説明

フット部材取り付け構造

【課題】フット部材のずれや剥がれを低減することが可能なフット部材取り付け構造を提供すること。
【解決手段】フット部材5を取り付けるための凹部3が形成された底壁2と、フット部材5に突き刺され、フット部材5を底壁2に固定するために、凹部3に設けられた突起4と、を備え、凹部3の深さ3hは、突起4の長さ4hよりも長く、底壁2は、板金で形成されており、突起4は、板金を切り起こして形成されている、フット部材取り付け構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器等の底板にフット部材を取り付けるためのフット部材取り付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器や、家具等の装置の底板及び、装置が設置されている床や机等の設置面が傷つくのを防止、又は振動を低減するために、樹脂製のフット部材が装置の底板に取り付けられている。
【0003】
図13は、装置の底板にフット部材が取り付けられている状態を下方から見た斜視図である。又、図14は、装置の底板にフット部材が取り付けられている状態を下方から見た平面図である。
【0004】
図13及び図14に示すように、底板100の四方の角には、凹部101が形成されており、その凹部101に樹脂製のフット部材102が、両面テープや接着剤により取り付けられている。また、底板100が設置面に接しないように、フット部材102の高さ102hが凹部101の深さ101hよりも長くなるように、フット部材102は形成されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の構成では、装置を移動させるために引きずった場合に、フット部材102と設置面との摩擦力により、フット部材102が凹部101から剥がれたりする場合があった。
【0006】
又、フット部材102が取り付けられている装置が電子機器等である場合には、装置の稼動に伴う発熱により両面テープがあたためられ、装置を移動させる際にフット部材102が、より剥がれやすくなる場合があった。
【0007】
本発明は、上記従来のフット部材取り付け構造の課題を考慮して、フット部材のずれや剥がれを低減することが可能なフット部材取り付け構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、第1の本発明は、
フット部材を取り付けるための凹部が形成された底壁と、
前記フット部材が突き刺され、前記フット部材を前記底壁に固定するために、前記凹部に設けられた突起と、を備えたフット部材取り付け構造である。
【0009】
また、第2の本発明は、
前記凹部の深さは、前記突起の長さよりも長い、第1の本発明のフット部材取り付け構造である。
【0010】
また、第3の本発明は、
前記フット部材は、樹脂材料で形成されている、第1の本発明のフット部材取り付け構造である。
【0011】
また、第4の本発明は、
前記突起は、金属材料で形成されている、第1の本発明のフット部材取り付け構造である。
【0012】
また、第5の本発明は、
前記底壁は、板金で形成されており、
前記突起は、前記板金を切り起こして形成されている、第4の本発明のフット部材取り付け構造である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、フット部材のずれや剥がれを低減することが可能なフット部材取り付け構造を提供することが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明にかかる実施の形態について説明する。
【0015】
(実施の形態)
図1は、本発明にかかる実施の形態におけるフット部材取り付け構造の下方から見た構成斜視図である。又、図2は、本実施の形態におけるフット部材取り付け構造の下方から見た平面図である。又、図3は、本実施の形態におけるフット部材取り付け構造の側断面図である。
【0016】
図1及び図2に示すように、本実施の形態におけるフット部材取り付け構造では、装置1の底板2の四方の角に、フット部材を取り付ける位置を決めるための凹部3が形成されている。
【0017】
この凹部3は、フット部材を取り付けるための平面部11と、突部6によって形成されている。又、図3の平面図に示すように、平面部11は、装置1の側壁を2辺とする矩形状であり、突部6は、平面部11の他の2辺の周囲に形成されている。尚、この凹部3は、エンボス加工により形成されている。
【0018】
又、図1及び図3に示すように、凹部3の平面部11には突起4が形成されている(図1斜線部参照)。この突起4は、平面部11にくさび形の切り込み17を入れて、平面部11に対して実質上垂直になるように切り起こして形成したものである。
【0019】
上述した凹部3には、樹脂製のフット部材5が取り付けられている。このフット部材5は、両面テープと接着剤によって接着固定されているとともに、突起4に突き刺されて固定されている。
【0020】
又、図3に示すように、突起4の長さ4hが、凹部3の深さ3hよりも短くなるように、本実施の形態のフット部材取り付け構造は構成されている。
【0021】
以上のように、本実施の形態では、フット部材5が突起4に突き刺され固定されていることにより、フット部材5の凹部3に対する接着力を補うことができるため、装置1を移動させるために引きずった場合であっても、フット部材5のずれや剥離を低減することが可能となる。
【0022】
更に、フット部材5が仮に剥がれた場合であっても、突起4の高さ4hは、凹部3の深さ3hよりも短いため、机や床等の装置1の設置面を傷つけない。
【0023】
尚、本実施の形態の突起4は、図1に示すように、凹部3の底板2に、くさび形状の切り込みが入れられ、そのくさび形状部分を底板2と垂直になるように立ち上げることにより形成されたものであるが、本形状に限らず、例えば図4(a)に示すような形状の突起7であってもよい。
【0024】
図4(a)は、突起7を下方から見た斜視図である。図4(a)に示す突起7は、図4(b)の平面図に点線で示すような交差する2本の切り込み8を入れ、交差点8aに形成される4つの角を立ち上げることによって形成されたものである。
【0025】
又、本実施の形態では、板金で形成されている底板2を切り起こして突起4を形成しているが、別途突起を製造し、溶接や接着などで平面部11に固定してもよい。しかしながら、本実施の形態にように切り起こして形成した方が、工数も少なくて済み、更にコストも安く済むため好ましい。
【0026】
又、突起7は金属製に限らず、樹脂材料で別途成形されて、底板2に接着固定されてもよく、更に、装置1の底板2が樹脂で形成されている場合は、底板とともに一体成形されていてもよい。
【0027】
又、本実施の形態では、突起4は1つしか設けられていないが、複数個設けられていてもよい。
【0028】
又、本実施の形態のフット部材5の凹部3に取り付けられる面は、平面5aであるが、図5のフット部材5の外観図に示すように、フット部材5の突起4が突き刺さる箇所に、交差点を有するような2本の切り込み9を、予め形成しておいてもよい。また、図6に示すようにフット部材5に、突起4が突き刺さる箇所を予め凹ませた突起挿入部10が形成されていてもよい。また、突起挿入部10が複数形成されていてもよい。
【0029】
このように切り込み9や、突起挿入部10を予め形成しておくことにより、フット部材5を突起4に突き刺した際に、突起4近傍において、平面5aが平面部11と密着しない部分が生じることを防止することが出来るため、フット部材5と平面部11の接着性の点で好ましい。
【0030】
また、本発明のフット部材は、本実施の形態では、樹脂材料を主成分として形成されているが、フェルト、ゴム、又は木材等の材料を用いて形成されていてもよい。
【0031】
又、本実施の形態の凹部3は、四方の角に形成されており、平面部11の2辺の周囲にのみ突部6が形成されているが、図7に示すように平面部11の4辺すべての周囲に突部6を設けることにより、凹部3が形成されていてもよい。
【0032】
又、本実施の形態では、平面部11は矩形状であるが、円形状であってもよく、それに沿って突部6が湾曲していてもよい。
【0033】
又、本実施の形態の突部6は平面部11の2辺に沿って2つ設けられており、これら2つの突部6は分離しているが、図8の斜視図及び図9の平面図に示すように2つの突部6が連続した突部6´によって、平面部11が囲われていてもよい。
【0034】
更に、本実施の形態では、底板2に形成された突部6と平面部11によって、凹部3が形成されているが、図10に示すように突部6が設けられていなくてもよい。
【0035】
図10に示すフット部材取り付け構造は、底板2から平面部11へと段差が形成されており、その段差面12によって、フット部材5の位置決めがなされる。
【0036】
このような場合、底板2からの凹部3の深さ3h´(段差に相当)が、突起4の高さ4hよりも長くなるように形成される方が、例えフット部材5が剥がれた場合であっても床、机上等を傷つけないため、より好ましい。
【0037】
又、図10に示すような突部6を有しない構造においても、図7で説明したように、平面部11の4辺すべての周囲に段差面12が形成されるようにフット部材取り付け構造が形成されていてもよい。
【0038】
又、本実施の形態では、底板2の4箇所に本発明のフット部材取り付け構造を設け、フット部材5を取り付けているが、底板2の中央部にも更に設け、合計5箇所にフット部材取り付け構造を設けてもよく、本実施の形態の数に限定されるものではない。
【0039】
又、本発明の底壁の一例は、本実施の形態の底板2に相当するが、例えば、図11に示すように、装置1が床等に設置するための脚13を有している場合には、その脚13の先端面13aに本実施の形態のフット部材取り付け構造を適用してもよい。
【0040】
図12は、図11の脚13の先端面13aの拡大図である。図12に示すフット部材取り付け構造は、先端面13aに設けられた、4つの実質上直方体形状の突部18と、4つの突部18により囲まれて形成された平面部14と、平面部14に設けられた突起15とを備えている。そして、円柱形状のフット部材16が、突起15に突き刺され、且つ平面部14に接着固定されている。尚、この場合は、本発明の凹部の一例は、突部18と平面部14により形成されて、本発明の底壁の一例は、先端面13aに相当する。
【0041】
又、本実施の形態のフット部材取り付け構造は、比較的重量があり、装置稼動時に振動をする、例えば複写機等の電子機器に対して効果的であるが、このような電子機器に限定されるものではなく、机、椅子等の家具に対しても適用することができ、オブジェ等に対しても適用可能であり、限定されるものではない。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のフット部材取り付け構造は、フット部材のずれや剥がれを低減することが可能な効果を有し、電子機器等の底板にフット部材を取り付けるためのフット部材取り付け構造として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造を下方から見た斜視図
【図2】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造を下方から見た平面図
【図3】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の側断面図
【図4】(a)本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の突起の変形例を下方から見た斜視図(b)本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の突起の変形例を説明するための平面図
【図5】本発明にかかる実施の形態のフット部材の変形例の斜視図
【図6】本発明にかかる実施の形態のフット部材の変形例の斜視図
【図7】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例の平面図
【図8】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例を下方から見た斜視図
【図9】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例を下方から見た平面図
【図10】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例を下方から見た斜視図
【図11】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例を下方から見た斜視図
【図12】本発明にかかる実施の形態のフット部材取り付け構造の変形例を下方から見た斜視図
【図13】従来のフット部材取り付け構造を下方から見た斜視図
【図14】従来のフット部材取り付け構造を下方から見た平面図
【符号の説明】
【0044】
1 装置
2 底板
3 凹部
4、7、15 突起
5、14 フット部材
6、13 突部
8、9 切り込み
10 突起挿入部
11 平面部
12 段差面
13 脚

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フット部材を取り付けるための凹部が形成された底壁と、
前記フット部材が突き刺され、前記フット部材を前記底壁に固定するために、前記凹部に設けられた突起と、を備えたフット部材取り付け構造。
【請求項2】
前記凹部の深さは、前記突起の長さよりも長い、請求項1記載のフット部材取り付け構造。
【請求項3】
前記フット部材は、樹脂材料で形成されている、請求項1記載のフット部材取り付け構造。
【請求項4】
前記突起は、金属材料で形成されている、請求項1記載のフット部材取り付け構造。
【請求項5】
前記底壁は、板金で形成されており、
前記突起は、前記板金を切り起こして形成されている、請求項4記載のフット部材取り付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2007−180186(P2007−180186A)
【公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−375515(P2005−375515)
【出願日】平成17年12月27日(2005.12.27)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】