説明

フォーマポンプ

【課題】泡通路内に泡状の液体が残存するのを抑制する。
【解決手段】ポンプヘッド17および空気用ピストン13には、気液混合室18と空気用シリンダ14内とを連通する第1空気通路34とは別に、ポンプヘッド17の泡通路16および空気用シリンダ14内にそれぞれ開口する第2空気通路28が形成されるとともに、この第2空気通路28には、第2空気通路28内の空気圧により作動する開閉バルブ29が設けられ、ポンプヘッド17を押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、開閉バルブ29が開き、第2空気通路28内の空気圧を泡通路16内に開放するようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフォーマポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
フォーマポンプとして、従来から例えば下記特許文献1に開示された構成が知られている。
この種のフォーマポンプは、容器本体の口部に取り付けた状態でポンプヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を圧縮することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させた後に、ポンプヘッドの内部における泡通路を通過させてノズル孔から噴出できるようになっている。
【特許文献1】国際公開第92/08657号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、前記従来のフォーマポンプでは、ノズル孔から泡状の液体を噴出した後、ポンプヘッドの押し下げを解除したときに、泡通路内に泡状の液体が残存することがあった。この場合、再度ポンプヘッドを押し下げるまでの間、泡通路内に残存した泡状の液体が、例えば固化したり、あるいはノズル孔から外部に垂れ落ちたりするおそれがあった。
【0004】
本発明は、このような事情を考慮してなされたもので、泡通路内に泡状の液体が残存するのを抑制することができるフォーマポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明のフォーマポンプは、内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、ノズル孔に連通した泡通路が形成されるとともに前記液用ピストンおよび空気用ピストンに連係し両ピストンを駆動させるポンプヘッドと、液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、前記泡通路と気液混合室との間に配置された発泡部材と、が備えられ、容器本体の口部に取り付けた状態で前記ポンプヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を圧縮することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させた後に、前記泡通路を通過させて前記ノズル孔から噴出するフォーマポンプであって、前記ポンプヘッドおよび空気用ピストンには、前記気液混合室と空気用シリンダ内とを連通する第1空気通路とは別に、前記泡通路および空気用シリンダ内にそれぞれ開口する第2空気通路が形成されるとともに、この第2空気通路には、第2空気通路内の空気圧により作動する開閉バルブが設けられ、前記ポンプヘッドを押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、前記開閉バルブが開き、第2空気通路内の空気圧を前記泡通路内に開放する構成とされたことを特徴とする。
この発明では、ポンプヘッドを押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、第2空気通路に設けられた開閉バルブがこの第2空気通路内の空気圧により開いて、この空気圧を泡通路内に開放するようになっている。
したがって、ポンプヘッドを前述のように押し下げたときに、第2空気通路内の空気圧を、開閉バルブを通して泡通路内の泡状の液体に作用させてノズル孔から排出することが可能になり、泡通路内に泡状の液体が残存するのを抑制することができる。
【0006】
ここで、前記泡通路は、このフォーマポンプの軸線に交差する方向に沿って延在し、その一端側に形成された開口部が前記ノズル孔とされ、前記第2空気通路は、前記ノズル孔に向けて前記泡通路の他端部に開口してもよい。
この場合、泡通路の一端側に形成された開口部がノズル孔とされ、第2空気通路がノズル孔に向けて泡通路の他端部に開口しているので、第2空気通路内の空気圧を前述のように泡通路内に開放したときに、この空気圧を泡通路内の泡状の液体の全体に効率よく作用させることが可能になり、泡通路内に残存する泡状の液体の量を一層確実に抑えることができる。
【0007】
また、前記空気用シリンダ内には、前記ポンプヘッドを押し下げ端まで押し下げたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、この空気用シリンダ内における前記第1空気通路の開口部を閉塞して前記空気用シリンダ内と気液混合室との連通を遮断する空気遮断手段が設けられるとともに、前記液用シリンダ内には、前記ポンプヘッドを押し下げ端まで押し下げたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、この液用シリンダ内と前記容器本体内とを連通させて液用シリンダ内の液圧を開放する液圧開放手段が設けられてもよい。
この場合、空気遮断手段および液圧開放手段が設けられているので、例えば、このフォーマポンプが、ポンプヘッドを押し下げる過程において、空気遮断手段により空気用シリンダから気液混合室への空気の移送を停止し、かつ液圧開放手段により液用シリンダから気液混合室への液体の移送を停止した後に、さらにポンプヘッドを押し下げたときに、開閉バルブが開くように構成されると、空気用シリンダから気液混合室へ空気を移送するのを停めた状態で、空気用シリンダ内の空気が圧縮されることになるため、第2空気通路内の空気圧を効率よく高めることが可能になり、この空気圧によって泡通路内の泡状の液体を確実にノズル孔から排出することができ、また、泡通路内への泡状の液体の流入を停止した状態で、第2空気通路内の空気圧を泡通路内に開放することが可能になり、泡通路内に残存する泡状の液体の量をより一層確実に抑えることができる。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るフォーマポンプによれば、泡通路内に泡状の液体が残存するのを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照し、この発明の実施の形態について説明する。この実施形態に係るフォーマポンプ10は、内部を液用ピストン11が摺動する液用シリンダ12と、内部を空気用ピストン13が摺動する空気用シリンダ14と、ノズル孔15に連通した泡通路16が形成されるとともに液用ピストン11および空気用ピストン13に連係し両ピストン11、13を駆動させるポンプヘッド17と、液用シリンダ12からの液体と空気用シリンダ14からの空気とが合流する気液混合室18と、泡通路16と気液混合室18との間に配置された発泡部材19と、を備えている。
【0010】
図示の例では、ポンプヘッド17は、外筒17aと、この外筒17aの内側に配置された内筒17bと、これらの外筒17aおよび内筒17bそれぞれの軸方向に交差する方向に延在した状態で、外筒17aおよび内筒17bそれぞれの上端開口部を閉塞する噴出筒17cと、を備え、これら17a〜17cが一体に形成された概略構成とされている。
【0011】
噴出筒17cは、その一端部が外筒17aよりも径方向外方に突出して設けられている。また、この噴出筒17cは、一端側が外部に向けて開口し他端側が閉塞した筒状体となっており、このうち一端側の開口部が前記ノズル孔15とされるとともに、この噴出筒17cの内部が前記泡通路16となっている。さらに、この噴出筒17cには、泡通路16と内筒17bの内部とを連通する供給孔20が形成されている。
【0012】
そして、このポンプヘッド17における内筒17bの内周面に、ステム21の上端部21aが嵌合されており、このステム21は、ポンプヘッド17の下端開口面から下方に突出している。ここで、この内筒17bの内周面において、ステム21の外周面が嵌合された部分には、上下方向に延在し、かつ下方に開口した複数の縦溝aが形成されている。
また、この内筒17bの内側において、ステム21の上端と、噴出筒17cに形成された供給孔20との間に前記発泡部材19が設けられている。
【0013】
この発泡部材19は、筒状のケーシング19aと、ケーシング19a内に装着された2つの発泡エレメント19bとを備えている。ケーシング19aは上側が大径部19c、下側が小径部19dになっていて、大径部19cは内筒17bの内側に挿入固定され、小径部19dはステム21の上端部21aの内側に挿入されている。小径部19dの外周面にはその下端から上方に延びて大径部19cの底部外表面に至りさらにその径方向外方に向けて延在して開口し、前記複数の縦溝aに、ステム21の上端開口縁を跨いで連通した複数の溝bが形成されている。
【0014】
さらに、発泡エレメント19bは、筒体の一端開口面に網19eが張設されて構成されており、ケーシング19a内において下側に配された発泡エレメント19bでは筒体の下側開口面に網19eが張設されており、ケーシング19a内において上側に配された発泡エレメント19bでは筒体の上側開口面に網19eが張設されている。
【0015】
液用ピストン11は、ステム21の内側に設けられており、その上側が小径部11a、下側が大径部11bとなっていて、小径部11aがステム21の内側に液密状態で挿入固定され、大径部11bはステム21の下端開口面から下方に突出し、かつその外周面がステム21の外周面とほぼ面一となっている。
ここで、ステム21の内周面において、液用ピストン11と発泡部材19との間に位置する部分に、径方向内方に向けて円環板21bが突設されている。そして、ステム21の内部において、発泡部材19の小径部19dの下端と、円環板21bの上面との間の空間が前記気液混合室18となっている。
【0016】
空気用ピストン13は、外筒13aと内筒13bとが一体に形成されており、このうち外筒13aは多段筒状に形成され、その上端部を構成する小径部13cが、ポンプヘッド17における外筒17aの下端部内周面に、このポンプヘッド17の内筒17bの下端部外周面との間に隙間をあけた状態で上下摺動可能に嵌合されている。
また、この空気用ピストン13における内筒13bの内側に、ステム21において前記上端部21aの下方に連なる部分が上下摺動可能に挿入されている。さらに、空気用ピストン13における内筒13bの上端部外周面が、この上端とポンプヘッド17における内筒17bの内面との間に上下方向の隙間Xをあけた状態で、このポンプヘッド17における内筒17bの下端部内周面に上下摺動可能に嵌合されている。
【0017】
ここで、前記隙間Xには、ポンプヘッド17における内筒17bの内周面に形成された前記縦溝aが開口している。
また、ステム17の外周面において、空気用ピストン13における内筒13bの内周面が上下摺動する部分には、上下方向に延在し、かつ前記隙間Xに開口する複数の縦溝cが形成されている。
この縦溝c、ポンプヘッド17の内筒17bに形成された前記縦溝a、発泡部材19のケーシング19aに形成された前記溝b、および前記隙間Xによって、空気用シリンダ14と気液混合室18とを連通する第1空気通路34が構成されている。
【0018】
さらに、ステム21の外周面において、前記複数の縦溝cそれぞれの下端が位置する部分には、その全周にわたって突状部21cが突設されており、この突状部21cの上面に、図1に示されるようなポンプヘッド17を押し下げる前の待機状態で、空気用ピストン13における内筒13bの下端が当接することにより、空気用シリンダ14における第1空気通路34の開口部を塞いで、空気用シリンダ14の内部と気液混合室18との連通を遮断するようになっている。
【0019】
なお、ポンプヘッド17の外筒17aは、筒状の装着キャップ33内に上下動自在に挿入されている。この装着キャップ33の内周面には雌ねじ部が形成されており、この雌ねじ部が図示されない容器本体の口部に螺着することにより、このフォーマポンプ10が容器本体に取り付けられるようになっている。
【0020】
ここで、液用シリンダ12および空気用シリンダ14は一体に形成されており、このうち空気用シリンダ14は有底筒状に形成され、その底面に筒状の液用シリンダ12が、その内部と空気用シリンダ14の内部とが連通した状態で連結された概略構成となっている。そして、空気用シリンダ14の上端開口部における外周面が、装着キャップ33の内周面に嵌合している。
【0021】
また、ポンプヘッド17における内筒17bの内側に嵌合されたステム21は、空気用シリンダ14の内部を上下方向に貫いて液用シリンダ12内に嵌合されている。さらに、液用ピストン11の大径部11bは液用シリンダ12の内周面に液密状態で上下摺動可能に嵌合されている。
また、空気用ピストン13において外筒13aの下端部を構成する大径部13dが、空気用シリンダ14の内周面に気密状態で上下摺動可能に嵌合されている。
【0022】
ここで、液用シリンダ12内には、その下端開口部に着座および離反可能に設けられた筒状の下部弁体22と、液用ピストン11と下部弁体22との間に設けられ、液用ピストン11を上方に付勢する第1コイルスプリング32と、が配置されている。なお、液用シリンダ12の下端外表面には接続筒24が垂設されている。
【0023】
また、液用ピストン11および液用シリンダ12の内部には、上端部が中空逆円錐状の上部弁体23とされるとともに、軸方向中央部から下側に位置する下部が中部弁体25とされた柱状の弁部材26が設けられている。中部弁体25は、上側が小径部25a、下側が大径部25bとなっていて、大径部25bは、下部弁体22の上端開口部に上下摺動可能で、かつ液密状態で嵌合可能な外径となっている。
【0024】
そして、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げて、中部弁体25を下部弁体22に対して下降させ、図3に示されるように、この中部弁体25の小径部25aを下部弁体22の上端開口部に到達させたときに、中部弁体25の小径部25aと下部弁体22の上端開口部との間の隙間、および下部弁体22の内部を通して、液用シリンダ12内と容器本体内とが連通し、液用シリンダ12内の液圧が開放されるようになっている(液圧開放手段)。
【0025】
上部弁体23は、液用ピストン11の上端開口面上に配置され、この弁体23とステム21の円環板21bの下面との間に第2コイルスプリング27が設けられ、このコイルスプリング27により弁部材26が下方に付勢されている。この第2コイルスプリング27によって、図1に示されるようなポンプヘッド17を押し下げる前の待機状態、および図3に示されるように、前記液圧開放手段により液用シリンダ12内の液圧を開放したときに、上部弁体23を液用ピストン11の上端開口面上に液密状態で当接させ、液用シリンダ12の内部と、ステム21の内部において液用ピストン11の上方に位置する部分との連通を遮断して、気液混合室18内に液用シリンダ12内の液体が移送されるのを防ぐことができるようになっている。
【0026】
ここで、本実施形態では、空気用シリンダ14の内面において液用シリンダ12の開口周縁部には、閉塞筒部30(空気遮断手段)が立設されており、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げたときに、ステム21の突状部21cおよび空気用ピストン13の内筒13bそれぞれの外周面が、閉塞筒部30内に摺動可能に気密状態で嵌合することによって、空気用ピストン13における内筒13bの下端とステム21の突状部21cとの間に形成された前記隙間が、その径方向外方から閉塞されて、空気用シリンダ14内と気液混合室18との連通が遮断されるようになっている。
【0027】
そして、本実施形態では、ポンプヘッド17および空気用ピストン13に、泡通路16および空気用シリンダ14内にそれぞれ開口する第2空気通路28が形成されるとともに、この第2空気通路28には、第2空気通路28内の空気圧により作動して空気用シリンダ14内と泡通路16とを連通および遮断する開閉バルブ29が設けられている。
図示の例では、第2空気通路28は、ポンプヘッド17における外筒17aと内筒17bとの間の隙間、空気用ピストン13における小径部13cの内周面とポンプヘッド17における内筒17bの外周面との間の隙間、および空気用ピストン13における外筒13aと内筒13bとの間の隙間により構成されている。
【0028】
また、第2空気通路28は、ノズル孔15に向けて泡通路16の他端部に開口しており、この泡通路16の他端部における第2空気通路28の開口部に開閉バルブ29が嵌合されている。この開閉バルブ29は、前記開口部に嵌合された軸部29aと、この軸部29aの外周面に突設されたフランジ状の弁部29bと、を備え、これら29a、29bは例えばポンプヘッド17を形成する材質よりも剛性の低い材質で一体に形成されている。
【0029】
そして、弁部29bは、図1に示されるようなポンプヘッド17を押し下げる前の待機状態、および図2に示されるように、気液混合室18に液体や空気を移送している途中では、泡通路16の内面における第2空気通路28の開口周縁部に密接してこれらの泡通路16と第2空気通路28との連通を遮断する一方、第2空気通路28内の内圧が閾値を超えたときに、図3に示されるように、この内圧によって軸部29aの外周面との連結部分を支点として泡通路16内に向けて弾性変形するようになっている。
【0030】
以上のように構成されたフォーマポンプ10は、ポンプヘッド17を押し下げる前の待機状態では、図1に示されるように、ステム21の外周面に突設された突状部21cの上面に、空気用ピストン13における内筒13bの下端が当接し、かつポンプヘッド17の下端と空気用ピストン13の外面との間に上下方向の隙間が設けられている。この状態から、装着キャップ33に対してポンプヘッド17を押し下げると、まず図2に示されるように、その下端が空気用ピストン13の外面に当接するまで、このポンプヘッド17とともに発泡部材19、ステム21、液用ピストン11および弁部材26が下方に移動させられる。
【0031】
この際、空気用ピストン13は前述の待機状態のまま移動せず、この空気用ピストン13における内筒13bの下端と、ステム21の突状部21cとの間に隙間が形成され、また、空気用ピストン13における内筒13bの上端とポンプヘッド17における内筒17bの内面との間の隙間Xは小さくなるものの消滅しないので、第1空気通路34を通して空気用シリンダ14内と気液混合室18内とが連通する。
【0032】
さらにこの際、下部弁体22も下方に移動させられ、液用シリンダ12の下端開口部に着座し、かつ弁部材26における中部弁体25の大径部25bが、下部弁体22の上端開口部に液密状態で嵌合したままに維持され、さらに上部弁体23が液用ピストン11の上端開口面上に液密状態で当接したままに維持されているため、液用シリンダ12と容器本体および気液混合室18との連通は遮断され、液用シリンダ12内の液圧が上昇する。
【0033】
そして、さらにポンプヘッド17を押し下げると、空気用ピストン13も下方に移動させられて空気用シリンダ14内の空気が圧縮させられることにより、この空気が、空気用ピストン13における内筒13bの下端とステム21の突状部21cとの間の隙間から、第1空気通路34内に流入して、気液混合室18に移送される。この際、開閉バルブ29は閉じられたままに維持されるので、空気用シリンダ14および第2空気通路28内の空気圧は上昇する。
【0034】
さらにこの際、ステム21、液用ピストン11、および弁部材26も下方に移動させられて、この液用シリンダ12内の液圧がさらに上昇することにより、この液圧に起因して弁部材26に及ぼされる押し上げ力が、弁部材26に及ぼされる第2コイルスプリング27による下方付勢力よりも大きくなったときに、上部弁体23が液用ピストン11の上端開口面上から離れ、液用シリンダ12内と気液混合室18とが連通することによって、液用シリンダ12および液用ピストン11内の液体が気液混合室18内に移送される。
【0035】
以上より、気液混合室18内で液体および空気を合流させ、発泡部材19を通過させて液体を発泡させた後に、ポンプヘッド17の泡通路16内を通過させて、ノズル孔15から泡状の液体が噴出される。
【0036】
そしてさらに、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げたときに、弁部材26における中部弁体25の小径部25aが下部弁体22の上端開口部に到達し、中部弁体25の小径部25aと下部弁体22の上端開口部との間の隙間、および下部弁体22の内部を通して、液用シリンダ12内と容器本体内とが連通し、液用シリンダ12内の液圧が開放される。
【0037】
これにより、第2コイルスプリング27による下方付勢力によって、弁部材26が下方に移動させられ、上部弁体23が液用ピストン11の上端開口面上に液密状態で当接し、液用シリンダ12の内部と、ステム21の内部において液用ピストン11の上方に位置する部分との連通を遮断して、気液混合室18内に液用シリンダ12内の液体が移送されるのを停止する。
【0038】
さらにこの際、ステム21の突状部21cおよび空気用ピストン13の内筒13bそれぞれの外周面が、閉塞筒部30内に摺動可能に気密状態で嵌合し、空気用ピストン13における内筒13bの下端とステム21の突状部21cとの間に形成された前記隙間が、その径方向外方から閉塞されて、空気用シリンダ14内と気液混合室18との連通が遮断される。これにより、気液混合室18内に空気用シリンダ14内の空気が移送されるのを停止する。
【0039】
その後、さらにポンプヘッド17を押し下げて押し下げ端に到達させるまでの過程で、気液混合室18内に空気および液体を移送するのを停止した状態で空気用ピストン13を下方に移動して、空気用シリンダ14および第2空気通路28内の空気圧をさらに上昇させる。そして、ポンプヘッド17が押し下げ端に到達したときに、開閉バルブ29の弁部29bを、この第2空気通路28内の空気圧によって泡通路16内に向けて弾性変形させて、第2空気通路28内の空気圧を泡通路16内に開放させる。
【0040】
以上説明したように本実施形態に係るフォーマポンプ10によれば、第1空気通路34とは別に第2空気通路28が備えられ、この第2空気通路28に開閉バルブ29が設けられているので、ポンプヘッド17を押し下げ端まで押し下げたときに、第2空気通路28内の空気圧を、開閉バルブ29を通して泡通路16内の泡状の液体に作用させてノズル孔15から排出することが可能になり、泡通路16内に泡状の液体が残存するのを抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、泡通路16の一端側に形成された開口部がノズル孔15とされ、第2空気通路28がノズル孔15に向けて泡通路16の他端部に開口しているので、第2空気通路28内の空気圧を前述のように泡通路16内に開放したときに、この空気圧を泡通路16内の泡状の液体の全体に効率よく作用させることが可能になり、泡通路16内に残存する泡状の液体の量を一層確実に抑えることができる。
【0042】
さらに、本実施形態では、閉塞筒部30および前記液圧開放手段が設けられているので、泡通路16内への泡状の液体の流入を停止した状態で、第2空気通路28内の空気圧を泡通路16内に開放することが可能になり、泡通路16内に残存する泡状の液体の量をより一層確実に抑えることができる。
【0043】
また、本実施形態では、まず、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げて、閉塞筒部30により空気用シリンダ14から気液混合室18への空気の移送を停止した後に、さらにポンプヘッド17を押し下げて押し下げ端まで到達させたときに、開閉バルブ29が開くようになっているので、空気用シリンダ14から気液混合室18へ空気を移送するのを停めた状態で、空気用シリンダ14内の空気が圧縮されることになるため、第2空気通路28内の空気圧を効率よく高めることが可能になり、この空気圧によって泡通路16内の泡状の液体を確実にノズル孔15から排出することができる。
【0044】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
例えば、前記実施形態では、第2空気通路28を、ノズル孔15に向けて泡通路16の他端部に開口したが、泡通路16内であれば何処に開口してもよい。
また、前記実施形態では、閉塞筒部30および前記液圧開放手段を設けたが、これらのうちいずれか一方だけ設けるようにしてもよいし、両者ともに設けなくてもよい。
【0045】
さらに、前記実施形態では、気液混合室18に、空気用シリンダ14内の空気および液用シリンダ12内の液体を移送するのを停止した後に、開閉バルブ29を開いたが、例えば、気液混合室18に、空気用シリンダ14内の空気および液用シリンダ12内の液体を移送するのを停止するのと同時に、開閉バルブ29を開くようにしてもよい。すなわち、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げたときに、開閉バルブ29が第2空気通路28内の空気圧により開くようにしてもよい。
【0046】
また、開閉バルブ29は、前記実施形態に限らず、例えば第2空気通路28内の空気圧によって泡通路16内に対して出没移動させることにより、泡通路16における第2空気通路28の開口部を開閉させるようにしてもよい。
さらに、閉塞筒部30により空気用シリンダ14内と気液混合室18との連通を遮断するタイミング、および前記液圧開放手段により液用シリンダ12内の液圧を開放するタイミングは、ポンプヘッド17を押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間であれば、前記実施形態で示したタイミングに限られるものではない。
【0047】
また、開閉バルブ29が開くタイミングは、ポンプヘッド17を押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間であれば、前記実施形態で示したタイミングに限られるものではない。
例えば、ノズル孔15から泡状の液体を吐出する当初から開閉バルブ29を開いておき、その後、ポンプヘッド17を押し下げ端近傍まで押し下げたときに、閉塞筒部30により空気用シリンダ14内と気液混合室18との連通を遮断し、かつ前記液圧開放手段により液用シリンダ12内の液圧を開放して泡通路16への泡状の液体の移送を停止し、この状態でさらにポンプヘッド17を押し下げて空気用シリンダ14内の空気圧を上昇させ、この上昇した空気圧を第2空気通路28を通して、泡通路16内に残留した泡状の液体に作用させ、ノズル孔15から排出するようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0048】
泡通路内に泡状の液体が残存するのを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明に係る一実施形態として示したフォーマポンプの待機状態を示す縦断面図である。
【図2】図1に示すフォーマポンプにおいて、ポンプヘッドを押し下げて、気液混合室内に、液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を移送し始めた状態を示す縦断面図である。
【図3】図1および図2に示すフォーマポンプにおいて、ポンプヘッドを押し下げ端まで押し下げたときの状態を示す縦断面図である。
【符号の説明】
【0050】
10 フォーマポンプ
11 液用ピストン
12 液用シリンダ
13 空気用ピストン
14 空気用シリンダ
15 ノズル孔
16 泡通路
17 ポンプヘッド
18 気液混合室
19 発泡部材
22 下部弁体(液圧開放手段)
25 中部弁体(液圧開放手段)
26 弁部材(液圧開放手段)
28 第2空気通路
29 開閉バルブ
30 閉塞筒部(空気遮断手段)
34 第1空気通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を液用ピストンが摺動する液用シリンダと、
内部を空気用ピストンが摺動する空気用シリンダと、
ノズル孔に連通した泡通路が形成されるとともに前記液用ピストンおよび空気用ピストンに連係し両ピストンを駆動させるポンプヘッドと、
液用シリンダからの液体と空気用シリンダからの空気とが合流する気液混合室と、
前記泡通路と気液混合室との間に配置された発泡部材と、が備えられ、
容器本体の口部に取り付けた状態で前記ポンプヘッドを押し下げて液用シリンダ内の液体および空気用シリンダ内の空気を圧縮することにより、これらの液体および空気を、気液混合室に移送して合流させ発泡部材を通して発泡させた後に、前記泡通路を通過させて前記ノズル孔から噴出するフォーマポンプであって、
前記ポンプヘッドおよび空気用ピストンには、前記気液混合室と空気用シリンダ内とを連通する第1空気通路とは別に、前記泡通路および空気用シリンダ内にそれぞれ開口する第2空気通路が形成されるとともに、この第2空気通路には、第2空気通路内の空気圧により作動する開閉バルブが設けられ、
前記ポンプヘッドを押し下げて押し下げ端に到達させたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、前記開閉バルブが開き、第2空気通路内の空気圧を前記泡通路内に開放する構成とされたことを特徴とするフォーマポンプ。
【請求項2】
請求項1記載のフォーマポンプであって、
前記泡通路は、このフォーマポンプの軸線に交差する方向に沿って延在し、その一端側に形成された開口部が前記ノズル孔とされ、
前記第2空気通路は、前記ノズル孔に向けて前記泡通路の他端部に開口していることを特徴とするフォーマポンプ。
【請求項3】
請求項1または2に記載のフォーマポンプであって、
前記空気用シリンダ内には、前記ポンプヘッドを押し下げ端まで押し下げたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、この空気用シリンダ内における前記第1空気通路の開口部を閉塞して前記空気用シリンダ内と気液混合室との連通を遮断する空気遮断手段が設けられるとともに、
前記液用シリンダ内には、前記ポンプヘッドを押し下げ端まで押し下げたとき、または押し下げ端に到達させるまでの間に、この液用シリンダ内と前記容器本体内とを連通させて液用シリンダ内の液圧を開放する液圧開放手段が設けられていることを特徴とするフォーマポンプ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−207159(P2008−207159A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−49036(P2007−49036)
【出願日】平成19年2月28日(2007.2.28)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)
【Fターム(参考)】