説明

フライヤー装置

【課題】 食品材料を油で加熱調理するときに発生した油煙を段階的に効率良く清浄化することができるとともに、フィルタの交換効率が良好で、フィルタの長寿命化を図る。
【解決手段】 油を貯留する油槽2と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口Qaに送り込む経路を備え、油煙を排気口Qaに送り込む経路に、油煙を冷却する冷却装置Cと、それに続く経路にフィルタ構造のフィルタカートリッジ部Fcとを有する。冷却装置Cは、金属製の放熱板Ch1及び吸熱板Ch2と、吸熱板Ch2を冷却する冷却部材Cpとを備える。また、排気口Qaに送り込む経路の内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材Hhが設けられた油分除去管Hと、それに続く経路にフィルタ構造のフィルタカートリッジ部Fcを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品材料を油で加熱調理するためのフライヤー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンビニエンスストア等の小売店では、食品材料を電子レンジで加熱調理して提供することが行われているが、近年では、レジの近傍でフライドポテトやフライドチキン、又、コロッケやソーセージ類等を展示即売することも行われるようになっている。フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する装置としては、コンビエンスストアのレジ近辺のスペースが限られていることから小型のフライヤー装置が使用されている。
【0003】
このような小型のフライヤー装置としては、例えば特許文献1又は2に示すように、食品材料が投入される油槽と、投入された食品材料を油槽内の油に浸漬させるとともに油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に加熱調理中に発生した油煙を吸収除去するためのフィルタが配置されている。食品が調理される油槽から発生する油煙は、貯留槽6上方に設けられたダクト84から遠心誘引ファン92によりフィルタ91内に誘導され、フィルタ91によって吸収除去される。フィルタ91によって油煙が吸収除去された空気は、通過孔93、排気ダクト94を経て、排気孔96から排気される。
【特許文献1】特許第3521134号
【特許文献2】特許第3521135号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記油煙は、油分、水分、臭い成分等の成分が混在したものである。また、冷凍食品を油で加熱調理すると、蒸気が上方に向かって飛散する。なお、一般的に気化した成分粒子は高温なほど細かいものである。したがって、上記油煙を清浄化するためには、上記成分やその飛散状態を考慮した油煙除去フィルタ構造とすることが望まれる。また、油煙除去フィルタの清浄化の効率を上げるだけでなく、油煙除去フィルタ自体の長寿命化を図ることも望まれる。
【0005】
しかしながら、特許文献1又は2では、フィルタ91でのみで油煙を浄化しようとするが、このフィルタ91では効率的に油煙を浄化することが困難であった。これはフィルタ91に誘導されるまでの距離が短いこととも合わせて、移動中での熱の拡散が十分に生じないため、油煙の温度を下げることができないことが原因であると考えられる。油煙が高温状態のままでは、各粒子が細かな粒子のままで、特に油分が含まれた粒子の浄化や臭い成分の浄化は難しく、フィルタ91のみでは効果的に清浄化することはできなかった。このため、コンビニエンスストア等のレジの近くでフライドポテトやコロッケ等を加熱調理すると、その臭いが充満して顧客を不快にさせる原因となっていた。また、フィルタを交換するにはフィルタごと交換しなければならず、未だ使用可能な部分を有していたとしても、フィルタ全体を交換しなければならなかったため、フィルタを長期間使用することができなかった。
【0006】
そこで、本発明の目的は、食品材料を油で加熱調理するときに発生した油煙を段階的に効率良く清浄化することができるとともに、フィルタの交換効率が良好で、フィルタの長寿命化を図ることが可能なフライヤー装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のフライヤー装置は、油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路を備え、油煙を排気口に送り込む経路に、油煙を冷却する冷却装置と、それに続く経路に油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部とを有することを特徴とする。
【0008】
油煙が高温状態のままフィルタカートリッジ部に送り込まれても、油煙の成分粒子が細かな粒子のままでは、段階的に効率良く油煙を清浄化することはできない。しかし、この発明によれば、発生した油煙は、一旦冷却装置により冷却されてからフィルタカートリッジ部に送り込まれ、油煙の成分粒子が冷却装置による冷却により小さな粒子の状態から大きな粒子の状態に変えられてからフィルタカートリッジ部に送り込まれる。これにより、油煙除去フィルタが粒子を捕らえやすくなるため、その機能が最大限発揮され、油煙を効率良く清浄化することができる。
【0009】
本発明の請求項2記載のフライヤー装置は、前記冷却装置は、金属製の吸熱板及び放熱板と、吸熱板を冷却する冷却部材とを少なくとも備え、油煙の経路に設けられていることを特徴とする。
【0010】
この発明によれば、吸熱板及び放熱板と冷却部材との熱の受け渡しにより、油煙の冷却効果を高めることができる。油煙の冷却効果が高まると、それだけ油煙を構成する粒子が大きなものとなり、油煙除去フィルタが粒子を更に捕らえやすくなる。
【0011】
本発明の請求項3記載のフライヤー装置は、油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材が設けられた油分除去管と、それに続く経路に油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備えることを特徴とする。
【0012】
この発明によれば、油煙が油分除去管の羽根部材に沿って進行すると、油煙の成分粒子の一部が内壁に設けられた羽根部材に衝突して液化し、油分除去管に滞留する。残りの油煙は、それに続く経路に設けられたフィルタカートリッジ部の油煙除去フィルタにより除去されるため、油煙を段階的に効率良く清浄化することができることとなる。また、油煙除去フィルタで油煙を除去する前に、油分除去管によって油煙の一部を除去することにより、油煙除去フィルタの負担が軽減され、その長寿命化にも貢献する。
【0013】
本発明の請求項4記載のフライヤー装置は、油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材が設けられた油分除去管と、それに続く経路に油煙を冷却する冷却装置と、それに続く経路に油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備えることを特徴とする。
【0014】
この発明によれば、上記油分除去管により、油煙の一部を除去した後、上記冷却装置により油煙を冷却するため、油煙除去フィルタによる油煙の清浄化効率を更に高めることができる。
【0015】
本発明の請求項5記載のフライヤー装置は、油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に配され油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備え、フィルタカートリッジ部は、油分と水分と臭い成分等に対応させて配される個別の各フィルタから構成され、少なくとも油分を主に除去するための金網から構成される第1のフィルタが最初の位置に配されていることを特徴とする。
【0016】
この発明によれば、油煙が油煙除去フィルタ内に入ると、まず、油煙に含まれた油分が、主に油分を除去するための金網から構成される第1のフィルタによって除去される。これによって、その後方に配された各フィルタに油がこびりつきにくくなるため、各フィルタの清浄化効率を高い状態で維持できるとともに、各フィルタの長寿命化にも貢献する。第1のフィルタを通過した油煙は、油分、水分、臭い成分等に対応させて配された各フィルタに順次除去されていくため、油煙を段階的に効率良く清浄化することができる。
【0017】
本発明の請求項6記載のフライヤー装置は、請求項5記載の発明を前提として、前記主に油分と水分と臭い成分に各々対応して配される個別の各フィルタが交換可能に配されていることを特徴とする。
【0018】
この発明によれば、前記主に油分と水分と臭い成分に各々対応して配される個別の各フィルタが交換可能に配されていることから、交換したいフィルタのみ、つまり寿命の来たフィルタ等から順に交換でき、未だ使用可能なフィルタをそのまま使用することができるととなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、フィルタカートリッジ部の前に油煙を冷却する冷却装置を配したり、内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材が設けられた油分除去管を配したり、又、少なくとも油分を主に除去するための金網から構成される第1のフィルタを有するフィルタカートリッジ部を配したりすることにより、食品材料を油で加熱調理するときに発生した油煙を段階的に効率良く清浄化することができるとともに、フィルタの交換効率が良好で、長寿命化を図ることが可能となる。これにより、コンビニエンスストア等の小売店のレジ先などで食品材料を油で加熱調理しても、店内への臭いの充満を最小限度に抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面にもとづいて説明する。
【0021】
本発明に係る実施の形態は、図1ないし図4に示すように、コンビニエンスストア等の小売店のレジ近傍に配置されて、フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する小型のフライヤー装置1であり、内部に、油を貯留する油槽2と、油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材7と、排煙を清浄化する浄化手段11等を備える。操作する正面側1sには、食品材料が投入される投入部3aがその蓋部3fとともに設けられるとともに、浄化手段11の各フィルタF1〜F6等を交換するためのフィルタ交換口4faがその蓋部4fとともに設けられている。また、フライヤー装置1の正面側1s下方には、加熱調理された食品材料を取り出すための取り出し口がその蓋部5fとともに設けられている。また、正面側1sの下方は、片側開きの開き扉10が形成され、この開き扉10から内部の油槽2や排出プレート12を外部に取り出すことが可能になっている。なお、フライヤー装置1の開き扉10の上方位置には、操作パネルssが配され、操作パネルssのボタン操作で自動的にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する。
【0022】
フライヤー装置1の底部1bには、油槽2や排出プレート12等が配置される。また、油槽2の上方には、仕切り板1cに設けられた所定形状の通過穴20b(図5)を開閉するカバー8や、この通過穴20bと連続する投入部3a等が配置されている。加熱調理するコロッケ等の食品材料は、投入部3aにその蓋部3fを開けて投入される。投入部3aは、上記したように仕切り板1cに設けられた所定形状の通過穴20bと連続しており、この通過穴20bを上記カバー8が開閉する。カバー8が通過穴20bを塞いでいるとき、カバー8上に食品材料は一時保管された状態になり、カバー8を駆動手段M2によりスライドさせると、上記仕切り板1cの通過穴20bから食品材料が油槽2に供給される。カバー8は、その取っ手8tと連結部材8kを介してモータM2と連結され、モータM2の駆動力を得てカバー8をスライドさせ、仕切り板1cに設けられた通過穴20bの開閉を行う。
【0023】
油槽2は、開き扉10側からは奥の位置に配置されている。すなわち、片側開きの開き扉10を開放すると、手前側には排出プレート12が配され、その奥側に油槽2が配されている。油槽2は、直方体形状を呈する容器であり、フライヤー装置1の底部1b上において一対の凸部1p間に配され、この一対の凸部1pに沿うようにスライドして外に取り出すようになっている。油槽2は、上方が開口した容器であり、電気ヒータ2hが組み込まれて、油槽2の油(食用油)が加熱される。油槽2は、開き扉10を開けて外部に取り出すことができ、この引き出し動作のための取っ手2tが油槽2の正面側の外周壁に設けられている。電気ヒータ2hは、油槽2内にも引き出され、油を直接加熱する。油槽2の奥側の内面(以下「蓋部」という)2aは、断面が円弧状の斜面として形成されている。
【0024】
排出プレート12は、断面凹状を呈する鋼鉄製の部材であり、上方が開口されており、この開口から掻揚げ部材7が回動して排出プレート側に回動すると、斜め下方に設けられるようになり、食品材料を断面凹状の排出プレート12の中央の平坦部12aに排出する。この排出プレート12としては、上記平坦部12aに油取りシートを配したり、外周にパンチングメタルや網目状の部材に多数の孔を形成したものを使用することが可能である。
【0025】
掻揚げ部材7は、一側面7aが開口した容器型に形成され、この容器ごと油槽2に浸漬するとともに油槽2から取り出すもので、パンチングメタルや網目状の部材に多数の孔が形成されている。掻揚げ部材7は、底部とその外周の側壁部とからなる長方形状であり、上方側の一側面が開口7aとして形成されている。この上方の開口7aは、断面で円弧状を呈している。油槽2の円弧状の蓋部2aと合致して、油槽2内で一側面の開口7aから食品材料が飛び出すような事態を防止している。なお、円弧状に形成されている理由は、掻揚げ部材7の回動動作に対応させるとともに、油槽2の底に揚げカスが溜まらないように上方に掻き揚げるためである。このためには、パンチングメタルよりも網目状のもので容器型の掻揚げ部材を形成するほうが好ましく、揚げカスの排出が容易で衛生的に保つこともできる。
【0026】
掻揚げ部材7の底部側には、軸7jとの連結部としてくの字状に形成された基端部7eが設けられ、この基端部7eにモータM1の駆動力が伝達される軸7jが取り付けられている。この軸7jをモータM1が駆動させることにより容器型の掻揚げ部材7は回動する。すなわち、掻揚げ部材7は、油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、この軸7jが油槽2の正面壁の上方の支持部材2cに回転可能に取り付けられている。本実施の形態の掻揚げ部材7は、図3の油槽2内に位置する位置(符号7A)から油槽外の排出プレート12上の位置(符号7D)までに亘って回動するもので、その回動角度は、油槽2内に位置する位置(符号7A)を基準にして約200度程度回動する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されている。これは、開き扉10の開き油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除するため、つまり油槽2を外部に取り出す方向に切り欠かれた連結部材7kから上記軸7Jを抜くことを可能にする工夫である。
【0027】
このような掻揚げ部材7は、油槽2内では長方形状の掻揚げ部材7を寝かせるように横長の状態に配置され(図3の符号7A)、油槽2内から油槽2外に亘って回動する際において、余分な油を切るための位置(図3の符号7Bの位置)では縦長の状態になりその回動動作が一時停止する。この位置7Bでは一旦停止するが、余分な油が除去されると、排出プレート12上に一側面7aが位置するように回動する。一方、油槽2に入れる前に投入部3aから食品材料を受けるときは、掻揚げ部材7はやや斜めの位置、つまり図3の符号7Cの位置で停止して食品材料を受け取る。
【0028】
浄化手段11は、仕切り板1c上、つまりフライヤー装置1の上方側に配置されている(図2、図4、図5)。浄化手段11は、油煙を排気口Qaに送り込む経路を有し、この経路に誘導管U、油分除去管H、冷却装置C、ダクト22、フィルタカートリッジ部Fc、排気口Qaを有する吸引ファンQ等が配されている。
【0029】
誘導管Uは、コ字状のダクトUaと、L字状のダクトULとを組み合わせて構成されている。コ字状のダクトUaは、水平状にコ字形に配置され、仕切り板1cのコ字状の開口部20a,20a,20a(図5)と連続して油煙を誘導する。L字状のダクトULは、コ字状のダクトUaと連続して、油煙を上方に誘導するもので、その上方端部には、上方開口UL1が設けられている。
【0030】
油分除去管Hは、羽根内蔵管Haと隣接管Hbとから構成され、いずれも縦型に配置され、これらを連結する連結管Hrを介して、油煙をU字状に通過させる(図5、図6)。羽根内蔵管Haは、その上方開口部H1は誘導管Uの開口部UL1と連結されている。羽根内蔵管Haの内壁には、油煙の一部を遮断するための羽根部材Hhが設けられている。この羽根部材Hhは、主に油煙の一部(特に油分)を除去するためのもので、その長手方向の下方に向かう螺旋形状に形成されている。連結管Hrには排出管Hzが連結されており、(液滴化した)上記油煙の一部は、この排出管Hzからフライヤー装置1外に排出される。より具体的には、排出管Hzから、フライヤー装置1内に設けられた排出タンクHxに一旦貯留された後、フライヤー装置1外に排出される。隣接管Hbは、縦型配置であるが、羽根内蔵管Haの長さの半分程度の長さで構成され、この隣接管Hbと後述する冷却装置C側の連結管Crとが連結される。
【0031】
冷却装置Cは、冷却管Ccと、放熱板Ch1及び吸熱板Ch2と、冷却部材Cpと、連結管Crと、換気部21から構成されている(図5、図7)。放熱板Ch1及び吸熱板Ch2は、各々多数の金属製の板が平行に縦型で配置され、放熱板Ch1及び吸熱版Ch2には、金属製の冷却部材Cpが各板を貫通するように一体的に連結されている。冷却管Ccの下方側Cc1には、上記吸熱板Ch2が内蔵される。より具体的には、冷却管Ccの下方側Cc1の4側面のうちの一側面を開放し、そこから吸熱板Ch2を収納する。ここで、下方側Cc1の対向する2側面Cc1a,Cc1aには、吸熱板Ch2と一体的に連結された複数の冷却部材Cpを係止する凹溝が複数設けられており、この凹溝に冷却部材Cpを係止させる。そして、下方側Cc1の開放された一側面側から、固定部材Cdを嵌合することで、吸熱板Ch2を冷却管Ccの下方側Cc1内に固定する。このとき、固定部材Cdの対向する2側面Cd1,Cd1には、上記冷却部材Cpに対応する複数の凹溝が形成されているので、しっかりと下方側Cc1と嵌合させることができる。これによって、吸熱板Ch2は、冷却管Ccの下方側Cc1内に内臓される。
【0032】
吸熱板Ch2を冷却する冷却部材Cpは、その形状を環状に連続させて内部に冷却液を循環させるタイプでもよく、あるいは、ヒートパイプ等を使用したものであってもよい。ヒートパイプを使用する場合は、管内部がすでに2層構造となっているため、必ずしもその形状を環状に連続させなくても、冷却液を循環させることができる。上記冷却管Ccの下方側Cc1は、連結管Crを介して、上記油分除去管Hを構成する隣接管Hbと連結される。油分除去管Hから送られた油煙は、下方側Cc1内を上昇する過程で吸熱板Ch2と接触する。このとき、油煙の熱が吸熱板Ch2に受け渡され、油煙は冷却される。受け渡された熱は、更に、吸熱板Ch2から冷却部材Cp内の冷却液に受け渡される。この冷却液は、冷却部材Cpを通って、放熱板Ch1に熱を受け渡す。そして、放熱板Ch1に受け渡された熱は、換気部21のファン21fの回転によって、排気口Z1からフライヤー装置1外部に放出される。(ここで、ファン21の回転によって外気を取り入れる構成とすることで、熱を帯びた放熱板Ch1及び冷却部材Cpを直接冷却してもよい。)熱を受け渡した冷却液は、再び冷却管Ccの下方側Cc1内に戻り、吸熱板Ch2を冷却するとともに熱の受け渡しを行う。
【0033】
L字状の冷却管Ccの上方側Cc2は、フィルタカートリッジ部Fcと連結されるダクト22と連結されている。ダクト22は、その上方側開口部22eと下方側開口22aを有し、上方側開口部22eに金網22kが配置され、下方側開口22aはL字形の冷却管Ccの上方側Cc2と連結されている。このダクト22は、後述するフィルタF1〜F6のようにフィルタの役割も果たすもので、着脱部材22bによりフィルタF1〜F6側を押圧し、F1〜F6を固定する役割も果たす。また、ダクト22は、着脱部材22bにより取り外し、これをフィルタ交換口4aから取り出すと、金網22kやダクト22それ自体の洗浄・交換が可能になっている。なお、上記ダクト22の金網22kに換え、ステンレスたわしを使用することも可能である。ステンレスたわしをダクト22内に配すれば、金網22k以上に油除去効果を期待できる。また、このステンレスたわしについても、上記フィルタ交換口4aから取り外し、洗浄・交換が可能である。
【0034】
フィルタカートリッジ部Fcは、上記冷却管Ccの上方側Cc2と、この上方側Cc2の側面に取り付けられた載置台Fc1上に設けられ(図4及び図9)、油煙の成分や油煙を構成する各粒子の径の大きさに合わせて複数のフィルタF1〜F6等を連続して配することで構成される。ここで、冷却装置C側のダクト22に近い側から第1のフィルタF1、第2のフィルタF2、第3のフィルタF3、第4のフィルタF4、第5のフィルタF5、第6のフィルタF6が順に配されている。
【0035】
第1のフィルタF1及び第2のフィルタF2は、それぞれ珪藻土で構成されており、油煙中に含まれる水分(水蒸気)や、ダクト22の金網22k(もしくはステンレスたわし)で補足できなかった細かな油分(油粒子)を捕捉することを主な目的とする。第3〜第5の各フィルタF3〜F5は、活性炭から構成され、油煙中の臭い成分(臭い粒子)を補足することを主な目的とする。第6のフィルタF6は、活性炭素繊維で構成されており、第3〜第5の各フィルタF3〜F5で捕捉できなかった非常に細かな臭い成分(臭い粒子)を捕捉することを目的とする。ここで、上記各フィルタ間に不織布を配することは任意である。また、これら各フィルタの順序や個数は特に問わないが、油煙中の油分の捕捉を促すために、第1のフィルタとして、金網(もしくはステンレスたわし)を有したフィルタを配してもよい。これにより、上記ダクト22の金網22kと合わせて、油分の清浄化を重点的に行うことができる。なお、各フィルタの油煙粒子(主に油粒子、水粒子、臭い粒子)に対する捕捉力を向上させるために、上記フィルタに化学薬品を染み込ませてもよい。特に、活性炭素繊維から成る第6のフィルタについては、第3〜第5のフィルタに設けた活性炭によっても物理吸着できない非常に微細な臭い粒子を捕捉する必要があるため、上記臭い粒子を化学吸着できる化学薬品を染み込ませることはフィルタ機能を発揮する上での必須条件となる。ここで、実際に染み込ませる化学薬品としては、上記臭い粒子に対する吸着性を考慮すると、アルデヒド系の化学薬品がもっとも好適である。
【0036】
上記フィルタF1〜F6は、それぞれが長方形状の金属製ケースとして構成され、その中央に上記珪藻土や活性炭等が配置されるようになっており、ダクト22から送られた油煙は順次上記珪藻土、活性炭等を通過する。各金属ケースの形状は連結可能な長方形状である。フィルタF1〜F6の位置やダクト22の位置は、フライヤー装置1の正面側1sのフィルタ交換口4faの位置に対応し、上記各フィルタのいずれかを交換したいときは、蓋部4fを開けると、フィルタ交換口4faから各フィルタF1〜F5やダクト22の交換を行えるようになっている。
【0037】
吸引ファンQは、油槽2からの油煙を浄化手段11に送り込むためのもので、フィルタカートリッジ部Fcに続く後者側、つまり第6のフィルタF6と連結された連結ダクト25と連結されており、吸引ファンQを駆動させる駆動モータQmと排出口Qaとを備え、これらが固定プレートQp及び固定金具Qdを介してフライヤー装置1の内壁に取り付けられている。
【0038】
したがって、本実施の形態のフライヤー装置1により実際にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する場合には、コンビエンスストアのレジ近くに来た客の注文により、投入部3aにその蓋部3fを開けて食品材料(冷凍のフライドポテト等)を供給する。投入部3aはカバー8により油槽2との間が仕切られているので一時的に食品材料は投入部3aに貯留されるが、カバー8をその駆動手段M2により開放すると、食品材料は掻揚げ部材7にその上方開口から投入される。当初掻揚げ部材7はその開口7aを斜め上方に向けて配置され、投入部3aの底部開口と連続するように配置されている。つまり図3の符号7Cの位置で停止している。そして、掻揚げ部材7をモータM2により駆動させると、軸7jを中心に回転して掻揚げ部材7はその容器形状のまま油槽2に浸漬される。
【0039】
食品材料が油槽2の油で加熱調理されると油煙が発生する。油煙の主な構成粒子としては、油煙粒子、水粒子、臭い粒子等であり、発生時は高温状態のため細分化している。つまり細かな粒子と考えられる。発生した油煙は、符号Aに示す方向に送り込まれる(図8、図9)。発生した油煙は、仕切り板1cで仕切られたフライヤー装置1の下層部に充満する(仕切り板1c上の通過穴20bは、食品材料が投入されないときはカバー8により常に閉じられており、下層部の密閉性を維持している。)が、吸引ファンQの駆動により、仕切り板1cの開口部20aから誘導管U内に誘導される。誘導管U内に誘導された油煙は、誘導管U内を通って一旦上昇されるが縦型配置の油分除去管Hの羽根内蔵管Haにより下方側に送られる。油煙が羽根内蔵管Haの内部を通過するとき、その一部は羽根部材Hhと接触する。羽根部材Hhは螺旋形状に設けられていることから上方から下方に油煙が送り込まれる過程のいずれかで接触するようになる。油煙は渦回転するように進行し、通路の内壁や羽根部材Hhと衝突し、この衝突した粒子が集まって液滴となり、上記羽根部材Hhや内壁を伝って、油分除去管Haの下端側に連結された連結管Hrに導かれて、連結管Hzを介してフライヤー装置1外に排出される。ここで排出される油煙の一部としては、主に油分(油滴)、水分(水滴)である(これらの中に溶け込んだ臭い成分も同時に排出される)。このように、ダクト22の金網22k及びフィルタカートリッジ部Fcに油煙を通過させる前に油分除去管Ha内を通過させることにより、油煙を段階的に効率良く清浄化することができる。また、油煙の一部を排出し、ダクト22の金網22k及びフィルタカートリッジ部Fcの負担を軽減することで、その清浄化効率は良好になり、また、その長寿命化も達成されるようになる。
【0040】
このようにして油分除去管Ha内を通過した油煙は、油分除去管Hと隣接する隣接管Hbを経て冷却装置Cの冷却管Ccへと送られる。ここで、U字状に油煙を送り込むことでも、油煙の油分の除去(清浄化)に大きく寄与する。冷却管Ccへと送られた油煙は、放熱板Ch1及び吸熱板Ch2と冷却部材Cpとの熱の受け渡しにより冷却される。油煙の成分の細かな粒子が冷却装置Cによる冷却により大きな粒子に変えられる。このように変化するとフィルタカートリッジ部Fcに送り込まれても清浄化し易い状態で通過することとなる。
【0041】
冷却装置Cを通過した油煙は、ダクト22を通過して次の経路のフィルタカートリッジ部Fc内で清浄化される。この際、ダクト22に設けられた金網22kにより油煙中の油分の除去が行われる。次に、第1及び第2の各フィルタF1,F2により、油分(金網22kでは捕捉できなかった細かな油粒子)及び水蒸気の除去が行われる。更に、第3〜5及び第6の各フィルタにより、臭い成分の除去が行われる。本実施の形態では、このようにダクト22と第1及び第2の各フィルタF1,F2と上記油分除去管Hとによって油煙中の油分の清浄化が再三に亘って行われる。また、油煙中の水分及び臭い成分の除去も各フィルタによって十分に行われる。
【0042】
このようにして上記フィルタカートリッジ部Fcを通過した油煙(ほとんど清化された空気になっている)は、連結ダクト25と連結された吸引ファンQに設けられた排出口Qaから排出される。
【0043】
ところで、本発明者等は多種の食品材料を油槽2で加熱調理し、油煙の成分や温度との関係等を研究したり、上記フィルタカートリッジ部Fcの順序等を研究しているが、今までのところでは、金網22kが配されたダクト22(第1のフィルタF1に金網が配されている場合は、該第1のフィルタを含む)が特に油分が付着して交換の頻度が高かった。このような交換の必要が生じたときには、蓋部4fから各フィルタの交換を行う。各フィルタF1〜F6は、上記冷却管Ccの上方側Cc2及び載置台Fc1上に配されており、ダクト22から押圧されて固定されている。各フィルタを取り外すときは、着脱部材22bのダクト22への押圧を緩めることで、F1〜F6を取り外すことが可能となる。そして、ダクト22の金網22kあるいはF1〜F6のいずれかを新しいものに交換すればよい(各フィルタごと交換してもよく、その内部だけを交換してもよい)。
【0044】
上記説明では、本実施の形態について、その浄化手段11が、誘導管U及び油分除去管H及び冷却装置C及びフィルタカートリッジ部Fc(ダクト22の金網22kを含む)から構成されているフライヤー装置1として説明したが、これに限らず他の構成としてもよい。例えば、その浄化手段が、誘導管U及び冷却装置C及びフィルタカートリッジ部Fcから構成されているフライヤー装置としてもよく、また、例えば、その浄化手段が、誘導管U及びフィルタカートリッジ部Fc(ダクト22の金網22kを含む)から構成されているフライヤー装置としてもよい。さらに、その浄化手段が、誘導管U及び油分除去管H及びフィルタカートリッジ部Fc(ダクト22の金網22kを含む)から構成されているフライヤー装置としてもよい。
【0045】
また、上記各フライヤー装置の浄化手段を構成する各部材について、誘導管Uは、上記説明では、コ字状のダクトUaとL字状のダクトULを連結したものであるが、これらを一体的に形成してもよい。また、各形状に限定されるものではなく、例えば、コ字状のダクトUaについては、仕切り板1c上の開口部(20a,20a,20a)が他の形状であれば、それに対応させた形状としてもよい。
【0046】
次に、油分除去管Hは、上記説明では、羽根内蔵管Haと隣接管Hbと連結管Hrとを連結したものであるが、これらを一体的に形成してもよい。また、冷却装置Cでは、冷却管Ccと連結管Crとを連結した構成としているが、これらを一体的に形成してもよい。また、フィルタカートリッジ部Fcでは、F1〜F6のフィルタを用いているが、その枚数や、その材質については任意であり、油煙を構成する成分に合わせて、それに対応した材質のフィルタを使用すればよい。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるフライヤー装置を示す全体斜視図である。
【図2】上記第1の実施の形態の内部構造を示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施の形態の内部構造を示す断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の浄化手段を示す斜視図である。
【図5】上記第1の実施の形態の浄化手段を示す分解斜視図である。
【図6】上記第1の実施の形態の浄化手段の油分除去管の部分を示す分解斜視図である。
【図7】上記第1の実施の形態の浄化手段の冷却装置の部分を示す分解斜視図である。
【図8】上記第1の実施の形態の浄化手段による油煙の経路を説明する断面図である。
【図9】上記第1の実施の形態の浄化手段による油煙の経路を説明する断面図である。
【符号の説明】
【0048】
1 フライヤー装置、1c 仕切り板、
2 油槽、2a 油槽の蓋部、
3a 投入部、3f 投入部の蓋部、
5f 開口部の蓋部、
7 掻き揚げ部材、
7A,7B,7C,7D 掻揚げ部材が停止する位置、
7k 連結部材、7j 軸、
8 カバー、
10 開き扉、
11 浄化手段、
12 排出プレート、
21 換気部、
20a開口部、
22 ダクト、22k 金網、22b 着脱部材、
22e上方側開口、22a 下方側開口部、
A 油煙の経路、
U 誘導管、Ua コ字状のダクト,UL L字状のダクト、
H 油分除去管、Ha 羽根内蔵管、Hb 隣接管、Hh 羽根部材(螺旋形)、
Hx 排出タンク、Hz 排出管、
Q 吸引ファン、Qa 排出口、Qm 駆動モータ、
C 冷却装置、Ch1 放熱板、Ch2 吸熱板、Cc 冷却管、Cr 連結管、
Cp 冷却部材(パイプ)、
Fc フィルタカートリッジ部、
F1 第1のフィルタ、F1〜F6 フィルタ、
Z1 排気口、


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に配され油煙を冷却する冷却装置と、それに続く経路に配され油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部とを備えることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項2】
前記冷却装置は、金属製の吸熱板及び放熱板と、吸熱板を冷却する冷却部材とを少なくとも備え、油煙の経路に設けられていることを特徴とする請求項1記載のフライヤー装置。
【請求項3】
油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材が設けられた油分除去管と、それに続く経路に油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備えることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項4】
油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に内壁に油煙の流れを一部遮断する羽根部材が設けられた油分除去管と、それに続く経路に油煙を冷却する冷却装置と、それに続く経路に油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備えることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項5】
油を貯留する油槽と、食品材料を油で加熱調理するときに発生する油煙を排気口に送り込む経路と、この経路に配され油煙除去フィルタにより除去するフィルタカートリッジ部を備え、フィルタカートリッジ部は、油分と水分と臭い成分等に対応させて配される個別の各フィルタから構成され、少なくとも油分を主に除去するための金網から構成される第1のフィルタが最初の位置に配されていることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項6】
前記油分と水分と臭い成分等に対応させて配される個別の各フィルタが交換可能に配されていることを特徴とする請求項5記載のフライヤー装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate