説明

フィードバーの取出装置

【目的】コラム間寸法を小さくする。
【構成】連結分離可能なフィードバー(11,12,11)の可動側フィードバー(12)をムービングボルスタ(5)とともにプレス外へ取出すフィードバーの取出装置において、可動側フィードバー(12)を本体バー(13)と折曲バー(14,14)とから形成し、折曲駆動手段(20)を折曲動作させ可動側フィードバー(12)の取出し全長を短くする。また、固定手段(30)を設けフィードバー(12)の転倒防止を図る。さらに、間隔調整手段(40)を設けプレス外で両可動側フィードバー(12,12)の間隔を調整できるように構成した。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フィードバーの取出装置に関する。詳しくは、固定側と可動側との分割型とされたフィードバーの可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取り出しするフィードバーの取出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】トランスファプレスでは、一対のフィードバーをトランスファ機構によってアドバンス・リターン動作,クランプ・アンクランプ動作,さらにはリフト・ダウン動作させ、ボルスタ上の各ステージに配設された複数の金型にワークを順次自動搬送している。また、金型交換便宜のために、ボルスタは金型を取付けたままプレス外へ取出可能とされている。つまり、ムービングボルスタを形成する。
【0003】かかるムービングボルスタは、金型交換と同時にフィードバーに取付けられた各フィンガーを当該ワークに対応するものに交換するため、フィードバーを保持しつつプレス外へ取出すことができるように形成されている。しかし、フィードバーの両側端は、トランスファ機構に連結されているので、フィードバー全体をムービングボルスタとともに取出すことは難しい。
【0004】そこで、例えば、特開平2−268931号公報で知られるように、フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとムービングボルスタ側に保持可能な可動側フィードバーとからなる連結分離可能な分離構造に形成し、プレス作業中は両者を一体的に連結し、プレス外へ取出す際に分離するものとされている。
【0005】ここにおいて、フィードバーの長さは、上記ステージ数およびフィードストローク(アドバンス・リターン動作ストローク)で決まる。また、プレスの左右(アドバンス・リターン動作方向)のコラム間寸法つまりプレス全体寸法は、このフィードバーの長さによって決まる。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】かくして、ムービングボルスタを利用した従来フィードバーの取出装置には、次のような問題点がある。
【0007】■ ステージ数とフィードストロークが決まれば、コラム間寸法がいわば自動的に決まってしまい、コラム間寸法をそれ以上小さくすることは困難である。
【0008】■ フィードバーの取出しに際し、フィードバーをムービングボルスタ側の受台に載せると、フィンガーの重量によってフィードバーがフィンガー取付側に転倒するという問題がある。なお、これに対しては、受台に磁石を取付けたものや、ねじ止め式・引掛け式、さらにはフィードバーの自重利用係止式(実公昭62−457766号公報)が提案されているが、いずれの場合にも問題が残る。磁石式は他の金物を吸付けてしまったり磁石の劣化がある。ねじ止め式等は時間がかかったり自動化ができない。自重利用係止式はその自重によって係止力が左右されてしまうので、フィードバーの小型軽量化に不向きである。
【0009】■ フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出しても、金型交換やフィンガー交換に先立って、高重量のフィードバーを移動させなければならず重労働で危険も伴う。
【0010】ここに本発明の第1の目的は、コラム間寸法を大幅に短縮できるフィードバーの取出装置を提供することにある。
【0011】また、第2の目的は、フィードバーの転倒を完全防止できるフィードバーの取出装置を提供することにある。
【0012】さらに、第3の目的は、プレス外でフィードバーの間隔を簡易かつ迅速に調整できるフィードバーの取出装置を提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】請求項1の発明は、フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとこれと連結分離可能でムービングボルスタ側に保持可能に装着された可動側フィードバーとから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバーを本体バーとその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バーとから形成し、各折曲バーに連結されたピニオンに噛合離脱可能なラック部材とこのラック部材を昇降させる昇降手段とからなる折曲駆動手段を前記ムービングボルスタ側に装着したことを特徴とする。
【0014】また、請求項2の発明は、フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとこれと連結分離可能でムービングボルスタ側に保持可能に装着された可動側フィードバーとから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバーを本体バーとその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バーとから形成し、各折曲バーに連結されたピニオンに噛合離脱可能なラック部材とこのラック部材を昇降させる昇降手段とからなる折曲駆動手段を前記ムービングボルスタ側に装着し、かつ該ラック部材の上端部に一体的に形成された傾斜面とこの傾斜面と係合し折曲げ動作前に該本体バーをムービングボルスタ側に固定する係止爪とからなる固定手段を設けたことを特徴とする。
【0015】さらに、請求項3の発明は、フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとこれと連結分離可能でムービングボルスタ側に保持可能に装着された可動側フィードバーとから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバーを本体バーとその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バーとから形成するとともに本体バーをムービングボルスタの幅方向に変位可能に形成されたスライダーに装着し、各折曲バーに連結されたピニオンに噛合離脱可能なラック部材とこのラック部材を昇降させる昇降手段とからなる折曲駆動手段と、該ラック部材の上端部に一体的に形成された傾斜面とこの傾斜面と係合し折曲げ動作前に該本体バーを該ムービングボルスタ側に固定する係止爪とからなる固定手段と、該スライダーを往復移動させて可動側フィードバー間の間隔を調整可能に形成された間隔調整手段とをムービングボルスタ側に配設したことを特徴とする。
【0016】
【作用】請求項1の発明では、プレス作業終了後に昇降手段を働かせてラック部材を上昇させる。すると、このラック部材がピニオンに噛合いかつそれを回動させる。ここに、本体バーの両側端に設けられた折曲バーを回動させ本体バー側に折曲げできる。したがって、可動側バーの全長を短くすることができるから、ムービングボルスタをプレス外へ走行させることにより可動側フィードバーをコラムに衝突させることなく円滑に取出せる。換言すれば、コラム間寸法を小さくできる。なお、可動側フィードバーをプレス外へ取出した状態でも、折曲駆動手段を働かせ折曲バーを真直にかつ再び折曲げできるので、フィンガーの交換が楽である。その後に、可動側フィードバーをプレス内の所定位置に戻してから、昇降手段を下降動作させる。これにより、折曲げバーを真直に元へ戻すことができる。
【0017】また、請求項2の発明では、プレス作業終了後に昇降手段を働かせラック部材を上昇させる。すると、ラック部材の上端部に一体的に形成された傾斜面が係止爪を働かせる。つまり、固定手段が本体バーをムービングボルスタ側に固定する。したがって、さらにラック部材が上昇して行う折曲バーの折曲動作を一段と安定して行え、かつムービングボルスタとともにプレス外へ円滑に取出せる。すなわち、フィンガー重量による本体バーの転倒問題を一掃できる。なお、可動側フィードバーの取出作用は、上記請求項1の発明の作用と同じである。
【0018】さらに、請求項3の発明では、上記請求項2の発明の作用に加え、ムービングボルスタとともにプレス外へ取出した可動側フィードバー間の間隔を、間隔調整手段を動作させてスライダーを移動させることにより、拡縮できる。したがって、高重量の可動側フィードバーを人手で働かす必要がないから、金型およびフィンガーの交換を容易に行える。
【0019】
【実施例】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。本フィードバーの取出装置は、図1〜図4に示す如く、可動側フィードバー12を折曲構造としてコラム2,2間の寸法を小さくし、図4,図5に示すように折曲駆動手段20とこれに連動する固定手段30を設けて可動側フィードバー12をムービングボルスタ5(9)に固定させその折曲動作と取出動作との一段の安全・確実化を図り、かつ図2,図6〜図8に示すように間隔調整手段40を設けてプレス外での金型およびフィンガーの交換を一層簡単に行える構成としている。
【0020】さらに、この実施例では、図9,図10に示す如く、一連動作を自動的に行えるように形成している。
【0021】図1において、プレス本体は、クラウン1,左右一対のコラム2・2,ベッド3等からなる。ムービングボルスタ5には、各ステージに下型が取付けられ、これと対応する上型はスライド4に取付けられている。なお、ムービングボルスタ5は、公知の搬入・搬出機構によって、図1の紙面垂直方向に移動可能とされている。図2に示す車輪5Rを利用する。また、図6の5Vは油受である。
【0022】各ステージにワークを順次送りするトランスファ装置は、図1に示す前後一対のフィードバー10(10)と、これらをアドバンス・リターン動作,クランプ・アンクランプ動作およびリフト・ダウン動作させるトランスファ機構6(図2に示す6Uはクランプユニットである。)とから構成されている。アドバンス・リターン動作は、図1の左右方向に所定ストロークさせるものである。
【0023】ここにおいて、各フィードバー10は、主に図2に示す如く、トランスファ機構6(6U)に連結される固定側フィードバー11,11とその中間部を形成する可動側フィードバー12とからなる。両者11,12は、その傾斜面11K,13Kによって分割可能である。つまり、ムービングボルスタ5をリフトさせれば、可動側フィードバー12が固定側フィードバー11,11から浮くので、可動側フィードバー12をムービングボルスタ5とともにプレス外へ取出すことができる。
【0024】さて、可動側フィードバー12は、図2に示す如く、本体バー13と両側端に設けられた折曲バー14とからなる。本体バー13,折曲バー14ともにフィンガー(図示省略)が交換可能に取付けられている。また、折曲バー14は、フィンガーを保持するだけなので、本体バー13よりも薄く軽量である。
【0025】具体的には、本体バー13の図3,図4に示す空所13Hにピニオン15(ピニオン軸15S)を回動自在に設け、このピニオン軸15Sに折曲バー14を取付けている。したがって、ピニオン15を回動させれば、図1,図3に2点鎖線で示すように、両折曲バー14,14を本体バー13方向に折曲げることができる。
【0026】すなわち、プレス作業中におけるフィードバー10(11,12,11)の全長を確保しながら、取出に際しての全長を短くすることができる。つまり、コラム2,2間の寸法を、図1に2点鎖線で示した従来例(2′,2′)に比較して大幅に小さくできる。
【0027】なお、図2中の19,19は、折曲げバー14,14を実線で示すように真直状態としたときに、その折曲バー14,14を固定側フィードバー11,11に固定する押えシリンダである。また、各固定側フィードバー11,11は、トランスファ機構6のクランプユニット6Uに連結されている。
【0028】さらに、この実施例では、可動フィードバー12は、ムービングボルスタ5に取付けられた支柱体9に、図6,図7に示すスライダー41を介して、保持されている。このスライダー41は、図3に示す如く、支柱体9の横溝9L,9Lにローラ41R,41Rを介して、ムービングボルスタ5の幅方向に移動自在である。間隔調整手段40との関係は後記する。
【0029】次に、主に図4,図3を用いて折曲駆動手段20を説明する。図4において、スライダー4と一体のブラケット41Bには、ピン29Sでシリンダ装置29が取付けられ、かつそのピストンロッド28にはピン21Sを介してラック部材21(ラック21R)が取付けられている。ラック部材21の上方は、摺動駒41Kで案内されている。
【0030】すなわち、このシリンダ装置(昇降手段)29とラック部材21とから折曲駆動手段20が形成され、ラック部材21はアイドルギヤ16(軸16S)を介して上記ピニオン15に噛合かつ離脱可能である。
【0031】したがって、シリンダ装置29を上昇動作させてラック部材21を図3で2点鎖線で示すように上昇させれば、ラック部材21がアイドルギヤ16つまりピニオン15に間接的に噛合うので、そのピニオン15を回動できる。よって、折曲バー14をピン15Sを中心に回動させ、上方に折曲げできる。
【0032】ところで、この実施例では、可動側フィードバー12がムービングボルスタ5側にスライダー41を介して支持されている。したがって、折曲動作およびムービングボルスタ5の走行時にフィンガーの重みによって、可動フィードバー12が傾き転倒する虞れもあり得る。この問題一掃のために設けられたのが、固定手段30である。
【0033】すなわち、固定手段30は、図4に示す如く、駆動側部材(22,23)と固定側部材(31〜35)とからなる。傾斜面22は、ラック部材21の上端部に取付けられかつ直線部23はその傾斜面に続き下方に延びる。一方、回動体31はピン33でスライダー41に回転自在に保持され、そのローラ34が傾斜面22に当接するようにバネ35で付勢されている。この回動体31の上方部には係止爪32が設けられ、本体バー13に固定されたライナー17の傾斜する係合面18に対応する形状となっている。
【0034】したがって、折曲駆動手段20たるラック部材21を上昇させると、そのラック部材21がアイドルギヤ16と噛合う前に、傾斜面22がローラ34と係合し回動体31をバネ35の付勢力に抗して回動させることができる。よって、係止爪32を係合面18に押し付けて可動側フィードバー12(13)をスライダー41つまりムービングボルスタ5側に固定できる。この固定状態を図5に示す。
【0035】続いて、間隔調整手段40は、図2,図6R>6,図7に示す如く、ねじ軸43,傘歯車ユニット44,垂直軸45,傘歯車ユニット46,水平軸47,調整モータ48等からなる。図7において、ねじ軸43はスライダー41と一体的なナット部材42に螺合され、その一端は傘歯車ユニット44に連結されている。一方、調整モータ48は、図2に示す如く、スプロケット,チェーン等を介して水平軸47に回動動力を伝達可能に連結されており、かつ水平軸47と垂直軸45(45)とは傘歯車ユニット46,46を介して連結されている。
【0036】したがって、調整モータ48を回転させれば、ねじ軸43が回動しスライダー41つまりは可動側フィードバー12を、図7の矢印方向に移動できる。かくして、前後一対の可動側フィードバー12,12を同時的に移動させれば、図8に示す如く、ムービングボルスタ5のステージ中心軸Zを中心として両者12,12の間隔を拡縮調整できるから、金型およびフィンガーの交換を簡単に行える。
【0037】次に、図示省略した駆動制御盤は、図9,図10に示す手順でフィードバー(12)の移動取出しを行うものと形成されている。この駆動制御盤の構成は、特に限定されないが、例えばCPU,ROM,RAM等を含むプレス制御盤を兼用し、あるいは専用のロジック回路等を用いて構築することができる。
【0038】次に、この実施例の作用を説明する。プレス作業が終了すると、自動的あるいは手動スイッチ等によりその旨を入力する(図9のST10)。すると、駆動制御盤は、図2に示す押えシリンダ19,19を解放(ST11)し、続いて折曲駆動手段20を形成する昇降手段(シリンダ装置29)を上昇動作させる(ST12)。
【0039】したがって、ラック部材21が、図4に示す状態から上昇開始すると、まず固定手段30を形成する傾斜面22がローラ34に係合する。回動体31はバネ35の付勢力に抗して回動し係止爪32でライナー17(18)をスライダー41に固定する。つまり、可動側フィードバー12の本体バー13をスライダー41に固定する。したがって、可動側フィードバー12(13,14)が固定側フィードバー11,11と切離されても、そのフィンガー重量により、スライダー41上で本体バー13が転倒することを防止できる。この状態は、直線部23がローラ34に係合することにより継続される。
【0040】さらに、上昇されたラック部材21が、アイドルギヤ16を介してピニオン15と噛合かつ回動させると、折曲バー14,14は図2の実線状態から2点鎖線状態に折曲げられる。したがって、シリンダ装置29が上昇限となる(ST13)と、駆動制御盤はムービングボルスタ5をプレス外へ搬出させる(ST14)。
【0041】この際の可動側フィードバー12の全長は本体バー13の全長と同じ長さに短くなっているから、コラム2,2に衝突することなく、可動側フィードバー12を円滑に取出せる。
【0042】そして、ムービングボルスタ5が、図8に示すように、走行出限(ST15)となると、駆動制御盤は間隔調整手段40を形成する調整モータ48を回動させる(ST16)。したがって、ねじ軸43が回転し、可動側フィードバー12(13),12(13)を担持したままのスライダー41,41を、図8に示すステージ中心線Zよりも外側へ移動させる。ここに、両可動側フィードバー12,12の間隔を拡げることができるから、金型交換を容易に行える。
【0043】このように可動側フィードバー12,12の開限となる(ST17)と、折曲駆動手段20(29)はラック部材21を引き下げる(ST18)。したがって、折曲バー14,14は真直状態に戻される。ここに、フィンガー交換も容易となる。
【0044】このフィンガー交換が終了する(ST19)と、折曲駆動手段20が逆動作されラック部材21,21を押し上げる(図10のST20)。両折曲バー14,14は、再び折曲げられる。また、金型交換が終了する(ST21)と、調整モータ48が逆回転される(ST22)。両可動側フィードバー12(13,14)、12(13,14)は、再び図8に実線で示す通常間隔に戻される。つまり、閉限となる(ST23)。
【0045】かくして、駆動制御盤は、ムービングボルスタ5をプレス内の所定位置へ走行する(ST24)。引続き、所定位置となると、折曲駆動手段20がラック部材21を引き下げる(ST26)。したがって、両折曲バー14,14は、真直状態に戻されかつ固定手段30が解除される(ST27)。その後に、押えシリンダ19,19が押え動作され、折曲バー14,14は、固定側フィードバー11,11に押え付けられる(ST28)。
【0046】以下、トランスファ機構6を通常動作させれば、フィードバー10(11,12,11)は一体となってアドバンス・リターン動作等を行いプレス作業に入れる。
【0047】しかして、この実施例によれば、固定側フィードバー11,11と連結分離可能な可動側フィードバー12を本体バー13と折曲バー14,14とから構成しかつラック部材21と昇降手段(29)とからなる折曲駆動手段20を設け、折曲バー14,14を本体バー13側に折曲げて可動側フィードバー12の全長を短くすることができるように形成されているので、コラム2,2間の寸法を小さくプレスを小型化できる、とともに円滑な可動側フィードバー(12,12)の取出・取入れとフィンガー交換作業を容易とすることができる。
【0048】また、折曲バー14,14は、本体バー13よりも薄くフィンガーを保持できる小型軽量とされているので、折曲駆動手段20が小型でよい。
【0049】また、折曲バー14,14が真直状態にあるときは、押えシリンダ19,19で固定側フィードバー11,11に押え付けられる構成であるから、円滑なワークのトランスファを保障できる。
【0050】また、折曲駆動手段20と連動する固定手段30が設けられているので、折曲動作および可動側フィードバー12,12の取出・取入れ時にフィンガーの重みにより転倒することを完全に防止できる。
【0051】また、固定手段30は、折曲駆動手段20が折曲バー14,14を真直状態としたときには、そのバネ35の付勢力により本体バー13,13をスライダー41,41上で自由とするように解放されるので、フィードバー11,12,11のトランスファ運動に何等の支障を来たすことがない。
【0052】さらに、スライダー41,41をムービングボルスタ5上で離隔接近させて可動側フィードバー12,12の間隔を調整する間隔調整手段40が設けられているので、金型交換場所において高重量の可動側フィードバー12,12を入手により動かさなくてもよく、金型およびフィンガーの交換を簡単に行える。
【0053】さらにまた、駆動制御装置によって折曲駆動手段20,固定手段30,間隔調整手段40を有機的かつ適時に動作させるので、フィードバー12,12の取出・取入れを自動化できる。
【0054】
【発明の効果】請求項1の発明によれば、固定側フィードバーと連結分離可能な可動側フィードバーを本体バーと折曲バーとから構成しかつラック部材と昇降手段とからなる折曲駆動手段を設け、折曲バーを本体バー側に折曲げて可動側フィードバーの全長を短くすることができるように形成されているので、コラム間の寸法を小さくプレスを小型化できる、とともに円滑なフィードバーの取出・取入れとフィンガー交換作業を容易とすることができる。
【0055】また、請求項2の発明によれば、さらに可動フィードバーをムービングボルスタ側に固定する固定手段が設けられているので、フィンガー重量によるフィードバーの転倒を防止でき、取出・取入れを一段と円滑に行える。
【0056】さらに、請求項3の発明によれば、さらに間隔調整手段を設け可動フィードバー間隔を調整できる構成とされているので、プレス外において高重量のフィードバーを入手により動かさなくともよく、省力化が図れかつ金型・フィンガーの交換を迅速かつ容易に行える。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す全体構成図である。
【図2】同じく、フィードバー,折曲駆動手段,間隔調整手段との関係を説明するための図である。
【図3】同じく、折曲バーとラック部材とスライダーとの関係を説明するための図である。
【図4】同じく、折曲駆動手段の縦断面図である。
【図5】同じく、固定手段の固定動作を説明するための図である。
【図6】同じく、間隔調整手段の構成を示す図である。
【図7】同じく、スライダーと間隔調整手段との関係を説明するための図である。
【図8】同じく、可動フィードバーの間隔調整を説明するための図である。
【図9】同じく、動作を説明するためのフローチャート(1)である。
【図10】同じく、動作を説明するためのフローチャート(2)である。
【符号の説明】
2 コラム
5 ムービングボルスタ
6 トランスファ機構
9 支柱体
10 フィードバー
11 固定側フィードバー
12 可動側フィードバー
13 本体バー
14 折曲バー
15 ピニオン
16 アイドルギヤ
17 ライナー
18 係止面
19 押えシリンダ
20 折曲駆動手段
21 ラック部材
21R ラック
22 傾斜面
23 直線部
29 シリンダ装置(昇降手段)
30 固定手段
31 回動体
32 係止爪
33 ピン
34 ローラ
35 バネ
40 間隔調整手段
41 スライダー
42 ナット部材
43 ねじ軸
48 調整モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フィードバー(10)をトランスファ機構(6)に連結された固定側フィードバー(11)とこれと連結分離可能でムービングボルスタ(5)側に保持可能に装着された可動側フィードバー(12)とから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバー(12)を本体バー(13)とその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バー(14,14)とから形成し、各折曲バーに連結されたピニオン(15)に噛合離脱可能なラック部材(21)とこのラック部材を昇降させる昇降手段(29)とからなる折曲駆動手段(20)を前記ムービングボルスタ側に装着したことを特徴とするフィードバーの取出装置。
【請求項2】 フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとこれと連結分離可能でムービングボルスタ側に保持可能に装着された可動側フィードバーとから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバー(12)を本体バー(13)とその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バー(14,14)とから形成し、各折曲バーに連結されたピニオン(15)に噛合離脱可能なラック部材(21)とこのラック部材を昇降させる昇降手段(29)とからなる折曲駆動手段(20)を前記ムービングボルスタ側に装着し、かつ該ラック部材の上端部に一体的に形成された傾斜面(22)とこの傾斜面と係合し折曲げ動作前に該本体バーをムービングボルスタ側に固定する係止爪(32)とからなる固定手段(30)を設けたことを特徴とするフィードバーの取出装置。
【請求項3】 フィードバーをトランスファ機構に連結された固定側フィードバーとこれと連結分離可能でムービングボルスタ側に保持可能に装着された可動側フィードバーとから形成し、かつ分離状態において可動側フィードバーをムービングボルスタとともにプレス外へ取出可能に構成されたフィードバーの取出装置において、前記可動側フィードバー(12)を本体バー(13)とその両側端に折曲可能に装着された一対の折曲バー(14,14)とから形成するとともに本体バーをムービングボルスタ(5)の幅方向に変位可能に形成されたスライダー(41)に装着し、各折曲バーに連結されたピニオン(15)に噛合離脱可能なラック部材(21)とこのラック部材を昇降させる昇降手段(29)とからなる折曲駆動手段(20)と、該ラック部材の上端部に一体的に形成された傾斜面(22)とこの傾斜面と係合し折曲げ動作前に該本体バーを該ムービングボルスタ側に固定する係止爪(32)とからなる固定手段(30)と、該スライダーを往復移動させて可動側フィードバー(12,12)間の間隔を調整可能に形成された間隔調整手段(40)とをムービングボルスタ側に配設したことを特徴とするフィードバーの取出装置。

【図1】
image rotate


【図3】
image rotate


【図8】
image rotate


【図2】
image rotate


【図4】
image rotate


【図5】
image rotate


【図6】
image rotate


【図7】
image rotate


【図9】
image rotate


【図10】
image rotate