説明

フリクション調整構造

【課題】 伸縮速度たるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときの減衰作用を安定させる。
【解決手段】 一方部材(1)と、この一方部材(1)に対向して相対移動可能とされる他方部材(2)と、この他方部材(2)あるいは上記の一方部材(1)に保持されて対向する上記の一方部材(1)あるいは他方部材(2)に摺接するフリクションリング11とを有してなるフリクション調整構造において、上記のフリクションリング11が上記の一方部材(1)と他方部材(2)との間における相対移動時に上記の一方部材(1)あるいは他方部材(2)に摺接しながら調整手段(12a,12b)によって上記の一方部材(1)あるいは他方部材(2)に対するフリクションを調整してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フリクション調整構造に関し、特に、流体圧緩衝器などの伸縮体における伸縮速度たるピストン速度が極微低速領域にあるときの減衰作用を安定させるフリクション調整構造の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
流体圧緩衝器などの伸縮体における伸縮速度たるピストン速度が極微低速領域にあるときの減衰作用となるフリクションを発生させるものとしては、たとえば、特許文献1および特許文献2に開示の提案がある。
【0003】
すなわち、特許文献1に開示の提案では、アウターチューブに対してインナーチューブが出没するフロントフォークにあって、たとえば、アウターチューブに保持される軸受が摺接するインナーチューブとの間に減衰作用たるフリクションを発生させる。
【0004】
また、特許文献2に開示の提案では、シリンダ体に対してロッド体が出没する油圧緩衝器にあって、シリンダ体側たるロッドガイドに配設される滑りブッシュが摺接するロッド体との間に減衰作用たるフリクションを発生させる。
【0005】
具体的には、特許文献1の提案では、アウターチューブの開口端部を形成しながらインナーチューブを挿通させるシールケース部に配設の軸受が単純な筒状に形成されるのではなく、改変されてなるとし、この軸受における改変部をインナーチューブが摺接して通過するときに発生するキャビテーションに起因するフリクションで減衰作用を具現化する。
【0006】
また、特許文献2の提案にあっては、シリンダ体の上端開口を閉塞しながら軸芯部にロッド体を貫通させるロッドガイド内に配設されて、ロッド体の外周に巻装される割りを有する滑りブッシュが外側に巻装のコイルスプリングによる締め付け力に基づくフリクションをロッド体との間に発生させる。
【0007】
それゆえ、上記の特許文献1に開示の提案にあっては、所望のキャビテーションを具現化できる形状を選択して、これをシールケース部に配設される軸受に具現化すれば足りる。
【0008】
また、上記の特許文献2に開示の提案にあっては、所望の締め付け力を具有するコイルスプリングを選択して、これをロッド体の外周に巻装される割りを有する滑りブッシュの外周に巻装すれば足りる。
【特許文献1】特開2007‐177879号公報(要約,特許請求の範囲,明細書中の段落0015,同0022,図2参照)
【特許文献2】特開平10‐141415号公報(要約,特許請求の範囲の請求項1,明細書中の段落0012,同0013,図2参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記した特許文献1に開示の提案にあっては、原理的には、キャビテーションに起因するフリクションの発生が可能になると言い得るが、その実施化にあって、些かの不具合があると指摘される可能性がある。
【0010】
また、上記した特許文献2に開示の提案にあっては、基本的には、コイルスプリングの締め付け力に起因するフリクションの発生が可能になると言い得るが、利用の実際を勘案すると、些かの不具合があると指摘される可能性がある。
【0011】
すなわち、特許文献1に開示の提案に関連してだが、流体圧緩衝器内に収容の作動油中には、元々空気などの気体が6〜12%含まれていることに起因して、キャビテーションが起こる。
【0012】
そして、流体圧機器内に収容の作動油の流速が早くなると、圧力が低下する部分を生じることがあるが、このとき、作動油自体が蒸気を発生したり、作動油中に気泡を発生(キャビテーション)させたりする。
【0013】
また、この作動油中の蒸気や気泡は、作動油の流れの中で圧力が急激に高圧化するところで急速に消滅し、このとき、局部的に数百気圧の高圧を発生して、配管などの金属材料を破壊(壊食)したり、 震動源になったり、騒音源になったりするもので、基本的には、流体圧機器自体に色々な悪影響を与える。
【0014】
このことからすると、上記した特許文献1に開示の提案にあって、フリクションを発生させるためのキャビテーションの利用は、言わば両刃の剣となるもので、軸受とインナーチューブとの間における隙間の設定が完全でないと、悪影響ばかりが際立つことになる危惧がある。
【0015】
一方、上記の特許文献1に開示されているところでもそうであるが、上記の特許文献2に開示されているところでは、ロッド体とこれに摺接する滑りブッシュとの間における相対移動の際に滑りブッシュとロッド体との間にフリクションが発生するが、このフリクションが発生する状態で相対移動時には、サージ圧が発生して、滑らかな移動が実現されず、たとえば、ゴツゴツ感として表出され、車両にあっては、乗り心地を悪化させる。
【0016】
この発明は、上記した事情を鑑みて創案されたものであって、その目的とするところは、流体圧機器などの伸縮体における伸縮速度たるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときの減衰作用を安定させて、たとえば、車両における乗り心地を改善し得て、その汎用性の向上を期待するのに最適となるフリクション調整構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記した目的を達成するために、この発明によるフリクション調整構造の構成を、基本的には、一方部材と、この一方部材に対向して相対移動可能とされる他方部材と、この他方部材あるいは上記の一方部材に保持されて対向する上記の一方部材あるいは他方部材に摺接するフリクションリングとを有してなるフリクション調整構造において、上記のフリクションリングが上記の一方部材と他方部材との間における相対移動時に上記の一方部材あるいは他方部材に摺接しながら上記の一方部材あるいは他方部材に対するフリクションを調整する調整手段を有してなるとする。
【発明の効果】
【0018】
それゆえ、この発明によるフリクション調整構造にあっては、一方部材と他方部材との間に配設されて一方部材と他方部材との間における相対移動時に一方部材あるいは他方部材との間でフリクションリングがフリクションを発生させる際に、調整手段によってそのフリクションを調整するから、一方部材と他方部材との間における移動速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときに、このフリクションリングが所定の減衰作用たる調整された、すなわち、サージ圧発生を回避したフリクションを発生させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、図示した実施形態に基づいて、この発明を説明するが、この発明によるフリクション調整構造は、流体圧機器などの伸縮体に具現化されるもので、図示するところでは、二輪車の前輪側に架装されて二輪車の前輪を懸架しながら二輪車の走行中に前輪に入力される路面振動を吸収する油圧緩衝器たるフロントフォークに具現化されている。
【0020】
そして、このフロントフォークは、図1に示すところでは、アウターチューブ1とインナーチューブ2とからなるフォーク本体が倒立型に設定される、すなわち、アウターチューブ1の下端側内にインナーチューブ2の上端側が出没可能に挿通されるが、この発明が意図するところからすると、図示しないが、アウターチューブ1の上端側内にインナーチューブ2の下端側が出没可能に挿通される正立型に設定されていても良い。
【0021】
また、図示しないが、このフロントフォークにあって、フォーク本体は、ハンドルを連結させるフォークブラケットを介してアウターチューブ1の上端側部を車体側に連結させ、インナーチューブ2の下端部に前輪を連結させる。
【0022】
そして、このフロントフォークにあって、フォーク本体は、内装する懸架バネS(図2参照)でアウターチューブ1内からインナーチューブ2が突出する伸長方向に附勢されると共に、近年のフロントフォークの多くがそうであるように、ダンパ(符示せず)を内蔵してなる。
【0023】
懸架バネSは、図示しないが、下端がインナーチューブ2のボトム端部に担持され、図2に示すように、上端が後述するダンパを構成するシリンダ体4の上端側部に定着されるバネ受3に係止されている。
【0024】
ちなみに、このバネ受3は、後述するダンパの外となるフォーク本体内のリザーバ室Rにあって、下端側をインナーチューブ2の内周に摺接させると共に上端側をシリンダ体3の外周に隣接させて、このリザーバ室Rにおける油面(図示せず)を境にする気室(図示せず)側と油中側との連通を開口3aで許容しながら油中側を加圧状態に維持するように機能する。
【0025】
なお、このバネ受3の上端は、シリンダ体4の外周に嵌着されたストッパリング31に連結のストッパ32に係止されている。
【0026】
ダンパは、フォーク本体の軸芯部に配設され、シリンダ体4と、このシリンダ体4に対して出没可能に連繋されるロッド体5と、このロッド体5に保持されて作動油が充満されるシリンダ体4内に摺動可能に収装されるピストン体6とを有してなる。
【0027】
そして、このダンパにおいて、ピストン体6は、シリンダ体4内にロッド側室R1とピストン側室R2とを画成すると共に、このロッド側室R1とピストン側室R2との連通を許容する伸側減衰バルブ6aと圧側減衰バルブ6bとを有してなる。
【0028】
そして、図示するダンパにあっては、シリンダ体4がアウターチューブ1の軸芯部に垂設され、ロッド体5がインナーチューブ2の軸芯部に立設されて倒立型に設定されているが、この発明の具現化にあっては、ダンパが正立型に設定されていても良い。
【0029】
なお、フォーク本体の伸縮時にダンパが同期して伸縮することもちろんであり、したがって、この発明でテーマとしているピストン速度は、フォーク本体における伸縮速度と同義である。
【0030】
一方、図示するフロントフォークにあっては、伸縮時に所定の減衰作用をする減衰部を有し、この減衰部は、たとえば、図示するように、ダンパにおいて、シリンダ体4内に摺動可能に収装されるピストン部に設けられ、あるいは、図示しないが、同じくダンパにおいて、シリンダ体4のボトム端部内に配設のベースバルブ部に設けられ、さらには、同じく図示しないが、シリンダ体4の外、すなわち、フォーク本体の外などに設けられる。
【0031】
そして、各減衰部は、たとえば、図示するピストン部で代表されるピストン体6に配備の減衰バルブ6a,6bのように、リーフバルブからなり、このリーフバルブにおける撓み作動で、所定の減衰作用を具現化するが、このリーフバルブからなる減衰バルブ6a,6bは、ピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときには、作動し得ずして減衰作用を具現化し得ないのが通例である。
【0032】
それゆえ、この発明によるフロントフォークがそうであるのはもちろんだが、前記した特許文献1にも開示されているように、凡そこの種のフロントフォークにあっては、伸縮速度が、すなわち、ダンパにおけるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときの減衰作用をフリクションによるとする。
【0033】
そこで、以下には、ダンパにおけるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときの減衰作用を具現化するこの発明によるフリクション調整構造について説明する。
【0034】
なお、この発明によるフリクション調整構造は、一実施形態では、ダンパにおけるシリンダヘッド部(図1参照)に具現化され、このとき、一方部材がシリンダ体4とされ、他方部材がロッド体5とされる。
【0035】
そして、この発明によるフリクション調整構造は、他の実施形態態では、フォーク本体におけるアウターチューブ1のシールケース部(図1参照)に具現化され、このとき、一方部材がアウターチューブ1とされ、他方部材がインナーチューブ2とされる。
【0036】
また、この発明によるフリクション調整構造は、さらに他の実施形態では、フォーク本体におけるインナーチューブ2内のバネ受部(図2参照)に具現化され、このとき、一方部材がインナーチューブ2とされ、他方部材がバネ受3とされる。
【0037】
先ず、この発明によるフリクション調整構造を具現化するダンパにおけるシリンダヘッド部は、シリンダ体4の開口端を閉塞するロッドガイド7を有し、このロッドガイド7の軸芯部にロッド体5を貫通させると共に、この発明によるフリクション調整構造を具現化するフリクション機構10を有してなる。
【0038】
ちなみに、このシリンダヘッド部についてであるが、フリクション機構10を有しない従前のシリンダヘッド部にあっては、ロッド体5の外周に摺接するシール8を有し、このシール8の配設でシリンダ体4内の作動油がこのロッドガイド7とロッド体5との間を介してシリンダ体4の外に漏出するのを阻止している。
【0039】
そこで、図示するダンパにあっても、ロッドガイド7がシール8を有して作動油の漏出を阻止するので、上記のフリクション機構10は、このシール8よりもシリンダ体4内側寄りに設けられている。
【0040】
なお、図示するシリンダヘッド部にあっては、上記のロッドガイド7に実質的にロッド体5を摺接させる有頭筒状に形成のガイド部71を連設させ、このガイド部71の頭部の内周にロッド体5の外周に摺接するブッシュ72を保持している。
【0041】
そして、上記のガイド部71は、図中での下端部となる筒部の先端部の外周に環状に形成のオイルロックピース73を有し、このオイルロックピース73が図示しないインナーチューブ2のボトム端部内に配設の有底筒状などに形成のオイルロックケースに対向するとともに、フォーク本体の最収縮作動時にこのオイルロックケース内に没入するようになって、クッション効果の発揮とオイルロック効果の発揮を可能にしている。
【0042】
また、上記のロッドガイド7は、シリンダ体4の開口端に螺着されているが、このロッドガイド7のシリンダ体4への螺着のとき、シリンダ体4の開口端部の内周にバネ受74を挟持し、このバネ受74に伸び切りバネS1の下端を定着させている。
【0043】
さらに、上記のロッドガイド7は、シリンダ体4の開口端との間に配設されるシール75を有し、シリンダ体4内の油圧がロッドガイド7とシリンダ体4の開口端との間を介してシリンダ体4の外に抜けるのを阻止している。
【0044】
一方、フリクション機構10は、図3に示すように、ロッド体5との間にフリクションを発生させるフリクションリング11を有すると共に、このフリクションリング11によるフリクションの大きさを調整可能にする調整手段を有してなる。
【0045】
そして、フリクションリング11は、図示するところでは、前記したロッドガイド7に形成されるケーシング部内に収装されると共に、このケーシング部内にあって、フリクションリング11が調整手段をロッド体5の軸線方向となるこのフリクションリング11の軸線方向に隣接させてなる。
【0046】
すなわち、先ず、フリクションリング11は、一定の締め代でその内周面をロッド体5の外周に摺接させ、この状態でロッド体5との間における相対移動時に所定のフリクションを発生させるもので、好ましくは、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの潤滑性に優れる材料から形成されるのが良い。
【0047】
それゆえ、このことからすると、このフリクションリング11の断面形状については、上記した所定のフリクションを発生する限りには、任意に構成されて良いが、図示するところでは、ほぼ矩形の断面を有するように形成されている。
【0048】
ちなみに、図4に示すところでは、フリクションリング11が断面をほぼ矩形にするように形成されながら内周面を異形面11aにし、このとき、この畏敬面11aに方向性を持たせることで、たとえば、図中でフリクションリング11がロッド体5に対して下降するようになるフォーク本体の収縮作動に所定のフリクションを発生させるように設定されても良い。
【0049】
つぎに、ケーシング部は、図示するところでは、ロッドガイド7と、このロッドガイド7の内周に嵌装される有底筒状に形成の蓋部76(図1参照)とで形成されるが、たとえば、ロッドガイド7と蓋部75とが一体形成されてなるとしても良い。
【0050】
そして、このケーシング部は、上記のフリクションリング11を収装することからすれば、任意に構成されて良く、基本的には、フリクションリング11を収装して、このフリクションリング11のロッド体5への摺接を可能にするように、開口をロッド体5の外周に対向させる横向き凹溝状に形成されていれば足りる。
【0051】
さらに、調整手段は、図示するところでは、Oリング12,12からなり、このOリング12,12は、フリクションリング11の移動方向の端面に隣接して、このフリクションリング11における摺動方向の移動を制御している。
【0052】
このとき、Oリング12,12は、フリクションリング11の移動方向の端部に形成された凹溝11b,11b内に収装された状態で、ケーシング部を形成するロッドガイド7における立ち上り部7aと上記の蓋部76の底部76aとの間に挟持されている。
【0053】
それゆえ、図示するフリクション機構10にあっては、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間における相対移動が開始されるとき、フリクションリング11が具有するフリクションのままであると、図5中のa線で示すように、サージ圧がたつが、上記の調整手段たるOリング12が潰れるように変形する場合には、その分、フリクションリング11のインナーチューブ2に対する移動が許容される状態になり、図5中のb線、あるいは、図5中のc線で示すように、サージ圧が低くなり、あるいは、サージ圧が解消されて、ロッド体5とフリクションリング11との間における相対移動が円滑に実現される。
【0054】
以上からすれば、この発明のフリクション機構10にあっては、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間における相対移動が開始されて、フリクションリング11がロッド体5に対して摺動する状況になるとき、先ずは、調整手段が作動して、フリクションリング11のロッド体5に対する摺動を発現させない。
【0055】
そして、調整手段の作動が限界になると、フリクションリング11がロッド体5に対して摺動を開始し、所定のフリクションを発生させ、フォーク本体における伸縮速度が、すなわち、ダンパにおけるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときに、所定の減衰作用を具現化する。
【0056】
その結果、前記した図5に示すように、フリクションの発生時にサージ圧がたたないから、フォーク本体の滑らかな摺動開始が可能になり、いわゆるフワフワ感の発生を阻止して、二輪車における乗り心地を向上させる。
【0057】
上記したところからすると、前記した特許文献2に開示の提案にあっては、滑りブッシュのロッド体に対する締め代をコイルスプリングで設定しているから、このコイルスプリングは、この発明に言う調整手段たるOリング12に該当しない。
【0058】
したがって、上記の特許文献2に開示の提案にあっては、ロッド体と滑りブッシュとの間おける相対移動の開始時に「先ずは、調整手段が作動して、フリクションリング11のロッド体5に対する摺動を発現させない」現象が発現されずして、言わばいきなりフリクションが発生することになり、サージ圧の低下や解消を期待できないことになる。
【0059】
図6に示すところは、Oリング13,13からなる調整手段がフリクションリング11の径方向の外周に隣接されてなり、それゆえ、この実施形態にあっては、フリクションリング11とロッド体5との間における相対移動が開始されるとき、フリクションリング11が具有するフリクションがいきなり発生するのではなく、先ずは、調整手段たるOリング13,13が径方向に押し潰されるように変形し、その分、フリクションリング11のロッド体5に対する移動が許容され、前記したサージ圧を発生させることなく、ロッド体5とフリクションリング11との間における相対移動が許容されて、両者間の相対移動が円滑に実現される。
【0060】
ちなみに、フリクションリング11は、基本的には、前記した図3に示すフリクションリング11と同様に構成されているが、調整手段たるOリング13,13は、フリクションリング11の外周側上下の隅部に形成された切り欠き溝11c,11c内に収装されている。
【0061】
なお、図示するところでは、フリクションリング11の外周に隣接される調整手段たるOリング13が上下の二本配置とされているが、この調整手段が機能するところからすれば、この二本配置に代えて、図示しないが、フリクションリング11の外周の中央に一本隣接配置されるとしても良い。
【0062】
図7は、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10がフォーク本体におけるアウターチューブ1に形成のシールケース部(図1参照)に具現化される実施形態を示すもので、以下には、これについて少し説明する。
【0063】
すなわち、この実施形態態では、前記したダンパにおけるシリンダヘッド部にこの発明によるフリクション調整構造が具現化されるのに代えて、あるいは、これに併せて、フォーク本体におけるアウターチューブ1のシールケース部に具現化される。
【0064】
ところで、フロントフォークにおいて、フォーク本体を構成するアウターチューブ1の図1中で下端部となる開口端部は、インナーチューブ2を出没可能に挿通させるが、シールケース部とされ、このシールケース部は、図1および図7に示すように、軸受101と、オイルシール102とを有し、さらには、ダストシール103と、フリクション機構10とを有してなる。
【0065】
軸受101は、フォーク本体にあって、言わば下方軸受とされてインナーチューブ2のアウターチューブ1に対する摺動性を保障するもので、アウターチューブ1内からインナーチューブ2が大きいストロークで突出するフォーク本体の最伸長時にもインナーチューブ2の外周が摺接するようにアウターチューブ1の上端側の内周に位置決められている上方軸受101a(図2参照)と同時にインナーチューブ2の外周に摺接する。
【0066】
軸受101が上記のような作動をすることを鑑みると、前記した特許文献1に開示の提案のように、フリクションを発生させるためとは言え、この軸受101を利用することは、好ましくないとも言い得る。
【0067】
つまり、軸受101は、インナーチューブ2のアウターチューブ1に対する摺動性を保障するから、この軸受101においてインナーチューブ2への摺接面が傷付くようなことは回避される必要がある。
【0068】
しかし、上記した特許文献1に開示されているところでは、軸受がキャビテーションによるフリクションを発生させるとしているので、キャビテーションについての設定に正確さを欠くと、キャビテーションによる悪影響、すなわち、軸受のインナーチューブに対する摺接面が破壊あるいは壊食され、そのため、インナーチューブの外周面が傷付き、作動油の漏れなどが誘発される危惧がある。
【0069】
このことからすると、特許文献1に開示の提案のように、フリクションの発生に軸受が構成要素とされることは、好ましくないと言い得ると共に、この発明では、上記の軸受101がフリクションを発生させる構成要素とされないので、上記したような作動油の漏れを危惧する必要はない。
【0070】
オイルシール102は、前記した軸受101に対して図中で下方に、すなわち、フォーク本体の外側に向けて直列されて、内周をインナーチューブ2に摺接させ、上方となるアウターチューブ1とインナーチューブ2との間の隙間A(図2参照)にある油、すなわち、フォーク本体内に収容される作動油であって、アウターチューブ1とインナーチューブ2との間における潤滑性を保障する油のアウターチューブ1における開口端部からのフォーク本体外への漏れを阻止する。
【0071】
このことから、このオイルシール102について、所定のシール機能を発揮する限りには、任意に構成されて良いが、図示するとことでは、上記した隙間A側に位置決められながらインナーチューブ2の外周に摺接して、上記した潤滑用の油の抜けを阻止すると共に外部からのダストの浸入を阻止している。
【0072】
また、前記した特許文献1の軸受をフリクションの発生の構成要素にする提案に関連してだが、同様に、上記したオイルシール102をフリクションの発生の構成要素とする提案をなし得るが、凡そ軸受101もそうであるように、オイルシール102には固有の機能があり、したがって、これらに手を加えて、フリクションの発生の構成要素にするとの提案には、その実施化にあって、些かの無理を強いる欠点があると言わざるを得ない。
【0073】
その点からすれば、この発明にあっては、軸受101およびオイルシール102の言わば既存の要素には、手を加えずして、フリクションを発生させるフリクション機構10を別途に設けるとするが、この方が実現可能性や信頼性が高いと言い得る。
【0074】
ダストシール103は、アウターチューブ1の外に露出するインナーチューブ2の外周に付着する泥砂を掻き落して、前記したオイルシール102側に侵入しないようにするもので、その限りには、任意に構成されて良い。
【0075】
ちなみに、このダストシール103に関連しても、前記した軸受101およびオイルシール102と同様に、フリクションの発生の構成要素とする提案をなし得るが、このダストシール103にも固有の機能があり、したがって、これに手を加えて、フリクションの発生の構成要素にするとの提案には、前記したところと同様に、その実施化にあって、些かの無理を強いる欠点があると言われるであろう。
【0076】
以上のような背景から、この発明にあっては、前述したが、アウターチューブ1における開口端部たるシールケース部に上記の軸受101,オイルシール102およびダストシール103を有する他にフリクション機構10を有してなる。
【0077】
そして、このアウターチューブ1のシールケース部に配設されるフリクション機構10は、インナーチューブ2との間にフリクションを発生させるフリクションリング11を有すると共に、このフリクションリング11によるフリクションの大きさを調整可能にする調整手段たるOリング12,12を有してなる。
【0078】
そして、フリクションリング11および調整手段は、前記した図3に示すところと同様に構成され、したがって、その構成が図3に示すところと同等となるところについては、図中に同一の符号を付するのみとして、その詳しい説明を省略し、以下には、差異がある部分について説明する。
【0079】
すなわち、この図7に示す実施形態にあっては、フリクションリングおよび調整手段を収装するケーシング部が三つの部品たる上下の上下のブッシュ14,15とカラー16とからなるとして、シールケース部における部品組立を容易にしている。
【0080】
ちなみに、ケーシング部は、前記した図3に示す実施形態の場合と同様に、フリクションリング11のインナーチューブ2への摺接を可能にするように、開口をインナーチューブ2の外周に対向させる横向き凹溝状に形成されている。
【0081】
また、このケーシング部は、図中で上下となる一対のブッシュ14,15とカラー16の三部材からなるが、要は、横向き凹溝状に形成されていれば足りるから、図示しないが、上記の三部材が一体構造に形成されてなるとしても良いのはもちろんである。
【0082】
そして、上方のブッシュ14とカラー16とを一体形成して、一部材にし、下方のブッシュ15と合せて二部材からなるとする場合には、上記した三部材からなる場合に比較して、また、上記した三部材が一体構造に形成されてなる場合と同様に、組立性が一層向上される点で有利となる。
【0083】
この図7に示す実施形態にあっても、サージ圧が低くなり、あるいは、サージ圧が解消されて、インナーチューブ2とフリクションリング11との間における相対移動が円滑に実現される。
【0084】
そして、この実施形態にあっては、アウターチューブ1の開口端部たるシールケース部にフリクションリング11が配設されるから、組立性を良くすると共に、爾後のメンテナンスの点でも有利になる。
【0085】
しかも、この発明にあっては、所定のフリクションを具現化するのに際して、たとえば、特許文献1に開示の提案のように、他の構成要素たるキャビテーションを利用してフリクションを調整する場合に比較して、キャビテーションを具現化する際に軸受のインナーチューブ2に対する摺接面が破壊あるいは壊食され、そのため、インナーチューブ2の外周面が傷付き、作動油の漏れなどの招来することになるのを危惧しなくて済む。
【0086】
図8は、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10がフォーク本体におけるインナーチューブ2内のバネ受部(図2参照)に具現化される実施形態を示すもので、以下には、これについて少し説明する。
【0087】
すなわち、この実施形態態では、前記したダンパにおけるシリンダヘッド部に、あるいは、フォーク本体におけるアウターチューブ1のシールケース部に、この発明によるフリクション調整構造が具現化されるのに代えて、あるいは、これに併せて、フォーク本体におけるインナーチューブ2内のバネ受部に具現化される。
【0088】
ところで、フロントフォークにおいて、バネ受3は、前記したように、下端に懸架バネSの上端を係止させるもので、下端部3b(図2参照)には、インナーチューブ2の内周に摺接するブッシュ33とフリクション機構10とを有してなる。
【0089】
そして、このバネ受3における上端部3c(図2参照)の上端が、前記したように、シリンダ体4の外周に嵌着されたストッパリング31に連結のストッパ32に係止されている。
【0090】
なお、このバネ受3にあって、下端にはバネシート34(図2参照)が隣接されていて、このバネシート34の外周がインナーチューブ2の内周に干渉しないのはもちろんであるが、このバネシート34に懸架バネS(図2参照)の上端が当接されている。
【0091】
ちなみに、このバネ受3は、ダンパの外となるフォーク本体内のリザーバ室R(図1参照)にあって、下端側をインナーチューブ2の内周に摺接させると共に上端側をシリンダ体3の外周に隣接させて、このリザーバ室Rにおける油面(図示せず)を境にする気室(図示せず)側と油中側との連通を開口3aで許容しながら油中側を加圧状態に維持するように機能する。
【0092】
ところで、この実施形態にあっても、フリクション機構10を構成するフリクションリング11および調整手段たるOリング12については、基本的には、前記した図3に示す実施形態の場合と同様に構成されてなるが、特に、フリクションリング11にあっては、外周面がインナーチューブ2の内周面に摺接している。
【0093】
それゆえ、この実施形態にあっても、フリクションリング11とインナーチューブ2との間で相対移動が開始されるとき、調整手段たるOリング12がインナーチューブ2の軸線方向に沿って押し潰されるようになって、サージ圧を低くし、あるいは、サージ圧を解消して、インナーチューブ2とフリクションリング11との間における相対移動を円滑に実現させる。
【0094】
以上からすれば、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10にあっては、一方部材と他方部材との間における相対移動が開始されて、フリクションリング11が、たとえば、他方部材に対して摺動する状況になるとき、先ずは、調整手段が作動して、フリクションリング11の他方部材に対する摺動を発現させない。
【0095】
そして、調整手段の作動が限界になると、フリクションリング11が他方部材に対して摺動を開始し、所定のフリクションを発生させ、フォーク本体における伸縮速度が、すなわち、ダンパにおけるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときに、所定の減衰作用を具現化する。
【0096】
それゆえ、この発明のフリクション調整構造にあっては、一方部材と他方部材との間における相対移動が開始されるとき、フリクションリング11が具有するフリクションのままであると、サージ圧がたつが、このフリクションリング11が有する調整手段たるOリング12が潰れるように変形する場合には、その分、フリクションリング11の他方部材に対する移動が許容されることになり、サージ圧が低くなり、あるいは、サージ圧が解消されて、フリクションリング11と他方部材、すなわち、一方部材と他方部材との間における相対移動が円滑に実現され、したがって、フロントフォークにおいて、フォーク本体の滑らかな摺動開始が可能になり、いわゆるフワフワ感の発生を阻止して、二輪車における乗り心地を向上させる。
【0097】
図9は、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10が流体圧緩衝器たるフロントフォークにおけるフォーク本体に収装のダンパ内に具現化される実施形態を示すもので、以下には、これについて少し説明する。
【0098】
すなわち、この実施形態態では、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10がダンパを構成するシリンダ体4、すなわち、具体的には、シリンダ体4におけるボトム端部を形成するケース部41とこのケース部41内に摺動可能に収装されるフリーピストン9との間に具現化される。
【0099】
ところで、フォーク本体内に収装のダンパにおいて、シリンダ体4内の言わば圧側室側にフリーピストン9を有する場合には、このフリーピストン9が附勢バネ91で附勢されることもあって、シリンダ体4内をいわゆる高圧傾向に維持することが可能になる。
【0100】
その結果、ダンパにおいて、たとえば、最伸長状態からか反転して収縮作動を開始するときに、フリーピストン9によってあらかじめ作動流体が収縮された状況におかれているから、減衰部による速やかな減衰作用の発現が可能になり、いわゆる作動遅れを発現させない上で有利になる.
ちなみに、附勢バネ91は、下端がフリーピストン9の背面側に担持され、上端が、詳しくは図示しないが、アウターチューブ1の上端開口を封止しながらケース部41の基端を連結させるキャップ部材に係止されている。
【0101】
また、このフリーピストン9にあっては、上下端部にシール92,93とブッシュ94,95を有して、ケース部41に対する液密性と摺動性とを保障している。
【0102】
上記したように構成されて上記した機能の発揮を期待できるフリーピストン9を有するところに、この発明のフリクション調整構造を具現化するのが図示する実施形態で、図示するところでは、ダンパにおけるシリンダ体4、すなわち、上記したケース部41がこの発明に言う一方部材とされ、このケース部41内に摺動可能に収装されたフリーピストン9がこの発明に言う他方部材とされている。
【0103】
そして、フリクション機構10は、詳しくは図示しないが、前記した図2、すなわち、図8に示すところと同様にように、フリーピストン9の外周に介装されて外周をケース部41の内周に摺接させるフリクションリング11を有すると共に、このフリクションリング11に調整手段たるOリング12が介装されてなるとしている。
【0104】
なお、調整手段たるOリング12は、前記した図8に示すところと同様に、フリクションリング11の摺動方向に沿うことになるフリクションリング11の上下端部に隣接されている。
【0105】
それゆえ、この実施形態にあっても、フリクションリング11と支対4たるケース部41との間で相対移動が開始されるとき、調整手段たるOリング12がケース部41の軸線方向に沿って押し潰されるようになって、サージ圧を低くし、あるいは、サージ圧を解消して、ケース部41、すなわち、シリンダ体4とフリクションリング11との間における相対移動を円滑に実現させる。
【0106】
以上からすれば、上記のフリクション機構10にあっても、一方部材と他方部材との間における相対移動が開始されて、フリクションリング11が、たとえば、他方部材に対して摺動する状況になるとき、先ずは、調整手段が作動して、フリクションリング11の他方部材に対する摺動を発現させない。
【0107】
そして、調整手段の作動が限界になると、フリクションリング11が他方部材に対して摺動を開始し、所定のフリクションを発生させ、フォーク本体における伸縮速度が、すなわち、ダンパにおけるピストン速度が0.05m/sec以下の極微低速領域にあるときに、所定の減衰作用を具現化する。
【0108】
それゆえ、この発明のフリクション調整構造にあっては、一方部材と他方部材との間における相対移動が開始されるとき、フリクションリング11が具有するフリクションのままであると、サージ圧がたつが、このフリクションリング11が有する調整手段たるOリング12が潰れるように変形する場合には、その分、フリクションリング11の他方部材に対する移動が許容されることになり、サージ圧が低くなり、あるいは、サージ圧が解消されて、フリクションリング11と他方部材、すなわち、一方部材と他方部材との間における相対移動が円滑に実現され、したがって、フロントフォークにおいて、フォーク本体の滑らかな摺動開始が可能になり、いわゆるフワフワ感の発生を阻止して、二輪車における乗り心地を向上させる。
【0109】
上記したところは、この発明のフリクション調整構造を構成するフリクション機構10がダンパにおけるシリンダ体4たるケース部41とこのケース部41内に収装のフリーピストン9との間に配設されるとしたが、これに代えて、図9中に破線図で示すように、上記のフリーピストン9とこのフリーピストン9の軸芯部を貫通するロッド体96との間に設けられるとしても良い。
【0110】
そして、このフリクション機構10がフリーピストン9とこのフリーピストン9の軸芯部を貫通するロッド体96との間に設けられる場合にあっても、上記したこの発明による特有の作用を期待でき、効果を期待できるのはもちろんである。
【0111】
前記した図7,図8および図9に示す各実施形態にあっては、調整手段たるOリング12がフリクションリング11の上下端に隣接される場合を例にして説明したが、この発明が意図するところからすれば、図7に示す実施形態にあって、前記した図6に示すように、調整手段たるOリング13がフリクションリング11の外周に隣接されるとしても良く、また、図8および図9に示す各実施形態にあっては、図示しないが、調整手段たるOリング13がフリクションリング11の内周に隣接されるとしても良く、それぞれの場合に、Oリング13における作用効果が上記のOリング12によるところと同様の作用効果となるのはもちろんである。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】この発明の一実施形態によるフロントフォークを一部破断して示す部分半截縦断面図である。
【図2】図1のフロントフォークの上方側部を図1と同様に示す図である。
【図3】この発明によるフリクション機構の一実施形態を示す部分拡大縦断面図である。
【図4】他の実施形態によるフリクションリングの縦断面図である。
【図5】この発明のフリクション機構によるフリクション特性図である。
【図6】この発明によるフリクション機構の他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図7】この発明によるフリクション機構の他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図8】この発明によるフリクション機構のさらなる他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【図9】この発明によるフリクション機構のまたさらなる他の実施形態を図3と同様に示す図である。
【符号の説明】
【0113】
1 アウターチューブ
2 インナーチューブ
3 バネ受
4 シリンダ体
5 ロッド体
10 フリクション機構
11 フリクションリング
11a 異形面
12a,12b 調整手段たるOリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方部材と、この一方部材に対向して相対移動可能とされる他方部材と、この他方部材あるいは上記の一方部材に保持されて対向する上記の一方部材あるいは他方部材に摺接するフリクションリングとを有してなるフリクション調整構造において、上記のフリクションリングが上記の一方部材と他方部材との間における相対移動時に上記の一方部材あるいは他方部材に摺接しながら上記の一方部材あるいは他方部材に対するフリクションを調整する調整手段を有してなることを特徴とするフリクション調整構造。
【請求項2】
上記のフリクションリングが上記の一方部材あるいは他方部材に摺接する摺接面を異形面としてなる請求項に記載のフリクション調整構造。
【請求項3】
上記の調整手段が上記のフリクションリングにおける摺動方向の端面にあるいは上記のフリクションリングの外周面に隣接するOリングからなる請求項1または請求項2に記載のフリクション調整構造。
【請求項4】
上記のフリクションリングが上記の一方部材あるいは他方部材に形成のケーシング内に収装されると共に、このケーシング内にあって、上記のフリクションリングが上記の調整手段を上記の一方部材あるいは他方部材の軸線方向にあるいは/および上記の一方部材あるいは他方部材の軸線方向を横切る方向に隣接させてなる請求項1,請求項2または請求項3に記載のフリクション調整構造。
【請求項5】
上記の一方部材および他方部材が流体圧緩衝器におけるシリンダ体およびこのシリンダ体に出没可能に挿通されるロッド体とされてなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のフリクション調整構造。
【請求項6】
上記の一方部材および他方部材がフロントフォークにおけるフォーク本体を構成するアウターチューブおよびこのアウターチューブに出没可能に挿通されるインナーチューブとされてなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のフリクション調整構造。
【請求項7】
上記の一方部材および他方部材がフロントフォークにおけるフォーク本体を構成するインナーチューブおよびこのインナーチューブ内に移動可能に収装されるバネ受とされてなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のフリクション調整構造。
【請求項8】
上記の一方部材および他方部材が流体圧緩衝器におけるシリンダ体およびこのシリンダ体内に摺動可能に収装されるフリーピストンとされ、あるいは、このフリーピストンおよびこのフリーピストンの軸芯部を貫通するロッド体とされてなる請求項1,請求項2,請求項3または請求項4に記載のフリクション調整構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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