説明

フォーミング用の方法及び装置と、静圧的圧縮媒体を有する付属プリフォーム

所望の外形を有するワークピース(14)のフォーミングのための方法と装置(10)、並びに付属のプリフォームアセンブリが提供される。フォーミングの方法及び装置(10)、並びにプリフォームアセンブリは、ダイの空洞内に配置されてワークピース(14)の少なくとも一の側面近傍に位置するガラス層のような静圧的圧縮媒体(26)を含む。静圧的圧縮媒体(26)は、ワークピース(14)の処理温度で比較的低い粘度を有することにより、ワークピース(14)に対し、容易に比較的均一な圧力を印加できるように構成されている。したがって、単一の作用ダイを利用して複雑な外形を有するワークピース(14)を形成することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、一般に、所望の外形を有するワークピースのフォーミングのための方法と装置に関するものであり、具体的には、複雑な形状を有するワークピースを含むワークピースの表面全体に比較的均一に圧力を印加するための、ワークピースのフォーミング用の静圧的圧縮媒体を含む方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ワークピースを圧密化して所望の外形を有する部品を形成するために、様々な技術が利用されている。例えば、ワークピースを圧密化するために、真空ホットプレス又は熱間静水圧プレス成形を利用することができる。別の方法では、ワークピースは、誘導加熱することと同時に圧力を印加することにより圧密化することができる。これに関し、ワークピースの圧密化装置は、協働して内部空洞を画定する第1及び第2のダイを含むことができる。サセプタは内部空洞に線を引き、したがってワークピースを受け入れるためのダイの空洞を画定することができる。このサセプタが導電材料から形成されているのに対し、第1及び第2のダイは、電磁エネルギーを透過させる材料から形成されている。サセプタを加熱し、それによりワークピースを加熱するために、誘導加熱コイルが第1及び第2のダイの近傍に配置されて、振動する電磁界などの電磁エネルギーを生成する。第1及び第2のダイは電磁エネルギーを透過させるため、電磁エネルギーはダイを通過してサセプタと相互作用し、それによりサセプタを急速に加熱する。ワークピースはサセプタと熱的に接触しているので、サセプタを加熱することによりワークピースも加熱される。
【0003】
サセプタは、誘導処理系に使用されるとき、設定された温度点を生成するように特に選択された材料組成を有することから、スマートサセプタと呼ぶこともできる。これに関し、サセプタの材料組成は、サセプタを形成する材料が強磁性相と常磁性相との間で転移するサセプタのキュリー温度を使用して、サセプタが誘導加熱される平衡温度点が設定されるように選択することができる。
【0004】
低圧低温でのフォーミングを可能にするために、金属材料の結晶学的特徴が変化するときの金属材料に固有の特性を利用する一のフォーミング技術が開発された。これに関し、プリフォームのようなワークピースをダイの空洞内部に配置し、それに圧力を印加することができる。ここで誘導加熱コイルにエネルギーを供給することにより、サセプタを加熱し、次いで、それを超えるとワークピースの一の固相が第2の固相へと完全に変化する相転移温度範囲の近くまでワークピースを加熱する振動電磁界を生成することができる。次いで、相転移温度を上回る温度範囲と下回る温度範囲との間でワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させることにより、ワークピースを圧密化する。
【0005】
この技術はワークピースの圧密化に効果的であるが、圧密化後にワークピースを適切に成形するのに必要な作業を最小化するために、最終的な所望の形状を有する、又は少なくともそのような形状に近いワークピースを形成することが有利である。しかしながら、多くの場合、複数の異なる方向に延びる部分を有する複雑な外形のワークピースが必要とされる。したがって、ワークピースを適切に圧密化するために、ダイアセンブリによってワークピースの表面全体に比較的均一な圧力を印加することにより、圧密化プロセスを一様に進めることが望ましい。しかしながら、ワークピースの所望の外形が複雑である場合、ダイアセンブリには、各々がワークピースの対応する部分に適切に圧力を印加するために異なる方向に向いている、二重又は三重の作用ダイが必要となりうる。二重又は三重の作用ダイの使用は、ダイアセンブリの複雑性を増大させると共に、ダイアセンブリ全体のコストを上昇させる。したがって、複数のダイプレスを必要とせずに単一の作用ダイにより形成することができる方法で、複雑な外形を有するワークピースを含むワークピースの表面に比較的均一な圧力を供給することが求められている。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態により、所望の外形を有するワークピースのフォーミング用の方法及び装置と、付属のプリフォームアセンブリとが提供される。これに関し、フォーミング方法及び装置と、プリフォームアセンブリとは、ダイの空洞内部に配置されてワークピースの少なくとも一側面に近接する静圧的圧縮媒体を含む。この静圧的圧縮媒体は、ワークピースの処理温度において比較的高い粘度を有することにより、ワークピースに対する圧力の比較的均一な印加を容易にする液体である。したがって、本発明の実施形態は、複雑な外形を有するワークピースを単一の作用ダイを利用して形成することを可能にすることにより、二重又は三重の作用ダイを必要とする他のダイアセンブリと比較して、ダイアセンブリの複雑性及びコストを低減する。
【0007】
本発明の一実施形態により、所望の外形を有するワークピースのフォーミングのための装置が提供される。この装置は、協働可能な第1及び第2のダイと、導電材料から作製されたサセプタとを含んでいる。協働可能な第1及び第2のダイと、サセプタとは、ワークピースを受け入れてワークピースの所望の外形を画定するダイの空洞を画定するように構成される。サセプタは、ダイの空洞と熱的に連通し、更にはダイのキャビティ内部に配置されたワークピースと熱的に連通することにより、ワークピースの相転移温度を上回る第1の温度と、同転移温度を下回る第2の温度との間でワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させる。
【0008】
この実施形態の装置は、ワークピースの少なくとも一側面に近接するようにダイの空洞内部に配置された静圧的圧縮媒体も含んでいる。この静圧的圧縮媒体は、周期的に変化する温度範囲において約10ポアズ(10デシパスカル−秒)の粘度を有する液体とする。静圧的圧縮媒体は、ガラスなどの非晶質である。静圧的圧縮媒体はまた、第1の温度と第2の温度との間では、通常ワークピースに反応しない。ガラスのような静圧的圧縮媒体は、ワークピースを封入するように構成することができる。ガラスのような静圧的圧縮媒体は、ワークピースの一面又は前面をコーティングするなどして、ワークピースによって担持されてもよい。
【0009】
この実施形態の装置は、ワークピースの周期的な加熱と冷却とを制御するコントローラも含むことができる。これに関し、コントローラは、ワークピースの冷却速度が、相転移温度以内の範囲及び/又は相転移温度を下回る範囲まで低下した後に、急速冷却速度に復帰したことを検出することにより、ワークピースが相転移温度を下回る第2の温度であることを決定し、次いでワークピースが第2の温度であるという判定に応答してワークピースの加熱を開始するように構成することができる。この実施形態のコントローラは、サセプタがキュリー温度に達したことを検出することにより、ワークピースが相転移温度を上回る第1の温度であることを決定し、次いでワークピースが第1の温度範囲にあるという決定に応答してワークピースの冷却を開始するように構成することもできる。したがって、コントローラは、それぞれ相転移温度のいずれかの側に位置する第1の温度と第2の温度との間で、温度を繰り返し周期的に変化させることを容易にする。この実施形態では、装置は、電源と、サセプタを加熱し、それによりワークピースを加熱する電磁エネルギーを放射するように構成された誘導加熱コイルとを更に含むことができきる。この実施形態では、コントローラは、電源により誘導加熱コイルに供給される電流レベルの低下の完了を検出することにより、ワークピースが相転移温度範囲を上回る第1の温度であることを決定するように構成されている。
【0010】
ワークピースの少なくとも一側面に近いダイの空洞内部に静圧的圧縮媒体を配置することにより、静圧的圧縮媒体は、ワークピースの全表面に対する比較的均一な圧力の印加を容易にすることができる。したがって、ワークピースが異なる方向に延びる複数の部分を有することによりワークピースの所望の外形が複雑である場合も、一実施形態の装置は、ワークピースを所望の外形に形成するために、単一の作用ダイを含むだけでよい。したがって、ダイの複雑性及びコストは、二重又は三重の作用ダイに比べて低減しうる。
【0011】
本発明の別の実施形態により、相転移温度範囲を挟んで第1の固相から第2の固相に変化するプリフォームと、プリフォームの少なくとも一側面に配置される静圧的圧縮媒体とを含むプリフォームアセンブリが提供される。この静圧的圧縮媒体は、相転移温度を含む一の温度範囲内において約10ポアズ(10デシパスカル−秒)を上回る粘度を有する液体する。静圧的圧縮媒体は、ガラスなどの非晶質とすることができる。静圧的圧縮媒体は、一定の温度範囲内でプリフォームに反応しないものでもよい。一実施形態では、ガラスなどの静圧的圧縮媒体は、プリフォームを封入する。
【0012】
別の実施形態では、所望の外形を有するワークピースのフォーミング方法が提供される。この方法は、ダイアセンブリによって画定されるダイの空洞内にワークピースを配置することを含む。ダイの空洞がワークピースの所望の外形を画定する。ガラスなどの静圧的圧縮媒体も、ダイの空洞内に配置されて、ワークピースの少なくとも一の側面の近傍に位置する。この実施形態の方法はまた、ワークピースの相転移温度を上回る第1の温度と同転移温度を下回る第2の温度との間で、ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させることを含む。この方法では、更に、第1の温度と第2の温度との間でワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させると同時に、ワークピース及び静圧的圧縮媒体に圧力を印加する。前述のように、第1の温度と第2の温度との間でワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させる間、静圧的圧縮媒体は、約10ポアズ(10デシパスカル−秒)を上回る粘度の液相を保つ。
【0013】
第1の温度と第2の温度の間でワークピースの温度を繰返し周期的に変化させるとき、一実施形態の方法は、ワークピースの冷却速度が、相転移温度範囲内に及び/又は相転移温度範囲を上回るまで低下した後で急速冷却速度に復帰したことを検出することにより、ワークピースがワークピースの相転移温度を下回る第2の温度であることを決定し、次いで、ワークピースが第2の温度であるという決定に応答して、ワークピースを加熱することができる。この実施形態の方法はまた、サセプタがキュリー温度に到達したことを検出することにより、ワークピースがワークピースの相転移温度を上回る第1の温度であることを決定し、次いで、ワークピースが第1の温度であるという決定に応答して、ワークピースの冷却を開始させることができる。電源と、電磁エネルギーを放出することによりワークピースを加熱する誘導加熱コイルとが更に設けられている場合、ワークピースが相転移温度を上回る第1の温度であるという決定は、電源により誘導加熱コイルに提供される電流レベルの低下が完了したことの検出を含むことができる。
【0014】
上述のように、静圧的圧縮媒体により、ワークピースへの比較的均一な圧力印加が容易になる。したがって、複雑な外形を有するワークピースも、単一の作用ダイから形成することができるので、二重又は三重の作用ダイを含むダイアセンブリと比較して、ダイアセンブリの複雑性及びコストが低減される。
【図面の簡単な説明】
【0015】
ここまで本発明の概要を説明したので、後述では添付図面について説明する。添付図面の縮尺比は必ずしも正確ではない
【0016】
【図1】図1は、本発明の一実施形態によるワークピースのフォーミング装置の断面図である。
【図2】図2は、本発明の一実施形態によるワークピースのフォーミング装置のブロック図である。
【図3】図3は、本発明の実施形態により形成された部品の斜視図である。
【図4A】図4Aは、本発明の一実施形態により実施される工程を示すフロー図である。
【図4B】図4Bは、本発明の一実施形態により実施される工程を示すフロー図である。
【図5】図5は、ワークピースの相転移温度範囲をはさんだ周期的な温度変動を示すグラフである。
【図6】図6は、本発明の一実施形態による誘導加熱コイルに接続する電源の電圧レベル及び電流レベルに対するワークピースの温度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
後述では、添付図面を参照して本発明について更に詳細に説明する。添付図面は、本発明の実施形態の全てではなく、その幾つかを示している。実際には、このような発明は、多数の異なる形態で実現することができ、ここに記載する実施形態に限定されるものではない。むしろ、これらの実施形態は、本明細書が、適用される法的要件を満たすように提供されているのである。全図を通じて類似の番号は類似の要素を指している。
【実施例】
【0018】
ここで図1及び2を参照する。図1及び2は、ワークピースのフォーミング装置10を示している。この装置は、二つ以上のダイ12を含むダイアセンブリを含んでおり、ダイ12は例えば、図1に示す協働可能な第1のダイ及び第2のダイである。これらのダイは通常、ワークピース14より頑丈で剛性の材料から形成され、且つワークピースの処理温度を十分に上回る融点を有する材料から形成されている。加えて、ダイは、熱膨張率が低く、断熱性が高く、且つ電磁波吸収性が低いことを特徴とする材料から作製することができる。例えば、各ダイは、ステンレス鋼の板又はインコネル(登録商標)625合金から形成された板などの、複数の積層した金属板を含むことができ、それらを切り取って形を整えることにより適切な寸法の誘導コイルが形成される(後述)。積層した金属板の方向は、通常、対応するダイ表面の外形と垂直な関係にある。各金属板の厚みは約1/16インチ〜約1/4インチ、例えば好適には約0.200インチとすることができる。互いに隣接する積層した金属板の間には、ダイの冷却を促進するために空隙が設けられ、空隙の大きさは例えば約0.15インチである。積層した金属板は、クランプ(図示しない)、締め金具(図示しない)及び/又は当業者に既知のその他の適切な技術を用いて互いに取り付けることができる。積層した金属板は、その電気的及び熱的特性に基づいて選択することができ、また磁界を透過させることができる。随意で、各積層板の両側に電気絶縁コーティング(図示しない)を設けることにより、積層した金属板の間に電流が流れることを防止できる。絶縁コーティングは、例えばセラミック材料のような材料とすることができる。ダイに、複数の熱膨張スロットを設けることにより、積層したツーリング装置10の熱膨張及び収縮を助長することができる。
【0019】
本ダイアセンブリは、二つ以上のストロングバック13を含むことができ、ダイ12はこのストロングバックに取り付けられる。例えば、図1に示すように、第1及び第2のダイは、それぞれ第1及び第2のストロングバックに取り付けて、第1及び第2のストロングバックで支持することができる。ストロングバックは金属板のような硬い板であり、ダイが離れ離れにならないように保持してダイの寸法精度を維持するための機械的制約として機能する。また、このダイアセンブリは、通常、図1の15で全体を示すアクチュエータを含み、このアクチュエータは、例えばダイを互いに向かって移動させることにより、互いに近づいたり離れたりするダイの動きを制御して、ワークピース14に所定量の圧力を印加する。例えば流体式、空圧式、又は電気ラム(ram)を含む、様々な種類のアクチュエータを利用することができる。
【0020】
図1の断面図に示すように、ダイ12は内部空洞を画定している。ワークピース14が真空ホットプレス又は熱間静水圧プレス成形といったホットプレス工程によって形成される実施形態では、ダイにより画定される内部空洞は、ワークピースを配置するためのダイの空洞として機能することができる。しかしながら、図2に示す実施形態では、ワークピースのフォーミング装置10は、ダイの選択的加熱を容易にするためにダイを通って延びる一又は複数の誘導コイル16を含んでいる。熱的制御系を誘導コイルに接続してもよい。一のサセプタを各ダイの誘導コイルに熱的に連結させてもよい。各サセプタは、例えば強磁性体、コバルト、又はニッケルといった熱伝導性の材料とすることができる。各サセプタは、対応するダイのダイ表面の第1の外形に概ね一致させることができる。
【0021】
電気的且つ熱的な絶縁コーティング17、即ちダイライナーを、ダイ12のダイ表面の外形に適用することができる。電気的且つ熱的絶縁コーティングは、例えば、アルミナ又は炭化ケイ素、及び特にSiC繊維を含むSiC基質とすることができる。次いで、対応するダイの電気的且つ熱的絶縁コーティングの上にサセプタが設けられる。
【0022】
各ダイに冷却系を設けることができる。この冷却系は、例えば、各ダイ全体にわたって選択的に分布させた冷却剤ダクトを含むことができる。冷却剤ダクトは、各ダイに冷却媒体を放出することができる。冷却媒体は、例えばミス又はエアロゾルとして適用できる液体、気体、又は気体/液体混合物とすることができる。
【0023】
サセプタ18は、振動電磁界のような、誘導加熱コイル16によって生成される電磁エネルギーに対して応答性である。誘導加熱コイルによって生成された電磁エネルギーに応答してサセプタが加熱され、これにより次いでワークピース14が加熱される。ダイを加熱及び冷却する技術とは対照的に、誘導加熱技術は、サセプタの比較的急速な加熱及び冷却の結果として、制御下でワークピースを更に急速に加熱及び冷却することができる。例えば、一部の誘導加熱技術は、従来のオートクレーブ又は熱間静水圧プレス成形(HIP)プロセスより、指数で約2だけ大きい速度でワークピースを加熱及び冷却することができる。一実施形態では、サセプタは、鉄、ニッケル、クロム、及び/又はコバルトの組み合わせを含む強磁性体材料から形成されて、誘導加熱コイルによって生成された電磁エネルギーに応答してサセプタを加熱する設定温度点を生成するように選択された特定の材料組成を有している。これに関し、サセプタは、材料の強磁性相と常磁性相との間で転移が起こるサセプタのキュリー点が、サセプタを誘導加熱する設定温度点を規定するように構成することができる。更に、サセプタは、キュリー点が、通常はわずかであるとしても、ワークピースの相転移温度を上回るように構成することができる。
【0024】
図1に更に示すように、ワークピース14はダイの空洞内部に配置される。後述するように、本発明の実施形態の方法及び装置10は、ワークピースの異なる部分が異なる方向に延びる所望の複雑な形状を有するワークピースを形成することができる。しかしながら、本発明の実施形態の方法及び装置は、任意の所望の外形を有するワークピースを形成することができる。したがって、本発明の実施形態の方法及び装置は、広い用途のためにワークピースを形成することができる。これに関し、本発明の実施形態の方法及び装置は、航空宇宙産業、自動車、船舶、建設、構造、及びその他多数の用途のためにワークピースを形成することができる。例えば、図3に示すように、航空機の床梁を胴体に接続するためのコネクタプレート30が形成される。これは、本発明の方法及び装置の実施形態により形成できる複雑な外形のワークピースの一実施例を示す。
【0025】
ワークピース14は、様々な材料から形成することもできるが、通常は、高温高圧下において、即ち周囲温度及び周囲圧力を上回る温度及び圧力下であって通常は周囲温度及び周囲圧力を大幅に上回る温度及び圧力下において、二つの固相の間で相転移する合金から形成される。例えば、ワークピースを形成する合金は、鋼又は鉄の合金とすることができる。しかしながら、一実施形態では、ワークピースは、6重量%のアルミニウム、4重量%のバナジウム、及び90重量%のチタンから形成されるTi−6−4といったチタン合金から形成される。室温における均衡条件下では、Ti−6−4は、二つの固相、即ち、α相と呼ばれる、低温での安定性が高い六方最密構造の相と、β相と呼ばれる、高温での安定性が高い体心立方格子の相とを有している。室温における均衡条件下では、Ti−6−4は、β相とα相の混合物であり、二つの相の相対割合は熱力学によって決定される。温度が上昇すると、α相は、相転移温度範囲でβ相に転移し、β転移温度を上回る温度で金属の全体がβ相となる。例として、Ti−6−4の場合、β転移温度は約1000℃である。同様に、相転移範囲を越えて温度がβ転移温度を下回るまで低下すると、Ti−6−4はβ相からα相へ徐々に転移する。チタン合金の場合、六方最密相から体心立方相への転移は一定の温度範囲で起こるが、純チタンの場合、転移は単一の温度値、即ち約880℃で起こる。本明細書において相転移温度範囲という場合、複数の温度を含む一の範囲と、単一の温度値とがどちらも含まれる。加えて、β転移温度は、合金の正確な組成に応じて変動する。
【0026】
α相からβ相への転移の間に起こる原子の微細構造の再構成に伴い、温度の変化に起因して各層の格子パラメータが変化する。格子パラメータのこのような変化により、正体積変化が起こる。体積におけるこのような微細構造の変化により、合金の加熱時の歪速度が瞬時に上昇し、これが次いで、印加圧力の低下に応答した所定量の変形を可能にするか、或いは換言すれば、所定の圧力における変形を増大させる。相転移温度範囲内の温度、又は相転移温度範囲近傍の温度におけるワークピースの相転移超可塑性を利用することにより、従来技術より低い圧力および温度でワークピース14を圧密化することができる。
【0027】
更に図1に示すように、本発明の実施形態におけるワークピースのフォーミングのめの方法及び装置10は、図示の実施形態のように、ダイの空洞内部に配置されてワークピース14の少なくとも一の側面の近傍に位置する静圧的圧縮媒体26も使用する。静圧的圧縮媒体は、ワークピースの一の側面の近傍に位置するだけでよいが、図示の実施形態のように、ワークピースを取り囲むか又は封入することにより、ワークピースの全ての側面に近傍して位置してもよい。静圧的圧縮媒体は、ワークピースの挿入前にダイの空洞内に配置することでワークピースから離間させることができるが、ワークピースをダイの空洞に挿入する前に、ワークピース上にコーティングするか、他の態様で配置することにより、ワークピースが静圧的媒体を有するようにしてもよい。
【0028】
静圧的媒体26は、本発明の実施形態の方法及び装置10がワークピース14を圧密化する処理圧力及び温度において、比較的高い粘度を有する液体である。これに関し、液体の粘度は、相転移温度範囲内の作動点、又は同作動点近傍のものとすることができる。例えば、粘度は、相転移温度範囲内の温度について〜10ポアズから〜10ポアズの範囲とすることができる。加えて、液体は、低い熱容量を有し、放射エネルギーを透過させ、非導電性であり、且つ比較的高い熱伝導率を有する。これに関して、静圧的圧縮媒体は、ガラスなどの非晶質とすることができる。加えて、静圧的圧縮媒体は、有利には、ワークピースが処理及び圧密化される高温においてワークピースと反応しない。
【0029】
一実施形態では、静圧的圧縮媒体26は、二層のガラス、即ち、プリフォームに近い第1の層と、第1の層のプリフォームとは反対側に位置することで、第1の層によりプリフォームから離間する第2の層から形成される。この実施形態では、第1の層が、通常、第2の層より硬く、これによりワークピース14内の空隙へのガラスの溶浸が低減される。
【0030】
次に図4a及び4bを参照する。図4a及び4bには、本発明の一実施形態による、所望の外形を有するワークピース14のフォーミング方法にしたがって実行される工程が示されている。図4aのブロック44に示すように、例えば協働可能な第1及び第2のダイ12を含むダイアセンブリによって画定されたダイの空洞内に、ワークピースを配置する。上述のように、ダイの空洞はワークピースの所望の外形を画定する。図4a及び4bにおいて、工程の随意性を示すために点線のブロックで示す一実施形態では、最初にワークピースのプリフォームを形成する。ブロック40を参照のこと。このプリフォームは、完全に圧密化されていないが、ワークピースの所望の外形に近い形状を有することができる。一実施形態では、プリフォームは、ワークピースの形成材料をダイ内に配置して、室温のような比較的冷たい状態で材料を圧縮することにより形成される。このダイも、中に材料が配置されるダイの空洞であって、結果として得られるワークピースの所望の外形に近い形状を有する空洞を画定する。
【0031】
一実施形態では、プリフォームは、Ti−6−4のような所望の合金を規定するために混合できる粉末から形成される。その後ダイ内部で粉末を圧縮することにより、結果として得られるワークピース14の所望の外形に近い形状を有するように、粉末が事前に圧密化されているプリフォーム、実際には一実施形態の純度の高いプリフォームが生成される。プリフォームの事前圧密化に続いて、ガラスのような静圧的圧縮媒体26の層を、プリフォームの少なくとも一の側面、又は一実施形態では全ての側面に適用することができる。ブロック42を参照のこと。静圧的圧縮媒体がガラスである実施形態では、このガラスは、回転によりプリフォームに適用することができる。その後、静圧的圧縮媒体が適用されたプリフォームを、上述のようにダイの空洞内に装填することができる。
【0032】
静圧的圧縮媒体26を含むワークピース14がダイの空洞内に装填された後、ダイ12を互いに向かって移動させ、所定量の圧力、例えばTi−6−4粉末合金の場合約1.5KSI〜2.5KSIの圧力をワークピースに印加する。ブロック46を参照のこと。これに関し、本発明の実施形態は、低圧で、例えば従来のオートクレーブ及びHIP工程より指数で1だけ小さい圧力で、動作することができる。圧力の印加と同時に、ワークピースのβ転移温度を上回る第1の温度と、同温度を下回る第2の温度との間でワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させる。これに関し、図5はワークピースの相転移温度範囲を示しており、この温度範囲を挟んでワークピースはα相とβ相との間で転移する。図5にグラフ表示するように、ワークピースの温度は、β転移温度を上回る第1の温度まで比較的急速に上昇し、次いで第1の温度と第2の温度との間で周期的に変化することを繰返し、その後圧密化プロセスが完了すると室温まで比較的急速に低下する。ワークピースの温度は第1の温度と第2の温度との間で任意の回数に亘って周期的に変化させることができるが、一実施形態の方法は、Ti−6−4粉末合金から形成されたワークピースを、約90分〜150分に亘って、第1の温度と第2の温度との間で繰り返し周期的に変化させ、このとき加熱及び冷却周期の各々に約3〜5分をかける。各周期に要する時間、したがってワークピースを処理するために要する全体の時間は、ワークピースを形成している材料を含む複数の要因に応じて変化する。したがって、加熱周期及び冷却周期の各々は3〜5分より長い場合もあり、一実施形態では、加熱周期及び冷却周期の各々は約15〜約20分を要する。
【0033】
第1及び第2の温度は、それぞれ、β転移温度を上回る任意の温度及び同温度を下回る任意の温度に選択することができる。本発明の実施形態によりワークピース14を形成する場合の効率を上昇させるために、第1及び第2の温度は、それぞれ通常β転移温度をわずかに上回る温度及び同温度をわずかに下回る温度に選択される。上述のように、相転移温度範囲は、ワークピースの正確な材料組成によって決まるので、特定の種類の合金でも、正確な材料組成が同様に変化しうるため、相転移温度範囲はワークピース毎に異なることがありうる。したがって、約1000℃のβ転移温度を有するTi−6−4から形成されたワークピースの第1の温度及び第2の温度はそれぞれ1010℃及び890℃であるが、Ti−6−4の実際の相転移温度範囲は、ワークピースの正確な材料組成に応じていくらか変動しうる。
【0034】
したがって、一実施形態では、第1及び第2の温度は、ワークピース14に関連する実際の処理特性によって決定する。例えば、図6の上部に示すように、第1の温度から第2の温度へのワークピースの冷却は、通常階段状のパターンを辿る。これに関して、ワークピースの冷却速度は、70に示すように、第1温度から相転移温度範囲、即ちβ転移温度の上限までは、通常比較的急速で、且つ一定である。相転移温度範囲内では、冷却速度は72に示すように大幅に低下し、その後、相転移が基本的に完了すると、74に示すように再び同じ比較的急速な冷却速度を回復する。したがって、本発明の一実施形態の装置10は、ワークピースの冷却速度が、相転移温度範囲内で低下した後に急速冷却速度に復帰したことを検出するコントローラ22を含むことができる。ブロック52を参照のこと。これに関し、ワークピースの温度を監視して、冷却速度を決定するコントローラに温度表示を提供するために、熱電対を使用することができる。このようにして、ワークピースの冷却速度が相転移温度範囲内で低下した後に急速冷却速度に復帰したことを検出すると、コントローラは、ワークピースがワークピースの相転移温度範囲を下回る第2の温度であると決定し、次いでワークピースの再加熱を開始するという命令を供給する。ブロック56を参照のこと。
【0035】
上述のように、本発明の実施形態の方法及び装置10は、様々な方式でワークピース14を加熱することができる。しかしながら、図示の実施形態では誘導加熱技術が用いられており、この場合、熱制御系が誘導加熱コイル16を駆動して振動電磁界のような電磁エネルギーを放出させることにより、サセプタ18が加熱され、それによりワークピースが加熱される。このように、本実施形態のコントローラ22からの、ワークピースの加熱を開始させる命令は、実際には、熱制御系に、誘導加熱コイルを駆動して電磁エネルギーを放出させるように命令する。一実施形態では、加熱周期の間、熱制御系は、一定の電圧レベルを維持し、一定の電圧レベルを維持するめに十分な電流を誘導加熱コイルに供給する。図6に示すように、所定の電圧レベルを維持するために熱制御系によって誘導加熱コイルに供給される電流は、通常、サセプタがキュリー点温度に到達してサセプタが強磁性相から常磁性相変化にすることにより、サセプタにより生成される負荷が変化するにつれて、高電流である第1のレベルから低電流である第2のレベル76へと低下する。サセプタは、キュリー点温度がワークピースのβ転移温度より高くなるように設計されているので、一定の電圧レベルを維持するために電源によって誘導加熱コイルに供給される電流が低下した結果サセプタがキュリー点温度に到ったという認識は、ワークピースがβ転移温度より高い第1の温度であるということも決定する。したがって、コントローラはまた、例えば電源により誘導加熱コイルに供給される電流レベルの低下が完了したことを検出することにより、サセプタがキュリー温度に到達したことを検出するように構成されている。ブロック48を参照のこと。このように、本実施形態のコントローラは、有利には、電源によって有効加熱コイルに供給される電流を示す信号を受信し、この電流が所定のレベル未満に低下したときを検出することができるか、或いは一実施形態においては電流レベルの低下が完了したときを検出することができ、それによりサセプタがキュリー温度に到達したことを示すことができる。コントローラはまた、サセプタがキュリー温度に到達したことを検出することにより、ワークピースがβ転移温度より高い第1の温度であることを決定し、このときワークピースの冷却を開始する命令を発行するように構成される。これに関し、コントローラは、電源に対し、誘導加熱コイルへの電流供給を停止させる命令を発行することができ、これは、サプタと、したがってワークピースとを加熱していた電磁エネルギーの生成を終了させる。ブロック50を参照のこと。
【0036】
図4Aのブロック54と、図5及び6とに示すように、冷却と加熱の周期を所定の回数にわたって繰返すことにより、ワークピースは、効率的に、且つ従来のフォーミング技術に必要とされるより低温低圧で圧密化することができる。β転移温度内で且つβ転移温度近傍でワークピースを圧密化することにより、圧密化したワークピース内での粒子の成長に伴う相の過剰な転移及び相互作用を制御することができる。このようにして、結果として得られるワークピースの物理的力学的挙動を調整するために、多種多様の可能な材料組成及び形態を作製することができる。例えば、1000℃を下回る温度では、酸化物、窒化物、炭化物、ホウ化物などの多数の金属及びセラミックの金属間化合物がチタン中で安定であり、粒子、繊維、ウィスカなどの形態の様々なチタン合金組成物に組み入れることにより、結果として得られる圧密化されたワークピースの機械的、電気的、及び/又は熱的性能を強化するか、又はそれ以外の調整を加えることができる。
【0037】
ワークピース14を第1の温度と第2の温度との間で繰返し周期的に変化させることを完了した後は、誘導加熱コイル16による電磁エネルギーの生成をやめることにより、ワークピースの温度を下げることができる。同様に、ダイアセンブリによって印加される圧力を除去して、ダイ12を開放することにより、圧密化されたワークピースをアセンブリから取り外すことができる。ブロック58及び60を参照のこと。ガラスのような静圧的圧縮媒体26がワークピースにコーティングされている一実施形態では、例えば化学的又は機械的工程でワークピースを処理することにより、ガラス層などの静圧的圧縮媒体を取り除くことができる。ブロック62を参照のこと。ここで、ワークピースは、必要に応じて機械加工することにより所望の最終的外形を有することができる。
【0038】
上述のように、ダイ12によって印加される圧力と、第1の温度及び第2の温度、並びにそれらの温度の間において、静圧的圧縮媒体26は、比較的高い粘度、例えば10を上回る粘度を有する液体である。したがって、ワークピース14の熱処理の間にワークピースに印加される圧力は、静圧的圧縮媒体の静圧的特性の結果としてワークピースの表面全体に比較的均一に広がる。ワークピース上に比較的均一に負荷を分散させることを可能にすることにより、静圧的圧縮媒体は、複雑な外形を有するワークピース、例えば異なる方向に延びる部分を有するワークピースを、単一の作用ダイを用いて、即ち一方向(例えば図1の実施形態では垂直方向)に圧力を印加するダイアセンブリを用いて形成することを可能にする。したがって、複雑な外形を有するワークピースを、複雑性及び費用を要する二重又は三重の作用ダイを必要とせずに作製することができる。さらに、静圧的圧力媒体の静圧的特性により、比較的均一に負荷を分散させることにより、結果として得られるワークピースの圧密化は、結果として得られるワークピースが比較的均一に圧密化されていることにより所望の材料特性の利益を享受できるように、一様に実行することができる。
【0039】
当業者であれば、本明細書に記載される本発明には多数の修正例及び他の実施形態が想起可能であり、本発明が関連するそれら修正例及び実施形態は、上述の説明及び添付図面に提示された教示の利点を有している。例えば、複数の例示的処理パラメータはTi−6−4粉末合金の処理に関連して上述されているのであり、他の材料から形成されるワークピースには他の処理パラメータが適切である。加えて、本発明の実施形態は、ワークピースの相を繰り返し変化させるのに十分な温度の周期的変化に関連して説明したが、本発明の他の実施形態は、反復されるワークピースの相転移ではなく、組み合わせられてワークピースを形成する二つの材料が温度の周期的変化に応答して呈する熱膨張の差異により生じる内部応力に基づいて、ワークピースを形成することができる。したがって、本発明は、開示された特定の実施形態に限定されるのではなく、修正例及び他の実施形態も特許請求の範囲に含まれることを理解されたい。本明細書では特定の表現が使用されているが、それらは一般的な意味で、説明のために使用されているのであって、限定を目的としていない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所望の外形を有するワークピースのフォーミング装置であって、
協働する第1及び第2のダイと、
導電体からなるサセプタであって、前記協働する第1及び第2のダイと共に、前記ワークピースを受けるダイの空洞を画定しており、前記ダイの空洞が前記ワークピースの所望の外形を画定しており、且つ前記ダイの空洞と熱的に連通することにより、前記ワークピースのβ転移温度を上回る第1の温度と、前記ワークピースのβ転移温度を下回る第2の温度との間で前記ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させるサセプタと、
前記ダイの空洞内部に配置されて前記ワークピースの少なくとも一の側面近傍に位置する静圧的圧縮媒体であって、前記第1の温度と前記第2の温度との間で10ポアズを上回る粘度を有する液体である媒体と
を備える装置。
【請求項2】
前記静圧的圧縮媒体が非晶質を含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記静圧的圧縮媒体がガラスを含んでいる、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記ガラスが前記ワークピースを封入している、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記ガラスが前記ワークピースによって担持される、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記静圧的媒体が、第1の温度と第2の温度の間で前記ワークピースと反応しない、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記ワークピースの所望の外形が、異なる方向に延びる部分を有する複雑なものであり、且つ本装置が、前記協働する第1及び第2のダイを含む単一の作用ダイを含んでいる、請求項1に記載の装置。
【請求項8】
更にコントローラを備え、前記コントローラが、
前記ワークピースの冷却速度が相転移温度範囲内において低下した後に急速冷却速度に復帰したことを検出することにより、前記ワークピースが前記ワークピースのβ転移温度を下回る第2の温度であることを決定し、
前記ワークピースが第2の温度であるという決定に応答して前記ワークピースの加熱を開始させ、
前記ワークピースがキュリー温度に到達したことを検出することにより、前記ワークピースが前記ワークピースのβ転移温度を上回る第1の温度であることを決定し、
前記ワークピースが第1の温度であるという決定に応答して前記ワークピースの冷却を開始させる
ように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項9】
更に、電源と、前記電源に応答性であって、電磁エネルギーを放出することにより前記サセプタを加熱する誘導加熱コイルとを備えており、前記コントローラが、前記電源によって前記誘導加熱コイルに供給される電流レベルの低下が完了したことを検出することにより、前記ワークピースが前記β転移温度を上回る第1の温度であることを決定するように構成されている、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
転移温度を下回る第1の固相から転移温度を上回る第2の固相へと変化するように構成されたプリフォームと、
前記プリフォームの少なくとも一の側面に配置された静圧的圧縮媒体であって、相転移温度範囲内で10ポアズを上回る粘度を有する液体である静圧的圧縮媒体と
を備えるプリフォームアセンブリ。
【請求項11】
前記静圧的圧縮媒体が非晶質を含んでいる、請求項10に記載のプリフォームアセンブリ。
【請求項12】
前記静圧的媒体がガラスを含んでいる、請求項11に記載のプリフォームアセンブリ。
【請求項13】
前記ガラスが前記プリフォームを封入している、請求項12に記載のプリフォームアセンブリ。
【請求項14】
前記静圧的媒体が、前記温度範囲内でプリフォームと反応しない、請求項10に記載のプリフォームアセンブリ。
【請求項15】
所望の外形を有するワークピースのフォーミング方法であって、
ダイアセンブリによって画定されるダイの空洞内にワークピースを配置することであって、前記ダイの空洞が前記ワークピースの所望の外形を画定し、静圧的圧縮媒体も前記ダイの空洞内に配置されて前記ワークピースの少なくとも一の側面近傍に位置すること、
前記ワークピースのβ転移温度を上回る第1の温度と、前記ワークピースのβ転移温度を下回る第2の温度との間で前記ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させること、及び
前記ワークピースと前記静圧的圧縮媒体とに圧力を印加すると同時に、前記第1の温度と前記第2の温度との間で前記ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させることであって、前記第1の温度と前記第2の温度との間で前記ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させる間は前記静圧的圧縮媒体が10ポアズを上回る粘度の液相に維持されること
を含む方法。
【請求項16】
前記静圧的圧縮媒体がガラスを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ガラスが前記ワークピースを封入する、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記ガラスが前記ワークピースによって担持される、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記第1の温度と前記第2の温度との間で前記ワークピースの温度を繰り返し周期的に変化させることが、
前記ワークピースの冷却速度が前記相転移温度範囲内において低下した後で急速冷却速度に復帰したことを検出することにより、前記ワークピースが前記ワークピースのβ転移温度を下回る前記第2の温度であることを決定すること、
前記ワークピースが前記第2の温度であるという決定に応答してワークピースを加熱すること、
前記サセプタがキュリー温度に到達したことを検出することにより、前記ワークピースが前記ワークピースのβ転移温度を上回る第1の温度であることを決定すること、及び
前記ワークピースが前記第1の温度であるという決定に応答してワークピースの冷却を開始させること
を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
電源と、前記電源に応答性であって、電磁エネルギーを放出して前記ワークピースを加熱するように構成された誘導加熱コイルとを供給することを更に含み、前記ワークピースが前記β転移温度を上回る前記第1の温度であることを決定することが、前記電源により前記誘導加熱コイルに供給される電流レベルの低下が完了したことを検出することを含む、請求項19に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2011−528995(P2011−528995A)
【公表日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−520201(P2011−520201)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2009/051562
【国際公開番号】WO2010/011847
【国際公開日】平成22年1月28日(2010.1.28)
【出願人】(500520743)ザ・ボーイング・カンパニー (773)
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
【Fターム(参考)】