説明

フォトルミネセンス性プラズマ重合フィルム

【目的】 青色、紫色及び紫外波長光を吸収し、緑色及び黄色波長光を再放射する波長変換器を提供する。
【構成】 メタクリル酸メチルモノマーをプラズマ重合して基板上に析出させる。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、プラズマ重合及び薄膜析出の分野に関するものであり、特にその種のフィルムのフォトルミネセンス特性の利用に関する。
【0002】
【従来の技術】プラズマ重合は、ポリマーのような有機材料を、通常は薄膜の形で、プラズマ放電と接触しているか又はその付近にある表面の上に析出させるために用いる技術である。従来のポリマーとは異なり、プラズマポリマーは、モノマー繰返し単位の長い分子鎖からなる、該分子鎖を結ぶ希薄な「架橋」のものではない。代わりに、フィルムを形成する反応種を生成するプラズマ中での破砕及び解離の結果として、プラズマポリマーは、枝分かれが非常に多く、三次元的に相互に連結したモノマー由来のネットワークとなっている。プラズマ重合フィルムは、有機モノマーから形成され、かつ一般にピンホールが無く、稠密であり、非晶質である。同じモノマーから作製した従来のポリマーフィルムと比較した場合、プラズマポリマーはより良い接着性と、改良された化学的、力学的耐性を示す。更に、析出パラメータを変化させて、析出フィルムの特性を変えることもできる。プラズマ重合フィルムは、一般に3つの部分からなる装置で形成される。即ち、(1)真空システム、(2)プラズマを発生するための電気的励起システム、及び、(3)モノマーガス供給システム、である。モノマー分子が真空チャンバーを通って流れると、該モノマー分子はプラズマ放電により活性化され、解離して、中性粒子と、電子、イオン及びフリーラジカルの形の反応性フラグメントになる。該反応性フラグメントが基板上で再結合すると、枝分かれが非常に多く、架橋した三次元的なネットワークが形成される。プラズマ重合の工業的応用には、表面修飾、保護コーティング、及びマイクロエレクトロニクス及びフォトニクス用の誘電性フィルム、フォトレジストフィルム、及び導波路フィルムが含まれる。
【0003】プラズマポリマーの巨視的特性は、一般に同じ開始モノマーから作製した従来の線状ポリマーの該特性とは非常に異なる。屈折率と力学抵抗指数は、最も頻繁に特徴的であるとされてきたプラズマポリマーの巨視的物性であって、同じモノマーから作製した場合であっても、従来の架橋線状ポリマーフィルムの該物性とは非常に異なる。巨視的特性は微視的特性の現れではあるが、プラズマポリマーの多くの微視的な物理的、化学的特性は、今までのところ十分には解析されていない。事実、プラズマポリマー中の結合の不均質性から、その種の特性解析を行うことは困難である。従来のポリマーとプラズマポリマーとの巨視的相違の中に現れているひとつの微視的特性は、色である。単一のモノマーから誘導した多くのプラズマポリマーの色は、同じモノマーから製造した、対応する従来のポリマーが、白色光の照明の下で透明である場合でも、黄色である。メタクリル酸メチル、エチレン、及びヘキサメチルジシロキサン等のプラズマポリマーが黄色であることは、可視スペクトルの青色、紫色、及び紫外領域内の光の吸収を意味する。青色−紫色光の吸収は、紫外−可視−近赤外透過率解析において、800nm未満の波長でのかなりの吸収と、450nm未満での著しい吸収の増加とが明らかになったことから、確認された。従来は、青色及び紫色の光の吸収が、プラズマポリマーの黄色い色彩の唯一の原因であると考えられてきた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、プラズマポリマーの黄色い色が、黄色及び緑色波長でのプラズマポリマーのフォトルミネセンスにも起因するものであるという発見に基づく。従来のポリマー中には見出されなかった、共役結合発色団を形成しているプラズマポリマー中の不飽和結合が、該フォトルミネセンスの原因であると考えられる。プラズマポリマーフィルムのこのフォトルミネセンスにより、この材料は、太陽電池用波長変換器、ソリッドステート有機レーザー用利得媒質(gain medium )、蛍光灯中の色補正コーティング、及び工程品質管理用の道具等の、可能性のある応用に適するものとなる。本発明の目的は、以前は検出されていなかったプラズマ重合有機薄膜のフォトルミネセンス特性を利用する、従来は認識されていなかった該膜の応用を提供することにある。その他の目的、特徴及び長所は、以下の図面及び記述に鑑みて考察することにより、明らかとなるであろう。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、プラズマ重合有機薄膜のフォトルミネセンス特性を、様々な応用に利用することを目的とする。プラズマ重合技術を用いて、プラズマと接触しているか又はその付近にある表面上又は基板上に、有機薄膜を析出する。ポリマーという単語が最もよく用いられる意味、即ち、単一モノマーの繰返し単位の長い分子鎖で、該分子鎖を結ぶ希薄な「架橋」を伴うものという意味においては、プラズマ重合工程により作製したフィルムは、真のポリマーではないかもしれない。代わりに、モノマー分子はプラズマのエネルギーにより破砕され、そのようにして創作されたフラグメントは結合し、三次元的に相互に連結した分子からなるひとつのフィルムとなる。表面上に析出したプラズマポリマーは、プラズマ中に分散されかつ、破砕され、解離されたモノマーから形成された、枝分かれの非常に多く、架橋した三次元的なネットワークである。また、従来のポリマーとは異なり、プラズマ重合フィルムを青色、紫色、及び紫外の光で励起すると、緑色−黄色波長の広い範囲にわたる光を輻射することを、本明細書中に開示する。結果として得られるフィルムを、ここではポリマーフィルムと呼ぶが、理由はそれが当業界で用いられる術語だからである。一般に、先行技術において、多くの有機モノマーをプラズマ析出により析出させ、光学的に透明な薄膜材料を作製しうるという事実は認識されている。以下に記載する結果は、メタクリル酸メチルモノマー(MMA)から形成された、プラズマ重合したメタクリル酸メチル(PPMMA)を用いて得られたものであるが、プラズマポリマーフィルムとして析出すると考えられるその他の適切な有機モノマーのいずれかを利用してもよい。同様のフィルムを形成することが公知のその他のモノマーには、エーテル、アルコール、ハロゲン化炭化水素、ケトン及びシリコン、エチレン、アクリル酸、無水酢酸、及びピルビン酸を含む、様々な脂肪族及び芳香族有機化合物が含まれる。
【0006】
【実施例】プラズマ重合には、真空条件下に置かれ、かつ電場を印加してガスモノマーを励起して、プラズマを発生させ、一方の電極上の基板にガスモノマーをプラズマ析出できるプラズマチャンバーが必要である。プラズマ重合薄膜の析出に有用な多くの装置がある。使用した真空システム、電気的励起システム、及びガス供給システムを含むプラズマポリマー薄膜形成に適した装置を図1に示す。該装置の反応チャンバー10は、底板12の上方に離れて位置する円筒形のパイレックスチャンバーである。該チャンバーを蓋14で密閉し、該蓋を通して導線16を電極18へと延ばし、接続した。電極18を、本実施例では、陽極として用いた。該陽極を取り囲む接地遮蔽20を、ケース及びRF電力を供給する電気接地に接地した。上部電極18の直下に、陰極として用いる下部電極22がある。陰極22を、アルミニウム製のフィードスルーフランジ(feed-through flange )25の上方に立つ取付け台24により支持した。フィードスルーフランジ25を、ガス器具を取り付けることのできるポート列28を含むフィードスルーカラー(feed-through collar )26の上に設置した。フィードスルーカラー26を、ひとつ以上の真空ポンプを接続するのに適当な開口部を有する底板12の上に載せた。該フィードスルーカラーと底板12の間のシールには、O−リングを使用した。パイレックスシリンダー10の両端は、ヴィトン(Viton )のL−ガスケットでシールした。前記底板の下に、真空ポートを通じて装置10の内部を真空に引くことの可能な真空ポンプ(図示していない)を置いた。上部電極18と下部電極22からなる平行板電極は、直径15.2cmのアルミニウム板である。該上部電極を、RFプラズマプロダクツ(Plasma Products )の1kW、13.56 MHz電源と容量結合した。該下部電極を接地した。両電極の極板間距離は約3インチとした。該電極のインピーダンスと、RFプラズマプロダクツの手動マッチングネットワークのマッチングをとった。電源とマッチングネットワークとの間に、並列にバード(Bird)の直通線電力計(Model Number 4385-832 )を設置して、電極へのRF電力供給を連続的に監視した。2台の真空ポンプを、チャンバー10の内部へ接続した。PPMMAフィルムの製造に用いる装置を操作する間に、アルミニウム製のフィードスルーカラー26に接続されている適切なガス運搬装置を通して、気相のモノマーを供給した。メタクリル酸メチル気体を、液体原料(アルドリッチ80-62-6 )から作製した。該液体MMAモノマーを加熱して、所望の速度のシステム内への気化材料流を形成した。ガスラインを加熱して、凝縮を防いだ。気体モノマーのシステムへの流れを、アプライドマテリアルズ(Applied Materials )のModel 550 マスフローコントローラーで制御した。システム1の圧力を、MKS バラトロン(Baratron)のModel 127 容量マノメーターで連続的に監視した。以下に記載するPPMMAフィルムは、顕微鏡用スライドカバーガラス基板上に、プラズマ重合及び析出システム中で、300mTの中圧下で、電力を60Wとし、モノマー流速を20sccmとして、約3μmの厚さまで析出させたものである。
【0007】上記の装置を用いて製造したプラズマポリマーは、透明な従来のポリマーとは異なり、特徴的な黄色を呈していた。黄色であることは、部分的には、青色及び紫色の光の吸収に起因する。例えば、PPMMAフィルムのUV−Vis−NIR透過分光光度分析から、800nm未満の波長でのかなりの吸収と、450nm未満での急激な吸収の増加とが明らかになった。透過のカットオフは約350nmであった。しかし、プラズマポリマーフィルムを青色、紫色、又は紫外の光で励起すると、励起波長に従って変化する広い波長範囲にわたる光を輻射もすることは、従来は知られていなかった。図2に、アルゴンレーザーからの457nm、488nm、及び514nmの光で励起したPPMMAフィルムのフォトルミネセンス特性を示す。プラズマポリマーフィルムから輻射されたフォトルミネセンス光を、光電子倍増管を用いて光の強度を検出するモノクロメーターの入口に向かってレンズで集光した。図2のスペクトルに示した強度は、各スペクトルの最大ピーク強度について正規化したものである。図2において、457nm又は488nmのアルゴンレーザー光を用いて励起したPPMMAフィルムのフォトルミネセンススペクトルは、525nm付近に鋭いピークを、560nm付近に二次的で緩やかなピークを示した。同じフィルムを514nmのレーザー光で励起した場合、フォトルミネセンススペクトルは、560nmよりも短波長では平坦であり、560nmよりも長波長では減少した。析出した有機フィルムを更に短い波長を用いて励起した場合、フォトルミネセンスは更に広い波長域で観察された。例えば370nmでの励起では、フォトルミネセンススペクトルの範囲は、550nm付近を中心として380nm〜700nm(200nm FWHM)となった。この広帯域のフォトルミネセンスは、各発色団の振動の広がりではなく、むしろ様々な化学的、構造的環境にある多くの発色団の存在に起因すると考えられる。
【0008】励起したPPMMAフィルムからのフォトルミネセンスは、フォトルミネセンス性減衰のプロフィールにより判断すると、燐光的というよりは蛍光的である。燐光的遷移の寿命がミリ秒オーダーであるのに対し、蛍光的遷移の寿命は一般にナノ秒オーダーである。図3に、検出光の偏光が励起光に対して平行であったか又は垂直であったかによらず、寿命がナノ秒オーダーであるという意味において、380nmの光で励起したPPMMAフィルムのフォトルミネセンス性の減衰が蛍光的であることを示す。燐光が、励起した三重項状態から基底状態への放射性遷移により生ずるのに対し、蛍光は、励起した一重項状態から基底状態への放射性遷移により生ずる。プラズマポリマーフィルムのフォトルミネセンススペクトルはまた、一般に、励起光の強度に依存しない。更に、フォトルミネセンスに寄与する官能基は、単にフィルムの表面のみというよりはむしろフィルム全体に存在する。従って、同じ強度の励起光で励起した場合、厚いプラズマポリマーフィルムのフォトルミネセンス強度の方が、同じ組成の薄いフィルムよりも高い。プラズマポリマーの組成そのものよりも、その官能基の配列が、従来のポリマー又はモノマーでは観察されなかった蛍光に寄与すると考えられる。PPMMAフィルムは、どちらもフォトルミネセンス性を有しないMMAモノマー及び従来のポリマーPMMAと同じ官能基で構成されている。しかし、俯角入射フーリエ変換赤外(FT−IR)分光法及び電子分光法化学分析(ESCA)により判断すると、PPMMAフィルムでは官能基がランダムに再配列し、その結果としてPPMMAフィルムの炭素:酸素の比が従来のPMMAよりも高い。PPMMAフィルム中の酸素濃度の相対的な減少は、従来のポリマーの場合と比較して、不飽和炭素が増加していることと関連付けられる。PPMMA中の不飽和炭素−酸素結合の一部が、レーザー染料中に存在する発色団のように冷光を発しうる共役結合発色団を形成する可能性があることが考えられる。これらの共役結合発色団は多くの異なった化学的、構造的環境に存在し、それにより広帯域のフォトルミネセンス及び非指数的な蛍光減衰が可能となっているものと考えられる。フォトルミネセンスフィルムを形成するのに有用な好ましいモノマーは、本質的にはフォトルミネセンスに寄与すると思われる共役結合系を比較的効率よく形成する、炭素、水素及び酸素のみから成るものであろう。
【0009】プラズマポリマーフィルムが青色、紫色、及び紫外波長光を吸収し、緑色及び黄色波長光を再放射する能力を有することから、これらのフィルムは波長変換器及び光源としての使用に好適である。該フィルムの波長変換器としての利用性を、シリコン太陽電池等の光電池材料に関して示すことができるであろう。既存の光電池材料は、緑色及び黄色光を最もよく吸収する。従って、太陽光のうち緑色及び黄色部分のみが電気に変換されうる。実際、光電池材料固有の非能率性の一つは、該材料が可視光スペクトルのうちの一部の光しか吸収できないという事実により生ずる。従って、該材料にできる限り多くの緑色及び黄色光を供給し、光電池効率を上げることが望ましい。太陽光スペクトルの青色、紫色、及び紫外部分を利用し、それらの波長を黄色及び緑色波長に変換することにより、一定の太陽光照射から得られる電気量は増加するはずである。光電池に緑色−黄色光を更に供給するため、フォトルミネセンス性プラズマ重合有機フィルムを、電池へ入射する光線の行路に析出又は挿入することができ、光線が該フィルムを必ず最初に通過するようにさせることが可能である。かくして、プラズマ重合フィルムを用いて、青色及び紫色光の一部を黄色−緑色光に変換することにより、光電池材料に入射する吸収可能な光の合計量が増加するはずである。ローダミン−6G染料等の発光物質を添加した、(プラズマ重合したものではない)PMMA製の箔を光電池上に塗布し、それが入射波長を電池に更に有用な波長にシフトすることで、該電池の効率を向上させることが可能であることが示されてきた。しかし、そのような染料添加手法は、フォトルミネセンス性材料の急速な分裂により阻害される。これに対して、既存の太陽電池受容体上に設置した、PPMMA等のプラズマポリマーで形成された波長変換窓を用いれば、染料に関わる固有の困難又は不安定性がなく、青色、紫色、及び紫外光を緑色及び黄色光に光電子変換することにより、太陽光から電気への変換を向上するはずである。フォトルミネセンスはプラズマポリマーと一体のものなので、長期の太陽光照射にも耐えうる。
【0010】多くの同様の理由から、フォトルミネセンス性プラズマポリマーフィルムは、ソリッドステート染料レーザーの利得媒質としても有用なはずである。既存のソリッドステート染料レーザーは、染料をドープしたポリマーマトリクスを利得媒質として用いている。染料をドープした利得媒質をエネルギー源で励起することにより、レーザー放出チャンバー中での光の増幅が可能となる。しかし、ソリッドステート染料ドープ利得媒質に現在用いられている染料は、高エネルギーポンピングに比較的短時間曝すと分裂する傾向があること、及びフォトルミネセンス帯域が狭いため広範囲に渡って所望の放射波長に同調することが不可能なことから、不十分であることが証明されてきた。これに対して、フォトルミネセンス性プラズマポリマーフィルムを青色、紫色、又は紫外光でポンピングすると、図2に示したように、比較的広い帯域に渡って黄色及び緑色光の増幅が向上するはずである。フォトルミネセンス性帯域が広いことから、プラズマポリマーフィルムを利得媒質として採用するレーザーの同調性能は向上するであろう。フォトルミネセンス性プラズマポリマー有機薄膜の更なる使用には、蛍光灯の表面又は内部へのコーティングとしての使用がある。灯の内側に現在用いられている燐光物コーティングは、UV光で励起すると白色光を輻射する。しかし、蛍光照明光はしばしば「青過ぎる」と知覚される。青色−緑色光を吸収するプラズマポリマー薄膜を補助コーティングとして用いることで、プラズマポリマー有機薄膜の波長シフト特性の結果として、青色波長光の輻射が少なくなるだけではなく、更に黄色−緑色光が放出される。
【0011】プラズマ重合フィルムのフォトルミネセンス特性を、工業コーティング工程で用いるフィルムの品質の監視に利用することもできるであろう。プラズマ重合薄膜コーティングは、例えば眼鏡レンズ等の光学製品用の、耐久性のある、耐スクラッチ性の表面を得るために用いられる。また、そのようなフィルムはパッケージ食品の耐酸素コーティングにも使用され、貯蔵期間を長くすることに寄与する。製造工程の品質管理部分の間に、コートされていると思われる表面に青色、紫色又は紫外光を照射し、続いて黄色又は緑色のフォトルミネセンスの存在を監視することにより、良好なコーティング形成の試験を行うことができる。プラズマ重合薄膜の作製に用いるモノマー自体はフォトルミネセンス性を有しないので、フォトルミネセンスの不存在は保護コーティングが適切に形成されていないことを示すことになる。かくして、プラズマ重合コーティング又はフィルムは、様々な波長変換に関わる応用に、概して適合すると思われる。緑色又は黄色の周波数の光を更に必要とするいかなる応用においても、フォトルミネセンス性プラズマ重合フィルムを用いて青色又は紫色光の入射レベルを減少させ、緑色及び黄色光の量を増加させることができる。該フィルムを単純に光の流れの行路に挿入して、この効果を達成することができる。該フィルムを様々な基板上に析出することが可能であることから、このようなプラズマフィルムをコーティングして、任意の所望の光学要素を、この波長変換機能に転換することが可能である。本発明は、上記の特定の具体例に制限されるものではなく、前記請求項の範囲を逸脱しない全ての変更や修正を包含するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、プラズマポリマー形成用のプラズマ析出チャンバーの側断面図である。
【図2】図2は、3種類の周波数の光で励起したプラズマメタクリル酸メチルポリマーフィルムのフォトルミネセンススペクトルのグラフである。
【図3】図3は、プラズマメタクリル酸メチルポリマーフィルムのフォトルミネセンス性の減衰をプロットしたものである。
【符号の説明】
10 反応チャンバー
12 底板
14 蓋
16 導線
18 上部電極
20 接地遮蔽
22 下部電極
24 取付け台
25 フィードスルーフランジ
26 フィードスルーカラー
28 ポート列

【特許請求の範囲】
【請求項1】 青色、紫色及び紫外光線を、緑色及び黄色光線に変換するフォトルミネセンス性プラズマ重合有機フィルムを含む波長変換器を、光路中に挿入した光電池。
【請求項2】 前記プラズマ重合有機フィルムが炭素、水素及び酸素からなるモノマーから形成される、請求項1に記載の光電池。
【請求項3】 前記プラズマ重合有機フィルムがプラズマ重合したメタクリル酸メチルフィルムである、請求項2に記載の光電池。
【請求項4】 青色、紫色又は紫外光により励起すると、緑色及び黄色光線を輻射するフォトルミネセンス性波長変換プラズマ重合有機フィルムを含む、ソリッドステートレーザー利得媒質。
【請求項5】 前記プラズマ重合有機フィルムが炭素、水素及び酸素からなるモノマーから形成される、請求項4に記載のソリッドステートレーザー利得媒質。
【請求項6】 前記プラズマ重合有機フィルムがプラズマ重合したメタクリル酸メチルフィルムである、請求項5に記載のソリッドステートレーザー利得媒質。
【請求項7】 青色、紫色又は紫外光により励起すると、黄色及び緑色光線を輻射するフォトルミネセンス性波長変換プラズマ重合有機フィルムを内部に塗布した蛍光灯を含む照明。
【請求項8】 前記プラズマ重合有機フィルムが炭素、水素及び酸素からなるモノマーから形成される、請求項7に記載の照明。
【請求項9】 前記プラズマ重合有機フィルムがプラズマ重合したメタクリル酸メチルフィルムである、請求項8に記載の照明。
【請求項10】 表面上のプラズマ重合有機薄膜コーティングの存在を評価する方法であって、(a)前記薄膜が塗布されていると思われる表面上に青色、紫色又は紫外光を照射する工程、及び、(b)前記表面からの黄色又は緑色光線の輻射を検出する工程、を含む方法。
【請求項11】 前記薄膜が炭素、水素及び酸素からなるモノマーから形成される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】 前記薄膜がプラズマ重合したメタクリル酸メチルフィルムである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】 青色及び紫色光を吸収し、緑色及び黄色光を輻射するプラズマ重合有機フィルムを、可視光の行路に挿入する工程を含む、可視光の波長変換を行う方法。
【請求項14】 前記プラズマ重合有機フィルムが炭素、水素及び酸素からなるモノマーから形成される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】 前記プラズマ重合有機フィルムがプラズマ重合したメタクリル酸メチルフィルムである、請求項14に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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