説明

フッ化ビニリデン系フィルム

【課題】透明性および難燃性がバランスしたフッ化ビニリデン系フィルムが得られる組成を求めることを課題とする。
【解決手段】ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンから選ばれる一種以上を含み、JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度が155℃以上であるフッ化ビニリデン系樹脂(A)、およびアクリル系樹脂(B)からなるフッ化ビニリデン系フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高い透明性と難燃性を両立するフッ化ビニリデン系フィルムに関する。
【背景技術】
【0002】
フッ化ビニリデン系樹脂は、難燃性、耐候性、耐熱性、耐薬品性、電気特性等に優れる上、成型加工が容易であることから、多くの分野に使用されている。これら用途の中でも例えば、太陽電池フィルム用途や農業用ビニルハウス用フィルムに使用される場合は、難燃性および、高い透明性が求められるようになってきている。
【0003】
フッ化ビニリデン系樹脂の透明性を高める方法として、フッ化ビニリデンにヘキサフルオロプロピレン等を共重合して結晶化度を低下させる方法が公知であり、難燃性を保ったまま、透明性を高めることができる。しかし、フッ化ビニリデンホモポリマーと比較すると融解温度が低下するという課題があった。
【0004】
また、フッ化ビニリデン系樹脂の透明性を高める方法として、アクリル樹脂とブレンドする方法も知られており、高価なフッ化ビニリデンの使用量を抑えつつ透明性を高めることができるため、工業的な利用価値が大きい。このような組成物として、例えば特許文献1には、ポリフッ化ビニリデンとポリメタクリル酸メチルからなる光学位相差板について記載が有るが、この組成物は透明性には優れるものの、難燃性に関して改善の余地があった。
【0005】
特許文献2には各種フルオロポリマーとアクリルポリマーをベースとした多層フィルムについて記載があるが、融解ピーク温度が155℃以上であるようなフッ化ビニリデン共重合体とアクリル樹脂からなるフィルムに関する記載は無い。また実施例に記載のフィルムにおいては特許文献1同様に難燃性に関して改善の余地が有った。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平5−249315号公報
【特許文献2】特表2008−531329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明では透明性および難燃性がバランスしたフッ化ビニリデン系フィルムが得られる組成を求めることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の要旨は、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンから選ばれる一種以上を含み、JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度が155℃以上であるフッ化ビニリデン系樹脂(A)、およびアクリル系樹脂(B)からなるフッ化ビニリデン系フィルムである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、高い融解温度、高い全光線透過率、低いヘーズを示し、難燃性に優れるフッ化ビニリデン系フィルムが提供される。
【発明を実施するための形態】
【0010】
〔フッ化ビニリデン系樹脂(A)〕
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムは、フッ化ビニリデンを主成分とし、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンから選ばれる1種以上を共重合した共重合体を含み、その共重合体はJISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度が155℃以上である。
JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度はフィルムの耐熱性の点で155℃以上であることが必要であり、160℃以上であることがより好ましい。融解ピーク温度の上限は、フッ化ビニリデンホモポリマー程度、一般的に175℃程度である。
従って、フッ化ビニリデンモノマーの量は50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上であることが最も好ましい。
共重合成分として、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンの中でも柔軟性を高めることができるためヘキサフルオロプロピレンが最も好ましい。
また、フッ化ビニリデンホモポリマー程度の融解ピーク温度を保ちつつ、これら成分を共重合するには共重合成分をブロック化やグラフト化する方法が好ましい。
これら条件を満たすフッ化ビニリデン樹脂(A)として、アルケマ株式会社製のKynarFlex3120−10およびKynarFlex3120−50が工業的に入手可能である。
〔アクリル系樹脂(B)〕
本発明のアクリル系樹脂(B)は、アルキル基の炭素数が1〜4のアルキルメタクリレート(以下、単にアルキルメタクリレートという)単位50〜100質量%、およびこれと共重合可能な他のビニル単量体単位0〜50質量%からなる重合体である。アルキルメタクリレートは二種以上を併用してもよい。
表面硬度の高いフッ化ビニリデン系フィルムが得られるため、アルキルメタクリレート単位はアクリル系樹脂(B)中50質量%以上が好ましく、70質量%以上がより好ましく、80質量%以上がさらに好ましい。
上記のアルキルメタクリレートとしては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチルメタクリレート、プロピルメタクリレート等が挙げられる。
上記のアルキルメタクリレートと共重合可能な他のビニル単量体としては、例えば、メチルアクリレート、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、トリドデシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ターシャリーブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレートなどが例示される。なお、本明細書において、(メタ)アクリレートはアクリレートとメタクリレートの総称である。
また、異素材との接着性を高める目的で、メタクリル酸、グリシジル(メタ)アクリレート、テトラヒドロフル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、エトキシエチル(メタ)アクリレート、ジアミノエチル(メタ)アクリレート、およびジアミノエチル(メタ)アクリレートのメチルクロライド塩、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、およびジエチルアミノエチル(メタ)アクリレートのベンジルクロライド塩、フタル酸2−メタクリオイルオキシエチル、ヘキサヒドロフタル酸2−メタクリオイルオキシエチルなどに例示される官能基含有モノマーを本発明に必要とされる透明性を損なわない範囲で加えても良い。
アクリル系樹脂(B)を得るための重合方法は、特に限定されるものではなく、通常の懸濁重合法、乳化重合法、塊状重合法等の各種方法が適用できるが、得られる樹脂の透明性が優れることから、懸濁重合法を用いることが好ましい。
アクリル系樹脂(B)の質量平均分子量は、テトラヒドロフランを溶媒に用いたGPC測定を行い、分子量が既知のポリスチレンを標準試料に用いて校正して30万以下であることが好ましい。フッ化ビニリデン系フィルムの結晶化度を向上出来る点で、質量平均分子量は20万以下であることがさらに好ましく、10万以下であることがより好ましい。
〔フッ化ビニリデン系フィルムの難燃性〕
本発明において難燃性が良好であるとは、UL94規格に準拠して第1回接炎を3秒間、2回目の接炎3秒間の垂直燃焼試験を行い、燃焼挙動の分類がVTM−2以上であることを意味する。
すなわち、第1回接炎を3秒間、2回目の接炎3秒間行い、個々の試験片の燃焼時間が30秒以下かつ、5回試験を実施した際の残炎時間の合計が250秒以下、第2回接炎後の個々の試験片の残じん時間が60秒以下、125mm標線まで達した残炎、残じんが無いという条件を満たすものを難燃性が良好であるとする。
〔フッ化ビニリデン系フィルム〕
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムは、フッ化ビニリデン系樹脂(A)およびアクリル系樹脂(B)からなる。
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムは、アクリル系樹脂(B)のみから作成したフィルムと比較すると、高い全光線透過率および優れた難燃性を示す。
一方で、フッ化ビニリデン系樹脂(A)のみから作成したフィルムと比較すると、ヘーズが減少したフィルムが得られる。本発明のフッ化ビニリデン系フィルムは100μm程度の厚さにおいても高い全光線透過率および低いヘーズを示す。
【0011】
上記物性を満たすために、フッ化ビニリデン系フィルム中、フッ化ビニリデン系樹脂(A)の含有量は60〜95質量%、すなわちアクリル系樹脂(B)が40〜5質量%の範囲であることが好ましい。
【0012】
より透明性および耐熱性のバランスに優れたフッ化ビニリデン系フィルムが得られるため、フッ化ビニリデン系樹脂(A)は70〜90質量%、すなわちアクリル系樹脂(B)が10〜30質量%の範囲であることが好ましい。
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムの厚みが薄い場合は透明性の高いフィルムが得られやすく、機械強度の高いフィルムを得るには厚いほうが良い。厚みは500μm以下であることが好ましい。25〜100μmがより好ましく、25〜50μmが特に好ましい。
本発明においてフッ化ビニリデン系フィルムは、異素材との接着性等を向上させるために、必要に応じて、予め、所望の表面処理層を設けることができる。
上記の表面処理層としては、例えば、コロナ放電処理、オゾン処理、酸素ガス若しくは窒素ガス等を用いた低温プラズマ処理、グロ−放電処理、化学薬品等を用いて処理する酸化処理、その他等の前処理を任意に施し、例えば、コロナ処理層、オゾン処理層、プラズマ処理層、酸化処理層、その他等を形成して設けることができる。また上記の表面前処理は、別工程で実施しても良い。
〔助剤〕
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムはその性能を損なわない範囲で各種添加剤を使用しても良い。具体的には、合成シリカ、シリコン樹脂粉末などのブロッキング防止剤、可塑剤、抗菌剤、防カビ剤、紫外線吸収剤、光安定剤、耐熱安定剤、ブルーイング剤、帯電防止剤等を添加してもよい。
〔紫外線吸収剤〕
紫外線吸収剤とは、太陽光中の紫外線を吸収して、分子内で無害な熱エネルギ−へと変換し、高分子中の光劣化開始の活性種が励起されるのを防止するものであり、例えば、ベンゾエート系、ベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾ−ル系、トリアジン系、サルチレ−ト系、アクリルニトリル系、金属錯塩系、ヒンダ−ドアミン系、超微粒子酸化チタン(粒子径、0.01〜0.06μm)あるいは超微粒子酸化亜鉛(0.01〜0.04μm)等の無機系等の紫外線吸収剤の1種ないしそれ以上を使用することができる。
【0013】
上記の紫外線吸収剤の配合量としては、その粒子形状、密度、最終用途等によって異なるが、フッ化ビニリデン系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
〔光安定剤〕
光安定剤は高分子中に発生したラジカルを補足し、安定化することで高分子の劣化を防ぐものであり、N‐H型、N‐CH型、N‐アシル型、N‐OR型などのヒンダードアミン系、フェノール系の光安定剤などが挙げられる。
【0014】
上記の光安定剤の配合量としては、その粒子形状、密度、最終用途等によって異なるが、フッ化ビニリデン系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
〔耐熱安定剤〕
耐熱安定剤は、高分子の熱劣化等を防止するものであり、例えば、フェノ−ル系、アミン系、硫黄系、燐酸系、その他等の酸化防止剤を使用することができる。
更に、上記の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤としては、例えば、ポリマ−を構成する主鎖または側鎖に、上記のベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤あるいは上記のフェノ−ル系等の酸化防止剤を化学結合させてなるポリマ−型の紫外線吸収剤あるいは酸化防止剤等も使用することができる。
上記の光安定剤の配合量としては、その粒子形状、密度、最終用途等によって異なるが、フッ化ビニリデン系樹脂(A)とアクリル系樹脂(B)の合計100質量部に対して、1〜10質量部が好ましい。
【0015】
〔フッ化ビニリデン系フィルムの製造方法〕
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムはフッ化ビニリデン系樹脂(A)およびアクリル系樹脂(B)の混合物をTダイを用いた溶融押出法によって、少なくとも1本の冷却ロールに接触させて製造される。
複数の金属ロール、非金属ロール及び/又は金属ベルトに狭持して製膜する方法を用いれば、得られるフッ化ビニリデン系フィルムの表面平滑性を向上させ、例えばフッ化ビニリデン系フィルムに印刷処理した際の印刷抜けを抑制することができる。
なお、金属ロールとしては、金属製の鏡面タッチロール;特許第2808251号公報またはWO97/28950号公報に記載の金属スリーブ(金属製薄膜パイプ)と成型用ロールからなるスリーブタッチ方式で使用されるロール等を例示することができる。また、非金属ロールとしては、シリコンゴム性等のタッチロール等を例示することができる。更に、金属ベルトとしては、金属製のエンドレスベルト等を例示することができる。なお、これらの金属ロール、非金属ロール及び金属ベルトを複数組み合わせて使用することもできる。
複数の金属ロール、非金属ロール及び/又は金属ベルトに狭持して製膜する方法では、溶融押出後の樹脂組成物を、実質的にバンク(樹脂溜まり)が無い状態で狭持し、実質的に圧延されることなく面転写させて製膜することが好ましい。
バンク(樹脂溜まり)を形成することなく製膜した場合は、冷却過程にある樹脂組成物が圧延されることなく面転写されるため、この方法で製膜したフッ化ビニリデン系フィルムの加熱収縮率を低減することができる。
なお、複数の金属ロール、非金属ロール及び/又は金属ベルトを使用して製膜する場合に、使用する少なくとも1本の金属ロール、非金属ロール又は金属ベルトの表面にエンボス加工、マット加工等の形状加工を施すことによって、フッ化ビニリデン系フィルムの片面あるいは両面に形状転写させることもできる。
【実施例】
【0016】
実施例における測定方法について以下に示す。
〔フッ化ビニリデン系フィルムの難燃性〕
試験片は下端から125mmの位置に標線を引いた、長さ200mm、幅50mm、厚み200μmの試験片を用意し、UL94規格に準拠して第1回接炎を3秒間、2回目の接炎3秒間の垂直燃焼試験を行い、燃焼挙動の分類がVTM−2以上であるものを○と判定した。試験は5回繰り返した。
すなわち、個々の試験片の燃焼時間が30秒以下かつ、残炎時間の合計が250秒以下、第2回接炎後の個々の試験片の残じん時間が60秒以下、125mm標線まで達した残炎、残じんが無いものを○と判定した。
〔フッ化ビニリデン系フィルムの全光線透過率測定〕
得られたフッ化ビニリデン系フィルムを5cm角に切り出し、JIS K7361−1に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH2000を用いて測定した。厚みは100μmで測定を行った。
〔フッ化ビニリデン系フィルムのヘーズ測定〕
得られたフッ化ビニリデン系フィルムを5cm角に切り出し、JIS K7105に準拠して、日本電色工業(株)製のNDH2000を用いて測定した。
〔融解ピーク温度測定〕
(株)パーキンエルマー社製のDiamond DSCを用い、JISK7121に準拠し、昇温スピード10℃/minで融解ピーク温度を求めた。
〔フッ化ビニリデン系樹脂(A)〕
フッ化ビニリデン系樹脂(A−1)として、アルケマ(株)社製のフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体である、KynarFlex3120−50(JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度:163℃)を使用した。
フッ化ビニリデン系樹脂(A−2)としてアルケマ(株)社製のフッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体、KynarFlex2800−20(JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度:142℃)を使用した。
〔アクリル系樹脂(B)〕
アクリル系樹脂(B−1)として、メチルメタクリレート99質量部およびメチルアクリレート1質量部からなり、テトラヒドロフランを溶媒としてGPC法で測定した、ポリスチレン換算の質量平均分子量が12万である懸濁重合ビーズを使用した。
〔実施例1〕
フッ化ビニリデン系樹脂(A−1)70質量部およびアクリル系樹脂(B−1)30質量部をヘンシェルミキサーを用いて混合し、得られた混合物を180〜220℃に加熱したベント式2軸押出機(東芝機械(株)製TEM−35B)に供給、混練してペレットを得た。得られたペレットを85℃で一昼夜乾燥し、150mmTダイ及び400メッシュのスクリーンメッシュが配設された30mmφのノンベントスクリュー型押出機に供給して、押出機温度180〜220℃、Tダイ温度220℃、冷却ロール温度80℃で製膜を行い、それぞれ厚み100μm、200μmのフッ化ビニリデン系フィルムを製膜した。このフッ化ビニリデン系フィルムの全光線透過率、ヘーズ、難燃性を表1に示す。
〔実施例2〕
フッ化ビニリデン系樹脂(A−1)の使用量を90質量部、アクリル系樹脂(B−1)の使用量を10質量部とした以外は実施例1と同様にしてフッ化ビニリデン系フィルムを作成した。全光線透過率、ヘーズ、難燃性を表1に示す。
〔比較例1〕
フッ化ビニリデン系樹脂(A−1)の使用量を100質量部としアクリル系樹脂(B−1)を使用しなかった以外は実施例1と同様にしてフッ化ビニリデン系フィルムを作成した。全光線透過率、ヘーズ、難燃性を表1に示す。
〔比較例2〕
フッ化ビニリデン系樹脂(A−1)に換えてフッ化ビニリデン系樹脂(A−2)を使用した以外は実施例1と同様にしてフッ化ビニリデン系フィルムを作成した。全光線透過率、ヘーズ、難燃性を表1に示す。
実施例1,2で得られたフッ化ビニリデン系フィルムは難燃性及び透明性が良好であった。これに対し、アクリル系樹脂(B)を含まない比較例1のフィルムは透明性が不良であった。また、フッ化ビニリデン系樹脂の融解ピーク温度が不足する比較例2のフィルムは難燃性が不良であった。
【0017】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0018】
本発明のフッ化ビニリデン系フィルムは耐候性、透明性、耐熱性、耐薬品性、ガスバリア性、難燃性に優れている。これらを利用してウェザーストリップ、バンパー、バンパーガード、サイドマッドガード、ボディーパネル、スポイラー、フロントグリル、ストラットマウント、ホイールキャップ、センターピラー、ドアミラー、センターオーナメント、サイドモール、ドアモール、ウインドモール等、窓、ヘッドランプカバー、テールランプカバー、風防部品等の自動車外装用途、インストルメントパネル、コンソールボックス、メーターカバー、ドアロックペゼル、ステアリングホイール、パワーウィンドウスイッチベース、センタークラスター、ダッシュボード等の自動車内装用途、AV機器や家具製品のフロントパネル、ボタン、エンブレム、表面化粧材等の用途、携帯電話等のハウジング、表示窓、ボタン等の用途、さらには家具用外装材用途、壁面、天井、床等の建築用内装材用途、サイディング等の外壁、塀、屋根、門扉、破風板等の建築用外装材用途、窓枠、扉、手すり、敷居、鴨居等の家具類の表面化粧材用途、各種ディスプレイに使用される、フレネルレンズ、偏光フィルム、偏光子保護フィルム、位相差フィルム、光拡散フィルム、視野角拡大フィルム、反射フィルム、反射防止フィルム、防眩フィルム、輝度向上フィルム、プリズムシート、マイクロレンズアレイ、タッチパネル用導電フィルム、導光用途フィルム、電子ペーパー用途フィルムなど光学用途、窓ガラス、電車、航空機、船舶等の自動車以外の各種乗り物の内外装用途、瓶、化粧品容器、小物入れ等の各種包装容器および材料、景品や小物等の雑貨等のその他各種用途、太陽電池表面保護フィルム、太陽電池用封止フィルム、太陽電池用裏面保護フィルム、太陽電池用基盤フィルム、農業用ビニルハウス、高速道路遮音板用保護フィルム、交通標識用最表面保護フィルムに好適に使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンおよびテトラフルオロエチレンから選ばれる一種以上を含み、JISK7121に準拠して測定した融解ピーク温度が155℃以上であるフッ化ビニリデン系樹脂(A)、およびアクリル系樹脂(B)からなるフッ化ビニリデン系フィルム。

【公開番号】特開2011−246670(P2011−246670A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−123849(P2010−123849)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】