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フェライト微粒子の製造方法、フェライト微粒子、及びフェライト微粒子の製造装置
説明

フェライト微粒子の製造方法、フェライト微粒子、及びフェライト微粒子の製造装置

【課題】粒径が30nmから数100nmのフェライト微粒子を連続式で合成することのできる合成方法を開発する。
【解決手段】一方から2価鉄イオンを含有する反応液を送出して輸送し、他方からで酸化剤液を送出して輸送し、送出された前記反応液と前記酸化剤液とを合流させ、合流した前記反応液と前記酸化剤液とを、流れ反応器中に流しながら反応させて粒径が30nmから数100nmで結晶性の良好なフェライト微粒子を合成する。またフェライト微粒子の合成とフェライト微粒子の表面修飾とを一つにまとめた形で、表面修飾されたフェライト微粒子の製造することができるようになった。こうして粒径が30nmから数100nmの範囲の粒径を有し粒径の揃ったフェライト微粒子の表面を修飾して液に分散することにより、粒子サイズが大きく磁化が大きくしかも分散安定性に優れ、これまで実現することのできなかった分散液が製造できるようになった。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェライト微粒子の製造方法、フェライト微粒子、およびフェライト微粒子の製造装置に関し、特に管状の流れ反応器中の流れの中で反応を行ってフェライト微粒子を製造するフェライト微粒子の製造方法、この方法を用いることによって製造することができるフェライト微粒子、及び管状の流れ反応器中の流れの中で反応を行ってフェライト微粒子を製造するフェライト微粒子の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フェライト微粒子はさまざまな分野で利用されており、特にバイオテクノロジーや医療の分野において、バイオスクリーニングへの応用、磁気共鳴診断での造影剤としての応用、さらには磁気ハイパーサーミア治療への応用についての研究が進むなど、この分野でのフェライト微粒子の応用展開が盛んになっている。
【0003】
このようなナノメータサイズのフェライト微粒子の合成には、水溶液中で微粒子を合成する、いわゆる湿式法が多く用いられてきた。特に、バイオテクノロジーや医療の分野におけるDNAやたんぱく質などの生化学物質の操作に用いるには、フェライト微粒子が水溶液中で分散していることが求められており、そのようなフェライト微粒子を得るために、水溶液中でのフェライト微粒子合成方法について、さまざまな開発がなされてきた。
【0004】
水溶液中でフェライト微粒子を合成する一般的な方法として、共沈法と呼ばれる方法がある。これは2価鉄イオンと3価鉄イオンを1:2のモル比で含む水溶液にアルカリ液を加えるか、あるいはアルカリ液に2価鉄イオンと3価鉄イオンを含む水溶液を加えて沈殿を生じさせることにより、フェライト粒子を生成する方法である。
【0005】
共沈法よりも結晶性が良好で磁気特性の良好なフェライト微粒子を合成する方法として、2価鉄イオンを含む水溶液をpH7〜9の範囲に保ち、温度を40℃以下に保ちながら、水溶液中に酸化剤を溶かし込み、酸化させることにより、フェライト微粒子を合成する方法が、本発明者らによって開発されている(特許文献1)。この方法を用いると、粒径が数nmから数10nmのサイズのフェライト微粒子が合成できる。
【0006】
さらに、脱酸素処理されたアルカリ水溶液に、二価鉄イオンを含む水溶液と酸化剤液とを添加し、温度を40℃以下に保ちながら反応させることにより、フェライト微粒子を合成する方法についても本発明者らによって開発されている開発されている(特許文献2)。この方法を用いることにより、粒径が20nmから150nmの結晶性のよいフェライト微粒子が合成できるようになった。
【0007】
これらの分野でのフェライト微粒子応用においては、粒径を例えば数10nmから数100nmの範囲の特定の大きさに制御し、粒径をよく揃えることや、フェライト微粒子を単分散の状態にすることによってその物性の精細制御したものを、多量に製造し、供給できるようにすることが今後の重要な課題となる。
【0008】
これらの文献に示されたフェライト微粒子の合成方法は、試験管、フラスコ、ビーカー、あるいは耐熱容器などをバッチ反応器として、一定量をひとまとめにして反応させる、いわゆるバッチ生産の方法である。
【0009】
しかしながら,これらバッチ生産の方法では、特性のよく制御されたものの少量生産に用いられるものの、合成されるフェライト微粒子の特性のバッチ間の変動を生じ易いことが知られている。そこで同じ特性を有するフェライト微粒子を多量に得るために、容量の大きなバッチ反応器を用い、一つのバッチで多量の合成を行おうとすると、バッチ反応器内の温度分布や反応する液の濃度の分布が大きくなって、一つのバッチで合成されるフェライト微粒子の特性分布が広がり易くなることから、十分な時間をかけて反応する液の温度や濃度を均一化することが必要となる。このため、特定の特性のものを継続的に多量に生産するには、より適切な製造方法が望まれる。
【0010】
こうしたバッチ生産による物質の合成方法に対し、連続的に物質を合成する方法がある。特許文献3には、管状の流れ反応器に二種類の流体を流し、互いに混合させて液体の流れの中で反応させることによって沈殿物を生じさせ、連続的に微粒子を合成する方法が開示されており、その具体例として、シュウ酸銅や硫化亜鉛などの合成例が示されている。
【0011】
流れの中での反応を用いて微粒子を連続的に合成する方法のフェライト微粒子の合成への適用例は非特許文献1に示されている。非特許文献1には、2価鉄イオンと3価鉄イオンの混合水溶液と、水酸化ナトリウム溶液とを、管状の流れ反応器に流して合流させ、アルカリによる沈澱を発生させることにより、粒径が数nmのフェライト微粒子を得る方法が示されている。
【0012】
しかしながら、このフェライト微粒子の合成方法では、合成されるフェライト微粒子として数nmの粒径のものが得られるに過ぎない。この方法では粒径が数10nmから数100nmのフェライト微粒子を合成することができなかった。
【0013】
また、フェライト微粒子の表面を使用目的に適した表面に修飾する表面修飾を行う方法についても同様であって、多量のフェライト微粒子に対し均一な表面修飾を連続的に行うことのできる新しい表面修飾方法が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開2002−128523号公報
【特許文献2】特開2006−219353号公報
【特許文献3】WO 98/02237
【非特許文献1】G.Salazar-Alvarez et al.(2006) Chem. Eng. Sci., 61, 4625-4633
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、これらの問題点を解決し、平均粒径が数10nm以上であり、粒径分布がきわめて小さく分散性の良好なフェライト微粒子を、連続的な製造方法により、多量に製造することのできるフェライト微粒子の製造方法を提供し、こうして製造することのできるフェライト微粒子、およびこうしたフェライト微粒子を製造する製造装置を提供する。また、本発明は多量のフェライト微粒子に対し、使用目的に適するように表面の修飾を均一に行うことのできる表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法を提供するとともに、これら多段プロセスの組み合わせを可能にし、フェライト微粒子の合成と合成したフェライト微粒子の表面修飾とを、一つにまとめた表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法を提供し、こうして製造できる表面修飾されたフェライト微粒子、およびこうした表面修飾されたフェライト微粒子を製造する製造装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明のフェライト微粒子の製造方法は、一方から2価鉄イオンを含有する反応液を送出して輸送し、他方から酸化剤液を送出して輸送し、送出され輸送されたこれら反応液と酸化剤液とを合流させ、合流した前記反応液と前記酸化剤液とを、管状に形成された流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させてフェライト微粒子を合成することを特徴とする。
【0017】
また、本発明のフェライト微粒子は、一方から2価鉄イオンを含有する反応液を送出し、他方から酸化剤液を送出し、送出された反応液と酸化剤液とを合流させ、合流した反応液と酸化剤液とを、管状の流れ反応器中に流しながら反応させてフェライト微粒子を合成することによって製造することができ、平均粒径Daが30nm以上300nm以下であり、粒径の標準偏差σと平均粒径Daとの比として定義される変動係数σ/Daが0.3以下であることを特徴とする。
【0018】
なお、本発明における平均粒径Daは粒径の個数平均値であって、透過型電子顕微鏡を用いてフェライト微粒子を撮像し、この撮像されたフェライト微粒子200個以上について、直径(粒子像が円形からずれている場合には、観察される最も長い径と最も短い径との算術平均値)を測定し、その算術平均値を算出したものである。
【0019】
また、本発明の表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法は、フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出して輸送し、他方から前記フェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送し、送出された前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記表面修飾物質を含有する液とを合流させ、合流したこれらフェライト微粒子を分散した分散液と前記有機物質を含有する液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器により反応させてフェライト微粒子を表面修飾することを特徴とする。
【0020】
また、本発明の表面修飾されたフェライト微粒子は、フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出して輸送し、他方からフェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送し、送出された前記フェライト微粒子を分散した分散液と表面修飾物質を含有する液とを合流させ、合流したフェライト微粒子を分散した分散液と表面修飾物質を含有する液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させてフェライト微粒子を表面修飾することによって製造でき、平均粒径Daが30nm以上300nm以下であり、粒径の標準偏差σと平均粒径Daとの比として定義される変動係数σ/Daが0.3以下であって、水中に分散し24時間静置した場合の分散液中のフェライト微粒子の含有量の変化が分散初期における含有量の6%以下であるであることを特徴とする。
【0021】
この表面修飾されたフェライト微粒子には、必要に応じ、例えばスチレンなどのポリマーで被覆し、さらにグリシジルメタクリレート(GMA)などのポリマーで被覆し、これに抗体やDNAなどの生体活性物質を固定して、バイオスクリーニングのための磁性粒子として用いることができる。また表面修飾されたフェライト微粒子に対し、シリカや金でさらに表面修飾をし、さらにさまざまな用途に用いることができる。
【0022】
また本発明のフェライト微粒子製造装置は、2価鉄イオンを含有する反応液を送出する反応液送出ポンプと、前記反応液を輸送する反応液輸送管と、酸化剤液を送出する酸化剤液送出ポンプと、前記酸化剤液を輸送する酸化剤液輸送管と、前記反応液と前記酸化剤液とを含有する液体とを合流させる合流部と、合流させた前記反応液と前記酸化剤液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器とを備えたことを特徴とする。
【0023】
さらに本発明の表面修飾されたフェライト微粒子製造装置は、2価鉄イオンを含有する反応液を送出する反応液送出ポンプと、反応液を輸送する反応液輸送管と、酸化剤液を送出する酸化剤液送出ポンプと、酸化剤液を輸送する酸化剤液輸送管と、反応液と前記酸化剤液とを合流させる合流部と、合流させた反応液と酸化剤液とを管状に形成した流路の流れの中でフェライト合成反応を行わせることによりフェライト微粒子を合成する流れ反応器と、この流れ反応器で合成されたフェライト微粒子を分散したフェライト微粒子分散液を輸送するフェライト分散液輸送管と、表面修飾物質含有液を送出する表面修飾物質含有液送出ポンプと、表面修飾物質含有液を輸送する表面修飾物質含有液輸送管と、フェライト分散液と前記表面修飾物質含有液とを合流させる合流部と、合流させたフェライト分散液と表面修飾物質含有液とを、管状に形成した流路の流れの中でフェライト粒子表面を表面修飾物質が修飾する反応を行わせる流れ反応器とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
本発明により、粒径が30nmから数100nmの範囲の粒径を有し、粒径がよく揃ったフェライト微粒子を連続的に製造することができるようになった。また、フェライト微粒子の表面修飾についても連続的行うことができるようになった。さらにフェライト微粒子の合成プロセスと、合成したフェライト微粒子の表面修飾プロセスとを一つにまとめた形で、表面修飾されたフェライト微粒子の製造をすることができるようになった。こうして製造される粒径が30nmから数100nmの範囲の粒径を有し粒径のよく揃ったフェライト微粒子を、表面修飾して液に分散することによって、粒子サイズが大きく磁化が大きく、しかも分散安定性に優れた分散液が製造できるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係るフェライト微粒子の製造方法の一実施形態を模式的に示した図である。
【図2】表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法の一実施形態を模式的に示した図である。
【図3】フェライト微粒子の合成の工程とフェライト微粒子の表面修飾の工程を一連の工程としてまとめたものである。
【図4】実施例1で得られたフェライト微粒子の透過型電子顕微鏡写真の一例である。
【図5】実施例3で作製した修飾を有するフェライト微粒子の分散液について、分散直後とこれを2日間静置後の状況を、修飾なしのフェライト微粒子の分散液と比較して示した写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
次に本発明の実施の形態について、図面を利用し、具体的に説明する。図1は本発明に係るフェライト微粒子の製造方法の一実施形態を模式的に示した図である。図1(a)において、反応液タンク101に収容された2価鉄イオンを含有する反応液102と、酸化剤液タンク103に収容された酸化剤液104とを、反応液の送出ポンプ105および酸化剤液の送出ポンプ106によってそれぞれ送出し、反応液輸送管107および酸化剤液輸送管108をそれぞれ経由させて合流部109にて合流させる。この合流させた液体を、管状に形成した流路を有し流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器110にて反応させる。なお、流れ反応器110はコイル状にすることにより、外形をコンパクトにしている。なお、自発的な沈殿物や夾雑物などを核として望まざる成長粒子が発生するのを防ぐために、反応液及び酸化剤液は、濾過をして夾雑物を除去したものを用いるか、輸送路に濾過器を設けて濾過したものを用いることが好ましい。
【0027】
図1では、この流れ反応器110を温度槽111に収容し、反応液と酸化剤液が反応に適した温度になるように温度設定ができるようにしている。このようにして、流れ反応器内でフェライト微粒子が合成され、分散液の形でフェライト微粒子分散液タンク112中にフェライト微粒子分散液113として貯えられる。ここで製造の対象となるフェライト微粒子は、(Fe,M)4+δなる組成式(δは0以上1/2以下の数)で表すことができ、ここにMとしてはV,Ti,Cr,Mn、Fe,Co,Ni,CuおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属を挙げることができる。その際には反応液として、製造するフェライト微粒子の組成に応じ、これら金属のイオンを含有させたものを用いる。
【0028】
こうしたフェライト微粒子の製造に用いる上記酸化剤液104としては、硝酸、亜硝酸、硝酸塩、および亜硝酸塩から選ばれる少なくともいずれか1種の水溶液を用いることができる。これらの酸化剤液を用い、水溶液中での濃度と供給量を調整することによって、酸化の程度をよく制御することができ、フェライト微粒子の合成を安定に行うことができる。
【0029】
上記の2価鉄イオンを含有する反応液102には、塩化第一鉄などの2価鉄イオンを含有する水溶液を用いることができる。この反応液には、フェライト微粒子の構成成分となる各種金属イオンを含有させることができる。この反応液に対し、酸化剤液を適量合流させ、本発明の流れ反応器を用いた合成方法により適切な反応時間にてフェライト微粒子を合成すると、その投入原料に対する収率としてほぼ100%を得ることができる。なお、上記の2価鉄イオンを含有する反応液102には、3価鉄イオンを含有させることができる。このフェライト微粒子の製造においては、反応液102が含有する2価鉄イオンを一部酸化させて3価鉄イオンにすることによってフェライト微粒子が形成される。その際に、あらかじめ2価鉄イオンの一部、例えば含有する2価鉄イオンの25%以下を3価鉄イオンにおき換えて含有させることにより、2価鉄イオンの一部を酸化するプロセスを軽減できる。
【0030】
また、このフェライト微粒子の製造方法においては、上記反応液102または上記酸化剤液104の少なくとも一方にアルカリ液を含有させ、pHの値が10を超えない範囲で高めの値にしておくことができる。アルカリ液は、2価鉄イオンが酸化されフェライト微粒子が生成される際に生じる水素イオンを中和し、フェライト微粒子の生成反応を進めるのに役立つ。
【0031】
本発明のフェライト微粒子の製造方法においては、フェライト微粒子合成の核となる微粒子の分散液を、流れ反応器110中の反応液と前記酸化剤液の合流液体中に含有させることができる。フェライト微粒子合成の核となる微粒子を分散させて流れ反応器110中の合流液体中に含有させることが好ましい。
【0032】
このようにフェライト微粒子合成の核となる微粒子を分散させて流れ反応器110中の合流液体中に含有させておくことによって、粒径が例えば30nm〜300nmと比較的大きく、しかも粒径の非常によく揃ったフェライト微粒子が合成できる。このような核を用いない場合は、自発的に核が生成するので、粒子成長にばらつきを生じるが、核が与えられた場合には、各々の粒子の粒成長を、ほぼ同時にほぼ同じ条件にて行わせることができるためと考えられる。
【0033】
フェライト微粒子合成の核となる微粒子は、上記反応液102または上記酸化剤液104の少なくとも一方に含有させておくことができる。また、例えば図1(b)に示したようにして、核微粒子分散液タンク114より、フェライト微粒子合成の核となる微粒子の分散液である核微粒子分散液115を送液ポンプ116で送出し、反応液102の流れに合流させることもできる。また図示を省略しているが、フェライト微粒子合成の核となる微粒子の分散液を送出し、酸化剤液104の流れに合流させることや、反応液と酸化剤液との合流点にて、この核となる微粒子の分散液を合流させることもできる。
【0034】
この際に自発的な沈殿物や夾雑物などを核として望まざる成長粒子が発生するのを防ぎ、核となるように含有させた微粒子だけがフェライト形成の核となるようにするために、反応液102及び酸化剤液104は、濾過をして自発的な沈殿物や夾雑物などを除去したものを用いるか、その輸送路に濾過器を設け、反応液、あるいは反応液と酸化剤液を、濾過器で濾過してから流れ反応器110中に送り込まれるようにすることが望ましい。
【0035】
この核となる微粒子には、平均粒径が3nm以上20nm未満のフェライト微粒子を用いることができる。また、この核となる微粒子には、平均粒径が5nm以上20nm未満のフェライト微粒子を用いることがより好ましい。核となる微粒子の平均粒径が5nmより小さいと、核使用の効果として必ずしも十分であるとはいえず、また20nmを超えると核粒子のサイズが目標とする粒径に近くなるため、粒子を成長させる余地がそれだけ少なくなる。
【0036】
また、流れ反応器110中に合流した反応液102と酸化剤液104には、糖類を含有させることができる。糖類を含有させることにより、合成されるフェライト微粒子の形状を球状にすることができる。ここで用いる糖類としては、サッカロース、セロビオース、マルトース、ラクトース、およびトレハロースなどの二糖類が特に好ましい。ここにフェライト微粒子が球状であるとは、粒子表面に存在する個々の結晶面の最大寸法dと、フェライトナノ粒子の直径Dとの比D/dが5以上であるとして定義することができる。また、フェライト微粒子の形状観察は通常、透過型電子顕微鏡像によってなされるので、フェライト微粒子の透過型電子顕微鏡像の輪郭の幾何学的な円からのずれの大きさΔr(フェライトナノ粒子の透過型電子顕微鏡像の輪郭を、半径rおよびrの二つの同心円ではさんだとき、この二つの同心円の半径の差:Δr=r−r)と平均半径r=(r+r)/2との比Δr/rの値が0.3以下として、本発明の球形フェライト微粒子を定義することもできる。
【0037】
本発明のフェライト微粒子の製造方法においては、図1の(a)および(b)に示したように、流れ反応器110を流れる液体の温度を、温度槽111を用いて制御することができる。こうすることにより、流れ反応器中を流れる液を反応に適した温度に保つことができる。
【0038】
また流れ反応器110を流れる液体の温度は、ウオーターバスまたはオイルバスを用いて制御することができる。流れ反応器110を流れる液体の温度設定は、30℃以上100℃未満にすることが好ましい。流れ反応器110を流れる液体の温度設定が30℃未満であると、フェライト微粒子合成の速度が遅くなり、合成に長時間を要するので実用的でない。流れ反応器110を流れる液体の温度の設定は、50℃以上にすることがより好ましい。また、流れ反応器110を流れる液の温度の設定を70℃以上にすることがさらに好ましい。他方、流れ反応器110を流れる液体温度が100℃以上になる場合には加圧構造が必要となることから、流れ反応器110を流れる液体の温度設定は100℃未満であることが製造装置を簡便化する観点からみて好ましい。
【0039】
本発明のフェライト微粒子の製造方法においては、反応液の送出および酸化剤液の送出に、送出ポンプ105および106を用いることができる。送出ポンプ105および106として送液量を定量できるものを用いることにより、例えば反応液102と酸化剤液104の送液量を制御し、これらの反応のための流れ反応器110中の滞在時間を精密に制御することができ、また、反応が適切に行われるように、これらの液の比率を細かく制御することができる。
【0040】
また、送出される反応液102および酸化剤液104の輸送、合流、並びに反応には、一体化された管を用いることが望ましい。このようにすることにより、管の内壁面の接続部に固形物が固着して流れを妨げるのを防止できる。
【0041】
本発明のフェライト微粒子の製造方法において、流れ反応器110には内径が0.1mm以上10mm以下のものを用いることが好ましい。流れ反応器110の内径がこれより小さいと流量が低下し生産性が低下するとともに、管の内壁面に固形物が固着し流れを妨げるようになり、流れ反応器として使用することが難しくなる。このため、流れ反応器の内径は0.5mm以上であるものがさらに好ましい。また、管状の流れ反応器110の内径が10mmより大きいと、均一な反応を行わせて均一性の高いフェライト微粒子を得るという本発明の作用効果が小さくなる。このため、流れ反応器110の内径は5mm以下であることがさらに好ましい。
【0042】
本発明のフェライト微粒子の製造方法においては、流れ反応器110の長さが1m以上100m以下のものを用いることが好ましい。流れ反応器の長さが1mより短いと、たとえ送出ポンプ105および106の送液量を小さくしても、流れ反応器中での反応が十分でなくなり、またフェライト微粒子合成の生産性も低下する。このため、流れ反応器110の長さを5m以上にし、十分な流れを確保しつつ反応時間が確保できるようにすることがさらに好ましい。また、流れ反応器110の長さが100mより長いと、流れ反応器110の保守管理が難しくなる。このため、流れ反応器110の長さは50m以下であることがより好ましい。
【0043】
本発明のフェライト微粒子の製造方法においては、このようにして流れ反応器110の長さを選択するとともに、送出ポンプ105および106の送液量を制御することにより、合流させた前記反応液102および酸化剤液104が合流し流れ反応器110中に滞在し反応する時間が30分以上6時間以内となるようにすることが好ましい。合流させた液体が流れ反応器110中に滞在する時間が30分未満であると反応時間として必ずしも十分でない。他方、反応時間を十分にとるとしても、6時間を超えるようにしたのでは、フェライト微粒合成の生産性が低下することになるので好ましくない。
【0044】
本発明のフェライト微粒子の製造方法は、窒素などの不活性ガス雰囲気にて行うことが好ましい。図1(c)は、この目的でパイプを通じ反応液タンク101への不活性ガスの注入を模式的に示した図である。不活性ガスの注入は、酸化剤液タンク103に注入することもできる。こうすることにより、空気中の酸素による酸化などによる制御外の反応が防止できるので、フェライト微粒子の合成反応の適切な制御ができる。
【0045】
本発明のフェライト微粒子の製造方法における流れ反応器として、複数個の部分反応器を直列に接続し多段構成にしたものを用いることができる。こうすることにより、反応の各段階、例えば核発生段階と粒成長段階の各々に対し、それぞれに合った条件設定、例えば温度の設定や流速などの設定をすることができる。多段構成の発展的な例として、第1の流れ反応器でフェライト微粒子を合成し、続いて第2の流れ反応器でこのフェライト微粒子の表面修飾を行う場合を挙げることができる。
【0046】
このような本発明のフェライト微粒子の製造方法により、平均粒径が30nm以上300nm以下と比較的大きく、しかも粒径の非常によく揃ったフェライト微粒子が合成できる。
【0047】
次に、本発明の表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法は、フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出し輸送し、他方から前記フェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送し、送出された前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記表面修飾物質を含有する液とを合流させ、合流した前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記有機物質を含有する液とを、上述の構成の流れ反応器中に流しながら反応させてフェライト微粒子を表面修飾するものである。図2はこの表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法の一実施形態を模式的に示した図である。このような方法でフェライト微粒子の表面を修飾をすることにより、各粒子の表面を均一に修飾することができ、その結果、フェライト微粒子の分散安定性を著しく高めることができる。
【0048】
図2(a)において、フェライト微粒子分散液タンク201に収容されたフェライト微粒子分散液202を、フェライト微粒子分散液送出ポンプ205によって送出する。また表面修飾物質含有液タンク203に収容された表面修飾物質含有液204を表面修飾物質含有液送出ポンプ206によって送出する。これらの液はフェライト微粒子分散液輸送管207および表面修飾物質含有液輸送管208をそれぞれ経由させて合流部209にて合流させる。この合流させた液体を流れ反応器210にて反応させる。なお、流れ反応器210はコイル状にすることにより、コンパクトな外形にしている。また、この流れ反応器210を温度槽211に収容し、分散液のフェライト微粒子に表面修飾物質が反応しフェライト微粒子の表面修飾に適した温度になるように温度設定ができるようにしている。こうして流れ反応器内でフェライト微粒子が表面修飾物質で表面修飾され、表面修飾されたフェライト微粒子分散液タンク212中に、表面修飾されたフェライト微粒子分散液213の形で貯えられる。この工程についても窒素などの不活性ガス雰囲気にて行うことが、空気中の酸素による酸化などを防止する上で好ましい。図2(b)には、この目的でパイプを通じフェライト微粒子分散液タンク201への不活性ガスの注入を模式的に示した図である。不活性ガスの注入は、表面修飾物質含有液タンク203に注入することもできる。
【0049】
上記のフェライト微粒子分散液202には、本発明に係る製造方法によって合成されたフェライト微粒子を分散した分散液を用いることができる。また、上記した図1のフェライト微粒子の合成工程と図2のフェライト微粒子の表面修飾工程とは、一連の工程としてまとめることができる。図3はこれを一連の工程としたものの例を示したものである。なお、図3中の符号には、図1および図2の符号に用いた符号と共通の符号を用いている。
【0050】
本発明の表面修飾されたフェライト微粒子は、フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出して輸送し、他方からフェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送して合流させる。こうして合流したフェライト微粒子を分散した分散液と表面修飾物質を含有する液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させる。こうしてフェライト微粒子を表面修飾することにより、平均粒径Daが30nm以上300nm以下であっても、粒径の標準偏差σと平均粒径Daとの比として定義される変動係数σ/Daが0.3以下である場合に、分散安定性を著しく高くすることができる。例えば水中に分散し24時間静置しても、沈降する粒子の量が6%未満の分散安定性を得ることができる。
【0051】
こうして得られる表面修飾されたフェライト微粒子には、さらに各種モノマーやポリマーで被覆したり、シリカで修飾したり、あるいは金などを固定し、それぞれの用途に用いることができる。
【0052】
(実施例1)
図1(a)に示した構成の装置を用い、フェライト微粒子を合成した。送出ポンプ105により、塩化第一鉄の四水和物3g、5Mの水酸化ナトリウム4ml、サッカロース34.25gを含有し、さらに種粒子として平均粒径が8nmのフェライト微粒子を分散させた反応液100mlを、反応液輸送管107を通じて送液した。また、送出ポンプ106により、硝酸ナトリウム3.4gを純水に含有させた酸化液100mlを酸化剤液輸送管108を通じ送液した。これらの液を合流部109にて合流させ、内径3mmで長さ20mの管をコイル状に巻いた流れ反応器110内を3時間で各100mlの全量が流れ尽きるように定速にて送液し反応させてフェライト微粒子を合成した。このときの流れ反応器110は温度槽111に収容し90℃に保つことにより、流れ反応器110内を合流させてゆっくり流し反応させる液の温度を90℃に設定した。なお、反応液輸送管107、酸化剤液輸送管108、合流部109、流れ反応器110の管の材質をすべてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)で構成した。
【0053】
こうしてフェライト微粒子が合成された。合成されたフェライト微粒子についてX線回折の結果、スピネル型の結晶構造を示す回折線が確認された。また合成されたフェライト微粒子は強い磁性を示すことが確認された。さらに得られたフェライト微粒子の透過型電子顕微鏡(TEM)観察を行った。図4はそのTEM写真の一例である。このようなTEM写真を用い、フェライト微粒子500個について粒径を測定し、それらを算術平均して平均粒径Daを求め、156nmを得た。また粒径分布の標準偏差σは9nmであり、粒径の変動係数σ/Daは0.103であった。
【0054】
次にこのフェライト微粒子合成条件の小変更を行って、平均粒径の異なるフェライト微粒子を合成した。その結果は次の通りであった。
a) Da= 52nm、 σ= 9nm、 σ/Da=0.173
b) Da= 78nm、 σ=11nm、 σ/Da=0.141
c) Da= 96nm、 σ=11nm、 σ/Da=0.115
d) Da=108nm、 σ=16nm、 σ/Da=0.148これらの結果から、平均粒径がよく制御でき、粒径をよく揃えることができ、粒径の変動係数σ/Daの値が0.3以下であるのみならず、0.2以下の値が得られること、そして球形に近い粒子形状が得られることが確認された。これらの粒径がよく揃い、しかも球形に近い粒子形状を有するフェライト微粒子は、粒子表面を修飾し液に分散することによって、粒子サイズが大きく磁化が大きいにもかかわらず分散安定性の優れた分散液を得ることができる。
【0055】
(実施例2)
図2に示した構成の装置を用い、フェライト微粒子分散液202として、特許文献2に記載された方法に従ってバッチ反応法で合成されたフェライト粒子が純水に分散した分散液200mlを、フェライト微粒子分散液送出ポンプ205からフェライト微粒子分散液輸送管207を経由して送液した。また表面修飾物質含有液204として、クエン酸5gを含有する200mlの水溶液を、表面修飾物質含有液送出ポンプ206から表面修飾物質含有液輸送管208を経由して送液した。これらを合流部209にて合流させ、流れ反応器210内でフェライト微粒子をクエン酸で表面修飾することにより、クエン酸で表面修飾されたフェライト微粒子を得た。流れ反応器210は、内径3mmで長さ20mの管をコイル状に巻いた構成である。この流れ反応器110内を、1時間で各200mlの全量が流れ尽きるように定速にて送液し反応させた。このときの流れ反応器110は温度槽111に収容して90℃に保つことにより、流れ反応器110内を合流して流れながら反応する液の温度を90℃に設定した。
【0056】
こうして処理したフェライト微粒子の電気伝導度を測定した結果、クエン酸のカルボキシル基の存在が確認され、フェライト微粒子の表面がクエン酸で修飾されていることが確認された。
【0057】
また、この表面修飾されたフェライト微粒子は、粒子サイズが比較的大きく磁化が大きいにもかかわらず、分散安定性が優れており、この分散液を48時間静置しても沈降しないことがわかった。このようして得られるようになった粒子サイズが大きく磁化が大きく、しかも分散安定性の優れたフェライト微粒子の分散液は、多くの分野において望まれていたものの、これまで実現することができなかったものである。
【0058】
(実施例3)
図3(a)に示した構成の装置を用い、フェライト微粒子の合成と、このフェライト微粒子の表面修飾とを一貫して行った。
【0059】
まず実施例1の場合と同様にしてフェライト微粒子の合成を行った。即ち、塩化第一鉄の四水和物3g、5Mの水酸化ナトリウム4ml、サッカロース34.25gを含有し、さらに種粒子として平均粒径が8nmのフェライト微粒子を分散させた反応液100mlを送液した。また硝酸ナトリウム3.4gを純水に含有させた酸化液100mlを、送出ポンプ105から反応液輸送管107、および送出ポンプ106から酸化剤液輸送管108を通じて送液した。これらを合流部109にて合流させ、内径3mmで長さ20mの管をコイル状に巻いた流れ反応器110内を3時間で各100mlの全量が流れ尽きるように定速にて送液して反応させ、フェライト微粒子の分散液にした。なお、このときの流れ反応器110は、実施例1の場合と同様に、温度槽111に収容して90℃に保ち、流れ反応器110内を合流して流れながら反応する液の温度を90℃に設定した。
【0060】
次にこのフェライト微粒子の分散液と、表面修飾物質含有液204としてクエン酸5gを含有する水溶液とを、フェライト微粒子分散液送出ポンプ205からフェライト微粒子分散液輸送管207を経由し、また表面修飾物質含有液送出ポンプ206から表面修飾物質含有液輸送管208を経由し、それぞれ同じ送液量ずつ送液し、合流部209にて合流させ、流れ反応器210内にて流れの中で反応させた。こうしてクエン酸で表面修飾されたフェライト微粒子を得た。ここに流れ反応器210は、内径3mmで長さ20mの管をコイル状に巻いた構成であって、この流れ反応器210内で合流した液が1時間に400mlの割合で流れるように一定の送液速度にて送液し反応させた。このときの流れ反応器210は温度槽211に収容し、流れ反応器210内を合流して流れながら反応する液の温度を90℃に設定した。
【0061】
こうして処理したフェライト微粒子の電気伝導度を測定した結果、クエン酸のカルボキシル基の存在が確認され、このことからフェライト微粒子の表面がクエン酸で修飾されていることがわかった。このようにして、フェライト微粒子の合成と、このフェライト微粒子の表面修飾とを一貫して行うことができた。
【0062】
(実施例4)
このようにして表面修飾されたフェライト微粒子の分散安定性の評価を行った。まず、実施例2に記載した方法により、フェライト微粒子のクエン酸による表面処理を行った。分散安定性の評価は、この表面修飾粒子を水中に分散して分散液とした後、この分散液を24時間静置した後の分散液中のフェライト微粒子の沈降量を測定し、分散の当初に水中に分散したフェライト微粒子の量によってこの沈降量を除して得た沈降率を算出した。この沈降率が小さいほど、沈澱せずに分散しているフェライト微粒子が多い。そこでこの沈降率を分散の安定性を評価するための一つのパラメータとして用いた。
【0063】
分散液中のフェライト微粒子の濃度が9.41mg/ml、2.84mg/ml、1.62mg/ml、1.01mg/ml、および0.68mg/mlの5つのフェライト微粒子分散液を作製し、これを24時間静置し、それぞれの沈降量を測定した。この測定結果から、分散の当初に液中に分散していたフェライト微粒子に対するこの沈降量の割合を沈降率として算出した。さらにこの算出値から、分散の当初に液中に分散していたフェライト微粒子に対する24時間静置後に分散液中に分散しているフェライト微粒子の含有割合を、24時間静置後の分散液中フェライト微粒子含有率(%)として算出した。表1にその結果を示す。この実施例との比較のために、表1の左端の欄には、クエン酸修飾を行っていないフェライト微粒子を分散した分散液を同様に24時間静置した場合の結果を比較のために示した。
【表1】

【0064】
この表から、上記の方法でクエン酸修飾されたフェライト微粒子を分散した分散液において、特にフェライト微粒子の濃度が0.68〜1.62mg/mlの場合には、24時間静置後の沈降率が小さく、24時間静置しても分散液中フェライト微粒子含有率の低下が少なく、従って分散液中に分散して存在するフェライト微粒子の含有量の変化が小さく、その変化の程度はいずれの場合も、分散初期におけるフェライト微粒子の含有量に対し6%以下であることがわかった。
【0065】
図5は、クエン酸修飾された上記の各フェライト微粒子の分散液について、分散の直後(a)と、これを2日間静置した後(b)の状況とを、修飾なしのフェライト微粒子の分散液の場合と対比して示した写真である。クエン酸で修飾されたフェライト微粒子を分散した分散液は、フェライト微粒子の濃度が過度に大きくない場合には、24時間静置後でも分散液中のフェライト微粒子の含有量の変化が小さく、分散の安定性が高いことがわかった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明により、粒径が30nmから数100nmの範囲の粒径を有し、粒径がよく揃ったフェライト微粒子を連続的に製造することができるようになった。こうして製造される粒径が30nmから数100nmの範囲の粒径を有し粒径のよく揃ったフェライト微粒子の粒子表面を修飾し液に分散することによって、粒子サイズが大きく磁化が大きいにもかかわらず、分散安定性の優れた分散液を得ることができるようになった。こうして得られるようになった粒子サイズが大きく磁化の大きいフェライト微粒子の分散液は、多くの分野において望まれていたものの実現できなかったものであって、その産業上の利用可能性は大きい。
【符号の説明】
【0067】
101…反応液タンク、102…反応液、103…酸化剤液タンク、104…酸化剤液、105…送出ポンプ、106…送出ポンプ、107…反応液輸送管、108…酸化剤液輸送管、109…合流部、110…流れ反応器、111…温度槽、112…フェライト微粒子分散液タンク、113…フェライト微粒子分散液、114…核微粒子分散液タンク、115…核微粒子分散液、116…送液ポンプ、201…フェライト微粒子分散液タンク、202…フェライト微粒子分散液、203…表面修飾物質含有液タンク、204…表面修飾物質含有液、205…フェライト微粒子分散液送出ポンプ、206…表面修飾物質含有液送出ポンプ、207…フェライト微粒子分散液輸送管、208…表面修飾物質含有液輸送管、209…合流部、210…流れ反応器、211…温度槽、212…表面修飾されたフェライト微粒子分散液タンク、213…表面修飾されたフェライト微粒子分散液。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出して輸送し、他方から前記フェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送し、送出された前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記表面修飾物質を含有する液とを合流させ、
合流した前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記有機物質を含有する液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させてフェライト微粒子を表面修飾することを特徴とする表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法。
【請求項2】
前記フェライト微粒子として、一方から2価鉄イオンを含有する反応液を送出して輸送し、他方から酸化剤液を送出して輸送し、送出された前記反応液と前記酸化剤液とを合流させ、合流した前記反応液と前記酸化剤液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させて合成したフェライト微粒子を用いることを特徴とする請求項1記載の表面修飾されたフェライト微粒子の製造方法。
【請求項3】
一方から2価鉄イオンを含有する反応液を送出し、他方から酸化剤液を送出し、送出された前記反応液と前記酸化剤液とを合流させ、合流した前記反応液と前記酸化剤液とを、管状の流れ反応器中に流しながら反応させてフェライト微粒子を合成することによって製造することができ、
平均粒径Daが30nm以上300nm以下であり、
粒径の標準偏差σと平均粒径Daとの比として定義される変動係数σ/Daが0.3以下であることを特徴とするフェライト微粒子。
【請求項4】
フェライト微粒子を分散した分散液を一方から送出して輸送し、他方からフェライト微粒子を表面修飾する表面修飾物質を含有する液を送出して輸送し、送出された前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記表面修飾物質を含有する液とを合流させ、合流した前記フェライト微粒子を分散した分散液と前記表面修飾物質を含有する液とを、管状に形成した流路を有しこの流路における流れの中で反応を行わせる流れ反応器によって反応させて表面修飾することによって製造でき、
平均粒径Daが30nm以上300nm以下であり、
粒径の標準偏差σと平均粒径Daとの比として定義される変動係数σ/Daが0.3以下であって、水中に分散し24時間静置した場合の分散液中のフェライト微粒子の含有量の変化が分散初期における含有量の6%以下であることを特徴とする表面修飾されたフェライト微粒子。
【請求項5】
請求項4に記載の表面修飾されたフェライト微粒子に対し、さらにモノマー、ポリマー、シリカおよび金から選ばれる少なくとも一種でさらに表面修飾をしてなることを特徴とする表面修飾されたフェライト微粒子。
【請求項6】
2価鉄イオンを含有する反応液を送出する反応液送出ポンプと、前記反応液を輸送する反応液輸送管と、
酸化剤液を送出する酸化剤液送出ポンプと、
前記酸化剤液を輸送する酸化剤液輸送管と、
前記反応液と前記酸化剤液とを合流させる合流部と、
合流させた前記反応液と前記酸化剤液とを管状に形成した流路の流れの中で反応を行わせることによりフェライト微粒子を合成する流れ反応器とを備えたことを特徴とするフェライト微粒子製造装置。
【請求項7】
2価鉄イオンを含有する反応液を送出する反応液送出ポンプと、前記反応液を輸送する反応液輸送管と、
酸化剤液を送出する酸化剤液送出ポンプと、
前記酸化剤液を輸送する酸化剤液輸送管と、
前記反応液と前記酸化剤液とを合流させる合流部と、
合流させた前記反応液と前記酸化剤液とを管状に形成した流路の流れの中でフェライト合成反応を行わせることによりフェライト微粒子を合成する流れ反応器と
前記流れ反応器で合成された前記フェライト微粒子を分散したフェライト微粒子分散液を輸送するフェライト分散液輸送管と、
表面修飾物質含有液を送出する表面修飾物質含有液送出ポンプと、
前記表面修飾物質含有液を輸送する表面修飾物質含有液輸送管と、
前記フェライト分散液と前記表面修飾物質含有液とを合流させる合流部と、
合流させた前記フェライト分散液と前記表面修飾物質含有液とを、管状に形成した流路の流れの中でフェライト粒子表面を表面修飾物質が修飾する反応を行わせる流れ反応器とを備えたことを特徴とする表面修飾されたフェライト微粒子製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−232893(P2012−232893A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145120(P2012−145120)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2007−224744(P2007−224744)の分割
【原出願日】平成19年8月30日(2007.8.30)
【出願人】(304021417)国立大学法人東京工業大学 (1,821)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】