フライス中ぐりタイプの工作機械
【解決手段】フライス中ぐりタイプの工作機械(10)であって、同軸状に中ぐり棒(13)を収容すると共に静圧軸受(14)を用いて上記中ぐり棒(13)が結合されたスピンドル(12)のための支持体(11)と、主機械加工軸線(X)の周りに上記スピンドル(12)及び上記中ぐり棒(13)を一体的に回転させるための手段と、上記スピンドル(12)に対し、上記中ぐり棒(13)を上記主機械加工軸線(X)に沿って並進運動させるための手段とを備える。上記静圧軸受(14)に流体を供給する第1流路(18)が上記スピンドル(12)を通して設けられ、上記中ぐり棒(13)は、上記支持体(11)に実質的に固定された配給ユニット(20)から、上記スピンドル(12)と共に回転する上記第1流路(18)へと上記流体を供給する供給手段(19)を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライス中ぐりタイプの工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在知られているフライス中ぐりタイプの工作機械は、
同軸に配置された中ぐり棒を摺動可能に収容したスピンドルの支持体と、
上記スピンドル及び上記中ぐり棒を主作業軸線の周りに一体的に回転させる手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主作業軸線に沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0003】
このようなタイプの第1の形式の工作機械では、スピンドルがラジアル軸受を用いて支持体に結合されると共に、中ぐり棒が滑り軸受を介して摺動可能にスピンドルに収容されている。
【0004】
このようなタイプの工作機械では、スピンドルと中ぐり棒とを一体的に回転させるためのモータと、スピンドル内で中ぐり棒を摺動させるためのモータとが設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械加工の信頼性及び精度を確保するには、高い精度での中ぐり棒とスピンドルとの結合が求められ、このような結合は、中ぐり棒の自在な摺動のために技術的に必須となる結合時の遊びを最小限に減らすことで可能となる。
このため、滑り軸受を適合させる上で複雑且つ高コストの機械加工を行わなければならず、専門的な作業が必要となる。
【0006】
また、このタイプの工作機械においては、滑り軸受の経時的な摩耗や腐食に起因した上記結合の精度低下により、このような工作機械を用いて行うことができる作業の質を大きく損なうという欠点がある。
【0007】
このタイプの工作機械におけるもう1つの欠点は、中ぐり棒及びスピンドルからなる複合体の回転における動的バランスの実現性が、中ぐり棒とスピンドルとの相対的な摺動に必要な中ぐり棒と滑り軸受との間の遊びによって制限されるということである。
【0008】
このようなタイプの工作機械の更なる欠点は、作業中に生じる温度変化により、中ぐり棒と滑り軸受との間の遊びが、共通の主作業軸線に対して変動し、スピンドル内における中ぐり棒の安定した心出しやバランスの安定性を大きく損なうと共に、滑り軸受におけるスピンドルの摺動性が損なわれることである。
【0009】
これらの欠点の解消を目的とした近年の対策の1つは、一体構造の中ぐり棒・スピンドル部材を備えた構造の第2の形式の工作機械であり、この中ぐり棒・スピンドル部材は、支持体に収容されると共に、この支持体内において、静圧軸受上で回転運動と並進運動とを行うようになっている。
【0010】
このように、この中ぐり棒・スピンドル部材は、支持体内で回転及び摺動するようになっており、このとき中ぐり棒・スピンドル部材は、静圧軸受内において両部材の間に注入された流体の膜により支持体から離間した状態にある。
【0011】
このような解決策は、中ぐり棒・スピンドル部材と支持体との結合に極度の正確性を必要とするものではない点で価値が認められるものの、いくつかの欠点を有している。その1つは、軸受と中ぐり棒・スピンドル部材との間に介在し、その回転中に引きずられる油膜によって生じる流体抵抗に起因した大きな動力損失が発生することである。
【0012】
また、径が数mに達する水力タービンの枠組みの中ぐりのようないくつかの機械加工については、同様の大きさの径を有すると共に、重量が数百kgにもなりうる工具を使用する必要がある。
【0013】
従って、このような工具を用いた機械加工は、高い剛性とねじり強さとを備えた部材に工具を固定することによってのみ、所望の精度及び信頼性を実現することが可能となる。
【0014】
このため、上記第1の形式の工作機械、即ち、滑り軸受を用いてスピンドル内に支持された中ぐり棒を有する形式の工作機械では、このような機械加工の際に生じた応力が、信頼性のある機械加工を確保するような径及び支持体への結合強度を有したスピンドルに対し、工具を直接的に固着させることになる。
【0015】
静圧軸受を用いて支持された中ぐり棒・スピンドル部材を有する上記第2の形式の工作機械では、中ぐり棒・スピンドル部材の径が、上述した第1の形式の加工機械に用いるスピンドルよりも小さくなる。
これは、静圧軸受において発生する流体損失を抑制するために行われるものであり、この流体損失は、相対移動する2つの部材の相対速度が上昇するほど増大し、従って、同一角速度においては両者の径が大きいほど増大することが知られている。
このため、現状の中ぐり棒・スピンドル部材は、非常に大きな工具を用いた機械加工に使用することができるほどの剛性を有していないことになる。
【0016】
本発明の狙いは、製造が容易なスピンドル内への中ぐり棒の結合を可能として、スピンドルへの複雑で高コストの機械加工を不要とすることにより、これらの欠点を解消する工作機械を提供することにある。
【0017】
このような狙いのもとで本発明の目的は、支持体へのスピンドルの結合が強固であると共に、かなりの大きさと重さを有した工具をスピンドルに直接的に固定して効果的に使用することが可能な径を有したスピンドルを設けることができる工作機械を提供することにある。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、スピンドル内に中ぐり棒を支持するための静圧軸受を用いることが可能であって、従来知られている工作機械に比べ、流体抵抗に起因した動力損失が小さくてすむ工作機械を提供することにある。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、製造が容易であると共に比較的低コストで生産可能な工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような狙い及び目的、並びに後に明らかとなる更なる目的を達成するべく、本発明のフライス中ぐりタイプの工作機械は、
同軸状に中ぐり棒を収容すると共に静圧軸受を用いて上記中ぐり棒が結合されたスピンドルのための支持体と、
主機械加工軸線の周りに上記スピンドル及び上記中ぐり棒を一体的に回転させるための手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主機械加工軸線に沿って並進運動させるための手段と、
上記スピンドルを通して設けられ、上記静圧軸受に流体を供給する第1流路とを備えた工具において、上記流体を配給ユニットから上記第1流路に供給するための供給手段を有し、上記供給手段は、上記中ぐり棒を通る第2流路を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】現在知られている工作機械の詳細を拡大して示す概略断面図である。
【図2】現在知られている工作機械の詳細を拡大して示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図4】様々な作動状態の、本発明に係る工作機械の詳細を示す拡大図である。
【図5】様々な作動状態の、本発明に係る工作機械の詳細を示す拡大図である。
【図6】本発明に係る工作機械の詳細を、部分的な断面により拡大して示す正面図である。
【図7】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す斜視図である。
【図8】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図9】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図10】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図11】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図12】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面に限定されない例として示された、本発明に係る以下の好ましいが限定されない工作機械の実施の形態に関する詳細な説明から明らかとなる。
なお、特許審査の過程において既に公知であることが判明した事柄については、いずれも特許の権利を主張するものではなく、権利放棄の対象となるものである。
【0023】
図1を参照すると、全般的に符号Aは、現在公知である第1の形式の工作機械を示しており、この工作機械は、
同軸状に配置された中ぐり棒Dを摺動可能に収容したスピンドルCの支持体Bと、
上記スピンドル及び上記中ぐり棒を主作業軸線Eの周りに一体的に回転させる手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主作業軸線Eに沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0024】
スピンドルCは、ラジアル軸受Fを介して支持体Bに結合されると共に、中ぐり棒Dを収容しており、スピンドルC内において、中ぐり棒Dが滑り軸受G上を摺動可能となっている。
一点鎖線により概略的に示された固定手段Hは、大型工具Lを回転させるべく、この大型工具LをスピンドルCに固定する。
【0025】
図2において全般的に符号Mは、現在公知である第2の形式の工作機械を示しており、この工作機械は、
一体構造の中ぐり棒・スピンドル部材Oを、主作業軸線Rの周りに回転可能、且つ主作業軸線Rに沿って摺動可能に収容する支持体Nと、
支持体Nに対し、中ぐり棒・スピンドル部材Oを主作業軸線Rに沿って並進運動させる手段とを備えている。
また、中ぐり・スピンドル部材Oは、静圧軸受Sにより支持体Nに結合され支持されている。
【0026】
このような構成により、作動中は、支持体Nと中ぐり棒・スピンドル部材Oとの間に注入された流体が静圧軸受Sにおいて形成する膜により、中ぐり棒・スピンドル部材Oが支持体N内において支持体Nから離間した状態で回転すると共に摺動する。このとき用いられる流体は、支持体Nを通って設けられた流路Tを介して供給されるようになっている。
【0027】
図3乃至図12を参照すると、全般的に符号10は、フライス中ぐりタイプの工作機械を示しており、この工作機械は、
同軸状に中ぐり棒13を収容すると共に静圧軸受14を用いて中ぐり棒13が結合されたスピンドル12のための支持体11と、
主機械加工軸線Xの周りにスピンドル12及び中ぐり棒13を一体的に回転させるための手段と、
スピンドル12に対し、中ぐり棒13を主機械加工軸線Xに沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0028】
このようなスピンドル12と中ぐり棒13とを一体的に回転させるための手段自体は公知のものであって、例えば、
支持体11にスピンドル12を結合する転がり軸受15と、
中ぐり棒13の周面を形成する母線に沿って形成され、スピンドル12から内方に向けて突設された回転駆動用キー17を摺動可能に係合させる長手方向溝16とを備える。
【0029】
スピンドル12に対して中ぐり棒13の並進運動を行うための手段は、図面には示していないものの、それ自体は公知のものであって、例えば、支持体11に結合され、スピンドル12に対する中ぐり棒13の並進運動を生じさせるように構成されたアクチュエータを備えている。
また、中ぐり棒13の静圧軸受14に流体を供給するための第1流路18が、スピンドル12を通って設けられている。
【0030】
本発明に係る工作機械10の特徴は、支持体11に実質的に固定された状態にある配給ユニット20から、作動状態においてスピンドル12と共に回転する第1流路18に上記流体を供給するための供給手段19を有することにある。
【0031】
この供給手段19は、中ぐり棒13を通るように設けられて流体を供給する第2流路21を備えており、更に、
第2流路21を第1流路18に連通させる第1連通手段22aと、
第2流路21を配給ユニット20に連通させる第2連通手段22bとを備えているのが好ましい。
これら連通手段22a及び22bは、配給ユニット20から静圧軸受14に流体を供給するように構成されていることになる。
【0032】
第2流路21は、中ぐり棒13において、工具を支持するために設けられている第2端部24とは反対側にある第1端部を通過するように設けられている。
【0033】
第1連通手段22aは、第2流路21を第1流路18に連通する少なくとも1つの管状部材25を備えているのが好ましい。
この管状部材25は、中ぐり棒13の周囲に螺旋状に設けられて管状部材25を弾性的に変形可能とする少なくとも1つの螺旋部25aを有すると都合がよい。
【0034】
供給手段19は、中ぐり棒13の周囲に設けられた螺旋部25aの緩みを防止するための手段26を備えており、この手段26は、
中ぐり棒13の周面に形成され、主機械加工軸線Xの周りに螺旋状に配置された少なくとも1つの溝27と、
中ぐり棒13を取り囲み、スピンドル12に対して主機械加工軸線Xの周りに回転可能にスピンドル12に連結された環状フランジ28とを備えていると都合がよい。
【0035】
この環状フランジ28は、溝27に係合する少なくとも1つのつめ29を有している。
これにより、中ぐり棒13がスピンドル12内で摺動すると、つめ29が溝27内を摺動する。
【0036】
スピンドル12内における摺動の際、中ぐり棒13は回転駆動用キー17によって案内され、スピンドル12と中ぐり棒13との相対回転が防止される。
このため、溝27が中ぐり棒13の周面に螺旋状に設けられていることから、スピンドル12内において中ぐり棒13が摺動する際には、溝27の螺旋の蔓巻き角に応じた回転が環状フランジ28に与えられることになる。
【0037】
螺旋部25aの一端30が環状フランジ28に結合されていることから、スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動により環状フランジ28が回転すると、端部30の位置が回転し、中ぐり棒13の周囲における螺旋部25aの螺旋がより巻き込まれたり緩められたりする。
【0038】
上述したような溝27の螺旋の蔓巻き角は、スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動の際に、中ぐり棒13の周囲における螺旋部25aの螺旋径が実質的に一定に保持されるように予め定められているのが好ましい。
【0039】
中ぐり棒13は軸対称であるので、中ぐり棒13の周面に、溝27に対して径方向の反対側となる位置に形成された相補溝27aを設けると有効である。
【0040】
スピンドル12には、第1流路18が組み込まれ環状フランジ28内に軸線方向に挿入されるオス型連結部材31が一体的に設けられているのが好ましい。
【0041】
環状フランジ28の内周面には、第1流路18のポート33に対向して設けられ、少なくとも1つの径方向通路34を介して管状部材25の端部30に連通することにより管状部材25から流体を受け取る環状凹部32が設けられているのが好ましい。
環状凹部32の両脇には、オス型連結部材31と環状フランジ28との間で流体の漏出を防止するための側方ガスケット35が配設されているのが好ましい。
【0042】
第2連通手段22bは、配給ユニット20と協働する静止部材37と、中ぐり棒13と協働する回転部材38とによって構成されるオス・メス連結組立体36を備えている。
また、このオス・メス連結組立体36を通ると共に、第2流路21を配給ユニット20に連通させる第3流路39が設けられている。
このようにして静止部材37と回転部材38とを組み合わせると、回転配管として一般的に知られる仕組みが形成され、静圧軸受14に用いるための流体が配給ユニット20から中ぐり棒13へと供給されるようになる。
【0043】
中ぐり棒13は軸線方向に空洞になっており、工具に潤滑用流体を供給するための管状ロッド41が中ぐり棒13を軸線方向に貫通し、中ぐり棒13内に収容されていると都合がよい。
また、ロッド41に結合され、主機械加工軸線Xに沿ってロッド41を可逆的に押すことにより、中ぐり棒13の第2端部24から工具を取り外すように構成された押圧部材42を設けることも可能である。
【0044】
オス・メス連結組立体36には、ロッド41を通過させるための小室43が設けられている。
【0045】
中ぐり棒13には付加部材40が結合され、この付加部材40が中ぐり棒13の第1端部23から突出しているのが好ましい。
【0046】
付加部材40には、ロッド41のための摺動孔44が軸線方向に形成されており、この付加部材40は、回転部材38を設けるための少なくとも1つの部位45を有している。この回転部材38は、静止部材37の内側に位置する形式であるのが好ましく、静止部材37は、回転部材38を収容するための環状部46を備えているのが好ましい。
【0047】
このような構成の代替として、実質的に同等の手法により、上述の回転部材が静止部材の外側にあるような形式とすると共に、上述の付加部材の少なくとも一部が回転部材を形成するようにしてもよい。
【0048】
第3流路39は、少なくとも1つの径方向孔47を備えており、この径方向孔47は、回転部材38を通るように形成され、環状部46の内周面に形成された環状の流体配給凹部48に対向して開口する。
【0049】
また、流体を保持して、オス・メス連結組立体36からの流体の漏出を抑制するガスケット49を設けるのが好ましい。
このガスケット49は、流体保持ガスケット51と組み合わせて用いられるのが好ましい摺動ガスケット50を備えていると有効である。
【0050】
技術的に同等の方法により、シール用のガスケット49に空気静圧ガスケットを用いることも可能であり、このような空気静圧ガスケットの配設方法は当業者にとって明らかであるので、ここでは更なる説明を省略する。
【0051】
また、流体保持用のガスケット51には、流体回収流路52を設けることにより、オス・メス連結組立体36の外に流体が分散してしまうのを防止し、組立体36の外側に存在する第2の流体の汚染を防止するのが好ましい。
【0052】
図10を参照すると、本発明に係る具体的な実施例である工作機械10では、付加部材40が細長い本体部53を備えているのが好ましく、この本体部53は、工作機械10の補助構成要素54を貫通するように構成され、これにより、例えば変速ユニットなどの補助構成要素54が、オス・メス連結組立体36と、中ぐり棒13の第1端部23との間に介装されるようになっている。
【0053】
本実施例では、中ぐり棒13の第1端部23から細長い本体部53が突出しており、この本体部53のオス・メス連結組立体36の位置には、回転部材38を配設するように形成された部位45を有している。
【0054】
限定されない一例として図11に具体的に示す第1の実施例では、第3流路39が、付加部材40中に形成された長手方向に延設される少なくとも1つのキャビティ55を備えている。
【0055】
限定されない一例として図10及び図12に具体的に示す第2の実施例では、第3流路39が、付加部材40の内周壁57と、付加部材40内に収容されたロッド41の外周壁58とによって範囲が規定される間隙56を備えている。
【0056】
図10を参照すると、この具体的な実施例において、長手方向に間隙56の範囲を規定する環状プラグ59が設けられている。
更に、内周壁57及び外周壁58に対して径方向に当接した状態で、間隙56に沿って配置された環状スペーサ60が設けられている。
このような径方向のスペーサには、貫通孔が分散して設けられ、間隙56に沿って流体の通過を許容するようになっている。
【0057】
限定されない一例として図11に具体的に示す第1の実施例では、付加部材40が、中ぐり棒13との連結のための管状栓61を備えており、この管状栓61は、第1端部23において軸線方向に中ぐり棒13に挿入され、中ぐり棒13と一体化するようになっている。
図11は、この管状栓61中に、第1の実施例で述べたように長手方向に延設されたキャビティ55が組み込まれていることを示しており、技術的に同等の方法により、第2の実施例においてもこのような管状栓61を設けることが可能である。
【0058】
限定されない一例として図12に具体的に示す第2の実施例では、付加部材40が、ネジ或いはその同等物などの固定手段を用いて中ぐり棒13の第1端部23に同軸状に固定される端部フランジ62を備えている。
この第2の実施例において、第3流路39は、端部フランジ62を通って形成された少なくとも1つの径方向キャビティ63を更に備えている。
【0059】
添付の図には示していないが、第3の実施例では、上述したような付加部材が中ぐり棒と一体となっている。
【0060】
第2連通手段22bは、環状部46を支持するための摺動部材64を備えているのが好ましく、第3流路39は、この摺動部材64を通る少なくとも1つの接続流路65を備えている。
また、支持体11に組み付けられて摺動部材64を支持することにより、主機械加工軸線Xに沿って中ぐり棒13と一体的に摺動部材64を摺動可能とするガイド66が設けられていると都合がよい。
【0061】
配給ユニット20は、支持体11に固定される第1部材と、この第1部材に接続されると共に、工作機械の作動中において摺動部材64の位置に適応可能な第2部材とを備えているのが好ましい。
この第2部材は柔軟な配給ホース20aを備えており、配給ホース20aが接続された摺動部材64に対する配給ホース20aの位置を調整するための、例えば案内チェーン(図示せず)によって、配給ホース20aが保持されている。
【0062】
本発明に係る工作機械10の作動について以下に説明する。
使用する状態にあるときには、スピンドル12が中ぐり棒13と一体的に回転し、中ぐり棒13はスピンドル12内で摺動することにより伸張可能となっている。このとき、中ぐり棒13は、静圧軸受14において、スピンドル12と中ぐり棒13との間に存在する流体が形成する膜によって支持されている。
【0063】
このような流体は、中ぐり棒13を介してスピンドル12に供給されると共に、中ぐり棒13から、静止部材37の内側で回転する付加部材40の部位45に形成された回転部材38を介して環状部46により受け取られる。
【0064】
回転部材38は、スピンドル12に比べて大幅に小さな径を有することにより、その周面の回転速度がスピンドル12の周面の回転速度に対して大幅に低くなる。第3流路39を介して回転部材38の周面に浸入する流体の膜は、このときの周面の回転速度で回転部材38によって引きずられる。
【0065】
本発明に係る工作機械10は、通常の機械加工において求められる工具の回転速度を得ることが可能であると同時に、摺動ガスケット50及び流体保持ガスケット51の使用に適合するような回転部材38の周面回転速度を得ることができる。従って、摩擦や流体抵抗に起因した流体の漏洩がわずかなものとなる。
【0066】
スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動の際には、回転部材38及び付加部材40への流体の供給を行う静止部材37を支持している摺動部材64が、中ぐり棒13によって移動する。
【0067】
図4及び図5を参照すると、支持体11から外方に中ぐり棒13を延長する際には、中ぐり棒13の周囲に螺旋状に設けられた管状部材25の螺旋間隔が、スピンドル12と中ぐり棒13の第1端部23との間で密になる一方、中ぐり棒13がスピンドル12の内側に引き込まれる際には、中ぐり棒13の第1端部23とスピンドル12との間の距離の変化に対応し、管状部材25の螺旋間隔が中ぐり棒13に沿って拡大する。このとき、中ぐり棒13の周囲における管状部材25の螺旋半径は、前述したような環状フランジ28による螺旋の更なる巻き込みや緩めによって一定に維持される。
【0068】
複雑で高コストとなるような機械加工を必要としないスピンドルの内部への中ぐり棒の組み付けを簡単な構造で行うことが可能な工作機械を提供することにより、本発明が所期の狙い及び目的を達成することが実際に明らかとなった。
【0069】
更に、本発明に係る工作機械は、スピンドルの組み付けが多くの転がり軸受を用いて行われるので、大きな径を有するものであってもスピンドルの組み付けに高い剛性を確保することができる。
【0070】
また、本発明に係る工作機械は、スピンドル内における中ぐり棒の支持に静圧軸受を使用することができるので、中ぐり棒とスピンドルとの間の遊びを、現在知られている滑り軸受を用いた工作機械より大きくすることができ、同様の機械加工を簡素化及び低コスト化することができるという大きな利点がある。
【0071】
更に、静圧軸受を用いる場合の流体損失に起因した動力損失を、現在知られている工作機械で生じるものより大幅に低減した状態で、静圧軸受を用いることができる。
このような動力損失は、軸受に作動流体を供給するための回転配管を構成する部材間の相対速度に依存しており、この相対速度は、静止部材に対する回転部材の回転角速度が同じであれば、両者の結合部分の径に依存したものとなる。
【0072】
更に、本発明に係る工作機械は、スピンドル内における中ぐり棒の並進運動に起因した流体損失が、固定された支持体内で回転運動と並進運動とを同時に行う中ぐり棒・スピンドル部材を採用した現在知られている工作機械よりも大幅に小さなものとなる。
【0073】
以上のようにしてなされた本発明は、様々な改造や変更が可能であるが、これらはいずれも添付の特許請求の範囲に含まれるものであり、その構成は詳細にわたり別の技術的等価物と置換することが可能である。
特定されない形状や寸法に加え、使用される材料についても、必要に応じ、また技術水準に応じ、様々に適用可能である。
【0074】
本出願が優先権を主張する基となるイタリア国特許出願PD2008A000140に開示されるものは、参照によりここに編入される。
【0075】
請求項に示される技術的特徴には参照符号が付記されているが、これらの参照符号は請求項の理解を深めることのみを目的とするものであって、これらの参照符号を用いた例に対応する各要素の解釈を制限するような影響を及ぼすものではない。
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライス中ぐりタイプの工作機械に関する。
【背景技術】
【0002】
現在知られているフライス中ぐりタイプの工作機械は、
同軸に配置された中ぐり棒を摺動可能に収容したスピンドルの支持体と、
上記スピンドル及び上記中ぐり棒を主作業軸線の周りに一体的に回転させる手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主作業軸線に沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0003】
このようなタイプの第1の形式の工作機械では、スピンドルがラジアル軸受を用いて支持体に結合されると共に、中ぐり棒が滑り軸受を介して摺動可能にスピンドルに収容されている。
【0004】
このようなタイプの工作機械では、スピンドルと中ぐり棒とを一体的に回転させるためのモータと、スピンドル内で中ぐり棒を摺動させるためのモータとが設けられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
機械加工の信頼性及び精度を確保するには、高い精度での中ぐり棒とスピンドルとの結合が求められ、このような結合は、中ぐり棒の自在な摺動のために技術的に必須となる結合時の遊びを最小限に減らすことで可能となる。
このため、滑り軸受を適合させる上で複雑且つ高コストの機械加工を行わなければならず、専門的な作業が必要となる。
【0006】
また、このタイプの工作機械においては、滑り軸受の経時的な摩耗や腐食に起因した上記結合の精度低下により、このような工作機械を用いて行うことができる作業の質を大きく損なうという欠点がある。
【0007】
このタイプの工作機械におけるもう1つの欠点は、中ぐり棒及びスピンドルからなる複合体の回転における動的バランスの実現性が、中ぐり棒とスピンドルとの相対的な摺動に必要な中ぐり棒と滑り軸受との間の遊びによって制限されるということである。
【0008】
このようなタイプの工作機械の更なる欠点は、作業中に生じる温度変化により、中ぐり棒と滑り軸受との間の遊びが、共通の主作業軸線に対して変動し、スピンドル内における中ぐり棒の安定した心出しやバランスの安定性を大きく損なうと共に、滑り軸受におけるスピンドルの摺動性が損なわれることである。
【0009】
これらの欠点の解消を目的とした近年の対策の1つは、一体構造の中ぐり棒・スピンドル部材を備えた構造の第2の形式の工作機械であり、この中ぐり棒・スピンドル部材は、支持体に収容されると共に、この支持体内において、静圧軸受上で回転運動と並進運動とを行うようになっている。
【0010】
このように、この中ぐり棒・スピンドル部材は、支持体内で回転及び摺動するようになっており、このとき中ぐり棒・スピンドル部材は、静圧軸受内において両部材の間に注入された流体の膜により支持体から離間した状態にある。
【0011】
このような解決策は、中ぐり棒・スピンドル部材と支持体との結合に極度の正確性を必要とするものではない点で価値が認められるものの、いくつかの欠点を有している。その1つは、軸受と中ぐり棒・スピンドル部材との間に介在し、その回転中に引きずられる油膜によって生じる流体抵抗に起因した大きな動力損失が発生することである。
【0012】
また、径が数mに達する水力タービンの枠組みの中ぐりのようないくつかの機械加工については、同様の大きさの径を有すると共に、重量が数百kgにもなりうる工具を使用する必要がある。
【0013】
従って、このような工具を用いた機械加工は、高い剛性とねじり強さとを備えた部材に工具を固定することによってのみ、所望の精度及び信頼性を実現することが可能となる。
【0014】
このため、上記第1の形式の工作機械、即ち、滑り軸受を用いてスピンドル内に支持された中ぐり棒を有する形式の工作機械では、このような機械加工の際に生じた応力が、信頼性のある機械加工を確保するような径及び支持体への結合強度を有したスピンドルに対し、工具を直接的に固着させることになる。
【0015】
静圧軸受を用いて支持された中ぐり棒・スピンドル部材を有する上記第2の形式の工作機械では、中ぐり棒・スピンドル部材の径が、上述した第1の形式の加工機械に用いるスピンドルよりも小さくなる。
これは、静圧軸受において発生する流体損失を抑制するために行われるものであり、この流体損失は、相対移動する2つの部材の相対速度が上昇するほど増大し、従って、同一角速度においては両者の径が大きいほど増大することが知られている。
このため、現状の中ぐり棒・スピンドル部材は、非常に大きな工具を用いた機械加工に使用することができるほどの剛性を有していないことになる。
【0016】
本発明の狙いは、製造が容易なスピンドル内への中ぐり棒の結合を可能として、スピンドルへの複雑で高コストの機械加工を不要とすることにより、これらの欠点を解消する工作機械を提供することにある。
【0017】
このような狙いのもとで本発明の目的は、支持体へのスピンドルの結合が強固であると共に、かなりの大きさと重さを有した工具をスピンドルに直接的に固定して効果的に使用することが可能な径を有したスピンドルを設けることができる工作機械を提供することにある。
【0018】
本発明のもう1つの目的は、スピンドル内に中ぐり棒を支持するための静圧軸受を用いることが可能であって、従来知られている工作機械に比べ、流体抵抗に起因した動力損失が小さくてすむ工作機械を提供することにある。
【0019】
本発明のもう1つの目的は、製造が容易であると共に比較的低コストで生産可能な工作機械を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
このような狙い及び目的、並びに後に明らかとなる更なる目的を達成するべく、本発明のフライス中ぐりタイプの工作機械は、
同軸状に中ぐり棒を収容すると共に静圧軸受を用いて上記中ぐり棒が結合されたスピンドルのための支持体と、
主機械加工軸線の周りに上記スピンドル及び上記中ぐり棒を一体的に回転させるための手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主機械加工軸線に沿って並進運動させるための手段と、
上記スピンドルを通して設けられ、上記静圧軸受に流体を供給する第1流路とを備えた工具において、上記流体を配給ユニットから上記第1流路に供給するための供給手段を有し、上記供給手段は、上記中ぐり棒を通る第2流路を備えることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】現在知られている工作機械の詳細を拡大して示す概略断面図である。
【図2】現在知られている工作機械の詳細を拡大して示す概略断面図である。
【図3】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図4】様々な作動状態の、本発明に係る工作機械の詳細を示す拡大図である。
【図5】様々な作動状態の、本発明に係る工作機械の詳細を示す拡大図である。
【図6】本発明に係る工作機械の詳細を、部分的な断面により拡大して示す正面図である。
【図7】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す斜視図である。
【図8】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図9】本発明に係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図10】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図11】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【図12】本発明の様々な実施例の1つに係る工作機械の詳細を拡大して示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付の図面に限定されない例として示された、本発明に係る以下の好ましいが限定されない工作機械の実施の形態に関する詳細な説明から明らかとなる。
なお、特許審査の過程において既に公知であることが判明した事柄については、いずれも特許の権利を主張するものではなく、権利放棄の対象となるものである。
【0023】
図1を参照すると、全般的に符号Aは、現在公知である第1の形式の工作機械を示しており、この工作機械は、
同軸状に配置された中ぐり棒Dを摺動可能に収容したスピンドルCの支持体Bと、
上記スピンドル及び上記中ぐり棒を主作業軸線Eの周りに一体的に回転させる手段と、
上記スピンドルに対し、上記中ぐり棒を上記主作業軸線Eに沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0024】
スピンドルCは、ラジアル軸受Fを介して支持体Bに結合されると共に、中ぐり棒Dを収容しており、スピンドルC内において、中ぐり棒Dが滑り軸受G上を摺動可能となっている。
一点鎖線により概略的に示された固定手段Hは、大型工具Lを回転させるべく、この大型工具LをスピンドルCに固定する。
【0025】
図2において全般的に符号Mは、現在公知である第2の形式の工作機械を示しており、この工作機械は、
一体構造の中ぐり棒・スピンドル部材Oを、主作業軸線Rの周りに回転可能、且つ主作業軸線Rに沿って摺動可能に収容する支持体Nと、
支持体Nに対し、中ぐり棒・スピンドル部材Oを主作業軸線Rに沿って並進運動させる手段とを備えている。
また、中ぐり・スピンドル部材Oは、静圧軸受Sにより支持体Nに結合され支持されている。
【0026】
このような構成により、作動中は、支持体Nと中ぐり棒・スピンドル部材Oとの間に注入された流体が静圧軸受Sにおいて形成する膜により、中ぐり棒・スピンドル部材Oが支持体N内において支持体Nから離間した状態で回転すると共に摺動する。このとき用いられる流体は、支持体Nを通って設けられた流路Tを介して供給されるようになっている。
【0027】
図3乃至図12を参照すると、全般的に符号10は、フライス中ぐりタイプの工作機械を示しており、この工作機械は、
同軸状に中ぐり棒13を収容すると共に静圧軸受14を用いて中ぐり棒13が結合されたスピンドル12のための支持体11と、
主機械加工軸線Xの周りにスピンドル12及び中ぐり棒13を一体的に回転させるための手段と、
スピンドル12に対し、中ぐり棒13を主機械加工軸線Xに沿って並進運動させるための手段とを備えている。
【0028】
このようなスピンドル12と中ぐり棒13とを一体的に回転させるための手段自体は公知のものであって、例えば、
支持体11にスピンドル12を結合する転がり軸受15と、
中ぐり棒13の周面を形成する母線に沿って形成され、スピンドル12から内方に向けて突設された回転駆動用キー17を摺動可能に係合させる長手方向溝16とを備える。
【0029】
スピンドル12に対して中ぐり棒13の並進運動を行うための手段は、図面には示していないものの、それ自体は公知のものであって、例えば、支持体11に結合され、スピンドル12に対する中ぐり棒13の並進運動を生じさせるように構成されたアクチュエータを備えている。
また、中ぐり棒13の静圧軸受14に流体を供給するための第1流路18が、スピンドル12を通って設けられている。
【0030】
本発明に係る工作機械10の特徴は、支持体11に実質的に固定された状態にある配給ユニット20から、作動状態においてスピンドル12と共に回転する第1流路18に上記流体を供給するための供給手段19を有することにある。
【0031】
この供給手段19は、中ぐり棒13を通るように設けられて流体を供給する第2流路21を備えており、更に、
第2流路21を第1流路18に連通させる第1連通手段22aと、
第2流路21を配給ユニット20に連通させる第2連通手段22bとを備えているのが好ましい。
これら連通手段22a及び22bは、配給ユニット20から静圧軸受14に流体を供給するように構成されていることになる。
【0032】
第2流路21は、中ぐり棒13において、工具を支持するために設けられている第2端部24とは反対側にある第1端部を通過するように設けられている。
【0033】
第1連通手段22aは、第2流路21を第1流路18に連通する少なくとも1つの管状部材25を備えているのが好ましい。
この管状部材25は、中ぐり棒13の周囲に螺旋状に設けられて管状部材25を弾性的に変形可能とする少なくとも1つの螺旋部25aを有すると都合がよい。
【0034】
供給手段19は、中ぐり棒13の周囲に設けられた螺旋部25aの緩みを防止するための手段26を備えており、この手段26は、
中ぐり棒13の周面に形成され、主機械加工軸線Xの周りに螺旋状に配置された少なくとも1つの溝27と、
中ぐり棒13を取り囲み、スピンドル12に対して主機械加工軸線Xの周りに回転可能にスピンドル12に連結された環状フランジ28とを備えていると都合がよい。
【0035】
この環状フランジ28は、溝27に係合する少なくとも1つのつめ29を有している。
これにより、中ぐり棒13がスピンドル12内で摺動すると、つめ29が溝27内を摺動する。
【0036】
スピンドル12内における摺動の際、中ぐり棒13は回転駆動用キー17によって案内され、スピンドル12と中ぐり棒13との相対回転が防止される。
このため、溝27が中ぐり棒13の周面に螺旋状に設けられていることから、スピンドル12内において中ぐり棒13が摺動する際には、溝27の螺旋の蔓巻き角に応じた回転が環状フランジ28に与えられることになる。
【0037】
螺旋部25aの一端30が環状フランジ28に結合されていることから、スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動により環状フランジ28が回転すると、端部30の位置が回転し、中ぐり棒13の周囲における螺旋部25aの螺旋がより巻き込まれたり緩められたりする。
【0038】
上述したような溝27の螺旋の蔓巻き角は、スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動の際に、中ぐり棒13の周囲における螺旋部25aの螺旋径が実質的に一定に保持されるように予め定められているのが好ましい。
【0039】
中ぐり棒13は軸対称であるので、中ぐり棒13の周面に、溝27に対して径方向の反対側となる位置に形成された相補溝27aを設けると有効である。
【0040】
スピンドル12には、第1流路18が組み込まれ環状フランジ28内に軸線方向に挿入されるオス型連結部材31が一体的に設けられているのが好ましい。
【0041】
環状フランジ28の内周面には、第1流路18のポート33に対向して設けられ、少なくとも1つの径方向通路34を介して管状部材25の端部30に連通することにより管状部材25から流体を受け取る環状凹部32が設けられているのが好ましい。
環状凹部32の両脇には、オス型連結部材31と環状フランジ28との間で流体の漏出を防止するための側方ガスケット35が配設されているのが好ましい。
【0042】
第2連通手段22bは、配給ユニット20と協働する静止部材37と、中ぐり棒13と協働する回転部材38とによって構成されるオス・メス連結組立体36を備えている。
また、このオス・メス連結組立体36を通ると共に、第2流路21を配給ユニット20に連通させる第3流路39が設けられている。
このようにして静止部材37と回転部材38とを組み合わせると、回転配管として一般的に知られる仕組みが形成され、静圧軸受14に用いるための流体が配給ユニット20から中ぐり棒13へと供給されるようになる。
【0043】
中ぐり棒13は軸線方向に空洞になっており、工具に潤滑用流体を供給するための管状ロッド41が中ぐり棒13を軸線方向に貫通し、中ぐり棒13内に収容されていると都合がよい。
また、ロッド41に結合され、主機械加工軸線Xに沿ってロッド41を可逆的に押すことにより、中ぐり棒13の第2端部24から工具を取り外すように構成された押圧部材42を設けることも可能である。
【0044】
オス・メス連結組立体36には、ロッド41を通過させるための小室43が設けられている。
【0045】
中ぐり棒13には付加部材40が結合され、この付加部材40が中ぐり棒13の第1端部23から突出しているのが好ましい。
【0046】
付加部材40には、ロッド41のための摺動孔44が軸線方向に形成されており、この付加部材40は、回転部材38を設けるための少なくとも1つの部位45を有している。この回転部材38は、静止部材37の内側に位置する形式であるのが好ましく、静止部材37は、回転部材38を収容するための環状部46を備えているのが好ましい。
【0047】
このような構成の代替として、実質的に同等の手法により、上述の回転部材が静止部材の外側にあるような形式とすると共に、上述の付加部材の少なくとも一部が回転部材を形成するようにしてもよい。
【0048】
第3流路39は、少なくとも1つの径方向孔47を備えており、この径方向孔47は、回転部材38を通るように形成され、環状部46の内周面に形成された環状の流体配給凹部48に対向して開口する。
【0049】
また、流体を保持して、オス・メス連結組立体36からの流体の漏出を抑制するガスケット49を設けるのが好ましい。
このガスケット49は、流体保持ガスケット51と組み合わせて用いられるのが好ましい摺動ガスケット50を備えていると有効である。
【0050】
技術的に同等の方法により、シール用のガスケット49に空気静圧ガスケットを用いることも可能であり、このような空気静圧ガスケットの配設方法は当業者にとって明らかであるので、ここでは更なる説明を省略する。
【0051】
また、流体保持用のガスケット51には、流体回収流路52を設けることにより、オス・メス連結組立体36の外に流体が分散してしまうのを防止し、組立体36の外側に存在する第2の流体の汚染を防止するのが好ましい。
【0052】
図10を参照すると、本発明に係る具体的な実施例である工作機械10では、付加部材40が細長い本体部53を備えているのが好ましく、この本体部53は、工作機械10の補助構成要素54を貫通するように構成され、これにより、例えば変速ユニットなどの補助構成要素54が、オス・メス連結組立体36と、中ぐり棒13の第1端部23との間に介装されるようになっている。
【0053】
本実施例では、中ぐり棒13の第1端部23から細長い本体部53が突出しており、この本体部53のオス・メス連結組立体36の位置には、回転部材38を配設するように形成された部位45を有している。
【0054】
限定されない一例として図11に具体的に示す第1の実施例では、第3流路39が、付加部材40中に形成された長手方向に延設される少なくとも1つのキャビティ55を備えている。
【0055】
限定されない一例として図10及び図12に具体的に示す第2の実施例では、第3流路39が、付加部材40の内周壁57と、付加部材40内に収容されたロッド41の外周壁58とによって範囲が規定される間隙56を備えている。
【0056】
図10を参照すると、この具体的な実施例において、長手方向に間隙56の範囲を規定する環状プラグ59が設けられている。
更に、内周壁57及び外周壁58に対して径方向に当接した状態で、間隙56に沿って配置された環状スペーサ60が設けられている。
このような径方向のスペーサには、貫通孔が分散して設けられ、間隙56に沿って流体の通過を許容するようになっている。
【0057】
限定されない一例として図11に具体的に示す第1の実施例では、付加部材40が、中ぐり棒13との連結のための管状栓61を備えており、この管状栓61は、第1端部23において軸線方向に中ぐり棒13に挿入され、中ぐり棒13と一体化するようになっている。
図11は、この管状栓61中に、第1の実施例で述べたように長手方向に延設されたキャビティ55が組み込まれていることを示しており、技術的に同等の方法により、第2の実施例においてもこのような管状栓61を設けることが可能である。
【0058】
限定されない一例として図12に具体的に示す第2の実施例では、付加部材40が、ネジ或いはその同等物などの固定手段を用いて中ぐり棒13の第1端部23に同軸状に固定される端部フランジ62を備えている。
この第2の実施例において、第3流路39は、端部フランジ62を通って形成された少なくとも1つの径方向キャビティ63を更に備えている。
【0059】
添付の図には示していないが、第3の実施例では、上述したような付加部材が中ぐり棒と一体となっている。
【0060】
第2連通手段22bは、環状部46を支持するための摺動部材64を備えているのが好ましく、第3流路39は、この摺動部材64を通る少なくとも1つの接続流路65を備えている。
また、支持体11に組み付けられて摺動部材64を支持することにより、主機械加工軸線Xに沿って中ぐり棒13と一体的に摺動部材64を摺動可能とするガイド66が設けられていると都合がよい。
【0061】
配給ユニット20は、支持体11に固定される第1部材と、この第1部材に接続されると共に、工作機械の作動中において摺動部材64の位置に適応可能な第2部材とを備えているのが好ましい。
この第2部材は柔軟な配給ホース20aを備えており、配給ホース20aが接続された摺動部材64に対する配給ホース20aの位置を調整するための、例えば案内チェーン(図示せず)によって、配給ホース20aが保持されている。
【0062】
本発明に係る工作機械10の作動について以下に説明する。
使用する状態にあるときには、スピンドル12が中ぐり棒13と一体的に回転し、中ぐり棒13はスピンドル12内で摺動することにより伸張可能となっている。このとき、中ぐり棒13は、静圧軸受14において、スピンドル12と中ぐり棒13との間に存在する流体が形成する膜によって支持されている。
【0063】
このような流体は、中ぐり棒13を介してスピンドル12に供給されると共に、中ぐり棒13から、静止部材37の内側で回転する付加部材40の部位45に形成された回転部材38を介して環状部46により受け取られる。
【0064】
回転部材38は、スピンドル12に比べて大幅に小さな径を有することにより、その周面の回転速度がスピンドル12の周面の回転速度に対して大幅に低くなる。第3流路39を介して回転部材38の周面に浸入する流体の膜は、このときの周面の回転速度で回転部材38によって引きずられる。
【0065】
本発明に係る工作機械10は、通常の機械加工において求められる工具の回転速度を得ることが可能であると同時に、摺動ガスケット50及び流体保持ガスケット51の使用に適合するような回転部材38の周面回転速度を得ることができる。従って、摩擦や流体抵抗に起因した流体の漏洩がわずかなものとなる。
【0066】
スピンドル12内における中ぐり棒13の摺動の際には、回転部材38及び付加部材40への流体の供給を行う静止部材37を支持している摺動部材64が、中ぐり棒13によって移動する。
【0067】
図4及び図5を参照すると、支持体11から外方に中ぐり棒13を延長する際には、中ぐり棒13の周囲に螺旋状に設けられた管状部材25の螺旋間隔が、スピンドル12と中ぐり棒13の第1端部23との間で密になる一方、中ぐり棒13がスピンドル12の内側に引き込まれる際には、中ぐり棒13の第1端部23とスピンドル12との間の距離の変化に対応し、管状部材25の螺旋間隔が中ぐり棒13に沿って拡大する。このとき、中ぐり棒13の周囲における管状部材25の螺旋半径は、前述したような環状フランジ28による螺旋の更なる巻き込みや緩めによって一定に維持される。
【0068】
複雑で高コストとなるような機械加工を必要としないスピンドルの内部への中ぐり棒の組み付けを簡単な構造で行うことが可能な工作機械を提供することにより、本発明が所期の狙い及び目的を達成することが実際に明らかとなった。
【0069】
更に、本発明に係る工作機械は、スピンドルの組み付けが多くの転がり軸受を用いて行われるので、大きな径を有するものであってもスピンドルの組み付けに高い剛性を確保することができる。
【0070】
また、本発明に係る工作機械は、スピンドル内における中ぐり棒の支持に静圧軸受を使用することができるので、中ぐり棒とスピンドルとの間の遊びを、現在知られている滑り軸受を用いた工作機械より大きくすることができ、同様の機械加工を簡素化及び低コスト化することができるという大きな利点がある。
【0071】
更に、静圧軸受を用いる場合の流体損失に起因した動力損失を、現在知られている工作機械で生じるものより大幅に低減した状態で、静圧軸受を用いることができる。
このような動力損失は、軸受に作動流体を供給するための回転配管を構成する部材間の相対速度に依存しており、この相対速度は、静止部材に対する回転部材の回転角速度が同じであれば、両者の結合部分の径に依存したものとなる。
【0072】
更に、本発明に係る工作機械は、スピンドル内における中ぐり棒の並進運動に起因した流体損失が、固定された支持体内で回転運動と並進運動とを同時に行う中ぐり棒・スピンドル部材を採用した現在知られている工作機械よりも大幅に小さなものとなる。
【0073】
以上のようにしてなされた本発明は、様々な改造や変更が可能であるが、これらはいずれも添付の特許請求の範囲に含まれるものであり、その構成は詳細にわたり別の技術的等価物と置換することが可能である。
特定されない形状や寸法に加え、使用される材料についても、必要に応じ、また技術水準に応じ、様々に適用可能である。
【0074】
本出願が優先権を主張する基となるイタリア国特許出願PD2008A000140に開示されるものは、参照によりここに編入される。
【0075】
請求項に示される技術的特徴には参照符号が付記されているが、これらの参照符号は請求項の理解を深めることのみを目的とするものであって、これらの参照符号を用いた例に対応する各要素の解釈を制限するような影響を及ぼすものではない。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フライス中ぐりタイプの工作機械(10)であって、
同軸状に中ぐり棒(13)を収容すると共に静圧軸受(14)を用いて上記中ぐり棒(13)が結合されたスピンドル(12)のための支持体(11)と、
主機械加工軸線(X)の周りに上記スピンドル(12)及び上記中ぐり棒(13)を一体的に回転させるための手段と、
上記スピンドル(12)に対し、上記中ぐり棒(13)を上記主機械加工軸線(X)に沿って並進運動させるための手段と、
上記スピンドル(12)を通して設けられ、上記静圧軸受(14)に流体を供給する第1流路(18)とを備えた工作機械において、
上記流体を配給ユニット(20)から上記第1流路(18)に供給するための供給手段(19)を有し、上記供給手段(19)は、上記中ぐり棒(13)を通る第2流路(21)を備えることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
上記供給手段(19)は、上記配給ユニット(20)から上記静圧軸受(14)に上記流体を供給するために、
上記第2流路(21)を上記第1流路(18)に連通させるための第1連通手段(22a)と、
上記第2流路(21)を上記配給ユニット(20)に連通させるための第2連通手段(22b)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
上記第2流路(21)は、工具を支持するために設けられる上記中ぐり棒(13)の第2端部(24)とは反対側となる上記中ぐり棒(13)の第1端部(23)を通って設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
上記第1連通手段(22a)は、上記第2流路(21)を上記第1流路(18)に連通する少なくとも1つの管状部材(25)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の工作機械。
【請求項5】
上記少なくとも1つの管状部材(25)は、上記中ぐり棒(13)の周囲に螺旋状に設けられて弾性的に変形可能な少なくとも1つの螺旋部(25a)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の工作機械。
【請求項6】
上記供給手段(19)は、上記中ぐり棒(13)の周囲における上記螺旋部(25a)の緩みを防止する手段(26)を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の工作機械。
【請求項7】
上記螺旋部(25a)の緩みを防止する上記手段(26)は、
上記中ぐり棒(13)の周面に形成され、上記主機械加工軸線(X)の周りに螺旋状に配置された少なくとも1つの溝(27)と、
上記中ぐり棒(13)を取り囲み、上記中ぐり棒(13)に対して上記主機械加工軸線(X)の周りに回転可能に上記スピンドル(12)に結合された環状フランジ(28)とを備え、
上記環状フランジ(28)は、上記少なくとも1つの溝(27)に沿って摺動可能に上記少なくとも1つの溝(27)に係合する少なくとも1つのつめ(29)を有することにより、上記中ぐり棒(13)が上記主機械加工軸線(X)に沿って上記スピンドル(12)内を摺動する際に、上記中ぐり棒(13)によって上記主機械加工軸線(X)の周りに回転し、
更に、上記環状フランジ(28)は、上記螺旋部(25a)の一端に接続されることにより、上記環状フランジ(28)が上記中ぐり棒(13)によって回転するときに、上記螺旋部(25a)の上記一端を回転させ、上記螺旋部(25a)の螺旋をより巻き込んだり緩めたりして上記螺旋部(25a)の螺旋半径を実質的に一定に保持することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の工作機械。
【請求項8】
上記第2連通手段(22b)は、上記配給ユニット(20)と協働する静止部材(37)、及び上記中ぐり棒(13)と協働し上記静止部材(37)に対して回転可能な回転部材(38)によって構成されるオス・メス連結組立体(36)を備え、上記第2流路(21)を上記配給ユニット(20)に連通させる第3流路(39)が、上記オス・メス連結組立体(36)を通って設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の工作機械。
【請求項9】
上記中ぐり棒(13)は、軸線方向に空洞であって、管状ロッド(41)を収容するように構成されており、上記管状ロッド(41)は、工具に潤滑剤を供給し、及び/または上記中ぐり棒(13)内において上記主機械加工軸線(X)に沿って摺動することにより上記工具を上記第2端部(24)から離脱させるものであって、上記オス・メス連結組立体(36)には上記管状ロッド(41)を通過させるための小室(43)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の工作機械。
【請求項10】
上記中ぐり棒(13)に結合されると共に上記第1端部(23)から突出する付加部材(40)を備え、上記付加部材(40)には、上記管状ロッド(41)のための摺動孔(44)が軸線方向に設けられており、上記回転部材(38)は、上記静止部材(37)の内側にあって、上記付加部材(40)の少なくとも一部の部位(45)が上記回転部材(38)を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の工作機械。
【請求項11】
上記中ぐり棒(13)に結合されると共に上記第1端部(23)から突出する付加部材(40)を備え、上記付加部材(40)には、上記管状ロッド(41)のための摺動孔(44)が軸線方向に設けられており、上記回転部材(38)は、上記静止部材(37)の外側にあって、上記付加部材(40)の少なくとも一部の部位(45)が上記回転部材(38)を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の工作機械。
【請求項12】
上記静止部材(37)は、上記回転部材(38)を収容する環状部(46)を備え、上記第3流路(39)は、上記回転部材(38)に形成された少なくとも1つの径方向孔(47)を備え、上記径方向孔(47)は、上記環状部(46)の内側に形成されて上記流体を配送する環状溝(48)に対向して開口しており、上記流体を保持するためのガスケット(49)が上記オス・メス連結組立体(36)からの上記流体の漏出を抑制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の工作機械。
【請求項13】
上記付加部材(40)は、上記工具の補助構成要素を貫通する細長い本体部を備え、上記本体部は、上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)から突出すると共に、その自由端の近傍に上記回転部材(38)を構成する部位(45)を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の工作機械。
【請求項14】
上記第3流路(39)は、上記付加部材(40)中に形成された、長手方向に延設される少なくとも1つのキャビティ(55)を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の工作機械。
【請求項15】
上記第3流路(39)は、上記付加部材(40)の内周壁(57)と、上記付加部材(40)内に収容された上記ロッド(41)の外周壁(58)とによって範囲が規定される間隙(56)を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の工作機械。
【請求項16】
上記付加部材(40)は、上記中ぐり棒(13)に連結するための管状栓(61)を備え、上記管状栓(61)は、上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)内に軸線方向に挿入されて上記中ぐり棒(13)と一体となることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項17】
上記付加部材(40)は、固定手段を用いて上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)に同軸状に固定される端部フランジ(62)を備え、上記第3流路(39)は、上記端部フランジ(62)を通して形成された少なくとも1つの径方向キャビティ(63)を備えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項18】
上記付加部材(40)は、上記中ぐり棒(13)と一体であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項19】
上記第2連通手段(22b)は、上記環状部(46)を支持する摺動部材(64)を備え、上記第3流路(39)は、上記摺動部材(64)を通る少なくとも1つの接続流路(65)を備え、上記摺動部材(64)が上記中ぐり棒(13)と一体的に上記主機械加工軸線(X)に沿って摺動可能となるように、上記支持体(11)と協働して上記摺動部材(64)を支持するガイド(66)を設けたことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の工作機械。
【請求項1】
フライス中ぐりタイプの工作機械(10)であって、
同軸状に中ぐり棒(13)を収容すると共に静圧軸受(14)を用いて上記中ぐり棒(13)が結合されたスピンドル(12)のための支持体(11)と、
主機械加工軸線(X)の周りに上記スピンドル(12)及び上記中ぐり棒(13)を一体的に回転させるための手段と、
上記スピンドル(12)に対し、上記中ぐり棒(13)を上記主機械加工軸線(X)に沿って並進運動させるための手段と、
上記スピンドル(12)を通して設けられ、上記静圧軸受(14)に流体を供給する第1流路(18)とを備えた工作機械において、
上記流体を配給ユニット(20)から上記第1流路(18)に供給するための供給手段(19)を有し、上記供給手段(19)は、上記中ぐり棒(13)を通る第2流路(21)を備えることを特徴とする工作機械。
【請求項2】
上記供給手段(19)は、上記配給ユニット(20)から上記静圧軸受(14)に上記流体を供給するために、
上記第2流路(21)を上記第1流路(18)に連通させるための第1連通手段(22a)と、
上記第2流路(21)を上記配給ユニット(20)に連通させるための第2連通手段(22b)とを備えることを特徴とする請求項1に記載の工作機械。
【請求項3】
上記第2流路(21)は、工具を支持するために設けられる上記中ぐり棒(13)の第2端部(24)とは反対側となる上記中ぐり棒(13)の第1端部(23)を通って設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の工作機械。
【請求項4】
上記第1連通手段(22a)は、上記第2流路(21)を上記第1流路(18)に連通する少なくとも1つの管状部材(25)を備えることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の工作機械。
【請求項5】
上記少なくとも1つの管状部材(25)は、上記中ぐり棒(13)の周囲に螺旋状に設けられて弾性的に変形可能な少なくとも1つの螺旋部(25a)を有することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の工作機械。
【請求項6】
上記供給手段(19)は、上記中ぐり棒(13)の周囲における上記螺旋部(25a)の緩みを防止する手段(26)を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の工作機械。
【請求項7】
上記螺旋部(25a)の緩みを防止する上記手段(26)は、
上記中ぐり棒(13)の周面に形成され、上記主機械加工軸線(X)の周りに螺旋状に配置された少なくとも1つの溝(27)と、
上記中ぐり棒(13)を取り囲み、上記中ぐり棒(13)に対して上記主機械加工軸線(X)の周りに回転可能に上記スピンドル(12)に結合された環状フランジ(28)とを備え、
上記環状フランジ(28)は、上記少なくとも1つの溝(27)に沿って摺動可能に上記少なくとも1つの溝(27)に係合する少なくとも1つのつめ(29)を有することにより、上記中ぐり棒(13)が上記主機械加工軸線(X)に沿って上記スピンドル(12)内を摺動する際に、上記中ぐり棒(13)によって上記主機械加工軸線(X)の周りに回転し、
更に、上記環状フランジ(28)は、上記螺旋部(25a)の一端に接続されることにより、上記環状フランジ(28)が上記中ぐり棒(13)によって回転するときに、上記螺旋部(25a)の上記一端を回転させ、上記螺旋部(25a)の螺旋をより巻き込んだり緩めたりして上記螺旋部(25a)の螺旋半径を実質的に一定に保持することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の工作機械。
【請求項8】
上記第2連通手段(22b)は、上記配給ユニット(20)と協働する静止部材(37)、及び上記中ぐり棒(13)と協働し上記静止部材(37)に対して回転可能な回転部材(38)によって構成されるオス・メス連結組立体(36)を備え、上記第2流路(21)を上記配給ユニット(20)に連通させる第3流路(39)が、上記オス・メス連結組立体(36)を通って設けられていることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の工作機械。
【請求項9】
上記中ぐり棒(13)は、軸線方向に空洞であって、管状ロッド(41)を収容するように構成されており、上記管状ロッド(41)は、工具に潤滑剤を供給し、及び/または上記中ぐり棒(13)内において上記主機械加工軸線(X)に沿って摺動することにより上記工具を上記第2端部(24)から離脱させるものであって、上記オス・メス連結組立体(36)には上記管状ロッド(41)を通過させるための小室(43)が設けられていることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の工作機械。
【請求項10】
上記中ぐり棒(13)に結合されると共に上記第1端部(23)から突出する付加部材(40)を備え、上記付加部材(40)には、上記管状ロッド(41)のための摺動孔(44)が軸線方向に設けられており、上記回転部材(38)は、上記静止部材(37)の内側にあって、上記付加部材(40)の少なくとも一部の部位(45)が上記回転部材(38)を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の工作機械。
【請求項11】
上記中ぐり棒(13)に結合されると共に上記第1端部(23)から突出する付加部材(40)を備え、上記付加部材(40)には、上記管状ロッド(41)のための摺動孔(44)が軸線方向に設けられており、上記回転部材(38)は、上記静止部材(37)の外側にあって、上記付加部材(40)の少なくとも一部の部位(45)が上記回転部材(38)を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の工作機械。
【請求項12】
上記静止部材(37)は、上記回転部材(38)を収容する環状部(46)を備え、上記第3流路(39)は、上記回転部材(38)に形成された少なくとも1つの径方向孔(47)を備え、上記径方向孔(47)は、上記環状部(46)の内側に形成されて上記流体を配送する環状溝(48)に対向して開口しており、上記流体を保持するためのガスケット(49)が上記オス・メス連結組立体(36)からの上記流体の漏出を抑制することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の工作機械。
【請求項13】
上記付加部材(40)は、上記工具の補助構成要素を貫通する細長い本体部を備え、上記本体部は、上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)から突出すると共に、その自由端の近傍に上記回転部材(38)を構成する部位(45)を有することを特徴とする請求項1乃至12のいずれかに記載の工作機械。
【請求項14】
上記第3流路(39)は、上記付加部材(40)中に形成された、長手方向に延設される少なくとも1つのキャビティ(55)を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の工作機械。
【請求項15】
上記第3流路(39)は、上記付加部材(40)の内周壁(57)と、上記付加部材(40)内に収容された上記ロッド(41)の外周壁(58)とによって範囲が規定される間隙(56)を備えることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の工作機械。
【請求項16】
上記付加部材(40)は、上記中ぐり棒(13)に連結するための管状栓(61)を備え、上記管状栓(61)は、上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)内に軸線方向に挿入されて上記中ぐり棒(13)と一体となることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項17】
上記付加部材(40)は、固定手段を用いて上記中ぐり棒(13)の上記第1端部(23)に同軸状に固定される端部フランジ(62)を備え、上記第3流路(39)は、上記端部フランジ(62)を通して形成された少なくとも1つの径方向キャビティ(63)を備えることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項18】
上記付加部材(40)は、上記中ぐり棒(13)と一体であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれかに記載の工作機械。
【請求項19】
上記第2連通手段(22b)は、上記環状部(46)を支持する摺動部材(64)を備え、上記第3流路(39)は、上記摺動部材(64)を通る少なくとも1つの接続流路(65)を備え、上記摺動部材(64)が上記中ぐり棒(13)と一体的に上記主機械加工軸線(X)に沿って摺動可能となるように、上記支持体(11)と協働して上記摺動部材(64)を支持するガイド(66)を設けたことを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載の工作機械。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公表番号】特表2011−519739(P2011−519739A)
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−507863(P2011−507863)
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054841
【国際公開番号】WO2009/135763
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506334137)エイチピーティー シナジー エス.アール.エル. (2)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年4月22日(2009.4.22)
【国際出願番号】PCT/EP2009/054841
【国際公開番号】WO2009/135763
【国際公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【出願人】(506334137)エイチピーティー シナジー エス.アール.エル. (2)
【Fターム(参考)】
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