説明

フルオピラム及びメトラフェノンを含む殺菌組成物

活性成分としてフルオピラム及びメトラフェノンを相乗的有効量で含む殺菌組成物、フルオピラム及びメトラフェノンの混合物を使用する植物病原性の有害菌類を防除する方法、そのような混合物を調製するためのフルオピラム及びメトラフェノンの使用、また、そのような混合物を含む組成物及び種子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性成分としてフルオピラム及びメトラフェノンを相乗的有効量で含む殺菌組成物に関する。
【0002】
更に、本発明は、フルオピラム及びメトラフェノンの組成物を使用して植物病原性の有害な菌類を防除する方法、そのような混合物を調製するためのフルオピラム及びメトラフェノンの使用、並びに組成物及びこれらの組成物を含む種子に関する。
【背景技術】
【0003】
殺菌活性化合物のフルオピラムは、良く知られており(WO 2004/016088)、市販されている。
【0004】
メトラフェノン、植物病原性菌類に対するその殺菌有効性及びその合成も、EP-A 897904によって知られている。
【0005】
フルオピラムと他の多様な殺菌剤との組成物は、文献(WO 2005/077179、WO 2005/077180、WO 2005/077181、WO 2005/077182、WO 2005/077183、WO 2005/077901、EP-A 1563731、EP-A 1563732、EP-A 1563733及びWO 2008/095890)において既に記載されている。
【0006】
メトラフェノンと他の多様な殺菌剤との組成物は、EP 1023834、WO 01/62083、WO 02/056685、WO 02/056686、WO 02/056688、WO 02/056689、WO 02/062140、WO 03/090538、WO 2004/000019及びWO 2007/017416のそれぞれにおいて既に記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】WO 2004/016088
【特許文献2】WO 2005/077179
【特許文献3】WO 2005/077180
【特許文献4】WO 2005/077181
【特許文献5】WO 2005/077182
【特許文献6】WO 2005/077183
【特許文献7】WO 2005/077901
【特許文献8】EP-A 1563731
【特許文献9】EP-A 1563732
【特許文献10】EP-A 1563733
【特許文献11】WO 2008/095890
【特許文献12】EP 1023834
【特許文献13】WO 01/62083
【特許文献14】WO 02/056685
【特許文献15】WO 02/056686
【特許文献16】WO 02/056688
【特許文献17】WO 02/056689
【特許文献18】WO 02/062140
【特許文献19】WO 03/090538
【特許文献20】WO 2004/000019
【特許文献21】WO 2007/017416
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
既知の化合物の施用量を低減し、活性範囲を拡張し、植物病原性の有害な菌類の有効な防除を達成する観点から、活性化合物の低減された総施用量で、有害な菌類に対して、特に特定の適応症のために改善された活性を有する殺菌組成物を提供することが、本発明の目的であった。
【課題を解決するための手段】
【0009】
したがって本発明者らは、この目的が、フルオピラム及びメトラフェノンを含む最初に定義された組成物によって達成されることを見出した。更に、本発明者らは、フルオピラム及びメトラフェノンの同時の、すなわち一緒若しくは別々の施用又はフルオピラム及びメトラフェノンの連続的施用が、個別の化合物単独で可能なものよりも良好な有害菌類の防除を可能にすることを見出した(相乗的混合物)。殺菌活性は、超相加的(superadditive manner)に増加される。
【0010】
フルオピラム及びメトラフェノン化合物又はこれらを含む組成物を殺菌剤としての使用形態に混合することは、得られる活性の殺菌範囲の拡大、又は発生する殺菌剤抵抗性の防止をもたらす。更に、多くの場合において、相乗効果が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の殺菌組成物は、特にネコブカビ綱(Plasmodiophoromycetes)、ペロノスポロミセテス(Peronosporomycetes)(卵菌綱(Oomycetes)と同義)、ツボカビ綱(Chytridiomycetes)、接合菌綱(Zygomycetes)、子嚢菌綱(Ascomycetes)、担子菌綱(Basidiomycetes)及び不完全菌綱(Deuteromycetes)(不完全菌類(Fungi imperfecti)と同義)の部類に由来する土壌菌類を含む広範囲の植物病原性菌類に対する優れた有効性によって識別される。幾つかは、浸透有効性があり、葉面殺菌剤、種子粉衣用殺菌剤及び土壌殺菌剤として作物保護に使用することができる。更に、これらは、とりわけ木材又は植物の根に発生する有害な菌類を防除するために適している。
【0012】
本発明の組成物は、穀物、例えばコムギ、ライムギ、オオムギ、ライコムギ、オートムギ又はイネ;ビート、例えばサトウダイコン又は飼料用ビート;ナシ状果、核果又はソフトフルーツ、例えばリンゴ、ナシ、スモモ、モモ、アーモンド、サクランボ、イチゴ、ラズベリー、ブラックベリー又はスグリなどの果実;ヒラマメ、エンドウ、ムラサキウマゴヤシ又はダイズなどのマメ科植物;ナタネ、カラシナ、オリーブ、ヒマワリ、ココナッツ、カカオマメ、トウゴマ、アブラヤシ、アメリカホドイモ又はダイズなどの油脂植物;カボチャ、キュウリ又はメロンなどのウリ科植物;ワタ、アマ、アサ又はジュートなどの繊維植物;オレンジ、レモン、グレープフルーツ又はマンダリンなどの柑橘類果実;ホウレンソウ、レタス、アスパラガス、キャベツ、ニンジン、タマネギ、トマト、ジャガイモ、ウリ科植物又はパプリカなどの野菜;アボカド、ニッケイ又はショウノウなどのクスノキ科植物;トウモロコシ、ダイズ、ナタネ、サトウキビ又はアブラヤシなどのエネルギー及び原材料植物;トウモロコシ;タバコ;ナッツ;コーヒー;チャ;バナナ;ブドウ(食用ブドウ(table grapes)及びブドウジュース用ブドウの木(grape juice grape vines));ホップ;シバ;天然ゴムノキ又は花、低木、広葉樹若しくは常緑樹、例えば針葉樹などの観賞及び森林植物、などの多様な栽培植物に対する、並びに種子などの植物繁殖材料及びこれらの植物の作物材料に対する多数の植物病原性菌類の防除において特に重要である。
【0013】
好ましくは、本発明の組成物は、ジャガイモ、サトウダイコン、タバコ、コムギ、ライムギ、オオムギ、オートムギ、イネ、トウモロコシ、ワタ、ダイズ、ナタネ、マメ科植物、ヒマワリ、コーヒー若しくはサトウキビなどの農作物;果実;ブドウ;観賞植物又はキュウリ、トマト、マメ若しくはカボチャなどの野菜に対する多数の菌類を防除するために使用される。
【0014】
用語「植物繁殖材料」は、植物の増殖に使用することができる、種子などの植物の発生力のある全ての部分、並びに挿し木及び塊茎(例えば、ジャガイモ)などの野菜植物材料を意味することが理解されるべきである。これには、種子、根、果実、塊茎、球根、根茎、若枝、新芽及び発芽後又は土壌からの出芽後に移植される苗木及び若木を含む植物の他の部分が含まれる。これらの若木を、移植の前に浸漬又は潅水(pouring)により完全又は部分的に処理することによって保護することもできる。
【0015】
好ましくは、本発明の組成物による植物繁殖材料の処理は、コムギ、ライムギ、オオムキ及びオートムギなどの穀物;イネ、トウモロコシ、ワタ、並びにダイズに対する多数の菌類を防除するために使用される。
【0016】
用語「栽培植物」は、品種改良、突然変異誘発又は市販の若しくは開発中のバイオテクノロジー農産物(http://www.bio.org/speeches/pubs/er/agri_products.aspを参照すること)が含まれるが、これらに限定されない遺伝子工学により改変された植物を含むことが理解されるべきである。遺伝子組換え植物は、その遺伝子物質が、自然状況下で交雑育種、突然変異又は自然の組換えにより容易に得ることができないような組換えDNA技術の使用によって改変されている植物である。典型的には、一つ又は複数の遺伝子が、植物の特定の特性を改善するために遺伝子組換え植物の遺伝子物質に組み込まれる。そのような遺伝子組換えには、また、例えばグリコシル化による又はプレニル化、アセチル化若しくはファルネシル化部分若しくはPEG部分などのポリマー付加によるタンパク質(複数可)、オリゴ-又はポリペプチドの標的化翻訳後修飾が含まれるが、これらに限定されない。
【0017】
品種改良、突然変異誘発又は遺伝子工学により改変された、例えば、従来の品種改良又は遺伝子工学の方法の結果として、ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPPD)阻害剤;スルホニル尿素(例えば、US 6,222,100、WO 01/82685、WO 00/26390、WO 97/41218、WO 98/02526、WO 98/02527、WO 04/106529、WO 05/20673、WO 03/14357、WO 03/13225、WO 03/14356、WO 04/16073を参照すること)又はイミダゾリノン(例えば、US 6,222,100、WO 01/82685、WO 00/026390、WO 97/41218、WO 98/002526、WO 98/02527、WO 04/106529、WO 05/20673、WO 03/014357、WO 03/13225、WO 03/14356、WO 04/16073を参照すること)などのアセト乳酸シンターゼ(ALS)阻害剤;グリフォセート(例えば、WO 92/00377を参照すること)などのエノールピルビルシメート-3-ホスフェートシンターゼ(EPSPS)阻害剤;グルホシネート(例えば、EP-A 242 236、EP-A 242 246を参照すること)又はオキシニル除草剤(例えば、US 5,559,024を参照すること)などのグルタミン合成酵素(GS)阻害剤、などの特定の部類の除草剤の施用に耐性を持つようになった植物。幾つかの栽培植物は、従来の品種改良の方法(突然変異誘発)により除草剤に対して耐性を持つようになり、例えば、Clearfield(登録商標)夏ナタネ(Canola, BASF SE, Germany)は、イミダゾリノン、例えばイマザモックスに対して耐性がある。遺伝子工学の方法を使用して、ダイズ、ワタ、トウモロコシ、ビート及びナタネなどの栽培植物に、グリフォセート及びグルホシネートなどの除草剤に対する耐性を持たせ、それらのうちの幾つかは、商標名RoundupReady(登録商標)(グリフォセート耐性、Monsanto, U.S.A.)及びLibertyLink(登録商標)(グルホシネート耐性、Bayer CropScience, Germany)で市販されている。
【0018】
更に、組換えDNA技術の使用により、一つ又は複数の殺虫タンパク質、特にバチルス属の細菌からのもの、特に、δ-内毒素、例えばCryIA(b)、CryIA(c)、CryIF、CryIF(a2)、CryIIA(b)、CryIIIA、CryIIIB(b1)又はCry9cなどのバチルスチューリンゲンシス(Bacillus thuringiensis)からのもの;植物性殺虫タンパク質(VIP)、例えば、VIP1、VIP2、VIP3又はVIP3A;線虫コロニー形成細菌の殺虫タンパク質、例えばフォトラブダス属の種(Photorhabdus spp.)又はゼノラブダス属の種(Xenorhabdus spp.);サソリ毒、クモ毒、ハチ毒又は他の昆虫特異的神経毒などの動物により産生される毒素;ストレプトミセス菌(Streptomycetes)の毒素などの菌類により産生される毒素;エンドウ又はオオムギレクチンなどの植物レクチン;凝集素;トリプシン阻害剤、セリンプロテアーゼ阻害剤、パタチン、シスタチン又はパパイン阻害剤などのプロテアーゼ阻害剤;リシン、トウモロコシRIP、アブリン、ルフィン(luffin)、サポリン又はブリオジン(bryodin)などのリボソーム不活性化タンパク質(RIP);3-ヒドロキシステロイドオキシダーゼ、エクジステロイド-IDP-グリコシル-トランスフェラーゼ、コレステロールオキシダーゼ、エクジソン阻害剤又はHMG-CoA-レダクターゼなどのステロイド代謝酵素;ナトリウム又はカルシウムチャンネルのブロッカーなどのイオンチャンネルブロッカー;幼若ホルモンエステラーゼ;利尿ホルモン受容体(ヘリコキニン受容体);スチルベンシンターゼ、ビベンジルシンターゼ、キチナーゼ又はグルカナーゼを合成することができる植物も網羅される。本発明の文脈において、これらの殺虫タンパク質又は毒素は、プレトキシン(pre-toxin)、ハイブリッドタンパク質、短縮又はそうでなければ変性タンパク質としても明確に理解されるべきである。ハイブリッドタンパク質は、タンパク質ドメインの新たな組み合わせ(例えば、WO 02/015701を参照すること)により特徴付けられる。そのような毒素又はそのような毒素を合成することができる遺伝子組換え植物の更なる例は、例えば、EP-A 374 753、WO 93/007278、WO 95/34656、EP-A 427 529、EP-A 451 878、WO 03/18810及びWO 03/52073に開示されている。そのような遺伝子組換え植物を生成する方法は、当業者において一般に知られており、例えば上記に記述された刊行物に記載されている。遺伝子組換え植物に含有されているこれらの殺虫タンパク質は、これらのタンパク質を産生する植物に、節足動物の全分類群の有害な病害虫に対する、特に甲虫類(鞘翅目(Celeoptera))、双翅昆虫(双翅目(Diptera))及びガ類(鱗翅目(Lepidoptera))に対する、並びに線虫類(線虫綱(Nematoda))に対する耐性を付与する。一つ又は複数の殺虫タンパク質を合成することができる遺伝子組換え植物は、例えば上記に記述された刊行物に記載されており、それらのうち幾つかは、YieldGard(登録商標)(Cry1Ab毒素を産生するトウモロコシ品種)、YieldGard(登録商標)Plus(Cry1Ab及びCry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、Starlink(登録商標)(Cry9c毒素を産生するトウモロコシ品種)、Herculex(登録商標)RW(Cry34Ab1、Cry35Ab1及び酵素ホスフィノトリシン-N-アセチルトランスフェラーゼ[PAT]を産生するトウモロコシ品種);NuCOTN(登録商標)33B(Cry1Ac毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標)I(Cry1Ac毒素を産生するワタ品種)、Bollgard(登録商標)II(Cry1Ac及びCry2Ab2毒素を産生するワタ品種);VIPCOT(登録商標)(VIP-毒素を産生するワタ品種);NewLeaf(登録商標)(Cry3A毒素を産生するジャガイモ品種);Bt-Xtra(登録商標)、NatureGard(登録商標)、KnockOut(登録商標)、BiteGard(登録商標)、Protecta(登録商標)、Syngenta Seeds SAS, FranceのBt11(例えば、Agrisure(登録商標)CB)及びBt176(Cry1Ab毒素及びPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)、Syngenta Seeds SAS, FranceのMIR604(Cry3A毒素の改変型を産生するトウモロコシ品種、WO 03/018810を参照すること)、Monsanto Europe S.A., BelgiumのMON 863(Cry3Bb1毒素を産生するトウモロコシ品種)、Monsanto Europe S.A., BelgiumのIPC 531(Cry1Ac毒素の改変型を産生するワタ品種)並びにPioneer Overseas Corporation, Belgiumの1507(Cry1F毒素及びPAT酵素を産生するトウモロコシ品種)などで市販されている。
【0019】
更に、組換えDNA技術の使用により、細菌、ウイルス又は菌類の病原体に対するこれらの植物の抵抗性又は耐性を増加する一つ又は複数のタンパク質を合成することができる植物も網羅される。そのようなタンパク質の例は、いわゆる「病原性関連タンパク質」(PRタンパク質、例えばEP-A 392 225を参照すること)、植物病害抵抗性遺伝子(例えば、メキシコの野生ジャガイモであるソラヌムブルボカスタヌム(Solanum bulbocastanum)由来のフィトフトラインフェスタンス(Phytophthora infestans)に対して作用する抵抗性遺伝子を発現するジャガイモ品種)又はT4-リゾチーム(例えば、エルウィニアアミルボラ(Erwinia amylvora)などの細菌に対して抵抗性を増加したこれらのタンパク質を合成することができるジャガイモ品種)である。そのような遺伝子組換え植物を生成する方法は、当業者において一般に知られており、例えば上記に記述された刊行物に記載されている。更に、組換えDNA技術の使用により、生産性(例えば、バイオマス生産、穀物収量、デンプン含有量、含油量若しくはタンパク質含有量)、干ばつ、塩分若しくは他の成長制限環境要因に対する耐性又はこれらの植物の害虫及び菌類、細菌若しくはウイルス病原体に対する耐性を増加する一つ又は複数のタンパク質を合成することができる植物も、網羅される。
【0020】
更に、組換えDNA技術の使用により、特にヒト又は動物の栄養を改善するために、含有されている物質又は含有されている新たな物質の改変された量を含有する植物も網羅され、例えば、健康促進長鎖オメガ-3脂肪酸又は不飽和オメガ-9脂肪酸を産生する油料作物(例えば、Nexera(登録商標)ナタネ、DOW Agro Sciences, Canada)である。
【0021】
更に、組換えDNA技術の使用により、特に原料の生産を改善するために、含有されている物質又は含有されている新たな物質の改変された量を含有する植物も網羅され、例えば、アミロペクチンの増加量を産生するジャガイモ(例えば、Amflora(登録商標)ジャガイモ、BASF SE, Germany)である。
【0022】
本発明の組成物は、以下の植物病害の防除に特に適している:
アルブジゴ属の種(Albugo spp.)(白さび病)であって、観賞植物、野菜(例えば、A.カンジダ(candida))及びヒマワリ(例えば、A.トラゴポゴニス(tragopogonis))におけるもの;アルテルナリア属の種(Alternaria spp.)(アルテルナリア葉斑病)であって、野菜、ナタネ(A.ブラシコラ(brassicola)又はブラシケ(brassicae))、サトウダイコン(A.テヌイス(tenuis))、果実、イネ、ダイズ、ジャガイモ(例えば、A.ソラニ(solani)又はA.アルテルナ(alternata))、トマト(例えば、A.ソラニ又はA.アルテルナ)及びコムギにおけるもの;サトウダイコン及び野菜におけるアルファノマイセス属の種(Aphanomyces spp.);穀物及び野菜におけるアスコキタ属の種(Ascochyta spp.)、例えばコムギにおけるA.トリチシ(tritici)(炭疽病)及びオオムギにおけるA.ホルデイ(hordei);ビポラリス属(Bipolaris)及びドレシュレラ属(Drechslera)の種(テレオモルフ:コクリオボルス属の種(Cochliobolus spp.))であって、例えばトウモロコシにおけるごま葉枯病(Southern leaf blight)(D.マイジス(maydis))又はすす紋病(Northern leaf blight)(B.ゼイコラ(zeicola))、例えば穀物における斑点病(B.ソロキアナ(sorokiniana))並びに例えばイネ及びシバにおけるB.オリザエ(oryzae);穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるブルメリア(Blumeria)(旧エリシフェ(Erysiphe))グラミニス(graminis)(ウドンコ病);果実及び漿果(例えば、イチゴ)、野菜(例えば、レタス、ニンジン、セロリ及びキャベツ)、ナタネ、花、ブドウ、森林植物及びコムギにおけるボトリチスシネリア(Botrytis cinerea)(テレオモルフ:ボトリチニアフッケリアナ(Botryotinia fuckeliana):灰色カビ病);レタスにおけるブレミアラクツカエ(Bremia lactucae)(べと病);広葉樹及び常緑樹におけるセラトシスチス属(Ceratocystis)(オフィオストマ属(Ophiostoma)と同義)の種(腐れ病又はいちょう病)、例えば、ニレにおけるC.ウルミ(ulmi)(オランダニレ病);セルコスポラ属の種(Cercospora spp.)(セルコスポラ葉斑病)であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、灰色葉斑病:C.ゼアエ-マイジス(zeae-maydis))、イネ、サトウダイコンにおけるもの(例えば、C.ベチコラ(beticola))、サトウキビ、野菜、コーヒー、ダイズにおけるもの(例えば、C.ソジナ(sojina)又はC.キクチイ(kikuchii))及びイネにおけるもの;クラドスポリウム属の種(Cladosporium spp.)であって、トマトにおけるもの(例えば、C.フルブム(fulvum):葉かび病(leaf mold))及び穀物におけるもの、例えばコムギにおけるC.ヘルバルム(herbarum)(黒耳病(black ear));穀物におけるクラビセプスプルプレア(Claviceps purpurea)(バッカク病);コクリオボルス属(アナモルフ:ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)又はビポラリス属)の種(葉斑病)であって、トウモロコシにおけるもの(C.カルボヌム(carbonum))、穀物におけるもの(例えば、C.サチブス(sativus)、アナモルフ:B.ソロキニアナ)及びイネにおけるもの(例えば、C.ミヤベアヌス(miyabeanus)、アナモルフ:H.オリザエ(oryzae));コレトトリクム属(Colletotrichum)(テレオモルフ:グロメラ属(Glomerella)の種(炭疽病)であって、ワタにおけるもの(例えば、C.ゴシピイ(gossypii))、トウモロコシにおけるもの(例えばC.グラミニコラ(graminicola):炭疽病根腐れ(Anthracnose stalk rot))、ソフトフルーツにおけるもの、ジャガイモにおけるもの(例えば、C.ココデス(coccodes):黒点病(black dot))、マメにおけるもの(例えば、C.リンデムチアヌム(lindemuthianum))及びダイズにおけるもの(例えば、C.トルンカツム(truncatum)又はC.グロエオスポリオイデス(gloeosporioides));イネにおけるコルチキウム属の種(Corticium spp.)、例えばC.ササキイ(sasakii)(紋枯病);ダイズ及び観賞植物におけるコリネスポラカッシイコラ(Corynespora cassiicola)(葉斑病);シクロコニウム属の種(Cycloconium spp.)、例えばオリーブの木のC.オレアギヌム(oleaginum);シリンドロカルポン属の種(Cylindrocarpon spp.)(例えば、果樹潰瘍病又はブドウの若木の衰弱、テレオモルフ:ネクトリア属(Nectria)又はネオネクトリア属(Neonectria)の種)であって、果樹におけるもの、ブドウにおけるもの(例えば、C.リリオデンドリ(liriodendri)、テレオモルフ:ネオネクトリアリリオデンドリ:黒足病(Black Foot Disease))及び観賞植物におけるもの;ダイズにおけるデマトフォラ(Dematophora)(テレオモルフ:ロゼリニア(Rosellinia))ネカトリクス(necatrix)(根及び茎腐れ病);ダイズにおけるディアポルテ属の種(Diaporthe spp.)、例えばD.ファゼオロルム(phaseolorum)(立枯れ病);ドレシュラエ属(ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)と同義、テレオモルフ:ピレノフォラ属(Pyrenophora))の種であって、トウモロコシにおけるもの、オオムギ(例えば、D.テレス(teres)、網斑病)及びコムギ(例えば、D.トリチシ-レペンチス(tritici-repentis):黄褐斑病(tan spot))などの穀物におけるもの、イネにおけるもの及びシバにおけるもの;ブドウにおいて、ホルミチポリア(Formitiporia)(フェリヌス(Phellinus)と同義)プンクタタ(punctata)、F.メジテラネア(mediterranea)、フェオモニエラクラミドスポラ(Phaeomoniella chlamydospora)(以前は、フェオアクレモニウムクラミドスポルム(Phaeoacremonium chlamydosporum))、フェオアクレモニウムアレオフィルム(Phaeoacremonium aleophilum)及び/又はボトリオスフェリアオブツサ(Botryosphaeria obtusa)により引き起こされるエスカ(Esca)(枝枯れ病、アポプレキシー(apoplexy));エルシノエ属の種(Elsinoe spp.)であって、ナシ状果におけるもの(E.ピリ(pyri))、ソフトフルーツにおけるもの(E.ベネタ(veneta):炭疽病)及びブドウにおけるもの(E.アンペリナ(ampelina):炭疽病);イネにおけるエンチロオリザエ(Entyloma oryzae)(葉すす病(leaf smut));コムギにおけるエピコックス属の種(Epicoccum spp.)(黒カビ病);エリシフェ属の種(Erysiphe spp.)(ウドンコ病)であって、サトウダイコンにおけるもの(E.ベーテ(betae))、ウリ科植物におけるもの(例えば、E.シコラセアルム(cichoracearum))、キャベツにおけるものなどの野菜におけるもの(例えば、E.ピシ(pisi))、ナタネにおけるもの(例えば、E.クルシフェラルム(cruciferarum));果樹、ブドウ及び観賞樹におけるユーチパラタ(Eutypa lata)(ユーチパ潰瘍病又は枝枯れ病、アナモルフ:シトスポリナラタ(Cytosporina lata)、リベルテラブレファリス(Libertella blepharis)と同義);エクセロヒルム属(Exserohilum)(ヘルミントスポリウム属(Helminthosporium)と同義)の種であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、E.ツルシクム(turcicum));穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるF.グラミネアルム(graminearum)又はF.クルモルム(culmorum)(根腐れ病、瘡痂病又は頭部枯れ病(head blight))、トマトにおけるF.オキシスポルム(oxysporum)、ダイズにおけるF.ソラニ(solani)及びトウモロコシにおけるF.バーチシリオイデス(verticillioides)などの多様な植物におけるフザリウム属(Fusarium)(テレオモルフ:ジベレラ(Gibberella))の種(いちょう病、根及び茎腐れ病);穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)及びトウモロコシにおけるゲウマノマイセウグラミニス(Gaeumannomyces graminis)(立枯れ病);ジベレラ属の種(Gibberella spp.)であって、穀物におけるもの(例えば、G.ゼア(zeae))及びイネにおけるもの(例えば、G.フジクロイ(fujikuroi):馬鹿苗病);ブドウ、ナシ状果及び他の植物におけるグロメラシンタグラタ(Glomerella cingulata)並びにワタにおけるG.(ゴシピイ);イネにおける穀粒染色複合体(Grainstaining complex);ブドウにおけるギジュナルディアブドウェリ(Guignardia bidwellii)(黒腐れ病);バラ科植物及びトショウにおけるギノスポランギウム属の種(Gymnosporangium spp.)、例えばエンドウにおけるG.サビネ(sabinae)(さび病);トウモロコシ、穀物及びイネにおけるヘルミントスポリウム属の種(Helminthosporium spp.)(ドレシュレラと同義、テレオモルフ:コクリオボルス);ヘミレイア属の種(Hemileia spp.)、例えばコーヒーにおけるH.バスタトリクス(vastatrix)(コーヒー葉さび病);ブドウにおけるイサリオプシスクラビスポラ(Isariopsis clavispora)(クラドスポリウムビチス(Cladosporium vitis)と同義);ダイズ及びワタにおけるマクロフォミナファゼオリナ(Macrophomina phaseolina)(ファゼオリ(phaseoli)と同義)(根及び茎腐れ病);穀物(例えば、コムギ又はオオムギ)におけるミクロドキウム(Microdochium)(フザリウム(Fusarium)と同義)ニバレ(nivale)(ピンク雪かび病(pink snow mold));ダイズにおけるミクロスフェラディフューザ(Microsphaera diffusa)(ウドンコ病);核果及び他のバラ科植物におけるモニリニア属の種(Monilinia spp.)、例えばM.ラクサ(laxa)、M.フルクチコラ(fructicola)及びM.フルクチゲナ(fructigena)(花及び小枝枯れ病(bloom and twig blight)、褐色腐れ病);例えばコムギにおけるM.グラミニコラ(graminicola)(アナモルフ:セプトリアトリチシ(Septoria tritici)、セプトリア病斑)又はバナナにおけるM.フィジエシス(fijiensis)(黒シガトカ病(black Sigatoka disease))などの穀物、バナナ、ソフトフルーツ及びアメリカホドイモにおけるマイコスフェレラ属の種(Mycosphaerella spp.);ペロノスポラ属の種(Peronospora spp.)(べと病)であって、キャベツにおけるもの(例えば、P.ブラシケ(brassicae))、ナタネにおけるもの(例えば、P.パラサイチカ(parasitica))、タマネギにおけるもの(例えば、P.デストラクター(destructor))、タバコにおけるもの(P.タバキナ(tabacina))及びダイズにおけるもの(例えば、P.マンシュリカ(manshurica));ダイズにおけるファコプソラパキリジ(Phakopsora pachyrhizi)及びP.メイボエミ(meibomiae)(ダイズさび病);フィアロフォラ属の種(Phialophora spp.)、例えばブドウにおけるもの(例えば、P.トラケイフィラ(tracheiphila)及びP.テトラスポラ(tetraspora))並びにダイズにおけるもの(例えば、P.グレガタ(gregata):茎腐れ病);ナタネ及びキャベツにおけるフォマリンガム(Phoma lingam)(根及び茎腐れ病)並びにサトウダイコンにおけるP.ベーテ(betae)(根腐れ病、葉斑病及び立枯れ病);フォモプシス属の種(Phomopsis spp.)であって、ヒマワリにおけるもの、ブドウにおけるもの(例えば、P.ビチコラ(viticola):茎及び葉斑病(can and leaf spot))並びにダイズにおけるもの(例えば、茎腐れ病:P.フォゼオリ(phaseoli)、テレオモルフ:ディアポルテファゼオロルム(Diaporthe phaseolorum));トウモロコシにおけるフィゾデルママイジス(Physoderma maydis)(褐斑病);パプリカ及びウリ科植物におけるもの(例えば、P.カプシキ(capsici))、ダイズにおけるもの(例えば、P.メガスペルマ(megasperma)、P.ソヤエ(sojae)と同義)、ジャガイモ及びトマトにおけるもの(例えば、P.インフェスタンス(infestans):葉枯れ病)並びに広葉樹におけるもの(例えば、P.ラモルム(ramorum):オークの突然死)などの、多様な植物におけるフィトフトラ属の種(Phytophthora spp.)(いちょう病、根、葉、果実及び茎の腐れ病);キャベツ、ナタネ、ダイコン及び他の植物におけるプラスモディフォラブラシケ(Plasmodiophora brassicae)(根こぶ病);プラスモパラ属の種(Plasmopara spp.)、例えばブドウにおけるP.ビチコラ(ブドウの木のべと病)及びヒマワリにおけるP.ハルステディイ(halstedii);バラ科植物、ホップ、ナシ状果及びソフトフルーツにおけるオドスフェラ属の種(Podosphaera spp.)(ウドンコ病)、例えばリンゴにおけるP.ロイコトリカ(leucotricha);ポリミキサ属の種(Polymyxa spp.)、例えばオオムギ及びコムギなどの穀物におけるもの(P.グラミニス(graminis))並びにサトウダイコンにおけるもの(P.ベーテ)と、それらにより感染するウイルス病害;穀物、例えばコムギ及びオオムギにおけるシュードセルコスポレラヘルポトリコイデス(Pseudocercosporella herpotrichoides)(眼点病、テレオモルフ:タペシアヤルンデ(Tapesia yallundae);多様な植物におけるシュードペルノスポラ属(べと病)、例えばウリ科植物におけるP.キュベンシス(cubensis)又はホップにおけるP.フミリ(humili);ブドウにおけるシュードペツィクラトラケイフィライ(Pseudopezicula tracheiphila)(赤色花火病(red fire disease)又はロットブレナー(rotb
renner)、アナモルフ:フィアロフォラ(Phialophora));多様な植物におけるプッチニア属の種(Puccinia spp.)(さび病)、例えばコムギ、オオムギ又はライムギなどの穀物におけるP.トリチシナ(triticina)(褐色若しくは葉さび病)、P.ストリホルミス(striiformis)(縞若しくは黄さび病)、P.ホルデイ(hordei)(矮化さび病)、P.グラミス(茎若しくは黒さび病)又はP.レコンジタ(recondita)(褐色若しくは葉さび病)、サトウキビにおけるP.クチニイ(kuchnii)(橙さび病)及びアスパラガスにおけるP.アスパラギ(asparagi);コムギにおけるピレノフォラ(Pyrenophora)(アナモルフ:ドレシュレラ)トリチシ-レペンチス(tritici-repentis)(黄褐斑病)又はオオムギにおけるP.テレス(teres)(網斑病);ピリクラリア属の種(Pyricularia spp.)、例えばイネにおけるP.オリザエ(oryzae)(テレオモルフ:マグナポルテグリセア(Magnaporthe grisea)、イネいもち病)並びにシバ及び穀物におけるP.グリセア(grisea);シバ、イネ、トウモロコシ、コムギ、ワタ、ナタネ、ヒマワリ、ダイズ、サトウダイコン、野菜及び多様な他の植物におけるピチウム属の種(Pythium spp.)(立枯れ病)(例えば、P.ウルチムム(ultimum)又はP.アファニデルマツム(aphanidermatum));ラムラリア属の種(Ramularia spp.)、例えばオオムギにおけるR.コロ-シグニ(collo-cygni)(ラムラリア葉斑病、生理的葉斑病)及びサトウダイコンにおけるR.ベチコラ(beticola);ワタ、イネ、ジャガイモ、シバ、トウモロコシ、ナタネ、ジャガイモ、サトウダイコン、野菜及び他の多様な植物におけるリゾクトニア属の種(Rhizoctonia spp.)、例えばダイズにおけるR.ソラニ(solani)(根及び茎の腐れ病)、イネにおけるR.ソラニ(紋枯病)又はコムギ若しくはオオムギにおけるR.セレアリス(cerealis)(リゾクトニア春枯れ病(spring blight));イチゴ、ニンジン、キャベツ、ブドウ及びトマトにおけるリゾプスストロニフェル(Rhizopus stolonifer)(黒かび病、軟腐病);オオムギ、ライムギ及びライコムギにおけるリンコスポリウムセカリス(Rhynchosporium secalis)(日焼病);イネにおけるサロクラジウムオリザエ(Sarocladium oryzae)及びS.アテヌアツム(attenuatum)(鞘腐れ病);ナタネ、ヒマワリ(例えば、S.スクレロチオルム(sclerotiorum))及びダイズ(例えば、S.ロルフィシイ(rolfsii)又はS.スクレロチオルム)などの、野菜及び農作物におけるスクレロチニア属の種(Sclerotinia spp.)(茎腐れ病又は白かび病);多様な植物におけるセプトリア属の種(Septoria spp.)、例えばダイズにおけるS.グリシネス(glycines)(褐斑病)、コムギにおけるS.トリチシ(tritici)(セプトリア病斑)及び穀物におけるS.(スタゴノスポラ(Stagonospora)と同義)ノドルム(nodorum)(スタゴノスポラ病斑);ブドウにおけるウンシヌラ(Uncinula)(エリシフェと同義)ネカトル(necator)(ウドンコ病、アナモルフ:オイジウムツッケリ(Oidium tuckeri));セトスフェリア属の種(Setospaeria spp.)(葉枯れ病)であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、S.ツルシクム(turcicum)、ヘルミントスポリウムツルシクム(Helminthosporium turcicum)と同義)及びシバにおけるもの;スファセロテカ属の種(Sphacelotheca spp.)(黒穂病)であって、トウモロコシにおけるもの(例えば、S.レイリニア(reiliana):糸黒穂病)、モロコシ及びサトウキビにおけるもの;ウリ科植物におけるスフェロテカフリギネア(Sphaerotheca fuliginea)(ウドンコ病);ジャガイモにおけるスポンゴスポラスブテラネア(Spongospora subterranea)(粉状瘡痂病)及びこれらにより感染するウイルス病害;穀物におけるスタゴノスポラ属の種(Stagonospora spp.)、例えばコムギにおけるS.ノドルム(nodorum)(スタゴノスポラ病斑、テレオモルフ:レプトスフェリア(Leptosphaeria)[フェオスフェリア(Phaeosphaeria)と同義]ノドルム(nodorum));ジャガイモにおけるシンキトリウムエンドビオチクム(Synchytrium endobioticum)(ジャガイモいぼ病);タフリナ属の種(Taphrina spp.)、例えばモモにおけるT.デフォルマンス(deformans)(縮葉病)及びスモモにおけるT.プルニ(pruni)(スモモ類ふくらみ病);タバコ、ナシ状果、野菜、ダイズ及びワタにおけるチエラビオプシス属の種(Thielaviopsis spp.)(黒色根腐れ病)、例えばT.バシコラ(basicola)(カララエレガンス(Chalara elegans)と同義);穀物におけるチレチア属の種(Tilletia spp.)(一般的な黒穂病又はなまぐさ黒穂病)、例えばコムギにおけるT.トリチシ(tritici)(T.カリエス(caries)と同義、コムギの黒穂病)及びT.コントロオベルサ(controversa)(矮化黒穂病);オオムギ又はコムギにおけるチフラインカルナタ(Typhula incarnata)(灰色雪かび病);ウロシスチス属の種(Urocystis spp.)、例えばライムギにおけるU.オクルタ(occulta)(茎すす病);マメ(例えば、U.アペンジクラツス(appendiculatus)、U.ファセオリ(phaseoli)と同義)及びサトウダイコン(例えば、U.ベーテ(betae))などの、野菜におけるウロマイセス属の種(Uromyces spp.)(サビ病);ウスチラゴ属の種(Ustilago spp.)(裸黒穂病)であって、穀物におけるもの(例えば、U.ヌダ(nuda)及びU.アベネアエ(avaenae))、トウモロコシにおけるもの(例えばU.マイジス(maydis):トウモロコシ黒穂病)及びサトウキビにおけるもの;ベンツリア属の種(Venturia spp.)(瘡痂病)であって、リンゴにおけるもの(例えば、V.イネクリアリス(inaequalis))及びナシにおけるもの;並びに果実及び観賞植物、ブドウ、ソフトフルーツ、野菜及び農作物などの多様な植物におけるバーチシリウム属の種(Verticillium spp.)(いちょう病)、例えばイチゴ、ナタネ、ジャガイモ及びトマトにおけるV.ダリアエ(dahliae)。
【0023】
本発明の組成物は、貯蔵した生産物又は収穫物の保護及び材料の保護において、有害な菌類を防除することにも適している。用語「材料の保護」は、菌類及び細菌などの有害な微生物による侵入及び破壊に対する、添加剤、糊、木材、紙及び板紙、織物、皮革、塗料分散液、プラスチック、にかわ潤滑剤(colling lubricants)、繊維又は生地などの技術的及び非生物材料の保護を意味することが理解されるべきである。木材及び他の材料の保護において、以下の有害な菌類:オフィオストマ属の種(Ophiostoma spp.)、セラトシスチス属の種(Ceratocystis spp.)、オーレオバシジウウムプルランス(Aureobasidium pullulans)、スクレロフォマ属の種(Sclerophoma spp.)、ケトミウム属の種(Chaetomium spp.)、フミコラ属の種(Humicola spp.)、ペトリエラ属の種(Petriella spp.)、トリクルス属の種(Trichurus spp.)などの子嚢菌綱;コニフォラ属の種(Coniophora spp.)、コリオルス属の種(Coriolus spp.)、グロエオフィルム属の種(Gloeophyllum spp.)、レンチヌス属の種(Lentinus spp.)、ヒラタケ属の種(Pleurotus spp.)、アナタケ属の種(Poria spp.)、セルプラ属の種(Serpula spp.)及びオシロイタケ属の種(Tyromyces spp.)などの担子菌綱;アスペルギルス属の種(Aspergillus spp.)、クラドスポリウム属の種、ペニシリウム属の種(Penicillium spp.)、トリコデルマ属の種(Trichorma spp.)、アルテルナリア属の種、ペシロマイセス属の種(Paecilomyces spp.)などの不完全菌綱、並びにムコール属の種(Mucor spp.)などの接合菌綱に対して特別な注意が払われ、加えて、貯蔵される生産物及び収穫物の保護において、以下の酵母菌類に注目する価値がある:カンジダ属の種(Candida spp.)及びサッカロマイセスセレビシア(Saccharomyces cerevisae)。
【0024】
本発明の組成物を、植物の健康を改善のために使用することができる。本発明は、また、植物、その繁殖材料及び/又は植物が成長している若しくは成長する座を有効量の化合物I及びその組成物でそれぞれ処理することによって植物の健康を改善する方法に関する。
【0025】
用語「植物の健康」は、収穫量(例えば、バイオマスの増加及び/又は貴重な成分の含有量の増加)、植物の活力(例えば、植物成長の改善及び/又は青さを増した葉(緑化効果))、品質(例えば、特定成分の含有量又は組成の改善)、並びに非生物的及び/又は生物的ストレスに対する耐性などの幾つかの指標の単独で又は相互の組み合わせにより決定される植物及び/又はその生産物の状態を意味することが理解されるべきである。植物の健康状態のための上記に確認された指標は、相互に依存しうるか又は相互に起因しうる。
【0026】
フルオピラム及びメトラフェノンは、生物学的活性が異なる場合がある異なる結晶変態で存在することができる。これらも同様に本発明の主題である。
【0027】
フルオピラム及びメトラフェノンは、そのまま又は組成物の形態で、菌類又は植物、種子などの植物繁殖材料、土壌、表面、材料又は空間を、活性物質の殺菌有効量により菌類の攻撃から保護するために処理することに用いられる。施用は、植物、種子などの植物繁殖材料、土壌、表面、材料又は空間が菌類により感染する前又は感染した後の両方において実施することができる。
【0028】
植物繁殖材料を、植え付けのとき若しくは移植のとき、又はそれらの事前に、フルオピラム及びメトラフェノンそのままで又はフルオピラム及びメトラフェノンを含む組成物により、予防的に処理することができる。
【0029】
本発明は、また、溶媒又は固体担体、フルオピラム及びメトラフェノンを含む農薬剤、並びに有害な菌類を防除するための使用に関する。
【0030】
農薬剤は、殺菌有効量のフルオピラム及び/又はメトラフェノンを含む。用語「有効量」は、栽培植物に対する有害菌類を防除すること又は材料を保護することに十分であり、処理植物に実質的な損傷をもたらさない、組成物又はフルオピラム及びメトラフェノンそれぞれの量を意味する。そのような量は、広範囲に変わることができ、制御される菌類の種、処理される栽培植物又は材料及び気候条件などの多様な要因によって左右される。
【0031】
フルオピラム及びメトラフェノンを、慣用の種類の農薬組成物、例えば、溶剤、エマルション剤、懸濁剤、粉剤、粉末剤、ペースト剤及び粒剤に変換することができる。組成物の種類は、特定の意図される目的によって左右され、それぞれの場合において、活性化合物の微細で均一な分散が確実にされるべきである。
【0032】
農薬剤の種類の例は、水溶性又は湿潤性でありうる、懸濁剤(SC、OD、FS)、乳剤(emulsifiable concentrates)(EC)、エマルション剤(EW、EO、ES)、ペースト剤、芳香剤、水和剤(wettable powders)若しくは粉剤(WP、SP、SS、WS、DP、DS)又は粒剤(GR、FG、GG、MG)、並びに種子などの植物繁殖材料の処理用のゲル製剤(GF)である。
【0033】
通常、農薬剤の種類(例えば、SC、OD、FS、EC、WG、SG、WP、SP、SS、WS、GF)は、希釈されて用いられる。DP、DS、GR、FG、GG及びMGなどの種類の薬剤は、通常、希釈されないで使用される。
【0034】
農薬剤は既知の方法で調製される(US 3,060,084、EP-A 707 445(原液について)、Browning:"Agglomeration", Chemical Engineering, 1967年12月4日, 147-48、Perry's Chemical Engineer's Handbook, 第4版, McGraw-Hill, New York, 1963, S. 8-57以下、WO 91/13546、US 4,172,714、US 4,144,050、US 3,920,442、US 5,180,587、US 5,232,701、US 5,208,030、GB 2,095,558、US 3,299,566、Klingman: Weed Control as a Science (J. Wiley & Sons, New York, 1961)、Hanceら: Weed Control Handbook (第8版, Blackwell Scientific, Oxford, 1989)及びMollet, H. and Grubemann, A.: Formulation technology (Wiley VCH Verlag, Weinheim, 2001を参照すること)。
【0035】
農薬剤は、農薬剤に慣用である助剤を含むこともできる。使用される助剤は、特定の施用形態及び活性物質それぞれによって決まる。
【0036】
適切な助剤の例は、溶媒、固体担体、分散剤又は乳化剤(例えば、更なる可溶化剤、保護コロイド、界面活性剤及び接着剤)、有機及び無機増粘剤、殺細菌剤、凍結防止剤、消泡剤、適当であれば着色剤及び粘着性付与剤又は結合剤(例えば、種子処理製剤のため)である。
【0037】
適切な溶媒は、水、中〜高沸点の鉱油留分などの有機溶媒、例は灯油又はジーゼル油、更にコールタール油及び植物又は動物由来の油、脂肪族、環状及び芳香族炭化水素、例えばトルエン、キシレン、パラフィン、テトラヒドロナフタレン、アルキル化ナフタレン又はこれらの誘導体、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール及びシクロヘキサノールなどのアルコール、グリコール、シクロヘキサノン及びガンマ-ブチロラクトンなどのケトン、脂肪酸ジメチルアミド、脂肪酸及び脂肪酸エステル、並びに強極性溶媒、例えばN-メチルピロリドンなどのアミンである。
【0038】
固体担体は、ケイ酸塩、シリカゲル、タルク、カオリン、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質などの鉱物土、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、穀類荒粉、樹皮荒粉、木材荒粉及び堅果殻荒粉などの植物由来の生産物、セルロース粉末、並びに他の固体担体である。
【0039】
適切な界面活性剤(補助剤、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤)は、リグニンスルホン酸(Borresperse(登録商標)型、Borregard, Norway)、フェノールスルホン酸、ナフタレンスルホン酸(Morwet(登録商標)型、Akzo Nobel, U.S.A.)、ジブチルナフタレン-スルホン酸(Nekal(登録商標)型、BASF, Germany)、並びに脂肪酸、アルキルスルホネート、アルキル-アリールスルホネート、アルキルスルフェート、ラウリルエーテルスルフェート、脂肪アルコールスルフェート及び硫酸化ヘキサ-、ヘプタ-及びオクタデカノレート、硫酸化脂肪アルコールグリコールエーテル、更にナフタレン又はナフタレンスルホン酸とフェノール及びホルムアルデヒドの縮合物、ポリオキシ-エチレンオクチルフェニルエーテル、エトキシル化イソオクチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、アルキルフェニルポリグリコールエーテル、トリブチルフェニルポリグルコールエーテル、トリステアリル-フェニルポリグリコールエーテル、アルキルアリールポリエーテルアルコール、アルコール及び脂肪アルコール/エチレンオキシド縮合物、エトキシル化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、エトキシル化ポリオキシプロピレン、ラウリルアルコールポリグリコールエーテルアセタール、ソルビトールエステル、リグニン-スルファイト廃液、並びにタンパク質、変性タンパク質、多糖類(例えば、メチルセルロース)、疎水的に改質されたデンプン、ポリビニルアルコール(Mowiol(登録商標)型、Clariant, Switzerland)、ポリカルボキシレート(Sokolan(登録商標)型、BASF, Germany)、ポリアルコキシレート、ポリビニル-アミン(Lupasol(登録商標)型、BASF, Germany)、ポリビニルピロリドン及びこれらの共重合体などの、芳香族スルホン酸のアルカリ金属、アルカリ土類金属及びアンモニウム塩である。
【0040】
増粘剤(すなわち、改変された流動性、すなわち、静止状態で高い粘度及び撹拌下で低い粘度を農薬剤に付与する化合物)の例は、多糖類、並びにキサンタンガム(Kelzan(登録商標)、CP Kelco, U.S.A.)、Rhodopol(登録商標)23(Rhodia, France)、Veegum(登録商標)(R.T. Vanderbilt, U.S.A.)又はAttaclay(登録商標)(Engelhard Corp., NJ, USA)などの有機及び無機粘土である。
【0041】
殺細菌剤を、農薬剤の保存及び安定化のために添加することができる。適切な殺細菌剤の例は、ジクロロフェン及びベンジルアルコールヘミホルマールに基づいたもの(ICIのProxel(登録商標)又はThor ChemieのActicide(登録商標)RS及びRohm & HaasのKathon(登録商標)MK)、並びにアルキルイソチアゾリノン及びベンゾイソチアゾリノン(Thor ChemieのActicide(登録商標)MBS)などのイソチアゾリノン誘導体である。
【0042】
適切な凍結防止剤の例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、尿素及びグリセリンである。
【0043】
消泡剤の例は、シリコーンエマルション(例えば、Silikon(登録商標)SRE、Wacker, Germany又はRhodorsil(登録商標)、Rhodia, France)、長鎖アルコール、脂肪酸、脂肪酸の塩、有機フッ素化合物及びこれらの混合物である。
【0044】
適切な着色剤は、水溶性の低い顔料及び水溶性染料である。記述される例は、ローダミンB、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ソルベントレッド1、ピグメントブルー15:4、ピグメントブルー15:3、ピグメントブルー15:2、ピグメントブルー15:1、ピグメントブルー80、ピグメントイエロー1、ピグメントイエロー13、ピグメントレッド112、ピグメントレッド48:2、ピグメントレッド48:1、ピグメントレッド57:1、ピグメントレッド53:1、ピグメントオレンジ43、ピグメントオレンジ34、ピグメントオレンジ5、ピグメントグリーン36、ピグメントグリーン7、ピグメントホワイト6、ピグメントブラウン25、ベイシックバイオレット10、ベイシックバイオレット49、アシッドレッド51、アシッドレッド52、アシッドレッド14、アシッドブルー9、アシッドイエロー23、ベイシックレッド10、ベイシックレッド108の名称である。
【0045】
粘着性付与剤又は結合剤の例は、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアセテート、ポリビニルアルコール及びセルロースエーテル(Tylose(登録商標)、信越化学工業株式会社, 日本)である。
【0046】
粉末剤、散布用物質及び粉剤は、化合物I及び適切であれば更なる活性物質を少なくとも一種の固体担体と混合するか又は同時に粉砕することによって調製することができる。
【0047】
粒剤、例えば被覆粒剤、含浸粒剤及び均質粒剤は、活性物質を固体担体に結合することによって調製することができる。固体担体の例は、シリカゲル、ケイ酸塩、タルク、カオリン、アタクレイ(attaclay)、石灰石、石灰、チョーク、ボール、黄土、粘土、苦灰石、珪藻土、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、酸化マグネシウム、粉砕合成物質などの鉱物土、例えば硫酸アンモニウム、リン酸アンモニウム、硝酸アンモニウム、尿素などの肥料、穀類荒粉、樹皮荒粉、木材荒粉及び堅果殻荒粉などの植物由来の生産物、セルロース粉末、並びに他の固体担体である。
【0048】
農薬剤の例は下記である:
1.水で希釈された農薬剤型
i)液剤(water-soluble concentrates)(SL、LS)
10重量部の本発明の化合物Iを、90重量部の水又は水溶性溶媒に溶解する。代替案として、湿潤剤又は他の助剤を加える。活性物質は水で希釈すると溶解する。このようにして、10重量%の活性物質の含有量を有する組成物が得られる。
【0049】
ii)分散剤(dispersible concentrates)(DC)
20重量部の本発明の化合物Iを、70重量部のシクロヘキサノンに、10重量部の分散剤、例えばポリビニルピロリドンを加えて溶解する。水による希釈で分散液を得る。活性物質含有量は、20重量%である。
【0050】
iii)乳剤(EC)
15重量部の本発明の化合物Iを、75重量部のキシレンに、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシル化物(それぞれの場合、5重量部)を加えて溶解する。水による希釈でエマルションを得る。組成物は、15重量%の活性物質含有量を有する。
【0051】
iv)エマルション剤(EW、EO、ES)
25重量部の本発明の化合物Iを、35重量部のキシレンに、ドデシルベンゼンスルホン酸カルシウム及びヒマシ油エトキシル化物(それぞれの場合、5重量部)を加えて溶解する。この混合物を、乳化機械(Ultraturrax)により30重量部の水に導入し、均質のエマルションにする。水による希釈でエマルションを得る。組成物は、25重量%の活性物質含有量を有する。
【0052】
v)懸濁剤(SC、OD、FS)
撹拌式ボールミルの中で、20重量部の本発明の化合物Iを、10重量部の分散剤及び湿潤剤、並びに70重量部の水又は有機溶媒を加えて微粉砕して、微細活性物質懸濁液を得る。水による希釈で、活性物質の安定した懸濁液を得る。組成物における活性物質含有量は、20重量%である。
【0053】
vi)顆粒水和剤(Water-dispersible granules)及び顆粒水溶剤(water-soluble granules)(WG、SG))
50重量部の本発明の化合物Iを、50重量部の分散剤及び湿潤剤を加えて微細に粉砕し、技術的な装置(例えば、押出機、噴霧塔、流動層)により顆粒水和剤又は顆粒水溶剤として調製する。水による希釈で、活性物質の安定した分散液又は溶液を得る。組成物は、50重量%の活性物質含有量を有する。
【0054】
vii)粉末水和剤(water-dispersible powders)及び粉末水溶剤(water-soluble powders)(WP、SP、SS、WS)
75重量部の本発明の化合物Iを、ローター-ステーターミルの中で、25重量部の分散剤、湿潤剤及びシリカゲルを加えて粉砕する。水による希釈で、活性物質の安定した分散液又は溶液を得る。組成物における活性物質含有量は、75重量%である。
【0055】
viii)ゲル剤(GF)
撹拌式ボールミルの中で、20重量部の本発明の化合物Iを、10重量部の分散剤、1重量部のゲル化剤、湿潤剤及び70重量部の水又は有機溶媒を加えて微粉砕して、活性物質の微細懸濁液を得る。水による希釈で活性物質の安定した懸濁液を得て、それによって20%(w/w)の活性物質を有する組成物を得る。
【0056】
2.希釈することなく施用される組成物の種類
ix)散粉性粉末剤(dustable powders)(DP、DS)
5重量部の本発明の化合物Iを微細に粉砕し、95重量部の微粉カオリンとよく混合する。これにより、5重量%の活性物質含有量を有する散粉性組成物を得る。
【0057】
x)粒剤(GR、FG、GG、MG)
0.5重量部の本発明の化合物Iを微細に粉砕し、99.5重量部の担体と関連させる。現行の方法は、押出し、噴霧乾燥又は流動層である。これにより0.5重量%の活性物質含有量を有する、希釈しないで施用される粒剤を得る。
【0058】
xi)ULV溶剤(UL)
10重量部の本発明の化合物Iを、90重量部の有機溶媒、例えばキシレンに溶解する。これにより10重量%の活性物質含有量を有する、希釈しないで施用される組成物を得る。
【0059】
農薬剤は、一般に0.01〜95重量%の間、好ましくは0.1〜90重量%の間、最も好ましくは0.5〜90重量%の間の活性物質を含む。活性物質は、90%〜100%、好ましくは95%〜100%の純度(NMRスペクトルによる)で用いられる。
【0060】
液剤(LS)、フロアブル剤(flowable concentrates)(FS)、乾燥処理用の粉末剤(DS)、スラリー処理用の水和剤(WS)、水溶剤(SS)、エマルション剤(ES)、乳剤(EC)及びゲル剤(GF)は、通常、植物繁殖材料、特に種子を処理する目的に用いられる。これらの農薬剤を、希釈して又は希釈することなく、植物繁殖材料、特に種子に施用することができる。当該の農薬剤は、二から十倍に希釈した後、すぐに使用できる調製物において0.01〜60重量%、好ましくは0.1〜40重量%の活性物質濃度をもたらす。施用は、種まきの前又は間に実施することができる。農薬化合物及びその組成物を、それぞれ、植物繁殖材料、特に種子に施用する又はそれらを処理する方法は、当該技術において知られており、繁殖材料の粉衣、被覆、ペレット形成、散粉、浸漬及びうね内(in-furrow)施用方法が含まれる。好ましい実施形態において、化合物又はその組成物は、それぞれ、例えば種子粉衣、ペレット形成、被覆及び散粉により発芽が誘発されないような方法によって、植物繁殖材料に施用される。
【0061】
好ましい実施態様において、懸濁剤型(FS)組成物が種子処理に使用される。典型的には、FS組成物は、1〜800g/lの活性物質、1〜200g/lの界面活性剤、0〜200g/lの凍結防止剤、0〜400g/lの結合剤、0〜200g/lの顔料及び1リットルまでの溶媒、好ましくは水を含むことができる。
【0062】
活性物質を、そのまま又はこれらの農薬剤の形態で、例えば、直接噴霧可能な溶剤、粉末剤、懸濁剤、分散剤、エマルション剤、油分散剤、ペースト剤、散粉用生成物、散布用物質又は粒剤の形態で、噴霧、霧化、散粉、散布、塗布、浸漬又は潅水により使用することができる。施用形態は、意図される目的に全面的に依存しており、それぞれの場合において、本発明の活性物質の可能な限り微細な分布を確実にすることが意図される。
【0063】
水性施用形態は、エマルション濃縮物、ペースト剤又は水和剤(噴霧可能な粉末剤、油分散剤)から水の添加により調製することができる。エマルション剤、ペースト剤又は油分散剤を調製するために、物質をそのままで又は油若しくは溶媒に溶解して、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤により水の中で均質化することができる。或いは、活性物質、湿潤剤、粘着性付与剤、分散剤又は乳化剤及び適切であれば溶媒又は油から構成される濃縮物を調製することが可能であり、そのような濃縮物は、水による希釈に適している。
【0064】
すぐに使用できる調製物における活性物質濃度は、比較的広範囲内で変わることができる。一般に、0.0001〜10重量%、好ましくは0.001〜1重量%の活性物質である。
【0065】
活性物質を、超微量法(ULV)において成功裏に使用することもでき、95重量%を超える活性物質を含む組成物を施用すること、又はさらには添加剤を有さないで活性物質を施用することが可能である。
【0066】
植物保護に用いられる場合、施用される活性物質の量は、望まれる効果の種類に応じて、1ヘクタール当たり0.001〜2kg、好ましくは1ヘクタール当たり0.005〜2kg、より好ましくは1ヘクタール当たり0.05〜0.9kg、特に1ヘクタール当たり0.1〜0.75kgである。
【0067】
種子などの植物繁殖材料を、例えば種子を粉衣、被覆又は潅注する処理において、植物繁殖材料(好ましくは種子)100キログラム当たり0.1〜1000g、好ましくは1〜1000g、より好ましくは1〜100g、最も好ましくは5〜100gの活性物質の量が一般に必要である。材料又は貯蔵生産物の保護に使用される場合、施用される活性物質の量は、施用領域の種類及び所望の効果によって決まる。材料の保護に慣用的に施用される量は、例えば、処理材料の1立方メートル当たり0.001g〜2kg、好ましくは0.005g〜1kgの活性物質である。多様な種類の油、湿潤剤、補助剤、除草剤、殺細菌剤、他の殺菌剤及び/又は農薬を、活性物質又はこれを含む農薬剤に加えることができ、適切であれば使用直前になってから加えることができる(タンクミックス)。これらの作用物質を本発明の組成物と1:100〜100:1、好ましくは1:10〜10:1の重量比で混合することができる。
【0068】
使用することができる補助剤は、特に、Break Thru S 240(登録商標)などの有機修飾ポリシロキサン;Atplus 245(登録商標)、Atplus MBA 1303(登録商標)、Plurafac LF 300(登録商標)及びLutensol ON 30(登録商標)などのアルコールアルコキシレート;EO/POブロック重合体、例えばPluronic RPE 2035(登録商標)及びGenapol B(登録商標);Lutensol XP 80(登録商標)などのアルコールエトキシレート;並びにLeophen RA(登録商標)などのジオクチルスルホスクシネートナトリウムである。
【0069】
本発明の農薬剤は、殺菌剤としての使用形態において、他の活性物質と、例えば除草剤、殺虫剤、成長調節剤、殺菌剤と、又は肥料と、プレミックスとして一緒に存在することもできるか、又は適切であれば使用直前になってから存在することもできる(タンクミックス)。
【0070】
ユーザーは、本発明の農薬剤を、通常、プレ投与装置(predosage device)、背負式噴霧器、噴霧タンク又は噴霧飛行機から施用する。ここで、農薬剤は、水及び/又は緩衝剤により所望の施用濃度に構成され、適切であれば更なる助剤を加えることが可能であり、このようにして、本発明のすぐに使用できる噴霧液又は農薬組成物が得られる。通常50〜500リットル、好ましくは100〜400リットルのすぐに使用できる噴霧液が、農業的に有用な領域の1ヘクタール当たりに施用される。
【0071】
一つの実施態様によると、キットの一部又は組成物の一部などの本発明の農薬剤の個別の成分を、ユーザー自身が、噴霧タンクの中で混合することができ、適切であれば更なる助剤を加えることができる(タンクミックス)。
【0072】
有害な菌類に対する作用の例
式Iの化合物の殺菌作用を以下の実験により実証した:
A)マイクロタイター試験
活性物質を、ジメチルスルホキシド(DMSO)中に10000ppmの濃度で貯蔵溶液として別々に配合した。
【0073】
使用例1-マイクロタイタープレート試験における灰色カビ菌ボトリチスシネリア(Botrytis cinerea)に対する活性
貯蔵溶液を、比率に応じて混合し、マイクロタイタープレート(MTP)にピペットで移し、水で希釈して、記述された濃度にした。次に、バイオモルト(biomalt)水溶液中のボトリチスシネリアの胞子懸濁液を加えた。プレートを水蒸気飽和室に18℃の温度で設置した。吸収光度計を使用して、MTSを、接種後7日、405nmで測定した。
【0074】
測定パラメーターを、活性化合物無含有対照変異菌(100%)の増殖、及び菌無含有活性化合物無含有空試験値と比較して、それぞれの活性化合物における病原体の相対的増殖を%で決定した。これらのパーセンテージを効能に変換した。
【0075】
活性化合物の混合物の予想される効能は、Colbyの式[R.S. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22 (1967)]を使用して決定し、観測された効能と比較した。
【表1】

【0076】
試験結果は、相乗作用のため、本発明の混合物がColbyの式により予測されたものよりもはるかに活性があることを示す。
【0077】
使用例2-マイクロタイタープレート試験におけるピレノフォラテレス(Pyrenophora teres)(オオムギにおける網斑病)に対する活性
貯蔵溶液を、比率に応じて混合し、マイクロタイタープレート(MTP)にピペットで移し、水で希釈して、記述された濃度とした。次に、バイオモルト水溶液中のピレノフォラテレスの胞子懸濁液を加えた。プレートを水蒸気飽和室に18℃の温度で設置した。吸収光度計を使用して、MTSを、接種後7日、405nmで測定した。
【0078】
測定パラメーターを、活性化合物無含有対照変異菌(100%)の増殖、及び菌無含有活性化合物無含有空試験値と比較して、それぞれの活性化合物における病原体の相対的増殖を%で決定した。これらのパーセンテージを効能に変換した。
【0079】
活性化合物の混合物の予想される効能は、Colbyの式[R.S. Colby, "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22 (1967)]を使用して決定し、観測された効能と比較した。
【表2】

【0080】
試験結果は、相乗作用のため、本発明の混合物がColbyの式により予測されたものよりもはるかに活性があることを示す。
【0081】
B)温室試験
活性物質を、25mgの活性物質を含む貯蔵溶液として別々又は一緒に配合した。貯蔵溶液は、アセトン及び/又はジメチルスルホキシド(DMSO)と乳化剤Wettol EM 31(エトキシル化アルキルフェノールに基づいた乳化及び分散作用を有する湿潤剤)との、溶媒/乳化剤の容量比が99対1の混合物を使用して10mlにした。次にこの溶液を、水を使用して100mlにした。この貯蔵溶液を、記載された溶媒/乳化剤/水の混合物で希釈して、下記に提示されている活性物質濃度にした。
【0082】
目視により決定した葉の感染領域のパーセンテージを、未処理対照の%で効能に変換した。
【0083】
効能(E)は、以下のAbbotの式を使用して計算される:
E=(1-α/β)・100
αは、処理植物の殺菌感染(%)に相当し、
βは、未処理(対照)植物の殺菌感染(%)に相当する。
【0084】
0の効能は、処理植物の感染レベルが未処理対照植物の感染レベルに相当することを意味し、100の効能は、処理植物が感染しなかったことを意味する。
【0085】
活性化合物の組み合わせの予想される効能は、Colbyの式(Colby, R.S. "Calculating synergistic and antagonistic responses of herbicide combinations", Weeds 15, 20-22頁, 1967)を使用して決定し、観測された効能と比較した。
【0086】
Colbyの式:E=x+y-x・y/100
Eは、a及びbの濃度で活性化合物A及びBの混合物を使用した場合の、未処理対照の%で表した予想効能であり、
xは、a濃度で活性化合物Aを使用した場合の、未処理対照の%で表した効能であり、
yは、b濃度で活性化合物Bを使用した場合の、未処理対照の%で表した効能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオピラム及びメトラフェノンを相乗的有効量で含む、植物病原性の有害な菌類を防除するための殺菌組成物。
【請求項2】
フルオピラム及びメトラフェノンを100:1〜1:100の重量比で含む、請求項1に記載の殺菌組成物。
【請求項3】
少なくとも一つの固体又は液体担体と、請求項1又は2に記載の組成物とを含む殺菌剤。
【請求項4】
植物病原性の有害な菌類を防除する方法であって、菌類、これらの生息場所又は菌類の攻撃から保護されるべき植物、土壌、種子、領域、材料又は空間、菌類の攻撃から保護されるべき土壌又は植物を、請求項1に記載のフルオピラム及びメトラフェノン又は請求項3に記載の殺菌剤の有効量で処理することを含む方法。
【請求項5】
フルオピラム及びメトラフェノンが、同時に、すなわち一緒若しくは別々に、又は連続して施用される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1若しくは2に記載の組成物又は請求項3に記載の殺菌剤が、5g/ha〜2500g/haの量で施用される、請求項4又は5に記載の方法。
【請求項7】
請求項1若しくは2に記載の組成物又は請求項3に記載の殺菌剤が、種子100kg当たり1g〜1000gの量で施用される、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の組成物を種子100kg当たり1g〜1000gの量で含む種子。
【請求項9】
有害な菌類を防除するのに適切な薬剤を調製するための、請求項1に記載のフルオピラム及びメトラフェノンの使用。
【請求項10】
遺伝子導入植物又はその種子を処理するための、請求項1に記載のフルオピラム及びメトラフェノンの使用。

【公表番号】特表2012−520339(P2012−520339A)
【公表日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−500202(P2012−500202)
【出願日】平成22年3月15日(2010.3.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/053260
【国際公開番号】WO2010/106008
【国際公開日】平成22年9月23日(2010.9.23)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】