説明

フコイダン含有飲食品

【課題】高濃度で配合した場合であっても、フコイダンの有する海藻特有の臭気が改善された飲食品の提供。
【解決手段】フコイダンと次の成分(A)、(B)および(C)より選ばれる1種または2種以上とを含有する飲食品。(A)レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アカメガシワ、サンザシ、エンメイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、トウモロコシ、アロエ、そば実、大麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉、ビワの葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、苦木、グァバ葉およびハイビスカスからなる群より選ばれる1種または2種以上の植物の水性有機溶媒抽出物(B)乳類、スペアミント等の香料製剤(C)アロエ、グレープフルーツ等の果実の1種または2種以上の搾汁液

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はフコイダン含有飲食品に関し、更に詳細には、特にモズク由来のフコイダンの有する特異な臭味をマスキングし、味覚を効果的に改善したフコイダン含有飲食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
フコイダンは昆布、モズク等の褐藻類に含まれるフコースを主成分とする硫酸化多糖である。このフコイダンの生理活性については、これまでに血液凝固阻止作用、抗高脂血症作用、制癌作用、抗潰瘍作用、ヘリコバクター・ピロリの胃粘膜上皮細胞への定着阻害活性およびNUD(non-ulcer dyspepsia)改善作用等が報告されており、これらの作用効果を期待する目的で、様々な飲食品の食品素材として盛んに利用されている。
【0003】
一方、フコイダンには上記作用効果以外にも除臭作用や食味改善効果を有することが知られており、これを様々な飲食品に利用する技術も報告されている。このような技術として具体的なものを例示すれば、梅酢若しくは梅調味液から抽出した梅塩と緑茶粉末とを含有する飲料に使用する方法(特許文献1)、苦味成分を含む飲料に使用する方法(特許文献2)、香辛料を含有する飲料に使用する方法(特許文献3)、そのほか各種飲食へ使用する技術(特許文献4)が報告されている。また、これら以外にもフコイダンを用いた食品の食味を改善する方法(特許文献5)等を挙げることができる。
【0004】
しかしながら、本発明者らが知得したところによれば、飲食品にフコイダンを配合した場合、特にフコイダンの持つ生理効果を発揮するに十分な高濃度でフコイダンを配合した場合には、海藻特有の臭気、風味が付与されてしまい、食品の形態によっては、そのままでは飲食に不向きな場合があるという問題があった。そして継続的な飲用により、種々の生理効果を期待できる飲食品を得るためには、フコイダン自体の風味の改善が必要であるとの知見を得た。
【特許文献1】特開2004−141140号公報
【特許文献2】特公平5−77386号公報
【特許文献3】WO00/41579号国際公開パンフレット
【特許文献4】WO97/47208号国際公開パンフレット
【特許文献5】特許第2932170号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明の課題は、飲食品にフコイダンを配合した場合、特に高濃度で配合した場合であっても、フコイダンの有する海藻特有の臭気が改善することのできる技術を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を行った結果、フコイダンを含有する飲食品に対し、特定の種類のハーブ、スパイス、生薬、果実類等の水性有機溶媒抽出物、搾汁液または香料製剤を配合することにより、フコイダン特有の臭い、風味を改善し、かつ風味良好なフコイダン含有飲食品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0007】
すなわち、本発明はフコイダンと、次の成分(A)、(B)および(C)より選ばれる成分の1種または2種以上とを含有することを特徴とするフコイダン含有飲食品である。
成分(A):レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アカメガシワ、サンザシ、エン
メイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、トウモロコシ、アロエ、そば実、大
麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉
、ビワの葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、苦木、グァバ
葉およびハイビスカスからなる群より選ばれる植物の1種または2種以上
の水性有機溶媒抽出物
成分(B):乳類、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、グレープフルーツ、オレ
ンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、ア
ップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア
、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、
イチゴおよびメロンからなる群より選ばれる1種または2種以上の香料製

成分(C):アロエ、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、
パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ
、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルー
ン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴおよびメロンからなる群より選ば
れる果実の1種または2種以上の搾汁液
【発明の効果】
【0008】
本発明のフコイダン含有飲食品は、特にフコイダンを高濃度で含有する場合であっても風味良好なものである。
【0009】
従って、本発明のフコイダン含有飲食品は、継続的な飲用が可能であり、フコイダンの有する種々の生理効果を期待できるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の飲食品は、フコイダンを配合可能なものであれば特に制限されず、飲食品全般に利用することができる。また、飲食品の形態も特に制限されず、固形状、粉末状、液状のいずれであってもよい。
【0011】
本発明の飲食品に配合されるフコイダンは、フコースからなる分子量数万から数十万の硫酸化多糖である。このフコイダンとしては市販品や褐藻類に属する海藻から抽出されたものを特に制限無く用いることができる。
【0012】
フコイダンの原料となる褐藻類に属する海藻としては、フトモズク、ホソモズク、オキナワモズク、ウミウチワ、マコンブ、ワカメ、コンブ、アミジグサ等が挙げられる。これらの海藻の中でもフトモズク、ホソモズク、オキナワモズクを原料とするものが好ましく、特にオキナワモズクを原料とするフコイダンは、後述する各種素材と併用した場合に有意な効果が得られるので好ましい。
【0013】
上記褐藻類からフコイダンを抽出する方法の代表的な例を示せば次の通りである。
(1)酸抽出法
褐藻類をその湿質量の1〜3重量倍の水に懸濁させ、酢酸水溶液または希塩酸を加えてpHを2〜4、望ましくは2〜3に調整する。次いで約50℃以上、望ましくは80〜100℃に加熱し、フコイダンを溶出させる。次いで遠心分離して沈殿物を除き、上清を水酸化ナトリウムで中和し、抽出物を得る。必要に応じて更に限外濾過、透析等を行って低分子量の不純物を除き、凍結乾燥することで純度の高いフコイダンを得ることができる。
【0014】
(2)熱水抽出法
褐藻類をその湿質量の1〜3重量倍の水に懸濁させ、約10分〜1時間、100℃に加熱する。次いで遠心分離して沈殿物を除き、フコイダンを含む抽出物を得ることができる。また必要により上清に塩化カルシウムまたは酢酸バリウムを加えて沈澱するアルギン酸を除くこともできる。更に透析を行って低分子量の不純物を除いた後、凍結乾燥すると純度の高いフコイダンを得ることができる。
【0015】
本発明において使用されるフコイダンには、特に制約はないが、上記抽出方法で得られたフコイダンのうち、酸抽出法によるフコイダンは、飲食品に添加した際に風味への影響が比較的生じやすいので、本発明の効果は、このものに適用した場合にその効果が大きいため好ましく、特に、酸抽出法において酸抽出後に低分子量の不純物を取り除く操作を行なったフコイダンについて適用することが好ましい。
【0016】
本発明の飲食品におけるフコイダンの含有量は、飲食品の形態に応じて特定の範囲に調整することが好ましい。具体的には、本発明の飲食品の形態が、飲料やドリンク剤のような液状である場合には、0.01〜5.00質量%、好ましくは0.02〜4.00質量%の範囲となるように配合すればよい。また、本発明の飲食品の形態が、タブレットや顆粒のような固形状或いは粉末状である場合には、1.0〜50.0質量%、好ましくは2.8〜40.0質量%程度となるように配合すればよい。
【0017】
一方、本発明の飲食品において、上記フコイダンと共に配合される成分(A)、(B)および(C)は以下のものである。これら成分(A)、(B)および(C)は少なくとも1種以上または2種以上を用いることができる。これら成分を配合することにより、フコイダン特有の臭気や風味が改善された、良好な風味の各種飲食品を得ることができる。
【0018】
成分(A):レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アカメガシワ、サンザシ、エン
メイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、トウモロコシ、アロエ、そば実、大
麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉
、ビワの葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、苦木、グァバ
葉およびハイビスカスからなる群より選ばれる植物の1種または2種以上
の水性有機溶媒抽出物
【0019】
成分(B):乳類、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、グレープフルーツ、オレ
ンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、ア
ップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア
、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、
イチゴおよびメロンからなる群より選ばれる1種または2種以上の香料製

【0020】
成分(C):アロエ、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、
パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ
、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルー
ン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴおよびメロンからなる群より選ば
れる果実の1種または2種以上の搾汁液
【0021】
前記成分のうち、成分(A)は、レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アカメガシワ、サンザシ、エンメイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、トウモロコシ、アロエ、そば実、大麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉、ビワの葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、苦木、グァバ葉およびハイビスカスからなる群より選ばれる植物の1種または2種以上の水性有機溶媒抽出物である。ここで、水性有機溶媒抽出物とは、水または水とエタノール、プロパノール、アセトン等の有機溶媒から選ばれる1種または2種以上を混合した溶媒を用いて常法に従って抽出したエキスを意味し、これにより得られたものであれば特に制限されることなく使用することができる。また、このようにして得られるエキスを濃縮して得られる濃縮エキス、スプレードライなどにより乾燥させて得られる乾燥粉末であっても好適に使用することができる。
【0022】
また、成分(B)は、乳類、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴおよびメロンからなる群より選ばれる1種または2種以上の香料製剤である。これらの香料製剤は、香料メーカーにより容易に入手することが可能である。なお、香料製剤には、含水エタノール、プロピレングリコール、グリセリン等を配合した水溶性香料、グリセリン脂肪酸エステルや油脂等を配合した油溶性香料、アラビアガム、ショ糖脂肪酸エステル、グリセリン等を配合した乳化香料、アラビアガム、デキストリン、デンプン等を配合した粉末香料等の種類があるが、本発明においては、これらのいずれであっても好適に使用することが可能である。また、乳類の香料製剤とはミルク、ヨーグルト等の乳由来の香料製剤をいう。
【0023】
更に、成分(C)は、アロエ、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴおよびメロンからなる群より選ばれる果実の1種または2種以上の搾汁液である。ここで搾汁液とは、上記食品素材である果実を破砕、篩分し、粗大なパルプや繊維分を除去した液状のものをいい、例えばフィルタープレス、スクリュープレス、遠心分離機(デカンター)等を用いて食品素材を搾汁することによって調製されるもので、必要に応じて濃縮、殺菌、またはスプレードライ、凍結乾燥などの処理をされたものでもよい。
【0024】
本発明の飲食品において、上記成分(A)、(B)および(C)は、飲食品の形態に応じて、好ましいものを選択して使用することができる。具体的には飲食品の形態が飲料やドリンク剤のように液状である場合には、前記成分(A)のうちアカメガシワ、サンザシ、エンメイソウおよび苦木からなる群より選ばれる植物の水性有機溶媒抽出物または前記成分(C)のうちアロエの搾汁液から選ばれる1種または2種以上を含有させることが好ましい。一方、飲食品の形態がタブレットや顆粒のような固形状或いは粉末状である場合には、前記成分(B)のうち乳類(ヨーグルトフレーバー)、スペアミント、ニホンハッカ、グレープフルーツ、オレンジ、パイナップル、アップル、モモ、ブルーベリー、イチゴおよびユーカリからなる群より選ばれる香料製剤の1種または2種以上を含有させることが好ましい。このような配合により各種飲食品におけるフコイダンに特有の臭気や風味を有意に改善させることができる。
【0025】
また、本発明の飲食品において、上記成分(A)、(B)および(C)の含有量は、飲食品の形態や使用する成分によって得られる効果が異なる場合があるため、飲食品の形態にあわせて適宜好ましい添加量を適宜設定することが好ましい。例えば、飲食品の形態が、飲料やドリンク剤のように液状である場合には、前記成分(A)を0.001〜3.0質量%、成分(B)を0.001〜0.5質量%、成分(C)を0.001質量%〜10.0質量%の範囲で配合すればよく、飲食品の形態がタブレットや顆粒のような固形状或いは粉末状である場合には、成分(A)を1〜3質量%、成分(B)を0.1〜5.0質量%、成分(C)を1〜3質量%の範囲で配合すれば、優れた風味改善効果が得られる。
【0026】
本発明の飲食品は、上記のフコイダンと成分(A)、(B)および(C)より選ばれる1種または2種以上とを配合し、各種飲食品の形態に応じた公知の方法により製造することができる。例えば、飲食品が、タブレットや顆粒のような固形状或いは粉末状である場合は、フコイダン乾燥粉末と上記した成分(A)、(B)および(C)から選ばれる1種または2種以上を、各種副素材に混合し、打錠機にて打錠、成形して、或いは定法どおり流動層造粒、押出し造粒等で顆粒化もしくは細粒化して製造すればよい。また、飲食品が飲料やドリンク剤のように液状である場合には、飲料ベースにフコイダンと上記した成分(A)、(B)および(C)から選ばれる1種または2種以上を混合して、或いは飲用に適する濃度になるように原料水で希釈して製造すればよい。
【0027】
更に、本発明の飲食品には、上記必須の成分の他に、飲食品製造に際し通常使用されている副素材を添加することも可能である。このような素材としては、例えば、セルロース、デキストリン、デンプン等の賦形剤、プルラン、アラビアガム等の結合剤、クエン酸、リンゴ酸等の酸味料、グルコース、シュークロース、フルクトース、マルトース、パラチニット、乳糖、スクラロース等の甘味料、ショ糖脂肪酸エステル、二酸化ケイ素、ステアリン酸カルシウム等の滑沢剤、ビタミンC、ビタミンB、B、B、A、D、E、β−カロテンなどのビタミン群、ミルクカルシウム、卵殻カルシウム、ドロマイト等の各種カルシウム類、ピロリン酸鉄等の鉄類、マンガン、亜鉛等のミネラル素材等が挙げられる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらになんら制約されるものではない。
【0029】
実 施 例 1
<風味改善効果に関する検討>
オキナワモズクから酸抽出して得られたフコイダン乾燥粉末35mg、パラチニット、クエン酸10mg、ステビア抽出物1mgおよび滑沢剤20mgに、表1に示す量で各種食品素材を配合して混合し、打錠機で成型してフコイダン含有錠剤(1錠あたり800mg)を製造した。なお、パラチニットは、1錠あたり800mgとなるように調整して混合した。
【0030】
こうして得られたフコイダン含有錠剤(実施品1〜54および比較品1〜8)を専門パネラー8名で食し、各種食品素材によるフコイダン特有の臭気や風味のマスキング効果を以下の指標に基づいて判定した。その結果を表1に示す。
【0031】
評価の指標
(評価) (内容)
◎ ; フコイダン特有の臭みがなく、特に風味良好なものである
○ ; フコイダン特有の臭みがなく、風味良好なものである
△ ; フコイダン特有の臭みがあり、食べにくいものである
【0032】
【表1】

【0033】
表1より、フコイダンと、レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アロエ、アカメガシワ、サンザシ、エンメイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、とうもろこし、そば実、大麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉、ビワ葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、グァバ葉およびハイビスカスの抽出物、或いは、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、乳類(ヨーグルト)、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴまたはメロンから選ばれる香料製剤を組み合わせることにより、錠剤に認められるフコイダン特有の臭味や風味が改善される効果が得られることが示された。また、特にフコイダンと、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、乳類(ヨーグルト)、グレープフルーツ、オレンジ、パイナップル、アップル、モモ、ブルーベリーまたはイチゴから選ばれる香料製剤を組み合わせることにより、錠剤に認められるフコイダン特有の臭味や風味が有意に改善される効果が得られることが示された。
【0034】
実 施 例 2
<錠剤における風味に関する検討>
モズクから酸抽出して得られたフコイダン100mg、パラチニット844mg、クエン酸10mg、ステビア抽出物1mg、ショ糖脂肪酸エステル20mgおよび下表2に示す香料製剤をそれぞれ25mg添加・混合し、打錠機にて錠剤化して、フコイダン含有錠剤を製造した。得られたフコイダン含有錠剤(実施品55〜68)を専門パネラー8名で食して以下の指標に従って官能評価を行った。その結果を表3に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
評価の指標
(評価) (内容)
◎ ; フコイダン特有の臭みがなく、特に風味良好で飲食しやすいものである
○ ; フコイダン特有の臭みがなく、風味良好で飲食しやすいものである
△ ; フコイダン特有の臭みがあり、食べにくいものである
【0037】
【表3】

【0038】
表3より、フコイダンを含有する錠剤においては、各種香料製剤の中でも、乳類(ヨーグルト)、スペアミント、ニホンハッカ、グレープフルーツ、オレンジ、パイナップル、アップル、モモ、ブルーベリー、イチゴまたはユーカリ由来の香料製剤が、フコイダン特有の臭気や風味を改善する効果に優れており、飲食しやすい錠剤が得られることが示された。
【0039】
実 施 例 3
<茶様飲料における風味に関する検討(1)>
レモングラス50%およびローズヒップ50%よりなる乾燥原料50gを、90℃のイオン交換水1kgに添加し、10分間攪拌し抽出液を得た。次にこの抽出液を150メッシュステンレスフィルターにより粗濾過し、濾液を30℃以下に冷却し、3000回転/分で10分間処理して清澄液を得た。得られた清澄液を5倍に希釈後、品質安定化のためにアスコルビン酸ナトリウムを0.03%添加し、更に、重曹を加え、pHを6.5付近に調整した。これにモズクから酸抽出して得られたフコイダン乾燥粉末を0.03%添加し、缶に充填して121℃で20分間の殺菌処理を行い、茶様飲料(実施品69)を得た。また、そば実50%および大麦50%よりなる乾燥原料100gを用いて前記と同様の操作により、茶様飲料(実施品70)を得た。更に、鳥龍茶70gおよび緑茶25gを用いて、前記と同様の操作により茶様飲料(比較品9および10)を得た。得られた4種類(実施品69、70および比較品9、10)の茶様飲料について、その茶飲料としての風味を下記評価基準により官能評価した。この結果を表4に示す。なお、表4には、味の寸評も示した。
【0040】
風味評価基準
(評価) (内容)
◎ ; フコイダン特有の臭みがなく、特に風味良好なものである
○ ; フコイダン特有の臭みがなく、風味良好なものである
△ ; フコイダン特有の臭みがあり、飲用しにくいものである
【0041】
【表4】

【0042】
表4より、レモングラス、ローズヒップ、そば実、大麦の抽出液を使用して得られる茶様飲料では、フコイダンを配合しても良好な風味が得られることが示された。
【0043】
実 施 例 4
<茶様飲料における風味に関する検討(2)>
決明子50%、柿葉30%およびどくだみ20%よりなる乾燥原料50gを、90℃のイオン交換水1kgに添加し、10分間攪拌して抽出液を得た。次にこの抽出液を150メッシュステンレスフィルターにより粗濾過し、濾液を30℃以下に冷却し、3000回転/分で10分間処理して清澄液を得た。得られた清澄液を5倍に希釈後、品質安定化のためにアスコルビン酸ナトリウムを0.03%添加し、更に、重曹を加え、pHを6.5付近に調整した。これにモズクから酸抽出して得られたフコイダン乾燥粉末を0.03%添加し、缶に充填して121℃で20分間の殺菌処理を行い、茶様飲料を得た(比較品11)。また、この茶様飲料に、苦木抽出物、ホップ抽出物、アカメガシワ抽出物およびサンザシ抽出物を1種または2種組合わせて添加した茶様飲料(実施品71〜80)を得た。
得られた茶様飲料(比較品11と実施品71〜80)について、その茶様飲料としての風味を実施例3と同様の評価基準により官能評価した。この結果を表5に示す。なお、表5には、味の寸評も示した。
【0044】
【表5】

【0045】
表5より、茶様飲料においては、苦木、ホップ、アカメガシワおよびサンザシの群から選ばれる抽出物の1種以上を配合することで、風味良好なフコイダン含有茶様飲料が得られることが示された。
【0046】
実 施 例 5
<茶様飲料における風味に関する検討(3)>
決明子40%、柿葉30%、どくだみ10%およびエンメイソウ20%よりなる乾燥原料50gを、90℃のイオン交換水1kgに添加し、10分間攪拌して抽出液を得た。次いでこの抽出液を150メッシュステンレスフィルターにより粗濾過し、濾液を30℃以下に冷却し、3000回転/分で10分間処理して清澄液を得た。得られた清澄液を5倍に希釈後、品質安定化のためにアスコルビン酸ナトリウムを0.03%添加し、更に、重曹を加え、pHを6.5付近に調整した。これにモズクから酸抽出して得られたフコイダン乾燥粉末を0.03%添加し、缶に充填して121℃で20分間の殺菌処理を行い、茶様飲料を得た(実施品81)。また、エンメイソウに変えて、杜仲の葉、エルカンプーレを使用した茶様飲料(実施品82、83)、更には、これらを併用した茶様飲料(実施品84〜86)を得た。また、実施品82〜86の茶様飲料の乾燥原料の質量比を表6に示す。
【0047】
得られた茶様飲料(実施品81〜86)について、その茶飲料としての風味を実施例3と同様の評価基準により官能評価した。この結果を表7に示す。なお、表7には、味の寸評も示した。
【0048】
【表6】

【0049】
【表7】

【0050】
表7より、フコイダンを含有した茶様飲料においては、エンメイソウ、杜仲の葉およびエルカンプーレからなる群より選ばれる1種以上の抽出液を配合することで、より風味良好なフコイダン含有茶様飲料が得られることが示された。特に、エンメイソウを用いた場合には、良好な茶様飲料が得られることが示された。
【0051】
実 施 例 6
<ドリンク剤様飲料における風味に関する検討>
最終製品に対して、砂糖12%、デキストリン13%、アカメガシワ抽出物0.1%、サンザシ抽出物0.2%、アロエ濃縮汁0.3%、苦木抽出物0.01%および安息香酸ナトリウム0.015%となるように各成分を原料水に溶解し、クエン酸を加えpH3.5付近に調整した。これにモズクから酸抽出して得られたフコイダン乾燥粉末を0.4%添加し、90℃以上に加熱した後、瓶に充填してドリンク剤様飲料(実施品87)を得た。また、アロエ搾汁液に変えて、グレープフルーツ搾汁液、オレンジ搾汁液、パイナップル搾汁液、アップル搾汁液イチゴ搾汁液を使用したドリンク剤様飲料(実施品88〜92)、更には、これらを併用したドリンク剤様飲料(実施品93〜97)を得た。
【0052】
得られた11種類のドリンク剤様飲料(実施品87〜97)について、そのドリンク剤様飲料としての風味を実施例3と同様の評価基準により官能評価した。この結果を表8に示す。なお、表8には、味の寸評も示した。
【0053】
【表8】

【0054】
表8より、アカメガシワ、サンザシおよび苦木の抽出物とフコイダンを配合したドリンク剤様飲料にアロエ、グレープフルーツ、オレンジ、パイナップル、アップルおよびイチゴ等の搾汁液を少なくとも1種以上配合することで、より風味良好なフコイダン含有ドリンク剤様飲料が得られることが示された。特に、アロエ搾汁液を使用することにより、風味が改善される効果を有意に得られることが示された。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明のフコイダン含有飲食品は、フコイダンを高濃度で含有させた場合であっても風味が良好なものであるため、継続的な飲用が可能であり、フコイダンの有する種々の生理効果を期待することのできるものである。

以 上

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フコイダンと、次の成分(A)、(B)および(C)より選ばれる成分の1種または2種以上とを含有することを特徴とするフコイダン含有飲食品。
成分(A):レモングラス、ローズヒップ、ヒソップ、アカメガシワ、サンザシ、エン
メイソウ、ゴーヤ、カンゾウ、玄米、トウモロコシ、アロエ、そば実、大
麦、アマチャズル、オオバコ、クコ葉、熊笹、クワ葉、月見草、ハスの葉
、ビワの葉、ラフマ、杜仲の葉、ホップ、エルカンプーレ、苦木、グァバ
葉およびハイビスカスからなる群より選ばれる植物の1種または2種以上
の水性有機溶媒抽出物
成分(B):乳類、スペアミント、ニホンハッカ、ユーカリ、グレープフルーツ、オレ
ンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、パイナップル、アプリコット、ア
ップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ、マンゴー、アセロラ、パパイア
、パッションフルーツ、スモモ、プルーン、ブルーベリー、ラズベリー、
イチゴおよびメロンからなる群より選ばれる1種または2種以上の香料製

成分(C):アロエ、グレープフルーツ、オレンジ、ユズ、カボス、スダチ、ライム、
パイナップル、アプリコット、アップル、ブドウ、モモ、グァバ、バナナ
、マンゴー、アセロラ、パパイア、パッションフルーツ、スモモ、プルー
ン、ブルーベリー、ラズベリー、イチゴおよびメロンからなる群より選ば
れる果実の1種または2種以上の搾汁液
【請求項2】
フコイダンがモズク由来のものである請求項1記載のフコイダン含有飲食品。
【請求項3】
フコイダンがモズクから酸抽出されたものである請求項1または2記載のフコイダン含有飲食品。
【請求項4】
飲料またはドリンク剤である請求項1〜3のいずれかの項記載のフコイダン含有飲食品。
【請求項5】
アカメガシワ、サンザシ、エンメイソウおよび苦木からなる群より選ばれる植物の水性有機溶媒抽出物またはアロエの搾汁液の1種または2種以上を含有するものである請求項4記載のフコイダン含有飲食品。
【請求項6】
タブレット、顆粒、細粒、カプセルまたは粉末の固形剤である請求項1〜3のいずれかの項記載のフコイダン含有飲食品。
【請求項7】
乳類、スペアミント、ニホンハッカ、グレープフルーツ、オレンジ、パイナップル、アップル、モモ、ブルーベリー、イチゴおよびユーカリからなる群より選ばれる香料製剤の1種または2種以上を含有するものである請求項6記載のフコイダン含有飲食品。

【公開番号】特開2006−296226(P2006−296226A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−119193(P2005−119193)
【出願日】平成17年4月18日(2005.4.18)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【Fターム(参考)】