説明

フラットケーブルハーネス

【課題】断線保護機能の維持と横糸除去処理簡素化とを両立させたフラットケーブルハーネスを提供する。
【解決手段】複数の電線2がフラット状に並べられ、これら電線2を縦糸とし樹脂繊維糸3を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネス1において、電線2の長手方向に樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4と樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5とが形成された。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断線保護機能の維持と横糸除去処理簡素化とを両立させたフラットケーブルハーネスに関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機、ノートパソコン、薄型液晶テレビ、PDA(携帯情報端末)、カメラ、プリンタ等の電子機器において折り畳み自在構造(開閉式)になっている本体と液晶ディスプレイ表示部との間をつなぐ信号伝送用配線材には、従来、FPC(フレキシブルプリント基板)が使われている。FPCは、可撓性があるため開閉に耐えられると共に、フィルムで構成されているので、フラット状であり、薄型化された電子機器の内部に配置するには好適である。
【0003】
しかし、近年の電子機器には、その電子機器の一部と他の一部とが回動式、捻回式、スライド式になっており、かつ防水構造のものがある。また、近年の電子機器は、さらなる薄型化が急速に進められている。
【0004】
これら回動、捻回、スライドを行う可動部に適用されるケーブルハーネスとして、複数の細径化された電線をフラット状に並べ電線を縦糸としてポリエステル製横糸を織り込んだものが特許文献1に、複数の細径化された電線に横糸を織り込んで丸形状に束ねたものが特許文献2に記載されている。
【0005】
図9に、従来のフラットケーブルハーネス91を示す。フラットケーブルハーネス91は、複数の電線92をフラット状に並べ電線92を縦糸としポリエステル糸93を横糸をとして織り込んだものである。フラットケーブルハーネス91の両端末には、コネクタ94が取り付けられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−101934号公報
【特許文献2】特開2005−141923号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
FPCは、小さい曲げ半径での単純曲げには弱いため、大きな曲げ半径を作って曲げる必要がある。このため、薄型化される電子機器には適用できない。また、FPCは、フィルムで構成されているため、丸めてヒンジ内に通すことが不可能であり、捻回部に使用されるとフィルム上の配線回路にダメージが生じる。また、FPCは、捻回した状態では、電気特性が不安定であり、EMI(不要輻射)特性が劣化する。よって、FPCは、多様な可動部を設けて高機能化、多機能化する電子機器の可動部には適切でない。
【0008】
特許文献1,2のケーブルハーネスを可動部で使用する場合、このケーブルハーネスが内蔵される電子機器とケーブルハーネス中の電線とが回動、捻回、スライドによって擦れて電線が断線しないよう保護するために、横糸の織り込みピッチを密にする必要がある。
【0009】
しかし、ケーブルハーネスの両端それぞれにコネクタを接続するために、ケーブルハーネスの端末から所定長さまでの横糸を除去して電線を露出させる際、横糸の織り込みピッチが密であると、除去するべき横糸の量が多く、横糸除去処理に手間がかかる。この横糸除去処理の手間を減らすために横糸の織り込みピッチを粗にすると、前述した電線を断線から保護する機能が不十分になってしまう。
【0010】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解決し、断線保護機能の維持と横糸除去処理簡素化とを両立させたフラットケーブルハーネスを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために本発明は、複数の電線がフラット状に並べられ、これら電線を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネスにおいて、前記電線の長手方向に前記樹脂繊維糸の織り込みピッチが広い粗部と前記樹脂繊維糸の織り込みピッチが狭い密部とが形成されたものである。
【0012】
前記複数の電線中に、同軸線、絶縁ワイヤ、4心対角同軸線のいずれかが含まれてもよい。
【0013】
前記樹脂繊維糸に金属めっきが施されてもよい。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、断線保護機能の維持と横糸除去処理簡素化とを両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態を示すフラットケーブルハーネスの上面図である。
【図2】図1のフラットケーブルハーネスの横断面図である。
【図3】本発明のフラットケーブルハーネスの電線に用いられる同軸線の横断面図である。
【図4】本発明のフラットケーブルハーネスの電線に用いられる絶縁ワイヤの横断面図である。
【図5】本発明のフラットケーブルハーネスの電線に用いられる4心対角同軸線の横断面図である。
【図6】屈曲試験を説明する図である。
【図7】捻回試験を説明する図である。
【図8】スライド試験を説明する図である。
【図9】従来のフラットケーブルハーネスの上面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0017】
図1及び図2に示されるように、本発明に係るフラットケーブルハーネス1は、複数の電線2がフラット状に並べられ、これら電線2を縦糸とし樹脂繊維糸3を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネス1において、電線2の長手方向に樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4と樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5とが形成されたものである。フラットケーブルハーネス1の両端末では、各電線2が端末処理されてコネクタ6に接続されている。
【0018】
電線2には、図3に示した同軸線31、図4に示した絶縁ワイヤ41、図5に示した4心対角同軸線51などを用いることができる。
【0019】
図3に示されるように、同軸線31は、複数の導体素線を撚ってなる内部導体32と、内部導体32を覆う内部絶縁体33と、内部絶縁体33の外周に設けられた外部導体(シールド)34と、外部導体34を覆う外部絶縁体35とからなる。
【0020】
図4に示されるように、絶縁ワイヤ41は、複数の導体素線を撚ってなる導体42と、導体42を覆う絶縁体43とからなる。
【0021】
図5に示されるように、4心対角同軸線51であるLVDS用4心対角同軸線(Quad-X)51は、複数の導体素線を撚ってなる内部導体52を絶縁体53で覆った4本の絶縁ワイヤ54が対角に並べられ、その外周に内部ジャケット55、外部導体56、外部ジャケット57が順に設けられたものである。
【0022】
電線2の外径は、電子機器の薄型化に対応すること、電線2をヒンジ部に通すことを考慮すると、0.5mm以下が望ましい。
【0023】
電線2の本数は、一般的な携帯電話機の場合、同軸線31なら20〜70本、4心対角同軸線51なら5〜18本程度であるが、本発明は電線2の本数を限定しない。ここでは、10本の絶縁ワイヤ41が電線2として平行に並べられている。
【0024】
図1及び図2に示されるように、樹脂繊維糸3は、電線2がフラット状に並べられた電線群の並び順1番目の電線2の上から2番目の電線2の下に入り、2番目の電線2の下から3番目の電線2の上に出るというように、電線2の1本ごとに交互に上下して交差している。樹脂繊維糸3は、電線群の並び順1番目から10番目の電線2まで電線2と直角な方向に進み、そこで折り返されて電線2の長手方向に織り込みピッチを隔てた箇所まで長手方向に進み、並び順10番目から1番目の電線2まで前述と反対方向に進み、前述の上下交差とは上下関係が互い違いになるよう電線2の1本ごとに交互に上下して交差している。このように、1条の樹脂繊維糸3が電線群の電線2を1本ずつ縫って固定するような織り込みが長手方向に繰り返されている。
【0025】
非可動部となるコネクタ6の近傍(具体的にはコネクタ6から10mm以内の部分)は、いずれも樹脂繊維糸3の織り込みピッチが広い粗部4となっており、織り込みピッチPwは7〜13本/cmである。この織り込みピッチPwは、電線群をフラット状に保持すると共に、横糸除去処理を容易にすることができる。可動部となる両端末の中間(具体的にはコネクタ6から10mmを超えた部分)は、樹脂繊維糸3の織り込みピッチが狭い密部5となっており、織り込みピッチPnは14〜22本/cmである。この織り込みピッチPnは、電子機器とフラットケーブルハーネス1との擦れによるダメージを防ぎつつ、回動、捻回、スライドを円滑に行うことができる程度に柔軟性が得られる。
【0026】
樹脂繊維糸3としては、例えば、高抗張力繊維糸であるPET糸がある。PET糸は、直径15〜25μmの単線が複数本集合されたマルチ素線である。PET糸は、20%以上の伸びを得ることができるので、電線2に織り込む際にPET糸が電線2を締め付けて電線2にダメージを与えることがなく、耐熱性にも優れている。また、PET糸は、耐屈曲性及び耐引張性に優れるため、電子機器のヒンジ部で30万回以上の繰り返し曲げと捻りに耐えることができる。
【0027】
樹脂繊維糸3の太さの規格は、フラットケーブルハーネス1を電子機器の狭いヒンジ部に通すことができ、かつ、繰り返しの捻りに耐えられるよう、20〜100d(デニール)が望ましい。20d未満では破断強度が十分でなく、複数の電線2に織り込んだ後のフラットケーブルハーネス1の形状保持が難しい。一方、100dを超えると、樹脂繊維糸3が太くなりすぎて電線2の配列間隔が大きくなり、また、柔軟性が阻害される。
【0028】
この実施形態では、樹脂繊維糸3にCu又はAgの金属めっきが施されている。樹脂繊維糸3は、フラットケーブルハーネス1の両端末において、電線群からほぐされ、コネクタ6の側方にグランド(接地)線3aとして取り出されている。
【0029】
次に、本発明のフラットケーブルハーネス1の作用効果を説明する。
【0030】
従来の課題は、横糸の織り込みピッチが密であると横糸除去処理に手間がかり、横糸の織り込みピッチが粗であると断線保護機能が不十分になることであった。
【0031】
これに対し、図1のフラットケーブルハーネス1は、両端末においては織り込みピッチPwが広い粗部4となっており、両端末の中間においては織り込みピッチPnが狭い密部5となっている。したがって、コネクタ6を取り付ける両端末では横糸除去処理が簡素化され、両端末以外では断線保護機能が十分に維持される。
【0032】
図1のフラットケーブルハーネス1は、樹脂繊維糸3に金属めっきが施されているので、この金属めっき樹脂繊維糸3をグランド線3aに利用することができる。コネクタ6の接続先である電子機器の一部と他の一部(例えば、携帯電話機本体と表示部)の基板上のグランドに対してそれぞれグランド線3aを接続し、両部位のグランド電位を等しくすることができる。電子機器のグランドに繋がるコネクタ6のグランド端子にグランド線3aを接続してもよい。電線2が同軸線31又は4心対角同軸線51の場合、金属めっき樹脂繊維糸3を外部導体に接続するとよい。
【0033】
図1のフラットケーブルハーネス1は、樹脂繊維糸3に金属めっきが施されているので、この金属めっき樹脂繊維糸3からなるグランド線3aを電子機器のグランドに接続することにより、金属めっき樹脂繊維糸3が電線2の電磁シールドとなる。特に、電線2が絶縁ワイヤ41の場合、絶縁ワイヤ41が同軸線31と同様のシールド効果を得て、フラットケーブルハーネス1を高周波信号伝送に用いることができる。同軸線31よりも絶縁ワイヤ41のほうが安価であるので、フラットケーブルハーネス1の低コスト化が可能となる。
【0034】
電線2として同軸線31、絶縁ワイヤ41、4心対角同軸線51を混ぜて用い、これらを組み合わせた電線群を構成してもよく、例えば、電源供給用の電線2に絶縁ワイヤ41を用いる。この場合でも、これらの電線2を縦糸とし金属めっき樹脂繊維糸3を横糸として織り込むとよく、両端のグランド線3aを電子機器の両部位のグランドにそれぞれ接続することにより、シールド効果が得られる。
【0035】
本実施形態では、樹脂繊維糸3を電線2と直角に織り込んだが、樹脂繊維糸3は螺旋状、あるいはジグザグ状に織り込んでもよい。
【0036】
本実施形態では、樹脂繊維糸3を電線2の1本ごとに交互に電線2に交差させたが、樹脂繊維糸3は電線2を1本以上飛び越して電線2に交差させてもよい。
【0037】
本実施形態では、横糸として金属めっき樹脂繊維糸3を用いたが、横糸には樹脂繊維糸3に金属箔を巻き付けた金属箔糸を用いてもよい。
【0038】
本実施形態では、粗部4を端末から10mm以内としたが、粗部4や密部5の長さは本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。また、織り込みピッチPw,Pnも前述した範囲に限らず、本発明の主旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【実施例】
【0039】
本発明の効果を確認するため、本発明の実施例サンプルと比較例サンプルを製作し、評価試験を行った。
【0040】
・同軸線31を用いたケーブルハーネス
中心導体32は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この中心導体32の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる内部絶縁体33を形成した。この内部絶縁体33の外周にφ0.025mmスズめっき銅合金線を横巻して外部導体34を形成した。この外部導体34の周囲に肉厚0.03mmのPFAからなる外部絶縁体35を形成した。この同軸線31の外径はφ0.27mmである。
【0041】
長さ100mmの同軸線31を40本束ねて、55μm厚のPTFEテープを1/2ラップで巻いて比較例サンプルT1を製作した。
【0042】
長さ100mmの同軸線31を40本並列に配置し、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて最終外径60μmとした樹脂繊維糸3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、両端末の中間90mmは織り込みピッチPn=18本/cmの密部5として実施例サンプルS1を製作した。
【0043】
・4心対角同軸線51を用いたケーブルハーネス
中心導体52は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この中心導体52の周囲に0.025mmの肉厚でPFAからなる内部絶縁体53を形成し、絶縁ワイヤ54とした。4本の絶縁ワイヤ54を束ねて撚り合わせ、PFAからなる内部ジャケット55で抑え巻きし、この内部ジャケット55の外周にφ0.03mmスズめっき銅合金線を横巻きして外部導体56を形成し、外部導体56の周囲に、フッ素樹脂から成る0.04mm肉厚外部ジャケット57とした。この4心対角同軸線51の外径はφ0.44mmである。
【0044】
長さ100mmの4心対角同軸線51を10本束ねて、55μm厚のPTFEテープを1/2ラップで巻いて比較例サンプルT2を製作した。
【0045】
長さ100mmの4心対角同軸線51を10本並列に配置し、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて外径60μmとし、さらに厚さ1μmの銅めっきを施した金属めっき樹脂繊維糸(CuめっきPET糸;金属めっき高抗張力繊維糸)3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、両端末の中間90mmは織り込みピッチPn=18本/cmの密部5として実施例サンプルS2を製作した。
【0046】
・絶縁ワイヤ41を用いたケーブルハーネス
中心導体42は、φ0.02mmの銀めっき銅合金線を7本撚ったものである。この中心導体42の周囲に0.05mmの肉厚でPFAからなる絶縁体43を形成し、絶縁ワイヤ41とした。
【0047】
長さ100mmの絶縁ワイヤ41を40本並列に配置し、直径20μmのPET糸8本を撚り合わせて最終外径60μmとした樹脂繊維糸3を、ジクザグに織り込んだ。このとき、両端末から5mmまでは織り込みピッチPw=10本/cmの粗部4とし、両端末の中間90mmは織り込みピッチPn=18本/cmの密部5として実施例サンプルS3を製作した。
【0048】
次に、ケーブルハーネスに対する機械特性の評価試験について説明する。
【0049】
図6に示されるように、屈曲試験では、試料ケーブル61を曲げジグ62に挟み込み、曲げジグ62から垂下された試料ケーブル61の下端に錘63を取り付ける。曲げジグ62を#1のように90°左に回転させ、#2のように90°右に回転させて元に戻し、さらに、曲げジグ62を#3のように90°右に回転させ、#4のように90°左に回転させて元に戻す。これにより、試料ケーブル61は所定の引っ張り荷重がかけられた状態で左右に90°ずつの屈曲を繰り返し与えられることになる。
【0050】
試験速度は30回/分とした。屈曲角度は±90°とした。試験サイクルは#1→#2→#3→#4とした。荷重は0.3N(30gf)。曲げ半径は2mmとした。
【0051】
断線検知方法は、試料ケーブル61に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きる屈曲回数)とする。
【0052】
図7に示されるように、捻回試験では、試料ケーブル71を固定チャック部72と捻回チャック部73で把持する。固定チャック部72と捻回チャック部73との間が捻回部74となる。捻回チャック部73を#1のように180°左旋回させ、#2のように180°右旋回させて元に戻し、さらに、捻回チャック部73を#3のように180°右旋回させ、#4のように180°左旋回させて元に戻す。これにより、試料ケーブル71は捻回部74において左右に180°ずつの捻回を繰り返し与えられることになる。
【0053】
試験速度は30回/分とした。屈曲角度は±180°とした。試験サイクルは#1→#2→#3→#4とした。捻回部長さは10mmとした。
【0054】
断線検知方法は、試料ケーブル71に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きる捻回回数)とする。
【0055】
図8に示されるように、スライド試験では、試料ケーブル81にU字状の折り返し部82を形成する。試料ケーブル81の先端部83を#1のように折り返し部82のほうへ直線移動させ、#2のように折り返し部82と反対方向に直線移動させて元に戻す。これにより、試料ケーブル81は所定の長さ範囲にわたりU字状の折り返しを繰り返し与えられることになる。
【0056】
試験速度は30回/分とした。スライド内幅は4mmとした。試験サイクルは#1→#2とした。ストローク長は60mmとした。
【0057】
断線検知方法は、試料ケーブル81に常時数Vの電圧を加え、電流値が試験開始時に比べて20%低下した時点を寿命(断線が起きるスライド回数)とする。
【0058】
これらの評価試験を実施例サンプルS1〜S3及び比較例サンプルT1,T2について実施した結果、以下の評価が得られた。
【0059】
屈曲試験においては、比較例サンプルT1,T2は5万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は30万回以上でも断線せず、フラット状の形状も乱れなかった。
【0060】
捻回試験においては、比較例サンプルT1,T2は10万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は25万回以上でも断線せず、フラット状の形状は乱れなかった。
【0061】
スライド試験においては、比較例サンプルT1,T2は2万回で断線したのに対し、実施例サンプルS1〜S3は20万回以上でも断線せず、フラット状の形状は乱れなかった。
【0062】
以上の評価試験の結果から、本発明は、携帯電話機、ノートパソコン、薄型液晶テレビ、PDA(携帯情報端末)、カメラ、プリンタ等の電子機器に使用される電気特性、機械特性に優れるフラットケーブルハーネス1を提供することができることが分かる。
【符号の説明】
【0063】
1 フラットケーブルハーネス
2 電線
3 樹脂繊維糸(金属めっき樹脂繊維糸)
4 粗部
5 密部
6 コネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電線がフラット状に並べられ、これら電線を縦糸とし樹脂繊維糸を横糸として織り込まれたフラットケーブルハーネスにおいて、前記電線の長手方向に前記樹脂繊維糸の織り込みピッチが広い粗部と前記樹脂繊維糸の織り込みピッチが狭い密部とが形成されたことを特徴とするフラットケーブルハーネス。
【請求項2】
前記複数の電線中に、同軸線、絶縁ワイヤ、4心対角同軸線のいずれかが含まれることを特徴とする請求項1記載のフラットケーブルハーネス。
【請求項3】
前記樹脂繊維糸に金属めっきが施されたことを特徴とする請求項1又は2記載のフラットケーブルハーネス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−28952(P2011−28952A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−172306(P2009−172306)
【出願日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【出願人】(300055719)日立電線ファインテック株式会社 (96)
【Fターム(参考)】