説明

フォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セット

【課題】 耐光性向上と共に、色濃度の向上も付与できる実用性に優れたフォトクロミック複合繊維と、それを用いたフォトクロミック製品や製品セットを提供する。
【解決手段】 熱可塑性樹脂からなる樹脂相(A)と、熱可塑性樹脂からなる樹脂相(B)が接合された複合繊維であって、前記樹脂相(A)又は樹脂相(B)中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含有してなるフォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、製品セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セットに関する。更に詳細には、フォトクロミック材料を熱可塑性樹脂中に分散状態させた樹脂相と、熱可塑性樹脂からなる別の樹脂相とを接合したフォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、フォトクロミック複合繊維に関する提案が開示されている(例えば,特許文献1参照)。
前記したフォトクロミック複合繊維は、フォトクロミック材料を含む熱可塑性樹脂からなる芯部の周囲を、熱可塑性樹脂で覆った芯鞘型の複合繊維であって、紫外線等の光照射により変色し、光照射を止めると再び変色前の状態に戻る、無色から有色の可逆的な色変化を呈するものである。
【特許文献1】特開平3−113014号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記フォトクロミック複合繊維について実用性を確認したところ、発色状態における耐光性が十分ではなく、経時により退色して所望の変色性を永続して示し難いと共に、発色濃度も満足できるものではなく、明瞭な色を維持でき難いものであった。
更に、前記発色時の色調はフォトクロミック化合物の構造により決定されるものであり、よって、色調の保持性をコントロールすることは困難であった。
本発明は、複合繊維が有する光沢性や繊維強度を損なうことなく、色変化の永続性に優れたフォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セットを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明者は耐光性改良検討を行った結果、特定のスチレン系オリゴマーにフォトクロミック化合物を溶解させたフォトクロミック材料を着色剤として用いることにより、耐光性が向上し、且つ、発色濃度を向上させることを見出した。
即ち、本発明は、熱可塑性樹脂からなる樹脂相(A)と、熱可塑性樹脂からなる樹脂相(B)が接合された複合繊維であって、前記樹脂相(A)又は樹脂相(B)中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含有してなるフォトクロミック複合繊維を要件とする。
更には、樹脂相(A)を芯部とし、樹脂相(B)を鞘部とする芯鞘型の複合繊維であること、樹脂相(A)中にフォトクロミック材料を含有してなること、樹脂相(A)中に非変色性着色剤を含有してなり、樹脂相(B)中にフォトクロミック材料を含有してなること、フォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000であること、スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200乃至4000であること、フォトクロミック材料中に水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加してなること、フォトクロミック材料がフォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーをマイクロカプセルに内包した材料、或いは、樹脂粒子中に分散した材料であること等を要件とする。
更には、前記フォトクロミック複合繊維を用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品とステンシルとからなるフォトクロミック製品セットを要件とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明は、従来のフォトクロミック複合繊維では成し得なかった耐光性向上と共に、色濃度の向上も付与できるため、実用性に優れたフォトクロミック複合繊維及びそれを用いたフォトクロミック製品、フォトクロミック製品セットを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明のフォトクロミック複合繊維は、熱変色性樹脂相(A)と保護樹脂相(B)とが接合され、一体化されたものであればよく、芯鞘型に限らず、貼合型、海島型等の形態であってもよい。
前記樹脂相(A)と樹脂相(B)には、いずれか一方にフォトクロミック材料が含まれる構成の他、樹脂相(A)及び樹脂相(B)にそれぞれフォトクロミック材料が含まれる構成であってもよい。
芯鞘型においては、樹脂相(B)によって、フォトクロミック材料を含む樹脂相(A)の全周が被覆されている構成が好ましく、耐光堅牢性、洗濯堅牢性、摩擦堅牢性等の耐久性を満たすと共に、透明性且つ光沢性に富む繊維形成性熱可塑性樹脂により樹脂相(B)を形成することによって、フォトクロミック材料を含む樹脂相(A)の鮮明な色変化を視覚させると共に光沢性に富むフォトクロミック複合繊維が得られる。
なお、芯部の樹脂相(A)中に添加できるフォトクロミック材料は、繊維形成性や強度の面から樹脂に対して0.1〜50重量%、好ましくは0.1〜30重量%、更に好ましくは0.5〜20重量%含有され、その添加範囲内で繊維強度と色変化を共に満足させる。
また、汎用の非変色性着色剤(顔料や染料)を含有させて有色(1)から有色(2)への色変化を呈するフォトクロミック複合繊維を得るためには、フォトクロミック材料を含む樹脂相中に前記非変色性着色剤を含有させることもできるが、樹脂相(A)を芯部とし、樹脂相(B)を鞘部とする芯鞘型の複合繊維の樹脂相(A)中に非変色性着色剤を含有し、樹脂相(B)中にフォトクロミック材料を含有させることが好ましい。
これは、一方の樹脂相中にフォトクロミック材料及び非変色性着色剤を含む系、或いは、芯部の樹脂相(A)中にフォトクロミック材料を含有し、鞘部の樹脂相(B)中に非変色性着色剤を含む系で生じ易いフォトクロミック材料の発色時の色濃度の低下を防止できる。
即ち、フォトクロミック材料を含む樹脂相(B)が表面に位置する鞘部に存在することによって、フォトクロミック材料の吸収波長の一部を非変色性着色剤が吸収することなく、フォトクロミック材料が発色時に十分な色濃度を呈して、明瞭な有色(1)から有色(2)への色変化を発現させることができるからである。
前記芯部及び鞘部は、同一構造の樹脂の組み合わせが芯部と鞘部の界面の接合性に優れ、剥離の危険もなく、一体化した高強度の繊維物性を与えるのに加えて、同一の屈折率をもつ同一性状の樹脂の組合わせであるから、より透明性と光沢性に富む。
更には、繊維化工程、殊に延伸処理工程において、樹脂相互の延伸性が同一であるので、一定の延伸倍率に設定でき、繊維強度に優れた複合繊維が得られる。
【0007】
前記樹脂相(A)を形成する熱可塑性樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、中高密度ポリエチレン、超高密度ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、ポリプロピレン、塩素化ポリプロピレン、ポロイソブチレン、ポリブタジエン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル樹脂、塩素化ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、アクリル酸エステル樹脂、メタクリル酸エステル樹脂、ポリアミド、共重合ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリアリレート、ポリエーテルイミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニルエーテル、ポリフェニレンサルファイド、ポリサルホン、フッ素樹脂、アイオノマー樹脂、エチレン−プロピレン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、エチレン−アクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−メタクリル酸エステル共重合樹脂、エチレン−塩化ビニル共重合樹脂、塩化ビニル−プロピレン共重合樹脂、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合樹脂、スチレン−ブタジエン共重合樹脂、アクリロニトリル−塩化ビニリデン共重合樹脂、アクリロニトリル−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−エチレン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−塩素化ポリエチレン−スチレン共重合樹脂、アクリロニトリル−アクリル酸エステル−スチレン共重合樹脂、エチレン−酢酸ビニル樹脂−塩化ビニルグラフト共重合樹脂、メタクリル酸メチル−ブタジエン−スチレン共重合樹脂、スチレン系熱可塑性エラストマー、オレフィン系可塑性エラストマー、ウレタン系可塑性エラストマー、ポリステル系可塑性エラストマー、1,2−ポリブタジエン系可塑性エラストマー、塩化ビニル系可塑性エラストマー、石油系炭化水素樹脂、セルロースアセテート、セルロースアセテートプロピオネート、セルロースアセテートブチレート、ニトロセルロース、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、ポリブテン、クマロン−インデン共重合物、フェノキシプラスチック等を例示できる。
【0008】
前記樹脂相(B)を形成する熱可塑性樹脂は、直鎖状低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフタレート、ポリアミド樹脂、共重合ポリアミド樹脂、ポリエステル系熱可塑性エラストマー、ポリアミド系エラストマー、ウレタン系エラストマーを例示できる。
前記ポリアミド樹脂として具体的には、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン6−12共重合体等が挙げられる。
【0009】
前記樹脂相(A)或いは保護樹脂相(B)を形成する熱可塑性樹脂中に含まれるフォトクロミック材料は、スピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物をスチレン系オリゴマーに溶解した材料である。
前記スチレン系オリゴマーは重量平均分子量が200乃至6000、好ましくは200乃至4000のものが用いられる。
スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200未満の場合、含有モノマーが多くなり、安定性に欠けるため耐光性向上効果を発現し難くなる。
また、重量平均分子量が6000を越えると、光照射により色残りが発生し、且つ、発色濃度が低くなり、変色感度は鈍くなる。
なお、重量平均分子量は、GPC法(ゲル浸透クロマトグラフ法)により測定する。
【0010】
前記スチレン系オリゴマーとしては、低分子量ポリスチレン、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体、α−メチルスチレン重合体、α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体、α−ピネン重合体、β−ピネン重合体、d−リモネン重合体等が挙げられる。
低分子量ポリスチレンとしては、三洋化成工業(株)製、商品名:ハイマーSB−75(重量平均分子量2000)、ハイマーST−95(重量平均分子量4000)等が用いられる。
スチレン−α−メチルスチレン系共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコラスチックA5(重量平均分子量317)、ピコラスチックA75(重量平均分子量917)等が用いられる。
α−メチルスチレン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:クリスタレックス3085(重量平均分子量664)、クリスタレックス3100(重量平均分子量1020)、クリスタレックス1120(重量平均分子量2420)等が用いられる。
α−メチルスチレンとビニルトルエンの共重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコテックスLC(重量平均分子量950)、ピコテックス100(重量平均分子量1740)等が用いられる。
α−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトA115(重量平均分子量833)が用いられる。
β−ピネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトS115(重量平均分子量1710)が用いられる。
d−リモネン重合体としては、理化ハーキュレス(株)製、商品名:ピコライトC115(重量平均分子量902)が用いられる。
前記スチレン系オリゴマーは単独で用いてもよいし、2種類以上を併用して用いることもできる。
【0011】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロオキサジン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
インドリノスピロベンゾオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5,7−ジフルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−ニトロジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−6′−クロロ−3,3−ジメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ブロモ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−ヨード−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−トリフルオロメチル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,6′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5′−フルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−シアノ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′,6′−ジフルオロ−1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−(メトキシカルボニル)メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−1−フェニルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,5−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−クロロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3,7′−テトラメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7′−メトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔4,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6′−クロロ−5−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−クロロ−1,3−ジメチル−3−エチル−5′−メトキシスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジエチル−1−メチル−5−ニトロスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′,6′−ジメチルスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
9″−ブロモ−1′−メトキシカルボニルメチル−5′−トリフルオロメチルジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′〔1′H〕,3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1−ベンジル−3,3−ジ−nブチル−7′−エチル−5−メトキシスピロ〔2H−インドール−1,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−n−ブチル−6′−ヨードジスピロ〔シクロヘプタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
3,3−ジメチル−9′−ヨード−1−ナフチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4′−シアノ−1′−(2−(メトキシカルボニル)エチル)ジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
7−メトキシカルボニル−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
4−ブロモ−3,3−ジエチル−9′−エトキシ−1−(2−フェニル)エチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
6−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エチル−9−フルオロ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−ベンジル−6″−ヨードジスピロ〔シクロペンタン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
5−エトキシ−1,3,3−トリメチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メチル−5′−トリクロロメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H),3″−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1,3−ジエチル−3−メチルスピロ〔2H−インドール−2,3′−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕、
1′−メトキシカルボニルメチルジスピロ〔シクロヘキサン−1,3′−〔3H〕−インドール−2′(1′H)−〔3H〕ピリド〔2,3−f〕〔1,4〕ベンゾオキサジン〕等、インドリノスピロベンゾオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0012】
インドリノスピロナフトオキサジン系化合物としては、
1,3,3−トリメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−ブロモ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5−テトラメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロピル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−iso−ブチル−スピロインドリンナフトオキサジン、 1,3,3−トリメチル−5−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−n−プロポキシ−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−シアノ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−プロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−iso−ブチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−n−オクタデシル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−8′−スルホン酸ナトリウム−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−メトキシスピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5−トリフルオロ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1−(4′−メチルフェニル)−3,3−ジメチル−スピロナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(2,3−ジヒドロ−1−インドリノ)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−6−トリフルオロメチル−6′−(1−ピペリジニル)−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−ベンジル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−クロロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−エチル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、1−イソプロピル−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フェノキシエチル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−9′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3−ジメチル−3−エチル−8′−ヒドロキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、1,3,3,5−テトラメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−5′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−5′−メトキシ−6′−トリフルオロメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3−トリメチル−4−トリフルオロメチル−9′−メトキシ−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,5,6−テトラメチル−3−エチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1,3,3,5,6−ペンタメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−メチル−3,3−ジフェニル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(4−メトキシベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(3,5−ジメチルベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン、
1−(2−フルオロベンジル)−3,3−ジメチル−スピロインドリンナフトオキサジン等、インドリノスピロナフトオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0013】
インドリノスピロフェナントロオキサジン系化合物の例としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンフェナントロオキサジン、1,3,3−トリメチル−5−クロロ−スピロインドリンフェナントロオキサジン等、インドリノスピロフェナントロオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0014】
インドリノスピロキノリノオキサジン系化合物としては、1,3,3−トリメチル−スピロインドリンキノリノオキサジン等、インドリノスピロキノリノオキサジンのインドール環及びベンゼン環のハロゲン、メチル、エチル、メチレン、エチレン、水酸基等の各置換体を例示することができる。
【0015】
前記フォトクロミック化合物のうち、スピロピラン誘導体を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,3,3−トリメチルインドリノベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ブロモベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−8′−メトキシベンゾピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−β−ナフトピリロスピラン、1,3,3−トリメチルインドリノ−6′−ニトロベンゾピリロスピラン等を例示することができる。
【0016】
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーの重量比は、1:1〜1:10000であることが好ましく、より好ましくは1:5〜1:500である。
前記重量比を満たすことによって、耐光性向上効果に優れ、且つ、フォトクロミック化合物は十分な発色濃度を示すことができる。
【0017】
前記フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーからなるフォトクロミック材料中には、水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加することにより、耐光堅牢性及び発色濃度を阻害するとなく発消色時の変色時間を調節することができる。
前記有機化合物としては、炭素数8以上の脂肪族一価アルコール、炭素数8以上の脂肪族二価アルコール、炭素数7以上の芳香族アルコール、炭素数7以上の脂肪族エステル、炭素数7以上の芳香族エステル、炭素数6以上の脂肪族カルボン酸、炭素数6以上の芳香族カルボン酸が挙げられる。
前記化合物として具体的には、n−オクチルアルコール、n−デシルアルコール、n−ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、n−ドデシルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、オクタデカン−2−オール、シクロドデカノール、ヘキサン1,6−ジオール、コレステロール、p−クロロベンジルアルコール、p−メチルベンジルアルコール、エチレングリコール#4000、ポリエチレングリコール#6000、オレイルアルコール、ポリオール(水酸基を有するオリゴマー)、水酸基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルD−6011、同KR−1840〕等のアルコール類。
カプロン酸n−オクチル、カプロン酸ミリスチル、カプリル酸n−ヘプチル、カプリル酸n−ブチル、ラウリン酸n−ブチル、ラウリン酸ラウリル、ミリスチン酸n−ブチル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸n−アミル、パルミチン酸メチル、パルミチン酸ステアリル、ステアリン酸n−ヘキシル、ステアリン酸n−オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸セチル、ベヘン酸n−ブチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸3−メチルブチル、ベヘン酸2−メチルペンチル、ステアリン酸ネオペンチル、ステアリン酸イソブチル、ピバリン酸ステアリル、ベヘン酸ベンジル、パルミチン酸4−メチルベンジル、安息香酸セチル、安息香酸ステアリル、フェノキシ酢酸ステアリル、サリチル酸ミリスチル、2−ナフトエ酸ステアリル、p−メトキシ安息香酸ステアリル、ステアリン酸シクロヘキシル、プロピオン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、オクタメチレンジカルボン酸ジミリスチル、オクタメチレンジカルボン酸ジブチル、アジピン酸ジミリスチル、アジピン酸ジステアリル、セバシン酸ジミリスチル、テレフタル酸ジエチル、レブリン酸ステアリル、ステアリン酸テトラヒドロフルフリル、12−ヒドロキシステアリン酸n−ブチル、ブタン−1,2,3,4−テトラドデシルエステル、リンゴ酸ジラウリル、酒石酸ジ−n−オクチル、安息香酸フェニル、安息香酸ベンジル、トリラウリン、トリミリスチン、トリステアリン、エステル基を有するアクリル樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−100〕等のエステル類。 カプロン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2−エチル−ヘキサデカン酸、p−tert−ブチル安息香酸、ベンジル酸、p−アミノ安息香酸、1,16−ヘキサデカメチレンジカルボン酸、セバシン酸、カルボキシル基を有するロジン系樹脂オリゴマー〔荒川化学工業(株)、商品名:パインクリスタルKE−604、同KR−85〕等のカルボン酸類を例示できる。
【0018】
本発明のフォトクロミック材料には、ヒンダードアミン系光安定剤を添加して耐光性を更に向上させることもできる。
ヒンダードアミン系化合物としては下記一般式(1)で示される化合物が好適であるが、本発明はこれらの化合物に限定されるものではない。
【化1】

(式中、Rは炭素数1乃至30のアルキル基を示し、R、R、R、Rはそれぞれ炭素数1乃至5のアルキル基を示し、nは1以上の整数を示し、Rはn価の有機残基を示す。)
一般式(1)で示される化合物としては、
ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、
2−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2−n−ブチルマロン酸ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)、
テトラキス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)−1,2,3,4−ブタンテトラカルボキシレート、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ〔5.5〕ウンデカンとの混合エステル化物、
1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸と1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジノール及び1−トリデカノールとの混合エステル化物、
1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル−メタクリレート、
N,N′,N′′,N′′′−テトラキス−(4,6−ビス−(ブチル−(N−メチル−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−4−イル)アミノ)−トリアジン−2−イル)−4,7−ジアザデカン−1,10−ジアミン、
N−メチル−3−ドデシル−1−(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペレジニル)ピロリジン−2,5−ジオン等を例示することができる。
【0019】
前記したフォトクロミック材料は、そのままの適用でも有効であるが、マイクロカプセルに内包させてフォトクロミックマイクロカプセル顔料を形成したり、熱可塑性又は熱硬化性樹脂中に分散してフォトクロミック樹脂粒子を形成することもできる。
マイクロカプセル化は、従来より公知の界面重合法、in Situ重合法、液中硬化被覆法、水溶液からの相分離法、有機溶媒からの相分離法、融解分散冷却法、気中懸濁被覆法、スプレードライング法等があり、用途に応じて適宜選択される。更にマイクロカプセルの表面には、目的に応じて更に二次的な樹脂皮膜を設けて耐久性を付与させたり、表面特性を改質させて実用に供することもできる。
前記マイクロカプセル顔料は、粒子径が0.5〜30μm、好ましくは1〜30μm、より好ましくは5〜20μmのものが、発色性、耐久性等の面で有効である。ここで、粒子径=(長径+短径)/2により求められる平均的な粒子径をいう。
【0020】
本発明の複合繊維は、外径10〜300μmのものが好適に用いられ、好ましくは50〜150μm、より好ましくは60〜100μmの範囲のものが有効である。
【0021】
前記のようにして得られるフォトクロミック複合繊維は、短繊維、撚糸、加工糸、紡績糸、更にはそれらから構成される各種繊維及び繊維加工体といったフォトクロミック製品に利用できる。
前記フォトクロミック製品として具体的には、人形又は動物形象玩具用毛髪、衣類、帽子、鞄、靴等の人形用付属品、アクセサリー玩具、ぬいぐるみ、乗物、動物、植物、建築物、食品等を模した玩具、肌着、Tシャツ、ポロシャツ、ワイシャツ、スーツ、ジヤケツト、ジヤンバー、コート、トレーナー、セーター、カーデイガン、ベスト、ブラウス、ドレス、スカート、ズボン、和服、レインコート、スキーウェア、靴下、手袋、スカーフ、シヨール、マフラー、帽子、耳あて、ネクタイ、ベール、足袋、ベルト等の被服、靴、靴紐、スリッパ等の履物、ハンカチ、タオル、ふろしき、手拭等の布製身の回り品、絨毯、カーテン、カーテン紐、テーブル掛け、敷物、クッション、造花等の屋内装飾品、毛布、シーツ、膝掛け、布団、布団カバー、枕、マットレス等の寝具、リボン、スカーフ、つけひげ、つけまつげ、かつら、ヘアーピース等のアクセサリー、鞄、紐、ロープ、刺繍糸、釣糸、歯ブラシ、カイロ、財布、傘、壁装用生地、レース、クロス、のれん、帆布、テント、リユツクサツク、パラシユート、網、ナプキン、ランプシエード、間仕切りスクリーン等を例示できる。
更に、前記フォトクロミック製品とステンシルを組み合わせてフォトクロミック製品セットとすることにより、フォトクロミック製品に該ステンシルによる抜き型の像を簡易に形成することができ、装飾性に優れたフォトクロミック製品セットが得られる。
【実施例】
【0022】
本発明のフォトクロミック複合繊維について例示する。
なお、実施例中の配合は重量部を示す。
【0023】
実施例1
有機フォトクロミック化合物〔スピロナフトオキサジン系化合物(商品名:#3PURPLE、記録素材総合研究所製)〕1部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA5、理化ハーキュレス製、重量平均分子量317)10部からなるフォトクロミック材料3部を、融点180℃のナイロン12(97部)と共にエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、芯部用の可逆光変色性ペレットを得た。
前記可逆光変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出機に供給し、各々を溶融温度200℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて芯部と鞘部の比率が6:4の割合で18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
得られたフォトクロミック複合繊維は、光沢性に富み、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変化した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の白色となった。この色変化は繰り返し行うことができた。
【0024】
実施例2
可逆光変色性マイクロカプセル顔料の調製
有機フォトクロミック化合物〔スピロナフトオキサジン系化合物(商品名:#3PURPLE、記録素材総合研究所製)〕2部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA5、理化ハーキュレス製、重量平均分子量317)50部からなるフォトクロミック材料を均一に加温溶解し、芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部を加え、ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散した後、加温して可逆光変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離法により可逆光変色性マイクロカプセル顔料を単離した。
前記可逆光変色性マイクロカプセル顔料10部、分散剤1部、融点180℃のナイロン12(89部)をエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、芯部用の可逆光変色性ペレットを得た。
前記可逆光変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出機に供給し、各々を溶融温度200℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて芯部と鞘部の比率が6:4の割合で18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
得られたフォトクロミック複合繊維は、光沢性に富み、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変化した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の白色となった。この色変化は繰り返し行うことができた。
【0025】
実施例3
可逆光変色性マイクロカプセル顔料の調製
有機フォトクロミック化合物〔スピロナフトオキサジン系化合物(商品名:#3PURPLE、記録素材総合研究所製)〕2部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA5、理化ハーキュレス製、重量平均分子量317)43部、ラウリルアルコール1部、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート5部からなるフォトクロミック材料を均一に加温溶解し、芳香族多価イソシアネートプレポリマー20部を加え、ポリビニルアルコール水溶液中で乳化分散した後、加温して可逆光変色性マイクロカプセル顔料懸濁液を得た。
前記懸濁液を遠心分離法により可逆光変色性マイクロカプセル顔料を単離した。
前記可逆光変色性マイクロカプセル顔料10部と、分散剤1部と、融点180℃のナイロン12(89部)をエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、芯部用の可逆光変色性ペレットを得た。
前記可逆光変色性ペレットを芯部成形用押出機に供給し、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出機に供給し、各々を溶融温度200℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて芯部と鞘部の比率が6:4の割合で18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
得られたフォトクロミック複合繊維は、光沢性に富み、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変化した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の白色となった。この色変化は繰り返し行うことができた。
【0026】
実施例4
有機フォトクロミック化合物〔スピロナフトオキサジン系化合物(商品名:#3PURPLE、記録素材総合研究所製)〕1部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA5、理化ハーキュレス製、重量平均分子量317)10部からなるフォトクロミック材料3部と、融点150℃のポリアミド樹脂(ナイロン6−12共重合体)97部を共にエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、鞘部用の可逆光変色性ペレットを得た。
前記光変色性ペレットを鞘部成形用押出機に、融点150℃のポリアミド樹脂(ナイロン6−12共重合体)を芯部成形用押出機に、それぞれ供給し、各々を溶融温度170℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて芯部と鞘部の比率が6:4の割合で18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
得られたフォトクロミック複合繊維は、光沢性に富み、太陽光に晒す前は白色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変化した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の白色となった。この色変化は繰り返し行うことができた。
【0027】
実施例5
有機フォトクロミック化合物〔スピロナフトオキサジン系化合物(商品名:#5PINK、記録素材総合研究所製)〕1部、スチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA75、理化ハーキュレス製、重量平均分子量917)10部からなるフォトクロミック材料3部と、融点180℃のナイロン12(97部)を共にエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、鞘部用の可逆光変色性ペレットを得た。
非変色性青色顔料1部、分散剤1部、ナイロン12(98部)を共にエクストルーダ−にて200℃で溶融混合し、芯部用のペレットを得た。
前記芯部用のペレットを芯部成形用押出機に、前記鞘部用の可逆光変色性ペレットを鞘部成形用押出機に、それぞれ供給し、各々を溶融温度200℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて芯部と鞘部の比率が6:4の割合で18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
得られたフォトクロミック複合繊維は、光沢性に富み、太陽光に晒す前は青色であったが、太陽光に晒したところ、紫色に変化した。その後、室内で暫く放置したところ、紫色は消えて元の青色となった。この色変化は繰り返し行うことができた。
【0028】
比較例1
実施例1の可逆光変色性ペレット中にスチレン−α−メチルスチレン系共重合体(商品名:ピコラスチックA5、理化ハーキュレス製、重量平均分子量317)を含まない以外は同様の方法により芯部用の可逆光変色性ペレットを作製した。
前記可逆光変色性ペレットを芯部成形用押出機に、ナイロン12ナチュラルペレットを鞘部成形用押出機に、それぞれ供給し、各々を溶融温度200℃にて、複合繊維紡糸装置を用いて18孔の吐出孔より紡出し、延伸倍率3倍により巻き取り、1260デニール/18フィラメントの延伸糸を得た。
【0029】
実施例1乃至3及び比較例1のフォトクロミック複合繊維を用いて、以下の試験を行った。
発色濃度試験
繊維上の10cmの位置から1分間光照射〔東芝ライテック(株)製、電球形蛍光ランプ、商品名:ネオボール5ブラックライトEFD15BLB〕した後、色差計〔TC−3600、東京電色株式会社製〕にて、明度値(Y値から換算)を測定した。
なお、明度値は数字が大きい程、色濃度が低く、小さい程、色濃度が高い。
【0030】
消色速度試験
前記発色濃度試験と同様にして光照射した各繊維を、直ちに暗所(25℃)で放置し、光照射前の色濃度になる迄の時間を測定した。
なお、測定は1分毎に室内(25℃、照度300lux)で確認した。
【0031】
耐光性試験
各繊維を卓上型耐光性試験機(SUNTEST CPS、ヘレウス社製)を用いて照度140000luxにて30分、1時間、2時間、3時間、光照射した後、色濃度を目視にて確認した。
【0032】
以下の表に発色濃度試験、消色速度試験、及び、耐光性試験結果を示す。
【0033】
【表1】

【0034】
なお、表中の耐光性試験の評価に関する記号は以下のとおりである。
◎:初期と比較して100〜80%の色濃度を保持している。
○:初期と比較して80〜60%の色濃度を保持している。
△:初期と比較して60〜40%の色濃度を保持している。
×:初期と比較して40〜20%の色濃度を保持している。
【0035】
応用例1
実施例1のフォトクロミック複合繊維を、常法により人形の頭部に植毛した人形玩具(フォトクロミック製品)は、植毛後も前記繊維が良好な着色濃度での色変化と優れた光沢感を有するものであり、擬毛としての外観、触感と持久性を備え、光変色機能も持続して発現できる、人形や動物玩具の毛髪に適したものであった。
【0036】
応用例2
実施例5のフォトクロミック複合繊維を縫製したかつら(フォトクロミック製品)は、良好な着色濃度での色変化と優れた光沢感を有するものであり、擬毛としての外観と適度な触感と持久性を備え、光変色機能も持続して発現できる、かつらに適したものであった
【0037】
応用例3
前記応用例1で得た人形玩具(フォトクロミック製品)と、ステンシルを組み合わせた玩具セット(フォトクロミック製品セット)は、頭髪部にステンシルを載置して日光を晒したところ、ステンシルによる抜き型の像を簡易に形成でき、あたかも型紙捺染を施したような効果が得られる装飾性に優れたものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱可塑性樹脂からなる樹脂相(A)と、熱可塑性樹脂からなる樹脂相(B)が接合された複合繊維であって、前記樹脂相(A)又は樹脂相(B)中にスピロオキサジン誘導体又はスピロピラン誘導体から選ばれるフォトクロミック化合物を、重量平均分子量が200乃至6000のスチレン系オリゴマーに溶解してなるフォトクロミック材料を含有してなるフォトクロミック複合繊維。
【請求項2】
樹脂相(A)を芯部とし、樹脂相(B)を鞘部とする芯鞘型の複合繊維である請求項1記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項3】
樹脂相(A)中にフォトクロミック材料を含有してなる請求項2記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項4】
樹脂相(A)中に非変色性着色剤を含有してなり、樹脂相(B)中にフォトクロミック材料を含有してなる請求項2記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項5】
前記フォトクロミック化合物と、スチレン系オリゴマーの重量比が1:1〜1:10000である請求項1乃4のいずれかに記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項6】
前記スチレン系オリゴマーの重量平均分子量が200乃至4000である請求項1乃5のいずれかに記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項7】
フォトクロミック材料中に水酸基、エステル基、カルボキシル基から選ばれる少なくとも一以上の官能基を有し、沸点が150℃以上であり、且つ、融点又は軟化点が150℃以下の有機化合物をスチレン系オリゴマー100重量部に対し、50重量部以下の割合で添加してなる請求項1乃至6のいずれかに記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項8】
前記フォトクロミック材料は、フォトクロミック化合物とスチレン系オリゴマーをマイクロカプセルに内包した材料、或いは、樹脂粒子中に分散した材料である請求項1乃至7のいずれかに記載のフォトクロミック複合繊維。
【請求項9】
請求項1乃至8のいずれかに記載のフォトクロミック複合繊維を用いたフォトクロミック製品。
【請求項10】
請求項9記載のフォトクロミック製品とステンシルとからなるフォトクロミック製品セット。

【公開番号】特開2006−233351(P2006−233351A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−47583(P2005−47583)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【出願人】(000111890)パイロットインキ株式会社 (832)
【Fターム(参考)】