説明

フォトニック粒子を用いて太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法、組成物

本発明は、太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法であって、1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む組成物を用いて前記物質を処理することに基づくか、あるいは前記フォトニック粒子の分散物を前記物質に混ぜ込むことに基づく、方法を提供する。特に、本発明は、物質(塗料、インク、皮膜など)、ポリマーから製造される物質、あるいは繊維材料(織物、紙など)、あるいは有機または無機ガラスなどを光防護する方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フォトニック粒子の分散物を用いて種々の物質を光防護する方法、および組成物ならびにヒトの角質物質を処理する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現在の光防護組成物は、様々なスクリーニング剤、特に可溶性または不溶性の有機遮蔽剤(organic screens)を組み合わせて用いている。前記遮蔽剤のそれぞれの吸収スペクトルは、紫外線スペクトル全体をカバーするほど十分広いことはめったになく、組み合わせる必要がある。
【0003】
さらに、多数の可溶性有機遮蔽剤では、組成物に通常含まれる成分との適合性の問題が起こることがある。これは、特に他の有機遮蔽剤との相互作用または活性分子(酸化防止剤またはビタミンなど)との相互作用の結果として起こり、それらの光安定性が、完全に申し分のないものとはならないことがある。多数の特許がこの問題を解決することに関係しており、この問題がなくなっていないことを示している。
【0004】
化粧品以外の多数の工業分野でも、紫外線遮蔽剤を用いて紫外線照射(特に太陽放射)の影響から様々な物質を光防護している。
【0005】
このことは、紫外線照射に常時さらされる物体(建築材料、自動車工業に使用される材料、またはプラスチックパッケージ材料など)に施与するための保護皮膜配合物、塗料、またはインクに関して当てはまる。特に、着色剤配合物用の紫外線遮蔽剤の開発が行われており、その遮蔽剤は、透明で、光安定性があり、前記配合物中に含まれる通常の成分と適合性があり、かつ所望の耐光性を色に付与するのに有効である必要がある。
【0006】
このことは、プラスチック材料の製造に特に使用される貯蔵安定性のあるポリマー組成物に関しても当てはまる。そうした組成物の場合、ポリマーの製造および変形方法に特に適合するようにされた紫外線遮蔽剤の開発が求められており、特に、それらは押出時における高温に耐えることができなければならない。
【0007】
天然繊維および/または人造繊維および/または合成繊維工業では、特にポリアミド系繊維(ナイロンなど)の製造との関連で、前記繊維の製造方法と適合性のある広域スペクトルの光安定性紫外線遮蔽剤に関して開発が行われており、そのフィルターは、高温に強く、押出し時に紫外線防護性(UV protection)をもたせることができるものである。さらに、繊維との親和性、繊維との接着性が良好である(従って特に、頻繁な洗浄に対して良好な抵抗性を示す)紫外線遮蔽剤の開発が行われている。開発が行われている紫外線遮蔽剤は、織物繊維を十分に保護すると共に前記繊維に接する皮膚およびヒトの他の角質物質を十分に保護することも行わなければならない。
【0008】
無機ガラスまたは有機ガラス工業(特に、眼科学に用いられるガラス)では、広域スペクトルとなるもので(UVA領域とUVB領域で有効)、しかも光安定性があり、透明であって、様々なガラスの処理技法(ガラスマトリックスに定着させるか、または光防護皮膜を例えばポリカーボネートガラスに施与する方法など)と適合性のある紫外線遮蔽剤を開発している。
【0009】
出願の国際公開第06/136724号パンフレットは、格子を形成することができ、かつUVB、UVAおよび赤外線における光学的遮蔽特性を有する単分散粒子を用いることが周知であることを示している。その出願では、粒子は皮膚上に構造化されなければならない。
【0010】
J.Wangによる公表文献(Polym Int 57:509−514,2008)によると、著者らは様々な直径(95nm、114nm、134nm、142nmおよび150nm)の単分散のPMMA球体を製造した。各直径は、粒子が構造化されて格子になった場合の反射最大値(250nm、280nm、330nm、350nm、380nm)に対応する。
【0011】
出願の国際公開第08/007267号パンフレットは、メーキャップ用途および紫外線光防護用途における、構造化されてフォトニック結晶になることが可能な中空粒子の使用を記載している。
【0012】
特許である米国特許第6894086号明細書は、様々なフォトニック粒子、特に有色のもの、または可視スペクトルの外側の電磁放射線を反射するフォトニック粒子について記載している。
【0013】
出願である米国特許出願公開第2003/0116062号明細書および米国特許出願公開第2006/0002875号明細書は、フォトニック粒子を記載しているが、太陽の紫外線放射に対する光防護方法にそれらを使用してはいない。
【0014】
A.Steinによる公表文献(Chem Mater 2002,14,3305−3315)は、長波長のUVAスペクトル(374nm)に反射バンドのあるフォトニック粒子を開示している。
【0015】
E.Thomasによる公表文献(Nat Mat Vol 6,957−960,2008)は、明確な順序のある複数の反射ピークを含む反射スペクトルを有するゲルを開示している。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
UVAおよび/またはUVBスペクトルをカバーするのに使用でき、まったく無害であり、環境に対して不活性で、光安定性があり、かつ光反応性がない不溶性遮蔽物質であって、それらを含む組成物の他の成分との適合性の問題がなく、パッケージ材料の機械的性質を低下させるようなことはなく、またナノ粒子を放出することもなく、さらに可視光線を透過させるような、不溶性遮蔽物質を役立てることが求められている。
【0017】
紫外線照射を遮蔽し、かつ工業材料(上述したものなど)を光防護するようにした新規の物質を開発することも求められている。
【0018】
本発明は、こうした目的のすべてまたは一部を達成することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0019】
第1の例示的実施態様では、本発明は、太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法であって、1μm[マイクロメートル]〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含んでいて、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含んでおり、前記配列の回折スペクトルが250nm[ナノメートル]〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含んでいる組成物によって前記物質を処理することを含むか、あるいは前記フォトニック粒子の分散物を前記物質に混ぜ込むことを含む、方法を提供する。
【0020】
第2の例示的実施態様では、本発明は、1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含んでいて、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含んでおり、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含んでいる化粧料組成物を施与することを含む、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】マトリックスなしで凝集しているナノ粒子10を含むフォトニック粒子1を示す。
【図2】マトリックス20中に凝集しているナノ粒子(互いに接触している)を含む「直接オパール」型のフォトニック粒子を示す。
【図3】マトリックス20中に分散しているナノ粒子を含む「直接オパール」型のフォトニック粒子を示す。
【図4】本発明のフォトニック粒子を含んでいる様々な組成物の吸収スペクトルを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明との関連では、「回折する配列」という用語は、用途に応じて、紫外線を遮蔽し、かつ/または色を生み出し、かつ/またはスペクトル反射を変えるような仕方で、入射光を回折させる粒子または空隙の集まりを意味する。
【0023】
250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークが存在することは、配列が、250nm〜400nmの範囲の少なくとも1つの波長の光を1に等しい干渉次数で回折させ、それによって少なくとも部分的にそれを反射することを意味する。
【0024】
紫外線のそのような一次反射ピークは、続く順位の反射ピークがより短い波長側に位置し、したがって可視領域の外側にあることを示唆している。このため配列は無色になり、無色の組成物の製造が容易になる。このことは遮光剤用途の場合に好ましい。
【0025】
例を挙げれば、本発明による光防護方法に使用する組成物は、SPF指標が少なくとも10、好ましくは15、より好ましくは少なくとも30、45または60である。SPF指標(サンスクリーンプロテクションファクター(Sunscreen Protection Factor))は、論文「A new substrate to measure sunscreen protection factors throughout the ultraviolet spectrum」(J.Soc.Cosmet.Chem.,40,127−133(May/June 1989))で定義されている。
【0026】
組成物の配合は、例えば、250nm〜400nmの範囲の少なくとも1つの波長で、好ましくは前記範囲の全体にわたって、組成物の透過率が70%、60%、50%、40%、30%、20%、10%、5%以下、または好ましくは1%以下となるように選択する。遮蔽は、透過率が250nm〜400nmの範囲で低い場合にはいっそうよい。
【0027】
他の例示的実施態様によれば、本発明は、本発明の光防護方法を実施するための光防護組成物を提供する。そのような組成物は、上記の特性のいずれかを有している。
【0028】
他の例示的実施態様によれば、本発明は、本発明のフォトニック粒子を化粧的に許容される媒体中に分散させることを含む、化粧料組成物の製造方法を提供する。
【0029】
本発明の他の例示的実施態様は、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する方法、特に皮膚癌の出現の危険性を減らす方法に用いる組成物であって、
前記組成物が1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピーク含んでいる、組成物を提供する。
【0030】
この組成物は、逆のことを特に明記していない限り、以下に記載する本発明の化粧料組成物のあらゆる特性を示しうる。
【0031】
他の例示的実施態様によれば、本発明は、1μm[マイクロメートル]〜500μmの範囲、特に1μm〜300μmの範囲の平均粒径を有していて、中空ナノ粒子の、回折する配列を含んでいるフォトニック粒子を提供する。
【0032】
他の例示的実施態様では、本発明は、
・太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法;
・ヒトの角質物質を着色し、かつ/または明るくする方法;
・ヒトの角質物質のスペクトル反射を変える方法であって、
前記方法のそれぞれが、1μm〜500μmの範囲(特に1μm〜300μmの範囲)の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含んでいて、前記フォトニック粒子のそれぞれが中空ナノ粒子の、回折する配列を含んでいるような化粧料組成物を施与することを含む方法を提供する。
【0033】
本発明の他の例示的実施態様はまた、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する方法、特に皮膚癌の出現の危険性を減らす方法に用いるフォトニック粒子であって、フォトニック粒子が1μm〜500μmの範囲、特に1μm〜300μmの範囲の平均粒径を有しかつ中空ナノ粒子の、回折する配列を含む、フォトニック粒子を提供する。
【0034】
本発明の他の例示的実施態様は、ヒトの角質物質を太陽の紫外線照射から光防護する方法、特に皮膚癌の出現の危険性を減らす方法に用いる組成物であって、組成物が、1μm〜500μmの範囲(特に1μm〜300μmの範囲)の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、かつ中空ナノ粒子の、回折する配列を含む、組成物を提供する。本発明の他の例示的実施態様は、各粒子が2未満の形状係数を有するフォトニック粒子の分散物を含み、前記粒子が、熱架橋性、電子架橋性(electrocrosslinkable)または光架橋性のマトリックス中に空隙または単分散ナノ粒子の、回折する配列を含む、組成物(特に化粧料組成物)を提供する。
【0035】
更なる例示的実施態様によれば、本発明は、
・太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法;
・ヒトの角質物質を着色し、かつ/または明るくする方法;
・ヒトの角質物質のスペクトル反射を変える方法であって、
前記方法のそれぞれが、前記角質物質に、各粒子が2未満の形状係数を有するフォトニック粒子の分散物を含んでいる化粧料組成物を施与することを含み、前記粒子が、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に空隙または単分散ナノ粒子を含んでいる回折する配列を含む方法を提供する。
【0036】
本発明の他の例示的実施態様は、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する方法、特に皮膚癌の出現の危険性を減らす方法に用いる組成物であって、
前記組成物が、各粒子が2未満の形状係数を有するフォトニック粒子の分散物を含み、前記粒子が熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に空隙または単分散ナノ粒子の回折する配列を含んでいる、組成物を提供する。
【0037】
他の例示的実施態様では、本発明は、
・上で規定するフォトニック粒子の分散物を含む少なくとも1種の組成物を前記インクまたは塗料あるいは前記皮膜に含有させることを含む、インク、塗料、または皮膜を光防護する方法;
・少なくとも1種の合成または天然ポリマーから製造された物質を光防護する方法であって、上で規定するフォトニック粒子の分散物を含んでいる組成物で前記ポリマーを処理することを含むか、または少なくとも前記組成物を前記物質に混ぜ込むことを含む、方法;
・有機または無機ガラスを光防護する方法であって、上で規定するフォトニック粒子の分散物を含んでいる少なくとも1種の組成物で前記ガラスを処理することを含むか、または少なくとも前記組成物を前記ガラスに混ぜ込むことを含む、方法;
・少なくとも天然繊維および/または人造繊維および/または合成繊維(織物または紙など)を含む物質を光防護する方法であって、上で規定するフォトニック粒子の分散物を含んでいる少なくとも1種の組成物で前記物質を処理することを含むか、または少なくとも前記組成物を前記物質に混ぜ込むことを含む、方法
を提供する。
【0038】
本発明のポリマー材料は、特に、半製品または物品にするために一般に高温下および圧力下で成形可能または加工可能なプラスチック材料である。
【0039】
前記物質に用いられるポリマーは、好ましくは次の3つの主なカテゴリーから選択される:
(i)熱可塑性プラスチック。例えば、
・アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)コポリマー;
・酢酸セルロース(CA)ポリマー;
・発泡ポリスチレン(EPS);
・ポリスチレン(PS);
・ポリアミド(PA);
・ポリブチレンテレフタレート(PBT);
・ポリエチレンテレフタレート(PET);
・ポリカーボネート(PC);
・ポリエチレン(PE);
・ポリプロピレン(PP);
・ポリメタクリル酸メチル(PMMA);
・ポリホルムアルデヒド(POM);
・ポリ酢酸ビニル(PVAC);
・ポリ塩化ビニル(PVC);
・スチレン−アクリロニトリル(SAN)コポリマーなど;
(ii)熱硬化性プラスチック。例えば、
・ポリエポキシド(EP);
・メラミン−ホルムアルデヒド(MF)コポリマー;
・フェノール−ホルムアルデヒド(PF)コポリマー;
・硬化ポリウレタン(PUR);
・尿素−ホルムアルデヒド(UF)コポリマー;
・不飽和ポリエステル
など。
(iii)テクニカルプラスチック(technical plastics)。例えば、
・ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)
など。
【0040】
挙げることのできる天然繊維の例は、例えば、次のとおりである。
・植物繊維(綿、アマの種子、大麻、ジュート、わら、またはラテックスなど)、
・動物繊維(羊毛、絹、モヘヤ、アンゴラ、カシミヤまたはアルパカなど)。
【0041】
人造繊維は一般に、天然物質(ラニタール用のミルクカゼイン、またはビスコース用の様々な植物(マツ樹皮、タケ、ダイズ、カバノキ)のセルロースなど)を化学処理する(溶解し、その後に析出させる)ことによって得る。こうした化学処理は、紡糸可能な(ダイの小さな孔を通過できる)製品を製造することを意図している。ダイの出口において、得られたフィラメントは、蚕糸のように一緒にして連続フィラメントにするか、または羊毛のように切断して不連続繊維にする。
【0042】
挙げることのできる人造繊維の例は、例えば、
・酢酸セルロース;
・三酢酸セルロース;および
・ビスコース
である。
【0043】
紡織繊維の具体例は以下のものである。
・ポリ乳酸;
・アクリル繊維;
・アラミド;
・エラステイン(elasthane)(Lycra(登録商標));
・クロロ繊維(chlorofiber);
・モダクリリック;
・ポリアミド;
・ポリベンゾイミダゾール;
・ポリエステル;
・ポリエチレン;
・ポリフェノール;および
・ポリ尿素/ポリウレタン。
【0044】
挙げることのできる本発明に用いるのに適したガラスの例は、ケイ酸塩系の従来の無機ガラス、光学用のガラス、眼科学用のガラス、特に有機ガラス(ポリカーボネート、例えばビスフェノールAポリカーボネートまたはアリルポリカーボネート、自動車工業に使用されるもの(フロントガラス)など)などである。
【0045】
フォトニック粒子
本発明との関連では、オパールとしても知られている。
【0046】
フォトニック粒子は、形状係数が2未満、特に1.75未満であってもよい。粒子が長円形である場合、形状係数は、その最大縦断寸法(largest longitudinal dimension)と最大横断寸法との比率を表す。フォトニック粒子は球形であってもよく、その場合の形状係数は1である。
【0047】
形状係数が2未満である場合、重なりうる平たい粒子と比べて、表面被覆率の点で有利でありうる。
【0048】
フォトニック粒子の平均粒径は、1μm〜500μmの範囲、例えば1μm〜300μmの範囲であってもよい。「平均粒径」という用語は、集団の半分における統計的粒度(statistical grain−size dimension)(D(0.5)と称される)を表す。
【0049】
本発明のフォトニック粒子は、マトリックスなしで凝集しているか、または任意のタイプのマトリックス中に分散している(例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している)、中実または中空ナノ粒子を含みうる。
【0050】
フォトニック粒子の重量含有率は、施与する前に、組成物の全重量を基準にして0.1%〜20%の範囲、好ましくは1%〜10%の範囲であってもよい。
【0051】
本発明のフォトニック粒子は、種々の実施形態にしたがって、以下に記載するように、直接オパール(direct opal)、逆オパールまたは擬似逆オパール(pseudo inverse opal)に分類されうる。
【0052】
フォトニック粒子は無色であってもよい。
【0053】
フォトニック粒子は、中実であっても中空であってもよい。
【0054】
直接オパール
「直接オパール」型のフォトニック粒子では、中実の(任意選択で複合の)ナノ粒子の配列が用いられる。
【0055】
フォトニック粒子は、マトリックスなしで凝集しているナノ粒子を含んでいてもよい。マトリックスなしで凝集しているナノ粒子10を含むそのようなフォトニック粒子1を図1に示す。
【0056】
そのような粒子を製造する第1の方法は、S−H Kim et alによる公表文献JACS,2006,128,10897−10904に記載されているように、油中水型エマルジョン(水性相が単分散ナノ粒子を含む)を得るステップと、その後のフォトニック粒子を得るステップ(得られたエマルジョンにマイクロ波を照射するステップを含む)を含みうる。
【0057】
S−M Yangによる公表文献Langmuir 2005,21,10416−10421に記載されているように、第2の製造ステップは、エレクトロスプレーのもとでSiOまたはポリスチレンナノ粒子を凝集させるステップを含みうる。
【0058】
「直接オパール」型のフォトニック粒子は、Li et alによる公表文献「Ordered macroporous titania photonic balls by micrometer−scale spherical assembly templating」(J.Mater.Chem.,2005,15,2551−2556)に記載されているような方法などでも得ることができる。
【0059】
「直接オパール」型のフォトニック粒子は、図2に示すようにマトリックス20中に凝集しているナノ粒子(互いに接触している)を含むこともでき、あるいは図3に示すようにマトリックス20中に分散しているナノ粒子を含むこともできる。
【0060】
上述のものに加えて幾つかの方法、特にHoneywellの出願である米国特許出願公開第2003/0148088号明細書に記載されている、ケイ素マトリックス中にSiO粒子を凝集させる方法が、前記フォトニック粒子の製造に好適でありうる。
【0061】
D.Pineによる公表文献Langmuir 2005,21,6669−6674に記載されているように、第2の方法は、PMMAナノ粒子のエマルジョンから凝集させるステップを含んでもよい。
【0062】
「直接オパール」型のフォトニック粒子は、光架橋性、電子架橋性または熱架橋性のマトリックス中に分散しているナノ粒子を含むことができる。
【0063】
光架橋性、電子架橋性または熱架橋性(特に光架橋性または熱架橋性)の有機マトリックスを使用するのが有利なのは、フォトニック粒子の光学的性質を変えるために、マトリックス中に含まれるナノ粒子間の距離を調節できるからである。この距離は、光架橋、電子架橋または熱架橋の前、特に光架橋または熱架橋の前の、有機マトリックス中に分散しているナノ粒子の重量分率に依存しうる。前記重量分率は、熱架橋、電子架橋または光架橋の前におけるナノ粒子の重量とマトリックスの重量との比率に等しい。
【0064】
本発明の好ましい実施態様では、ナノ粒子のこの分率は、1%〜90重量%の範囲、好ましくは5%〜60重量%の範囲である。
【0065】
この型のフォトニック粒子は、幾つかの乳化方法で得ることができ、例えば、S−H Kim et alによる公表文献Adv Mater 2008,9999,1−7に記載されている方法であって、UVのもとで光重合できる光架橋性ETPTA(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリラート)樹脂中に分散しているシリカ粒子を使用する方法、あるいはLi et alによる「Ordered macroporous titania photonic balls by micrometer−scale spherical assembly templating」(J.Mater.Chem.,2005,15,2551−2556)に記載されている方法で得ることができる。
【0066】
実施態様によっては、フォトニック粒子は、ケイ素マトリックス中で凝集しているポリスチレン(PS)のナノ粒子を含む。
【0067】
実施態様によっては、フォトニック粒子は、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のシリコーン樹脂中に分散しているポリスチレン(PS)のナノ粒子を含む。
【0068】
逆オパール
「逆オパール」型のフォトニック粒子は、ナノ粒子の代わりに孔を含む。
【0069】
これらは、例えば、か焼または酸加水分解(例えば、5%フッ化水素酸を使用)してナノ粒子を破壊した後(それにより、ナノ粒子の全部または一部の代わりに空間が残される)の直接オパールから得ることができる。破壊ステップにより、場合によっては、マトリックス中のナノ粒子の特徴である粒径が最高50%まで減少することがありうる。
【0070】
か焼(500℃または1000℃)は、有機ナノ粒子と無機マトリックスとをベースにしている直接オパールに対して実施してもよい。
【0071】
酸加水分解(例えば、フッ化水素酸溶液を使用)は、無機ナノ粒子と有機マトリックスとをベースにしているオパールに対して実施してもよい。
【0072】
逆オパールでは、ナノ粒子の占有体積とマトリックス(有機マトリックス、または無機マトリックス前駆体)の占有体積との比率が、99/1〜80/20の範囲で変わりうるが、それにより、逆オパールの表面多孔性が変わるという影響がある。そのような変化は、D.Pineによる公表文献F.Lange,Langmuir 2005,21,6669−6674で示されている。
【0073】
逆オパールは、マトリックス中に凝集または分散しているナノ粒子を含む直接オパールに関して説明した方法を用い、その後、例えばか焼または酸加水分解でナノ粒子を破壊するステップを実施して製造することができる。これは、例えば、以下の公表文献に記載されているようにして行いうる。
・A.Stein:Chem.Mater.2002,14,3305−3315。この文献では、オパールは、ZrO物品の場合は酢酸ジルコニウムマトリックス中の単分散粒子から、TiOオパールの場合はTiプロポキシドから、あるいはシリカオパールの場合はテトラメトキシシラン(TMOS)から製造される。か焼の後、PS粒子は空隙に変わる。次いで、最終物質を粉砕してオパール粉末を製造する。
・D.Pine,F.F.Lange:Langmuir,Vol 21,15,2005,6669−6674(乳化し、その後でPMMA粒子のか焼ステップを行う方法を用いた、球形のオパールの製造について記載)。オパールの多孔率は、TiアルコキシドとPMMA粒子の量との比率で制御される。
・F.F.Lange,Colloid Polym Sci(2003)282,7−13(Tiブトキシドの存在下でPMMAの粒子を乳化させ、次いでPMMA粒子をか焼することを記載)。
【0074】
もともと逆オパールは、更なる処理を施さなくても、多孔性物質であり、オパールの孔を満たすことができる媒体に応じて変化する光学的性質を有するものである。
【0075】
どんな媒体中でも光学的性質が保たれるようにするために、逆オパール構造を有するフォトニック粒子は、粒子が浸漬される媒体から守られるように被覆し密封することができる。
【0076】
前記被覆は、例えば、ポリマーまたはワックスを用いて実施してもよい。
【0077】
幾つかの方法が可能である。
・噴霧乾燥:原理は、フォトニック粒子を被覆する物質を、蒸発点(evaporation point)が100℃以下である揮発性溶剤(エタノール、アセトン、イソプロパノール、水など、またはそれらの混合物)中に溶かすかまたは分散させる(ラテックスの場合)というものである。その集合体を、溶剤または混合物が蒸発できる温度まで加熱したチャンバー内に噴霧すると、物質が付着して粒子が被覆される。それらは、そこからの回収のために周囲温度で容器内の空気流によって運ばれる。挙げることのできる例は、公表文献の「Effects of fabrication conditions on the characteristics of etamidazole spray dried microspheres」(Wang et al,J.Microencapsulation,2002,vol.19,No 4,495−510)である。
・空気流動床:空気流動床法(fluidized air bed)は、顆粒の乾燥および製造に頻用される方法である。穏やかな空気流を反応器の下部から導入する。懸濁液を噴霧器で製造チャンバー内に噴霧すると、懸濁液中の粒子が大きくなって、下部に落下する。そうすると、粒子を空気流で持ち上げることはできない。
【0078】
限定されるわけではないが、粒子の被覆用物質は以下から選択できる。
・融点が45℃より高いワックスおよび油脂(fats)で、特にカルナウバろう、蜜ろう、ステアリン酸ステアリル、ポリエチレンワックス、DI 18/22アジペート、テトラステアリン酸ペンタエリトリチル、テトラコンタニルステアレート(tetracontanyl stearate)、またはジオクタデシルカーボネート;
・セルロースおよびセルロース誘導体で、特にエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルセルロース、またはEthocel(登録商標)という商標で販売されているポリマー;
・分子量が10000g/mol[グラム/モル]〜80000g/molの範囲であるポリカプロラクトン;
・ポリ乳酸(PLA)および比率が90/10〜50/50の範囲にあるポリ乳酸−グリコール酸(PLAGA);
・ポリビニルアルコール;
・ポリビニルピロリドンと酢酸ビニルとのコポリマー;およびEudragit(登録商標)L100という商標で販売されているアクリル酸とメタクリル酸メチルとのコポリマー。
【0079】
フォトニック粒子のコアとそれと共に製造されるシェルとの重量比は、99.9/0.1〜80/20の範囲、好ましくは99/1〜90/10の範囲であってもよい。
【0080】
例示的実施態様では、マトリックスなしで凝集しているナノ粒子を含むフォトニック粒子は、任意選択により、皮膜で(例えば、上述のようにして)被覆することができる。
【0081】
擬似逆オパール
「擬似逆」型のフォトニック粒子は、マトリックスなしで凝集している中空ナノ粒子または任意のタイプのマトリックス中に分散している(例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している)中空ナノ粒子を含む。
【0082】
中空ナノ粒子の直接オパール(「擬似逆オパール」とも称される)を製造することには、中空ナノ粒子を使用しない直接オパールと比べて指標の差が大きくなるため光学効果が増大するという利点、被覆されていない逆オパールと比べて多孔率がゼロであるという利点、また粒子が分散している媒体に光学的性質が依存するという利点がある。
【0083】
中空ナノ粒子は、以下に記載するようなものであってもよい。
【0084】
ヤヌス(Janus)型フォトニック粒子
フォトニック粒子は、ヤヌス型のものであってもよい。すなわち、少なくとも1種の他のナノ粒子の回折する配列、さらには少なくとも2種類の他の回折する配列を含み、配列がそれぞれ独自の光学的性質(特に、異なる回折スペクトル)を有するものであってもよい。
【0085】
第1の例示的実施態様では、ある配列は中実ナノ粒子を含むことができ、別の配列は中実または中空ナノ粒子を含むことができる。
【0086】
変形形態では、ある配列は中空ナノ粒子を含むことができ、別の配列も中空ナノ粒子を含むことができる。
【0087】
粒子が複数の配列を含む場合、光防護の範囲を広くするために、それぞれの配列が、例えば、紫外線スペクトルの別の部分をカバーすることができる。
【0088】
複数の、回折する配列を含むフォトニック粒子は、S−H Kim et alによる公表文献Adv.Mater.2008,9999,1−7またはKim et alによる公表文献「Patterned colloidal photonic domes and balls derived from viscous photocurable suspensions」(Adv.Mater.2008,20,3211−3217)に教示されているようにして得ることができる。
【0089】
フォトニック粒子をその着色特性ゆえに(特に、顔色を均一にするために)少なくとも一部使用する場合、ナノ粒子の配列は、白色光で照らすと、それぞれ異なる色を生じうる。配列は、特に赤色、緑色および/または青色を生じうるので、それにより多数の色合い(特に、反射光の加算合成により白色)を得ることができる。
【0090】
例えば、観測角度が30°〜150°の範囲である場合に、可視スペクトルの反射率が620nm〜700nmの波長範囲で少なくとも50%であるときには、配列により赤色が反射される。緑色の場合、想定される波長範囲は490nm〜550nmであり、青色の場合は410nm〜490nmである。配列は、フォトニック粒子のそれぞれの様々なゾーン(例えば、向かい合った2つのゾーン、例えば球形であるフォトニック粒子における全く反対側の2つの半球体ゾーン)によって光を回折させうる。
【0091】
配列の1つは、少なくとも1つの一次反射ピークが250nm〜400nmの波長範囲にある回折スペクトルを有していてもよく、別の配列は少なくとも1つの一次反射ピークが250nm〜400nmの範囲または400nm〜700nmの範囲にある回折スペクトルを有していてもよい。
【0092】
フォトニック粒子の混合物
本発明の組成物は、単一型のフォトニック粒子、または少なくとも2種類の異なる型のフォトニック粒子(例えば、反射ピーク、特に一次ピークが、可視領域または紫外線領域内の異なる波長を中心にしているもの)の混合物を含みうる。
【0093】
組成物は、例えば、中実ナノ粒子を含むある型のフォトニック粒子と、中実であっても中空であってもよいナノ粒子を含む別の型のフォトニック粒子との混合物を含んでもよい。
【0094】
組成物は、例えば、中空ナノ粒子を含むある型のフォトニック粒子と、中空であってもよいナノ粒子を含む別の型のフォトニック粒子との混合物を含んでもよい。
【0095】
組成物は、例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックスを含むある型のフォトニック粒子と、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックスを含まない別の型のフォトニック粒子との混合物を含んでもよい。
【0096】
ナノ粒子
フォトニック粒子のナノ粒子は、平均粒径が100nm〜500nmの範囲、好ましくは100nm〜300nmの範囲であってもよい。「平均粒径」という用語は、集団の半分における統計的粒度分析粒度(statistical granulometric dimension)(D(0.5)と称される)を表す。
【0097】
ナノ粒子は形状が球形であってもよい。
【0098】
ナノ粒子は、15%単分散であるか、またはもっとよくてもよい。本発明で使用する「x%単分散」という用語は、変動係数(CV)がx%以下である平均粒径を有する粒子を意味する。変動係数(CV)は、
【数1】


という関係式で定義される。sは、粒径分布の標準偏差であり、Dはその平均粒径である。平均粒径Dおよび標準偏差sは、250個の粒子に関して、供給業者であるHITACHIの走査型電子顕微鏡(例えば、S−4500という参照記号のもの)を使用して得られた画像を分析することで、測定できる。画像解析ソフトウェアは、この測定を簡単にするために使用でき、例えば供給業者であるMitani CorporationのWinroof(登録商標)ソフトウェアを使用できる。好ましくは、単分散ナノ粒子の変動係数は、10%以下、より好ましくは7%以下、さらにより好ましくは5%以下、例えば、実質的に3.5%以下程度である。
【0099】
ナノ粒子は、中実であっても中空であってもよく、有機であっても無機であってもよい。
【0100】
ナノ粒子は、一体構造であっても、複合体であってもよい。
【0101】
単分散ナノ粒子が複合体である場合、それらは、例えば、異なる物質(例えば、有機物質および/または無機物質)から作られたコアおよびシェルを含んでもよい。
【0102】
無機ナノ粒子
ナノ粒子は、無機化合物を含んでもよく、さらには全体が鉱物質であってもよい。
【0103】
ナノ粒子が無機である場合、それらは、例えば、少なくとも1種の酸化物、特に金属酸化物を含んでもよく、例えば、シリカ、シリカ、鉄、チタン、アルミニウム、クロム、亜鉛、銅、ジルコニウムおよびセリウムといったものの酸化物、シリカ、およびそれらの混合物から選択される金属酸化物を含んでもよい。ナノ粒子は、金属、特にチタン、銀、金、アルミニウム、亜鉛、鉄、銅ならびにそれらの混合物および合金を含んでもよい。
【0104】
有機ナノ粒子
ナノ粒子は、有機化合物を含んでもよく、さらには全体が有機であってもよい。
【0105】
挙げることのできる、有機ナノ粒子を製造するのに好適でありうる物質は、ポリマー(特に炭素鎖またはシリコーン鎖を有するもの)で、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)、ポリアクリルアミド(PAM)、シリコーンポリマー、NAD(「非水性分散物」)(硬質NAD(例えば、96.7%のメタクリル酸メチルと3.3%のエチレングリコールジメタクリレートとから構成され、イソドデカン中で20%硬化されたもの(粒径:141nm)(多分散度Q=0.14);または90%のメタクリル酸メチルと10%のメタクリル酸アリルとから構成されたもの(粒径:170nm);またはメチルジメタクリレート100%のもの(粒径:138nm)(多分散度Q=0.15)など);あるいはポリ(メタクリル酸メチル/メタクリル酸アリル)、ポリ乳酸(PLA)、ポリ乳酸−グリコール酸(PLAGA)、セルロース類とその誘導体、ポリウレタン、ポリカプロラクトン、ラテックス形態、キチン、または複合キチン(composite chitin)物質である。
【0106】
有機ナノ粒子のガラス転移温度(T)は、40℃より高くてもよく、好ましくは60℃より高くてもよい。
【0107】
中空ナノ粒子
こうしたナノ粒子はコアとシェルを含む。シェルは有機であっても無機であってもよい。
【0108】
ナノ粒子のシェルは、例えばPSから形成されてもよく、粒子は、例えば有機マトリックス中で凝集していてもよい。
【0109】
ナノ粒子のシェルは、例えばPSから形成されていてもよく、粒子は、例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性の有機マトリックス中に分散していてもよい。
【0110】
前記中空ナノ粒子のコアは、異なる屈折率を有効活用するために、空気または空気以外の気体(例えば、CO、N、ブタン、またはイソブタン)で構成することができる。
【0111】
中空ナノ粒子内の空気または別の気体の存在を利用して、ナノ粒子と周囲の媒体との間の屈折率を大きくすることができる。屈折率が大きいと回折ピークの強度の点から見て好ましい。
【0112】
ナノ粒子が中空である場合、コアとシェルとの間で回折する波長における屈折率の差は、0.4以上であってもよい。前記回折波長は、250nm〜800nmの範囲、例えば250nm〜400nmの範囲であってもよい。ナノ粒子が中空である場合、コアの最大寸法とナノ粒子の最大寸法との比率は0.5〜0.8の範囲であってもよい。ナノ粒子が中空である場合、コアの体積は、ナノ粒子の全体積の10%〜80%の範囲、好ましくは20%〜60%の範囲を占める。
【0113】
中空ナノ粒子のシェルの厚さ(これは、ナノ粒子の最大寸法とナノ粒子のコアの最大寸法との差の半分に等しい)は、50nm〜200nmの範囲、例えば30nm〜100nmの範囲であってもよい。
【0114】
挙げることのできる中空ナノ粒子の例は、供給業者のJSR SX866(B)からの280nmナノ粒子である。
【0115】
ナノ粒子のコアは、任意選択で遮光剤または遮光剤混合物を含んでもよい。
【0116】
マトリックス
フォトニック粒子は、上述のように、任意のタイプのマトリックス中に凝集または分散している(例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している)中空または中実ナノ粒子、あるいは任意のタイプのマトリックス中に分散している(例えば、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している)空隙を含むことができる。
【0117】
マトリックスは有機であっても無機であってもよい。
【0118】
挙げることのできる有機マトリックスの非限定例としては、アクリルマトリックス(acrylic matrixes)(ポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはポリアクリルアミド(PAM))、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン(PCL)、ポリ酢酸ビニル(PVA)、ポリビニルエチルアセテート(polyvinylethyl acetate)(PVEA)、および融点が65℃[摂氏度]より高く(例えば、75℃より高く)かつ硬度が5MPaより大きい(好ましくは6MPa[メガパスカル]より大きい)ワックスの各マトリックスがある。
【0119】
特に、マトリックスは、熱架橋性であっても、光架橋性であっても、電子架橋性であってもよい。
【0120】
「光架橋性マトリックス」という用語は、架橋が、光(特にUV)によって引き起こされ、かつ/または助長されるマトリックスを意味する。
【0121】
「熱架橋性マトリックス」という用語は、架橋が、加熱によって(例えば、マトリックスを60℃より高い温度にすることによって)引き起こされ、かつ/または助長されるマトリックスを意味する。
【0122】
「電子架橋性マトリックス」という用語は、架橋が、電場をかけることによって引き起こされ、かつ/または助長されるマトリックスを意味する。
【0123】
マトリックスは、熱架橋性および光架橋性の両方であってもよい。
【0124】
フォトニック粒子は、熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している中実または中空ナノ粒子、あるいは熱架橋性、電子架橋性または光架橋性のマトリックス中に分散している空隙を含むことができる。
【0125】
熱架橋性または光架橋性のマトリックスは有機であってもよい。
【0126】
挙げることのできる架橋性有機マトリックスの非限定例は、以下のものである。
・ETPA(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、PEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、アクリル樹脂、PEGジアクリレート、または仏国特許第2833487号明細書に記載の物質などの光架橋性ポリマー;
・PVAまたはPVEAと、以下の式を有するスチリルピリジニウム:
【化1】

[式中、Rは、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し、R’は水素原子またはアルキル基を表す]
との付加環化重合(polycycloaddition)によって架橋される仏国特許第2848428号明細書に記載のコポリマー;
・特許の仏国特許第2910286号明細書に記載の反応性シリコーン、すなわち:
・次式を有するシロキサン単位:
【数2】

[式中、Rは、1〜30個の炭素原子を含む直鎖状または環状の一価の炭化水素基であり、
【数3】

は1または2に等しく、R’は、2〜10個の炭素原子を含む不飽和脂肪族炭化水素基または5〜8個の炭素原子を含む不飽和環状炭化水素基である]
を含むポリオルガノシロキサン;および/または
・次式を有する少なくとも1種のアルキルハイドロジェンシロキサン(alkylhydrogensiloxane)単位:
【数4】

[式中、Rは、1〜30個の炭素原子またはフェニル基を含む直鎖状または環状の一価の炭化水素基であり、
【数5】

は1〜2に等しい]
を含むポリオルガノシロキサン;および
・熱可塑性、熱架橋性、電子架橋性のポリマー。
【0127】
マトリックスの架橋は、出願の国際公開第2007/082061A2号パンフレットに記載されているように、例えばスクシンイミド類を用いた化学架橋であってもよい。
【0128】
光開始剤を必要とする光架橋性マトリックスの場合、光開始剤は例えば以下のリストから選択される: DMPA(ジメトキシ2−フェニルアセトフェノン)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−1−[4−(4−モルホリノフェニル]−1−ブタノン(Irgacure(登録商標)369という商標でCiba(登録商標)から販売)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(Sigma−Aldrich(登録商標)が販売)、2−ヒドロキシ−4’−(2−ヒドロキシエトキシ)−2−メチルプロピオフェノン(Sigma−Aldrich(登録商標)が販売)、2−ベンジル−2−(ジメチルアミノ)−4’−モルホリノブチロフェノン(Sigma−Aldrich(登録商標)が販売)、フェニルビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−ホスフィンオキシド(Sigma−Aldrich(登録商標)が販売)、イソプロピル−チオキサントン(Sigma−Aldrich(登録商標)が販売)、およびカンホロラクトン(camphorolactone)。
【0129】
PEGジアクリレートは、例えば、カンホロラクトンなどの光開始剤を用いて架橋できる。
【0130】
挙げることのできる無機マトリックスの例は、金属酸化物マトリックス、特にSiO、TiO、ZrOまたはCaCO、またはSiのマトリックスである。
【0131】
フォトニック粒子を含む媒体
フォトニック粒子は、化粧的に許容される媒体、すなわちヒトの角質物質(特に皮膚、粘膜、または毛髪または爪)に施与するのに適した無毒性の媒体に含有させることができる。
【0132】
前記媒体は、組成物をつける支持体の性質に合うように、また組成物がパッケージされる形態に合うようにされる。
【0133】
媒体は、フォトニック粒子を含んでいる相(25℃で液体である)を含むことができる。
【0134】
媒体は、フォトニック粒子が凝集するのを防ぐため、フォトニック粒子が媒体中に分散するのが容易になるようなもの(それを施与する前)を選択することができる。一例として、フォトニック粒子を含んでいる媒体の表面張力を35mN/m[1メートル当たりのミリニュートン]未満まで減少させるような1種または複数種の試剤を使用することも可能でありうる。
【0135】
媒体は、水性であってもよく、フォトニック粒子が水性相に含まれている。「水性媒体」という用語は、周囲温度および大気圧で液体であり、かつ媒体の全重量を基準にして含まれる水の割合が大きい媒体を表す。残りの部分は、化粧的に許容される水混和性有機溶媒(例えば、アルコール類またはアルキレングリコール類)を含むか、またはそれによって構成されていてもよい。水性媒体中の水の量は、例えば、30重量%以上、好ましくは40%、より好ましくは50%である。
【0136】
媒体は、単相であっても多相であってもよい。
【0137】
媒体は、アルコール(例えば、エタノールまたはイソプロパノールなど)を含んでも、グリコール誘導体(特にエチレングリコールまたはプロピレングリコール)を含んでもよい。
【0138】
媒体は、透明でも半透明でもよく、さらに色がついていてもいなくてもよい。フォトニック粒子を含む媒体は、顔料や着色剤を含んでいなくてもよい。媒体の着色は、さらなる着色剤を添加することによって起こることがある。
【0139】
媒体は、揮発性溶剤を含んでもよい。本発明との関連で使用する「揮発性溶剤」という用語は、周囲温度および大気圧において、角質物質と接触して蒸発することのできる任意の液体を意味する。
【0140】
媒体は特に、組成物が少なくとも5%、さらには少なくとも30%の揮発性溶剤を含むように選択できる。
【0141】
媒体は、防護持続性を向上させる皮膜形成ポリマーを含んでもよい。
【0142】
皮膜形成ポリマー
本発明では、「皮膜形成ポリマー」という用語は、それ自体で、または補助皮膜形成剤の存在下で、肉眼的に連続している、角質物質に付着する皮膜を形成でき、好ましくは粘着性皮膜、より好ましくは、例えば、Teflonまたはシリコーンの表面などくっつかない表面上にキャストすることによって前記皮膜が製造されるとき、前記皮膜を分離できかつ分離したまま操作できるような粘着性および機械的性質を持つ皮膜を形成できるポリマーを意味する。
【0143】
組成物は水性相を含んでもよく、皮膜形成ポリマーが前記水性相中に存在してもよい。その場合、それは好ましくは分散物ポリマーであるか、または両親媒性または結合性(associative)ポリマーである。
【0144】
「分散物ポリマー」という用語は、水に不溶性であって、様々な粒径の粒子形態のポリマーを意味する。ポリマーは、任意選択で硬化されていてもよい。平均粒径は、典型的には、25nm〜500nmの範囲、好ましくは50nm〜200nmの範囲である。以下の水性分散物のポリマーを使用できる:Ganz ChemicalのUltrasol 2075(登録商標)、Daito KaseiのDaitosol 5000AD(登録商標)、NoveonのAvalure UR 450(登録商標)、National StarchのDYNAMX(登録商標)、InterpolymerのSyntran 5760(登録商標)、Rohm&HaasのAcusol OP 301(登録商標)、およびAveciaのNeocryl A 1090(登録商標)。
【0145】
アクリル系分散液で、Neocryl XK−90(登録商標)、Neocryl A−1070(登録商標)、Neocryl A−1090(登録商標)、Neocryl BT−62(登録商標)、Neocryl A−1079(登録商標)およびNeocryl A−523(登録商標)という名称で供給業者のAVECIA−NEORESINSで販売されているもの、供給業者のDOW CHEMICALのDow Latex 432(登録商標)、供給業者のDAITO KASEY KOGYOのDaitosol 5000 AD(登録商標)またはDaitosol 5000 SJ(登録商標)、供給業者のInterpolymerのSyntran 5760(登録商標)、供給業者のROHM&HAASのAllianz OPT、アクリルポリマーまたはスチレン/アクリルポリマーの水性分散液で、JONCRYL(登録商標)という商品名で供給業者のJOHNSON POLYMERから販売されているもの、あるいはポリウレタンの水性分散液で、Neorez R−981(登録商標)およびNeorez R−974(登録商標)という名称で供給業者のAVECIA−NEORESINSから販売されているもの、供給業者のGOODRICHのものであるAvalure UR−405(登録商標)、Avalure UR−410(登録商標)、Avalure UR−425(登録商標)、Avalure UR−450(登録商標)、Sancure 875(登録商標)、Sancure 861(登録商標)、Sancure 878(登録商標)およびSancure 2060(登録商標)、供給業者のBAYERのImpranil 85(登録商標)、供給業者のHYDROMERのAquamere H−1511(登録商標)、Eastman AQ(登録商標)という商品名で供給業者のEastman Chemical Productsから販売されているスルホポリエステル(sulfopolyesters)、ビニル分散液(供給業者のCHIMEXのMexomere PAM(登録商標)など)、およびそれらの混合物は、水分散性(hydrodispersible)皮膜形成ポリマーの粒子の水性分散液の他の例である。
【0146】
「両親媒性または結合性ポリマー」という用語は、ポリマーを部分的に水溶性にする1つまたは複数の親水性部分と、ポリマーが結合または相互作用に用いる1つまたは複数の疎水性部分とを含むポリマーを意味する。以下の結合性ポリマーを使用してもよい: ElementisのNuvis FX1100(登録商標)、Rohm&HaasのAculyn 22(登録商標)、Aculyn 44(登録商標)、Aculyn 46(登録商標)、ならびにAmercholのViscophobe DB1000(登録商標)。親水性のブロック(ポリアクリレート、ポリエチレングリコール)および疎水性のブロック(ポリスチレン、ポリシロキサン)によって構成されたジブロックコポリマーを使用してもよい。
【0147】
組成物は油相を含んでもよく、皮膜形成ポリマーが前記油相中に存在してもよい。その場合、ポリマーは分散状態であっても溶液状態であってもよい。NADタイプのポリマーまたはミクロゲル(例えばKSG)を使用してもよく、さらにPS−PAタイプのポリマーまたはスチレン系のコポリマー(Kraton,Regalite)を使用してもよい。
【0148】
1種または複数種のシリコーン油および/または炭化水素油中にポリマー粒子(特に、ブロックポリマー、グラフトポリマーまたはランダムポリマー)を含む非水分散液であって、少なくとも1種の安定剤によってその表面で安定化させることができ、かつ挙げることのできるものの例は、イソドデカン中のアクリル分散液(供給業者のCHIMEXのMexomere PAP(登録商標)など)、および液状の油性(fatty)相中にグラフトエチレンポリマー(好ましくはアクリル系)の粒子を含む分散液であり、有利には、エチレンポリマーが更なる安定剤の非存在下で粒子の表面に分散しているものであり、そのようなものには、特に文献の国際公開第04/055081号パンフレット中に記載されているものなどがある。
【0149】
本発明の組成物に使用してもよい挙げることのできる皮膜形成ポリマーは、ラジカルタイプ(radical type)または重縮合タイプの合成ポリマー、天然起源のポリマー、およびそれらの混合物である。
【0150】
特に、ラジカルタイプの皮膜形成ポリマーは、ビニル系(vinyls)であるポリマーまたはコポリマー(特にアクリルポリマー)であってもよい。
【0151】
ビニル系皮膜形成ポリマーは、少なくとも1種の酸基および/または前記酸モノマーのエステルおよび/または前記酸モノマーのアミドを有する、エチレン性不飽和結合を含むモノマー(不飽和のα,β−エチレン性不飽和カルボン酸など、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはイタコン酸)を重合させることにより、得ることができる。
【0152】
天然起源のポリマー(任意選択で変性されている)は、シェラック樹脂、サンダラックゴム、ダンマー、エレミ、コーパル、およびセルロースポリマー(ニトロセルロース、エチルセルロースまたはニトロセルロースエステルなどで、例えば、酢酸セルロース、セルロースアセトブチレート、セルロースアセトプロピオネート、およびそれらの混合物から選択される)から選択できる。
【0153】
皮膜形成ポリマーは、水性分散液または油性の分散液中にある中実粒子の形(一般にラテックスまたは擬似ラテックス(pseudolatex)として知られる)で存在してもよい。皮膜形成ポリマーは、生理学的に許容される液状油性相中に、1種または複数種のポリマーである一般に球形のポリマー粒子を含んでいる、1種または複数種の安定分散物を含むことができる。こうした分散物は、水性ポリマー分散液であるラテックスとは違い、一般にポリマーNADと称される。こうした分散物は、前記油性相中にポリマーのナノ粒子が安定して分散した形であってもよい。ナノ粒子の粒径は、好ましくは5nm〜600nmの範囲である。前記分散物の製造法は、当業者によく知られている。
【0154】
組成物は、直鎖状のエチレン系皮膜形成ブロックポリマーである少なくとも1種の皮膜形成ポリマーを含んでもよい。前記ポリマーは、少なくとも1種の第1シーケンス(ブロック)と少なくとも1種の第2シーケンス(異なるガラス転移温度(Tg)を有するもの)を含むことができ、前記1シーケンスおよび第2シーケンスは、第1シーケンスの少なくとも1種の構成モノマーと第2シーケンスの少なくとも1種の構成モノマーとを含む中間シーケンスを介して結合される。一例として、第1および第2シーケンスならびにブロックポリマーは、互いに適合性がないことがある。そのようなポリマー、例えば、文献の欧州特許第1411069号明細書または国際公開第04/028488号パンフレット(これらを本明細書に援用する)に記載されている。
【0155】
油性相
フォトニック粒子を含有する組成物は油を含まなくてもよいが、本発明の実施態様によっては、組成物は油性相を含んでもよい。フォトニック粒子は、任意選択で前記油性相中に含有させることができる。
【0156】
油性相は、特に揮発性であってもよい。
【0157】
組成物は、油を含むことができ、油は、例えば、合成されたエステルまたはエーテル、鉱物起源または合成起源の直鎖状または分枝炭化水素、8〜26個の炭素原子を含む脂肪アルコール、部分フッ素化された炭化水素および/またはシリコーン油(シリコーン油はポリメチルシロキサン(PDMS)などで、任意選択で揮発性であってもよく、直鎖状または環状のシリコーン鎖を有し、周囲温度で液体またはペースト状であってもよい)、およびそれらの混合物などである。他の例を以下に示す。
【0158】
したがって本発明による組成物は、少なくとも1種の揮発油を含むことができる。
【0159】
揮発性油
本発明との関連において、「揮発性油」という用語は、周囲温度および大気圧において、皮膚に接すると1時間たたないうちに蒸発できる油(または非水性媒体)を意味する。
【0160】
揮発油は、揮発性の化粧用油であって、周囲温度において特に蒸気圧がゼロではない液体であり、周囲温度および大気圧において、特に蒸気圧が0.13Pa〜40000Pa(10−3mmHg〜300mmHg)の範囲、特に1.3Pa〜13000Pa(0.01mmHg〜100mmHg)の範囲、とりわけ1.3Pa〜1300Pa(0.01mmHg〜10mmHg)の範囲である。
【0161】
揮発性炭化水素油は、8〜16個の炭素原子、特にC〜C16分枝アルカン(イソパラフィンとも称する)を含む動物由来または野菜由来の炭化水素油から選択することができ、それには、イソドデカン(2,2,4,4,6−ペンタメチルヘプタンとも称する)、イソデカン、イソヘキサデカン、および、例えば、Isopars(登録商標)またはPermethyls(登録商標)という商品名で販売されている油などがある。
【0162】
さらに使用してもよい揮発性油の例は、揮発性シリコーンで、例えば直鎖状または環状の揮発性シリコーン油、特に、粘度が8センチストークス(8×10−6/s)以下であり、特に2〜10個のケイ素原子、特に2〜7個のケイ素原子を含むものである。前記シリコーンは、任意選択で1〜10個の炭素原子を含んでいるアルキルまたはアルコキシ基を含む。挙げることのできる本発明に使用できる揮発性シリコーン油の例は、粘度が5cSt〜6cStであるジメチコーン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘプタメチルヘキシルトリシロキサン、ヘプタメチルオクチルトリシロキサン、ヘキサメチルジシロキサン、オクタメチルトリシロキサン、デカメチルテトラシロキサン、ドデカメチルペンタシロキサン、およびそれらの混合物である。
【0163】
ノナフルオロメトキシブタンまたはパーフルオロメチルシクロペンタン、およびそれらの混合物などのフッ素化揮発性油を使用することも可能である。
【0164】
上述の油の混合物を使用することも可能である。
【0165】
不揮発性油
本発明の組成物は、不揮発性油を含むことができる。
【0166】
本発明との関連においては、「不揮発性油」という用語は、蒸気圧が0.13Pa未満の油、特に高分子量の油を意味する。
【0167】
不揮発性油は、特に、炭化水素油、フッ素化シリコーン油(適切な場合)、および/または不揮発性シリコーン油から選択できる。
【0168】
本発明を実施するのに好適でありうる不揮発性炭化水素油の例で、特に挙げることのできるものは以下の通りである。
・動物由来の炭化水素油;
・植物由来の炭化水素油で、植物ステアリル(phytostearyl)エステル、例えば植物ステアリルオレエート、植物ステアリルイソステアレートまたはラウロイル/オクチルドデシル/植物ステアリルグルタメート(例えば、ELDEW PS203という名称でAJINOMOTOから販売)、脂肪酸とグリセロールのエステルで構成されているトリグリセリド(ここで、脂肪酸はC〜C24の範囲の鎖長を有することができ、直鎖状であって分枝であってもよく、また飽和であっても不飽和であってもよい);前記油は特に、ヘプタン酸トリグリセリドまたはオクタン酸トリグリセリド、またはコムギ麦芽、ヒマワリ、ブドウ種、ゴマ、トウモロコシ、アンズ、ヒマシ油(castor)、シアバターノキ、アボガド、オリーブ、ダイズ、スイートアーモンド、ヤシ、セイヨウアブラナ、綿実、ハシバミ、マカダミアナッツ、ホホバ、アルファルファ、ケシ、北海道カボチャ、ウリ、クロフサスグリ、マツヨイグサ、キビ、大麦、キノア、ライ麦、ベニバナ、バンクーリエ(bancoulier)、トケイソウ、またはマスクローズの油;シアバター;またはカプリル酸/カプリン酸のトリグリセリド(供給業者のStearineries Duboisから発売されているもの、または供給業者のDynamit NobelからMiglyol 810(登録商標)、812(登録商標)および818(登録商標)という名称で販売されているものなど)など;
・鉱物起源または合成起源の炭化水素油で、例えば以下のものなど:
○ 10〜40個の炭素原子を含む合成エーテル;
○ 鉱物起源または合成起源の直鎖状または分枝炭化水素で、ワセリン、ポリデセン(polydecenes)、水添ポリイソブテン(パールリーム(parleam)など)、スクワランおよびそれらの混合物など、特に水添ポリイソブテン;および
○ 合成エステルで、式RCOOR[式中、Rは、1〜40個の炭素原子を含む直鎖状または分枝脂肪酸の残基を表し、Rは、1〜40個の炭素原子を含む炭化水素鎖(特に分枝のもの)を表す。ただし、R+R≧10である]を有する油など。
【0169】
エステルは、特に、例えば以下のようなエステル(特に脂肪酸のエステル)から選択することができる。
・オクタン酸セトステアリル、イソプロピルアルコールのエステル(ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピルなど)、パルミチン酸エチル、パルミチン酸2−エチルヘキシル、ステアリン酸イソプロピルまたはイソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ヒドロキシルエステル(hydroxyl esters)(乳酸イソステアリル、オクチルヒドロキシステアレート、アジピン酸ジイソプロピルなど)、アルコールまたは多価アルコールのヘプタノエート(特に、イソステアリルヘプタノエート)、オクタノエート、デカノエートまたはリシノレエート(プロピレングリコールジオクタノエート、セチルオクタノエート、トリデシルオクタノエート、2−エチルヘキシル4−ジヘプタノエートおよびパルミテート、アルキルベンゾエート、ポリエチレングリコールジヘプタノエート、プロピレングリコール2−ジエチルヘキサノエートおよびそれらの混合物など)、C12〜C15アルコールのベンゾエート、ラウリン酸ヘキシル、ネオペンタン酸エステル(ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオペンタン酸オクチルドデシルなど)、イソノナン酸エステル(イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸オクチルなど)、またはヒドロキシルエステル(乳酸イソステアリル、またはマレイン酸ジイソステアリルなど);
・ポリオールのエステル、およびペンタエリトリトールエステル(ジペンタエリトリトールテトラヒドロキシステアレート/テトライソステアレートなど);
・ジオール二量体と二塩基酸二量体とのエステルで、供給業者のNIPPON FINE CHEMICALから販売されているLusplan DD−DA5(登録商標)およびLusplan DD−DA7(登録商標)など(出願の仏国特許出願公開第0302809号明細書に記載);
・周囲温度において液体であり、12〜26個の炭素原子を含む分枝および/または不飽和の炭素鎖を有する脂肪アルコール(2−オクチルドデカノール、イソステアリルアルコール、オレインアルコール(oleic alcohol)、2−ヘキシルデカノール、2−ブチルオクタノール、または2−ウンデシルペンタデカノールなど);
・高級脂肪酸(オレイン酸、リノール酸、リノレン酸およびそれらの混合物など);および
・2つのアルキル鎖が場合により同一であるかまたは異なるジアルキルカーボネート(CognisからCetiol CC(登録商標)という名称で販売されている炭酸ジカプリリルなど);
・不揮発性シリコーン油。例えば、不揮発性ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ペンダントのアルキルまたはアルコキシ基を含み、かつ/またはシリコーン鎖末端を有する(それぞれの基が2〜24個の炭素原子を含む)ポリジメチルシロキサン、フェニルシリコーン(フェニルトリメチコーン、フェニルジメチコーン、フェニルトリメチルシロキシジフェニルシロキサン、ジフェニルジメチコーン、ジフェニルメチルジフェニルトリシロキサン、または2−フェニルエチルトリメチルシロキシシリケートなど)、あるいは粘度が100cSt以下であるジメチコーンまたはフェニルトリメチコーン、およびそれらの混合物など;
・ならびにそれらの混合物。
【0170】
フォトニック粒子を含有する組成物は油を含まなくてもよく、特に不揮発性油を含んでいなくてもよい。
【0171】
補足的遮蔽剤および添加剤
フォトニック粒子を含む組成物は、化粧品分野で標準的である補助剤から選択される少なくとも1種の添加剤を含むことができ、それには、充填剤、着色剤、親水性または親油性のゲル化剤、有効成分(水溶性または脂溶性のいずれか)、防腐剤、保湿剤(ポリオール、特にグリセリンなど)、金属イオン封鎖剤、酸化防止剤、溶剤、芳香剤、物理的および化学的遮光剤(特に、UVAおよび/またはUVBに対するもの)、臭気吸収剤(odor absorbers)、pH調節剤(酸または塩基)、およびそれらの混合物などがある。
【0172】
組成物は、酸化防止剤、美白剤(whitening agents)(色素沈着防止および脱色が関係している場合)、または老化防止有効成分など、太陽光防護の分野で補足的働きをする少なくとも1種の有効成分を含むことができる。
【0173】
更なる有機遮蔽剤(疎水性、親水性または通常の溶剤に不溶性のいずれか)は、様々な部類の化合物から選択できる。特に、有機遮蔽剤は、ジベンゾイルメタン誘導体;アントラニレート;桂皮酸誘導体(cinnamic derivatives);サリチル酸誘導体、樟脳誘導体;ベンゾフェノン誘導体;β,β−ジフェニルアクリレート誘導体;式(I)以外のトリアジン誘導体;ベンザルマロネート誘導体(特に、特許の米国特許第5624663号明細書に記載のもの);ベンズイミダゾール誘導体;イミダゾリン類;p−アミノ安息香酸(PABA)誘導体;ベンゾトリアゾール誘導体;出願の米国特許第5237071号明細書、米国特許第5166355号明細書、英国特許出願公開第2303549号明細書、独国特許出願公開第19726184号明細書および欧州特許第0893119号明細書に記載されているようなメチレンビス(ヒドロキシフェニルベンゾトリアゾール)誘導体;特許出願である欧州特許開第0832642号明細書、欧州特許出願公開第1027883号明細書、欧州特許出願公開第1300137号明細書および独国特許出願公開第0162844号明細書に記載されているようなベンゾキサゾール誘導体;ポリマー遮蔽剤およびシリコーン遮蔽剤(特に出願の国際公開第93/04665号パンフレットに記載されているものなど);α−アルキルスチレンから得られる二量体(特許出願である独国特許出願公開第19855649号明細書に記載されているものなど);4,4−ジアリールブタジエン(出願である欧州特許第0967200号明細書、独国特許出願公開第19746654号明細書、独国特許出願公開第19755649号明細書、欧州特許出願公開第1008586A号明細書、欧州特許出願公開第1133980号明細書および欧州特許第0133981号明細書に記載されているものなど);またはメロシアニン誘導体(出願の国際公開第04/006878号パンフレット、国際公開第05/058269号パンフレットおよび国際公開第06/032741号パンフレットに記載されているものなど)、およびそれらの混合物から選択される。
【0174】
1種または複数種の遮蔽剤は、以下の遮蔽剤から選択できる。
320nm〜400nmの範囲の紫外線(UVA)を吸収できる疎水性遮蔽剤
【0175】
ジベンゾイルメタン誘導体
ブチルメトキシジベンゾイルメタン(特に「PARSOL 1789」という商品名でDSM Nutritional Products,Incから販売されているもの);
・イソプロピルジベンゾイルメタン。
【0176】
アミノベンゾフェノン
n−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエート(BASFから「UVINUL A+」という商品名で販売されているもの)。
【0177】
アントラニル酸誘導体(Anthranilic derivatives)
アントラニル酸メンチル(SYMRISEから「NEO HELIOPAN MA」という商品名で販売されているもの)。
【0178】
4,4−ジアリールブタジエン誘導体
1,1−ジカルボキシ(2,2’−ジメチル−プロピル)−4,4−ジフェニルブタジエン。
【0179】
好ましい遮蔽剤は、ブチルメトキシジベンゾイルメタンおよびn−ヘキシル2−(4−ジエチルアミノ−2−ヒドロキシベンゾイル)ベンゾエートである。
【0180】
280nm〜320nmの範囲の紫外線(UVB)を吸収できる疎水性遮蔽剤
【0181】
p−アミノベンゾエート
エチルPABA;
エチルジヒドロキシプロピルPABA;
エチルヘキシルジメチルPABA(ISPのESCALOL 507)。
【0182】
サリチル酸誘導体
ホモサレート(「Eusolex HMS」という名称でRona/EM Industriesから販売されているもの);
・エチルヘキシルサリチレート(「NEO HELIOPAN OS」という名称でSYMRISEから販売されているもの);
・ジプロピレングリコールサリチレート(「DIPSAL」という名称でSCHERから販売されているもの);
・TEAサリチレート(「NEO HELIOPAN TS」という名称でSYMRISEから販売されているもの)。
【0183】
シンナメート
エチルヘキシルメトキシシンナメート(特に「PARSOL MCX」という商品名でDSM Nutritional Products,Incから販売されているもの);
・イソプロピルメトキシシンナメート;
・イソアミルメトキシシンナメート(「NEO HELIOPAN E 1000」という商品名でSYMRISEから販売されているもの);
・ジイソプロピルメチルシンナメート;
・シノキサート;
・グリセリルエチルヘキサノエートジメトキシシンナメート。
【0184】
β,β’−ジフェニルアクリレート誘導体
オクトクリレン(特に「UVINUL N539」という商品名でBASFから販売されているもの);
・エトクレリン(特に「UVINUL N35」という商品名でBASFから販売されているもの)。
【0185】
ベンジリデンカンファー誘導体
3−ベンジリデンカンファー(「MEXORYL SD」という商品名でCHIMEXによって製造されているもの);
・メチルベンジリデンカンファー(「EUSOLEX 6300」という商品名でMERCKから販売されているもの);
・ポリアクリルアミドメチルベンジリデンカンファー(「MEXORYL SW」という名称でCHIMEXによって製造されているもの)。
【0186】
トリアジン誘導体
エチルヘキシルトリアゾントリアゾン(特に「UVINUL T150」という商品名でBASFから販売されているもの);
・ジエチルヘキシルブタミドトリアゾン(「UVASORB HEB」という商品名でSIGMA 3Vから販売されているもの);
・2,4,6−トリス(ジネオペンチル4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン;
・2,4,6−トリス−(ジイソブチル4’−アミノベンザルマロネート)−s−トリアジン;
・2,4−ビス(ジネオペンチル4’−アミノベンザルマロネート)−6−(4’−n−ブチルアミノベンゾエート)−s−トリアジン;
・2,4−ビス(n−ブチル4’−アミノベンゾエート)−6−(アミノプロピルトリシロキサン)−s−トリアジン;
・対称トリアジン遮蔽剤(特許の米国特許第6225467号明細書、出願の国際公開第2004/085412号パンフレット(化合物6〜9を参照)または文献の「Symmetrical Triazine Derivatives」(IP.COM Journal,IP.COM INC WEST HENRIETTA,NY,US(20 September 2004))に記載されているもの)、特に、2,4,6−トリス(ビフェニル)−1,3,5−トリアジン(特に、2,4,6−トリス(ビフェニル−4−イル−1,3,5−トリアジン)および2,4,6−トリス(テルフェニル)−1,3,5−トリアジン(これは、BEIERSDORFによって出願された国際公開第06/035000号パンフレット、国際公開第06/034982号パンフレット、国際公開第06/034991号パンフレット、国際公開第06/035007号パンフレット、国際公開第2006/034992号パンフレット、国際公開第2006/034985号パンフレットに記述されている))。
【0187】
イミダゾリン誘導体
エチルヘキシルジメトキシベンジリデンジオキソイミダゾリンプロピオネート。
【0188】
ベンザルマロネート誘導体
ベンザルマロネート官能基を有するポリオルガノシロキサン(「PARSOL SLX」という商品名でDSM Nutritional Products,Incから販売されているポリシリコン−15など);
・ジ−ネオペンチル4’−メトキシベンザルマロネート。
【0189】
メロシアニン誘導体
オクチル−5−N,N−ジエチルアミノ−2−フェニルスルホニル−2,4−ペンタジエノエート。
【0190】
好ましい遮蔽剤は、ホモサレート、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、エチルヘキシルメトキシシンナメートv、イソアミルメトキシシンナメート、エチルヘキシルトリアゾン、およびジエチルヘキシルブタミドトリアゾンである。
【0191】
もっとも好ましい化合物は、エチルヘキシルサリチレート、オクトクリレン、エチルヘキシルトリアゾンおよびエチルヘキシルメトキシシンナメートである。
【0192】
UVAとUVBの両方を吸収できる混合疎水性遮蔽剤
ベンゾフェノン誘導体
ベンゾフェノン−1(「UVINUL 400」という商品名でBASFから販売されているもの);
・ベンゾフェノン−2(「UVINUL D50」という商品名でBASFから販売されているもの);
・ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン(「UVINUL M40」という商品名でBASFから販売されているもの);
・ベンゾフェノン−5;
・ベンゾフェノン−6(「Helisorb 11」という商品名でNorquayから販売されているもの)
ベンゾフェノン−8(「Spectra−Sorb UV−24」という商品名でAmerican Cyanamidから販売されているもの);
・ベンゾフェノン−10;
・ベンゾフェノン−11;
・ベンゾフェノン−12。
【0193】
フェニルベンゾトリアゾール誘導体
ドロメトリゾールトリシロキサン(「Silatrizole」という名称でRHODIA CHIMIEから販売されているもの);
・メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール(固体形態で「MIXXIM BB/100」という商品名でFAIRMOUNT CHEMICALから販売されているか、水性分散液中の微粉形態で「TINOSORB M」という商品名でCIBA SPECIALTY CHEMICALSから販売されているもの)。
【0194】
ビス−レゾルシニルトリアジン誘導体
ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン(「TINOSORB S」という商品名でCIBA GEIGYから販売されているもの)。
【0195】
ベンゾキサゾール誘導体
2,4−ビス−[5−1(ジメチルプロピル)ベンゾキサゾール−2−イル−(4−フェニル)−イミノ]−6−(2−エチルヘキシル)−イミノ−1,3,5−トリアジン(Uvasorb K2Aという名称でSigma 3Vから販売されているもの)。
【0196】
好ましい遮蔽剤は以下のものである。
・ドロメトリゾールトリシロキサン;
・メチレンビス−ベンゾトリアゾリルテトラメチルブチルフェノール;
・ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン;および
・ベンゾフェノン−3またはオキシベンゾン。
【0197】
もっとも好ましいのは以下のものである。
・ドロメトリゾールトリシロキサン;および
・ビス−エチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン。
【0198】
320nm〜400nmの範囲の紫外線(UVA)を吸収できる水溶性遮蔽剤
テレフタリリデンジカンファー酸スルホン酸(「MEXORYL SX」という名称でCHIMEXによって製造されているもの)。
【0199】
特許の欧州特許第0669323号明細書および米国特許第2463264号明細書に記載のビス−ベンゾアゾリル(bis−benzoazolyl)誘導体、さらに詳しくは、「NEO HELIOPAN AP」という商品名でHaarmann and REIMERから販売されている化合物のフェニルジベンズイミダゾールテトラスルホン酸二ナトリウム。
【0200】
好ましい遮蔽剤は、テレフタリリデンジカンファー酸スルホン酸である。
【0201】
280nm〜320nmの範囲の紫外線(UVB)を吸収できる水溶性遮蔽剤
p−アミノ安息香酸誘導体(PABA)
PABA;
・グリセリルPABA;および
・PEG−25 PABA(「UVINUL P25」という名称でBASFから販売されているもの);
・フェニルベンズイミダゾールスルホン酸(特に「EUSOLEX 232」という商品名でMERCKから販売されているもの);
・フェルラ酸;
・サリチル酸;
・DEAメトキシシンナメート;
・ベンジリデンショウノウスルホン酸(「MEXORYL SL」という名称でCHIMEXが製造しているもの);
・カンファーベンザルコニウムメトサルフェート(camphor benzalkonium methosulfate)(「MEXORYL SO」という名称でCHIMEXが製造しているもの);および
・好ましい遮蔽剤はフェニルベンズイミダゾールスルホン酸である。
【0202】
UVAとUVBの混合水溶性遮蔽剤
少なくとも1つのスルホン基を含むベンゾフェノン誘導体
ベンゾフェノン−4(「UVINUL MS40」という商品名でBASFから販売されているもの);
・ベンゾフェノン−5;および
・ベンゾフェノン−9。
【0203】
好ましい遮蔽剤はベンゾフェノン−4である。
【0204】
本発明の1種または複数種の有機遮蔽剤は、本発明の組成物中に、全組成物の重量を基準にして0.1重量%〜15重量%の範囲、好ましくは0.2重量%〜10重量%の範囲の濃度で存在してもよい。
【0205】
無機の遮光剤または光防護物質
無機光防護剤は、任意選択で被覆されていてもよい金属酸化物顔料(一次粒子の平均粒径が、一般に5nm〜100nmの範囲、好ましくは10nm〜50nmの範囲である)から選択され、それには、酸化チタン顔料(非結晶またはルチルおよび/またはアナターゼの形の結晶)、鉄、亜鉛、ジルコニウム、またはセリウム(これらはすべて、それ自体よく知られている紫外線の光防護物質である)などがある。
【0206】
顔料は、任意選択で被覆されていてもよい。
【0207】
被覆顔料は、Cosmetics & Toiletries,February 1990,Vol 105,pp.53−64に記載されているような化合物によって化学的、電気的、または化学機械的な性質の表面処理を1回または複数回行った顔料であり、その化合物は、アミノ酸、蜜ろう、脂肪酸、脂肪アルコール、陰イオン界面活性剤、レシチン類、脂肪酸のナトリウム、カリウム、亜鉛、鉄,またはアルミニウム塩、金属(チタンまたはアルミニウム)アルコキシド、ポリエチレン、シリコーン、タンパク質(コラーゲン、エラスチン)、アルカノールアミン、ケイ素の酸化物、金属酸化物またはヘキサメタリン酸ナトリウムなどである。
【0208】
周知の方法では、シリコーンは、直鎖状または環状の、分枝構造または硬化構造を有する有機ケイ素のポリマーまたはオリゴマーであって、様々な分子量を有し、適切に官能基化されたシランの重合および/または重縮合によって得られ、かつ酸素原子を介してケイ素原子が結合している(シロキサン結合)主要モチーフの反復で基本的に構成されており、置換可能な炭化水素基が炭素原子を介して前記ケイ素原子に直接結合している、有機ケイ素のポリマーまたはオリゴマーである。
【0209】
「シリコーン」という用語は、その調製に必要とされる顔料、特にアルキルシランも包含する。
【0210】
本発明に好適に使用される顔料被覆用のシリコーンは、好ましくは、アルキルシラン、ポリジアルキルシロキサンおよびポリアルキルヒドロゲノシロキサン(polyalkylhydrogenosiloxanes)を含む群から選択される。さらにより好ましくは、シリコーンは、オクチルトリメチルシラン、ポリジメチルシロキサンおよびポリメチルヒドロゲノシロキサン(polymethylhydrogenosiloxanes)を含む群から選択される。
【0211】
明らかに、それらをシリコーンで処理する前に、金属酸化物顔料は、他の表面剤、特に酸化セリウム、アルミナ、シリカ、アルミニウム化合物、ケイ素化合物、またはそれらの混合物で処理されていたと考えられる。
【0212】
さらに詳細には、被覆顔料は、以下のもので被覆された酸化チタンである:
・シリカ(供給業者のIKEDAの製品「SUNVEIL」など);
・シリカおよび酸化鉄(供給業者のIKEDAの製品「SUNVEIL F」など);
・シリカおよびアルミナ(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 SA」および「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 SA」、または供給業者のTIOXIDEの「TIOVEIL」など);
・アルミナ(供給業者のISHIHARAの製品「TIPAQUE TTO−55(B)」または「TIPAQUE TTO−55(A)」、および供給業者のKEMIRAの「UVT 14/4」など);
・アルミナおよびステアリン酸アルミニウム(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 T、MT 100 TX、MT 100 Z、MT−01」、供給業者のUNIQEMAの製品「Solaveil CT−10 W」および「Solaveil CT 100」および供給業者のMERCKの製品「Eusolex T−AVO」など);
・シリカ、アルミナおよびアルギン酸(供給業者のTAYCAの製品「MT−100 AQ」など);
・アルミナおよび三ラウリン酸アルミニウム(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 S」など);
・酸化鉄およびステアリン酸鉄(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 F」など);
酸化亜鉛およびステアリン酸亜鉛(供給業者のTAYCAの製品「BR 351」など);
・シリカおよびアルミナ(シリコーンで処理されたもの)(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 600 SAS」、「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 SAS」、または「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 100 SAS」など);
・シリカ、アルミナ、およびステアリン酸アルミニウム(シリコーンで処理されたもの)(供給業者のTITAN KOGYOの製品「STT−30−DS」など);
・シリコーン処理されたシリカ(供給業者のKEMIRAの製品「UV−TITAN X 195」など);
・シリコーン処理されたアルミナ(供給業者のISHIHARAの製品「TIPAQUE TTO−55(S)」、または供給業者のKEMIRAの「UV TITAN M 262」など);
・トリエタノールアミン(供給業者のTITAN KOGYOの製品「STT−65−S」など);
・ステアリン酸(供給業者のISHIHARAの製品「TIPAQUE TTO−55(C)」など);
・ヘキサメタリン酸ナトリウム(供給業者のTAYCAの製品「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 150 W」など);
・オクチルトリメチルシランで処理されたTiO(供給業者のDEGUSSA SILICESから「T 805」という商品名で販売されているもの);
・ポリジメチルシロキサンで処理されたTiO(供給業者のCARDREから「70250 Cardre UF TiO2SI3」という商品名で販売されているもの);
・ポリジメチルヒドロゲノシロキサンで処理されたTiOアナターゼ/ルチル(供給業者のCOLOR TECHNIQUESから「MICRO TITANIUM DIOXIDE USP GRADE HYDROPHOBIC」という商品名で販売されているもの)。
【0213】
被覆されていない酸化チタン顔料は、例えば、供給業者のTAYCAから「MICROTITANIUM DIOXIDE MT 500 B」または「MICROTITANIUM DIOXIDE MT600 B」という商品名で、供給業者のDEGUSSAから「P 25」という名称で、供給業者のWACKERから「Transparent titanium oxide PW」という名称で、供給業者のMIYOSHI KASEIから「UFTR」という名称で、供給業者のTOMENから「ITS」という名称で、さらに供給業者のTIOXIDEから「TIOVEIL AQ」という名称で販売されている。
【0214】
被覆されていない酸化亜鉛顔料の例は以下のものである。
・「Z−cote」という名称で供給業者のSunsmartから販売されているもの;
・「Nanox」という名称で供給業者のElementisから販売されているもの;
・「Nanogard WCD 2025」という名称で供給業者のNanophase Technologiesから販売されているもの。
【0215】
被覆酸化亜鉛顔料の例は以下のものである。
・「Zinc oxide CS−5」という名称で供給業者のToshibiから販売されているもの(ポリメチルヒドロゲノシロキサンで被覆されたZnO);
・「Nanogard Zinc Oxide FN」という名称で供給業者のNanophase Technologiesから販売されているもの(Finsolv TN(C12〜C15アルコールベンゾアート)中中の40%分散液);
・「DAITOPERSION ZN−30」および「DAITOPERSION Zn−50」という名称で供給業者のDaitoから販売されているもの(シクロポリメチルシロキサン/オキシエチレン化ポリジメチルシロキサン中に、シリカおよびポリメチルヒドロゲノシロキサンで被覆されたナノ酸化亜鉛を30%〜50%含む分散液);
・「NFD Ultrafine ZnO」という名称で供給業者のDaikinから販売されているもの(パーフルオロアルキルリン酸とパーフルオロアルキルエチル系コポリマーとで被覆されたZnOが、シクロペンタシロキサン中に分散しているもの);
・「SPD−Z1」という名称で供給業者のShin−Etsuから販売されているもの(シリコーングラフト化アクリルポリマーで被覆されたZnOが、シクロジメチルシロキサン中に分散しているもの);
・「Escalol Z100」という名称で供給業者のISPから販売されているもの(ZnOで処理されたアルミナが、エチルヘキシルメトキシシンナメート/PVP−ヘキサデセンコポリマー/メチコン混合物中に分散しているもの);
・「Fuji ZnO−SMS−10」という名称で供給業者のFuji Pigmentから販売されているもの(シリカおよびポリメチルシルセスキオキサンで被覆されたZnO);
・「Nanox Gel TN」という名称で供給業者のElementisから販売されているもの(C12〜C15アルコールベンゾアートおよびヒドロキシステアリン酸重縮合物中に濃度55%で分散しているZnO)。
【0216】
被覆されていない酸化セリウム顔料は、「COLLOIDAL CERIUM OXIDE」という名称で供給業者のRHONE POULENCから販売されている。
【0217】
被覆されていない酸化鉄顔料は、例えば、供給業者のARNAUDから「NANOGARD WCD 2002(FE 45B)」、「NANOGARD IRON FE 45 BL AQ」、「NANOGARD FE 45R AQ」、「NANOGARD WCD 2006(FE 45R)」という名称で、または供給業者のMITSUBISHIから「TY−220」という名称で販売されている。
【0218】
被覆酸化鉄顔料は、例えば、供給業者のARNAUDから「NANOGARD WCD 2008(FE 45B FN)」、「NANOGARD WCD 2009(FE 45B 556)」、「NANOGARD FE 45 BL 345」、「NANOGARD FE 45 BL」という名称で、または供給業者のBASFから「TRANSPARENT IRON OXIDE」という名称で販売されている。
【0219】
シリカで被覆されている同重量の二酸化セリウムおよび二酸化チタンの混合物(供給業者のIKEDAから「SUNVEILA」という名称で販売されている)も含め、金属酸化物(特に二酸化チタンおよび二酸化セリウム)の混合物、ならびに二酸化チタンおよび二酸化亜鉛の混合物で、アルミナ、シリカおよびシリコーンで被覆されたもの(供給業者のKEMIRAが販売している製品「M 261」など)、またはアルミナ、シリカおよびグリセリンで被覆されたもの(供給業者のKEMIRAが販売している製品「M 211」など)も挙げることができる。
【0220】
1種または複数種の無機遮蔽剤は、本発明の組成物中に、組成物の全重量を基準にして0.1重量%〜15重量%の範囲、好ましくは0.2重量%〜10重量%の範囲の濃度で存在してもよい。
【0221】
1種または複数種の添加剤は、CTFA Cosmetic Ingredient Handbook,10th Edition,Cosmetic and Fragrance Assn,Inc.,Washington DC(2004)(本明細書に援用する)に挙げられているものから選択してもよい。
【0222】
生薬形態
フォトニック粒子は、皮膚、唇、毛髪または爪用の、化粧水、クリーム、乳液、ポマード、ジェル、フィルム、パッチ、スティック、パウダー、ペーストに使用できる。
【0223】
施与の方法
フォトニック粒子を含む組成物は、手で、または施与器を用いて施与することができる。
【0224】
施与は、例えば、噴霧または圧電装置による射出によって、あるいは中間支持体上に付着した組成物の層を移すことによって行うこともできる。
【0225】
パッケージ
組成物は、任意のパッケージ手段(特に熱可塑性材料から作られたもの)の中に、あるいはその目的のために用意された任意の支持体上にパッケージ化できる。
【0226】
パッケージ手段は、ボトル、ポンプボトル、エアロゾルボトル、チューブ、小袋またはポットであってもよい。
【実施例】
【0227】
ナノ粒子は、供給業者のSOKENの285nm PMMAナノ粒子100%で構成される。
【0228】
噴霧乾燥で得られたフォトニック粒子は、粒径がおよそ30μmであった。
【0229】
図4は、本発明のフォトニック粒子を含んでいる様々な組成物の吸収スペクトルを示す。
【0230】
特に明記されていない限り、「1種(1つ)の〜を含む(comprising a)」という表現は、「少なくとも1種(少なくとも1つ)の〜を含む(comprising at least one)」を意味すると解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法であって、組成物を用いて前記物質を処理するかまたは組成物を前記物質中に混ぜ込むことを含む方法において、
前記組成物が1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各フォトニック粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む、方法。
【請求項2】
1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む化粧料組成物を施与することを含む、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法。
【請求項3】
前記フォトニック粒子がマトリックスなしで凝集しているナノ粒子を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
前記フォトニック粒子がマトリックス(20)中で凝集または分散しているナノ粒子(10)を含む、請求項1または2のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ナノ粒子(10)の平均粒径が100nm〜500nmの範囲、好ましくは100nm〜350nmの範囲にある、請求項1〜4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記フォトニック粒子(1)が2未満の形状係数を有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記フォトニック粒子(1)が実質的に球の形状である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記組成物が更なる遮光剤および/または更なる着色剤を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記組成物中の前記フォトニック粒子(1)の含有率が、施与前では0.1重量%〜20重量%の範囲である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つのフォトニック粒子(1)がナノ粒子(10)の少なくとも1種の他の回折する配列、特に2種類の他の配列を含み、前記配列が異なる回折スペクトルを有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記異なる配列が前記フォトニック粒子(1)の異なるゾーンによって光を回折させる、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記配列の1つが、250nm〜400nmの波長範囲に少なくとも1つの一次反射ピークがある回折スペクトルを有し、別の配列が、250nm〜400nmまたは400nm〜700nmの前記波長範囲に少なくとも1つの一次反射ピークを示す回折スペクトルを有する、請求項10または11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記マトリックス(20)が、
・有機マトリックスであって、
・ポリメタクリル酸メチル(PMMA)またはポリアクリルアミド(PAM)のアクリルマトリックス、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリスチレン(PS)、ポリカプロラクトン、ポリ酢酸ビニル,またはポリビニルエチルアセテートのマトリックス、および融点が65℃より高くかつ硬度が5MPaより大きいワックス;ならびに
・有機架橋性マトリックスであって、
− 光架橋性ポリマー、例えばETPA(エトキシル化トリメチロールプロパントリアクリレート)、PEGDA(ポリエチレングリコールジアクリレート)、アクリル樹脂、PEGジアクリレート、
− ポリ酢酸ビニルまたはポリビニルエチルアセテートと、以下の式を有するスチリルピリジニウム
【化1】

[式中、Rは、水素原子、アルキル基またはヒドロキシアルキル基を表し、R’は、水素原子またはアルキル基を表す]
とのコポリマー;
− 桂皮酸誘導体、例えばポリビニルシンナメートまたはPDMSシンナメート;
− 反応性シリコーン、すなわち、
− 次式を有するシロキサン単位:
【数1】

[式中、Rは、1〜30個の炭素原子を含む直鎖状または環状の一価の炭化水素基であり、mは1または2に等しく、R’は、2〜10個の炭素原子を含む不飽和脂肪族炭化水素基または5〜8個の炭素原子を含む不飽和環状炭化水素基である]
を含むポリオルガノシロキサン;
− 次式を有する少なくとも1種のアルキルヒドロゲノシロキサン単位:
【数3】

[式中、Rは、1〜30個の炭素原子を含む直鎖状または環状の一価の炭化水素基であるかまたはフェニル基であり、pは1〜2に等しい]
を含むポリオルガノシロキサン;および
− 熱可塑性、熱架橋性または電子架橋性のポリマー
から選択される有機架橋性マトリックス
から選択される、有機マトリックス;
・金属酸化物、特にSiO、TiO、ZrO、または無機のCaCOまたはSiマトリックスから選択される無機マトリックス
である、請求項4〜12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記フォトニック粒子(1)が無色である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記ナノ粒子(10)が、変動係数が5%〜15%の範囲にある平均粒径を有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記フォトニック粒子が、1〜50μm、より望ましくは1〜40μm、より望ましくは1〜20μmの範囲の平均粒径を有する、請求項1〜15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記組成物は単一型のフォトニック粒子を含む、請求項1〜16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記ナノ粒子が無機であり、特にシリカを含む、請求項1〜17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記フォトニック粒子が直接オパール型である、請求項1〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記フォトニック粒子が逆オパール型である、請求項4〜18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記マトリックスが、前記回折する配列を構成する前記ナノ粒子とは異なる更なるナノ粒子、特に金属または金属酸化物タイプ、を含まない、請求項4〜20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
請求項1〜21のいずれか一項に記載のフォトニック粒子の分散物を含む少なくとも1種の組成物をインクまたは塗料または皮膜に含有させることを含む、前記インク、塗料または皮膜を光防護する方法。
【請求項23】
少なくとも1種の合成ポリマーまたは天然ポリマーから製造された物質を光防護する方法であって、前記ポリマーを請求項1〜21のいずれか一項に記載のフォトニック粒子の分散物を含む少なくとも1種の組成物で処理するか、または前記組成物を前記物質に混ぜ込むことを含む、方法。
【請求項24】
有機または無機ガラスを光防護する方法であって、前記ガラスを請求項1〜21のいずれか一項に記載のフォトニック粒子の分散物を含む少なくとも1種の組成物で処理することを含むか、または前記組成物を前記ガラスに混ぜ込むことを含む、方法。
【請求項25】
少なくとも天然繊維および/または合成繊維、例えば織物または紙、を含む物質を光防護する方法であって、前記物質を請求項1〜21のいずれか一項に記載のフォトニック粒子の分散物を含む少なくとも1種の組成物で処理することを含むか、または前記組成物を前記物質に混ぜ込むことを含む、方法。
【請求項26】
1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子(1)の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子(10)または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む、請求項22〜25のいずれか一項に記載の方法を実施するための組成物。
【請求項27】
1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子(1)の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子(10)または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む、請求項1〜26のいずれか一項に記載の方法を実施するための光防護用化粧料組成物。
【請求項28】
10より大きいSPFを有する、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法であって、組成物を用いて前記物質を処理するかまたは前記組成物を前記物質に混ぜ込むことを含む方法において、
前記組成物が1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各フォトニック粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含み、
前記フォトニック粒子が直接オパール型でありかつ実質的に球の形状である、方法。
【請求項30】
太陽の紫外線照射から物質を光防護する方法であって、組成物を用いて前記物質を処理するかまたは前記組成物を前記物質中に混ぜ込むことを含む方法において、
前記組成物が1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各フォトニック粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含み、
前記フォトニック粒子が逆オパール型である、方法。
【請求項31】
1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む化粧料組成物を施与することを含む、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法において、
前記フォトニック粒子が直接オパール型でありかつ実質的に球の形状である、方法。
【請求項32】
1μm〜500μmの範囲の平均粒径を有するフォトニック粒子の分散物を含み、各粒子が単分散のナノ粒子または空隙の、回折する配列を含み、前記配列の回折スペクトルが250nm〜400nmの波長範囲に一次反射ピークを含む化粧料組成物を施与することを含む、太陽の紫外線照射からヒトの角質物質を光防護する、非治療的な、特に化粧的な方法において、
前記フォトニック粒子が逆オパール型である、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2013−507353(P2013−507353A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532711(P2012−532711)
【出願日】平成22年10月12日(2010.10.12)
【国際出願番号】PCT/IB2010/054609
【国際公開番号】WO2011/045740
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TEFLON
【出願人】(595100370)ロレアル (108)
【氏名又は名称原語表記】L′OREAL
【Fターム(参考)】