説明

フルオロポリマー組成物

溶融状態で、増加する剪断速度においてチキソトロピーを示し、ならびにPTFEとパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として4重量%を十分に超えるPTFE濃度でさえ高い破断点伸び、例えば少なくとも30重量%のPTFEまでで少なくとも200%を示す、非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとの溶融混合組成物であって、溶融成形可能なパーフルオロポリマーの連続相中のPTFEのサブマイクロメートル−サイズ粒子の分散系の構造も示す組成物が提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリテトラフルオロエチレンと他のパーフルオロポリマーとのフルオロポリマー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
米国特許公報(特許文献1)は、普通はFEPと呼ばれるテトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体とポリテトラフルオロエチレン(PTFE)とのブレンドであって、PTFEがワイヤの溶融ドローダウン押出コーティング中にコーンブレークの減少という改善された押出特性を与えるブレンドを開示している。ブレンドのPTFE含有率は、共重合体の100重量部を基準として0.03〜2重量部であると開示されている。PTFEの量が2重量部より多いとき、2つの不都合な結果が開示されている:ブレンドの溶融粘度が著しく増加する、および成形品が脆くなる傾向がある[0027]。これらは、PTFEをFEPに加えるケースでは不都合な効果がFEPへのPTFEの小添加でさえ起こることを除いて、フィラーをポリマーに加えることと同じ効果である。
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/0242783 A1号明細書
【特許文献2】米国特許第6,841,594号明細書
【特許文献3】米国特許第3,819,594号明細書
【特許文献4】米国特許第4,036,802号明細書
【特許文献5】米国特許第3,142,665号明細書
【特許文献6】米国特許第6,870,020号明細書
【特許文献7】米国特許第4,952,630号明細書
【特許文献8】米国特許第4,380,618号明細書
【特許文献9】米国特許第5,677,404号明細書
【特許文献10】米国特許第5,932,673号明細書
【特許文献11】米国特許第5,708,131号明細書
【特許文献12】米国特許第4,722,122号明細書
【特許文献13】米国特許第6,429,258号明細書
【非特許文献1】F.N.コグズウェル(F.N.Cogswell)著、「ポリマー溶融レオロジー、工業的実施のための手引き(Polymer Melt Rheology,A Guide for Industrial Practice)」、Woodhead Publishing社、1996年、31ページ
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は、溶融加工のための望ましい粘度を有し、かつ、脆くならない、パーフルオロポリマーの100重量部当たり2重量部よりはるかに多い量でPTFEを含有する溶融成形可能なパーフルオロポリマー組成物の発見を含む。一実施形態によれば、本発明は、非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)と、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを含む溶融混合組成物であって、前記PTFEが前記PTFEと前記溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量の少なくとも約4重量%を構成し、溶融状態において、剪断を増加させるとチキソトロピーを示す組成物である。このように、本発明の組成物は、増加する剪断速度において減少した溶融粘度を示す。溶融加工に含まれる溶融混合に用いられる剪断条件下で、本組成物の溶融粘度は、PTFEが非溶融流動性である、すなわち、PTFEが、流れない、それ故溶融加工できないような高い粘度を溶融状態で有するにもかかわらず、本組成物が溶融加工されることを可能にするほど十分に低くなる。好ましくは、このチキソトロピーは、本明細書で後に説明されるキャピラリー流動計法によって測定される場合、溶融分散系に加えられる剪断速度を約10s-1から約100s-1に増加させるときに溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独の場合の同じ剪断速度における溶融粘度の減少より、少なくとも約10%大きい、好ましくは少なくとも約100%大きい溶融粘度の減少によって特徴付けられる。非溶融流動性PTFEによってパーフルオロポリマーに与えられるチキソトロピーは、驚くべき結果であり、そしてPTFEの高い含有率の場合に、例えば、PTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として、その約65%まで、およびその約75%までであっても存在する。
【0005】
本発明の組成物の溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分は、本組成物に溶融成形性を与える。このように、本組成物は、押出および射出成形のような方法により溶融成形可能であり強い強靱な製品を形成する。この強度および強靱性の幾つかの証は、本明細書に開示される組成物の引張および曲げ特性である。
【0006】
本発明の組成物が脆くないという事実は、それが高い破断点伸びを示すという事実から明らかである。好ましくは、その破断点伸びは、PTFEとパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として、組成物中に少なくとも約30重量%までのPTFEで、少なくとも約200%、より好ましくは少なくとも約250%である。最も好ましくは、本組成物は、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独に対する破断点伸びと少なくとも同じ高さの破断点伸びを示し、PTFEの存在が組成物を脆くしないことを示唆する。この効果は、PTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として、組成物の4重量%を十分に超えるPTFE含有率、好ましくは少なくとも約15重量%までのPTFEにまで及ぶ。本発明の組成物はまた、組成物中のPTFEがフィラーとして働くよりむしろ、組成物を強化しつつあることを示唆する特性を示す。例えば、引張強度および破断点は両方とも、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独に対するより大きいものであり得る。脆くないという本発明組成物の別の証は、それが少なくとも500サイクル、好ましくは少なくとも1000サイクルのMIT曲げ寿命(MIT Flex Life)を示す、すなわち、MIT曲げ寿命試験手順によって本組成物から製造されたフィルムが破壊することなく繰り返しそれ自体の上に曲げられることから生じる。好ましくは、本組成物のMIT曲げ寿命はパーフルオロポリマー単独に対してと少なくとも同じ大きさである。本発明のこの実施形態の溶融混合組成物は、PTFEとパーフルオロポリマー成分との溶融ブレンドと考えることができる。
【0007】
別の実施形態によれば、本発明は、溶融成形可能なパーフルオロポリマーを含む連続相中に非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含むサブマイクロメートル−サイズ粒子の分散系を含む溶融混合組成物であって、前記分散系が溶融状態において、剪断を増加させるとチキソトロピーを示す組成物である。溶融流動性パーフルオロポリマーである連続相は、溶融混合組成物の溶融成形性によって裏付けられる。本組成物から成形された物品は、PTFEから成形された物品のように不透明であるよりむしろ、透明から半透明である。
【0008】
上記の脆くないそしてチキソトロピック特性は両方とも、PTFEがパーフルオロポリマー連続相内にかかる小さい粒径で存在する、この新規な分散/連続相構造から生じる。この新規な構造は、4重量%未満のPTFEを含有する組成物で存在するが、これは好ましい最小量である。例えば、本溶融混合分散組成物は、PTFEとパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として約0.1重量%ほどに少ないPTFEを含有することができ、本分散構造は、PTFE粒子の小さいサイズのために、PTFEとパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として、約50重量%より多い、例えば約65重量%までのPTFEおよび約75%までの量のPTFEについてさえ存在することができる。本発明の第1の言及された実施形態に適用されるチキソトロピー、破断点伸び、引張強度、およびMIT曲げ寿命パラメーターの全てはまたこの実施形態にも適用される。
【0009】
本発明の組成物の溶融混合本質は、PTFEおよびパーフルオロポリマーが両方とも溶融している状態までそれが好ましくは加熱され、次に溶融マスが押出または射出成形の典型的な溶融加工法で起こるかもしれないなどの、2つのポリマーの混合にかけられることを意味する。押出のケースでは、押し出された溶融混合生成物は、最終生成物または最終製品へのさらなる溶融加工のための成形ペレットであることができる。このように、本発明の組成物は、成形ペレットまたは溶融加工法によって形成された最終製品形態などの任意の形態にあることができる。
【0010】
本発明の組成物が2/100重量部よりはるかに多いPTFEを含有することができ、そして溶融成形性と脆さの欠如とを意味する、上記の特性を示すことは驚くべきである。米国特許公報(特許文献1)は、少量のPTFEをFEP中に均一に分散させる試みでの多軸スクリュー混練機の使用[0029]と、多軸スクリュー混練機単独によって達成される分散が不十分であることを示唆する、PTFEの分散の程度を向上させるための予混合の使用[0042]とを開示している。米国特許公報(特許文献1)の実施例1では、PTFEおよび共重合体の粉末が混合され、これに成形ペレットを生成するための二軸スクリュー押出機での混練が続き、ペレットは次に、単軸スクリュー押出機を用いて、ワイヤ上へのコーティングとして溶融ドローダウン押出される。予混合に使用されるPTFE粉末は450マイクロメートルの平均粒径を有する。FEPの粒径は実施例1に開示されていないが、この共重合体を得るための水性乳化重合は開示されている。この共重合体は、エマルジョンのFEP粒子の凝集塊である乾燥粉末粒子を提供する、凝固によって乳化重合から回収される。エマルジョンのFEP粒子は、エマルジョン状態にあるように平均粒径がサブマイクロメートル−サイズである、一次粒子である。一次粒子の凝集塊は、典型的には直径が一次粒子より数百倍大きい、二次粒子である。該実施例に使用された450マイクロメートルPTFE微粉粒子は二次粒子である。このように、実施例1で、FEPのおよびPTFEの二次粒子は、二軸スクリュー押出機で混練する前に予混合される。
【0011】
PTFEが溶融成形可能なパーフルオロポリマーの連続相中に分散されている、本発明の溶融混合組成物の新規構造は、PTFEのおよび溶融成形可能なパーフルオロポリマーのサブマイクロメートル−サイズ粒子の混合物に関して溶融混合を実施することによって得られる。このように、これらのポリマーは、二次粒子よりむしろ、一次粒子の混合物として存在する。この混合物は、PTFE一次粒子をパーフルオロポリマー粒子の内部に提供することによって、すなわち、コア/シェルポリマーの形態で達成することができる。あるいはまた、ポリマーのそれぞれは、水性分散系の形態で、例えば、それらのそれぞれを製造するための水性分散重合法、引き続く各ポリマーの一次粒子の混合物を形成するためのこれらの分散系の混合から提供することができる。コア/シェルポリマーが、2つのポリマーのより大きい親密さと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとPTFEとの間の非相溶性を克服する必要なしに粒子を一体化させる溶融パーフルオロポリマーの能力とのために好ましい。このように、溶融混合は、溶融ブレンドと考えられようと上記のような分散系と考えられようと、既に存在する一次粒子の混合物を本発明の組成物へ変換する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の溶融混合組成物のPTFEおよび溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分は、時々、それらがコア/シェルポリマーとして溶融混合組成物に供給されることに関連して、本明細書で以下に個別に説明される。しかしながら、ポリマー成分のこの説明はまた、別個のソースからの、例えばコア/シェルポリマー(PTFEコア/パーフルオロポリマーシェル)と別々に供給されるパーフルオロポリマーとの組み合わせからの、または別々に供給されるPTFEおよびパーフルオロポリマーからの溶融混合組成物へのこれらのポリマーの供給にも適用される。
【0013】
PTFE成分に関して、PTFEの非溶融流動性はまた、米国特許公報(特許文献2)の比溶融粘度測定手順を参照する、米国特許公報(特許文献3)にさらに記載され、そしてそれに従って測定されるように、30分間の既知の引張応力下でのPTFEの溶融スライバーの伸び率の測定を伴う、時々比溶融粘度と呼ばれる、高い溶融クリープ粘度によって特徴付けることができる。本試験では、該試験手順に従って製造された溶融スライバーは、溶融クリープ粘度の測定が開始される前に、負荷下に30分間維持され、そしてこの測定は次に、加負荷の次の30分中に行われる。PTFEは、全て380℃で、好ましくは少なくとも約1×106Pa・s、より好ましくは少なくとも約1×107Pa・s、最も好ましくは少なくとも約1×108Pa・sの溶融クリープ粘度を有する。この温度は、それぞれ、約343℃および327℃のPTFEの第1および第2溶融温度より十分に上である。PTFEコアの非溶融流動性と、溶融成形可能なパーフルオロポリマーシェルの溶融流動性との間の差は、ASTM(米国材料試験協会)D1238−94aの溶融流量(MFR)試験手順から明らかである。この手順で、MFRは、規定の温度、通常は372℃で規定の負荷下に画定されたオリフィスを通って流れる当該パーフルオロポリマーのg/10分単位での速度によって測定される。本発明に使用されるPTFEは溶融流れを全く持たない(ゼロMFR)。コア/シェルポリマーのコアに存在するPTFEの高い溶融クリープ粘度はまた、PTFEが焼結性である、すなわち、PTFEの、金型によって支持されていない(自立した)成形品をPTFEの融点より上に加熱して、成形品が流れてその形状を失うことなくPTFE粒子を合体させ得ることを意味する。本発明に使用されるPTFEはまた、米国特許公報(特許文献4)およびASTM D4894−94にさらに記載されているように、規定方法で調製されたPTFE検体の空気中の重量対23℃での等容量の水の重量の比である標準比重(SSG)によってもしばしば特徴付けられる。SSGが低ければ低いほど、PTFEの分子量はより高い。ASTM D−4894−94に開示されているような検体調製手順には、試験検体の圧縮成形、金型からの圧縮成形試験検体の取り出し、および380℃での、空気中での検体の焼結、すなわち、自立が含まれる。PTFEの非溶融流動性は、試験検体がその圧縮成形形状および寸法を失うことなく焼結が実施されることを可能にする。
【0014】
PTFEは、それぞれ、懸濁または水性分散重合によって製造された、顆粒タイプまたは微粉タイプであることができる。PTFEはテトラフルオロエチレンのホモポリマーまたはそれとヘキサフルオロプロピレンもしくは好ましくはアルキル基が1〜5個の炭素原子を含有するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)などの、少量のコモノマーとの共重合体であることができ、コモノマーは、TFEホモポリマーと比べて、低下した透過性およびより大きい曲げ寿命のような改善を得るために、TFEの焼結性を向上させる。このタイプのPTFEは時々、改質PTFEと言われる。改質PTFEの例は、米国特許公報(特許文献5)、米国特許公報(特許文献2)、および米国特許公報(特許文献6)に開示されている。簡単にするために、および改質PTFEが同じ非溶融流れ、PTFEホモポリマーの高い溶融クリープ粘度を示すために、このタイプのPTFEは、用語ポリテトラフルオロエチレンまたは本明細書で用いられるPTFEに含められる。
【0015】
本発明で使用される非溶融流動性PTFEは、その低い分子量のために溶融流動性を有するが溶融成形性を持たない、低分子量PTFEと区別されるべきである。ASTM D1238−94aによって測定可能であるMFRを有する、この溶融流動性PTFEは、非常に長いポリマー鎖が形成するのを防ぐ条件下での直接重合によって、または非溶融流動性PTFEの照射分解によって得られる。かかる溶融流動性PTFEは普通はPTFE微粉と呼ばれる。それは、溶融物から成形された物品が極端な脆さのために役に立たないので、溶融成形可能であるとは見なされない。(非溶融流動性PTFEと比べて)その低い分子量のために、それは強度を全く持たない。PTFE微粉の押出フィラメントは非常に脆いので、それは曲げると破壊する。
【0016】
本発明の溶融混合組成物の溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分に関して、パーフルオロポリマーにおいて接頭辞「パー」によって示唆されるように、ポリマーを作り上げる炭素原子に結合した一価原子は全てフッ素原子である。他の原子は、ポリマー末端基、すなわち、ポリマー鎖を終わらせる基に存在してもよい。パーフルオロポリマーはパーフルオロプラスチックであり、パーフルオロエラストマーではない。
【0017】
非溶融流動性PTFEおよび溶融成形可能なパーフルオロポリマーがコア/シェルポリマーとして本発明の溶融混合組成物に供給される場合、PTFEがコアを形成し、パーフルオロポリマーがシェルを形成する。
【0018】
本発明に使用されるパーフルオロポリマーの溶融流量(MFR)は、PTFEの割合、コア/シェルポリマーまたは溶融混合組成物にとって望ましい溶融加工技法、場合によっては、および溶融加工品に望まれる特性に依存して、広範に変わることができる。このように、溶融成形可能なパーフルオロポリマーについてのMFRは、樹脂にとって標準的である温度(例えば、両方ともプラストメーター(Plastometer)(登録商標)での樹脂溶融温度として372℃を規定している、最も一般的な溶融成形可能なパーフルオロポリマーに適用できるASTM D2116−91aおよびASTM D3307−93を参照されたい)で、ASTM D−1238−94aによって、そして米国特許公報(特許文献7)に開示されている詳細な条件に従って測定されるように、約0.1〜500g/10分の範囲にあることができるが、通常は、約0.5〜100g/10分、より好ましくは0.5〜50g/10分として好ましいであろう。一定量の時間にプラストメーター(登録商標)から押し出されるポリマーの量は、ASTM D1238−94aの表2に従ってg/10分の単位で報告される。パーフルオロポリマーがコア/シェルポリマーのシェルとして存在する場合、シェル中のパーフルオロポリマーのMFRは、シェルを形成するために用いられる同じレシピおよび重合条件を用いて、パーフルオロポリマーを単独で、すなわち、コアなしで形成するために使用されるパーフルオロモノマーの重合を実施してMFR測定に使用することができるパーフルオロポリマーを得ることによって測定される。パーフルオロポリマーのMFRが高ければ高いほど、ポリマーがNFPA−255燃焼試験にかけられるときに煙を発生させる傾向がより大きく、従ってかかる試験に不合格になる。PTFEの存在下では、とりわけパーフルオロポリマー連続相中の分散されたサブマイクロメートル−サイズ粒子のような、溶融混合組成物から成形された物品が流れず、従ってドリップして煙発生を引き起こすことがないので、コア/シェルポリマーまたは別々に供給されるPTFEおよびパーフルオロポリマー成分から溶融加工された物品がNFA−255燃焼試験に不合格になることなく、シェルは高い、例えば20g/10分より大きいMFRを有することができる。
【0019】
溶融成形可能なパーフルオロポリマーにとって標準的である温度でASTM D1238−94aによって測定されるときにコア/シェルポリマーが0g/10分のMFRを示す、すなわち、ポリマーの流れが全くないときでさえ、本コア/シェルポリマーは依然として溶融成形可能であることができる。溶融加工に関連したより高い剪断を受けるときに、サブマイクロメートル−サイズ粒子のような、コア/シェルポリマーによっておよび別々に供給されるPTFEとパーフルオロポリマー成分との混合物によって示されるチキソトロピーは、溶融混合および溶融加工が起こることを可能にする。
【0020】
本発明の溶融混合組成物の溶融成形性はまた、溶融加工が実施されることを可能にする、それらの溶融流動性によっても特徴付ることができる。この関連で、これらの組成物は、全て100s-1の剪断速度および約350℃〜400℃の範囲の温度で、好ましくは約5×105Pa・s以下、より好ましくは、約1×105Pa・s以下、最も好ましくは約5×104Pa・s以下の溶融粘度を有する。本明細書に開示される溶融粘度の測定は、特に明記しない限り、(非特許文献1)に開示されているように、ポリマー溶融物に加えられる剪断応力を、ポリマー溶融物に加えられる剪断速度で割ることによる。実際に、同等溶融粘度は、剪断速度および剪断応力を測定するために用いられる流動計に付随するコンピューターからの読み出しによって簡単に得られる。溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独の溶融粘度は、ポリマー混合物について上述の溶融粘度が得られるようなものである。パーフルオロポリマー成分単独での溶融粘度はまた、上述の溶融粘度によって特徴付けることができる。
【0021】
コア/シェルポリマーのポリマーのシェルにまたは別々に供給されるポリマーとして使用することができる溶融成形可能なパーフルオロポリマーの例には、テトラフルオロエチレン(TFE)と、ヘキサフルオロプロピレン(HFP)などの、3〜8個の炭素原子を有するパーフルオロオレフィン、および/または線状もしくは分岐アルキル基が1〜5個の炭素原子を含有するパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)(PAVE)のような、1つまたは複数の重合性パーフッ素化コモノマーとの共重合体が挙げられる。好ましいPAVEモノマーには、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)(PMVE)、パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)、パーフルオロ(ブチルビニルエーテル)(PBVE)が含まれる。製造業者によって時々MFAと呼ばれる、TFE/パーフルオロ(メチルビニルエーテル)/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体などの共重合体は、幾つかのPAVEモノマーを使用して製造することができる。好ましいパーフルオロポリマーは、HFP含有率が約5〜17重量%であるTFE/HFP共重合体、より好ましくはHFP含有率が約5〜17重量%であり、そしてPAVE、好ましくはPEVE含有率が約0.2〜4重量%であり、共重合体について計100重量%までの残りがTFEである、PEVEまたはPPVEなどのTFE/HFP/PAVEである。第3コモノマーが存在してもしなくても、TFE/HFP共重合体は普通FEPとして知られる。PFAとして一般に知られるTFE/PAVE共重合体は、PAVEがPPVEまたはPEVEであるときをはじめとして、少なくとも約2重量%PAVEを有し、典型的には約2〜15重量%PAVEを含有するであろう。PAVEがPMVEを含むとき、組成物は約0.5〜13重量%パーフルオロ(メチルビニルエーテル)および約0.5〜3重量%PPVEであり、計100重量%までの残りがTFEであり、そして上述のように、MFAと言われてもよい。PTFEの高い溶融クリープ粘度と比べてこれらの共重合体の低い溶融粘度は、その溶融成形性のためにパーフルオロポリマー組成物に溶融流動性を提供し、パーフルオロポリマー組成物それ自体は、パーフルオロポリマーから溶融成形された物品の実用性に必要とされる強度を提供する。溶融粘度およびMFRによって特徴付けることができる溶融成形可能なパーフルオロポリマーと溶融クリープ粘度およびSSGによって特徴付けることができる非溶融流動性PTFEとの間の溶融流れ差は大きい。溶融成形可能なパーフルオロポリマーは、溶融クリープ粘度によってもSSGによっても特徴付けることができない。溶融クリープ粘度試験で、溶融パーフルオロポリマーのスライバーは380℃で負荷下の30分初期加熱中に溶融し、流れ、そして壊れ、その結果、第2の30分の加熱中に溶融クリープ測定のために残っているスラーバーは全くない。SSG試験で、検体(ポリマー)は380℃加熱(非溶融流動性PTFEについては焼結)中に溶融し、そして流れ、SSG測定のための検体の完全性を損なう。勿論、本発明に使用されるPTFEの非溶融流動性は、溶融クリープ粘度およびSSG測定がかかるPTFEに関して行われることを可能にする。
【0022】
コア/シェルポリマーのおよび溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独のパーフルオロポリマーコモノマー含有率は、米国特許公報(特許文献8)に開示されている手順に従って、その中に開示されている特定のフルオロモノマー(HFPおよびPPVE)についてコア/シェルポリマー粒子から製造された圧縮成形フィルムに関する赤外分析法によって測定される。他のフルオロモノマーについての分析手順は、かかる他のフルオロモノマーを含有するポリマーに関する文献に開示されている。例えば、PEVEについての赤外分析法は、米国特許公報(特許文献9)に開示されている。パーフルオロポリマーシェル組成物は、パーフルオロポリマーを単独で製造するための共重合から予測可能である組成を有するようにされる。しかしながら、本発明に使用されるコア/シェルポリマーのパーフルオロポリマー組成は、全体コア/シェルポリマーに関して測定される。シェルの組成は、PTFEコアを製造するために消費されたTFEの重量を差し引くことによって計算される。コア/シェルポリマーのTFE以外のパーフルオロモノマー含有率は好ましくは、コア/シェルポリマー中ではTFEとパーフルオロモノマーとの総重量を基準として少なくとも1.5重量%であるが、シェル中では高濃度である。溶融混合組成物のパーフルオロポリマー含有率は、パーフルオロポリマーが別々に、すなわち、コア/シェルポリマーとしてではなく組成物に供給されるときには、組成物を形成するために使用されるPTFEとパーフルオロポリマー成分とを合わせた重量を基準とした、溶融混合組成物を形成するために使用されるパーフルオロポリマー成分の重量%である。
【0023】
ポリマーの非溶融流動性PTFEコアと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーシェルとの組み合わせは、同様に溶融成形可能なであるコア/シェルポリマーをもたらす。非溶融流動性PTFEコアの存在は、パーフルオロポリマーシェルのMFRと比べて全体ポリマーのMFRを下げるかもしれず、かつ、MFRをASTM D1238−94aによって測定できないようにさえするかもしれないが、溶融状態で十分な剪断を受けるときにポリマーによって示されるチキソトロピーは、得られた溶融ブレンドが溶融成形されることを可能にする。この効果は、コア/シェル組成物の全範囲に及ぶ。少なくとも約0.1重量%のPTFEコアがチキソトロピー効果を感知できる前に必要とされる。PTFEコアの最大量は好ましくは、コア/シェルポリマーが押出または射出成形で起こるなど、溶融混合されるときにコアが分散相であることを可能にする当該量以下である。コア/シェルポリマーについて観察されるチキソトロピー現象はまた、コア/シェルポリマーから得られるチキソトロピーが別々に供給されるポリマーから誘導される溶融混合組成物についてよりも大きいことを除いて、PTFおよびパーフルオロポリマー成分がサブマイクロメートル−サイズ粒子として別々に供給される溶融混合組成物についても存在する。いずれにしても、粘度の好ましい減少は、剪断速度が約10s-1から約100s-1に増加されるときに、パーフルオロポリマー単独についての粘度減少より少なくとも約100%、より好ましくは少なくとも約500%大きい。これらの剪断速度は、それらを測定するために用いられる流動計の操作制限のために、「約」の観点で表現される。流動計は、その選択が方程式:剪断速度(γ)=4Q/πr3における半径rを与える、流動計オリフィスおよび様々なオリフィスサイズを通り抜けた溶融ポリマーの体積流量(Q)を提供する可変速度ピストンを含む。特定の流動計で、ピストン速度およびオリフィスサイズを、10s-1および100s-1の正確な剪断速度が得られるように調節することは困難であるかもしれない。実施例で用いられる剪断速度は11.9s-1および101s-1であった。典型的には、流動計は、剪断速度が10s-1±3s-1および100s-1±5s-1であるように操作することができる。絶対的には、本発明のコア/シェルポリマーによる溶融粘度の好ましい減少は、上に規定された剪断速度で少なくとも約200Pa・s、より好ましくは少なくとも約400Pa・sである。
【0024】
本発明によって発見されたチキソトロピーの利点は、本発明の溶融混合組成物が溶融ドローダウン押出によって溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独より速い速度で押し出されることを可能にする100s-1より高い剪断速度にまで及ぶ。あるいはまた、溶融ドローダウン押出で形成される溶融コーンは、例えば、FEP絶縁通信ケーブル、特に建物のプレナムに使用されるかかるケーブル上の外被として適用される、押出物の肉厚の同心度を向上させるために、80〜100:1という通常のドローダウン比(DDR)より低いDDRを有することができる。DDRは、管状ダイ開口部の断面積対押出物、例えば、今しがた記載されたプレナムケーブル外被の最終形状およびサイズの断面積の比である。
【0025】
上記の組成範囲内で、物理的特性の様々な改善が存在する。好ましくは、非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレン含有率は、非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレンと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として約4〜50重量%である。PTFE重量%が組成物のPTFEとパーフルオロポリマー成分とを合わせた重量を基準として2重量%から増加するにつれて、伸びおよび/または引張強度は増加し、分散されたコア粒子によるパーフルオロポリマー連続相の強化を示唆する。この強化は、はるかにより多い量のPTFE、例えば20重量%までのPTFE、より好ましくは30重量%までのPTFE、最も好ましくは少なくとも40重量%までのPTFEにまで及び、4重量%PTFEコアが好ましい最小値であり、全てのパーセントはPTFEとパーフルオロポリマー成分とを合わせた重量を基準としている。あるいはまた、パーフルオロポリマー組成かそのMFRかのどちらかを調節して、意図される特定の実用性のための適切な物理的特性を依然として保持しながら、高生産速度溶融成形か複雑成形造形品の製造かのどちらかのために溶融流れを最適化することができる。例えば、本発明の溶融混合組成物の破断点伸びは、PTFEとパーフルオロポリマー成分とを合わせた重量を基準として、少なくとも約30重量%までのPTFE、好ましくは少なくとも約40重量%のPTFEを含有する組成物の場合は好ましくは少なくとも約200%である。本組成物の前述の特徴付けは、コア/シェルポリマーが典型的には、増加する剪断と共に溶融粘度の減少と破断点伸びおよび引張強度のような物理的特性との観点から最良の結果を提供する事実にもかかわらず、ポリマー成分を組成物に供給するために使用されるときコア/シェルポリマーに、そして別々に供給されるときこれらの成分に適用される。
【0026】
コア/シェルポリマーまたは別々に供給されるPTFEおよびパーフルオロポリマー成分を溶融ブレンドする方法はまた、有利な特性結果、例えば、剪断速度がキャピラリー流動計法によって約10s-1から約100s-1に増加されれるときに溶融粘度の少なくとも約10%、少なくとも約100%、または少なくとも約500%減少によって特徴付けられるチキソトロピーを溶融ブレンドが示すことによって説明することができる。あるいはまたこのチキソトロピーと組み合わせて、コア/シェルポリマーからかそれとも別々に供給されるポリマーからかの、溶融混合組成物は好ましくは少なくとも約200%の破断点伸びを示し、コア/シェルポリマーの少なくとも30重量%までがPTFEであり、より好ましくは組成物の少なくとも40重量%がPTFEである。実施例50は、約75重量%PTFEを含有する組成物について200%より大きい伸びを開示する。得られた溶融ブレンドおよびそれから成形された物品はまた、PTFEが溶融成形可能なパーフルオロポリマーの連続相にサブマイクロメートル−サイス粒子として分散されている、上記の構造を有することができる。
【0027】
本発明に有用なコア/シェルポリマーは水性分散重合によって製造することができる。一実施形態では、非溶融流動性PTFEコアは、シェル溶融成形可能なパーフルオロポリマーを形成する重合とは別である重合で製造され、このコアは、溶融成形可能なパーフルオロポリマーシェルをコア上へ形成するパーフルオロモノマーの重合をシードするために用いられる。別の実施形態では、コアはその場で形成され、それにシェルをコアの上に形成するための重合が続く。この実施形態では、非溶融流動性PTFEコアはTFEの重合によって形成される。次に、重合反応器へのTFE(および開始剤)フィードが停止される。重合反応はそれ自体完了させられ、そしてシェルポリマーを形成するための共重合への移行は、使用中の共重合システムに依存するであろう。例えば、反応器に残るTFEはPTFE重合によって消費されるか、ガス抜きされるかのどちらかが可能であり得るし、いずれにしても、シェルポリマーのための共重合システムが次に構築される。あるいはまた、シェルポリマーのための共重合システムは、反応器中のTFE濃度を一定に維持しながら構築される。次に、シェルを形成するための共重合が開始される。反応器への追加TFEと一緒でのコモノマーの添加はコモノマーに依存するであろう。コモノマーがHFPであるとき、総量が典型的には共重合反応の開始時に加えられるであろう。コモノマーがPAVEであるとき、それはまた共重合反応の開始時に加えられてもよいし、または共重合反応へのTFEフィードと共に反応器に共フィードされてもよい。水性媒体のかき混ぜおよび開始剤添加は、PTFEコアの早過ぎる凝固を回避するために初期装入のコモノマーが反応器にフィードされたときに停止されてもよい。シェルを形成するための共重合は、望ましいシェルポリマーの相対的な量およびコア/シェルポリマーの粒径を得るために実施される。
【0028】
コア/シェルポリマーは好ましくは、先ずその場でコアを形成し、それにシェルを形成するための共重合が続くことによって形成される。これは、コアとシェルとの間の化学結合によって、シェルとコアとのより良好な統合を提供し、ここで、シェル共重合体は他の溶融成形可能なパーフルオロポリマー(他のコア/シェルポリマー粒子からの、または独立して供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーからの)との相溶化剤として働き、ブレンドのマトリックスが形成されること、および物理的特性を損なうであろう乱れをマトリックス内に引き起こすことなくPTFEコア粒子が溶融混合時に分散されるようになることを可能にする。
【0029】
シード重合によるか、それとも懸濁もしくは水性分散重合またはその場による、非溶融流動性PTFEコアを形成するための重合は、非溶融流動性PTFEを形成するための従来の重合である。シェルを形成するための重合もまた、従来の水性分散重合である。両重合に使用される開始剤の例には、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ビス(パーフルオロアルカンカルボン酸)ペルオキシド、アゾ化合物、過マンガン酸塩シュウ酸システム、およびジコハク酸ペルオキシドが挙げられる。水性分散重合に使用される分散剤の例には、パーフルオロオクタン酸アンモニウムおよびアンモニウム塩などのパーフルオロアルキルエタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0030】
当該技術で公知のような典型的な水性分散重合法は、水性媒体を撹拌オートクレーブにプレ装入する工程と、脱酸素する工程と、TFEで所定レベルに加圧する工程と、必要ならば改質コモノマーを加える工程と、かき混ぜる工程と、システムを所望の温度、例えば、60℃〜100℃にする工程と、開始剤を導入する工程と、所定の基準に従ってより多くのTFEを加える工程と、温度を調節する工程とを含む。同じまたは異なる速度での開始剤添加は、バッチの全体にわたってまたはバッチの一部についてのみ続いてもよい。レシピと装置によって固定されない操作パラメーターとは、温度が重合の全体にわたっておおよそ一定に維持されるように普通は選択される。この同じ一般手順が、重合温度とTFEおよび他のパーフルオロモノマーの添加順序とが追加のパーフルオロモノマーのアイデンティティに依存するであろうことを除いて、パーフルオロモノマーを重合させて溶融成形可能なパーフルオロポリマーを製造するためにフォローされる。溶融成形可能なパーフルオロポリマーを製造するための一般手順の例は、米国特許公報(特許文献9)(FEP)および米国特許公報(特許文献10)(PFA)に開示されている。コアを製造するための重合とシェルを製造するための重合との間の移行は、本明細書で実施例に示されるように変えることができる。移行のタイミングは、コア・シェルポリマーに望ましいPTFEコアの重量割合を得るためにセットされる。重量%コアは、コアの重合で消費されたTFEの重量を、シェルの重合で消費されたパーフルオロモノマー、例えばTFEプラスHFPまたはパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の重量と比較することによって求めることができる。
【0031】
コア/シェルポリマーまたは別々に重合させられたPTFEもしくは溶融成形可能なパーフルオロポリマーの粒径は、重合反応が完了するまでポリマー粒子が水性媒体中に分散されたままであるほど十分に小さく、反応完了時に分散したコア/シェルポリマー粒子は、重合中に加えられるかき混ぜからの増加したかき混ぜのような従来方法によってまたは電解質の添加によって意図的に凝固させることができる。あるいはまた、凝固は、米国特許公報(特許文献11)(モーガン(Morgan))に開示されているなどの凍結/解凍法によって行うことができる。
【0032】
典型的には、実施例でRDPS(未加工分散粒径)と言われる、重合したままの平均ポリマー粒径(直径)は、ASTM D4464のレーザー光散乱法によって測定されるように1マイクロメートル未満(サブマイクロメートル−サイズ)であろう。好ましくは、平均ポリマー粒径は約0.5マイクロメートル未満、より好ましくは約0.3マイクロメートル未満、さらにより好ましくは約0.25マイクロメートル未満、最も好ましくは約0.2マイクロメートル未満である。これらの粒径は、PTFE、溶融成形可能なパーフルオロポリマーの粒子に、および本発明の組成物を形成するために使用されるコア/シェルポリマーに適用される。平均コア/シェルポリマー粒径が小さければ小さいほど、ポリマー粒子の水性分散系はより安定であり、重合を停止し、そして凝固を実施する前に重合がより高いポリマー固形分含有率まで実施されることを可能にする。コア/シェルポリマーのコアの平均粒径は、コア/シェルポリマーの外径サイズおよび所望のコアの重量割合と共に変わり、いずれにしても、コア/シェルポリマー粒子の粒径より小さいであろう。このように、コア/シェルポリマー粒子は平均してサブマイクロメートル−サイズであるので、その結果コア粒子は、コア/シェルポリマー粒子が溶融混合されて溶融成形可能なパーフルオロポリマーの連続相をその中にコアPTFE粒子が分散された状態で形成するときにサブマイクロメートル−サイズであろう。同様に、前掲のコア/シェルポリマー平均粒径のそれぞれについて、コア粒子はより小さいであろう。このように、約0.3マイクロメートル未満の平均コア/シェルポリマー粒径については、その中のコアの平均粒径もまた、約0.3マイクロメートル未満であろう。溶融ブレンドへ組み入れられるコア/シェルポリマー中のコアの粒径は、PTFEの非溶融流動性のために、溶融ブレンドおよび溶融ブレンドから溶融成形された物品中のPTFE粒子のサイズであると理解される。
【0033】
上記の重合したままのコア/シェルポリマー粒径は、ポリマーの一次粒子(サイズ)である。コア/シェル一次粒子の水性分散系の凝固とPTFE粒子および溶融成形可能なパーフルオロポリマーの粒子の混合された別々に製造された水性分散系の共凝固とは、これらの粒子を一緒に塊にならせ、そして乾燥すると凝固の方法に依存するが、米国特許公報(特許文献12)に開示されている乾燥−篩分析によって測定されるように、少なくとも約300マイクロメートルの平均粒径を有する微粉にならせる。一次粒子の凝集塊および従って微粉の粒子はしばしば二次粒子と言われる。
【0034】
このように、本発明に使用されるコア/シェルポリマー粒子または別々に供給されるPTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分とは、一次粒子のようなおよび二次粒子のような、幾つかの形態で提供することができる。これらの粒子が溶融混合される(ブレンドされる)とき、コア/シェルポリマーと、溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分とは、場合によっては、その微粒子形態を失って、とりわけ、コアまたはPTFE一次粒子が分散相になり、そして溶融成形可能なパーフルオロポリマーが連続相になる、2つのポリマーのブレンドになる。押出または射出成形中に起こるなどの、溶融混合は、溶融成形法の一部であることができる。典型的には、溶融ブレンドは、最終品への溶融成形のために後で使用することができる成形ペレットとして押し出されるであろう。本発明に有用なコア/シェルポリマーは、水性分散重合によって製造することができる。一実施形態では、非溶融流動性PTFEコアは、シェル溶融成形可能なパーフルオロポリマーを形成する重合とは別である重合で製造され、このコアは、溶融成形可能なパーフルオロポリマーシェルをコア上へ形成するパーフルオロモノマーの重合をシードするために用いられる。別の実施形態では、コアはその場で形成され、それにコアの上にシェルを形成するための重合が続く。この実施形態では、非溶融流動性PTFEコアはTFEの重合によって形成される。次に、重合反応器へのTFE(および開始剤)フィードが停止される。重合反応はそれ自体完了させられ、そしてシェルポリマーを形成するための共重合への移行は、使用中の共重合システムに依存するであろう。例えば、反応器に残るTFEはPTFE重合によって消費されるか、ガス抜きされるかのどちらかが可能であり得るし、いずれにしても、シェルポリマーのための共重合システムが次に構築される。あるいはまた、シェルポリマーのための共重合システムは、反応器中のTFE濃度を一定に維持しながら構築される。次に、シェルを形成するための共重合が開始される。反応器への追加TFEと一緒でのコモノマーの添加はコモノマーに依存するであろう。コモノマーがHFPであるとき、総量が典型的には共重合反応の開始時に加えられるであろう。コモノマーがPAVEであるとき、それはまた共重合反応の開始時に加えられてもよいし、または共重合反応へのTFEフィードと一緒に反応器に共フィードされてもよい。水性媒体のかき混ぜおよび開始剤添加は、PTFEコアの早過ぎる凝固を回避するためにコモノマーの初期装入が反応器にフィードされたときに停止されてもよい。シェルを形成するための共重合は、望ましいシェルポリマーの相対的な量およびコア/シェルポリマーの粒径を得るために実施される。
【0035】
コア/シェルポリマーは好ましくは、先ずその場でコアを形成し、それにシェルを形成するための共重合が続くことによって形成される。これは、コアとシェルとの間の化学結合によって、シェルとコアとのより良好な統合を提供し、ここで、シェル共重合体は他の溶融成形可能なパーフルオロポリマー(他のコア/シェルポリマー粒子からの、または独立して供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーからの)との相溶化剤として働き、ブレンドのマトリックスが形成されること、および物理的特性を損なうであろう乱れをマトリックス内に引き起こすことなくPTFEコア粒子が溶融混合時に分散されるようになることを可能にする。
【0036】
シード重合によるか、それとも懸濁もしくは水性分散重合またはその場による、非溶融流動性PTFEコアを形成するための重合は、非溶融流動性PTFEを形成するための従来の重合である。シェルを形成するための重合もまた従来の水性分散重合である。両重合に使用される開始剤の例には、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、ビス(パーフルオロアルカンカルボン酸)ペルオキシド、アゾ化合物、過マンガン酸塩シュウ酸システム、およびジコハク酸ペルオキシドが挙げられる。水性分散重合に使用される分散剤の例には、パーフルオロオクタン酸アンモニウムおよびアンモニウム塩などのパーフルオロアルキルエタンスルホン酸塩が挙げられる。
【0037】
当該技術で公知のような典型的な水性分散重合法は、水性媒体を撹拌オートクレーブにプレ装入する工程と、脱酸素する工程と、TFEで所定レベルに加圧する工程と、必要ならば改質コモノマーを加える工程と、かき混ぜる工程と、システムを所望の温度、例えば、60℃〜100℃にする工程と、開始剤を導入する工程と、所定の基準に従ってより多くのTFEを加える工程と、温度を調節する工程とを含む。同じまたは異なる速度での開始剤添加は、バッチの全体にわたってまたはバッチの一部についてのみ続いてもよい。レシピおよび装置によって固定されない操作パラメーターは普通に、温度が重合の全体にわたっておおよそ一定に維持されるように選択される。この同じ一般手順は、重合温度とTFEおよび他のパーフルオロモノマーの添加順序とが追加のパーフルオロモノマーのアイデンティティに依存するであろうことを除いて、パーフルオロモノマーを重合させて溶融成形可能なパーフルオロポリマーを製造するためにフォローされる。溶融成形可能なパーフルオロポリマーを製造するための一般手順の例は、米国特許公報(特許文献9)(FEP)および米国特許公報(特許文献10)(PFA)に開示されている。コアを製造するための重合とシェルを製造するための重合との間の移行は、本明細書で実施例に示されるように変えることができる。移行のタイミングは、コア・シェルポリマーに望ましいPTFEコアの重量割合を得るためにセットされる。重量%コアは、コアの重合で消費されたTFEの重量を、シェルの重合で消費されたパーフルオロモノマー、例えばTFEプラスHFPまたはパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)の重量と比較することによって求めることができる。
【0038】
コア/シェルポリマーの粒径は、重合反応が完了するまでポリマー粒子が水性媒体中に分散されたままであるほど十分に小さく、重合反応完了時に分散したコア/シェルポリマー粒子は、重合中に加えられたかき混ぜから増加したかき混ぜのような従来方法によってまたは電解質の添加によって意図的に凝固させることができる。あるいはまた、凝固は、米国特許公報(特許文献11)(モーガン)に開示されているような凍結/解凍法によって行うことができる。
【0039】
典型的には、実施例でRDPS(未加工分散粒径)と言われる、重合したままの平均コア/シェルポリマー粒径(直径)は、ASTM D4464のレーザー光散乱法によって測定されるように1マイクロメートル未満(サブマイクロメートル−サイズ)であろう。好ましくは、平均ポリマー粒径は約0.5マイクロメートル未満、より好ましくは約0.3マイクロメートル未満、さらにより好ましくは約0.25マイクロメートル未満、最も好ましくは約0.2マイクロメートル未満である。これらの粒径は、PTFEの粒子、溶融成形可能なパーフルオロポリマーに、および本発明の組成物を形成するために使用されるコア/シェルポリマーに適用される。平均コア/シェルポリマー粒径が小さければ小さいほど、ポリマー粒子の水性分散系はより安定であり、重合を停止し、そして凝固を実施する前に重合がより高いポリマー固形分含有率まで実施されることを可能にする。コア/シェルポリマーのコアの平均粒径は、コア/シェルポリマーの外径サイズおよび所望のコアの重量割合と共に変わり、いずれにしても、コア/シェルポリマー粒子の粒径より小さいであろう。このように、コア/シェルポリマー粒子は平均してサブマイクロメートルであるので、その結果コア粒子は、コア/シェルポリマー粒子が溶融混合されて溶融成形可能なパーフルオロポリマーの連続相をその中にコアPTFE粒子が分散された状態で形成するときにサブマイクロメートル−サイズであろう。同様に、前掲のコア/シェルポリマー平均粒径のそれぞれについて、コア粒子はより小さいであろう。このように、約0.3マイクロメートル未満の平均コア/シェルポリマー粒径については、その中のコアの平均粒径もまた、約0.3マイクロメートル未満であろう。溶融ブレンドへ組み入れられるコア/シェルポリマー中のコアの粒径は、PTFEの非溶融流動性のために、溶融ブレンドおよび溶融ブレンドから溶融加工された物品中のPTFE粒子のサイズであると理解される。
【0040】
上記の重合したままのコア/シェルポリマー粒径は、ポリマーの一次粒子(サイズ)である。コア/シェル一次粒子の水性分散系の凝固と、PTFE粒子および溶融成形可能なパーフルオロポリマーの粒子の混合された別々に製造された水性分散系の共凝固とは、これらの粒子を一緒に塊にならせ、そして乾燥すると凝固の方法に依存するが、米国特許公報(特許文献12)に開示されている乾燥−篩分析によって測定されるように、少なくとも約300マイクロメートルの平均粒径を有する微粉になるようにさせる。一次粒子の凝集塊および従って微粉の粒子はしばしば二次粒子と言われる。
【0041】
このように、本発明に使用されるコア/シェルポリマー粒子または別々に供給されるPTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分とは、一次粒子のようなおよび二次粒子のような、幾つかの形態で提供することができる。これらの粒子が溶融混合される(ブレンドされる)とき、コア/シェルポリマーと、溶融成形可能なパーフルオロポリマー成分とは、場合によっては、その微粒子形態を失って、とりわけ、コアまたはPTFE一次粒子が分散相になり、そして溶融成形可能なパーフルオロポリマーが連続相になる、2つのポリマーのブレンドになる。押出または射出成形中に起こるような、溶融混合は、溶融加工法の一部であることができる。典型的には、溶融ブレンドは、最終品への溶融加工のために後で使用することができる成形ペレットとして押し出されるであろう。全てのこれらの溶融混合形態で、溶融混合組成物の分散/連続相構造が溶融混合物の溶融加工性によって示唆さえるように存在する。溶融混合を含む溶融ブレンドまたは溶融加工法は典型的には、第1溶融については約343℃、その後の溶融については約327℃であり、かつ、溶融成形可能なパーフルオロポリマーの溶融温度より上である、ポリテトラフルオロエチレンの溶融温度より上の温度で実施される。このように、溶融混合温度は典型的には少なくとも約350℃であろう。
【0042】
本溶融混合組成物の全てのこれらの溶融混合形態、分散/連続相構造が溶融混合物の溶融加工性によって示唆されるように存在する。溶融混合を含む溶融ブレンドまたは溶融加工法は典型的には、第1溶融については約343℃、その後の溶融については約327℃であり、かつ、溶融成形可能なパーフルオロポリマーの溶融温度より上である、ポリテトラフルオロエチレンの溶融温度より上の温度で実施される。このように、溶融混合温度は典型的には少なくとも約350℃であろう。
【0043】
本発明に有用なコア/シェルポリマーは、コンセントレート、すなわち、別々に供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独での希釈のための比較的高いPTFE含有率の、コンセントレートとして製造することができる。別々に供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーは、コア/シェルポリマーによって供給されないパーフルオロポリマーである。サブマイクロメートル−サイズPTFE粒子もまた別々に供給することができる。得られた溶融ブレンドは、コア/シェルポリマーのシェルからの溶融成形可能なパーフルオロポリマーを、別々に供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーと溶融混合させて、それらが非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレンの分散粒子のための連続相を一緒に形成するときに区別できないようにならせる。好ましくは、追加の(独立して供給される)溶融成形可能なパーフルオロポリマーでのコア/シェルポリマーの希釈は、各ポリマーの水性分散系の混合、引き続く混合分散系の共凝固を含み、各分散系からのポリマーの一次粒子相互の均質混合をもたらす。これは、溶融混合を伴う溶融加工での溶融ブレンドの粘度に、および本ブレンドから成形された物品の物理的特性に最良の全体結果を提供する。混合分散系の共凝固は、コア/シェルポリマーと別々に供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーとの両一次粒子を含有する凝集塊の形成をもたらす。これらの一次粒子および凝集塊(乾燥させられたとき微粉)の粒径は、コア/シェルポリマーおよびその凝集塊に関して単独で上に開示されたものと同じものである。独立して供給される溶融成形可能なパーフルオロポリマーは、コア/シェルポリマーのシェルのパーフルオロポリマーと相溶性であるべきである。相溶性とは、溶融成形可能なパーフルオロポリマーが上記のような連続相を形成する際に溶融混合および冷却で区別できなくなることを意味する。好ましくは、シェルの溶融成形可能なパーフルオロポリマーと独立して供給されるパーフルオロポリマーとを作り上げるモノマーは同じものであるか同族列にあるかのどちらかである。シェルポリマーと独立して供給されるパーフルオロポリマーとは、パーフルオロポリマーを単独で製造することと比べてシェルポリマーを製造する重合法の小さな差から起こるようにたとえ同じパーフルオロモノマーの濃度の小さい差および/またはMFRの差があるかもしれなくても同じものであると考えられる。これは、ブレンドの連続相を形成するための溶融混合から生じるシェル・パーフルオロポリマーと独立して供給されるパーフルオロポリマーとの区別不可能性を提供する。最も普通の溶融成形可能なパーフルオロポリマー、FEPおよびPFAは、互いに非相溶性であり、その一つの証は、冷却された溶融ブレンドの拡大された凍結(すなわち、非溶融)断面が偏光下に見られるときに各パーフルオロポリマーの領域の存在を明らかにすることである。
【0044】
コア/シェルポリマーがコンセントレートである、この実施形態では、コア/シェルポリマーは単独で溶融成形可能なであることができる。あるいはまた、コア/シェルポリマーは、高いPTFEコア含有率のためにほとんどない〜全くない溶融加工性を有することができる。この実施形態では、コア/シェルポリマーと、別個の溶融成形可能なパーフルオロポリマーとのブレンドの溶融加工性は、後者によって可能にされ、コア/シェルポリマーのシェルからの溶融成形可能なパーフルオロポリマーと単独で供給されるパーフルオロポリマーとの組み合わせは、溶融混合ブレンドの連続相を提供する。
【0045】
コア/シェルポリマーがコンセントレートである実施形態では、コア/シェルポリマーと独立して供給されるパーフルオロポリマーとの割合は、溶融ブレンド組み合わせで上記のコア/シェル組成物のいずれかを提供するように選ばれる。
【0046】
非溶融流動性PTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとが別々に供給されて溶融混合組成物を形成する実施形態では、これらの成分のそれぞれは好ましくは、当該技術で周知の重合法による水性分散重合によって製造される。コアの一面へのシェル重合がこの実施形態で用いられないことを除いて、上記の重合条件および原料を用いることができる。このように、非溶融流動性PTFEの水性分散系と、溶融成形可能なパーフルオロポリマーの水性分散系とが得られるであろう。各分散系では、ポリマー粒子はサブマイクロメートル−サイズであろう。コア/シェルポリマーについて上に記載されたコア/シェルポリマー粒径およびそれの測定は、これらの水性分散系のそれぞれに適用される。これらの分散系は混合され、その結果は、得られた水性分散系中の各ポリマーの一次粒子の混合物である。コア/シェルポリマーについて上に記載されたような、この分散系混合物の共凝固は、それぞれが各ポリマーの一次粒子を含有する、凝集塊を形成する。同じことは、典型的に少なくとも約300マイクロメートルの平均粒径を有する微粉を形成するために凝集塊を乾燥させた後にも当てはまる。コア/シェルポリマーのケースでのような、本発明の組成物を形成するためのこの微粉の溶融混合は、溶融混合工程のための出発原料として各ポリマーの一次粒子の混合物を提供する。溶融混合プロセスでの剪断速度の条件は、各ポリマー成分の一次粒子の混合物が溶融混合前に既に構築されてしまっているので、決定的に重要であるわけではない。高い剪断速度は高い生産性と関連するので、溶融混合のために用いられる剪断速度は好ましくは高い、例えば少なくとも約75s-1であろう。
【実施例】
【0047】
(試験手順)
実施例で報告される溶融クリープ粘度、標準比重(SSG)、溶融流量(MFR)、コア/シェルポリマー組成、および平均コア/シェルポリマー粒径(RDPS)の測定手順は、本明細書で早期に開示されている。溶融粘度の測定もまた本明細書で早期に開示されている。実施例で開示されるコア/シェルポリマーおよび別個の溶融成形可能なパーフルオロポリマーの全ては、350℃および101s-1の剪断速度で約5×104Pa・s未満の溶融粘度を示した。
【0048】
実施例で記載される溶融ブレンドのチキソトロピーは、流動計でのポリマーの溶融温度が350℃であるASTM D3835−02のキャピラリー流動計法によって測定される。この方法は、所望の剪断速度を得るためのコントロールされた力でのケイネス(Kayeness)(登録商標)キャピラリー流動計のバレルを通しての溶融ポリマーの押出を含む。結果は、溶融ポリマーに関する剪断速度を11.9s-1から101s-1に増加させる際の溶融粘度変化(減少)、Pa・s単位でのΔηとして実施例で報告される。流動計を用いる溶融粘度の測定は、本明細書で先に議論されてきた。溶融粘度は、2つの剪断速度で測定され、粘度差は、101s-1での溶融粘度を11.9s-1での溶融粘度から差し引くことによって求められる。
【0049】
本明細書で先に開示された破断点伸びおよび引張強度パラメーターと実施例で報告される値とは、60ミル(1.5mm)厚さの圧縮成形プラークから打ち抜かれた、15mm幅×38mm長さのおよび5mmのウェブ厚さを有するダンベル形状の試験検体に関してASTM D638−03の手順によって得られる。
【0050】
MIT曲げ寿命の測定手順は、特に明記しない限り、8ミル(0.21mm)厚さの圧縮成形フィルムを使用するASTM D2176に開示されている。
【0051】
これらの試験に使用されるプラークおよびフィルムの圧縮成形を350℃の温度で20,000ポンド(9070kg)の力下に微粉に関して実施して6×6インチ(15.2×15.2cm)圧縮成形体を製造した。さらに詳細には、60ミル厚さのプラークを製造するために、微粉を55ミル(1.4mm)厚さであるチェースにオーバーフロー量で加えた。チェースは6×6インチ・サンプルサイズを画定する。圧縮成形プレスの圧盤にくっつくことを回避するために、チェースおよび微粉填材をアルミ箔の2シートの間に挟む。プレス圧盤を350℃に加熱する。このサンドイッチを先ず、約200ポンド(91kg)で5分間プレスして微粉を溶融させ、それを合体させ、引き続き10000ポンド(4535kg)で2分間、続いて20000ポンド(9070kg)で2分間プレスし、それにプレス力の解除、チェースおよびアルミ箔のシートからの圧縮成形体の取り出し、ならびに反りを回避するための重り下で空気中での冷却が続いた。MIT試験に使用されるフィルムは、チェースが8ミル(0.21mm)厚さであり、そして4×4インチ(10.2cm×10.2cm)正方形空洞を画定したことを除いては同じ手順を用いた。MIT試験に使用されるフィルムサンプルは、圧縮成形フィルムからカットされた1/2インチ(1.27cm)ストリップであった。微粉へ凝固し、乾燥したコア/シェルポリマーの圧縮成形は、シェル・パーフルオロポリマーの連続マトリックス中のPTFEコアの分散系を生成する。圧縮成形は試験検体に強度を与えるために必要である。粉末が、コーティングの融解をシミュレートするための、圧縮成形の温度で加熱することによって単に合体させられた場合、得られた合体品はほとんど強度を持たないであろう。
【0052】
実施例は、コア/シェルポリマーから、追加のパーフルオロポリマーによる希釈のためのコンセントレートとして使用されるコア・シェルポリマーから、および別々に供給されるポリマーから出発した、非溶融流動性PTFEと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとの溶融ブレンドの形成を開示する。これらの溶融ブレンドの特性は、それから得られた溶融加工品に適用できる、すなわち、それに持ち込まれる。
【0053】
(比較例A)
本比較例は、FEPがシェルであるコア/シェルポリマーを製造する実施例との比較のための典型的な高機能FEPを単独で形成するための重合を示す。
【0054】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、圧力が444psig(3.1MPa)になるまでHFPを反応器にゆっくり加えた。92ミリリットルの液体PEVEを反応器へ注入した。次にTFEを反応器に加えて645psig(4.52MPa)の最終圧力を達成した。次に、1.04重量%の過硫酸アンモニウム(APS)と0.94重量%過硫酸カリウム(KPS)とを含有する40mLの新たに調製した水性開始剤溶液を反応器へ装入した。次に、この同じ開始剤溶液を重合の残りの間10mL/分で反応器へポンピングした。反応器圧力の10psig(70kPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを、計24.5ポンド(11.1kg)のTFEをキックオフ後に反応器に加えてしまうまで24.5ポンド(11.1kg)/125分の速度で反応器に加えた。さらに、液体PEVEを反応の継続期間の間1.0mL/分の速度で加えた。全反応時間は重合の開始後125分であった。反応期間の終わりに、TFEフィード、PEVEフィード、および開始剤フィードを停止し、かき混ぜを維持しながら反応器を冷却した。反応器内容物の温度が90℃に達したとき、反応器をゆっくりガス抜きした。ほぼ大気圧へガス抜きした後、反応器を窒素でパージして残存モノマーを除去した。さらに冷却するとすぐに、分散系を70℃より下で反応器から排出させた。本分散系の固形分含有率は36.81重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.167μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。TFE/HFP/PEVE三元重合体(FEP)は、37.4g/10分の溶融流量(MFR)、10.5重量%のHFP含有率、1.26重量%のPEVE含有率、および260℃の融点を有した。この材料について、粘度変化(減少)、Δηは101Pa・sである。FEPは、それぞれ、2971psi(20.8MPa)および310%の引張強度および破断点伸びを示した。
【0055】
(実施例1)
シェルポリマーがFEPであり、そしてコア対シェルの割合が広く変わるときのコア/シェルポリマーを本実施例で製造する。約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(70kPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.7g)/分で10分間加えた。2ポンド(907g)のTFEを重合開始後にフィードした後、TFEフィードを停止し、次に、開始剤を依然としてフィードしながら反応器内容物を10分間かき混ぜた。かき混ぜ機および開始剤ポンプを停止し、次に1280mLのHFPを反応器に加えた。かき混ぜを再開させ、同じ溶液を10mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器圧力をTFEで600psi(4.1MPa)に上げた。PEVEの92mLのアリコートを反応器に加え、次に1mL/分PEVEおよび0.2ポンド(90.87g)/分TFEを反応の残りの間中ずっと加えた。追加の20ポンド(9070g)のTFEを反応させた後、PEVE注入を停止した。バッチについて計24ポンド(10.9kg)に向けて、もう2ポンド(907g)のTFEをフィードし、次に比較例Aと同様の方法でバッチを終わらせた。得られたTFE/HFP/PEVE共重合体の分散系の固形分含有率は35.8重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.246μmであった。ポリマーを比較例Aと同様の方法で仕上げた。このコア/シェルポリマーの組成およびその特性の詳細は、表1に実施例1として提示する。
【0056】
(実施例2〜6)
実施例2〜6は、重合の各段階中にフィードされるTFEの相対的な量を変えることによってコアとシェルとの割合を変更して、実施例1と同様の方法で製造した。詳細を下の表1に与える。
【0057】
【表1】

【0058】
重合のそれぞれを、33.8〜35.8重量%の固形分含有率および194〜261nm(0.194〜0.261マイクロメートル)の範囲のポリマー粒子のRDPSへと実施した。典型的なFEP単独(比較例A)についての101Pa・sの溶融粘度の減少と比べて、本発明のコア/シェルポリマーは、最大減少が試験された最低のコア含有率で起こって、増加する剪断と共にはるかにより大きい溶融粘度減少を示す。このチキソトロピーは、非常に低いMFRを示すコア/シェルポリマーが溶融加工法で加えられるより高い剪断を受けるときに、溶融加工されることを可能にする。物理的特性に関して、コア/シェルポリマーの引張強度および破断点伸びは、約30重量%までのPTFEコア含有率でFEP単独についてより良好であり、有用な引張強度および破断点伸びは、約40重量%のコア含有率を超えるコア含有率について存在する。最適のチキソトロピーと物理的特性との最良の組み合わせは、シェル中のパーフルオロポリマーがFEPであるとき約4〜20重量%PTFEコアの範囲で生じる。表1でコア/シェルポリマーについて示される低い〜ゼロMFRは、該コア/シェルポリマーから溶融加工された物品の実用性に役立つ。かかる物品(コア/シェルポリマーを溶融混合することによって得られるパーフルオロポリマー連続相中のPTFEコアの分散系)は、ビル火災でなど高熱に曝されるときに無発煙に留まるために流れおよびドリッピングに抵抗するであろう。
【0059】
(比較例B)
本比較例は、PTFEが非溶融流動性であることを検証するべく、TFEを重合させて上の実施例1〜6のコア/シェルポリマーで、および後に続く実施例で非溶融流動性PTFEを製造するために用いられる本質的に同じ条件下でのPTFE単独の重合を示す。
【0060】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と、330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液と、本願特許出願人から入手可能な、1.0gのクリトックス(Krytox)(登録商標)157FSLとを装入した。クリトックス(登録商標)157FSLは、米国特許公報(特許文献13)の表1にさらに記載されているようなパーフルオロポリエーテルカルボン酸である。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器へ注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で7.5分間加えた。1.5ポンド(681g)のTFEを重合開始後にフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、反応器をガス抜きした。反応器の内容物を、排出させる前に80℃に冷却した。本分散系の固形分含有率は4.78重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.089μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。米国特許公報(特許文献4)に記載された方法に従って測定される、生じたPTFEホモポリマーの標準比重(SSG)は2.200であると測定された。結果は、コア/シェルポリマーのコアが、それが測定可能なSSGを有するので非溶融流動性PTFEであることを実証する。PTFEはまた、380℃で108Pa・sより大きい溶融クリープ粘度およびゼロMFRを示す。
【0061】
(実施例7〜11)
これらの実施例は、全体コア/シェルポリマーについておよびシェルFEPについて、おおよそ同じコア含有率のならびに様々なHFPおよびPEVE含有率のコア/シェルポリマーを示す。
【0062】
PTFE分散系を、表3に示されるように使用されるクリトックス(登録商標)157FSLの量を変えて、比較例Bの方法で重合させた。しかしながら、反応容器をガス抜きするよりもむしろ、TFEフィードを停止し、次に、開始剤フィードを続けながら反応器の内容物を10分間撹拌した。10分後に、開始剤フィードを停止し、次に反応器圧力をHFPで444psig(3.1MPa)に上げた。PEVEの92mLアリコートを注入し、次にTFEを650psig(4.6MPa)の圧力まで反応器に加えた。バッチの残りの間、1.04重量%APSと0.94重量%KPSとの開始剤溶液を、PEVEを1.0mL/分で加えながら、10mL/分の速度で加えた。TFEを0.2ポンド(90.7g)/分で97.5分間加えた。追加の19.5ポンド(8845g)のTFEを加えた後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、かき混ぜを維持しながら反応器を冷却した。反応器内容物の温度が90℃に達したとき、反応器をゆっくりガス抜きした。ほぼ大気圧へガス抜きした後、反応器を窒素でパージして残存モノマーを除去した。さらに冷却するとすぐに、分散系を70℃より下で反応器から排出させた。凝固後に、ポリマーを、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。これらのポリマーの特性を表2に示す。
【0063】
【表2】

【0064】
表2に示される重合を36.2〜38.7重量%ポリマー固形分の固形分濃度まで実施し、コア/シェルポリマーの平均RDPSは76〜191nmであった。表2に示されるように、コア/シェルポリマーの物理的特性だけでなくMFRおよび溶融粘度を両方とも、同じTFE、HFPおよびPEVEコモノマーを使用して、シェル組成物を変化させることによって変えることができる。
【0065】
(実施例12〜14)
これらの実施例は、重合で重合開始剤濃度を上げてMFRをさらに上げるようにFEPシェルを形成する効果を示す。
【0066】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と、330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液と、5.0gのクリトックス(登録商標)157FSLとを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器へ注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で10分間加えた。1.5ポンド(681g)のTFEを重合開始後にフィードした後、TFEフィードを停止し、次に、開始剤を依然としてフィードしながら反応器内容物を10分間かき混ぜた。かき混ぜ機および開始剤ポンプを停止し、次に反応器の圧力をHFPで444psig(3.1MPa)に上げた。かき混ぜを再開させ、表3に示されるような溶液を10mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器圧力をTFEで650psi(4.55MPa)に上げた。PEVEの92mLのアリコートを反応器に加え、次に1mL/分PEVEおよび0.2ポンド(90.7g)/分TFEを反応の残りの間中ずっと加えた。追加の19.5ポンド(8845g)のTFEを加えた後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、かき混ぜを維持しながら反応器を冷却した。反応器内容物の温度が90℃に達したとき、反応器をゆっくりガス抜きした。ほぼ大気圧へガス抜きした後、反応器を窒素でパージして残存モノマーを除去した。さらに冷却するとすぐに、分散系を70℃より下で反応器から排出させた。凝固後に、ポリマーを、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。これらのポリマーの特性を表3に示す。
【0067】
【表3】

【0068】
この表に示される重合は、水性分散重合媒体について38.2〜39.3重量%のポリマー固形分含有率、および142〜230nmの平均RDPSを生成した。
【0069】
(実施例15〜19)
これらの実施例は、コア/シェルポリマーのMFRを変えるために、唯一の開始剤として過硫酸アンモニウムを使用し、そしてほとんど一定のコア含有率で開始剤濃度を変えたコア/シェルポリマーの製造を示す。
【0070】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と、330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液と、5.0gのクリトックス(登録商標)157FSLとを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.834重量%APSからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器へ注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で10分間加えた。1.5ポンド(681g)のTFEを重合開始後にフィードした後、TFEフィードを停止し、次に、開始剤と依然としてフィードしながら反応器内容物を10分間かき混ぜた。開始剤ポンプを停止し、次に反応器の圧力をHFPで444psig(3.1MPa)に上げた。表4に示されるような溶液を10mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器圧力をTFEで650psi(4.55MPa)に上げた。PEVEの92mLのアリコートを反応器に加え、次に1mL/分PEVEおよび0.2ポンド(90.8g)/分TFEを反応の残りの間中ずっと加えた。追加の19.5ポンド(8853g)のTFEを加えた後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、かき混ぜを維持しながら反応器を冷却した。反応器内容物の温度が90℃に達したとき、反応器をゆっくりガス抜きした。ほぼ大気圧へガス抜きした後、反応器を窒素でパージして残存モノマーを除去した。さらに冷却するとすぐに、分散系を70℃より下で反応器から排出させた。凝固後に、ポリマーを、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。これらのポリマーの特性を表4に示す。
【0071】
【表4】

【0072】
表4の実施例について実施された重合は、30.9〜39.5重量%の範囲のポリマー固形分含有率および100〜184nmの平均RDPSをもたらした。
【0073】
(比較例C)
本比較例は、本質的に同じPFAを含有するコア/シェルポリマーと比較するために典型的な高機能PFAを単独で製造するための共重合を示す。
【0074】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、54ポンド(24.5kg)の脱塩水と240mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを50rpmでかき混ぜながら、反応器を3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。圧力が8インチHg(3.93psig、2.71×10-2MPa)になるまでエタンを反応器に加え、次に200mLのパーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)を加えた。反応器温度を次に75℃に上げた。温度が75℃で定常になった後、TFEを反応器に加えて300psig(2.07MPa)の最終圧力を達成した。0.2重量%の過硫酸アンモニウム(APS)を含有する新たに調製した水性開始剤溶液の400mLのアリコートを反応器に装入した。この同じ開始剤溶液を、バッチの残りの間5mL/分で反応器へポンピングした。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように、重合が始まった後、追加のTFEを、計20ポンド(9080g)のTFEをキックオフ後に加えるまで0.167ポンド/分(75.6g/分)の速度で反応器に加えた。PEVEをバッチの継続期間、120分の間2.0mL/分で加えた。反応期間の終わりに、TFE、PEVE、および開始剤フィードを停止し、反応容器をガス抜きした。本分散系の固形分含有率は29.7重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.172μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。このPEVE/TFE共重合体は、29.0g/10分の溶融流量(MFR)、3.01重量%のPEVE含有率、302℃の融点、および2463サイクルのMIT曲げ寿命を有した。粘度変化は111Pa・sであった。本共重合体はまた、3027psi(21.2MPa)の引張強度および349%の破断点伸びを示した。
【0075】
(実施例20)
本実施例は、シェルが比較例Cと本質的に同じPFAであるコア/シェルポリマーの製造を示す。
【0076】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、54ポンド(24.5kg)の脱塩水と240mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを50rpmでかき混ぜながら、反応器を3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に75℃に上げた。温度が75℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を300psig(2.1MPa)に上げた。水中0.2重量%APSからなる400ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を5.0mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で5分間加えた。重合開始後に1ポンド(454g)のTFEをフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、次に反応器をゆっくりガス抜きした。かき混ぜを停止した後、反応器蒸気空間を排気した。かき混ぜを50rpmで再開させ、次に内容物を25℃に冷却した。かき混ぜ機を再び停止し、次に反応器中の圧力をエタンで8インチHg(3.93psig、2.71×10-2MPa)に上げた。エタンの添加後に、かき混ぜ機を50rpmで再開させ、反応器の内容物を75℃に暖めた。パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)の200mLアリコートを加え、次に反応器中の圧力をTFE(1.72MPa)で250psig(1.75MPa)に上げた。反応の継続期間の間、PEVEを2mL/分で加え、同じ溶液を5mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器中のTFEの圧力を、0.167ポンドTFE/分(75.7g/分)の反応速度を維持するために連続的に調節した。19ポンド(8618g)TFEが114分で反応した後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、次に反応器をガス抜きすることによって反応を終わらせた。本分散系の固形分含有率は26.3重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.192μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。このコア/シェルポリマーは、8.6g/10分の溶融流量(MFR)、2.99重量%のPEVE含有率、301℃および324℃の融点、ならびに5384サイクルのMIT曲げ寿命を有した。本共重合体はまた、3414psi(23.5MPa)の引張強度および392%の破断点伸びを示した。PTFEコア含有率は4.9重量%であり、Δηは2051Pa・sであった。これらの結果を表5に含める。これらの結果によれば、本コア/シェルポリマーは、PFA単独でのほとんど20倍の溶融粘度減少ならびに改善された引張強度および破断点伸びを示す。
【0077】
(実施例21〜24)
実施例21〜24を実施例20に記載されたように製造した。コアポリマー対シェルポリマーの比を、重合の第1段階で消費されるTFEおよび重合の第2段階で消費されるTFEの比を変えることによって変更した。実施例20〜24についての具体的な詳細を下の表5に与える。
【0078】
【表5】

【0079】
表5に示される重合を、18.4〜28.5重量%のポリマー固形分含有率および184〜192nmの平均RDPSへと実施した。表5の結果は、コア/シェルポリマー組成物の全体範囲にわたって溶融粘度の大きな減少と同様に全体範囲にわたって改善された引張強度および伸びとを示す。少なくとも約150%の増加から2000%より大きい増加までの範囲の、MIT曲げ寿命の増加もまた驚くべきである。好ましくは、シェルがPFAであるコア/シェルポリマーは、PFA単独でと比べて少なくとも200%のMIT曲げ寿命の増加を示す。
【0080】
PTFE/FEPコア・シェルポリマーはまた、4〜40重量%PTFEコアの範囲の端から端まで同じFEP単独で(1100サイクル)と比べて有利なMIT曲げ寿命を示した、すなわち、PTFE/FEPコア・シェルポリマーのMIT曲げ寿命は10重量%PTFEコアおよびそれより上ではほぼ同じものであったが、より低いPTFE含有率では、実質的な改善が存在することが分かった。例えば、7重量%PTFEコアで、MIT曲げ寿命は17000サイクルであった。
【0081】
(比較例D)
本比較例は、コア/シェルポリマーとの比較のための異なる典型的なPFA単独の製造を示す。
【0082】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、54ポンド(24.5kg)の脱塩水と、5.0gのクリトックス(登録商標)157FSL(本願特許出願人から入手可能な)と、240mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを50rpmでかき混ぜながら、反応器を3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。圧力が8インチHg(3.93psig、2.71×10-2MPa)になるまでエタンを反応器に加え、次に200mLのパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)を加えた。反応器温度を次に75℃に上げた。温度が75℃で定常になった後、TFEを反応器に加えて250psig(1.75MPa)の最終圧力を達成した。0.2重量%の過硫酸アンモニウム(APS)を含有する新たに調製した水性開始剤溶液の400mLのアリコートを反応器に装入した。この同じ開始剤溶液を、バッチの残りの間5mL/分で反応器へポンピングした。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように、重合が始まった後、追加のTFEを、計20ポンド(9080g)のTFEをキックオフ後に加えるまで0.167ポンド/分(75.6g/分)の速度で反応器に加えた。PPVEをバッチの継続期間、120分の間2.0mL/分で加えた。反応期間の終わりに、TFE、PPVE、および開始剤フィードを停止し、反応容器をガス抜きした。反応器圧力が5psig(0.035MPa)に達したとき、反応器を窒素で掃引し、次に、分散系を反応器から排出させる前に反応器内容物を50℃に冷却した。本分散系の固形分含有率は28.9重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.130μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。TFE/PPVE共重合体は、8.2g/10分の溶融流量(MFR)、3.66重量%のPPVE含有率、232および328℃の融点、ならびに78583サイクルのMIT曲げ寿命を有した。本PFAの引張強度は3502psi(24.5MPa)であり、破断点伸びは292%であった。粘度変化は2658Pa・sであった。
【0083】
(実施例25)
本実施例は、シェルポリマーが比較例Dと本質的に同じものであるコア/シェルポリマーの製造を示す。
【0084】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、54ポンド(24.5kg)の脱塩水と、5gのクリトックス(登録商標)157FSLと、240mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを50rpmでかき混ぜながら、反応器を3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に75℃に上げた。温度が75℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を300psig(2.1MPa)に上げた。水中0.2重量%APSからなる400ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を5.0mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で5分間加えた。重合開始後4ポンド(1816g)のTFEをフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、次に反応器をゆっくりガス抜きした。かき混ぜを停止した後、反応器蒸気空間を排気した。かき混ぜを50rpmで再開させ、次に内容物を25℃に冷却した。かき混ぜ機を再び停止し、次に反応器中の圧力をエタンで8インチHg(3.93psig、2.71×10-2MPa)に上げた。エタンの添加後に、かき混ぜ機を50rpmで再開させ、反応器の内容物を75℃に暖めた。パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)の200mLアリコートを加え、次に反応器中の圧力をTFEで250psig(1.75MPa)に上げた。反応の継続期間の間、PPVEを2mL/分で加え、同じ溶液を5mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器中のTFEの圧力を、0.167ポンドTFE/分(75.7g/分)の反応速度を維持するために連続的に調節した。19ポンド(8618g)TFEが96分で反応した後、TFE、開始剤、およびPPVEフィードを停止し、次に反応器をガス抜きすることによって反応を終わらせた。本分散系の固形分含有率は29.3重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.105μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。このコア/シェルポリマーは、検出できる溶融流量(MFR)を全く持たず(0g/10分)、3.42重量%のPPVE含有率、306℃および326℃の融点、ならびに72502サイクルのMIT曲げ寿命を有した。本コア・シェルポリマーはまた、4097psi(28.7MPa)の引張強度および370%の破断点伸びを示した。PTFEコア含有率は19.3重量%であり、Δηは19568Pa・sであった。これらの結果を表6に含める。
【0085】
(実施例26〜45)
実施例26〜45を実施例25に記載されたように製造した。コアポリマー対シェルポリマーの比を、重合の第1および第2段階で消費されるTFEの比を変えることによって変更した。さらに、ポリマー中のPPVE含有率を、重合中に加えられる速度だけでなく、反応器にプレ装入されたPPVEの量を両方とも変えることによって体系的に変化させた。具体的な詳細を下の表6に与える。
【0086】
【表6】

【0087】
【表7】

【0088】
実施例45のコア/シェルポリマーが重合を16.9重量%の固形分含有率に制限する250nmの平均RDPSを有したことを除いて、表6の重合を、29.3〜31.3重量%のポリマー固形分含有率、および95〜145nmの平均RDPSへと実施した。実施例25〜35については、重合にフィードされたPPVEの量は、PTFEコア含有率が増加するにつれて、全体コア/シェルポリマーのPPVE含有率が減少するという結果で、一定に留まった。実施例36〜45については、全体コア/シェルポリマーのPPVE含有率を一定におおよそ保つために、シェルの重合へのPPVEフィードを、PTFEコア含有率が増加するにつれて増加させた。これは、PTFEコア含有率が増加するにつれて、シェルについてのPPVE含有率の増加をもたらした。表6に報告される結果は、実施例25〜35のコア/シェルポリマーの幾つかが実施例36〜45の相当するコア/シェルポリマーより良好な物理的特性か溶融粘度減少かのどちらかまたは両方を示すが、他のコア/シェルポリマーについては、実施例36〜45での相当するものがより良好であることを示す。シェルの重合でのTFEと共にコモノマーの量の調節が、コア/シェルポリマーの溶融および物理的特性を調節するための別の方法である。表6に報告される結果はまた、PTFEコア含有率の全体範囲にわたってPFA単独について得られる溶融粘度減少より200%超大きい溶融粘度減少を示す。本コア/シェルポリマーについての引張強度および破断点伸びはまた、本コア/シェルポリマーのために優れていた。
【0089】
実施例20〜45は、増加する剪断と共に減少する溶融粘度ならびに高い引張強度および高い破断点伸びの1つまたは複数の有利な特性を示す、PTFEコア含有率が約4〜約50重量%の範囲である、PFAシェルについてのコア/シェルポリマー組成物を示す。
【0090】
(実施例46)
本実施例は、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独とブレンドされる、コンセントレートとしての本発明のコア/シェルポリマーの使用を示す。
【0091】
実施例33の方法で重合させた38.4重量%PTFEコアを含有するコア/シェルPFAを、凍結によって凝固させ、リンスし、150℃で一晩乾燥させた。150グラムのこの粉末を、比較例Dの方法で製造した標準PFAの150gのペレット(約3.5mm直径×約3.5mm長さ)とドライブレンドした。この標準PFAは、13.5g/10分のMFRおよび4.3重量%のPPVE含有率を有した。生じたブレンドを、350℃に予熱された、そしてローラーブレードを備えた350cm3容量ハーケ・レオミックス(Haake Rheomix)(登録商標)バッチ式強力ミキサーのミキシングボウルに導入した。混合物を50rpmで5分間ブレンドして2成分の完全な溶融および混合を達成した。生じたブレンドは、2900psi(20.3MPa)の引張強度を有し、破断点伸びは316%であり、溶融流量は0g/10分であり、MIT曲げ寿命は32,562サイクルである。このブレンドの粘度減少は26,875Pa・sである。これらの結果と実施例29との比較は、ブレンドの引張強度および伸びの両方が、コア/シェルポリマーで専らできたブレンドから減少したことを示すが、チキソトロピー(溶融粘度の減少)がはるかに大きかったことを示す。
【0092】
(実施例47)
本実施例は、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独とブレンドされる、コンセントレートとしての本発明のコア/シェルFEPポリマーの使用を示す。
【0093】
38.6重量%PTFEコアを含有するコア/シェルFEPを実施例7の方法で重合させ、仕上げた。50グラムのこの粉末を比較例Aの方法で標準FEP(実施例46のペレットと同じ寸法)の250gのペレットとドライブレンドした。この標準FEPは、30g/10分のMFR、10.4重量%のHFP含有率、および1.2重量%のPEVE含有率を有した。生じたブレンドを、350℃に予熱された、ローラーブレードを備えた350cm3容量ハーケ・レオミックス(登録商標)バッチ式強力ミキサーのミキシングボウルに導入した。混合物を50rpmで5分間ブレンドして2成分の完全な溶融および混合を達成した。生じたブレンドは、3087psi(21.6MPa)の引張強度を有し、破断点伸びは311%であり、溶融流量は14.9g/10分であり、MIT曲げ寿命は2459サイクルである。このブレンドの粘度減少は、物理的特性の犠牲なしに、比較例AのFEP単独についてよりはるかに大きい、1086Pa・sである。
【0094】
(比較例E)
本比較例は、押出によるPTFE微粉とFEP粉末との溶融ブレンドでのPTFE/FEP組成物の調製を示す。
【0095】
7重量%PTFE微粉と比較例Aの方法で重合させた残りの圧縮FEP粉末とからなるドライブレンドを混転によって調製した。凝集PTFE微粉は、475マイクロメートルの平均粒径、2.175の標準比重(SSG)、および0.45重量%のHFP含有率を有した。圧縮FEP粉末は、おおよそ6mmの平均凝集体サイズ(直径)(ペレットまたは粉末)、30のMFR、10.2重量%のHFP含有率、および1.2重量%のPEVE含有率を有した。生じた粉末ブレンドを、350℃および217rpmで動作する28mm二軸スクリュー押出機に25ポンド/時(11.4kg/時)の速度でフィードした。多目的スクリュー形状を用いた。28mm二軸スクリュー押出機からの溶融アウトプットを、一般計量供給スクリューを備えた1.5インチ単軸スクリュー押出機に直接ポンピングした。単軸スクリュー押出機は350℃および22.1rpmで動作した。生じたストランドを冷水のトラフ中で急冷し、次に約3mm(長さ)ペレットへカットした。このブレンドは、たったの1070psi(7.5MPa)の引張強度を有し、破断点伸びは126%であり、MFRは3.59g/10分である。これらの結果と実施例11のそれらとの比較は、後者がはるかにより良好な物理的特性(22.6MPaの引張強度および323%の伸び)を示すことを明らかにし、溶融ブレンド法でサブマイクロメートル−サイズのコア/シェルポリマー粒子からスタートすることによって得られた、FEPの連続相中のサブマイクロメートル−サイズPTFE粒子の分散系の重要性を示唆する。
【0096】
(比較例F)
本比較例は、押出によるPTFE微粉とFEPペレットとの溶融ブレンドでのPTFE/FEP組成物の調製を示す。
【0097】
7重量%PTFE微粉と計100重量%への残りの比較例Aの方法で重合させたFEPペレットとからなるドライブレンドを混転によって調製した。凝集PTFE微粉は、475マイクロメートルの平均粒径、2.175の標準比重(SSG)、および0.45重量%のHFP含有率を有した。偏球FEPペレットは、直径がおおよそ3.5mmであり、30.5g/10分のMFR、10.2重量%のHFP含有率、および1.2重量%のPEVE含有率を有する。生じたブレンドを、350℃および217rpmで動作する28mm二軸スクリュー押出機に20ポンド/時(9080g/時)の速度でフィードした。多目的スクリュー形状を用いた。28mm二軸スクリュー押出機からの溶融アウトプットを、一般計量供給スクリューを備えた1.5インチ(3.8cm)単軸スクリュー押出機に直接ポンピングした。単軸スクリュー押出機は350℃および22.1rpmで動作した。生じたストランドを冷水のトラフ中で急冷し、次に約3mmペレットへカットした。このブレンドは、1121psi(7.8MPa)の引張強度、172%の破断点伸び、15.1g/10分のMFR、および2924サイクルのMIT曲げ寿命を有した。このブレンドの粘度変化は674Pa・sである。比較例Eと同様に、これらの特性は、実施例11のそれらより大きく劣っている。
【0098】
(比較例G)
本比較例は、押出によるPTFE微粉とPFAペレットとの溶融ブレンドでのPTFE/PFA組成物の調製を示す。
【0099】
20重量%PTFE微粉と残りの比較例Dの方法で重合させたPFAペレットとからなるドライブレンドを混転によって調製した。凝集PTFE微粉は、475マイクロメートルの平均粒径、2.175の標準比重(SSG)、および0.45重量%のHFP含有率を有した。これらの標準PFAペレットは、直径がおおよそ3.5mmの偏球であり、13.5g/10分のMFR、および4.3重量%のPPVE含有率を有した。生じたブレンドを、350℃および210rpmで動作する28mm二軸スクリュー押出機に25ポンド/時(11.4kg/時)の速度でフィードした。多目的スクリュー形状を用いた。28mm二軸スクリュー押出機からの溶融アウトプットを、一般計量供給スクリューを備えた1.5インチ(3.8cm)単軸スクリュー押出機に直接ポンピングした。単軸スクリュー押出機は350℃および21.5rpmで動作した。生じたストランドを冷水のトラフ中で急冷し、次に約3mmペレットへカットした。このブレンドは、1121psi(7.8MPa)の引張強度、172%の破断点伸び、および4.1g/10分のMFRを有する。これらの特性は、28.7MPaの引張強度および370%の伸びを示したコア/シェル組成カウンターパート、実施例25のそれらより大きく劣っている。
【0100】
(実施例48)
本実施例は、FEP水性分散系と超高分子量PTFE水性分散系とのブレンドを記載する。ポリマーC(非溶融流動性PTFE)。FEPは比較例Aによって製造したものである。PTFE水性分散系は下記のように製造した。
【0101】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、19.5kgの脱塩水と、600gのパラフィンワックスと、60mLのパーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤(C−8)の20重量%溶液と、10mLの2重量%シュウ酸溶液と、1グラムのコハク酸とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を65℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に80℃に上げた。温度が80℃で定常になった後、圧力が2.75MPaになるまでTFEを反応器にゆっくり加えた。次に、水中0.015%KMnO4と0.007%リン酸アンモニウムとを含有する245mLの新たに調製した水性開始剤溶液を80mL/分の速度で反応器に加えた。次に、同じ開始剤溶液を5mL/分で反応器へポンピングした。TFEを、圧力を2.75MPaに維持するのに十分な速度で加えた。7.0kgのTFEをTFEでの最初の加圧後に加えた後、開始剤溶液添加を停止した。開始剤添加の停止までの重合時間は57分であった。計12.6kgのTFEを最初の加圧後に加えた後、TFEおよびC−8溶液フィードを停止し、ポリケトルをガス抜きした。最初の開始剤注入の開始からTFEフィードの終了までで測定される反応の長さは183分であった。内容物をポリケトルから排出させ、上澄ワックスを除去した。未加工分散系の固形分含有率は39.3重量%であり、RDPSは289nmであった。分散系の一部を11重量%固形分に希釈し、激しいかき混ぜ条件下に炭酸アンモニウムの存在下に凝固させた。凝固した分散系(微粉)を液体から分離し、150℃で3日間乾燥させた。PTFE樹脂は2.159のSSGおよび測定の上限である、380℃で少なくとも1×1011Pa・sの溶融クリープ粘度を有した。
【0102】
比較例Aの水性分散系と先行段落で製造したPTFEとを、5〜10rpmの速度で10分間転がすことによって混合し、乾燥固形分基準で7重量%PTFEおよび93重量%FEPであるブレンドをもたらした。ポリマーブレンドを、凍結させ、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。生じたブレンドは、0g/10分の溶融流量および6434Pa・sの粘度変化(減少)、Δηを有した。本ブレンドはまた、それぞれ、2676psi(18.45MPa)および219%の引張強度および破断点伸びを示した。
【0103】
(実施例49)
本実施例は、比較例AのFEP水性分散系(FEP)と次の段落に記載されるように製造した小粒子高分子量(非溶融流動性)PTFEとのブレンドを記載する。
【0104】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で7.5分間加えた。重合開始後1.5ポンド(681g)のTFEをフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、反応器をガス抜きした。反応器の内容物を、排出させる前に80℃に冷却した。本分散系の固形分含有率は4.81重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.138μmであった。分散系の一部を凝固させ、次に凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。生じたPTFEホモポリマーの標準比重(SSG)は2.217であった。結果は、それが測定可能なSSGを有するのでコアが非溶融流動性PTFEであることを実証する。PTFEはまた、380℃で108Pa・sより大きい溶融クリープ粘度を示した。
【0105】
比較例AのFEPの水性分散系と先行段落で製造したPTFEとを、5〜10rpmの速度で10分間転がすことによって混合し、乾燥固形分基準で7重量%PTFEおよび93重量%FEPであるブレンドをもたらした。ポリマーブレンドを、凍結させ、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。生じたブレンドは、14.8g/10分の溶融流量を有し、756Pa・sの粘度変化(減少)、Δηを示した。本ブレンドは、それぞれ、2997psi(20.66MPa)および306%の引張強度および破断点伸びを示した。
【0106】
(実施例50)
本実施例は、比較例DのPFA分散系と次の段落で製造するような、HFP改質剤を含有する、高分子量PTFEとのブレンドを記載する。約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、19.5kgの脱塩水と、709グラムのパラフィンワックスと、3.13mLのパーフルオロオクタン酸アンモニウム分散剤(C−8)の20重量%溶液と、98mLの水中FeCl2・4H2Oの0.1重量%溶液と、101mLの水中CuCl2・2H2Oの0.1重量%溶液とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を65℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に91℃に上げた。温度が91℃で定常になった後、520mLの水中ジスクシニルペルオキシドの2重量%溶液をできるだけ迅速に注入した。次に、TFEを使用して反応器の圧力を350psigに上げる前に29.5mLのヘキサフルオロプロピレン(HFP)を注入した。反応器圧力の15psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように、重合が始まった後、追加のTFEを0.3ポンド/分(0.14kg/分)の速度で反応器に加え、反応器およびその内容物の温度を93℃に上げた。1.5ポンド(0.68kg)のTFEが反応した後、パーフルオロオクタン酸アンモニウムの2重量%水溶液を、反応の残りの間40mL/分の速度で加えた。29.6ポンド(13.4kg)のTFEが消費された後、TFEおよびC−8溶液フィートを停止することによって反応を終わらせ、反応器圧力が175psig(1.20MPa)に達するまで、反応器の内容物に反応することを続行させた。TFEがフィードされていた時間として測定される反応の長さはおおよそ31分であった。内容物をポリケトルから排出させ、上澄ワックスを除去した。未加工分散系の固形分含有率は42.3重量%であり、RDPSは205nmであった。分散系の一部を11重量%固形分に希釈し、激しいかき混ぜ条件下に炭酸アンモニウムの存在下に凝固させた。凝固した分散系(微粉)を液体から分離し、150℃で3日間乾燥させた。PTFE樹脂は2.186のSSG、380℃で4×109Pa・sの溶融クリープ粘度、および0.45重量%のHFP含有率を有する。
【0107】
比較例DのPFAの水性分散系と先行段落に従って製造したPTFEとを、5〜10rpmの速度で10分間転がすことによって混合し、乾燥固形分基準で、20重量%PFAおよび80重量%の先行段落に従って製造したPTFEであるブレンドをもたらした。ポリマーブレンドを、凍結させ、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。生じたブレンドは、1.0g/10分の溶融流量を有し、14805Pa・sの粘度変化(減少)、Δηを示した。本ブレンドは、それぞれ、3242psi(22.35MPa)および311%の引張強度および破断点伸びを示した。
【0108】
(実施例51)
本実施例は、比較例DのPFA分散系と次の段落に記載されるように製造した重合したままの微小粒子PTFE(非溶融流動性PTFE)とのブレンドを記載する。
【0109】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と、330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液と、本願特許出願人から入手可能な、5.0gのクリトックス(登録商標)157FSLとを装入した。クリトックス(登録商標)157FSLは、米国特許公報(特許文献13)の表1にさらに記載されているようなパーフルオロポリエーテルカルボン酸である。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.8g)/分で7.5分間加えた。重合開始後1.5ポンド(681g)のTFEをフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、反応器をガス抜きした。反応器の内容物を、排出させる前に80℃に冷却した。本分散系の固形分含有率は4.8重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.008μmであった。ポリマーの一部を凝固させ、凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。生じたPTFEホモポリマーの標準比重(SSG)は2.121であった。PTFEはまた、380℃で108Pa・sより大きい溶融クリープ粘度を示した。
【0110】
比較例DのPFAの水性分散系と先行段落に従って製造したPTFEとを、5〜10rpmの速度で10分間転がすことによって混合し、乾燥固形分基準で20重量%の先行段落に従って製造したPTFEおよび80重量%PFAであるブレンドをもたらした。ポリマーブレンドを、凍結させ、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。生じたブレンドは、2.0g/10分の溶融流量を有し、4797Pa・sの粘度変化(減少)、Δηを示した。本ブレンドは、それぞれ、3693psi(25.46MPa)および419%の引張強度および破断点伸びを示した。
【0111】
(実施例52)
本実施例は、非常に少量の非溶融流動性PTFEを含有するコア/シェルポリマーの製造を示す。
【0112】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、50ポンド(22.7kg)の脱塩水と、5.0gのクリトックス(登録商標)157FSL(本願特許出願人から入手可能な)と、330mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを46rpmでかき混ぜながら、反応器を60℃に加熱し、3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に103℃に上げた。温度が103℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を250psig(1.75MPa)に上げた。水中1.04重量%APSと0.94重量%KPSとからなる50ミリリットルの開始溶液を反応器に注入し、次にこの同じ開始剤を0.5mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(70kPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、追加のTFEを0.2ポンド(90.7g)/分でおおよそ1分間加えた。重合開始後0.21ポンド(95.3g)のTFEをフィードした後、TFEフィードを停止し、次に、開始剤を依然としてフィードしながら反応器内容物を10分間かき混ぜた。かき混ぜ機および開始剤ポンプを停止し、次にポリケトルの圧力をHFPで444psigに上げた。かき混ぜ機を再スタートさせ、同じ溶液を10mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器圧力をTFEで650psi(4.5MPa)に上げた。PEVEの92mLのアリコートを反応器に加え、次に1mL/分PEVEおよび0.2ポンド(90.87g)/分TFEを反応の残りの間中ずっと加えた。追加の20.79ポンド(9430g)のTFEを反応させた後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、かき混ぜを維持しながら反応器を冷却した。反応器内容物の温度が90℃に達したとき、反応器をゆっくりガス抜きした。ほぼ大気圧へガス抜きした後、反応器を窒素でパージして残存モノマーを除去した。さらに冷却するとすぐに、分散系を70℃より下で反応器から排出させた。凝固後に、ポリマーを、濾過し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させることによって単離した。このポリマーを、13モル%水を含有する湿った空気中260℃で1.5時間加熱することによって安定化させた。得られたTFE/HFP/PEVE共重合体の分散系の固形分含有率は39.1重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.113μmであった。このコア/シェルポリマーのPTFEコア含有率は0.87重量%であり、HFP含有率はシェル中12.2重量%であり、PEVE含有率はシェル中1.06重量%であり、計100重量%への残りはTFEであった。この材料は3650psi(25.2MPa)の引張強度、370%の破断点伸び、14.8g/10分の溶融流量、および比較例AのFEPについてよりはるかに大きい713Pa・sの粘度減少、Δηを有した。0.1重量%PTFEコアでの粘度変化は、FEP単独についてより約2倍大きいと推定される。
【0113】
(実施例53〜60)
これらの実施例は、コアが非溶融流動性PTFEであり、そしてシェルが比較例Cの溶融加工可能PFAであるコア/シェルポリマーであって、コア含有率が高い量にまで及ぶポリマーの製造を示す。
【0114】
約1.5の長さ対直径比および10ガロン(37.9L)の水容量を有する円筒形で水平の、水外套付き、パドル撹拌のステンレススチール反応器に、54ポンド(24.5kg)の脱塩水と240mLの水中パーフルオロオクタン酸アンモニウム界面活性剤の20重量%溶液とを装入した。反応器パドルを50rpmでかき混ぜながら、反応器を3回排気し、テトラフルオロエチレン(TFE)でパージした。反応器温度を次に75℃に上げた。温度が75℃で定常になった後、TFEを使用して反応器の圧力を300psig(2.07MPa)に上げた。水中0.2重量%APSからなる80ミリリットルの開始溶液を反応器に注入した。この同じ開始剤を次に5.0mL/分で加えた。反応器圧力の10psig(0.07MPa)降下によって示唆されるように重合が始まった後、TFEを0.2ポンド(90.8g)/分で5分間加えた。重合開始後1ポンド(454g)のTFEをフィードした後、TFEおよび開始剤フィードを停止し、次に反応器をゆっくりガス抜きした。かき混ぜを停止した後、反応器蒸気空間を排気した。かき混ぜを50rpmで再開させ、次に内容物を25℃に冷却した。コアは372℃でゼロのMFRを有する。かき混ぜ機を再び停止し、次に反応器中の圧力をエタンで8インチHg(3.93psig、2.71×10-2MPa)に上げた。エタンの添加後に、かき混ぜ機を50rpmで再開させ、反応器の内容物を75℃に暖めた。パーフルオロ(エチルビニルエーテル)(PEVE)の200mLアリコートを加え、次に反応器中の圧力をTFE(1.72MPa)で250psig(1.75MPa)に上げた。反応の継続期間の間、PEVEを2mL/分で加え、同じ溶液を5mL/分の速度で使用して重合開始を再開させた。反応器中のTFEの圧力を、0.167ポンドTFE/分(75.7g/分)の反応速度を維持するために連続的に調節した。19ポンド(8618g)TFEが114分で反応した後、TFE、開始剤、およびPEVEフィードを停止し、次に反応器をガス抜きすることによって反応を終わらせた。本分散系の固形分含有率は30.2重量%であり、未加工分散粒径(RDPS)は0.099μmであった。凝固後に、ポリマーを、濾過することによって単離し、次に150℃対流エアオーブン中で乾燥させた。このコア/シェルポリマーは、4.1g/10分の溶融流量(MFR)、2.93重量%のPEVE含有率、および851サイクルの50ミルMIT曲げ寿命を有した。本コア/シェルポリマーはまた、4075psi(28.1MPa)の引張強度および353%の破断点伸びを示した。粘度変化は7780Pa・sであった。これらの結果は、コアがPTFEホモポリマーである、増加するコア含有率の追加コア/シェルポリマーについての結果と一緒に、下の表7に実施例53として含まれる。コアポリマー対シェルポリマーの比を、重合の第1段階で消費されるTFEおよび重合の第2段階で消費されるTFEの比を変えることによって変更した。引張強度および破断点伸びは、試験手順の下で開示された手順による圧縮成形プラークに関して、ならびに350℃および4s-1で動作する試験手順の下で記載されたケイネス・キャピラリー流動計によって押し出されたストランドに関しての両方で測定した。
【0115】
【表8】

【0116】
MIT曲げ寿命試験のための時間を短縮するために、表3に報告される試験は、はるかにより小さいMIT曲げ寿命を与える、1.27mm厚さの圧縮成形フィルムに関して行った。MIT曲げ寿命は、試験を0.21mm厚さのフィルムに関して行った場合にはるかにより大きいであろう。表7に示されるように、PTFEホモポリマー・コアについてコア含有率が約75重量%まで増加するとき、引張特性は依然として価値があるほど適度に際立っている。例えば約75重量%コア含有率で、伸びは依然として200%より上である。溶融押出ストランドの引張特性もまた価値があるほど適度に高い。
【0117】
(実施例61)
本実施例は、コア/シェルポリマーの溶融混合によって得られる、本発明の溶融混合組成物の使用から生じる改良された射出成形品に関する。
【0118】
本実施例に使用されるPFA1は、4.1重量%のPPVE含有率、および29.2g/10分のMFRの、テトラフルオロエチレン(TFE)とパーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(PPVE)との共重合体である。
【0119】
本実施例に使用されるPFA2は、4.2重量%のPPVE含有率、およびMFRが12.6g/10分であることを除いてはPFA1と同じ共重合体である。
【0120】
ステート(State)1は、4.78重量%ポリテトラフルオロエチレンコアとPFA1のそれのような組成のPFAシェルとを有するコア/シェルポリマーである。ステート1MFRは8g/10分である。
【0121】
ステート2は、4.81重量%ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)コアとPFA2のそれのような組成のPFAシェルとを有するコア/シェルポリマーである。ステート2は4g/10分のMFRを有する。
【0122】
これらのポリマーの全てが押出/カット・ペレットの形態にあった。ステート1およびステート2ポリマーのペレットでは、コアは、押出機でコア/シェルポリマーを溶融混合することによって製造されたシェルからのPFAのマトリックス中の分散されたサブマイクロメートル−サイズ粒子として存在した。
【0123】
(本実施例についての試験手順)
曲げ寿命−MIT曲げ寿命の測定手順はASTM D2176に一致しており、本実施例に報告されるMIT曲げ寿命値は、1.27mm厚さのフィルムを成形するためのチェースの厚さが50ミル(1.27mm)厚さであったことを除いて、60ミル(1.5nm)厚さのプラークの圧縮成形について実施例の初めに試験手順下で開示されたものと同じ方法で圧縮成形された50ミル(1.27mm)厚さのフィルムに関して測定した。より厚いフィルム(先行実施例での0.21mm厚さのフィルムより厚い)の使用は、曲げ試験で必要とされる時間を短縮し、それによってはるかにより小さいMIT曲げ寿命数(サイクル)をもたらす。1.27mm厚さのフィルムに関して測定されたMIT曲げ寿命は、1.27mmMIT曲げ寿命として記載することができる。
【0124】
射出成形性−「スネーク・フロー」試験は、射出成形に用いられるものに典型的な剪断速度でポリマーの流動性を測定する。溶融ポリマーサンプルを、形状がヘビに似ている長方形チャネル12.7mm×2.54mmを有する金型へ射出した。射出されたポリマーがチャネル中で移動する距離は、ポリマー溶融流動性の指標である。便宜上、チャネル中のポリマーの重量(「射出重量(Shot Weight)」)を報告する。
【0125】
用いた装置は、ニッセイ射出成形機(Nissei Injection Molding Machine)、モデルFN−4000であった。温度分布:背面350℃、中心350℃、前面355℃、ノズル360℃;金型温度180℃;射出圧力80MPaおよび120MPa。
【0126】
(射出成形)
コア/シェルポリマー、ステート1およびステート2を、80MPaの射出圧力でPFA1およびPFA2と比較する。ステート2およびPFA2はまた、120MPaでも比較する。表8および9は、それぞれ80MPaおよび120MPaの射出圧力についての結果をまとめる。
【0127】
【表9】

【0128】
【表10】

【0129】
結果は、本発明の溶融混合組成物がそれらの低いMFRから予想されるよりはるかに高い溶融流動性を射出成形条件下に有し、こうして本発明のコア/シェルポリマーのずり減粘(チキソトロピック)挙動を示すことを示す。低MFRコア/シェルポリマーで高い射出重量を得ることができる重要性の一態様は、曲げ寿命試験結果によって示される。
【0130】
1.27mmMIT曲げ寿命を、本発明のステート1およびステート2コア/シェルポリマーに関してならびにPFA1およびPFA2に関して測定した。結果を表10にまとめる。
【0131】
【表11】

【0132】
曲げ寿命試験結果は、ステート1および2溶融混合組成物が、溶融加工においてはるかにより高い溶融流量のポリマーのように挙動しながら、高いMIT曲げ寿命を示すことによって低い溶融流量のポリマーのようにもまた挙動することを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレンと、溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを含む溶融混合組成物であって、前記ポリテトラフルオロエチレンが前記ポリテトラフルオロエチレンと前記溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量の少なくとも約4重量%を構成し、溶融状態において、剪断を増加させるとチキソトロピーを示すことを特徴とする組成物。
【請求項2】
前記チキソトロピーが、キャピラリー流動計法によって測定される場合、溶融状態において前記組成物に加えられる剪断速度を約10s-1から約100s-1に増加させるときに、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独の場合の同じ剪断速度における溶融粘度の減少よりも少なくとも約10%大きい溶融粘度の減少によって特徴付けられることを特徴とする請求項1に記載の溶融混合組成物。
【請求項3】
前記減少が少なくとも100%であることを特徴とする請求項2に記載の溶融混合組成物。
【請求項4】
前記溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独に対する破断点伸びと少なくとも同じ高さの破断点伸びを示すことを特徴とする請求項1に記載の溶融混合組成物。
【請求項5】
前記組成物に対する前記破断点伸びが存在し、前記ポリテトラフルオロエチレンと前記溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量の少なくとも約15重量%までを前記ポリテトラフルオロエチレンが構成することを特徴とする請求項4に記載の溶融混合組成物。
【請求項6】
前記破断点伸びが少なくとも250%であることを特徴とする請求項5に記載の溶融混合組成物。
【請求項7】
前記ポリテトラフルオロエチレンが前記ポリテトラフルオロエチレンと前記溶融成形可能なパーフルオロポリマーとを合わせた重量を基準として約75%までを構成することを特徴とする請求項1に記載の溶融混合組成物。
【請求項8】
溶融成形可能なパーフルオロポリマーを含む連続相中に非溶融流動性ポリテトラフルオロエチレンを含むサブマイクロメートル−サイズ粒子の分散系を含む溶融混合組成物であって、前記分散系が、溶融状態において、剪断を増加させるとチキソトロピーを示すことを特徴とする組成物。
【請求項9】
前記チキソトロピーが、キャピラリー流動計法によって測定される場合、溶融状態において前記組成物に加えられる剪断速度を約10s-1から約100s-1に増加させるときに、溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独に対するものと同じ剪断速度における溶融粘度の減少より少なくとも約10%大きい溶融粘度の減少によって特徴付けられることを特徴とする請求項8に記載の組成物。
【請求項10】
前記溶融成形可能なパーフルオロポリマー単独に対する破断点伸びと少なくとも同じ高さの破断点伸びを示すことを特徴とする請求項8に記載の溶融混合組成物。

【公表番号】特表2009−516066(P2009−516066A)
【公表日】平成21年4月16日(2009.4.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−541377(P2008−541377)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2006/044759
【国際公開番号】WO2007/061885
【国際公開日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】