フォーム作成方法及び印刷制御装置
【課題】 メモリ容量が少ないプリンタでも、通常のオーバレイ印刷に比べ、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させる。
【解決手段】 予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷システムの印刷制御装置において、オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる。複数のページをオーバレイ印刷する際に、指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する。ここで、連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、後付けされるデータを含むフォームを作成する。
【解決手段】 予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷システムの印刷制御装置において、オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる。複数のページをオーバレイ印刷する際に、指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する。ここで、連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、後付けされるデータを含むフォームを作成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帳票やラベルなどを大量に印刷する場合、その印刷速度が速いことが好ましい。一方、プリンタの種類によっては印刷ジョブをイメージとして扱うため、印刷ジョブのファイルサイズが非常に大きくなる。
【0003】
また、パーソナルコンピュータ(PC)上の印刷アプリケーションソフトからプリンタドライバを介して生成した印刷ジョブのサイズが大きいと、PCからプリンタへの転送に時間がかかってしまうため、印刷速度が低下してしまう。
【0004】
そこで、印刷速度を上げるために、フォームをフォームファイルとして予めプリンタに登録しておき、フォームと後付けデータファイルとを用いてオーバレイ印刷を行う技術が提案されている。ここで、フォームファイルと後付けデータファイルとの関係を、図1を用いて説明する。
【0005】
図1は、フォームファイルとデータファイルとの関係を説明するための図である。このフォームファイル101には、データに依存しない固定の文字・図形104と、データが流し込まれる箇所105が定義されている。ここで、データが流し込まれる箇所105をフィールドと呼ぶ。
【0006】
次に、後付けデータファイル102は一般的なテキストファイルなどであり、印刷アプリケーションのルールに従ってデータが記述される。図1に示す例では<フィールド1>と定義されているフィールドに対して“1000円”というデータを流しこむ、という記述になっている。
【0007】
フォームファイルと後付けデータファイルとに基づいて印刷アプリケーションソフトがフィールドにデータを流した後の描画命令を、プリンタドライバを介してプリンタに送ることにより、最終的な印刷物である出力結果103が得られる。
【0008】
次に、プリンタに予めフォーム(フォームファイル)を登録しておく、オーバレイ印刷を、図2を用いて説明する。
【0009】
図2は、プリンタにフォームを登録するオーバレイ印刷の一例を示す図である。図2に示す例では、ユーザがフォーム201と後付けデータ202とをオーバレイ印刷するように印刷アプリケーション203に指示する。これにより、印刷アプリケーション203が、まずフォーム201に基づいてオーバレイ処理用のフォームファイル204を生成し、プリンタドライバ206を介してプリンタ207に登録する。
【0010】
次に、印刷アプリケーション203は後付けデータ202を解析し、フォーム201のフィールドに対応するデータのみの描画情報205をプリンタドライバ206に送る。プリンタドライバ206は、描画情報205に基づいてフォーム201とは異なる可変部分のみを描画した印刷ジョブ209をプリンタ207に送る。
【0011】
そして、プリンタ207がオーバレイ処理用のフォームファイル204と描画情報205を重ね合わせて印字することで、最終的な印刷物208を得ることができる。尚、プリンタドライバ206及びプリンタ207における処理の詳細は、更に後述する。
【0012】
このように、オーバレイ印刷を行うことで、プリンタドライバからプリンタに送れらる印刷ジョブのサイズが、オーバレイ印刷を行わない場合と比べて小さくなる。そのため、プリンタドライバからプリンタに印刷ジョブを送る時間が短縮され、全体として印刷速度の向上が見られる。
【0013】
尚、オーバーレイ印刷は既存の技術であり、オーバーレイ印刷に関する特許も出願されている。例えば、特許文献1には、オーバーレイ印刷時に1つのジョブで複数のフォームの指定ができるような技術が提案されている。また、特許文献2には、オーバレイ印刷に加え、更に後付けデータファイルのサイズを削減するといった技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−122837号公報
【特許文献2】特開平8−174951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、帳票やラベル等を印刷する場合、特定のフィールドにセットされる値が複数ページの間連続することがあり得る。図3は、フィールドにセットされる値が複数のページに連続する場合の一例を示す図である。図3に示す例は、計5ページの印刷結果の例である。フォーム301と後付けデータ302をオーバレイ印刷することで、印刷結果303を得ることができる。このとき、フィールド304にセットされる値が、1ページから3ページまでが「薬品A」という共通の値である。また、4〜5ページは「薬品B」である。
【0015】
そこで、フォーム内に設定された固定部分のみでなく、図4に示すように、ページ間で連続するデータまでをオーバレイ印刷のために登録するフォームに含むことができれば、更なる印刷速度の向上が期待できる。401、402はページ間で連続するデータ(製品A、製品B)をフォームの一部として含ませたもので、オーバレイ印刷時にドライバからプリンタに送られる印刷ジョブのサイズが、より小さくなる。
【0016】
しかし、現状の技術では、オーバレイ印刷時に、プリンタに登録できる情報はフォームの固定部分のみであり、後付けデータとして設定されるデータまでオーバレイ印刷のためにプリンタに登録することは、今まで考慮されていなかった。
【0017】
これを解決する手段の1つとしては、ページ間で連続するデータを後付けデータとしてではなく固定文字列としてフォームに設定し、複数のフォームを予め生成、登録しておくことが考えられる。しかし、この場合、データによっては必要なフォームが大量になってしまい、ユーザがフォームを管理するのが困難である。また、メモリが少ないプリンタの場合、フォームを複数登録することができないため、複数のフォームを予め登録しておくことはできない。
【0018】
本発明は、メモリ容量が少ないプリンタでも、通常のオーバレイ印刷に比べ、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置におけるフォーム作成方法であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定工程と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定工程において指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定手段と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定手段によって指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、メモリ容量が少ないプリンタでも、通常のオーバレイ印刷に比べ、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る帳票などのフォームを作成する処理を説明する前に、本発明を適用可能な印刷システムの構成を説明する。
【0024】
[システム構成]
図5は、帳票などのフォームをオーバレイ印刷する印刷システムの構成の一例を示す図である。図5に示すように、印刷システム500は、汎用のコンピュータ501、データベースサーバ517、ファイルサーバ515、プリントサーバ509で構成される。また、コンピュータ501とサーバ517、515、509とはネットワーク507を介して接続されている。
【0025】
データベースサーバ517は、ドキュメント生成のためのデータソースとして典型的なデータベース519を管理するコンピュータである。コンピュータ501はネットワーク507を介してデータベースサーバ517と通信する。
【0026】
ファイルサーバ515は、フォームファイルや設定ファイルを保存するコンピュータである。また、これらのファイルやドキュメントはコンピュータ501のローカルファイルとしてシステムに保存されるか、プリンタ513で直接印刷されても良い。
【0027】
プリントサーバ509は、直接接続されていないプリンタ513をネットワーク507に接続するネットワーク機能を提供するコンピュータである。このプリントサーバ509とプリンタ513は典型的な通信チャネル511を介して接続される。
【0028】
ここで、フォーム作成処理はコンピュータ501のフォーム作成アプリケーション521のようなソフトウェアの全体、或いは一部分で実行される。また、フォーム作成アプリケーション521は、フォームの作成や印刷などを行うよう指示し、2つのソフトウェアコンポーネントを含む。
【0029】
ライブラリ505は、本発明に係るオーバレイ印刷におけるフォーム作成処理を行う。尚、このフォーム作成処理については更に後述する。ユーザインターフェース503は、ユーザにフォームや設定ファイルを作成させるメカニズムを提供する。また、ユーザインターフェース503とライブラリ505は通信チャネル523を介して通信する。
【0030】
図6は、図5に示すコンピュータ501の構成の一例を示す図である。尚、コンピュータ501は、オーバレイ印刷を行うプリンタを制御する印刷制御装置として機能するものであり、フォーム作成アプリケーションが起動される前に、プリンタに対応するプリンタドライバがインストールされているものとする。
【0031】
図6に示す例では、コンピュータ501には、I/Oインターフェース543を介してキーボード532やマウス(ポインティングデバイス)533が接続される。このキーボード532やマウス533は入力装置として機能する。また、コンピュータ501には、ビデオインターフェース537を介してビデオディスプレイ544、I/Oインターフェース538を介してローカルのプリンタ545が接続される。このビデオディスプレイ544とプリンタ545は出力装置として機能する。
【0032】
尚、上述のキーボード532やマウス533とビデオディスプレイ544とは、図5に示すユーザインターフェース503として機能する。
【0033】
更に、コンピュータ501はI/Oインターフェース538を介してネットワーク507に接続されたシステム500の他のコンピュータに接続する。尚、ネットワーク507の典型はローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)である。
【0034】
また、コンピュータ501は典型的に少なくとも1つのプロセッサ535、例えば半導体のランダムアクセスメモリ(RAM)やリードオンリーメモリ(ROM)で構成されるメモリ536を含む。更に、典型的にハードディスクドライブ540やフレキシブルディスクドライブ541などの記憶装置539を含む。不図示であるが、磁気テープドライブなどを含んでも良い。また、CD−ROMドライブ542は不揮発性のデータソースとして提供される。
【0035】
上述したコンピュータ501の各コンポーネントは、相互接続バス534を介して接続され、メモリ536上に展開されたオペレーティングシステムに基づいて処理を実行するプロセッサ535によって制御される。
【0036】
図5に示すフォーム作成アプリケーション521は、典型的にハードディスクドライブ540に常駐し、プロセッサ535が実行時に、メモリ536に読み込まれ処理される。フォーム作成処理において、データベースサーバ517のデータはネットワーク507を介して取得され、メモリ536に蓄積される。
【0037】
図7は、エンジンサーバが追加された印刷システムの構成の一例を示す図である。図7では、図5に示すライブラリ505を分離したライブラリ725を含むエンジンサーバ727を更に含む。尚、エンジンサーバ727は典型的なコンピュータである。
【0038】
ファイルサーバ515に保存されたフォームは印刷や他の目的がある場合、ライブラリ505によってドキュメントを生成するためにデータベース519に保存されたデータとオーバレイ印刷することができる。このような操作は、ユーザインターフェース503を介して要求されるか、エンジンサーバ727のインターフェース728からユーザがライブラリ725に対して指示することによって行われる。
【0039】
図8は、本実施形態におけるプリンタ513の構造を示す断面図である。給紙口801にセットされたロール用紙が印刷の開始と共に取り込まれ、プリンタ内部に配送される。そして、印字位置803に到達すると、印刷データに基づいて制御される各印字ヘッドによってインク802が吐出され、用紙に印刷が行われる。その後、印刷された用紙は排紙口805から排紙トレイ806に排紙される。
【0040】
図9は、オーバレイ印刷時のプリンタドライバ及びプリンタの内部処理の一例を示す図である。この例は、プリンタドライバ901がフォーム902とデータ部分905を描画したときの例である。
【0041】
プリンタドライバ901がフォーム作成アプリケーション521からフォーム902を受け取ると、プリンタに登録するためのフォームのイメージ903を生成し、プリンタに登録する。ここで、904はプリンタに登録されるフォームのイメージである。
【0042】
次に、プリンタドライバ901が可変部分のデータ905を受け取ると、フォームのイメージ903に可変部分のデータ905を合成したイメージ906を生成する。そして、イメージ906をバンド単位に分割し、バンド単位に分割したイメージ907とフォームのイメージ903とをバンド単位で比較する。比較の結果、フォームのイメージ903と異なる部分のイメージ908をプリンタ911に送る。
【0043】
一方、プリンタ911がプリンタドライバ901からイメージ908を受信し、登録したイメージ904に基づいて、イメージ908と合成すべきイメージ909を生成する。そして、生成したイメージ909に受信したイメージ908を合成して印字することで、最終的な印刷物910を得る。
【0044】
このように、可変部分のみのイメージを送ることで、プリンタドライバからプリンタへの転送量を削減することができる。
【0045】
[フォーム作成]
ここで、フォーム作成アプリケーション521で行われるフォーム作成処理を、図10〜図13を用いて説明する。この処理は、フォームと後付けデータによりオーバレイ印刷を行う際に、ライブラリ505がオーバレイ用のフォームを動的に生成する処理である。以下、動的に生成する後付けデータを含むフォームを「動的オーバレイフォーム」と記述する。
【0046】
図10は、本実施形態におけるフォーム作成処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1001では、ユーザがフォーム作成アプリケーション521からフォームを生成する際に、プリンタに登録されるフォームの一部に含める後付けデータをセットするフィールドに対して属性を設定する。
【0047】
尚、ここでの設定はオーバレイ印刷の際に、予め決められたページ数、連続するようなデータがセットされるフィールドに対して設定するのが効果的である。
【0048】
図11は、本実施形態におけるフィールドに対して属性を設定する方法を説明するための図である。1101はフォーム作成アプリケーション521が提供するフォーム作成用のエディタ画面である。1102はエディタ画面1101に表示されたフォームである。尚、このフォーム1102はエディタが起動される際に、ユーザによって指定されたものである。
【0049】
ここで、ユーザがフィールド1103をマウスなどで選択し、このフィールド1103のプロパティを開くように指示する。フォーム作成アプリケーション521が指示を検知すると、エディタ画面1101上にフィールド1103のプロパティダイアログ1104をポップアップ表示する。そして、ユーザがプロパティダイアログ1104内のチェックボックス1105にチェックし、後付けデータを設定するフィールドとして設定する。
【0050】
次に、ステップS1002では、ステップS1001で設定された後付けデータのフィールドが指定されたフォームと後付けデータをライブラリ505に渡す。
【0051】
図12及び図13は、本実施形態におけるライブラリのフォーム作成の一例を示す図である。図12において、1201はフォームであり、後付けデータを設定するフィールド1203、1204が指定されている。1202は後付けデータのファイルである。ここで、フィールド1203には後付けデータのファイル1202の1列目のデータ(薬品A、薬品B)が設定され、フィールド1204には後付けデータのファイル1202の2列目のデータが設定される。また、フィールド1203には、プリンタに登録するフォームに後付けデータを含めることを示す属性が設定されているものとする。
【0052】
ここでライブラリ505は、ステップS1003で、後付けデータのファイル1202から1ページ分のデータを読み込み、解析を行う。具体的には、後付けデータのファイル1202の1行目のデータと2行目のデータが解析される。
【0053】
次に、ステップS1004では、ライブラリ505はフィールド1203に設定されるデータが前ページの値と異なるか否かを判定する。判定の結果、同一であると判定された場合は、そのままステップS1006へ処理を進めるが、異なると判定された場合には、ステップS1005へ処理を進める。このステップS1005では、フィールド1203にステップS1003で解析したデータを含む動的オーバレイフォーム1205を生成し、プリンタに登録する。この処理により、フォーム1201のフィールド1203に対応する動的オーバレイフォーム1205の部分1206に「薬品A」という後付けデータが設定される。
【0054】
次に、ステップS1006で、ライブラリ505はステップS1004で生成したフォーム部分を除く1ページ分の情報を描画する。ここでは、フォームとして登録した以外の可変的な部分のみを描画する。図12に示す1207は1ページ目、1208は2ページ目、1209は3ページ目の後付けデータが描画されたものである。
【0055】
次に、ステップS1007で、ライブラリ505は後付けデータの全データを解析したか否かを判定する。ここで、次ページ分のデータがあれば、ステップS1003に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0056】
図12に示す例では、ライブラリ505は、動的オーバレイフォーム1205に対して1207〜1209の3ページ分を描画する。尚、2ページ目と3ページ目については、フィールド1203に設定される値が「薬品A」であり、前ページと値が同一であるため、ステップS1005で動的オーバレイフォームは生成されない。つまり、1ページ目の処理で生成した動的オーバレイフォーム1205に対して2ページ目と3ページ目が描画される。
【0057】
そして、4ページ目の処理において、フィールド1203に設定される値が「薬品A」から「薬品B」に変化する。従って、ステップS1004で異なると判定され、ステップS1005で、図13に示すように、動的オーバレイフォーム1301が生成され、登録される。
【0058】
このとき、動的オーバレイフォーム1205は破棄され、オーバレイ印刷に使用されるフォームが動的オーバレイフォーム1301に変更される。その後、ステップS1006で、ライブラリ505は、1302と1303の2ページ分を4ページ目と5ページ目として描画する。そして、動的オーバレイフォーム1205、1301とページ1207〜1209、1302、1303がプリンタドライバ901で処理されてプリンタ911へ送信され、最終的な印刷物1304が得られる。
【0059】
このように、印刷ページを描画しながら、後付けデータを含むオーバレイ用のフォームを動的に生成し、登録することで、プリンタに送られる情報量を減らすことができる。
【0060】
尚、本実施形態では、フォーム作成アプリケーションにおけるライブラリの処理として説明したが、プリンタドライバに処理させることも可能である。
【0061】
[変形例]
上述した方法では、フィールドに設定される値が前ページと異なる場合には、必ず動的オーバレイフォームを作り直しているが、場合によっては無駄になってしまう。そこで、変形例として、フィールドに設定される値がページ間で不連続の場合は、動的オーバレイフォームを作成しない方法を説明する。
【0062】
図14は、本実施形態における変形例のフォーム作成を示す図である。図14に示す例は計5ページの印刷物の例であるが、1〜2ページ目1401ではフィールド1405に設定されるデータが連続しない。一方、3〜5ページ目1402では連続して「製品Z」という値が設定されている。このような場合、1〜2ページ目で動的オーバレイフォームを生成しても、印刷速度の向上はみこめない。つまり、動的オーバレイフォームを生成し、登録しても、その動的オーバレイフォームはそのページでしか使用されず、次のページではまた別の動的オーバレイフォームが必要となる。
【0063】
そこで、変形例では、データがページ間で不連続の場合には動的オーバレイフォームを生成しない。具体的には、後付けデータファイルを何ページか先まで先読みし、データが不連続か否かを判定する。
【0064】
図14に示す例では、1〜2ページでは、動的オーバレイフォームを生成せず、通常のフォーム1403をプリンタに登録する。
【0065】
尚、何ページ分を先読みするかについては、フォーム作成アプリケーションで予め決めておいてもよいし、図15に示すようなプロパティ設定画面により、ユーザに指定させてもよい。
【0066】
図15は、本実施形態における変形例のプロパティ設定画面を示す図である。図15に示す例では、3ページ分を先読みし、3ページ間で値が変わらない場合、動的オーバレイフォームを生成する。
【0067】
以上説明したように、通常のオーバレイ印刷に比べて、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることができる。
【0068】
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0069】
また、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0070】
この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0071】
このプログラムコードを供給するための記録媒体として、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0072】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、次の場合も含まれることは言うまでもない。即ち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合である。
【0073】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードがコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】フォームファイルとデータファイルとの関係を説明するための図である。
【図2】プリンタにフォームを登録するオーバレイ印刷の一例を示す図である。
【図3】フィールドにセットされる値が複数のページに連続する場合の一例を示す図である。
【図4】オーバレイ印刷時にドライバからプリンタに送られる印刷ジョブのサイズをより小さくする場合の一例を示す図である。
【図5】帳票などのフォームをオーバレイ印刷する印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図6】図5に示すコンピュータ501の構成の一例を示す図である。
【図7】エンジンサーバが追加された印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図8】本実施形態におけるプリンタ513の構造を示す断面図である。
【図9】オーバレイ印刷時のプリンタドライバ及びプリンタの内部処理の一例を示す図である。
【図10】本実施形態におけるフォーム作成処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態におけるフィールドに対して属性を設定する方法を説明するための図である。
【図12】、
【図13】本実施形態におけるライブラリのフォーム作成の一例を示す図である。
【図14】本実施形態における変形例のフォーム作成を示す図である。
【図15】本実施形態における変形例のプロパティ設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
500 印刷システム
501 コンピュータ
503 ユーザインターフェース
505 ライブラリ
507 ネットワーク
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
帳票やラベルなどを大量に印刷する場合、その印刷速度が速いことが好ましい。一方、プリンタの種類によっては印刷ジョブをイメージとして扱うため、印刷ジョブのファイルサイズが非常に大きくなる。
【0003】
また、パーソナルコンピュータ(PC)上の印刷アプリケーションソフトからプリンタドライバを介して生成した印刷ジョブのサイズが大きいと、PCからプリンタへの転送に時間がかかってしまうため、印刷速度が低下してしまう。
【0004】
そこで、印刷速度を上げるために、フォームをフォームファイルとして予めプリンタに登録しておき、フォームと後付けデータファイルとを用いてオーバレイ印刷を行う技術が提案されている。ここで、フォームファイルと後付けデータファイルとの関係を、図1を用いて説明する。
【0005】
図1は、フォームファイルとデータファイルとの関係を説明するための図である。このフォームファイル101には、データに依存しない固定の文字・図形104と、データが流し込まれる箇所105が定義されている。ここで、データが流し込まれる箇所105をフィールドと呼ぶ。
【0006】
次に、後付けデータファイル102は一般的なテキストファイルなどであり、印刷アプリケーションのルールに従ってデータが記述される。図1に示す例では<フィールド1>と定義されているフィールドに対して“1000円”というデータを流しこむ、という記述になっている。
【0007】
フォームファイルと後付けデータファイルとに基づいて印刷アプリケーションソフトがフィールドにデータを流した後の描画命令を、プリンタドライバを介してプリンタに送ることにより、最終的な印刷物である出力結果103が得られる。
【0008】
次に、プリンタに予めフォーム(フォームファイル)を登録しておく、オーバレイ印刷を、図2を用いて説明する。
【0009】
図2は、プリンタにフォームを登録するオーバレイ印刷の一例を示す図である。図2に示す例では、ユーザがフォーム201と後付けデータ202とをオーバレイ印刷するように印刷アプリケーション203に指示する。これにより、印刷アプリケーション203が、まずフォーム201に基づいてオーバレイ処理用のフォームファイル204を生成し、プリンタドライバ206を介してプリンタ207に登録する。
【0010】
次に、印刷アプリケーション203は後付けデータ202を解析し、フォーム201のフィールドに対応するデータのみの描画情報205をプリンタドライバ206に送る。プリンタドライバ206は、描画情報205に基づいてフォーム201とは異なる可変部分のみを描画した印刷ジョブ209をプリンタ207に送る。
【0011】
そして、プリンタ207がオーバレイ処理用のフォームファイル204と描画情報205を重ね合わせて印字することで、最終的な印刷物208を得ることができる。尚、プリンタドライバ206及びプリンタ207における処理の詳細は、更に後述する。
【0012】
このように、オーバレイ印刷を行うことで、プリンタドライバからプリンタに送れらる印刷ジョブのサイズが、オーバレイ印刷を行わない場合と比べて小さくなる。そのため、プリンタドライバからプリンタに印刷ジョブを送る時間が短縮され、全体として印刷速度の向上が見られる。
【0013】
尚、オーバーレイ印刷は既存の技術であり、オーバーレイ印刷に関する特許も出願されている。例えば、特許文献1には、オーバーレイ印刷時に1つのジョブで複数のフォームの指定ができるような技術が提案されている。また、特許文献2には、オーバレイ印刷に加え、更に後付けデータファイルのサイズを削減するといった技術が提案されている。
【特許文献1】特開2000−122837号公報
【特許文献2】特開平8−174951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、帳票やラベル等を印刷する場合、特定のフィールドにセットされる値が複数ページの間連続することがあり得る。図3は、フィールドにセットされる値が複数のページに連続する場合の一例を示す図である。図3に示す例は、計5ページの印刷結果の例である。フォーム301と後付けデータ302をオーバレイ印刷することで、印刷結果303を得ることができる。このとき、フィールド304にセットされる値が、1ページから3ページまでが「薬品A」という共通の値である。また、4〜5ページは「薬品B」である。
【0015】
そこで、フォーム内に設定された固定部分のみでなく、図4に示すように、ページ間で連続するデータまでをオーバレイ印刷のために登録するフォームに含むことができれば、更なる印刷速度の向上が期待できる。401、402はページ間で連続するデータ(製品A、製品B)をフォームの一部として含ませたもので、オーバレイ印刷時にドライバからプリンタに送られる印刷ジョブのサイズが、より小さくなる。
【0016】
しかし、現状の技術では、オーバレイ印刷時に、プリンタに登録できる情報はフォームの固定部分のみであり、後付けデータとして設定されるデータまでオーバレイ印刷のためにプリンタに登録することは、今まで考慮されていなかった。
【0017】
これを解決する手段の1つとしては、ページ間で連続するデータを後付けデータとしてではなく固定文字列としてフォームに設定し、複数のフォームを予め生成、登録しておくことが考えられる。しかし、この場合、データによっては必要なフォームが大量になってしまい、ユーザがフォームを管理するのが困難である。また、メモリが少ないプリンタの場合、フォームを複数登録することができないため、複数のフォームを予め登録しておくことはできない。
【0018】
本発明は、メモリ容量が少ないプリンタでも、通常のオーバレイ印刷に比べ、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置におけるフォーム作成方法であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定工程と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定工程において指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成工程と、
を有することを特徴とする。
【0020】
また、本発明は、予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定手段と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定手段によって指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成手段と、
を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、メモリ容量が少ないプリンタでも、通常のオーバレイ印刷に比べ、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら発明を実施するための最良の形態について詳細に説明する。
【0023】
本発明に係る帳票などのフォームを作成する処理を説明する前に、本発明を適用可能な印刷システムの構成を説明する。
【0024】
[システム構成]
図5は、帳票などのフォームをオーバレイ印刷する印刷システムの構成の一例を示す図である。図5に示すように、印刷システム500は、汎用のコンピュータ501、データベースサーバ517、ファイルサーバ515、プリントサーバ509で構成される。また、コンピュータ501とサーバ517、515、509とはネットワーク507を介して接続されている。
【0025】
データベースサーバ517は、ドキュメント生成のためのデータソースとして典型的なデータベース519を管理するコンピュータである。コンピュータ501はネットワーク507を介してデータベースサーバ517と通信する。
【0026】
ファイルサーバ515は、フォームファイルや設定ファイルを保存するコンピュータである。また、これらのファイルやドキュメントはコンピュータ501のローカルファイルとしてシステムに保存されるか、プリンタ513で直接印刷されても良い。
【0027】
プリントサーバ509は、直接接続されていないプリンタ513をネットワーク507に接続するネットワーク機能を提供するコンピュータである。このプリントサーバ509とプリンタ513は典型的な通信チャネル511を介して接続される。
【0028】
ここで、フォーム作成処理はコンピュータ501のフォーム作成アプリケーション521のようなソフトウェアの全体、或いは一部分で実行される。また、フォーム作成アプリケーション521は、フォームの作成や印刷などを行うよう指示し、2つのソフトウェアコンポーネントを含む。
【0029】
ライブラリ505は、本発明に係るオーバレイ印刷におけるフォーム作成処理を行う。尚、このフォーム作成処理については更に後述する。ユーザインターフェース503は、ユーザにフォームや設定ファイルを作成させるメカニズムを提供する。また、ユーザインターフェース503とライブラリ505は通信チャネル523を介して通信する。
【0030】
図6は、図5に示すコンピュータ501の構成の一例を示す図である。尚、コンピュータ501は、オーバレイ印刷を行うプリンタを制御する印刷制御装置として機能するものであり、フォーム作成アプリケーションが起動される前に、プリンタに対応するプリンタドライバがインストールされているものとする。
【0031】
図6に示す例では、コンピュータ501には、I/Oインターフェース543を介してキーボード532やマウス(ポインティングデバイス)533が接続される。このキーボード532やマウス533は入力装置として機能する。また、コンピュータ501には、ビデオインターフェース537を介してビデオディスプレイ544、I/Oインターフェース538を介してローカルのプリンタ545が接続される。このビデオディスプレイ544とプリンタ545は出力装置として機能する。
【0032】
尚、上述のキーボード532やマウス533とビデオディスプレイ544とは、図5に示すユーザインターフェース503として機能する。
【0033】
更に、コンピュータ501はI/Oインターフェース538を介してネットワーク507に接続されたシステム500の他のコンピュータに接続する。尚、ネットワーク507の典型はローカルエリアネットワーク(LAN)やワイドエリアネットワーク(WAN)である。
【0034】
また、コンピュータ501は典型的に少なくとも1つのプロセッサ535、例えば半導体のランダムアクセスメモリ(RAM)やリードオンリーメモリ(ROM)で構成されるメモリ536を含む。更に、典型的にハードディスクドライブ540やフレキシブルディスクドライブ541などの記憶装置539を含む。不図示であるが、磁気テープドライブなどを含んでも良い。また、CD−ROMドライブ542は不揮発性のデータソースとして提供される。
【0035】
上述したコンピュータ501の各コンポーネントは、相互接続バス534を介して接続され、メモリ536上に展開されたオペレーティングシステムに基づいて処理を実行するプロセッサ535によって制御される。
【0036】
図5に示すフォーム作成アプリケーション521は、典型的にハードディスクドライブ540に常駐し、プロセッサ535が実行時に、メモリ536に読み込まれ処理される。フォーム作成処理において、データベースサーバ517のデータはネットワーク507を介して取得され、メモリ536に蓄積される。
【0037】
図7は、エンジンサーバが追加された印刷システムの構成の一例を示す図である。図7では、図5に示すライブラリ505を分離したライブラリ725を含むエンジンサーバ727を更に含む。尚、エンジンサーバ727は典型的なコンピュータである。
【0038】
ファイルサーバ515に保存されたフォームは印刷や他の目的がある場合、ライブラリ505によってドキュメントを生成するためにデータベース519に保存されたデータとオーバレイ印刷することができる。このような操作は、ユーザインターフェース503を介して要求されるか、エンジンサーバ727のインターフェース728からユーザがライブラリ725に対して指示することによって行われる。
【0039】
図8は、本実施形態におけるプリンタ513の構造を示す断面図である。給紙口801にセットされたロール用紙が印刷の開始と共に取り込まれ、プリンタ内部に配送される。そして、印字位置803に到達すると、印刷データに基づいて制御される各印字ヘッドによってインク802が吐出され、用紙に印刷が行われる。その後、印刷された用紙は排紙口805から排紙トレイ806に排紙される。
【0040】
図9は、オーバレイ印刷時のプリンタドライバ及びプリンタの内部処理の一例を示す図である。この例は、プリンタドライバ901がフォーム902とデータ部分905を描画したときの例である。
【0041】
プリンタドライバ901がフォーム作成アプリケーション521からフォーム902を受け取ると、プリンタに登録するためのフォームのイメージ903を生成し、プリンタに登録する。ここで、904はプリンタに登録されるフォームのイメージである。
【0042】
次に、プリンタドライバ901が可変部分のデータ905を受け取ると、フォームのイメージ903に可変部分のデータ905を合成したイメージ906を生成する。そして、イメージ906をバンド単位に分割し、バンド単位に分割したイメージ907とフォームのイメージ903とをバンド単位で比較する。比較の結果、フォームのイメージ903と異なる部分のイメージ908をプリンタ911に送る。
【0043】
一方、プリンタ911がプリンタドライバ901からイメージ908を受信し、登録したイメージ904に基づいて、イメージ908と合成すべきイメージ909を生成する。そして、生成したイメージ909に受信したイメージ908を合成して印字することで、最終的な印刷物910を得る。
【0044】
このように、可変部分のみのイメージを送ることで、プリンタドライバからプリンタへの転送量を削減することができる。
【0045】
[フォーム作成]
ここで、フォーム作成アプリケーション521で行われるフォーム作成処理を、図10〜図13を用いて説明する。この処理は、フォームと後付けデータによりオーバレイ印刷を行う際に、ライブラリ505がオーバレイ用のフォームを動的に生成する処理である。以下、動的に生成する後付けデータを含むフォームを「動的オーバレイフォーム」と記述する。
【0046】
図10は、本実施形態におけるフォーム作成処理を示すフローチャートである。まず、ステップS1001では、ユーザがフォーム作成アプリケーション521からフォームを生成する際に、プリンタに登録されるフォームの一部に含める後付けデータをセットするフィールドに対して属性を設定する。
【0047】
尚、ここでの設定はオーバレイ印刷の際に、予め決められたページ数、連続するようなデータがセットされるフィールドに対して設定するのが効果的である。
【0048】
図11は、本実施形態におけるフィールドに対して属性を設定する方法を説明するための図である。1101はフォーム作成アプリケーション521が提供するフォーム作成用のエディタ画面である。1102はエディタ画面1101に表示されたフォームである。尚、このフォーム1102はエディタが起動される際に、ユーザによって指定されたものである。
【0049】
ここで、ユーザがフィールド1103をマウスなどで選択し、このフィールド1103のプロパティを開くように指示する。フォーム作成アプリケーション521が指示を検知すると、エディタ画面1101上にフィールド1103のプロパティダイアログ1104をポップアップ表示する。そして、ユーザがプロパティダイアログ1104内のチェックボックス1105にチェックし、後付けデータを設定するフィールドとして設定する。
【0050】
次に、ステップS1002では、ステップS1001で設定された後付けデータのフィールドが指定されたフォームと後付けデータをライブラリ505に渡す。
【0051】
図12及び図13は、本実施形態におけるライブラリのフォーム作成の一例を示す図である。図12において、1201はフォームであり、後付けデータを設定するフィールド1203、1204が指定されている。1202は後付けデータのファイルである。ここで、フィールド1203には後付けデータのファイル1202の1列目のデータ(薬品A、薬品B)が設定され、フィールド1204には後付けデータのファイル1202の2列目のデータが設定される。また、フィールド1203には、プリンタに登録するフォームに後付けデータを含めることを示す属性が設定されているものとする。
【0052】
ここでライブラリ505は、ステップS1003で、後付けデータのファイル1202から1ページ分のデータを読み込み、解析を行う。具体的には、後付けデータのファイル1202の1行目のデータと2行目のデータが解析される。
【0053】
次に、ステップS1004では、ライブラリ505はフィールド1203に設定されるデータが前ページの値と異なるか否かを判定する。判定の結果、同一であると判定された場合は、そのままステップS1006へ処理を進めるが、異なると判定された場合には、ステップS1005へ処理を進める。このステップS1005では、フィールド1203にステップS1003で解析したデータを含む動的オーバレイフォーム1205を生成し、プリンタに登録する。この処理により、フォーム1201のフィールド1203に対応する動的オーバレイフォーム1205の部分1206に「薬品A」という後付けデータが設定される。
【0054】
次に、ステップS1006で、ライブラリ505はステップS1004で生成したフォーム部分を除く1ページ分の情報を描画する。ここでは、フォームとして登録した以外の可変的な部分のみを描画する。図12に示す1207は1ページ目、1208は2ページ目、1209は3ページ目の後付けデータが描画されたものである。
【0055】
次に、ステップS1007で、ライブラリ505は後付けデータの全データを解析したか否かを判定する。ここで、次ページ分のデータがあれば、ステップS1003に戻り、上述した処理を繰り返す。
【0056】
図12に示す例では、ライブラリ505は、動的オーバレイフォーム1205に対して1207〜1209の3ページ分を描画する。尚、2ページ目と3ページ目については、フィールド1203に設定される値が「薬品A」であり、前ページと値が同一であるため、ステップS1005で動的オーバレイフォームは生成されない。つまり、1ページ目の処理で生成した動的オーバレイフォーム1205に対して2ページ目と3ページ目が描画される。
【0057】
そして、4ページ目の処理において、フィールド1203に設定される値が「薬品A」から「薬品B」に変化する。従って、ステップS1004で異なると判定され、ステップS1005で、図13に示すように、動的オーバレイフォーム1301が生成され、登録される。
【0058】
このとき、動的オーバレイフォーム1205は破棄され、オーバレイ印刷に使用されるフォームが動的オーバレイフォーム1301に変更される。その後、ステップS1006で、ライブラリ505は、1302と1303の2ページ分を4ページ目と5ページ目として描画する。そして、動的オーバレイフォーム1205、1301とページ1207〜1209、1302、1303がプリンタドライバ901で処理されてプリンタ911へ送信され、最終的な印刷物1304が得られる。
【0059】
このように、印刷ページを描画しながら、後付けデータを含むオーバレイ用のフォームを動的に生成し、登録することで、プリンタに送られる情報量を減らすことができる。
【0060】
尚、本実施形態では、フォーム作成アプリケーションにおけるライブラリの処理として説明したが、プリンタドライバに処理させることも可能である。
【0061】
[変形例]
上述した方法では、フィールドに設定される値が前ページと異なる場合には、必ず動的オーバレイフォームを作り直しているが、場合によっては無駄になってしまう。そこで、変形例として、フィールドに設定される値がページ間で不連続の場合は、動的オーバレイフォームを作成しない方法を説明する。
【0062】
図14は、本実施形態における変形例のフォーム作成を示す図である。図14に示す例は計5ページの印刷物の例であるが、1〜2ページ目1401ではフィールド1405に設定されるデータが連続しない。一方、3〜5ページ目1402では連続して「製品Z」という値が設定されている。このような場合、1〜2ページ目で動的オーバレイフォームを生成しても、印刷速度の向上はみこめない。つまり、動的オーバレイフォームを生成し、登録しても、その動的オーバレイフォームはそのページでしか使用されず、次のページではまた別の動的オーバレイフォームが必要となる。
【0063】
そこで、変形例では、データがページ間で不連続の場合には動的オーバレイフォームを生成しない。具体的には、後付けデータファイルを何ページか先まで先読みし、データが不連続か否かを判定する。
【0064】
図14に示す例では、1〜2ページでは、動的オーバレイフォームを生成せず、通常のフォーム1403をプリンタに登録する。
【0065】
尚、何ページ分を先読みするかについては、フォーム作成アプリケーションで予め決めておいてもよいし、図15に示すようなプロパティ設定画面により、ユーザに指定させてもよい。
【0066】
図15は、本実施形態における変形例のプロパティ設定画面を示す図である。図15に示す例では、3ページ分を先読みし、3ページ間で値が変わらない場合、動的オーバレイフォームを生成する。
【0067】
以上説明したように、通常のオーバレイ印刷に比べて、より多くの情報をオーバレイの対象にすることで、印刷処理のパフォーマンスを向上させることができる。
【0068】
尚、本発明は複数の機器(例えば、ホストコンピュータ、インターフェース機器、リーダ、プリンタなど)から構成されるシステムに適用しても、1つの機器からなる装置(例えば、複写機、ファクシミリ装置など)に適用しても良い。
【0069】
また、前述した実施形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記録媒体を、システム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(CPU若しくはMPU)が記録媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行する。これによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0070】
この場合、コンピュータ読み取り可能な記録媒体から読出されたプログラムコード自体が前述した実施形態の機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記録媒体は本発明を構成することになる。
【0071】
このプログラムコードを供給するための記録媒体として、例えばフレキシブルディスク、ハードディスク、光ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。
【0072】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、前述した実施形態の機能が実現されるだけでなく、次の場合も含まれることは言うまでもない。即ち、プログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOS(オペレーティングシステム)などが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合である。
【0073】
更に、記録媒体から読出されたプログラムコードがコンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込む。その後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPUなどが実際の処理の一部又は全部を行い、その処理により前述した実施形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】フォームファイルとデータファイルとの関係を説明するための図である。
【図2】プリンタにフォームを登録するオーバレイ印刷の一例を示す図である。
【図3】フィールドにセットされる値が複数のページに連続する場合の一例を示す図である。
【図4】オーバレイ印刷時にドライバからプリンタに送られる印刷ジョブのサイズをより小さくする場合の一例を示す図である。
【図5】帳票などのフォームをオーバレイ印刷する印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図6】図5に示すコンピュータ501の構成の一例を示す図である。
【図7】エンジンサーバが追加された印刷システムの構成の一例を示す図である。
【図8】本実施形態におけるプリンタ513の構造を示す断面図である。
【図9】オーバレイ印刷時のプリンタドライバ及びプリンタの内部処理の一例を示す図である。
【図10】本実施形態におけるフォーム作成処理を示すフローチャートである。
【図11】本実施形態におけるフィールドに対して属性を設定する方法を説明するための図である。
【図12】、
【図13】本実施形態におけるライブラリのフォーム作成の一例を示す図である。
【図14】本実施形態における変形例のフォーム作成を示す図である。
【図15】本実施形態における変形例のプロパティ設定画面を示す図である。
【符号の説明】
【0075】
500 印刷システム
501 コンピュータ
503 ユーザインターフェース
505 ライブラリ
507 ネットワーク
【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置におけるフォーム作成方法であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定工程と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定工程において指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成工程と、
を有することを特徴とするフォーム作成方法。
【請求項2】
前記判定工程では、予め決められたページ数、データが連続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のフォーム作成方法。
【請求項3】
前記判定工程におけるページ数をユーザに設定させる設定工程を更に有することを特徴とする請求項2に記載のフォーム作成方法。
【請求項4】
前記作成工程において作成されたフォームを前記印刷制御装置と接続された印刷装置へ送信する送信工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のフォーム作成方法。
【請求項5】
予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定手段と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定手段によって指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成手段と、
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
前記判定手段は、予め決められたページ数、データが連続するか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記判定手段におけるページ数をユーザに設定させる設定手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記作成手段によって作成されたフォームを前記印刷制御装置と接続された印刷装置へ送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォーム作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項1】
予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置におけるフォーム作成方法であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定工程と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定工程において指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定工程と、
前記判定工程において連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成工程と、
を有することを特徴とするフォーム作成方法。
【請求項2】
前記判定工程では、予め決められたページ数、データが連続するか否かを判定することを特徴とする請求項1に記載のフォーム作成方法。
【請求項3】
前記判定工程におけるページ数をユーザに設定させる設定工程を更に有することを特徴とする請求項2に記載のフォーム作成方法。
【請求項4】
前記作成工程において作成されたフォームを前記印刷制御装置と接続された印刷装置へ送信する送信工程を更に有することを特徴とする請求項1に記載のフォーム作成方法。
【請求項5】
予め作成されたフォームを用いてオーバレイ印刷を行う印刷制御装置であって、
前記オーバレイ印刷でフォームに後付けされるデータのフォームにおけるフィールドをユーザに指定させる指定手段と、
複数のページをオーバレイ印刷する際に、前記指定手段によって指定されたフィールドに後付けされるデータを解析し、同一のデータが連続するか否かを判定する判定手段と、
前記判定手段によって連続すると判定された場合にはフォームを作成せず、連続しないと判定された場合に、前記後付けされるデータを含むフォームを作成する作成手段と、
を有することを特徴とする印刷制御装置。
【請求項6】
前記判定手段は、予め決められたページ数、データが連続するか否かを判定することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御装置。
【請求項7】
前記判定手段におけるページ数をユーザに設定させる設定手段を更に有することを特徴とする請求項6に記載の印刷制御装置。
【請求項8】
前記作成手段によって作成されたフォームを前記印刷制御装置と接続された印刷装置へ送信する送信手段を更に有することを特徴とする請求項5に記載の印刷制御装置。
【請求項9】
請求項1乃至4の何れか1項に記載のフォーム作成方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2010−140443(P2010−140443A)
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318938(P2008−318938)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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