説明

フリーアクセスフロアの床パネル構造

【課題】 木質系の床面が形成されるとともに、フリーアクセスの機能を維持しつつ床板の張り替えが容易かつ迅速に行えて施工性にも優れたフリーアクセスフロアの床パネル構造を提供することを課題とする。
【解決手段】 基礎面の上方に並べて敷設され、床下に配線スペースの確保が可能なフリーアクセスフロアを形成する金属製のフロアパネル2と、各フロアパネルの上面に、それぞれ個別に固着された非金属製の照射遮断板6と、照射遮断板の上面に配置され、テープ状の金属の表裏に感熱可塑性接着剤が塗布されたホットメルト接着剤8と、照射遮断板の上部に、ホットメルト接着剤を介して配置される木材或いは木質系材料からなる床板4,5とを有し、床板の上から操作される電磁誘導加熱器の高周波照射により、ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、床板を上記照射遮断板に接着した構造である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、床下に通信、電源等の配線スペースを収納するフリーアクセスフロアの床パネル構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、オフィス等には、コンピュータ、通信機器のケーブルの配線が可能となるように床面の下に配線スペースを設け、また配線を点検変更するためにフロアパネルを着脱可能としたフリーアクセスフロアが設置されている。このフリーアクセスフロアは、支持脚を介して基礎面の上方にフロアパネルを敷設し、基礎面とフロアパネルで形成される床面との間に配線などの空間が形成される二重床パネル構造(OAフロア)である。このフリーアクセスフロアのフロアパネルの材質としては、鋼板製、アルミダイキャスト製、窯業系、合成樹脂製等のものが用いられている。そして、このフリーアクセスフロアの上面にウール、ナイロン、ポリエステル、ポリプロピレン等のタイルカーペット敷設し、接着剤を用いて一体化したものが使用されている。
【0003】
また、タイルカーペットではなく木質床からなるフリーアクセスフロアが開発されており、特許文献1には、図9に示すように、パネル基板20の表面に、緩衝層等として機能する樹脂シート21と木質単板22からなる仕上材とを一体固定したフリーアクセスフロア用の床パネル23が開示されている。また特許文献2には天然木材を使用したOA床パネル開示されており、このOA床パネルの表面仕上げ材は、厚さ0.2mmから0.5mmの天然木突板を弾性裏打ち材の表面に貼着したものである。
【0004】
【特許文献1】特開平5−272227号公報
【特許文献2】特開2004−132071公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながらオフィスでは、上記タイルカーペット等を表面仕上げ材として敷設したフリーアクセスフロアでは、この表面仕上げ材が汚染や磨耗、傷等により張替が必要となり、このときカーペットを剥がす作業に大変な手間がかかるという問題がある。また上記床パネルに木材を用いたフリーアクセスフロアにおいても、木材の傷等により張り替えが必要な場合、これを剥がすために大変な労力がかかり作業性が困難であるという問題がある。さらに、フリーアクセスフロアを清潔感や落着間のある自然な感覚の木質床に仕上げたいという要望がある。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、木質系の床面が形成されるとともに、フリーアクセスの機能を維持しつつ床板の張り替えが容易かつ迅速に行えて施工性にも優れたフリーアクセスフロアの床パネル構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
以上の技術的課題を解決するため、本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造は図1,4等に示すように、基礎面の上方に並べて敷設され、床下に配線スペースの確保が可能なフリーアクセスフロアを形成する金属製のフロアパネル2と、上記各フロアパネルの上面に、それぞれ個別に固着された非金属製の照射遮断板6と、上記照射遮断板の上面に配置され、テープ状の金属の表裏に感熱可塑性接着剤が塗布されたホットメルト接着剤8と、上記照射遮断板の上部に、上記ホットメルト接着剤を介して配置される木材或いは木質系材料からなる床板4,5とを有し、上記床板の上から操作される電磁誘導加熱器の高周波照射により、上記ホットメルト接着剤8を誘導加熱して溶融し、上記床板を上記照射遮断板に接着した構成である。
【0008】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造において、上記床板4は、複数の上記フロアパネルにわたって配置されるとともに、上記ホットメルト接着剤と直交しかつこの床板の両端部がそれぞれ上記ホットメルト接着剤8の上部に位置するように設けられる構成である。
【0009】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造において、上記床板5は、上記フロアパネルと同様形状の単板からなる構成である。
【0010】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造において、上記床板4,5の側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成した構成である。
【発明の効果】
【0011】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造によれば、木質系で清潔感や落着間のある自然な感覚の床面が形成され、併せて電磁誘導加熱器の再照射により容易に所定のフロアパネルを覆う床板を剥がすことができるので、フロアパネルの取り外しも簡単に行うことができてフリーアクセスの機能が維持でき、しかも破損した床板の貼り替え等も容易に行えて施工性に優れるという効果がある。また、金属製のフロアパネルの上に照射遮断板を設けたことにより、ホットメルト接着剤が塗布された金属片のみが過熱され、金属製のフロアパネルの方に熱が逃げることないので、素早い施工が可能となるという効果がある。
【0012】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造によれば、床板を複数のフロアパネルにわたって配置される構成としたから、自然なフローリング感覚の床面が形成できるという効果がある。
【0013】
本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造によれば、床板をフロアパネルと同様形状の単板からなる構成としたから、施工性に優れまた床板の張り替えが容易であるという効果がある。
【0014】
また、本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造によれば、床板の側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成したから、任意の箇所からの床板の剥離及び床板の挿入が容易になり、施工性に優れるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明に係るフリーアクセスフロアの床パネル構造及びその施工方法の実施の形態を、図面を用いて詳細に説明する。この実施の形態に係るフリーアクセスフロアは、オフィス等におけるコンピュータ、通信装置等の通信配線などを床下に収納する二重床のOAフロアに適用される。
【0016】
図1に示すように、この実施の形態では、上記フリーアクセスフロアを形成するフロアパネル2の上に照射遮断板6を固着し、木材或いは木質系材料からなる床板4,5を電磁誘導加熱器の高周波照射により溶融するホットメルト接着剤8を用いて接着する。
【0017】
上記フリーアクセスフロアを構成するフロアパネル2は図1(a)に示すように、正方形状の板材であり、各四辺部にはフランジ部3が形成され、またこのフランジ部3には、取外し時のための操作具の係止凹部7が設けられている。このフロアパネル2は金属製(導電性)、或いは合成樹脂製等の非金属製(非導電性)のものがあるが、ここでは主に金属製材を用いたフロアパネル2について説明する。
【0018】
上記床板4,5は、床の仕上げ材であり、天然の木材或いは木質系材料(木粉と合成樹脂とを混練した再生木等)等からなる板材である。図1(b)に示すように、床板4は長尺状の板材でありこの長辺の長さはフロアパネル2の一辺より長い。また、図1(c)に示すように、床板5は一枚の板からなる単板であり、フロアパネル2と同様に正方形状であり寸法も等しい大きさに形成されている。そして図2(a)に示すように、床板4,5の四辺の側面部には、床板の表面部から裏面部に向けて内側に緩やかに傾斜(傾斜角度α)する平坦な傾斜面部10が形成されている。このとき図2(b)に示すように、床板4,5の側面部の形状は、床板の表面部から裏面部に向けた垂直部11を有し途中から内側に緩やかに傾斜する傾斜面部10が形成されるものであってもよい。
【0019】
この傾斜角度(α)は、床板4,5の表面に対して垂直な方向からの傾斜角を示すものであり、ここではα=5°程度(上記垂直部11を有する床板では10°程度)としている。この傾斜角度αは、隣接する床板4,5との摩擦の影響を考慮した場合にはαは2°以上が好適である。この傾斜角度αが0°の場合は、床板の表面に対して側面部は平坦な垂直面部が形成された形態となるが、実部はないので隣接する床板とは係止による拘束はない。
【0020】
上記床板4,5をホットメルト接着剤8を用いてフロアパネル2に貼着する場合、このフロアパネル2が非金属製の場合には問題がないが、フロアパネルが金属製の場合には、そのままでは電磁誘導による高周波照射によりフロアパネル2に熱が逃げてしまうため、ホットメルト接着剤8が塗布された金属の過熱が不十分となり接着剤が溶融しないことになる。このため、フロアパネル2が金属製の場合には、フロアパネル2に熱が逃げないように照射遮断板6を介在させる。
【0021】
図3(a)に示すように、上記フロアパネル2に固着する照射遮断板6は、非金属製(非導電性)の板状の材料を使用する。ここでは照射遮断板6として、ケイカル板(けい酸カルシウム板)或いは合板、合成樹脂板を用いる。必要により、この照射遮断板6に緩衝機能を持たせた材料を用いることもできる。また、上記照射遮断板6は、板厚(t)が5.5mm以上あれば、電磁誘導加熱器の高周波が遮断されるとともに、電磁誘導によるホットメルト接着剤8の加熱の際にフロアパネル2の方に熱が逃げないので、ホットメルト接着剤8が良好に加熱溶融されることが社内試験により確認されている。
【0022】
上記ケイカル板は、水酸化カルシウムと砂を主原料として板状に成型した耐火断熱材で、主に鉄骨を火災の熱から守るための耐火被覆材として優れ、また吸水性が少ないため、木質系床板と相性がよく好適である。また、ケイカル板は不燃材料であるため、不燃性の要求がある場合には特に有用である。不燃性の要求が無い場合には合板を用いることも可能である。図3(b)に示すように、フロアパネル2が非金属製の場合には、上記照射遮断板を用いる必要はない。このとき、緩衝材として合成樹脂等の非金属製(非導電性)の部材をフロアパネル2と床板4,5との間に介在させてもよい。
【0023】
上記ホットメルト接着剤8は図3(c)に示すように、テープ状の金属ベース12の表裏両面に感熱可塑性接着剤13を塗布したものである。この金属ベース12は、金属箔、金属プレートまたは金属ネット(金属としては、鉄、アルミニウム、ニッケル、ステンレス、亜鉛、銅、錫等がある)からなり、電磁誘導加熱器(床板の表面を移動操作するアイロン状の器具)による高周波磁束によって渦電流が誘導され、ジュール加熱される。ここでは、金属ベース12として強磁性体からなる金属箔を用い、この両面に感熱可塑性接着剤13が塗布されたテープ状のホットメルト接着剤8を使用する。このホットメルト接着剤8のテープ幅は40〜50mm程度である。
【0024】
この実施の形態に係る床パネル構造では、金属製のフロアパネル2が配置された基礎床の上部に照射遮断板6を介して床板4,5を敷設する。このフロアパネル2としては、通常500〜600mm四方の正方形状のものが敷設される(ここでは500mm四方)。フロアパネル2は、四隅部が支持脚14により支持されている。またこの実施の形態では、上記床板4の幅寸法はフロアパネル2の幅寸法の1/4〜1/2程度とし、床板4の長尺方向の寸法は、フロアパネル2の幅寸法の2〜3倍程度としている。また、単板の床板5はフロアパネル2と同形であり同寸法である。
【0025】
上記床板4,5の敷設に際しては、フロアパネル2(金属製の場合)の上部に照射遮断板6を貼着により固定する。この照射遮断板6は、フロアパネル2の上部を略覆う形状(正方形状)の板材である。フロアパネル2が合成樹脂等の非金属製の場合には照射遮断板6は用いない。
【0026】
図4は、上記長尺状の床板4を用いた床パネル構造を示したものである。施工に際しては、フロアパネル2の上部に上記照射遮断板6を貼着し、この照射遮断板6の上にテープ状のホットメルト接着剤8を配置する。このとき、適宜な間隔をおいてホットメルト接着剤8が一定間隔の平行な列状に配置できるように墨出しをする。この墨出しにおいては、上記ホットメルト接着剤8の上部に上記床板4の両端部(短辺部)が必ず位置し、床板4の両端部がホットメルト接着剤8によって確実に貼着固定できるように、ホットメルト接着剤8の配置位置と床板4の配置位置を決める。そして、上記墨出しに基づいて各フロアパネル2に固定した上記照射遮断板6の上にホットメルト接着剤8を配置する。
【0027】
上記ホットメルト接着剤8の配置間隔(D)は、フロアパネル2の幅寸法(W)より小さい間隔として、フロアパネル2には少なくとも1列以上のホットメルト接着剤8が配置されるようにしている。また、床板4の長さ(L)はホットメルト接着剤8の配置間隔(D)の整数倍(ここでは3倍、L=3×D)としている。このように床板4の長さ(L)をホットメルト接着剤8の配置間隔(D)の整数倍とすることで、床板4の端部がホットメルト接着剤8の上部に位置するようにしている。
【0028】
そして、上記照射遮断板6及びホットメルト接着剤8の上部に、ホットメルト接着剤8の配置方向と直交する向きに上記床板4を配置する。ここで、最初の一列目の床板4を貼りの基準とする場合には、配置位置が動かないように止着具で仮留めしておいても良い。二列目以降の床板4を配置する場合には、先の列の床板4の長辺側の側面部に、次の列の床板4の長辺側の側面部を隙間なく並べて配置する。
【0029】
各列には、複数の床板4が直線状に配置されるが、これら床板4同士についても、各短辺側の側面部同士を当接させ隙間のないように配置する。これら床板4の配置に際しては、上記ホットメルト接着剤8のテープ幅の略中央部の上に、床板4の端部が位置するようにする。以降の床板4についても、同様にして敷設し、また異なる列の床板4同士は千鳥状にずらして配置する。
【0030】
上記床板4を配置した後、電磁誘導加熱器を用いた誘導加熱接着により固定を行う。この電磁誘導加熱器は磁気センサーを内蔵しており、作業者は、この磁気センサーを利用してホットメルト接着剤8が配置された位置を確認し、その真上を照射する。この実施の形態では、強磁性体からなる金属ベースをホットメルト接着剤8に用いたことから、上記磁気センサーがこれを良好に検知でき、ホットメルト接着剤8の位置確認が正確かつ容易に行える。
【0031】
電磁誘導加熱器の照射後は、照射部に施工者の体重を乗せて圧締冷却固定を行う。貼り納め列の床板についても、電磁誘導加熱器による誘導加熱接着を行い、床板4の敷設施工の工程を完了する。このとき、床板4間は表面部同士が当接して密着しているが、下方の部位は床板間に隙間が形成される。通常、実継ぎにより床板同士を接合した場合には、実割れ等による床鳴りが発生するが、上記床板4は実継ぎの形態を採用してなく、また床板4同士が擦れ合う箇所が少ないため床鳴りが防止される。
【0032】
次に、通信装置の配置換え等により、所定のフロアパネル2を取り外して通信配線を変更する場合について説明する。このときには、図5に示すように、該当するフロアパネル2Rの上部に配置される床板4を剥がす。まず剥がす必要のある床板4を定め、この長尺状の床板4の短辺端部の下面部、また隣接する床板4の短辺端部のライン上には必ずホットメルト接着剤8が配置されていることから、この部分を目印として電磁誘導加熱器9を照射する。他に、電磁誘導加熱器に金属センサーが設けられているものを用い、金属センサーが感知する位置を確認して高周波を照射し、床板4を剥がすようにしてもよい。
【0033】
この剥離工程では図6に示すように、上記床板4をサッカー18等により吸着して上方向に引っ張りながら、床板4に電磁誘導加熱器9を再照射し、固化したホットメルト接着剤8を再度溶融して床板4を剥がす。このとき、床板4同士は、表面部のみが当接した状態であることから、剥離の際には隣接する床板4との摩擦の影響が少なくまた実部の無い形態であることから、容易に剥がすことができる。取り外すフロアパネル2が複数ある場合にも、同様にして該当する床板4を剥がす。
【0034】
そして、目標のフロアパネル2を覆う床板4を剥がし、フロアパネル2を照射遮断板6が固定されたままで取り外す。このフロアパネル2は、係止凹部7に操作具を介在させて引き上げ、これを取り除いた開口部から床下の通信配線等の配置換えの作業を行う。予定の作業が終えると、フロアパネル2をもとの位置に取付ける。そして、上記剥離箇所に基の床板4を敷設する。このとき、必要に応じて新しい床板4を用いてもよい。
【0035】
上記床板4を剥がした箇所に床板4を再度敷設する場合には、基のホットメルト接着剤8の接着力が低下している場合には、上記と同様に新しくホットメルト接着剤8を配置する。このとき、古いホットメルト接着剤8は除去しておく。敷設する床板4の側面部は、表面部から裏面部にかけて傾斜する傾斜面を有するように形成されているので、この床板4は剥がされた箇所に容易に挿入できる。そして、電磁誘導加熱器を用いた誘導加熱接着により固定を行い、床板4の張り替え工程を終了する。この施工によるフリーアクセスフロアでは、取り外したいフロアパネル2に関連する床板4のみの取り替えが可能となり、また床板4を剥がす除去作業も容易に行え、照射遮断板6を傷つけることもない。
【0036】
また、通信配線の変更とは関係なく、傷のついた床板4のみをリフォームすることも可能である。このときも、上記と同様にして該当する床板4を剥がし、そこに新しくホットメルト接着剤8及び新しい床板4を配置し、上記誘導加熱接着により床板4の張り替えを行う。この場合にも、床板4を剥がす除去作業が容易に行え、全体の仕上がりも良好である。
【0037】
図7は、他の配置形態に係る床パネル構造を示したものである。この床パネル構造では、上記ホットメルト接着剤8の配置間隔(D)を、フロアパネル2の幅寸法(W)の1/2の間隔としている。このため、一のフロアパネル2の照射遮断板6には2列のホットメルト接着剤8が配置される。また、床板4の長さ(L)はホットメルト接着剤8の配置間隔(D)の4倍(L=4×D)としている。このように床板4の長さ(L)、フロアパネル2の幅寸法(W)、ホットメルト接着剤8の配置間隔(D)を定めることにより、何れのフロアパネル2の照射遮断板6にも同位置にホットメルト接着剤8が配置される形態がとれ、施工の際に便宜が図れる。
【0038】
図8は、上記単板の床板5を用いた床パネル構造を示したものである。この床パネル構造の施工に際しては、まずフロアパネル2の上部に上記照射遮断板6を貼着し、この照射遮断板6の上にテープ状のホットメルト接着剤8を配置する。このとき、例えば上記ホットメルト接着剤8の配置間隔(D)を、フロアパネル2の幅寸法(W)の1/2の間隔とする。これにより、一のフロアパネル2の照射遮断板6には2列のホットメルト接着剤8が配置される。そして、上記照射遮断板6及びホットメルト接着剤8の上部に、上記床板5を配置する。この床板5は各フロアパネル2毎に、各フロアパネル2を覆う状態に配置する。
【0039】
上記床板5を配置した後、電磁誘導加熱器を用いた誘導加熱接着によりフロアパネル2への固定を行う。この電磁誘導加熱器は磁気センサーを内蔵しており、作業者は、この磁気センサーを利用してホットメルト接着剤8が配置された位置を確認し、その真上を照射する。電磁誘導加熱器の照射後は、照射部に施工者の体重を乗せて圧締冷却固定を行う。このとき、隣り合う床板5間は表面部同士が当接して密着しているが、下方の部位は床板間に隙間が形成される。
【0040】
なお、上記床板5はフロアパネル2毎に個別に接着することもできる。この場合には、フロアパネル2に貼着した照射遮断板6の上部に、所定の間隔(例えば二列)をおいてホットメルト接着剤8を配置し、これらの上部に床板5をフロアパネル2に揃えて重ね、電磁誘導加熱器を床板5の上から照射して接着する。この床板5を取付けたフロアパネル2は、個々に基礎面に並べて配置しフリーアクセスフロアを形成する。
【0041】
通信配線の変更等により、所定のフロアパネル2を取り外して通信配線を変更する場合には、電磁誘導加熱器を照射して目標のフロアパネル2を覆う床板5を剥がし、操作具を用いてフロアパネル2を照射遮断板6が固定されたままで取り外す。このとき、隣接する床板5同士は、表面部のみが当接した状態であることから、摩擦も少なく容易に取り外すことができる。また他に、上記床板5をサッカー18等により吸着して上方向に引っ張りながら、フロアパネル2とともに取り外すこともできる。
【0042】
予定の作業が終えると、フロアパネル2をもとの位置に取付ける。そして、もとの床板5を挿入し、電磁誘導加熱器を用いて床板5を接着する。このとき、敷設する床板5の側面部は、表面部から裏面部にかけて傾斜する傾斜面を有するように形成されているので、この床板5は剥がされた箇所に容易に挿入できる。
【0043】
また、通信配線の変更とは関係なく、傷のついた床板5のみを張り替えることも可能である。このときも、上記と同様にして該当する床板5を剥がし、そこに新しくホットメルト接着剤8及び床板5を配置し、上記誘導加熱接着により床板5を接着して張り替えを行う。この場合にも、床板5の剥離及び挿入作業が容易に行え、全体の仕上がりも良好である。
【0044】
したがって、上記実施の形態に係る床パネル構造によれば、木質系で清潔感、落着感のある床面に仕上がるとともに、任意の床板の剥離が容易かつ迅速に行なえるので、必要な床板を除去することにより、フリーアクセスフロアのベースとしてのフロアパネルを取り外して、床下の通信配線等の所定の工事が容易に行なえる。また、床板の再取付は、床板を再敷込して加熱器の再照射により簡単に取り付けができ、全体の仕上がりも良好である。ホットメルト接着剤は新しいものと交換することができるので、フロアパネル及び床板は略半永久的に使用可能である。
【0045】
また、金属製のフロアパネルの上に照射遮断板を設けたことにより、ホットメルト接着剤が塗布された金属片のみが過熱され、金属製のフロアパネルの方に熱が逃げることないので、素早い施工が可能となる。加えて、照射遮断板として板厚が5.5mm以上のケイカル板を用いたから、ホットメルト接着剤が有効に加熱されるとともに、断熱材として金属製のフロアパネルを火災の熱から守るための耐火被覆材として有用であり、吸水性が少ないため木質系床板との相性がよく耐久性にも優れる。
【0046】
さらに、任意の箇所から床板を剥離することができるので、リニューアル等で破損した床板のみの貼り替え改修が容易かつ迅速に行え、さらに床板同士は実継ぎの形態を採ってないので、実の影響による床鳴りが防止される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明の実施の形態に係り、(a)はフロアパネルを、(b)、(c)は床板を示す図である。
【図2】実施の形態に係り、(a)は床板の一の形状の側面を、(b)は床板の他の形状の側面を示す図である。
【図3】実施の形態に係り、(a)は一の形態のフロアパネルを、(b)は他の形態のフロアパネルを、(c)はホットメルト接着剤の断面を示す図である。
【図4】実施の形態に係る床パネル構造を示す図である。
【図5】実施の形態に係り、床板の一部を剥がして除去した状態の床パネル構造を示す図である。
【図6】実施の形態に係り、床板を剥がしてフロアパネルを取り外す工程の説明図である。
【図7】実施の形態に係り、床板の一部を剥がして除去した状態の他の床パネル構造を示す図である。
【図8】実施の形態に係り、単板の床板を用いた床パネル構造を示す図である。
【図9】従来例に係るフリーアクセスフロアの床パネルを示す図である。
【符号の説明】
【0048】
2 フロアパネル
4,5 床板
6 照射遮断板
8 ホットメルト接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎面の上方に並べて敷設され、床下に配線スペースの確保が可能なフリーアクセスフロアを形成する金属製のフロアパネルと、
上記各フロアパネルの上面に、それぞれ個別に固着された非金属製の照射遮断板と、
上記照射遮断板の上面に配置され、テープ状の金属の表裏に感熱可塑性接着剤が塗布されたホットメルト接着剤と、
上記照射遮断板の上部に、上記ホットメルト接着剤を介して配置される木材或いは木質系材料からなる床板とを有し、
上記床板の上から操作される電磁誘導加熱器の高周波照射により、上記ホットメルト接着剤を誘導加熱して溶融し、上記床板を上記照射遮断板に接着したことを特徴とするフリーアクセスフロアの床パネル構造。
【請求項2】
上記床板は、複数の上記フロアパネルにわたって配置されるとともに、上記ホットメルト接着剤と直交しかつこの床板の両端部がそれぞれ上記ホットメルト接着剤の上部に位置するように設けられることを特徴とする請求項1記載のフリーアクセスフロアの床パネル構造。
【請求項3】
上記床板は、上記フロアパネルと同様形状の単板からなることを特徴とする請求項1記載のフリーアクセスフロアの床パネル構造。
【請求項4】
上記床板の側面部を、表面部から裏面部にかけて内側に緩やかに傾斜する斜面状に形成したことを特徴とする請求項1、2又は請求項3記載のフリーアクセスフロアの床パネル構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−52542(P2006−52542A)
【公開日】平成18年2月23日(2006.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−233163(P2004−233163)
【出願日】平成16年8月10日(2004.8.10)
【出願人】(000177139)三洋工業株式会社 (46)
【Fターム(参考)】