説明

フェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法

【課題】個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができるフェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法を提供する。
【解決手段】フェムトセル試験システム100は、加入者系ネットワーク44を介してフェムトセル基地局41に接続されたネットワーク制御装置10と、ネットワーク制御装置10に接続され、試験制御部21及び判定部23を備えた試験制御装置20と、試験制御装置20からの測定制御信号に基づいてフェムトセル基地局41からの電波信号の受信電力の測定や電波信号の周波数解析等を行う測定装置30と、を備え、判定部23は、測定装置30が受信した電波信号に基づき、試験制御部21が送信した試験制御信号に応じた動作をフェムトセル基地局41が行ったか否かを判定する構成を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の携帯電話やPHSといった移動通信システムにおける基地局のカバーエリアは、半径数百m〜十数km程度の広範囲に及んでおりマクロセルと呼ばれる。このマクロセル同士の境界領域や高層ビル、住宅の屋内、地下街等においては電波強度が微弱となり通信が困難な不感エリアが発生する。従来、この不感エリアを解消するため、基地局の送信電力の増幅や、電波中継機器の設置といった対策が行われてきた。
【0003】
一方、近年では、公衆IP網やインターネット回線などの公衆通信回線を利用し、家庭やオフィスでの不感エリアを解消するフェムトセル(Femto Cell)基地局が提案されている。
【0004】
このフェムトセル基地局は、移動体通信事業者等からの貸与や、個人購入により、個人宅やオフィスに設置される。この設置は、利用者自身で行うことが前提とされ、特に個人宅に設置する場合、フェムトセル基地局の設置時に試験や調整等を通信業者が行うことは事実上不可能である。また、フェムトセル基地局が個人宅に設置された後、その設置場所や周囲環境は個人の生活スタイルに合わせて変化していくことが想定される。
【0005】
そのため、フェムトセル基地局は、自律的に送信電力等を調整する機能を備え、移動体通信網のネットワーク制御装置と連携してネットワークを構成するよう制御されるようになっている。この制御により、互いに隣接するフェムトセル基地局や、重複して敷設されているマクロセルとの混信を回避することができる。
【0006】
ところで、フェムトセル基地局に不具合が発生した場合、予め定められた動作仕様とは異なる不調な動作状態となると障害が発生することが考えられる。例えば、あるフェムトセル基地局の送信電力が過大となると、周辺のフェムトセル基地局やマクロセル基地局に妨害を与えることとなる。そこで、複数の個人宅にそれぞれ設置されたフェムトセル基地局から、動作不調のフェムトセル基地局を特定することが必要となる。
【0007】
従来、この種の装置としては、前述のマクロセルにおいて、各基地局からの電波状態を簡単にかつ正しく評価できる電波サービスエリア評価装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示された装置は、車載や携帯が可能な構成を有し、各基地局から放出される電波の信号レベルをほぼリアルタイムで確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−252596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1に開示された装置は、マクロセルにおいては有用なものであったが、フェムトセル基地局のカバーエリアは半径数十mであってマクロセルでカバーできる範囲に比べて極めて小さいので、フェムトセル基地局への適用が困難であり、その改善が求められていた。
【0010】
また、従来用いられていた電界強度測定器による測定では、フェムトセル基地局の利用者からの苦情やマクロセル基地局への妨害状況などの情報に基づいて、動作不調のフェムトセル基地局が存在すると推定される領域の各住宅を試験者が個々に訪問し、フェムトセル基地局を試験しなければならず、動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定することが困難であるという課題があった。
【0011】
本発明は、前述の事情に鑑みてなされたものであり、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができるフェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明の請求項1に係るフェムトセル基地局の測定装置は、移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の測定装置(30)であって、前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、前記フェムトセル基地局が前記制御信号に応じた動作を行ったか否かを判定するための測定データを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて取得する測定手段(33)と、を備えた構成を有している。
【0013】
この構成により、本発明の請求項1に係るフェムトセル基地局の測定装置は、フェムトセル基地局が制御信号に応じた動作を行ったか否かを判定するための測定データを電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて取得するので、この測定データを基に判定を行うことにより、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0014】
本発明の請求項2に係るフェムトセル基地局の試験システムは、移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の試験システム(100)であって、前記フェムトセル基地局の動作を試験する試験制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する試験制御信号送信手段(21)と、前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、前記フェムトセル基地局が前記試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定する動作判定手段(23)と、を備えた構成を有している。
【0015】
この構成により、本発明の請求項2に係るフェムトセル基地局の試験システムは、フェムトセル基地局が試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定するので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0016】
本発明の請求項3に係るフェムトセル基地局の試験システムは、移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に基づいて移動体通信端末との通信を実行するフェムトセル基地局(41)の試験システム(300、400)であって、前記移動体通信端末との通信を前記フェムトセル基地局に実行させるため前記フェムトセル基地局の動作を制御する動作制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する動作制御信号送信手段(10)と、前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、前記フェムトセル基地局が前記動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定する動作判定手段(64、74)と、を備えた構成を有している。
【0017】
この構成により、本発明の請求項3に係るフェムトセル基地局の試験システムは、フェムトセル基地局が動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定するので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0018】
本発明の請求項4に係るフェムトセル基地局の試験方法は、移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の試験システム(100)における試験方法であって、前記フェムトセル基地局の動作を試験する試験制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する試験制御信号送信ステップ(S34〜S39)と、前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信ステップ(S34〜S39)と、前記フェムトセル基地局が前記試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定する動作判定ステップ(S44、S45)と、を含む構成を有している。
【0019】
この構成により、本発明の請求項4に係るフェムトセル基地局の試験方法は、フェムトセル基地局が試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定するので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0020】
本発明の請求項5に係るフェムトセル基地局の試験方法は、移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に基づいて移動体通信端末との通信を実行するフェムトセル基地局(41)の試験システム(300、400)における試験方法であって、前記移動体通信端末との通信を前記フェムトセル基地局に実行させるため前記フェムトセル基地局の動作を制御する動作制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する動作制御信号送信ステップ(S53、S62)と、前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信ステップ(S54)と、前記フェムトセル基地局が前記動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定する動作判定ステップ(S56)と、を含む構成を有している。
【0021】
この構成により、本発明の請求項5に係るフェムトセル基地局の試験方法は、フェムトセル基地局が動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定するので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明は、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができるという効果を有するフェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法を提供することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態におけるブロック構成図
【図2】本発明に係るフェムトセル基地局の測定装置の第1実施形態におけるブロック構成図
【図3】本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態におけるフローチャート
【図4】本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態における測定に係るフローチャート
【図5】本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態における判定に係るフローチャート
【図6】本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態において、複数の測定装置を用いた場合の測定構成例を示す図
【図7】本発明に係るフェムトセル試験システムの第2実施形態におけるブロック構成図
【図8】本発明に係るフェムトセル試験システムの第3実施形態におけるブロック構成図
【図9】本発明に係るフェムトセル試験システムの第3実施形態におけるフローチャート
【図10】本発明に係るフェムトセル試験システムの第4実施形態におけるブロック構成図
【図11】本発明に係るフェムトセル試験システムの第4実施形態におけるフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて説明する。なお、本明細書において、フェムトセル基地局とは、フェムトフォーラム(Femto Forum)で仕様の検討や標準化の議論が行われている、家庭やオフィス内に設置が可能な超小型の携帯電話等の基地局のことをいう。また、フェムトセル基地局の試験システムを以下「フェムトセル試験システム」という。
【0025】
(第1実施形態)
まず、本発明に係るフェムトセル試験システムの第1実施形態における構成について説明する。
【0026】
図1に示すように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム100は、ネットワーク制御装置10、試験制御装置20、測定装置30を備えている。このフェムトセル試験システム100は、フェムトセル基地局41〜43を試験することができるものである。フェムトセル基地局41〜43は、それぞれ、自装置を識別するための固有番号を有している。固有番号の情報は、フェムトセル基地局41〜43が送信する電波信号にそれぞれ含まれる。試験者は、フェムトセル基地局41〜43の固有番号の情報を把握しているものとする。
【0027】
フェムトセル基地局41は、ユーザ宅1に備えられている。フェムトセル基地局42及び43もそれぞれ図示しないユーザ宅に備えられている。なお、図1において、試験対象のフェムトセル基地局の台数を便宜上3台としているが、これに限定されない。
【0028】
フェムトセル基地局41〜43は、ケーブル2を介し、加入者系ネットワーク44に接続されている。この加入者系ネットワーク44には、移動体通信事業者のコアネットワーク45が接続されている。コアネットワーク45は、ユーザの音声信号等を伝送するユーザトラフィック用ネットワーク45aと、制御用信号を伝送する制御用ネットワーク45bと、を含む。ユーザトラフィック用ネットワーク45a及び制御用ネットワーク45bにはマクロセル基地局46が接続されている。マクロセル基地局46は、図示しない携帯電話等の通信エリアとして半径数百m〜十数km程度の広範囲をカバーするものである。なお、マクロセル基地局46は、図1において、ユーザトラフィック用ネットワーク45aと制御用ネットワーク45bとに個別に接続されているが、これは論理的な接続を示したものであり、物理的には通常1本のケーブルで接続される。
【0029】
また、制御用ネットワーク45bには、ネットワーク制御装置10が接続されている。
【0030】
ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41〜43、マクロセル基地局46と、これらに接続される携帯電話等の移動局との間の無線リソースを管理するようになっている。また、ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41〜43、マクロセル基地局46に所定の制御命令を送信してこれらの動作を制御するようになっている。例えば、ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41とマクロセル基地局46との間において移動局のセル間移動に伴うハンドオーバの制御や、フェムトセル基地局41に対して送信電力の増減、リセットの制御等を行うことができるものである。
【0031】
試験制御装置20は、ネットワーク制御装置10に接続され、試験制御部21、条件設定部22、判定部23を備える。この試験制御装置20は、例えば、CPU、メモリ、インタフェース、ディスプレイ等を備えたコンピュータで構成される。
【0032】
試験制御部21は、ネットワーク制御装置10、制御用ネットワーク45b、加入者系ネットワーク44及びケーブル2を介し、フェムトセル基地局41を試験するための制御信号(以下「試験制御信号」という。)をフェムトセル基地局41に送り、フェムトセル基地局41に対する試験を制御するようになっている。ここで、試験制御部21は、本発明に係る試験制御信号送信手段を構成する。
【0033】
条件設定部22は、測定装置30で測定する測定項目及び測定条件を設定するため試験者が操作するものである。
【0034】
判定部23は、フェムトセル基地局41が動作不調の可能性があるか否かを判定するようになっている。この判定部23は、本発明に係る動作判定手段を構成する。
【0035】
なお、試験制御装置20は、ネットワーク制御装置10に直接接続された構成としているが、ネットワークを介してネットワーク制御装置10に接続する構成としてもよい。また、条件設定部22及び判定部23を、測定装置30に設ける構成としてもよい。
【0036】
測定装置30は、自装置を識別するための固有番号を有しており、フェムトセル基地局41からの電波信号を受信することが可能な領域に設置されるものである。例えば、測定装置30は、ケーブル2がユーザ宅1の最寄りの電柱からユーザ宅1に引き込まれている場合、その電柱に仮設される。なお、測定装置30は、ユーザ宅1の周辺場所に仮設されてもよいし、車載されるものであってもよい。また、試験者は、測定装置30の固有番号の情報を把握しているものとする。
【0037】
測定装置30は、試験制御装置20と通信できる構成を有する。測定装置30は、試験制御装置20からの測定制御信号に基づいて、例えば、フェムトセル基地局41からの電波信号の受信電力の測定や、受信した電波信号の周波数解析等を行うようになっている。測定装置30と試験制御装置20との間の通信経路として図1には通信経路A及びBの2つが例示されている。
【0038】
すなわち、通信経路Aは、セルラ通信システムを利用したもので、マクロセル基地局46、制御用ネットワーク45b及びネットワーク制御装置10を介する通信経路である。また、通信経路Bは、測定装置30と制御用ネットワーク45bとの間がケーブル3で接続された通信経路を含む。測定装置30は、通信経路A及びBのうちのいずれか1つにより、試験制御装置20に測定データを送るとともに、試験制御装置20から測定制御信号を受信するようになっている。
【0039】
次に、測定装置30の構成について図2に基づき説明する。
【0040】
図2に示すように、測定装置30は、アンテナ31として、フェムトセル基地局41からの電波信号を受信する被測定信号アンテナ31a、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を受信するGPSアンテナ31b、マクロセル基地局46と通信する通信アンテナ31cを備えている。また、測定装置30は、受信部32、測定部33、制御部34、データメモリ35、GPS受信部36、セルラ通信部37、光ファイバインタフェース38、xDSLインタフェース39を備えている。
【0041】
受信部32は、被測定信号アンテナ31aを介し、フェムトセル基地局41からの電波信号を受信するようになっている。この受信部32は、本発明に係る電波信号受信手段を構成する。
【0042】
測定部33は、受信部32が受信した電波信号に基づいて受信電力の測定やスペクトラム解析等を行うようになっている。この測定部33は、本発明に係る測定手段を構成する。
【0043】
制御部34は、CPU、ROM、RAM等を備え、測定部33の測定データを取得するとともに、装置全体の動作を制御するようになっている。
【0044】
データメモリ35は、測定部33が測定した測定データを記憶するようになっている。
【0045】
GPS受信部36は、GPSアンテナ31bが受信した電波信号に基づいて、測定装置30の経度、緯度、高度を示す位置データを取得するようになっている。GPS受信部36を備えることにより、複数のフェムトセル基地局をそれぞれ複数の測定装置30によって並行して測定する場合に、各測定装置30の位置データ取得でき、不具合のあるフェムトセル基地局の方向を探知する場合等に応用できて好ましい。
【0046】
セルラ通信部37は、図1に示した通信経路Aを介して、また、光ファイバインタフェース38及びxDSLインタフェース39は、図1に示した通信経路Bを介して、試験制御装置20からの測定制御信号を受信するとともに、測定データを試験制御装置20に送信するようになっている。ここで、セルラ通信部37は、通信経路Aにおいて、通信アンテナ31cを用いてマクロセル基地局46と通信するものである。また、測定装置30は、光ファイバインタフェース38及びxDSLインタフェース39のいずれか一方を利用するようになっている。
【0047】
次に、本実施形態におけるフェムトセル試験システム100の試験手順について、図1〜図5に基づき説明する。
【0048】
まず、図3に示すように、試験対象であるフェムトセル基地局41の近傍に測定装置30を仮設する(ステップS11)。例えば、ケーブル2がユーザ宅1の最寄りの電柱からユーザ宅1に引き込まれている場合、その電柱に測定装置30を仮設する。
【0049】
次いで、試験者が試験制御装置20の条件設定部22を操作し、試験対象としてフェムトセル基地局41の指定、その測定を行う測定装置として測定装置30の指定、通信経路A及びBのいずれか1つの指定を行う。試験者がフェムトセル基地局41及び測定装置30を指定すると、その指定情報の信号を試験制御部21がネットワーク制御装置10に送信する。そして、ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41との接続、測定装置30との接続を確立する(ステップS12)。その結果、試験制御装置20は、ネットワーク制御装置10を介し、フェムトセル基地局41及び測定装置30と接続される。
【0050】
さらに、試験者が条件設定部22を操作し、測定項目及び測定条件を設定する(ステップS13)。その設定情報の信号を試験制御部21が測定装置30に送信する。
【0051】
続いて、試験制御部21は、フェムトセル基地局41に所定の試験制御信号を送信するとともに、測定装置30に測定開始命令の信号を送信することにより、フェムトセル基地局41に対して各種の測定を行う(ステップS14)。
【0052】
ここで、図4を用いて測定例を説明する。
【0053】
試験制御部21は、フェムトセル基地局41の電源がオフの場合、電源をオンにする試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信し、フェムトセル基地局41の電源をオンにする(ステップS31)。ここで、フェムトセル基地局41の電源がオフとは、試験制御部21からの制御で電源をオンにできる状態であって、いわゆるスリープ又はスタンバイの状態をいう。
【0054】
次に、試験制御部21は、試験対象のフェムトセル基地局41からの電波信号(固有番号情報を含む)を測定装置30に復調させることにより、試験対象のフェムトセル基地局41を測定装置30に特定させる処理を行わせる(ステップS32)。この処理は、例えば、試験制御部21が、送信電力の増減、リセット等の試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信し、これらの試験制御信号によるフェムトセル基地局41の動作に応じて、測定装置30がフェムトセル基地局41からの電波信号を取得するか否かに基づいて行う。これは、試験対象であるフェムトセル基地局41からの電波信号と、試験対象外であるフェムトセル基地局42、43、マクロセル基地局46からの電波信号とを区別するため行うものである。
【0055】
試験制御部21は、測定装置30がフェムトセル基地局41からの電波信号を特定できたか否かを判断し(ステップS33)、特定できなかった場合は特定できるまで特定処理を行う。ただし、特定処理を所定回数行ってもフェムトセル基地局41からの電波信号を特定できなかった場合は、その原因を調査して試験を中止してもよい。フェムトセル基地局41からの電波信号を特定できない原因としては、フェムトセル基地局41以外からの電波信号による影響が考えられるので、例えば、フェムトセル基地局41の電源オフ時やリセット中に比較的高レベルの信号が通信周波数帯に存在しているか否かを調査する。また、フェムトセル基地局41の近隣に他のフェムトセル基地局があるか否かを調査しておく。
【0056】
ステップS33においてフェムトセル基地局41を特定できた場合、試験制御部21は、ステップS34〜S39に示す測定を測定装置30に行わせる。なお、これらの測定内容、測定順序は一例であって、これらに限定されない。
【0057】
まず、試験制御部21は、標準的な送信電力の電波信号をフェムトセル基地局41に送信させる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、フェムトセル基地局41が過大な送信電力で電波信号を送信していないかを判定を行うため、フェムトセル基地局41からの電波信号の受信電力を測定する(ステップS34)。
【0058】
次に、試験制御部21は、送信電力を所定分だけ増加させる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、その試験制御信号の送信前後における受信電力(又は受信電力差)を測定する(ステップS35)。
【0059】
次に、試験制御部21は、送信電力を所定分だけ減少させる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、その試験制御信号の送信前後における受信電力(又は受信電力差)を測定する(ステップS36)。
【0060】
次に、試験制御部21は、フェムトセル基地局41からの送信を停止させるための試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、その試験制御信号の送信前、送信停止制御中(送信電力ゼロ)、送信停止制御解除後における受信電力(又は各々の受信電力差)を測定する(ステップS37)。
【0061】
次に、試験制御部21は、フェムトセル基地局41の電源をオフにさせる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、その試験制御信号の送信前後における受信電力(又は受信電力差)を測定する(ステップS38)。
【0062】
次に、試験制御部21は、フェムトセル基地局41の電源をオンにさせる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信する。測定装置30は、その試験制御信号の送信前後における受信電力(又は受信電力差)を測定する(ステップS39)。以上で測定を終了し、図3のステップS15に戻る。
【0063】
測定装置30は、取得した測定データ及び位置データを、ステップS12において定められた通信経路を介して試験制御装置20に送信する(ステップS15)。
【0064】
試験制御装置20は、受信した測定データに基づいて、フェムトセル基地局41が動作不調の状態にあるか否かを判定する(ステップS16)。この判定は、例えば図5に示す手順で実施される。
【0065】
まず、特定処理(図4ステップS32)においてフェムトセル基地局41の特定ができなかった場合、試験制御装置20の判定部23は、通信周波数帯に比較的高レベルの信号が存在しているか否か(ステップS42)、フェムトセル基地局41の近隣に他のフェムトセル基地局があるか否か(ステップS43)に基づいて、ステップS46〜S48に示す判定を行う。
【0066】
すなわち、通信周波数帯に比較的高レベルの信号が存在していないとき、判定部23は、フェムトセル基地局41の故障の可能性が大きいと判定する(ステップS46)。
【0067】
また、通信周波数帯に比較的高レベルの信号が存在しており、かつ、フェムトセル基地局41の近隣に他のフェムトセル基地局があるとき、判定部23は、近隣のフェムトセル基地局(本実施形態の場合はフェムトセル基地局42、43)の試験や調査が必要と判定する(ステップS47)。
【0068】
さらに、通信周波数帯に比較的高レベルの信号が存在しており、かつ、フェムトセル基地局41の近隣に他のフェムトセル基地局がないとき、判定部23は、電波信号を出力している他の機器の影響によりフェムトセル基地局41の特定ができなかったものと判定する(ステップS48)。
【0069】
一方、ステップS41においてフェムトセル基地局41の特定ができた場合はステップS44に進み、ステップS34においてフェムトセル基地局41が過大送信電力で電波信号を送信しているとき、判定部23は、フェムトセル基地局41が故障(動作不調)である可能性が大きいと判定する(ステップS46)。ここで、フェムトセル基地局41が過大送信電力で電波信号を送信しているか否かの判断は、次のように行う。例えば、フェムトセル基地局41から測定装置30までの概略距離、電波信号の伝播に対する障害物の有無や障害物の種類(木造住宅、鉄骨住宅等)から電波信号の減衰値を推定し、その推定した減衰値から受信電力のしきい値を設定する。このしきい値を超過するか否かにより、フェムトセル基地局41が過大送信電力で電波信号を送信しているか否かの判断を行うことができる。
【0070】
フェムトセル基地局41が過大送信電力で電波信号を送信していないときは、ステップS45に進み、送信電力を増減する制御が不可であるとき、判定部23は、フェムトセル基地局41が故障(動作不調)である可能性が大きいと判定する(ステップS46)。ここで、送信電力を増減する制御が不可であるか否かを判断は、次のように行う。例えば、試験制御部21が、送信電力を3dB増加させる試験制御信号をフェムトセル基地局41に送信したとき、その試験制御信号の送信前後において測定装置30が求めた受信電力差が、3±α(dB)ならば送信電力増の制御可と判断する。なお、αは予め定めたマージンである。
【0071】
ステップS45において、送信電力を増減する制御が不可でないとき、判定部23は、フェムトセル基地局41の詳細試験が必要であると判定する(ステップS49)。
【0072】
以上のステップS46〜S49に示した判定結果は、例えば試験制御装置20のディスプレイにより試験者に提示される。
【0073】
図3に戻り、ステップS17に進み、ステップS16における判定においてフェムトセル基地局41に問題があると判定されなかった場合(図5ステップS47、S48)は、試験制御部21は、ディスプレイの表示より、他の測定を行うか否かを試験者に問い合わせる(ステップS18)。他の測定を行う場合は、ステップS13に進み、条件設定部22によって新たな測定条件が設定される。
【0074】
ステップS18において、他の測定を行わない場合は、他のフェムトセル基地局(例えばフェムトセル基地局42)に対して試験を行うか否かを試験者に問い合わせる(ステップS19)。他のフェムトセル基地局に対して試験を行う場合は、試験制御部21は、フェムトセル基地局41の指定を解除する指定解除信号と、他のフェムトセル基地局を指定する指定信号とをネットワーク制御装置10に送信する。ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41との接続を切断し(ステップS20)、ステップS12に進み、他のフェムトセル基地局との接続を確立する。なお、他のフェムトセル基地局の指定にともなって、測定装置30を移動する場合もある。
【0075】
ステップS17において、ステップS16における判定においてフェムトセル基地局41に問題があると判定された場合(図5ステップS46、S49)と、ステップS19において、他のフェムトセル基地局に対して試験を行わないと判断した場合は、ステップS21に進む。
【0076】
試験制御部21は、フェムトセル基地局41及び測定装置30の指定を解除する制御信号をネットワーク制御装置10に送信する。ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41及び測定装置30との接続を切断する処理を行う(ステップS21)。その後、試験者が測定装置30を撤去し(ステップS22)、試験を終了する。
【0077】
なお、前述の試験手順の説明では、測定装置30が複数の測定を行った後にそれらの測定結果のデータを試験制御装置20に送信し、判定部23が測定結果の判定を行う例を挙げたが、これに限定されない。例えば、測定装置30が1つの測定を行うごとにその測定結果のデータを試験制御装置20に送信し、判定部23が順次測定結果の判定を行う構成としてもよい。
【0078】
以上のように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム100によれば、フェムトセル基地局41が試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを測定装置30が受信した電波信号に基づいて判定部23が判定する構成としたので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0079】
また、本実施形態におけるフェムトセル試験システム100によれば、試験者がユーザ宅に立ち入ることなくフェムトセル基地局を試験することが可能なので、ユーザに不信感を抱かせたり、ユーザのプライバシーの侵害をしたりすることなく、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0080】
なお、前述の実施形態では、1台の測定装置30を用いた構成について説明したが、複数の測定装置30を用いて試験を行うこともできる。
【0081】
例えば、図6(a)に示すように、フェムトセル基地局をそれぞれ有するユーザ宅5a〜5gがあって、3台の測定装置30a〜30cを図示のように配置し、ユーザ宅5a〜5g内の各フェムトセル基地局(図示省略)を順次試験することもできる。
【0082】
また、図6(a)に示した例において、過大送信電力で電波信号を送信しているフェムトセル基地局(以下「過大送信フェムトセル基地局」という。)がある場合、該当するフェムトセル基地局を効率よく探索することもできる。すなわち、各測定装置30a〜30cにおける受信電波信号の電界強度及び位置データを求め、求めた電界強度から過大送信フェムトセル基地局が存在する領域を測定装置30a〜30cごとに推定する。位置データに基づいた地図をディスプレイに表示することにより、各測定装置30a〜30cからの推定領域が互いに重なる領域(図中の斜線部)に過大送信フェムトセル基地局が存在していることを試験者は容易に知ることができる。
【0083】
また、過大送信フェムトセル基地局の探索は、図6(b)に示すように、測定装置30a〜30cの各位置で例えば指向性アンテナを用いて、最大の電波信号強度が得られる方位を求めれば、各測定装置30a〜30cからの方位線が交差する位置に過大送信フェムトセル基地局が存在していることを試験者は容易に知ることができる。
【0084】
(第2実施形態)
図7に示すように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム200は、ネットワーク制御装置10、携帯型測定装置50を備えている。携帯型測定装置50は、第1実施形態におけるフェムトセル試験システム100(図1参照)の試験制御装置20と、測定装置30と、を備えたものである。したがって、第1実施形態の説明と重複する説明は省略する。
【0085】
携帯型測定装置50は、試験者が携帯可能なハンディタイプの測定器であって、フェムトセル基地局41の電波信号を受信可能な範囲内で使用されるものである。
【0086】
試験制御装置20は、測定装置30と、通信経路A及びBのいずれか1つとを介し、試験対象のフェムトセル基地局を指定する信号と、フェムトセル基地局41を試験するための試験制御信号とをネットワーク制御装置10に送信するようになっている。
【0087】
本実施形態におけるフェムトセル試験システム200は、前述のように構成されているので、フェムトセル基地局41が試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを携帯型測定装置50が受信した電波信号に基づいて判定することが可能であり、試験者が携帯型測定装置50を携帯した状態で容易に、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0088】
(第3実施形態)
図8に示すように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム300は、第1実施形態におけるフェムトセル試験システム100(図1参照)と比べると、試験制御装置60を備えている点が異なる。したがって、試験制御装置60に係る構成について説明し、第1実施形態の説明と重複する説明は省略する。
【0089】
試験制御装置60は、例えば、コンピュータで構成され、試験制御部61、命令受信部62、条件設定部63、判定部64を備える。
【0090】
試験制御部61は、ネットワーク制御装置10、制御用ネットワーク45b、加入者系ネットワーク44及びケーブル2を介し、フェムトセル基地局41に対する試験を制御するようになっている。
【0091】
命令受信部62は、ネットワーク制御装置10がフェムトセル基地局41を動作させるための通常の動作制御においてフェムトセル基地局41に送信する制御信号(以下「動作制御信号」という。)を受信するようになっている。ここで、ネットワーク制御装置10は、本発明に係る動作制御信号送信手段を構成する。
【0092】
条件設定部63は、命令受信部62が受信した動作制御信号によるフェムトセル基地局41の動作を確認するのに適した測定項目及び測定条件を設定するようになっている。
【0093】
判定部64は、フェムトセル基地局41が動作不調の可能性があるか否かを判定するようになっている。
【0094】
次に、本実施形態におけるフェムトセル試験システム300の試験手順について、図8、図9に基づき説明する。なお、図9において、第1実施形態と同じステップには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
ステップS12における接続の確立後、命令受信部62は、ネットワーク制御装置10が送信する動作制御信号を受信する(ステップS51)。なお、ステップS12において、例えば、ネットワーク制御装置10が送信する制御命令を試験制御部21に監視させ、フェムトセル基地局41が動作を開始した後に、ネットワーク制御装置10が、フェムトセル基地局41との接続、測定装置30との接続を確立してもよい。
【0096】
条件設定部63は、命令受信部62が受信した動作制御信号によるフェムトセル基地局41の動作を確認するのに適した測定項目及び測定条件を測定装置30に対して設定する(ステップS52)。例えば、命令受信部62が受信した動作制御信号がフェムトセル基地局41の送信電力を増加させるものである場合、条件設定部63は、送信電力の増加前後における受信電力を測定するための測定項目及び測定条件を測定装置30に対して設定する。
【0097】
フェムトセル基地局41は、ネットワーク制御装置10が送信した動作制御信号を受信することにより、その動作が制御される(ステップS53)。
【0098】
測定装置30は、条件設定部63が設定した測定項目及び測定条件に基づいて測定を行う(ステップS54)。また、測定装置30は、測定結果のデータを試験制御装置60に送信する(ステップS55)。
【0099】
判定部64は、受信した測定結果のデータに基づいてフェムトセル基地局41が動作不調の可能性があるか否かを判定する(ステップS56)。
【0100】
以上のように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム300によれば、フェムトセル基地局41が動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを測定装置30が受信した電波信号に基づいて判定部64が判定する構成としたので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【0101】
なお、前述の実施形態において、1つの測定ごとに判定を行う例を挙げて説明したが、複数の測定を順次行った後に一括して測定結果の判定を行う構成としてもよい。また、ネットワーク制御装置10は、フェムトセル基地局41に対して送信しようとする動作制御信号を、予め試験制御部21に送信し、試験制御部21が測定装置30の設定を完了した後で、フェムトセル基地局41に対して動作制御信号を送信してもよい。
【0102】
(第4実施形態)
図10に示すように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム400は、第3実施形態におけるフェムトセル試験システム300(図8参照)と比べると、試験制御装置70を備えている点が異なる。したがって、試験制御装置70に係る構成について説明し、第3実施形態の説明と重複する説明は省略する。
【0103】
試験制御装置70は、例えば、コンピュータで構成され、試験制御部71、条件設定部72、制御監視部73、判定部74を備える。
【0104】
試験制御部71は、ネットワーク制御装置10、制御用ネットワーク45b、加入者系ネットワーク44及びケーブル2を介し、フェムトセル基地局41に対する試験を制御するようになっている。
【0105】
条件設定部72は、ネットワーク制御装置10がフェムトセル基地局41を動作させるための通常の動作制御においてフェムトセル基地局41に送信する動作制御信号のうち、予め定められた動作制御信号によるフェムトセル基地局41の動作を確認するための測定項目及び測定条件を設定するようになっている。
【0106】
制御監視部73は、ネットワーク制御装置10が送信する制御命令を監視するようになっている。
【0107】
判定部74は、フェムトセル基地局41が動作不調の可能性があるか否かを判定するようになっている。
【0108】
次に、本実施形態におけるフェムトセル試験システム400の試験手順について、図10、図11に基づき説明する。なお、図11において、第3実施形態と同じステップには同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
ステップS12における接続の確立後、条件設定部72は、ネットワーク制御装置10が送信する動作制御信号のうち、予め定められた動作制御信号によるフェムトセル基地局41の動作を確認するための測定項目及び測定条件を設定する(ステップS61)。例えば、条件設定部72は、動作制御信号のうち、フェムトセル基地局41の送信電力を増加させる動作制御信号に対する測定項目及び測定条件を設定する。なお、複数の動作制御信号を予め定め、各動作制御信号に対する測定項目及び測定条件をそれぞれ設定してもよい。
【0110】
フェムトセル基地局41は、ネットワーク制御装置10が送信した動作制御信号を受信することにより、その動作が制御される(ステップS62)。
【0111】
制御監視部73は、ネットワーク制御装置10が送信する動作制御信号を監視することにより、予め定められた動作制御信号をネットワーク制御装置10が送信したか否かを判断し(ステップS63)、予め定められた動作制御信号を送信しない場合はステップS62に戻り、予め定められた動作制御信号を送信した場合はステップS54に進む。
【0112】
以上のように、本実施形態におけるフェムトセル試験システム400によれば、フェムトセル基地局41が動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを測定装置30が受信した電波信号に基づいて判定部74が判定する構成としたので、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
以上のように、本発明に係るフェムトセル基地局の測定装置、試験システム及び試験方法は、個々の住宅等を訪問することなく動作不調のフェムトセル基地局を効率的に特定し、不調な機能、性能を調査することができるという効果を有し、フェムトセル基地局の測定装置等として有用である。
【符号の説明】
【0114】
1、5a〜5g ユーザ宅
3 ケーブル
10 ネットワーク制御装置(動作制御信号送信手段)
20、60、70 試験制御装置
21 試験制御部(試験制御信号送信手段)
22、63、72 条件設定部
23、64、74 判定部(動作判定手段)
30、30a〜30c 測定装置
31 アンテナ
31a 被測定信号アンテナ
31b GPSアンテナ
31c 通信アンテナ
32 受信部(電波信号受信手段)
33 測定部(測定手段)
34 制御部
35 データメモリ
36 GPS受信部
37 セルラ通信部
38 光ファイバインタフェース
39 xDSLインタフェース
41〜43 フェムトセル基地局
44 加入者系ネットワーク
45 コアネットワーク
45a ユーザトラフィック用ネットワーク
45b 制御用ネットワーク
46 マクロセル基地局
50 携帯型測定装置(測定装置)
61、71 試験制御部
62 命令受信部
73 制御監視部
100、200、300、400 フェムトセル試験システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の測定装置(30)であって、
前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、
前記フェムトセル基地局が前記制御信号に応じた動作を行ったか否かを判定するための測定データを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて取得する測定手段(33)と、を備えたことを特徴とするフェムトセル基地局の測定装置。
【請求項2】
移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の試験システム(100)であって、
前記フェムトセル基地局の動作を試験する試験制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する試験制御信号送信手段(21)と、
前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、
前記フェムトセル基地局が前記試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定する動作判定手段(23)と、を備えたことを特徴とするフェムトセル基地局の試験システム。
【請求項3】
移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に基づいて移動体通信端末との通信を実行するフェムトセル基地局(41)の試験システム(300、400)であって、
前記移動体通信端末との通信を前記フェムトセル基地局に実行させるため前記フェムトセル基地局の動作を制御する動作制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する動作制御信号送信手段(10)と、
前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信手段(32)と、
前記フェムトセル基地局が前記動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信手段が受信した電波信号に基づいて判定する動作判定手段(64、74)と、を備えたことを特徴とするフェムトセル基地局の試験システム。
【請求項4】
移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に応じて動作するフェムトセル基地局(41)の試験システム(100)における試験方法であって、
前記フェムトセル基地局の動作を試験する試験制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する試験制御信号送信ステップ(S34〜S39)と、
前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信ステップ(S34〜S39)と、
前記フェムトセル基地局が前記試験制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定する動作判定ステップ(S44、S45)と、を含むことを特徴とするフェムトセル基地局の試験方法。
【請求項5】
移動体通信事業者のネットワーク(44)にケーブル(2)を介して接続され、前記ネットワークから受信する制御信号に基づいて移動体通信端末との通信を実行するフェムトセル基地局(41)の試験システム(300、400)における試験方法であって、
前記移動体通信端末との通信を前記フェムトセル基地局に実行させるため前記フェムトセル基地局の動作を制御する動作制御信号を前記フェムトセル基地局に前記ネットワークを介して送信する動作制御信号送信ステップ(S53、S62)と、
前記フェムトセル基地局が送信する電波信号を受信する電波信号受信ステップ(S54)と、
前記フェムトセル基地局が前記動作制御信号に応じた動作を行ったか否かを前記電波信号受信ステップにおいて受信した電波信号に基づいて判定する動作判定ステップ(S56)と、を含むことを特徴とするフェムトセル基地局の試験方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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