説明

フッ素イオン含有廃液の処理方法および処理装置

【課題】 本発明は、フッ素イオンを含有する廃液中のフッ素を高い純度の沈殿物として回収する廃液の処理方法と装置を提供する。
【解決手段】 原水槽1から沈殿装置7に搬送するフッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を供給する。廃液の搬送流路に設けたラインミキサー3と磁界印加装置4を用いて塩化カルシウムとフッ素イオンを反応させフッ化カルシウムの生成を促進させ、廃液が沈殿装置7に至る間に苛性ソーダを供給し、廃液のPHを調整する。沈殿装置7において、沈殿したフッ化カルシウムと上澄み廃液を分離し、沈殿したフッ化カルシウムを回収する。残った上澄み廃液を電解装置8に搬送し、フッ素イオンを電解装置8を用いて固定し、フッ素イオンが除去された上澄み廃液を濾過装置9に搬送し、上澄み廃液中に浮遊する固形物を、親水処理されたフッ素樹脂製のフィルター21により分離する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素イオンを含む廃液の処理方法と処理装置に関するものである。特に、Siのエッチングに使用されたエッチング液の処理方法と処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
廃液処理の中には、飲料水、生活廃水、工場廃水の浄化処理など多くの水処理技術がある。これらの技術の特徴は、廃液に同じものがなく、目的や廃液の内容によって個々別々の対応が必要で、事情に応じて処理方法を開発しなければならない点にある。
【0003】
特許文献1は、ウエハー加工工程排水の処理方法に関する発明である。半導体ウエハーの加工には、主に(1)アンモニア性過酸化水素系排水、(2)シリコンスラッジ含有界面活性剤系排水、(3)硝酸酸性フッ化水素酸系排水に分類される。特許文献1は、半導体ウエハー加工工程排水のうち、難分解性有機物系排水を第一鉄塩の存在下で、別の系から排出する強酸性廃液にてPHを調整して、更に別の系から排出する過酸化水素含有排水の過酸化水素で前記難分解性有機物を酸化分解するなどの総合処理を行う。このようにして、従来よりも低コストで河川に放流可能な水質に処理する。この発明では、フッ酸を消石灰もしくは炭酸石灰と反応させてフッ化カルシウムを析出させ、析出させたフッ化カルシウムを凝集沈殿によって除去している。
【0004】
特許文献2は、PFC(パーフロロコンパウンズ)ガス除害後のフッ素含有排水の処理方法に関するものである。この処理方法は、フッ素含有排水を脱塩及び濃縮する電気透析工程を備え、前記脱塩処理液を前記フッ素含有排水の発生源への補給水として再生し、前記フッ酸濃縮液を利用可能な濃度のフッ酸溶液として再生する程度に電気透析する。この方法によれば、フッ素含有排水をフッ酸酸性のまま、電気透析工程により処理することにより、目的のフッ酸濃度を備えた濃縮水及び脱塩水を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】特開2001-334275号公報
【特許文献2】特開2004-174439号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、シリコンウエハーのエッチング工程で発生する廃液は、硝酸、フッ酸を中心として、これにアンモニア、界面活性剤などを含有している。この中で特に、フッ酸は毒性が強いので、排水中の許容含有量の規制も厳しい。さらに最近では、エッチング速度を早くするために使用するフッ酸濃度も高くなる傾向にある。しかしながら、フッ酸を含有する廃液の効率的な処理技術が確立されていないので、このような廃液の貯蔵量が次第に増加している。従って、このような廃液中のフッ素濃度を河川へ廃棄可能なレベルまで低下させるフッ素の固定技術および固定されたフッ素の回収技術の開発は、特別必要になってきている。
【0007】
フッ酸を構成するフッ素は、蛍石から得られる。しかし、蛍石は地球上に偏在していて、次第に希少な資源となってきている。従って、フッ酸中のフッ素を回収して再利用する必要性が高まってきている。
【0008】
従来の技術について具体的にみると、特許文献1の技術は、フッ酸を除去するために、水に難溶性の微細な粉末の炭酸カルシウムや消石灰を使用する。しかし、工業的には炭酸カルシウムや消石灰の粉末の表面部でフッ酸と反応するに止まり、粉末の内部まで反応に寄与しない。従って、特許文献1の技術によると回収されるフッ化カルシウムの純度が低く、フッ素の回収コストが高くなる。
【0009】
一方、特許文献2の技術は、フッ酸などを使用する工程で発生するフッ素やフッ酸などを含む空気が拡散することを防止するため、この空気を水で洗浄する。その際に極めて希薄で大量に排出される洗浄水の処理に関するものである。この廃液は、希薄なので電気透析を用い、フッ酸の濃度を高めた液と、脱塩された液に分けられる。フッ酸の濃度を高めた液は、利用可能な濃度のフッ酸溶液として再生する。一方、脱塩された液は、フッ素含有廃水の発生源への補給水として再生される。よって、フッ酸含有液を廃棄する技術については何ら開示されていない。
【0010】
従って、本発明の主目的は、廃液中のフッ酸を効率的に反応させて高純度のフッ素化合物として沈殿させるフッ素イオン含有廃液の処理方法と処理装置を提供することにある。また工程中で発生する種類の異なるフッ素化合物などを、別々に同じ脱水装置で回収できるフッ素イオン含有廃液の処理方法とコンパクトな処理装置を提供することにある。
【0011】
本発明の別の目的は、廃液のフッ素イオン濃度を排出基準以下まで低下させ、廃液中に固形物などを殆ど含まないフッ素イオン含有廃液の処理方法と処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本(A)発明は、フッ素イオンを含む廃液に磁界を印加することで塩化カルシウムとフッ素イオンの反応によるフッ化カルシウムの生成を促進することで上記の目的を達成する。
本(B)発明は、塩化カルシウムとフッ素イオンとを反応させ、その反応物であるフッ化カルシウムを沈殿させた後、その上澄み液を電解して微量のフッ素イオンを固形物に固定し、その固形物をフィルターにより濾過して取り除くことで上記の目的を達成する。
【0013】
本(A)発明のフッ素イオン含有廃液の処理方法は、次の工程を備えることを特徴とする。
フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程。
この混合液に磁界を印加して、塩化カルシウムとフッ素イオンを反応させフッ化カルシウムの生成を促進する工程、
磁界が印加された混合液に苛性ソーダを混合して、その混合液のPHを調整する工程。
PH調整された液をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程。
【0014】
また、本(A)発明の処理方法を行うためのフッ素イオン含有廃液の処理装置は、次の構成を備えることを特徴とする。
フッ素イオンを含む廃液が貯留される原水槽。
原水槽から搬送される廃液に塩化カルシウムを供給する塩化カルシウム供給手段。
塩化カルシウムを供給した後の廃液に磁界を印加する磁界印加装置。
磁界印加後の廃液に苛性ソーダ溶液を供給し、その廃液のPHを調整する苛性ソーダ供給手段。
前記塩化カルシウムとフッ素イオンの反応により生成されたフッ化カルシウムを沈殿さて上澄み廃液と分離する沈殿装置。
【0015】
上記の処理方法および処理装置では、廃液中の水分子に振動磁場を与え、フッ素と水素との結合(水素結合)が切れたり結合したりするのを活発化する。こうして、フッ素が水素に結合していない時間を長くでき、フッ素イオンとカルシウムイオンとを効率よく反応させてフッ化カルシウムを生成させ、フッ化カルシウムを高効率で回収できると考えられる。
【0016】
本(B)発明のフッ素イオン含有廃液の処理方法は、次の工程を備えることを特徴とする。
フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程。
この混合液に苛性ソーダを混合して、その混合液のPHを調整する工程。
PH調整された液をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程。
上澄み廃液を電解処理し、上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とすることで上澄み廃液中のフッ素イオン濃度を低減する工程。
電解処理済の上澄み廃液を濾過して、上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターにより分離する工程。
【0017】
また、本(B)発明の処理方法を行うためのフッ素イオン含有廃液の処理装置は、次の構成を備えることを特徴とする。
フッ素イオンを含む廃液が貯留される原水槽。
原水槽から搬送される廃液に塩化カルシウムを供給する塩化カルシウム供給手段。
塩化カルシウム供給後の廃液に苛性ソーダ溶液を供給し、その廃液のPHを調整する苛性ソーダ供給手段。
前記塩化カルシウムとフッ素イオンの反応により生成したフッ化カルシウムを沈殿させて上澄み廃液と分離する沈殿装置。
前記上澄み廃液を電解処理して、その上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とする電解装置。
前記電解処理後の上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターで濾過する濾過装置。
【0018】
本(B)発明の処理方法およびその処理装置では、廃液とフッ化カルシウム溶液を混合し、PH調整し、フッ化カルシウムと上澄み廃液を分離した後、上澄み廃液中のフッ素イオンを電解により固形物として固定し、この固定物を濾過により除去する。こうすることで、廃液中のフッ素イオン濃度を排出基準以下に低減でき、固形物を殆ど含まない排水とすることができる。本(B)発明においては、電解処理前の上澄み廃液のフッ素イオン濃度がある程度低下していれば、あとは電解処理でフッ素イオン濃度を低減できる。
【0019】
本(B)発明の方法は、フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程の次に、この混合液に磁界を印加して塩化カルシウムとフッ素イオンを反応させフッ化カルシウムの生成を促進する工程を有することが好ましい。また本(B)発明の方法を行う装置は、塩化カルシウム供給手段の次に、塩化カルシウムを供給した後の廃液に磁界を印加する磁界印加装置を有することが好ましい。
【0020】
以下、本(A)発明を中心に、フッ素イオン含有廃液としてフッ酸を含有する廃液を例にして詳細に説明する。
本発明では、フッ酸を含む廃液を塩化カルシウム溶液と苛性ソーダ溶液を用いて処理する。この処理を行う装置は、主要構成として、原水槽、塩化カルシウム供給手段、磁界印加装置、苛性ソーダ供給手段、沈殿装置を有する。さらに必要に応じて冷却装置、電解装置、濾過装置を組み合わせることが好ましい。
【0021】
本発明における処理対象の廃液は、フッ素イオンを含む廃液とする。このような廃液の例は、例えばSiをエッチングする際に利用されるフッ酸を含有する廃液である。フッ酸を含む廃液は、例えば原水槽に貯留される。この原水槽からポンプを用いて搬送流路を介して下流の処理工程へと廃液を供給すればよい。塩化カルシウム溶液と苛性ソーダ溶液は、それぞれ所定の濃度の水溶液とし、塩化カルシウム供給手段と苛性ソーダ供給手段から供給される。
【0022】
廃液の処理に際しては、まずフッ酸を含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する。塩化カルシウム溶液は廃液中のフッ素イオンと反応してフッ化カルシウムを生成する。塩化カルシウム供給手段は、例えば塩化カルシウム溶液を貯える塩化カルシウム槽と、同溶液を攪拌するための攪拌器と、塩化カルシウム溶液を搬送流路に供給するためのポンプを備えている。廃液に含まれるフッ酸の量と塩化カルシウムの量を当量ずつ混合するために、廃液の搬送ポンプおよび塩化カルシウム溶液の搬送ポンプは定量ポンプを用いることが望ましい。
【0023】
塩化カルシウム溶液は、原水槽から沈殿装置への搬送流路に備えてある磁界印加装置に至る前に供給するようにする。この構成により、フッ酸と塩化カルシウムの混合液が磁界印加装置を通過する際に、磁界の印加によりフッ化カルシウムの生成反応を効率的に行わせる。
【0024】
磁界印加装置は、廃液に振動磁場を発生させる装置で、例えば混合液の搬送流路の周囲にコイルを巻き、そのコイルに所定の交流電流を流すように構成される。フッ酸と塩化カルシウムの混合廃液の中に磁界を発生させることで、混合液中の水分子に振動磁場を与え、フッ素と水素との結合(水素結合)が切れたり結合したりするのを活発化する。こうして、フッ素が水素に結合していない時間を長くでき、フッ素イオンとカルシウムイオンとを効率よく反応させてフッ化カルシウムを生成させると考えられる。従って、塩化カルシウムの使用量を減少させる効果がある。
【0025】
本発明では、塩化カルシウムとフッ酸が式(1)に示すように反応する。PHが5.5より大きい場合、CaF2は沈殿するので、反応は右に進む。特に、塩化カルシウム溶液を廃液が含有するHFの当量より多めに添加することで、HFは殆どCaF2になる。しかも磁界印加装置を用い反応を促進するので、反応速度は速い。式(1)の右辺の成分のうち塩化水素HClは、そのまま廃液の中に残り次の工程に進む。従来この方法が多用されなかった理由は、フッ化カルシウム回収後、さらに塩素イオンを処理しなければならなかったことによる。
2HF+CaCl2 ⇔ CaF2↓+2HCl (1)
【0026】
これに対して、従来技術である消石灰(Ca(OH)2)のような固形物とフッ酸との反応では、下記に示す式2となり、左辺、右辺共に沈殿物がある。沈殿物である消石灰の内部までフッ素が拡散することで反応は右に進むが、拡散に時間がかかるので、反応速度が遅い。また、反応速度を高めようとすると、Ca(OH)2粉末の表面だけ反応させるのでCa(OH)2粉末の使用量が増える。
2HF+Ca(OH)2↓ ⇔ CaF2↓+2H2O (2)
【0027】
続いて、磁界が印加された混合液に苛性ソーダを混合して、その混合液のPHを5.5以上に調整することで、フッ化カルシウムは急速に沈殿する。苛性ソーダ供給手段は、例えば苛性ソーダを貯える苛性ソーダ槽と、同溶液を攪拌するための攪拌器と、苛性ソーダ溶液を供給するためのポンプとを備えている。苛性ソーダを定量的に供給する場合、定量ポンプを用いることが望ましい。
【0028】
苛性ソーダは、予め磁界印加装置により磁界が印加された混合液と混合し、PH5.5以上に調製する。このPH調整された液は、沈殿装置の中で沈殿するフッ化カルシウムと、上澄み廃液とに分離される。ここで、塩化カルシウムとフッ酸が十分に反応した後に苛性ソーダを加えることが重要である。塩化カルシウムは苛性ソーダと反応して、水酸化カルシウムとなり、カルシウムイオンが有効に利用されなくなるからである。
【0029】
以下に、さらに好ましい態様について詳細に説明する。この発明はさらに、沈殿装置で得られた上澄み廃液を電解処理し、上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とすることで上澄み廃液中のフッ素イオン濃度を低減することが好ましい。フッ化カルシウムの水に対する溶解度は0.016g/dm3(16ppm)なので、上澄み廃液は、約16ppmのフッ化カルシウムを含んでいる(実際は、カルシウムは16ppmまでも含有されていない。)。ところが、フッ酸の排水基準は通常5〜7ppm以下の含有量である。上澄み廃液を電解処理することで、含まれるフッ素を更に減少させないと排出できない。その他の含有物として塩素があるが、これも電解装置によりフッ素と同様の原理により除去される。
【0030】
この電解処理には電解装置を用いる。この電解装置は、金属製の電極を有する。より具体的には、電解により金属製の陽極で生成する水酸化物などの化合物の中にフッ素イオンを取り込み、フッ素イオンを固定する。これらの化合物は、上澄み廃液の中に浮遊したり、沈殿したりする。電極に用いる金属は、銅、ニッケル、亜鉛、アルミニウムなどが使用できる。電極は、陽極と陰極を交互に極を交代して使用するので、陽極と陰極が同じ金属であることが望ましい。
【0031】
この発明はさらに、電解処理済の上澄み廃液をフッ素樹脂製のフィルターで濾過して、上澄み廃液中の固形物を廃液から分離することが好ましい。この濾過により、上澄み廃液中に浮遊する固形物をフッ素樹脂製のフィルターにより廃液と分離する。濾過された水は、フッ素濃度が排出基準以下なので、排水として放流できる。
【0032】
濾過装置には、フッ素樹脂からなるフィルターを用いる。フッ素樹脂にはPTFE(4フッ化エチレン樹脂)、PFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)、FEP(4フッ化エチレン-6フッ化プロピレン共重合体樹脂)、PCTFE(3フッ化塩化エチレン樹脂)、PVDF(フッカビニリデン樹脂)、ETFE(エチレン-4フッ化エチレン共重合体樹脂)などがある。
【0033】
フッ素イオン含有廃液の代表例であるフッ酸は、極めて腐食性の強い酸である。フッ素樹脂はフッ酸により腐食しないので、フィルターとして適している。また、フッ素樹脂は、非粘着性の大きな材料なので濾過された固形物が剥離しやすく、本発明のフィルターに適している。中でも、最も非粘着性が大きいPTFE(4フッ化エチレン樹脂)製フィルターは、フィルターに付着した固形物を簡単に取り去ることができるので、望ましい。その上、PTFEは、化学的に安定で強度も高いので長期間の使用ができる。
【0034】
本発明はさらに、PH調整された液の冷却工程をフッ化カルシウムと上澄み廃液に分離する工程の前に有することが望ましい。廃液と塩化カルシウムの混合液のPH調整は、発熱を伴う中和反応であり、中和液は高温になる。また、PH5.5以上になると急激にフッ化カルシウムが析出するので、搬送流路の途中で苛性ソーダを加えると流路が詰まる可能性がある。従って、冷却装置の中で混合液に苛性ソーダを加えPH調整し、且つ冷却することが好ましい。冷却装置は、例えばフッ化カルシウムと塩化カルシウムと苛性ソーダの混合液を蓄える冷却槽と、これらの液を混合するための攪拌器などで構成される。
【0035】
本発明はさらに、この分離されたフッ化カルシウムを脱水する。脱水には脱水装置を用いる。脱水装置は、例えば、沈殿装置からの沈殿物を受けて沈殿物と水分に分離するペーパーフィルターのような分離部材と、分離部材で分離された沈殿物を回収する回収容器と、同じく分離された液体を貯留する液貯めとを有する構成とする。沈殿物から分離された水分は、沈殿装置、つまりフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することが好ましい。排出基準を満たさない廃液の排出を防ぐためである。
【0036】
また本発明はさらに、電解処理された上澄み廃液中の沈殿した固形物を脱水し、分離された水分をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することが好ましい。この脱水と還流により、固形物から分離された水分が排水として排出されることを抑制することができる。この脱水には、上述した脱水装置を利用することが好適である。脱水装置を沈殿装置の固形物の脱水と共用することで、処理装置の構成を簡略化することができる。
【0037】
さらに本発明は、フィルターにより分離された固形物を脱水し、分離された水分をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することが望ましい。この脱水と還流により、固形物から分離された水分が排水として排出されることを防ぐことができる。この脱水には、上述した脱水装置を利用することが好適である。脱水装置を沈殿装置の固形物の脱水と共用することで、処理装置の構成を簡略化することができる。脱水装置への供給対象を、沈殿装置で沈殿された固形物とするか、電解装置で生成された固形物とするか、あるいはフィルターにより分離された固形物とするかは、これらの搬送流路をバルブで切り替えるなどすることが好ましい。
【0038】
この発明はさらに、電解装置は、Al板からなる正負極を有することが望ましい。電解すると、陽極からAlが溶解するので、陽極は次第に小さくなる。両極共に均等に小さくするには、一定時間ごとに、陽極と陰極を入れ替えることが望ましい。ここで得られた沈殿物は、脱水装置に送られ固形廃棄物として処理される。但し、沈殿装置の中の沈殿物はフッ化カルシウムの多い固形物であったが、電解装置で得られた沈殿物はアルミニウムの多い沈殿物であり、前記した沈殿物と分けて処理することが望ましい。
【0039】
この発明のフィルターはさらに、孔径0.05〜10μmの孔を有し、親水処理されていることが好ましい。上澄み廃液に含まれる固形物の大部分は、上記以上の大きさを持つからである。また、フッ素樹脂は撥水性なので、廃液との濡れ性をよくするために、親水処理しておくことが望ましい。
【0040】
フィルターの形態は、チューブ状のものを多数束ねたもの、シート状のものを支持体とともにプレート状としこれを積層配置したもの、シートをプリーツ状にしてハウジングに収納したもの等がある。このなかで、チューブ状のものと、積層配置されたシート状のものが望ましい。なかでもチューブ状のものは、容積当たりの濾過面積が多く取れるなどから好適である。
【0041】
この発明の濾過装置はさらに、逆洗するための逆洗装置を有することが好ましい。廃液の処理に濾過装置を使用すると、固形物がフィルターに付着し、目詰まりするので透過度が減少する。そこで、その固形物を逆洗装置により取り除き、透過度を元に戻すことが好ましい。逆洗は、空気、水、アルコールなどの流体を濾過する際の廃液の進行方向と逆方向に流し、フィルターに付着した固形物を濾過装置の中へ回収する。こうすることにより、フィルターの目詰まりがほぼ85%以上回復する。必要であれば上記の逆洗装置に加え、チューブの外側から水や空気を吹き付けて固形物などを落とすこともできる。
【発明の効果】
【0042】
本発明方法または本発明装置によれば、次の効果を奏することができる。
(1)フッ素イオンを含む廃液を塩化カルシウムと反応させる際に磁界を印加することにより、効率的にフッ化カルシウムを生成させ、純度の高いフッ化カルシウムを回収することができる。
【0043】
(2)分離された上澄み廃液を電解処理することで、上澄み廃液の中に含まれるフッ素を環境への排出基準以下とすることができ、処理済の廃液を河川に排出することできる。
【0044】
(3)電解処理後の上澄み廃液を濾過することで、上澄み廃液中の固形物を除去でき、より廃棄物含有量の少ない状態で排水することができる。
【0045】
(4)フッ化カルシウムの脱水、電解処理された上澄み廃液中の固形物の脱水およびフィルターにより分離された固形物の脱水を行う脱水装置を共用することで、処理装置の簡略化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0046】
以下、図面を用いて詳細に本発明を説明する。
図1は、本発明装置の模式概念図である。この装置は、廃液を貯留する原水槽1、廃液、塩化カルシウム、苛性ソーダなどの混合液を冷却する冷却装置6、フッ化カルシウムの沈殿を行う沈殿装置7、沈殿装置7の上澄み廃液を電解処理する電解装置8、電解処理後の上澄み廃液を濾過する濾過装置9ならびに回収されたフッ化カルシウムや電解装置8または濾過装置9で取り出された固形物を脱水する脱水装置10を主たる構成とする。
【0047】
エッチング装置から排出されたフッ酸を10重量%含む廃液を原水槽1に貯蔵する。廃液は、搬送流路11Aを経由して下流工程へと搬送される。搬送流路11Aの途中には、廃液中のフッ酸濃度に対応した量の塩化カルシウム溶液を塩化カルシウム槽2から搬送ポンプPにより供給する。廃液中に塩化カルシウム溶液が供給された廃液は、ラインミキサー3により混合され、さらに磁界印加装置4を経由して冷却装置6に搬送される。冷却装置6では廃液と塩化カルシウムの混合液のPHを測定し、その結果に基づき搬送ポンプPにより苛性ソーダ槽5から苛性ソーダを冷却装置6に搬送する。塩化カルシウム槽、苛性ソーダ槽ともに、必要に応じて攪拌器Mにより攪拌する。
【0048】
磁界印加装置4は搬送流路の外周にコイルが巻回され、そのコイルに交流電源(図示せず)から交流が通電可能に構成されている。このコイルには25〜40Wの電力を負荷することが好適である。本例では、振動磁場管(搬送流路のうちコイルが巻回された箇所)の内径D=8mm、長さL=20cm、コイルの巻回数N=100回とした。ただし、この値は処理する廃液の量と密接に関係し、目安として1時間当たり0.1〜1ton程度の処理量の場合である。廃液の搬送量が変動するとそれに合わせて使用電力量を適宜変えれば良い。
【0049】
適している範囲は、コイル電流I=20〜50mA、コイルの電圧V=1000〜1700Vの範囲が望ましい。特に、この発明においてはサインカーブのような滑らかな電圧変動よりも、矩形波のような急激な電圧変動が好ましい。急激な電圧の変動は水素とフッ素の結合を切断する働きが強く、フッ素は水素と結合している状態より、水素と結合していない状態の時間の方が長くなると考えられる。この効果を更に大きくするには、矩形波が高周波成分を含むことが好ましい。
【0050】
塩化カルシウム溶液を廃液に加えた後、廃液はラインミキサー3と磁界印加装置4を通過するので、廃液中のフッ酸と塩化カルシウムとは良く反応して塩化水素とフッ化カルシウムとを生成する。冷却装置6の中では、この混合液にさらに苛性ソーダを混合してPHを5.5以上に調整し、攪拌用モーターM(図中、丸で囲まれたM)でよく攪拌する。この中和反応は発熱反応なので、冷却槽で冷却する。このように処理された廃液を、搬送流路11Bを経由して沈殿装置7に送り、フッ化カルシウムをスラッジ31として沈殿させる。
【0051】
ラインミキサーは、廃液の流れに乱れを与え、フッ酸と塩化カルシウム溶液を良く混合することを目的とする。具体的には、流れを妨害するような充填物を搬送流路の途中に配置することでラインミキサーとすることができる。その他、流路の中で渦流を発生させる構造としたり、渦の向きを短いサイクルで逆転させるような構造とすることでラインミキサーとすることができる。
【0052】
沈殿したスラッジ31は、沈殿装置7から搬送ポンプPにより搬送流路11Dを経由して脱水装置10へ送り、ここで水分をペーパーフィルター24により取り去る。水分を抜き取られたスラッジは固形廃棄物32として処理される。沈殿装置7で回収されたスラッジは、他の部分で生じるスラッジに比較して、フッ化カルシウムの含有量が多い。一方、脱水装置10で回収された廃水は、下記に説明するようにフッ酸を含むので、沈殿装置7に搬送ポンプPにより搬送流路11Eを経由して還流される。
【0053】
沈殿装置7までの処理により、フッ酸中の大部分のフッ素はフッ化カルシウムとして沈殿し、回収される。しかしながら、フッ化カルシウムの水に対する溶解度は16mg/リットルなので、16ppm程度のフッ素はフッ酸として上澄み廃液に含まれる。フッ酸は毒性が強いので、一般的に排出基準が6ppm程度に設定されている。従って、上記の上澄み廃液をさらに処理してフッ酸の含有量を減少させる。
【0054】
フッ酸の含有量の減少には電解装置8を用いる。つまり、沈殿装置7の上澄み廃液は、搬送ポンプPにより、搬送流路11Cを経由して電解装置8に搬送される。上澄み廃液中のフッ素は、電解装置8で発生した金属化合物に固定される。電解装置8は、陽極22A、陰極22Bと電源23で構成される。電極22A、22Bとしては、両極共にAl製で、300mm×100mm×8mmのサイズの板を用いた。
【0055】
電解装置の陽極、陰極はAl金属であることが望ましい。電解により陽極より溶出する各種金属イオンのうち、二価の金属イオンよりも三価のAl3+イオンの方が活性が強く、水酸化アルミニウムの凝集力が優れているからである。廃液中の陰イオンとしては、水酸基、フッ素基などがある。これらがアルミニウムと反応し、大部分が沈殿物である水酸化アルミニウムAl(OH)3となり、その中にフッ素が閉じ込められて、例えばAlFO、AlF(OH)2等となり、フッ素が固定されると考えられる。具体的な電解処理条件は電圧6〜18Vの定電流電源を用いて電解するのが好ましい。塩素は、上記のフッ素原子を塩素原子に置き換えた化合物を形成して、除去される。
【0056】
電解装置8では、フッ素を含むアルミニウムの水酸化物が廃液の中に沈殿し、フッ素が除去された上澄み廃液が残る。電解装置8で生成した沈殿物は脱水装置10に搬送流路11Fを経由して送られ、ペーパーフィルター24により脱水されて固形廃棄物32として廃棄される。一方、フッ素が除去された上澄み廃液は、濾過装置9に搬送される。
【0057】
濾過装置9では、電解装置8から搬送されて来たフッ素が除去された上澄み廃液中の、固形物と廃水をフィルター21で分離する。フィルターを通過した固形物の除去された上澄み廃液は、5ppmのフッ素しか含有していなかったので水として系外に排出できる。固形物は、スラッジ31としてフィルターの外周部に付着する。逆洗によりフィルターからはがれたスラッジ31は、搬送ポンプPにより搬送流路11Gを経由して、脱水装置10に搬送され、ペーパーフィルター24により脱水された後、固形廃棄物32として廃棄される。
【0058】
濾過装置9に到達する固形物は、沈殿装置7で沈殿しなかった固形物と電解装置8で生成したものがある。いずれの固形物も微細なので、フィルター21の孔径は、0.05〜10μmの範囲が望ましい。本発明では、PTFE製で約1μmの孔径を持つポアフロン(住友電気工業株式会社の登録商標)を用いた。孔径は、その廃液によって最適なものを選ぶことができる。
【0059】
図1では、フィルターを模式的に1本のチューブとして記載した。実際は、図2に示されたようなカートリッジフィルターが使用される。このカートリッジフィルターは、円盤状の天板42と底板41とを支持棒で間隔をあけて保持し、天板42と底板41との間に皺を有する多数のチューブ(フィルター21)を保持した構成である。チューブの上端側は天板42で封止され、チューブ内から廃液が外部に流出しないようにしている。また、底板41には排出口43が設けられ、全てのチューブの内周側がまとめて排出口43へとつながるように構成されている。
【0060】
このカートリッジを、図1に示す濾過装置9の中に入れて使用する。排出口43は、搬送ポンプPから搬送流路11Hにつながっている。フィルター21の一例として、4フッ化エチレン製の外径2mm、肉厚0.5mmの多孔質チューブで、孔径1μmのものを500本集合してカートリッジフィルターとすることができる。
【0061】
また、スラッジがチューブの外側に付くようにするために、廃液はチューブの外周から内側に向かって圧力をかけて通過させる。逆に、チューブの内径側から圧送すると、チューブの径に等しい体積の固形物がたまると使用不能になるので、逆洗の頻度が高くなり好ましくない。また、チューブは、少なくとも使用圧力に耐える強度を要する。肉厚を厚くすると、強度は高くなるが、透過率は下がるので適切な厚さのものを選択することが望ましい。また、内径側から圧力をかけて逆洗すると、皺が伸びてスラッジが剥離しやすくなる。
【0062】
フィルターは、孔径0.05〜10μmの孔を有し、チューブ状であることが好適である。上澄み廃液に含まれる固形物の大部分は、上記以上の大きさの固形物を含むからである。特に、孔径は0.45〜2μmが望ましい。フィルターを通過できなかった固形物の大部分は、例えば後述する逆洗装置により逆洗されて除去される。
【0063】
フィルターは、親水処理されていることが好適である。フッ素樹脂は撥水性なので水を通しにくい。そこで、水を主成分とする廃液がフィルターを通過しやすくするために親水処理しておくことが好ましい。具体的には、フィルターをIPA(イソプロピルアルコール)などの液体に予め浸漬することで親水化できる。IPAを用いて親水化した場合、水を用いて逆洗すると親水性は維持される。空気を用いて逆洗すると、IPAがフィルターの孔から追い出されて乾燥し、元の撥水性に戻るので、注意を要する。
【0064】
また、フッ素樹脂の孔の表面に親水性ポリマーを複合化し、親水化することもできる。親水性の方法としては、疎水性であるPTFE多孔質膜をまずIPAに含浸し、ついで例えば0.5wt%のポリビニルアルコール水溶液に含浸した後、1%塩酸に架橋剤としてグルタルアルデヒド0.5wt%を混合した溶液に浸し、化学架橋させる。その後、水でゆすぎ不要な残留物を除去することによりPTFE膜にPVA架橋ポリマーを安定的に固定することができる。この処理によれば、親水性ポリマーであるPVAがPTFE膜の多孔構造を実質的に変化させることなく、その表面に強固に固着一体化される。その結果、水系溶液の速やかな透過性を示し、また空気逆洗による膜の乾燥後も、膜が排水に容易に濡れるため速やかな濾過を継続させることができる。
【0065】
なお、本(B)発明の効果を確認するために、図1において磁界印加装置4を停止して、フッ酸を5重量%含有する廃液を前の例と同様の条件で処理した。濾過装置9において、フィルターで濾過された上澄み廃液のフッ素濃度は、排出できる程度であった。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明の装置と方法は、シリコンウエハーのエッチングに用いられるエッチング液の廃水処理だけでなく、鉄鋼のスケール除去などに使用されたフッ酸含有廃液の処理もできる。また、フッ酸と硝酸基を含む廃液の場合、まず廃液をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程まで進めフッ酸の濃度を低減し、更に、バクテリアなどの微生物処理により硝酸基を処理できる。バクテリアなどの微生物はフッ酸により死滅するので、先にフッ酸を除き、次に生物処理する。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のフッ素イオン含有廃液の処理装置の模式概念図である。
【図2】本発明で用いるカートリッジフィルターの斜視図である。
【符号の説明】
【0068】
1 原水槽 2 塩化カルシウム槽
3 ラインミキサー 4 磁界印加装置
5 苛性ソーダ槽 6 冷却装置
7 沈殿装置 8 電解装置
9 濾過装置 10 脱水装置
11A、B、C、D、E、F、G、H 搬送流路
21 フィルター 22A 陽極
22B 陰極 23 電源
24 ペーパーフィルター
31 スラッジ 32 固形廃棄物
41 底板 42 天板
43 排出口
M 攪拌器 P 搬送ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程と、
この混合液に磁界を印加して、塩化カルシウムとフッ素イオンを反応させフッ化カルシウムの生成を促進する工程と、
磁界が印加された混合液に苛性ソーダを混合して、その混合液のPHを調整する工程と、
PH調整された液をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程とを有することを特徴とするフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項2】
さらに前記上澄み廃液を電解処理し、上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とすることで上澄み廃液中のフッ素イオン濃度を低減する工程を有することを特徴とする請求項1に記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項3】
さらに電解処理済の上澄み廃液を濾過して、上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターにより廃液から分離する工程を有することを特徴とする請求項2に記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項4】
フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程と、
前記混合液に苛性ソーダを混合して、その混合液のPHを調整する工程と、
PH調整された液をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程と、
上澄み廃液を電解処理し、上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とすることで上澄み廃液中のフッ素イオン濃度を低減する工程と、
電解処理済の上澄み廃液を濾過して、上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターにより分離する工程を有することを特徴とするフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項5】
前記フッ素イオンを含む廃液に塩化カルシウム溶液を混合する工程とPH調整する工程の間に、混合液に磁界を印加して塩化カルシウムとフッ素イオンを反応させフッ化カルシウムの生成を促進する工程を有することを特徴とする請求項4記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項6】
PH調整された液の冷却工程をフッ化カルシウムと上澄み廃液に分離する工程の前に有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項7】
分離されたフッ化カルシウムを脱水し、分離された水分をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項8】
電解処理された上澄み廃液中の沈殿した固形物を脱水し、分離された水分をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することを特徴とする請求項2〜7のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項9】
フィルターにより分離された固形物を脱水し、分離された水分をフッ化カルシウムと上澄み廃液とに分離する工程へ還流することを特徴とする請求項3〜8のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理方法。
【請求項10】
フッ素イオンを含む廃液が貯留される原水槽と、
原水槽から搬送される廃液に塩化カルシウムを供給する塩化カルシウム供給手段と、
塩化カルシウムを供給した後の廃液に磁界を印加する磁界印加装置と、
磁界印加後の廃液に苛性ソーダ溶液を供給し、その廃液のPHを調整する苛性ソーダ供給手段と、
前記塩化カルシウムとフッ素イオンの反応により生成されたフッ化カルシウムを沈殿さて上澄み廃液と分離する沈殿装置とを備えることを特徴とするフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項11】
さらに前記上澄み廃液を電解処理して、その上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とする電解装置を備えることを特徴とする請求項10に記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項12】
さらに電解処理後の上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターで濾過する濾過装置とを備えることを特徴とする請求項11に記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項13】
フッ素イオンを含む廃液が貯留される原水槽と、
原水槽から搬送される廃液に塩化カルシウムを供給する塩化カルシウム供給手段と、
塩化カルシウム供給後の廃液に苛性ソーダ溶液を供給し、その廃液のPHを調整する苛性ソーダ供給手段と、
前記塩化カルシウムとフッ素イオンの反応により生成したフッ化カルシウムを沈殿させる沈殿装置と、
前記上澄み廃液を電解処理して、その上澄み廃液中のフッ素イオンを固形物とする電解装置と、
前記電解処理後の上澄み廃液中の固形物をフッ素樹脂製のフィルターで濾過する濾過装置とを備えることを特徴とするフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項14】
塩化カルシウム供給手段と苛性ソーダ供給手段の間に、廃液に磁界を印加する磁界印加装置を備えることを特徴とする請求項13に記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項15】
磁界印加装置と沈殿装置の間に、廃液と塩化カルシウムと苛性ソーダとを冷却する冷却装置を有することを特徴とする請求項10〜14のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項16】
沈殿装置に沈殿したフッ化カルシウムを脱水する脱水装置を有することを特徴とする請求項10〜15のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項17】
電解装置の電解処理により生成した固形物を脱水する脱水装置を有することを特徴とする請求項11〜16のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項18】
フィルターにより分離された固形物を脱水する脱水装置を有することを特徴とする請求項12〜17のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項19】
前記電解装置は、Al板からなる正負極を有することを特徴とする請求項11〜18のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項20】
前記フィルターは、孔径0.05〜10μmの孔を有し、親水処理されていることを特徴とする請求項12〜19のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項21】
前記フィルターは、複数のチューブから構成されていることを特徴とする請求項12〜20のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項22】
前記フィルターは、1枚以上のシートから構成されていることを特徴とする請求項12〜20のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。
【請求項23】
前記フィルターを逆洗するための逆洗装置を有することを特徴とする請求項12〜22のいずれかに記載のフッ素イオン含有廃液の処理装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−159042(P2006−159042A)
【公開日】平成18年6月22日(2006.6.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−352015(P2004−352015)
【出願日】平成16年12月3日(2004.12.3)
【出願人】(504378939)西日本フィルター有限会社 (3)
【出願人】(599109906)住友電工ファインポリマー株式会社 (203)
【出願人】(502383421)五興商事株式会社 (2)
【Fターム(参考)】