説明

フェルール供給装置

【課題】屑や塵等の発生を抑制しながら、フェルールを1つずつ安定的且つ確実に一定の時間間隔で次工程に送り出すこと。
【解決手段】複数のフェルールFが内部に収容される収容体2と、収容体の中心軸線Oを中心として回転する回転板3と、該回転板の外周縁部に形成され、フェルールの1つが収納され、回転板の回転に伴って周方向に移動させる収納凹部35と、収容体の周壁部11に形成されたエア吹出口60を通じて、収容体の内部にエアAを吹き出すエア吹付部材4と、回転板の回転により移動されてきた収納凹部内のフェルールを収容体の外部に排出させる排出口50と、を備え、収容体は水平面に対して傾斜し、排出口が収容体の最下点位置よりも上方に位置するように配設され、エア吹出口が排出口よりも回転板の回転方向上流側に形成され、且つ収納凹部に対して回転板の径方向に向かい合う高さ位置に形成されているフェルール供給装置1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェルールを次工程に送り出すフェルール供給装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から光ファイバの芯線の端面を正確に位置合わせしながら、光ファイバ同士を接続するための部材として、フェルールが用いられている。このフェルールは、その中心軸線に沿って貫通孔が形成された円筒状部材であり、光ファイバの芯線を貫通孔内に挿通させた状態で例えば光コネクタ部品に装着される。従って、芯線の端面を正確に位置合わせしながら光ファイバ同士を接続するためには、フェルールの真円度や、フェルールの外径に対する内径の同軸度(同芯度)等の精度が高いレベルで要求されている。
【0003】
そのため、一般的にはフェルールを製造した後、これらフェルール1つずつについて、外形寸法測定や同軸度測定等を行って、製品としての良否判断や仕上がり精度毎にレベル分けする等の対策が取られる場合が多い。この場合、上記測定をフェルールの1つずつに対して行うために、大量に生産されたフェルールを1つずつ測定装置等に供給することが必要とされてくる。
【0004】
この点、従来では、複数の凹部が例えば予めアレイ状に配列された配列トレーを用い、振動を利用した振込み方式等によりフェルールを1つずつ凹部内に詰め込んで保持させ、その後、配列トレーごと測定装置等に供給するといった方法が知られている。
しかしながらこの方法では、振込み方式等によってフェルールを配列トレーの凹部内に詰め込むことが必要であるため、手間がかかり作業効率が悪かった。また、配列トレーがフェルールとの接触によって摩耗し易かった。
【0005】
そこで、パーツフィーダの1つであるボールフィーダを利用して、フェルールを次工程(測定装置等による測定工程)に供給する方法が考えられている。この場合、複数のフェルールが一塊にまとまって次工程に供給されるのではなく、1つずつ確実に供給されることが必要とされてくる。そこで、例えば特許文献1に記載の装置を利用することで、エアの吹き出しによって余計なフェルールを排除することができるので、フェルールを次工程に1つずつ供給させることが可能とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−89938号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に記載の装置では、トラックの側壁部から単にエアを吹き付ける構成であるので、トラック上をワークが密集して搬送されてきた場合には狙ったワークだけにエアを確実に吹き付けることが難しい。そのため、該装置をフェルールの供給に適用した場合には、フェルールがまとまってエアによって吹き飛ばされてしまうおそれがあった。従って、フェルールを1つずつ安定的に次工程に供給することができないおそれがあった。
また、振動を利用してフェルールを搬送させるため、該振動によってフェルール同士が擦れたり、フェルールと他部品との間で擦れが生じたりして屑や塵等が発生し易かった。
【0008】
本発明は、このような事情に考慮してなされたもので、その目的は、屑や塵等の発生を抑制しながら、フェルールを1つずつ安定的且つ確実に一定の時間間隔で次工程に送り出すことができるフェルール供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の手段を提供する。
(1)本発明に係るフェルール供給装置は、複数のフェルールが内部に収容される有底筒状の収容体と、該収容体内に、該収容体の中心軸線を中心として回転可能に配設された回転板と、該回転板の外周縁部に形成され、複数の前記フェルールのうちの1つを入り込ませて収納し、該収納したフェルールを回転板の回転に伴って周方向に移動させる収納凹部と、前記収容体の周壁部に形成されたエア吹出口を通じて、該収容体の内部にエアを吹き出すエア吹付部材と、前記収容体に形成され、前記回転板の回転により移動されてきた前記収納凹部内の前記フェルールを該収容体の外部に排出させる排出口と、を備え、前記収容体が、その底壁部が水平面に対して傾斜し、前記排出口が該収容体の最下点位置よりも上方に位置するように配設され、前記エア吹出口が、前記排出口よりも前記回転板の回転方向上流側に形成され、且つ前記収納凹部に対して前記回転板の径方向に向かい合う高さ位置に形成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明に係るフェルール供給装置によれば、収容体及び回転板が水平面に対して傾斜しているので、内部に収容された複数のフェルールを収容体の最下点側に重力を利用して片寄らせることができる。この際、複数のフェルールの1つを回転板に形成された収納凹部内に入り込ませて収納しておくことができる。そのため、回転板を回転させることで、該回転に伴って収納凹部内に収納されたフェルールを周方向に移動させることができ、該フェルールを複数のフェルールの塊の中から1つだけ取り出した状態で上方に向けて移動させることができる。
この際、残りのフェルールが回転板の回転に連られて上方に移動しようとするが、回転板が傾斜しているので、重力を利用して該回転板の上面に沿って滑り落とすことができる。よって、余計なフェルールまでもが上方に移動してしまうことを防止できる。従って、収納凹部に収納されたフェルールだけを排出口まで移動させ、該排出口から外部に送り出すことができる。
【0011】
特に、収容体の周壁部のうち排出口よりも回転方向上流側に位置する部分にはエア吹出口が形成され、該エア吹出口を通じてエア吹付部材がエアを吹き出している。そのため、上記した残りのフェルールが重力によって滑り落ちず、例えば収納凹部に引っ掛かることで上方に連られて移動したり、収納凹部に収納されたフェルールに対する引っ掛かり又は重なり等によって上方に連られて移動したりした場合であっても、これら余計なフェルールをエアによって吹き飛ばして除去することができる。
【0012】
その一方、収納凹部内に収納されたフェルールについては、エア吹出口が収納凹部に対して径方向に向かい合う高さ位置に形成されているので、エアが吹き付けられたとしても収納凹部の壁部でフェルールを受け止めることができ、収納凹部内に留まらせることができる。
従って、収納凹部内に収納されたフェルールだけを1つずつ安定的且つ確実に一定の時間間隔で排出口に移動させることができ、該排出口から外部に送り出して次工程に供給することができる。また、回転板の回転を利用してフェルールを排出口まで移動させるので、振動方式に比べて屑や塵等が発生し難い。従って、この点においてもフェルールを安定して次工程に供給し易い。
【0013】
(2)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記収納凹部が、前記回転板の周方向に一定の間隔を開けて複数形成されていることが好ましい。
【0014】
この場合には、フェルールをより効率良く一定の時間間隔で次工程に供給することができる。
【0015】
(3)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記回転板が、径方向の外側に向かうにしたがって厚みが漸次薄くなるように、その上面が傾斜した断面テーパ状に形成されていることが好ましい。
【0016】
この場合には、回転板が断面テーパ状に形成されて、その上面が傾斜しているので、重力を利用して余計なフェルールをより効率良く滑り落として除去することができる。
【0017】
(4)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記エア吹付部材が、前記エア吹出口内にて前記エアの吹き出し高さを変更可能とされていることが好ましい。
【0018】
この場合には、エアの吹き出し高さを適宜変更することが可能であるので、直径の異なる複数種類のフェルールを用いたとしても、フェルールに応じてエアの吹き出し高さを最適な位置に設定できる。そのため、収納凹部内に収納されたフェルールについては該収納凹部内に確実に留まらせることができ、その一方、余計なフェルールについては確実に吹き飛ばすことができる。従って、複数種類のフェルールに対応することができ、利便性を向上できる。
【0019】
(5)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記回転板の上面には、前記収納凹部内への前記フェルールの入り込みを案内する案内傾斜面が該収納凹部に連設して形成されていることが好ましい。
【0020】
この場合には、案内傾斜面を利用してフェルールを収納凹部内に案内でき、自然且つ滑らかにフェルールを収納凹部内に入り込ませることができる。従って、例えば収容体の内部に収容されているフェルールの数が少なくなった場合であっても、収納凹部内に積極的にフェルールを誘導でき、未収納となることを防止し易い。
【0021】
(6)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記収容体の最下点位置には、該収容体の内部と外部とを連通する連通開口が、前記フェルールの直径よりも小さい開口幅で形成されていることが好ましい。
【0022】
この場合には、仮に収容体の内部に屑や塵等が発生したとしても、連通開口を通じてこれら屑や塵等だけを収容体の外部に排除することができる。従って、これら屑や塵等による回転板の回転不良や、収納凹部内及び排出口内の詰り等を防止でき、フェルールをより安定して次工程に供給し易い。
【0023】
(7)上記本発明に係るフェルール供給装置において、前記回転板が、前記フェルールの直径よりも小さい隙間を開けて前記収容体の底壁部の上方に配設されていることが好ましい。
【0024】
この場合には、収容体の底壁部に対する接触を抑制しながら回転板を回転させることができるので、回転抵抗を少なくでき、回転板を駆動する駆動力を抑制し易い。また、回転板が擦れにくいので、屑や塵等の発生をさらに抑制し易い。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係るフェルール供給装置によれば、屑や塵等の発生を抑制しながら、フェルールを1つずつ安定的且つ確実に一定の時間間隔で次工程に送り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明に係るフェルール供給装置の実施形態を示す図であって、全体正面図である。
【図2】図1に示すフェルール供給装置の側面図である。
【図3】図2に示すA−A線に沿った断面図である。
【図4】図2に示す矢印B方向から見た図であって収容体の内部構造を示す図である。
【図5】フェルールの断面図である。
【図6】収容体の一部分を拡大した断面図である。
【図7】図4に示すC−C線に沿った断面図である。
【図8】図7に示す矢印D方向から見た側面図である。
【図9】図4に示すE−E線に沿った断面図である。
【図10】収容体の分解斜視図である。
【図11】フェルール供給装置を作動させた一工程図であって、回転板を回転させることで収納凹部内に収納されているフェルールを排出口に向けて移動させている状態を示す図である。
【図12】図11に示す状態から回転板をさらに回転させ、収納凹部内に収納されているフェルールに対して重なっていた余計なフェルールを、エアを利用して吹き飛ばしている状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明に係る実施形態について図面を参照して説明する。
(フェルール供給装置の構成)
【0028】
図1〜4に示すように、本実施形態のフェルール供給装置1は、複数のフェルールF(図2及び図4参照)が内部に収容される収容体2と、該収容体2内に回転可能に配設された回転板3と、収容体2の内部にエアA(図4参照)を吹き出すエア吹付部材4と、上記回転板3の回転によって移動されてきたフェルールFを収容体2の外部に排出させる排出部材5と、を備えている。
【0029】
なお、本実施形態では、図1及び図2に基づいて上下方向及び前後方向を定義する。即ち、図1及び図2において紙面の上方向を上方とし、下方向を下方とする。また、図2において紙面の左側を前方とし、右側を後方とする。
【0030】
収容体2は、中心に開口部10aが形成された底壁部10と、該底壁部10上に重ねて組み合わされた円筒状の周壁部11と、の2部品で有底筒状に形成されている。但し、底壁部10と周壁部11とを別部材にする必要はなく、一体的に形成して有底筒状にしても構わない。
この収容体2は、水平面に対して任意の傾斜角度に調整可能なベース基板12上に固定されている。ベース基板12は、上下方向L1に起立した支柱部13によって支えられていると共に、該支柱部13の上方に固定されている。
【0031】
この点について説明すると、図1及び図2に示すように、上記支柱部13の下端部には台座用スタンド14が取り付けられていると共に、上端部には取付け用スタンド15が取り付けられている。そして、支柱部13は、台座用スタンド14を介して床面上に固定されている。支柱部13の上方には、取付け用スタンド15を介して支持基板16が水平面に対して平行に取り付けられている。この支持基板16上には、上下方向L1及び前後方向L2に対してそれぞれ直交する左右方向L3に間隔を開けて、左右方向L3に延びた連結ロッド20の両端部を支持する支持ブロック17が取り付けられている。
【0032】
上記連結ロッド20は、ベース基板12の下面側における前方部分に取り付けられており、その両端部がベース基板12よりも左右外方に突出している。そして、この連結ロッド20の突出した部分が上記したように支持ブロック17に支持されている。
このようにして、ベース基板12は支柱部13の上方に固定されている。この際、ベース基板12は、連結ロッド20の中心軸線を中心として上下方向に回動可能とされており、水平面に対して所定の角度θ(図2参照)で前方側に傾斜するように角度調整されている。そのため、ベース基板12上に固定されている収容体2についても同様に水平面に対して前方側に傾斜している。
なお、収容体2は、作業者がフェルールFを該収容体2の内部に投入し易い最適な高さに位置するように、支柱部13の長さ調整等によって高さ設定されている。
【0033】
上記したように収容体2が水平面に対して前方側に傾斜しているので、前方側に位置する部分が最下点側となる。そして、収容体2の内部に投入された複数のフェルールFは、この収容体2の最下点側である前方側に片寄った状態で収容される。
なおこれらフェルールFは、図5に示すように、中心軸に沿って図示しない光ファイバの芯線が挿通される貫通孔F1が形成された円筒状に形成されており、本実施形態のフェルール供給装置1によって次工程に供給された後、外径の真円度や、外径に対する内径の同軸度等が測定される。
【0034】
また、図1〜図3に示すように本実施形態の収容体2には、蓋体21が着脱自在に被着されている。この蓋体21は、円板状に形成され、収容体2の周壁部11の上端部に形成された段部11aに嵌め込まれる蓋本体21aと、該蓋本体21aの中央部に取り付けられた取手部21bと、で構成されている。そして、収容体2の内部に複数のフェルールFを収容した後、蓋体21を取り付けることで、収容体2の内部に塵埃等が混入することを防止している。
【0035】
上記回転板3は、上述した収容体2内に該収容体2の中心軸線Oを中心として回転可能に配設された部材である。この回転板3は、回転軸部25の上端部に連結されており、これにより収容体2内で回転可能な状態で配設されている。
【0036】
ここで、回転軸部25について詳細に説明する。
この回転軸部25は、図3に示すように収容体2の中心軸線Oに沿って延びる部材であり、該収容体2の底壁部10に形成された開口部10aと、該開口部10aに対応してベース基板12に形成された開口部12aと、の2つの開口部を貫通するように配設されている。そして、回転軸部25の長さ方向の略中間部は、2つの軸受け部材26によって回転可能に支持されている。これら2つの軸受け部材26は、ベース基板12の下方側から開口部12a内に挿入された状態で該ベース基板12に対して取り付けられた筒体部27に保持されている。そして、回転軸部25はこれら2つの軸受け部材26によって安定的に支持されており、がたつき少なく滑らかに中心軸線O回りに回転可能とされている。
【0037】
回転軸部25の上端部側は、収容体2の内部に突出しており、下端部側はベース基板12の下方に向けて突出している。そして、回転板3は、中央部に形成された嵌合孔3aを介して、収容体2の内部に突出した回転軸部25の上端部に嵌合されている。加えて、回転板3にはブッシング28が重ねられており、該ブッシング28を通じて固定ノブ29のねじ部が回転軸部25の上端面にねじ止めされている。これにより、回転板3は上方への抜け止めがなされた状態で回転軸部25に確実に連結されている。一方、上記回転軸部25の下端部には、従動プーリ30が取り付けられている。
【0038】
次に、回転板3について詳細に説明する。
この回転板3は、外周縁部が収容体2の周壁部11に摺接或いは近接する程度の直径に形成された部材であり、本実施形態では、径方向の外側に向かいにしたがって厚みが漸次薄くなるように、その上面が下方に向かけて漸次傾斜した断面テーパ状に形成されている。また、回転板3の外周縁部には、図3及び図4に示すように、フェルールFの1つを入り込ませて収納し、該収納したフェルールFを回転板3の回転に伴って周方向(図4に示す矢印方向)に移動させる収納凹部35が形成されている。
【0039】
上記収納凹部35は、図4及び図6に示すように、回転板3を貫通するように切り欠かれた切り欠き凹部であり、該収納凹部35と収容体2の底壁部10とで画成される空間にフェルールFを収納することが可能とされている。また、この収納凹部35は、回転板3の周方向に延在した凹部であり、その長さW1はフェルールFの長さW2(図5参照)よりも若干長く形成されている。そのため、フェルールFを回転板3の周方向に沿わせた姿勢で収納することが可能とされている。
【0040】
なお、回転板3は上記したように回転軸部25の上端部側に連結されているが、この際図6に示すように、フェルールFの直径φ(図5参照)よりも小さい隙間Hを開けて収容体2の底壁部10の上方に配設されている。つまり、回転板3は、収容体2の底壁部10に対して非接触状態とされ、抵抗少なく滑らかに回転するように構成されている。そのため、収納凹部35内に収納されたフェルールFは、回転板3と収容体2の底壁部10との間に入り込むことなく収納される。
【0041】
また、図4に示すように、収納凹部35は1箇所だけでなく、回転板3の周方向に一定の間隔を開けて複数形成されている。図示の例では、中心軸線Oを中心として45度の間隔毎に8つ形成されている。また、回転板3の上面には、図4及び図6に示すように、各収納凹部35へのフェルールFの入り込みを案内する案内傾斜面36が収納凹部35に連設して形成されている。具体的には、案内傾斜面36は収納凹部35の径方向の内側に位置しており、収納凹部35に向かって徐々に落ち込んでいる。
【0042】
ところで、図1〜図3に示すように、ベース基板12の下面側には、モータ支持基板40が各種のねじ部材等を介して取り付けられている。このモータ支持基板40上には、回転軸部25を回転させるモータ41が固定され、その出力軸部41aが開口部40aを通じてモータ支持基板40の下面側に突出している。そして、モータ41の出力軸部41aの下端部には、主動プーリ42が取り付けられている。
そして、この主動プーリ42と、回転軸部25に取り付けられた従動プーリ30と、には無端ベルト43が巻回されており、モータ41の回転力を回転軸部25に伝達している。これにより、回転軸部25は、モータ41の駆動によって中心軸線O回りに任意の回転速度で回転可能とされている。
【0043】
なお、ベース基板12及びモータ支持基板40の下面側には、カバーケース44が取り付けられており、該カバーケース44内に主動プーリ42、従動プーリ30や無端ベルト43等が収納されている。
【0044】
上記排出部材5は、図2及び図4に示すように、収容体2の最上点側に取り付けられており、上記した回転板3の回転によって、周方向に移動してきた収納凹部35内のフェルールFを排出して、次工程に1つずつ送り出している。
図7に示すように、収容体2の周壁部11及び底壁部10は、共に最上点に位置する部分が切り欠かれており、その切欠き部の一部が、回転板3の回転によって移動されてきた収納凹部35内のフェルールFを収容体2の外部に排出させる排出口50として機能している。そして、この排出口50を塞ぐように排出部材5が取り付けられ、排出口50を通じて排出されるフェルールFを受け取って外部に排出させている。
【0045】
上記排出部材5について詳細に説明する。
この排出部材5は、図7及び図8に示すように、ベース基板12に対してねじ部材51aによって取り付けられるLアングル51と、このLアングル51に対してねじ部材52aによって取り付けられ、上記した底壁部10の切り欠き部を塞ぐと共に、排出口50に連通する第1排出路52bが形成された第1排出ブロック52と、この第1排出ブロック52の下方にねじ部材53aによって取り付けられ、第1排出路52bに連通する第2排出路53bが内部に形成された第2排出ブロック53と、第2排出路53b内に挿入された排出チューブ54と、第1排出ブロック52に対して重ねられ、ねじ部材55aによって取付けられると共に、上記した周壁部11の切り欠き部を塞ぎながら第1排出路52bをカバーするカバーブロック55と、を備えている。
【0046】
このように排出部材5が構成されているので、回転板3の移動によって収納凹部35内のフェルールFが排出口50に達すると、該排出口50を通じてフェルールFを第1排出路52b内に排出することができ、引き続き、第2排出路53b及び排出チューブ54を通じて、次工程に送り出すことが可能とされている。
【0047】
ところで、図4及び図9に示すように、収容体2の周壁部11には、排出口50よりも回転板3の回転方向上流側に位置する部分にエア吹出口60が形成されている。このエア吹出口60は、収容体2の内部と外部とを連通する断面円形の連通孔であり、収納凹部35に対して回転板3の径方向に向かい合う位置に形成されている。そして、このエア吹出口60内に上記したエア吹付部材4の挿入部61が挿入されることで、エア吹付部材4が周壁部11に取り付けられている。
【0048】
このエア吹付部材4は、上記挿入部61と、該挿入部61に連結され、図示しないエア源から送られてきたエアAを所望の流量で挿入部61内に送り込む吹付本体部62と、を備えている。
挿入部61は、吹付本体部62から送られてきたエアAが流れる流路61aが内部に形成された円筒状に形成され、エア吹出口60の中心軸線Mを中心として回転可能とされている。この際、流路61aは、エア吹出口60の中心軸線Mに対して同軸ではなく、偏心した位置に形成されている。そのため、挿入部61を回転させることで、エア吹出口60内において流路61aの高さ、即ちエアAの吹き出し高さを変更することが可能とされている。
【0049】
なお、図示の例では、エアAの吹き出し高さが収容体2の底壁部10に近い下方位置に設定されている場合を例にしている。そのため、収納凹部35内に収納されたフェルールFに対して側方からエアAを吹き付けることが可能とされている。
また、挿入部61は図示しない位置決めピンによって回り止めが規制されており、一旦エアAの吹き出し高さが設定された後、不意に挿入部61が回転して吹き出し高さが変更されてしまうことが防止されている。
【0050】
また、本実施形態の収容体2には、図1、図2及び図6に示すように、最下点位置において該収容体2の内部と外部とを連通する連通開口65が形成されている。
この連通開口65は、図6及び図10に示すように、周壁部11の下端部のうち最下点に位置する部分に周方向に延びたスリット状に形成されており、その開口高さGがフェルールFの直径φ(図5参照)よりも小さい開口高さとされている。これにより、収容体2の内部に収容されているフェルールFが、このスリット状の連通開口65を通じて収容体2の外部に零れ落ちてしまうことを規制している。
【0051】
(フェルール供給装置の作用)
次に、上述したように構成されたフェルール供給装置1を利用して、収容体2の内部に収容された複数のフェルールFを、1つずつ収容体2の外部に送り出して次工程に供給する場合について説明する。
【0052】
はじめに、作業者は収容体2の内部に複数のフェルールFを投入する。この際、支柱部13の上方に固定されているベース基板12が水平面に対して傾斜しているので、該ベース基板12上に固定されている収容体2、及び該収容体2の内部に配設されている回転板3についても同様に傾斜している。そのため、図2及び図4に示すように、収容体2の内部に投入された複数のフェルールFを収容体2の最下点側に重力を利用して片寄らせることができる。
この際、複数のフェルールFの1つを回転板3に形成された収納凹部35内に入り込ませて収納しておくことができる。
【0053】
複数のフェルールFの投入後、作業者は周壁部11に対して蓋体21を組み合わせて周壁部11の上部開口部を塞ぐ。これにより、収容体2の内部に塵埃等が混入することを防止することができる。その後、作業者はエア源及びエア吹付部材4を作動させると共に、モータ41を駆動させて回転板3を図4に示す矢印方向に回転させる。
【0054】
これにより、収納凹部35内に収納されたフェルールFを回転板3の回転に伴って周方向に移動させることができ、該フェルールFを複数のフェルールFの中から1つだけ取り出した状態で上方に向けて移動させることができる。この際、残りのフェルールFが回転板3の回転に連られて上方に移動しようとするが、回転板3が傾斜しているので、重力を利用して該回転板3の上面に沿って滑り落とすことができる。よって、余計なフェルールFまでもが上方に移動してしまうことを防止できる。従って、収納凹部35内に収納されたフェルールFだけを排出口50まで移動させ、該排出口50から排出部材5を利用して外部に送り出すことができる。
【0055】
ところで、収容体2の周壁部11のうち排出口50よりも回転方向上流側に位置する部分にはエア吹出口60が形成され、該エア吹出口60を通じてエア吹付部材4がエアAを吹き出している。そのため、上記した残りのフェルールFが重力によって滑り落ちず、例えば収納凹部35に引っ掛かることで上方に連られて移動したり、収納凹部35に収納されたフェルールFに対する引っ掛かり又は重なり等によって上方に連られて移動したりした場合であっても、これら余計なフェルールFをエアAによって吹き飛ばして除去することができる。
【0056】
具体的には、図11に示すように、収納凹部35内に収納されたフェルールF上に余計なフェルールFが重なり、上方に連られて移動してしまったとしても、図12に示すように、エア吹付部材4によるエアAによって吹き飛ばして除去できる。その一方、収納凹部35内に収納されたフェルールFについては、エア吹出口60が収納凹部35に対して径方向に向かい合う高さ位置に形成されているので、図9に示すように、エアAが吹き付けられたとしても収納凹部35の壁部でフェルールFを受け止めることができ、収納凹部35内に留まらせることができる。
従って、図11に示すように、このエアAが吹き付けられるポイントを通過した以降については、収納凹部35内に収納されたフェルールFだけを排出口50に向かって移動させることができる。
【0057】
これにより、収納凹部35内に収納されたフェルールFだけを1つずつ安定的且つ確実に一定の時間間隔で排出口50に移動させることができ、該排出口50から排出部材5を介して外部に送り出して次工程に供給することができる。
また、回転板3の回転を利用してフェルールFを排出口50まで移動させるので、振動方式に比べて屑や塵等が発生し難い。従って、この点においてもフェルールFを安定して次工程に供給し易い。
【0058】
更に、本実施形態のフェルール供給装置1によれば、以下の作用効果を奏効することができる。
即ち、図6に示すように、回転板3が断面テーパ状に形成されて、その上面が傾斜しているので、重力を利用して余計なフェルールFをより効率良く滑り落として除去することができる。
また、回転板3の上面には案内傾斜面36が形成されているので、案内傾斜面36を利用して自然且つ滑らかにフェルールFを収納凹部35内に入り込ませることができる。従って、例えば収容体2の内部に収容されているフェルールFの数が少なくなった場合であっても、収納凹部35内に積極的にフェルールFを誘導でき、未収納となることを防止し易い。
【0059】
また、収容体2の底壁部10に対する接触を抑制しながら回転板3を回転させることができるので、回転抵抗を少なくでき、回転板3を駆動する駆動力を抑制し易い。従って、モータ41の小型化を図ることができ、フェルール供給装置1の全体の小型化を図り易い。また、回転板3が擦れ難いので、屑や塵等の発生をさらに抑制し易い。
更に、仮に収容体2の内部に屑や塵等が発生したとしても、連通開口65を通じてこれら屑や塵等だけを収容体2の外部に排除することができる。従って、これら屑や塵等による回転板3の回転不良や、収納凹部35内及び排出口50内の詰り等を防止でき、フェルールFをより安定して次工程に供給し易い。
【0060】
特に、蓋体21を収容体2に被着させた状態では、連通開口65を通じて収容体2の内部圧力を強制的に逃がすこともできるので、エアAの吹き出しによる収容体2内の圧力上昇についても防止できる。また、上記したように収容体2の内部圧力を連通開口65から強制的に逃がすことにより、屑や塵等も効率良く排除し易い。
【0061】
なお、上記実施形態では、中心軸線Oを中心として45度の間隔毎に合計8つの収納凹部35を形成した場合を説明したが、この数に限定されるものではない。それ以上の数の収納凹部35を形成しても構わないし、1つだけ形成しても構わない。
1つだけ形成したとしても、回転板3の回転速度等を適宜調整することで、フェルールFを1つだけ安定的に一定の時間間隔で次工程に供給することができ、同様の作用効果を奏効することができる。但し、上記実施形態のように複数の収納凹部35を形成することで、回転板3の回転速度が低速であったとしても、フェルールFを効率良く一定の時間間隔で次工程に供給することができる。
【0062】
また、回転板3の周方向に沿って延在するように収納凹部35を形成したが、回転板3の径方向に沿って延在するように収納凹部35を形成しても構わない。この場合であっても、収納時のフェルールFの向きが異なるだけで、同様の作用効果を奏効することができる。
また、上記実施形態では、回転板3を貫通するように収納凹部35を形成したが、貫通させる必要はなく、例えば回転板3の外周縁部に窪み部を形成し、この窪み部を収納凹部35としても構わない。この場合であっても、同様の作用効果を奏効することができる。
【0063】
また、本実施形態のフェルール供給装置1によれば、流路61aがエア吹出口60の中心軸線Mに対して偏心したエア吹付部材4の挿入部61を回転させることで、エアAの吹き出し高さを適宜変更することができる。
そのため、例えば直径の異なる複数種類のフェルールFを用いたとしても、フェルールFに応じて吹き出し高さを最適な位置に設定できる。従って、収納凹部35内に収納されたフェルールFについては該収納凹部35内に確実に留まらせることができ、その一方、余計なフェルールFについては確実に吹き飛ばすことができる。従って、複数種類のフェルールFに対応することができ、利便性を向上できる。
【0064】
なお、本発明の技術範囲は上記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0065】
例えば、上記実施形態では、収容体2の最上点側に排出口50及び排出部材5を配置したが、この位置に限られるものではなく、最下点位置よりも上方に位置する部分に配置されていれば構わない。また、エア吹出口60については、排出口50及び排出部材5よりも回転板3の回転方向上流側に位置していれば良い。この際、1箇所だけではなく、複数個所にエア吹出口60を形成し、エアAの吹き出しを多点で行っても構わない。
【符号の説明】
【0066】
A…エア
F…フェルール
O…中心軸線
1…フェルール供給装置
2…収容体
3…回転板
4…エア吹付部材
10…収容体の底壁部
11…収容体の周壁部
35…収納凹部
36…案内傾斜面
50…排出口
60…エア吹出口
65…連通開口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のフェルールが内部に収容される有底筒状の収容体と、
該収容体内に、該収容体の中心軸線を中心として回転可能に配設された回転板と、
該回転板の外周縁部に形成され、複数の前記フェルールのうちの1つを入り込ませて収納し、該収納したフェルールを回転板の回転に伴って周方向に移動させる収納凹部と、
前記収容体の周壁部に形成されたエア吹出口を通じて、該収容体の内部にエアを吹き出すエア吹付部材と、
前記収容体に形成され、前記回転板の回転により移動されてきた前記収納凹部内の前記フェルールを該収容体の外部に排出させる排出口と、を備え、
前記収容体は、その底壁部が水平面に対して傾斜し、前記排出口が該収容体の最下点位置よりも上方に位置するように配設され、
前記エア吹出口は、前記排出口よりも前記回転板の回転方向上流側に形成され、且つ前記収納凹部に対して前記回転板の径方向に向かい合う高さ位置に形成されていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項2】
請求項1に記載のフェルール供給装置において、
前記収納凹部は、前記回転板の周方向に一定の間隔を開けて複数形成されていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のフェルール供給装置において、
前記回転板は、径方向の外側に向かうにしたがって厚みが漸次薄くなるように、その上面が傾斜した断面テーパ状に形成されていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のフェルール供給装置において、
前記エア吹付部材は、前記エア吹出口内にて前記エアの吹き出し高さを変更可能とされていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1項に記載のフェルール供給装置において、
前記回転板の上面には、前記収納凹部内への前記フェルールの入り込みを案内する案内傾斜面が該収納凹部に連設して形成されていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載のフェルール供給装置において、
前記収容体の最下点位置には、該収容体の内部と外部とを連通する連通開口が、前記フェルールの直径よりも小さい開口幅で形成されていることを特徴とするフェルール供給装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載のフェルール供給装置において、
前記回転板は、前記フェルールの直径よりも小さい隙間を開けて前記収容体の底壁部の上方に配設されていることを特徴とするフェルール供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−25193(P2013−25193A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−161227(P2011−161227)
【出願日】平成23年7月22日(2011.7.22)
【出願人】(000002325)セイコーインスツル株式会社 (3,629)
【Fターム(参考)】