ハードコート層は、平均粒径0.2μm〜10μmの粒子を含有させて防眩機能(アンチグレア機能)を付与した防眩層を兼ねることもできる。
ハードコート層の膜厚は用途により適切に設計することができる。ハードコート層の膜厚は、0.2μm〜10μmであることが好ましく、より好ましくは0.5μm〜7μmである。
ハードコート層の強度は、JIS K5400に従う鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。また、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
【0248】
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10-8Ωcm-3以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10-8Ωcm-3の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、帯電防止層素材としては金属酸化物が好ましい。金属酸化物には着色しているものがあるが、これらの金属酸化物を帯電防止層素材として用いるとフィルム全体が着色してしまい好ましくない。着色のない金属酸化物を形成する金属としてZn、Ti、Al、In、Si、Mg、Ba、Mo、W、またはVをあげることができ、これを主成分とした金属酸化物を用いることが好ましい。具体的な例としては、ZnO、TiO2、SnO2、Al23、In23、SiO3、MgO、BaO、MoO3、V25等、あるいはこれらの複合酸化物がよく、特にZnO、TiO2、及びSnO2が好ましい。異種原子を含む例としては、例えばZnOに対してはAl、In等の添加物、SnO2に対してはSb、Nb、ハロゲン元素等の添加、またTiO2に対してはNb、TA等の添加が効果的である。更にまた、特公昭59−6235号公報に記載の如く、他の結晶性金属粒子あるいは繊維状物(例えば酸化チタン)に上記の金属酸化物を付着させた素材を使用しても良い。尚、体積抵抗値と表面抵抗値は別の物性値であり単純に比較することはできないが、体積抵抗値で10-8Ωcm-3以下の導電性を確保するためには、該帯電防止層が概ね10-10Ω/□以下の表面抵抗値を有していればよく更に好ましくは10-8Ω/□である。帯電防止層の表面抵抗値は帯電防止層を最表層としたときの値として測定されることが必要であり、本明細書に記載の積層フィルムを形成する途中の段階で測定することができる。
【0249】
次いで、上記フィルム、上記偏光板用保護フィルム、上記光学補償フィルム、上記偏光板の少なくともいずれか1つを有することを特徴とする本発明の液晶表示装置について説明する。
【0250】
(液晶表示装置)
フィルム、該フィルムを有する光学補償フィルム、該フィルムを用いた偏光板は、様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)、ECB(Electrically Controled Birefringence)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、IPSモード、ECBモード、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
【0251】
(IPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置)
フィルムは、IPSモードおよびECBモードの液晶セルを有するIPS型液晶表示装置およびECB型液晶表示装置の光学補償シートの支持体、または偏光板の保護膜としても特に有利に用いられる。これらのモードは黒表示時に液晶材料が略平行に配向する態様であり、電圧無印加状態で液晶分子を基板面に対して平行配向させて、黒表示する。これらの態様においてフィルムを用いた偏光板は視野角拡大、コントラストの良化に寄与する。
【0252】
(OCB型液晶表示装置)
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルを用いた液晶表示装置である。OCBモードの液晶セルは、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
【0253】
(VA型液晶表示装置)
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of tech.Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
VAモードの液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板からなる。液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。本発明の透過型液晶表示装置の一つの態様では、本発明の光学補償フィルムは、液晶セルと一方の偏光板との間に、一枚配置するか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置する。
本発明の透過型液晶表示装置の別の態様では、液晶セルと偏光子との間に配置される偏光板の透明保護膜として、フィルムを有する光学補償フィルムが用いられる。すなわち、偏光板の透明保護膜が光学補償フィルムを兼ねることができる。一方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)透明保護膜のみに上記の光学補償フィルムを用いてもよいし、あるいは双方の偏光板の(液晶セルと偏光子との間の)二枚の透明保護膜に、上記の光学補償フィルムを用いてもよい。一方の偏光板のみに上記光学補償フィルムを使用する場合は、液晶セルのバックライト側偏光板の液晶セル側保護膜として使用するのが特に好ましい。液晶セルへの貼り合わせは、フィルムをVAセル側にすることが好ましい。他方の保護膜は通常に用いられるセルロースアシレートフィルムでも良い。たとえば、40μm〜80μmが好ましく、市販のKC4UX2M(コニカオプト(株)製40μm)、KC5UX(コニカオプト(株)製60μm)、TD80(富士フイルム製80μm)等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0254】
OCBモードの液晶表示装置やTN液晶表示装置では、視野角拡大のために光学補償フィルムが使用される。OCBセル用光学補償フィルムは光学一軸あるいは二軸性フィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。TNセル用光学補償フィルムは光学等方性あるいは厚さ方向に光学軸を有するフィルムの上にディスコティック液晶をハイブリッド配向させて固定した光学異方性層を設けたものが用いられる。フィルムは上記OCBセル用光学補償フィルムやTNセル用光学補償フィルム作製にも有用である。
【実施例】
【0255】
以下、本発明を実施例に基づき具体的に説明するが、本発明は実施例に限定されない。
【0256】
まず、実施例および比較例で使用した環状オレフィン(環状オレフィン系樹脂B)P−1,P−2,P−3,P−4,P−5の合成方法について記載する。
【0257】
<環状ポリオレフィン重合体P−1の合成>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル100質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−1)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。得られた重合体は、Tg=270℃、SP値=21.4、分子量:Mn=90,000、Mw=250,000であった。
【0258】
<環状ポリオレフィン重合体P−2の合成>
ジクロロメタン 900質量部
メタノール 100質量部
P−1 100質量部
NaOMe/MeOH28wt%溶液 1質量部
上記の組成物を室温で攪拌しながら2時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−2)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。得られた重合体は、Tg=275℃、SP値=22.6、分子量:Mn=80,000、Mw=215,000であった。
【0259】
<環状ポリオレフィン重合体P−3の合成>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル30質量部とカルボン酸ブチル70質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−3)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。得られた重合体は、Tg=230℃、SP値=19.6、分子量:Mn=90,000、Mw=240,000であった。
【0260】
<環状ポリオレフィン重合体P−4の合成>
精製トルエン100質量部とノルボルネンカルボン酸メチルエステル20質量部とカルボン酸ブチル80質量部を反応釜に投入した。次いでトルエン中に溶解したエチルヘキサノエート−Ni25mmol%(対モノマー質量)、トリ(ペンタフルオロフェニル)ボロン0.225mol%(対モノマー質量)及びトルエンに溶解したトリエチルアルミニウム0.25mol%(対モノマー質量)を反応釜に投入した。室温で攪拌しながら18時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−3)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。得られた重合体は、Tg=210℃、SP値=19.4、分子量:Mn=90,000、Mw=245,000であった。
【0261】
<環状ポリオレフィン重合体P−5の合成>
ジクロロメタン 900質量部
メタノール 100質量部
P−1 100質量部
NaOMe/MeOH28wt%溶液 1質量部
上記の組成物を室温で攪拌しながら5時間反応させた。反応終了後過剰のエタノール中に反応混合物を投入し、重合物沈殿を生成させた。沈殿を精製し得られた環状ポリオレフィン重合体(P−5)を真空乾燥で65℃24時間乾燥した。得られた重合体は、Tg=280℃、SP値=23.1、分子量:Mn=80,000、Mw=210,000であった。
【0262】
〔実施例1〕
下記の組成物をミキシングタンクに投入し、攪拌して、各成分を溶解した後、平均孔径34μmのろ紙および平均孔径10μmの焼結金属フィルターでろ過し、製膜用ドープを調製した。なお、下記で用いたAppear3K(Ferrania社製)は、Tg=270℃、SP値=20.1、分子量:Mn=95,000、Mw=250,000であり、セルローストリアセテートは、アセチル基置換度=2.94、固有複屈折=0.0002、SP値=21.7、分子量:Mn=80,000、Mw=220,000であり、ジクロロメタンの蒸気圧(25℃)は440mmHg、メタノールの蒸気圧(25℃)は120mmHgであり、混合溶剤の蒸気圧(25℃)は400mmHgであった。
【0263】
Appear3K(Ferrania社製) 5質量部
セルローストリアセテート 100質量部
ジクロロメタン 322質量部
メタノール 28質量部
【0264】
上記ドープをバンド流延機にて流延した。残留溶剤量約30質量%でバンドから剥ぎ取ったフィルムをテンターにより保持しながら140℃の熱風を当てて乾燥した。その後テンター搬送からロール搬送に移行し、更に120℃から140℃で乾燥し、1440mm幅のフィルムを得た。フィルムの膜厚は80μmであった。
【0265】
得られたフィルムのλ=590nmでのRe、Rthを調べた。また、シャーカステン目視観察を行なった。シャーカステン目視観察とは、偏光板をクロスニコルに配置して、光源の上に置き、両偏光板の間にフィルムを挟み、光源の電源を入れた状態でムラを目視評価する方法により行なわれ、評価基準は、◎=ムラが視認できない、○=かすかにムラを視認できる、△=ムラを視認できる、×=強いムラを視認することが出来る、である。ヘイズは下記方法で測定した。結果を下記表2に示した。
[フィルムのヘイズ]
試料40mm×80mmを25℃、60%RHでヘイズメーター(HGM−2DP,スガ試験機)でJIS K−6714に従って測定した。
【0266】
〔実施例2〜54および比較例1〜3〕
実施例1と同様にして、下記表2に示す条件で厚さ80μmのフィルムを作製した。表2において環状オレフィン樹脂Bの添加量は、ポリマーAに対しての質量%を表したものである。表2における各添加剤の入手先、分子量を下記表3に示す。また、表2において添加剤の添加量は、ポリマーAに対しての質量%を表したものである。また、延伸はテンター延伸を用いて延伸されたものであり、表に記載の延伸倍率(%)は、下記式で算出したものである。
{(延伸後のフィルム長さ−延伸前のフィルム長さ)/延伸前のフィルム長さ}×100
【0267】
結果を下記表2に示す。
【0268】
【表2】

【0269】
【表3】

【0270】
【化39】

【0271】
[合成例2:T−2の合成]
攪拌機、温度計を装着した100mL三ツ口フラスコに、2,4−ジ−m−トルイジノ−6−クロル−1,3,5−トリアジン8.1g(25ミリモル)と、p−アニシジン3.1g(25ミリモル)とを入れ、DMF20mLで溶解した。次いで、炭酸カリウム5.2g(37.5ミリモル)を加え120℃で2時間反応させた。冷却後、酢酸エチル100mLで抽出し、抽出液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した。酢酸エチルを減圧留去し、得られた残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(溶出液:n−ヘキサン/酢酸エチル=5/1(体積比))で単離し目的物を得た(収量 9.1g、収率 88%)。化学構造はNMRスペクトル、MSスペクトルおよび元素分析で確認した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを含むフィルム形成材料を製膜して得られるヘイズ値5%以下のフィルム。
【請求項2】
前記環状オレフィン系樹脂BのSP値が、19.5以上23.0以下であることを特徴とする請求項1に記載のフィルム。
【請求項3】
前記環状オレフィン系樹脂Bと前記ポリマーAのSP値の差(ΔSP)の絶対値が、0≦|ΔSP|≦4.5の範囲を満たすことを特徴とする請求項1または2に記載のフィルム。
【請求項4】
前記ポリマーAが、セルローストリアセテート、セルロースアセテートプロピオネートまたはセルロースアセテートブチレートであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のフィルム。
【請求項5】
少なくとも固有複屈折の絶対値が0.02以下であるポリマーAと環状オレフィン系樹脂Bとを溶剤に溶解し、得られた溶液を製膜して得られるフィルムであって、該溶剤の25℃における蒸気圧が250mmHg以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のフィルム。

【公開番号】特開2009−179651(P2009−179651A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−17563(P2008−17563)
【出願日】平成20年1月29日(2008.1.29)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】