説明

フルオロポリマー構造膜への光起電力セル取付システム

本発明は、光起電力素子を固定する伸張性膜システムについて記載する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2010年9月1日出願の米国特許出願第12/873,426号明細書に関する優先権を主張し、また2009年9月9日出願の「フルオロポリマー構造膜への光起電力セル取付システム(Attachment System of Photovoltaic Cells to Fluoropolymer Structural Membrance)」という名称の米国仮特許出願第61/240,843号明細書、および2010年2月18日出願の「フルオロポリマー構造膜への光起電力セル取付システム(Attachment System of Photovoltaic Cells to Fluoropolymer Structural Membrance)」という名称の米国仮特許出願第61/305,640号明細書に関する米国特許法119条(e)に基づく特典もまた請求する。これらの内容は、それらの全体があらゆる目的に対して参照により本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、全般的には光起電力素子を固定する伸張性建築用膜システムに関する。この素子は、ETFEなどのフルオロポリマーフィルム保護層で被覆され、そのフルオロポリマーフィルムおよび膜に接合可能な材料を介してその外辺部のまわりの容器によって固定されるか、または別法ではそのフルオロポリマーフィルムを直接に膜に封着し、光起電力素子を包むことによって固定される。
【背景技術】
【0003】
光起電力素子は、太陽電池セルまたは太陽電池モジュールとも呼ばれ、建築構造物の屋上に貼ることができる。これらの素子は太陽からの光エネルギーを電気に変換する。この電気は使用することも、また後に使用するために蓄電することもできる。多くの建築物は、太陽電池セルまたは太陽電池モジュールを置くのに望ましい屋根を有する。
【0004】
伝統的に光起電力セルシステムの取り付けは、装置をボルトまたはねじくぎなどの機械的留め金具で屋根に取り付けることを伴う。これは、装置の固定に効果的な場合もあるが、装着時に屋根の損傷を引き起こす恐れがある。例えば穴が水漏れする恐れがあり、かつ/または穴が結果として他の破損、例えば裂けまたは亀裂の起点になり、かつ/あるいはねじくぎまたはボルトの取付けに時間がかかり、また正確な測定および留め金具の穴の穿孔を必要とする。おそらくもっと重要なことは、機械的留め金具が比較的常設性であること、および、光起電力素子を簡単に動かせないこと、すなわち取り外す際には必ず屋根に損傷部分が残ることである。
【0005】
屋根への光起電力素子の固定に関するこのような問題は、屋根が「ピンと張った」または浮揚型構造である場合に深刻化する。建築用膜はピンと張られた状態または浮揚型構造で使用され、その場合、膜は支持部材全体にわたって引き伸ばされる(張力下におかれる)。光起電力素子をねじくぎまたは留め金具によってそのような建築用膜に固定することは、引裂きにより膜の完全な破壊につながるか、または少なくとも漏水を許す穴を形成することになる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
したがって、その耐水性を損なわず、かつルーフィングシステムに組み入れられる建築用膜への光起電力素子の固定方法の必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
驚くべきことに本発明は、光起電力素子を損傷することなく伸長/拡張/収縮/変形する能力を有するような、有利には伸張性を有する光起電力素子/建築用膜システムを提供する。一態様では、下部にある建築用膜は所与の大気条件(熱気、寒気、雨、雪、風等)に順応する物理的属性を有するのに対して、光起電力素子は一般にはあまり可撓性でないことが分かる。しかしながら、このシステムの独特の構造によって、光起電力素子が比較的非伸張性のままでありながら、建築用膜が変化に順応することができる。隠喩としてこれは、建築物は地震による変形を吸収する一連のローラー/ばね上に支えられ、その一方でその建築物の残部はそれに順応する必要のないカリフォルニアの耐震性建築物に似ていると考えることができる。同様に、下部にある建築用膜システムは使用応力および天候に関係する諸条件に適合することができ、その一方で光起電力素子はそうする必要がない。
【0008】
このシステムは、フルオロポリマー封止補強層と、このフルオロポリマー封止補強層に接している光起電力素子と、この光起電力素子の外辺部を被覆し、それを越えて延在するエチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはFEPなどのフルオロポリマー層(カバー層)と、このフルオロポリマーカバー層およびフルオロポリマー封止補強層の間の易接合層とを備えた光起電力素子/建築用膜システムを含む。素子が、固定されるがフルオロポリマー封止補強層が広がり、伸びるにつれて様々な方向に動くことができるように、易接合層がカバー層およびフルオロポリマー封止補強層の間に光起電力素子を封着する。
【0009】
本発明はまた、フルオロポリマー封止補強層と、このフルオロポリマー封止補強層に接している光起電力素子と、この光起電力素子の外辺部を被覆し、それを越えて延在するエチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはFEPなどのフルオロポリマーカバー層とを備えた光起電力素子/建築用膜システムを提供する。この光起電力素子の寸法を越えて延在するフルオロポリマーカバー層の外辺部分は、フルオロポリマー封止補強層に接合される。したがって、素子が固定されているが、フルオロポリマー封止補強層が広がり、伸びるに従って様々な方向に動くことができるように、ETFEまたはFEP層などのフルオロポリマーカバー層は、カバー層とフルオロポリマー封止補強層の間に光起電力素子を封着する。
【0010】
前述のように本明細書中で述べるシステムのこれら層を含ませることによってそのシステム自体が、風、雨、雪、熱、寒気等による物理的変化に耐えるのに十分な可撓性になる。この構造は独特であり、例えばそのフルオロポリマー/補強層、易接合層、および/または接着剤のすべてがその最終的な構造物に伸展性を与える。
【0011】
多数の実施形態を開示するが、本発明のさらに他の実施形態が下記の詳細な説明から当業者に明らかになるはずである。明らかなように、本発明の精神および範囲から全く逸脱することなく本発明を様々な明白な態様において修正することができる。したがってこれら詳細な説明は本質的に例示とみなすべきであり、限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の実施形態を示す図である。
【図2】図1の側面を示す図である。
【図3】本発明の別の実施形態を示す図である。
【図4】図3の側面を示す図である。
【図5】本発明の代替実施形態を示す図である。
【図6】本発明の別の代替実施形態を示す図である。
【図7】本発明の台枠システムを示す図である。
【図8】本発明の実施形態による基板への光起電力素子の固定の達成を破片が妨げるのを保護フラップが改善する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
明細書および特許請求の範囲において、用語「含まれる」および「含む」は非限定的な用語であり、「含まれるが、‐‐‐には限定されない」を意味するものと解釈されたい。これらの用語は、より限定的な用語「から本質上なる」および「からなる」を包含する。
【0014】
本明細書および別添の特許請求の範囲の中で使用される単数形「a」「an」および「the」には、文脈により別の意味であることが明白に規定されない限り、複数形の意味が含まれることに留意されたい。同様に、用語「a」(または「an」)、「1または複数の」、および「少なくとも1つの」は、本明細書中では区別なく使用することができる。用語「含む」、「含まれる」、「特徴とする」、および「有する」もまた、区別なく使用することができることに留意されたい。
【0015】
別段の指定がない限り、本明細書中で使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明が属する技術分野の通常の熟練者により一般に理解されるものと同じ意味を有する。本明細書中で具体的に述べられるすべての刊行物および特許は、本発明に関連して使用される可能性のある刊行物中で報告される化学薬品、器具、統計分析、および方法論に関する記述および開示を含めて、すべての目的に対してそれらの全体が参照により援用される。本明細書中で引用されるすべての参考文献は、当業界の技術水準を暗示するものと受け取るべきである。本明細書中の何物も、本発明が従来の発明に基づくかかる開示に先立つ資格がないという告白と解釈されるべきではない。
【0016】
一態様において本発明は、驚くべきことに光起電力素子を取り囲み、膜構造物に接着するフルオロポリマーカバー層(例えば、ETFEまたはFEP)の「エンベロープ」を使用することによるか、またはフルオロポリマーカバー層の一片を光起電力素子の外辺部を越えて延在させ、次いでフルオロポリマーカバー層を易接合層により膜に接合することによって、ピンと張ったまたは空気支持型建築用膜構造物に光起電力素子を固定するシステムを提供する。
【0017】
このシステムの一利点は、基礎となる支持体を損傷することなくシステムから光起電力構成部品を取外し、交換できることである。したがって光起電力構成部品が損傷した、疲労した、保守管理を必要とするなどの場合、その構成部品を容易に取外し、交換または修理し、より伝統的なシステムのように留め金具またはねじくぎによって再び取り付ける必要なしに再取付することができる。別の利点は、光起電力構成部品を膜の屈曲および伸びにそれまでどおり順応させたまま、風、雨、雪、熱、寒気等に耐えることができるように、それがシステムにしっかり留められることであることを理解されたい。この「エンベロープ」システムは、それら要素が構成部品をシステムから簡単に分離させない十分に強い係合をそれまでどおり与えたまま、素子を変更/交換できる能力を提供する。
【0018】
語句「光起電力素子」には、結晶シリコン、αシリコン(アモルファスシリコン)、CIGS(銅・インジウム・ガリウムジセレニドまたはジスルフィド)、DSSC(色素増感型太陽電池セル)、OPV(有機光起電力素子)、CdTe(テルル化カドミウム)、GdAs(ガリウムヒ素)、あるいは、例えばUnisolar PVL−136積層品などを含む光起電力セル、太陽電池セル、またはモジュールが含まれる。光起電力構造物は、剛性、例えばガラス表面を有する結晶シリコンであるか、または可撓性、例えばETFE表面を有する薄膜アモルファスシリコンであることができる。
【0019】
語句「建築用膜」は当業界で知られており、構造要素、より具体的には「布構造物」を含むことを意図しており、本明細書中ではこれらはまた「建築用膜構造物」、「建築構造物」、あるいは簡単に「構造物」または「複合材」とも呼ばれ、最後の2つの用語は区別なく使用される。例には、テント、日よけ、キャノピー、シェード付駐車構造物、競技場、アンフィシアター、空港などが挙げられる。
【0020】
幾つかの態様においてこの構造物は、圧縮または屈曲のない一般には引張応力のみを支えるピンと張られた、すなわち張力構造である。特定の例では本明細書中で開示する構造は、膜の平面においてのみ張力またはせん断力を支えるために提案されている工業基準を満たす。
【0021】
語句「フルオロポリマー」は当業界で知られており、例えば、ポリテトラフルオロエチレン、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(アルキルビニルエーテル)コポリマー(例えば、テトラフルオロエチレン−ペルフルオロ(プロピルビニルエーテル))、FEP(フッ素化エチレンプロピレンコポリマー)、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、1種類または複数種類のエチレン不飽和性モノマーとフッ化ビニル、クロロトリフルオロエチレン、および/または二フッ化ビニリデンのコポリマー(すなわちVDF)を含むよう意図されている。上記エチレン不飽和性モノマーは、例えば、アルケン(例えば、エチレン、プロピレン、ブチレン、および1−オクテン)、クロロアルケン(例えば、塩化ビニルおよびテトラクロロエチレン)、クロロフルオロアルケン(例えば、クロロトリフルオロエチレン)、フルオロアルケン(例えば、トリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン(すなわちTFE)、1−ヒドロペンタフルオロプロペン、2−ヒドロペンタフルオロプロペン、ヘキサフルオロプロピレン(すなわちHFP)、およびフッ化ビニル)、ペルフルオロアルコキシアルキルビニルエーテル(例えば、CFOCFCFCFOCF=CF)、ペルフルオロアルキルビニルエーテル(例えば、CFOCF=CFおよびCFCFOCF=CF)、およびこれらの組合せである。
【0022】
フルオロポリマーは、例えばポリフッ化ビニリデン、フッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとフッ化ビニリデンのコポリマー、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマー、エチレンとテトラフルオロエチレンのコポリマー、および他の溶融加工性フッ素樹脂の場合のように溶融加工性であることができ、あるいはフルオロポリマーは、例えばポリテトラフルオロエチレン、TFEと少量のフッ素化ビニルエーテルのコポリマー、および加硫フルオロエラストマーの場合のように溶融加工性でなくてもよい。
【0023】
有用なフルオロポリマーには、HFPとTFEとVDFのコポリマー(すなわちTHV)が挙げられる。THVポリマーの例には、「DYNEON THV」の商品名でDyneon,LLCにより販売されているものが挙げられる。
【0024】
他の有用なフルオロポリマーにはまた、エチレンとTFEとHFPのコポリマーが挙げられる。このようなポリマーは、例えばDyneon,LLCにより「DYNEON FLUOROTHERMOPLASTIC HTE」の商品名で販売されている。
【0025】
さらなる市販のフッ化ビニリデン含有フルオロポリマーには、例えばArkema,Philadelphia,Pa.により販売されている商品名「KYNAR」(例えば「KYNAR 740」)を有するフルオロポリマー、Solvay Solexis USA,West Deptford,N.J.により販売されている「HYLAR」(例えば「HYLAR 700」および「SOLEF」、Dyneon,LLCにより販売されているDYNEON FP 109/0001などの「DYNEON PVDF Fluoroplastics」が挙げられる。二フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンのコポリマーもまた有用である。これらには、例えばArkemaにより販売されているKYNARFLEX(例えば、KYNARFLEX 2800またはKYNARFLEX 2550)が挙げられる。
【0026】
市販のフッ化ビニルフルオロポリマーには、例えばE.I.du Pont de Nemours & Company,Wilmington,Del.により商品名「TEDLAR」で販売されているフッ化ビニルのホモポリマーが挙げられる。
【0027】
有用なフルオロポリマーにはまた、テトラフルオロエチレンとプロピレンのコポリマー(TFE/P)が挙げられる。このようなポリマーは、例えば商品名「AFLAS」(AGC Chemicals Americaにより販売されている)、または「VITON」(E.I.du Pont de Nemours & Company,Wilmington,Del.により販売されている)で市販されている。
【0028】
有用なフルオロポリマーにはまた、エチレンとTFEのコポリマー(すなわち「ETFE」)が挙げられる。このようなポリマーは市場で得ることができ、例えばDyneon,LLCにより商品名「DYNEON FLUOROTHERMOPLASTIC ET 6210A」、「DYNEON FLUOROTHERMOPLASTIC ET 6235」で、またはDaikin America Inc.から商品名「NEOFLON ETFE」(例えば、NEOFLON ETFE EP521、EP541、EP543、EP610、またはEP620)で、またはE.I.du Pont de Nemours & Company,Wilmington,Del.から商品名「TEFZEL」で販売されている。
【0029】
有用なフルオロポリマーにはさらに、エチレンとクロロトリフルオロエチレンのコポリマー(ECTFE)が挙げられる。市販の例には、Solvay Solexis Corp.から入手できるHalar 350およびHalar 500樹脂が挙げられる。
【0030】
他の有用なフルオロポリマーには、Honeywellから市販されているAclarなどのクロロトリフルオロエチレンの実質的ホモポリマー(PCTFE)が挙げられる。
【0031】
変性フルオロポリマー、一般にはフルオロポリマーの亜群もまた有用である。それら変性(官能基化)フルオロエラストマーに付着する好適な官能基は、無水マレイン酸または無水コハク酸(加水分解されてカルボン酸基になる)などのカルボン酸基、炭酸、エポキシ、アクリル酸およびその誘導体(例えばメタクリル酸)、リン酸、およびスルホン酸である。市販の変性フルオロポリマーには、Asahiから市販されているFluon(登録商標)LM−ETFE AH、Daikinから市販されているNeoflon(登録商標)EFEP RP5000およびNeoflon(登録商標)ETFE EP7000、およびDuPontから市販されているTefzel(登録商標)HT2202が挙げられる。
【0032】
フルオロポリマー基板は、フルオロポリマーを加工することができる限り、任意の形態(例えば、フィルム、テープ、シート、ウェブ、ビーズ、粒子、あるいは成形または造形品)で準備することができる。
【0033】
フルオロポリマーは、耐薬品性、電気絶縁性、耐候性、および/または水分に対するバリアを与えるように一般には外層として選択される。
【0034】
用語「封止」とは、補強材料をフルオロポリマーで被覆することを意味するものである。その塗膜は、付着量および厚さが必ずしも均一である必要はないが、その繊維または補強材をほぼ被覆する。この封止用材料は浸漬、噴霧、塗装、蒸着、貼り合わせなどにより補強材上に施すことができる。さらにこの封止材、例えばフルオロポリマーは、高温で焼結することもできる。
【0035】
例えば、封止補強材構造物は、補強材基板、例えばPTFEなどをガラス繊維に既知の方法で塗布または含浸させることによって、例えばPTFEを懸濁液から塗布し、その塗布したPTFEを、例えばCookの米国特許第3,928,703号明細書の教示に従って融解によって形成することができる。
【0036】
これら封止補強材構造物は当業界で知られており、またNon−melt Processible Fluoroplastics:The Definitive User’s Guide and Databook,Sina Ebnesajjad,2000,Plastics Design Library,Norwich,NY(この内容は参照により本明細書中に援用される)に記載の方法により調製することができる。例えば175〜178頁を参照されたい。手短に言えばガラス繊維布をフルオロポリマー分散液に通す。布から過剰の材料を除去し、材料を乾燥する。この過程は複数回繰り返すことができ、次いでその複合体をベーキング、カレンダー加工、および/または焼結にかけることができる。
【0037】
例えば、製織ガラス繊維布を熱クリーニングして残留サイズ剤をできるだけ減らすことができる。塗料は、基板をPTFEの水性分散液(DuPontから得られ、固形物53%で塗布されるTE3879)中に浸漬することによって塗布することができる。次いでこの塗料を、350Fの乾燥温度および680Fの焼結ゾーン温度でシングルまたはマルチゾーンコーティングタワー中で乾燥し、焼結する。
【0038】
この構造物には、例えばFEP分散液(DuPontから得られ、固形物38%で塗布されるTE9568)を用いた易接合層トップコートで仕上塗りをすることができる。このトップコートは、シングルまたはマルチゾーンタワー中で浸漬、乾燥、焼結することによって塗布することができる。乾燥温度は約350Fであり、焼結温度は約680Fである。
【0039】
望むなら1種類の添加剤または添加剤混合物を、所望の効果を生むように封止溶液/分散液中に含めることもできる。例えば着色剤または染料、紫外線安定剤、あるいは殺真菌剤、殺菌剤、殺ウドンコ病菌剤、または他の生物致死剤をこの材料に組み込んで、見た目の効果または環境影響に対して高い抵抗性を有するフィルムにすることができる。
【0040】
封止補強材構造物の好適な例には建築用膜が挙げられる。封止補強材には、PTFE(後に焼結する)で封止したガラス繊維基板から調製されたものが挙げられる。例には、SHEERFILL(登録商標)HA、I−HT、II−HT、IVA、またはVなどのSaint−Gobain Performance Plastics Corporation(Merrimack,New Hampshire)によるSHEERFILL(登録商標)製品、DURASKIN(Verseidag,Germany)、SKYTOP(Chukoh,Japan)、またはSOLUS(Taconic,South Korea)が挙げられる。
【0041】
用語「補強材」は当業界で認知されており、布、織布、不織布、レイダウン、網などである材料を含むものである。好適な補強材料には、例えばガラス、ガラス繊維、アラミド、ポリエステル、ポリアミド、炭素繊維、金属繊維、ハロポリマーなどが挙げられる。
【0042】
加工温度に耐えることができ、かつ構造物において静的および動的な機械的負荷を支えることができる任意の適切な繊維材料を、本発明による補強用材料として使用することができる。例には、とりわけガラス繊維、セラミックス、黒鉛(炭素)、PBI(ポリベンゾイミダゾール)、KEVLARおよびNOMEXなどのポリアラミド、REEMAYなどのポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、TEFZEL(ETFE)などの熱可塑性樹脂、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルイミド、ポリエーテルケトン、KYNOLなどのノボロイドフェノール系繊維、PTFE、綿、ならびに他の天然および合成繊維が挙げられる。補強用材料は、布地として組み立てられた長繊維糸、モノフィラメント、スリットフィルムなどを含むことができる。補強用材料はまた、鋼線または鋼網などの金属材料を含むこともできる。一態様では補強用材料はガラス繊維を含む。
【0043】
具体的には少なくとも360℃の加工温度に耐えることができる材料が望ましい。
【0044】
用語「接触」とは、封止材が光起電力素子の一部または全部を取り囲んでいるようなところで光起電力素子が直接に材料に接していても、または間接的に接していてもよいことを意味する。接触はまた、フルオロポリマー封止補強層に対する応力が層の変形を引き起こす(例えば風、雪、雨)につれて、光起電力素子が動き、別の位置に移る可能性のある状況を包含するものと理解されたい。したがって、光起電力素子と周囲層の接触は、その構造物が周囲層の1枚または複数枚に対する外部応力のせいで光起電力素子の破壊を引き起こすほど柔軟さのないものではないようなものである。これに加えて、力が働いた場合にシステム自体が動くので、光起電力素子は建築システムと共に「動く」ことができる。
【0045】
語句「易接合層」は、二種類の材料を包含することを意図している。一態様では易接合層は、フルオロポリマー材料と似た特性を有するが、フルオロポリマーなどの別の材料との接着のための接着特性を与えるようになされた層である。好適な接合性材料には、例えばPFA、PVDF、ETFE、THV、またはFEPが挙げられる。易接合層はさらに、構造物の強化に役立つような1種類または複数種類の補強材料を含むことができる。
【0046】
別の態様では易接合層、フルオロポリマー封止補強材、またはその両方を表面処理することができる。一般にはフルオロポリマー表面に親水性官能基を付着させて濡れやすくする。それは化学結合の機会を与える。プラズマエッチング法、コロナ処理法、化学蒸着法、またはこれらの任意の組合せを含めてフルオロポリマー表面を官能基化する幾つかの方法がある。別の実施形態ではプラズマエッチング法は、水素、酸素、アセチレン、メタン、およびこれらと窒素、アルゴン、およびヘリウムの混合物などの反応性プラズマを含む。コロナ処理法は、反応性炭化水素蒸気、例えばアセトンなどのケトン、C1〜C4炭素鎖長アルコール、p−クロロスチレン、アクリロニトリル、プロピレンジアミン、無水アンモニア、スチレンスルホン酸、四塩化炭素、テトラエチレンペンタミン、シクロヘキシルアミン、チタン酸テトライソプロピル、デシルアミン、テトラヒドロフラン、ジエチレントリアミン、第三ブチルアミン、エチレンジアミン、トルエン−2,4−ジイソシアナート、メタクリル酸グリシジル、トリエチレンテトラミン、ヘキサン、トリエチルアミン、メチルアルコール、酢酸ビニル、メチルイソプロピルアミン、ビニルブチルエーテル、メタクリル酸メチル、2−ビニルピロリドン、メチルビニルケトン、キシレン、またはこれらの混合物の存在下で行うことができる。
【0047】
幾つかの手法は、これらの方法の一つを含むステップの組合せを使用する。例えば表面活性化は、励起ガス化学種の存在下でプラズマまたはコロナによって達成することができる。
【0048】
理論に縛られるものではないが、この方法は、変性フルオロポリマーと非フルオロポリマー(または第二の変性フルオロポリマー)の界面間の強い層間接着を与えることが分かった。一つの方法ではフルオロポリマー付形物および非フルオロポリマー付形物を、それぞれ別々に形成する。続いてフルオロポリマー付形物を、米国特許第3,030,290号、第3,255,099号、第3,274,089号、第3,274,090号、第3,274,091号、第3,275,540号、第3,284,331号、第3,291,712号、第3,296,011号、第3,391,314号、第3,397,132号、第3,485,734号、第3,507,763号、第3,676,181号、第4,549,921号、および第6,726,979号各明細書(これらの特許明細書の教示内容は、それらの全体が本明細書中ですべての目的に対して援用される)に記載の処理法によって表面処理する。次いで得られた変性フルオロポリマー付形物と非フルオロポリマー付形物を、例えば熱積層法によって相互に接触させて多層フィルムを形成する。さらにこの多層フィルムを、UVA、UVB、および/またはUVC域の波長を有する紫外線に曝すことができる。
【0049】
一態様では、電極領域をアセトン、C1〜C4炭素鎖長アルコール、テトラヒドロフラン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、または酢酸プロピルの蒸気で充満させたところで、フルオロポリマー基板の表面をコロナ放電により処理する。
【0050】
コロナ放電は、その少なくとも一方が誘電体バリアによって気体媒質から遮断されている2つの離れた電極間に存在する気体媒質の容量依存性交換(capacitative exchange)によって生ずる。コロナ放電は、その容量依存性のために元々交流に若干限定される。それは、電圧が一般にキロボルトの単位で測定され、電流が一般にミリアンペアの単位で測定される高電圧、低電流現象である。コロナ放電は、広範囲の圧力および周波数にわたって持続させることができる。一般に0.2から10気圧の圧力がコロナ放電操作限度を限定し、一般には大気圧が望ましい。好都合には20Hzから100kHzの範囲の周波数を使用することができ、具体的には範囲は500Hz、特に3000Hzから10kHzまでである。
【0051】
コロナ放電処理手順に関する詳細のすべては、E.I.du Pont de Nemours and Company,USAに譲渡されている一連の米国特許(それらは、失効した米国特許第3,676,181号明細書中に記載されている)、およびSaint−Gobain Performance Plastics Corporationの米国特許第6,726,979号明細書中で得られ、これらの特許明細書の教示内容は、それらの全体が本明細書中ですべての目的に対して援用される。提案する手法の例は、米国特許第3,676,181号(Kowalski)明細書中に見出すことができる。
【0052】
別の態様ではフルオロポリマーの表面はプラズマで処理される。語句「プラズマ強化化学蒸着法」(PECVD)は当業界で知られており、基板上に気体状態(蒸気)から固体状態へ薄膜を堆積させる方法を指す。この方法に関与する幾つかの化学反応が存在し、それらは反応用気体のプラズマの生成後に起こる。一般にプラズマは、中間に基板が置かれ、空間が反応用ガスで満たされた二電極間でRF(AC)周波数またはDC放電によって生成される。プラズマは、かなりの割合の原子または分子をイオン化し、反応性イオン、電子、ラジカル、および紫外線を生じさせる任意の気体である。
【0053】
用語「非封止」は、塗布、処理、またはその他の方法でフルオロポリマーと接していない、例えば表面が変性されないまたは未使用の補強材の一部または表面を意味することを意図する。
【0054】
したがって、一態様では光起電力/建築用膜構造物は「面」を持っている、すなわち補強材の一方の面はフルオロポリマーを含み、補強材の他方の面はフルオロポリマーを含まず、封止されていない。次いでこの非変性面をさらに処理することができる。一つの「面」を持つ補強材の好適な例には、マイクロ波透過型複合材料が挙げられる。
【0055】
例えば、浸透が所望の接合を達成するのに十分な状態にフルオロポリマー分散液の塗布を慎重に制御し、それを補強材の表面に局在化させることができる。これを達成する一つの方法は、ロールが布表面に触れ、または「リッキングする」ことによって塗料を布に移して布の片面にのみ塗料を塗布するキスロール塗装によるものである。別の方法は、キス塗装と、それに続く注入塗装の組合せである。キス塗装が塗料の塗布を片面に限定し、次いで注入塗装を使用して追加の塗膜厚を増すことができる。
【0056】
分散液の浸透度は、もう一方の面への明白な液の浸透または「表面にじみ」が起こらないように制御されるべきである。布の非塗布面に目に見える樹脂が存在すべきではない。浸透度は一般に全補強材厚さの50%を超えるべきではない。
【0057】
フルオロポリマー分散液の表面にじみを無くすことは、補強材の密度、分散液の粘度、分散液の比重、塗布方法、およびその対応するパラメーター、例えば塗布時間等を含めた複数の要因に左右される。
【0058】
フルオロポリマー分散液は、所望の製品を生産するために必要な特性に基づいて選択することができる。選択される特定の分散液は、補強材とその関連する構成部品の間の十分な接合を生みだすのに十分な浸透性を有する。補強材の厚さおよび多孔度、完成製品の望ましい重量、完成製品のスチフネス等に応じて、広範囲の粘度を有する分散液を利用することができる。
【0059】
フルオロポリマー分散液の比重もまた、塗膜特性に影響を与える。分散液の比重は、1.05と1.5の間の範囲、より具体的には少なくとも1.35であるべきである。塗布量は、約0.5オンス/平方ヤード、また50オンス/平方ヤード未満であるべきである。
【0060】
本発明で有用なフルオロポリマーは、当業者に知られているもの、例えば米国特許第4,770,927号明細書(Effenbergerら)に記載されているようなものから選択することができる。この特許明細書の開示内容はその全体が参照により本明細書中に援用される。
【0061】
本発明で有用な市販のフルオロポリマー製品には、下記の過フッ素樹脂、すなわち
PTFE:Daikin Polyflon、Dupont Teflon、ICI Fluon、Ausimont Algoflonなど、
FEP:Daikin Neoflon、Dupont Teflonなど、
PFA:Daikin Neoflon、Dupont Teflon、Ausimont Hyflonなど、
MFA:Ausimont Hyflonなど、
フルオロエラストマー:Dupont Viton、3M Fluorel、Ausimont Tecnoflon、Daikin Daiel、Asahi Glass Aflasなど、および/または
ペルフルオロエラストマー:Dupont Kalrez、Daikin Perfluorなど
が挙げられる。
【0062】
フルオロポリマーはまた、充填剤、顔料、および他の添加剤を含むことができ、それらの例には、二酸化チタン、タルク、黒鉛、カーボンブラック、カドミウム顔料、ガラス、金属粉およびフレーク、ならびに砂、フライアッシュなどの他の高温材料が挙げられる。
【0063】
補強層には、フルオロポリマーを、縦型コーティングタワー、スプレイコーター、リバースロールコーター、ローラーコーター、ドクターナイフ付き水平型コーター、キスロール塗装、または当業界で知られている他の方法を使用する様々な手法によって塗布することができる。
【0064】
構造物には、例えばFEP分散液(DuPontから得られ、固形物38%で塗布されるTE−9568)を用いた易接合層トップコートを仕上塗りすることができる。このトップコートは、シングルまたはマルチゾーンタワー中で浸漬、乾燥、焼結することによって塗布することができる。乾燥温度は約350Fであり、焼結温度は約680Fである。
【0065】
望むなら1種類の添加剤または添加剤混合物を、所望の効果を生むように封止溶液/分散液中に含めることもできる。例えば着色剤または染料、紫外線安定剤、あるいは殺真菌剤、殺菌剤、殺ウドンコ病菌剤、または他の生物致死剤をこの材料に組み込んで、環境影響に対して高い抵抗性を有するフィルムにすることができる。
【0066】
「面」を持った層の例には、RAYDEL(登録商標)材料などのSaint−Gobain Performance Plastics Corporation(Merrimack,New Hampshire)により製造されているもの、例えばM15−OSおよびM26−OSが挙げられる。これらは片面にPTFEを塗布されたガラス繊維である。
【0067】
次に図1および2を参照すると、光起電力素子/建築システム10は、基板であるフルオロポリマー封止補強層15を含み、それはフルオロポリマーカバー層、例えばFTFEまたはFEP層25で被覆されている光起電力素子20に接している。カバー層25は、接合層30によってフルオロポリマー封止補強層15に接合される。接合層30用の好適な材料には、例えばPFA、PVDF、THV、ETFEか、またはFEPなどの熱接合可能なフルオロポリマーが挙げられる。
【0068】
光起電力素子20は、任意の適切な光起電力セル、太陽電池セル、結晶シリコン、アモルファスシリコン、CIGS、CIS、CdTe、DSSC、OPV、または例えばUnisolar PVL−136積層品等であることができる。光起電力構造物は、剛性、例えばガラス前面を有する結晶シリコンであってもよく、また可撓性、例えばETFE前面を有する薄膜アモルファスシリコンであってもよい。
【0069】
層15、25、30は本明細書中で考察されるが、限定されるべきではない。一実施形態では接合層30は、フルオロポリマー層15とフルオロポリマーカバー層25の間の接着を容易にするために表面処理されている(例えば、コロナまたはプラズマ処理されている)。
【0070】
一態様ではこれら層は互いに熱接合される。
【0071】
本明細書中で述べる様々な接合/接着方法の組合せが考えられ、それらは本発明の一部として包含される。
【0072】
用語「接着剤」は当業界で知られており、二つの面を互いに接着することができる様々な材料が含まれる。好適な接着剤には、例えばネオプレンゴム、ブチルゴム(例えば、Heliobond PVA 600BT)、二液型エポキシ、シリコーンコーキング材、またはポリウレタン接着剤が挙げられる。
【0073】
各「層」は、ストリップ、円形アタッチメント、長方形アタッチメント、長円形等々であることができることを理解されたい。層は、本質的に連続的または一体型である必要はなく、隣接層に十分な接触面を与えてその層の目的を達成するのに足りるものである。
【0074】
図2は、フルオロポリマー封止補強層15上に配置される接合層30にフルオロポリマーカバー層25を接合する前の局面でのシステム10を示す。
【0075】
図3および4は、本発明の光起電力素子/建築システム10の代替実施形態を提供する。光起電力素子20は、フルオロポリマーカバー層25(例えばETFEまたはFEP)とフルオロポリマー封止補強層15の間に固定される。一態様ではフルオロポリマーカバー層25は、本明細書中で前述したように表面処理(例えば、コロナまたはプラズマ)されている。別の態様ではフルオロポリマー封止補強層15もまた、本明細書中で前述したように表面処理剤で処理することができる。
【0076】
一実施形態ではフルオロポリマーカバー層25およびフルオロポリマー封止補強層15は互いに熱接合され、その間の光起電力素子20を固定する。
【0077】
図5は、層の組立および密封の前の局面における代替実施形態を示す。第一のフルオロポリマーカバー層25(例えばETFEまたはFEP)を光起電力素子20の上部全体を覆って配置することができ、また任意選択で第二のフルオロポリマーカバー層25を光起電力素子20の下部に置くこともできる。易接合層30(例えばETFEまたはFEP)をフルオロポリマー封止補強スペーサ層35の第一面に配置することができる。別法ではスペーサ層は、フルオロポリマーフィルムであることができる。
【0078】
スペーサ層35は、光起電力素子20のまわりに台枠を設けるのに適した構造のものであることができ、必ずしもフルオロポリマー封止補強層15の材料に限定されない。層30、35、30は、フルオロポリマー封止補強層15上に配置される。第一層25、30、35、30、15は、具体的にはヒートシーリングにより密封することができる。一態様では層15、25、30、および/または35の1層または複数層が、本明細書中で前述したように表面処理(例えばコロナまたはプラズマ法で)されている。
【0079】
一態様では厚さ5ミルの光起電力素子20を、26ミルEVAによって両面で封止することができる。構造物の上面には、コロナ処理ETFEまたはFEPなどの3ミルコロナ処理フルオロポリマーカバー層25が配置されることになる。スペーサ層35の「台枠」は、易接合層30の5ミル層(表面処理ETFEまたはFEPなど)によりフルオロポリマー封止補強層15(SHEERFILLなど)に熱融着することができる。取り付けた「台枠」の上部に易接合層30の別の層、約5ミルを配置し、次いでその台枠にカバー層35、EVA層、および光起電力素子20の構造物を熱融着することができる。
【0080】
フィルム厚は、本明細書中では「ミル」の単位で表され、1ミルは0.001インチに等しい。
【0081】
システムのすべての層は、建築用膜の現地での装着に先立って完全に組み立てることができる。これは一般に、その位置決めまたは装着の間の膜の予想される伸びが約3%未満の場合に可能である。より一般的には建築用膜は、装着の間に3%をかなり上まわる伸びを経験する。したがって本発明の一実施形態は、構造物の上半分(フルオロポリマーカバー層25および光起電力素子20)が予め組み立てられ、また構造物の下半分(フルオロポリマー封止補強層15、および場合によっては易接合層30)が予め組み立てられることになる。次いで、構造物が所定の位置に完全にピンと張られた後に、光起電力素子を含有する半分を膜に接合する。光起電力素子を含有する上半分の最終的固着の準備をまだしている間に、下側半分をほぼ所定の大きさに調整し、配置して装着の間に生ずる可能性のある寸法変化に適合させることができる。
【0082】
別の態様では、装着に先立ってフルオロポリマーカバー層25の二つの面をフルオロポリマー封止補強層15に取り付けることができる。次いでフルオロポリマー封止補強層15が完全にピンと張られた後に、カバー層25の残りの面を取り付ける(層15に)ことができる。
【0083】
別法ではシステム10を現地で装着することもできる。例えば図1を参照すると、建築用膜15(任意選択で接合層30を伴う)は、既存の構造物上にあっても、また新しい構造物であってもよい。次いでフルオロポリマーカバー層25を、その膜が望み通りに位置決めされ/ピンと張られた後に、例えば建築用膜15に現地で熱接合することができる。接合層30は、現地で塗布することもでき、また好都合には15または25に予め塗布することもできる。次いでこの構造物を、場合によっては光起電力素子20と共に加えることができる。したがって本発明は、システムの構成部品をその建設計画に役立つようにパッケージにすることができるという利点を提供する。
【0084】
図6に示す別の実施形態では光起電力素子20をEVAによって両面で封止することができる。3ミルの表面処理フルオロポリマーカバー層25を、25が光起電力素子20の外辺部を越えて延在することになるように20全体を覆って配置することになる。好適な材料には、コロナ処理ETFEまたはFEPが挙げられる。任意選択で別のカバー層25を光起電力素子の下に配置することもできる。
【0085】
スペーサ層35の「台枠」は、フルオロポリマー封止補強層15(SHEERFILLなど)に、易接合層30の5ミル層(コロナ処理FEPまたはETFEなど)により熱融着することができる。「台枠」は、光起電力素子20の外辺部を越えて延在する層25に、例えば層30、25、および15の間にヒートシーリングにより取り付けられる。具体的には台枠は、層30がフルオロポリマー封止補強層15の表面に直接に接合することができるように層25の外辺部を越えてさらに延在する。
【0086】
これに加えて代替実施形態ではスペーサ層35はフルオロポリマーフィルムであってもよく、必ずしも補強された封止フルオロポリマー複合材である必要はない。
【0087】
光起電力素子20の外辺部の周りの「台枠」は一体でもよく、あるいはストリップ、円、正方形、または長方形等の個々のセグメントから形成されてもよいことを理解されたい。これに加えて台枠は、光起電力素子を完全に取り囲む必要はない。例えばそれは3つの辺を持つこともできる。
【0088】
図7は、本発明の別の実施形態を提供する。台枠70は、フルオロポリマー側50および封止されていない補強材料側45を有する第一の非封止補強層40から調製される。シリコーンコーキング材などの接着剤層60を台枠70の内周縁部の周囲に貼り付け、接着剤層60上に可撓性光起電力素子20を置き、押圧して、光起電力素子20を層40に固定する。接合層30(FEPなど)は、接着剤層60で処理されなかった45の外辺部上に仮留めすることができる。
【0089】
非封止補強層40の第二の片は、非封止補強材側45上で、層40の中央部分あたりを層110(液状シリコーン樹脂)で処理する。接合層30(FEPなど)は、層110で処理されなかった45の外辺部上に仮留めすることができる。接着剤は高温で硬化させることができる。この構造物を裏当て層80と呼ぶこともできる。
【0090】
台枠70と裏当て層80は一緒にされ、接合層30により封着されてパウチ85を形成する。これらのステップは、現地での装着に先立って工場内で行うことができる。
【0091】
パウチ85を装着のための現場に持ち込み、フルオロポリマー封止補強層15などのフルオロポリマー層に熱融着することができる。接合層30はさらに、15の表面へのパウチ85の接着を与えることができる。追加の接合層(図示せず)を表面15とフルオロポリマー側50の間に加えて追加の接着を与えることもできる。
【0092】
図8に示すように、本明細書中で述べた方法により封止補強構造物15に接着される本明細書中で述べた素子/建築用膜システム10は、さらに任意選択で「フラップ」100を含むことができる。フラップ100は、水、雪、氷、破片等から光起電力素子20を保護するのに役立つ。フラップ100は、丈の低い輪郭を示し、雪および氷が素子を損傷することなく容易にこのPVの縁部を通り過ぎることを可能にする。
【0093】
本明細書中で示した様々な実施形態の一つの追加の利点は、何らかの理由でもはやシステムが欲しくない場合、その様々な層および光起電力素子20を除去し、こうして建築用膜15のみを残すことができることである。
【0094】
現地で組立てを行うか、または現地での装着前に完全にまたは部分的に組み立てることができるように、例えば本明細書中で述べた建築システムの接合層または接着剤層を保護するために、はく離層を用いることができることを理解されたい。
【0095】
本発明の様々な態様について(1)から(50)までの連続的に列挙する下記パラグラフを提供する。一実施形態では第一のパラグラフ(1)において本発明は、
(1)フルオロポリマー封止補強層と、そのフルオロポリマー封止補強層に接する光起電力素子と、熱融着可能であり、かつ光起電力素子を被覆し、その外辺部を越えて延在するフルオロポリマーカバー層と、任意選択でそのフルオロポリマーカバー層およびフルオロポリマー封止補強層の間の易接合層とを含む光起電力素子/建築用膜システム
を提供する。
【0096】
(2)そのフルオロポリマー封止補強層のフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、パラグラフ(1)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0097】
(3)その補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、パラグラフ(1)または(2)のどちらかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0098】
(4)そのフルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはフッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)である、パラグラフ(1)から(3)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0099】
(5)その易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFEであるか、またはFEPである、パラグラフ(1)から(4)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0100】
(6)その易接合層のいずれかが表面処理される、パラグラフ(1)から(5)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0101】
(7)その光起電力素子の周りに配置される封入材をさらに含む、パラグラフ(1)から(6)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0102】
(8)その封入材がオレフィン系ポリマーまたはそのコポリマーである、パラグラフ(7)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0103】
(9)その光起電力素子に取り付けられた裏当てシートをさらに含む、パラグラフ(1)から(8)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0104】
(10)これら層が熱融着される、パラグラフ(1)から(8)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0105】
(11)フルオロポリマー封止補強層と、そのフルオロポリマー封止補強材に接する光起電力素子と、熱融着可能であり、またその光起電力素子を保持し、光起電力素子の外辺部を越えて延在し、かつフルオロポリマー封止補強層に接合されるフルオロポリマーカバー層とを含む光起電力素子/建築用膜システム。
【0106】
(12)そのフルオロポリマー封止補強層のフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、パラグラフ(11)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0107】
(13)その補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、パラグラフ(11)または(12)のどちらかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0108】
(14)そのフルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはフッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)である、パラグラフ(11)から(13)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0109】
(15)そのフルオロポリマーカバー層が表面処理される、パラグラフ(11)から(14)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0110】
(16)その光起電力素子の周りに配置される封入材をさらに含む、パラグラフ(11)から(15)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0111】
(17)その封入材がオレフィン系ポリマーまたはそのコポリマーである、パラグラフ(16)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0112】
(18)その光起電力素子に取り付けられた裏当てシートをさらに含む、パラグラフ(11)から(17)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0113】
(19)これら層が熱融着される、パラグラフ(11)から(18)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0114】
(20)フルオロポリマー封止補強層と、そのフルオロポリマー封止補強材に接する光起電力素子と、熱融着可能であり、またその光起電力素子を被覆し、その外辺部を越えて延在し、かつ第二の接合層上に配置されるフルオロポリマーカバー層と、このフルオロポリマー封止補強層上に配置された第一の接合層と、この第一の接合層上に配置されたスペーサ層と、この分離層上に配置された第二の接合層とを含み、それによって第一の接合層、分離層、および第二の接合層が光起電力素子の外辺部の周りに設けられる光起電力素子/建築用膜システム。
【0115】
(21)そのフルオロポリマー封止補強層のフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、パラグラフ(20)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0116】
(22)その補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、パラグラフ(20)または(21)のどちらかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0117】
(23)そのフルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはフッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)である、パラグラフ(20)から(22)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0118】
(24)そのフルオロポリマーカバー層が表面処理される、パラグラフ(20)から(23)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0119】
(25)その光起電力素子の周りに配置される封入材をさらに含む、パラグラフ(20)から(24)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0120】
(26)その封入材がオレフィン系ポリマーまたはそのコポリマーである、パラグラフ(25)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0121】
(27)その光起電力素子に取り付けられた裏当てシートをさらに含む、パラグラフ(20)から(26)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0122】
(28)その第一の易接合層がFEPか、またはETFE層のどちらかである、パラグラフ(20)から(27)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0123】
(29)そのスペーサ層がフルオロポリマー封止補強材料である、パラグラフ(20)から(28)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0124】
(30)その第二の易接合層がFEPか、またはETFE層のどちらかである、パラグラフ(20)から(29)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0125】
(31)その第一の易接合層、第二の易接合層、スペーサ層、フルオロポリマー封止補強層、カバー層、またはこれらの層のすべてが表面処理される、パラグラフ(20)から(30)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0126】
(32)それら層が熱融着される、パラグラフ(20)から(31)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0127】
(33)第一のフルオロポリマー封止補強層と、
光起電力素子の底面がそのフルオロポリマー封止補強材に隣接して位置付けられた光起電力素子と、
熱融着可能であり、かつこの光起電力素子の上面の外辺部を越えて延在するフルオロポリマーカバー層と、
このフルオロポリマーカバー層上に配置され、フルオロポリマーカバー層の外辺部分の周りを少なくとも被覆する易接合層と、
この易接合層の少なくとも外辺部分を被覆するフルオロポリマー層または第二のフルオロポリマー封止補強層と
を含む光起電力素子/建築用膜システム。
【0128】
(34)その光起電力素子の底部の少なくとも一部を被覆する熱融着可能な層をさらに含む、パラグラフ(33)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0129】
(35)そのフルオロポリマー層あるいは第一または第二のフルオロポリマー封止補強層のフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、パラグラフ(33)または(34)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0130】
(36)その補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、パラグラフ(33)または(35)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0131】
(37)そのフルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)またはフッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)である、パラグラフ(33)から(36)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0132】
(38)その易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFEであるか、またはFEPである、パラグラフ(33)から(38)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0133】
(39)その易接合層のいずれかが表面処理される、パラグラフ(33)から(38)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0134】
(40)その光起電力素子の周りに配置される封入材をさらに含む、パラグラフ(33)から(39)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0135】
(41)その封入材がオレフィン系ポリマーまたはそのコポリマーである、パラグラフ(40)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0136】
(42)その光起電力素子に取り付けられた裏当てシートをさらに含む、パラグラフ(33)から(41)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0137】
(43)それら層が熱融着される、パラグラフ(33)から(42)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0138】
(44)フルオロポリマー封止補強層を含む第一層と、
第一の側が非封止補強材表面およびフルオロポリマーで封止された第二表面を与えるようなフルオロポリマー封止補強材を含み、その第二表面が補強層に隣接するような第二層と、
その非封止補強材表面の少なくとも一部の周りに配置される易接合層を含み、その易接合層が非封止補強材表面の外辺部を越えて延在するような第三層と、
その第二層上の非封止補強材表面上を配置される光起電力素子と、
その光起電力素子の外辺部の少なくとも一部上に配置された接着剤層を含む第四層と、
第一の側が非封止補強材表面およびフルオロポリマーで封止された第二表面を与えるようなフルオロポリマー封止補強材を含み、その第一表面が光起電力素子の外辺部および第四層によって被覆された部分の周りに配置されるような第五層と
を含む光起電力素子/建築用膜システム。
【0139】
(45)その第三の易接合層が第一層、第五層、または両方に熱融着することができる、パラグラフ(44)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0140】
(46)その第三の易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFEであるか、またはFEPである、パラグラフ(44)または(45)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0141】
(47)易接合層によって被覆されない第三層の非封止補強材表面の一部の上に配置される任意選択の接着剤層をさらに含む、パラグラフ(44)から(46)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0142】
(48)その第三層が台枠として、個々のセグメントとして、またはストリップとして現れる、パラグラフ(44)から(47)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0143】
(49)その台枠、個々のセグメント、またはストリップが、第二層の非封止補強材表面の外辺部の全外辺部分を完全には包含しない、パラグラフ(48)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0144】
(50)その第一、第二、または第三のフルオロポリマー封止補強層のフルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、パラグラフ(44)から(49)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0145】
(51)その補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、パラグラフ(44)から(50)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0146】
(52)その易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFEであるか、またはFEPである、パラグラフ(44)から(51)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0147】
(53)その易接合層のいずれかが表面処理される、パラグラフ(44)から(52)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0148】
(54)その光起電力素子の周りに配置される封入材をさらに含む、パラグラフ(44)から(53)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0149】
(55)その封入材がオレフィン系ポリマーまたはそのコポリマーである、パラグラフ(54)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0150】
(56)その光起電力素子に取り付けられた裏当てシートをさらに含む、パラグラフ(44)から(55)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0151】
(57)その接着剤が、ネオプレンゴム、二液型エポキシ、シリコーン樹脂、またはポリウレタンである、パラグラフ(56)の光起電力素子/建築用膜システム。
【0152】
(58)水、雪、氷、ごみ、または破片が光起電力素子から離れたところに散らばるようにそのシステムの上を向いた部分を被覆するような配置で、フルオロポリマー封止補強材に接着した材料のセグメントをさらに含む、パラグラフ(1)から(57)のいずれかの光起電力素子/建築用膜システム。
【0153】
本発明を下記の非限定的な実施例に関してさらに述べることにする。記述した実施形態において本発明の範囲から逸脱することなく多くの変更をなすことができることは当業者には明らかなはずである。したがって本発明の範囲は、本出願において記述する実施形態に限定されず、特許請求の範囲のことばによって記述される実施形態およびこれら実施形態の等価物によって限定されるべきである。別段の指示がない限り、すべての割合は重量単位である。
【実施例】
【0154】
実施例1:布台枠試料
図7は、下記説明のための根拠を提供する。
【0155】
台枠形状70を、片面をPTFEでコーティングした布から切り取る(非封止補強層40)(Saint−Gobain Raydel M26 OS)。
【0156】
台枠70の内周縁部の周りに非封止側45上へGE Silicone IIコーキング接着剤(透明)60を塗布した。可撓性光起電力素子20を、表を下にして手で接着剤60中に押し込んだ。接着剤60を硬化させた。硬化が完了した後、台枠70/光起電力素子20組合せ体をひっくり返して表を上にし、光起電力素子20の面上に配置される恐れのある過剰の接着剤60を硬質プラスチック(例えばナイロン)のコーナを用いて除去する。
【0157】
片面をPTFEでコーティングした布の第二の片(非封止補強層40)をほぼ台枠70の外のり寸法に切断した。液状シリコーンゴムの薄層110を台枠70の中央領域に貼り付け、硬化させて裏当て層80を得た。層110は、完成したパウチ85中で光起電力素子20がすべらないようにするのに役立つことができる。
【0158】
層40の縁部(非封止表面45)をテープでマスクオフし、層110を貼り付けた。層110(Dow Corning 9252−500P)を布(非封止表面45)の全ガラス面を被覆するように引き落とし、次いで325Fで約6分間硬化させた。硬化したらマスキングテープを除去して裏当て層80を得た。
【0159】
接合層30、例えばFEPフィルムを、布台枠70および裏当て層80の両片の露出した非封止補強材表面45上に仮留めした。例えば台枠70を、10ミルの接合層30、例えばFEPフィルムと接触させた。裏当て層80には、5ミルの接合層30、例えばFEPフィルムを、露出した非封止補強材表面45の周囲に、かつ露出した非封止補強材表面45の「真下」でフルオロポリマー表面50の反対側に貼り付けた(これは、一方の面からもう一方の面まで5ミルフィルムを巻き付けることを伴い、所定の位置に仮留めされた)。
【0160】
台枠70を裏当て層80の上部に置き、この2枚を接合層30により相互に封着してパウチ85を形成した。シーリングは、680Fに設定した3”×5”タッカーで各塗布に対して2.5分の滞留を用いて行った。
【0161】
これらの最初の5つのステップは工場内で行われ、パウチ85はいつでも装着できる状態でその現場に配達することができる。
【0162】
パウチ85は、フルオロポリマー封止補強層15、例えばSHEERFILLに直接に熱融着された。層15とパウチ85の間にFEPフィルムなどの接合層を置いてパウチ85とフルオロポリマー封止補強層15の間の結合を高めることができる。ヒートシーリングは、680Fに設定した3”×5”タッカーで各2.5分の滞留時間を用いて行った。
【0163】
本発明を好ましい実施形態に関して記述してきたが、当業者は、本発明の精神および範囲から逸脱することなく形態および詳細の変更を行うことができることを認めるはずである。本明細書全体を通して引用されるすべての参考文献は、背景技術中のものを含めてそれらの全体が本明細書中に組み込まれる。当業者は、本明細書中で具体的に記述される本発明の特定の実施形態に対する多くの等効物をただ日常的実験のみを使用して認識することもでき、また確かめることもできるはずである。このような等効物は、別添の特許請求の範囲の範囲内に包含されることを意図している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フルオロポリマー封止補強層と、
前記フルオロポリマー封止補強層に接する光起電力素子と、
熱融着可能であり、かつ前記光起電力素子を被覆し、その外辺部を越えて延在するフルオロポリマーカバー層と、
前記フルオロポリマーカバー層および前記フルオロポリマー封止補強層の間の易接合層と
を含む光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項2】
前記フルオロポリマー封止補強層の前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項1に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項3】
前記補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、請求項1に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項4】
前記フルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項1に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項5】
前記易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFE、またはFEPである、請求項1に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項6】
フルオロポリマー封止補強層と、
前記フルオロポリマー封止補強材に接する光起電力素子と、
熱融着可能であり、また前記光起電力素子を保持し、前記光起電力素子の外辺部を越えて延在し、かつ前記フルオロポリマー封止補強層に接合されるフルオロポリマーカバー層と
を含む光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項7】
前記フルオロポリマー封止補強層の前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項6に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項8】
前記補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、請求項6に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項9】
前記フルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項6に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項10】
フルオロポリマー封止補強層と、
前記フルオロポリマー封止補強材に接する光起電力素子と、
熱融着可能であり、また前記光起電力素子を被覆し、その外辺部を越えて延在し、かつ第二の接合層上に配置されるフルオロポリマーカバー層と、
前記フルオロポリマー封止層上に配置された第一の接合層と、
前記第一の接合層上に配置されたスペーサ層と、
その分離層上に配置された第二の接合層と
を含み、それによって前記第一の接合層、分離層、および第二の接合層が前記光起電力素子の外辺部の周りに設けられる、光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項11】
前記フルオロポリマー封止補強層の前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項10に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項12】
前記補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、請求項11に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項13】
前記フルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項11に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項14】
第一のフルオロポリマー封止補強層と、
光起電力素子であって、前記光起電力素子の底面が前記フルオロポリマー封止補強材に隣接して位置付けられた光起電力素子と、
熱融着可能であり、かつ前記光起電力素子の上面の外辺部を越えて延在するフルオロポリマーカバー層と、
前記フルオロポリマーカバー層上に配置され、前記フルオロポリマーカバー層の外辺部分の周りを少なくとも被覆する易接合層と、
前記易接合層の少なくとも外辺部分を被覆するフルオロポリマー層または第二のフルオロポリマー封止補強層と
を含む光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項15】
前記光起電力素子の底部の少なくとも一部を被覆する熱融着可能な層をさらに含む、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項16】
前記フルオロポリマー層あるいは前記第一または第二のフルオロポリマー封止補強層の前記フルオロポリマーが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンと二フッ化ビニリデンとのコポリマー(THV)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項17】
前記補強材が、ガラス、ポリアラミド、ポリエステル、炭素繊維、または金属繊維の織物、網、または不織布材料を含む、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項18】
前記フルオロポリマーカバー層が、エチレンテトラフルオロエチレンコポリマー層(ETFE)、フッ素化エチレンプロピレンコポリマー(FEP)、またはペルフルオロアルコキシ樹脂(PFA)である、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項19】
前記易接合層が、PFA、PVDF、THV、ETFE、またはFEPである、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。
【請求項20】
水、雪、氷、ごみ、または破片が前記光起電力素子から離れたところに散らばるように前記フルオロポリマー封止補強材に接着される材料のセグメントをさらに含む、請求項14に記載の光起電力素子/建築用膜システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2013−503993(P2013−503993A)
【公表日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528839(P2012−528839)
【出願日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/047655
【国際公開番号】WO2011/031618
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(500149223)サン−ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション (64)
【Fターム(参考)】