説明

フォイルチューブ包装体の切断兼積重ね装置

【目的】チェーン状に連結された個々の製品パッケージを有するフォイルチューブ包装体の切断兼積重ね装置において、切離された個々の製品パッケージの積重ね形態を信頼性の高いものにする。
【構成】導入されたフォイルチューブをその封着シーム領域により個々の切断体に切断する切断装置と、該切断装置の真下に配置され、個々の切断体を次工程の包装機械へ搬送するための積重ね体を形成する積重ね装置とを備え、該積重ね装置において、前記切断装置の出口側に少なくとも二つ並設され、互いに対向して配置された薄板ベルトを有する積重ねステーションが設けられ、該ステーションに対し前記切断体を導入し得、前記ベルトの薄板間に形成され対向する取上げ空間により前記切断体が丁寧に下方へ搬送されて前記積重ね体を形成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、フォイルチューブ包装体の切断兼積重ね装置に関する。
【0002】
【従来の技術及びその問題点】このような切断兼積重ね装置は、既に公知のものであり、封着シームにより個々のセクションに分割され、これらセクションが互いに連結されているフォイルチューブを加工対象とする。シール加工されたフォイルチューブは、分配ローラに取上げられ、吸引エアーにより該ローラの周面に保持される。換言すると、フォイルチューブは、分配ローラの周面において半径方向に配置される。次に、切断装置は、分配ローラに対しその軸方向に沿って平行に作動し、整然とした包装ユニット、すなわちセクション毎にチューブを連続的に分離する。分離後、その製品パッケージは、分配ローラの軸方向に作用する機械的な摺動装置により、計3本の平行な搬送軌道上に分配される。前記周面上の軌道に配置されたその切断体は、その後、下方の案内部に落下する。
【0003】したがって、前記切断兼積重ね装置は、均一で連続的にシールされたフォイルチューブを加工する場合には、その切断されたチューブを平行な案内部へ分けるのに機械的装置が実質的に必要であるという点で不利である。前記回転する分配ローラに配置された切断装置は、必要な前記摺動装置と共に該ローラに装着されており、該摺動装置は、前記分配ローラの外側周面に往復移動する平行に配置された異なる案内部により、個々に切断された複数の製品パッケージを移動させる。
【0004】更に、切断体が前記分配ローラから前記下方の案内部に落下する場合、常に一様な落下曲線を得ることは不可能であり、前記下方の案内部に落下後の前記切断体が傾斜を生じ、これにより、次の工程である包装機械への搬送のための積重ね形態の形成を困難にする虞れがあるという不利がある。
【0005】このような公知の分配装置は、1トラック・1分間当たり最大約150パッケージの処理能力でしか操作できないし、又、製品パッケージの落下が自由落下で行なわれるので、該パッケージを損傷する虞れが有る。
【0006】更に、前記ローラから離され落下される前記包装ユニットの落下経路は、前記ローラの回転速度に依存している。したがって、前記公知の切断兼積重ね装置は、該装置の運転開始時における1つの落下経路と、操作速度に達した際の効果的な落下経路との相異なる経路に対応する必要があり、また、次工程のための包装機械に適した積重ね形態とし難い。
【0007】
【発明の概要】このゆえに、本発明の基本的な目的は、前述の切断兼積重ね装置を更に改良発展させ、製造、維持及び補修のコストを低減すると共に、個々の製品パッケージの積重ね形態を確実に信頼性の高いものにすることにある。
【0008】この目的を達成するため、本発明は、フォイルチューブの幅方向に垂直に延びる封着シームにより互いに分離された個々の切断体を有するチェーン状の該フォイルチューブに配置された物品の切断及び積重ねのための装置であって、個々に物品を包装した前記チューブが前記封着シームの領域で切断装置により切断され、個々の切断体が積重ね装置に配置され、該積重ね装置においては、次工程の包装機械へ搬送される切断体の積重ね体が形成され、前記フォイルチューブが前記切断装置に導入され、前記切断装置の出口側に少なくとも二つ並設され、互いに対向して配置された薄板ベルトを有する積重ねステーション(積重ねトレイ)が設けられており、前記切断体を導入し得、対向配置された取上げ空間が前記ベルトにより形成されていることを特徴とする。
【0009】本発明の重要な特徴は、実質的に垂直方向に延びる積重ねステーションを有する積重ね装置が切断装置の真下に実質的に配置され、前記ステーションに対しては、互いに並設された二つの薄板ベルトにより形成され鉛直方向に延びて並設された少なくとも2つの壁体が配置されており、前記薄板ベルトがエンドレスベルトであることである。
【0010】本発明の装置によれば、切断装置により切断された切断体は、自由落下による無制御状態のままで分配面に落下するのではなく、ベルト外側周縁部において半径方向に突出している薄板を有する、並設された二つの薄板ベルトとの接触領域に到達する。次に、前記切断体は、それら薄板間の中間領域に嵌入され、丁寧に分配され、鉛直下方に移動する薄板ベルトによりサポート上に積重ねられる。
【0011】これにより、切断された切断体の自由落下を防止し、これらの切断体の支持面への制御された分配により該スライスのエッジを真直ぐに整えた積重ね体が形成され、著しく有利である。
【0012】本発明の第1の実施例においては、前記薄板ベルトが、ブラシベルトとして形成されており、すなわち半径方向外方に向って延びるブラシが回転エンドレスベルト上に設けられ、それらのブラシ間に取上げ空間が形成されており、一方のベルト側の各取上げ空間が他方のベルト側の同様の取上げ空間と対向して配置されている。各取上げ空間においては、前記切断体の一方と他方の両端部が取上げられ、そして前記積重ねステーション内にサポート面の方向において丁寧に下方へ搬送される。
【0013】本発明の原理は、また、本明細書に記載されたブラシベルトのような薄板ベルトという技術に加え、他の技術にも適用され得る。
【0014】前述の薄板は、ゴム製の薄板、又はゴム製のフィンとして形成されることも可能であり、それらの薄板により、前述のようにそれらの薄板間に取上げ空間が形成される。薄板として、金属又は合成物質等のスパイラル状スプリングのような、他の弾性的または弾力を有する部材を使用することも可能である。
【0015】本発明は、更に、ベルト側にヒンジ取付けした剛性のヒンジ状フラップを使用し、該フラップにより、薄板ベルトが下方に移動する際に、上下に取上げ空間を有する支持面を形成することができ、これらのヒンジ状フラップが、障害物と出会う際にはね上げられて取上げ空間が形成される。
【0016】積重ね速度の増加は、次のようにして得られる。すなわち、積重ねステーション内に配置された切断体に対し、垂直方向に互いに短い距離で平行に個々の切断体を積重ね、単一の支持面でなく最終支持面より前に位置するいわゆる中間サポートが設けられている前記薄板ベルトにより積重ねを行なう。最初の物品の積重ね体は、或る積重ね高さに達するまで前記中間サポート上に形成される。
【0017】このことにより、下方に形成された主積重ね体を、次工程の包装装置に搬送するための供給ベルト上に分配すること、並びに、中間サポートに中間的な積重ね体が形成される間にこの主積重ね体を空にすることを可能にする中間的なバッファが実現される。
【0018】本発明の他の特徴は、前記切断工程中、切断体の端部垂れ下がりや屈曲を防止するため、前記切断工程中、切断体が移動先の案内部内に保持されていることである。
【0019】更に、前記案内部の目的は、物品を充填しシールされたフォイルチューブが最初に前記切断兼積重ね装置に搬送される際に、切断装置への制御された摺動を確実に行なうことにある。
【0020】フォイルチューブの挿入される正面側が許容範囲を越えて屈曲したりそれたりすることを避けるために、前記案内部は、上方及び側方に制限を設けてある。
【0021】本発明の他の特徴は、切断工程が完了した際に、切断ナイフの背後の保持装置を前記積重ねステーションに入るようにさせ、且つ、切断直後の切断体を前記並設された薄板ベルトの取上げ範囲内に移動させるために、前記案内部が、前記積重ねステーションと接触解除又は取上げ範囲外の状態とされることである。換言すれば、この保持装置は、同期状態で操作され、前記並設された薄板ベルトの並設された取上げ空間に切断体を押しやる一方、前記切断体が前記取上げ空間に残され前記2つの平行な薄板ベルトと共に前記中間サポートの位置まで前記積重ねステーション内を下方へ移動する間に、再度上昇する。
【0022】更に、積重ねの正確さの問題が、前記積重ねステーション内の垂直方向の案内部により改善されており、該案内部は、切断体上の対応する停止面と協働し、これらの切断体を傾けることなく前記積重ねステーション内を下方へ降下させる。
【0023】
【実施例】以下、本発明の実施例につき添付図面を参照しつつ説明する。図1は本実施例に係る切断兼積重ね装置を図2の矢印II方向から視た側面図、図2は該装置を図1の矢印III方向から視た正面図である。切断兼積重ね装置12では、個々にシールされたセクションが各フォイルチューブにおいて切断され、別のフォイルチューブからの2つの異なる包装ユニットが、切断装置32により切断された後に一つの積重ねステーションに積重ねられる。続いて、物品の積重ね体が、積重ねステーション内に形成され、コンベヤ23、24により包装ステーションに運ばれる。
【0024】図1に示すように、フォイルチューブ27は、タイミング調整されたフォイルチューブ移動ステーション11を経て切断兼積重ね装置12内に搬送される。フォイルチューブ搬入側には、図2の紙面に垂直な方向に移動する封着シームを検知し、フォイル移動ステーションのための搬送長さを指示するセンサー63が設けられている。未分離の個々の切断体をチェーン状に繋いでいるシールされたフォイルチューブ27、27aが、図1のように切断兼積重ね装置12に入れられ、切断装置32のナイフ50、51が作動して、該チューブの封着シームの領域を切断する。
【0025】図1に示すように、前記ナイフは、上側の保持装置61に接続されており、ナイフ50、51は、取付部65に装着されたカウンターナイフ64と協働するように設けられている。
【0026】フォイルチューブ27を切断兼積重ね装置12に摺動により導入する場合、案内部66の間にフォイルチューブが取り込まれるが、フォイルチューブを滑らかに案内部66内に導入し得るように、前記案内部はチューブ導入側において錐体形状に拡開されている。切断が完了すると、前記案内部の各々には、個々に切断された切断体52、53が受入れられている。
【0027】切断兼積重ね装置12、12aの構成については、両者は同じなので、これら二つの装置の一方ついてのみ説明することにする。
【0028】切断された切断体52、53を側方の薄板ベルト62の領域に移動させるために、保持装置61が下方へ移動し、同時に、案内部66が、図2に示すように、対応する偏向装置67により位置66´へ外側に回動される。この結果、保持装置61は、矢印80の方向へ降下し、切断された切断体52、53を回転する薄板ベルト62の領域に移動することができる。
【0029】薄板ベルト62は各々、取上げ空間70を形成するベルト半径方向の薄板69を有するエンドレスベルトの形態とされている。
【0030】切断された切断体52、53は、並設された薄板ベルト62により取上げ空間に導入され、固定力を伴って保持される。
【0031】ナイフ50、51の装着された保持装置61を矢印80の方向に移動する際に、前記案内部は、同時に偏向装置67により位置66´から位置66へ戻されフォイルチューブ27の新しいセクションを取上げる準備がなされる。
【0032】切断体52、53は、積重ねステーション33内に降下し、これにより、案内部84のための鉛直方向に延びる側方のストップが積重ねステーション33内での該切断体の傾きや移動を防止する。
【0033】切断体は、最初、前記積重ねステーションの下から3分の1の位置に略対応する位置にある中間サポート71上に配置され、最初の物品の積重ね体55が形成される。
【0034】二つの切断体は各々、切断兼積重ね装置12及び12aにより切断され、該装置には二つの積重ねステーション33が配置されているが、全体として同じ構成であるので、左右の積重ねステーションの内、左側のものを説明する。
【0035】中間サポート71に形成されている物品の積重ね体55は、対応する計数器により定められた或る積重ね高さに達するまで、その高さの下から上まで積重ねられる。
【0036】予め設定された積重ね高さに達すると、中間サポート71は、対応する移動装置72の、図1中矢印73で示す方向(左)へ移動させられ、これにより、物品の積重ね体55のための支持面が積重ねステーション33の位置から外され、該物品の積重ね体は、薄板ベルト62の薄板と再び接触した状態で該薄板ベルトに保持され、丁寧に積重ね支持面76上に配置されて、該面上に物品の積重ね体77が形成される。
【0037】薄板ベルト62の薄板が中間サポート71上の物品の積重ね体55の端縁と接触しないようにするのが望ましい。すなわち、中間サポート71の幅が物品の積重ね体55の幅より少し大きく形成されることにより、薄板ベルト62の薄板が物品の積重ね体55を中間サポート71上で捕捉しないようにすることが重要である。
【0038】上側の物品の積重ね体55が積重ねられる下側の物品の積重ね体77の形成後、上側の中間サポート71は、移動装置72の矢印74の方向への移動により再度薄板ベルト62の搬送路を閉鎖し、これにより、前記上側の中間サポート71の領域における前記積重ねステーションが、続けて物品の積重ねのために再度使用され得る。
【0039】前記下側の物品の積重ね体77が満たされると直ぐに、ラック状の収集器79が上方に駆動され、上側の物品の積重ね体77が、矢印73の方向に移動装置75を引くことにより収集器79の上端に配置される。収集器79は、次に、矢印80の方向に降下し、前記物品の積重ね体がコンベヤ23、24上に配置される。
【0040】収集器79は、ラック状に形成されており、シャッターコードにより形成されたコンベヤ23、24を通過している。図2において、収集器79は、その下側の位置が左図に、上昇した位置での状態79´が右図に示されている。左図は,分配位置、右図は収集位置を各々示す。
【0041】換言すると、物品の積重ね体78は各コンベヤ23、24上に形成され、図2に示すように、二つの連続した切断兼積重ね装置12、12aにより、複数の物品の積重ね体78の合体が前記コンベヤ上に置かれる。
【0042】図2のコンベヤの左に配置された物品の積重ね体78は、右側の切断兼積重ね装置12aの積重ねステーションの領域へ矢印83の方向に移動させられる。積重ね体78がストップ81に到達すると、その移動が停止される。その結果、積重ね体78は、上側の物品の積重ね体82の底面に達する位置まで収集器79により上昇される。それから、積重ね分配部76が開放され、これにより、物品の積重ね体82は下側の物品の積重ね体78上に配置され、前記収集器が矢印80の方向に降下することにより、コンベヤ23、24上に配置され互いに一体とされた物品の積重ね体が形成される。二つの切断兼積重ね装置12、12aを連続配置したことにより、二つの異なるコンベヤ23、24上で各々、物品の積重ね体を合体させることが可能となる。
【0043】ストップ81が次に降下し、合体された物品の積重ね体がコンベヤ23、24により矢印83の方向に移動させられ、包装機械における取込み領域へ搬入される。包装機械の種類によるが、これら準備された物品の積重ね体を一つ又は二つの搬送軌道に運ぶことができる。
【0044】本発明の装置によれば、物品の積重ね方式が著しく改善されていると共に、包装された切断体のいかなる損傷も確実に防止され、落下経路に悪影響を与える前述の自由落下を防止しており、非常に有利である。また、物品の積重ね体形成のために、切断体を丁寧に案内して配置し、それら積重ね体は、また、垂直方向に昇降可能な収集器及び前述の薄板ベルトにより、指定されたコンベヤ23、24上に丁寧に配置される。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本実施例に係る装置を図2の矢印II方向から視た側面図である。
【図2】図2は該装置を図1の矢印III方向から視た正面図である。
【符号の説明】
11 フォイルチューブ移動ステーション
12 切断兼積重ね装置
12a 切断兼積重ね装置
23 コンベヤ
24 コンベヤ
27 フォイルチューブ
32 切断装置
33 積重ねステーション
50 ナイフ
51 ナイフ
52 切断体
53 切断体
62 薄板ベルト
64 カウンターナイフ
66 案内部
67 偏向装置
69 薄板
70 取上げ空間
79 収集器

【特許請求の範囲】
【請求項1】 フォイルチューブの幅方向に垂直に延びる封着シームにより互いに分離された個々の切断体を有するチェーン状の該フォイルチューブに配置された物品の切断及び積重ねのための装置であって、個々に物品を包装した前記チューブが前記封着シームの領域で切断装置により切断され、個々の切断体が積重ね装置に配置され、該積重ね装置においては、次工程の包装機械へ搬送される切断体の積重ね体が形成され、前記フォイルチューブが前記切断装置に導入され、前記切断装置の出口側に少なくとも二つ並設され、互いに対向して配置された薄板ベルトを有する積重ねステーションが設けられており、前記切断体を導入し得、対向配置された取上げ空間が前記ベルトにより形成されていることを特徴とするフォイルチューブ包装体の切断兼積重ね装置。
【請求項2】 前記フォイルチューブが、略水平方向に配置された前記切断装置に搬入され得ることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】 切断方向における前記切断装置のナイフの背後に、前記切断された切断体を前記薄板ベルトの取上げ空間に移動させるための保持装置が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】 前記フォイルチューブが、前記ナイフ及び前記ナイフのカウンターナイフの間の領域において横方向に案内部を移動することを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】 前記案内部は、切断装置上で水平方向に延びる軸線回りに回転するように設けられていることを特徴とする請求項4に記載の装置。
【請求項6】 前記積重ねステーションの二つの対向する垂直方向壁体が、前記薄板ベルトにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項7】 前記積重ねステーションの領域に、少なくとも一つの中間サポートが配置されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項8】 前記中間サポートが、前記積重ねステーションから離反し、前記薄板ベルトの移動方向に垂直に前記積重ねステーションに移動し得るプレートにより形成されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項9】 前記積重ねステーションの基台側に配置された支持面が、前記積重ねステーションから離反し、前記積重ねステーションに移動し得るプレート状の積重ね支持部材により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】 前記基台側の積重ねステーションの真下にコンベヤが配置され、該コンベヤを通過可能な、切断体の収集器が該コンベヤの真下に配置されていることを特徴とする請求項9に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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