説明

フライヤー装置

【課題】 油槽内における掻揚げ部材の開口からの食品の飛び出しを防止しつつも、掻揚げ部材内の油の流動が阻害されることがなく、食品材料の揚げ上がりを均一にすることが可能なフライヤー装置を提案する。
【解決手段】油を貯留する油槽2と、油槽2中の食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材7とを備え、掻揚げ部材7は、多数の孔が形成された容器型を呈し、油槽2内から油槽2外に亘って回動可能に軸支され、当該回動の外周となる側に食品を投入するための開口7aが設けられており、油槽2は、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに開口7aに対応する位置に設けられて開口7aに蓋をする蓋部材13を有し、掻揚げ部材7に投入された食品材料を油で加熱調理するフライヤー装置1において、蓋部材13は油槽2内を仕切るように配置され、油槽2内の油が通過可能な通過孔13aが設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食品材料を油で加熱調理するためのフライヤー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、コンビニエンスストア等の小売店では、食品材料を電子レンジで加熱調理して提供することが行われているが、近年では、レジの近傍でフライドポテトやフライドチキン、又、コロッケやソーセージ類等を展示即売することも行われるようになっている。フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する装置としては、コンビニエンスストアのレジ近辺のスペースが限られていることから小型のフライヤー装置が使用されている。
【0003】
このような小型のフライヤー装置としては、例えば特許文献1に示すように、油が貯留される油槽と、投入された食品材料を油槽内の油に浸漬させるとともに油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材を備えたものを、本願出願人が既に開示している。掻揚げ部材は、回動動作により姿勢を変化させるものであり、開口が上に位置する縦姿勢にて投入された食品材料を開口から受け入れ、開口が横に位置する横姿勢に変化して食品材料を油槽に浸漬させ、再度縦姿勢となることにより加熱調理された食品材料を掻き揚げるものである。
【0004】
この掻揚げ部材は、上記の通り、油槽内では食品材料が入れられた状態にて、開口が横に位置する横姿勢の状態となる。そこで、上記従来技術では、食品材料が開口から飛び出すのを防止するために蓋部が設けられている。この蓋部は、油槽の内壁において掻揚げ部材の開口と対応する箇所を断面円弧状の斜面とすることにより形成されている。掻揚げ部材は、回動して油槽内に浸漬すると、開口が油槽内壁の一部である蓋部と合致して塞がれることとなる。
【特許文献1】特開2006−212087
【特許文献2】特開2006−212089
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、フライヤー装置においては、食品材料をムラ無く均一に揚げることが重要な性能の一つとして求められる。これには、掻揚げ部材内における油の流動が大きく寄与しており、熱対流などにより掻揚げ部材内の油が流動することにより温度が均一になり、食品材料がムラ無く均一に揚げ上がる。しかしながら、上記従来技術では、油槽内壁の斜面を蓋部としているため(通過孔などを有しない鉄板状のものとしているにすぎないため)、掻揚げ部材が油槽内に位置すると、開口はその斜面にてほぼ塞がれた状態となる。このため、掻揚げ部材の開口側においては油の流動が阻害されて停滞し、食品材料の揚げ上がりの状態にムラが生じてしまうという問題が生じていた。
【0006】
そこで、本発明の目的は、油槽内における掻揚げ部材の開口からの食品の飛び出しを防止しつつも、掻揚げ部材内の油の流動が阻害されることがなく、食品材料の揚げ上がりを均一にすることが可能なフライヤー装置を提案することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のフライヤー装置は、油を貯留する油槽と、油槽中の食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材とを備え、
前記掻揚げ部材は、多数の孔が形成されたカゴ型を呈し、前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動の外周となる側に食品を投入するための開口が設けられており、
前記油槽は、前記掻揚げ部材が前記油槽内に位置したときに前記開口に対応する位置に設けられて当該開口に蓋をする蓋部材を有し、
前記掻揚げ部材に投入された食品材料を油で加熱調理するフライヤー装置において、
前記蓋部材は前記油槽内を仕切るように配置され、当該油槽内の油が通過可能な通過孔が設けられていることを特徴とする。
【0008】
この発明によれば、掻揚げ部材は回動動作により油槽内にて開口が横に位置する姿勢となり、この開口は油槽に設けられた蓋部材で蓋がなされるが、蓋部材は油槽内を仕切るように設置されており、油槽内の油が通過可能な通過孔が設けられているため、掻揚げ部材内の油が蓋部材の通過孔を通過して流動する。これにより、食品材料の飛び出しを防止しつつも、蓋部材によって油の流動が阻害されることがなく、食品材料を均一に揚げることができる。
【0009】
また、前記蓋部材は油槽に対して着脱自在であることが好ましい。
【0010】
この発明によれば、蓋部材は着脱自在であるため、投入される食品材料に合わせて蓋部材を交換することができる。掻揚げ部材に投入される食品材料は大きさや形状が様々であるが、通過孔を食品材料に合わせた大きさや形状とした蓋部材を準備し、食品材料に合わせて蓋部材を交換すれば、食品材料の飛び出しを防止しつつも、その蓋部材の存在により油の流動が阻害される事態を効果的に回避することができる。また、油槽内の清掃や修理に際しては、蓋部材を取り外すことができるため、容易に作業を行うことができる。
【0011】
また、前記蓋部材は、前記油槽内壁において前記掻揚げ部材の開口と対向する面に当接する当接部を備えることが好ましい。
【0012】
油槽内において掻揚げ部材内の食品材料が開口側に移動すると、開口に蓋をしている蓋部材によりその飛び出しが防止されるが、この時、蓋部材には開口から離れる方向にて食品材料からの荷重がかかることとなる。この発明によれば、蓋部材には、油槽内壁面において掻揚げ部材の開口と対向する面に当接する当接部を備えることから、食品材料により蓋部材に荷重がかかったとしても、この当接部材により逆側から支持されることとなり、蓋部材が位置ズレすることがない。したがって、たとえ食品材料が蓋部材に押し寄せる事態となっても蓋部材が開口から離れることがなく、油の流動を確保しながらも食品材料の飛び出しが確実に防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、蓋部材は前記油槽内を仕切るように設置され、当該油槽内の油が通過可能な通過孔が設けられていることから、掻揚げ部材内の油が蓋部材の通過孔を通過して流動する。これにより、食品材料の飛び出しを防止しつつも、蓋部材により油の流動が阻害されることがなく、食品材料の揚げ上がり状態を均一にすることができる。
【0014】
また、食品材料は大きさや形状が様々であるが、蓋部材を油槽に着脱自在とすることにより、食品材料に合わせて蓋部材を交換することができる。食品材料を通過させず、且つ、油が十分に流動する大きさや形状の通過孔を形成した蓋部材を準備しておけば、食品材料に合わせて選択的に使用でき、食品材料の飛び出しを確実に防止しつつ、油の流動が阻害される事態も効果的に回避することができる。
【0015】
また、蓋部材に、前記油槽内壁面において前記掻揚げ部材の開口と対向する位置に当接する当接部が設けることにより、食品材料により蓋部材に荷重がかかったとしても、当接部材により逆側から支持されて蓋部材が位置ズレすることがない。したがって、たとえ食品材料が蓋部材に押し寄せる事態となっても蓋部材が開口から離れることがなく、油の流動を確保しながらも食品材料の飛び出しを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を図面にもとづいて説明する。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本発明の第1の実施の形態であるフライヤー装置を示す全体斜視図であり、図2と図3は、装置内構造を示す断面図である。本発明に係る実施の形態は、コンビニエンスストア等の小売店のレジ近傍に配置されて、フライドポテトやコロッケ等を加熱調理する小型のフライヤー装置1であり、内部に油を貯留する油槽2と、一方に食品の出入り口となる開口7aを有し、油で加熱調理された食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材7と、蒸気をクリーンにする浄化手段11等を備える。操作する正面側1sには、食品材料が投入される投入部3aがその蓋部材3fとともに設けられるとともに、浄化手段11の各フィルタF(F1〜F6)を交換するためのフィルタ交換口4faがその蓋部材4fとともに設けられている。また、フライヤー装置1の正面側1s下方には、加熱調理された食品材料を取り出すための取り出し口がその蓋部材5fとともに設けられている。また、正面側1sの下方は、片側開きの開き扉10が形成され、この開き扉10から内部の油槽2や排出プレート12を外部に取り出すことが可能になっている。なお、フライヤー装置1の開き扉10の上方位置には、操作パネルssが配され、操作パネルssのボタン操作で自動的にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する。
【0018】
フライヤー装置1の底部1bには、油槽2や排出プレート12等が配置される。また、油槽2の上方には、仕切り板1c上をスライドしながら仕切り板1cに設けられた所定形状の穴を開閉するカバー8や、この所定形状の穴と連続する投入部3a等が配置されている。加熱調理するコロッケ等の食品材料は、投入部3aにその蓋部材3fを開けて投入される。投入部3aは、上記したように仕切り板1cに設けられた所定形状の穴と連続しており、この穴を上記カバー8が開閉する。カバー8が穴を塞いでいるとき、カバー8上に食品材料は一時保管された状態になり、カバー8を駆動手段M2によりスライドさせると、上記仕切り板1cの所定形状の穴から食品材料が油槽2に供給される。カバー8は、その取っ手8tと連結部材8kを介してモータM2と連結され、モータM2の駆動力を得てカバー8をスライドさせ、仕切り板1cに設けられた所定形状の穴の開閉を行う。
【0019】
油槽2は、開き扉10側からは奥の位置に配置されている。すなわち、片側開きの開き扉10を開放すると(図9)、手前側には排出プレート12が配され、その奥側に油槽2が配されている。油槽2は、直方体形状を呈する容器であり、フライヤー装置1の底部1b上において一対の凸部1p間に配され、この一対の凸部1pに沿うようにスライドして外に取り出すようになっている。油槽2は、上方が開口した容器であり、電気ヒータ2hが組み込まれて、油槽2の油(食用油)が加熱される。ここで、電気ヒータ2hは、油槽2の上縁部に沿って取り付けられている(図7(b))。油槽2は、開き扉10を開けて外部に取り出すことができ、この引き出し動作のための取っ手2tが油槽2の正面側の外周壁に設けられている。電気ヒータ2hは、油槽2内にも引き出され、油を直接加熱する。
【0020】
この油槽2は、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに、掻揚げ部材7の開口7aに対応する位置に設けられて開口7aに蓋をする蓋部材13を有する。図4は、油槽2内に取り付けられた状態の蓋部材13を説明するための斜視図であり、図5はその断面図であり、図6は、蓋部材13の斜視図である。蓋部材13は、金属板や鋼鉄板により形成されており、被覆部13bと当接部13cと固定部13dとを備える。
【0021】
蓋部材13の被覆部13bは、掻揚げ部材7が油槽2内に位置したときに開口7aを被覆して塞ぐ部分であり、掻揚げ部材7の回動動作を阻害しないように開口7aとの間には若干の間隙を有する。掻揚げ部材7の開口7aに対応する面は掻揚げ部材7の開口を覆うことが可能な形状であり、開口7a側の面は矩形曲面形状、後述する掻揚げ部材7の回動方向の断面においては凹状の円弧形状を呈する。被覆部13bには、複数の通過孔13aが形成されている。通過孔13aは、掻揚げ部材7内に入れられる食品材料が通過しない程度の大きさであり、被覆部13bに密に設けられている。本実施の形態では、上側の領域の通過孔13aは小さく、下側の領域の通過孔13aは大きく設けられている。各通過孔13aは油の流動促進の観点からより大きく形成するのが好ましいが、油槽2内の油の上側には小型の食品材料が浮き上がるため、上側の領域では通過孔13aを小さく形成することにより、浮いてきた食品材料やカス(油カスや天カス)が掻揚げ部材7から流出するのを防止できる。被覆部13bの下端と油槽2内壁との間には間隙g1が形成されている。
【0022】
当接部13cは、油槽2内壁において掻揚げ部材7の開口7aと対向する内壁面2aに当接する部分である。これにより、被覆部13b側から荷重が加えられても、被覆部13bが逆側から支持されて蓋部材13の位置ズレが防止されている。本実施の形態では、二つの金属板を用いており、各金属板が被覆部13bの内壁面2a側の面に間隔を設けて配され、一端は上側の領域が被覆部13bと連結されており、他端は油槽2の内壁面2aに当接した状態となる。被覆部13bの下側の領域においては非連結であり間隙g2が形成されているが、間隙g2は十分に狭いものであり、仮に食品材料から大きな荷重が加わったとしても、被覆部13bの撓みにより当接部13cと接触して支持されるようになっている。また、当接部13cの下側には切り欠きが設けられており、油槽2内壁との間に間隙g3が形成されている。なお、当接部13cにも通過孔13aを形成し、より油の流動性を高めることが好ましい。
【0023】
固定部13dは、蓋部材13を油槽2内に着脱自在に固定する機能を有し、油槽2の外周縁に嵌合するように断面コ字状に屈曲した形状を呈する。この固定部13dを油槽2の外周縁に掛け下げるように嵌め込むことで、蓋部材13を油槽2に着脱自在に取り付け可能となっている。
【0024】
この蓋部材13は、油槽2内を仕切るように配置される。このため、油槽2内には、被覆部13bと当接部13cとに囲まれたスペースS1と、掻揚げ部材7が配置されるスペースS2とに分けられるが、両スペースS1,S2は通過孔13a、及び、間隙g1,g2,g3によって連通しており、これによりスペースS1とスペースS2との間で油の流動が可能となっている。なお、油槽2内の油は電気ヒータ2hにより加熱されるが、電気ヒータ2hは、この二つのスペースS1、S2内の油の温度が異なることなく、均一な温度となるように配されていることが好ましい。本実施の形態では、油槽2内底面の全体に亘ってジグザグに配されている。
【0025】
排出プレート12は、断面凹状を呈する鋼鉄製の部材であり、上方が開口されており、この開口から掻揚げ部材7が回動して排出プレート側に回動すると、斜め下方に設けられるようになり、食品材料を断面凹状の排出プレート12の中央の平坦部12aに排出する。この排出プレート12としては、上記平坦部12aに油取りシートを配したり、外周にパンチングメタルや網目状の部材に多数の孔を形成したものを使用することが可能である。
【0026】
掻揚げ部材7は、一側面が食品材料を受け入れるために開口したカゴ型に形成され(以下この開口を開口7aとする)、この掻揚げ部材7ごと食品材料を油槽2に浸漬させるとともに油槽2から取り出すもので、パンチングメタルや網目状の部材に多数の孔が形成されている。掻揚げ部材7は、底部とその外周の側壁部とからなる長方形状であり、上方側の一側面が開口7aとして形成されている。この開口7aを形成する側壁部の端部は、油槽2の蓋部材13と合致するように、回動方向に沿う辺(左右の辺)が円弧形状を呈し、回動方向に直行する辺(上下の辺)は左右の円弧形状の辺を結ぶ直線形状を呈している。油槽2の円弧状の蓋部材13と合致する。なお、円弧状に形成されている理由は、掻揚げ部材7の回動動作に対応させて、蓋部材13と開口7aとの間に形成される間隙を狭くするとともに、油槽2の底に揚げカスが溜まらないように上方に掻き揚げるためである。このためには、パンチングメタルよりも網目状のもので容器型の掻揚げ部材を形成するほうが好ましく、揚げカスの排出が容易で衛生的に保つこともできる。
【0027】
掻揚げ部材7の底部側には、軸7jとの連結部としてくの字状に形成された基端部7eが設けられ、この基端部7eにモータM1の駆動力が伝達される軸7jが取り付けられている。この軸7jをモータM1が駆動させることにより容器型の掻揚げ部材7は回動する。すなわち、掻揚げ部材7は、油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、この軸7jが油槽2の上縁部、すなわち、油槽2の正面壁の上方の支持部材2cに回転可能に取り付けられている。本実施の形態の掻揚げ部材7は、図3の油槽2内に位置する位置(符号7A)から油槽外の排出プレート12上の位置(符号7D)までに亘って回動するもので、その回動角度は、油槽2内に位置する位置(符号7A)を基準にして約200度程度回動する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されている。これは、開き扉10を開き油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除するため、つまり油槽2を外部に取り出す方向に切り欠かれた連結部材7kから上記軸7jを抜くことを可能にする工夫である。
【0028】
このような掻揚げ部材7は、油槽2内では長方形状の掻揚げ部材7を寝かせるように横長の状態に配置される(図3の符号7A)。この状態にて、開口7aが蓋部材13の被覆部13bと合致し、開口に蓋がされる。
【0029】
油槽2内から油槽2外に亘って回動する際においは、余分な油を切るための位置(図3の符号7Bの位置)では縦長の状態になりその回動動作が一時停止する。この位置7Bでは一旦停止するが、余分な油が除去されると、掻揚げ部材7は、排出プレート12上で一側面の開口7aがやや下を向く位置まで回動する。一方、油槽2に入れる前に投入部3aから食品材料を受けるときは、掻揚げ部材7はやや斜めの位置、つまり図3の符号7Cの位置で停止して食品材料を受け取る。
【0030】
したがって、本実施の形態のフライヤー装置1により実際にフライドポテトやコロッケ等を加熱調理する場合には、コンビニエンスストアのレジ近くに来た客の注文により、投入部3aにその蓋部材3fを開けて食品材料(冷凍のフライドポテト等)を供給する。投入部3aはカバー8により油槽2との間が仕切られているので一時的に食品材料は投入部3aに貯留されるが、カバー8をその駆動手段M2によりスライドさせると、食品材料は掻揚げ部材7にその上方開口から投入される。当初掻揚げ部材7はその開口7aを斜め上方に向けて配置され、投入部3aの底部開口と連続するように配置されている。つまり図3の符号7Cの位置で停止している(図7(a))。そして、掻揚げ部材7をモータM1により駆動させると、軸7jを中心に回転して掻揚げ部材7はその容器形状のまま油槽2に浸漬される。ここで、掻揚げ部材7をゆっくりな回動動作で浸漬させることにより油の飛散を防止するが、この掻揚げ部材7には多数の穴が形成されていることから、それ自体でも従来の掻揚げ部材よりも油の飛散を抑制する効果は大きい。このように掻揚げ部材7はその容器形状のまま油槽2に浸漬されるので、従来装置のように食品材料が油面上に浮き上がるような事態を防止することができ、そのため、食品材料の全体、すべての面が加熱調理され、又、中身までも十分に加熱されることとなる。
【0031】
油槽2には掻揚げ部材7の開口7aと対応する蓋部材13が形成されていることから、一側面7aが開口した容器型の掻揚げ部材7を容器ごと油の中に浸漬させた状態において、一側面7aの開口から食品材料が飛び出すような事態が防止される。さらに、蓋部材13には複数の通過孔13a,,,13aが設けられていることから、この通過孔13a,,,13aを油が通過して流動する。したがって、蓋部材13によって食品材料の飛び出しを防止しつつも、熱対流等による油の流動が阻害されることがなく、揚げムラを防止することができる。蓋部材13には、油槽2内のスペースS1,S2の間を連通させる間隙g1,g2,g3が設けられており、油は間隙g1,g2,g3も通過可能であるため、更に油の流動が促進されて高い効果が得られる。たとえ、掻揚げ部材7内の食品材料が被覆部13bに押し寄せたとしても、被覆部13bは当接部13cにて逆側から支持されているため蓋部材13が位置ズレすることがなく、食品材料の飛び出しを確実に防止しすることができる。
【0032】
油に浸漬された食品材料は、所定時間経過後、つまり油によって加熱調理された後は、これを取り出すためにモータM1の駆動により軸7jが回転して、横長状態から縦長状態に移動する(図3の符号7B)。これにより掻揚げ部材7の内部の食品材料はその位置を徐々に変化させて表面に付着している油が除去される。すなわち、加熱調理された食品材料は、横長状態の符号7Aの位置からその姿勢を徐々に変化させて、縦長状態に変化するので(図3の符号7B)、内部の食品材料はその動きに合わせて移動して、余分に付着する油を除去する。したがって、従来のように掻揚げ部材7に振動を加えなくとも、食品材料の表面に付着した余分な油を除去することとなる。除去された油は掻揚げ部材7の底部側から油槽2に落下する。
【0033】
表面の油が除去された食品材料は、容器型の掻揚げ部材7のまま投入部7aの位置(図3の符号7C)を通過して排出プレート12の位置まで回動動作すると(図3の符号7Dの位置:図7(b)と図8参照)、掻揚げ部材7の開口7aが斜め下方に向けられ排出プレート12に排出される。排出された食品材料は、取り出し口の蓋部材5fを開けて取り出す。すなわち、加熱調理された食品材料を箸等の挟持具で挟んで紙コップ等の容器に投入して、客に提供することとなる。
【0034】
油槽2内の清掃や修理等を行うときは、まず、掻揚げ部材7の軸7jと連結部材7kとの連結を解除して油槽2から掻揚げ部材7を取り外し、次に蓋部材13を取り外す。これにより、清掃や修理等を容易に行うことができる。
【0035】
ここで、油で加熱調理する際に生じる油煙は、仕切り板1cに取り付けられた誘導管Uからダクト(油分除去管)H,ダクト(冷却装置)C,ダクト22等を経てフィルタF1〜F6を有する浄化手段11に導かれ、清浄化されて排出口Qaから排出される(図2と図3)。
【0036】
油槽2の油を交換するときには、図9に示すように、上記開き扉10を開けて、排出プレート12を取り出した後、油槽2の取っ手2tに手をかけて一対の凸部1pに沿うようにスライドして外に取り出し、油を交換する。ここで、掻揚げ部材7の軸7jは、先端部が切り欠かれた連結部材7kにより挟まれた状態でモータM1の駆動軸と連結されていることから、油槽2を外部に取り出すときに、掻揚げ部材7との連結状態を容易に解除することが可能であり、他方、連結させることも容易である。
【0037】
(他の実施の形態)
本発明の他の実施の形態は、上記実施の形態の蓋部材13の通過孔13a,,,13aのバリエーションの例である。調理される食品材料は、フライドポテト等のように細長くて小さなものから、フライドチキン等のようにある程度の大きさを有するものまで様々である。このため、食品材料の飛び出しを防止しつつ、効率的に油の流動の阻害を回避するには、通過孔13aの大きさや形を食品材料に合わせて形成することが好ましい。図10は、蓋部材13のバリエーションを説明する説明図である。通過孔13aは、食品材料を通過させず、且つ、油を活発に流動させる意味でより大きく形成することが好ましい。図10(a)は、フライドポテト等のような小さい形状の食品材料用の蓋部材13Aであり、図10(b)は、フライドチキン等のようなある程度の大きさを有する食品材料用の蓋部材13Bであり、図10(c)は、網目状の部材で構成された蓋部材13Cである。フライドポテト等のような小さい食品材料の場合は、その食品材料が通過しない程度の小さい通過孔13aを形成することにより、小さな食品材料でも飛び出すことがなく、且つ、通過孔13aを密に形成することで油の流動を阻害する事態を防止することができる。フライドチキン等のようなある程度の大きさを有する食品材料の場合は、食品材料が通過しない程度の大きさの通過孔13aを形成することで、大きな通過孔13aにより油の流動の阻害を効果的に防止することができる。また、蓋部材13を網状の部材で構成することにより、通過孔13aをより広くすることができ効果的である。この場合も、食品材料により網の目の形状や大きさを適宜調整することが好ましい。なお、掻揚げ部材7の孔の大きさや形状と上記通過孔13aの大きさや形状と一致させたり、下方側から上方に向かって掻揚げ部材7の孔と上記通過孔13aをその大きさや形状に変化を加えるものであっても良い(例えば下方側から上方に向かって掻揚げ部材7の孔と上記通過孔13aが徐々に大きくなる等)。
【0038】
かかる蓋部材13を使用するときは、予め複数のバリエーションの蓋部材13を準備しておき、必要に応じて適切な蓋部材13を選択して使用する。まず、油槽2内に、蓋部材13を取り付け、次に、掻揚げ部材7の軸7jと連結部材7kとを連結させて掻揚げ部材7を取り付ける。蓋部材13は固定部13dにより着脱自在に取り付けられているので、簡単に交換することができる。複数種類の食品材料を調理するときは、最も小さい食品材料に合わせて蓋部材13を選択すれば良い。
【0039】
なお、本実施の形態では、蓋部材は、主に金属板に正円形の通過孔を形成したものを例に説明したが、それに限られることはなく、例えば、通過孔を楕円形や四角形状や他の形状としても良い。また、蓋部材は、上記形状に限らず、その機能が発揮されるものであれば、どのような形状でも良い。蓋部材の交換が不要であれば着脱自在にすることなく、蓋部のみから構成される蓋部材を油槽に接着固定しても良い。また、材料も金属に限らず、油槽内の環境に対して耐性を有するものであれば良い。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の第1の実施の形態であるフライヤー装置を示す全体斜視図である。
【図2】上記第1の実施の形態の内部構造を示す斜視図である。
【図3】上記第1の実施の形態の内部構造を示す断面図である。
【図4】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す斜視図である。
【図5】上記第1の実施の形態の油槽に蓋部材を取り付けた状態を示す断面図である。
【図6】上記第1の実施の形態の蓋部材の斜視図である。
【図7】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材の動作を説明する斜視図である。
【図8】上記第1の実施の形態の掻揚げ部材が排出プレート上に回動した状態を示す断面図である。
【図9】上記第1の実施の形態の開き窓を開けた状態を示す斜視図である。
【図10】他の実施の形態の蓋部材を示す斜視図であり、(a)は小さい食品材料用の蓋部材、(b)は大きい食品材料用の蓋部材、(c)は網目状の蓋部材である。
【符号の説明】
【0041】
1 フライヤー装置、
2 油槽、
3a 投入部、3f 投入部の蓋部材、
7 掻き揚げ部材、
7A,7B,7C,7D 掻揚げ部材が停止する位置、
7k 連結部材、7j 軸、
8 カバー、
10 開き窓
11 浄化手段、
12 排出プレート、
13,13A,13B,13C 蓋部材、
13a 蓋部材の通過孔、13b 被覆部、13c 当接部、13d 固定部、
F フィルタ、F1〜F6 フィルタ、
g1〜g3 間隙
S1,S2 油槽内のスペース


【特許請求の範囲】
【請求項1】
油を貯留する油槽と、油槽中の食品材料を掻き揚げる掻揚げ部材とを備え、
前記掻揚げ部材は、多数の孔が形成されたカゴ型を呈し、前記油槽内から油槽外に亘って回動可能に軸支され、当該回動の外周となる側に食品を投入するための開口が設けられており、
前記油槽は、前記掻揚げ部材が前記油槽内に位置したときに前記開口に対応する位置に設けられて当該開口に蓋をする蓋部材を有し、
前記掻揚げ部材に投入された食品材料を前記油槽内の油で加熱調理するフライヤー装置において、
前記蓋部材は前記油槽内を仕切るように配置され、当該油槽内の油が通過可能な通過孔が設けられていることを特徴とするフライヤー装置。
【請求項2】
前記蓋部材は油槽に対して着脱自在であることを特徴とする請求項1記載のフライヤー装置。
【請求項3】
前記蓋部材は、前記油槽内壁において前記掻揚げ部材の開口と対向する面に当接する当接部を備えることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のフライヤー装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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