説明

フェノール系極細炭素繊維を用いた燃料電池セパレーター

【課題】良好な成形性を有し、機械強度に優れるため、薄肉化による割れ、歪み等の問題が無いうえ、導電性や熱伝導性の優れた燃料電池用セパレーターを提供する。
【解決手段】第一成分としてフェノール樹脂を、第二成分として熱可塑性樹脂の両者を混合して得られる複合樹脂を繊維化してなり、このうち海成分が第二成分樹脂であり、島成分が第一成分のフェノール樹脂である複合繊維のうち海成分の第二成分樹脂のみ選択的に除去することにより得られるフェノール系極細繊維を炭素化することで得られるフェノール系極細炭素繊維を必然とする少なくとも1種類以上の炭素繊維、黒鉛、熱硬化性樹脂を含む混合物を成形する方法で燃料電池セパレーターを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は燃料電池用セパレーターに関するものであり、詳しくは製造面においては良好な成形性を有し、機械強度に優れるため、薄肉化による割れ、歪み等の問題が無いうえ、導電性と熱伝導性に優れた燃料電池用セパレーターを提供するものである。
【背景技術】
【0002】
最近顕在化してきた地球温暖化問題においては、その主原因が化石エネルギーすなわち在来形エネルギーの多量消費によることが明らかになってきた。更に石油危機が叫ばれるなか、新たな視点から新エネルギー開発の重要性が認識されるようになってきた。
【0003】
燃料電池はその原理に基づき高発電効率が得られ、また燃焼反応でないため窒素酸化物等の発生が非常に少ないなど優れた環境特性を有することもあって、その利用する燃料の種類を問わず早期普及が望まれている。
【0004】
燃料電池では、単電池の起電力は1V程度と低いため、いくつかの単電池ユニットを直列に接続して使用される。この電池は燃料ガスと酸化剤ガスを分離した状態で供給するため、これらのガスに対して高い不透過性を要求される。更に発電時電子を集電し、隣接するセル間の電気的コネクターとして高い導電性が要求される他、発熱を効果的に拡散させ、電池内の温度分布を均一化させるため高い熱伝導性が必要である。また電解質膜表面は強酸性を示すため長期の使用に耐え得る高い耐食性が要求される。
【0005】
形状としてはガスの流路としてサーペインタイン型の溝を設けることが一般的である。このため従来からこのセパレーターとしては黒鉛材を薄板に切り出し、その表裏にガス流路を切削していた。
【0006】
近年、燃料電池の軽量化小型化が要望されるなか、燃料電池用セパレーターについても薄板化することが求められるようになったが、従来の切削が容易な黒鉛材のみからなる燃料電池用セパレーターでは単に薄板化すると強度が低下し、加工時に割れや歪みが発生したり、ガスの不透過性が悪化するなどの問題があった。
【0007】
そのため、薄型化しても強度及びガス不透過性を維持するための方法が考案されてきた。例えば切削加工によらず特別な熱硬化性樹脂と黒鉛粉末の混合体に圧力を掛けて成形するセパレーターの製造方法(例えば、特許文献1参照。)や、膨張黒鉛粉末や鱗片状天然黒鉛粉末にその粒径が5μm〜200μmのバインダー被覆炭素材を混ぜ合わせて成形するなどの方法(例えば、特許文献2参照。)が開示されている。
【0008】
然るに前述のごとき手法では高導電性の燃料電池用セパレーターを得るためには成形材料中の炭素系基材の配合率を高くする必要があるが、複雑で大型の薄肉化セパレーターとすると機械的強度が低く、割れや歪みが問題視されていたのである。
【特許文献1】特公平1−57466号公報
【特許文献1】特開平10−40938号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
燃料電池の普及に当たって、薄肉化したセパレーターがますます重要かつ不可欠な素材として、安価かつ高品質で供給されることが望まれているが、一方で従来の薄肉化セパレーターでは割れ、歪み等の問題により高品質且つ工業的に得ることが困難であった事実に鑑み、本発明者らは鋭意検討を進めてきた結果、遂に完成させることができたものである。即ち、その課題とするところは、製造面において良好な成形性を有し、機械強度に優れるため、薄肉化による割れ、歪み等の問題が無いうえ、導電性と熱伝導性に優れた燃料電池用セパレーターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は少なくとも1種類以上の炭素繊維、黒鉛、熱硬化性樹脂を含有する混合物を燃料電池用セパレーターに成形することで達成できる。特に本発明においては炭素繊維の1種類に特別なるフェノール系極細炭素繊維を使用することが特徴となる。本発明者らは先にフェノール系極細炭素繊維を製造する特許を出願した。(特願2003−338980号明細書)本発明者はこの極細炭素繊維を燃料電池用セパレーターの材料として用いることで従来の問題点を克服できることを見出した。
【0011】
即ち、酸性触媒の存在下にフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるノボラック型フェノール樹脂、あるいは塩基性触媒の存在下にフェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られるレゾール型フェノール樹脂、あるいはホウ素変性、ケイ素変性、リン変性、重金属変性、窒素変性、イオウ変性、油変性、ロジン変性等、公知の技法による各種変性フェノール樹脂またはこれらの混合物のフェノール樹脂を第一成分として、第二成分の該フェノール樹脂に非相溶もしくは低相溶性樹脂からなる複合樹脂を繊維化し、このうち海成分が第二成分樹脂であり、島成分がフェノール樹脂である海島型複合繊維であって、島成分のフェノール樹脂を架橋化処理した後、海成分の第二成分樹脂のみ選択的に除去し、これを炭素化するか、あるいは海島型複合繊維の島成分のフェノール樹脂を架橋化処理した後、炭素化する工程で海成分の第二成分樹脂のみ選択的に熱分解させるいずれかの方法で得られるフェノール系極細炭素繊維のうち、更に直径が0.01μm〜1μmであり、そのアスペクト比が10〜100000である特別なるフェノール系極細炭素繊維を使用することで目的を達する。
【0012】
本発明の燃料電池セパレーターを得る上で、その配合比は重量比で炭素繊維1〜10重量%、黒鉛が55〜88重量%、熱硬化性樹脂が10〜35重量%の範囲にある混合物を成形するものである。
【発明の効果】
【0013】
以上のごとく本発明によれば、フェノール系極細炭素繊維を成分として用いることで、そのネットワーク構造がもたらす機械的強度の向上によって薄肉化しても高強度を維持する。また、同時に燃料電池用セパレーターとして要求される高導電性、高熱伝導性を発揮する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に本発明を詳細に説明する。
【0015】
先ず、本発明に用いるフェノール樹脂を得るために使用されるフェノール類としては、アルデヒド類と酸性、あるいは塩基性触媒下で反応させてフェノール樹脂が得られるフェノール類であれば以下に例示したフェノール類に限定されるものではないが、例えばフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,3−キシレノール、3,5−キシレノール、m−エチルフェノール、m−プロピルフェノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、レゾルシノール、ハイドロキノン、カテコール、3−メトキシフェノール、4−メトキシフェノール、3−メチルカテコール、4−メチルカテコール、メチルハイドロキノン、2−メチルレゾルシノール、2,3−ジメチルハイドロキノン、2,5−ジメチルレゾルシノール、2−エトキシフェノール、4−エトキシフェノール、4−エチルレゾルシノール、3−エトキシ−4−メトキシフェノール、2−プロペニルフェノール、2−イソプロピルフェノール、3−イソプロピルフェノール、4−イソプロピルフェノール、2,3,5−トリメチルフェノール、3,4,5−トリメチルフェノール、2−イソプロポキシフェノール、4−ピロポキシフェノール、2−アリルフェノール、3,4,5−トリメトキシフェノール、4−イソプロピル−3−メチルフェノール、ピロガロール、フロログリシノール、1,2,4−ベンゼントリオール、5−イソプロピル−3−メチルフェノール、4−ブトキシフェノール、4−t−ブチルカテコール、t−ブチルハイドロキノン、4−t−ペンチルフェノール、2−t−ブチル−5−メチルフェノール、2−フェニルフェノール、3−フェニルフェノール、4−フェニルフェノール、3−フェノキシフェノール、4−フェノキシフェノール、4−へキシルオキシフェノール、4−ヘキサノイルレゾルシノール、3,5−ジイソプロピルカテコール、4−ヘキシルレゾルシノール、4−ヘプチルオキシフェノール、3,5−ジ−t−ブチルフェノール、3,5−ジ−t−ブチルカテコール、2,5−ジ−t−ブチルハイドロキノン、ジ−sec−ブチルフェノール、4−クミルフェノール、ノニルフェノール、2−シクロペンチルフェノール、4−シクロペンチルフェノール、ビスフェノールA、ビスフェノールFなどがある。また使用にあたってはこれらフェノール類単体でも混合物でも良い。
【0016】
このうちフェノール、o−クレゾール、m−クレゾール、p−クレゾール、ビスフェノールA、2,3−キシレノール、3,5−キシレノール、m−ブチルフェノール、p−ブチルフェノール、o−ブチルフェノール、4−フェニルフェノール、レゾルシノールが好ましく、更にフェノールは最も好ましい。
【0017】
次に本発明で用いるフェノール樹脂を得るために使用されるアルデヒド類としては以下に例示したアルデヒド類に限定されるものではないが、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド等、あるいはこれらの混合物等が使用できる。このうち、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドが好ましく、特にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが最も好ましい。
【0018】
更に本発明で用いるフェノール樹脂を得るために使用される酸性触媒としては以下の例示に限定されるものではないが、例えば塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、硼酸または塩化亜鉛や酢酸亜鉛のような金属との塩、あるいはこれらの混合物が挙げられる。
【0019】
また、本発明で用いるフェノール樹脂を得るために使用される塩基性触媒としては以下の例示に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物や水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンのようなアミン類、あるいはこれらの混合物等が挙げられる。
【0020】
次に本発明で用いる第二成分樹脂について説明する。本発明ではフェノール樹脂に非相溶もしくは低相溶性の第二成分樹脂を用いるがその主体は熱可塑性樹脂である。これらは特に限定されるものではないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアセタール系ポリマー、ポリブタジエン系ポリマー等が挙げられ、これらの単体、あるいは混合物更にはこれらの樹脂を主体とする共重合体でも良い。また、一般的に加熱操作の結果、可塑性を示す以前に分解するような樹脂であっても、前述の熱可塑性樹脂と混合、あるいは共重合等の操作で得られる樹脂が熱可塑性であれば良く、その代表がABS樹脂やAS樹脂等である。これ以外に、後述するように紡糸方法として湿式、あるいは乾湿式、あるいは乾式紡糸を用いる場合に一般的に行うように、原料樹脂を溶剤へ溶解させて用いるために可塑性を示す以前に分解するような樹脂、例えばポリビニルアルコール系ポリマー、セルロース系ポリマー、セルロースエステル系ポリマー、タンパク系ポリマー、ポリアクリロニトリル系ポリマー等を用いる事もできるうえ、これら単体だけでなく、混合物更にはこれらの樹脂を主体とする共重合体でも適宜選択して用いる事も出来る。
【0021】
第二成分樹脂の選定に当たっては取り得る技法に応じて適宜選択すれば良いが、その分子量としては重量平均分子量で1万以上800万未満の範囲にあれば良く、好ましくは10万以上40万未満であり、最も好ましいのは15万以上30万未満である。これ以外に考慮すべき点としては、後の工程において複合繊維の中から第二成分樹脂を除去する際に熱分解法を用いる場合は熱分解されて消失する樹脂を選定する必要がある。
【0022】
次いで、本発明で用いる複合樹脂について説明する。本発明では先ず、ノボラック型フェノール樹脂、レゾール型フェノール樹脂、あるいは各種変性フェノール樹脂またはこれらの混合物のフェノール樹脂を第一成分とし、該フェノール樹脂に非相溶もしくは低相溶性の樹脂を第二成分として混合し、複合繊維の原料となる複合樹脂を得ることが必要である。その方法として例えば第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂の両者を溶解せしめる溶媒に溶解混合した後、溶媒を蒸発除去せしめ複合樹脂を得る方法を用いる場合、使用する溶剤は第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂の両者を溶解させるものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤などから適宜選択したものを単体、あるいはこれら2種類以上の混合物として用いることができる。両成分の樹脂類を溶解するためには溶剤を攪拌しながら樹脂類を徐々に加えてゆくことが望ましい。この際、樹脂類が溶剤に溶けにくいようであれば加温する事が有効である。更には加圧する事で、常圧での溶剤の沸点以上に加温することが可能となり更に有効である。但し、高温に原料を曝すことで熱変性、劣化を及ぼす恐れがあることを考慮すれば、加熱は完全溶解させるまで限定的に用いるべきである。
【0023】
溶剤に溶解する第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂の濃度については特に限定されるものではなく、原料の性状や後の紡糸方法により適宜選択される。
【0024】
これらの方法のうち、後に溶剤を除去する場合には、後の工程で溶剤の回収に多大な時間とエネルギーを要することを考慮すれば、両樹脂類の溶解度を勘案し、出来得る限り高濃度にする事がより好ましい。
【0025】
次に第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂両者を熱溶融して複合樹脂を得る場合、第二成分樹脂としては熱可塑性樹脂が相応しく、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のオレフィン系ポリマー、ポリスチレン等のスチレン系ポリマー、ポリメチルメタクリレートに代表されるアクリル系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、ポリアミド系ポリマー、ポリ塩化ビニル系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアセタール系ポリマー、ポリブタジエン系ポリマー等の単体、あるいは混合物更にはこれらの樹脂を主体とする共重合体が好適であり、前述したようにABS樹脂やAS樹脂等であっても良い。その方法は特に限定されるものではなく公知の混練装置を用いる事が出来る。混練装置としては例えば押出機型混練機、ミキシングロール、バンバリーミキサー、高速二軸連続ミキサーなどが挙げられる。熱溶融混練温度については原料の性状等により適宜選択すれば良く特に限定されるものではない。但し、高温に原料を曝すことで熱変性、劣化を及ぼす恐れがあることを考慮すれば、混練温度は200℃以下がより好ましい。
【0026】
第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂を混合する際の混率については重量比でフェノール樹脂類と第二成分樹脂=1:9〜9:1が適用可能範囲であり、特には3:7〜7:3が好適である。
【0027】
これ以外に、後の紡糸方法として乾式、あるいは湿式、あるいは乾・湿式を取り得る場合には第一成分のフェノール樹脂類と第二成分樹脂の両者を溶解せしめる溶媒に溶解混合し、複合樹脂溶液を得る、この溶液を直接紡糸原液として供する方法も可能である。
【0028】
また両者を共に溶解または溶融しなくとも海成分の第二成分樹脂を溶解または溶融し、そこにフェノール樹脂類の微粒子を分散させる方法を用いても複合繊維の原料に供する複合樹脂を得る事が出来る。この場合の紡糸方法としては溶融紡糸法がより好ましい。
【0029】
更に、いずれの複合樹脂、あるいは複合樹脂溶液を得る場合でも、必要に応じて公知の添加剤、例えば可塑剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、浸透剤、増粘剤、防黴剤、染料、顔料、充填剤などを特定量加えることが可能である。特に、後述の溶融紡糸で第二成分樹脂の溶融粘度がフェノール樹脂類のそれに比べて極端に高い場合などは紡糸時に分離を生じたり、繊維径が不均一な複合繊維になることがあり、このような場合は可塑剤を使用することが望ましい。
【0030】
本発明では前述の方法等により得られた原料を紡糸して複合繊維とする必要がある。その紡糸方法は公知の方法を適宜選択する事が出来る。例えば湿式紡糸、乾式紡糸、乾・湿式紡糸、溶融紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸などであるが特にこれらに限定されるものではない。但し、例えば最も一般的方法として溶融紡糸を行う場合、第一成分のフェノール樹脂類としてはノボラック型、レゾール型いずれもが使用可能であるが、紡糸方法に溶融紡糸を選択する場合、レゾール型はノボラック型に比べて熱安定性が悪く、溶融時の加熱で容易に重合が進むため溶融機器内での固化が避けられず、このため長期の安定紡糸が困難である等の制限もある。従って工業的に製造する場合の工程の容易さ、汎用性を勘案してノボラック型を選択することが望ましい。
【0031】
湿式紡糸、乾式紡糸、乾・湿式紡糸、ゲル紡糸、液晶紡糸などの中からいずれの方法を選択するかは原料の性状を勘案し、適宜選択できる。代表例として溶融紡糸を使用した場合について解説する。この場合、一般的な溶融紡糸装置が使用可能である。その溶融機器としてはグリッドメルター式や単軸押出し機方式、あるいは2軸押出し機方式、あるいはタンデム押出し機方式などが可能であり、更には溶融混合樹脂の酸化を防止するために窒素置換を行ったり、あるいは微量の残留溶媒やモノマー類を除去するためにベントを具備した押出し機を使用するなど、通常行われている方法は本発明においても有効である。
【0032】
紡糸時の温度は特に限定されるものではないが、好ましくは120℃以上200℃未満の範囲であり、より好ましくは140℃以上170℃未満である。紡糸口金としては特に限定されるものではなく、通常のものが使用可能であるが、好ましくは孔径を0.05mm以上1mm未満、より好ましくは0.1mm以上0.5mm未満とし、キャピラー部のL/Dは0.5以上10未満、より好ましくは1〜5である。
【0033】
特別な用途の場合には、サイドバイサイド型やシースコア型、あるいは海島型に第三成分のポリマーを組み合わせるコンジュゲート口金を使用することも何ら問題ない。
【0034】
紡糸速度は特に限定されるものではないが、好ましくは50m/分以上3000m/分未満、より好ましくは100m/分以上1500m/分未満、更に好ましくは200m/分以上800m/分未満の範囲である。
【0035】
更に得られた糸條を湿熱、あるいは乾熱にて延伸することも可能である。この操作は単糸が目的の太さとなるよう調整すると同時に、未硬化のフェノール樹脂を更に延伸させ均一な形状とすること、更に樹脂中の分子配列を均整化することである。湿熱で延伸する場合、例えば温水やエチレングリコールやプロピレングリコールなどの液に浸漬しながら常温から100℃の範囲、望ましくは30〜80℃の温度範囲において2倍から20倍程度に延伸することが良い。
【0036】
乾熱延伸の場合には60℃〜120℃、好ましくは80℃〜100℃の雰囲気下で2倍から20倍程度に延伸することが望ましい。
【0037】
次いでこの糸條は、第一成分のフェノール樹脂類の硬化を行うために硬化処理が必要である。用いたフェノール樹脂類がノボラック型の場合の処理方法についてはステープル状、あるいはトウ状で反応容器に入れてバッチ式で行う方法や、ボビン状やかせ状で処理をする方法や、あるいはトウ状で連続的に処理するなど適宜選択して行えば良い。処理浴は触媒とアルデヒド類からなり、触媒としては例えば、塩酸、硫酸、リン酸、蟻酸、酢酸、蓚酸、酪酸、乳酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸、硼酸または塩化亜鉛や酢酸亜鉛のような金属との塩、あるいはこれらの混合物等の酸性触媒、あるいは水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化リチウムのようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属の水酸化物や水酸化アンモニウム、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリエタノールアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンテトラミンのようなアミン類、あるいはこれらの混合物等の塩基性触媒が挙げられるがこれらに限定されるものではない。更に使用されるアルデヒド類としては以下に例示したアルデヒド類に限定されるものではないが、例えばホルムアルデヒド、トリオキサン、フルフラール、パラホルムアルデヒド、ベンズアルデヒド、メチルヘミホルマール、エチルへミホルマール、プロピルへミホルマール、サリチルアルデヒド、ブチルヘミホルマール、フェニルへミホルマール、アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、α−フェニルプロピルアルデヒド、β−フェニルプロピルアルデヒド、o−ヒドロキシベンズアルデヒド、m−ヒドロキシベンズアルデヒド、p−ヒドロキシベンズアルデヒド、o−クロロベンズアルデヒド、o−ニトロベンズアルデヒド、m−ニトロベンズアルデヒド、p−ニトロベンズアルデヒド、o−メチルベンズアルデヒド、m−メチルベンズアルデヒド、p−メチルベンズアルデヒド、p−エチルベンズアルデヒド、p−n−ブチルベンズアルデヒド等、あるいはこれらの混合物等が使用できる。このうち、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、フルフラール、ベンズアルデヒド、サリチルアルデヒドが好ましく、特にホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒドが最も好ましい。
【0038】
反応方法としては液相にて60℃以上110℃未満に3時間以上30時間未満加熱して硬化させることが一般的であるが、気相下で加熱して行っても良い。更には前述した通常硬化反応の後、水洗乾燥後、窒素・ヘリウム・炭酸ガス等の不活性ガス中100℃〜300℃の温度で加熱することにより硬化させる等、公知の硬化処理を行うことができる。この硬化処理が終了した時点で島を形成する第一成分のフェノール樹脂類が充分な強度を持った状態となり、本発明の複合繊維を得ることができる。
【0039】
一方、特別な場合としてフェノール樹脂類としてレゾール型を使用する際は、湿熱、あるいは乾熱法で加熱処理を行うことで硬化処理させることができる。熱処理条件は100℃〜220℃、好ましくは120℃〜180℃で5分から120分、好ましくは20分から60分行う方法が良い。
【0040】
続いて海を形成する第二成分樹脂のみを選択的に溶解する溶媒に浸漬する等の処理を行うことにより本発明のフェノール系極細繊維を得ることができる。この場合溶媒は第二成分樹脂の溶解性によって適宜選択すればよく、例えば、ケトン系溶剤、エーテル系溶剤、含窒素系溶剤、炭化水素系溶剤、エステル系溶剤、アルコール系溶剤などの単独、あるいは混合液に浸漬するなどの方法で容易に目的を達せられる。
【0041】
次いで得られたフェノール系極細繊維の炭素化について説明する。この処理も従来の公知の方法に従えば良く、例えば、炭素化で使用される不活性ガスとしては窒素、アルゴン等が挙げられる。炭素化の温度は例えば600℃〜1200℃の範囲で、より好ましくは800℃〜1000℃の範囲で決定すれば良い。
【0042】
本発明によるフェノール系極細炭素繊維を得るためには、海を形成する第二成分樹脂のみを溶解する等の溶解処理を行って得たフェノール系極細繊維を炭素化する方法は勿論、あるいは第二成分樹脂を除去する前の複合繊維を直接炭素化するに伴い第二成分樹脂を熱分解除去せしめて、これを引き続き炭素化する方法のどちらでも良い。但し、複合繊維を直接炭素化する場合、複合繊維の海を形成する第二成分樹脂は不活性ガス中で炭素化温度よりも低い温度で熱分解する事が必要である。
【0043】
本発明では前述の極細炭素繊維をはじめ1種類以上の炭素繊維と黒鉛、熱硬化性樹脂を含有する混合物を成形する。
【0044】
本発明で好適な熱硬化性樹脂としては特に限定されるものではないが、例えば極細炭素繊維を得るのに同様で先に説明したフェノール樹脂及び各種変成フェノール樹脂、またエポキシ樹脂や不飽和ポリエステル樹脂、フルフリルアルコール樹脂、メラミン樹脂やジアリルフタレート樹脂などが挙げられる。これらの内、機械的強度、耐熱性、コストや電気的特性、更には後の混合工程で黒鉛や炭素繊維との混合性、特に炭素繊維の混合において問題となり易い過多のせん断応力を下げることや成形時の流動性を上げる意味でフェノール樹脂が最も適している。中でも熱のみで容易に硬化し、アンモニアが発生しない点でレゾール型フェノール樹脂が望ましい。
【0045】
これら熱硬化性樹脂を混合する際の形状には特に限定はなく、固形、液状、粒状、球状や、特殊な場合では繊維状なども利用可能であり、あるいは溶剤等で希釈した溶液状でも良い。
【0046】
次に本発明で用いる炭素繊維は、1種類は詳述したフェノール系極細炭素繊維を用いるが、これ以外の炭素繊維を併用することも可能である。例えばアクリル長繊維から製造されるPAN系炭素繊維、石油ピッチや石炭ピッチから製造されるピッチ系炭素繊維などが適切であって、これらを所定長さに裁断したり微粉砕したものなどを用いることが出来る。
【0047】
本発明で用いる炭素繊維のうち、フェノール系極細炭素繊維はその直径が0.01μm〜1μm、好ましくは0.05μm〜0.8μm、そのアスペクト比が10〜100000、好ましくは100〜10000のものを用いると成形品中でネットワーク構造を取り易く、接合点が多く形成されることから極細炭素繊維を通じて導電性や熱伝導性を付与するのである。また、このネットワーク構造は成形品中の材料の偏在を抑え、均質化すると共に自身も強度メンバーとして寄与することで強度向上効果を与え得るのである。
【0048】
またフェノール系極細炭素繊維以外の炭素繊維は、ネットワーク構造中に保持されたり、あるいは絡みつくなどの形で、更に強度や導電性・熱伝導性を上げるために用いるものである。
【0049】
本発明で用いるフェノール系極細炭素繊維には繊維径とアスペクト比に制限があるのはこの範囲外では本発明の目的を達し得ないためであり、中でもアスペクト比が大き過ぎる場合には成形時の流動性が悪化したり、フェノール系極細炭素繊維同士が絡まり合い前述のネットワーク構造が上手く形成できない。同様にフェノール系極細炭素繊維以外の炭素繊維についても余りに長過ぎる物は好ましくなく、アスペクト比で100〜10000が望ましい。
【0050】
次に本発明で用いる黒鉛材料を説明する。本発明では以下に説明する黒鉛材料に限定されるものではないが、例えば鱗片黒鉛や土壌黒鉛等の天然黒鉛や、石炭・石油コークスを熱処理することによって得られる人造黒鉛やこれらから作った膨張黒鉛などが使用可能である。これに導電性に優れた炭素系フィラーとしてアセチレンブラックやカーボンブラック、ケッチェンブラックなどの粉末を加えることも効果的である。
【0051】
本発明の成形に用いられる混合物中の各成分の重量比はフェノール系極細炭素繊維及びその他の炭素繊維の合計で1〜10重量%、黒鉛が55〜88重量%、熱硬化性樹脂が10〜35重量%である。このうち、炭素繊維全体に占めるフェノール系極細炭素繊維は10重量%以上100重量%以下が好ましく、より好ましくは主体的に使用されるため50重量%以上100重量%以下である。配合比の決定に当たっては要望される特性や成形方法に応じて決定することが重要である。例えば成形の際に流動性を要望される場合には上記した範囲内で黒鉛と炭素繊維の量を低めに設定すべきであるが、下限値以下まで少なくすると導電性や熱伝導性が低下する。一方、黒鉛と炭素繊維の量を、上限値を超えて多くすると導電性や熱伝導性は向上するものの成形性が悪化する問題がある。本発明を燃料電池用セパレーターとして用いる場合には体積固有抵抗として10−3〜10−1Ω・cmの範囲に入ることが望ましいため、成形後の体積固有抵抗を勘案しつつ配合の最適範囲を決定すべきである。
【0052】
次に本発明の燃料電池用セパレーターの成形方法については特に限定されるものではないが、例えば所望のセパレーター形状の金型を使用して圧縮成形する方法が直接的であり望ましい方法である。この際、粉砕した熱硬化性樹脂、黒鉛及び炭素繊維をニーダー、ナウターミキサー、ユニバーサルミキサー、ヘンシェルミキサー等を用いて均一になるまで混合し、これを一般的な条件で圧縮成形する。この際、他の成形材料で一般的に用いられる滑剤、安定剤、可塑剤や離型剤なども本発明の目的を阻害しない範囲で使用することが可能である。圧縮成形の条件としては例えば金型温度を100℃〜300℃の範囲で用いる熱硬化性樹脂に合わせて設定すれば良く、これ以外には成形圧力は100kg/cm〜1500kg/cm、硬化時間が1〜60分程度で成形可能である。
【0053】
この方法以外にも射出成形を行うことも可能である。射出成形ではガス流路などの複雑な形状も一体成形できる生産性に優れた成形法であるが、成形原料の流動性が充分でないと材料成分の偏在が発生し、成形後に反りや割れ、歪みなどの原因となる。このため、流動性を上げる目的で、成分の形状を実質的に変えない範囲で造粒するなどの操作を予め行っておき、これを射出成形する等の方法が有効である。
【0054】
更に加えてより生産性の高い成形方法としては混合済の成形原料をプレート式プレス、ベルト式プレス、ロール式プレスなどの方法で予備的にプレスしてプリカーサーとしておき、この後、金型を用いて圧縮成形する方法も取り得る。
【0055】
以上の方法を用いることにより、例えば厚みが0.5mm〜3mm程度の薄肉で大型の燃料電池用セパレーターを得ることができる。
【実施例】
【0056】
以下に実施例を示し、本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
〔フェノール系極細炭素繊維の調整〕
フェノール100kg、37%ホルマリン73kg、シュウ酸0.5kgを還流冷却器を備えた反応容器に仕込み、40分間で常温から100℃に昇温させ、更に100℃で4時間反応させた後、200℃まで加熱して脱水濃縮した後、冷却してノボラック型フェノール樹脂を得た。
次に攪拌機を備えた密閉式溶解槽にテトラヒドロフラン500Lを入れ、これにポリスチレン樹脂(エー・アンド・エム スチレン製679)50kgと前述のノボラック型フェノール樹脂50kgを徐々加えた。これを攪拌しながら66℃まで加熱し、更に温度を保持しつつ、テトラヒドロフランを還流させながら樹脂が完全に溶解するまで攪拌を行った。30分後、溶解液を減圧式蒸留器に移し変え、温度を50℃、50kPaに減圧し、テトラヒドロフランを回収しながら樹脂溶液を濃縮した。樹脂溶液の樹脂濃度をおよそ30重量%になるまで濃縮を続けた。取り出した樹脂溶液の粘度は25℃において 150Pa・sであった。
この樹脂溶液を紡糸原液として、0.2mmのオリフィスを500個有する口金にて250m/分の速度で乾式紡糸を行った。紡糸筒内には180℃の窒素を上向に流し、テトラヒドロフランを蒸発させた。
得られた糸條5kgを51mmにカットし、これをポリプロピレン製の多孔板で形成された円筒形バスケットに詰め、更にこれをオーバーマイヤー式反応缶に取り付けた。反応缶内で塩酸14%、ホルムアルデヒド8%の水溶液に常温で30分間浸漬した後、2時間で98℃まで昇温し、更に98℃で2時間保持した。繊維を取り出し、充分に水洗した後、3%アンモニア水溶液で60℃、30分の中和を行った後、再度充分に水洗した。これを90℃、30分間乾燥することでフェノール樹脂類とポリスチレン樹脂類の複合繊維を得ることができた。得られた繊維の直径は約14μm、2.5デニールの複合繊維であった。
これを再度、攪拌機を備えた密閉式溶解槽に入れ、30℃のテトラヒドロフランに5分間浸漬し海成分のポリスチレン樹脂類を溶かした。槽の底に沈降した極細繊維を濾過して取り出し乾燥した。この繊維を顕微鏡にて観察したところ繊維直径0.25μm〜0.5μm、繊維長50μm〜2.5mmのフェノール系極細繊維であることを確認した。フェノール系極細繊維を試験炭素化炉に入れ、窒素気流中900℃、30分の条件で炭素化し繊維直径0.2μm〜0.4μm、繊維長40μm〜2mmのフェノール系極細炭素繊維を得た。
〔熱硬化性樹脂の調整〕
フェノール20kg、50%ホルマリン21kgを反応容器に仕込み、25%アンモニア水2.8kgを加えて60℃にて3時間反応させた後、80mmHgの減圧下にて反応混合物内温が80℃に上昇するまで脱水濃縮反応を行い更にそのまま80℃、80mmHg下に保持した。これを室温まで冷却して固形状レゾール型フェノール樹脂を得た。
【0057】
〔実施例1〜3〕
前述のフェノール系極細炭素繊維と熱硬化性樹脂と、黒鉛(日本黒鉛工業製平均粒径15μm)、炭素繊維(三菱化学産資製K223SE アスペクト比5)を金型温度180℃成形圧力60MPaで3分間の圧縮成形を行い、250mm×250mm×2mmのテストピースを作成した。テストピースを用いて外観検査、体積固有抵抗、曲げ強度、曲げ弾性率、更に熱伝導率を評価した。
【0058】
〔比較例1〜2〕
比較例1はフェノール系極細炭素繊維の導電性・強度向上効果を確認する目的で実施例1のフェノール系極細炭素繊維全量を炭素繊維に置き換えた。比較例2は成形性を確認するため敢えて最適範囲上限以上のフェノール系極細炭素繊維を加えた。
【0059】
〔実施例4〕
射出成形法での本発明の効果を確認するために実施した。表1の組成で配合した成形原料をヘンシェルミキサーで5分間混合し、更に成形原料の15重量%にあたるメタノールを滴下して粒径1mmの粒状物とした。この粒状物を70℃で1時間乾燥した後、インラインスクリュ型射出成形機のホッパーに供給した。200℃に維持した加熱筒の先端に一定量の溶融材料が貯留したことを確認し100MPaの圧力で80℃に維持した金型中に押出した。
【0060】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1種類以上の炭素繊維、黒鉛、熱硬化性樹脂を含有する組成物より成形されることを特徴とする燃料電池用セパレーター。
【請求項2】
炭素繊維の1種類が、第一成分のフェノール樹脂と第二成分の該フェノール樹脂に非相溶もしくは低相溶性樹脂からなる複合樹脂を繊維化し、このうち海成分が第二成分樹脂であり、島成分がフェノール樹脂である海島型複合繊維であって、島成分のフェノール樹脂を架橋化処理した後、海成分の第二成分樹脂のみ選択的に溶解除去し、これを炭素化したフェノール系極細炭素繊維である請求項1に記載の燃料電池用セパレーター。
【請求項3】
炭素繊維の1種類が、第一成分のフェノール樹脂と第二成分の該フェノール樹脂に非相溶もしくは低相溶性樹脂からなる複合樹脂を繊維化し、このうち海成分が第二成分樹脂であり、島成分がフェノール樹脂である海島型複合繊維であって、島成分のフェノール樹脂を架橋化処理した後、炭素化する工程で海成分の第二成分樹脂のみ選択的に熱分解させることにより得られるフェノール系極細炭素繊維である請求項1に記載の燃料電池用セパレーター。
【請求項4】
フェノール系極細炭素繊維の直径が0.01μm〜1μmであり、そのアスペクト比が10〜100000であることを特徴とする請求項1乃至請求項3に記載の燃料電池用セパレーター。
【請求項5】
重量比が炭素繊維1〜10重量%、黒鉛が55〜88重量%、熱硬化性樹脂が10〜35重量%である組成物を成形することを特徴とする請求項1乃至請求項4に記載の燃料電池用セパレーター。