説明

フルオロエーテル化合物を用いた加熱・冷却方法、これに適した組成物およびその用途

一般式(I)C−O−CF=CF(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、y=2x+1であり、Wは、F、CF、C、Cである)または式(II)すなわちC−O−CX=CYZ(式中、xおよびyは上記にて示した意味を持ち、Xは、HまたはFを表し、Yは、HまたはFを表し、Zは、H、F、CFまたはCを表す)の化合物(ただし、X、YまたはZのうちの少なくとも1つがHであり、一般式(II)の化合物には最大で2個の水素原子が含まれる)が、冷媒、溶媒、発泡剤、消火剤、ORC液、ヒートトランスフォーマー液、ヒートパイプ液またはエアロゾル生成ガスとして、あるいはその一部として、適している。好ましい共冷媒は、CFI、HFC−134aまたは1種または複数種のペンタフルオロプロペンである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の不飽和パーフルオロエーテル化合物を主成分とする合成物を加熱・冷却するための方法ならびに、このような不飽和パーフルオロエーテル化合物および合成物の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
CFI、1,1−ジフルオロエタン(HFC−152a)またはテトラフルオロプロペンなどのフッ素化化合物を加熱・冷却用の流体として使用することが、(特許文献1)から周知である。(特許文献2)には、特に移動式空調システムでの1,1,1,2−テトラフルオロエタン(HFC−134a)に代わるものとして、HFC−152aとCOとの混合物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2005/0233923号明細書
【特許文献2】国際公開第2005/021675号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
都合のよい特性を有する新規な冷媒を用いる加熱・冷却方法が求められている。また、特にGWPが小さく、好ましくは毒性が低く、かつ好ましくはそれぞれ燃焼がほとんどないかまったくない、冷凍における使用に適した合成物が依然として求められている。
【0005】
本発明の目的は、新規な加熱・冷却方法を提供することにある。本発明の別の目的は、特に冷凍に適しているが、溶媒での用途、伝熱、ヒートパイプ、ORC(有機ランキンサイクル)での用途、消火、発泡(foam blowing)またはエアロゾル生成などの他の目的にも適した新規な合成物を提供することにある。本発明の好ましい目的は、低燃焼性または完全に不燃性の合成物を提供することにある。本発明の別の目的は、GWP(地球温暖化係数)が好ましくは150未満、一層好ましくは140未満、特に好ましくは120以下の合成物を提供することにある。これらの目的および他の目的は、本発明によって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、加熱・冷却方法に関する。加熱または冷却するための本発明による方法は、一般式(I)
−O−CF=CFW (I)
(式中、xは、1、2、3、4、5または6、y=2x+1であり、かつ、Wは、F、CF、C、Cである)
あるいは、一般式(II)
−O−CX=CYZ (II)
(式中、xおよびyは、上記にて示した意味を持ち、Xは、HまたはFを表し、Yは、HまたはFを表し、Zは、H、F、CFまたはCを表す)で表される1種または複数種の化合物を含む冷媒を用いて機能するものである。ただし、X、YまたはZのうちの少なくとも1つがHであり、一般式(II)の化合物には最大で2個の水素原子が含まれる。「含む(comprising)」という表現には、「からなる(consisting of)」という意味もある。
【0007】
冷凍目的での式(I)の好ましい化合物は、CF−O−CF=CF、C−O−CF=CF、i−C−O−CF=CFおよびn−C−O−CF=CFである。冷凍目的での式(II)の好ましい化合物は、CFO−CF=CHF、CF−O−CF=CH、C−O−CF=CHFおよびC−O−CF=CHである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明で使用する場合、「冷凍」という用語は、本発明の冷媒組成物を凝縮した後、冷却対象となる物体のそばでこれを気化させることを含む方法を含む。同様に、「冷凍」という用語は、加熱対象となる物体の存在下で組成物を凝縮した後、組成物を気化させることも含む。加熱または冷却については、直接的または間接的に実施してもよいし、浸漬によって実施することも可能である。
【0009】
式(I)および(II)の1つまたは複数の化合物は、他の冷媒と併用可能なものである。便宜上、式(I)または(II)の化合物を「化合物A」と呼び、他の化合物を「化合物B」と呼ぶことにする。化合物Bは液体であってもよいし、標準条件(1絶対気圧、温度25℃)にて気体状であってもよい。また、可燃性であっても不燃性であってもよい。
【0010】
1つまたは複数の化合物Aは、任意にさらに化合物Bも併用して、添加剤と一緒に適用可能なものである。このような添加剤(本出願では、「化合物C」と呼ぶ)を用いると、プロセスの性能が改善される。本発明において好ましい化合物Cは、潤滑剤、安定剤、他の添加剤、たとえば、遊離基捕捉剤、水捕捉剤、漏出検出剤、たとえば、UV蛍光染料、防蝕剤または金属不動態化剤、たとえば、アミノ酸誘導体とアミンまたはイミダゾール、ベンズイミダゾール、ピラゾールまたはトリアゾールとの組み合わせ、あるいは、抗酸化剤、たとえば、第2級アリールアミン、フェニルナフチルアミン、ジフェニルアミンまたはヒンダードフェノール系物質、たとえば、2−t−ブチルフェノール、2,6−ジ−t−ブチルフェノールまたは4−メチル−2,6−ジ−t−ブチルフェノールである。この実施形態に適した潤滑剤、安定剤および他の添加剤は、とりわけ、以下の好ましい実施形態で詳細に説明するものであり、この場合の冷媒は不燃性である。
【0011】
以下、最も好ましい種類の化合物C、安定剤および潤滑剤について詳細に説明する。
【0012】
好適な安定剤は、国際公開第2005/233923号パンフレットに開示されている。完全なものとするために、安定剤に関するくだりに若干手を加えて抜粋しておく。
【0013】
フェノール化合物およびエポキシド化合物などの本発明の組成物の安定化に適した多岐にわたる化合物のうち、いずれを用いてもよい。特定の好ましい安定剤の例として、少なくとも1種のフェノール組成物および/または芳香族エポキシド、アルキルエポキシド、アルケニルエポキシド、これらのうちの2種類以上の組み合わせからなる群から選択される少なくとも1種のエポキシドを含む安定剤組成物があげられる。
【0014】
多岐にわたるフェノール化合物のいずれも、本組成物で使用するのに適している。出願人らは、何らかの動作理論に拘泥されることを望むものではないが、この組成物で本フェノールがラジカル捕捉剤として作用することで、かかる組成物の安定性が増すことが多いものと思われる。本明細書で使用する場合、「フェノール化合物」という用語は、主にあらゆる置換または未置換のフェノールを示す。好適なフェノール化合物の例としては、アルキル化モノフェノール(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール;2,4−ジメチル−6−tert−ブチルフェノール;トコフェロール;ヒドロキノンおよびアルキル化ヒドロキノン(t−ブチルヒドロキノン;ヒドロキノンの他の誘導体を含む)などを含む)、ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル(たとえば、4,4’−チオビス(2−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4’−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);2,2’−チオビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);アルキリデン−ビスフェノール(たとえば、4,4’−メチレンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);4,4’−ビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール;2,2−ビフェニルジオールまたは4,4−ビフェニルジオールの誘導体;2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4,−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール);4,4,−イソプロピリデンビス(2,6−ジ−tert−ブチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−ノニルフェノール);2,2’−イソブチリデンビス(4,6−ジメチルフェノール);2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−シクロヘキシルフェノール)、2,2−または4,4−ビフェニルジオール(2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−tertブチルフェノール)を含む)などを含む)、ブチル化ヒドロヒドロキシトルエン(BHT)、ヘテロ原子を含むビスフェノール(たとえば、2,6−ジ−tert−α−ジメチルアミノ−p−クレゾール;4,4−チオビス(6−tert−ブチル−m−クレゾール)などを含む);アシルアミノフェノール;2,6−ジ−tert−ブチル−4(N,N’−ジメチルアミノメチルフェノール);スルフィド(たとえば、ビス(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルベンジル)スルフィド;ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)スルフィドなどを含む)などを含む)ならびに、フェノール系UV吸収剤および光安定剤など、1種または複数種の置換または未置換の環式、直鎖または分枝脂肪族置換基を含むフェノールがあげられる。特定の好ましいフェノールとしては、トコフェロール、BHT、ヒドロキノンなどのアルキル化モノフェノールがあげられる。特定の特に好ましいフェノールとしては、トコフェロールがあげられる。ほとんどのフェノールは商業入手可能である。単一のフェノール化合物および/または2種類以上のフェノールの混合物を本組成物に用いることができる。
【0015】
多岐にわたるエポキシドのいずれも、本発明の組成物で使用するのに適している。この組成物で本発明のエポキシドが酸捕捉剤として作用することで、かかる組成物の安定性が増すことが多いものと思われる。単一の芳香族エポキシドおよび/または2種類以上の芳香族エポキシドの混合物を本組成物に用いることができる。
【0016】
好適な芳香族エポキシドの例としては、以下の式(III)で定義されるものが含まれる。
【0017】
【化1】

(式中、Rは、水素、ヒドロキシル、アルキル、フルオロアルキル、アリール、フルオロアリールであるか、
【0018】
【化2】

であり、Arは、置換または未置換のフェニレンまたはナプチレン(napthylene)部分である)。式(III)の特定の好ましい芳香族エポキシドとしては、Arがフェニレンであるか、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシル、ヘテロ原子部分をはじめとする1種または複数種の置換基で置換されたフェニレンであるものがあげられる。Arが未置換または置換されたフェニレンである式I(III)の好適な化合物の例としては、たとえば、ブチルフェニルグリシジルエーテル;ペンチルフェニルグリシジルエーテル;ヘキシルフェニルグリシジルエーテル;ヘプチルフェニルグリシジルエーテル;オクチルフェニルグリシジルエーテル;ノニルフェニルグリシジルエーテル;デシルフェニルグリシジルエーテル;グリシジルメチルフェニルエーテル;1,4−ジグリシジルフェニルジエーテル;4−メトキシフェニルグリシジルエーテル;これらの誘導体があげられる。式(III)の特定の他の好ましい芳香族エポキシドとしては、Arがナプチレンであるか、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシルおよびヘテロ原子部分などの1種または複数種の置換基で置換されたナプチレンであるものがあげられる。Arが未置換または置換されたナプチレンである式(III)の好適な化合物の例としては、たとえば、ナフチルグリシジルエーテル;1,4−ジグリシジルナフチルジエーテル;これらの誘導体があげられる。他の好適な芳香族エポキシドの例としては、ビスオキシラン、たとえば、2,2’[[[5−ヘプタデカフルオロオクチル]1,3フェニレン]−ビス[[2,2,2トリフルオロメチル]エチリデン]−オキシメチレン]ビスオキシランがあげられる。特定の好ましい実施形態では、本発明で用いる芳香族エポキシドは、Arがフェニレン、置換されたフェニレン、ナプチレンであるか、置換されたナプチレンである式(III)のエポキシドを含む。一層好ましくは、芳香族エポキシドは、Arがフェニレンまたは置換されたフェニレンである式(III)のエポキシドを含む。特定のより一層好ましい芳香族エポキシドの例としては、ブチルフェニルグリシジルエーテルなどがあげられる。多岐にわたるアルキルおよび/またはアルケニルエポキシドのいずれも、本組成物で使用するのに適している。好適なアルキルおよびアルケニルエポキシドの例としては、式(IV)のものがあげられる。
【0019】
【化3】

【0020】
(式中、Ralkは置換または未置換のアルキル基またはアルケニル基である)。式(IV)の特定の好ましいエポキシドは、Ralkが約1から約10個の炭素原子を有し、一層好ましくは約1から約6個の炭素原子を有するアルキル基であり、このアルキルが未置換であってもよいし、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシルおよびヘテロ原子部分を含む1種または複数種の置換基でさらに置換されていてもよいアルキルエポキシド化合物を含む。式(IV)のこのような好ましいアルキルエポキシドの例としては、n−ブチルグリシジルエーテル、イソブチルグリシジルエーテルおよびヘキサンジオールジグリシジルエーテルならびに、たとえば、フッ素化および過フッ素化アルキルエポキシドがあげられる。特定のより一層好ましいアルキルエポキシドは、ヘキサンジオールジグリシジルエーテルなどを含む。式(IV)の特定の他の好ましいエポキシドは、Ralkが約1から約10個の炭素原子を有し、一層好ましくは約1から約6個の炭素原子を有するアルケニル基であり、このアルケニルが未置換であってもよいし、アルキル、アルケニル、アルキニル、アリール、アルキルアリール、ハロゲン、ハロゲン化アルキル、ハロゲン化アルケニル、ハロゲン化アルキニル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化アリールアルキル、ヒドロキシルおよびヘテロ原子部分を含む1種または複数種の置換基でさらに置換されていてもよいアルケニルエポキシド化合物を含む。式(IV)のこのような好ましいアルケニルエポキシドとしては、たとえば、アリルグリシジルエーテル、フッ素化および過フッ素化アルケニルエポキシドがあげられる。より一層好ましいアルケニルエポキシドとしては、アリルグリシジルエーテルなどがあげられる。単一のアルキルエポキシドまたはアルケニルエポキシドおよび/またはこれらの2種類以上の組み合わせを本組成物に用いることができる。特定の他の好ましい実施形態では、本組成物において酸捕捉剤として用いられるアルキルエポキシドは、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルを含む。本発明で使用するのに適したポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルの例としては、欧州のSACHEM社から商業入手可能なエーテルがあげられる。また、特定の実施形態では、本発明で使用するエポキシドは、2種類以上の芳香族アルキルおよび/またはアルケニル置換基の組み合わせを含む。このようなエポキシドを広義に「多置換エポキシド」と呼ぶ。特定の好ましい実施形態によれば、本発明で使用する安定剤は、少なくとも1種のフェノール化合物と少なくとも1種の芳香族アルキルエポキシドまたは芳香族アルケニルエポキシドとの組み合わせを含む。好適な組み合わせの例としては、たとえば、トコフェロールおよびアリルグリシジルエーテル、BHTおよびグリシジルブチルエーテルを含む安定剤があげられる。特定の特に好ましい組み合わせとしては、たとえば、トコフェロールおよびアリルグリシジルエーテルを含む安定剤があげられる。少なくとも1種のフェノール化合物と少なくとも1種の芳香族アルキルエポキシドまたは芳香族アルケニルエポキシドとの好適な相対量については、好ましい安定剤にどのような量を用いてもよい。たとえば、フェノール化合物と芳香族またはフッ素化アルキルエポキシドとの重量比を、約1:99から約99:1まで変えることが可能である。特定の好ましい実施形態では、フェノール化合物と芳香族アルキル、アルケニル、多置換またはフッ素化アルキルエポキシドとの重量比が約30から約1であり、一層好ましくは約7から約1、一層好ましくは約2から約1、なお一層好ましくは約1:1である。
【0021】
どのような好適な有効量の安定剤でも本発明の組成物に用いることができる。上述した安定剤は、CFI(トリフルオロヨードメタン)を含む組成物に特に適している。本明細書で使用する場合、「有効安定化量」という用語は、特に組成物に添加した場合に、トリフルオロヨードメタンを含む場合は特に、安定した組成物が得られる本発明の安定剤の量を示す。この場合、組成物、特にその中に含まれるトリフルオロヨードメタンが、同一または同様の条件下で、もとの組成物よりもゆっくりおよび/または低度に分解される。特定の好ましい実施形態では、安定剤の「有効安定化量」は、組成物に添加した場合に、トリフルオロヨードメタンを含む場合は特に、標準試験SAE J1662(1993年6月版)および/またはASHRAE 97−1983Rのうちの少なくとも1つまたは両方の条件下で、もとの組成物よりもゆっくりおよび/または低度に分解される安定した組成物が得られる量を含み、特に、これはトリフルオロヨードメタンが含まれている場合に当てはまる。より一層好ましい特定の実施形態では、安定剤の「有効安定化量」は、トリフルオロヨードメタンを含む組成物に添加した場合に、標準試験SAE J1662(1993年6月版)および/またはASHRAE 97−1983Rのうちの少なくとも1つで、鉱油中にジクロロジフルオロメタン(R−12)を含む同等の組成物の安定性より高くはないにしても少なくとも同程度に良好な安定性を有する組成物が得られる量を含む。本発明で使用する安定剤の特定の好ましい有効量は、組成物の総重量あるいは、トリフルオロヨードメタンが含有される場合は、本発明の組成物のトリフルオロヨードメタンの総重量に対して、約0.001から約10、一層好ましくは約0.01から約5、なお一層好ましくは約0.3から約4重量パーセント、なお一層好ましくは約0.3から約1重量パーセントを含む。
【0022】
別の特に好適なタイプの安定剤が、不飽和炭化水素、特にテルペン、たとえば、モノテルペン、ジテルペンおよびセスキテルペンである。安定剤として適用可能な好ましいテルペンは、シトラール、シトロネラール、シトロネロール、リモネン、ジペンテン、メントール、テルピネン、テルピノレン、シルベストレン、サビネン、メンタジエン、ジンギベレン、オシメン、ミルセン、α−ピネン、β−ピネン、テレピン油、ショウノウ、フィトール、スクアレンおよびリコペンがある。もちろん、必要があれば、2種類以上のテルペンの混合物を安定剤として利用することも可能である。好ましくは、テルペンは、組成物の総重量に対して0.1%以上、特に好ましくは0.2重量%以上の量で含まれる。好ましくは、テルペンは、組成物の総重量に対して3%以下、好ましくは2重量%の量で含まれる。
【0023】
特定の好ましい実施形態では、本発明の組成物はさらに、化合物Cとして潤滑剤を含む。国際公開第2005/233923号パンフレットには、好適な潤滑剤について言及されている。完全なものとするために、それぞれのくだりを本明細書に抜粋しておく。
【0024】
多岐にわたる従来の潤滑剤のいずれも、任意に溶解性相溶化剤の存在下で、本発明の組成物に使用できる。潤滑剤に重要な要件の1つに、冷媒系で使用する場合、系の圧縮機が潤滑されるよう十分な潤滑剤を圧縮機に戻さなければならない点がある。このため、特定の系に対する潤滑剤の適合性については、ある程度は冷媒/潤滑剤の特性によって判断し、いくらかは潤滑剤の使用対象となる系の特性によって判断する。好適な潤滑剤の例としては、パラフィン、ナフテンまたは芳香族化合物などの鉱油あるいは、アリールアルキル、たとえばアルキルベンゼン、ポリオールエステル、ポリアルキレングリコール、PAG油、ホスフェートエステル、二塩基酸エステル、フルオロエステルおよびポリビニルエーテルなどの合成油があげられる。パラフィン油またはナフテン油を含む鉱油は、商業入手可能である。商業入手可能な鉱油としては、ウィトコ(Witco)社のWitco LP 250(登録商標)、シュリーブ・ケミカル(Shrieve Chemical)社のZerol 300(登録商標)、ウィトコ(Witco)社のSunisco 3GS、カルメット(Calumet)社のCalumet R015があげられる。商業入手可能なアルキルベンゼン潤滑剤としては、Zerol 150(登録商標)があげられる。40℃での動粘性率が46mm/sの範囲にある、Fuchs Reniso S46Fなどのアルキルベンゼン潤滑剤も極めて適している。商業入手可能なエステルとしては、Emery 2917(登録商標)およびHatcol 2370(登録商標)として入手可能なジペラルゴン酸ネオペンチルグリコールがあげられる。他の有用なエステルとしては、ホスフェートエステル、二塩基酸エステル、フルオロエステルがあげられる。好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコールおよびエステルがあげられる。特定のより一層好ましい潤滑剤としては、ポリアルキレングリコールがあげられる。極めて好適なPAG油がデンソー(Denso)のND8 PAGである。
【0025】
潤滑剤の量は、装置が高信頼度で動作するよう選択される。潤滑剤の量は、冷媒組成物全体(化合物A、化合物Bならびに、安定剤、潤滑剤、他の添加剤などの化合物Cを含む)の1から35重量%の範囲で冷媒組成物に含むようにすればよい。好ましい範囲は5から30重量%である。
【0026】
この組成物にはさらに、他の添加剤を化合物Cとして含み得る。上述したものなどの金属不動態化剤および防蝕剤を、組成物全体に対して0.01から5重量%、好ましくは0.05から2重量%の範囲の量で含ませることが可能である。他の添加剤、たとえば、抗酸化剤についても、各々が組成物全体に対して0.01から5重量%、好ましくは0.05から2重量%の範囲で存在し得る。もちろん、必要があれば、冷媒が、安定剤と潤滑剤および/または防蝕剤との併用など2つ以上の異なる種類の化合物Cを含むものであってもよい。また、たとえば、ポリオキシアルキレングリコールエーテル、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、アリールエーテル、1,1,1−トリフルオロアルカン、フルオロエーテルまたはエステルなどの溶解性相溶化剤を併用して、選択した油に対する冷媒の溶解性を最適化するようにしてもよい。
【0027】
本発明の一実施形態は、可燃性が問題にならない状況における冷凍方法に関するものである。これは、漏出が火災の危険につながることのない状況で、たとえば機械的な衝撃で生じる冷媒の漏出が想定されないようなフリーザーなどの据え置き式冷凍装置の場合である。本発明の文脈における「可燃性」という用語は、ASTM規格E−681によって定義される。この規格には、ふたをしていないガラス製の容器で電気点火を用いて可燃性の上限と下限をどのように評価するかが説明されている。
【0028】
可燃性が問題にならない実施形態の変形例では、式(I)または(II)の化合物をそのまま利用することができる。必要があれば、式(I)および/または(II)の化合物2種類以上の混合物の形で使用可能である。また、それ自体が可燃性であるか、不燃性ではあるが冷媒混合物を不燃性にするのに必要な量よりは少量で適用される化合物Bと併用することもできる。
【0029】
このような別の1つまたは複数の化合物Bは、たとえば、可燃性の化合物から選択可能である。たとえば、1から8個の炭素原子を有するものなどの直鎖、分枝鎖または環式の炭化水素(HC)、(プロパン、シクロプロパン、正ブタン、i−ブタンなど)あるいは、ペンタン(2−メチルブタン、正ペンタンまたはシクロペンタンなど)が、化合物Bとして適している。エーテル、特にジアルキルエーテル、たとえばジメチルエーテル、フッ素含有量が少ないフッ素化エーテルまたはフッ素化チオエーテル、たとえば、CF−S−CFも化合物Bとして適している。別のクラスの好適な化合物Bが、C1からC6の飽和ハイドロフルオロカーボン(HFC)またはC2からC6の不飽和ハイドロフルオロカーボン(フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンまたは1,1,1−トリフルオロエタン)、フルオロプロペン(2−フルオロプロペン、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンなど)であり、好ましくは、trans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン、ケトン(アセトンなど)である。本発明では、たとえばトリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンの単一の立体配置異性体、単一のステレオマーおよびこれらの混合物をすべて含むことを想定している。たとえば、1,3,3,3−テトラフルオロプロペン(HFC−1234ze)は、シス異性体、トランス異性体およびその任意の混合物を任意の比で示すことを意味する。1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン(HFC−1225ye)は、シス異性体(Z異性体)、トランス異性体(E異性体)およびその任意の混合物を任意の比で示す。
【0030】
また、可燃性が問題にならないこの実施形態では、たとえば組成物を不燃性にするには不十分な量で不燃性化合物を適用することが可能である。CFI、好ましくは2から6個の炭素原子を有するパーフルオロカーボン(ヘキサフルオロシクロプロパンなど)、飽和または不飽和の高フッ素化(higher−fluorinated)ハイドロフルオロカーボン、フッ素化ケトン、たとえば、パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)、飽和フルオロエーテル、たとえば、トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)またはトリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)あるいは、二酸化炭素を、たとえば、適用することが可能である。極めて好適な不燃性の飽和化合物は、H原子数がF原子数より少ないC1からC4のハイドロフルオロカーボンから選択され、特に、トリフルオロメタン、HFC−134、HFC−134a、HFC−125、ペンタフルオロプロパン(1,1,2,2−ペンタフルオロプロパン(HFC−245cb)または1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)など)、ヘキサフルオロプロパン(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)など)またはヘプタフルオロプロパン(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)など)、CO、特にCFIから選択される。化合物Bとして利用可能な他の好ましい不燃性化合物には、不燃性でC2からC4の高フッ素化不飽和ハイドロフルオロカーボン、特にペンタフルオロプロペンがある。式(I)または(II)の化合物が不飽和ハイドロフルオロカーボンと一緒に適用される実施形態については、以下において詳細に説明する。
【0031】
CF−O−CF=CFとHFC−134aとを含む混合物が共沸混合物を形成することが見出されている。たとえば、0℃で、約20重量%〜約60重量%のCF−O−CF=CFと、これを100重量%から引いた残りのHFC−134aとからなる混合物は、最小沸点共沸混合物を形成する。共沸混合物の0℃での圧力は約3.57バール(絶対)である。このような共沸混合物には、蒸気相の組成物と凝縮相の組成物が同一であるという利点がある。このため、蒸気相の一部が、意図的に冷凍装置から取り出されたり、あるいは、漏出などの何らかの理由で冷凍装置から外に出てしまったりしても、凝縮相の組成物は変化しない。もちろん、これらの共沸混合物を、二酸化炭素、炭化水素またはCFIなどの他の冷媒成分および/または上述した1種または複数種の添加剤と混合して冷媒を得ることも可能である。
【0032】
また、HFC−1225yeならびにパーフルオロ−メチルビニルエーテルのE異性体、Z異性体あるいはE異性体とZ異性体との任意の比での混合物が共沸混合物のような混合物を形成することも見いだされている。ODPが0でGWPが10未満の共沸混合物のような混合物は本発明の好ましい実施形態であるが、これについては後述する。
【0033】
本発明の枠内での共沸混合物のような混合物は、液体の混合物と実質的に等しい蒸気組成を有し、その組成と温度とを実質的に変えることなく相転移する2種類以上の流体の混合物である。本発明によれば、一定温度で最初の液体質量の50%まで蒸発後に、初期混合物での変動率と最終混合物での変動率の間にある蒸気圧の変動率が約10%未満になると、その混合物は共沸混合物のようなものとなる。これについては、D.A.ディディオン(Didion)およびD.B.ビヴェンス(Bivens)による論文Int.J.of Refrigeration 13(1990年)、第163から175ページを参照のこと。
【0034】
パーフルオロ−メチルビニルエーテルと、HFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはE異性体とZ異性体との任意の混合物との二元混合物が、広い範囲で共沸混合物のような混合物を形成することが見いだされている。
【0035】
試験を行ったところ、PVMEは、どのペンタフルオロプロペンよりもゆっくりとプラスチック材に透過することが示されている。一方、PVMEの含有量が、たとえば10重量%の範囲など同じように低い混合物の熱力学的挙動には、極めて良好な熱力学的特性がある。加えて、特定の組成物では、用途によっては好都合な共沸様の挙動が存在する。このため、好ましいPVME組成物ならびに、HFC−1225yeの純粋な異性体または混合異性体の異なる実施形態が存在する。パーフルオロメチルビニルエーテルと、HFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはE異性体とZ異性体との任意の混合物との混合物(パーフルオロ−メチルビニルエーテルの含有量8重量%以上、一層好ましくは10重量%以上、極めて好ましくは15重量%以上)が極めて好都合である。好都合なことに、パーフルオロ−メチルビニルエーテルの含有量は30重量%以下である。これらの混合物は、ODPがゼロ、GWPは10以下である。
【0036】
本発明の一実施形態では、共沸混合物のような極めて好ましい混合物は、パーフルオロ−メチルビニルエーテルを15から25重量%と、HFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはE異性体とZ異性体との任意の混合物を75から85重量%とからなる。
【0037】
パーフルオロ−メチルビニルエーテル20重量%と、100重量%に対する残りがHFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはE異性体とZ異性体との任意の混合物とをも含む混合物が不燃性である。その温度グライドはp2バールで約1から2Kである。「P」という用語は飽和圧力を示す。この温度グライドを利用して、性能を高めることが可能である。
【0038】
本発明の別の実施形態は、パーフルオロ−メチルビニルエーテルと、HFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはこれらの混合物と、第3の成分として、パーフルオロ−エチルビニルエーテルと、パーフルオロ−プロピルビニルエーテルと、パーフルオロ−メチル−メチルビニルエーテルと、HFC−1234zeと、HFC−1234yfと、HFC−1234yeと、HFC−1243zfと、HFC−32と、HFC−125と、HFC−134と、HFC−134aと、HFC−143aと、HFC−152aと、HFC−161と、HFC−227eaと、HFC−236eaと、HFC−236faと、HFC−245faと、HFC−365mfcと、プロパンと、正ブタンと、イソブタンと、2−メチルブタンと、正ペンタンと、シクロペンタンと、ジメチルエーテルと、CFSCFと、COと、CFIと、からなる群から選択される、冷媒として適した化合物との共沸混合物のような混合物を含む三元組成物である。これらの三元組成物に含まれるFHC−1225yeとパーフルオロ−メチルビニルエーテルとの共沸混合物のような好ましい混合物については、上述してある。
【0039】
パーフルオロ−メチルビニルエーテルと、HFC−1225yeと、第3の成分との三元組成物をHFC−134aに代えて用いることを想定している場合、第3の成分は、好ましくは共沸混合物のような混合物よりも沸点の低いものである。たとえば、沸点が−25から−100℃の範囲にある化合物が、第3の成分として都合よく用いられる。
【0040】
三元組成物では、上述のごとき共沸混合物のような混合物の含有量については、1重量%以上、好ましくは10重量%以上、なお一層好ましくは20重量%以上、特に30重量%以上にすることが可能である。極めて好ましくは、共沸混合物のような混合物の含有量は50重量%以上である。三元組成物における共沸混合物のような混合物の含有量については、99重量%以下、好ましくは97重量%以下にすることが可能である。共沸混合物と第3の成分で100重量%になる。この組成物は毒性が低いものと思われる。
【0041】
三元混合物をHFC−134aに代えて用いることを想定している場合、パーフルオロ−メチルビニルエーテルとHFC−1225yeとの共沸混合物のような混合物の量については、蒸気圧曲線がHFC−134aのものに近くなるように選択される。
【0042】
極めて頻繁に、沸点が1つまたは複数の化合物Aの±20℃の範囲、好ましくは±10℃の範囲にある化合物Bが好都合である。
【0043】
この実施形態では、化合物Aあるいは、2種類以上の化合物Aからなる場合は化合物Aの合計と、化合物Bあるいは、2種類以上の化合物Bからなる場合は化合物Bの合計の、冷媒(化合物Aと化合物Bあるいは、化合物A、化合物Bおよび化合物Cを含み得る)中での含有量(重量%)は、好ましくは以下のとおりである。化合物A(またはその合計)の量は、好ましくは1重量%以上である。好ましい量は5重量%以上、なお一層好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、最も好ましくは、化合物Aの量は30重量%以上である。化合物A(または2種類以上の化合物Aからなる場合はその合計)の量は、好ましくは99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。なお一層好ましくは、化合物Aの量は、90重量%以下、特に80重量%以下である。
【0044】
化合物Bの量は、好ましくは1重量%以上である。好ましい量は5重量%以上、なお一層好ましくは10重量%以上、特に好ましくは20重量%以上であり、最も好ましくは、化合物Bの量は30重量%以上である。化合物Bの量は、好ましくは99重量%以下、好ましくは95重量%以下である。なお一層好ましくは、化合物Bの量は、90重量%以下、特に80重量%以下である。
【0045】
上述したように、CFIが好ましい化合物のうちの1つである。
【0046】
別の好ましい実施形態では、好ましい化合物Bは、飽和HFC、特にHFC−227eaまたはHFC−134aである。特に、好ましいのは、本質的にCF−O−CF=CFとHFC−227eaとからなる二元混合物あるいは、本質的にCF−O−CF=CFとHFC−134aとからなる二元混合物である。
【0047】
好ましくは、このような二元混合物中のHFC−227eaの含有量は5重量%以下である。好ましくは、HFC−227eaの含有量は1重量%以上である。好ましくは、CF−O−CF=CFの含有量は、HFC−227eaを含む二元組成物の95重量%以上である。特に好ましくは、CF−O−CF=CFの含有量は、HFC−227eaを含む二元組成物の99重量%以下である。
【0048】
HFC−134aを含む混合物の場合、好ましくは、このような二元混合物中のHFC−134aの含有量は10重量%以下である。好ましくは、HFC−134aの含有量は1重量%以上である。好ましくは、CF−O−CF=CFの含有量は、HFC−134aを含む二元組成物の90重量%以上である。好ましくは、CF−O−CF=CFの含有量は、HFC−134aを含む二元組成物の99重量%以下である。
【0049】
CF−O−CF=CFの好適な二元組成物の例を以下の表にあげておく。
【0050】
【表1】

【0051】
HFC−134a含有量11.5重量%以下の式(I)の化合物の組成物は、GWPが150未満である。HFC−134a含有量10.7重量%以下の組成物はGWPが140未満である。HFC−134a含有量9.5重量%以下のこのような組成物はGWPが120であり、好ましい。HFC−134aを含有する(HFC−134aは7から11.5重量%、好ましくは7から10.7重量%、特に好ましくは7から9.5重量%の範囲で含まれる)式(I)の化合物の組成物には、好都合な特性を持ちつつも、そのGWPが150未満、140未満、さらには120未満であるという利点がある。極めて好適な組成物の1つに、CF−O−CF=CFとHFC−134aとの混合物(HFC−134a含有量は8.0%から9重量%の範囲)がある。
【0052】
さらにCOが含まれる場合、その量は、好ましくは冷媒の0.1重量%、一層好ましくは1重量%またはそれよりも多い。COが含まれる場合の量は、好ましくは15重量%以下である。
【0053】
上述した組成物の利点は、特に、式(I)および(II)の化合物のGWPが極めて低いと想定されること、たとえば、化合物Bのオゾン層破壊係数が完全にゼロであることがあげられる。好ましい化合物であるCF−O−CF=CFは、化合物Bの多くと同様に、急性毒性が低い。
【0054】
好ましい実施形態では、式(I)の1つまたは複数の化合物Aを、少なくともこのように形成される組成物の可燃性をなくす量で含まれる少なくとも1種の不燃性化合物Bと一緒に適用する。好ましい不燃性化合物Bは、標準条件で気体状または液体である。これらの化合物は、好ましくは、CFI、パーフルオロカーボンおよび飽和ハイドロフルオロカーボン(特に炭素数1から5)、不飽和ハイドロフルオロカーボン(特に炭素数2から5)、フッ素化ケトン(特に炭素数3から9のもの)、たとえば、パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)またはポリフルオロ化(polyfluoronated)ケトン(水素原子が最大2個)、飽和フルオロエーテル、たとえば、トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)またはトリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)および二酸化炭素からなる群の不燃性化合物から選択される。
【0055】
不燃性の組成物を用いて冷凍を行う好ましい一実施形態によれば、極めて好適な不燃性化合物Bは、CFIから選択され、飽和ハイドロフルオロカーボン(好ましくは炭素数1から4)の中から、特に、トリフルオロメタン、HFC−134、HFC−134a、HFC−125、ペンタフルオロプロパン、たとえば、1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)、ヘキサフルオロプロパン、たとえば、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)またはヘプタフルオロプロパン、たとえば、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)およびCOからなる群の中から選択される。
【0056】
特に好ましいのは、飽和化合物BとしてのCFIである。
【0057】
この実施形態による極めて好ましい冷凍方法は、CF−O−CF=CFおよびCFIを含む組成物を用いて実施される。このような組成物はCOを含むものであってもよい。COを含む場合、好ましくは組成物の総重量に対して最大15重量%の量で含むようにする。もちろん、これらの好ましい組成物は、1種または複数種の化合物Cを上記にて簡単に説明したような量で含むものであってもよい。
【0058】
不燃性化合物Bの含有量の下限は、冷媒(化合物Cが含まれる場合は、この分も入る)が不燃性になるようにして選択される。この最小含有量は、ASTM E681に基づいて、標準設備を用いる試験によって容易に判断可能である。
【0059】
この実施形態では、冷媒(化合物A、化合物Bおよび任意に化合物Cを含むものであってもよい)中の化合物A、好ましくはCF−O−CF=CFの量は、好ましくは20重量%以上である。より一層好ましい量は30重量%以上であり、なお一層好ましいのが40重量%以上、特に50重量%以上である。極めて好ましくは、この量は60重量%以上である。好ましくは、化合物A、好ましくはCF−O−CF=CFの量は80重量%以下であり、より一層好ましいのが70重量%以下である。
【0060】
化合物B、好ましくはCFIの好ましい量は、冷媒の化合物AおよびBの総重量に対して20重量%以上であり、一層好ましくは、30重量%以上である。必要があれば、CFIの含有量を、たとえば40重量%以上などもっと多くすることも可能である。好ましくは、CFIであると好ましい化合物Bの量は80重量%以下であり、より一層好ましいのが70重量%以下、なお一層好ましくは60重量%以下、特に好ましくは50重量%以下、なお一層好ましくは40重量%以下である。
【0061】
特定の実施形態において、CF−O−CF=CFとCFIの組成物の場合、CF−O−CF=CFの含有量は好ましくは50重量%以上であり、CFIの含有量は好ましくは50重量%未満であるが、ASTM E681規格(好ましくは2001年版)に基づく不燃性を与えるのに十分な量である。
【0062】
好ましい実施形態では、冷媒のGWPが150未満になるように構成物質とその量を選択する。GWPについては、国連環境計画によって打ち出されたScientific Assessment of Stratospheric Ozone:1989」考案の方法で判断できる。一般的な定義としては、
GWP=対象物質による瞬時放射強制力の計算値/対象物質の放出率(定常状態)を、CFClの同じパラメータで割った値となる。
【0063】
好ましい実施形態では、組成物のGWPは140未満である。特に好ましい実施形態では、組成物のGWPは120以下である。最も好ましい実施形態では、GWPは40以下であり、最も好ましくは、10以下である。
【0064】
以下、冷媒にCF−O−CF=CFおよびCFIが含まれる好ましい実施形態のうちの1つを参照し、本発明についてさらに説明する。
【0065】
一実施形態において、冷媒の成分AおよびBは、本質的に化合物AとしてのCF−O−CF=CFと化合物BとしてのCFIとからなる。両方の化合物の総重量に対して計算した場合の、任意に圧力下で液化される好適な気体状混合物を、以下の表にあげておく。
【0066】
【表2】

【0067】
これらの混合物は準共沸混合物であると思われる。CFIを低めの範囲(CFIを35、40、45または50重量%など)で含む組成物が好ましい。
【0068】
別の実施形態では、CF−O−CF=CFおよびCFIの好ましい不燃性冷媒混合物は、化合物Bをさらに含むものであってもよい。これらの別の化合物Bは、上述した化合物Bすなわち、可燃性化合物、たとえば、直鎖、分枝鎖または環式の炭化水素(HC)(プロパン、シクロプロパン、正ブタン、i−ブタンなど)、ペンタン、フッ素置換の少なめ(lower)のハイドロフルオロカーボン(HFC)(フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンまたは1,1,1−トリ−フルオロエタンなど)、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、好ましくはtrans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテルなど)、ケトン(アセトンなど)など)から選択できるか、あるいは、上述した不燃性化合物(パーフルオロカーボンおよび飽和または不飽和ハイドロフルオロカーボン、フッ素化ケトン(パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)など)、飽和フルオロエーテル(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)またはトリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)など)、二酸化炭素など)から選択できる。別の化合物Bとして特に適した不燃性化合物は、トリフルオロメタン、HFC−134、HFC−134a、HFC−125、ペンタフルオロプロパン(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)など)、ヘキサフルオロプロパン(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)など)またはヘプタフルオロプロパン(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)など)、ペンタフルオロプロペンまたはCOから選択される。
【0069】
別の化合物Bの量は特性に左右される。可燃性化合物Bを追加の化合物Bとして含む場合、得られる組成物を不燃性にするのであれば、その量は限られる。この場合、50重量%以下のCF−O−CF=CFの代わりに別の可燃性化合物Bを用いる。この場合に得られる組成物は、含有される残りのCFIによって不燃性になる。追加の化合物Bが不燃性化合物の場合、これでCF−O−CF=CFの一部および/またはCFIの一部を置き換え可能である。多くの場合、50重量%以下のCF−O−CF=CFおよび/または50重量%以下のCFIが置き換えられる。
【0070】
好適な気体状の三元および多元組成物(任意に液化されている)を表2にあげておく(数字は、表にあげた成分の総重量に対して求めた含有量を重量%単位で示したものであり、ここから本発明による混合物の他の例での範囲が分かる;この量は常に合計で100%になる)。
【0071】
【表3】

【0072】
不燃性組成物を用いて冷凍を行う別の好ましい実施形態によれば、式(I)または(II)の化合物の混合物と、化合物Bとしての1種または複数種の不燃性不飽和ハイドロフルオロカーボンとを一緒に適用する。この実施形態では、CF−O−CF=CF、C−O−CF=CF、i−C−O−CF=CFおよびn−C−O−CF=CFが式(I)の好ましい化合物である。この実施形態については、式(I)の極めて好ましい化合物であるCF−O−CF=CFの場合を例に以下で詳細に説明する。「不飽和フルオロ炭化水素」という用語は、炭素、水素、フッ素からなり、化合物が不燃性になるようフッ素原子数が水素原子数よりも多い不飽和化合物を示す。好ましくは、これらの不飽和ハイドロフルオロカーボンは2から5個の炭素原子を有し、好ましくは2から4個、特に好ましくは3個の炭素原子を有する。名前のとおり、これには少なくとも1個の水素原子が含まれる。
【0073】
この実施形態で最も好ましい不飽和化合物は、ペンタフルオロプロペンである。ペンタフルオロプロペンは、CF−CH=CFおよびCF−CF=CHFなどの異なる立体配置異性体または立体異性体として存在してもよい。CF−CF=CHFは、たとえば、(E)異性体および(Z)異性体の形で存在する。本発明では、単一の立体配置異性体、単一のステレオマーおよびこれらの混合物をすべて含むことを想定している。また、本出願における組成物では、HFC−1225yeの(Z)異性体が好ましい異性体である点にも注意されたい。
【0074】
好ましい組成物は、式(I)の化合物として、CF−O−CF=CF、C−O−CF=CF、i−C−O−CF=CFおよびn−C−O−CF=CFのうちの1種または複数種と、HFC−1225ye、HFC−1234ze、HFC−1234yf、HFC−1234yeおよびHFC−1243zfのうちの1種または複数種とを含む。
【0075】
この組成物はまた、米国特許出願公開第2005/0233923号明細書に記載されているように、HFC−1234yfとHFC−1225yeの(Z)異性体の共沸混合物のような組成物を含むものであってもよい。好ましくは、この共沸混合物のような組成物は、50から100重量%未満のHFC−1234yfと、0より多く50重量%未満の(Z)−HFC−1225yeとからなる。
【0076】
任意に、他の化合物Bを別の成分としてさらに含んでもよい。この場合、HFC−32、HFC−134、HFC−134a、HFC−152aおよびCOのうちの1種または複数種が含まれると好ましい。
【0077】
この実施形態の合成物は、組成物の総重量に対して1から99重量%の量の式(I)の1つまたは複数の化合物と、99から1重量%の量の1つまたは複数の化合物Bとを含むものであってもよい。1種または複数種の不飽和フルオロ炭化水素および1種または複数種の別の化合物B、たとえば、HFC−134a、HFC−152aまたはCOが含まれる場合、化合物Bの合計で99から1重量%の量が含まれる。
【0078】
以下の表に、好ましい二元、三元および四元組成物を示す。これには、可燃性組成物もいくつか含まれる。「いずれでも」という表現は、たとえば、直鎖、分枝鎖または環式の炭化水素(HC)(プロパン、シクロプロパン、正ブタン、i−ブタンなど)、ペンタン、フッ素置換の少なめのハイドロフルオロカーボン(HFC)(フルオロメタン、ジフルオロメタン、フルオロエタン、1,1−ジフルオロエタンまたは1,1,1−トリ−フルオロエタンなど)、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、好ましくはtrans−1,1,1,3−テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、ジアルキルエーテル(ジメチルエーテルなど)、ケトン(アセトンなど)、パーフルオロカーボンおよび飽和または不飽和のハイドロフルオロカーボン、フッ素化ケトン(パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)など)、飽和フルオロエーテル(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)またはトリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)など)、二酸化炭素などであり、特に、トリフルオロメタン、HFC−134、HFC−134a、HFC−125、ペンタフルオロプロパン(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)など)、ヘキサフルオロプロパン(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)など)またはヘプタフルオロプロパン(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)など)、ペンタフルオロプロペンまたはCOなど、上述した化合物Bのいずれかを示す。「HFC−1225ye」という表現は、任意のモル比での(Z)−HFC−1225ye、(E)−HFC−1225yeおよびこれらの混合物を示す。
【0079】
【表4】

【0080】
【表5】

【0081】
【表6】

【0082】
【表7】

【0083】
【表8】

【0084】
この実施形態では、CF−O−CF=CFと、HFC−1225ye(E異性体のみ、Z異性体のみ、あるいはE異性体とZ異性体との混合物を含む)と、HFC−134aと、を含む三元組成物、CF−O−CF=CFと、HFC−1225ye(E異性体のみ、Z異性体のみ、あるいはE異性体とZ異性体との混合物を含む)と、HFC−152aと、を含む三元組成物、CF−O−CF=CFとHFC−1225ye(E異性体のみ、Z異性体のみ、あるいはE異性体とZ異性体との混合物を含む)とからなる二元組成物(ここで、HFC−1225yeは組成物が不燃性になるだけの量で含まれる)が特に好ましい。
【0085】
CF−O−CF=CFは、GWPが約0である。HFC−1225yeのGWPは極めて低いと思われる。HFC−134aのGWPが1300であると仮定すると、CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeと、約11.5重量%以下のHFC−134aとを含む組成物のGWPは計算上150未満となる。約10.7重量%以下の134aを含む組成物のGWPは計算上140未満である。9.5重量%のHFC−134aを含む組成物のGWPは計算上120未満であり、極めて好ましい。HFC−134aのGWPが1410であると仮定すると、CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeと、約10.6重量%以下のHFC−134aとを含む組成物のGWPは計算上150未満である。約10.0重量%以下の134aを含む組成物のGWPは計算上140未満である。8.6重量%のHFC−134aを含む組成物のGWPは計算上120未満である。このように、CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeと、HFC−134aとを、HFC−134aの含有量10.6重量%以下、好ましくは10.0重量%以下、特に8.6重量%以下で含む組成物が極めて適している。CF−O−CF=CFとHFC−1225yeとのモル比は極めて融通の利くものであり、1:99から99:1の範囲で選択可能である。好都合なことに、これは低燃焼性または不燃性の組成物が得られるように選択される。
【0086】
HFC−152aのGWPは140であることが分かっている。このため、CF−O−CF=CFとHFC−1225yeとを、HFC−152aの含有量85重量%以下で含む組成物が、そのGWPが120未満になることから好ましい。低燃焼性が達成されるか、不燃性にすらなるように、CF−O−CF=CF、HFC−1225yeおよびHFC−152aの量を選択すると、極めて好都合なことがある。
【0087】
CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeと、HFC−134a、HFC−152aまたはHFC−227eaとの三元組成物は、冷媒として極めて好適である。このような三元組成物の例を表8にあげておく。それぞれの成分は合計で100重量%になる。
【0088】
【表9】

【0089】
CF−O−CF=CFとHFC−1225ye(E異性体のみ、Z異性体のみ、あるいはE異性体とZ異性体との任意の混合物)との二元組成物が極めて適している。
【0090】
表9は、CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeの本質的に純粋な異性体および混合物とからなる例示的な好ましい組成物を示す。ここで、「本質的に純粋な異性体」という表現は、好ましくは、他の異性体それぞれが、せいぜい10重量%、好ましくはせいぜい5重量%含有されるという意味である。
【0091】
【表10A】

【表10B】

【表10C】

【0092】
また、この実施形態では、前記式(I)または(II)の化合物と不飽和ハイドロフルオロカーボンとの組成物はさらに、化合物C、たとえば、安定剤(テルペンなど)、相溶化剤(ポリオキシルキレングリコールエーテルなど)、アミド、ケトン、ニトリル、クロロカーボン、フルオロエーテル、ラクトンまたはエステル;ナフタルイミド、ペリレン、クマリン、アントラセン、フェナントラセン、フルオレセイン、キサンテン、チオキサンテン、ナフトキサンテンまたはこれらの誘導体からなる群のUV蛍光染料;潤滑剤(鉱油、PAG油、アルキルベンゼン、合成パラフィン、合成ナフテンおよびポリ(α)オレフィンから選択されるものなど);安定剤、好ましくはテルペン、遊離基捕捉剤、水捕捉剤、抗酸化剤ならびに、組成物の希釈、汚染または他の変化を検出するためのトレーサー化合物を含むものであってもよい。
【0093】
式(I)の化合物、特にCF−O−CF=CFと、不飽和ハイドロフルオロカーボン、特にHFC−1225yeまたはテトラフルオロプロペンと、任意に他の化合物B、たとえば、HFC−134aおよび/またはHFC−152aとの組成物を用いることの利点は、可燃性が低めであるか不燃性ですらあり、毒性が低めであることにある。
【0094】
極めて好ましい組成物は、HFC−1225yeとCF−O−CF=CFとを重量比90±2:10±2で含む。特に好ましい組成物は、重量比90±2:10±2のHFC−1225yeとCF−O−CF=CFとからなる。ここで、構成成分であるHFC−1225yeとCF−O−CF=CFは合計で100重量%になる。HFC−1225yeは、(E)異性体、(Z)異性体あるいは、(E)異性体と(Z)異性体との混合物の形で適用可能である。HFC−1225yeを含む他の組成物を用いる場合と同様に、ここでもHFC−1225yeの(Z)異性体が好ましい異性体である。もちろん、冷媒としての用途または他の目的では、安定剤、相溶化剤または潤滑剤などの化合物Cを添加してもよい。組成物の例を以下の表10にまとめておく。
【0095】
【表11】

【0096】
これらの組成物、特にHFC−1225ye90重量%とCF−O−CF=CF10重量%とからなる組成物には、驚くべき利点がある。これらは不燃性であり、温度グライドが極めて低く、性能計数(Cop)が高い。冷凍能力Qvolは許容値で、GWPは極めて優れているすなわち、わずか約1である。ODPはゼロである。試験を行ったところ、油(潤滑剤)、特にPAG油との混和性および相溶性が良好であり、Oリングまたはホースとして冷凍装置に用いられる金属およびプラスチックとの材質の適合性も良好であり、プラスチックへの透過性が低く、安定性が良好であり、熱力学的挙動も良好であることが明らかになっている。さらに、α−ピネンまたはβ−ピネンなどのテルペンと混和する。いくつかのデータを実験のセクションにあげておく。
【0097】
上述した組成物、特に不燃性の組成物を用いて加熱または冷却するための方法は、乗用車や大型トラックにおける運転室あるいは輸送対象となる品物用の移動式冷却、バス、列車、航空機、船舶、宇宙船または冷凍輸送箱または冷凍容器での移動式冷却に特に適している。もちろん、家電製品(家庭など個人の場所における冷凍庫など)あるいは、作業室や製造現場などの工業地、病院、食品または薬剤を保管または処理するための装置または部屋などの据え置き式の機械、ヒートポンプにも適用可能である。
【0098】
移動式空調などの多くの用途で、約5℃まで冷却するよう装置が設計されていることが多い。ここで、凝縮時の圧力は約12から18バール(絶対)であることが多く、好ましくは約15バール(絶対)である。蒸発時の圧力は約3から4バール(絶対)であることが多く、好ましくは約3.5バール(絶対)である。冷却対象となる部屋または製品の温度の上限は約55℃であることが多いが、冷却によって達成可能な温度は、上述したように約5℃である。
【0099】
冷凍庫の場合、値は若干異なる。冷却対象となる部屋の典型的な温度上限は55℃、凝縮時の冷媒圧は約15バール(絶対)である。冷却によって達成可能な温度は−10℃であることが多く、この温度での蒸発時の冷媒圧は約1.5バール(絶対)であることが多い。
【0100】
CF−O−CF=CFおよびCFI、HFC−134a、HFC−152aおよび/または1種または複数種のテトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンを含むものなどの特定の組成物、特にCF−O−CF=CFと、HFC−1225yeの(E)異性体、(Z)異性体(これが特に好ましい)またはこれらの混合物と、任意に潤滑剤、安定剤および/または他の添加剤との二元混合物では、HFC−134aまたは同様の冷媒を用いて動作するように設計された機械用の好ましくはドロップインまたはレトロフィットとしてこれを用いることが可能である。「ドロップイン」とは潤滑油を再利用可能なことを意味するのに対し、「レトロフィット」は新しい適切な油を使わなければならないことを意味する。HFC−134aよりも沸点が高いか低い冷媒を用いて動作するよう設計された機械に対しては、好適な化合物Aおよび/またはBを選択することによって、交換対象となる冷媒と沸点が同等になるよう組成物を調節することが可能である。たとえば、上述した組成物、特にCF−O−CF=CFおよびCFI、HFC−134a、HFC−152aまたは1種または複数種のテトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンを含む組成物に、CF−O−CF=CFおよびCFI、HFC−134a、HFC−152aまたは1種または複数種のテトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンよりも沸点が高いか低い化合物Aおよび/またはBを添加することが可能である。このような調節済みの組成物を、HFC−134aよりも沸点が高いか低い冷媒を用いて動作するよう設計された冷凍機械用のドロップインまたはレトロフィットとして利用することができる。たとえば、C−O−CF=CFはR11の代わりになり得る。
【0101】
本発明の冷媒組成物は、少なくとも一部分が、非腐食性フラックス、特にフルオロアルミン酸カリウムまたはセシウム含有フルオロアルミン酸カリウムなどのアルカリフルオロアルミン酸塩あるいは、ヘキサフルオロケイ酸カリウムでロウ接されたアルミニウム部品で製造された熱交換器に適している点で好都合である。
【0102】
本発明の別の態様は、上述した加熱・冷却方法を実施するのに適しているが、他の多くの目的にも適した合成物である。本発明のこの態様によれば、気体状または液体状の合成物は、式(I)または式(II)の少なくとも1種の化合物と、少なくとも1種の他の化合物(chemical compound)とを含む。特許請求の範囲に記載の合成物における「他の化合物(chemical compound)」という用語は、不要な不純物を含まない。不要な不純物とは、残った開始化合物、副反応の結果である化合物、あるいは、たとえば、空気中に含まれる物質などである。好ましい化合物(chemical compound)は、化合物Aから選択される化合物である。ただし、式(I)または(II)の化合物と他の化合物(chemical compound)Aとは別のものである。また、好ましい化合物(chemical compound)を化合物Bおよび化合物Cから選択することも可能である。好適な化合物BおよびCならびに好ましい化合物BおよびCについては上述してある。したがって、この定義に対応する、本明細書にて上述した冷媒組成物は、本発明による好ましい合成物である。
【0103】
もちろん、合成物に2種類以上の化合物Bおよび/または化合物Cを含むことも可能である。これらの組成物のいくつかが共沸または準共沸であってもよい。CF−O−CF=CFとCFIとの混合物は準共沸であると思われる。
【0104】
冷媒として適した好ましい合成物は、少なくとも1種の他の化合物(chemical compound)が、可燃性の液体または気体あるいは不燃性の液体または気体からなる群を示す化合物B、あるいは、添加剤、好ましくは潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤および防蝕剤を示す化合物Cから選択される合成物である。
【0105】
冷媒として適した好ましい合成物は、本発明の方法において適用される好ましい冷媒として上述したこれらの好ましい実施形態に対応する。多くの場合、これらは、式(I)または式(II)の少なくとも1種の化合物と、好ましくはCFI、パーフルオロカーボン、飽和炭化水素、たとえば、HFC−32、HFC−134a、HFC−134、HFC−152a、ペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロパンおよびヘプタフルオロプロパン、不飽和ハイドロフルオロカーボン、たとえばトリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、フッ素化ケトン(パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)など)、飽和フルオロエーテル(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)、トリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)など)、二酸化炭素からなる群から選択される少なくとも1種の不燃性化合物Bと、を含むものである。
【0106】
極めて好都合なのは、少なくとも1種の不燃性化合物Bが合成物を不燃性にするのに効果的な量で含まれる、冷媒として適した合成物である。
【0107】
冷媒として適した合成物はさらに、潤滑剤と、UV蛍光染料と、トレーサー化合物と、相溶化剤と、安定剤と、金属不動態化剤と、防蝕剤と、からなる群から選択される少なくとも1種の化合物Cを含むものであってもよい。
【0108】
冷媒として適した極めて好ましい合成物は、CF−O−CF=CFが式(I)の化合物として含まれ、不燃性化合物Bが、CFI、HFC−134、HFC−134a、HFC−152a、HFC−125、フッ素化プロペン、特にトリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン、HFC−227eaおよびCOから選択されるものである。
【0109】
一実施形態によれば、式(I)の化合物としてCF−O−CF=CFと、不燃性化合物BとしてCFIおよび/またはCOと、任意に、安定剤、潤滑剤、金属不動態化剤および防蝕剤からなる群から選択される少なくとも1種の化合物Cと、を含むかまたはこれからなる、冷媒として適した合成物が好ましい。
【0110】
別の特に好ましい実施形態によれば、合成物は、CF−O−CF=CFと、HFC−134a、HFC−152a、トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンならびに、特にペンタフルオロプロペンからなる群から選択される1種または複数種の飽和または不飽和のハイドロフルオロカーボンと、を含むかまたはこれからなる。CF−O−CF=CFと、HFC−1225yeの(E)異性体、その(Z)異性体またはこれらの混合物との二元組成物、特に(Z)異性体を含むものが極めて好ましい。範囲については上記に示してある。CF−O−CF=CFを90±2重量%とHFC−1225yeの異性体またはその混合物を10±2重量%との混合物が極めて好ましい。CF−O−CF=CFと、HFC−134aと、HFC−1225yeの(E)異性体、その(Z)異性体またはこれらの混合物との三元組成物、特に(Z)異性体を含むものが極めて好適である。
【0111】
本発明による組成物は、たとえば、加熱・冷却に適しているため、上述したように冷媒を構成している。このような組成物は、1種または複数種の化合物Aおよび1種または複数種の化合物B、1種または複数種の化合物Aおよび1種または複数種の化合物Cあるいは、1種または複数種の化合物A、1種または複数種の化合物Bおよび1種または複数種の化合物Cを含むものであってもよいし、本質的にこれからなるものであってもよい。冷媒として適したこのような組成物については、詳細に上述してある。
【0112】
この合成物は、他の多くの目的で使用することが可能である。たとえば、ヒートトランスフォーマー液として、ヒートパイプでの用途、ORCプロセス、伝熱用途および溶媒での用途における液体として使用可能であり、あるいは、ポリウレタンフォームまたは熱可塑性樹脂フォーム、たとえばポリスチレンフォーム用のフォーム発泡剤として使用可能である。また、これらを溶媒として、洗浄剤として、あるいは消火剤として使用してもよい。さらに、エアロゾルの調製用として使用してもよい。また、このような応用分野では、その目的に有用な助剤をさらに含むものであってもよい。助剤の例としては、安定剤、染料および触媒があげられる。
【0113】
式(I)および(II)の化合物は、熱安定性の特性が良好であることが多い。たとえば、式(I)の好ましい化合物であるCF−O−CF=CFを分解なしで150℃の温度で2週間保持した場合に、実質的に分解を観察できない。この温度は圧縮機において発生する極端な温度すらも大きく上回る(ほとんどの場合、圧縮機の温度は120℃を超えることがない)。このため、式(I)および(II)の化合物、特にCF−O−CF=CFを含有する冷媒は、特に適切な熱安定性の特性を呈する。結果として、熱分解を防止または低減したり、冷媒、好ましくは移動式空調(MAC)システムの熱安定性を改善したりする目的で、式(I)および(II)の化合物、特にCF−O−CF=CFを利用可能である。
【0114】
たとえば、ヒートパイプでの用途、ORCプロセス、伝熱での用途、溶媒での用途といったこれらの目的のうちのいくつかでは、式(I)または(II)の化合物および/または沸点が20から70℃の範囲にある化合物Bを含む組成物が特に適している。
【0115】
本発明の別の目的は、式(I)および(II)の化合物ならびに、式(I)または(II)の化合物を含むか本質的にこれからなる合成物を、ヒートパイプでの用途、ORCプロセス、伝熱での用途および溶媒での用途のための冷媒、ヒートトランスフォーマー液として、フォーム調製用の発泡剤として、エアロゾル生成流体および消火剤において、あるいは、冷媒の一部として、使用することである。ヒートパイプでの用途、ORCプロセス、伝熱での用途および溶媒での用途といったこれらの目的のうちのいくつかでは、沸点が20から70℃の範囲にある式(I)または(II)の化合物あるいは、これを含み、沸点がその範囲にある組成物を使用すると、特に好都合である。
【0116】
好ましくは、式(I)または(II)の化合物を不燃性にする量で不燃性ガスを併用する。この使用が溶媒としての用途に関係がある場合、式(I)または(II)の化合物と沸点が20から70℃の範囲にある化合物Bが好ましく用いられる。
【0117】
「他の化合物(chemical compound)」という用語は、好ましい実施形態では、標準条件(1バール絶対、25℃)で気体状または液体であり、意図した目的で式(I)または(II)の化合物を支持する化合物(chemical compound)を示す。たとえば、合成物を冷媒として用いることを想定している場合、「少なくとも1種の他の化合物(chemical compound)」には、冷凍剤、安定剤、潤滑剤または上述したような他の添加剤などの冷媒の構成成分として知られる化合物を用いることができる。本発明の合成物をフォーム用の発泡剤として適用するのであれば、「少なくとも1種の他の成分」は、その目的で用いられる周知の発泡剤または触媒であってもよい。意図した目的が消化用の作用剤を提供することであれば、「少なくとも1種の他の化合物(chemical compound)」は、消火用組成物中に存在する周知の消火剤または助剤であってもよい。一例として、HCF 23、134a、227ea、245fa、236ea、パーフルオロ−エチルイソプロピルケトンあるいは、窒素などの推進剤があげられ、この推進剤は、好ましくは最大20絶対バールの圧力が得られるような量で存在する。合成物を溶媒として用いるのであれば、「少なくとも1種の他の化合物(chemical compound)」は、たとえば、周知の溶媒であってもよい。
【0118】
合成物は、好ましくはGWPが150未満であり、一層好ましくは140未満、特に好ましくは120未満である。
【0119】
この合成物は急性毒性が低く、GWPが低い。好ましい合成物は、不燃性であるという固有の特性を持つ。
【0120】
本発明のさらに別の目的は、合成物を含む系に関する。合成物の多くの実施形態ならびに好ましい化合物のCF−O−CF=Fが含まれるすべての実施形態で、1種または複数種の気体状化合物を含む。このため、このような合成物が蒸発して空気中に逃げないよう保護しなければならない。本発明の単純な「システム」は、圧力瓶など、この組成物を含み、ほとんどが金属製の容器である。好ましい「システム」は、この合成物の適用を可能にする装置を示す。たとえば、本発明のシステムは、合成物を含む携帯式消化器であってもよいし、全域放出システムであってもよい。
【0121】
本発明の好ましいシステムは、本発明による合成物を含む冷却または加熱用の機械である。通常、このような機械は、冷却器と、蒸発器と、装置の異なる部品間で組成物を移動するためのラインと、熱交換器と、バルブと、ポンプと、このような装置に用いられる他の部品とを備え、移動式または据え置き式の方法で利用可能である。据え置き式のシステムは、冷凍庫、住宅や工場、病院、作業室、食品または薬剤を保管するための部屋における空調システム、たとえば保管または輸送用の冷蔵箱または冷蔵容器である。
【0122】
本発明の極めて好ましいシステムは、特に、乗用車、大型トラック、トラック、バス、航空機、列車、宇宙船および他の移動式製品用の移動式空調システムである。
【0123】
式(I)の化合物は、たとえば、パーフルオロオキシフルオリド(perfluoroxyfluoride)を1,2−ジクロロ−1,2−ジフルオロエチレンまたは1,2−ジブロモ−1,2−ジフルオロエチレンに加えた後、亜鉛で還元して調製可能なものである。最初のステップは、米国特許第4900872号明細書に記載されており、完全なシーケンスは、W.S.ダレル(Durell)ら、J.Polymer Sci.パートA、3(1965年)、第4065ffページに記載されている。
【0124】
トリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンは、異性体として存在し得る。「トリフルオロプロペン」という用語は、すべての異性体を含む。トリフルオロプロペンのうち特に好ましい化合物はHFC−1243zfであるが、これは3,3,3−トリフルオロプロペンである。「テトラフルオロプロペン」という用語は、考えられるすべての異性体、特に、HFC−1234ze(1,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFC−1234yf(2,3,3,3−テトラフルオロプロペン)、HFC−1234ye(1,2,3,3−テトラフルオロプロペン)を含む。「ペンタフルオロプロペン」という用語は、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンならびに、不燃性であるがゆえに特にHFC−1225ye(1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン)などのすべての異性体を含む。3,3,3−トリフルオロプロペンの調製については、たとえば、米国特許第2889379号明細書、同第4465786号明細書、同第4798818号明細書に記載されている。公開された米国出願第2005/0090698号明細書には、特定のトリフルオロプロペン、テトラフルオロプロペンおよびペンタフルオロプロペンの調製について開示されており、そのいずれもトリフルオロメチル基を有する。欧州特許出願公開第A−0 974571号明細書には、1,3,3,3−テトラフルオロプロペンの調製について開示されている。国際公開第1998/037043号パンフレットには、1,1,3,3,3−ペンタフルオロプロペンの調製について開示されている。ペンタフルオロプロペンは、米国特許第6548720号明細書にも(飽和ハイドロフルオロカーボンの前駆体として)記載されている。1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンは、Alachua,FL 32616−0309に所在するシンクェスト・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド(SynQuest Laboratories,Inc.)から入手可能である。また、カールスルーエ(Karlsruhe)/ドイツのABCR GmbH & Co.KGからも入手可能である(E:Z比30:70)。1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペンのトランス異性体(E−異性体とも呼ばれる)を、たとえば、アンワル・アボ−アメール(Anwar Abo−Amer)の学位論文である、An innovative method to generate Iodine(V and III)−Fluorine Bonds…、2005年、第123ページに記載されているようにして、ヘキサフルオロプロペン、トリ−n−ブチルホスフィンおよび水のトリグライム溶液から調製可能である。米国特許第5532419号明細書には、トリフルオロブテン化合物の調製について記載されている。異性体混合物を1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンおよびKClのような塩基から調製することも可能である。D.サイアネシ(Sianesi)およびR.フォンタネッリ(Fontanelli)、Ann.Chim.(ローマ);55;1965年;850から861を参照のこと。
【0125】
D.J.バートン(Burton)らは、J.Fluorine Chem.、44(1989年)の第167から174ページにおいて、HFC−1225yeの(E)および(Z)異性体の調製について説明している。エーテル中でヘキサフルオロプロペンとトリブチルホスフィンとを反応させた後、水のトリグライム溶液を用いて加水分解して、(E)異性体を調製することが可能である。(Z)異性体については、(E)異性体を低温でまたは光化学的にSbFと反応させて調製可能である。
【0126】
必要があれば、冷媒または他の目的として適用する前に、式(I)および/または(II)の化合物を精製することも可能である。たとえば、酸性物質を除去するためのモレキュラーシーブまたは他の吸着剤を適用するなどの方法で、酸性の構成成分を除去することが可能である。
【0127】
本発明による好ましい冷凍システムは、HFC−134aまたは炭化水素を用いて動作するよう設計されたシステムであって、式(I)および/または(II)の化合物または、式(I)および/または(II)の化合物を含み、かつ、新しい潤滑剤(レトロフィットシステム)または使用済みの潤滑剤(ドロップインシステム)を含む組成物が充填された、システムである。
【0128】
本発明による別の好ましい冷凍システムは、HFC−134aを用いて動作するよう設計されたものであり、上述した冷媒として適した少なくとも1種の式(I)または(II)の化合物または合成物を含む冷媒を用いて動作するように構成されている。
【0129】
本発明の異なる態様についての上記の説明では、冷凍方法、合成物、その合成物をいくつかの目的に使用することならびに、特に好ましい実施形態では式(I)の化合物としてCF−O−CF=Fを用いて動作する特定の冷凍システムが説明されている。別の好ましい実施形態によれば、CF−O−CF=Fの代わりに式(I)の化合物としてC−O−CF=CFを用いる。この実施形態の詳細について理解するために、上記の説明では、「CF−O−CF=F」という用語を単純に「C−O−CF=CF」で置き換えなければならない。よって、CF−O−CF=Fの代わりにC−O−CF=CFを含む合成物を用いて実施される冷凍方法と、CF−O−CF=Fの代わりにC−O−CF=CFを用いて実施される、この組成物またはCF−O−CF=Fそれ自体のここに記載の使用、と、CF−O−CF=Fの代わりにC−O−CF=CFを含むかまたはこれからなる冷媒を用いて機能する、ここに記載の冷凍システムも、本発明の実施形態である。C−O−CF=CFは、i−C−O−CF=CFおよびn−C−O−CF=CFを表す。
【0130】
もちろん、CF−O−CF=Fの代わりにC−O−CF=CFを用いる場合、沸点が異なるため若干の変更が必要になることもある。
【0131】
以下の実施例は、本発明の範囲を限定することを意図せずして、本発明についてさらに詳細に説明するものである。
【実施例】
【0132】
概論。移動式空調用などの冷凍用途での潤滑剤として、40℃での動粘性率が46mm/sの範囲にあるアルキルベンゼン潤滑剤、たとえば、Fuchs Reniso S46Fが、極めて好適である。この油の代わりに、デンソー(Denso)のND8 PAGも適用可能である。
【0133】
実施例1:冷凍に適した合成物の調製
1a)二元混合物の調製:CF−O−CF=CFとCFIとを、それぞれの成分を50重量%ずつ含む組成物が得られるようにして混合する。この混合物を加圧瓶に充填する。
1b)1a)の二元混合物を含む冷媒組成物の調製:
1a)の二元混合物100部と、ポリオールエステル潤滑剤20部と、エポキシド安定剤10部とを加圧下で混合し、移動式空調システムにおいて使用可能な冷媒組成物を形成する。
1c)1a)の二元混合物を含む冷媒組成物の調製:
1a)の二元混合物100部と、Fuchs Reniso S46Fなどのアルキルベンゼン潤滑剤20部と、エポキシド安定剤10部とを加圧下で混合し、移動式空調システムにおいて使用可能な冷媒組成物を形成する。
【0134】
実施例2:実施例1a)の冷媒を含む移動式空調システム:
移動式空調システムから、使用済みの冷媒(たとえば、HFC−134aなどであってもよい)を取り出し、実施例1aの冷媒混合物850gを加圧下でシステムに充填する。この油はシステム内に残る。空調システムは、すぐに使用できる状態である。
【0135】
実施例3:CF−O−CF=CFを60重量%含有する二元混合物
実施例1を繰り返す。CFIを含む二元混合物が60重量%のCF−O−CF=CFと40重量%のCFIとからなるような量で、CF−O−CF=CFを加える。実施例2a)で説明したように潤滑剤と安定剤を加えると、この冷媒は移動式または据え置き式の空調システムですぐに使用できる状態である。
【0136】
実施例4:実施例3の冷媒をHFC−134a用のドロップインとして使用
HFC−134aを用いて動作する冷凍システムを提供する。真空を印加することで、もともとあったHFC−134aをシステムから取り出し、システムにHFC−134aが実質的に残らないようにする。油については、再利用の目的でシステムに残しておく。実施例3の冷媒をシステムに充填し、これでシステムを動作させることが可能な状態になる。
【0137】
実施例5:CF−O−CF=CFおよびHFC−134aから得られる共沸混合物
CF−O−CF=CFとHFC−134aとを混合することで、以下の組成物を生成する。
【0138】
【表12】

【0139】
これらの混合物は、0℃にて圧力約3.57バール(絶対)で共沸混合物を形成する(すなわち、これらの沸点は両方の構成成分それぞれの沸点よりも低い)。
【0140】
実施例6:CF−OCF=CFの熱安定性試験
CF−O−CF=CFの試料を150℃の温度で2週間放置した。分解はまったく観察されなかった。
【0141】
実施例7:CF−O−CF=CFとHFC−134aとの混合物
CF−O−CF=CFとHFC−134aとを混合することで、以下の組成物を生成する。
【0142】
【表13】

【0143】
これらの混合物は、冷媒として極めて適しており、GWP値が低い。たとえば、HFC−134aが10重量%以下の混合物は、GWPが140未満である。HFC−134aが9.5重量%以下の混合物、特に8.5重量%以下の混合物は、GWPが120未満である。
【0144】
実施例8:CF−O−CF=CFと(Z)−HFC−1225ye、(E)−HFC−1225yeおよび(Z)異性体と(E)異性体との混合物との混合物
8.1.(Z)−HFC−1225ye、(E)−HFC−1225yeおよびこれらの混合物の調製
8.1.1
D.J.バートン(Burton)らのJ.Fluorine Chemistry、44(1989年)、第167〜174ページに記載されているようにして、エーテル中、−78℃で、ヘキサフルオロプロペンとトリ−n−ブチルホスフィンとを反応させ、反応混合物を放置して室温まで温めた後、トリグライム中で水を徐々に増やしながらゆっくりと加えて加水分解して、(E)−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン[(E)−HFC−1225ye]を調製することができる。形成された(E)異性体を、蒸発とこれに続く凝縮作用によって保管用の管に移す。その沸点は−18℃である。D.サイアネシ(Sianesi)およびR.フォンタネッリ(Fontanelli)のAnn.Chim.(ローマ);55(1965年)、第850から861ページ、特に853、858および859ページを参照のこと。
【0145】
8.1.2.
反応器でSbFを液体窒素の温度まで冷却し、冷却されたSbFまで(E)異性体をゆっくりと凝縮することによって、上述したようにして得られる(E)異性体から(Z)−1,2,3,3,3−ペンタフルオロプロペン[(Z)−HFC−1225ye]を生成可能である。(E)異性体30gあたり3から4mlのアンチモン化合物を適用すればよい。この混合物を放置して室温まで温め、形成された(Z)異性体を管に移してNaFと接触させた後、移動して保管した。その沸点は−18.5℃である。前掲のD.サイアネシ(Sianesi)およびR.フォンタネッリ(Fontanelli)を参照のこと。光化学的な処理によって変換を実施することも可能である。
【0146】
8.1.3. (E)異性体と(Z)異性体との混合物
このような混合物は、商業入手できるものである;たとえば、カールスルーエ(Karlsruhe)/ドイツのABCR GmbH & Co.KG、E:Z比70:30の混合物が入手可能である。
【0147】
あるいは、米国特許第5679875号明細書に記載されているようにして、430℃で1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロ−プロパンを活性炭と接触させるか、米国特許第6031141号明細書に記載されているようにして、350から400℃で三フッ化クロム上での1,1,1,2,3,3−ヘキサフルオロプロパンの脱フッ化水素化によって、混合物を生成してもよい。あるいは、上述したようにして得られる適当な量の(E)異性体と(Z)異性体とを混合して、一定のモル比で調製することも可能である。
【0148】
8.2. 混合物の調製
エーテル、プロペンおよび、適用可能な場合は、第3の成分を加圧した保管タンクに凝縮することで、二元混合物および三元混合物を調製する。
【0149】
【表14】

【0150】
【表15】

【0151】
実施例15.冷媒としてペンタフルオロプロペンを含む混合物の適用
実施例8で説明した混合物を液体状で加圧保管タンクから移動式空調ユニットに移す。Fuchs S46Fなどのアルキルベンゼン潤滑剤を添加することが可能である。
【0152】
実施例10:パーフルオロ−メチルビニルエーテル(PVME)とペンタフルオロプロペンとの20/80混合物
カールスルーエ(Karlsruhe)/ドイツのABCR GmbH & Co.KGから入手したパーフルオロ−メチルビニルエーテルとHFC−1225yeとのE:Z比70:30の混合物を凝縮することで、PVMEとペンタフルオロプロペンとの重量比が20:80の冷媒組成物を調製した。この組成物は不燃性であることが確認された。
【0153】
実施例11:パーフルオロメチル−ビニルエーテル(PVME)と(E)/(Z)−ペンタフルオロプロペンとの10/90混合物
カールスルーエ(Karlsruhe)/ドイツのABCR GmbH & Co.KGから入手したパーフルオロ−メチルビニルエーテルとHFC−1225yeとのE:Z比70:30の混合物を凝縮することで、PVMEとペンタフルオロプロペンとの重量比が10:90の冷媒混合物を調製した。
【0154】
この組成物は不燃性であることが確認された。この混合物を用いて、冷凍装置で使用する素材への機械的な衝撃(透過性など)に関する試験を実施した。
【0155】
実施例12:パーフルオロメチル−ビニルエーテル(PVME)と(Z)−ペンタフルオロプロペンとの10/90混合物
パーフルオロ−メチルビニルエーテルおよび(Z)−HFC−1225yeを凝縮することで、PVMEと(Z)−ペンタフルオロプロペンとの重量比が10:90の冷媒組成物を調製する。
【0156】
この混合物は不燃性であることが確認される。
【0157】
実施例13:パーフルオロメチル−ビニルエーテル(PVME)と、HFC−134aと、ペンタフルオロプロペンとの10/10/80混合物
パーフルオロ−メチルビニルエーテル、HFC−134aおよびHFC−1225yeを凝縮することで、PVME、HFC−134aおよびペンタフルオロプロペンの重量比が10:10:80の冷媒組成物を調製する。
【0158】
この混合物は不燃性であることが確認される。
【0159】
実施例14:純粋なHFC−134aのデータと比較した場合の本発明によるいくつかの組成物の熱力学的データ
実施例11で用いた成分であるパーフルオロメチル−ビニルエーテル(PVME)とペンタフルオロプロペンの(E)/(Z)混合物の熱力学的データを測定し、これらのデータを用いて、T=0℃、TsubH.=10K、TsubC=2K、T=40℃、ηis.=f(p/p)として単一サイクルについて「Refprop 7.0」で実施例の組成物のCop(性能計数)およびQvol.(体積効率)を求めた。
【0160】
得られた数字をHFC−134aの数字と比較した。
【0161】
【表16】

【0162】
これらの結果から、実施例11の組成物は極めて良好に機能し、かつ、実施例13の組成物よりもCopが高く、それぞれの冷媒の性能がよいため、この組成物より優れていることすらあることが分かる。
【0163】
PVMEとHFC−1225yeの(Z)異性体との組成物すなわち好ましい混合物についての熱力学的データは、(E)異性体と(Z)異性体との混合物を含む組成物の熱力学的データに匹敵する。利点は(Z)異性体が極めて安定していることである。
【0164】
実施例16:テルペンで安定させた混合物
実施例11の混合物に、β−ピネンの含有量が組成物の0.5重量%になるようにβ−ピネンを加えた。
【0165】
他のテルペン化合物などの他の安定剤、たとえば、リモネン、α−ピネン、ジペンテンまたはシトロネロールを用いて、実施例16と同様にすることができる。
【0166】
実施例11の組成物の特定の特性の判定
A)標準的なシーリング材での透過性
一般的な手法:被験ポリマーを厚さ2mmのスラブとして用いた。これを高圧透過セルに入れた。スラブの片側の空間に冷媒を充填した。透過した冷媒をガスクロマトグラフで分析した。浸透セルを90℃で100時間保管した。
【0167】
いくつかのEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)プラスチックおよびHNBR(水素化アクリルニトリルブタジエンゴム)プラスチックで作製したスラブを試験した。
【0168】
フルーデンバーグ(Freudenberg)から入手可能な材料で作製したEPDMプラスチックスラブで最小の透過量が観察された。
【0169】
B)ホースでの透過
一般的な手法:
それぞれのホースに冷媒を充填した。次に、このホースを90℃で500時間維持した。ホース周囲の気体空間のガスクロマトグラフィで透過を分析した。
【0170】
ポリアミド、クロロプレン、ブチルおよびゴムで作製した数本の高温ホースと常温ホースを試験した。ポリアミドおよびクロロプレン製のホースへの透過量が極めて小さかった。
【0171】
また、異なる製品に対するPVMEの透過速度(rate)が、HFC−1225yeの(E)異性体および(Z)異性体の透過速度(speed)よりもかなり低いことが、透過試験でも明らかになった。
【0172】
C)冷媒/油組成物とシーリング材、Oリング材およびスラブ材との相溶性
EPDM材料およびHNBR材料で作製したOリング数個と、ポリアミドおよびクロロプレンで作製した高温ホース数本と、ポリアミド、ブチルで作製した常温ホースまたは内側にブチル層を含む常温ホースとを試験した。
【0173】
機械的特性(引張特性、IRHD(国際ゴム硬度)、幾何学的寸法および硬度)を判定した。
【0174】
一般的な手法:
それぞれOリングとダンベルに適したオートクレーブにて試験を実施した。ホース材をダンベルに適用した。ND8 PAG油60mlと試験対象となる材料とをオートクレーブに入れ、このオートクレーブを脱気して、冷媒を60ml(オイルリング用)または30ml(ダンベル用)をオートクレーブ内で凝縮した。次に、オートクレーブを恒温槽に移し、Oリングの場合は、そこで100℃にて500時間保持し、別の実験では、150℃で168時間保持した。高温ホース材については、100℃で500時間と140℃で168時間試験した。常温ホース材は、100℃で500時間と125℃で168時間の試験であった。次に、冷媒を取り除き、試料に付着した油を取り除いた後、試料を恒温槽中にて60℃で30分間維持した。
【0175】
続いて、ISO 37(2005)によって引張特性を、ISO 48(2003)によってIRDH硬度を試験した。また、寸法を測定し、体積を計算し、さらに寸法と体積の変化を計算して、寸法および体積を求めた。
【0176】
結果:
体積変化:標的限界±15%。すべての被験試料がこの要件を満たした。
【0177】
伸びの変化:標的限界:±50%。すべての処理済み試料がこの条件を満たした。
【0178】
引張強度の変化:標的限界:±30%。すべてのOリング(EPDMおよびHNBR製)および常温ホース材(ポリアミドおよびブチル製)が条件を満たし、CR−PA−NBR−PVA−CIIR)製の高温ホースと、ポリアミド(Goodyear 4890)製の高温ホースのうちの1本も条件を満たした。クロロプレンホース材と別のポリアミドホース材は標的範囲から若干外れた。クロロプレンの内管層のみを含むホース材は、範囲外であった。
【0179】
硬度の変化(IRHD−M):標的範囲は±15%である。すべてのOリング、すべての高温ホース材および常温ホース材が条件を満たした。
【0180】
金属との適合性:ASHRAE規格97に基づいて試験を実施した。潤滑剤1gと、冷媒1gと、安定剤として混合物の総重量に対して0.5重量%のβ−ピネン。銅、鋼またはアルミニウムのチップを利用した。個々の水分含有量を調節した。シールド管内で試験を実施した。続いて、液体と金属チップとを評価した。
【0181】
190℃/24時間の処理、水分含有量201ppm:金属チップは変化せず、液体の色が若干暗くなった(色=3.0対未老化の液体で2.0)。
【0182】
190℃/24時間の処理、水分含有量3983ppm:金属チップは変化せず、液体は若干暗くなった(老化した液体で2.5対未老化の液体で2.0)。
【0183】
175℃/14日間の処理、水分含有量201ppm:金属チップは変化せず、液体の色が若干暗くなった(色=3.5対未老化の液体で2.0)。
【0184】
175℃/14日間の処理、水分含有量3983ppm:金属チップは変化せず、液体は若干暗くなった(老化した液体で3.0対未老化の液体で2.0)。
【0185】
未老化の液体の分析結果から、水分含有量が多い試料ほど実は水分含有量が少ない試料よりも安定していることが明らかになった。
【0186】
油混和性:Fuchs Reniso S46Fを用いて、潤滑剤濃度4、7、10、20、30および50重量%での油混和性を測定した。22〜23℃および−40℃までの冷却で、1つの透明な相が残った。100℃まで加熱すると、潤滑剤50重量%の試料は一相のままであった。他の試料については、油4重量%では85℃で、油7重量%では82℃で、油10重量%では91℃で、油20重量%では82℃で、油30重量%では93℃で二相が形成された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式(I)
−O−CF=CFW (I)
(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、y=2x+1であり、かつ、Wは、F、CF、C、Cである)
あるいは、一般式(II)
−O−CX=CYZ (II)
(式中、xおよびyは、上記にて示した意味を持ち、Xは、HまたはFを表し、Yは、HまたはFを表し、Zは、H、F、CFまたはCを表す)で表される1種または複数種の化合物A(ただし、X、YまたはZのうちの少なくとも1つがHであり、一般式(II)の化合物には最大で2個の水素原子が含まれる)を含む冷媒を用いて加熱または冷却するための方法。
【請求項2】
冷媒が、冷媒特性を持つ少なくとも1種の別の化合物Bおよび/または冷媒添加剤である少なくとも1種の化合物Cを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
冷媒が、冷媒の可燃性を低減あるいは好ましくは排除する、少なくとも1種の不燃性化合物Bを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
不燃性化合物Bが、CFI、パーフルオロカーボン、飽和または不飽和のハイドロフルオロカーボン、フッ素化ケトン(パーフルオロ−(メチル−イソプロピルケトン)、パーフルオロ−(エチル−イソプロピルケトン)など)、飽和フルオロエーテル(トリフルオロメチル−ジフルオロメチルエーテル(E−125)、トリフルオロメチル−フルオロメチルエーテル(E−134a)またはトリフルオロメチル−メチルエーテル(E−143a)など)、および二酸化炭素からなる群から選択される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
不燃性化合物Bが、C1からC6のハイドロフルオロカーボン、好ましくはトリフルオロメタン、HFC−134、HFC−134a、HFC−125、ペンタフルオロプロパン(1,1,1,3,3−ペンタフルオロプロパン(HFC−245fa)など)、ヘキサフルオロプロパン(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン(HFC−236fa)など)、ヘプタフルオロプロパン(1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパン(HFC−227ea)など)、テトラフルオロプロペン、ペンタフルオロプロペン(CF−CH=CF、(E)−CF−CF=CHF、(Z)−CF−CF=CHFまたは(E)異性体と(Z)異性体との混合物など)またはCOから選択される、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
移動式の空気冷却用の請求項1に記載の方法。
【請求項7】
冷媒が、HFC−134aに対するドロップインまたはレトロフィット代替品であり、好ましくは、CF−O−CF=CFおよびCFIからなるか、CF−O−CF=CFおよびHFC−134aからなるか、あるいは、CF−O−CF=CFおよび、CF−CH=CF、(E)−CF−CF=CHF、(Z)−CF−CF=CHF、および(E)異性体と(Z)異性体との混合物から選択されるペンタフルオロプロペンからなるものである、請求項1〜6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
冷媒が、化合物Cとしての添加剤、好ましくは潤滑剤、安定剤、金属不動態化剤、防蝕剤、トレーサー化合物、油相溶化剤、UV蛍光染料を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
好ましくはCFIが含まれる場合に、冷媒が少なくとも1種の安定剤を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
冷媒が、CF−O−CF=CFならびに、CFIと、HFC−134aと、CF−CH=CF、(E)−CF−CF=CHF、(Z)−CF−CF=CHFまたは(E)異性体と(Z)異性体との混合物から選択されるペンタフルオロプロペンと、COと、からなる群の少なくとも1種の化合物を含むかまたはこれからなる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
式(I)
−O−CF=CFW (I)
(式中、xは、1、2、3、4、5または6であり、y=2x+1であり、かつ、Wは、F、CF、C、Cである)
あるいは、式(II)
−O−CX=CYZ (II)
(式中、xおよびyは、上記にて示した意味を持ち、Xは、HまたはFを表し、Yは、HまたはFを表し、Zは、H、F、CFまたはCを表す)のうちの少なくとも1種の化合物(ただし、X、YまたはZのうちの少なくとも1つがHであり、一般式(II)の化合物には最大で2個の水素原子が含まれる)と、
共沸混合物および準共沸混合物を含む少なくとも1種の他の有機化合物と、を含む合成物であって、好ましくはGWPが150未満、一層好ましくは140未満、特に好ましくは120未満である、合成物。
【請求項12】
式(I)または式(II)の少なくとも1種の化合物を含む冷媒として適した合成物であって、少なくとも1種の他の有機化合物が冷媒の成分として適したものである、請求項11に記載の合成物。
【請求項13】
CF−O−CF=CFおよび1種または複数種のペンタフルオロプロペン、好ましくは、HFC−1225yeのE異性体、HFC−1225yeのZ異性体またはHFC−1225yeのE異性体とZ異性体との混合物からなり、特に好ましくは共沸混合物のような合成物の形で、最も好ましくはCF−O−CF=CFおよび1種または複数種のペンタフルオロプロペンを15:85から25:75の範囲の重量比で含む、請求項11または12に記載の合成物。
【請求項14】
CF−O−CF=CFを90±2重量%と、HFC−1225yeのE異性体、HFC−1225yeのZ異性体またはHFC−1225yeのE異性体とZ異性体との混合物、好ましくは(Z)異性体を10±2重量%とからなる、請求項13に記載の合成物。
【請求項15】
パーフルオロ−メチルビニルエーテルと、HFC−1225yeのE異性体、Z異性体またはE異性体とZ異性体との任意の混合物とからなる、共沸混合物のような組成物。
【請求項16】
任意に不燃性の液体または気体を併用し、冷媒、ヒートトランスフォーマー液、ヒートパイプ液、ORCプロセス用の液体、溶媒、フォーム調製用の発泡剤における成分、エアロゾル生成流体および消火剤における成分としての式(I)または(II)の化合物の使用。
【請求項17】
特に移動式空調において、熱分解を防止または低減あるいは、冷媒の熱安定性を改善する目的での式(I)または(II)の化合物、好ましくはCF−O−CF=CFの使用。
【請求項18】
CF−O−CF=CFとHFC−134aの共沸組成物。
【請求項19】
式(I)または式(II)の少なくとも1種の化合物あるいは、請求項11〜15または18のいずれか一項に記載の合成物を含む冷媒を含む、冷凍システム。
【請求項20】
移動式空調システムである、請求項19に記載の冷凍システム。

【公表番号】特表2009−542883(P2009−542883A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−518888(P2009−518888)
【出願日】平成19年7月11日(2007.7.11)
【国際出願番号】PCT/EP2007/057133
【国際公開番号】WO2008/006866
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(592165314)ゾルファイ フルーオル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (55)
【氏名又は名称原語表記】Solvay Fluor GmbH
【住所又は居所原語表記】Hans−Boeckler−Allee 20,D−30173 Hannover,Germany
【Fターム(参考)】