説明

フッ素化アルケン冷媒組成物

圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステムに用いられる液体組成物であって、該組成物において、3乃至4個の炭素原子と少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケンが、潤滑付与有効量の炭素、水素及び酸素を含んでなる本質的に混和性の有機潤滑剤であって、5重量%までの潤滑剤を前記フルオロアルケンへ添加したとき、該冷媒が-40乃至+70℃間の少なくとも1温度で1液相を有するような前記フルオロアルケンとの混和度を付与するに有効な炭素に対する酸素比を有する有機潤滑剤と組合されている。該フルオロアルケン類を単独でまたは開示されている潤滑剤類との組合せで以って冷凍及び加熱を生成する方法も開示される。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
関連出願
本出願は、各々が2002年10月25日に出願され、そして本明細書に組入れられ米国仮出願第60/421,263号及び第 60/421,435号の優先権の利益に関し、そしてそれを請求するものである。本出願はまた以下の同時に出願された米国特許出願:弁護士事件番号第H0004412(26,269)号、Singh等による、名称“フッ素置換オレフィンを含む組成物”及び弁護士事件番号第H0003789 (26,267)、Tungらによる、名称“フルオロプロペンの製造方法”に関し、そしてその各々が参照として組入れられる。
【0002】
発明の分野
本発明は圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステムにおいて冷凍流体として用いられる組成物に関する。
【0003】
本発明の背景
塩素含有冷媒、例えばクロロフルオロカーボン類(CFC)、ヒドロクロロフルオロカーボン類(HCF)等を空調及び冷凍システムにおいて冷媒として用いることは、このような化合物に関連するオゾン破壊物性のために賛成されなくなってきた。その結果、塩素含有冷媒をオゾン層を破壊しない非塩素含有冷媒化合物類、たとえばヒドロフルオロカーボン類(HFC)で代えることにより塩素含有冷凍システムを改造することが望ましいものとなってきた。
【0004】
任意の代替材料が冷凍組成物に関連して有用であるためには、その代替材料が圧縮機に利用される潤滑剤と相溶できるものでなければならない。不幸にも、ヒドロフルオロカーボン類を含む多くの非塩素含有冷凍流体類は、例えば鉱油類、アルキルベンゼン類及びポリ(アルファオレフィン)類を含むクロロフルオロカーボン類およびヒドロフルオロカーボン類とともに伝統的に用いられる潤滑剤類の種類に相対的に不溶性であり及び/または混和しない。冷凍流体-潤滑剤の組合せが圧縮冷凍、空調またはヒートポンプシステム内で効率よく作動するためには、該潤滑剤が広い範囲の操作温度にわたって該冷凍液体へ充分に溶解しなければならない。このような溶解性は該潤滑剤の粘度を下げ、そしてそれが該システム中により容易に流れることを可能とする。このような溶解性が存在しないと、該圧縮冷凍、空調またはヒートポンプシステムの蒸発器のコイル及び該システムの他の部品類に潤滑剤類が引っ掛かる傾向があり、その結果、システム効率を下げる。
【0005】
ポリアルキレングリコール、エステル化ポリアルキレングリコール及びポリオールエステル潤滑油類はヒドロフルオロカーボン冷凍液体類用の混和できる潤滑剤類として開発されてきた。ポリアルキレングリコール冷凍潤滑剤類は米国特許第4,755,316号、第4,971,712号及び第4,975,212号により開示されている。ポリアルキレングリコールエステル類は米国特許第5,008,028号により開示されている。該ポリアルキレングリコール及びポリアルキレングリコールエステル潤滑油類は1個または2個の炭素原子を有し、2重結合を有しないフルオロアルカン類に混和できるものとして開示されている。
【0006】
結果として、フルオロカーボン系流体類は空調システム及びヒートポンプ用途も含み、その全てが圧縮冷凍にかかわる冷凍システム用途の産業において広くゆきわたっている用途がある。圧縮冷凍は一般に該冷媒をその液体からより低い圧力で熱吸収して蒸気相へ、そして次に高められた圧力で熱除去により該蒸気相から該液体相へ変えることに関連する。
【0007】
冷凍の主要目的は低温で熱を除去することであるが、ヒートポンプの主要目的はより高温でエネルギーを加えることである。ヒートポンプは、加熱のために凝縮器の操作が冷凍蒸発器の操作と交換されるために逆サイクルと考えられる。
【0008】
技術は冷凍およびヒートポンプ用途の代替物類を提供する新しいフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボン系の純粋な流体を絶えず捜し求めている。出願人等は、フルオロオレフィン系材料類(フルオロアルケン類)が、オゾン層に安全であるにも拘わらず地球温暖化を起こすと疑われている現在用いられているヒドロフルオロアルカン類(HFC)を環境的により安全な代替物にする特性を有するために、特に興味のあるものであることを認識するようになった。
【0009】
出願人は、多くの場合フルオロアルカン類の冷凍組成物代替物は、好ましくは受け入れられる代替物と考えられる、受け入れられるある種の性能特性、例えば受け入れられる冷凍特性、化学的安定性、低毒性、非引火性、潤滑剤相溶性及び使用効率等を所有することを認識するようになった。この後者の使用効率の特性は、多くの冷凍システム、空調システム及びヒートポンプ用途、特に冷凍熱力学的性能またはエネルギー効率の損失が電気エネルギーの増加した需要から起こる増加した化石燃料の使用を通して第2の環境衝撃を有すかもしれない場合に重要である。更に、ヒドロフルオロアルカン冷凍組成物代替物が、ヒドロフルオロカーボン冷凍液で以って現在使用されている従来の蒸気圧縮技術及び潤滑剤システムへ主な工学的変更を要求しないことが有利となるであろう。
【0010】
引火性は多くの応用に対してもう一つの重要な物性である。すなわち、非引火性の組成物を使用することは特に熱伝達の用途を含む多くの用途において重要或いは必須であると考えられる。従って、非引火性の化合物をそのような組成物に使用することはしばしば有益である。本明細書において使用される用語“非引火性”は本明細書に参照として組み入れられる2002年のASTM基準E-681により非引火性と決定される化合物または組成物を言う。冷凍組成物の使用に望ましいかもしれない多くのヒドロフルオロカーボン類は不幸にも非引火性ではない。例えば、そのフルオロアルカンであるジフルオロエタン(HFC-152a) 及びそのフロオロルケンである1,1,1-トリフルオロプロペン(HFO-1243zf)は各々引火性であり、そのため多くの用途での使用は成功しそうではない。
【0011】
高級フルオロアルケン類、すなわち少なくとも5個の炭素原子を有するフッ素置換アルケン類の冷媒としての使用が提案されている。Smutnyの米国特許第 4,788,352号は、少なくともある程度の不飽和を有するフッ素化した炭素数5乃至8の化合物類の製造に向けられている。このSmutny特許は、冷媒、殺生物剤(pesticide)、誘電流体、熱媒液、溶媒、及び種々の化学反応における中間体として有用であることが知られている高級オレフィン類を特定している。
【0012】
該Smutny特許に記載されているフッ素化オレフィン類は熱伝達用途にある程度の有効性を有するかもしれないがこのような化合物はまたある種の不利益を有すると考えられる。例えば、これらの化合物のいくつかは基材を、特にアクリル樹脂及びABS樹脂等の汎用性プラスチックを攻撃する傾向がある。更に、Smutny特許に記載されている該高級オレフィン化合物類は、Smutny特許で注目されている殺生物剤活性の結果として起こるこのような化合物の潜在的なレベルの毒性のために、いくつかの用途においても望ましいものではない。また、このような化合物はいくつかの用途において冷媒として有用であるためには高すぎる沸点を有するかもしれない。
【0013】
このように、出願人は、1以上の上記の不利益を回避しながら蒸気圧縮加熱及び冷却システム及び方法を含む多くの用途で潜在的に有用な組成物、特に液体伝達組成物の必要性を認識するようになった。更に、出願人は、ヒドロフルオロカーボン類よりも環境的により安全で、少なくともある種の冷媒熱力学的性能物性に関して同等或いはそれ以上の特性を有し、そして現存潤滑剤システムと両立するフルオロカーボン及びヒドロフルオロカーボン系の冷凍液の必要性を認識した。
【0014】
発明の概要
出願人等は、上記の必要性及び他の必要性が1以上の炭素数3または4のフルオロアルケン、好ましくは以下の式I:
XCFzR3-z (I)
(式中、Xは炭素数2または3の不飽和置換または未置換アルキル基であり;Rは独立してCl、Br、IまたはHであり;そしてzは1乃至3である)を有する化合物を含有する組成物により満たされることを見出した。この組成物はまた好ましくは1以上の潤滑剤を本発明の1以上の化合物と組合せることを含む。
【0015】
本発明はまた本発明の熱伝達組成物を利用する方法及びシステムを提供する。
【0016】
好ましい態様の詳細な説明
本組成物
本発明は3個または4個の炭素原子および少なくとも1個の炭素-炭素2重結合を含む少なくとも1個のフルオロアルケンを含有する組成物に向けられている。本発明のフルオロアルケン化合物は便宜上本明細書においてヒドロフルオロオレフィン類又は“HFO”と言及されることもある。本発明のヒドロフルオロオレフィン類は2個の炭素-炭素2重結合を含むことができると思われるが、現在このような化合物は好ましいものであるとは考えられない。
【0017】
上述のごとく、本組成物は式Iの1以上の化合物を含有する。好ましい態様において、該組成物は以下の式II:
【0018】
【化1】

【0019】
(式中、各Rは独立してCl、F、Br、Iまたは Hであり;R’は(CR2)nYであり; YはCRF2であり;そして n は0 または1である)の化合物を含む。高度に好ましい態様において、YはCF3であり、nは0であり、そして残りのRの少なくとも1個はFである。
【0020】
出願人は、一般に、上記式I及び式IIと同定される化合物は一般の熱伝達用途において、特に圧縮冷媒組成物に有効であり、そして有用性を発揮すると考える。しかし、上記式の構造を有する化合物のあるものは他のこのような化合物と比較して高度に望ましい低レベルの毒性をあらわすことが驚くべきことにそして予期せずして見出された。容易に理解されるように、この発見は冷媒組成物のみならず、上記式を満たす相対的に毒性の化合物を含むであろう任意の、そして全ての組成物の配合にたいして潜在的に大きな利点と利益を有するものである。より詳しくは、相対的に低毒性レベルは式IIの化合物、好ましくは、式IIにおいてYがCF3であり、該不飽和炭素上の少なくとも1個のRがHであり、そして残りのRの少なくとも1個はFである化合物と関連していると考えられる。また、このような化合物の全ての構造的、幾何学的および立体異性体が有効であり、有利に低毒性であると思われる。
【0021】
高度に好ましい態様において、特に前記低毒性の化合物を含有する態様において、nが0である。従って、いくつかの好ましい態様において、本発明の組成物はトリフルオロプロペン(HFC-1243)、テトラフルオロプロペン類 (HFO-1234)、ペンタフルオロプロペン類(HFO-1225)及びこれらの組合せからなる群より選択される1以上の化合物を含有する。このトランス-1234異性体はほぼ-19℃の沸点を有し、そしてそのシス異性体はほぼ+9℃の沸点を有する。このトランス異性体は冷媒として、またエアゾール噴射剤として特に有用である。
【0022】
本発明の化合物が、不飽和末端炭素が1以下のフッ素置換基を有するテトラフルオロプロペン及びペンタフルオロプロペン化合物、特に1,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234ze)、2,3,3,3-テトラフルオロプロペン(HFO-1234yf)、1,2,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225ye)及びこれらの各々の任意の及び全ての立体異性体であることが更に一層好ましい。このような化合物はマウスやラットの吸入暴露により測定される非常に低い急性毒性を有することが見出された。一方、相対的に高度の毒性は、本発明組成物での使用に採用可能なある種の化合物、すなわち末端不飽和炭素上に1より多いFを有する、或いは末端不飽和炭素上に少なくとも1個の水素を有しない化合物に関連していることが見出されている。例えば、1,1,3,3,3-ペンタフルオロプロペン(HFO-1225zc)はマウスやラットの吸入暴露により測定された許容されない高度の毒性を示すことが見出された。
【0023】
本発明のこれらの好ましい化合物類、すなわち、HFO-1225及びHFO-1234は公知の物質であり、ケミカル アブストラクトのデータベースに列挙されている。HFO-1225は、例えばSyntex Chemical Co.から商業的に入手可能である。更に、フルオロアルケン類の製造方法は一般に特許文献に記載されている。種々の飽和及び不飽和ハロゲン含有炭素数3の化合物の接触気相フッ素化によるCF3CH=CH2等のフルオロプロペン類の製造法は、その各々が本明細書に参照として組入れられる米国特許第2,889,379号、第4,798,818号及び 第4,465,786号に記載されている。参照として本明細書にも組入れられる米国特許第5,532,419号はクロロまたはブロモハロフルオロカーボン及びHを用いるフルオロアルケンを製造する気相接触法を開示している。そして参照として本明細書にも組入れられる欧州特許第974,571号は1,1,1,3,3-ペンタフルオロプロパン(HFC-245fa)を気相でクロム系触媒と高められた温度で接触させることにより、或いは液相で水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウムまたは 水酸化マグネシウムのアルコール性溶液と接触させることにより1,1,1,3-テトラフルオロプロペンの製造を開示している。更に、本発明の化合物の製造方法が、参照として本明細書にも組入れられる弁護士事件番号第H0003789号(26,267USA)を付す同時に出願された米国特許出願、名称“フルオロプロペンの製造方法”に関連して一般的に記載されている。
【0024】
本組成物は多くの重要な理由で有利な物性を有すると思われる。例えば、出願人等は、少なくとも部分的に数学的模式製作に基づき、本発明のフルオロオレフィン類はいくつかの他のハロゲン化種と比較してオゾン破壊の無視できる寄与物質であるために環境化学への実質的に否定的な影響を有しないと考える。従って、本発明の好ましい組成物はオゾン破壊へ実質的に寄与しない利点を有する。この好ましい組成物はまた現在使用されているヒドロフルオロアルカン類の多くと比較して地球温暖化へ実質的に寄与しない。
【0025】
本発明の組成物は本発明の化合物を広範囲の量で含んでもよいと考えられるが本発明の冷媒組成物は、式Iの、そしてより好ましくは式IIの化合物(類)を該組成物の少なくとも50重量%、そしてより好ましくは少なくとも70重量%の量で含有することが一般的に好ましい。発泡剤用としての本発明のより好ましい組成物では、式Iの、そしてより好ましくは式IIの化合物(類)が該組成物の少なくとも約5重量%、そしてより好ましくは少なくとも約15重量%の量で存在する。
【0026】
本発明の組成物は該組成物のある種の官能性を増強または付与する目的で、或いは該組成物のコストを下げる場合、他の成分を含むことができる。例えば、本発明の冷媒組成物、特に蒸気圧縮システムに用いられる冷媒組成物は、潤滑剤を一般的に該組成物の約30重量%乃至約50重量%の量で含む。更に本発明の組成物はまた該潤滑剤の相溶性及び/または溶解性を助ける目的でプロパン等の相溶化剤を含むことができる。プロパン、ブタン類及びペンタン類を含むこのような相溶化剤は好ましくは該組成物の約0.5乃至約5重量%の量で存在する。参照として本明細書にも組入れられる米国特許第6,516,837号に開示されているように、表面活性剤と可溶化剤の組合せを油溶解性を助けるために本組成物へ添加することもできる。ハイドロフルオロカーボン(HFC)冷媒と共に冷凍機械で用いられるポリオールエステル類、ポリアルキレングリコール類及びエステル化ポリアルキレングリコール類等の通常用いられる冷凍潤滑剤を本発明の該冷凍組成物と共に用いることができる。
【0027】
方法及びシスステム
本発明の組成物は、冷凍、空調及びヒートポンプシステムにおいて冷媒等の熱媒液として用いられる熱伝達用の方法及びシステムを含む多くの方法及びシステムと関連して有用である。
【0028】
好ましい熱伝達方法は一般的に本発明の組成物を準備し、該組成物の相を変化させることにより該組成物へ、或いは該組成物から熱を伝達させることを含有する。例えば、本方法は、流体または物品から熱を吸収することにより、好ましくは本発明の組成物を含有する冷媒を凝縮させ、その後で冷却される物体または流体の近傍で該冷媒を蒸発させることにより冷却を提供する。このような方法の多くにおいて、該冷媒蒸気を通常回転式空気圧縮機を用いて圧縮させる工程も冷凍サイクルの一部として含まれる。このような工程は次に該圧縮工程により本発明の冷媒組成物に加えられた少なくとも一部の熱を取り除く中間冷却工程が続く場合がある。次いでこの中間冷却工程には好ましくはこの冷却された高圧冷媒の蒸気の公称エンタルピー減圧が続き、少なくとも該蒸気の一部を凝縮させて比較的冷たい液相とする。この態様において、次いで冷却される該物体または流体から伝達された熱により蒸発させるのがこの低減された温度の冷媒液である。
【0029】
本発明の別の方法の態様において、本発明の組成物を、その組成物を包含する冷媒を加熱される液体または物体の近傍で凝縮させ、その後で該冷媒を蒸発させることを含有する加熱を生成する方法において用いることができる。このような方法は、これまで述べたようにしばしば上記の冷凍サイクルの逆サイクルである。
【0030】
本発明の1側面によれば、2乃至5個の炭素原子と少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケンを凝縮させた後に、該フルオロアルケンを加熱される物体の近傍で蒸発させることにより冷凍を生成する方法が提供される。3個の炭素原子と1個の2重結合を有するフルオロアルケン類が好ましい。
【0031】
ヒートポンプシステムは冷凍システムの逆に過ぎないため、本発明の別の側面によれば、2乃至5個の炭素原子と少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケンを加熱する物体の近傍で凝縮させ、そしてそれにより該フルオロアルケンを蒸発させることにより加熱を生成する方法が提供される。また、3個の炭素原子と1個の2重結合を有するフルオロアルケン類が好ましい。
【0032】
本発明のフルオロアルケン類は存在するポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオールエステル潤滑油類と混和できることも見出された。従って、本発明の別の側面によれば、圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステムに用いられる液体組成物であって、2乃至5個の炭素原子と少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケンが、潤滑付与に充分な量の、圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステム用のポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオールエステル潤滑剤類から選択される本質的に混和性の有機潤滑剤と組合わされる液体組成物が提供される。いくつかの好ましい態様において、本発明の潤滑剤類は、炭素、水素及び酸素を含んでなる有機化合物類であって、約1乃至5重量%の潤滑剤が該冷凍液に添加された場合、その混合物が1液相を有するような該フルオロアルケンとの混和度を与えるのに充分な酸素の炭素に対する割合を有する有機化合物類である。好ましくは、該混合物は、1乃至20重量%の該潤滑剤が該混合物中に存在するとき、1液相を有する。最も好ましくは、該混合物は混合物の成分類全ての比率において1液相である。この溶解性または混和性は好ましくは約-40℃乃至70℃の範囲の少なくとも1つの温度で、そしてより好ましくは、本質的に全温度範囲にわたり存在する。
【0033】
本明細書において用いられる用語“冷凍システム”は冷却を提供する冷凍液または冷媒を採用する任意のシステムまたは装置、そのようなシステムまたは装置の任意の部分または一部を言う。このような冷凍システムは、例えば空調機、電気冷蔵庫、冷却機、輸送冷蔵システム、商業的冷凍システム等を含む。
【0034】
本発明は、オゾン層に安全であるにも拘らず地球の温暖化への寄与の疑いをかけられているヒドロフルオロカーボン類の代わりにヒドロフルオロオレフィン類を用いる。少なくとも本発明による好ましいヒドロフルオロオレフィン類のあるものは最小の装置変更でのみでヒドロフルオロカーボン類の代替が可能な物理的特性を有する。
【0035】
本発明に関して使用に適した該ポリアルキレングリコール潤滑剤類は典型的には1乃至5個の炭素原子を含む約5乃至50個のオキシアルキレン繰り返し単位を含む。このポリアルキレングリコ−ルは直鎖であっても或いは分岐鎖であってもよく、そして2個、3個以上のオキシエチレン、オキシプロオピレン、オキシブチレンまたはオキシペンチレン基の単独重合体或いはそれらの任意の比率の組合せの共重合体であっても良い。好ましいポリアルキレングリコール類は少なくとも50%のオキシプロピレン基を含む。本発明による組成物は1種以上のポリアルキレングリコールを潤滑剤として、1種以上のポリアルキレングリコールエステルを潤滑剤として、1種以上のポリオールエステルを潤滑剤として、或いは1種以上のポリアルキレングリコール、1種以上のポリアルキレングリコールエステル及び1種以上のポリオールエステルの混合物を含んでもよい。ビニルエーテル類も本発明において有用である。
【0036】
適当なポリアルキレングリコール類は、米国特許第4,971,712号のポリアルキレングリコール類及び米国特許第4,755,316号により開示された各末端に水酸基を有するポリアルキレングリコール類を含む。両特許の開示を本明細書に参照として組入れる。
【0037】
適当なポリアルキレングリコール類は各末端が水酸基で完結するグリコール類を含んでいるが、他の適当なヒドロフルオロオレフィン潤滑剤類は一方のまたは両末端の水酸基がキャップされたポリアルキレングリコール類を含む。該水酸基は、1乃至10個の炭素原子のアルキル基、窒素等のヘテロ原子を含む1乃至10個の炭素原子を有するアルキル基、米国特許第4,975,212号に記載されているフルオロアルキル基でその開示は本明細書に参照として組入れられるもの等でキャップされていてもよい。両ポリアルキレングリコール水酸基が末端キャップされているとき、同一種類または二つの異なる種類の末端キャッピング基を用いることができる。
【0038】
一方または両水酸基は、その開示が本明細書に参照として組み入れられる米国特許第5,008,028号で開示されているようにカルボン酸でそのエステルを形成することによりキャップすることもできる。この特許の潤滑油類はポリオールエステル類及びポリアルキレングリコールエステル類として言及される。該カルボン酸もフッ素化することもできる。該アルキレングリコール類の両末端をキャッピングするとき、一方または両末端をエステルでキャッピングしてもよく、或いは一端をエステルでキャッピングして他の一端をキャッピングしなくてもよく、或いは前記アルキル、ヘテロアルキルまたはフルオロアルキル基類の一つでキャッピングしてもよい。
【0039】
商業的に入手可能なポリアルキレングリコール類には、ゼェネラル モーターズのHFC-134aシステム用のGoodwrench Refrigeration Oil及びダイムラー-クライスラーのアセチル基でビスキャップされたポリアルキレングリコールエステルであるMOPAR-56が含まれる。商業的に入手可能なポリアルキレングリコールエステル類には、エクソン-モービルから入手できるMobil EAL 22 cc及びシーピーアイ エンジニヤリング サービシース インクから入手できるSolest 120が含まれる。幅広い種類のポリアルキレングリコール潤滑剤類がダウ ケミカルからも入手可能である。
【0040】
好ましい態様において、本発明の潤滑剤類は、約37℃で約1乃至1,000センチストークスの、より好ましくは約37℃で約10乃至約200センチストークスの範囲の、そして更により好ましくは約30乃至約150センチストークスの粘度を有する。
【0041】
該ヒドロフルオロオレフィン冷媒及び潤滑剤に加えて、本発明による組成物は、その性能を高めるために冷凍、空調及びヒートポンプ組成物で用いられる種類の他の添加剤類または材料類を含むことができる。例えば、該組成物類は、極圧及び抗磨耗添加剤、酸化及び熱安定改良剤、流動及びフロック点降下剤、消泡剤、ヒドロフルオロオレフィン類に溶解する他の潤滑剤等を含むこともできる。このような添加剤類の例は、その開示が本明細書に参照として組み入れられる米国特許第5,254,280号で開示されている。本発明の組成物は、該ヒドロフルオロオレフィンと混和または溶解しないであろうところのものが、ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステルまたはポリオールエステルと組合せて該ヒドロフルオロオレフィンへ添加されるならば、少なくとも部分的に混和できるか或いは部分的に溶解する量の鉱油潤滑剤を更に含むことができる。典型的には、これは約5乃至20重量%までの量である。界面活性剤もまた、その開示が本明細書に参照として組み入れられる米国特許第6,516,837号で開示されているように該鉱油を該ポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステルまたはポリオールエステル及び該フルオロオレフィンと相溶化させるために添加することができる。
【0042】
本発明の冷凍組成物を圧縮冷凍、空調またはヒートポンプシステムへ導入する任意の幅広い方法が本発明から使用できる。例えば、1方法は冷媒容器を冷凍システムの低圧力側へ装着し、冷凍システム凝縮器を作動させて該冷凍組成物を該システムへ引き込むことを含む。このような態様において、該システムへ入る冷凍組成物の量が監視できる秤の上に冷媒容器を乗せてもよい。望ましい量の冷凍組成物を該システムヘ導入し終えると、装入は止められる。代わりに、当業者の知る広範囲の装入工具は商業的に入手可能である。従って、上記の開示から見て、当業者であれば本発明の該ヒドロフルオロオレフィン冷媒及び冷凍組成物を圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステムへ過大な実験をしないで導入することが容易にできるであろう。
【0043】
実施例
以下の実施例は本発明を例示する目的で提供され、その範囲を限定するものではない。
【0044】
実施例1
性能係数(COP)は、冷媒の蒸発または凝縮を含む特定の加熱または冷却サイクルにおける冷媒の相対熱力学効率を表すことにおいて特に有用である、普遍的に受け入れられている冷媒性能の尺度である。冷凍工学において、この用語は蒸気の凝縮において凝縮器により加えられるエネルギーに対する有用な冷凍の率を表す。冷媒能力は冷媒の体積効率を表し、冷媒の与えられた体積流量に対する熱量を圧送する凝縮器の能力のある種の尺度を提供する。言い換えれば、特定の凝縮器として、より高度の能力を有する冷媒はより多くの冷却または加熱力を送り出る。特定の操作条件での冷媒の性能効率を見積る1手段は標準冷凍サイクル分析技法(例えば、R.C. Downing、FLUOROCARBON REFRIGERANTS HANDBOOK、第3章、Prentice-Hall、1988を参照)を用いる該冷媒の熱力学的物性からである。
【0045】
凝縮器の温度が約150°Fであり、そして圧縮器の入口温度が約50°Fを有する公称等エントロピー圧縮下で蒸発器の温度が約-35°Fである冷凍/空調サイクルシステムを用意した。性能係数を、1.00の性能係数値、1.00の能力値及び 175°Fの吐出温度を有するHFC-134aに基づき、本発明の数個の組成物について凝縮器及び蒸発器の温度の範囲にわたり測定し、以下の表1に報告した。
【0046】
【表1】

【0047】
この実施例の示すところによれば、本組成物に関して使用が好ましい化合物のあるものは、夫々HFC-134aよりも良好なエネルギー効率(1.00に比較して1.02、1.04及び1.13)を有し、そして本冷媒組成物を使用する圧縮器は吐出温度(175に比較して158、165及び155)を作り出すことになり、その結果が保守問題を減少させることにつなりそうであるので有利である。
【0048】
実施例2
HFO-1225ye及びHFO-1234zeの種々の冷凍潤滑剤との混和性を試験した。試験した潤滑剤は、鉱油(C3)、アルキルベンゼン(Zerol 150)、エステル油(Mobil EAL 22 cc及び Solest 120)、ポリアルキレングリコール(PAG)油(134aシステム用Goodwrench Refrigeration Oil)及びポリ(アルファオレフィン)油(CP-6005-100)である。各冷媒-潤滑油の組合せに対して、3種の組成物、すなわち5、20及び 50重量%の潤滑剤と残りの各々が試験した本発明の化合物である組成物を試験した。
【0049】
該潤滑剤組成物をそれぞれ厚肉ガラス管へ加える。該管を排気し、本発明による冷媒化合物を加え、そして該管を封止する。次いで、該管を空気浴環境室に入れ、その温度を約-50℃から70℃へ変える。おおよそ10℃の間隔で管内容物を1以上の液相が存在するかを目視観測する。1を超える液相が観測される場合、該混合物は非混和性であると報告される。唯1つの液相が観測される場合、該混合物は混和性であると報告される。2液相が観測されるがその液相の1つが非常に小容量のみを占める場合、該混合物は部分的に混和性であると報告される。
【0050】
該ポリアルキレングリコール及びエステル油潤滑剤は全ての試験した割合において全温度範囲にわたり混和できると判断される。但し、該HFO-1225yeのポリアルキレングリコールとの混合物に対しては、該冷媒混合物が-50℃乃至-30℃温度範囲にわたり非混和性であり、そして-20乃至50℃にわたり部分的に混和できることが分かった。冷媒中50重量%の濃度の該PAGで且つ60℃で該冷媒/PAG混合物は混和性であった。70℃において、これは冷媒中5重量%の潤滑剤から冷媒中50重量%の潤滑剤で混和できた。
【0051】
実施例3
本発明の冷媒化合物及び組成物のポリアルキレングリコール潤滑油類に対する相溶性を冷凍及び空調システムで用いられる金属と接触させながら多くの冷凍及び空調用途で見られるよりもはるかに厳しい条件を呈する350℃で試験した。
【0052】
アルミニウム、銅及び鋼の板状試験片をそれぞれ厚肉ガラス管へ加える。2gの油を該管へ加える。次いで該管を排気し、そして1gの冷媒を加える。これらの管を1週間、350°Fでオーブンへ入れ、そして目視観測を行った。この暴露期間の終わりに該管を取り除いた。
【0053】
本処理は油と本発明の化合物との以下の組合せに対して行った。
(a) HFC-1234ze及び GM Goodwrench PAG oil
(b) HFC-1243zf及びGM Goodwrench PAG oil
(c) HFC-1234ze及びMOPAR-56 PAG oil
(d) HFC-1243zf及びMOPAR-56 PAG oil
(e) HFC-1225ye及びMOPAR-56 PAG oil
全ての場合、管中の内容物の外見の変化は最小である。このことは、本発明の冷媒化合物類及び組成物類は、冷凍及び空調システムで見られるアルミニウム、鋼及び銅及びこれらの種類のシステムにおけるこのような組成物に含まれそうな、或いはこのような組成物とともに用いられそうな種類の潤滑油と接触して安定であることを示している。
【0054】
比較例
アルミニウム、銅及び鋼の板状試験片を鉱油及びCFC-12とともに厚肉ガラス管へ加え、そして実施例3におけると同様に350℃で1週間加熱した。この暴露期間の終わりに該管を取り除き、そして目視観測を行った。該液体内容物は黒くなっているのが観測され、これは管の内容物が激しく分解していることを示している。
【0055】
CFC-12及び鉱油はこれまで多くの冷媒システム及び方法における組合せの選択であった。このように、本発明の冷媒化合物類及び組成物類は多くの通常用いられている潤滑油類に関して広く用いられている先行技術の冷媒-潤滑油組合せよりも有意により良好な安定性を有するものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A) 3乃至4個の炭素原子及び少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケン及び(B) 潤滑付与有効量の炭素、水素及び 酸素を含んでなる有機潤滑剤であって、5重量%までの潤滑剤を前記フルオロアルケンへ添加したとき、その混合物が-40乃至+70℃間の少なくとも1温度で1液相を有するような前記フルオロアルケンとの混和度を付与するに有効な炭素に対する酸素比を有する本質的に混和できる有機潤滑剤を含有する、圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステムに用いられる液体組成物。
【請求項2】
該混合物が5重量%までの潤滑剤が前記フルオロアルケンへ添加されるとき1液相を有する、請求項1の組成物。
【請求項3】
該混合物が20重量%までの潤滑剤が前記フルオロアルケンへ添加されるとき1液相を有する、請求項2の組成物。
【請求項4】
該混合物がフルオロアルケンと潤滑剤の全ての比率において1液相を有する、請求項3の組成物。
【請求項5】
本質的に全ての温度範囲にわたり該混合物が1液相を有する、請求項1の組成物。
【請求項6】
前記潤滑剤が圧縮冷凍、空調及びヒートポンプシステム用のポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオールエステル潤滑剤類からなる群より選択される、請求項1の組成物。
【請求項7】
前記フルオロアルケンが構造:
XCFzR3-z
(式中、Xは炭素数2または3の不飽和置換または未置換アルキル基であり;Rは独立してCl、Br、I及びHからなる群より選択され;そしてzは1乃至3である)を有する、請求項1の組成物。
【請求項8】
前記フルオロアルケンが構造:
【化1】

(式中、Rは独立して Cl、F、 Br、Iまたは Hであり;R’は(CR2)nYであり; YはCRF2であり:そして n は0 または1である)を有する、請求項7の組成物。
【請求項9】
前記フルオロアルケンが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたは3,3,3-トリフルオロプロペンである、請求項8の組成物。
【請求項10】
前記有機潤滑剤がポリアルキレングリコールである、請求項1の組成物。
【請求項11】
前記ポリアルキレングリコールが少なくとも1個の末端水酸基を有する、請求項10の組成物。
【請求項12】
前記ポリアルキレングリコールの両末端基が水酸基である、請求項11の組成物。
【請求項13】
前記ポリアルキレングリコールが少なくとも1個のアルキル末端基を有する、請求項10の組成物。
【請求項14】
前記ポリアルキレングリコールの少なくとも1個の末端アルキル基が少なくとも1個ヘテロ原子を含む、請求項13の組成物。
【請求項15】
前記ポリアルキレングリコールが少なくとも1個のフルオロ
アルキル末端基を有する、請求項14の組成物。
【請求項16】
前記有機潤滑剤がポリアルキレングリコールエステルである、請求項1の組成物。
【請求項17】
更に、前記フルオロアルケン及び前記有機潤滑剤と本質的に混和できる量の炭化水素潤滑剤を含有する、請求項1の組成物。
【請求項18】
更に、前記炭化水素潤滑剤と前記有機潤滑剤を溶解させるための界面活性剤を本質的に混和できるブレンドの形成に有効な量で含有する、請求項17の組成物。
【請求項19】
3乃至4個の炭素原子および少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケンを含有する冷媒組成物を凝縮させた後に、冷却される物体の近傍で該冷媒組成物を蒸発させることを含有する冷凍を生成する方法。
【請求項20】
前記フルオロアルケンが構造:
XCFzR3-z
(式中、Xは炭素数2または3の不飽和置換または未置換アルキル基であり;Rは独立してCl、Br、I及びHからなる群より選択され;そしてzは1乃至3である)を有する、請求項19の方法。
【請求項21】
前記フルオロアルケンが構造:
【化2】

(式中、Rは独立して Cl、F、 Br、Iまたは Hであり;R’は(CR2)nYであり;YはCRF2であり;そして n は0 または1である)を有する、請求項20の方法。
【請求項22】
前記フルオロアルケンが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたは3,3,3-トリフルオロプロペンである、請求項21の方法。
【請求項23】
前記冷凍法が圧縮冷凍システムにおいて行われる、請求項19の方法。
【請求項24】
前記冷凍法が空調システムにおいて行われる、請求項19の方法。
【請求項25】
炭素、水素及び 酸素を含んでなる有機潤滑剤であって、5重量%までの潤滑剤を前記フルオロアルケンへ添加したとき、該冷媒が-40乃至+70℃間の少なくとも1温度で1液相を有するような前記フルオロアルケンとの混和度を付与するに有効な炭素に対する酸素比を有する有機潤滑剤が、潤滑付与有効量で前記冷媒へ添加される、請求項19の方法。
【請求項26】
該冷媒が20重量%までの潤滑剤が前記フルオロアルケンへ添加されるとき1液相を有する、請求項25の方法。
【請求項27】
該冷媒がフルオロアルケンと潤滑剤の全ての比率において1液相を有する、請求項26の方法。
【請求項28】
該冷媒が本質的に全ての温度範囲にわたり1液相を有する、請求項25の方法。
【請求項29】
前記潤滑剤が圧縮冷凍および空調システム用のポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオールエステル潤滑剤からなる群より選択される、請求項25の方法。
【請求項30】
更に、前記フルオロアルケン及び前記有機潤滑剤と本質的に混和できる量の炭化水素潤滑剤が前記冷媒へ添加される、請求項25の方法。
【請求項31】
更に、前記炭化水素潤滑剤と前記フルオロアルケン及び前記有機潤滑剤とを溶解させるための界面活性剤が本質的に混和できるブレンドの形成に有効な量で前記冷媒へ添加される、請求項30の方法。
【請求項32】
加熱される物体の近傍で3乃至4個の炭素原子と少なくとも1個のしかし2個を超えない2重結合を含むフルオロアルケン組成物を凝縮させた後に、前記フルオロアルケン組成物を蒸発させることを含有する加熱を生成する方法。
【請求項33】
前記フルオロアルケンが構造:
XCFzR3-z
(式中、Xは炭素数2または3の不飽和置換または未置換アルキル基であり;Rは独立してCl、Br、I及びHからなる群より選択され;そしてzは1乃至3である)を有する、請求項32の方法。
【請求項34】
前記フルオロアルケンが構造:
【化3】

(式中、Rは独立して Cl、F、 Br、Iまたは Hであり;R’は(CR2)nYであり; YはCRF2であり;そして n は0 または1である)を有する、請求項33の方法。
【請求項35】
前記フルオロアルケンが1,3,3,3-テトラフルオロプロペンまたは3,3,3-トリフルオロプロペンである、請求項34の方法。
【請求項36】
炭素、水素及び 酸素を含んでなる有機潤滑剤であって、5重量%までの潤滑剤を前記フルオロアルケン組成物へ添加したとき、前記組成物が-40乃至+70℃間の少なくとも1温度で1液相を有するような前記フルオロアルケン組成物との混和度を付与するに有効な炭素に対する酸素比を有する有機潤滑剤が、潤滑付与有効量で前記フルオロアルケン組成物へ添加される、請求項32の方法。
【請求項37】
該フルオロアルケン組成物が、20重量%までの潤滑剤がそれへ添加されるとき、1液相を有する、請求項36の方法。
【請求項38】
該フルオロアルケン組成物が、フルオロアルケン組成物と潤滑剤の全ての比率で1液相を有する、請求項37の方法。
【請求項39】
該フルオロアルケン組成物が本質的に全ての温度範囲にわたり1液相を有する、請求項36の方法。
【請求項40】
前記潤滑剤が圧縮冷凍及び空調システム用のポリアルキレングリコール、ポリアルキレングリコールエステル及びポリオールエステル潤滑剤からなる群より選択される、請求項36の方法。
【請求項41】
更に、前記フルオロアルケン及び前記有機潤滑剤と本質的に混和できる量の炭化水素潤滑剤が前記フルオロアルケン組成物へ添加される、請求項36の方法。
【請求項42】
更に、前記炭化水素潤滑剤を前記フルオロアルケン及び前記有機潤滑剤を溶解させるための界面活性剤が本質的に混和できるブレンドの形成に有効な量で前記フルオロアルケン組成物へ添加される、請求項41の方法。

【公表番号】特表2007−510039(P2007−510039A)
【公表日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−538130(P2006−538130)
【出願日】平成16年10月25日(2004.10.25)
【国際出願番号】PCT/US2004/035132
【国際公開番号】WO2005/042663
【国際公開日】平成17年5月12日(2005.5.12)
【出願人】(500575824)ハネウェル・インターナショナル・インコーポレーテッド (1,504)
【Fターム(参考)】